JP2004130731A - 内装材及び車両用内装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】通気性材料において、構造剛性と意匠性を保持させつつ、室内の快適性を向上させるために、低周波数域から高周波数域まで幅広い周波数域における室内騒音を低減出来る内装材を提供することを目的とする。
【解決手段】通気性材料の一面に通気止めフィルムを積層した基材であって、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設けることにより、通気性材料と非接触な部分を有する構造にすることにより、構造剛性を低下させること無く、通気性材料に非接触な部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域(1000Hz〜2000Hz)においてまで幅広く高吸音性特性が付与できる。
【選択図】 なし
【解決手段】通気性材料の一面に通気止めフィルムを積層した基材であって、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設けることにより、通気性材料と非接触な部分を有する構造にすることにより、構造剛性を低下させること無く、通気性材料に非接触な部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域(1000Hz〜2000Hz)においてまで幅広く高吸音性特性が付与できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内装材用基材及び内装材に関する。さらに詳しくは、室内の快適性を向上させるために、意匠性、構造剛性を損なうことなく、広い周波数域における室内騒音を低減出来る内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、室内の静寂性及び快適性として吸音性が求められているが、一般にこれらの要求を満足するものとしてグラスウール、ウレタンフォームやウレタンフォームと繊維等の多孔質吸音材料をベースとした内装材が広く用いられている。
【0003】
これらの吸音性能を備えた内装材においては、第一に基材を通過する音が、基材内部の障害物(骨格柱)を経る過程で干渉・回折効果により減衰すること、そして障害物(骨格柱)が共振することと、第二に基材に音が当たると、その空気振動が基材内部の空孔部分の空気に伝わり、この空孔部分で空気の粘性摩擦が生じ、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換される、つまり空気の動きに対する抵抗によって、その振動が減衰され、音が小さくなるという2つの機構において吸音性能が生じる。
【0004】
しかし、通気性を有する基材を使用する場合、例えば車両等に用いられる場合、走行中に車内に空気の流れが生じた際、表皮層がフィルターの役割を担い表皮層上部が孔状に汚れることや、室外からの音が伝播したり、基材の裏側に壁面があった場合は室内音がその壁面にはね返り再度室内に伝播するため問題があった。
【0005】
またこれらの材料は、高い周波数域を吸音するにあたっては有効なものの人が話す音の周波数域(低周波数域1000〜2000Hz)については効果がなく、この域の吸音効果を高めるためには厚みを拡大して重量を大きくする必要があり、軽量化及びコストに問題があった。
【0006】
このような問題を解決する手段としては、例として車両用吸音材について掲げるならば、厚み拡大、重量を大きくせずに吸音効果を高める方法として、多孔質吸音材に貫通するような孔を設けてその多孔質吸音機能を高めることが知られている(
【特許文献1】参照)。また、これらの基材の通気止め対策として、通気止めフィルムあるいは遮音層を積層する方法が知られている(
【特許文献2】及び
【特許文献3】参照)。
【0007】
しかし、これらの方法においては、多孔質吸音性能が高まることで、高周波域においてはより大きな吸音効果が得られるものの、人が話す音の周波数域(低周波数域)については以前効果が小さく、また、孔を設けることでさらに構造剛性が低下するという問題も起こしていた。
【0008】
本発明は、これらの問題を鑑みて、通気性材料において、厚み拡大、重量を大きくせずに、更には構造剛性を低下させずに、高周波域のみならず低周波域まで幅広く高い吸音性能を付与した内装材を提供することを目的としている。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−184947号公報(第1頁、第1及び2図)
【0010】
【特許文献2】実開平3−46994号公報(第1頁、第1及び2図)
【0011】
【特許文献3】特開平14−2408号公報(第2〜4頁、第7図)
【0012】
【課題を解決されるための手段】
本発明者らは、通気性材料の一面に通気止めフィルムを積層した基材において、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設け、非接触な部分を有する構造にすることにより、室内の通風汚れに関して問題なく、通気性材料に非接触な部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域(1000〜2000Hz)においても高吸音性が付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
この発明により、通気性材料に貫通孔を設けたりすることがないため、その構造剛性、及び室内側の意匠性を低下させずに低周波数域から高周波数域まで広い高吸音性を付与することができる。また、通気止めフィルムが通気性材料に接触していない部分のサイズにより、あるいは通気止めフィルムの材質によって共振周波数を変化させることができるため、上記の要因の選定によって所望の周波数域によって吸音効果を発現させることができる。
【0014】
すなわち、1)通気性材料(1)の一面側に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有することを特徴とする内装材。
【0015】
2)通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)の通気止めフィルム(2)積層面側に凹陥部を設けてなることを特徴とする1)記載の内装材。
