JP2004143386A - 水性インク - Google Patents

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Abstract

【課題】普通紙上・専用紙上の区別無く滲みが少なく、光沢性・定着性を有する画像を実現できる水性インクの提供。更に、インクジェット印刷にあっては吐出安定性が優れる水性インクの提供。
【解決手段】着色成分、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクにおいて、該着色成分として顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなる水性インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式に用いられる水性インクに関し、特に普通紙やインクジェット印刷に通常用いられる光沢系メディア等の印刷媒体上での印刷品質に優れた水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年来、インクジェットプリンタ用インクに求められる特性としては、印刷画像の耐水性や耐光性等の堅牢性が良好であること、また、印刷媒体種によらずに不規則なインクの流れや付着したインク小滴より大きく広がること(以下これを“滲み”とする)等の不具合が無いこと、更に印刷媒体種によらずに印刷画像濃度が高く印刷品質に優れていることが挙げられる。
【0003】
こうした目的のうち、印刷画像の堅牢性確保に対しては、着色成分として染料の代わりに堅牢性に優れる顔料を利用することが検討されてきている。顔料は、染料と異なり水への溶解性がないため、顔料を水中に微粒子状態で分散することが必要であるが、この分散状態を安定して保つことが非常に困難である。そのために、顔料を水中に安定して分散させる技術が種々提案されており、その手段として、“(a)分散性付与物質を使用する方法”、“(b)顔料粒子表面に分散性付与基を化学結合させる方法”、が主に検討されている。
【0004】
“(a)分散性付与物質を使用する方法”については、分散性界面活性剤を用いる方法(例えば、特許文献1参照)、または疎水部と親水部を有する水溶性分散ポリマーを用いる方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、着色成分の表面を高分子で被覆する方法として、インクジェットプリンタ用インクとして、染料インクを内包したマイクロカプセルを用いる方法(例えば、特許文献3参照)、水に不溶な溶媒に色素を溶解または分散させこれを分散性界面活性剤で水中に乳化したマイクロカプセル化色素を用いる方法(例えば、特許文献4参照)、水、水溶性溶媒並びにポリエステルの少なくとも1種に昇華性分散染料を溶解または分散させた内包物を含むマイクロカプセルを記録液に使用する方法(例えば、特許文献5参照)、着色された乳化重合粒子と水性材料からなるインキ組成物(例えば、特許文献6参照)、転相乳化反応や酸析法による方法(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
【0005】
“(b)顔料粒子表面に分散性付与基を化学結合させる方法”については、その一例として顔料微粒子の表面にスルホン酸基を導入する技術が検討されており、例えば、活性プロトンを有さない溶剤中に分散させた有機顔料をスルホン化剤で処理して得られる“スルホン化表面処理有機顔料”を含むインクジェット用インク及びこのインクジェット用インクは、安定な分散性を有し、ノズルでの吐出安定性が良好であるとされている(例えば、特許文献8参照)。また、スルホン酸基を導入した有機顔料塊状体を1価金属イオンで処理することにより、表面を正帯電させる有機顔料塊状体を調製することが記載されており、更に、その表面正帯電有機顔料塊状体から調製された顔料エマルジョン、分散剤及び水を含み、貯蔵安定性に優れた水系インク組成物が記載されている(例えば、特許文献9参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−301760号公報
【特許文献2】
特公平5−64724号公報
【特許文献3】
特開昭62−95366号公報
【特許文献4】
特開平1−170672号公報
【特許文献5】
特開平5−39447号公報
【特許文献6】
特開平6−313141号公報
【特許文献7】
特開平10−140065号公報
【特許文献8】
特開平10−110129号公報
【特許文献9】
特開平11−49974号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上挙げた従来例については、以下に述べる課題があった。
【0008】
従来の“(a)分散性付与物質を使用する方法”で分散された分散体を用いた場合、インク中に浸透性界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が存在すると、分散体表面の分散性付与物質(例えば水溶性樹脂、分散性界面活性剤等)の脱離が起こりやすくなり、その水性インクの保存安定性が劣るという課題があった。通常の水性インクは印刷媒体に対する滲みを低減させるため、浸透性界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が必要である。これらの物質を用いないインクでは印刷媒体に対する浸透性が不充分となり、滲みの少ない印刷を行なうためには印刷媒体種が制限され、それ以外の印刷媒体種では印刷画像品質の低下を引き起こしやすくなるという課題があった。
【0009】
また、従来の分散体に本発明で用いるような浸透剤(アセチレングリコール、アセチレンアルコール、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコール等)を用いると長期の保存安定性が得られず、また水分・溶剤等の蒸発によりインクが乾燥した場合、その乾燥インクの再溶解性が悪いためインクジェットヘッドのノズルや筆記具のペン先等で詰まり易くなるという課題を有していた。
【0010】
更に、従来の分散体を用いた場合、顔料の分散に寄与せずに脱離した一部の分散性付与物質がインク系中に浮遊し、そのために粘度が高いものになってしまうという課題があった。粘度が高くなると顔料等の着色剤添加量が制限され特に普通紙において充分な画質(特に印刷濃度)が得られない。
【0011】
また、“(b)顔料粒子表面に分散性付与基を化学結合させる方法”では顔料表面に定着成分がないため、印刷画像の耐摩擦性に乏しいという問題点があった。そのため、特開平10−110129号公報には、水溶性樹脂を添加することにより定着性を改善する旨が記載されている。
【0012】
しかし、特開平10−110129号公報に記載の組成インクでは、カラー写真と同等以上の高品質な印刷画像を要求される光沢紙、光沢フィルムシート等の光沢系メディア上に画像を形成した場合、インクの浸透性に乏しい。その結果、インクが印刷媒体表面に残る状態となってそのまま乾燥してしまい印刷媒体との接着性がないため、耐摩擦性に乏しいという問題点があった。
【0013】
更に、特にフルカラー印刷時において、2色以上インクが重なったり接したりする部分でインク間の混合が生じ、滲みが発生するという問題点があった。
【0014】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、その目的とするところは、普通紙や光沢系メディア等の印刷媒体種によらずに印刷画像に滲みが少なく高発色で定着性・色再現性・光沢性に優れ、かつインクジェット印刷にあっては更に吐出安定性に優れる水性インクを提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性インクは、着色成分、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクにおいて、該着色成分として顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の水性インクは、前記分散体及び前記顔料粒子がC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の水性インクは、前記着色成分中の前記分散体に含まれる顔料と前記顔料粒子との比率が重量換算で9:1〜1:1の範囲であることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の水性インクは、前記浸透剤が、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、1,2−アルキレングリコールから選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明による水性インクは、着色成分の分散安定性に優れ、普通紙や光沢系メディア等の印刷媒体種によらずに印刷画像に滲みが少なく高発色で定着性・光沢性に優れ、かつインクジェット印刷にあっては吐出安定性に優れるなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
【0020】
