JP2004149757A - 鋼材用水性被覆剤、被覆方法及び被覆鋼材 - Google Patents

鋼材用水性被覆剤、被覆方法及び被覆鋼材 Download PDF

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健吾 吉田
Akira Takahashi
高橋  彰
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Abstract

【課題】クロムを使用せずに塗装密着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れ、亜鉛系被覆鋼材又は無被覆鋼亜鉛及びアルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムを被覆するに好適な鋼材用水性被覆剤、これを用いた鋼材の被覆方法及び被覆された鋼材を提供する。
【解決手段】グアニジン化合物を0.01〜5質量%、シランカップリング剤を0.1〜5質量%、フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂を1〜30質量%及びリン酸化合物を1〜10質量%配合した鋼材用水性被覆剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材用水性被覆剤、鋼材の被覆方法及び被覆鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板等の鋼材は、従来から6価クロム酸塩等を用いたクロメートによる防錆処理が広く行われていたが、近年、環境問題の高まりを背景に、従来鋼材に施されていたクロメート処理を省略する動きがある。
【0003】
クロメート処理層は、それ自身で高度の耐食性及び塗装密着性を有するものであるから、このようなクロメート処理を行なわない場合には、これらの性能が著しく低下することが予想される。そのため、鋼材表面に第一の樹脂層としてクロメート処理に替わる防錆処理による防錆層を被覆して、この第一の樹脂層の防錆層の上に、更に、第二の樹脂層として耐食性及び密着性を有する樹脂を被覆して得られる複層皮膜を有する有機被覆鋼板が開発されている。このような有機被覆鋼板は、耐食性及び塗装密着性に優れた性質を有する。
【0004】
しかし、被覆鋼板の用途によっては、被覆鋼材に付着した汚れを除去するために、酸やアルカリ溶液で洗浄したり、有機溶剤で拭き取ったりする場合がある。このような場合には、酸やアルカリ溶液及び有機溶剤が、皮膜を通じて鋼材まで浸透し、第一の樹脂層の防錆層が溶解又は変色する等の問題がある。また、皮膜の外観が、問題とならない用途に使用する場合であっても、極めて耐食性が低下するという問題が生じる。このため、酸やアルカリ溶液及び有機溶剤に対して優れた耐性を有する第一の樹脂層を形成することができる鋼材用水性被覆剤の開発が要求されている。
【0005】
平11−276987公報において、鋼材表面に第一の樹脂層として、アミノ基及びエポキシ基を含有したシランカップリング剤とアミノ変性フェノール樹脂との混合物からなる皮膜を形成し、この第一の樹脂層の上に第二の樹脂層として、シリカを含有する有機樹脂を被覆した被覆鋼材が開示されている。このような被覆鋼材は、塗料等の硬化性樹脂との密着性は良好である。また、第一の樹脂層にカチオン樹脂を使用しているので、皮膜がアルカリ溶液に対して中和されて溶解することがなく、アルカリ脱脂後の耐食性は良好である。しかし、酸溶液に対しては、皮膜が中和されて溶解し、短時間で錆が発生する問題があった。更に、有機溶剤でラビングした後の耐食性が低下する問題があった。
【0006】
特開平11−158647号公報、特開平11−165126号公報において、鋼材表面に第一の樹脂層として、高分子の側鎖に硫黄原子を含有したキレート基を有する高分子キレートを主成分とする皮膜を形成し、この第一の樹脂層の上に第二の樹脂層として、シリカを含有する有機樹脂を被覆した被覆鋼材が開示されている。このような被覆鋼材は、塗料等の硬化性樹脂との密着性は良好である。また、第一の樹脂層にアニオン樹脂を使用しているので、皮膜が酸溶液に対して中和されて溶解することがなく、酸脱脂後の耐食性は良好である。また、高分子キレートが鋼材表面にキレート塩を形成して、表面近傍では電荷を失うため、皮膜がアルカリ溶液に溶解しにくくなり、アルカリ脱脂後の耐食性は向上する。しかし、このキレート塩皮膜は、単分子層であり、極めて薄い皮膜のため、経時によりアルカリ溶液に溶解し、耐食性が低下する問題があった。更に、有機溶剤でラビングした後の耐食性が低下する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、クロムを使用せずに塗装密着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れ、亜鉛系被覆鋼材又は無被覆鋼亜鉛及びアルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムを被覆するに好適な鋼材用水性被覆剤、これを用いた鋼材の被覆方法及び被覆された鋼材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、グアニジン化合物を0.01〜5質量%、シランカップリング剤を0.1〜5質量%、フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂を1〜30質量%及びリン酸化合物を1〜10質量%配合したことを特徴とする鋼材用水性被覆剤である。