3)通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)と通気止めフィルム(2)の間に貫通孔(4)を有する中間基材(5)を介在させてなることを特徴とする1)又は2)記載の内装材。
【0016】
4)通気性材料(1)が吸音層をコア層とする積層シートであることを特徴とする1)〜3)のいずれか1記載の内装材。
5)通気止めフィルム(2)の厚みが5μm〜200μmであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項記載の内装材。
【0017】
6)通気止めフィルム(2)の厚みが10μm〜30μmであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項記載の内装材。
7)通気止めフィルム(2)がポリアミド系樹脂を用いたことを特徴とする1)から5)のいずれか1項記載の内装材。
【0018】
8)ポリアミド系樹脂がナイロンフィルムであることを特徴とする6)記載の内装材。
9)通気性材料(1)に設けられる凹陥部の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする1)〜8)のいずれか1記載の内装材。
【0019】
10)中間基材(5)が有する貫通孔の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする3)〜8)のいずれか1記載の内装材。
11)中間基材(5)が有する貫通孔の径が8mm〜20mmであることを特徴とする3)〜8)のいずれか1記載の内装材。
【0020】
12)通気性材料(1)の一面に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有し、該基材(3)の通気止めフィルム(2)が積層された他面側に表皮材が積層されていることを特徴とする1)〜11)のいずれか1記載の内装材。
13)表皮材が不織布であることを特徴とする12)記載の内装材。
【0021】
14)基材(3)の通気止めフィルム(2)上に異音防止層(11)が積層されたことを特徴とする1)〜13)のいずれか1記載の内装材。
15)異音防止層が不織布であることを特徴とする14)記載の内装材。
【0022】
16)1)から15)のいずれか1記載の内装材を車両用に用いてなる車両用内装材。
17)1)から16)のいずれか1項記載の内装材を成形してなる成形内装材。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る内装材の例を図面に基づいて詳しく説明する。以下の実施例は車両用内装材に関して触れるが、以下は一実施形態の例にすぎず、本発明は内装材について広く適用される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る内装材の例を図面に基づいて詳しく説明する。以下の実施例は車両用内装材に関して触れるが、以下は一実施形態の例にすぎず、本発明は内装材について広く適用される。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、基材(3)は、通気性材料(1)の凹陥部としての形状を問わない窪み(8)を有する面側に通気止めフィルム接着材層(6)を介して通気止めフィルム(2)が異音防止層として積層されている。更に通気止めフィルムが積層されている面側とは反対の面側に表皮材接着剤層(7)を介して表皮材(9)が積層されている。ただし、通気性材料(1)はコア層単独でもコア層にスキン層を積層した積層体でも適用される(以下の実施形態も同様)。
【0026】
図2は、本発明の他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、基材(3)の通気性材料(1)と通気止めフィルム(2)の間に、貫通孔(4)を有する基材(5)が介在貫通孔基材接着剤層(10)を介して積層されている。更にその基材(5)の上に通気止めフィルム接着材層(6)を介して通気止めフィルム(2)が異音防止層として積層されている。また、通気止めフィルム(2)が積層されている面側とは反対の面側に表皮材接着剤層(7)を介して表皮材(9)が積層されている。
【0027】
図3は、本発明の更に他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、図1構成体の異音防止層(通気止めフィルム(2))の上に更に異音防止層(11)が積層されている。
【0028】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、図2構成体の異音防止層(通気止めフィルム(2))の上に更に異音防止層(11)が積層されている。
【0029】
上記記載の基材は、上記記載の通気性材料と通気止めフィルムの積層構造を有しておれば、いかなる通気性基材にも適用できる。更に、図示したような異音防止層、表皮材を有するような特定の構成に、必ずしも制限されるものではない。
【0030】
本発明の通気性材料(1)としては、通気性を有するとして当業者に知られているいずれの材料も用いることができる。
【0031】
例示するならば、ウレタン発泡材、ウレタンスラブ、ガラスウール、フェルト、岩綿、ポリエステル、木質マット、織物等などである。また、これらの材料に必要に応じて表裏面側の少なくとも一方側面に剛性を上げるための補強層が、通気性を実質的に阻害してしまわないという条件で積層されていても構わない。
【0032】
通気止めフィルムとして用いられるフィルムとしては、空気の透過を実質的に阻止できるのであれば、当業者に知られており、一般に市販されているいずれのフィルムをも用いることができる。例示すれば、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム等がある。中でも、高い温度(例えば100℃以上)で加熱成形加工するにおいては、耐熱性及びピンホールの発生を鑑みてポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムが好ましい。その中でも、ナイロンやポリエチレンテレフタレートフィルムは加工の良好性から好ましい。更にその中でも、ナイロンは加熱加工において、高い耐熱性を有し、加熱収縮が大きいため、フィルムの張力を維持したまま積層等の加工が可能である。フィルムの張力が大であると、フィルムの共振による吸音性を高めることができるとともに、フィルム自身の異音発生も小さくすることができる。このような理由からナイロンが最も好ましい。
