JP2004174750A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不吐出発生に対して、白抜けや濃度むらを引き起こすことなく高品位な画像形成を実現する。
【解決手段】マルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、記録ヘッドの吐出不良を検出する手段と、その検出結果に応じてラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御する手段と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】マルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、記録ヘッドの吐出不良を検出する手段と、その検出結果に応じてラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御する手段と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置に関するものであり、より具体的には、インクの不吐出を検知して補完記録する不吐出検出・補完制御に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナル・コンピュータや複写装置、ワード・プロセッサ等のOA機器が広く普及しており、これらの機器の画像形成(記録)装置の一種としてインクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展、普及している。特にOA機器の高機能化とともにカラー化が進んでおり、これに伴なって様々なカラー・インクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般にインクジェット記録装置は、記録手段(記録ヘッド)およびインクタンクを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御する制御手段とを具備する。そして複数の吐出口からインク液滴を吐出させる記録ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアル・スキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。さらには、カラー対応のインクジェット記録装置の場合、複数色の記録ヘッドにより吐出されるインク液滴の重ねあわせによるカラー画像を形成する。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法として、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印可することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させる電気/熱エネルギー変換体を用いる方法や、圧電素子などの電気/機械変換体を用いる方法がある。また、インクを吐出する手段として、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与してインクを吐出する構成も従来より知られている。
【0005】
この記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液満として吐出口から記録媒体上に吐出しすることにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニング・コストが低いこと、装置が小型化しやすいこと、およびカラー化が比較的容易であること、などの利点を有していることから、コンピューターやワードプロセッサー等と併用され、あるいは単独で使用される複写機、プリンター、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図16はインクジェット記録装置の全体制御回路の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
マイクロプロセッサ形態のCPU601はインタフェース605を介してホスト624に接続されており、制御プログラムを格納したROM602や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM603、及びホスト624からインタフェース605を介して受信したコマンド信号や記録情報を格納するためのRAM604にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。さらにCPU601は、出力ポート608及びキャリッジモータ制御回路610を介してキャリッジモータ611を動作させることによりキャリッジ620を移動させたり、出力ポート608及び紙送りモータ制御回路613を介して紙送りモータ614を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構612を動作させる。さらにCPU601は、RAM604に格納されている記録情報に基づき記録ヘッド制御回路621を介して記録へシド622を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。また、電源回路619からは、CPU601や記録ヘッド制御回路621を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(たとえば5V)、各種モータ駆動電圧Vm(たとえば24V)、記録ヘッド622を駆動させるためのヒート電圧Vh(たとえば12V)、等が出力される。さらに換作キー607から入力される指示情報は入力ポート606を介してCPU601に伝達され、CPU601からの命令は出力ポート609を介してLED制御回路615に伝えられるとLEDが点灯したり、表示制御回路617に伝えられるとLCD618にメッセージが表示される。623は上述した種種の構成要素を互いに接続するCPUバスである。
【0008】
従来のインクジェット記録方法においては、インクのにじみのない高発色のカラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。さらにはOHPシートや布、プラスチック・シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、こうした要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発および製品化が進められている。また記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大サイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い産業分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求もー段と高まっていると言える。
【0009】
一般に、カラー・インクジェット記録方法は、シアン(Cy),マゼンタ(Mg)イエロー(Ye)の3色のカラー・インクを使用し、また、さらにはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラー・インクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロ・インクジェット記録装置と異なり、カラー・イメージ画像を記録するにあたっては、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0010】
しかし、記録される画像の品位は記録ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。記録ヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒ一タ)のばらつき等の記録ヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリア・ファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、あるいは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が通常人間の目で濃度ムラとして感知される。そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。ここでは、簡単のために12ノズルかちなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。記録の様子を図17に示す。
【0011】
第1走査において千鳥パターン●を記録し、記録幅の半分(6ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターン○を記録することにより記録を完成する。すなわち、順次6ドット単位の紙送りと千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、6ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。このようにして、一つのラインを異なる二つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。また、マルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となる記録ヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。
【0012】
各走査毎のパス・データを生成する方法としては、上述のように千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパス・データを生成する方法(固定間引き方式と称す)や、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダム・マスク・パターンなどを用いて記録データを間引くことによりパス・データを生成する方法(テーブル方式と称す)や、記録ドットのみを間引き処理することによりパス・データを生成する方法(データ間引き方式と称す)、などが知られている。
【0013】
また、インクジェット記録装置の記録ヘッドにおいては、インク吐出を行わない状態で長時間放置された場合など、特に吐出口近傍のインク液路内においてインクが増粘し、正常な吐出が行われなくなることがある。また、記録ドットの比率が高い(記録dutyが高い)記録動作が連続する場合など、インク吐出に伴なって上記液路内のインク中に微細な気泡が生じて、これが成長し、この成長した気泡が液路内に残留して吐出に影響を及ぼし、同様に正常な吐出が行われなくなることがある。この気泡は、先に述べた吐出に伴なって発生するものの他に、インク供給路の接続部などのインク供給系においてインク中に混入するものもある。
【0014】
これらの原因によるインクの不吐出によって、記録装置の信頼性が下がるだけでなく、正常に吐出できない状態で記録を継続すると、正常な場合に比べて記録ヘッドがはるかに高い温度まで昇温してしまい、記録ヘッド自体にダメージが生じ、耐久性が損なわれる場合がある。
【0015】
このような吐出不良に対してインクジェット記録装置では、▲1▼吐出を行わない時に記録ヘッドの吐出口面を被覆してインクの増粘を防止するキャッピング処理,▲2▼キヤッピング状態で吐出ロからインクを吸引して増粘インクを強制排出させるインク吸引処理,▲3▼インク吸収体などで構成される所定のインク受けにインクを吐出して増粘インクを排出する予備吐出処理,などの回復処理が行われる。
【0016】
このような回復処理に関連して、記録装置の信頼性向上の目的で、インクの不吐出を検知する手段を設けることが好ましい。さらには、記録ヘッドが有する複数の吐出部の各々に対して個別に吐出不良を検知できることが好ましい。検知手段としては、インク飛翔経路側方に配置した光センサを用いる方法や、空吐出により記録ヘッドに生じる温度上昇およびその後の温度の降下により判断する方法や、所定のテストパターンを記録して読み取ることにより検知する方法、などが多く用いられている。
【0017】
検出した不吐出ノズルに対してこれを補完する方法としては、あらかじめ通常の記録では使用しないノズルを備え、この不吐出補完用ノズルが不吐出ノズルに代わって補完記録するものが提案されている。しかし、記録ヘッドが余分なノズルを備えることは、記録ヘッドの小型化の妨げになるだけでなく、消耗品である記録ヘッドのコストを引き上げることになる。
【0018】
さらに別の手法としては、不吐出が検知されたノズルに対して、マルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てることで補完記録を実現する方式がある。また、記録処理の高速化の目的で複数組の記録ヘッドを備えたものが提案されており、このようなインクジェット記録装置においては、同一ラインを形成する他ヘッドのノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てて禰完記録を実現することもできる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のインクジェット記録装置においては、インクの不吐出に対する対策に関連して次のような課題が存在する。
【0020】