【0009】
上記グアニジン化合物は、下記一般式(1);
【0010】
【化3】
Figure 2004149757
【0011】
[式中、Yは、−C(=NH)−NH−(CH−、−C(=O)−NH−(CH−、又は−C(=S)−NH−(CH−を表わす。mは、0〜20の整数を表わす。nは、正の整数を表わす。kは、0又は1を表わす。Xは、水素、アミノ基、水酸基、メチル基、フェニル基又はメチルフェニル基(トリル基)を表わす。Zは、水素、アミノ基、水酸基、メチル基、フェニル基、メチルフェニル基(トリル基)、又は、下記一般式(2);
【0012】
【化4】
Figure 2004149757
【0013】
(式中、pは、整数を表わす。)で表され、質量平均分子量が500〜1000000である重合体を表わす。]で表わされ、質量平均分子量が59〜1000000である化合物及び/又はその塩であることが好ましい。
【0014】
上記フェノール系樹脂は、多官能エポキシ化合物とフェノール樹脂との反応により得られる変性フェノール樹脂であることが好ましい。
上記変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂固形分に対して0.1〜30質量%の多官能エポキシ化合物を反応させて得られたものであることが好ましい。
上記エポキシ系樹脂は、リン酸化合物とエポキシ樹脂との反応により得られる変性エポキシ樹脂であることが好ましい。
上記変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂固形分に対して0.1〜50質量%のリン酸化合物を反応させて得られたものであることが好ましい。
【0015】
上記鋼材用水性被覆剤は、更に、1〜30質量%のアミノ・ホルムアルデヒド樹脂を配合したものであることが好ましい。上記鋼材用水性被覆剤は、二層の複層皮膜を有する被覆鋼材の金属に接する樹脂層を形成するために使用されるものであることが好ましい。
【0016】
本発明は、鋼板用水性被覆剤を塗布して金属に接する第一の樹脂層を形成し、上記第一の樹脂層上に第二の樹脂層を形成する鋼材の被覆方法であって、上記鋼板用水性被覆剤は、上述した鋼板用水性被覆剤からなり、鋼材表面に乾燥付着量として1〜500mg/mとなる割合で塗布されるものであり、上記第二の樹脂層は、皮膜の乾燥付着量として0.1〜5g/mとなる割合で形成されることを特徴とする鋼材の被覆方法でもある。
【0017】
本発明は、二層の複層皮膜で被覆された鋼材であって、上述した鋼材の被覆方法によって得られたものであることを特徴とする被覆鋼材でもある。
上記鋼材は、亜鉛系被覆又は無被覆鋼亜鉛及びアルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムからなるものであることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、グアニジン化合物、シランカップリング剤、フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂、及び、リン酸化合物からなるものである。上記グアニジン化合物は、従来から耐食性を付与するために使用されてきたクロム化合物と同様、金属表面に吸着し易く、金属表面を不働態化させることができ、特に亜鉛鋼板等の白錆防止に有効である。上記グアニジン化合物は水難溶性化合物であるが、リン酸化合物と併用して使用することにより、カチオン化して水可溶性のリン酸グアニジン化合物に変化する。上記リン酸グアニジン化合物が亜鉛鋼板に接触すると、リン酸イオンが亜鉛鋼板と反応してリン酸亜鉛を形成するとともに、グアニジン化合物が不溶性化合物に変化し、亜鉛やリン酸亜鉛表面に吸着又は析出し、亜鉛やリン酸亜鉛にグアニジン化合物が取り込まれた水難溶性の複合皮膜が形成される。また、上記フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂が乾燥工程で自己縮合あるいは架橋して高バリアー性のバインダーとして作用し、得られる皮膜は、酸やアルカリ及び有機溶剤に対して極めて浸透しにくい高耐食性の皮膜を形成することができる。また、上記シランカップリング剤によって、第一の樹脂層と鋼材との密着性を向上させることができる。
【0019】
上記グアニジン化合物は、グアニジン骨格を分子中に有する化合物である。上記グアニジン化合物としては特に限定されず、例えば、グアニジン、アミノグアニジン、グアニルチオ尿素、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニジン、ポリヘキサエチレンビグアニジン、ポリペンタメチレンビグアニジン、ポリペンタエチレンビグアニジン、ポリビニルビグアニジン、ポリアリルビグアニジン、又は、これらの塩等を挙げることができる。上記グアニジン化合物の塩としては特に限定されず、例えば、リン酸塩等を挙げることができる。上記グアニジン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記グアニジン化合物としては、上記一般式(1)で表わされるグアニジン化合物を使用することが好ましい。
