JP2004114851A - 車輪軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外側継手部材の塑性変形部とハブ輪の凹凸部との間のフレッティングを確実に抑制する。
【解決手段】ハブ輪10の内周に等速自在継手40の外側継手部材41を嵌合し、内径側の外側継手部材41の塑性変形部34を拡径方向に塑性変形させ、これにハブ輪10内周の凹凸部31を食い込ませてハブ輪10と外側継手部材41とを結合する。塑性変形部34の外周を粗面化し、その表面粗さをRa1.6〜12.5の範囲に設定する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両の車輪を支持するための車輪軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車輪軸受装置は、従動輪用と駆動輪用とに大別される。このうちで例えば駆動輪用の車輪軸受装置は、ハブ輪と、複列の軸受とからなるもので、さらにこれらと等速自在継手とをユニット化したものも存在する。
【0003】
この駆動輪用の車輪軸受装置の一つに、軸受の複列のインナレースのうち、一方をハブ輪の外周に、他方を等速自在継手の外側継手部材の外周に形成したものがある。この種の軸受装置では、複列のインナレースの位置決め行うと共に、軸受内部に付与された予圧を保持するため、ハブ輪と等速自在継手とを結合する必要がある。近年では、軸方向スペースの有効活用や塑性変形部での剛性向上等の観点から、外側継手部材のステム部を拡径方向に塑性変形させ、これにハブ輪内周の凹凸部を食い込ませることで両者を結合する方法(以下、「拡径加締め」と呼ぶ)が提案されている(例えば特開2001−18605公報)。
【0004】
この種の車輪軸受装置において、外側継手部材、およびハブ輪は、何れも鍛造成形される。鍛造後、外側継手部材にはステム部の外周やマウス部内周のトラック溝に研削が施される。また、ハブ輪には、鍛造後にその内周やインナレースに研削が施され、さらにブローチ加工等によって内周に凹凸部が形成される。従って、完成品では、塑性変形部の外周や凹凸部の表面(特に凸部の表面)には研削面が残っている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−18605号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記拡径加締めタイプの車輪軸受装置では、拡径方向の塑性変形後に外側継手部材の塑性変形部とハブ輪の凹凸部との間でフレッティングを生じる場合がある。フレッティングが進行すると、軸受の予圧の減少、軸力の低下を生じて製品機能が著しく低下する場合があるので、かかる不具合を回避できるような対策を講じることが望まれる。
【0007】
一般的な機械部品でのフレッティング対策は、相対する二面間に潤滑剤等の低摩擦化物を介在させ、二面間の摩擦係数を減じる方向で行うものが多い。この対策に倣って、上記車輪軸受装置においても塑性変形部の外周面にボンデ処理を施し、その上で拡径加締めを行って耐久試験に供したところ、むしろ軸受装置の耐久寿命が低下することが明らかになった。
【0008】
本発明は、以上の現象を考慮した上で、外側継手部材の塑性変形部とハブ輪の凹凸部との間のフレッティングを確実に抑制できる車輪軸受装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため、本発明にかかる車輪軸受装置は、内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の内周または外周に嵌合した嵌合部材を備え、外周に複列のインナレースが形成された内方部材と、アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪と嵌合部材のうち、内径側の部材に、拡径方向に塑性変形される塑性変形部を設けると共に、外径側の部材に、拡径した塑性変形部に食い込む凹凸部を設けた車輪軸受装置において、塑性変形部の外周面または凹凸部の表面の少なくとも何れか一方を粗面化したものである。
【0010】
上記車輪軸受装置においては、塑性変形後の塑性変形部に凹凸部が食い込んでいるため、本来はハブ輪と外側継手部材との間で滑りが生じることはない。しかしながら、塑性流動した塑性変形部の肉で凹凸部の凹部を全て充足することは難しいため、ハブ輪と外側継手部材との間に、回転トルク等に起因して微小な相対滑りを生じ、この微小滑りによって摩耗(フレッティング摩耗)を生じる場合がある。本発明は、粗面化によって二面間の摩擦係数を高め、これによって両面間で生じる微小滑りを規制するものである。
【0011】
