JP2004144253A - トルク変動吸収ダンパ - Google Patents

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Takahiro Shinshiyu
森種 恭浩
Tsutomu Kano
鹿野 努
Shinya Kinoshita
木下 慎也
Masami Hasegawa
長谷川 雅己
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Nok Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/32Friction members
    • F16H55/36Pulleys
    • F16H2055/366Pulleys with means providing resilience or vibration damping

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Abstract

【課題】優れた動的吸振効果を発揮することができ、かつ耐久性に優れたトルク変動吸収ダンパを提供する。
【解決手段】第一弾性体22が、環状質量体21とハブ1の軸方向対向面間に接着され、プーリ31が、第一ベアリング4を介して環状質量体21に支持されると共に、ハブ1に第二ベアリング5を介して支持されているので、共振によって第一弾性体22に円周方向のスベリを生じることがなく、第一弾性体22のバネ定数を低くして動的吸振部2の捩り方向固有振動数を低く設定できると共に、プーリ31の同心性が保たれる。プーリ31と環状質量体21との間の隙間が、第一ベアリング4の介装位置の外側で屈曲した断面形状をなすラビリンスシールSを形成しているので、第一ベアリング4をダストから保護することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関等における駆動軸から他の回転機器へトルクを伝達すると共にそのトルクの変動を吸収するトルク変動吸収ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の内燃機関からの駆動力の一部は、クランクシャフトの先端に設けられたプーリから無端ベルトを介して例えばオルタネータやウォーターポンプ等の補機に与えられるが、クランクシャフトは内燃機関の各行程によるトルク変動を伴って回転されるので、前記プーリにはトルク変動を吸収して伝達トルクの平滑化を図るためのトルク変動吸収ダンパが用いられる。
【0003】
従来の技術によるこの種のトルク変動吸収ダンパとしては、例えば特許文献1あるいは特許文献2に記載されたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3155280号(第1図)
【特許文献2】
実用新案登録第2605662号(第1図)
【0005】
このうち、特許文献1に記載されたトルク変動吸収ダンパは、クランクシャフトの軸端に取り付けられて一体に回転するハブの外周に、第一弾性体を介して環状質量体が連結され、前記ハブに、前記環状質量体に支持されたプーリから内周側へ延びる鍔部が、前記第一弾性体の内周側に位置する第二弾性体を介して軸方向に連結された構造を有する。
【0006】
また、特許文献2に記載されたトルク変動吸収ダンパは、鉄系材料で鋳造されたハブのリム部の外周に第一弾性体を介して環状質量体が連結され、ハブのリム部の内周から環状質量体の外周を正面側から覆うように断面コ字形の二重筒状に形成されたプーリの内周筒部が、ハブの内筒部の外周に第二弾性体を介して弾性的に連結されると共にベアリングを介してハブのリム部内周に回転可能に保持されたものである。
【0007】
そして、この種のトルク変動吸収ダンパは、第一弾性体と環状質量体で構成される副振動系が、所定の振動数域において捩り方向へ共振することによる動的吸振効果によって、クランクシャフトの捩り振動を低減すると共に、クランクシャフトからハブへ入力された駆動トルクを、第二弾性体の捩り方向剪断変形作用によってトルク変動を吸収しながら、プーリへ伝達するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載された従来のトルク変動吸収ダンパによれば、第一弾性体が、ハブのリム部と環状質量体との径方向対向面間に圧入嵌合されたものであるため、共振による動的吸振動作時に、ハブと第一弾性体との圧接面、あるいは第一弾性体と環状質量体との圧接面において円周方向のスベリを発生して、所要の動的吸振効果が得られなくなるおそれがある。また、環状質量体とプーリとの間に介装されたベアリングの耐久性が、ダストの侵入によって低下するおそれが指摘される。
【0009】
また、第一弾性体は、圧入によって径方向に大きな予圧縮を受けているので、そのバネ定数が高く、その結果、第一弾性体と環状質量体で構成される副振動系の捩り方向共振周波数を比較的低周波域に設定するには、環状質量体の質量を大きくする必要があった。
【0010】
次に、特許文献2に記載された従来のトルク変動吸収ダンパによれば、第二弾性体がハブとプーリの間を径方向に連結しており、その耐久性を確保するには、径方向のゴム厚を大きくする必要があるが、第二弾性体の外径はプーリの寸法によって制約を受けるため、十分な径方向ゴム厚の確保が難しいといった問題が指摘される。しかも次式に示されるように、同じ変位角であれば外径側ほど歪が大きくなるため、結局、耐久性の向上が困難であった。
ゴム歪(%)={(外半径×捩れ角)/径方向肉厚}×100