本発明の水性インクに使用する着色成分は、顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にし、かつその分散ポリマー中の芳香環の量がその分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体、及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなる。
【0021】
ここで、該分散体に用いる分散ポリマー中の芳香環の量が分散ポリマーの20重量%以上であることで、その分散ポリマーは疎水性表面の顔料に好適に吸着することが可能となる。また、その吸着した分散ポリマーは本発明で好適に用いる浸透剤を添加しても顔料からの脱離が生じ難くなるため保存安定性に優れている。また、芳香環の量が70重量%を超えると水中での分散が難しくなり、逆に安定性が得られなくなる。より好ましくは25重量%〜50重量%の範囲である。
【0022】
該顔料粒子は、その表面に硫黄含有分散性付与基を有する。水性インク中では硫黄含有分散性付与基がイオン解離することで顔料粒子間及び分散体粒子間に静電反発力が働くため安定的に分散している。また、硫黄含有分散性付与基が顔料粒子表面に化学的に結合しているため、本発明で好適に用いる浸透剤を添加しても顔料粒子表面からの脱離が生じないので分散安定性に優れている。
【0023】
以下に本発明の水性インクの構成要素について説明する。
【0024】
<着色成分>
本発明の水性インクには、着色成分として、顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体、及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなる。ここで、該分散体及び該顔料粒子には顔料が用いられる。以下に、本発明の水性インクに用いる顔料を詳細に説明する。
【0025】
(顔料)
本発明の水性インクに含まれる着色成分に用いられる顔料としては、有機または無機顔料を好適に用いることができるが、特に以下に述べる顔料を用いると、印刷媒体種によらずに発色性の良好な画像が得られるので好ましい。具体的には、黒色系としてはファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、またはアニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)が、黄色系としてはC.I.ピグメントイエロー74、110、128、180が、赤色系としてはC.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ)、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19が、青色系としてはC.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16が挙げられる。
【0026】
以上述べた顔料の添加量は、水性インク全量に対して0.5〜30重量%の範囲が好ましい。より好ましくは1〜12重量%の範囲である。顔料濃度が0.5重量%未満の添加量では印刷濃度が薄すぎて発色性に関して所望の目的を達成できなくなり、また30重量%より多い添加量ではインクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
【0027】
また、顔料の粒径は分散安定性の観点から5μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下(300nm以下)、更に好ましくは0.01〜0.15μm(10〜150nm)の範囲である。
【0028】
分散方法は超音波分散、ビーズミル、サンドミル、ロールミルなどによる方法などの分散方法を用いることができる。
【0029】
(分散体)
上記に述べた顔料を含む着色成分の一つとして、本発明の水性インクでは分散体を含んでなる。その分散体は、前記の顔料を包含してそれを水中に分散可能とし、かつ分散ポリマー中の芳香環の量がその分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲であるものである。分散ポリマーを形成する物質の疎水基が少なくともアルキル基、シクロアルキル基または芳香環から選ばれた1種以上であることが好ましいが、芳香環の量を上記の範囲にすることが好ましい。芳香環を分散ポリマー中に含ませる場合は、アリール基(具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等)及び/またはそれらの誘導体、その他の芳香環及び/またはそれらの誘導体の形態で含ませることができる。また、前記分散ポリマーを形成する物質中に親水性官能基を有しているのが好ましく、その親水性官能基は少なくともカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びそれらの塩基であることが好ましい。それら分散ポリマーを形成する物質の具体例として二重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類を用いることができる。
【0030】
上記の分散ポリマーを構成するモノマーとしては、具体的には、芳香環を分散ポリマー中に含ませるには、例えばスチレン、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。またその他のモノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等を用いることができる。また上記の一官能基モノマーの他に、分散ポリマー中に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール及び1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
【0031】
また、芳香環を含むポリマーとしてスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリイミドと、その他のポリマーとしてポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、含珪素分散ポリマー、含硫黄分散ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とするようにこれらの分散ポリマーを添加しながら作成することもできる。
【0032】
重合開始剤は過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができる。
【0033】
本発明の水性インクで用いる分散ポリマーは、乳化重合で調製することもでき、その際には連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、t−ドデシルメルカプタンの他にn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどが挙げられる。
【0034】
また、本発明の水性インクは、その好ましい態様によれば、前述の顔料を包含する分散ポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素分散ポリマー、含硫黄分散ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とするものからなる。本発明の水性インクに含まれている浸透剤として好適な、詳細には後述するが、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質は、顔料等の水不溶性着色剤を水中に分散させるのに従来用いられてきた分散剤(例えば水溶性樹脂、分散性界面活性剤等)と親和性が高く、インク中にそれら物質を添加すると分散剤が着色剤表面から脱離しやすくなる。そして脱離した分散剤がインク中に浮遊し、それが原因でインクジェットヘッドのノズルを濡らしてインクの飛翔が乱れるという現象が生じやすい。また前記着色剤の分散性が不安定となりやすい。しかし、上記の分散ポリマーを用いて好適な分散を行なうことで分散ポリマーが安定して前記着色剤を包含し、また着色剤表面から脱離しにくいので上記のような不具合がなく好ましい。
【0035】
更に、本発明の水性インクは、前述の分散ポリマーが少なくとも重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体であっても好適に用いることができる。ここで、重合性基を有する分散剤とは少なくとも疎水基、親水基及び重合性基を有するもので、重合性基はアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基等であり、共重合性基も同じくアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基等になる。インクジェットプリンタ用の水性インクとしては粒径が比較的揃っていた方が目詰まりや吐出の安定性の観点から好ましいので、顔料を分散ポリマーで包含した分散体は、乳化重合または転相乳化法によって製造されることが好ましい。また、分散ポリマー中の芳香環が本発明の範囲にあり、かつ好適な分散剤による好適な分散をすることによって堅固な分散ポリマーになり、本発明の水性インクで用いる浸透剤として好適なアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、グリコールエーテル類及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質の添加によっても顔料から分散ポリマーが脱離しにくいため、長期間に渡って分散安定性が得られるので好ましい。
