JP2004149418A - 精製ラクチドの製造方法 - Google Patents

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Masaaki Taniguchi
正明 谷口
Tsuyoshi Aoki
強志 青木
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Abstract

【課題】高収率で精製ラクチドを製造する方法を提供する。
【解決手段】粗ラクチド固化物を水と接触させて水相と固相とに分離し、該固相を回収することを特徴とする精製ラクチドの製造方法であり、粗ラクチドを粉砕する工程、当該固化物に水を混合してスラリーを形成する工程および該スラリーを固液分離する工程とからなる。粗ラクチドを低温で水と接触させることができるためD−ラクチドやL−ラクチドの回収率に優れ、かつ粉砕によって表面積が拡大しているためメソ−ラクチドおよび遊離酸の水相への除去率が高く、高収率で精製ラクチドを製造することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸、乳酸オリゴマー、メソ−ラクチド、水等の不純物を含むラクチド固化物を粉砕した後に水洗、または、粉砕しながら水洗した後に固液分離を行い、不純物を水に溶解除去して精製ラクチドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
ラクチドは乳酸の二分子環状エステルであり、L−乳酸二分子からなるL−ラクチド分子、D−乳酸二分子からなるD−ラクチド分子、L−乳酸とD−乳酸からなるメソ−ラクチド分子が存在し、これらはポリ乳酸の原料として注目されている。
【0003】
このようなラクチドは、乳酸オリゴマーを触媒存在下で解重合させラクチドとして蒸発留出させる方法で製造される(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照。)。例えば、乳酸を減圧下に加熱、脱水縮合して乳酸オリゴマーを形成し、該オリゴマーにラクチド合成用触媒としてSnOなどを添加し解重合および環化させるとラクチドが製造でき、得られたラクチドは蒸気で回収し、凝固を防ぐために60〜90℃以上の液体状で回収されている。得られたラクチド蒸気は、不純物として乳酸モノマー、乳酸ダイマー、および水などを含んでいる。
【0004】
一方、ラクチドの原料としてL−乳酸を用いた場合には、乳酸のラセミ化のためL−ラクチド以外にもメソ−ラクチドと若干のD−ラクチドとが生成する。このため、製造されたラクチドには不純物としてメソ−ラクチドが含まれる。また、ラクチドは、近年、生分解性プラスチックとして注目されているポリ乳酸の中間体であるが、ポリ乳酸の性質は、分子量以外にポリ乳酸を構成する乳酸モノマーの光学純度、すなわち、ポリ乳酸の光学純度によっても変化する。例えば、純粋なL−またはD−ポリ乳酸は、光学純度の低いポリ乳酸よりも強度や成型性の面で優れ、完全なラセミ型乳酸、すなわち、D−乳酸とL−乳酸との混合物からなるDL−ポリ乳酸は、光学活性ポリ乳酸に比べて柔軟性などの点で優れ、特殊用途に利用することができる。このような現状から、ラクチドの精製方法の開発への要請は極めて高い。
【0005】
このような要請に応えて、例えば、乳酸を含む不純なラクチド溶液を乳酸に対して非反応性の有機溶媒および二相を形成し得る混合物を形成させるのに十分な量の水と接触させ、混合物を鎮静させてラクチドを含有し実質的に乳酸を含有しない第1の相と、乳酸の水溶液を含有し実質的にラクチドを含有しない第2の相との二相を形成させ、第1の相を第2の相から分離し、第2の相から乳酸を回収して再循環させる、不純なラクチド溶液から乳酸を回収して再循環する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。不純なラクチドを有機溶媒で処理して全てのラクチドと全ての酸性不純物とを含有する溶液を形成させ、次いで酸性不純物を水で抽出するものである。
【0006】
また、ラクチドをベンゼンまたはアルキル基置換ベンゼンと水溶性のエーテル類、酢酸エチル、アセトンから選ばれた有機溶媒との混合溶媒にて再結晶することを特徴とする、ラクチドの精製方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。該発明は、ラクチドを重合して得たポリ乳酸の分子量が1000〜5000程度である原因は、含まれる残留イソプロピルアルコールによるものとし、これを除去するために上記有機溶媒を使用し再結晶するものである。
【0007】