頁記録の途中で不吐出を検知した場合、速やかに回復処理を行うのが一般的である。すなわち、記録処理を一時中断して上記回復処理を行うものであり、トータルの記録処理時間を遅らせてしまうといった問題が生じる。さらには、マルチパス記録を行うインクジェット記録装置においては、同一領域に対する複数の記録走査の時間間隔が、通常の記録走査時に比べて回復処理に要した時間だけ大きくなってしまう。一般には、後から打ち込んだインク滴は、紙面に垂直な方向と紙面に沿った方向には浸透するが、先に着弾したインク滴が浸透している領域にはあまり浸透定着しない。後から打ち込んだインク滴は、先に打ち込んだインク滴が浸透した領域のさらに下方へ浸透・定着することになる。しかし、先の記録走査で打ち込んだ後に、長い時間間隔をおいて次のインク滴が着弾した場合には、先のインク滴が浸透定着している領域に比較的に多く浸透する。記録走査の時間間隔が長い場合の方が記録濃度が高くなることが知られている。すなわち、回復処理によって記録の時間間隔が長くなってしまった領域に濃度ムラが発生する場合がある。また、インク吸引処理などでは特に大量のインクを消費するため、むやみに回復処理を行うことは好ましくない。
【0021】
また、回復処理を実行しても正常なインク吐出が再開できなくなってしまった場合には、回復不能になった記録ヘッドは、正常動作可能な新しい記録ヘッドと交換する必要がある。すなわち、記録ヘッドを交換するまでの間は、不吐出による濃度ムラや白すじを許容するか、記録機能そのものを完全に停止してしまうことになる。
【0022】
一方で、補完処理した結果として形成される画像品位についても問題が指摘されている。図17を参照しながらマルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルが補完記録する方式について2パス記録を例に挙げて説明する。通常の2パス記録においては、1パス目に50%のdutyで間引き記録を行い、2パス目で残りの50%の記録を行う。ここで、あるノズルに不吐出が発生すると、この不吐出ノズルが形成すべきラインについては1パス目(又は2パス目)において全くドットが形成されず、2パス目(又は1パス目)において全ドットが形成されることとなる。すなわち、他のラインと比較して各記録走査に対して極めて偏ったdutyの記録が行われることになる。
【0023】
このようなライン毎のドット形成の違いは、単一ラインであれば隣接ラインに埋もれて比較的認識されにくいものの、このようなラインが連続して存在すると目立ちやすくなり、人間の目にムラとして認識されてしまうといった問題点がある。また、同一ラインを形成する多くのノズルが不吐出になり、dutyの偏りが大きくなる場合にも画品位に悪影響を及ぼす。さらには、同一ラインを形成する全てのノズルが不吐出になってしまうと、補完制御そのものが不可能になり、白抜けによる大きな画質劣化を引き起こすこととなる。
【0024】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、回復動作などにより記録処理を頻繁に停止することなく、しかもインク不吐出が原因となる白抜けをできるだけ回避し、不吐出ノズルのむやみな補完記録によるムラのない高品位な画像形成を可能にする信頼性の高い優れたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の発明によるインクジェット記録装置は、以下の構成からなる。
【0026】
すなわち、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体にインクを吐出して画像を形成するマルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良を検知する障害検知手段と、前記障害検知手段による障害検知結果に応じて、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する組み合わせ制御手段と、を備える。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0027】
更に、本発明に係る第二の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0028】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記組み合わせ制御手段は、前記記録ヘッドの前記インク吐出部の画像形成に使用する数を変更する手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて吐出部の画像形成に使用する数を変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0029】
更に、本発明に係る第三の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0030】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、同一領域を走査する回数が異なる複数の画像形成モードを備え、前記組み合わせ制御手段は、前記画像形成モードを変更するモード変更手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて画像形成モードを変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0031】
更に、本発明に係る第四の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0032】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記組み合わせ制御手段は、各記録走査間の記録媒体の搬送量を変更する搬送量制御手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて記録媒体の搬送量を変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0033】
更に、本発明に係る第五の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0034】
すなわち、第一の発明によるインクジュッート記録装置において、前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複するか否か判定する第一判定手段を備え、前記組み合わせ制御手段は前記第一判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複する場合に行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、同一行を形成する所定数の吐出部の障害検知に応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0035】
更に、本発明に係る第六の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0036】
すなわち、第五の発明によるインクジェット記録装置において、前記第一判定手段は、複数の前記障害吐出部が形成すべき行の重複が同一行走査回数と等しいか否かを判定する、ことを特徴とする。上記構成により、同一行を形成する障害吐出部が記録パス数と等しい数だけ検知されたことに応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0037】
更に、本発明に係る第七の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0038】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接するか否か判定する第二判定手段を備え、前記組み合わせ制御手段は前記第二判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接する場合にラインを形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、連続行を形成する所定数の吐出部の障害検知に応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能となる。
【0039】
更に、本発明に係る第八の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0040】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記障害検知出力に応答して前記障害吐出部が形成すべき画素を他の吐出部に割り当てる補完制御手段を備える、ことを特徴とする。上記構成により、障害吐出部の補完記録制御を行うインクジェット記録装置に対して適用することが可能になる。
【0041】
更に、本発明に係る第九の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0042】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/熱変換手段を有することを特徴とする。上記構成により、電気/熱変換手段を備えたインクジェット記録装置に対して適用することが可能になる。
【0043】
更に、本発明に係る第十の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0044】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/圧力変換手段を有することを特徴とする。上記構成により、電気/圧力変換手段を備えたインクジェット記録装置に対して適用することが可能となる。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第一の実施例)
以下、図面を参照して本発明の第一の実施例を詳細に説明する。
【0046】
図3は本発明によるインクジェット記録装置の記録部の構成を示したものである。
【0047】
301は記録ヘッドであり、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクと、それぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドとにより構成されている。302は記録ヘッド301を支持し、記録とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジ302は非記録状態などの待機時には図のホーム・ポジション位置にある。303は紙送りローラであり、補助ローラ304とともに記録紙306を抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録紙306をY方向に随時送っていく。また305は給紙ローラであり、記録紙306の給紙を行うとともに、紙送りローラ303及び補助ローラ304と同様に記録紙306を抑える役割を果たす。ここで、記録ヘッド301は、Bk,Cy,Mg,Yeの4色について紙送り方向に配置された64個のノズルをそれぞれ有している。
【0048】
以上の構成における基本的な記録動作について説明する。
【0049】
待機時にホーム・ポジション位置◎にあるキャリッジ302は記録開始命令によりX方向に移動しながら記録ヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙306上にインクを吐出し記録を行う。記録紙306端部まで記録データの記録が終了するとキャリッジは元のホーム・ポジション位置に戻る。紙送りローラ304が夫印方向へ回転することによりY方向へ所定幅だけ紙送りし、再びX方向への記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0050】
なお、図示していないが、本実施例のインクジェット記録装置内には、記録及び画像処理を制御・実行するCPU,ROM,RAM,専用回路より構成される制御部、外部のホスト・コンピュータ等との間で画像情報や各種制御情報をやりとりするためのインタフェース部、キャリッジ駆動用のキャリッジ・モータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータなどを駆動するためのモータ・ドライバ、記録ヘッドを駆動するための記録ヘッド駆動用のドライバ、ユーザによる制御情報を入力する換作パネル、などを備えている。
【0051】
本実施例におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。先に述べたとおり、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録dutyを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。
【0052】
本実施例においては、マスク・テーブルにより画像データをマスク処理することによりパス・データを生成するテーブル間引き方式を採用する。ここでは、4パス記録を例に挙げて説明する。記録ヘッドが有するノズル数は64ノズルとする。
【0053】
図2はマルチパス記録を実現する各記録走査毎の記録データであるパス・データを生成するパス・データ生成ブロックの概略ブロック図である。ここでは簡単化のため単一インク色について説明する。
【0054】
