JP2004124752A - 過給機付火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

過給機付火花点火式エンジンの制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リーン燃焼による燃費改善効果をもたせるとともに、一部の気筒では圧縮自己着火を効果的に行わせ、燃費及びエミッションの改善効果を高める。
【解決手段】特殊運転モードでは、排・吸気行程が重なる一対の気筒2A,2B間において先行気筒2Aから排出される既燃ガスがそのまま後続気筒2Bに気筒間ガス通路を介して導入され、後続気筒2Bから排出されるガスが排気通路に導かれる。先行気筒2Aではリーン空燃比で燃焼を行わせ、後続気筒2Bでは先行気筒2Aからの既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせる。部分運転領域において、先行気筒2Aでは第2排気弁32bを排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁させ、先行気筒2Aの吸気弁31を第2排気弁32bにオーバーラップさせるように制御する。後続気筒2Bでは圧縮自己着火により燃焼を行わせるように制御する。先行気筒2Aにおける吸気を補助する過給機27が設けられている。
【選択図】    図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒のエンジンにおいて燃費改善及びエミッション向上のために各気筒の燃焼状態を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が知られており、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低回転低負荷域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,CO及びNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時にNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、上記特許文献1にも示されるように、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着して酸素濃度低下雰囲気でNOxの離脱、還元を行うリーンNOx触媒を設けている。そして、このようなリーンNOx触媒を用いる場合、リーン運転中にリーンNOx触媒のNOx吸着量が増大したときは、例えば上記公報に示されるように主燃焼以外に膨張行程中に追加燃料を噴射することで排気ガスの空燃比をリッチ化するとともにCOを生成し、これによってNOxの離脱、還元を促進するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−274085号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中のNOx浄化性能の確保のために上記リーンNOx触媒が必要となってコスト的に不利である。また、上記リーンNOx触媒の浄化性能を維持するためには、上述のようにNOx吸着量増大時にNOxの離脱、還元のため追加燃料の供給等による一時的な空燃比のリッチ化を行う必要があり、さらに、使用燃料が硫黄分を多く含む場合、上記リーンNOx触媒の硫黄被毒の解消のために触媒の加熱及び還元材供給等のリジェネレーション処理が必要となり、これらによって燃費改善効果が低下する。
【0006】
しかも、空燃比がある程度以上にリーンになると、燃焼速度が遅くなりすぎてその終期に近い燃焼が仕事に寄与しなくなるため、成層燃焼でのリーン化による燃費改善には限界があった。
【0007】
また、燃費改善のための別の手法として、圧縮自己着火が研究されており、この圧縮自己着火は、ディーゼルエンジンと同様に圧縮行程上死点に燃焼室内を高温、高圧にして燃料を自己着火させるようにするものであり、空燃比が超リーンの状態や多量のEGRが導入されている状態でもこのような圧縮自己着火が行われれば燃焼室全体が一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に有利となる。しかし、通常の火花点火式エンジン(ガソリンエンジン)では燃焼のために強制点火が必要であって、圧縮自己着火を行わせるためには燃焼室内の温度または圧力を大幅に高めるための格別の工夫が必要となり、高負荷域でのノッキングを避けつつ、燃費改善が要求される部分負荷域で圧縮自己着火を生じさせる程度まで燃焼室内の温度または圧力を高めることが困難であった。
【0008】
そこで、本出願人は、リーン燃焼と圧縮自己着火とを併用して大幅な燃費改善効果をもたせるべく、エンジンの部分負荷域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程にある後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入される2気筒接続状態とするとともに、先行気筒では空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比にして、強制点火により燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して圧縮自己着火により燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置に関する技術を出願している(特願2002−29836号)。
【0009】
本発明は、このような技術に基づき、さらに広い領域で効果的に後続気筒での圧縮自己着火による燃焼を行わせることができるようにし、燃費及びエミッションの改善効果を高めることができる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われるようになっている多気筒の火花点火式4サイクルエンジンにおいて、エンジンの部分負荷域でエンジンの吸・排気及び燃焼状態についての制御モードを特殊運転モードとし、この特殊運転モードでは、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程にある後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出されるガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、先行気筒では空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置であって、上記特殊運転モードとされる運転領域のうち少なくとも一部の運転領域において、上記先行気筒では排気弁を排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁することにより気筒内に既燃ガスを一部残存させかつ吸気弁の開弁期間を上記排気弁の開弁期間にオーバーラップさせるように制御すると共に、上記後続気筒では圧縮自己着火により燃焼を行わせるように制御する一方、上記先行気筒における吸気を補助する過給機が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によると、上記特殊運転モードにおいて後続気筒で圧縮自己着火により燃焼が行われる場合に、上記先行気筒ではリーン燃焼による熱効率向上およびポンピングロス低減により燃費改善効果が得られ、後続気筒では圧縮自己着火による燃焼効率の向上及びポンピングロス低減により燃費改善効果が得られる。また、先行気筒ではリーン空燃比で燃焼が行われることによりNOx発生量が比較的低く抑えられ、後続気筒では先行気筒からの既燃ガスが導入されることにより多量のEGR(排気再循環)が行われているのと同等の状態となることからNOxの発生を十分に抑制して、排ガスの浄化に寄与することになる。さらに、後続気筒から排気通路に排出されるガスは理論空燃比とすることができるため、三元触媒だけで充分な排気ガスの浄化が可能になると共に、比較的高価なリーンNOx触媒を必要としないので、コストの削減にも繋がる。
【0012】
また、先行気筒に既燃ガスを残存させた状態で新気を取り込み燃焼させるので、既燃ガス成分が増大すること等により、先行気筒におけるノッキング抑制作用が高められる。また、先行気筒では比較的高温の残存既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させるので、その既燃ガスはさらに高温のものとなり、この高温の既燃ガスが後続気筒に導入されるので、後続気筒における圧縮自己着火が確実且つ円滑に行われる一方、このガス中のEGRに相当する既燃ガス成分が増大する等により後続気筒のノッキング抑制作用が高められる。さらに、先行気筒の排気弁を早期に閉弁させることに伴ってポンピングロスの増加が懸念されるが、この排気弁に吸気弁をオーバーラップさせているので、ポンピングロスの増大を回避することができる。
【0013】
ここで、先行気筒においては、既燃ガスが一部残存しており、しかもその吸気弁は、排気弁にオーバーラップさせるために排気行程において開弁されるため、新気の取り込み不足による出力低下が懸念されるところであるが、この発明によると、先行気筒の吸気を補助する過給機が設けられているので、この過給機により先行気筒に対して新気を強制的に送り込むことができ、吸気量低下による出力低下を防止することができる。
【0014】
この発明において、上記先行気筒における吸気弁の閉弁時期が、吸気行程下死点に略一致するように設定されているのが好ましい(請求項2)。このようにすると、エンジンの有効圧縮比が向上し、筒内温度をより高温に維持することができるため、より一層高温の既燃ガスを後続気筒に導入することができる。したがって、例えば筒内温度が上昇し難い低負荷域等であっても、後続気筒における自己着火性をより確実に確保することができると共に、後続気筒における圧縮自己着火による燃焼を行うことができる運転領域を拡大することができ、さらなる燃費の向上、排ガス浄化を促進することができる。
【0015】