【0020】
上記一般式(1)で表わされるグアニジン化合物は、質量平均分子量が下限59、上限100000の範囲内であることが好ましい。一般式(1)において分子量が最小になるグアニジンの分子量が59であることから、59未満とすることはできず、100000以上であると、水溶化しないおそれがある。上記上限は、10000であることがより好ましく、8000であることが更に好ましい。
【0021】
なお、上記一般式(1)中のZが、上記一般式(2)で表わされる重合体である場合は、上記一般式(1)で表わされるグアニジン化合物は、下記一般式(3);
【0022】
【化5】
Figure 2004149757
【0023】
で表わされるようなビグアニジド構造を有するものである。Zが上記重合体である場合、Zの質量平均分子量は、下限500、上限1000000の範囲内であることが好ましい。
【0024】
Zとして高分子量の重合体を使用する場合は、重合体とグアニジン骨格部分とのモル比を調節することによって、使用するグアニジン化合物全体として質量平均分子量を、下限500、上限10000の範囲内とすることが好ましい。
【0025】
上記グアニジン化合物は、上記鋼材用水性被覆剤に下限0.01質量%、上限5質量%の範囲内で含有されるものである。0.01質量%未満の場合には、アルカリ脱脂後の耐食性が不充分となる。一方、5質量%を超えると、アルカリ脱脂後の耐食性が飽和し不経済となるだけではなく、使用するフェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂の種類によっては、ゲル化して塗布不能となる。上記下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上記上限は、3質量%であることがより好ましい。
【0026】
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、信越化学工業、日本ユニカー、チッソ、東芝シリコーン等から販売されているビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。上記シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記シランカップリング剤は、上記鋼材用水性被覆剤に、下限0.1質量%、上限30質量%の範囲内で含有させることが必要である。上記配合量が0.1質量%未満では、形成された皮膜と鋼板との密着性が低下し、30質量%を超えると水性分散樹脂の浴安定性が低下する。上記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は、10質量%であることがより好ましい。
【0028】
上記フェノール系樹脂としては特に限定されず、フェノール樹脂及び/又はフェノール樹脂を他の化合物と反応させることによって変性した変性フェノール樹脂等を挙げることができる。上記フェノール樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、ビスフェノールA、パラキシリレンジメチルエーテル等の芳香族化合物とホルムアルデヒドとを反応触媒の存在下で付加反応させたメチロール化フェノール樹脂を挙げることができる。上記メチロール化樹脂のメチロール基は、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン類との反応によってアミノ化されていても良い。
【0029】
上記変性フェノール樹脂としては特に限定されず、例えば、多官能エポキシ化合物とフェノール樹脂との反応により得られる変性フェノール樹脂等を挙げることができる。上記変性フェノール樹脂の製造に使用する原料のフェノール樹脂としては、上述したフェノール樹脂を使用することができる。上記多官能エポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、長瀬ケムテックス、日産化学工業、広栄化学等から販売されているアジピン酸グリシジルエステル、フタル酸グリシジルエステル、テレフタル酸グリシジルエステル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ポリグルセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグルセロールポリグリシジルエーテル、グルセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル等を挙げることができる。反応量としては、上記多官能エポキシ化合物を、上記フェノール樹脂の固形分に対して、下限0.1質量%、上限30質量%の範囲内で反応させることが好ましい。上記多官能エポキシ化合物の使用量が0.1質量%未満では、形成された皮膜の耐溶剤性が低下する場合があり、上記多官能エポキシ樹脂の使用量が30質量%を超えると上記変性フェノール樹脂がゲル化して浴安定性が悪くなることがある。上記下限は、1質量%であることがより好ましく、上記上限は10質量%であることがより好ましい。
【0030】
