JP2004134095A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程のリードタイムを短くして製品コストを下げる。
【解決手段】前面基板10と背面基板13の互いに対向される側にそれぞれ保護層(MgO層)12と蛍光体層15を形成し、この保護層(MgO層)12が形成された前面基板10と蛍光体層15が形成された背面基板13に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施す。
【選択図】 図3
【解決手段】前面基板10と背面基板13の互いに対向される側にそれぞれ保護層(MgO層)12と蛍光体層15を形成し、この保護層(MgO層)12が形成された前面基板10と蛍光体層15が形成された背面基板13に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施す。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、交流駆動方式の反射型プラズマディスプレイパネル(PDP)のパネル構造を示す縦断面図である。
【0003】
このPDPの前面基板1の内面側に、それぞれITOなどからなる透明電極Xa,Yaと銀などの厚膜電極からなるバス電極Xb,Ybとによって構成される行電極XとYが対になった行電極対(X,Y)と、この行電極対(X,Y)を被覆する誘電体層2と、この誘電体層2を被覆するMgOなどからなる保護層3が形成されている。
【0004】
また、背面基板4の前面基板1に対向する内面側には、行電極対(X,Y)と交差する方向に延びて行電極対(X,Y)と交差する位置の放電空間S内に放電セルCを構成する列電極Dと、この列電極Dを被覆する列電極保護層5と、この列電極保護層5上に各放電セルC毎に赤,緑,青に色分けされた蛍光体層6と、放電空間Sを各放電セルC毎に区画する隔壁(図示せず)が形成されている。
【0005】
そして、放電空間S内には、キセノンXeを5〜20%含むネオンNeとの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
【0006】
蛍光体層6は、放電によってXeガスから放出される真空紫外線(波長147nm)によって励起されることにより発光する。
【0007】
図2は、上記のような構成のPDPの従来の製造工程を示す工程説明図である。
この図2の前面基板作製工程s1において、前面基板1上にフォトリソ法などによる行電極X,Yの形成とスクリーン印刷法などによる誘電体層2の形成が行われた後、保護層(MgO層)3が成膜される(工程s1a)。
【0008】
一方、背面基板作製工程s2において、背面基板4上にフォトリソ法などによる列電極Dの形成、および、スクリーン印刷法などによる列電極保護層5の形成,サンドブラスト法などによる隔壁の形成が順次行われた後、隔壁間に蛍光体ペーストが充填されて焼成されることにより、蛍光体層6が成膜される(工程s2a)。
【0009】
次に、背面基板の前面基板に対向される側の面の周縁部に、封着用のガラスフリットが塗布されて、約400℃の温度で焼成されることにより封着層が形成され、この後、前面基板と背面基板とが、それぞれに形成された行電極と列電極とが直交する向きになるように互いに対向されて重ね合わされる。そして、この状態で約450℃の温度で加熱され、背面基板に形成された封着層が前面基板に溶着されることによって、背面基板と前面基板の間に形成される放電空間の周囲が封止される(工程s3)。
【0010】
この後、約350℃の温度での加熱状態において放電空間内からの排気(ベーキング)が行われ(工程s4)、冷却後に放電空間内に放電ガスが所定の圧力(400〜600Toor)で導入される(工程s5)。
【0011】
この放電ガスの導入が終了した後、排気および放電ガスの導入に使用された排気管が封止される(工程s6)。
【0012】
そして、前面基板の対をなす行電極間に駆動パルスが印加されて所定時間放電が発生されることにより、前面基板に形成されている保護層の活性化(エージング)と放電の安定化が行われる(工程s7)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のPDPの製造工程では、工程s1aにおいて前面基板に形成される保護層(MgO層)および工程s2aにおいて背面基板に形成される蛍光体層に、それぞれの形成時に不純ガスが混入されるとともに、工程s7においてエージングが行われるまでの間に吸湿などによってさらに不純ガスが内包されてしまうという問題が生じている。