また、この発明において、上記先行気筒における吸・排気弁のバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構が設けられ、上記特殊運転モードとされる運転領域における上記一部運転領域よりも高負荷域では、上記バルブタイミング可変機構により上記先行気筒の排気弁が排気行程上死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されると共に、上記先行気筒の吸気弁が吸気行程を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されるのが好ましい(請求項3)。このようにすると、バルブタイミング可変機構によりエンジンの運転状態に応じた最適なバルブタイミングを設定することができ、エンジンの運転状態に応じた出力性能を確保することができる。また、例えば後続気筒に導入される既燃ガスが必要以上に高温になりすぎて生じ得る後続気筒におけるノッキングを有効に防止することができる。すなわち、上記高負荷域では、先行・後続気筒は、共にその気筒内温度が高くなり、このような状態で先行気筒で既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させ、またこの先行気筒の高温の既燃ガスが後続気筒に導入されると、先行・後続気筒の筒内温度が必要以上に高くなり過ぎて逆にノッキング等の異常燃焼が発生する虞がある。したがって、上記のように構成すると、先行気筒における残存既燃ガスによる温度上昇を抑制すると共に、後続気筒に導入される先行気筒の既燃ガス温度を低下させて、先行・後続気筒におけるノッキングを有効に防止することができ、しかも先行気筒において既燃ガスが残存しないので、新気を十分に取り込むことができ、このためエンジンの出力性能を十分に発揮させることができる。
【0016】
さらに、上記バルブタイミング可変機構が設けられた制御装置においては、上記特殊運転モードとされる運転領域よりもさらに高負荷域では、先行気筒における吸・排気弁をその吸・排気行程にそれぞれ対応させて開閉させると共に、各気筒をそれぞれ独立させて強制点火により燃焼させる通常運転モードに切り換えるように設定され、この通常運転モードにおいては、各気筒における排気ガスの一部をEGRクーラが設けられた外部EGR通路を介して吸気通路に導入するのが好ましい(請求項4)。このようにすると、負荷に対応したエンジンの出力性能を確保することができると共に、EGRクーラにより冷却された一部排気ガスが外部EGRを介して吸気通路に導入され、これにより気筒内温度の上昇によるノッキングを有効に防止することができる。
【0017】
また、上記過給機は、特に限定されるものではないが、過給機としてターボ過給機を用いるのが好ましい。このように、過給機がターボ過給機である場合には、排圧が高くなるため、先行気筒に既燃ガスを残存させやすくなり、後続気筒に導入される既燃ガスをより一層高温にすることができ、後続気筒の自己着火性を高めることができる。
【0018】
一方、請求項6に係る発明は、気筒が吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっている火花点火式エンジンの制御装置において、吸・排気弁のバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構と、過給機とを備え、少なくとも一部運転領域で、上記バルブタイミング可変機構により吸・排気弁のバルブタイミングを変更して、排気弁を排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁することにより気筒内に既燃ガスを一部残存させると共に、吸気弁の開弁期間を上記排気弁の開弁期間にオーバーラップさせて上記残存既燃ガスに加えて新気を取り込みかつこの吸気弁を吸気行程下死点に略一致するように閉弁させて、圧縮自己着火により燃焼を行わせるように制御する一方、上記過給機により各気筒に吸気を補助することを特徴とするものである。
【0019】
この発明によると、圧縮自己着火により燃焼室全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、熱効率を向上させて高い燃費改善効果が得られる。また、残存既燃ガスによりEGRが行われているのと同等の状態となることから、NOxの発生量を十分に抑制して排ガスの浄化に寄与することとなる。さらに、気筒内に残存した比較的高温の既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させるので、筒内温度を上昇させることができ、これにより気筒における圧縮自己着火が確実且つ円滑に行われる一方、このガス中のEGRに相当する既燃ガス成分が増大する等によりノッキング抑制作用も高められる。また、排気弁が早期に閉弁されることに伴い、ポンピングロスの増大が懸念されるところであるが、この発明によると吸気弁を排気弁にオーバーラップさせているので、ポンピングロスの増大を回避することができる。
【0020】
ここで、気筒内には、既燃ガスが一部残存しており、しかもその吸気弁は、排気弁にオーバーラップさせるために排気行程において開弁されるため、新気の取り込み不足による出力低下が懸念されるところであるが、この発明によると、各気筒の吸気を補助する過給機が設けられているので、この過給機により各気筒に対して新気を強制的に送り込むことができ、吸気量低下による出力低下を防止することができる。
【0021】
請求項6記載の発明において、上記燃焼制御手段は、上記気筒内で空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼されるように制御するのが好ましい(請求項7)。このようにすると、リーン燃焼による熱効率向上およびポンピングロス低減によってさらなる燃費改善効果が得られる。
【0022】
上記請求項6または請求項7記載の発明において、上記一部運転領域よりも高負荷域では、上記バルブタイミング可変機構により吸・排気弁のバルブタイミングを変更して、上記排気弁が排気行程上死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されると共に、上記吸気弁が吸気行程下死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定される一方、各気筒において強制点火による燃焼を行わせるように制御するのが好ましい。このようにすると、エンジンの運転状態に応じて出力を確保することができ、また後続気筒におけるノッキングを有効に防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0025】
各気筒2の燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0026】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0027】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートが吸気弁31、31a,31b及び排気弁32、32a,32bにより開閉されるようになっている。
【0028】
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図6及び図7に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で約180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。なお、図6及び図7において、EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火を表し、図中の星マークは圧縮自己着火が行われることを表している。
【0029】
排気行程と吸気行程が略重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が略重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。本実施形態の4気筒エンジンでは、図6及び図7に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが略重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が略重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0030】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0031】
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路20に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを気筒間ガス通路22を介して後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを気筒間ガス通路22を介して導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路20に送り出すための排気ポート32とが配設されている。
【0032】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室4の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室4の右半部側に並列的に設けられている。
【0033】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。
【0034】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間にそれぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0035】