【0036】
前述の顔料を分散ポリマーで包含した分散体は、重合性基を有する分散剤で該顔料を分散させた後、該分散剤と共重合可能なモノマーと重合開始剤を用いて水中で乳化重合されたものも好適に用いることができる。
【0037】
(顔料粒子)
上記に述べた顔料を含む着色成分のもう一つの成分として、本発明の水性インクでは硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなる。硫黄含有分散性付与基としては、硫黄原子を含有し、しかも水中分散性を付与する官能基であれば特に限定されないが、好ましくは、スルフィン酸(−RSO )基又はスルホン酸(−SO )基を挙げることができる。本発明の水性インクに含まれる顔料粒子においては、前記の分散性付与基が、少なくとも粒子表面上に存在すればよく、粒子内部に含まれていてもよい。
【0038】
本発明の水性インクに含まれる硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子は、前記の顔料から、公知の方法によって調製することができる。例えば、特開平8−283596号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報、又は特開平10−110114号公報に記載の方法で調製される水系分散液の形で、前記の硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を得ることができる。
【0039】
硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含む水系分散液の調製方法の一例を示せば、以下のとおりである。
【0040】
微細な粒子状の顔料を、顔料の3〜200重量倍量の非プロトン性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン又はスルホラン)中に入れ、顔料の分散処理を行ないながら、スルホン化剤で処理する。スルホン化剤としては、例えば、スルホン化ピリジン塩、スルファミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄、発煙硫酸、又は硫酸等を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。スルホン化剤による処理は、加熱(約60〜200℃)下及び撹拌下で行なうことができ、加熱は、スルホン化剤の添加前又は添加後に行なうことができる。
【0041】
スルホン化処理の後、得られた顔料スラリーから、非プロトン性溶媒と残留するスルホン化剤とを除去する。除去処理は、水洗、限外濾過、逆浸透、遠心分離、及び/又は濾過等を繰り返して実施することができる。
【0042】
続いて、スルホン化処理顔料を、10〜40重量%程度の濃度になるように水性液体(特に、イオン交換水又は蒸留水)中に添加し、更に場合により通常の分散処理を短時間行なうことにより、顔料の乾燥工程を経ずに、顔料水性分散液を得ることができる。
【0043】
本発明の水性インクに含まれる前記顔料粒子における前記分散性付与基の導入量は、顔料粒子1g当たり、好ましくは10×10−6当量以上である。分散性付与基の導入量が、顔料粒子1g当たり10×10−6当量未満であると、水性インク中での分散安定性が低下するだけでなく、印刷濃度が低く滲みの多い画像となる場合がある。前記分散性付与基の導入量は、顔料水性分散体を酸素フラスコ燃焼法で処理し、過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法で硫酸イオン(2価)を定量し、スルホン酸基及びスルフィン基に換算することによって測定することができる。
【0044】
本発明の水性インクは、着色成分として前述した分散体及び顔料粒子を用いるが、その好ましい態様によれば、水性インク中の前記分散体に含まれる顔料と前記顔料粒子との比率が重量比で9:1〜1:1の範囲である。この範囲にすることで、水性インク中着色成分の分散安定性及び印刷画像の定着性・光沢性・発色性・滲みに対して、優れた効果が得られる。9:1より前記顔料粒子の量が少ないと印刷画像の発色性において所望の効果が得られない場合があり、1:1より前記顔料粒子の量が多いと印刷画像の定着性・光沢性に対して所望の効果が得られにくくなる。
【0045】
<浸透剤>
本発明の水性インクは、上述した着色成分(分散体、顔料粒子)の他に、浸透剤、保湿剤、水を少なくとも含んでなる。浸透剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、1,2−アルキレングリコールから選ばれる1種以上である。浸透剤としてこれらを添加することにより印刷物の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印刷部分が次の印刷媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特にインクジェット印刷方法にあっては高速印刷が可能となる。
【0046】
そして、本発明の水性インクは、その好ましい態様によれば、前述のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、炭素数4〜10のアルキルエーテルである。その中でも、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエ−テル及び/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましく、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオール及び/または1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。
【0047】
また本発明の水性インクは、前述のジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質の添加量が水性インク全量に対して0.5重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。0.5重量%未満では浸透性向上の効果が低く印刷品質が向上しない。30重量%を超えると粘度上昇によりインクジェットヘッドでは吐出しにくくなるため使いづらく、またそれ以上添加しても印刷品質向上の効果がない。より好ましくは1重量%〜15重量%の範囲である。
【0048】
また本発明の水性インクは、その好ましい態様によれば、前述のアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上を水性インク全量に対して0.1重量%〜5重量%の範囲で含む。5重量%を超えると印刷品質向上の効果が頭打ちであり、また粘度上昇によりインクジェットヘッドでは吐出しにくくなるため使いづらく、更にヘッドの先端にインクが付着しやすくなるためインクドットの飛翔が曲がって印刷が乱れやすくなる。0.1重量%未満では印刷品質向上の効果が低くなる。より好ましい添加量は0.15重量%〜2重量%の範囲である。
【0049】
そして、本発明の水性インクは、その好ましい態様によれば、上記浸透剤として、少なくとも前述のアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上を同時に含む。アセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤とジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上は同時に用いる方が印刷品質向上の面で有利である。
【0050】
そして、本発明の水性インクは、前述のアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上が水性インク全量に対して0.01重量%〜0.5重量%の範囲であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上が1重量%以上であることが好ましい。アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上は少量で浸透性を向上させる効果がある。従って、0.5重量%以下であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上は1重量%以上であることで印刷品質が更に向上する。
【0051】
本発明の水性インクは、前述の1,2−アルキレングリコールが炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールであり、水性インク全量に対する添加量が10重量%以下であることが好ましい。10重量%を超えると粘度上昇によりインクジェットヘッドでは吐出しにくくなるため使いづらく、それ以上添加しても印刷品質向上の効果がない。しかし、筆記具用としてはこれに限定されない。より好ましくは1重量%〜8重量%の範囲である。また、炭素数が4未満であると上記範囲より多く添加しても浸透性向上の効果が得られにくく、炭素数が10を超えると水溶性が低いので本発明のような水性インクには使用しづらい。