【0011】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、優れた動的吸振効果を発揮することができ、かつ耐久性に優れたトルク変動吸収ダンパを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、ハブに第一弾性体を介して環状質量体を弾性的に連結した動的吸振部と、前記ハブに前記第二弾性体を介してプーリを弾性的に連結したカップリング部とを備え、前記第一弾性体が、前記環状質量体と前記ハブの軸方向対向面間に接着され、前記プーリが、第一ベアリングを介して前記環状質量体に支持されると共に、前記ハブに第二ベアリングを介して支持されたものである。
【0013】
請求項2の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、請求項1に記載の構成において、ハブが、第一弾性体を介して環状質量体に弾性的に連結された外環と、第二弾性体を介してプーリに弾性的に連結された内環との結合体となっている。
【0014】
請求項3の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、請求項1に記載の構成において、プーリとハブ又は環状質量体との間の隙間が、第一ベアリングの介装位置の外側で屈曲した断面形状をなしてラビリンスシールを形成しているものである。
【0015】
請求項4の発明に係るトルク変動吸収ダンパは、請求項3に記載の構成において、ラビリンスシールが、プーリとハブ又は環状質量体との相対的な軸方向変位を制限する環状ストッパにより形成されたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第一の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図、図2は、図1のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。なお、この形態の説明において用いられる「正面側」とは、図1における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図1における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0017】
図1に示されるように、第一の形態のトルク変動吸収ダンパは、内燃機関のクランクシャフトの軸端に取り付けられるハブ1と、このハブ1の外周側に設けられた動的吸振部2及びカップリング部3とを備える。
【0018】
ハブ1は、金属板を打ち抜きプレス成形した外環11、内環12及びリテーナ13を組み合わせたものであって、内周に、図示されていない内燃機関のクランクシャフトが挿通される軸孔1aが開設され、その外周に円周方向所定間隔でボルト挿通孔1bが開設されている。
【0019】
ハブ1を構成する外環11、内環12及びリテーナ13のうち、最も背面側の外環11は、内周の円盤部11aと、その外周から展開して、外周側ほど背面側へ偏在した緩やかな円錐面をなす内周テーパ部11bと、この内周テーパ部11bの外周端部から正面側へ延びる円筒部11cと、更にこの円筒部11cの正面側の端部から外周側へ延び、外周側ほど正面側へ偏在した緩やかな円錐面をなすテーパ状鍔部11dからなる。中間の内環12は、外環11の円盤部11a及び内周テーパ部11bと密接状態に積層され、すなわち外環11の円盤部11a及び内周テーパ部11bと対応する円盤部12a及びテーパ状鍔部12bからなる。最も正面側のリテーナ13は、内環12の円盤部12aに密接状態に積層される円盤部13aと、その外周から正面側へ延びる円筒部13bと、更にこの円筒部13bにおける正面側の端部から外周側へ延び、外周側ほど正面側へ偏在した緩やかな円錐面をなすテーパ状鍔部13cからなる。
【0020】
動的吸振部2は、ハブ1における外環11の円盤部11aの外周側、言い換えれば外環11のテーパ状鍔部11dの背面側に配置された環状質量体21と、この環状質量体21と前記外環11のテーパ状鍔部11dとの軸方向対向面間を弾性的に連結している第一弾性体22とからなる。動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、環状質量体21の円周方向慣性質量と、第一弾性体22の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフトの捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフトの捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
【0021】
動的吸振部2における環状質量体21は、FCなど、比重の大きい金属材料で製作されたものであって、その背面側の外周に、円周方向へ連続した鍔状の外周凸条21aが形成されている。
【0022】
動的吸振部2における第一弾性体22は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであって、所定の金型内に、ハブ1の外環11と環状質量体21とを同心的にセットして、外環11のテーパ状鍔部11dと環状質量体21との軸方向対向面間に形成された環状のキャビティ内に、成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、環状に加硫成形されると同時に加硫接着されたものである。すなわち、図2に示されるように、動的吸振部2を構成する環状質量体21及び第一弾性体22は、外環11と互いに一体の第一成形体20Aをなしている。
【0023】
また、第一弾性体22は、外環11のテーパ状鍔部11dが、外周側ほど正面側へ偏在した緩やかな円錐面をなしていることによって、外周側で軸方向肉厚が大きくなる形状となっており、このため、捩り方向へ剪断変形を受けた時の歪が、内周側と外周側とでほぼ均一となる。