上記フェノール系樹脂は、上記鋼材用水性被覆剤に、下限1質量%、上限30質量%の範囲内で含有させることが必要である。1質量%未満の場合には、アルカリ脱脂後の耐食性が不充分となり、一方30質量%を超えると形成された皮膜と塗膜との密着性が低下する。上記下限は、10質量%であることが好ましく、上記上限は20質量%であることが好ましい。
【0031】
本発明における上記エポキシ系樹脂としては特に限定されず、エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂を他の化合物と反応させることによって変性した変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、エピクロルヒドリン又はβ−メチルエピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールスルホンとから得られるエポキシ樹脂、ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。上記エポキシ化合物のグリシジル基をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン類と反応させアミノ化されていても良い。更に、上記エポキシ樹脂とハーフブロック型又は完全ブロック型のイソシアネート化合物との反応又は添加によって熱硬化性を付与することも可能である。
【0032】
上記変性エポキシ樹脂としては特に限定されず、リン酸化合物との反応により得られる変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記変性エポキシ樹脂の製造に使用する原料のエポキシ樹脂としては、上述したエポキシ樹脂を使用することができる。リン酸化合物の具体例としては、オルソリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸モノメチル、リン酸モノエチル、リン酸モノブチル、リン酸モノオクチル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸2水素1ナトリウム、リン酸2水素1カリウム、リン酸2水素1アンモニウム、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸1水素2カリウム、リン酸1水素2アンモニウム等を挙げることができる。反応量としては、上記リン酸化合物を、上記エポキシ樹脂の固形分に対して、下限0.1質量%、上限50質量%の範囲内で反応させることが好ましい。上記リン酸化合物の使用量が0.1質量%未満では、形成された皮膜の耐溶剤性が低下する場合があり、上記リン酸化合物の使用量が50質量%を超えると樹脂がゲル化したりして浴安定性が悪くなることがある。上記下限は1質量%であることがより好ましく、上記上限は30質量%であることがより好ましい。
【0033】
上記エポキシ系樹脂は、該水性被覆剤に、下限1質量%、上限30質量%の範囲内で含有させる必要がある。1重量%未満の場合には、アルカリ脱脂後の耐食性が不充分となり、一方30重量%を超えると形成された皮膜と塗膜との密着性が低下する。上記下限は、10質量%であることが好ましく、上記上限は、20質量%であることが好ましい。
【0034】
上記リン酸化合物は、グアニジン化合物を水溶化又は水分散化させる中和剤として作用させるとともに金属素地表面にリン酸塩層を形成して不働態化させる作用を有する。上記リン酸化合物としては特に限定されず、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
上記リン酸化合物は、上記鋼材用水性被覆剤に、下限0.01質量%、上限10質量%の範囲内で含有させることが必要である。リン酸化合物が0.01質量%未満の場合には、形成された皮膜と鋼板との密着性が低下したり、防錆効果が充分に発揮されず、一方、10質量%を超えると樹脂がゲル化したりして浴安定性が悪くなることがある。上記下限は、より好ましくは0.05質量%であり、上記上限は、より好ましくは5質量%である。
【0036】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、更に、アミノ・ホルムアルデヒド樹脂を含有することが好ましい。上記アミノ・ホルムアルデヒド樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン、尿素、ベンゾクアナミン、アセトグラナミン、ステログタナミン、スプログアナミン等のアミノ成分とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒド類との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂等を挙げることができる。上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基はアルキルエーテル化されていてもよい。上記アミノ・ホルムアルデヒド樹脂を含有することによって、第一の樹脂層と第二の樹脂層との密着性が向上するため、好ましい。
【0037】