【0052】
前述の1,2−アルキレングリコールのうち、本発明の水性インクに特に好適に用いられるものとしては1,2−ペンタンジオールまたは1,2−ヘキサンジオールである。1,2−ペンタンジオールの添加量は、水性インク全量に対して3重量%〜10重量%の範囲が好ましい。3重量%未満であると浸透性向上の効果が低く、そのため印刷画像に滲みの発生が多い。反対に10重量%を超えると粘度が高くなりインクジェットヘッドでは吐出しにくくなるため使いづらい。1,2−ヘキサンジオールの添加量は水性インク全量に対して0.5重量%〜10重量%が好ましい。0.5重量%未満であると浸透性向上の効果が低く、そのため印刷画像の滲みが多い。反対に10重量%を超えると粘度が高くなりインクジェットヘッドでは吐出しにくくなるため使いづらい。
【0053】
本発明の水性インクは、前述のアセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5重量%以上のときはその1,2−アルキレングリコールとの重量比が1:0〜1:50の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば普通紙及び光沢系メディア上でも、滲みの少ない印刷品質に優れた画像が得られるので好ましい。1,2−アルキレングリコールがアセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の50倍を超えると印刷品質の向上効果が頭打ちでありそれ以上添加しても効果が低く、逆に粘度上昇の弊害を生じる。
【0054】
そして、本発明の水性インクは、更に前述の(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルを10重量%以下含むことが好ましい。10重量%を超えると印刷品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害と水溶性が低いので溶解助剤の添加が必要になってくる。より好ましくは0.5重量%〜5重量%の範囲である。
【0055】
本発明の水性インクは、前述のアセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルの重量比が1:0〜1:10の範囲であることが好ましい。(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルがアセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印刷品質の向上効果が頭打ちでありそれ以上添加しても効果が低く、逆に粘度上昇の弊害を生じる。
【0056】
本発明の水性インクは、前述のジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルを20重量%以下含むことが好ましい。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとはジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、“DEGmBE”と記載する場合がある)及び/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、“TEGmBE”と記載する場合がある)を示すが、印刷品質改良のための浸透性の必要レベルとして、20重量%以下の添加が好ましい。20重量%を超えると印刷品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害が生じる。より好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲である。
【0057】
本発明の水性インクは、前述のアセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5重量%以上であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとの重量比が1:0〜1:10の範囲であることが好ましい。アセチレングリコール及び/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍まで添加することが印刷品質の観点から好ましい。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルはアセチレングリコール系の界面活性剤の溶解性を向上させることと印刷品質の向上に役立つが、10倍を超える添加量ではそれらの効果が頭打ちになるのでインクジェット用水性インクとしては使用しにくくなる。
【0058】
<保湿剤>
本発明の水性インクは、上述した着色成分(分散体、顔料粒子)、浸透剤の他に、保湿剤と水を少なくとも含んでなる。保湿剤とは、インクジェットのノズル先端や筆記具のペン先で乾燥を抑えるために必要なものであり、そのような特性を示すものとしては、水溶性・高沸点低揮発性の多価アルコール類、含窒素有機溶剤、含硫黄有機溶剤、糖類などが好ましい。
【0059】
多価アルコール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0060】
また、含窒素有機溶剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0061】
また、含硫黄有機溶剤の具体例としては、2,2’−チオジエタノール、チオジグリコールなどが挙げられる。
【0062】
更に、糖類としては単糖類及び多糖類があり、その具体例としてはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。
【0063】
以上述べた保湿剤の水性インク全量に対する添加量は0.05重量%〜30重量%の範囲が好ましい。0.05重量%未満ではインクがヘッドのノズル先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30重量%を超えるとインクの粘度が上昇して適切な印刷ができなくなる。より好ましい添加量は3〜20重量%の範囲である。糖類のアルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の添加量にする必要がある。
【0064】
本発明の水性インクは、以上述べた着色成分(分散体、顔料粒子)、浸透剤、保湿剤、水を基本構成物質とすることにより、印刷媒体種によらずに滲みの少ない、発色性・色再現性・定着性・光沢性に優れた印刷画像を実現できる。その理由としては未だ明確ではないが、以下のように推定している。
【0065】
すなわち、着色成分である分散体及び顔料粒子は、水性インク中では分散体はそれの表面に有する親水性基(カルボキシル基、スルホン酸基等)が、顔料粒子はそれの表面に有する硫黄含有分散性付与基が、イオン解離することで分散体粒子や顔料粒子間に静電反発力が働くため安定的に分散している。この水性インクが印刷媒体に付着した時に印刷媒体中のイオン性物質、例えばマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属イオンが水性インク中に溶け出し、それによって前記の親水性基・硫黄含有分散性付与基(特には、スルフィン酸基又はスルホン酸基)と前記イオン性物質とが塩析反応により結合して、粒子同士が凝集することにより、水性インク中の液性成分(分散体粒子、顔料粒子を除いた液状のインク成分)との分離が生じる。その結果、粒子凝集物がまず印刷媒体表面に沈降吸着して、その後に液性成分が印刷媒体表面や中へ浸透拡散する。そのため、滲みの少ない印刷画像が得られるものと思われる。
【0066】
その際、顔料粒子は、顔料粒子表面に印刷媒体に対しての定着成分がないが、分散体に使用されている分散ポリマーの皮膜化に伴い、この分散ポリマーを仲立ちとして顔料粒子同士が強固に接着する。また、水性インクが乾燥するのに伴い、液性成分中の前記浸透剤が分散ポリマーの一部を伴って印刷媒体中に浸透拡散していく為、顔料粒子が分散ポリマーを仲立ちとして印刷媒体に対して強固に接着する。その為、画像の耐摩擦性に優れるものと思われる。また、画像の平滑性が、顔料粒子の周りに分散ポリマーが皮膜化することによって発現する為、光沢性に優れた画像が実現できるものと思われる。
【0067】
<その他の添加剤>
本発明の水性インクは、上述した着色成分(分散体、顔料粒子)、浸透剤、保湿剤、水を少なくとも含んでなるが、その他に放置安定性の確保、インク吐出ヘッドからの安定吐出達成等の目的で溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート剤等種々の添加剤を添加する場合がある。以下、それらを例示する。
【0068】
溶解助剤及び/あるいは浸透制御剤としては、水と相溶性を有し、インクに含まれる水溶性の低いグリコールエーテル類やインク成分の溶解性を向上させ、更に普通紙等の印刷媒体に対する浸透性を適宜制御させ、あるいはノズル先端やペン先の目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、本発明の水性インクセットに使用する水性インクに以下のものを含ませることができる。具体的には、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