【0024】
カップリング部3は、プーリ31と、このプーリ31をハブ1の内環12に弾性的に連結している第二弾性体32とからなる。
【0025】
カップリング部3におけるプーリ31は、FCなどの金属材料によって製作されたものであって、外周面にポリV溝31bが形成されたプーリ本体31aと、その正面側の端部から内周側へ延びる円盤部31cと、更にその内周側に段付き形成され外周側ほど正面側へ偏在した緩やかな円錐面をなすテーパ状内向き鍔部31dを有する。このテーパ状内向き鍔部31dは、ハブ1における内環12のテーパ状鍔部12bの軸方向正面側に位置している。また、プーリ本体31aは、動的吸振部2の外周側に位置しており、このプーリ本体31aと、動的吸振部2における環状質量体21との間には、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦係数の合成樹脂材料で成形された第一ベアリング4が介在されている。プーリ31は、この第一ベアリング4によって、環状質量体21の外周に円周方向相対変位可能に支持されている。
【0026】
カップリング部3における第二弾性体32は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであって、その背面側の端部が、内環12のテーパ状鍔部12bに一体的に加硫接着されており、正面側の端部が、前記プーリ31のテーパ状内向き鍔部31dに一体的に加硫接着されている。すなわち、第二弾性体32は、所定の金型内に、内環12とプーリ31とを同心的にセットして、互いに軸方向に対向したテーパ状鍔部12bとテーパ状内向き鍔部31dとの間に形成された環状のキャビティ内に、成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、環状に加硫成形されると同時に加硫接着されたもので、図2に示されるように、カップリング部3を構成するプーリ31及び第二弾性体32は、内環12と互いに一体の第二成形体30Aをなしている。
【0027】
第二弾性体32は、所要の径方向肉厚を有することによって、トルクを伝達するのに必要な強度が確保されると共に、連結方向(軸方向)に所要の肉厚を有することによって、動的吸振部2における第一弾性体22に比較して捩り方向ばね定数を十分に低くしてある。また、この第二弾性体32は、互いに逆向きの円錐面をなすテーパ状鍔部12bとテーパ状内向き鍔部31dとの間に形成されたことによって、外周側で軸方向肉厚が大きくなる形状となっており、このため、捩り方向へ剪断変形を受けた時の歪が、内周側と外周側とでほぼ均一となる。
【0028】
ハブ1におけるリテーナ13のテーパ状鍔部13cは、プーリ31のテーパ状内向き鍔部31dの正面側に位置しており、互いに対応する円錐面をなす両鍔部13c,31d間には、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦係数の合成樹脂材料で成形された第二ベアリング5が介在されている。プーリ31は、そのテーパ状内向き鍔部31dが、第二ベアリング5と、第二弾性体32との間に挟まれることによって、軸方向の挙動が規制されている。
【0029】
プーリ31におけるプーリ本体31aの内周面の背面側部分には、環状質量体21の外周凸条21aと対応するように拡径した環状段差部31eが形成されており、このため、環状質量体21とプーリ31との間の隙間は、第一ベアリング4の介装位置よりも外側で、環状段差部31eと外周凸条21aによってジグザグに屈曲した断面形状をなし、外部からのダストの侵入を困難にするラビリンスシールSを構成している。
【0030】
以上の構成を具える第一の形態のトルク変動吸収ダンパは、図2に示されるように、外環11、環状質量体21及び第一弾性体22からなる第一成形体20Aと、第一ベアリング4と、内環12、プーリ31及び第二弾性体32からなる第二成形体30Aと、第二ベアリング5と、リテーナ13とを、互いに同心的に配置して、外環11、内環12及びリテーナ13の円盤部11a,12a,13a同士を重合して積層することによって容易に組み立てられ、しかもハブ1が、いずれも金属板のプレス成形品である外環11、内環12及びリテーナ13からなるため、安価に提供することができる。
【0031】
また、ハブ1とプーリ31との捩れ角が同じである場合に受ける第二弾性体32の歪は、ハブ1とプーリ31との連結方向の肉厚、すなわち軸方向の肉厚が大きいほど小さくなるから、第二弾性体32の耐久性を確保するために、その径方向寸法を大きく取る必要がない。したがって、プーリ31の外径寸法の制約等によって、当該トルク変動吸収ダンパの径方向のサイズを大きく取れないような場合でも、ハブ1の内環12とプーリ31のテーパ状内向き鍔部31dとの軸方向距離を十分に取ることによって、第二弾性体32の優れた耐久性を確保することができる。言い換えれば、第二弾性体32の径方向寸法を大きく取る必要がないことから、環状質量体2及びプーリ4の外径寸法も小さくすることができるので、ハブ1を金属板のプレス成形品である外環11、内環12及びリテーナ13で構成したことと相俟って、小型・軽量化が図られる。
【0032】
このトルク変動吸収ダンパは、ハブ1が内燃機関のクランクシャフトの軸端に装着されることによって、このクランクシャフトと共に回転される。クランクシャフトのトルクは、カップリング部3によって、ハブ1から第二弾性体32を介してプーリ31へ伝達され、更に、プーリ31のポリV溝31bに巻き掛けられたベルト(不図示)を介して、冷却ファンや、オルタネータ等の補機の回転軸に伝達される。
【0033】