具体的に粗面化は、粗面化された部分の面粗さが、JISに規定される中心線平均粗さでRa1.6以上(望ましくはRa3.2以上)となるように行われる。従来品では、塑性変形部の外周面や凹凸部の表面は研削面であるため、その面粗さは、Ra0.2〜0.63程度であったが、本願発明は、これよりも意図的に粗くしている。本発明者らの実験により、Raが1.6よりも小さい場合は、顕著なフレッティング防止効果が期待できないことが明らかとなったため、これ以上の面粗さに設定した。
【0012】
その一方で、粗面化された部分の面粗さがRa12.5を超えると、所定の寸法公差が得られなくなるため、面粗さはRa12.5以下、より好ましくはRa6.3以下とするのが望ましい。
【0013】
粗面化によるフレッティング防止効果を高めるため、塑性変形部の外周面および凹凸部の表面は、低摩擦性の介在物を介在させることなく金属接触させるのが望ましい。
【0014】
ここでいう「低摩擦性の介在物」は、塑性変形部の外周面と凹凸部の表面との間で、これらが金属接触する場合(一方または双方が熱処理による硬化層である場合も含む)よりも低い摩擦係数が得られるような介在物をいい、例えば潤滑油やグリースの油膜、固体潤滑被膜、ボンデ被膜やパーカー被膜等が該当する。
【0015】
車輪軸受装置の具体的構成としては、上述のように嵌合部材を等速自在継手の外側継手部材としたものが考えられる。この場合、ハブ輪および外側継手部材の何れか一方が内径側の部材となり、拡径方向に塑性変形加工を受ける。他方は外径側の部材となる。何れの場合でも複列のインナレースは、ハブ輪および外側継手部材の各外周に形成することができる(図1および図5参照)。
【0016】
他の具体的構成として、例えば嵌合部材をハブ輪に嵌合した内輪とすることが考えられる。この場合、複列のインナレースは、ハブ輪および内輪の各外周に形成することができ(図6参照)、あるいはハブ輪外周に嵌合した二つの内輪の各外周に形成することもできる(図7参照)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0018】
図1に本発明を適用した駆動輪用の車輪軸受装置の一例を示す。この車輪軸受装置は、ハブ輪10と、軸受20と、等速自在継手40とをユニット化して構成される。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側といい(各図において図面左側)、車両の中央寄りとなる側をインボード側という(各図において図面右側)。
【0019】
ハブ輪10は軸心部に軸方向の貫通孔を有する中空状に形成される。ハブ輪10のアウトボード側の端部には、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付けフランジ14が形成され、このフランジ14の円周方向等間隔位置にホイールディスクを固定するためのハブボルト15が植え込まれている。ハブ輪10のフランジ14よりもインボード側の外周面にアウトボード側のインナレース27を形成してある。
【0020】
等速自在継手40は、ドライブシャフトからのトルクを内側継手部材42およびトルク伝達ボール43を介して外側継手部材41に伝達する。外側継手部材41の内周部には複数のトラック溝41aが形成されている。このトラック溝41aと内側継手部材42の外周部に設けた複数のトラック溝42aとの協働で複数のボールトラックが形成され、各ボールトラックにトルク伝達ボール43が配置される。各トルク伝達ボール43は、ケージ44によって同一平面内に保持されている(図5参照)。
【0021】
外側継手部材41は、ハブ輪10の内周に嵌合した嵌合部材である。この外側継手部材41は、一体に形成されたステム部45とマウス部46とを備え、ステム部45にてハブ輪10の内周に嵌合されている。マウス部46の肩面47がハブ輪10のインボード側の端面と当接し、これにより、ハブ輪10と外側継手部材41の軸方向の位置決めがなされ、かつ、インナレース27,28間の寸法が規定される。マウス部46の肩面47寄りの外周面にインボード側のインナレース28を形成してある。外側継手部材41は、ステム部45に、椀状のマウス部46の底と連通した軸方向の貫通孔48を設けることによって中空に形成されている。ステム部45には、そのアウトボード側の軸端に後述する拡径加締めに際して外径側に塑性変形する塑性変形部34が形成される。
【0022】
外側継手部材41の素材としては、S40CやS53Cを始め、炭素量0.30〜0.61の間の機械構造用炭素鋼(JISに規定)が広く使用可能である。この他、重量%でCを0.5〜0.7%、Siを0.6〜1.2%、Mnを0.6〜1.0%含有すると共に、残部をFeおよび不可避的不純物とした鋼材も使用することができる。
【0023】
外側継手部材41には、上記素材の鍛造成形後、部分的に熱処理が施される。熱処理により硬化される部分は、図1にハッチングを付して表すように、肩面47からインボード側のインナレース28を経てシール26のシールリップとの摺接面(シールランド)に至る領域と、マウス部46内周の、トルク伝達ボールが転動するトラック溝41aの領域とであり、何れもHRc58以上となるまで硬化される。熱処理としては、局部加熱ができ、硬化層深さの選定が自由であり、かつ硬化層以外への熱影響が少なく母材の性能を保持できる高周波焼入れが適当である。