【0069】
また、本発明の水性インクには更に普通紙やインクジェット専用紙(特に光沢系メディア)等の印刷媒体への浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は前述したアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤あるいはシリコン系界面活性剤である浸透性界面活性剤が好ましいが、それ以外でも必要に応じて用いることができる。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0070】
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどのアミン類及びそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)などの無機塩類、炭酸(水素)カリウム、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいは尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸及びその塩などを用いることができる。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
【0071】
更に、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどを用いることができる。
【0072】
【実施例】
次に具体的な実施の形態について説明する。
【0073】
本発明において示す着色成分の例として、以下の実施例及び比較例では一部の有機または無機顔料を用いた場合について述べているが、これらに限定されず本発明に好適な着色剤として例示した有機・無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
【0074】
また、本発明の水性インクに用いる着色成分としての分散体においては、以下に例示した実験例の他に、顔料を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
【0075】
(ブラック分散体1の製造)
ブラック分散体1は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン30部、α−メチルスチレン10部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部及びアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して50%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
【0076】
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%のブラック分散体1とした。
【0077】
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−dを用いた13C−NMR及びH−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は50%であった。
【0078】
(ブラック分散体2の製造)
ブラック分散体2は、着色剤としてカーボンブラックであるラーベンC(商品名;コロンビアカーボン株式会社製、C.I.ピグメントブラック7)を20部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0079】
(ブラック分散体3の製造)
ブラック分散体3は、着色剤としてカーボンブラックであるピグメントブラックA(商品名;BASF社製、C.I.ピグメントブラック1)を46.7部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0080】
(イエロー分散体1の製造)
イエロー分散体1は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー180を30部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0081】
(イエロー分散液2の製造)
イエロー分散体2は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー74(不溶性モノアゾ顔料)を46.7部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0082】
(イエロー分散体3の製造)
イエロー分散体3は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー128(縮合アゾ顔料)を80部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0083】
(マゼンタ分散体1の製造)
マゼンタ分散体1は、着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料)を30部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0084】
(マゼンタ分散体2の製造)
マゼンタ分散体2は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド202(キナクリドン顔料)を46.7部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0085】
(マゼンタ分散体3の製造)
マゼンタ分散体3は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料)を80部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0086】
(シアン分散体1の製造)
シアン分散体1は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料)を30部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0087】
(シアン分散体2の製造)
シアン分散体2は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料)を20部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0088】
(シアン分散体3の製造)
シアン分散体3は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー16(無金属フタロシアニン顔料)を13.3部用いた他は、ブラック分散体1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
【0089】
(ブラック顔料粒子1の製造)
カーボンブラック(三菱化学社製「MA−7」)15部をスルホラン200部中に混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で1時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、120℃に加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去したのち、150℃に温度制御した。次いで、三酸化硫黄25部を加えて6時間反応させ、反応終了後、過剰なスルホランで数回洗浄した後、水中に注ぎ濾過することでブラック顔料粒子1を得た。
【0090】
得られたブラック顔料粒子1を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、スルホン酸基に換算したところ、分散性付与基の導入量は顔料1g当たり、50×10−6当量であった。
【0091】
(イエロー顔料粒子1の製造)
C.I.ピグメンイエロー110(イソインドリノン顔料)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散させ、分散終了した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、120℃に加熱し系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、反応剤としてスルホン化ピリジン錯体20部を加えて4時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄してから水中に注ぎ、濾過することによりイエロー顔料粒子1を得た。
【0092】
得られたイエロー顔料粒子1を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、スルホン酸基に換算したところ、分散性付与基の導入量は顔料1g当たり、49×10−6当量であった。
