JP2004175660A - 活性炭、その製造方法及び分極性電極 - Google Patents
活性炭、その製造方法及び分極性電極 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 本発明の活性炭によれば、電気二重層キャパシタの電気容量を大きくでき、かつ電極の膨張が抑制される。本発明の活性炭は、ピッチ等の原料にアルカリ土類金属化合物を添加し、熱処理及び賦活処理により得られる。
【選択図】 なし
Description
電気二重層キャパシタは、活性炭等から作られた1対の正極と負極の分極性電極を、電解質イオンを含む、溶液中でセパレータを介して対向させた構造からなっている。電極に直流電圧を印加すると正(+)側に分極した電極には溶液中の陰イオンが、負(−)側に分極した電極には溶液中の陽イオンが引き寄せられ、これにより電極と溶液との界面に形成された電気二重層を電気エネルギーとして利用するものである。
したがって、より多くの電気二重層を形成すべく、比表面積の大きい活性炭の使用が検討されてきたが、このような活性炭は質量当たりの電気容量(F/g)に優れる反面、電極密度の低下を招く為に体積当たりの電気容量(F/ml)がそれほど大きくならないという問題点を有していた。
特開平5-258996号及び特開平10-121336号の活性炭は電気容量(F/g)は大きいが、細孔が発達しすぎているために、電極密度が小さくなり結果的には電気容量(F/ml)が小さくなるという問題があった。
(1)粒子内部にアルカリ土類金属化合物を含み、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が10〜2000m2/gである活性炭。
(2)アルカリ土類金属化合物が、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物である前記(1)に記載の活性炭。
(3)アルカリ土類金属化合物が、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩、硫化物、硫酸塩及び硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載の活性炭。
(4)アルカリ土類金属化合物がカルシウム化合物である前記(3)に記載の活性炭。
(5)アルカリ土類金属化合物が、粒径10μm以下の粒子である前記(1)に記載の活性炭。
(6)アルカリ土類金属化合物の含有量が、30〜100000質量ppmである前記(1)に記載の活性炭。
(7)ラマンスペクトルのGピーク(1580cm-1)のピーク高さに対するDピーク(1360cm-1)のピーク高さの比が0.8〜1.2である前記(1)に記載の活性炭。
(8)窒素吸着法によって求めたBJH法による20〜50オングストロームの細孔容積が0.02ml/g以上の範囲にある前記(1)に記載の活性炭。
(9)前記(1)に記載の活性炭に、難黒鉛化炭素からなる多孔性炭素層を被覆してなる活性炭。
(10)窒素吸着法によって求めた細孔容積が0.01ml/g〜1.55ml/gである前記(9)に記載の活性炭。
(11)平均粒径が3〜70μmである前記(9)に記載の活性炭。
(12)平均粒径が1μm以下及び/または100μm以上の粒子を実質的に含まない前記(1)に記載の活性炭。
(13)電気二重層キャパシタの分極性電極用である前記(1)または(9)に記載の活性炭。
(14)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の活性炭を含む分極性電極。
(15)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の活性炭と気相法炭素繊維を含む分極性電極。
(16)気相法炭素繊維が、中空構造を有し、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000である前記(15)に記載の分極性電極。
(17)気相法炭素繊維が、0.01〜0.4ml/gの細孔容積を有し、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が30〜1000m2/gである前記(15)に記載の分極性電極。
(18)気相法炭素繊維の(002)面の面間隔d002が0.3395nm以下である前記(15)に記載の分極性電極。
(19)気相成長炭素繊維が、分岐状繊維であり、かつ分岐部分の中空構造が連通している前記(15)に記載の分極性電極。
(20)気相法炭素繊維を炭素質粉体に対して0.1〜20質量%混合する前記(15)に記載の分極性電極。
(21)気相法炭素繊維が、活性炭表面に融着している前記(15)に記載の分極性電極。
(22)前記(14)乃至(21)のいずれか一つに記載の分極性電極を用いた電気二重層キャパシタ。
(23)有機溶媒に電解質を溶解した有機系電解液を用いた前記(22)に記載の電気二重層キャパシタ。
(24)前記(1)乃至(13)に記載の活性炭を含有するスラリー。