また、L−ラクチドおよび/またはD−ラクチド、並びにメソ−ラクチドを含む混合物と水とを接触させることによりメソ−ラクチドを除去することを特徴とするラクチドの精製方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。該方法は、メソ−ラクチドがL−ラクチドあるいはD−ラクチドよりも水に対する溶解速度が速く、加水分解速度も速いこと、溶融ラクチドに水を添加することでメソ−ラクチドの加水分解速度を速め、かつこれを冷却してD−ラクチドやL−ラクチドを析出させ、より回収率を向上させ、粗ラクチドと水を一定時間接触させることにより、メソ−ラクチドを優先的に水相に移動させて溶解させ、その一部を加水分解できるため粗ラクチドよりメソ−ラクチドを効率よく除去するものである。
【0008】
【特許文献1】
特許公報第3065384号
【特許文献2】
特表平7−503490号公報
【特許文献3】
特許公報第3236289号
【特許文献4】
特許公報第2744696号
【特許文献5】
特許公報第2959375号
【特許文献6】
特開平7−165753号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許公報第2744696号記載の方法では、遊離酸を効率よく除去する有効な方法であるが、乳酸に対して非反応性の有機溶媒を使用する必要がある。また、加水分解の影響を少なくするために少なくとも常温以下で溶解させなければならず、この範囲では溶解度が低いため多量の溶媒を必要とする。そして、この溶液を濃縮し晶析するためには多量の蒸発エネルギーを必要とし、不利である。加えて、水と非反応性の有機溶媒に粗ラクチドを溶解し、これを水と接触させることで酸成分を抽出する方法では、L−ラクチドまたはD−ラクチドとメソ−ラクチドとの分離が十分ではない。
【0010】
また、特許公報第2959375号記載の方法でも、ベンゼンやアルキル置換ベンゼン、水溶性のエーテル類などの有機溶媒との混合溶媒を使用する必要があり、併用によって溶媒回収および再使用が困難となる。
【0011】
また、特開平7−165753号公報に記載される方法では、粗ラクチド蒸気を70〜110℃の温度で液体状で回収し、この溶融粗ラクチドにほぼ等量の水を混合してスラリーを形成させるとともに水洗し、該スラリーをろ過した後にラクチドを回収している。該方法は、メソ体を多く含むDL−ラクチド反応物の精製においては有効な方法であるが、高温で水に接触させるため、D−ラクチドやL−ラクチドのロスが大きく収率に劣る場合がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、粗ラクチドの精製方法について詳細に検討した結果、酸成分を含む実質的に固体状態のラクチドを水と接触させ、水相と固相とを分離することでラクチドが精製できることを見出し本発明を完成させた。特に、L−ラクチドの製造時、D−ラクチドの製造時、またはD−ラクチドとL−ラクチドとの混合物(以下、「DL−ラクチド」とも称す。)の製造時に、乳酸および乳酸オリゴマー等の遊離酸成分およびメソ−ラクチド、水等の不純物を含む粗ラクチド反応物を冷却固化した粗ラクチド固化物を、単独または水と混合した後に粉砕して表面積を大きくし、水と接触混合することで遊離酸成分やメソ−ラクチドを水に移行させ、その後に固液分離して実質的に遊離酸成分やメソ−ラクチドを除去して精製ラクチドを得る方法である。当該固化物を水と接触させると含まれるメソ−ラクチドや遊離酸の一部が水に溶解して除去され、または加水分解して遊離酸成分となり水に移行するため、ラクチド中のメソ体や遊離酸の残存量を減少させることができる。しかも、D−ラクチドやL−ラクチドの水への移行量が少ないため高収率でラクチドを製造することができる。また、このように精製されたラクチドを原料として製造されたポリ乳酸は、その特性に優れる。すなわち、上記課題は、以下の(1)〜(9)によって解決される。
【0013】
(1) 粗ラクチド固化物を水と接触させて水相と固相とに分離し、該固相を回収することを特徴とする精製ラクチドの製造方法。
【0014】
(2) (a)粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーを形成する工程、(b)該スラリーを固液分離する工程とからなる、精製ラクチドの製造方法。
【0015】
(3) 該スラリーに含まれる粗ラクチドの平均粒度が30メッシュ以下であり、該スラリーを構成する水の量が該粗ラクチド固化物の0.5〜10質量倍であり、該スラリーの温度が−5〜50℃である、上記(2)記載の精製ラクチドの製造方法。
【0016】
(4) 該スラリーを固液分離して回収した水の少なくとも一部を(a)工程のスラリー形成用の水として使用することを特徴とする、上記(2)または(3)記載の精製ラクチドの製造方法。
【0017】
(5) 該粗ラクチド固化物が、乳酸から乳酸オリゴマーを形成し、該オリゴマーを解重合および環化反応を行ってラクチドを形成し、該ラクチドを蒸気として回収した後に急冷固化させたものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の精製ラクチドの製造方法。
【0018】