そしてクランクシャフトへの取付状態では、動的吸振部2における第一弾性体22は、環状質量体21の正面側に位置するので、この環状質量体21によって内燃機関の輻射熱から保護され、カップリング部3における第二弾性体32は、ハブ1における第一及び内環11,12の正面側に位置するので、この第一及び内環11,12によって、内燃機関の輻射熱から保護される。
【0034】
内燃機関の駆動は、吸気、圧縮、爆発(膨張)及び排気の各行程を繰り返しながら行われ、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換しているため、クランクシャフトには、回転に伴って周期的なトルク変動を生じるが、このトルク変動は、カップリング部3における第二弾性体32が低ばねで捩り方向へ剪断変形されることによって、熱エネルギに変換されるので、ベルトへの伝達トルクが平滑化される。一方、環状質量体21及び第一弾性体22で構成される動的吸振部2は、クランクシャフトの捩り振動による捩れ角が最大となる振動数域で円周方向に共振し、その共振によるトルクは入力振動のトルクと方向が逆になるため、クランクシャフトの捩れ角のピークを有効に低減することができる。
【0035】
ここで、動的吸振部2における第一弾性体22は、環状質量体21とハブ1における外環11のテーパ状鍔部11dとの軸方向対向面間に加硫接着されているので、動的吸振部2の共振時に、第一弾性体22がハブ1又は環状質量体21に対するスベリを生じるようなことはない。また、動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、クランクシャフトの捩れ角のピークとなる比較的低い振動数域に同調されるが、第一弾性体22は、圧入によるもののような予圧縮を受けないので、その捩り方向剪断バネ定数を低くすることができ、したがって、環状質量体21の断面積を大きくしなくても、捩り方向固有振動数を、比較的低い振動数域に同調することができる。
【0036】
また、プーリ31は、そのプーリ本体31aが、第一ベアリング4、環状質量体21及び第一弾性体22を介して外環11に支持される一方、テーパ状内向き鍔部31dが、第二弾性体32を介して内環12に支持されており、第一弾性体22及び第二弾性体32は、双方とも径方向に対して剪断であるため、径方向のバネ定数が低いものとなっているが、プーリ31は、そのテーパ状内向き鍔部31dが、テーパ状の第二ベアリング5を介してリテーナ12のテーパ状鍔部13cに重合状態に支持されているので、ハブ1に対する同心性が確保され、安定的に回転される。
【0037】
プーリ31の軸方向の挙動は、このプーリ31におけるテーパ状内向き鍔部31dが、第二弾性体32の軸方向圧縮弾性によって、ハブ1におけるリテーナ13の鍔部13cの背面に第二ベアリング5を介して押し付けられることによって規制され、しかもその反力として、第二弾性体32に軸方向に適当な圧縮応力が加わっており、第二弾性体32自体の軸方向伸縮変位が規制されるので、耐久性に優れたものとなっている。
【0038】
更に、第一ベアリング4の摺動部には、その外側(背面側)に形成されたラビリンスシールSによって、外部のダストから保護されているので、第一ベアリング4の耐久性が確保され、プーリ31を安定的に支持することができる。しかも、ラビリンスシールSは、環状質量体21の外周凸条21aと、プーリ31の環状段差部31eとによって形成され、何らかの部品を取り付けることによって設けたものではないため、部品数の増大や製造工程の増大を来さない。
【0039】
なお、好ましくは、ハブ1(例えばリテーナ13)と、プーリ31には、後述する第二の形態又は第三の形態と同様、ハブ1とプーリ31の互いの捩り角が所定の大きさになった時に干渉して、その捩り変位を制限するストッパ機構を設けることができる。このようにすれば、カップリング部3における第二弾性体32の過大な捩り変形を防止でき、しかも、万一第二弾性体32が破損するようなことがあっても、プーリ31に掛けられたベルトへのトルク伝達が遮断されるのを防止することができる。
【0040】
次に図3は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第二の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図、図4は、図3のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。なお、本形態の説明でも、「正面側」とは、図3における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図3における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0041】
この第二の形態においては、図3に示されるように、ハブ1は、金属板を打ち抜きプレス成形した外環14及び内環15を互いに圧入嵌合することにより一体化したものである。このうち、外環14は、内周嵌合筒部14aと、そこから外周へテーパ状に延びるテーパ状接合部14bと、更にその外周側へ延びる鍔部14cとからなる。また、内環15は、内周に図示されていない内燃機関のクランクシャフトが挿通される軸孔1aが開設された取付部15aと、その外周から段差部15cを介して正面側へ偏在して形成された円盤状接合部15bと、更にその外周に形成された外周嵌合筒部15dとからなる。そして、外環14の内周嵌合筒部14aの内周面と、内環15の外周嵌合筒部15dの外周面が、互いに径方向の適当な締め代をもって圧入嵌合されている。
【0042】