(25)前記(1)乃至(13)に記載の活性炭を含有するペースト。
(26)前記(1)乃至(13)に記載の活性炭が表面に塗布された電極シート。
(27)前記(22)に記載の電気二重層キャパシターを含むエネルギーデバイス。
(28)活性炭の原料にアルカリ土類金属化合物を添加し熱処理する工程、次いで熱処理により生成した炭素化物をアルカリ金属化合物と混合加熱して賦活する工程を含むことを特徴とする活性炭の製造方法。
(29)活性炭の原料にアルカリ土類金属化合物を添加しアルカリ金属化合物の蒸気中で熱処理する工程、次いで熱処理により生成した炭素化物をアルカリ金属化合物と混合加熱して賦活する工程を含むことを特徴とする活性炭の製造方法。
(30)熱処理する工程が400〜600℃及び600〜900℃の温度範囲で保持する前記(28)または(29)に記載の活性炭の製造方法。
(31)アルカリ金属化合物が、アルカリ金属水酸化物である前記(28)に記載の活性炭の製造方法。
(32)アルカリ金属化合物が、カリウム、ナトリウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む化合物である前記(28)または(29)に記載の活性炭の製造方法。
(33)炭素化物が、易黒鉛化炭素である前記(28)または(29)に記載の活性炭の製造方法。
活性炭の電気特性は、活性炭の比表面積・細孔分布・結晶構造といった構造物性に大きく左右される。電極材料として有用な活性炭を得るためには、炭素化物の構造、炭素化条件、賦活条件を最適化する必要がある。本発明において、活性炭の原料として用いられるものは一般的な熱可塑性樹脂、例えば塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブチラール、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート等及び石油系ピッチ、石炭系ピッチ等のピッチ系材料である。また、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン等の縮合多環式炭化水素化合物、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン等の縮合複素環式化合物等も使用可能である。上記の中でも、石油系、石炭系等のピッチ系材料は、低価格、炭化収率が高いなどの点で好適に使用できる。
アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を含む化合物であればよく、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩、硫化物、硫酸塩または硝酸塩などである。
原料から活性炭を得るには炭素化工程、賦活工程があるが、これらの工程での加熱においてアルカリ土類金属化合物が分解するもの、例えば水酸化物や炭酸塩が分解して酸化物となるものであってもよい。分解に伴う粒径や質量の変化、あるいは原料の炭素化率を考慮してアルカリ土類金属化合物の種類、粒径や添加量を定める。
活性炭の原料を400〜900℃の間で加熱すると、熱分解反応が起こり、ガス・軽質留分が脱離し、残渣は重縮合が起こって最終的には固化する。この炭素化工程における第1段階で、炭素原子間のミクロな結合状態がほぼ決定され、この工程で決定された炭素の構造は最終生成物である活性炭の構造の基礎を決定づけると考えられる。
また、賦活された活性炭は、タップ密度計(蔵持科学器械製作所製)にてタップ密度を測定したところ、タップ回数50回で0.35〜0.70g/mlであり、粉体抵抗は、1.0MPaで0.4Ωcm以下であった。
例えば、母材となるコークス系炭素粉体等(以下、母材もしくは母材炭素材料という)の表面に、被覆材をコーティングし、熱処理(加熱硬化、焼成など)、賦活処理(ガス賦活、薬品賦活など)を実施することが好ましい。
乾性油またはその脂肪酸を混合したフェノール樹脂には、先にフェノール類と乾性油とを強酸触媒存在下に付加反応させ、その後に塩基性触媒を加えて系を塩基性となしホルマリン付加反応させたもの、またはフェノール類とホルマリンを反応させ、その後に乾性油を加えたものでよい。
フェノール樹脂に対する乾性油またはその脂肪酸の割合は、例えば(フェノールとホルマリンの縮合物)100質量部に対し、(乾性油またはその脂肪酸)5〜50質量部が適する。50質量部より多くなると、接着性が下がる傾向があり好ましくない。
この重合体で母材を被覆する場合、重合体をアセトン、エタノール、トルエン等で希釈して粘度を調整すると被覆しやすい。
母材の被覆は、母材炭素材料と上記重合体とを撹拌し混合することによって行うことが好ましい。撹拌方法は特に限定されないが、例えば、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等の装置を使用することができる。
撹拌処理時の温度及び時間は、母材の炭素質粉体、重合体の成分及び粘度等に応じて適宜選択されるが、通常0℃〜50℃程度、好ましくは10℃〜30℃程度の範囲とする。