【0033】
また、フィルムが高い温度にさらされない状態で加工する場合には、非発泡層、表皮材及び異音防止層との接着の良好性からポリオレフィン系フィルムが好ましい。例示すれば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等の単独重合体、エチレンープロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またこれらの混合物等からなるポリエチレン系樹脂、プロピレンの単独重合体、プロピレン酢酸ビニル共重合体、プロピレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またはこれらの混合物等からなるポリプロピレン系樹脂が好ましく。これらの中では、汎用性からポリエチレンが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)がさらに好ましい。これらのフィルム(2)は、異音防止層接着層として機能する場合もある。
【0034】
通気止めフィルムの厚みとしては、5μm〜200μmが好ましい。5μm以下の場合、その上に異音防止層が積層される場合は、異音防止層の接着性を低下させ良好な成形体を得ることができない。また、200μm以上の場合、その剛性から貫通孔上で充分な振動が発現せず目的の吸音性能を付与することができなくなる。
【0035】
通気性材料に設けられる凹陥部とは、形状を特に問うことのない凹状の窪みであって、その断面形状は円、楕円等に限られず、三角、四角、五角、六角等の多角、その他適宜の形状で設けても良い。この凹陥部の存在により通気性材料(1)は、通気止めフィルムとその部分で接触が無くなりフィルムの振動が自由となる。この凹陥部はプレス等適宜の手段で設けられる。
【0036】
通気性材料(1)に設けられる凹陥部の径は、目的により一概に決めがたいが、例えば6.5mm〜100mmが好ましい。また、中間基材(5)に貫通孔を設け、他の通気性材料(1)組み合わせる場合には、中間基材(5)の貫通孔の径は、6.5mm〜100mmが好ましく、8mm〜20mmがより好ましい。なお、本発明での凹陥部の径、中間基材(5)に貫通孔での「径」及び「孔径」は円相当径を意味する。
【0037】
いずれの場合であっても凹陥部の深さは、通気性材料(1)を実質的に貫通してしまわないことが必要であり、好ましくは通気性材料(1)厚みの2/3以下、より好ましくは通気性材料(1)厚みの1/2以下、最も好ましくは1/3以下である。また、通気性材料(1)と中間基材(5)とを併用する場合には、上記の通気性材料(1)厚みとは両者を合わせた厚みを意味する。しかし、中間基材(5)を使用する場合には、この中間基材(5)に貫通孔を設け、凹陥部を設けない通気性材料(1)と接着するのが製造上有利であることから、凹陥部の深さは、中間基材(5)の厚みに相当するのが工業上好ましい。
【0038】
通気性材料と通気止めフィルムの間に介在させる中間基材(5)としては、積層される通気止めフィルムの振動を阻害しない程度の厚みを有すれば、フィルム、シートや布巾等、いずれの材質の物も使用することができ、場合によっては通気性材料(1)と同一材料をも使用可能である。通気止めフィルムを確実に振動させられる厚み、あるいは、内装材として適度な厚みということを鑑みて、10μm〜50mmが好ましい。更に好ましくは40μm〜10mmがよい。
【0039】
表皮材(9)の具体例としては、従来の内装材として用いられるものが使用できる。たとえば織布、不織布を配するが、これらには、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリル(例えば、鐘淵化学工業株式会社製「カネカロン(登録商標)」などの合成樹脂や羊毛、木綿などの天然素材のものや、それらを適宜組み合わせたものが使われる。
【0040】
通気止めフィルムの更に上に積層する異音防止層としては、通気止めフィルムの振動を阻害しないようなものであれば、当業者に知られており、一般に市販されているいずれのものも使用することができる。中でも不織布は、通気止めフィルムの振動を阻害しないことと、異音を防止するという点に適している。
【0041】
尚、既述の通気止めフィルムを異音防止層として用いることも可能であり、又、異音防止層を通気止めフィルムとして用いることも可能である。
【0042】
表皮材接着材層(7)、通気止めフィルム接着材層(6)及び中間基材接着材層(10)としては、充分な接着性と成形加工性を発揮できれば、当業者に知られ、一般に市販されているいずれの接着剤も使用できる。例示すればポリオレフィン系ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤やウレタン系接着材である。
【0043】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。実施例比較例に用いた樹脂を表1に示す。
【0044】
実施例および比較例で行った評価方法を以下に示す。
【0045】
(垂直入射吸音率測定)
JIS−A−1405(ASTM E1050)による垂直入射吸音率の測定により評価した。なお、本測定は一例として車両用内装材を用いるため、車両への実装状態に近づける為、音波は表皮材側より入射した。測定は、29mm口径の測定機(測定周波数範囲:500〜6300Hz)、背後空気層15mmで測定を行った。ただし、背後空気層は通気止めフィルムの振動を妨げないための一例として15mmで測定したが、0mmでなければ何ら制限を受けない。
【0046】
(実施例1)
ウレタン発泡シート(4.8mm)の表裏面にガラス繊維層を補強層として積層した通気性材料(1)(5.0mm)に熱プレスすることで、深さが通気性材料(1)の5分の1、径が14mmの窪みをφ2.9mm径に1個のピッチで設けた。
【0047】
次いでその窪みを設けた面側に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。
【0048】
このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、クモの巣状に空孔した表皮材接着材層(7)を介して表皮材(9)として厚み約1mmのPET系不織布表皮材を仮止めした。
【0049】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ5.0mmの図1同様の車両用内装材を得た。
【0050】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0051】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が80%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が85%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0052】
(実施例2)
孔径14mmの貫通孔をφ2.9mm径に1個のピッチで有する変性ポリフェニレンエーテル系発泡積層シートを中間基材(5)として、中間基材接着材層(10)(ウレタン系接着剤層)を介して実施例1で用いたのと同様な通気性材料(1)に積層した。
【0053】
次いでその中間基材(5)の更に上に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。
【0054】
このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、クモの巣状に空孔した表皮材接着材層(7)を介して表皮材(9)として厚み約1mmのPET系不織布表皮材を仮止めした。
【0055】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ9.0mmの図2同様の車両用内装材を得た。
【0056】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0057】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が65%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が85%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0058】
(実施例3)
孔径14mmの貫通孔をφ2.9mm径に1個のピッチで有する変性ポリフェニレンエーテル系発泡積層シートを中間基材(5)として、中間基材接着材層(10)(ウレタン系接着剤層)を介してクラボウ社製ウレタンスラブ6mm(通気性材料(1))に積層した。
【0059】
次いでその介在貫通孔基材の更に上に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、ニット系表皮材をフレームラミ積層した。
【0060】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ10.0mmの図2同様の車両用内装材を得た。
【0061】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0062】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が75%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が90%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0063】
(比較例1)
窪みを設けなかった以外は実施例1で用いたのと同様な内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0064】
その結果、2000Hz以下では20%以下の吸音率を示し、2000Hz より高い周波数域から指数的に吸音率が上昇し、4000〜5000Hz付近での吸音率が85%程度の、高周波数域でのみ高吸音率を示す吸音曲線になった。
【0065】
【発明の効果】
通気性材料の一方の面側に通気止めフィルムを積層した基材において、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設けることにより、通気性材料と接触していない部分を有する構造にすることにより、基材の室内側の意匠性を高めることが出来、室内の通風汚れの問題が少なく、また、構造剛性を低下させること無く、通気性材料に接触していない部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域においてまで幅広く高吸音性特性が付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る内装材の要部拡大断面模式図である。
【図2】図2は、本発明に係る内装材の他の要部拡大断面模式図である。
【図3】図3は、本発明に係る内装材の他の一実施形態を示す要部拡大断面模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る内装材の要部拡大断面模式図における一例である。
【符号の説明】
1:通気性材料
2:通気止めフィルム
3:基材
4:貫通孔
5:中間基材
6:通気止めフィルム接着剤層
7:表皮材接着剤層
8:凹陥部
9:表皮材
10:中間基材接着剤層
11:異音防止層
【発明の属する技術分野】
本発明は内装材用基材及び内装材に関する。さらに詳しくは、室内の快適性を向上させるために、意匠性、構造剛性を損なうことなく、広い周波数域における室内騒音を低減出来る内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、室内の静寂性及び快適性として吸音性が求められているが、一般にこれらの要求を満足するものとしてグラスウール、ウレタンフォームやウレタンフォームと繊維等の多孔質吸音材料をベースとした内装材が広く用いられている。
【0003】