動的吸振部2は、ハブ1における外環14のテーパ状接合部14bの軸方向正面側に配置された環状質量体21と、この環状質量体21と前記テーパ状接合部14bとの間を弾性的に連結している第一弾性体22とからなる。環状質量体21は、FCなど、比重の大きい金属材料で製作されたものであって、第一弾性体22との接合面(背面)は、ハブ1の外環14のテーパ状接合部14bと対応したテーパ状をなしており、したがって、その間に介在する第一弾性体22もテーパ状に形成されている。そして動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、環状質量体21の円周方向慣性質量と、第一弾性体22の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフトの捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフトの捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
【0043】
動的吸振部2における第一弾性体22は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであって、所定の金型内に、ハブ1の外環14と環状質量体21とを軸方向に同心的にセットして、外環14のテーパ状接合部14bと環状質量体21との対向面間に形成された環状のキャビティ内に、成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、環状に加硫成形されると同時に加硫接着されたものである。すなわち、図4に示されるように、動的吸振部2を構成する環状質量体21及び第一弾性体22は、外環14と互いに一体の第一成形体20Bをなしている。
【0044】
カップリング部3は、プーリ31と、このプーリ31をハブ1の内環15に弾性的に連結している第二弾性体32とからなる。
【0045】
カップリング部3におけるプーリ31は、FCなどの金属材料によって製作されたものであって、外周面にポリV溝31bが形成されたプーリ本体31aと、その正面側の端部から内周側へ延びる円盤部31cと、前記プーリ本体31aの背面側から外周側へ立上る環状段差部31eを介して形成された円筒部31fとを有する。プーリ本体31a、環状段差部31e及び円筒部31fは、動的吸振部2の外周側に位置しており、プーリ本体31aの内周面と、動的吸振部2における環状質量体21の外周面との間には、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦係数の合成樹脂材料で成形された第一ベアリング4が介在されている。
【0046】
また、環状質量体21には、軸方向正面側へ突出した複数の係合突起部21bが、円周方向等間隔で形成されており、これに対応する位相間隔で、プーリ31における円盤部31cには、その軸心Oを中心とする円弧状に延びる複数の係合孔31gが開設されており、両者21b,31gは、円周方向に対して適当な自由度をもって互いに遊嵌されている。
【0047】
カップリング部3における第二弾性体32は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであって、その背面側の端部が、ハブ1における内環15の円盤状接合部15bに一体的に加硫接着されており、正面側の端部が、プーリ31の円盤部31cに一体的に加硫接着されている。すなわち、第二弾性体32は、所定の金型内に、内環15とプーリ31とを同心的にセットして、互いに軸方向に対向した内環15の円盤状接合部15bとプーリ31の円盤部31cとの間に形成された環状のキャビティ内に、成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、環状に加硫成形されると同時に加硫接着されたもので、図4に示されるように、カップリング部3を構成する内環15、第二弾性体32及びプーリ31は、互いに一体の第二成形体30Bをなしている。
【0048】
第二弾性体32は、所要の径方向肉厚を有することによって、トルクを伝達するのに必要な強度が確保されると共に、連結方向(軸方向)に所要の肉厚を有することによって、動的吸振部2における第一弾性体22に比較して捩り方向ばね定数を十分に低くしてある。
【0049】
プーリ31は、そのプーリ本体31aが、第一ベアリング4を介して環状質量体21の外周に円周方向相対変位可能に支持される一方、円盤部31cが、第二弾性体32を介して内環15に支持されており、プーリ本体31aを支持している環状質量体21が、第一弾性体22を介してハブ1の外環14に支持されている。
【0050】
ハブ1における外環14の鍔部14cは、プーリ31の環状段差部31eの背面側に位置しており、その互いの対向面間には、PTFE等の耐摩耗性に優れた低摩擦係数の合成樹脂材料で成形された第二ベアリング5が介在されており、これによって、第二弾性体32を圧縮する方向へのハブ1とプーリ31の軸方向相対変位が規制されている。
【0051】
プーリ31における円筒部31fの内周面には、ハブ1における外環14の鍔部14cの背面側に位置して、環状ストッパ33が嵌着されている。この環状ストッパ33は、第二弾性体32に引張を与える方向へのハブ1とプーリ31の軸方向相対変位を制限するものである。そして、この環状ストッパ33の嵌着によって、外環14の鍔部14cとプーリ31の円筒部31fとの間の隙間は、第二ベアリング5の介装位置よりも外側で、L字形に屈曲した断面形状をなし、外部からのダストの侵入を困難にするラビリンスシールSを構成している。
【0052】