(6) 該(b)工程で固液分離して回収した水を加熱した後に乳酸を回収し、該乳酸を用いてラクチドを形成させることを特徴とする、上記(5)記載の精製ラクチドの製造方法。
【0019】
(7) 上記(1)〜(6)のいずれかの方法で得た精製ラクチドをラクチドと反応しない溶媒によって晶析し、または減圧下で蒸留してさらにラクチドを精製することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法。
【0020】
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかの方法で製造した精製ラクチドを用いてポリ乳酸を製造する方法。
【0021】
(9) 該(b)工程で回収した水を加熱し、乳酸に加水分解することを特徴とする、乳酸の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、粗ラクチド固化物を水と接触させて水相と固相とに分離し、該固相を回収することを特徴とする精製ラクチドの製造方法、および(a)粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーを形成する工程、(b)該スラリーを固液分離する工程とからなる、精製ラクチドの製造方法である。従来は、粗ラクチドに乳酸に対して非反応性の有機溶媒を添加し、または有機溶媒と水とを添加してラクチドに含まれる不純物を除去していたが、有機溶媒を使用すれば使用後の処理が必要となり、また、D−ラクチドやL−ラクチドが有機溶媒に溶解するため、これらの回収率も低下する。本発明では、単に水を添加するだけでメソ−ラクチドや遊離酸を効率よく除去することができ、かつL−ラクチドおよび/またはD−ラクチドの加水分解を抑制できるためこれらの回収率に優れ、工業上きわめて有用な精製ラクチドの製造方法である。本発明の精製ラクチドの製造方法を、図1に示すフローシートに従って説明する。
【0023】
本発明では、粗ラクチド固化物を水と接触させるが、例えば粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーを形成すれば、粗ラクチド固化物と水とを接触させることができる。この際、予め粗ラクチド固化物を粉砕してその表面積を拡大させることが好ましい。粉砕物に水を添加すると粗ラクチドに含まれるメソ−ラクチドや遊離酸の水への溶解性が向上するからである。粗ラクチド固化物において遊離酸はラクチドに内包されて存在するため、粉砕によって物理的に表面積を拡大すると遊離酸の水への溶解率が向上する。次いで粉砕した粗ラクチド固化物に水を添加して撹拌するとスラリー状となる。なお、本発明では、粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーが形成できれば粗ラクチド固化物の粉砕処理の有無を問わない。従って、図1には、粗ラクチド固化物に水を添加し、粗ラクチド固化物スラリーを形成するフローを示した。
【0024】
次いで、該スラリーを撹拌し、ろ過、静置などによって固液分離する。水相には水溶性成分である乳酸モノマー、乳酸ダイマー、メソ−ラクチド、酸成分などが移行し、固相はD−ラクチド、L−ラクチドによって構成される。本発明の特徴は、メソ−ラクチドや遊離酸がL−ラクチドあるいはD−ラクチドよりも水に対する溶解速度が速く、加水分解速度も速いこと、およびL−ラクチドとD−ラクチドとの冷水に対する溶解度が充分に低いことに着目して、粗ラクチドと水とを一定時間接触させることで、メソ−ラクチドおよび遊離酸を優先的に水相に移動させて除去する点にある。しかし、更に粗ラクチド固化物を使用することで低温で粗ラクチドと水とを接触させることができ、L−ラクチドやD−ラクチドの分解を抑制して、高収率でL−ラクチドとD−ラクチドとを得ることができる。
【0025】
固相のL−ラクチドとD−ラクチドとは更に晶析などによって精製してもよく、晶析に使用した溶媒は再度晶析用の溶媒として使用することができる。一方、水相に含まれる乳酸ダイマー、メソ−ラクチドは加熱によって乳酸に加水分解されるため、加熱後にラクチド製造原料として使用することができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明では、いかなる方法で製造されたラクチドでも「粗ラクチド」として使用することができる。このようなラクチドの製造方法としては、例えば特表平7−503490号公報、特開平7−506242号公報、特許公報第3236289号などに記載されるいずれの方法であってもよく、その他の方法であってもよい。好ましくは、該粗ラクチドが、乳酸から乳酸オリゴマーを形成し、該オリゴマーを解重合および環化反応を行ってラクチドを形成し、該ラクチドを蒸気として回収した後に急冷固化させたものである。粗ラクチドには、D−ラクチド、L−ラクチド、メソ−ラクチド、乳酸モノマー、乳酸ダイマー、酸成分その他の成分が含まれる。溶融ラクチドを使用すると高温で水と接触させるためD−ラクチドおよび/またはL−ラクチドが分解し、これらの回収率が低下する。これに対し、粗ラクチド固化物を使用すると、低温で水と接触させて水洗処理できるためD−ラクチドおよび/またはL−ラクチドの分解ロスを抑制することができ、特に粗ラクチド固化物スラリーに含まれる粗ラクチドは微細化され表面積が大きくなり、このためラクチドに内包された遊離酸の水洗除去も容易となり、これら2つの効果によって効率的にD−ラクチドおよび/またはL−ラクチドの精製を行うことができるのである。