201はメモリ部であり、記録のための画像処理がなされ図外より入力された画像データを一時格納する。202は入力制御部であり、メモリ部201への記録データの書き込み処理を行う。203は出力制御部であり、記録ヘッドの記録紙面上の位置に基づき記録データの読みだし処理を行う。204はテーブル格納部であり、マスク・テーブルA,B,C,D(後述)を格納する。205はマスク処理部であり、テーブル格納部204のマスク・テーブルを用いて画像データのマスク処理を行いパス・データを生成する。206は制御部210内のオリジナル・テーブル格納部であり、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成する基となるテーブル・データ(後述)を格納する。207は制御部210内のテーブル生成部であり、オリジナル・テーブル格納部206に格納されたオリジナル・マスク・テーブルを基に、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部204へ出力する。208は制御部210内の不吐出補完制御部であり、図外の不吐出ノズル検出ブロックから入力された検出結果に応答してテーブル生成部207のテーブル生成処理の変更制御を行う。210は制御部であり、各部の状態を監視するとともに図内,図外からの制御信号に応答してパス・データ生成に関わる各種制御を行う。
【0055】
はじめに、パス・データ生成ブロック全体の基本的なパス・データ生成動作について説明する。
【0056】
ラスタ走査された二値画像データが図外より入力され、入力制御部202を介してメモリ部201に一時格納される。出力制御部203は、制御部210からの記録エリア制御に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置にしたがって各走査毎にメモリ部201に格納された二値の画像データを順次読み出して出力する。ここで、一度のデータ転送単位はノズル数に相当する64画素データである。マスク処理部205においては、テーブル格納部204に格納されたマスク・テーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パス・データを生成出力する。
【0057】
テーブル参照方式によるパス・データ生成処理について図を参照しながら説明する。
【0058】
図4は記録走査毎のマスク・テーブルの一例を示す図であり、A,B,C,Dはそれぞれ第1パス,第2パス,第3パス,第4パスにおいて使用する相補的なマスク・テーブルである。マスク・テーブルA〜Dはそれぞれ主走査方向1024画素*副走査方向16画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスク・データとして使用する。記録ヘッドが備えるノズル数は64であり、4パス記録における紙搬送量に相当する画素数は64/4=16であり、これはマスク・テーブルの副走査方向サイズと一致する。
【0059】
図5は図4で示したマスク・テーブルを用いた記録走査の様子を説明する図である。64のノズルに対応する64ラインのデータに対して、16毎にA,B,C,Dをマスク・パターンとして適用する。全ての画像領域は常にA,B,C,Dの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。
【0060】
次に、テーブル生成制御について簡単な例を挙げて説明する。
【0061】
はじめに基本的なテーブル生成方法について説明する。テーブル生成部207ではオリジナル・テーブル格納部206に格納されたオリジナル・マスク・テーブルを基に、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部204へ出力する。オリジナル・テーブルは基本的に乱数列からなる各8bitデータであり、主走査方向1024画素・副走査方向32画素に相当するサイズを有する。まず、4パス記録では各8bitデータを4で除算し余り0,1,2,3を生成する。そして、余り0,1,2,3のそれぞれに対応して1を生成した4つのテーブルA,B,C,Dを作成して、テーブル格納部104に格納する。副走査方向の各テーブル・サイズは16画素とする。一方、2パス記録では各8bitデータを2で除算した余り0,1を用いて2つのテーブルA,Bを作成する。この場合の副走査方向サイズは各32画素とする。
【0062】
次に不吐出ノズルが検出された場合のテーブル生成方法について説明する。基本的な生成手順は通常のテーブル生成と同様である。ここで、不吐出ノズルとは、インクが全く吐出できないノズルに限らず、インク滴の大きさや飛翔方向が極めて不安定であったり正常吐出しなくなる場合があるといった吐出不良現象が生じたノズルのことを示す。図2外の不吐出ノズル検出ブロックではノズル単位のインク不吐出検知を行っている。不吐出検出動作は頁記録開始時あるいは必要に応じて頁記録中などに実行される。不吐出ノズルが検出されると制御部210内の不吐出補完制御部208に不吐出ノズル番号が通知される。不吐出補完制御部208においては、不吐出が回避され良好な吐出動作の再開を確認するまでの期間、通知されたノズル番号に応じて不吐出ノズルと同一ラインの一部を形成するノズルの1つに適用されるテーブルの生成変更を指示する。テーブル生成部207はこれに応答して、オリジナル・マスク・テーブルに基づき各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成する。4パス記録ではある主走査方向のラインを4回の走査でそれぞれ異なるノズルによって相補的に記録することで画像形成を完成させる。すなわち、不吐出と検知されたノズルが記録するラインは別に3回の走査において別の3つのノズルが記録に関わることになる。これら3つのノズルの1つが不吐出ノズルが記録すべきドットを形成することによって正常な画像形成を実現するよう制御する。
【0063】
具体例を挙げて説明する。ノズル#20においてインク不吐出が検出されたと仮定する。ノズル#20はテーブルBが適用されるノズル領域であり、テーブルBの5ライン目に相当する。ノズル#20が記録するドットと同一ラインのドットを形成する他の3つのノズルは、ノズル#(テーブルA),ノズル#36(テーブルC),ノズル#52(テーブルD)である。ここではテーブルCが適用されるノズル#36が不吐出ノズル#20の記録すべきドットをノズル#20に代わって補完記録するものとする。ノズル#36に対して使用されるテーブルCの5ライン目のテーブル・データ生成処理を通常とは異なる制御を施す。
【0064】
すなわち、オリジナル・テーブルからテーブルCの5ライン目のマスク・データを生成する際に、通常どおりの4で割った余り2に対応するドット位置に加えて余り1に対応するドット位置に対しても1を生成することにより、不吐出ノズル#20が記録すべきドットを正常に吐出可能なノズル#36に振り分けることで正常な画像形成を実現するものである。さらに、不吐出ノズル#20に対応するテーブルBの5ライン目については、オリジナル・テーブルに格納された値に関わらず全て0として記録ドットを一切与えないよう制御する。
【0065】
すなわち、インクの吐出不良が検出されたノズルが記録すべきドットを別の走査で同一ラインを形成するノズルに振り分けることにより、吐出不良による画像抜けを回避し正常な画像形成を実現できる。なお、この例ではテーブルBの不吐出ノズルの記録ドットを同一ラインのテーブルCに振り分けたが、テーブルAやDの対応ノズルに振り分けてもよいし、これら全てに均等に振り分けてもよい。図6は図4に対してノズル#1が不吐出である場合の補完処理を実現するマスク・テーブルの一例である。この例では不吐出ノズル#1に代わってノズル#17が補完記録するものである。
【0066】
次に本発明において特徴的な不吐出検知に応答したライン形成に対するノズル組み合わせ制御について詳細に説明する。
【0067】
先に述べたとおり、記録途中で不吐出を検知した場合には、速やかに回復処理を行うことで正常な吐出状態に復帰させることが必要であるが、記録処理を一時中断して上記回復処理を行うためにトータルの記録処理時間を遅らせてしまうといった問題が生じる。さらには、インク吸引処理などでは特に大量のインクを消費するため、むやみに回復処理を行うことは好ましくない。
【0068】
一方で、不吐出補完されたラインは他の正常に形成されるラインと比較して著しく異なるドット形成が行われる。例えば4パス記録であれば、通常は各ラインについて4回の記録走査に対するマスク・テーブルA,B,C,Dは、ほぼ等しいdutyでマスクOFFされるよう生成処理されており、1パス目〜4パス目のそれぞれにおいてほぼ25%ずつ均等に画像形成される。しかしながら、例えば先の例のようにテーブルBを使用するノズル#20が不吐出でこれをテーブルCを使用するノズル#36で補完する場合を考えると、該当ラインにおけるドット形成dutyは1パス目,2パス目,3パス目,4パス目のそれぞれに対して25%,0%,50%,25%のような偏りが生じる。さらに同一ラインを形成するノズル#4及びノズル#52も同様に不吐出となり、これら全てをノズル#36で補完するとなると、該当ラインにおけるドット形成dutyは1パス目,2パス目,3パス目,4パス目のそれぞれに対して0%,0%,100%,0%となり、正常に形成されるラインとは大きく異なるドット形成が行われることになる。こういった画像形成におけるドット形成の違いは、同一ラインを形成するノズルが多いほど、またそのようなラインが隣接するほど濃度ムラとして人間の目に感知されやすい。
【0069】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると画像形成に使用するノズル(有効ノズル)数を変更するものである。ここでは、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは3だけ連続(隣接)した場合に有効ノズル数を64から60へ変更する場合を例に挙げて説明する。
【0070】
図1は不吐出ノズル検知に応答した有効ノズル数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を16で除算することで不吐出ライン番号を得る。16とは搭載ノズル数(=標準有効ノズル数)である64を記録パス数である4で除した値である。次に仝ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては有効ノズル数として64ではなく60を選択する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に有効ノズル数として60を選択する。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、標準有効ノズル数である64を選択する。
【0071】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、有効ノズル数を(64から60に)変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0072】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して有効ノズル数を制御することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において有効ノズル数の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0073】
(第二の実施例)
上記第1の実施例においては、不吐出ノズルの検知結果に応じて有効ノズル数を変更制御するインクジェット記録装置について詳細に説明した。第2の実施例においては、不吐出ノズルの検知結果に応じて記録パス数を変更することによってライン形成におけるノズルの組み合わせを変更するインクジェット記録装置について説明する。
【0074】
以下、図面を参照して本発明の第2の実施例を詳細に説明する。装置全体及びパス・データ生成ブロックの基本構成は第1の実施例と同様である。ただし、本実施例における記録ヘッドは各色について紙送り方向に配置された60個のノズルを備えている。
【0075】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると記録パス数を変更するものである。ここでは、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは3だけ連続(隣接)した場合に記録パス数を4から5へ変更する場合を例に挙げて説明する。
【0076】
図7は不吐出ノズル検知に応答した記録パス数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を15で除算することで不吐出ライン番号を得る。15とは搭載ノズル数(=有効ノズル数)である60を標準記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては記録パス数を標準の4ではなく5に変更する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に記録パス数として5を選択する。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、標準記録パス数である4パス記録を行う。
【0077】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、記録パス数を(4から5に)変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0078】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して記録パス数を制御することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において記録パス数の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0079】
(第三の実施例)
上記第1及び第2の実施例においては、不吐出ノズルが形成すべきラインが2だけ重複したり、3だけ連続する場合に、ラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御するインクジェット記録装置について説明した。これは不吐出補完処理による記録dutyの偏りが原因となる画品位の劣化を考慮したものである。