上記アミノ・メラミン樹脂の含有量は、本発明の鋼材用水性被覆剤に対して、下限1質量%、上限30質量%の範囲内であることが好ましい。1質量%未満の場合には、形成された第一の樹脂層と第二の樹脂層との密着性が低下し、30質量%を超えると樹脂がゲル化したりして浴安定性が悪くなることがある。上記下限は、10質量%であることがより好ましく、上記上限は、20質量%であることがより好ましい。
【0038】
本発明の鋼材用水性被覆剤の溶媒は特に限定されず、例えば、水、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の有機溶剤等を挙げることができる。
【0039】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、二層の複層皮膜を有する被覆鋼材の金属に接する樹脂層を形成するために使用することができる。すなわち、クロムを使用せずに塗装密着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れた複層皮膜を形成する際に、上記二層の複層皮膜のうち金属に接する層を形成するために使用することができる鋼材用水性被覆剤である。本発明の鋼材用水性被覆剤は、防錆性に優れ、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性においても優れた性質を有する皮膜を形成することができるものである。
【0040】
上記二層の複層皮膜は、本発明の鋼材用水性被覆剤によって形成され、金属に接する樹脂層である第一の樹脂層、及び、上記第一の樹脂層上に形成された第二の樹脂層からなるものである。上記二層の複層皮膜からなることによって、防錆性に優れ、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性においても優れた性質を有する皮膜を形成することができるものである。
【0041】
本発明の鋼材用水性被覆剤を適用する鋼材としては特に限定されず、例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板;アルミニウム又はアルミニウム系合金めっき鋼板;鉛又は鉛系合金めっき鋼板;錫又は錫系合金めっき鋼板等を挙げることができる。これらの鋼材は、耐食性や密着性を向上させるためにクロメート処理を施してもよいが、本発明においては、クロメート処理を行うことなく良好な耐食性を有する皮膜を形成することができる。
【0042】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、上記のように塗装下地処理剤及び水性防錆塗料として使用できると共に、いわゆる一次防錆剤としても適用し得る。また、コイルコーティング分野における亜鉛系メッキ鋼板の潤滑膜の下地処理や塗装下地処理にも利用でき、ワックスを添加することにより潤滑鋼板用の潤滑防錆剤としても利用することができる。
【0043】
本発明の鋼材の被覆方法によって、鋼材を被覆するには、必要に応じて脱脂処理した被塗物に上記鋼材用水性被覆剤を適用する。上記鋼材用水性被覆剤を適用する方法としては特に限定されず、例えば、ロールコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等を挙げることができる。上記鋼材用水性被覆剤によって形成された皮膜の硬化性を高めるために、あらかじめ被塗物を加熱しておくか、コーティング後に被塗物を熱乾燥させることが好ましい。被塗物の加熱温度は、下限50℃、上限250℃の範囲内であることが好ましい。上記下限は、70℃であることが好ましく、上記上限は、200℃であることが好ましい。加熱温度が50℃未満では、水分の蒸発速度が遅く充分な成膜性が得られないため、耐溶剤性や耐アルカリ性が低下する。一方、250℃を超えると樹脂の熱分解が生じて耐溶剤性や耐アルカリ性が低下し、また黄変のため外観が悪くなる。コーティング後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は1秒〜5分が好ましい。
【0044】
上記被覆方法によって形成された被覆鋼材の第一の樹脂層のコーティング膜厚は、乾燥膜厚で、下限1mg/m、上限500mg/mの範囲内であることが好ましい。1mg/m未満であると耐アルカリ性が低下することがある。一方、乾燥膜厚が厚すぎると、塗装下地処理としては不経済であり塗装にも不都合である。上記下限は、5mg/mであることがより好ましく、20mg/mであることが更に好ましい。上記上限は、200mg/mであることがより好ましい。
【0045】
本発明の鋼材の被覆方法は、更に、上記第一の樹脂層の上に第二の樹脂層を形成するものである。上記第二の樹脂層は、有機樹脂を主体とする層であることが好ましい。上記有機樹脂としては特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を使用することができるが、熱硬化性樹脂が好ましい。上記熱硬化性樹脂としては、自己架橋型の熱硬化性樹脂又は樹脂に硬化剤を併用した樹脂組成物等を使用することができる。
【0046】
上記有機樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリブチラール樹脂等を挙げることができる。上記有機樹脂と併用して使用することができる硬化剤としては、特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等を挙げることができる。
【0047】