乾燥温度は使用する溶媒の沸点、蒸気圧等によるが、具体的には50℃以上、好ましくは100℃以上1000℃以下、さらに好ましくは150℃以上500℃以下である。
例えば、フェノール樹脂添加量は、好ましくは2質量%〜30質量%、さらに好ましくは4質量%〜25質量%、さらに好ましくは6質量%〜18質量%である。
熱処理温度が高すぎると、その後に実施される賦活反応が進行せず、熱処理温度が低すぎると炭化反応が進行しない。
70μmを超える平均粒径を有する粒子が混入していると電極表面に凹凸が多くなり、電池に使用されるセパレータを傷つける原因ともなる。
本発明の活性炭に対して、炭素繊維を添加することにより一層の特性向上が図られる。
炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを用いることができるが、繊維軸方向に結晶が成長し、繊維が枝分かれをしている気相成長炭素繊維が好ましい。
気相成長炭素繊維は、有機化合物(例えばベンゼン)と触媒の金属触媒粒子とを水素気流中で高温下(例えば、約1000℃)で加熱することによって製造することができる。
気相成長炭素繊維は、製造したままのもの、製造したものを1000〜1500℃で焼成したもの、あるいは、さらに黒鉛化処理したものを使用することができるが、製造したままのものあるいは1500℃程度で熱処理されたものがより好適である。
なお、炭素層の結晶性について炭素層の面間隔d002は特に限定されない。因みに、好ましいものはX線回折法によるd002が0.3395nm以下、より好ましくは0.3380nm以下であって、結晶のC軸方向の厚さLcが40nm以下のものである。
この気相成長炭素繊維を活性炭と混合することで、粒子同士の接触抵抗が低減されるとともに、電極強度が向上し、分極性電極としての耐久性が向上する。
なお、前述の母材を難黒鉛化炭素で被覆するために母材と重合体とを撹拌する際に、炭素繊維を混合しておくことにより、炭素繊維が融着した活性炭を製造することが可能である。このようにして製造される炭素繊維融着活性炭は、充放電時の膨張収縮がさらに抑制される。また、分極性電極自体の機械的強度を向上させる場合もあるため有効である。
水系(水溶性電解質溶液)のものとしては、硫酸水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、塩化カリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等が挙げられる。
Quantachrome社製、NOVA1200を使用し、液体窒素温度における窒素の吸着等温線より、BET法およびBJH法を用いて算出した。なお、窒素の吸着量は相対圧力(P/P0)0.01〜1.0で測定した。
(2)ラマンスペクトル
励起光としてArレーザー514.5nm、検出器としてCCD(Charge Coupled Device)を使用し、スリット500μm、露光60秒で活性炭のラマンスペクトルを測定した。
平均粒径30μmの活性炭80質量部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量部、カーボンブラック10質量部を添加し、メノウ乳鉢で混練して圧延ローラーで厚さ0.2mmのシート状に圧延したシートを直径20mmの円板に打抜き、200℃で一昼夜で真空乾燥して分極性電極として使用した。
前記の電極を、高純度アルゴンを循環させているグローブボックス内において、図1に断面図を示す評価用セルに組立てて使用した。図1において、1はアルミニウム製の上蓋、2はフッ素ゴム製Oリング、3はアルミニウムからなる集電体、4はテフロン(登録商標)からなる絶縁材、5はアルミニウム製容器、6はアルミニウム製板バネ、7は分極性電極、8はガラス繊維からなる厚さ1mmのセパレータである。電解液にはPC(プロピレンカーボネート)を溶媒とし、(C2H5)4NBF4を電解質とする富山薬品工業(株)製の商品名LIPASTE-P/EAFIN(1モル/リットル)を使用した。
充放電時の電極膨張率は、図2のような評価用セルを使用し、電極厚み方向の変位をインジケーターを使用して測定した。図2中の電極押え用コイルばね(9)は、1cm圧縮するのに0.1〜1.0kgf程度の加重を必要とするものが使用可能であるが、本測定にあたっては、0.3kgfの加重を必要とするものを使用した。測定温度は室温(20〜30℃)とした。ここで、例えば2.5V電圧印加時の電極膨張率(%)は
充放電測定は北斗電工(株)製充放電試験装置HJ-101SM6を使用し、充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、50mA(16mA/cm2)、150mA(48mA/cm2)にて0〜2.5Vあるいは0〜3.0Vで充放電を行い、2回目の定電流放電によって得られた放電曲線から、電気二重層キャパシタの両極活性炭の質量当たりの電気容量(F/g)と体積当たりの電気容量(F/ml)を算出した。
耐久性は、2回目の充放電後の電気容量に対する20回の充放電サイクル試験後の電気容量の割合として評価した。