【0027】
本発明では、粗ラクチド固化物は、水を混合してスラリーを形成することができれば、ブロック状、粒状、粉末状などその形態を問わない。しかしながら、粗ラクチド固化物を予め粉砕したものは、スラリー形成が容易であり好ましい。
【0028】
粗ラクチドを粉砕する方法としては、圧縮、衝撃、摩擦、せん断などのいずれを利用したものであってもよい。扱う材料の大きさにより、数十センチのものを数センチに砕く粗砕機(ジョークラッシャ,ハンマミルなど)、数十ミリのものを10〜数ミリに砕く中間破砕機(ロールクラッシャ,エッジランナなど)、10〜1ミリ程度のものを数十ミクロンに砕く粉砕機(ボールミル,チューブミルなど)、数百ミクロンのものを数ミクロンに砕く微粉砕機(ジェットミル,コロイドミルなど)などがある。粉砕前の粗ラクチドの大きさにより、これらの2種以上を併用してもよい。
【0029】
スラリー中の粗ラクチドの平均粒度は、30メッシュ以下であることが好ましく、より好ましくは100メッシュ以下、特に好ましくは200メッシュ以下である。30メッシュを超えると表面積拡大の効果が少なく、メソ−ラクチドや遊離酸の除去効率が低下する場合がある。次いで、粗ラクチド固化物に水を添加し混合してスラリーを形成する。
【0030】
なお、本発明では、粗ラクチド固化物を水と混合接触させスラリーを形成し、粗ラクチドに含まれるメソ−ラクチドや遊離酸などの水移行性物質を除去することを目的とする。このため、スラリー形成は、粗ラクチド固化物の粉砕物に水を混合して行ってもよく、粗ラクチド固化物に水を混合し、この混合物を撹拌等して粗ラクチドの粉砕とスラリー形成とを同時に行ってもよい。
【0031】
使用する水の種類には特に制限はないが、水道水、工業用水、イオン交換水、脱イオン水などを好ましく使用することできる。なお、粗ラクチド固化物に水を混合して調製したスラリーの温度は−5〜50℃であることが好ましく、より好ましくは0〜30℃、更に好ましくは5〜25℃である。−5℃を下回るとメソ−ラクチドの除去効率が低下し、一方、50℃を超えるとD−ラクチドやL−ラクチドの回収率が低下する場合がある。
【0032】
粗ラクチド固化物に接触させる水の量や、該スラリー形成に使用する水の量は含まれるD−ラクチド、L−ラクチド、メソ−ラクチドの組成比や、乳酸モノマー、乳酸ダイマー、その他の不純物の含有量によって適宜選択することができる。最終的に粗ラクチドの質量に対して0.5〜10質量倍となることが好ましく、より好ましくは0.7〜4質量倍、さらに好ましくは0.8〜2質量倍とする。0.5質量倍を下回ると、メソ−ラクチドや遊離酸の除去効率が低下し、その一方、10質量倍を超えるとD−ラクチドやL−ラクチドの回収率が低下する場合がある。
【0033】
粗ラクチド固化物は水と接触させると含まれる水移行性成分を水相中に除去できるが、この際の水と粗ラクチド固化物との接触時間は、5時間以下、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。5時間を越えると、使用する水の量や水温にもよるが、D−ラクチドやL−ラクチドも水相中に移行し、これらの回収率が低下するため好ましくない。
【0034】
なお、本発明において、粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーを形成する方法としては、例えば、ホモジナイザーを使用し、水と粗ラクチド固化物とを仕込み粉砕および撹拌してスラリーを調製する方法がある。この場合、上記水との接触時間は、水を添加して撹拌を開始後の時間で近似させることができる。粗ラクチドはホモジナイザー中で容易に粉砕されるからである。
【0035】
次に、該スラリーを固液分離する。その方法は、遠心分離、ろ過、遠心ろ過などのいずれの方法を使用してもよい。
【0036】
得られた固相は、実質的に酸成分およびメソ−ラクチドが除去されたL−ラクチドおよび/またはD−ラクチドであり、水相には、メソ−ラクチドのほか、乳酸モノマー、乳酸オリゴマー等の遊離酸成分が含まれている。
【0037】
本発明では、さらに得られた固相を水で洗浄することもできる。例えば、固相の結晶ケークを粗ラクチドの0.5〜10質量倍の水を噴霧し、再度固液分離し、ラクチドの結晶を得る。なお、得られた結晶ケークは温度5〜70℃、減圧200hPa以下で乾燥させると遊離酸の発生も少なく、好ましい。
【0038】