【0014】
特に、前面基板と背面基板を重ね合わせてエージングを行うまでの工程(s3からs7までの工程)のリードタイムが長いと、この間に前面基板に形成された保護層(MgO層)や背面基板に形成された蛍光体層に吸収される不純ガスの量が多くなる。
【0015】
そして、この前面基板の保護層(MgO層)や背面基板の蛍光体層に吸収される不純ガスの量は、常に一定ではなく、製造されているパネル毎にばらつきがある。
【0016】
このために、工程s4におけるベーキング時間や工程s7におけるエージング時間を、保護層(MgO層)や蛍光体層に吸収される不純ガスの量のばらつきを考慮して長い時間に設定する必要が生じ、これが消費電力の増加やスペース効率の悪化等の要因になって、PDPの製造コストを押し上げてしまうという問題が発生している。
【0017】
この発明は、上記のようなプラズマディスプレイパネルの製造工程における問題点を解決するために為されたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記目的を達成するために、二枚の基板の互いに対向される側にそれぞれ構造物を形成し、この構造物が形成された二枚の基板を互いに対向させてその間の放電空間を封止し、この後、加熱状態で放電空間内から排気を行うベーキング工程,放電空間内への放電ガスの導入工程,放電空間内に放電を発生させるエージング工程を経てプラズマディスプレイパネルの製造を行う方法において、前記構造物が形成された二枚の基板の少なくとも何れかの基板に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施すことを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最も好適と思われる実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明を行う。
【0020】
図3は、この発明によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の製造方法の実施形態における一例を示す工程説明図である。
【0021】
この図3の製造方法は、前面基板作製工程S1において、図4に示されるように、前面基板10上にフォトリソ法などによって行電極X,Yが形成され、この行電極X,Yを被覆するようにスクリーン印刷法などによって誘電体層11が形成される。
【0022】
そして、この前面基板作製工程S1において、誘電体層11にその背面を被覆する保護層(MgO層)12が成膜されると(工程S1a)、この後、前面基板10に形成された保護層(MgO層)12に対して、この保護層(MgO層)12を活性化させて内包されている不純ガスを除去するための活性化処理が施される(工程S1b)。
【0023】
この保護層(MgO層)12に施される活性化処理には、
(1)保護層(MgO層)12を、約350℃で、1〜60分間、加熱して洗浄処理するベーキング処理、
(2)保護層(MgO層)12に酸素プラズマを約30秒間照射する酸素プラズマ処理、
(3)保護層(MgO層)12に紫外線を約300秒間照射し、この紫外線照射によるO2の活性化によってオゾン(O3)を発生させて、この紫外線およびオゾン(O3)によって不純ガスを除去するUV/O3洗浄処理、
(4)保護層(MgO層)12にイオンを約300秒照射してエッチングを行うイオンエッチング処理、等がある。
【0024】
一方、背面基板作製工程S2においては、背面基板13上にフォトリソ法などによって列電極Dが形成され、スクリーン印刷法などによって列電極Dを被覆する列電極保護層14が形成され、さらに、この列電極保護層14上にサンドブラスト法などによって隔壁の形成が順次行われてゆく。
【0025】
そして、隔壁間に蛍光体ペーストが充填されて焼成されることにより蛍光体層15が形成されると(工程S2a)、この後、背面基板に形成された蛍光体層15に対して、この蛍光体層15を活性化させて内包されている不純ガスを除去するための活性化処理が施される(工程S2b)。
【0026】
この蛍光体層15に施される活性化処理には、前述した保護層(MgO層)12に対する活性化処理の場合と同様に、
(1)蛍光体層15を、約350℃で、1〜60分間、加熱して洗浄処理するベーキング処理、
(2)蛍光体層15に酸素プラズマを約30秒間照射する酸素プラズマ処理、
(3)蛍光体層15に紫外線を約300秒間照射し、この紫外線照射によるO2の活性化によりオゾン(O3)を発生させて、この紫外線およびオゾン(O3)によって不純ガスを除去するUV/O3洗浄処理、