軟化点86℃の石炭ピッチ100gに炭酸カルシウム10gを加え、ルツボに充填し、昇温速度5℃/hrで500℃とし、その温度で10時間保持し(1段目)、次いで同昇温速度で700℃とし、その温度で5時間保持して(2段目)熱処理した。得られた炭素化物に、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。これを750℃まで3℃/hrで昇温した後、750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素化物は1N塩酸で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥して活性炭とした。
この活性炭の比表面積は930m2/gであった。BJH法による20〜50オングストロームの細孔容積は、0.0416ml/g、ラマンスペクトルから算出した、Gピーク高さに対するDピーク高さの比は0.92であった。
電気容量は、充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時には36.5F/g、31.0F/ml、であり、20サイクル充放電後の容量保持率は98.4%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時には37.7F/g,32.0F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は96.9%であった。正負極の平均膨張率は15%であった。
実施例1における炭酸カルシウム10gに代えて水酸化カルシウム10gとした他は実施例1と同様にして活性炭を製造した。
この活性炭の比表面積は892m2/g、BJH法による20〜50オングストロームの細孔容積は0.0398ml/g、ラマンスペクトルから算出したGピーク高さに対するDピーク高さの比は0.93であった。
電気容量は、充放電電流5mA、2.5V充放電時には36.8F/g、31.3F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は98.3%であった。充放電電流5mA、3.0V充放電時には37.5F/g、31.9F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は96.8%であった。
また、充電後の平均電極膨張率は14%であった。
実施例1の方法で得られた活性炭に対して、気相法炭素繊維(平均径180nm、平均長さ10μm)を5質量%混合して分極性電極材料とした。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時の電気容量は36.4F/g、32.4F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は98.9%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時の電気容量は39.5F/g、35.2F/mlであり、20サイクル容量保持率は97.7%であった。正負極の平均膨張率は10%であった。
実施例1の炭酸カルシウム10gに硫化カルシウム10gを加え、2段目の保持温度を800℃で熱処理処理した以外は実施例1と同様にして活性炭を製造し、分極性電極材料とした。
この活性炭の比表面積は173m2/gであり、BJH法による20〜50オングストロームの細孔容積は0.0271ml/gであった。ラマンスペクトルにおけるGピーク高さに対するDピーク高さの比は0.93であった。
充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時の電気容量は32.6F/g、31.9F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は98.7%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時の電気容量は35.5F/g、34.8F/mlであり、20サイクル容量保持率は97.2%であった。正負極の平均膨張率は30%であった。
実施例3で使用したものと同じ気相法炭素繊維10gに水酸化カリウム50gを加えて750℃で熱処理したもの(ミクロ孔容積:0.3ml、BET比表面積530m2/g)実施例4の方法で製造した活性炭に対して5質量%混合して分極性電極材料とした。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時の電気容量は33.5F/g、33.5F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は99.0%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時の電気容量は34.5F/g、34.5F/mlであり、20サイクル容量保持率は98.0%であった。正負極の平均膨張率は5%であった。
実施例1における炭酸カルシウムを添加しなかった他は実施例1と同様にして活性炭を製造した。この活性炭に含まれるカルシウム化合物はカルシウム元素換算で25質量ppmであった。