上記第二の樹脂層は必要に応じて、シリカ粒子を含有するものであってもよい。上記シリカ粒子としては、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスMA−ST−M、スノーテックスIPA−ST、スノーテックスMEK−ST、スノーテックスMIBK−ST(日産化学工業)やアデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業)やカタロイド20L、カタロイドSA(触媒化成工業)等を挙げることができる。上記シリカ粒子の配合量は上記有機樹脂の固形分に対して下限10質量%、上限100質量%の範囲内であることが好ましい。この配合量が10質量%未満では形成された皮膜の硬度や耐食性が低下し、100質量%を超えると造膜性や耐水性が低下する場合がある。上記下限は、15質量%であることがより好ましく、上記上限は50質量%の範囲であることがより好ましい。
【0048】
上記第二の樹脂層は、更に他の添加剤を含有するものであってもよい。上記他の添加剤としては特に限定されず、例えば、防錆添加剤、ワックス、顔料、界面活性剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
【0049】
上記防錆添加剤としては特に限定されず、例えば、チオカルボニル化合物、グアニジン化合物、リン酸化合物等を挙げることができる。
【0050】
上記顔料としては、例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を挙げることができる。上記顔料を含有する場合、顔料は、上記有機樹脂に対して、下限1質量%、上限70質量%の範囲内で含有することが好ましい。
【0051】
上記シランカップリング剤を含有させると、上記有機樹脂と上記顔料との親和性が向上し、同時に樹脂と亜鉛又は鉄のリン酸化物層との密着性等を向上させることができる点で好ましい。
【0052】
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0053】
上記第二の樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、上記有機樹脂及びその他の成分を適当な溶媒に溶解又は分散させて、上記第一層を形成した鋼材上に塗布、乾燥することによって形成させる方法等を挙げることができる。
【0054】
上記第二の樹脂層は、皮膜の乾燥付着量として、下限0.1g/m、上限5g/mの範囲内であるように形成することが好ましい。上記皮膜の乾燥付着量が、0.1g/m未満であると、性能不良という問題を生じるおそれがある。上記皮膜の乾燥付着量が5g/mを超えると、不経済という問題を生じるおそれがある。上記下限は、0.5g/mであることがより好ましく、1.0g/mであることが更に好ましい。上記上限は、4g/mであることがより好ましく、3g/mであることが更に好ましい。
【0055】
上述した鋼材の被覆方法によって形成された複層塗膜の第二の樹脂層上に、更に異なる樹脂層を設けることによって、三層以上の複層塗膜を形成させることもできる。
【0056】
本発明の被覆鋼材は、二層の複層皮膜で被覆された鋼材であって、上述した鋼材の被覆方法によって得られたものである。本発明の被覆鋼板は、上述したような塗装密着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れた性質を有する皮膜が形成されてなるものであるため、これらの点において優れた性質を有している。また、上記被覆鋼材上に、更に異なる樹脂層を設けることによって、三層以上の複層皮膜を形成させることもできる。
【0057】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0058】
樹脂製造例1
エポキシ当量240の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂240gに、75%リン酸10gを配合し、60℃で3時間反応させた。ついで、N−メチルエタノールアミン30g、酢酸エチル120gを加え、80℃で3時間反応し、固形分70%のエポキシ樹脂を得た。上記エポキシ樹脂60gと固形分70%、NCO20%のハーフブロック化ポリイソシアネート40gとを80℃で4時間反応させ、酢酸3.6部を加え、さらにイオン交換水にて固形分35%の変性エポキシ樹脂を得た。
【0059】
樹脂製造例2
攪拌機、温度調節器、滴下漏斗及び冷却器を備えたコルベンに、フェノール500g、バラキシリレンジメチルエーテル50g、43%ホルムアルデヒド水溶液275g及び苛性ソーダ1gを加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついで、N−メチルエタノールアミン475g、43%ホルムアルデヒド水溶液440gを加え50℃で2時間反応後、80℃に昇温し、2時間反応させた。冷却して固形分35%のフェノール樹脂を得た。このフェノール樹脂200gに多官能エポキシ化合物(デナコールEX−313、長瀬化学工業製)7.1gを加え攪拌しながら90℃に昇温し、その温度で2時間反応後、冷却して固形分38%の変性フェノール樹脂を得た。
【0060】
実施例1
鋼材用水性被覆剤の調製