本発明では、更に精製したラクチドの結晶ケークをラクチドと反応しない溶媒によって晶析し、または減圧下で蒸留してさらに精製してもよい。このような晶析用の溶媒としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、キシレンなどがある。晶析に使用した溶媒は、再度晶析用に使用することができる。また、減圧下に蒸留するには、例えば0.1〜40hPaの範囲で、温度100〜180℃で処理する。この範囲であれば、新たなメソ−ラクチドの生成が少なく遊離酸の発生も抑制でき水の発生を抑制でき、乳酸オリゴマー形成などの副反応も少なく、好ましい。
【0039】
本発明の精製ラクチドの製造方法は、回分式で行うこともでき連続式で行うこともできる。この際、上記スラリーを固液分離して回収した水の少なくとも一部を粗ラクチド固化物に混合してスラリーを形成する水として使用すると、ラクチド回収率を有意に向上させることができる。
【0040】
一方、固液分離後の水相には、乳酸モノマー、乳酸ダイマーやメソ−ラクチドが含まれている。これらは該水相を加熱すると容易に加水分解され、乳酸となる。このため、該水相を加熱した後に得られた乳酸水溶液を、例えばラクチド製造工程で使用することができる。すなわち、本発明の第二は、固液分離工程で回収した水を加熱し、乳酸に加水分解することを特徴とする、乳酸の製造方法である。水相を加熱して得た乳酸は、ラクチド合成系で使用する場合に限られず、乳酸として他の工業目的に使用することができる。なお、該水相の加熱は、常圧で90〜加熱還流温度以下で十分である。
【0041】
本発明の第三は、第一の方法で製造したラクチドを用いてポリ乳酸を製造する方法である。本発明の精製ラクチドの製造方法によれば、D−ラクチドおよび/またはL−ラクチドを高収率で製造することができ、しかも純度が高い。L−ラクチドはL−乳酸から製造され、D−ラクチドはD−乳酸から製造され、DL−ラクチドは、D−乳酸とL−乳酸との混合物から製造されるため、粗ラクチドとしてD−ラクチドやL−ラクチドとの含有率の高いものを使用すると、精製D−ラクチド、精製L−ラクチド、または精製DL−ラクチドを製造することができる。一方、ラクチドを原料としてポリ乳酸を製造する場合に、D−ラクチドを原料とする場合、L−ラクチド、またはDL−ラクチドを使用する場合とでは、得られるポリ乳酸の特性が異なる。本発明では、D−ラクチド、L−ラクチドの純度が高くしかも収率が高いため、これを用いてポリ乳酸を製造すると、使用原料に基づく特性の異なるポリ乳酸を製造することができる。
【0042】
ラクチドからポリ乳酸を製造する方法自体は、従来公知の方法を採用することができ、例えば特許公報第2621813号、特許公報第2862701号、特許公報第3127770号などに記載されている。本発明によるポリ乳酸は、原料の精製度が高いために原料に基づくポリ乳酸の特性を奏し、その生分解性によって、手術用縫合糸、徐放性カプセル、骨折時補強材などの医療用具に好適に使用でき、また生分解性ポリマーとしての各種用途に適する。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。なお、各実施例における測定は,以下の方法によった。また、各実施例および比較例の結果を表22および表23に示す。
【0044】
(1)遊離酸量(%)
粗ラクチド、水洗結晶、晶析結晶中の遊離の酸がすべて乳酸と仮定して、中和滴定によるアルカリ消費量から重量換算した。
【0045】
(2)ラクチド回収率(%)
水洗或いは晶析前の反応物及び結晶中のラクチド量に対し、取得した結晶中に回収されたラクチド量の割合。
【0046】
【数1】
Figure 2004149418
【0047】
(3)メソ体除去率(%)
水洗或いは晶析前の反応物及び結晶中のメソ−ラクチドが、溶解または加水分解により洗液中に移行して除去された割合で、次式より求める。
【0048】
【数2】
Figure 2004149418
【0049】
(実施例1:水洗2分)
90質量%のL−乳酸水溶液900g(9モル、光学純度99.0%)を撹拌機付きのフラスコに仕込み、触媒として酸化第一スズ(以下「SnO」と記載)3.6gを添加し、加熱脱水を開始し徐々に減圧し、2時間かけて最終的に160℃、20hPaとした。さらに、この状態で1時間脱水を続けプレポリマーを合成した。
【0050】
次に、上記プレポリマーを別のフラスコに移し、減圧を20hPaとし徐々に昇温し、最終的に220℃に保って、溜出した粗ラクチドを受器に捕集した。受器を氷冷して粗ラクチドを固化させた。反応蒸留は2時間で終了した。粗ラクチドの収量は602gであり、その組成は下記表1の通りであった。なお、表中の「D+L−ラクチド」とは、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物であり、組成比率はD−ラクチドとL−ラクチドとの各々の組成比率の合計である。他表においても同様である。
【0051】
【表1】
Figure 2004149418
【0052】