(4)蛍光体層15にイオンを約300秒照射してエッチングを行うイオンエッチング処理、
等がある。
【0027】
以上のようにして、前面基板作製工程S1および背面基板作製工程S2が終了すると、次に、図6に示されるように、背面基板13の前面基板10に対向される側の面の周縁部に、封着用のガラスフリットが塗布されて約400℃の温度で焼成されることにより、封着層16が形成され、この後、前面基板10と背面基板13とが、それぞれに形成された行電極X,Yと列電極Dとが直交する向きになるように互いに対向されて重ね合わされる。
【0028】
そして、この状態でベーク炉H内において、約450℃の温度で加熱され、背面基板に形成された封着層が前面基板に溶着されることによって、背面基板と前面基板の間に形成される放電空間の周囲が封止される(工程S3)。
【0029】
この後、背面基板13に形成された排気孔に排気管17が接続されて封着され、約350℃の温度での加熱状態において、排気管17を介して放電空間内から排気(ベーキング)が行われ(工程S4)、さらに、冷却後に、排気管17を介して放電空間内に放電ガスが所定の圧力(400〜600Toor)で導入される(工程S5)。
【0030】
この放電ガスの導入が終了した後、排気および放電ガスの導入に使用された排気管17が封止される(工程S6)。
【0031】
そして、前面基板10の対をなす行電極X,Y間に駆動パルスが印加されて所定時間放電が発生されることにより、前面基板10に形成されている保護層(MgO層)12の活性化(エージング)と放電の安定化が行われる(工程S7)。
【0032】
以上のように、上記PDPの製造方法によれば、前面基板10に保護層(MgO層)12を形成する工程S1aの直後に、工程S1bにおいて、この形成された保護層(MgO層)12に対して活性化処理が行われ、さらに、背面基板13に蛍光体層15を形成する工程S2aの直後に、工程S2bにおいて、この形成された蛍光体層15に対して活性化処理が行われて、前面基板10と背面基板13が互いに重ね合わされて封着される前の単板状態のときに、それぞれ、保護層(MgO層)12と蛍光体層15に内包されている不純ガスの除去が行われるので、工程S4のベーキング工程および工程S7のエージング工程において、従来のように保護層(MgO層)12と蛍光体層15に内包されている不純ガスの量のばらつきを考慮する必要が無くなり、これによって、この工程S4のベーキング工程および工程S7のエージング工程の工程時間を短縮することが可能になる。
【0033】
そして、この工程時間の短縮化によって、PDPの製造工程における省電力化およびスペース効率化などを図ることが可能になり、PDPの製品コストを下げることが出来るようになる。
【0034】
上記の実施形態によるPDPの製造方法は、二枚の基板の互いに対向される側にそれぞれ構造物を形成し、この構造物が形成された二枚の基板を互いに対向させてその間の放電空間を封止し、この後、加熱状態で放電空間内から排気を行うベーキング工程,放電空間内への放電ガスの導入工程,放電空間内に放電を発生させるエージング工程を経てPDPの製造を行う方法において、前記構造物が形成された二枚の基板の少なくとも何れかの基板に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施すPDPの製造方法をその上位概念の実施形態としているものである。
【0035】
この上位概念を構成する実施形態におけるPDPの製造方法は、例えば、PDPの表示面側を構成する一方の基板に行電極およびこの行電極を被覆する誘電体層,この誘電体層を被覆するMgOによって形成される保護層などの構造物が形成され、また、PDPの背面側を構成する他方の基板に列電極およびこの列電極を被覆する列電極保護層,蛍光体層,放電空間を区画するための隔壁などの構造物が形成された後、二枚の基板が重ね合わされてその間の放電空間が封止される前に、この一方の基板または他方の基板のうち少なくとも何れかの基板に、真空中でのベーキングによる洗浄処理または酸素プラズマによる洗浄処理,紫外線照射およびこの紫外線照射によって発生するオゾンガスによる洗浄処理,イオンエッチングによる洗浄処理などの活性化処理を施して、例えば一方の基板に形成される保護層や他方の基板に形成される蛍光体層にその形成工程中に内包される不純ガスの除去を行う。
【0036】