以上の構成を具える第二の形態のトルク変動吸収ダンパは、図4に示されるように、外環14、環状質量体21及び第一弾性体22からなる第一成形体20Bと、内環15、プーリ31及び第二弾性体32からなり第一ベアリング4及び第二ベアリング5を予め保持した第二成形体30Bを、互いに同心的に配置して、環状質量体21に形成された係合突起部21bと、プーリ31の円盤部31cに開設された係合孔31gの位相を合わせながら、環状質量体21をプーリ31のプーリ本体31aと第二弾性体32の間の環状空間へ挿入するようにして、外環14の内周嵌合筒部14aと内環15の外周嵌合筒部15dを互いに圧入嵌合してから、プーリ31の円筒部31fの内周に環状ストッパ33を嵌着することによって、容易に組み立てることができる。しかもハブ1が、金属板のプレス成形品である外環14及び内環15からなるため、安価に提供することができる。
【0053】
このトルク変動吸収ダンパも、基本的には図1に示される第一の形態と同様、ハブ1が内燃機関のクランクシャフトの軸端に装着されることによって、このクランクシャフトと共に回転され、プーリ31のポリV溝31bに巻き掛けられたベルト(不図示)を介して、冷却ファンや、オルタネータ等の補機の回転軸に駆動トルクを伝達する。また、カップリング部3は、第一の形態と同様、第二弾性体32によってベルトへの伝達トルクを平滑化するものであり、動的吸振部2は、捩り方向の共振による動的吸振効果によって、クランクシャフトの捩れ角のピークを有効に低減するものである。
【0054】
そして、動的吸振部2における第一弾性体22は、ハブ1の外環14の正面側に位置するので、この外環14によって内燃機関の輻射熱から保護され、カップリング部3における第二弾性体32は、ハブ1における内環15の正面側に位置するので、この内環15によって、内燃機関の輻射熱から保護される。
【0055】
この形態においても、第一弾性体22は、環状質量体21と外環14の対向面間に加硫接着されているので、動的吸振部2の共振時に、第一弾性体22がハブ1又は環状質量体21に対するスベリを生じるようなことはない。また、動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、クランクシャフトの捩れ角のピークとなる比較的低い振動数域に同調されるが、第一弾性体22は、圧入によるもののような予圧縮を受けないので、その捩り方向剪断バネ定数を低くすることができ、したがって、環状質量体21の断面積を大きくしなくても、捩り方向固有振動数を、比較的低い振動数域に同調することができる。
【0056】
また、第二弾性体32は、第一の形態と同様、ハブ1とプーリ31を軸方向に連結しているものであるため、耐久性を確保するためにその径方向寸法を大きく取る必要がなく、言い換えれば、当該トルク変動吸収ダンパの径方向サイズが小型であっても、十分な耐久性が確保可能である。
【0057】
プーリ31の軸方向の挙動は、その環状段差部31eに保持された第二ベアリング5と、円筒部31fに嵌着された環状ストッパ33が、外環14の鍔部14cの軸方向両側にあることによって規制されている。そして、環状ストッパ33によってラビリンスシールSが形成されているため、第二ベアリング5及び第一ベアリングの摺動部が、外部のダストから保護され、その耐久性が確保されて、プーリ31を安定的に支持することができる。
【0058】
大きなトルク変動の入力によって、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位量が所定の大きさに達した場合は、環状質量体21に設けられた係合突起部21bと、プーリ31の円盤部31cに開設された係合孔31gが円周方向に干渉するので、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位が制限され、第二弾性体32の過大な捩り変形が防止される。
【0059】
なお、係合突起部21bは、鋳造等による環状質量体21の成形に際して一体的に形成されたものであるため、部品数を増加させるものではなく、製作の際の組立工数を増加させるものでもない。
【0060】
また、何らかの原因によって、第二弾性体32が万一破損するようなことがあっても、プーリ31の環状段差部31eに設けられた第二ベアリング5と、このプーリ31の円筒部31fに嵌着された環状ストッパ33との間に、ハブ1の外環14の鍔部14cが介在することによって、プーリ31の脱落が確実に防止される。しかもこの場合、環状質量体21の係合突起部21bとプーリ31の係合孔31gが円周方向に互いに係合すると共に、その係合状態が、プーリ31の軸方向変位が前記第二ベアリング5と環状ストッパ33で規制されていることによって保持されるため、第二弾性体32が破損しても、ハブ1から第一弾性体22及び環状質量体21を介して、プーリ31への駆動トルクの伝達が継続して行われ、補機へのトルク遮断による内燃機関の停止といった事態を回避することができる。
【0061】
次に図5は、本発明に係るトルク変動吸収ダンパの好ましい第三の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図、図6は、図5のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。なお、本形態の説明でも、「正面側」とは、図5における左側、すなわち車両のフロント側のことであり、「背面側」とは、図5における右側、すなわち図示されていない内燃機関が存在する側のことである。
【0062】
この第三の形態は、先の図3に示される第二の形態と、ハブ1の外環14及び動的吸振部2の形状が相違するもので、その他の構成は、基本的に第二の形態と同様である。すなわち、ハブ1の外環14は、金属板を打ち抜きプレス成形したもので、内環15の外周嵌合筒部15dの外周面に適当な径方向締め代をもって圧入嵌合される内周嵌合筒部14dと、そこからカップリング部3の第二弾性体32の外周側を覆うように延びる延長部14eと、更にその正面側の端部からプーリ31の円盤部31cの背面側を外周側へ延びる鍔部14fとからなる。