次に、上記の固化した粗ラクチドを乳鉢で粗粉砕後、粗ラクチド50.2gをステンレス製のカップに移し、20℃の水を50.2g加えて、その後得られたスラリーの温度を20℃に保ちつつホモジナイザーで2分間粉砕しながら水洗し、クリーム状のスラリーを得た。
【0053】
次に、上記スラリーを遠心濾過した後、更に仕込み粗ラクチドと等重量の水50.2gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離した。分離したラクチド結晶は40℃、減圧下で乾燥した。その時の収量は41.8gで組成は下記表2の通りであった。また、乾燥後の結晶粒度を測定したところ、その平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0054】
【表2】
Figure 2004149418
【0055】
(実施例2:水洗10分)
実施例1で得た粗ラクチドを50.1g使用し、実施例1での水洗時間を10分にして、それ以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は41.1gで組成は下記表3の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0056】
【表3】
Figure 2004149418
【0057】
(実施例3:水洗30分)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での水洗時間を30分にして、それ以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は40.8gで組成は下記表4の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0058】
【表4】
Figure 2004149418
【0059】
(実施例4:水洗60分)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での水洗時間を60分にして、それ以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は40.8gで組成は下記表5の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0060】
【表5】
Figure 2004149418
【0061】
(実施例5:スラリー温度40℃)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での水洗温度を40℃にし得られたスラリーを40℃に維持した以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は40.2gで組成は下記表6の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0062】
【表6】
Figure 2004149418
【0063】
(実施例6:スラリー温度50℃)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での水洗温度を50℃にし得られたスラリーを50℃に維持した以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は38.9gで組成は下記表7の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0064】
【表7】
Figure 2004149418
【0065】
(実施例7:加水量2倍)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での加水量を2倍量の100.3gにして、それ以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は39.6gで組成は下記表8の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0066】
【表8】
Figure 2004149418
【0067】
(実施例8:加水量4倍)
実施例1で得た粗ラクチドを50.2g使用し、実施例1での加水量を4倍量の200.5gにして、それ以外は同条件として精製した。乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は37.9gで組成は下記表8の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0068】
【表9】
Figure 2004149418
【0069】
(実施例9:水洗と溶媒晶析)
90質量%のL−乳酸水溶液900g(9モル、光学純度99.0%)を撹拌機付きのフラスコに仕込み、触媒としてSnOの3.6gを添加し、加熱脱水を開始し徐々に減圧し、2時間かけて最終的に160℃、20hPaとした。さらに、この状態で1時間脱水を続けプレポリマーを合成した。