この活性炭の比表面積は800m2/gであった。BJH法による20〜50オングストロームの細孔容積は0.038ml/g、ラマンスペクトルから算出したGピーク高さに対するDピーク高さの比は0.89であった。
電気容量は、充放電電流5mA、2.5V充放電時には36.0F/g、30.6F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は98.0%であった。充放電電流5mA、3.0V充放電時には37.0F/g、31.5F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は96.5%であった。
また、充電後の平均電極膨張率は50%であった。
炭素材料として石油コークスを用い、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。これを750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、残存KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥し、活性炭とした。この活性炭の比表面積は1905m2/gであり、ラマンスペクトルのGピーク高さに対するDピーク高さの比は0.98であった。また活性炭に含まれるカルシウム化合物はカルシウム元素換算で23質量ppmであった。
充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時の電気容量は、44.5F/g、24.0F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は96.3%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時の電気容量は45.0F/g、24.3F/mlであり、20サイクル容量保持率は94.0%であった。正負極の平均膨張率は20%であった。
炭素材料としてMCMB(大阪ガス製メソカーボンマイクロビーズ)を用い、質量比で5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。これを750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、残存KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥し、活性炭とした。この活性炭の比表面積は127m2/gであり、20〜50オングストロームの細孔容積は0.013ml/g、ラマンスペクトルのGピーク高さに対するDピーク高さの比は0.92であった。また、活性炭に含まれるカルシウム化合物はカルシウム元素換算で14質量ppmであった。
充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、2.5V充放電時の電気容量は、10.2F/g、9.4F/mlであり、20サイクル充放電後の容量保持率は99.1%であった。充放電電流5mA(1.6mA/cm2)、3.0V充放電時の電気容量は11.5F/g、10.6F/mlであり、20サイクル容量保持率は98.5%であった。正負極の平均膨張率は70%であった。
付着材としては、以下の方法で調整した、桐油で一部変性したフェノール樹脂を用いた。すなわち、桐油100質量部とフェノール150質量部、ノニルフェノール150質量部を混合して50℃に保持する。これに0.5質量部の硫酸を加えて撹拌し、徐々に昇温して120℃で1時間保持し、桐油とフェノール類との付加反応を行った。その後温度を60℃以下に下げ、ヘキサメチレンテトラミンを6質量部と37質量%ホルマリン100質量部を加え、90℃で約2時間反応し、その後真空脱水した後、メタノール100質量部、アセトン100質量部を加えて希釈し、粘度20mPa・s(20℃)のワニス(以下、ワニスAという。)を得た。
軟化点86℃の石炭ピッチ100gに炭酸カルシウム10gを加え、ルツボに充填し、昇温速度5℃/hrで500℃とし、その温度で10時間保持した。その後粉砕して、平均粒径(D50=8μm)に調整した炭素質粉体(19.8g)に、ワニスAの樹脂固形分換算で5.4質量部にエタノール12.6質量部を加えて撹拌し、十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が1.3質量%となるように加え、プラネタリーミキサーにて30分間混練した。混練物を真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥し、エタノールを除去した。次にこの混練物を加熱炉にて、700℃で1時間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品に質量比で2.5倍量の水酸化カリウムを混合して実施例1と同様にして賦活反応を行った。得られた分極性電極の、正負極の平均膨張率は5%であった。
