JP2004117610A - 光ファイバアレイ及び光ファイバアレイ用基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溝形成部3aと平坦部3bとを段差9をつけて形成した基板3と蓋板4とからなり、基板3の溝形成部3aに設けた両側壁が開き角度θを持つ複数の溝5に、光ファイバ2を収納配列して蓋板4で押さえて位置決めし、光ファイバ2と基板3及び蓋板4との間に生じる間隙部分7,8に接着剤6を充填して接着一体化する光ファイバアレイ1であって、光ファイバ2と基板3の上面と蓋板4の下面との間に生じる間隙部分7の横断面積をS1とし、基板3の溝5と光ファイバと2の間に生じる間隙部分8の横断面積をS2としたとき、S1>S2とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光ファイバを位置決めして接着剤により一体化する光ファイバアレイと、そのための光ファイバアレイ用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバアレイは、複数本の光ファイバを所定のピッチで平行に位置決めして配列し、プレーナ型の光導波路(PLC)との接続又は多心光ファイバ同士を接続するのに用いられる。図1は一般的な光ファイバアレイの概略を示す図で、図1(A)は斜視図、図1(B)及び図1(C)はa1−a1の部分断面図である。図中、1は光ファイバアレイ、2は光ファイバ、2aはファイバ被覆部、3は基板、3aは溝形成部、3bは平坦部、4は蓋板、5は溝(V字状溝)、6は接着材、7,8は間隙、9は段差部を示す。
【0003】
図1(A)に示すように、光ファイバアレイ1は、基板3と蓋板4との間に複数の光ファイバ2を所定の配列ピッチTで平行一列に保持固定して構成される。基板3は、溝形成部3aと平坦部3bとを段差部9で示すように段差をつけて形成され、溝形成部3aの上面には光ファイバ2を収納する複数の溝5が平行に形成されている。溝5は、図1(B)に示すように、一般的にはV字状に形成されていて、光ファイバ2はV字状の溝5の両側面と蓋板4の押さえ面の3点で位置決めされる。また、光ファイバ2の配列ピッチTを光ファイバ2の外径に近づけた高密度配列の光ファイバアレイの場合は、図1(C)に示すようになる。
【0004】
上記の光ファイバアレイ1を製造する場合、光ファイバ2の先端の被覆を除去してガラスの裸ファイバを露出させて基板3の溝5に収納配列し、上方から蓋板4で押さえて位置決めする。この後、基板3の溝形成部3aの先端側又は後端側から接着剤6を注入する。接着剤6は、光ファイバ2と基板3と蓋板4との間に生じる間隙7内、並びに光ファイバ2と溝5との間に生じる間隙8内に毛細管作用で浸入し、これらの間隙を埋めて、光ファイバ2と基板3と蓋板4とを接着一体化する。
【0005】
光ファイバ2は、露出されたガラスの裸ファイバをV字状の溝5に収納配列し、被覆が残るファイバ被覆部2aを基板3の平坦部3b上に載置する。光ファイバ2が蓋板4により押さえられ接着剤6で接着固定された後、ファイバ被覆部2aは平坦部3bに他の接着剤(図示せず)により接着固定される(例えば、特開2001−343547号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように構成される光ファイバアレイ1において、例えば、接着剤6を基板3の先端部側から付与し、毛細管作用で間隙7及び8内に充填したとする。接着剤6は、光ファイバ2と基板3の上面と蓋板4の下面との間に生じる間隙7と、光ファイバ2と基板3の溝5との間に生じる間隙8の2つの異なる間隙内に毛細管作用で浸入して充填される。上方の間隙7の横断面積S1が、下方の間隙8の横断面積S2より小さい場合、上方の間隙7内を毛細管作用で接着剤が浸入する速度は、下方の間隙8内を毛細管作用で接着剤が浸入する速度より速い。
【0007】
図2は、図1(B)のa2−a2断面を示し、基板3の先端側から接着剤6を付与した例を示す図である。図2(B)に示すように、上方の間隙7の横断面積S1が下方の間隙8の横断面積S2より小であるとすると、上述した接着剤6の浸入速度の違いにより、上方の間隙7内に浸入した接着剤6は、下方の間隙8内に浸入した接着剤6より、溝形成部3aの後端の出口側に早くに到達し、余分の接着剤が出口から流れ出て下方に垂れる。
【0008】