【0070】
次に、上記プレポリマーを別のフラスコに移し、減圧を7hPaとし徐々に昇温し最終的に200℃に保って、溜出した粗ラクチドを受器に捕集した。受器は氷冷し粗ラクチドを固化させた。反応蒸留は3時間で終了した。粗ラクチドの収量は608gであり、その組成は下記表10の通りであった。
【0071】
【表10】
Figure 2004149418
【0072】
次に、粗ラクチドを300g使用し、水洗温度を20℃、スラリー温度20℃、水洗時間を30分、300gの水を加えて実施例1に示した方法で水洗した。固液分離して乾燥後に得られたラクチド結晶の収量は248gで組成は下記表11の通りであった。また、乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0073】
【表11】
Figure 2004149418
【0074】
次に、上記ラクチド結晶200gをMIBK200gに60℃で溶解し、撹拌下に冷却して晶析し、25℃として1時間保ち、結晶を遠心濾過して分離し、55℃、減圧下に乾燥した。得られたL−ラクチドは164gで、組成は下記表12の通りであった。
【0075】
【表12】
Figure 2004149418
【0076】
(比較例1:粉砕せずに水洗)
実施例9で得られた粗ラクチド200gを乳鉢で粉砕し、撹拌機付きのフラスコに移し、これに20℃の水を200g加えて、その後スラリーの温度を20℃に保ちながら30分撹拌した。
【0077】
次に、上記スラリーを遠心濾過した後、更に仕込み粗ラクチドと等重量の水200gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離した。分離したラクチド結晶は40℃、減圧下で乾燥した。その時の収量は163gで組成は下記表13の通りであった。また、乾燥後の結晶粒度を測定したところ、30〜100メッシュの間に92%の結晶が分布していた。
【0078】
【表13】
Figure 2004149418
【0079】
(実施例10:洗液のリサイクル)
90質量%のL−乳酸水溶液900g(9モル、光学純度99.0%)を撹拌機付きのフラスコに仕込み、触媒としてSnOの3.6gを添加し、加熱脱水を開始し徐々に減圧し、2時間かけて最終的に160℃、20hPaとした。さらに、この状態で1時間脱水を続けプレポリマーを合成した。
【0080】
次に、上記プレポリマーを別のフラスコに移し、減圧を20hPaとし徐々に昇温し、最終的に220℃に保って、溜出した粗ラクチドを受器に捕集した。受器は氷冷し粗ラクチドを固化させた。反応蒸留は2時間で終了した。粗ラクチドの収量は609gであり、その組成は下記表14の通りであった。
【0081】
【表14】
Figure 2004149418
【0082】
次に、上記の固形状態の粗ラクチドを乳鉢で粗粉砕後、粗ラクチド50.2gをステンレス製のカップに移し、20℃の水を50.2g加えて、その後得られたスラリーを温度20℃に保ちつつホモジナイザーで粉砕しながら2分間水洗し、クリーム状のスラリーを得た。
【0083】
次に、上記スラリーを遠心濾過してラクチドの結晶と洗液▲1▼を分離した。更に仕込み粗ラクチドと等重量の水50.2gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離した。分離したラクチド結晶は40℃、減圧下で乾燥した。その時の収量は42gで組成は下記表15の通りであった。乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0084】
【表15】
Figure 2004149418
【0085】
次に、新たに上記粗ラクチド50.2gを仕込み、上記遠心濾過で得た洗液▲1▼50.2gで上記同様に水洗し遠心濾過し結晶と洗液を分離した。更に仕込み粗ラクチドと等重量の水50.2gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離し上記同様に乾燥した。得られた洗液は、次の水洗液として上記操作を計2回繰り返し、洗液中のラクチドを回収した。組成は下記表16の通りであった。それぞれの乾燥結晶の平均粒度はいずれも200メッシュ以下であった。
【0086】
【表16】
Figure 2004149418
【0087】
(実施例11:DL−ラクチドの精製)
90質量%のDL−乳酸水溶液900g(9モル)を撹拌機付きのフラスコに仕込み、触媒としてSnOの3.6gを添加し、加熱脱水を開始し徐々に減圧し、2時間かけて最終的に160℃、20hPaとした。さらに、この状態で1時間脱水を続けプレポリマーを合成した。
【0088】
次に、上記プレポリマーを別のフラスコに移し、減圧を20hPaとし徐々に昇温し、最終的に220℃に保って、溜出した粗ラクチドを受器に捕集した。受器は氷冷し粗ラクチドを固化させた。反応蒸留は3時間で終了した。粗ラクチドの収量は626gであり、その組成は下記表17の通りであった。