【0024】
これ以外の部分、特にステム部45のうちで塑性変形部34には、鍛造後も熱処理が施されない。これら未熱処理部のうち、塑性変形部34の硬度は、拡径加締め時の加工性を考えると低いほど好ましいが、低すぎる場合は疲労耐久性の低下を招く。従って、塑性変形部34は、HRc13以上28以下、好ましくはHRc18以上25以下の硬度とするのが好ましい。
【0025】
軸受20は外方部材21と複列の転動体22とを含む。外方部材21は車体(図示せず)に取り付けるためのフランジ23を備え、内周面に複列の転動体22が転動する複列のアウタレース24を形成してある。ハブ輪10のインナレース27および外側継手部材41のインナレース28と外方部材21の複列のアウタレース24との間に複列の転動体22が組み込まれている。ここでは転動体22としてボールを使用した複列アンギュラ玉軸受の場合を図示してあるが、重量の嵩む自動車用の車輪軸受装置の場合には、転動体として円すいころを使用した複列円すいころ軸受を採用する場合もある。外方部材21の両端開口部にはシール25,26が装着され、軸受内部に充填したグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0026】
ハブ輪10の内周のうち、外側継手部材41の塑性変形部34外周との対向部分には凹凸部31が形成される。凹凸部31のインボード側には、ステム部45の円筒状外周面と密着嵌合する嵌合面16が形成されており、両者の嵌合によって車輪軸受装置に負荷された曲げモーメントが支持される構造になっている。
【0027】
凹凸部31の凹凸形状は任意であり、鍛造成形後のブローチ加工等によって例えばねじ形状やセレーション(スプラインも含む)形状、あるいは互いに平行な複数列の溝同士を交差させたアヤメローレット形状に形成される。このようにして形成された凹凸部31は、熱処理によってHRc58以上まで硬化される。
【0028】
熱処理による硬化層は、図1にハッチングで示すように、ハブ輪10内周の凹凸部31の領域のみならず、ハブ輪10外周の、シール25のシールランドからインナレース27を経てインボード側の端面に至る領域にも形成される。これらの熱処理は、上記と同様の理由から高周波焼入れにより行うのが望ましい。なお、図示のように双方の硬化層を非連続とすることにより、ハブ輪10の焼き割れを生じにくくすることができる。
【0029】
内径側の部材としてのハブ輪10と、嵌合部材としての外側継手部材41とは、いわゆる拡径加締めにより一体に塑性結合される。すなわち、ハブ輪10の内周に外側継手部材41のステム部45を嵌合した状態で、ステム部45の塑性変形部34を内径側から外径側に塑性変形させ、塑性変形部34の外周を凹凸部31に食い込ませてハブ輪10と外側継手部材41とを塑性的に結合する。これにより、インナレース27,28間の寸法が規定されて軸受20内部に所定の予圧が付与される。塑性結合されたハブ輪10と外側継手部材41とは、外周に複列のインナレース27、28を有する内方部材29を形成する。
【0030】
加締めに際しては、上述のように凹凸部31は高い硬度を備えるために潰れにくく、また、拡径側の塑性変形部34は凹凸部31に比べて低硬度で延性に富むために拡径代を大きくとってもステム部45に加締め割れが生じにくい。従って、凹凸部31を塑性変形部34に深く食い込ませることができ、これによりハブ輪10と外側継手部材41の間で高い結合強度が確保される。
【0031】
加締めは、例えば図2に示すように、外側継手部材41のステム部45内周の貫通孔48に加締め治具(ポンチ)60を挿入することによって行うことができる。加締め治具60は、先端側(ステム部45への挿入側)より順に小径円筒部61、テーパ部62、および大径円筒部63を具備するもので、小径円筒部61の外径寸法は加締め前の塑性変形部34の内径寸法よりも小さく、大径円筒部63の外径寸法は当該内径寸法よりも大きい。
【0032】
加締めに際しては、外側継手部材41をハブ輪10の内周に挿入した状態で、車輪軸受装置が受け台64上にセットされる。この時、車輪取付けフランジ14のアウトボート側の端面が受け台64の端面に支持される。ハブボルト15は、受け台64に設けたボルト穴65に収容される。
【0033】
この状態で加締め治具60をインボード側から外側継手部材41の貫通穴48に押込む。これによりステム部45の塑性変形部34が加締め治具60のテーパ面62、さらには大径円筒部63によって押し広げられ、拡径方向に塑性変形して外周面がハブ輪10内周の凹凸部31に食い込む。
【0034】