下方に垂れた接着剤は、下方の間隙8の出口側を塞ぐ形となる。下方の間隙8の出口側まで接着剤6が十分浸入していないうちに間隙8の出口を塞がれると、間隙8内に気泡Pが残る。間隙8内に気泡Pが残ると光ファイバ2と基板3との接着力が低下し、基板3が剥がれるやすくなる。また、間隙8内に気泡Pが残ると、温度変化により気泡Pが膨張変化し、光ファイバ2に曲げや側圧を与え、伝送損失を増加させる原因となる。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、接着剤を充填する間隙部分に気泡が生じない光ファイバアレイとそれに使用される光ファイバアレイ用基板の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による光ファイバアレイは、溝形成部と平坦部とを段差をつけて形成した基板と蓋板とからなり、基板の溝形成部に設けた両側壁が開き角度を持つ複数の溝に、光ファイバを収納配列して蓋板で押さえて位置決めし、光ファイバと基板及び蓋板との間に生じる間隙部分に接着剤を充填して接着一体化する光ファイバアレイであって、光ファイバと基板の上面と蓋板の下面との間に生じる間隙部分の横断面積をS1とし、基板の溝と光ファイバとの間に生じる間隙部分の横断面積をS2としたとき、S1>S2としたものである。
【0011】
また、本発明による光ファイバアレイ用基板は、複数の光ファイバを、基板の溝形成部に設けた両側壁が開き角度を持つ溝に収納配列して蓋板で押さえて位置決めし、光ファイバとの間に生じる間隙部分に接着剤を充填して接着一体化する光ファイバアレイ用基板であって、溝の両側壁間の開き角度を70°を超え100°未満としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2により、本発明の実施形態の概略を説明する。なお、図1及び図2は、従来技術の説明に用いた図であるが、形状自体は従来のものと同じであるので、本発明の基本形態の説明に援用する。
【0013】
本発明による光ファイバアレイ1は、図1(A)に示すように従来例で説明したのと同様に、基板3と蓋板4との間に複数の光ファイバ2を所定のピッチで平行一列に保持固定して構成される。基板3は、溝形成部3aと平坦部3bとを段差部9で示すように段差をつけた形状で形成され、溝形成部3aの上面には光ファイバ2を収納する複数の溝5が形成されている。光ファイバ2は、先端部分の被覆を除去されてガラスの裸ファイバを露出した状態とされ、溝形成部3aの溝5に収納配列され、被覆が除去されていないファイバ被覆部2aは平坦部3bに載置される。
【0014】
溝5は、図1(B)に示すように、例えば、V字状に形成されていて、溝5の両側壁は互いに平行でない開き角度θを有している。光ファイバ2が溝5内に収納されたとき、開き角度θを有する溝の両側壁と接する2点と、蓋板4の押さえ面で接する1点の合計3点で、光ファイバの位置決めが行なわれる。なお、蓋板4は光ファイバの位置決めができる程度で軽く押さえ、接着により一体化された後は、押さえ力は解放される。光ファイバ2が蓋板4により押さえられ接着剤6で接着固定された後、平坦部3bには他の接着剤(図示せず)が塗布され、ファイバ被覆部2aが接着固定される。
【0015】
光ファイバ2を接着する接着剤6には、例えば、硬化前の粘度が2.0Pa・s程度のエポキシ系紫外線硬化型の接着剤が用いられる。また、基板3と蓋板4には、光ファイバ2と熱膨張係数が近似するガラス(パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス等)又はセラミック等が用いられ、溝加工は切削又はプレス成形で形成される。
【0016】
光ファイバ2を基板3の溝5にそれぞれ収納配列し、上から蓋板4で押さえて位置決めした後、接着剤6が基板3の溝形成部3aの先端側又は後部側から注入される。接着剤6は、図1(B)に示すように、光ファイバ2と基板3の上面と蓋板4の下面との間に生じる間隙7内、並びに光ファイバ2と溝5との間に生じる間隙8内に毛細管作用で浸入し、これらの間隙7,8を埋めて、光ファイバ2と基板3と蓋板4とを接着一体化する。
【0017】
本発明では、接着作業時に上方に位置する光ファイバ2と基板3の上面と蓋板4の下面との間に生じる間隙7の横断面積をS1とし、接着作業時に下方に位置する光ファイバ2と溝5との間に生じる間隙8の横断面積をS2としたとき、S1>S2となるように溝5の開き角度、基板3と蓋板4との間隔等を設定する。
【0018】
図2(A)に示すように、接着剤6を一方の側(図では左側)から間隙7,8内に同時に注入したとき、接着剤6は毛細管作用により同時に間隙7,8内を他方の出口側(図では溝形成部3aの後端部)に向かって浸入する。下方の間隙8の横断面積S2を、上方の間隙7の横断面積S1より小さくすることにより、接着剤6の浸入速度は、横断面積の小さい下方の間隙8の方が、上方の間隙7より速くなる。このため、下方の間隙8内が接着剤6で完全に満たされた後に、上方の間隙7が同様に接着剤6で満たされ、間隙8内に気泡が生じることはない。
【0019】