上記気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアOセンサ25が設けられており、その出力に応じ、所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御される。なお、本実施形態の装置では、上記気筒間ガス通路22は、互いに隣接する気筒間を接続する比較的短い通路であり、先行気筒2A,2Dから排出されるガスがこの通路22を通る間の放熱は比較的小さく抑えられるようになっている。
【0036】
また、先行気筒2A,2Dに対して吸気を補助する過給機が設けられ、本実施形態ではターボ過給機27が設けられている。この過給機27は、本実施形態では、後述する特殊運転モードでも通常運転モードでも、先行気筒2A,2Dの吸気を補助するように駆動されるが、場合によっては運転状態に応じて過給を制限するものであっても良い。この過給機27は、分岐排気通路21を介して各排気ポート12,12a,12bに連通する排気通路20に設けられたタービン28と各吸気ポート11,11a,11bに連通する吸気通路15に設けられ上記タービン28に連動するコンプレッサ29とを有し、排気通路20を流通する排気ガスのエネルギーでタービン28が回転し、このタービン28の回転に連動してコンプレッサ29も回転し、このコンプレッサ29の回転により吸気を過給するものとなされている。なお、過給機としては、上記ターボ過給機27に限定されるものではなく、スーパーチャージャー等の機械式過給機等であっても良いが、ターボ過給機27を設けることにより、排圧が高くなるため、後述するように先行気筒2A,2Dに既燃ガスを残存させやすくなり、後続気筒2B,2Cに導入する既燃ガスをより一層高温にすることができ、後続気筒2B,2Cにおける自己着火性を高めることができる点で有利である。なお、この過給機27による過給圧は、後述のように既燃ガスが残存して吸気圧が低下した先行気筒2A,2Dに対して新気の供給を補助する程度のものであれば足りる。
【0037】
さらに、排気通路20の下流には、各気筒における排気ガスの一部を吸気通路15に導入するための外部EGR通路26が設けられ、この外部EGR通路26には、排気ガスを冷却するEGRクーラ26aと外部EGR通路26を開閉する外部EGRコントロール弁26bが設けられている。そして、この外部EGRコントロール弁26bの開閉に伴い、EGRクーラ26aにより冷却された排気ガスが吸気通路15に導入されるものとなされている。この外部EGR通路26は、気筒内温度の上昇を抑制してノッキングの発生を防止するためのものであり、本実施形態では、後述する通常運転モードで機能するように制御される。
【0038】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するOセンサ23が設けられている。このOセンサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλOセンサ23であり、このOセンサ23の出力に基づいて後続機構2B,2C(各気筒独立状態の時は気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御される。さらにOセンサ23の下流の排気通路21には排気浄化のために三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
【0039】
各気筒の吸・排気ポートを開閉する吸・排気弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0040】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ吸気弁31、第1排気弁32a及び第2排気弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ第1吸気弁31a、第2吸気弁31b及び排気弁32が設けられている。
【0041】
これらの各弁は、対応する各気筒が吸・排気行程に応じて、すなわち各ピストン3の上下動(上死点と下死点との間の移動)に応じて動弁機構により所定のタイミングで開閉するものとなされているが、その開閉時期は必ずしもピストン3の上死点や下死点に一致するとは限らず、必要に応じてクランク角を数度〜数十度進角または遅角させた時期に設定しても良い。特に、本実施形態では、動弁機構に備えられたバルブタイミング可変機構により、エンジンの運転状態に応じてバルブタイミングを変更したり、弁を閉じきり状態に維持し得るようにしたりなされている。
【0042】
具体的には、本実施形態では、上記バルブタイミング可変機構として運転状態に応じてカムを乗り換えるカム切換機構51,61が採用され、先行気筒である1番、4番気筒2A,2Dの吸気弁31及び第2排気弁32bが、3段階に亘ってバルブタイミングを変更し得るものとなされている一方、その他の弁は、2段階に亘ってバルブタイミングを変更し得るものとなされている。
【0043】
図4は、3段階に切換可能なカム切換機構51を示す部分斜視図であり、上述のように2点鎖線で示す第2排気弁32bのために設けられたカム切換機構51aと吸気弁31のために設けられたカム切換機構51bとがある。
【0044】
この第2排気弁32bのために設けられたカム切換機構51aは、第2排気弁32bの上方に設けられ切換段階に応じた複数種のカムが設けられたカムシャフト33と、このカムシャフト33と第2排気弁32bとの間にロッカシャフト55に支持されたロッカアームセット56とを備える。
【0045】
カムシャフト33には切換段階に応じた複数種類のカム、即ち第1ないし第3の3種類のカム52,53,54が軸方向に隣接して設けられ、これらのカムはカムシャフト33と一体回転するものとなされている。各カムは、異なるリフト特性を有し、すなわち各カムにより弁の開閉弁時期や開弁期間、リフト量等が決定されるものとなされている。各カムの形状や作用等は後述する。
【0046】
ロッカアームセット56は、第1ないし第3ロッカアーム57,58,59という3種類のロッカアームの集合体であり、第2排気弁32bにカムの駆動力を伝達し開閉動作させるものである。
【0047】
具体的には、第1ロッカアーム57はその先端部にバルブ当接部60が設けられ、このバルブ当接部60が適切な位置で第2排気弁32bの弁軸上端に当接する。一方、第2及び第3ロッカアーム58,59は、第1ロッカアーム57の両側方に第1ロッカアーム57と切り離された状態で設けられ、図外のスプリングにより、それぞれ第2及び第3カム53,54に押圧されるものとなされている。したがって、ロッカアームセット56の各ロッカアームは、図示のように独立して可動する場合には、各ロッカアーム57,58,59の上面は、第1ないし第3カム52,53,54の外周部に当接し、カム当接部の形状(各カムの回転半径)に応じてロッカシャフト55を支軸として上下に揺動する。
【0048】
また、第1ないし第3ロッカアーム57,58,59は、上記のように個々に独立して設けられているが、各ロッカアーム間に連通された複数のプランジャー穴(図示せず)内をそれぞれ油圧作動により摺動する複数のプランジャー(図示せず)により第1ロッカアーム57と第2ロッカアーム58とがまたは第1ロッカアーム57と第3ロッカアーム59とが連結可能であり、この連結一体化状態では一体化されているロッカアーム同士が連動するものとなされている。これらのプランジャーは第1及び第2作動油給排用通路36,38を流通するオイルにより摺動するものとなされている一方、オイルは各作動油給排用通路36,38に設けられた第1及び第2コントロール弁37,39によりその流通がコントロールされるものとなされている(図3参考)。したがって、このカム切換機構51は、上記第1及び第2コントロール弁37,39を制御することにより各プランジャーを摺動させ、これらのプランジャーの動きにより、各ロッカアーム分離状態、第1及び第2ロッカアーム57,58の一体化状態、第1及び第3ロッカアーム57,59の一体化状態の3状態に切換が可能である。
【0049】
そして、このカム切換機構51の動作を、各カムの形状等と共に説明する。
【0050】
第1カム52は、弁停止用のカムであり、カムシャフト33と同心円の外周形状を有する。したがって、第1及び第2コントロール弁37,39を制御して各ロッカアームを分離させた状態のとき、すなわちカム切換機構51により第1カム52が選択されたとき、第1ロッカアーム57の上面は第1カム52の外周面に常時当接し、カムシャフト33が回転しても揺動せず、この第1ロッカアーム57のバルブ当接部60に当接されている第2排気弁32bも開閉動作しない。
【0051】
第2カム53は、低負荷用のカムであり、第1カム52と同一の外周形状を有する部分と、それより径方向外方に突出した外周形状を有する部分とからなる。この第2カム53の突出部分は、第2排気弁32bを排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁するように調整されている。したがって、第2ロッカアーム58は、カムシャフト33の回転に伴い、第2カム53の突出部分に応じて所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する一方、第2ロッカアーム58が第1ロッカアーム57に一体化されて連動状態のとき、すなわちカム切換機構51により第2カム53が選択されたとき、この第2ロッカアーム58の揺動に伴って第1ロッカアーム57も揺動し、第2排気弁32bが所定期間に所定量だけ開弁し、排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁する。
【0052】
第3カム54は、高負荷用のカムであり、従来のエンジンの一般的なカムと同様に機能するように設定され、第1カム52と同一の外周形状を有する部分と、それより径方向外方に突出した外周形状を有する部分とからなる。この突出部分は、第2カム53の突出部分と若干異なる角度に設定され、第2排気弁32bが排気行程上死点よりも所定期間経過後に閉弁するように調整されている。したがって、第3ロッカアーム59は、カムシャフト33の回転に伴い、第3カム54の突出部分に応じて所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する一方、第3ロッカアーム59が第1ロッカアーム57に一体化されて連動状態のとき、すなわちカム切換機構51により第3カム54が選択されたとき、この第3ロッカアーム59の揺動に伴って第1ロッカアーム57も揺動し、第2排気弁32bが所定期間に所定量だけ開弁し、排気行程上死点よりも所定期間経過後に閉弁する。