これらの吸音性能を備えた内装材においては、第一に基材を通過する音が、基材内部の障害物(骨格柱)を経る過程で干渉・回折効果により減衰すること、そして障害物(骨格柱)が共振することと、第二に基材に音が当たると、その空気振動が基材内部の空孔部分の空気に伝わり、この空孔部分で空気の粘性摩擦が生じ、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換される、つまり空気の動きに対する抵抗によって、その振動が減衰され、音が小さくなるという2つの機構において吸音性能が生じる。
【0004】
しかし、通気性を有する基材を使用する場合、例えば車両等に用いられる場合、走行中に車内に空気の流れが生じた際、表皮層がフィルターの役割を担い表皮層上部が孔状に汚れることや、室外からの音が伝播したり、基材の裏側に壁面があった場合は室内音がその壁面にはね返り再度室内に伝播するため問題があった。
【0005】
またこれらの材料は、高い周波数域を吸音するにあたっては有効なものの人が話す音の周波数域(低周波数域1000〜2000Hz)については効果がなく、この域の吸音効果を高めるためには厚みを拡大して重量を大きくする必要があり、軽量化及びコストに問題があった。
【0006】
このような問題を解決する手段としては、例として車両用吸音材について掲げるならば、厚み拡大、重量を大きくせずに吸音効果を高める方法として、多孔質吸音材に貫通するような孔を設けてその多孔質吸音機能を高めることが知られている(
【特許文献1】参照)。また、これらの基材の通気止め対策として、通気止めフィルムあるいは遮音層を積層する方法が知られている(
【特許文献2】及び
【特許文献3】参照)。
【0007】
しかし、これらの方法においては、多孔質吸音性能が高まることで、高周波域においてはより大きな吸音効果が得られるものの、人が話す音の周波数域(低周波数域)については以前効果が小さく、また、孔を設けることでさらに構造剛性が低下するという問題も起こしていた。
【0008】
本発明は、これらの問題を鑑みて、通気性材料において、厚み拡大、重量を大きくせずに、更には構造剛性を低下させずに、高周波域のみならず低周波域まで幅広く高い吸音性能を付与した内装材を提供することを目的としている。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−184947号公報(第1頁、第1及び2図)
【0010】
【特許文献2】実開平3−46994号公報(第1頁、第1及び2図)
【0011】
【特許文献3】特開平14−2408号公報(第2〜4頁、第7図)
【0012】
【課題を解決されるための手段】
本発明者らは、通気性材料の一面に通気止めフィルムを積層した基材において、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設け、非接触な部分を有する構造にすることにより、室内の通風汚れに関して問題なく、通気性材料に非接触な部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域(1000〜2000Hz)においても高吸音性が付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
この発明により、通気性材料に貫通孔を設けたりすることがないため、その構造剛性、及び室内側の意匠性を低下させずに低周波数域から高周波数域まで広い高吸音性を付与することができる。また、通気止めフィルムが通気性材料に接触していない部分のサイズにより、あるいは通気止めフィルムの材質によって共振周波数を変化させることができるため、上記の要因の選定によって所望の周波数域によって吸音効果を発現させることができる。
【0014】
すなわち、1)通気性材料(1)の一面側に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有することを特徴とする内装材。
【0015】
2)通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)の通気止めフィルム(2)積層面側に凹陥部を設けてなることを特徴とする1)記載の内装材。
3)通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)と通気止めフィルム(2)の間に貫通孔(4)を有する中間基材(5)を介在させてなることを特徴とする1)又は2)記載の内装材。
【0016】
4)通気性材料(1)が吸音層をコア層とする積層シートであることを特徴とする1)〜3)のいずれか1記載の内装材。
5)通気止めフィルム(2)の厚みが5μm〜200μmであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項記載の内装材。
【0017】
6)通気止めフィルム(2)の厚みが10μm〜30μmであることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項記載の内装材。
7)通気止めフィルム(2)がポリアミド系樹脂を用いたことを特徴とする1)から5)のいずれか1項記載の内装材。
【0018】
8)ポリアミド系樹脂がナイロンフィルムであることを特徴とする6)記載の内装材。
9)通気性材料(1)に設けられる凹陥部の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする1)〜8)のいずれか1記載の内装材。
【0019】
10)中間基材(5)が有する貫通孔の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする3)〜8)のいずれか1記載の内装材。
11)中間基材(5)が有する貫通孔の径が8mm〜20mmであることを特徴とする3)〜8)のいずれか1記載の内装材。
【0020】
12)通気性材料(1)の一面に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有し、該基材(3)の通気止めフィルム(2)が積層された他面側に表皮材が積層されていることを特徴とする1)〜11)のいずれか1記載の内装材。
13)表皮材が不織布であることを特徴とする12)記載の内装材。
【0021】
14)基材(3)の通気止めフィルム(2)上に異音防止層(11)が積層されたことを特徴とする1)〜13)のいずれか1記載の内装材。
15)異音防止層が不織布であることを特徴とする14)記載の内装材。
【0022】
16)1)から15)のいずれか1記載の内装材を車両用に用いてなる車両用内装材。