上述の図2(A)に対して、図2(B)は、解決すべき課題の項でも説明したように、下方の間隙8の横断面積S2が、上方の間隙7の横断面積S1より大きい場合である。この場合、接着剤6の浸入速度は、横断面積の大きい下方の間隙8の方が、上方の間隙7より遅くなる。このため、下方の間隙8内が接着剤6で完全に満たされないうちに、上方の間隙7が接着剤6で満たされ、間隙7の出口からあふれ出た余分の接着剤が下方に垂れて下方の間隙8の出口を塞ぎ、間隙8内に気泡Pが生じてしまう。
【0020】
上記した間隙7の横断面積S1と間隙8の横断面積S2との相対関係は、光ファイバ2の外径、ファイバの配列ピッチT、溝5の両側壁の開き角度θや形状によって変化する。光ファイバ2の外径は、通常の規格化された外径0.125mmのものを用いるとして一定とすれば、ファイバの配列ピッチTを大きくすれば、間隙7側の横断面積S1は比較的容易に大きくすることができる。また、溝5をV字状として両側壁の開き角度θを大きくすることにより間隙8側の横断面積S2は比較的容易に小さくすることができる。
【0021】
しかし、ファイバの配列ピッチTは、接続する相手側の光導波路の小形化、高集積化が進展していて、光ファイバ2のガラス外径にほぼ等しいピッチ(0.127mm)での形成が可能となっており、これに合わす必要がある。また、溝5の開き角度θをあまり大きくすると、光ファイバ2の位置決めが不安定となる。
【0022】
図3は、図1(C)に示すように、光ファイバ2のガラス外径を0.125mm、配列ピッチTを0.127mm、溝5をV字状とした高密度配列における、溝の開き角度θとS2/S1との関係を求めた図である。この図から、S2/S1<1とするには、V字状溝5の開き角度θは70°を超える角度にする必要がある。また、経験的にV字状溝5の開き角度θが100°以上になると、光ファイバ2が横ずれしたりして位置決めが不安定となる。したがって、位置決めという観点からは、S2/S1>0.3で、開き角度θを100°未満とする必要がある。なお、通常は上記のファイバ配列で、V字状溝5の開き角度θは60°程度に設定されている。
【0023】
図4は、溝5の断面形状の他の例を示す図である。基板3の溝5の断面形状を図1に示すようにV字状とするする代わりに、図4(A)に示すように、V字の谷部5bを平坦にした逆台形状とすることができる。ただし、平坦にした谷部5bは、光ファイバ2には接触しないものとする。この逆台形状溝は、V字状溝によるファイバの位置決め機能を損なわずに、光ファイバ2と溝5との間に生じる間隙8の横断面積S2を小さくすることができる。この結果、溝5の開き角度θをV字状溝の場合と同じとすれば、S2/S1をより小さくすることができる。また、S2/S1をV字状溝の場合と同じとすれば、開き角度θを更に小さくすることができる。
【0024】
また、基板3の溝5の断面形状を図1に示すようにV字状とするする代わりに、図4(B)に示すように、V字の谷部5bを円弧状にしたU字状とすることができる。ただし、円弧状にした谷部5bは、光ファイバ2には接触しないものとし、また、U字状溝の両側壁はV字状溝の場合と同様な開き角度を持っているものとする。このU字状溝は、V字状溝によるファイバの位置決め機能を損なわずに、光ファイバ2と溝5との間に生じる間隙8の横断面積S2を小さくすることができる。この結果、溝5の開き角度θをV字状溝又は逆台形状溝の場合と同じとすれば、S2/S1を更に小さくすることができる。また、S2/S1をV字状溝又は逆台形状溝の場合と同じとすれば、開き角度θを更に小さくすることができる。
【0025】
図5は、他の実施形態を説明する光ファイバアレイ用の基板を示す図で、図5(A)は基板の部分斜視図、図5(B)はV字状溝の開き角度の変化状態を示す図である。図中の符号は、図1及び図2で用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。図5は、基板3の溝形成部3aに形成されたV字状溝5の開き角度θを、溝形成部3aの後端の段差部9側で次第に大きくなるようにし、V字状溝5の谷部5bの深さ位置を溝形成部3aの上面から一定とした例である。
【0026】
光ファイバ2の配列ピッチTが小さく、図5のように頂部5aが先鋭形状となる場合は、V字状溝5の開き角度θが次第に大きくなるにしたがって、V字状溝5の頂部5aの高さが次第に低くなり、谷部5bとの差が小さい浅い形状のV字状溝となる。しかし、光ファイバ2の配列ピッチTが大きく、V字状溝5の頂部5aが平坦となる場合は、図5(A)の右端に示すV字状溝5の変化部5eで示すように、平坦な部分が次第に狭くなる形状となる。
【0027】
図5(A)に示すように、V字状溝5の開き角度θは、例えば、V字状溝5の長手方向中央部以降の位置から段差部9側に向けて、滑らかに次第に拡大させていくのが望ましい。なお、光ファイバ2の位置決めは、少なくともV字状溝5の長手方向の中央位置より前方の開き角度θが変化していない直線状部分で行なわれる。