この時、加締め治具60の押込みに伴い、外側継手部材41はアウトボード側に向けて押込み力を受ける。一方、受け台64に支持されたハブ輪10がこの押込み力に対抗するため、ハブ輪10と外側継手部材41との軸方向の当接部(外側継手部材41の肩面47とハブ輪10のインボード側端面との当接部)には圧縮歪が生じる。これにより、アキシャル軸受隙間を負にして軸受20に予圧を付与することができ、加締め結合の完了と同時に予圧設定を完了することが可能となる。同様の効果は、加締め結合する二部材間の当接部(軸方向の当接部)で圧縮歪を生じる方向に加締め治具60を挿入することによって得られる。
【0035】
塑性変形部34の拡径加締めに際し、拡径量が一定量以下であると、凹凸部31に対する塑性変形部34の食い込み量が不足するので、塑性変形部34の塑性変形前の内径寸法φd1’と塑性変形後の内径寸法φd1との比Δ(Δ=φd1/φd1’)は、1.05以上とするのが望ましい(φd1およびφd1’の図示は省略している)。その一方、拡径量が一定量以上であると、素材の延びが過大となって加締め割れ等の不具合を招く可能性があるので、上記比Δの上限値は、(塑性変形部34の素材に含まれる炭素量によって異なるが)1.14〜1.20の範囲に設定するのが望ましい。
【0036】
本発明にかかる車輪軸受装置では、外側継手部材41の塑性変形部34の外周面が従来品に比べて粗面化されている。粗面化する具体的手段としては、例えば鍛造・研削後の表面に化学的・物理的処理を施す方法や、鍛造・研削後の表面にサンドブラスト等の機械的処理を施す方法、あるいは、鍛造後の研削加工を省略し、当該外周面を鍛造肌(その後に熱処理されたものも含む)のままで使用する方法などが考えられる。研削加工を省略すれば、その分だけ加工コストを低廉化することができる。
【0037】
この粗面化は、塑性変形部34外周の面粗さがRa1.6〜12.5の範囲、より好ましくはRa3.2〜6.3の範囲となるように行われる。塑性変形部34外周の面粗さは、外側継手部材41とハブ輪10の加締め結合前に測定する他、加締め結合後であっても、図3に示すように、凹凸部31の凸部31aが食い込んでいない塑性変形部34の外周表面34aで測定することもできる。塑性変形部34の表面では、凹凸部31が食い込んでいない部分の面積が広いため、容易に面粗さを測定することができる。
【0038】
以上の面粗さに設定することにより、凹凸部31の表面と加締め結合前の塑性変形部34の外周との間の摩擦係数を従来品のそれ(μ=0.08程度)に比べて大きく(例えば0.18程度)することができる。図4は、当該摩擦係数が0.08(比較品)および0.18(本発明品)の車輪軸受装置について、耐久寿命の比較試験を行った結果を示すものである。図示からも明らかなように、本発明品は、従来品の約1.4倍程度の耐久寿命を備えており、本発明によるフレッティング抑制効果が実証された。なお、かかる効果を得るためには、当該摩擦係数を0.1以上に設定するのが望ましい。
【0039】
摩擦係数を大きくするという観点から、塑性変形部34の外周面および凹凸部31の表面の間に油膜等の低摩擦性の介在物を介在させることは好ましくない。従って、両面間では、これらの介在物を存在させることなく金属接触させるのが望ましい。
【0040】
粗面化は上述のように塑性変形部34の外周で行う他、凹凸部31の表面で行うこともできる。この場合の粗面化は、凹凸部31を形成する前、すなわち凹凸部の形成領域がまだ平滑面である段階で行う他、可能であれば凹凸部31の形成後に行っても良い。また、粗面化は、少なくとも加締め結合後に塑性変形部34と接触する凸部31aの周辺(図3参照)で行われていれば足り、必ずしも凹凸部31の全表面で行われている必要はない。もちろん塑性変形部34の外周と凹凸部31の双方を粗面化しても構わない。
【0041】
なお、図1では、加締め部分において、ハブ輪10を外径側に配置しているが、その逆に外側継手部材41を外径側に配置した車輪軸受装置でも同様に本発明を適用することもできる(図5参照)。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となってそのインボード側に塑性変形部34が形成され、外側継手部材41がその外周に嵌合した嵌合部材となる。また、凹凸部31は、外側継手部材41の内周であってハブ輪の塑性変形部34との対向領域に形成される。
【0042】
以下、車輪軸受装置の他の実施形態を図6および図7に基づいて説明する。なお、両図において、図1に示す部材と機能が共通する部材には、同一の参照番号を付して重複説明を省略する。
【0043】
図6は、ハブ輪10と、ハブ輪10の外周に嵌合した内輪50とで内方部材29を形成した実施形態である。内方部材29のインナレース27,28のうち、アウトボード側のインナレース27がハブ輪10の外周に、インボード側のインナレース28が内輪50の外周にそれぞれ形成されている。
【0044】
この実施形態においては、ハブ輪10のインボード側端部に形成した小径円筒部19の外周に内輪50が圧入されている。外側継手部材41は、ハブ輪10の内周に嵌合され、スプライン等のトルク伝達手段37を介してハブ輪10と結合され、かつ止め輪38によってハブ輪10に対して抜け止めされている。内輪50のインボード側端面を外側継手部材41の肩面47と当接させ、かつアウトボード側の端面をハブ輪10の肩面18と当接させている。