17)1)から16)のいずれか1項記載の内装材を成形してなる成形内装材。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る内装材の例を図面に基づいて詳しく説明する。以下の実施例は車両用内装材に関して触れるが、以下は一実施形態の例にすぎず、本発明は内装材について広く適用される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る内装材の例を図面に基づいて詳しく説明する。以下の実施例は車両用内装材に関して触れるが、以下は一実施形態の例にすぎず、本発明は内装材について広く適用される。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、基材(3)は、通気性材料(1)の凹陥部としての形状を問わない窪み(8)を有する面側に通気止めフィルム接着材層(6)を介して通気止めフィルム(2)が異音防止層として積層されている。更に通気止めフィルムが積層されている面側とは反対の面側に表皮材接着剤層(7)を介して表皮材(9)が積層されている。ただし、通気性材料(1)はコア層単独でもコア層にスキン層を積層した積層体でも適用される(以下の実施形態も同様)。
【0026】
図2は、本発明の他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、基材(3)の通気性材料(1)と通気止めフィルム(2)の間に、貫通孔(4)を有する基材(5)が介在貫通孔基材接着剤層(10)を介して積層されている。更にその基材(5)の上に通気止めフィルム接着材層(6)を介して通気止めフィルム(2)が異音防止層として積層されている。また、通気止めフィルム(2)が積層されている面側とは反対の面側に表皮材接着剤層(7)を介して表皮材(9)が積層されている。
【0027】
図3は、本発明の更に他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、図1構成体の異音防止層(通気止めフィルム(2))の上に更に異音防止層(11)が積層されている。
【0028】
図4は、本発明の更に他の実施形態に係る内装材の構成を模式的に示すものであり、図2構成体の異音防止層(通気止めフィルム(2))の上に更に異音防止層(11)が積層されている。
【0029】
上記記載の基材は、上記記載の通気性材料と通気止めフィルムの積層構造を有しておれば、いかなる通気性基材にも適用できる。更に、図示したような異音防止層、表皮材を有するような特定の構成に、必ずしも制限されるものではない。
【0030】
本発明の通気性材料(1)としては、通気性を有するとして当業者に知られているいずれの材料も用いることができる。
【0031】
例示するならば、ウレタン発泡材、ウレタンスラブ、ガラスウール、フェルト、岩綿、ポリエステル、木質マット、織物等などである。また、これらの材料に必要に応じて表裏面側の少なくとも一方側面に剛性を上げるための補強層が、通気性を実質的に阻害してしまわないという条件で積層されていても構わない。
【0032】
通気止めフィルムとして用いられるフィルムとしては、空気の透過を実質的に阻止できるのであれば、当業者に知られており、一般に市販されているいずれのフィルムをも用いることができる。例示すれば、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム等がある。中でも、高い温度(例えば100℃以上)で加熱成形加工するにおいては、耐熱性及びピンホールの発生を鑑みてポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムが好ましい。その中でも、ナイロンやポリエチレンテレフタレートフィルムは加工の良好性から好ましい。更にその中でも、ナイロンは加熱加工において、高い耐熱性を有し、加熱収縮が大きいため、フィルムの張力を維持したまま積層等の加工が可能である。フィルムの張力が大であると、フィルムの共振による吸音性を高めることができるとともに、フィルム自身の異音発生も小さくすることができる。このような理由からナイロンが最も好ましい。
【0033】
また、フィルムが高い温度にさらされない状態で加工する場合には、非発泡層、表皮材及び異音防止層との接着の良好性からポリオレフィン系フィルムが好ましい。例示すれば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等の単独重合体、エチレンープロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またこれらの混合物等からなるポリエチレン系樹脂、プロピレンの単独重合体、プロピレン酢酸ビニル共重合体、プロピレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またはこれらの混合物等からなるポリプロピレン系樹脂が好ましく。これらの中では、汎用性からポリエチレンが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)がさらに好ましい。これらのフィルム(2)は、異音防止層接着層として機能する場合もある。
【0034】
通気止めフィルムの厚みとしては、5μm〜200μmが好ましい。5μm以下の場合、その上に異音防止層が積層される場合は、異音防止層の接着性を低下させ良好な成形体を得ることができない。また、200μm以上の場合、その剛性から貫通孔上で充分な振動が発現せず目的の吸音性能を付与することができなくなる。
【0035】
通気性材料に設けられる凹陥部とは、形状を特に問うことのない凹状の窪みであって、その断面形状は円、楕円等に限られず、三角、四角、五角、六角等の多角、その他適宜の形状で設けても良い。この凹陥部の存在により通気性材料(1)は、通気止めフィルムとその部分で接触が無くなりフィルムの振動が自由となる。この凹陥部はプレス等適宜の手段で設けられる。
【0036】
通気性材料(1)に設けられる凹陥部の径は、目的により一概に決めがたいが、例えば6.5mm〜100mmが好ましい。また、中間基材(5)に貫通孔を設け、他の通気性材料(1)組み合わせる場合には、中間基材(5)の貫通孔の径は、6.5mm〜100mmが好ましく、8mm〜20mmがより好ましい。なお、本発明での凹陥部の径、中間基材(5)に貫通孔での「径」及び「孔径」は円相当径を意味する。