【0063】
動的吸振部2は、ハブ1における外環14における内周嵌合筒部14d及び延長部14eの外周側、言い換えれば鍔部14fの軸方向背面側に配置された環状質量体21と、この環状質量体21と前記鍔部14fとの間を弾性的に連結している第一弾性体22とからなる。環状質量体21は、FCなど、比重の大きい金属材料で製作されたものであって、外周部が、プーリ31におけるプーリ本体31aから円筒部31fにかけての内面と対応する断付き形状に形成されている。そして動的吸振部2の捩り方向固有振動数は、環状質量体21の円周方向慣性質量と、第一弾性体22の捩り方向剪断ばね定数によって、クランクシャフトの捩れ角が最大となる所定の振動数域、言い換えればクランクシャフトの捩り方向固有振動数と合致するように同調されている。
【0064】
動的吸振部2における第一弾性体22は、耐熱性、耐寒性及び機械的強度に優れたゴム状弾性材料からなるものであって、所定の金型内に、ハブ1の外環14と環状質量体21とを軸方向に同心的にセットして、外環14の鍔部14fと環状質量体21の正面端部との対向面間に形成された環状のキャビティ内に、成形用未加硫ゴム材料を充填して加熱・加圧することにより、環状に加硫成形されると同時に加硫接着されたものである。すなわち、図6に示されるように、動的吸振部2を構成する環状質量体21及び第一弾性体22は、外環14と互いに一体の第一成形体20Cをなしている。
【0065】
ハブ1における外環14の鍔部14fには、その一部を打ち抜き屈曲させることによって、軸方向正面側へ突出した複数の係合突起部14gが、円周方向等間隔で形成されており、それぞれ、プーリ31における円盤部31cにその軸心Oを中心とする円弧状に開設された係合孔31gに、円周方向に対して適当な自由度をもって遊嵌されている。
【0066】
環状質量体21の背面外周部には、円周方向に連続した段差状溝21cが形成されており、第二弾性体32に引張を与える方向へのハブ1とプーリ31の軸方向相対変位を制限する環状ストッパ33が、前記段差状溝21cに遊嵌された状態で、プーリ31における円筒部31fの内周面に嵌着されている。そして、この環状ストッパ33と段差状溝21cによって、環状質量体21とプーリ31の円筒部31fとの間の隙間は、第二ベアリング5の介装位置よりも外側で、ジグザグに屈曲した断面形状のラビリンスシールSを構成しており、外部からのダストの侵入を困難にしている。
【0067】
第一ベアリング4は、プーリ31におけるプーリ本体31aの内周面と、環状質量体21における正面寄りの外周面21d(図6参照)との間に介在されている。また、第二ベアリング5は、プーリ31における環状段差部31eと、これに軸方向に対向する環状質量体21の立上り面21e(図6参照)との間に介在されている。
【0068】
なお、カップリング部3の構成は、先に説明した第二の形態と同様である。
【0069】
以上の構成を具える第二の形態のトルク変動吸収ダンパは、図6に示されるように、外環14、環状質量体21及び第一弾性体22からなる第一成形体20Cと、内環15、プーリ31及び第二弾性体32からなり第一ベアリング4及び第二ベアリング5を予め保持した第二成形体30Bを、互いに同心的に配置して、外環14に形成された係合突起部14gと、プーリ31の円盤部31cに開設された係合孔31gの位相を合わせながら、内環14の鍔部14fをプーリ31のプーリ本体31aと第二弾性体32の間の環状空間へ挿入するように、外環14の内周嵌合筒部14dと内環15の外周嵌合筒部15dを互いに圧入嵌合してから、環状ストッパ33を、環状質量体21の段差状溝21cの外周に遊嵌するように、プーリ31の円筒部31fの内周に嵌着することによって、容易に組み立てることができる。しかもハブ1が、金属板のプレス成形品である外環14及び内環15からなるため、安価に提供することができる。
【0070】
また、環状質量体21がプーリ31の内周における背面側へ開放された空間に配置されているので、環状質量体21の寸法の自由度が大きく、言い換えればその慣性質量を大きく設定して、動的吸振部2による動的吸振効果を高めることができる。
【0071】
このトルク変動吸収ダンパも、動的吸振部2及びカップリング部3の機能は、基本的には図3に示される第二の形態と同様である。
【0072】
プーリ31の軸方向の挙動は、その環状段差部31eに保持された第二ベアリング5と、円筒部31fに嵌着された環状ストッパ33が、環状質量体21の外周部の軸方向両側にあることによって規制されている。また、プーリ31の円筒部31fと、環状質量体21と、環状ストッパ33によって形成されたラビリンスシールSは、図3に示される第二の形態と比較して一層複雑なラビリンス形状となっているため、外部からのダスト侵入をより有効に防止する。
【0073】
大きなトルク変動の入力によって、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位量が所定の大きさに達した場合は、ハブ1の外環14に形成された係合突起部14gと、プーリ31の円盤部31cに開設された係合孔31gが円周方向に干渉するので、ハブ1とプーリ31の円周方向相対変位が制限され、第二弾性体32の過大な捩り変形が防止される。
【0074】
なお、係合突起部14gは、金属板の打ち抜きプレス成形による外環14の製作に際して一体的に形成されたものであるため、部品数を増加させるものではなく、製作の際の工数を増加させるものでもない。
【0075】