【0080】
しかしながら、第1の実施例の如く有効ノズル数を減少させたり、第2の実施例の如く記録パス数を増やすことは、画像形成に要するトータル時間の増大につながる。また、上述のような記録dutyの偏りに対する画品位への影響は記録媒体のインク吸収特性などに大きく依存することが知られている。すなわち、使用する記録メディアの種類によって、ムラとして人の目に感知される程度が大きく異なる。
【0081】
画像形成処理の高速性に重点をおけば、許容できる限りの不吐出発生に対しては、有効ノズル数を減少させる(記録パス数を増大させる)ことは避けることが望ましい。すなわち、上記第1の実施例及び第2の実施例が不吐出ラインの重複が2以上、又は連続が4以上に達すると有効ノズル数を変更した(記録ポス数を変更した)のに対して、第3の実施例においては不吐出補完処理が不可能になり白抜けが発生してしまう場合においてのみラインを形成するノズルの組み合わせを変更制御する。
【0082】
図8は不吐出ノズル検知に応答した有効ノズル数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を16で除算することで不吐出ライン番号を得る。16とは搭載ノズル数(=標準有効ノズル数)である64を記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して4個の重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して4個すべてが不吐出である場合においては有効ノズル数として64ではなく60を選択する。これ以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複が3以下である場合においては、標準有効ノズル数である64を選択する。
【0083】
すなわち、不吐出ノズルの検知結果に応じて第1の実施例の如く有効ノズル数を変更制御する場合を例に挙げると、同一ラインを形成するノズルが全て(記録パス数と同一数だけ)不吐出になったことを検知すると記録パス数を変更する。すなわち4(2)パス記録においては同一ラインを形成する4(2)個のノズルが不吐出になったら記録パス数を変更(増大)することにより不吐出による白抜けを回避できる。
【0084】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して補完記録制御が不可能になった段階で、ラインを形成するノズルの組み合わせを変更することにより、画像の白抜けを回避して高品位な画像形成を実現することができる。
【0085】
(第四の実施例)
上記第1及び第2の実施例においては、マスク・テーブルを参照することにより記録走査毎の記録データを生成するテーブル参照方式を採用したインクジェット記録装置について説明したが、パス・データ生成方式はこれに限定するものではない。画素の座標に基づいて規則的に記録ドットを振り分ける固定間引き方式や、記録ドット(記録データ‘1’)の間引き処理により記録ドットを振り分けるデータ間引き方式、あるいはこれらの併用方式であってもよい。また、これに対応して、不吐出ノズルの補完についてもマスク・テーブルの変更による補完制御方式に限定するものではない。
【0086】
画素の座標に基づいて規則的に記録ドットを振り分ける固定間引き方式について簡単に説明する。これは画像データのX座標及び/又はY座標にしたがい規則的に記録パス番号を割り当ててマルチパス記録を行うものである。図9は4パス記録における間引きパターンの一例を示したものである。パス番号4P,4P+1,4P+2,4P+3に対してそれぞれX座標がX=4N,4N+1,4N+2,4N+3の記録ドットを振り分ける。
【0087】
このような間引き方式における不吐出補完の一例を図10に示す。ここでは、ノズル#1が不吐出であり、これに代わってノズル#17が補完記録する。
【0088】
次に記録ドットの間引き処理により記録ドットを振り分けるデータ間引き方式に着いて簡単に説明する。これは画像データに含まれるデータ‘1’(記録ドットであることを示すデータ)のみをカウントし、記録パス数で除した番号を記録パス番号に対応づけてマルチパス記録を行うものである。図11は4パス記録における間引きパターンの一例を示したものである。パス番号4P,4P+1,4P+2,4P+3に対してそれぞれ4S番目,4S+2番目,4S+1番目,4S+3番目の記録ドットを振り分ける。
【0089】
このような間引き方式における不吐出補完の一例を図12に示す。ここでは、ノズル#1が不吐出であり、これに代わってノズル#17が補完記録する。
【0090】
(第五の実施例)
上記第1の実施例においては有効ノズル数の変更によって各ラインを形成する複数ノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明した。上記第2の実施例においては記録パス数の変更によって各ラインを形成する複数ノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明した。ラインを形成するノズルの組み合わせを変更する手段はこれらに限定するものではない。第4の実施例においては、走査間の紙搬送量制御の変更によりラインを形成するノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明する。
【0091】
以下、図面を参照して本発明の第4の実施例を詳細に説明する。本実施例における記録ヘッドは各色について紙送り方向に配置された64個のノズルを備えており、4パス記録を行うものとする。
【0092】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると記録走査間の紙搬送量を変更するものである。異なる2つの紙搬送制御の様子を図9に示す。ここでは、通常は記録走査間において常に16(=64/4)相当の紙搬送制御を行う(紙搬送モード1)。しかし、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは4だけ連続(隣接)した場合においては、14,14,14,22,14,14,14,22,‥・といった不均等な紙搬送制御(紙搬送モード2)に切り替える場合を例に挙げて説明する。この2種の紙搬送制御の様子を図14に示す。
【0093】
図13は不吐出ノズル検知に応答した紙搬送量制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を15で除算することで不吐出ライン番号を得る。15とは搭載ノズル数(=有効ノズル数)である60を標準記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては紙搬送量を不均一制御に変更する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に紙搬送量を不均一制御に切り替える。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、常に搬送量を16とした均等送りを行う。
【0094】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、記録走査間の紙搬送量制御を変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0095】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して紙搬送量制御を変更することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において記録走査間の紙搬送制御の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0096】
(その他の実施例)
上記実施例においては、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクとそれぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドを搭載したインクジェット記録装置について説明したが、各インクに対応して独立した一色ヘッドから構成されるマルチヘッドを搭載するものであってもよい。さらには、インク色についても4色に限定するものではなく、またL−CyやL−Mgなど淡色を用いて濃度の異なる複数のインクを用いた構成であってもよい。ノズル数も64や60に限定するものではない。さらには、各インク色毎に画素あたり1ドットを記録するインクジェット記録装置について説明したが、同一インクの重ね打ちを行うものであってもよい。
【0097】
また、搭載する記録ヘッドは一組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のヘッドを備えたインクジェット記録装置に対しても適用できる。図18は二組の記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の記録部の構成を示した概略図である。キャリッジ302は第一記録ヘッド301と第二記録ヘッド307を搭載しており、それぞれ6色(Bk,Cy,Mg,Ye,L−Cy,L−Mg)インクに対応する。図19は二組の記録ヘッドのインク配列の一例を示した図であり、ここではインク配列が対称になるよう構成している。
【0098】
また、本発明に係るインクジェット記録装置の形態は、コンピュータやワード・プロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであってもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体にインクを吐出して画像を形成するマルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出障害を検知する障害検知手段と、前記障害検知手段による障害検知結果に応じて、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する組み合わせ制御手段と、を備えることにより、記録ヘッドのノズル毎のインク不吐出を検出して、その検出結果に応じて各行を形成する複数吐出部の組み合わせを変更することにより、補完処理が原因となる濃度ムラを低減し、また補完不能による白抜けを回避し、インク吐出不良発生に対する非常に効率のよい画像形成が可能になり、高速かつ高品位な画像形成を実現する高性能なインクジェット記録装置が提供できるといった優れた効果を発揮する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施例におけるパス・データ生成ブロックの概略ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるマスク・テーブルの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例における記録走査毎のマスク処理の様子を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例における不吐出補完を実現するマスク・テーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施例における固定間引き方式における記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施例における固定間引き方式における不吐出補完を実現する記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施例におけるデータ間引き方式における記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施例におけるデータ間引き方式における不吐出補完を実現する記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施例における紙搬送制御モードの一例を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施例における紙搬送制御モードの一例を示す図である。
【図16】インクジェット記録装置の全体制御回路の構成例を示す概略ブロック図である。
【図17】マルチパス記録を説明する図である。
【図18】本発明のその他の実施例におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図19】本発明のその他の実施例における二組記録ヘッドのインク配列の一例を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置に関するものであり、より具体的には、インクの不吐出を検知して補完記録する不吐出検出・補完制御に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナル・コンピュータや複写装置、ワード・プロセッサ等のOA機器が広く普及しており、これらの機器の画像形成(記録)装置の一種としてインクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展、普及している。特にOA機器の高機能化とともにカラー化が進んでおり、これに伴なって様々なカラー・インクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般にインクジェット記録装置は、記録手段(記録ヘッド)およびインクタンクを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御する制御手段とを具備する。そして複数の吐出口からインク液滴を吐出させる記録ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアル・スキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。さらには、カラー対応のインクジェット記録装置の場合、複数色の記録ヘッドにより吐出されるインク液滴の重ねあわせによるカラー画像を形成する。