【0053】
すなわち、本実施形態では、第3カム54は、第2排気弁32bを従来のエンジンと同様に、吸・排気行程に対応させた一般的な開閉弁時期、開弁期間等で駆動するように設定されている一方、第2カム53は、この第3カム54により駆動される第2排気弁32bと比べ、第2排気弁32bを全体的に進角させて排気行程上死点前に閉弁するように設定されている。そして、エンジンの運転状態に応じてカム切換機構51により第1ないし第3カム52,53,54が選択され、第2排気弁32bは各カムの外周形状に応じて駆動するように設定されている。
【0054】
一方、吸気弁31のために設けられた3段階切換可能のカム切換機構51bも、上記第2排気弁32bのために設けられた3段階切換可能のカム切換機構51aと同様に構成されているが、第2カム53採用時の吸気弁31の開弁時期が第2排気弁32bにオーバーラップさせるように設定されると共に、その閉弁時期が吸気行程下死点に一致するように設定されている点で異なる。一方、第3カム54については、上記第2排気弁32bのために設けられたカム切換機構51と同様に、従来のエンジンの一般的な開閉弁時期等で駆動されるように、すなわち吸気弁31が吸気行程に対応させて、吸気行程上死点よりも所定期間前に開弁されるように設定されている一方、吸気行程下死点よりも所定期間経過後に閉弁されるように設定されている。
【0055】
また、先行気筒である1番、4番気筒2A,2Dの吸気弁31及び第2排気弁32b以外の弁については、2段階に切換可能なカム切換機構61によりバルブタイミングを変更することができるものとなされているが、その構成は、プランジャー穴が少ない等の一部の構成を除けば、カム切換機構51と同様で、各弁を第1カム62と第2カム63とにより停止状態と作動状態とに切り換えるものである。したがって、カム切換機構61は、その説明を省略する。なお、この2段階切換可能なカム切換機構61により作動状態とされる弁は、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングに設定されている。
【0056】
なお、本実施形態では、バルブタイミング可変機構として、運転状態に応じてカムを乗り換える可変バルブタイミング・リフト機構(VVL)を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば弁の開閉周期を全体的に進角させる可変バルブタイミングシステム(VTC)等公知のバルブタイミング可変機構を採用するものであっても良い。この場合、別途公知の弁停止機構やこれを制御する制御手段等を設けて、後述するような特殊運転モードと通常運転モードとを切り換え得るように構成される。
【0057】
図3は駆動、制御系統の構成を示している。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19及びOセンサ23及びリニアOセンサ25からの信号が入力され、さらに運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ47及びアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ48等からの信号も入力されている。また、このECU40から、点火回路8、各燃料噴射弁9と、多連スロットル弁17のアクチュエータ18と、上記第1,第2のコントロール弁37,39と、外部EGRコントロール弁26bとに対して制御信号が出力されている。
【0058】
上記ECU40は、運転状態判別手段41、カム切換制御手段42、吸入空気量制御手段43、燃焼制御手段44及び外部EGR制御手段49とを備えている。
【0059】
運転状態判別手段41は、図5に示すようにエンジンの運転領域が低負荷低回転側の運転領域A(部分負荷域)と高負荷側ないし高回転側の運転領域Bとに分けられた制御用マップを有すると共に、運転領域A中に低中負荷側の運転領域A1と高負荷側の運転領域A2とに分けられた制御用マップを有し、上記回転数センサ47及びアクセル開度センサ48等からの信号により調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数及びエンジン負荷)が上記運転領域A,B及び運転領域A1,A2のいずれの領域にあるかを判別する。そして、この判別に基づき、低負荷低回転側の運転領域Aでは、排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入して燃焼させる特殊運転モードが選択され、高負荷側ないし高回転側の運転領域Bでは、各気筒をそれぞれ独立させて燃焼させる通常運転モードが選択されるようになっている。
【0060】
さらに運転状態判別手段41は、特殊運転モードが選択される運転領域Aにある場合に、この領域Aのうちの低中負荷域A1、高負荷域A2のいずれにあるかを判別するようになっており、この判別結果に基づいてカム切換制御手段42により最適なカムを選択するものとなされると共に、燃焼制御手段44により燃料の噴射時期や点火方法等を選択するものとなされている。
【0061】
カム切換制御手段42は、運転状態判別手段41の出力に基づいて、すなわちエンジンの運転状態に応じて、第1及び第2コントロール弁37,39を制御することにより、カム切換機構51を次のように制御する。
【0062】
運転領域A1(特殊運転モードのうち低中負荷領域)
・第1排気弁32a及び第1吸気弁31a
カム切換機構61により第1カム62が選択され停止状態
・吸気弁31及び第2排気弁32b
カム切換機構51により第2カム53が選択され作動状態
・第2吸気弁31b及び排気弁32
カム切換機構61により第2カム63が選択され作動状態
運転領域A2(特殊運転モードのうち高負荷領域)
・第1排気弁32a及び第1吸気弁31a
カム切換機構61により第1カム62が選択され停止状態
・吸気弁31及び第2排気弁32b
カム切換機構51により第3カム54が選択され作動状態
・第2吸気弁31b及び排気弁32
カム切換機構61により第2カム63が選択され作動状態
運転領域B(通常運転モード)
・第1排気弁32a及び第1吸気弁31a
カム切換機構61により第2カム63が選択され作動状態
・吸気弁31
カム切換機構51により第3カム54が選択され作動状態
・第2排気弁32b
カム切換機構51により第1カム52が選択され停止状態
・第2吸気弁31b
カム切換機構61により第1カム62が選択され停止状態
・排気弁32
カム切換機構61により第2カム63が選択され作動状態
【0063】
上記吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードとされる運転領域Aでは、後続気筒である2番、3番気筒2B,2Cにおいては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒である1番、4番気筒2A,2Dから導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比がリーン空燃比とされつつ燃焼が行われるので、過給機27により過給されて先行気筒2A,2Dに供給される空気が、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気(2気筒分の燃料の量に対して理論空燃比となる量の空気)となるように、スロットル開度が調節される。
【0064】
上記燃焼制御手段44は、燃料噴射制御手段45と点火制御手段46とからなっており、燃料噴射制御手段45により、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御及び点火停止等の制御を行う。そして、特に運転状態が図5中の運転領域Aにある場合と運転領域Bにある場合、また、運転領域Aにある場合でも運転領域A1にある場合と運転領域A2にある場合とで燃焼状態の制御(燃料噴射の制御及び点火の制御)が変更される。
【0065】
すなわち、運転状態が低負荷低回転側の運転領域Aにある場合、特殊運転モードでの制御として、先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とするように燃料噴射量を制御するとともに、圧縮行程で燃料を噴射して混合気の成層化を行わせるように噴射タイミングを設定し、かつ、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火タイミングを設定する。一方、後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)に対しては、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、実質的に理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するとともに、運転領域A(運転領域A1及び運転領域A2を含む)にある場合には、吸気行程で燃料を噴射するように噴射タイミングを設定し、そして圧縮自己着火を行わせるべく、強制点火を停止するように設定する。
【0066】
また、運転状態が高負荷側ないし高回転側の運転領域Bにある場合には、通常運転モードでの制御として、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えばこの運転領域Bのうちの大部分の領域において理論空燃比とし、全開負荷及びその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射タイミングを設定し、かつ、各気筒2A〜2Dとも強制点火を行わせるようにする。
【0067】
外部EGR制御手段49は、運転状態判別手段41の結果に基づいて、この判別結果が通常運転モードが選択される場合に、すなわちエンジンの運転状態が運転領域Bにある場合に、閉状態にある外部EGRコントロール弁26bを開くように制御して、EGRクーラ26aにより冷却された一部排気ガスを吸気通路15に導入する外部EGRを実行するものである。