上記樹脂製造例1によって得られた変性エポキシ樹脂を固形分として6.0g採取し、1−o−トリルビグアニド0.5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.5g、オルトリン酸を固形分として3.0gを配合し、イオン交換水を加えて、固形分10%である実施例1の鋼材用水性被覆剤を調製した。
【0061】
第二の樹脂層形成用の処理液の調製
水性アクリル樹脂(カネビノールKD5 日本エヌエスシー社製)を固形分とし得25g採取し、イオン交換水を加えて固形分25%の第二の樹脂層形成用の処理液を調製した。
【0062】
試験板の作成
70mm×150mm×0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板(日本テストパネル製)を55℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー53、日本ペイント製)2%水溶液を用いて、60℃で2分間スプレー処理して脱脂した。次に板厚1.0mmの電気亜鉛めっき鋼板に上記鋼材用水性被覆剤をバーコーターで、乾燥膜厚50mg/mになるように塗布し、20秒で鋼板到達温度が150℃になるように焼き付けた。更に、この処理鋼板の上に第二の樹脂層形成用の処理液をバーコーターで、乾燥膜厚1g/mになるように塗布し、20秒で鋼板到達温度が150℃になるように焼き付けて試験板を作成した。
【0063】
実施例2
上記樹脂製造例2によって得られた変性フェノール樹脂を固形分として6.0g、ポリへキサメチレンビグアニジド0.5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.5g、オルトリン酸を固形分として3.0gを配合し、イオン交換水を加えて、固形分10%の鋼材用水性被覆剤を調製した。更に、第二の樹脂層形成用の処理液として、シリカ粒子(スノーテックスN、日産化学工業製)を有機樹脂/シリカ粒子=7/3の割合で配合した溶液を第二の樹脂層形成用の処理液を調製した。上記鋼材用水性被覆剤及び第二の樹脂層形成用の処理液を使用した以外は上記実施例1と同様の方法で試験板を作成した。なお、第二の樹脂層形成用の処理液は、乾燥膜厚0.7g/mになるように塗布した。
【0064】
実施例3〜40、比較例1〜10
グアニジン化合物、シランカップリング剤、エポキシ及びフェノール樹脂、アミノ・ホルムアルデヒド樹脂、リン酸化合物、有機樹脂の種類と濃度を表1〜5に記載したように変えた以外は、実施例1と同様にして鋼材用水性被覆剤を調製し、試験板を作成した。なお、表1〜5中の第2の樹脂層を形成するために使用した有機樹脂及び硬化剤は、表6に示した。
【0065】
試験板の物性評価
上記実施例及び比較例によって製造した試験板について、以下に示した評価方法によって耐酸性、耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、皮膜密着性、塗装密着性を評価した。この結果を表1〜5に示す。
【0066】
<耐酸性>
試験板の上に1%酢酸水溶液をスポイトで0.5ml滴下し、55℃、90%湿度雰囲気下で48時間放置後、皮膜の外観を下記の評価基準で評価した。
皮膜の外観を下記の評価基準で評価した。
◎:変化なし
○:異変面積が10%未満
△:同10%以上30%未満
×:同30%以上
【0067】
<耐食性>
試験板の平面部及びエリクセンテスターで7mm押し出した加工部の端面部及び裏面部をテープでシールし、5%の食塩水を35℃で噴霧し、240時間後の白錆発生面積率を下記の評価基準で評価した。
◎:白錆発生なし
○:自錆発生面積が10%未満
△:同10%以上30%未満
×:同30%以上
【0068】
<耐アルカリ性>
試験板を55℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー53、日本ペイント製)2%水溶液に攪拌しながら2分間浸漬した後、テープでシールし、5%の食塩水を35℃で噴霧し、120時間後の白錆発生面積率を下記の評価基準で評価した。◎:白錆発生なし
○:白鋳発生面積が10%未満
△:同10%以上30%未満
×:同30%以上
【0069】
<耐溶剤性>
試験板をラビングテスターに設置後、エタノールを含浸させた脱脂錦を0.5Kgf/cmの荷重で10回(往復)及びケロシン含浸させた脱脂綿を0.5Kgf/mの荷重で50回(往復)擦った後、テープでシールし、5%の食塩水を35℃で噴霧し、48時間後の白錆発生面積率を下記の評価基準で評価した。◎:白錆発生なし
○:白錆発生面積が10%未満
△:同10%以上30%未満
×:同30%以上
【0070】
<皮膜密着性>
試験板にフィラメンテープ(スリオン社製)を貼り、40℃、湿度80%の条件下で3日間放置後、テープを強制剥離して、塗膜状態を下記の評価基準で評価した。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離
△:部分剥離
×:完全剥離
【0071】
<塗装密着性>
試験板表面にメラミンアルキッド塗料(スーパーラック100、日本ペイント製)をバーコーターで乾操膜厚20μmとなるように塗布し、120℃で25分間焼き付けて塗膜板を作製した。次に塗膜板を沸騰水中に30分間浸漬し、24時間放置後、エリクセンテスターにて塗膜板を7mm押し出し、その押し出し部にセロテープ(ニチバン製)を貼り、強制剥離した後の塗膜状態を下記の評価基 準で評価した。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離