【0004】
インクジェット記録装置において、インクを吐出させる方法として、吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印可することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させる電気/熱エネルギー変換体を用いる方法や、圧電素子などの電気/機械変換体を用いる方法がある。また、インクを吐出する手段として、ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与してインクを吐出する構成も従来より知られている。
【0005】
この記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液満として吐出口から記録媒体上に吐出しすることにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニング・コストが低いこと、装置が小型化しやすいこと、およびカラー化が比較的容易であること、などの利点を有していることから、コンピューターやワードプロセッサー等と併用され、あるいは単独で使用される複写機、プリンター、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0006】
図16はインクジェット記録装置の全体制御回路の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
マイクロプロセッサ形態のCPU601はインタフェース605を介してホスト624に接続されており、制御プログラムを格納したROM602や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM603、及びホスト624からインタフェース605を介して受信したコマンド信号や記録情報を格納するためのRAM604にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。さらにCPU601は、出力ポート608及びキャリッジモータ制御回路610を介してキャリッジモータ611を動作させることによりキャリッジ620を移動させたり、出力ポート608及び紙送りモータ制御回路613を介して紙送りモータ614を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構612を動作させる。さらにCPU601は、RAM604に格納されている記録情報に基づき記録ヘッド制御回路621を介して記録へシド622を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。また、電源回路619からは、CPU601や記録ヘッド制御回路621を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(たとえば5V)、各種モータ駆動電圧Vm(たとえば24V)、記録ヘッド622を駆動させるためのヒート電圧Vh(たとえば12V)、等が出力される。さらに換作キー607から入力される指示情報は入力ポート606を介してCPU601に伝達され、CPU601からの命令は出力ポート609を介してLED制御回路615に伝えられるとLEDが点灯したり、表示制御回路617に伝えられるとLCD618にメッセージが表示される。623は上述した種種の構成要素を互いに接続するCPUバスである。
【0008】
従来のインクジェット記録方法においては、インクのにじみのない高発色のカラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。さらにはOHPシートや布、プラスチック・シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、こうした要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発および製品化が進められている。また記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大サイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い産業分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求もー段と高まっていると言える。
【0009】
一般に、カラー・インクジェット記録方法は、シアン(Cy),マゼンタ(Mg)イエロー(Ye)の3色のカラー・インクを使用し、また、さらにはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラー・インクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロ・インクジェット記録装置と異なり、カラー・イメージ画像を記録するにあたっては、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0010】
しかし、記録される画像の品位は記録ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。記録ヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒ一タ)のばらつき等の記録ヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリア・ファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、あるいは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が通常人間の目で濃度ムラとして感知される。そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。ここでは、簡単のために12ノズルかちなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。記録の様子を図17に示す。
【0011】
第1走査において千鳥パターン●を記録し、記録幅の半分(6ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2走査において逆千鳥パターン○を記録することにより記録を完成する。すなわち、順次6ドット単位の紙送りと千鳥/逆千鳥パターンの記録を交互に行うことにより、6ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。このようにして、一つのラインを異なる二つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。また、マルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となる記録ヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。
【0012】
各走査毎のパス・データを生成する方法としては、上述のように千鳥/逆千鳥パターンを用いて記録データを間引くことによりパス・データを生成する方法(固定間引き方式と称す)や、記録ドットと非記録ドットとが乱数的に配列されたランダム・マスク・パターンなどを用いて記録データを間引くことによりパス・データを生成する方法(テーブル方式と称す)や、記録ドットのみを間引き処理することによりパス・データを生成する方法(データ間引き方式と称す)、などが知られている。
【0013】
また、インクジェット記録装置の記録ヘッドにおいては、インク吐出を行わない状態で長時間放置された場合など、特に吐出口近傍のインク液路内においてインクが増粘し、正常な吐出が行われなくなることがある。また、記録ドットの比率が高い(記録dutyが高い)記録動作が連続する場合など、インク吐出に伴なって上記液路内のインク中に微細な気泡が生じて、これが成長し、この成長した気泡が液路内に残留して吐出に影響を及ぼし、同様に正常な吐出が行われなくなることがある。この気泡は、先に述べた吐出に伴なって発生するものの他に、インク供給路の接続部などのインク供給系においてインク中に混入するものもある。
【0014】
これらの原因によるインクの不吐出によって、記録装置の信頼性が下がるだけでなく、正常に吐出できない状態で記録を継続すると、正常な場合に比べて記録ヘッドがはるかに高い温度まで昇温してしまい、記録ヘッド自体にダメージが生じ、耐久性が損なわれる場合がある。
【0015】
このような吐出不良に対してインクジェット記録装置では、▲1▼吐出を行わない時に記録ヘッドの吐出口面を被覆してインクの増粘を防止するキャッピング処理,▲2▼キヤッピング状態で吐出ロからインクを吸引して増粘インクを強制排出させるインク吸引処理,▲3▼インク吸収体などで構成される所定のインク受けにインクを吐出して増粘インクを排出する予備吐出処理,などの回復処理が行われる。
【0016】
このような回復処理に関連して、記録装置の信頼性向上の目的で、インクの不吐出を検知する手段を設けることが好ましい。さらには、記録ヘッドが有する複数の吐出部の各々に対して個別に吐出不良を検知できることが好ましい。検知手段としては、インク飛翔経路側方に配置した光センサを用いる方法や、空吐出により記録ヘッドに生じる温度上昇およびその後の温度の降下により判断する方法や、所定のテストパターンを記録して読み取ることにより検知する方法、などが多く用いられている。
【0017】
検出した不吐出ノズルに対してこれを補完する方法としては、あらかじめ通常の記録では使用しないノズルを備え、この不吐出補完用ノズルが不吐出ノズルに代わって補完記録するものが提案されている。しかし、記録ヘッドが余分なノズルを備えることは、記録ヘッドの小型化の妨げになるだけでなく、消耗品である記録ヘッドのコストを引き上げることになる。
【0018】
さらに別の手法としては、不吐出が検知されたノズルに対して、マルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てることで補完記録を実現する方式がある。また、記録処理の高速化の目的で複数組の記録ヘッドを備えたものが提案されており、このようなインクジェット記録装置においては、同一ラインを形成する他ヘッドのノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てて禰完記録を実現することもできる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のインクジェット記録装置においては、インクの不吐出に対する対策に関連して次のような課題が存在する。
【0020】
頁記録の途中で不吐出を検知した場合、速やかに回復処理を行うのが一般的である。すなわち、記録処理を一時中断して上記回復処理を行うものであり、トータルの記録処理時間を遅らせてしまうといった問題が生じる。さらには、マルチパス記録を行うインクジェット記録装置においては、同一領域に対する複数の記録走査の時間間隔が、通常の記録走査時に比べて回復処理に要した時間だけ大きくなってしまう。一般には、後から打ち込んだインク滴は、紙面に垂直な方向と紙面に沿った方向には浸透するが、先に着弾したインク滴が浸透している領域にはあまり浸透定着しない。後から打ち込んだインク滴は、先に打ち込んだインク滴が浸透した領域のさらに下方へ浸透・定着することになる。しかし、先の記録走査で打ち込んだ後に、長い時間間隔をおいて次のインク滴が着弾した場合には、先のインク滴が浸透定着している領域に比較的に多く浸透する。記録走査の時間間隔が長い場合の方が記録濃度が高くなることが知られている。すなわち、回復処理によって記録の時間間隔が長くなってしまった領域に濃度ムラが発生する場合がある。また、インク吸引処理などでは特に大量のインクを消費するため、むやみに回復処理を行うことは好ましくない。
【0021】
また、回復処理を実行しても正常なインク吐出が再開できなくなってしまった場合には、回復不能になった記録ヘッドは、正常動作可能な新しい記録ヘッドと交換する必要がある。すなわち、記録ヘッドを交換するまでの間は、不吐出による濃度ムラや白すじを許容するか、記録機能そのものを完全に停止してしまうことになる。
【0022】
一方で、補完処理した結果として形成される画像品位についても問題が指摘されている。図17を参照しながらマルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルが補完記録する方式について2パス記録を例に挙げて説明する。通常の2パス記録においては、1パス目に50%のdutyで間引き記録を行い、2パス目で残りの50%の記録を行う。ここで、あるノズルに不吐出が発生すると、この不吐出ノズルが形成すべきラインについては1パス目(又は2パス目)において全くドットが形成されず、2パス目(又は1パス目)において全ドットが形成されることとなる。すなわち、他のラインと比較して各記録走査に対して極めて偏ったdutyの記録が行われることになる。
【0023】
このようなライン毎のドット形成の違いは、単一ラインであれば隣接ラインに埋もれて比較的認識されにくいものの、このようなラインが連続して存在すると目立ちやすくなり、人間の目にムラとして認識されてしまうといった問題点がある。また、同一ラインを形成する多くのノズルが不吐出になり、dutyの偏りが大きくなる場合にも画品位に悪影響を及ぼす。さらには、同一ラインを形成する全てのノズルが不吐出になってしまうと、補完制御そのものが不可能になり、白抜けによる大きな画質劣化を引き起こすこととなる。