【0068】
以上のような本実施形態の装置の作用を、図6〜図10を参照しつつ説明する。
【0069】
運転領域Aでは特殊運転モードとされ、前述のようにカム切換機構61により第1排気弁32a及び第1吸気弁31aが停止状態、カム切換機構51により第2排気弁32b及び第2吸気弁31bが作動状態、カム切換機構とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図9に示すようになり、先行気筒(1番,4番気筒)2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒(2番,3番気筒)2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
【0070】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から過給機27により補助されつつ新気が導入され(図9中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアOセンサ25により検出される空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ圧縮行程で燃料が噴射され、かつ、所定点火時期に点火が行われて、リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図6及び図7参照)。
【0071】
一方、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図6及び図7中の白抜き矢印及び図9中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、運転領域A(運転領域A1及び運転領域A2)では、吸気行程で燃料が噴射された後、圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力、温度の上昇により圧縮自己着火が行われる(図6及び図7参照)。
【0072】
このように、先行気筒2A,2Dでは、リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともに、成層燃焼を行わない通常のエンジンと比べて吸気負圧が小さくなることでポンピングロスが低減され、一方、運転領域Aにおいて後続気筒2B,2Cでは、空燃比が略理論空燃比とされつつ、均一な混合気分布状態で圧縮自己着火が行われることにより熱効率が高められるとともに、先行気筒2A,2Dから押出されたガスが送り込まれるため先行気筒2A,2Dよりもさらにポンピングロスが低減される。これらの作用により、燃費が大幅に改善される。
【0073】
しかも、後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出されるガスは理論空燃比であるため、従来のリーンバーンエンジンのようにリーンNOx触媒を設ける必要がなく、三元触媒24だけで充分に排気浄化性能が確保される。
【0074】
そして、リーンNOx触媒を設ける必要がないことから、リーンNOx触媒のNOx吸蔵量増大時におけるNOxの放出、還元のための一時的な空燃比のリッチ化を行う必要がなく、燃費改善の目減りが避けられる。さらに、リーンNOx触媒の硫黄被毒の問題が生じることもない。
【0075】
また、先行気筒2A,2Dでは理論空燃比の略2倍もしくはそれに近いリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられる。一方、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となるとともに、運転領域Aにおいては圧縮自己着火による急速燃焼が行われると可及的に酸素と窒素との反応が避けられることから、NOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
【0076】
また、運転領域A中の低中負荷域である運転領域A1では、圧縮自己着火を確実且つ円滑に行うために、先行気筒2A,2Dの吸気弁31及び第2排気弁32bのバルブタイミングを従来のエンジンの一般的なバルブタイミングからカム切換機構51により次のように変更される。
【0077】
図6は、運転領域A1における各気筒の吸・排気行程、燃料噴射時期、点火時期等を示す図であり、図8(a)は、吸・排気行程部分を詳細に示したものである。
【0078】
図8(a)において、横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BTC)を示す。そして、帯状の各部分は各弁の開弁期間を示し、上段から下段に向かう白抜き矢印は、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cとが略重なっており、先行気筒2A,2Dでの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる状態を示す。また、上段には先行気筒2A,2Dの第2排出弁32bが開弁する開弁期間80と、吸気弁31が開弁する開弁期間81とを示す一方、下段には後続気筒2B,2Cの排気弁32の開弁期間82と、第2吸気弁31bが開弁する開弁期間83とを示す。
【0079】
上段における先行気筒2A,2Dにおいては、カム切換機構51により第2カム53が選択され、図8(a)に明示するように、第2排気弁32bは、排気行程上死点85よりも所定期間前に閉弁され、燃焼室4に既燃ガスが残存される。そして、この先行気筒2A,2Dに過給機27により新気が導入され、上記のように強制点火により燃焼された後、気筒間通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入される。なお、本実施形態においては、第2排気弁32bのバルブタイミングは、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングより全体的に進角させだけのものであり、その開弁期間等は従来のエンジンの一般的な開弁期間と同様に設定されている。
【0080】
このように、先行気筒2A,2Dに既燃ガスを残存させた状態で新気を取り込み燃焼させるので、既燃ガス成分が増大することにより先行気筒2A,2Dにおけるノッキングを効果的に防止することができる。また、先行気筒2A,2Dでは比較的高温の残存既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させるので、その既燃ガスはさらに高温のものとなり、この高温の既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導入されるので、後続気筒2B,2Cにおける筒内温度を上昇させることができ、後続気筒2B,2Cにおける圧縮自己着火が確実且つ円滑に行われる。また、後続気筒2B,2Cにおいても、先行気筒2A,2Dの既燃ガスが導入され、これによってEGRに相当する既燃ガス成分が増大する等により後続気筒のノッキング抑制作用が高められる。
【0081】
ここで、先行気筒2A,2Dにおいては、既燃ガスが一部残存しており、しかもその吸気弁31は、第2排気弁32bにオーバーラップさせるために排気行程において開弁されるため、新気の取り込み不足による出力低下が懸念されるが、先行気筒2A,2Dの吸気を補助する過給機27が設けられているので、この過給機27により先行気筒2A,2Dに対して新気を強制的に送り込むことができ、吸気量低下による出力低下を防止することができる。
【0082】
そして、上記のように、先行気筒2A,2Dにおける第2排気弁32bを早期に閉弁させることに伴い、図8(a)及び図6に示すように、先行気筒2A,2Dの吸気弁31も、カム切換機構51により第2カム53を選択して、そのバルブタイミングを変更し、上記第2排気弁32bにオーバーラップさせている。すなわち、ピストン3が排気行程にあるにもかかわらず、第2排気弁32bを早期に閉弁させると、ポンピングロスが増大して燃費改善効果が低減することとなるが、吸気弁31を第2排気弁32bにオーバーラップさせているので、ポンピングロスの増大を回避することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、上記のようにカム切換機構51によりバルブタイミングを変更するのと同時に、この吸気弁31の閉弁時期を吸気行程下死点87に一致するようになされている。このように、吸気弁31の閉弁時期を吸気行程下死点87に一致させることにより、有効圧縮比を幾何学的圧縮比に一致させ、圧縮による筒内温度の上昇をより大きいものとし、これにより一層高温の既燃ガスを後続気筒2B,2Cに導入することができる。したがって、筒内温度が上昇し難い低負荷域であっても後続気筒2B,2Cにおける自己着火性を確実に確保することができると共に、後続気筒2B,2Cにおける圧縮自己着火による燃焼を行うことができる運転領域を拡大することができる。
【0084】
なお、後続気筒2B,2Cにおける第2吸気弁31b及び排気弁32は、図8(a)及び図6に示すように、カム切換機構61により第2カム63が選択され、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングで開閉動作される。
【0085】
一方、特殊運転モードとされる運転領域Aのうちの高負荷域A2では、先行気筒2A,2D内の燃焼温度が過度に上昇してノッキングが生じ易くなるので、カム切換機構51により吸気弁31及び第2排気弁32bのバルブタイミングを従来のエンジンの一般的なバルブタイミングに変更している。
【0086】
すなわち、図7は、運転領域A2における各気筒の吸・排気行程、燃料噴射時期、点火時期等を示す図であり、この図7における各弁のバルブタイミングは従来のエンジンの一般的なバルブタイミングと同様に以下のように設定されているものである。そして、図8(b)は、図7の吸・排気行程部分を詳細に示したものである。
【0087】