【0089】
【表17】
Figure 2004149418
【0090】
次に、上記の固形状態の粗ラクチドを乳鉢で粗粉砕後、粗ラクチド300gに、30℃の水を300g加えて、その後得られたスラリーの温度を30℃に保ちつつホモジナイザーで粉砕しながら1時間水洗し、クリーム状のスラリーを得た。
【0091】
次に、上記スラリーを遠心濾過して、更に仕込み粗ラクチドと等重量の水300gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離した。分離したラクチド結晶は40℃、減圧下で乾燥した。その時の収量は162gで組成は下記表18の通りであった。乾燥後の結晶の平均粒度は200メッシュ以下であった。
【0092】
【表18】
Figure 2004149418
【0093】
次に、上記ラクチド結晶100gをアセトン50gに56℃で溶解し、撹拌下に冷却して晶析し、20℃として1時間保ち、結晶を遠心濾過して分離し、40℃、減圧下に乾燥した。得られたDL−ラクチドは67gで、組成は下記表19の通りであった。
【0094】
【表19】
Figure 2004149418
【0095】
(比較例2:溶融粗ラクチドの水晶析)
90%L−乳酸900gを用いて、実施例11と同様な条件で粗ラクチド645gを得た。受器は90℃に保温し粗ラクチドは溶融状態で捕集した。組成は下記表20の通りであった。
【0096】
【表20】
Figure 2004149418
【0097】
次に、溶融状態の粗ラクチド400gを、約25℃の水400gに撹拌しつつ混合し、2時間かけて全体を約25℃まで冷却した。混合直後にはラクチドが析出し、スラリー状態となっていた。
【0098】
次に、上記スラリーを遠心濾過して、更に仕込み粗ラクチドと等重量の水400gを結晶ケークに噴霧して結晶を洗浄し、再度遠心濾過してラクチドの結晶を分離した。分離したラクチド結晶は40℃、減圧下で乾燥した。その時の収量は257gで組成は下記表21の通りであった。
【0099】
次に、上記スラリーを遠心濾過してラクチド結晶を分離した。
【0100】
【表21】
Figure 2004149418
【0101】
【表22】
Figure 2004149418
【0102】
【表23】
Figure 2004149418
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、粗ラクチドを粉砕し水と低温で接触させることで効率よくメソ−ラクチドを除去することができ、同時にD−ラクチド、L−ラクチドの回収率を向上させ、精製ラクチドを高収率で製造することができる。得られたラクチドは純度が高く、これを用いてポリ乳酸を製造すると特性に優れるポリ乳酸を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい態様の一例の工程を示すフローである。

Claims (9)

  1. 粗ラクチド固化物を水と接触させて水相と固相とに分離し、該固相を回収することを特徴とする精製ラクチドの製造方法。
  2. (a)粗ラクチド固化物に水を混合してスラリーを形成する工程、(b)該スラリーを固液分離する工程とからなる、精製ラクチドの製造方法。
  3. 該スラリーに含まれる粗ラクチドの平均粒度が30メッシュ以下であり、該スラリーを構成する水の量が該粗ラクチド固化物の0.5〜10質量倍であり、該スラリーの温度が−5〜50℃である、請求項2記載の精製ラクチドの製造方法。
  4. 該スラリーを固液分離して回収した水の少なくとも一部を(a)工程のスラリー形成用の水として使用することを特徴とする、請求項2または3記載の精製ラクチドの製造方法。
  5. 該粗ラクチド固化物が、乳酸から乳酸オリゴマーを形成し、該オリゴマーを解重合および環化反応を行ってラクチドを形成し、該ラクチドを蒸気として回収した後に急冷固化させたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の精製ラクチドの製造方法。
  6. 該(b)工程で固液分離して回収した水を加熱した後に乳酸を回収し、該乳酸を用いてラクチドを形成させることを特徴とする、請求項5記載の精製ラクチドの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの方法で得た精製ラクチドをラクチドと反応しない溶媒によって晶析し、または減圧下で蒸留してさらにラクチドを精製することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの方法で製造した精製ラクチドを用いてポリ乳酸を製造する方法。
  9. 請求項6記載の(b)工程で回収した水を加熱し、乳酸に加水分解することを特徴とする、乳酸の製造方法。
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