このPDPの製造方法によれば、放電空間を介して互いに対向される二枚の基板の少なくとも何れかの基板に、それぞれの基板への構造物の形成直後に、形成された構造物に対して活性化処理が行われて、二枚の基板が互いに重ね合わされて封止される前の単板状態のときに、形成された構造物に内包されている不純ガスの除去が行われるので、後のベーキング工程およびエージング工程において、従来のように構造物に内包されている不純ガスの量のばらつきを考慮する必要が無くなり、これによって、このベーキング工程およびエージング工程の工程時間を短縮することが可能になる。
【0037】
そして、この工程時間の短縮化によって、PDPの製造工程における省電力化およびスペース効率化を図ることが可能になり、PDPの製品コストを下げることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの一般的構成を示す断面図である。
【図2】従来のプラズマディスプレイパネルの製造方法を示す工程説明図である。
【図3】この発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の一例を示す工程説明図である。
【図4】同例において前面基板への活性化処理を示す説明図である。
【図5】同例において背面基板への活性化処理を示す説明図である。
【図6】同例におけるベーキング工程および放電ガス導入工程の説明図である。
【符号の説明】
10 …前面基板(基板)
11 …誘電体層
12 …保護層(構造物)
13 …背面基板(基板)
14 …列電極保護層
15 …蛍光体層(構造物)
X,Y …行電極
D …列電極
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、交流駆動方式の反射型プラズマディスプレイパネル(PDP)のパネル構造を示す縦断面図である。
【0003】
このPDPの前面基板1の内面側に、それぞれITOなどからなる透明電極Xa,Yaと銀などの厚膜電極からなるバス電極Xb,Ybとによって構成される行電極XとYが対になった行電極対(X,Y)と、この行電極対(X,Y)を被覆する誘電体層2と、この誘電体層2を被覆するMgOなどからなる保護層3が形成されている。
【0004】
また、背面基板4の前面基板1に対向する内面側には、行電極対(X,Y)と交差する方向に延びて行電極対(X,Y)と交差する位置の放電空間S内に放電セルCを構成する列電極Dと、この列電極Dを被覆する列電極保護層5と、この列電極保護層5上に各放電セルC毎に赤,緑,青に色分けされた蛍光体層6と、放電空間Sを各放電セルC毎に区画する隔壁(図示せず)が形成されている。
【0005】
そして、放電空間S内には、キセノンXeを5〜20%含むネオンNeとの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
【0006】
蛍光体層6は、放電によってXeガスから放出される真空紫外線(波長147nm)によって励起されることにより発光する。
【0007】
図2は、上記のような構成のPDPの従来の製造工程を示す工程説明図である。
この図2の前面基板作製工程s1において、前面基板1上にフォトリソ法などによる行電極X,Yの形成とスクリーン印刷法などによる誘電体層2の形成が行われた後、保護層(MgO層)3が成膜される(工程s1a)。
【0008】
一方、背面基板作製工程s2において、背面基板4上にフォトリソ法などによる列電極Dの形成、および、スクリーン印刷法などによる列電極保護層5の形成,サンドブラスト法などによる隔壁の形成が順次行われた後、隔壁間に蛍光体ペーストが充填されて焼成されることにより、蛍光体層6が成膜される(工程s2a)。
【0009】
次に、背面基板の前面基板に対向される側の面の周縁部に、封着用のガラスフリットが塗布されて、約400℃の温度で焼成されることにより封着層が形成され、この後、前面基板と背面基板とが、それぞれに形成された行電極と列電極とが直交する向きになるように互いに対向されて重ね合わされる。そして、この状態で約450℃の温度で加熱され、背面基板に形成された封着層が前面基板に溶着されることによって、背面基板と前面基板の間に形成される放電空間の周囲が封止される(工程s3)。
【0010】
この後、約350℃の温度での加熱状態において放電空間内からの排気(ベーキング)が行われ(工程s4)、冷却後に放電空間内に放電ガスが所定の圧力(400〜600Toor)で導入される(工程s5)。
【0011】
この放電ガスの導入が終了した後、排気および放電ガスの導入に使用された排気管が封止される(工程s6)。
【0012】