【0028】
この開き角度θが変化していない直線状部分においては、図1で説明した間隙7の横断面積S1と間隙8の横断面積S2が、S1>S2となるようにV字状溝5の開き角度、基板3と蓋板4との間隔等が設定されているのが好ましい。また、光ファイバが図1(C)のような高密度の配列ピッチTで形成されている場合は、直線状部分におけるV字状溝5の両側壁間の開き角度は、70°を超え100°未満とするのが好ましい。
【0029】
図5(B)は、図5(A)のV字状溝5の長手方向のb−b,c−c,d−d位置における溝断面の変化状態を示した図である。b−b位置におけるV字状溝5の開き角度はθ1で、c−c位置ではθ2、d−d位置ではθ3で、θ1<θ2<θ3となる。長手方向の各位置におけるV字状溝5の谷部5bの深さ位置Hを溝形成部3aの上面ラインから一定とすると、頂部5aの高さが次第に低くなり、谷部5bとの差が小さい浅い形状のV字状溝となる。
【0030】
V字状溝5を以上のように形成することにより、溝形成部3aの段差部9側でV字状溝5と蓋板4との間の間隔が次第に拡大する。この結果、段差部9側の樹脂充填間隙の横断面積が増加し、接着剤が浸入しやすい形態となる。したがって、接着剤を段差部9側から基板の先端側に向けて毛細管作用により浸入させることにより、間隙内に気泡を生じさせることなくスムーズに間隙内に接着剤を充填することができる。また、段差部9が緩やかに変化するため、後部に付与される他の接着剤(図示せず)による応力集中を軽減し、損失増加を防止することができる。
【0031】
更に上記構成により、光ファイバ2は、溝形成部3aの段差部9側でV字状溝5の両側壁との接触から次第に離れ、後端部エッジ5cとは接触しない浮いた状態となる。この結果、溝形成部3aの段差部9で光ファイバ2に傷が付かず、断線の発生を防止することができる。
【0032】
図6は、図5に代わる他の実施形態を示す図で、図6(A)は基板の部分斜視図、図6(B)はV字状溝の深さの変化状態を示す図である。図中の符号は、図1及び図2で用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。図6は、基板3の溝形成部3aに形成されたV字状溝5の深さを、溝形成部3aの後端の段差部9側で次第に深くなるようにし、V字状溝5の開き角度θは一定とした例である。
【0033】
光ファイバ2の配列ピッチTが小さく、図6のように頂部5aが先鋭形状となる場合は、V字状溝5の谷部5bが次第に深くなるにしたがって、頂部5aの高さも次第に低くなり、頂部5aと谷部5bの相対高さは不変で、V字状溝5の横断面積もほぼ一定となる。しかし、光ファイバ2の配列ピッチTが大きく、V字状溝5の頂部5aが平坦となる場合は、図6(A)の右端に示すV字状溝5の変化部5eで示すように、平坦な部分が次第に狭くなる形状となる。
【0034】
図6(A)に示すように、V字状溝5の谷部5bは、例えば、V字状溝5の長手方向中央部以降の位置から段差部9側に向けて、滑らかに次第に深くさせていくのが望ましい。なお、光ファイバ2の位置決めは、少なくともV字状溝5の長手方向の中央位置より前方の谷部5bの深さが変化していない直線状の部分で行なわれる。
【0035】
この開き角度θが変化していない直線状部分においては、図1で説明した間隙7の横断面積S1と間隙8の横断面積S2が、S1>S2となるようにV字状溝5の開き角度、基板3と蓋板4との間隔等が設定されているのが好ましい。また、光ファイバが図1(C)のような高密度の配列ピッチTで形成されている場合は、直線状部分におけるV字状溝5の両側壁間の開き角度は、70°を超え100°未満とするのが好ましい。
【0036】
図6(B)は、図6(A)のV字状溝5の長手方向のb−b,c−c,d−d位置における溝の深さの変化状態を示した図である。b−b位置におけるV字状溝5の谷部5bの深さは、溝形成部3aの上面ラインからb−b位置ではH1、c−c位置ではH2、d−d位置ではH3で、H1<H2<H3となる。
【0037】
V字状溝5を以上のように形成することにより、図5の例の場合と同様に、溝形成部3aの段差部9側でV字状溝5と蓋板4との間の間隙が次第に拡大する。この結果、段差部9側の樹脂充填間隙の横断面積が増加し、接着剤が浸入しやすい形態となる。したがって、接着剤を段差部9側から基板の先端側に向けて毛細管作用により浸入させることにより、間隙内に気泡を生じさせることなくスムーズに接着剤を充填することができる。また、段差部9が緩やかに変化するため、後部に付与される他の接着剤(図示せず)に対する応力集中を軽減し、損失増加を防止することができる。
【0038】