【0024】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、回復動作などにより記録処理を頻繁に停止することなく、しかもインク不吐出が原因となる白抜けをできるだけ回避し、不吐出ノズルのむやみな補完記録によるムラのない高品位な画像形成を可能にする信頼性の高い優れたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の発明によるインクジェット記録装置は、以下の構成からなる。
【0026】
すなわち、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体にインクを吐出して画像を形成するマルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良を検知する障害検知手段と、前記障害検知手段による障害検知結果に応じて、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する組み合わせ制御手段と、を備える。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0027】
更に、本発明に係る第二の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0028】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記組み合わせ制御手段は、前記記録ヘッドの前記インク吐出部の画像形成に使用する数を変更する手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて吐出部の画像形成に使用する数を変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0029】
更に、本発明に係る第三の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0030】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、同一領域を走査する回数が異なる複数の画像形成モードを備え、前記組み合わせ制御手段は、前記画像形成モードを変更するモード変更手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて画像形成モードを変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0031】
更に、本発明に係る第四の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0032】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記組み合わせ制御手段は、各記録走査間の記録媒体の搬送量を変更する搬送量制御手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、記録ヘッドの吐出障害の検知結果に応じて記録媒体の搬送量を変更することにより行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0033】
更に、本発明に係る第五の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0034】
すなわち、第一の発明によるインクジュッート記録装置において、前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複するか否か判定する第一判定手段を備え、前記組み合わせ制御手段は前記第一判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複する場合に行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、同一行を形成する所定数の吐出部の障害検知に応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0035】
更に、本発明に係る第六の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0036】
すなわち、第五の発明によるインクジェット記録装置において、前記第一判定手段は、複数の前記障害吐出部が形成すべき行の重複が同一行走査回数と等しいか否かを判定する、ことを特徴とする。上記構成により、同一行を形成する障害吐出部が記録パス数と等しい数だけ検知されたことに応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能になる。
【0037】
更に、本発明に係る第七の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0038】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接するか否か判定する第二判定手段を備え、前記組み合わせ制御手段は前記第二判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接する場合にラインを形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、ことを特徴とする。上記構成により、連続行を形成する所定数の吐出部の障害検知に応答して行を形成する吐出部の組み合わせを変更することが可能となる。
【0039】
更に、本発明に係る第八の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0040】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記障害検知出力に応答して前記障害吐出部が形成すべき画素を他の吐出部に割り当てる補完制御手段を備える、ことを特徴とする。上記構成により、障害吐出部の補完記録制御を行うインクジェット記録装置に対して適用することが可能になる。
【0041】
更に、本発明に係る第九の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0042】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/熱変換手段を有することを特徴とする。上記構成により、電気/熱変換手段を備えたインクジェット記録装置に対して適用することが可能になる。
【0043】
更に、本発明に係る第十の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0044】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/圧力変換手段を有することを特徴とする。上記構成により、電気/圧力変換手段を備えたインクジェット記録装置に対して適用することが可能となる。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第一の実施例)
以下、図面を参照して本発明の第一の実施例を詳細に説明する。
【0046】
図3は本発明によるインクジェット記録装置の記録部の構成を示したものである。
【0047】
301は記録ヘッドであり、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクと、それぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドとにより構成されている。302は記録ヘッド301を支持し、記録とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジ302は非記録状態などの待機時には図のホーム・ポジション位置にある。303は紙送りローラであり、補助ローラ304とともに記録紙306を抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録紙306をY方向に随時送っていく。また305は給紙ローラであり、記録紙306の給紙を行うとともに、紙送りローラ303及び補助ローラ304と同様に記録紙306を抑える役割を果たす。ここで、記録ヘッド301は、Bk,Cy,Mg,Yeの4色について紙送り方向に配置された64個のノズルをそれぞれ有している。
【0048】
以上の構成における基本的な記録動作について説明する。
【0049】
待機時にホーム・ポジション位置◎にあるキャリッジ302は記録開始命令によりX方向に移動しながら記録ヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙306上にインクを吐出し記録を行う。記録紙306端部まで記録データの記録が終了するとキャリッジは元のホーム・ポジション位置に戻る。紙送りローラ304が夫印方向へ回転することによりY方向へ所定幅だけ紙送りし、再びX方向への記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0050】
なお、図示していないが、本実施例のインクジェット記録装置内には、記録及び画像処理を制御・実行するCPU,ROM,RAM,専用回路より構成される制御部、外部のホスト・コンピュータ等との間で画像情報や各種制御情報をやりとりするためのインタフェース部、キャリッジ駆動用のキャリッジ・モータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータなどを駆動するためのモータ・ドライバ、記録ヘッドを駆動するための記録ヘッド駆動用のドライバ、ユーザによる制御情報を入力する換作パネル、などを備えている。
【0051】
本実施例におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。先に述べたとおり、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録dutyを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。
【0052】
本実施例においては、マスク・テーブルにより画像データをマスク処理することによりパス・データを生成するテーブル間引き方式を採用する。ここでは、4パス記録を例に挙げて説明する。記録ヘッドが有するノズル数は64ノズルとする。
【0053】
図2はマルチパス記録を実現する各記録走査毎の記録データであるパス・データを生成するパス・データ生成ブロックの概略ブロック図である。ここでは簡単化のため単一インク色について説明する。
【0054】
201はメモリ部であり、記録のための画像処理がなされ図外より入力された画像データを一時格納する。202は入力制御部であり、メモリ部201への記録データの書き込み処理を行う。203は出力制御部であり、記録ヘッドの記録紙面上の位置に基づき記録データの読みだし処理を行う。204はテーブル格納部であり、マスク・テーブルA,B,C,D(後述)を格納する。205はマスク処理部であり、テーブル格納部204のマスク・テーブルを用いて画像データのマスク処理を行いパス・データを生成する。206は制御部210内のオリジナル・テーブル格納部であり、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成する基となるテーブル・データ(後述)を格納する。207は制御部210内のテーブル生成部であり、オリジナル・テーブル格納部206に格納されたオリジナル・マスク・テーブルを基に、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部204へ出力する。208は制御部210内の不吐出補完制御部であり、図外の不吐出ノズル検出ブロックから入力された検出結果に応答してテーブル生成部207のテーブル生成処理の変更制御を行う。210は制御部であり、各部の状態を監視するとともに図内,図外からの制御信号に応答してパス・データ生成に関わる各種制御を行う。
【0055】
はじめに、パス・データ生成ブロック全体の基本的なパス・データ生成動作について説明する。
【0056】
ラスタ走査された二値画像データが図外より入力され、入力制御部202を介してメモリ部201に一時格納される。出力制御部203は、制御部210からの記録エリア制御に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置にしたがって各走査毎にメモリ部201に格納された二値の画像データを順次読み出して出力する。ここで、一度のデータ転送単位はノズル数に相当する64画素データである。マスク処理部205においては、テーブル格納部204に格納されたマスク・テーブルを用いて画像データのマスク処理(記録ドットを非記録ドットに置き換える)を実行し、パス・データを生成出力する。
【0057】
テーブル参照方式によるパス・データ生成処理について図を参照しながら説明する。
【0058】
図4は記録走査毎のマスク・テーブルの一例を示す図であり、A,B,C,Dはそれぞれ第1パス,第2パス,第3パス,第4パスにおいて使用する相補的なマスク・テーブルである。マスク・テーブルA〜Dはそれぞれ主走査方向1024画素*副走査方向16画素に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に繰り返し展開してマスク・データとして使用する。記録ヘッドが備えるノズル数は64であり、4パス記録における紙搬送量に相当する画素数は64/4=16であり、これはマスク・テーブルの副走査方向サイズと一致する。