△:部分剥離
×:完全剥離
【0072】
【表1】
Figure 2004149757
【0073】
【表2】
Figure 2004149757
【0074】
【表3】
Figure 2004149757
【0075】
【表4】
Figure 2004149757
【0076】
【表5】
Figure 2004149757
【0077】
【表6】
Figure 2004149757
【0078】
実施例の結果から明らかなように,本発明の鋼材用水性被覆剤で皮膜を形成した被覆鋼材は、一次耐食性、アルカリ脱脂後の耐食性、溶剤ラビング後の耐食性、皮膜密着性、塗装密着性に優れていた。
【0079】
【発明の効果】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、グアニジン化合物を固形分濃度で0.1〜5質量%、シランカップリング剤を固形分濃度で0.1〜5質量%、フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂を固形分濃度で1〜30質量%、リン酸化合物を1〜10質量%配合したものであることから、二層の複層皮膜を有する鋼材上に形成された複層皮膜のうち、金属に直接接する第一の樹脂層の形成に使用した場合、鋼板表面にリン酸塩とグアニジン化合物の緻密な複合皮膜を形成することができる。従って、上記第一の樹脂層及び第二の樹脂層からなる複層皮膜を有する鋼材は、塗装密着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れる。

Claims (11)

  1. グアニジン化合物を0.01〜5質量%、シランカップリング剤を0.1〜5質量%、フェノール系樹脂又はエポキシ系樹脂を1〜30質量%及びリン酸化合物を1〜10質量%配合したことを特徴とする鋼材用水性被覆剤。
  2. グアニジン化合物は、下記一般式(1);
    Figure 2004149757
    [式中、Yは、−C(=NH)−NH−(CH−、−C(=O)−NH−(CH−、又は−C(=S)−NH−(CH−を表わす。mは、0〜20の整数を表わす。nは、正の整数を表わす。kは、0又は1を表わす。Xは、水素、アミノ基、水酸基、メチル基、フェニル基又はメチルフェニル基(トリル基)を表わす。Zは、水素、アミノ基、水酸基、メチル基、フェニル基、メチルフェニル基(トリル基)、又は、下記一般式(2);
    Figure 2004149757
    (式中、pは、整数を表わす。)で表され、質量平均分子量が500〜1000000である重合体を表わす。]
    で表わされ、質量平均分子量が59〜1000000である化合物及び/又はその塩である請求項1記載の鋼板用水性被覆剤。
  3. フェノール系樹脂は、多官能エポキシ化合物とフェノール樹脂との反応により得られる変性フェノール樹脂である請求項1又は2記載の鋼材用水性被覆剤。
  4. 変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂固形分に対して0.1〜30質量%の多官能エポキシ化合物を反応させて得られたものである請求項3記載の鋼材用水性被覆剤。
  5. エポキシ系樹脂は、リン酸化合物とエポキシ樹脂との反応により得られる変性エポキシ樹脂である請求項1又は2記載の鋼材用水性被覆剤。
  6. 変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂固形分に対して0.1〜50質量%のリン酸化合物を反応させて得られたものである請求項5記載の鋼材用水性被覆剤。
  7. 更に、1〜30質量%のアミノ・ホルムアルデヒド樹脂を配合した請求項1、2、3、4、5又は6記載の鋼材用水性被覆剤。
  8. 二層の複層皮膜を有する被覆鋼材の金属に接する樹脂層を形成するために使用されるものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の鋼材用水性被覆剤。
  9. 鋼板用水性被覆剤を塗布して金属に接する第一の樹脂層を形成し、前記第一の樹脂層上に第二の樹脂層を形成する鋼材の被覆方法であって、
    前記鋼板用水性被覆剤は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の鋼板用水性被覆剤からなり、鋼材表面に乾燥付着量として1〜500mg/mとなる割合で塗布されるものであり、
    前記第二の樹脂層は、皮膜の乾燥付着量として0.1〜5g/mとなる割合で形成されることを特徴とする鋼材の被覆方法。
  10. 二層の複層皮膜で被覆された鋼材であって、請求項9記載の鋼材の被覆方法によって得られるものであることを特徴とする被覆鋼材。
  11. 鋼材は、亜鉛系被覆鋼、無被覆鋼亜鉛、アルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムからなるものである請求項10記載の被覆鋼材。
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