更に上記構成により、図5の例と同様に光ファイバ2は、溝形成部3aの段差部9側でV字状溝5の両側壁との接触から次第に離れ、後端部エッジ5cとは接触しない浮いた状態となる。この結果、溝形成部3aの段差部9で光ファイバ2に傷が付かず、断線の発生を防止することができる。
【0039】
上述した、本発明による光ファイバアレイに用いる基板の形成は、上下金型を用いたプレス成形で形成するのが好ましい。V字状溝が長手方向で直線状の均一な形状でないことから、研削による機械加工は高度の制御と精密作業となり、生産性がよくない。しかし、プレス成形の場合は、金型を一旦作製すればよいので、金型のコストは多少増加するが、生産性の問題は生じない。また、プレス成形で形成されたV字状溝は、研削加工したものと比べて表面粗さが均一で滑らかなため、間隙内への接着剤の流れ性もよく、信頼性の高い光ファイバアレイ用基板及び光ファイバアレイを製造することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、光ファイバと基板の溝との間に生じる間隙部分に、気泡の発生を生じさせない状態で接着剤を充填することができ、基板の剥がれを防止すると共に、損失の増加を防止することができる。また、溝形成部の段部側の間隙を拡大することにより、応力集中と断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバアレイの概略を説明する図である。
【図2】基板の先端側から接着剤を付与したときの接着剤の流れを説明する図である。
【図3】基板のV字状溝の開き角度と間隙の横断面積の関係を説明する図である。
【図4】基板の溝形状の他の例を示す図である。
【図5】基板のV字状溝の他の形状を示す図である。
【図6】基板のV字状溝の他の形状を示す図である。
【符号の説明】
1…光ファイバアレイ、2…光ファイバ、2a…ファイバ被覆部、3…基板、3a…溝形成部、3b…平坦部、4…蓋板、5…溝(V字状溝)、5a…頂部、5b…谷部、5c…後端部エッジ、5e…変化部、6…接着剤、7,8…間隙、9…段差部。
Claims (9)
- 溝形成部と平坦部とを段差をつけて形成した基板と蓋板とからなり、前記基板の溝形成部に設けた両側壁が開き角度を持つ複数の溝に、光ファイバを収納配列して前記蓋板で押さえて位置決めし、前記光ファイバと前記基板及び前記蓋板との間に生じる間隙部分に接着剤を充填して接着一体化する光ファイバアレイであって、
前記光ファイバと前記基板の上面と前記蓋板の下面との間に生じる間隙部分の横断面積をS1とし、前記基板の溝と前記光ファイバとの間に生じる間隙部分の横断面積をS2としたとき、S1>S2であることを特徴とする光ファイバアレイ。 - 前記光ファイバの外径を125μm、配列ピッチを127μmとし、前記溝の両側壁間の開き角度を70°を超え100°未満としたことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバアレイ。
- 前記溝がV字状溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバアレイ。
- 前記溝が逆台形状溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバアレイ。
- 前記溝がU字状溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバアレイ。
- 前記基板の溝形成部の段差側で、前記V字状溝の開き角度が徐々に広がっていることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバアレイ。
- 前記基板の溝形成部の段差側で、前記V字状溝の深さが徐々に深くなっていることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバアレイ。
- 複数の光ファイバを、基板の溝形成部に設けた両側壁が開き角度を持つ溝に収納配列して蓋板で押さえて位置決めし、前記光ファイバとの間に生じる間隙部分に接着剤を充填して接着一体化する光ファイバアレイ用基板であって、
前記溝の両側壁間の開き角度を70°を超え100°未満としたことを特徴とする光ファイバアレイ用基板。 - プレス成形により形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバアレイ用基板。
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- 2002-09-25 JP JP2002278308A patent/JP3984136B2/ja not_active Expired - Lifetime
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