【0093】
(マゼンタ顔料粒子1の製造)
C.I.ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散させ、分散終了した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、120℃に加熱し系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、反応剤としてスルホン化ピリジン錯体20部を加えて4時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄してから水中に注ぎ、濾過することによりマゼンタ顔料粒子1を得た。
【0094】
得られたマゼンタ顔料粒子1を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、スルホン酸基に換算したところ、分散性付与基の導入量は顔料1g当たり、35×10−6当量であった。
【0095】
(シアン顔料粒子1の製造)
C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら120℃に加熱し、系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、スルホン化ピリジン錯体20部を加えて8時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄した後に水中に注ぎ、濾過することでシアン顔料粒子1を得た。
【0096】
得られたシアン顔料粒子1を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、スルホン酸基に換算したところ、分散性付与基の導入量は顔料1g当たり、58×10−6当量であった。
【0097】
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明の水性インクに好適なインク組成の例を示す。以下の組成例中の添加量は全て重量%で示してあるが、着色成分(分散体、顔料粒子)についてはその固形分について示す。<>は以下の各実施例、比較例で得た水性インクを、顔料濃度が0.001〜0.01重量%(顔料により測定時の最適濃度が若干異なるため)になるように、イオン交換水で希釈し、その分散粒子の“20℃における平均粒径”を、粒度分布計(大塚電子社製ELS−800)で測定した値をnm単位で示す。なお、本実施例中の残量の水と示す中にはインクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05重量%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02重量%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04重量%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
【0098】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
【0099】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
【0100】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0101】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0102】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0103】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0104】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0105】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
【0106】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0107】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0108】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0109】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
【0110】
(比較例)
(比較例1)ブラックインク4の調製
比較例1では、着色剤としてブラック分散体1に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤として高分子分散剤と界面活性剤を用い、本比較例1のブラックインク4を調製した。その組成を以下に示す。
【0111】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン株式会社製、C.I.ピグメントブラック7)を、非イオン系界面活性剤はノイゲンEA160(商品名、第一工業製薬株式会社製)を、高分子分散剤はソルスパース27000(商品名、アビシア社製)を示す。上記組成物をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって、比較例1によるブラックインク4を作成した。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
【0112】
(比較例2)
本比較例2では、シアン顔料粒子1を用い、特開平10−110129号公報に記載と同じ組成の水性インクを調製した。具体的な組成を以下に示す。
【0113】
Figure 2004143386
なお、上記組成中、ジョンクリル61Jはスチレン−アクリル酸共重合体(商品名、ジョンソンポリマー株式会社製、30.5%水溶液)を示す。
【0114】
(水性インクの評価)
<▲1▼普通紙上及び光沢系メディア上での印刷品質の評価>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクを、インクジェットプリンタPM−4000PX(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上に1〜20ポイントの文字を1ポイント刻みで印刷して、その文字の滲みによる印刷品質を評価した。この評価で用いた普通紙はヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている普通の紙で(1)Conqueror紙、(2)Reymat紙、(3)Mode Copy紙、(4)Rapid Copy紙、(5)Xerox P紙、(6)Xerox 4024紙、(7)Xerox 10紙、(8)Neenah Bond紙、(9)Ricopy 6200紙及び(10)Hammer mill Copyplus紙であり、評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表1に示した。なお、表1中の印刷媒体種に示した括弧数字は上記の普通紙の名称に付した括弧数字と同一である。
【0115】
評価A:全てのポイントの文字において、滲みがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかに滲みが認められる(実用レベル)。
C:滲みのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:滲みが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
【0116】
【表1】
Figure 2004143386
【0117】
以上のように、本発明においては、普通紙上で滲みが少ない、高品質で実用性の高いインクジェット記録に好適な水性インクを提供することができる。
【0118】
<▲2▼光沢系メディア上での光沢性の評価>
上記実施例及び比較例で作成した水性インクを、インクジェットプリンタPM−4000PX(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、光沢系メディア上に720dpi×720dpiの解像度で、5%から100%まで5%刻みでdutyを変えたベタパターンを印刷して、その印刷物の光沢性を評価した。この評価で用いた光沢系メディアはヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている光沢系メディアで、(11)フォトプリント紙2、(12)MC写真用紙((11)、(12)とも商品名、セイコーエプソン株式会社製)、(13)Ink Jet Paper Photo Glossy Paper Super Photo Grade、(14)Ink Jet Paper Photo Paper High Grade((13)、(14)とも商品名、富士写真フィルム株式会社製)、(15)Ink Jet photographic Quality Paper photo Weight(商品名、コダック社製)、(16)Photolike QP QP20A4GH(商品名、コニカ株式会社製)である。評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表2に示した。なお、表2中の印刷媒体種に示した括弧数字は上記の光沢系メディアの名称に付した括弧数字と同一である。