【0037】
いずれの場合であっても凹陥部の深さは、通気性材料(1)を実質的に貫通してしまわないことが必要であり、好ましくは通気性材料(1)厚みの2/3以下、より好ましくは通気性材料(1)厚みの1/2以下、最も好ましくは1/3以下である。また、通気性材料(1)と中間基材(5)とを併用する場合には、上記の通気性材料(1)厚みとは両者を合わせた厚みを意味する。しかし、中間基材(5)を使用する場合には、この中間基材(5)に貫通孔を設け、凹陥部を設けない通気性材料(1)と接着するのが製造上有利であることから、凹陥部の深さは、中間基材(5)の厚みに相当するのが工業上好ましい。
【0038】
通気性材料と通気止めフィルムの間に介在させる中間基材(5)としては、積層される通気止めフィルムの振動を阻害しない程度の厚みを有すれば、フィルム、シートや布巾等、いずれの材質の物も使用することができ、場合によっては通気性材料(1)と同一材料をも使用可能である。通気止めフィルムを確実に振動させられる厚み、あるいは、内装材として適度な厚みということを鑑みて、10μm〜50mmが好ましい。更に好ましくは40μm〜10mmがよい。
【0039】
表皮材(9)の具体例としては、従来の内装材として用いられるものが使用できる。たとえば織布、不織布を配するが、これらには、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリル(例えば、鐘淵化学工業株式会社製「カネカロン(登録商標)」などの合成樹脂や羊毛、木綿などの天然素材のものや、それらを適宜組み合わせたものが使われる。
【0040】
通気止めフィルムの更に上に積層する異音防止層としては、通気止めフィルムの振動を阻害しないようなものであれば、当業者に知られており、一般に市販されているいずれのものも使用することができる。中でも不織布は、通気止めフィルムの振動を阻害しないことと、異音を防止するという点に適している。
【0041】
尚、既述の通気止めフィルムを異音防止層として用いることも可能であり、又、異音防止層を通気止めフィルムとして用いることも可能である。
【0042】
表皮材接着材層(7)、通気止めフィルム接着材層(6)及び中間基材接着材層(10)としては、充分な接着性と成形加工性を発揮できれば、当業者に知られ、一般に市販されているいずれの接着剤も使用できる。例示すればポリオレフィン系ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤やウレタン系接着材である。
【0043】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。実施例比較例に用いた樹脂を表1に示す。
【0044】
実施例および比較例で行った評価方法を以下に示す。
【0045】
(垂直入射吸音率測定)
JIS−A−1405(ASTM E1050)による垂直入射吸音率の測定により評価した。なお、本測定は一例として車両用内装材を用いるため、車両への実装状態に近づける為、音波は表皮材側より入射した。測定は、29mm口径の測定機(測定周波数範囲:500〜6300Hz)、背後空気層15mmで測定を行った。ただし、背後空気層は通気止めフィルムの振動を妨げないための一例として15mmで測定したが、0mmでなければ何ら制限を受けない。
【0046】
(実施例1)
ウレタン発泡シート(4.8mm)の表裏面にガラス繊維層を補強層として積層した通気性材料(1)(5.0mm)に熱プレスすることで、深さが通気性材料(1)の5分の1、径が14mmの窪みをφ2.9mm径に1個のピッチで設けた。
【0047】
次いでその窪みを設けた面側に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。
【0048】
このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、クモの巣状に空孔した表皮材接着材層(7)を介して表皮材(9)として厚み約1mmのPET系不織布表皮材を仮止めした。
【0049】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ5.0mmの図1同様の車両用内装材を得た。
【0050】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0051】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が80%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が85%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0052】
(実施例2)
孔径14mmの貫通孔をφ2.9mm径に1個のピッチで有する変性ポリフェニレンエーテル系発泡積層シートを中間基材(5)として、中間基材接着材層(10)(ウレタン系接着剤層)を介して実施例1で用いたのと同様な通気性材料(1)に積層した。
【0053】
次いでその中間基材(5)の更に上に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。
【0054】
このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、クモの巣状に空孔した表皮材接着材層(7)を介して表皮材(9)として厚み約1mmのPET系不織布表皮材を仮止めした。
【0055】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ9.0mmの図2同様の車両用内装材を得た。
【0056】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0057】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が65%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が85%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0058】
(実施例3)