図8(b)において、横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BTC)を示す。そして、帯状の各部分は各弁の開弁期間を示し、上段から下段に向かう白抜き矢印は、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cとが略重なっており、先行気筒2A,2Dでの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる状態を示す。また、上段には先行気筒2A,2Dの第2排出弁32bが開弁する開弁期間100と、吸気弁31が開弁する開弁期間101とを示す一方、下段には後続気筒2B,2Cの排気弁32の開弁期間102と、第2吸気弁31bが開弁する開弁期間103とを示す。
【0088】
特殊運転モードとされる運転領域Aのうちの高負荷域A2では、上述のように、残存既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させると、先行気筒2A,2Dのノッキングが生じやすくなるので、先行気筒2A,2Dにおける吸気弁31及び第2排気弁32bは、図7及び図8(b)にも示すように、カム機構51により第3カム54が選択され、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングで開閉させる。
【0089】
すなわち、先行気筒2A,2Dにおける第2排気弁32bは、排気行程上死点よりも所定期間前に開弁されるように設定される一方、排気行程上死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定され、所定期間開弁される。これらの所定期間について、本実施形態では上記のように従来のエンジンの一般的な設定値が採用され、この設定値としては、例えば排気行程上死点よりもクランク角で約10°前に開弁され、排気行程下死点後クランク角で約55°に閉弁され、クランク角で約245°開弁されるものとなされている。
【0090】
なお、後続気筒2B,2Cにおける第2吸気弁31b及び排気弁32は、図8(b)及び図7に示すように、カム切換機構61により第2カム63が選択され、上記運転領域A1における場合と同様に、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングで開閉動作される。
【0091】
このように、カム切換機構51によりエンジンの運転状態に応じてカム52〜54を切り換えることにより、最適なバルブタイミングを設定することができ、エンジンの運転状態に応じた出力性能を確保することができる。また、例えば後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガスが必要以上に高温になりすぎて生じ得る後続気筒2B,2Cにおけるノッキングを有効に防止することができる。すなわち、上記高負荷域では、先行・後続気筒2A〜2D共に、その気筒内温度が高くなり、このような状態で先行気筒2A,2Dで既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させ、またこの先行気筒2A,2Dの高温の既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導入されると、先行・後続気筒2A〜2Dの筒内温度が必要以上に高くなり過ぎて逆にノッキング等の異常燃焼が発生する虞がある。したがって、上記のように構成すると、先行気筒2A,2Dにおける残存既燃ガスによる温度上昇を抑制すると共に、後続気筒2B,2Cに導入される先行気筒2A,2Dの既燃ガス温度を低下させて、先行・後続気筒2A〜2Dにおけるノッキングを有効に防止することができ、しかも先行気筒2A,2Dにおいて既燃ガスが残存しないので、過給機27による過給も手伝って新気を十分に取り込むことができ、このためエンジンの出力性能を十分に発揮させることができる。
【0092】
一方、特殊運転モードとされる運転領域Aよりも高負荷側の運転領域Bでは通常運転モードとされ、上述のように、カム切換機構51により第3カム54が選択されることにより吸気弁31が作動状態、カム切換機構61により第2カム63が選択されることにより第1排気弁32a及び第1吸気弁31aが作動状態、カム切換機構51により第1カム52が選択されることにより第2排気弁32b及び第2吸気弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図10に示すようになり、各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31a及び排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31aに過給機27により新気が導入されるとともに各気筒2A〜2Dの排気ポート31,31aから排気通路20に既燃ガスが排出される。そしてこの場合は、理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御されることにより、出力性能が確保される。また、この運転領域Bにおいては外部EGRコントロール弁26bが開かれ、排気通路20を流通する各気筒の既燃ガスである排気ガスの一部が、外部EGR通路26を介してこの通路26に設けられたEGRクーラ26bに冷却されつつ吸気流通路15に導入される。これにより、気筒内温度の上昇を抑制してノッキングを有効に防止することができ、負荷に対応したエンジンの出力性能を確保することができる。なお、各弁のバルブタイミングは、運転領域A1における場合と同様に設定されている。
【0093】
なお、本発明の装置の具体的構成は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。例えば、以下のような変更が可能である。
【0094】
▲1▼上記のような特殊運転モードとされる運転領域Aでの運転状態に応じた制御に加え、エンジンの温度状態に応じて先行気筒の空燃比を変更するようにしてもよい。例えば、エンジンの暖機後であってもエンジン温度が低いとき(エンジン冷却水の温度が所定温度以下のとき)には、特殊運転モードとされる運転領域A内の全域で、先行気筒の空燃比を理論空燃比の2倍より小さくすることが好ましい。このようにすれば、比較的エンジン温度が低いときにも、先行気筒から後続気筒へ導入されるガスの温度を高めて圧縮自己着火可能な状態を確保することができる。
【0095】
▲2▼上記各実施形態では、特殊運転モードとされる運転領域Aのうち低負荷側の運転領域A1で、後続気筒を圧縮自己着火により燃焼させるようにしているが、運転領域A1のうちの一部、例えば燃焼室内の温度、圧力が圧縮自己着火可能な状態に達しにくい極低速低負荷の領域では、後続気筒に対して所定の点火時期に点火プラグ7による点火を行わせ、強制点火により燃焼させるようにしてもよい。あるいはまた、エンジン温度が低いときに、後続気筒を強制点火により燃焼させるようにしてもよい。
【0096】
▲3▼本発明の装置は4気筒以外の多気筒エンジンにも適用可能である。そして、例えば6気筒等では1つの気筒の排気行程と別の気筒の吸気行程が完全に重なり合うことはないが、このような場合は、一方の気筒の排気行程が他方の気筒の吸気行程より先行するとともに、両行程が部分的に重なり合う2つの気筒を先行、後続の一対の気筒とすればよい。
【0097】
次に、本発明の他の実施形態について図11ないし図13に基づいて説明する。
【0098】
この他の実施形態は、運転状態にかかわらず、1番気筒2Aから4番気筒2Dまでの各気筒がそれぞれ独立したものである点、及び各気筒におけるバルブタイミングを変更するためのバルブタイミング可変機構として可変バルブタイミングシステム(VTC)機構が採用されている点で上記実施形態と大きく異なる。
【0099】
図11は、本発明の他の実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図12は、この他の実施形態の装置における駆動、制御系統の構成を示している。
【0100】
なお、他の実施形態において上記実施形態と同様の構成であるものについては、図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート111及び排気ポート112が開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートが吸気弁131及び排気弁132により開閉されるようになっている。
【0102】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0103】
各気筒2A〜2Dには、図11に示すように、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート111と、排気ガスを排気通路20に送り出すための排気ポート112とが燃焼室4の左右半分側にそれぞれ一気筒あたり2個ずつ、並列的に配設されている。また、各気筒2A〜2Dの吸気ポート111には、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。
【0104】
一方、各気筒の吸・排気ポートを開閉する吸・排気弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0105】
これらの各弁は、対応する各気筒が吸・排気行程に応じて、すなわち各ピストンの上下動(上死点と下死点との間の移動)に応じて動弁機構により所定のタイミングで開閉するものとなされているが、その開閉時期は必ずしもピストン3の上死点や下死点に一致するとは限らず、必要に応じてクランク角を数度〜数十度進角または遅角させた時期に設定しても良い。特に、この他の実施形態では、動弁機構に備えられたバルブタイミング可変機構により、エンジンの運転状態に応じてバルブタイミングを変更し得るようになされている。
【0106】