【0119】
評価A:全てのベタパターンで光沢性が認められる。
B:100%dutyの印字部分がわずかに光沢性に欠けるが、実用上問題ないレベル。
C:50%duty以上の印字部分が光沢性に欠ける。
D:全てのベタパターンで光沢性に欠ける。
【0120】
【表2】
Figure 2004143386
【0121】
以上のように、本発明においては、インクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢系メディアにおいても、光沢性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録に好適な水性インクを提供することができる。
【0122】
<▲3▼印刷物の定着性の評価>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクを、インクジェットプリンタPM−4000PX(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、光沢系メディア上に文字印刷を行ない、その印刷物の定着性を評価した。この評価で用いた光沢系メディアは、<▲2▼光沢系メディア上での光沢性の評価>で使用したものと同一なものを用いた。評価は、印刷後一時間20〜25℃/40〜60%RH下で乾燥させた印刷物を用い、指で擦った後の文字のずれ・かすれ状態を目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表3に示した。なお、表3中の印刷媒体種に示した括弧数字は、表2と同様である。
【0123】
評価A:ずれ、かすれが認められない。
B:わずかにずれが認められるが、実用上問題ないレベル。
C:ずれ、あるいはかすれが認められる。
D:ずれ、かすれが甚だしく、文字が判読し難い。
【0124】
【表3】
Figure 2004143386
【0125】
以上のように、本発明においては、インクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢系メディアにおいても定着性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録に好適な水性インクを提供することができる。
【0126】
<▲4▼水性インクの保存安定性及び吐出安定性の評価>
上記実施例中の組成例及び比較例で調製した水性インクを、ガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で1週間放置し、放置前後でのインクの異物発生量、物性値(粘度、表面張力)について調べた。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表4に示した。
【0127】
評価A:60℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
【0128】
また、上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットの吐出安定性を評価した。評価方法は改造したインクジェットプリンタPM−4000PX(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に上記水性インクを各々搭載して、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷した時の印刷乱れを目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表4に示した。
【0129】
評価A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れがあったが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
【0130】
【表4】
Figure 2004143386
【0131】
以上述べた評価の結果から判るように、本発明による分散体を用いた水性インクは普通紙、光沢系メディアに関わらず良好な印刷品質を示し、また吐出安定性、保存性安定性に優れるインクジェット記録に好適な水性インクになることが判る。
【0132】
<▲5▼水性インクの安定性の評価>
ブラック分散体1の製造に用いた分散ポリマーにおいて、芳香環を含むモノマーであるスチレン及びα−メチルスチレンと、その他のモノマーであるブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリル酸との比率を変えることで分散ポリマー中の芳香環の量を変える重合を行なった。そしてこの分散ポリマーを用いてブラック分散体5〜12を製造し、実施例中の組成例1と同様の組成と方法にて水性インクを調製した。ブラック分散体5〜12においては、着色剤として用いたカーボンブラック顔料のモナーク880(商品名、キャボット製、C.I.ピグメントブラック7)と分散ポリマーの重量比をブラック分散体1と同様にした。以下にブラック分散体5〜12の組成を示す。また、ブラック分散体1と同様な方法にて分散ポリマー中の芳香環量を測定した結果を、分散体名の横に示した。
【0133】
(ブラック分散体5;分散ポリマー中の芳香環量:0重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:0部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:46部
ラウリルメタクリレート:30.7部
アクリル酸:6.1部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:0部
アクリル酸:46部
ブチルメタクリレート:153.3部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0134】
(ブラック分散体6;分散ポリマー中の芳香環量:10重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:6部
α−メチルスチレン:2.3部
ブチルメタクリレート:39.7部
ラウリルメタクリレート:26.5部
アクリル酸:5.3部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:30部
アクリル酸:39.7部
ブチルメタクリレート:132.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0135】
(ブラック分散体7;分散ポリマー中の芳香環量:20重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:12部
α−メチルスチレン:4.6部
ブチルメタクリレート:33.5部
ラウリルメタクリレート:22.3部
アクリル酸:4.5部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:60部
アクリル酸:33.5部
ブチルメタクリレート:111.7部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0136】
(ブラック分散体8;分散ポリマー中の芳香環量:25重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:15部
α−メチルスチレン:5.8部
ブチルメタクリレート:30.4部
ラウリルメタクリレート:20.2部
アクリル酸:4.1部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:75部
アクリル酸:30.4部
ブチルメタクリレート:101.2部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0137】
(ブラック分散体9;分散ポリマー中の芳香環量:30重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:18部
α−メチルスチレン:6.9部
ブチルメタクリレート:27.2部
ラウリルメタクリレート:18.2部
アクリル酸:3.6部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:90部
アクリル酸:27.2部
ブチルメタクリレート:90.8部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0138】
(ブラック分散体10;分散ポリマー中の芳香環量:60重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:36部
α−メチルスチレン:13.8部
ブチルメタクリレート:8.5部
ラウリルメタクリレート:5.7部
アクリル酸:1.1部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:180部
アクリル酸:8.5部