孔径14mmの貫通孔をφ2.9mm径に1個のピッチで有する変性ポリフェニレンエーテル系発泡積層シートを中間基材(5)として、中間基材接着材層(10)(ウレタン系接着剤層)を介してクラボウ社製ウレタンスラブ6mm(通気性材料(1))に積層した。
【0059】
次いでその介在貫通孔基材の更に上に通気止めフィルム接着剤層(6)としてウレタン系接着剤を用い、それを介して厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製「ハーデン」フィルム)を積層した。このようにして得た基材(3)の通気止めフィルムを積層したとは裏面側に、ニット系表皮材をフレームラミ積層した。
【0060】
以上のようにして得られた基材を金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、厚さ10.0mmの図2同様の車両用内装材を得た。
【0061】
得られた内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0062】
その結果、1000Hzを中心に吸音極大値が75%程度の幅広い吸音曲ピークを、4000Hzを中心に吸音極大値が90%程度の幅広い吸音曲ピークを持つ吸音曲線になった。
【0063】
(比較例1)
窪みを設けなかった以外は実施例1で用いたのと同様な内装材からφ29mmのサンプルに打抜き垂直入射吸音率を測定した。
【0064】
その結果、2000Hz以下では20%以下の吸音率を示し、2000Hz より高い周波数域から指数的に吸音率が上昇し、4000〜5000Hz付近での吸音率が85%程度の、高周波数域でのみ高吸音率を示す吸音曲線になった。
【0065】
【発明の効果】
通気性材料の一方の面側に通気止めフィルムを積層した基材において、通気止めフィルムが通気性材料に凹陥部等を設けることにより、通気性材料と接触していない部分を有する構造にすることにより、基材の室内側の意匠性を高めることが出来、室内の通風汚れの問題が少なく、また、構造剛性を低下させること無く、通気性材料に接触していない部分のフィルムの振動自由度を高め、共振効果により膜振動を利用することで高周波のみならず人の話し声に近い低周波数域においてまで幅広く高吸音性特性が付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る内装材の要部拡大断面模式図である。
【図2】図2は、本発明に係る内装材の他の要部拡大断面模式図である。
【図3】図3は、本発明に係る内装材の他の一実施形態を示す要部拡大断面模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る内装材の要部拡大断面模式図における一例である。
【符号の説明】
1:通気性材料
2:通気止めフィルム
3:基材
4:貫通孔
5:中間基材
6:通気止めフィルム接着剤層
7:表皮材接着剤層
8:凹陥部
9:表皮材
10:中間基材接着剤層
11:異音防止層
Claims (17)
- 通気性材料(1)の一面側に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有することを特徴とする内装材。
- 通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)の通気止めフィルム(2)積層面側に凹陥部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の内装材。
- 通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分が、通気性材料(1)と通気止めフィルム(2)の間に貫通孔(4)を有する中間基材(5)を介在させてなることを特徴とする請求項1又は2記載の内装材。
- 通気性材料(1)が吸音層をコア層とする積層シートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の内装材。
- 通気止めフィルム(2)の厚みが5μm〜200μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の内装材。
- 通気止めフィルム(2)の厚みが10μm〜30μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の内装材。
- 通気止めフィルム(2)がポリアミド系樹脂を用いたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の内装材。
- ポリアミド系樹脂がナイロンフィルムであることを特徴とする請求項6記載の内装材。
- 通気性材料(1)に設けられる凹陥部の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の内装材。
- 中間基材(5)が有する貫通孔の径が6.5mm〜100mmであることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項記載の内装材。
- 中間基材(5)が有する貫通孔の径が8mm〜20mmであることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項記載の内装材。
- 通気性材料(1)の一面に通気止めフィルム(2)を積層した基材(3)であって、通気止めフィルム(2)が通気性材料(1)に非接触である部分を有し、該基材(3)の通気止めフィルム(2)が積層された他面側に表皮材が積層されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の内装材。
- 表皮材が不織布であることを特徴とする請求項12記載の内装材。
- 基材(3)の通気止めフィルム上に異音防止層(11)が積層されたことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の内装材。
- 異音防止層が不織布であることを特徴とする請求項14記載の内装材。
- 請求項1〜15のいずれか1項記載の内装材を車両用に用いてなる車両用内装材。
- 請求項1〜16のいずれか1項記載の内装材を成形してなる成形内装材。
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