混練時に気相成長炭素繊維を10質量%加えて混練した以外は実施例6と同様にして活性炭を製造した。得られた分極性電極の平均膨張率は4%であった。
さらに、当該活性炭に気相法炭素繊維を混合することで、より優れた特性を有する分極性電極および電気二重層キャパシタを製造することが可能である。
2 Oリング
3 集電体
4 絶縁体
5 容器
6 板ばね
7 電極
8 セパレーター
9 電極押え用コイルばね
Claims (33)
- 粒子内部にアルカリ土類金属化合物を含み、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が10〜2000m2/gである活性炭。
- アルカリ土類金属化合物が、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物である請求項1に記載の活性炭。
- アルカリ土類金属化合物が、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩、硫化物、硫酸塩及び硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の活性炭。
- アルカリ土類金属化合物がカルシウム化合物である請求項3に記載の活性炭。
- アルカリ土類金属化合物が、粒径10μm以下の粒子である請求項1に記載の活性炭。
- アルカリ土類金属化合物の含有量が、30〜100000質量ppmである請求項1に記載の活性炭。
- ラマンスペクトルのGピーク(1580cm-1)のピーク高さに対するDピーク(1360cm-1)のピーク高さの比が0.8〜1.2である請求項1に記載の活性炭。
- 窒素吸着法によって求めたBJH法による20〜50オングストロームの細孔容積が0.02ml/g以上の範囲にある請求項1に記載の活性炭。
- 請求項1に記載の活性炭に、難黒鉛化炭素からなる多孔性炭素層を被覆してなる活性炭。
- 窒素吸着法によって求めた細孔容積が0.01ml/g〜1.55ml/gである請求項9に記載の活性炭。
- 平均粒径が3〜70μmである請求項9に記載の活性炭。
- 平均粒径が1μm以下及び/または100μm以上の粒子を実質的に含まない請求項1に記載の活性炭。
- 電気二重層キャパシタの分極性電極用である請求項1または9に記載の活性炭。
- 請求項1乃至13のいずれか一つに記載の活性炭を含む分極性電極。
- 請求項1乃至13のいずれか一つに記載の活性炭と気相法炭素繊維を含む分極性電極。
- 気相法炭素繊維が、中空構造を有し、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000である請求項15に記載の分極性電極。
- 気相法炭素繊維が、0.01〜0.4ml/gの細孔容積を有し、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が30〜1000m2/gである請求項15に記載の分極性電極。
- 気相法炭素繊維の(002)面の面間隔d002が0.3395nm以下である請求項15に記載の分極性電極。
- 気相成長炭素繊維が、分岐状繊維であり、かつ分岐部分の中空構造が連通している請求項15に記載の分極性電極。
- 気相法炭素繊維を炭素質粉体に対して0.1〜20質量%混合する請求項15に記載の分極性電極。
- 気相法炭素繊維が、活性炭表面に融着している請求項15に記載の分極性電極。
- 請求項14乃至21のいずれか一つに記載の分極性電極を用いた電気二重層キャパシタ。
- 有機溶媒に電解質を溶解した有機系電解液を用いた請求項22に記載の電気二重層キャパシタ。
- 請求項1乃至13に記載の活性炭を含有するスラリー。
- 請求項1乃至13に記載の活性炭を含有するペースト。
- 請求項1乃至13に記載の活性炭が表面に塗布された電極シート。
- 請求項22に記載の電気二重層キャパシターを含むエネルギーデバイス。
- 活性炭の原料にアルカリ土類金属化合物を添加し熱処理する工程、次いで熱処理により生成した炭素化物をアルカリ金属化合物と混合加熱して賦活する工程を含むことを特徴とする活性炭の製造方法。
- 活性炭の原料にアルカリ土類金属化合物を添加しアルカリ金属化合物の蒸気中で熱処理する工程、次いで熱処理により生成した炭素化物をアルカリ金属化合物と混合加熱して賦活する工程を含むことを特徴とする活性炭の製造方法。
- 熱処理する工程が400〜600℃及び600〜900℃の温度範囲で保持する請求項28または29に記載の活性炭の製造方法。
- アルカリ金属化合物が、アルカリ金属水酸化物である請求項28に記載の活性炭の製造方法。
- アルカリ金属化合物が、カリウム、ナトリウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む化合物である請求項28または29に記載の活性炭の製造方法。
- 炭素化物が、易黒鉛化炭素である請求項28または29に記載の活性炭の製造方法。
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