そして、前面基板の対をなす行電極間に駆動パルスが印加されて所定時間放電が発生されることにより、前面基板に形成されている保護層の活性化(エージング)と放電の安定化が行われる(工程s7)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のPDPの製造工程では、工程s1aにおいて前面基板に形成される保護層(MgO層)および工程s2aにおいて背面基板に形成される蛍光体層に、それぞれの形成時に不純ガスが混入されるとともに、工程s7においてエージングが行われるまでの間に吸湿などによってさらに不純ガスが内包されてしまうという問題が生じている。
【0014】
特に、前面基板と背面基板を重ね合わせてエージングを行うまでの工程(s3からs7までの工程)のリードタイムが長いと、この間に前面基板に形成された保護層(MgO層)や背面基板に形成された蛍光体層に吸収される不純ガスの量が多くなる。
【0015】
そして、この前面基板の保護層(MgO層)や背面基板の蛍光体層に吸収される不純ガスの量は、常に一定ではなく、製造されているパネル毎にばらつきがある。
【0016】
このために、工程s4におけるベーキング時間や工程s7におけるエージング時間を、保護層(MgO層)や蛍光体層に吸収される不純ガスの量のばらつきを考慮して長い時間に設定する必要が生じ、これが消費電力の増加やスペース効率の悪化等の要因になって、PDPの製造コストを押し上げてしまうという問題が発生している。
【0017】
この発明は、上記のようなプラズマディスプレイパネルの製造工程における問題点を解決するために為されたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記目的を達成するために、二枚の基板の互いに対向される側にそれぞれ構造物を形成し、この構造物が形成された二枚の基板を互いに対向させてその間の放電空間を封止し、この後、加熱状態で放電空間内から排気を行うベーキング工程,放電空間内への放電ガスの導入工程,放電空間内に放電を発生させるエージング工程を経てプラズマディスプレイパネルの製造を行う方法において、前記構造物が形成された二枚の基板の少なくとも何れかの基板に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施すことを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最も好適と思われる実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明を行う。
【0020】
図3は、この発明によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の製造方法の実施形態における一例を示す工程説明図である。
【0021】
この図3の製造方法は、前面基板作製工程S1において、図4に示されるように、前面基板10上にフォトリソ法などによって行電極X,Yが形成され、この行電極X,Yを被覆するようにスクリーン印刷法などによって誘電体層11が形成される。
【0022】
そして、この前面基板作製工程S1において、誘電体層11にその背面を被覆する保護層(MgO層)12が成膜されると(工程S1a)、この後、前面基板10に形成された保護層(MgO層)12に対して、この保護層(MgO層)12を活性化させて内包されている不純ガスを除去するための活性化処理が施される(工程S1b)。
【0023】
この保護層(MgO層)12に施される活性化処理には、
(1)保護層(MgO層)12を、約350℃で、1〜60分間、加熱して洗浄処理するベーキング処理、
(2)保護層(MgO層)12に酸素プラズマを約30秒間照射する酸素プラズマ処理、
(3)保護層(MgO層)12に紫外線を約300秒間照射し、この紫外線照射によるO2の活性化によってオゾン(O3)を発生させて、この紫外線およびオゾン(O3)によって不純ガスを除去するUV/O3洗浄処理、
(4)保護層(MgO層)12にイオンを約300秒照射してエッチングを行うイオンエッチング処理、等がある。
【0024】
一方、背面基板作製工程S2においては、背面基板13上にフォトリソ法などによって列電極Dが形成され、スクリーン印刷法などによって列電極Dを被覆する列電極保護層14が形成され、さらに、この列電極保護層14上にサンドブラスト法などによって隔壁の形成が順次行われてゆく。
【0025】
そして、隔壁間に蛍光体ペーストが充填されて焼成されることにより蛍光体層15が形成されると(工程S2a)、この後、背面基板に形成された蛍光体層15に対して、この蛍光体層15を活性化させて内包されている不純ガスを除去するための活性化処理が施される(工程S2b)。
【0026】