ブチルメタクリレート:28.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0139】
(ブラック分散体11;分散ポリマー中の芳香環量:70重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:42部
α−メチルスチレン:16.1部
ブチルメタクリレート:2.3部
ラウリルメタクリレート:1.5部
アクリル酸:0.3部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:210部
アクリル酸:2.3部
ブチルメタクリレート:7.6部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0140】
(ブラック分散体12;分散ポリマー中の芳香環量:73重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:67部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:0部
ラウリルメタクリレート:0部
アクリル酸:0部
t―ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:215部
アクリル酸:0部
ブチルメタクリレート:0部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
【0141】
以上述べた方法と材料にて調製した分散体を用いた水性インクについて、保存安定性評価を行なった。評価方法はインクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃に1週間放置し、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。評価判断基準は上記の<▲4▼水性インクの保存安定性及び吐出安定性の評価>に示した保存安定性評価と同様に行なった。その評価結果を表5に示した。
【0142】
【表5】
Figure 2004143386
【0143】
表5の結果から、本発明の分散ポリマー中の芳香環量が20重量%〜70重量%の範囲の場合に保存安定性が確保できることが判る。さらに、25重量%〜50重量%の範囲であると異物発生及び粘度変化が無く、好ましい形態であることが判る。
【0144】
以上のように、本発明においては、保存安定性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録に好適な水性インクを提供することができる。また、このような水性インクを組み合わせた水性インクを用いることで、以上述べた印刷物の印刷品質(滲み、光沢性)、定着性を評価した場合、何れの評価でも普通紙のみならずインクジェット記録に通常用いられる光沢系メディアにおいても優れた印刷物特性を示すことが判る。
【0145】
以上より、従来のように一般的な分散剤(例えば水溶性高分子分散剤、界面活性剤)で分散させた場合は本発明で好ましいとする浸透剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため充分な印刷品質が得られない。しかし、本発明の水性インクに用いるような、顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中のベンゼン環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子とを着色成分として用いた場合、上記浸透剤を含んだ水性インクにおいても、普通紙・光沢系メディア双方とも充分な印刷品質や定着性を有しながら保存安定性や吐出安定性を確保した、インクジェット記録に好適な水性インクが提供できる。更に、本発明の水性インクには顔料を用いるので、インクジェットプリンタ用インクの着色剤として従来多く用いられている染料を用いる場合より、耐水性や耐光性に優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆する分散ポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、さらなる多彩な機能(印刷物の更なる耐光性、耐ガス性、着色性、光沢性、定着性などの向上機能)を持たせることができるという効果も有する。従来、顔料を水系に分散させるために用いられてきた分散剤(例えば、水溶性高分子分散剤、界面活性剤等)を用いる場合は、基本的に顔料に対する分散剤の吸着力が弱く、その為に部分的な脱離が起こる。その結果、その脱離物や吸着されなかった分散剤によりインクの粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され充分な発色を得ることが難しい。特に本発明で好ましいとする浸透剤を用いると、その脱離が著しい。
【0146】
なお、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
【0147】
【発明の効果】
以上述べたように、着色成分、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクにおいて、該着色成分として顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなる水性インクを用いれば、普通紙上・専用紙上の区別無く滲みが少なく、光沢性・定着性を有する水性インクを提供できる。更に、インクジェット記録にあっては吐出安定性が優れる水性インクを提供できるという効果を有する。
【0148】
また、本発明の水性インクに使用する着色成分は、筆記具用インクにも好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 着色成分、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクにおいて、該着色成分として顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体及び硫黄含有分散性付与基を表面に有する顔料粒子を含んでなることを特徴とする水性インク。
  2. 前記分散体及び前記顔料粒子がC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記着色成分中の前記分散体に含まれる顔料と前記顔料粒子との比率が重量比で9:1〜1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の水性インク。
  4. 前記顔料粒子が、硫黄を含む処理剤によりその粒子表面に−SOM及び/又は−RSOM(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は、有機アンモニウムイオンを示す)が化学結合するように表面処理され、水に分散及び/又は溶解が可能なものとされたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性インク。
  5. 前記浸透剤が、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、1,2−アルキレングリコールから選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水性インク。
  6. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、かつ炭素数4〜10のアルキルエーテルであることを特徴とする請求項5に記載の水性インク。
  7. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルがジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエ−テル及び/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることを特徴とする、請求項5あるいは6に記載の水性インク。
  8. 前記1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオール及び/または1,2−ペンタンジオールであることを特徴とする、請求項5に記載の水性インク。
  9. 前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1重量%〜5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項5に記載の水性インク。
  10. 前記浸透剤が、少なくとも前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上と、を含んでなることを特徴とする、請求項1あるいは5に記載の水性インク。
  11. 前記分散体に含まれる分散ポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素分散ポリマー、含硫黄分散ポリマーからなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性インク。
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