また、何らかの原因によって、第二弾性体32が万一破損するようなことがあっても、プーリ31の環状段差部31eに設けられた第二ベアリング5と、円筒部31fに嵌着された環状ストッパ33が、環状質量体21の外周部の軸方向両側に位置していることによって、プーリ31の脱落が確実に防止されると共に、ハブ1の係合突起部14gとプーリ31の係合孔31gが円周方向に互いに係合して、その係合状態が、前記第二ベアリング5と環状ストッパ33でプーリ31の軸方向変位が規制されていることによって保持されるため、第二弾性体32が破損しても、ハブ1からプーリ31への駆動トルクの伝達が継続して行われ、補機へのトルク遮断による内燃機関の停止といった事態を回避することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、動的吸振部における第一弾性体が、環状質量体とハブの軸方向対向面に接着され、プーリが、第一ベアリングを介して環状質量体に支持されると共に、ハブに第二ベアリングを介して支持されているので、動的吸振部の共振によって第一弾性体に円周方向のスベリを生じることがなく、しかも第一弾性体の捩り方向剪断バネ定数を低くすることができるので、環状質量体の慣性質量を増大させなくても、捩り方向固有振動数を比較的低周波域に設定でき、その結果、サイズ及び重量の低減を図ることができる。
【0077】
請求項2の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、請求項1による効果に加え、ハブが、第一弾性体を介して環状質量体に弾性的に連結された外環と、第二弾性体を介してプーリに弾性的に連結された内環との結合体からなるため、組立が容易で、しかも部品数が少なく、安価な製品を提供することができる。
【0078】
請求項3の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、請求項1による効果に加え、プーリを環状質量体の外周に支持する第一ベアリングの摺動部が、ラビリンスシールによって保護されるので、その耐久性を高めることができる。
【0079】
請求項4の発明に係るトルク変動吸収ダンパによれば、請求項3による効果に加え、ラビリンスシールが、プーリとハブ又は環状質量体との相対的な軸方向変位を制限する環状ストッパにより形成されたものであるため、ダストシール効果を一層高めることができ、しかも第二弾性体が万一破損したときの安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第一の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【図2】図1のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【図3】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第二の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【図4】図3のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【図5】本発明に係るトルク変動吸収ダンパの第三の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【図6】図5のトルク変動吸収ダンパを分解して軸心Oを通る平面で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 ハブ
1a 軸孔
11 外環
11a,12a,13a,31c 円盤部
11b 内周テーパ部
11c,13b,31f 円筒部
11d,13c テーパ状鍔部
12 内環
12b テーパ状鍔部
13 リテーナ
14 外環
14a,14d 内周嵌合筒部
14b テーパ状接合部
14c,14f 鍔部
14e 延長部
14g,21b 係合突起部
15 内環
15a 取付部
15b 円盤状接合部
15c 段差部
15d 外周嵌合筒部
2 動的吸振部
20A,20B,20C 第一成形体
21 環状質量体
21a 外周凸条
21c 段差状溝
21d 外周面
21e 立上り面
22 第一弾性体
3 カップリング部
30A,31B 第二成形体
31 プーリ
31a プーリ本体
31b ポリV溝
31d テーパ状内向き鍔部
31e 環状段差部
31g 係合孔
32 第二弾性体
33 環状ストッパ
4 第一ベアリング
5 第二ベアリング
S ラビリンスシール

Claims (4)

  1. ハブ(1)に第一弾性体(22)を介して環状質量体(21)を弾性的に連結した動的吸振部(2)と、前記ハブ(1)に第二弾性体(32)を介してプーリ(31)を弾性的に連結したカップリング部(3)とを備え、前記第一弾性体(22)が、前記環状質量体(21)と前記ハブ(1)の軸方向対向面間に接着され、前記プーリ(31)が、第一ベアリング(4)を介して前記環状質量体(21)に支持されると共に、前記ハブ(1)に第二ベアリング(5)を介して支持されたことを特徴とするトルク変動吸収ダンパ。
  2. ハブ(1)が、第一弾性体(22)を介して環状質量体(21)に弾性的に連結された外環(14)と、第二弾性体(32)を介してプーリ(31)に弾性的に連結された内環(15)との結合体であることを特徴とする請求項1に記載のトルク変動吸収ダンパ。
  3. プーリ(31)とハブ(1)又は環状質量体(21)との間の隙間が、第一ベアリング(4)の介装位置の外側で屈曲した断面形状をなしてラビリンスシール(S)を形成していることを特徴とする請求項1に記載のトルク変動吸収ダンパ。
  4. ラビリンスシール(S)が、プーリ(31)とハブ(1)又は環状質量体(21)との相対的な軸方向変位を制限する環状ストッパ(33)により形成されたことを特徴とする請求項3に記載のトルク変動吸収ダンパ。
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