この蛍光体層15に施される活性化処理には、前述した保護層(MgO層)12に対する活性化処理の場合と同様に、
(1)蛍光体層15を、約350℃で、1〜60分間、加熱して洗浄処理するベーキング処理、
(2)蛍光体層15に酸素プラズマを約30秒間照射する酸素プラズマ処理、
(3)蛍光体層15に紫外線を約300秒間照射し、この紫外線照射によるO2の活性化によりオゾン(O3)を発生させて、この紫外線およびオゾン(O3)によって不純ガスを除去するUV/O3洗浄処理、
(4)蛍光体層15にイオンを約300秒照射してエッチングを行うイオンエッチング処理、
等がある。
【0027】
以上のようにして、前面基板作製工程S1および背面基板作製工程S2が終了すると、次に、図6に示されるように、背面基板13の前面基板10に対向される側の面の周縁部に、封着用のガラスフリットが塗布されて約400℃の温度で焼成されることにより、封着層16が形成され、この後、前面基板10と背面基板13とが、それぞれに形成された行電極X,Yと列電極Dとが直交する向きになるように互いに対向されて重ね合わされる。
【0028】
そして、この状態でベーク炉H内において、約450℃の温度で加熱され、背面基板に形成された封着層が前面基板に溶着されることによって、背面基板と前面基板の間に形成される放電空間の周囲が封止される(工程S3)。
【0029】
この後、背面基板13に形成された排気孔に排気管17が接続されて封着され、約350℃の温度での加熱状態において、排気管17を介して放電空間内から排気(ベーキング)が行われ(工程S4)、さらに、冷却後に、排気管17を介して放電空間内に放電ガスが所定の圧力(400〜600Toor)で導入される(工程S5)。
【0030】
この放電ガスの導入が終了した後、排気および放電ガスの導入に使用された排気管17が封止される(工程S6)。
【0031】
そして、前面基板10の対をなす行電極X,Y間に駆動パルスが印加されて所定時間放電が発生されることにより、前面基板10に形成されている保護層(MgO層)12の活性化(エージング)と放電の安定化が行われる(工程S7)。
【0032】
以上のように、上記PDPの製造方法によれば、前面基板10に保護層(MgO層)12を形成する工程S1aの直後に、工程S1bにおいて、この形成された保護層(MgO層)12に対して活性化処理が行われ、さらに、背面基板13に蛍光体層15を形成する工程S2aの直後に、工程S2bにおいて、この形成された蛍光体層15に対して活性化処理が行われて、前面基板10と背面基板13が互いに重ね合わされて封着される前の単板状態のときに、それぞれ、保護層(MgO層)12と蛍光体層15に内包されている不純ガスの除去が行われるので、工程S4のベーキング工程および工程S7のエージング工程において、従来のように保護層(MgO層)12と蛍光体層15に内包されている不純ガスの量のばらつきを考慮する必要が無くなり、これによって、この工程S4のベーキング工程および工程S7のエージング工程の工程時間を短縮することが可能になる。
【0033】
そして、この工程時間の短縮化によって、PDPの製造工程における省電力化およびスペース効率化などを図ることが可能になり、PDPの製品コストを下げることが出来るようになる。
【0034】
上記の実施形態によるPDPの製造方法は、二枚の基板の互いに対向される側にそれぞれ構造物を形成し、この構造物が形成された二枚の基板を互いに対向させてその間の放電空間を封止し、この後、加熱状態で放電空間内から排気を行うベーキング工程,放電空間内への放電ガスの導入工程,放電空間内に放電を発生させるエージング工程を経てPDPの製造を行う方法において、前記構造物が形成された二枚の基板の少なくとも何れかの基板に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施すPDPの製造方法をその上位概念の実施形態としているものである。
【0035】
この上位概念を構成する実施形態におけるPDPの製造方法は、例えば、PDPの表示面側を構成する一方の基板に行電極およびこの行電極を被覆する誘電体層,この誘電体層を被覆するMgOによって形成される保護層などの構造物が形成され、また、PDPの背面側を構成する他方の基板に列電極およびこの列電極を被覆する列電極保護層,蛍光体層,放電空間を区画するための隔壁などの構造物が形成された後、二枚の基板が重ね合わされてその間の放電空間が封止される前に、この一方の基板または他方の基板のうち少なくとも何れかの基板に、真空中でのベーキングによる洗浄処理または酸素プラズマによる洗浄処理,紫外線照射およびこの紫外線照射によって発生するオゾンガスによる洗浄処理,イオンエッチングによる洗浄処理などの活性化処理を施して、例えば一方の基板に形成される保護層や他方の基板に形成される蛍光体層にその形成工程中に内包される不純ガスの除去を行う。