具体的には、この他の実施形態のバルブタイミング可変機構は、カムシャフトとクランクシャフトの回転位相角を相対的に変動させて、バルブタイミングを全体的に進角あるいは遅角させる可変バルブタイミング機構(VTC)が採用されている。この可変バルブタイミング機構としてのカム位相可変機構140は、例えばカムシャフト141の一端に内蔵されたヘリカルギアを油圧でシャフトの軸方向に移動させカムシャフト141をプーリーに対して相対的に回転させる構造等の従来から知られた機構である。
【0107】
そして、このカム位相可変機構140は、低負荷側における上記運転領域A1(図5参照)に相当する運転領域では、図13に示すように、吸・排気弁131,132を共に進角させて排気弁132が排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁されるように設定されている一方、吸気弁131が吸気行程下死点に一致するように閉弁されるように設定されている。なお、このカム位相可変機構140はカムの位相だけを変更するものであるので、排気弁132にオーバーラップさせられた吸気弁131はバルブタイミングの変更後も同様にオーバーラップさせられている一方、閉弁期間等もバルブタイミングの変更前後で変化することもない。
【0108】
一方、上記運転領域A1に相当する運転領域よりも高負荷側ないし高回転側の運転領域では、カム位相可変機構140により吸・排気弁131,132を共に遅角させて、図7に記載のバルブタイミングと同様に、従来のエンジンの一般的なバルブタイミングに変更される。すなわち、上記実施形態における運転領域A2及び運転領域Bに相当する運転領域では、カム位相可変機構140により、吸気弁131の開弁期間が、吸気行程に対応して吸気行程上下死点を跨ぐように設定される一方、排気弁132の開弁期間が、排気行程に対応して排気工程上下死点を跨ぐように設定される。
【0109】
なお、本実施形態では、バルブタイミング可変機構として、可変バルブタイミングシステム(VTC)が採用されているが、運転状態に応じてカムを乗り換える可変バルブタイミング・リフト機構(VVL)等公知のバルブタイミング可変機構を採用するものであっても良いことは、上記実施形態と同様である。
【0110】
図12は駆動、制御系統の構成を示している。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)140は、上記実施形態のECU40に対し、カム切換制御手段42に替えてカム位相制御手段142を備える点で大きく異なる。
【0111】
運転状態判別手段141は、上記実施形態における図5に示す運転領域A1に相当する運転領域と、この運転領域よりも高負荷側ないし高回転側の運転領域A2及び運転領域Bに相当する運転領域とに分けられた制御用マップを有し、回転数センサ47及びアクセル開度センサ48等からの信号により調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数及びエンジン負荷)が低負荷側と高負荷側のいずれの運転領域にあるかを判別し、その判別結果を燃焼制御手段144やカム位相制御手段142等に出力する。
【0112】
カム位相制御手段142は、運転状態判別手段141の結果に基づいて、カム位相可変機構140の制御を行う。カム位相制御手段142は、比較的低負荷の領域ではカムの位相を進ませる側にカム位相可変機構140を制御し、カムシャフト141の回転により駆動する吸・排気弁131,132の開閉時期を全体的に進角させるように設定されている。一方、カム位相可変機構140によりカムの位相が進まされた状態で、上記比較的高負荷の領域に突入した場合には、カムの位相を戻す、すなわちカムの位相を上記進ませた分だけ遅らせる側にカム位相可変機構140を制御し、カムシャフト141の回転により駆動する吸・排気弁131,132の開閉時期を全体的に遅角させるように設定されている。
【0113】
上記吸入空気量制御手段143は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じて目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、比較的低負荷側の運転領域では、各気筒内の取り込まれる新気と供給される燃料との比がリーン空燃比とされつつ燃焼が行われるので、過給機27により過給されて各気筒に供給される空気が、要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気よりも所定量だけ過剰となるように、スロットル開度が調節される。
【0114】
上記燃焼制御手段144は、燃料噴射制御手段145と点火制御手段146とからなっており、燃料噴射制御手段145により、各気筒2A〜2Dに対応して設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御及び点火停止等の制御を行う。そして、特に運転状態が低負荷側と高負荷側との運転領域にある場合で燃焼状態の制御(燃料噴射の制御及び点火の制御)が変更される。すなわち、運転状態が低負荷側の運転領域にある場合には、各気筒に対して空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とするように燃料噴射量を制御するとともに、吸気行程で燃料を噴射するように噴射タイミングを設定し、そして圧縮自己着火を行わせるべく、強制点火を停止する。一方、比較的高負荷側の運転領域にある場合には、各気筒に対して空燃比を理論空燃比とするように燃料噴射量を制御するとともに、上記実施形態の図7における場合と同様に、圧縮行程で燃料を噴射するように噴射タイミングを設定し、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火タイミングを設定する。
【0115】
以上のような他の実施形態の装置の作用を、次に説明する。
【0116】
この他の実施形態の装置は、新気及びガスの流通経路は図11に示すようになり、分岐吸気通路16から供給された新気が各気筒で燃焼され分岐排気通路21に排出されるような独立気筒状態とされる。
【0117】
各気筒では、それぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され、Oセンサ23により検出される空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ、低負荷側の運転領域では吸気行程で燃料が噴射された後、圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力、温度の上昇により圧縮自己着火が行われる(図13参照)一方、高負荷側の運転領域では、圧縮行程で燃料が噴射された後、この圧縮行程の上死点付近では強制点火により理論空燃比の燃焼が行われる。
【0118】
このように、各気筒2A〜2Dでは、低負荷側の運転領域では、リーン燃焼により熱効率が高められるとともに、リーンを行わない通常のエンジンと比べて吸気不圧が小さくなることでポンピングロスが低減される。これらの作用により、燃費が大幅に改善される。
【0119】
また、低負荷側の運転領域において各気筒2A〜2Dでは、均一な混合気分布状態で圧縮自己着火が行われることにより燃焼室4全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、熱効率を向上させて高い燃費改善効果が得られる。
【0120】
そして、上記低負荷側の運転領域で圧縮自己着火を確実かつ円滑に行わせるため、各気筒2A〜2Dの排気弁132がカム位相可変機構140により全体的に進角して排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁され、燃焼室4に既燃ガスが残存される。この既燃ガスは、比較的高温のものなので、筒内温度も高温となり、各気筒2A〜2Dに過給機27により導入された新気と相俟って圧縮自己着火が確実且つ円滑に行われる。また、残存既燃ガスによりEGRが行われているのと同等の状態となることから、NOxの発生量を十分に抑制して排ガスの浄化に寄与することとなるとともに、このガス中のEGRに相当する既燃ガス成分が増大する等によりノッキング抑制作用も高められる。
【0121】
一方、排気弁132が早期に閉弁されることに伴い、同時にカム位相可変機構140により吸気弁131も進角させて排気弁132にオーバーラップさせている。すなわち、ピストン3が排気行程にあるにもかかわらず、排気弁132を早期に閉弁させると、ポンピングロスが増大して燃費改善効果が低減することとなるが、このように吸気弁131を排気弁132にオーバーラップさせることによりポンピングロスの増大を回避するものとなされている。
【0122】
また、吸気弁131の閉弁時期は、吸気行程下死点に略一致するようになされており、有効圧縮比を幾何学的圧縮比に一致させ、圧縮による筒内温度の上昇をより大きいものとし、これにより筒内温度を一層高温に維持することができる。したがって、筒内温度が上昇し難い低負荷域であっても各気筒2A〜2Dにおける自己着火性を確実に確保することができると共に、各気筒2A〜2Dにおける圧縮自己着火による燃焼を行うことができる運転領域を拡大することができる。
【0123】
ここで、気筒2A〜2D内には、既燃ガスが一部残存しており、しかもその吸気弁131は、排気弁132にオーバーラップさせるために排気行程において開弁されるため、新気の取り込み不足による出力低下が懸念されるところであるが、各気筒2A〜2Dの吸気を補助する過給機が設けられているので、この過給機により各気筒2A〜2Dに対して新気を強制的に送り込むことができ、吸気量低下による出力低下を防止することができる。
【0124】
一方、その低負荷側の運転領域から高負荷側の運転領域に移行した場合には、上記カム位相可変機構140により吸・排気弁131,132が遅角され、そのバルブタイミングがもとのバルブタイミングに変更される。また、各気筒2A〜2Dにおいて、燃焼制御手段144により圧縮自己着火による燃焼から強制点火による燃焼に移行して、筒内温度の過度の上昇によるノッキングの発生を防止するものとなされている。
【0125】
なお、この他の実施形態におけるエンジンでは、燃料噴射弁9は、燃焼室4の側方部に設けられ、燃焼室4内に燃料を直接噴射するものとなされているが、例えば吸気ポート111に設けられ、吸気ポート111内で新気に燃料を噴射して混合気が燃焼室4内に送り込まれるように構成しても良い。