【0059】
図5は図4で示したマスク・テーブルを用いた記録走査の様子を説明する図である。64のノズルに対応する64ラインのデータに対して、16毎にA,B,C,Dをマスク・パターンとして適用する。全ての画像領域は常にA,B,C,Dの順にマスク処理されて記録データが生成されることになる。
【0060】
次に、テーブル生成制御について簡単な例を挙げて説明する。
【0061】
はじめに基本的なテーブル生成方法について説明する。テーブル生成部207ではオリジナル・テーブル格納部206に格納されたオリジナル・マスク・テーブルを基に、各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部204へ出力する。オリジナル・テーブルは基本的に乱数列からなる各8bitデータであり、主走査方向1024画素・副走査方向32画素に相当するサイズを有する。まず、4パス記録では各8bitデータを4で除算し余り0,1,2,3を生成する。そして、余り0,1,2,3のそれぞれに対応して1を生成した4つのテーブルA,B,C,Dを作成して、テーブル格納部104に格納する。副走査方向の各テーブル・サイズは16画素とする。一方、2パス記録では各8bitデータを2で除算した余り0,1を用いて2つのテーブルA,Bを作成する。この場合の副走査方向サイズは各32画素とする。
【0062】
次に不吐出ノズルが検出された場合のテーブル生成方法について説明する。基本的な生成手順は通常のテーブル生成と同様である。ここで、不吐出ノズルとは、インクが全く吐出できないノズルに限らず、インク滴の大きさや飛翔方向が極めて不安定であったり正常吐出しなくなる場合があるといった吐出不良現象が生じたノズルのことを示す。図2外の不吐出ノズル検出ブロックではノズル単位のインク不吐出検知を行っている。不吐出検出動作は頁記録開始時あるいは必要に応じて頁記録中などに実行される。不吐出ノズルが検出されると制御部210内の不吐出補完制御部208に不吐出ノズル番号が通知される。不吐出補完制御部208においては、不吐出が回避され良好な吐出動作の再開を確認するまでの期間、通知されたノズル番号に応じて不吐出ノズルと同一ラインの一部を形成するノズルの1つに適用されるテーブルの生成変更を指示する。テーブル生成部207はこれに応答して、オリジナル・マスク・テーブルに基づき各マスク・テーブルA,B,C,Dを生成する。4パス記録ではある主走査方向のラインを4回の走査でそれぞれ異なるノズルによって相補的に記録することで画像形成を完成させる。すなわち、不吐出と検知されたノズルが記録するラインは別に3回の走査において別の3つのノズルが記録に関わることになる。これら3つのノズルの1つが不吐出ノズルが記録すべきドットを形成することによって正常な画像形成を実現するよう制御する。
【0063】
具体例を挙げて説明する。ノズル#20においてインク不吐出が検出されたと仮定する。ノズル#20はテーブルBが適用されるノズル領域であり、テーブルBの5ライン目に相当する。ノズル#20が記録するドットと同一ラインのドットを形成する他の3つのノズルは、ノズル#(テーブルA),ノズル#36(テーブルC),ノズル#52(テーブルD)である。ここではテーブルCが適用されるノズル#36が不吐出ノズル#20の記録すべきドットをノズル#20に代わって補完記録するものとする。ノズル#36に対して使用されるテーブルCの5ライン目のテーブル・データ生成処理を通常とは異なる制御を施す。
【0064】
すなわち、オリジナル・テーブルからテーブルCの5ライン目のマスク・データを生成する際に、通常どおりの4で割った余り2に対応するドット位置に加えて余り1に対応するドット位置に対しても1を生成することにより、不吐出ノズル#20が記録すべきドットを正常に吐出可能なノズル#36に振り分けることで正常な画像形成を実現するものである。さらに、不吐出ノズル#20に対応するテーブルBの5ライン目については、オリジナル・テーブルに格納された値に関わらず全て0として記録ドットを一切与えないよう制御する。
【0065】
すなわち、インクの吐出不良が検出されたノズルが記録すべきドットを別の走査で同一ラインを形成するノズルに振り分けることにより、吐出不良による画像抜けを回避し正常な画像形成を実現できる。なお、この例ではテーブルBの不吐出ノズルの記録ドットを同一ラインのテーブルCに振り分けたが、テーブルAやDの対応ノズルに振り分けてもよいし、これら全てに均等に振り分けてもよい。図6は図4に対してノズル#1が不吐出である場合の補完処理を実現するマスク・テーブルの一例である。この例では不吐出ノズル#1に代わってノズル#17が補完記録するものである。
【0066】
次に本発明において特徴的な不吐出検知に応答したライン形成に対するノズル組み合わせ制御について詳細に説明する。
【0067】
先に述べたとおり、記録途中で不吐出を検知した場合には、速やかに回復処理を行うことで正常な吐出状態に復帰させることが必要であるが、記録処理を一時中断して上記回復処理を行うためにトータルの記録処理時間を遅らせてしまうといった問題が生じる。さらには、インク吸引処理などでは特に大量のインクを消費するため、むやみに回復処理を行うことは好ましくない。
【0068】
一方で、不吐出補完されたラインは他の正常に形成されるラインと比較して著しく異なるドット形成が行われる。例えば4パス記録であれば、通常は各ラインについて4回の記録走査に対するマスク・テーブルA,B,C,Dは、ほぼ等しいdutyでマスクOFFされるよう生成処理されており、1パス目〜4パス目のそれぞれにおいてほぼ25%ずつ均等に画像形成される。しかしながら、例えば先の例のようにテーブルBを使用するノズル#20が不吐出でこれをテーブルCを使用するノズル#36で補完する場合を考えると、該当ラインにおけるドット形成dutyは1パス目,2パス目,3パス目,4パス目のそれぞれに対して25%,0%,50%,25%のような偏りが生じる。さらに同一ラインを形成するノズル#4及びノズル#52も同様に不吐出となり、これら全てをノズル#36で補完するとなると、該当ラインにおけるドット形成dutyは1パス目,2パス目,3パス目,4パス目のそれぞれに対して0%,0%,100%,0%となり、正常に形成されるラインとは大きく異なるドット形成が行われることになる。こういった画像形成におけるドット形成の違いは、同一ラインを形成するノズルが多いほど、またそのようなラインが隣接するほど濃度ムラとして人間の目に感知されやすい。
【0069】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると画像形成に使用するノズル(有効ノズル)数を変更するものである。ここでは、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは3だけ連続(隣接)した場合に有効ノズル数を64から60へ変更する場合を例に挙げて説明する。
【0070】
図1は不吐出ノズル検知に応答した有効ノズル数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を16で除算することで不吐出ライン番号を得る。16とは搭載ノズル数(=標準有効ノズル数)である64を記録パス数である4で除した値である。次に仝ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては有効ノズル数として64ではなく60を選択する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に有効ノズル数として60を選択する。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、標準有効ノズル数である64を選択する。
【0071】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、有効ノズル数を(64から60に)変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0072】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して有効ノズル数を制御することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において有効ノズル数の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0073】
(第二の実施例)
上記第1の実施例においては、不吐出ノズルの検知結果に応じて有効ノズル数を変更制御するインクジェット記録装置について詳細に説明した。第2の実施例においては、不吐出ノズルの検知結果に応じて記録パス数を変更することによってライン形成におけるノズルの組み合わせを変更するインクジェット記録装置について説明する。
【0074】
以下、図面を参照して本発明の第2の実施例を詳細に説明する。装置全体及びパス・データ生成ブロックの基本構成は第1の実施例と同様である。ただし、本実施例における記録ヘッドは各色について紙送り方向に配置された60個のノズルを備えている。
【0075】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると記録パス数を変更するものである。ここでは、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは3だけ連続(隣接)した場合に記録パス数を4から5へ変更する場合を例に挙げて説明する。
【0076】
図7は不吐出ノズル検知に応答した記録パス数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を15で除算することで不吐出ライン番号を得る。15とは搭載ノズル数(=有効ノズル数)である60を標準記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては記録パス数を標準の4ではなく5に変更する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に記録パス数として5を選択する。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、標準記録パス数である4パス記録を行う。
【0077】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、記録パス数を(4から5に)変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0078】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して記録パス数を制御することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において記録パス数の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0079】
(第三の実施例)
上記第1及び第2の実施例においては、不吐出ノズルが形成すべきラインが2だけ重複したり、3だけ連続する場合に、ラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御するインクジェット記録装置について説明した。これは不吐出補完処理による記録dutyの偏りが原因となる画品位の劣化を考慮したものである。
【0080】
しかしながら、第1の実施例の如く有効ノズル数を減少させたり、第2の実施例の如く記録パス数を増やすことは、画像形成に要するトータル時間の増大につながる。また、上述のような記録dutyの偏りに対する画品位への影響は記録媒体のインク吸収特性などに大きく依存することが知られている。すなわち、使用する記録メディアの種類によって、ムラとして人の目に感知される程度が大きく異なる。
【0081】
画像形成処理の高速性に重点をおけば、許容できる限りの不吐出発生に対しては、有効ノズル数を減少させる(記録パス数を増大させる)ことは避けることが望ましい。すなわち、上記第1の実施例及び第2の実施例が不吐出ラインの重複が2以上、又は連続が4以上に達すると有効ノズル数を変更した(記録ポス数を変更した)のに対して、第3の実施例においては不吐出補完処理が不可能になり白抜けが発生してしまう場合においてのみラインを形成するノズルの組み合わせを変更制御する。
【0082】
図8は不吐出ノズル検知に応答した有効ノズル数制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を16で除算することで不吐出ライン番号を得る。16とは搭載ノズル数(=標準有効ノズル数)である64を記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して4個の重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して4個すべてが不吐出である場合においては有効ノズル数として64ではなく60を選択する。これ以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複が3以下である場合においては、標準有効ノズル数である64を選択する。
【0083】
すなわち、不吐出ノズルの検知結果に応じて第1の実施例の如く有効ノズル数を変更制御する場合を例に挙げると、同一ラインを形成するノズルが全て(記録パス数と同一数だけ)不吐出になったことを検知すると記録パス数を変更する。すなわち4(2)パス記録においては同一ラインを形成する4(2)個のノズルが不吐出になったら記録パス数を変更(増大)することにより不吐出による白抜けを回避できる。