【0036】
このPDPの製造方法によれば、放電空間を介して互いに対向される二枚の基板の少なくとも何れかの基板に、それぞれの基板への構造物の形成直後に、形成された構造物に対して活性化処理が行われて、二枚の基板が互いに重ね合わされて封止される前の単板状態のときに、形成された構造物に内包されている不純ガスの除去が行われるので、後のベーキング工程およびエージング工程において、従来のように構造物に内包されている不純ガスの量のばらつきを考慮する必要が無くなり、これによって、このベーキング工程およびエージング工程の工程時間を短縮することが可能になる。
【0037】
そして、この工程時間の短縮化によって、PDPの製造工程における省電力化およびスペース効率化を図ることが可能になり、PDPの製品コストを下げることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの一般的構成を示す断面図である。
【図2】従来のプラズマディスプレイパネルの製造方法を示す工程説明図である。
【図3】この発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の一例を示す工程説明図である。
【図4】同例において前面基板への活性化処理を示す説明図である。
【図5】同例において背面基板への活性化処理を示す説明図である。
【図6】同例におけるベーキング工程および放電ガス導入工程の説明図である。
【符号の説明】
10 …前面基板(基板)
11 …誘電体層
12 …保護層(構造物)
13 …背面基板(基板)
14 …列電極保護層
15 …蛍光体層(構造物)
X,Y …行電極
D …列電極
Claims (6)
- 二枚の基板の互いに対向される側にそれぞれ構造物を形成し、この構造物が形成された二枚の基板を互いに対向させてその間の放電空間を封止し、この後、加熱状態で放電空間内から排気を行うベーキング工程,放電空間内への放電ガスの導入工程,放電空間内に放電を発生させるエージング工程を経てプラズマディスプレイパネルの製造を行う方法において、
前記構造物が形成された二枚の基板の少なくとも何れかの基板に対して、この二枚の基板が互いに対向されてその間の放電空間が封止される前に、活性化処理を施すことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記二枚の基板のうちの一方に形成される構造物が酸化マグネシウムによって形成される保護層を含み、他方に形成される構造物が蛍光材料によって形成される蛍光体層を含み、前記活性化処理によって、一方の基板に形成された保護層または他方の基板に形成された蛍光体層の活性化を行う請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記活性化処理が、真空中において行われるベーキングによる洗浄処理である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記活性化処理が、酸素プラズマによる洗浄処理である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記活性化処理が、紫外線照射およびこの紫外線照射によって発生するオゾンガスによる洗浄処理である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記活性化処理が、イオンエッチングによる洗浄処理である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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JP2009093951A (ja) * | 2007-10-10 | 2009-04-30 | Ulvac Japan Ltd | 封着パネルの製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 |
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2002
- 2002-10-08 JP JP2002294543A patent/JP2004134095A/ja not_active Abandoned
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