【0126】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明の制御装置によると、特殊運転モードとされた場合に、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒のうちの先行気筒ではリーン空燃比で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して、圧縮自己着火により燃焼を行わせるようにしているため、先行気筒ではリーン燃焼による熱効率向上およびポンピングロス低減により、また後続気筒では圧縮自己着火による燃焼効率の向上及びポンピングロス低減により、燃費を改善することができる。しかも、後続気筒における燃焼の際の空燃比が実質的に理論空燃比となるようにしているため、排気通路での排気ガスの浄化を三元触媒だけで充分に行うことでき、リーンNOx触媒が不要となる。
【0127】
そして、先行気筒に既燃ガスを残存させた状態で新気を取り込み燃焼させるので、先行気筒におけるノッキング抑制作用が高められるとともに、先行気筒における既燃ガスはさらに高温のものとなり、この高温の既燃ガスが後続気筒に導入されて後続気筒における圧縮自己着火を確実且つ円滑に行うことができる。また、後続気筒においても、EGRに相当する既燃ガス成分が増大する等によりノッキング抑制作用が高められる。一方、先行気筒の排気弁を早期に閉弁させることに伴い、この排気弁に吸気弁をオーバーラップさせているので、ポンピングロスの増大を回避することができる。
【0128】
さらに、先行気筒に既燃ガスを残存させているが、過給機により先行気筒に新気を送り込んでいるので、吸気量低下による出力低下を防止することができる。
【0129】
一方、請求項6記載の発明の装置によると、圧縮自己着火により燃焼室全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、熱効率を向上させて高い燃費改善効果が得られる。また、残存既燃ガスによりEGRが行われているのと同等の状態となることから、NOxの発生量を十分に抑制して排ガスの浄化に寄与することとなる。さらに、気筒内に残存した比較的高温の既燃ガスに新気を取り込んで燃焼させるので、筒内温度を上昇させることができ、これにより気筒における圧縮自己着火を確実且つ円滑に行うことができる。しかも、後続気筒においても、EGRに相当する既燃ガス成分が増大する等によりノッキング抑制作用も高められる。一方、排気弁が早期に閉弁されることに伴い、この排気弁に吸気弁をオーバーラップさせているので、ポンピングロスの増大を回避することができる。さらに、過給機による新気の送り込みによって、新気の取り込み不足による出力低下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による制御装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】制御系統のブロック図である。
【図4】カム切換機構を示す部分斜視図である。
【図5】運転状態に応じた制御を行うための運転領域設定の一例を示す説明図である。
【図6】特殊運転モード中の低負荷側での各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図7】特殊運転モード中の高負荷側での各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図8】(a)は、図6の詳細図であり、(b)は、図7の詳細図である。
【図9】特殊運転モードでの実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図10】通常運転モードでの実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図11】他の実施形態による制御装置を備えた全体の概略平面図である。
【図12】他の実施形態に係る制御系統のブロック図である。
【図13】他の実施形態に係る低負荷側での各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A〜2D 気筒
15 吸気通路
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
26 外部EGR通路
27 過給機
31 吸気弁
32 排気弁
40 ECU
41 運転状態判別手段
42 カム切換制御手段
43 吸入空気量制御手段
44 燃焼制御手段
51 カム切換機構(バルブタイミング可変機構)
41 運転状態判別手段

Claims (8)

  1. 各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われるようになっている多気筒の火花点火式4サイクルエンジンにおいて、エンジンの部分負荷域でエンジンの吸・排気及び燃焼状態についての制御モードを特殊運転モードとし、この特殊運転モードでは、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程にある後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出されるガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、先行気筒では空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置であって、
    上記特殊運転モードとされる運転領域のうち少なくとも一部の運転領域において、上記先行気筒では排気弁を排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁することにより気筒内に既燃ガスを一部残存させかつ吸気弁の開弁期間を上記排気弁の開弁期間にオーバーラップさせるように制御すると共に、上記後続気筒では圧縮自己着火により燃焼を行わせるように制御する一方、
    上記先行気筒における吸気を補助する過給機が設けられていることを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒における吸気弁の閉弁時期が、吸気行程下死点に略一致するように設定されていることを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒における吸・排気弁のバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構が設けられ、上記特殊運転モードとされる運転領域における上記一部運転領域よりも高負荷域では、上記バルブタイミング可変機構により、上記先行気筒の排気弁が排気行程上死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されると共に、上記先行気筒の吸気弁が吸気行程下死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されることを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 請求項3記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記特殊運転モードとされる運転領域よりもさらに高負荷域では、先行気筒における吸・排気弁をその吸・排気行程にそれぞれ対応させて開閉させると共に、各気筒をそれぞれ独立させて強制点火により燃焼させる通常運転モードに切り換えるように設定され、この通常運転モードにおいては、各気筒における排気ガスの一部がEGRクーラが設けられた外部EGR通路を介して吸気通路に導入されることを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記過給機は、ターボ過給機であることを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  6. 気筒が吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっている火花点火式エンジンの制御装置において、
    吸・排気弁のバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構と、過給機とを備え、少なくとも一部運転領域で、上記バルブタイミング可変機構により吸・排気弁のバルブタイミングを変更して、排気弁を排気行程上死点よりも所定期間前に閉弁することにより気筒内に既燃ガスを一部残存させると共に、吸気弁の開弁期間を上記排気弁の開弁期間にオーバーラップさせて上記残存既燃ガスに加えて新気を取り込みかつこの吸気弁を吸気行程下死点に略一致するように閉弁させて、圧縮自己着火により燃焼を行わせるように制御する一方、上記過給機により各気筒に吸気を補助することを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  7. 請求項6記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記気筒内で空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼されるように制御することを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
  8. 請求項6または請求項7記載の過給機付火花点火式エンジンの制御装置において、上記一部運転領域よりも高負荷域では、上記バルブタイミング可変機構により吸・排気弁のバルブタイミングを変更して、上記排気弁が排気行程上死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定されると共に、上記吸気弁が吸気行程下死点を所定期間経過した後に閉弁されるように設定される一方、各気筒において強制点火による燃焼を行わせるように制御することを特徴とする過給機付火花点火式エンジンの制御装置。
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