【0084】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して補完記録制御が不可能になった段階で、ラインを形成するノズルの組み合わせを変更することにより、画像の白抜けを回避して高品位な画像形成を実現することができる。
【0085】
(第四の実施例)
上記第1及び第2の実施例においては、マスク・テーブルを参照することにより記録走査毎の記録データを生成するテーブル参照方式を採用したインクジェット記録装置について説明したが、パス・データ生成方式はこれに限定するものではない。画素の座標に基づいて規則的に記録ドットを振り分ける固定間引き方式や、記録ドット(記録データ‘1’)の間引き処理により記録ドットを振り分けるデータ間引き方式、あるいはこれらの併用方式であってもよい。また、これに対応して、不吐出ノズルの補完についてもマスク・テーブルの変更による補完制御方式に限定するものではない。
【0086】
画素の座標に基づいて規則的に記録ドットを振り分ける固定間引き方式について簡単に説明する。これは画像データのX座標及び/又はY座標にしたがい規則的に記録パス番号を割り当ててマルチパス記録を行うものである。図9は4パス記録における間引きパターンの一例を示したものである。パス番号4P,4P+1,4P+2,4P+3に対してそれぞれX座標がX=4N,4N+1,4N+2,4N+3の記録ドットを振り分ける。
【0087】
このような間引き方式における不吐出補完の一例を図10に示す。ここでは、ノズル#1が不吐出であり、これに代わってノズル#17が補完記録する。
【0088】
次に記録ドットの間引き処理により記録ドットを振り分けるデータ間引き方式に着いて簡単に説明する。これは画像データに含まれるデータ‘1’(記録ドットであることを示すデータ)のみをカウントし、記録パス数で除した番号を記録パス番号に対応づけてマルチパス記録を行うものである。図11は4パス記録における間引きパターンの一例を示したものである。パス番号4P,4P+1,4P+2,4P+3に対してそれぞれ4S番目,4S+2番目,4S+1番目,4S+3番目の記録ドットを振り分ける。
【0089】
このような間引き方式における不吐出補完の一例を図12に示す。ここでは、ノズル#1が不吐出であり、これに代わってノズル#17が補完記録する。
【0090】
(第五の実施例)
上記第1の実施例においては有効ノズル数の変更によって各ラインを形成する複数ノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明した。上記第2の実施例においては記録パス数の変更によって各ラインを形成する複数ノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明した。ラインを形成するノズルの組み合わせを変更する手段はこれらに限定するものではない。第4の実施例においては、走査間の紙搬送量制御の変更によりラインを形成するノズルの組み合わせを変更制御するインクジェット記録装置について説明する。
【0091】
以下、図面を参照して本発明の第4の実施例を詳細に説明する。本実施例における記録ヘッドは各色について紙送り方向に配置された64個のノズルを備えており、4パス記録を行うものとする。
【0092】
本実施例においては、複数の不吐出ノズルが形成するラインが所定数だけ重複あるいは隣接したことを検知すると記録走査間の紙搬送量を変更するものである。異なる2つの紙搬送制御の様子を図9に示す。ここでは、通常は記録走査間において常に16(=64/4)相当の紙搬送制御を行う(紙搬送モード1)。しかし、不吐出ノズルが形成するラインが2だけ重複するか、あるいは4だけ連続(隣接)した場合においては、14,14,14,22,14,14,14,22,‥・といった不均等な紙搬送制御(紙搬送モード2)に切り替える場合を例に挙げて説明する。この2種の紙搬送制御の様子を図14に示す。
【0093】
図13は不吐出ノズル検知に応答した紙搬送量制御動作を説明するフローチャートである。まず全ノズルに対して不吐出検知動作が行われる。全ての不吐出ノズル番号が順次通知され、不吐出ノズル番号を15で除算することで不吐出ライン番号を得る。15とは搭載ノズル数(=有効ノズル数)である60を標準記録パス数である4で除した値である。次に全ての不吐出ノズルに対して2以上重複した不吐出ラインが存在するか否か調べる。同一ラインを形成するノズルに対して2以上が不吐出である場合においては紙搬送量を不均一制御に変更する。一方で、不吐出ラインが4以上連続しているか否か調べる。不吐出ノズルが形成するラインが4以上連続している場合においては同様に紙搬送量を不均一制御に切り替える。これら以外の場合、すなわち、同一ラインが形成するノズルの重複はなく、不吐出ラインの連続も3以下である場合においては、常に搬送量を16とした均等送りを行う。
【0094】
すなわち、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数(本実施例では2)だけ重複したり、所定数(本実施例では4)だけ連続した場合においては、記録走査間の紙搬送量制御を変更してラインを形成するノズルの組み合わせを変更するよう制御し、記録dutyが著しく異なるラインの発生やその連続を回避することによって、安易な補完処理による濃度ムラを抑制できる。
【0095】
以上詳細に説明したとおり、記録ヘッドの不吐出発生に対して紙搬送量制御を変更することにより、不吐出ノズルが形成すべきラインが所定数だけ重複又は隣接した場合において記録走査間の紙搬送制御の変更によってこれを回避し、濃度ムラのない高品位な画像形成を実現することができる。
【0096】
(その他の実施例)
上記実施例においては、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクとそれぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドを搭載したインクジェット記録装置について説明したが、各インクに対応して独立した一色ヘッドから構成されるマルチヘッドを搭載するものであってもよい。さらには、インク色についても4色に限定するものではなく、またL−CyやL−Mgなど淡色を用いて濃度の異なる複数のインクを用いた構成であってもよい。ノズル数も64や60に限定するものではない。さらには、各インク色毎に画素あたり1ドットを記録するインクジェット記録装置について説明したが、同一インクの重ね打ちを行うものであってもよい。
【0097】
また、搭載する記録ヘッドは一組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のヘッドを備えたインクジェット記録装置に対しても適用できる。図18は二組の記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の記録部の構成を示した概略図である。キャリッジ302は第一記録ヘッド301と第二記録ヘッド307を搭載しており、それぞれ6色(Bk,Cy,Mg,Ye,L−Cy,L−Mg)インクに対応する。図19は二組の記録ヘッドのインク配列の一例を示した図であり、ここではインク配列が対称になるよう構成している。
【0098】
また、本発明に係るインクジェット記録装置の形態は、コンピュータやワード・プロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであってもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体にインクを吐出して画像を形成するマルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの吐出部の吐出障害を検知する障害検知手段と、前記障害検知手段による障害検知結果に応じて、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する組み合わせ制御手段と、を備えることにより、記録ヘッドのノズル毎のインク不吐出を検出して、その検出結果に応じて各行を形成する複数吐出部の組み合わせを変更することにより、補完処理が原因となる濃度ムラを低減し、また補完不能による白抜けを回避し、インク吐出不良発生に対する非常に効率のよい画像形成が可能になり、高速かつ高品位な画像形成を実現する高性能なインクジェット記録装置が提供できるといった優れた効果を発揮する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施例におけるパス・データ生成ブロックの概略ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるマスク・テーブルの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例における記録走査毎のマスク処理の様子を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例における不吐出補完を実現するマスク・テーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施例における固定間引き方式における記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施例における固定間引き方式における不吐出補完を実現する記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施例におけるデータ間引き方式における記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施例におけるデータ間引き方式における不吐出補完を実現する記録走査毎の記録ドットの様子を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施例における不吐出ノズル状態に応じた同一ラインの組み合わせ変更制御の様子を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施例における紙搬送制御モードの一例を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施例における紙搬送制御モードの一例を示す図である。
【図16】インクジェット記録装置の全体制御回路の構成例を示す概略ブロック図である。
【図17】マルチパス記録を説明する図である。
【図18】本発明のその他の実施例におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図19】本発明のその他の実施例における二組記録ヘッドのインク配列の一例を示す図である。
Claims (10)
- 複数の吐出部を有する記録ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体にインクを吐出して画像を形成するマルチパス記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドの吐出部の吐出不良を検知する障害検知手段と、
前記障害検知手段による障害検知結果に応じて、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する組み合わせ制御手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記組み合わせ制御手段は、前記記録ヘッドの前記インク吐出部の画像形成に使用する数を変更する手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 同一領域を走査する回数が異なる複数の画像形成モードを備え、
前記組み合わせ制御手段は、前記画像形成モードを変更するモード変更手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記組み合わせ制御手段は、各記録走査間の記録媒体の搬送量を変更する搬送量制御手段を有し、行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複するか否か判定する第一判定手段を備え、
前記組み合わせ制御手段は前記第一判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ重複する場合に行を形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記第一判定手段は、複数の前記障害吐出部が形成すべき行の重複が同一行走査回数と等しいか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録装置。 - 前記障害検知手段によって障害検知された複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接するか否か判定する第二判定手段を備え、
前記組み合わせ制御手段は前記第二判定手段出力に応答して複数の障害吐出部が形成すべき行が所定数だけ隣接する場合にラインを形成する前記インク吐出部の組み合わせを変更するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記障害検知出力に応答して前記障害吐出部が形成すべき画素を他の吐出部に割り当てる補完制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/熱変換手段を有することを特徴とする、請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、インクを吐出するための電気/圧力変換手段を有することを特徴とする、請求項1記載のインクジェット記録装置。
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2002
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