【0045】
この実施形態において、塑性変形部34はハブ輪10の小径円筒部19に形成され、凹凸部31は内輪50の内周に形成されている(凹凸部31の形成領域を×印で示す)。ハブ輪10の塑性変形部34を未熱処理部とし、これを拡径方向に塑性変形させることにより、塑性変形部34の外周が内輪50の凹凸部31に食い込み、ハブ輪10と内輪50とが塑性的に結合される。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となり、内輪50がハブ輪10の外周に嵌合した嵌合部材となる。
【0046】
図7は、ハブ輪10と、ハブ輪10の外周に嵌合した第一内輪51および第二内輪52とで内方部材29を形成した実施形態である。内方部材29のインナレース27,28は、何れも内輪51,52の外周にそれぞれ形成されている。図示しない外側継手部材は、ハブ輪10の内周に嵌合され、ハブ輪10とトルク伝達可能に結合される。
【0047】
インボード側の第一内輪51のインボード側端部には軸方向の延在部53が形成され、その内周に凹凸部31が形成されている。ハブ輪10のインボード側端部の塑性変形部34を未熱処理部とし、この部分を拡径方向に塑性変形させて凹凸部31に食い込ませることにより、ハブ輪10と内輪51とが塑性的に結合される。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となり、内輪51,52がハブ輪10の外周に嵌合した嵌合部材となる。
【0048】
以上の図6および図7に示す何れの実施形態においても本発明を同様に適用することができる。
【0049】
なお、図6および図7では、車輪軸受装置としてハブ輪10、軸受20、および外側継手部材をユニット化した駆動車輪用の車輪軸受装置を例示しているが、外側継手部材を含まず、ハブ輪10と軸受20とのみをユニット化した従動輪用の車輪軸受装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、塑性変形部の外周面または凹凸部の表面の少なくとも何れか一方を従来品より粗面化しているので、これらの二つの面の間で生じるフレッティングを抑制することができる。従って、車輪軸受装置の耐久寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車輪軸受装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】上記車輪軸受装置の拡径加締め工程を示す断面図である。
【図3】加締め結合部の軸方向断面を拡大した図である。
【図4】従来品と本発明品の耐久寿命比較試験の結果を示す図である。
【図5】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10  ハブ輪
14  車輪取付けフランジ
20  軸受
21  外方部材
22  転動体
24  アウタレース
27  インナレース(アウトボード側)
28  インナレース(インボード側)
29  内方部材
31  凹凸部
34  塑性変形部
40  等速自在継手
41  外側継手部材
50  内輪
51  第一内輪
52  第二内輪

Claims (7)

  1. 内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、
    車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の内周または外周に嵌合した嵌合部材を備え、外周に複列のインナレースが形成された内方部材と、
    アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体と
    を備え、ハブ輪と嵌合部材のうち、内径側の部材に、拡径方向に塑性変形される塑性変形部を設けると共に、外径側の部材に、拡径した塑性変形部に食い込む凹凸部を設けた車輪軸受装置において、
    塑性変形部の外周面または凹凸部の表面の少なくとも何れか一方が粗面化されていることを特徴とする車輪軸受装置。
  2. 粗面化された部分の面粗さがRa1.6以上である請求項1記載の車輪軸受装置。
  3. 粗面化された部分の面粗さがRa12.5以下である請求項1または2記載の車輪軸受装置。
  4. 嵌合部材が等速自在継手の外側継手部材であり、複列のインナレースが、ハブ輪および外側継手部材の各外周に形成されている請求項1〜3何れか記載の車輪軸受装置。
  5. 嵌合部材が、ハブ輪の外周に嵌合した内輪である請求項1〜3何れか記載の車輪軸受装置。
  6. 複列のインナレースが、ハブ輪および内輪の各外周に形成されている請求項5記載の車輪軸受装置。
  7. 複列のインナレースが、ハブ輪外周に嵌合した二つの内輪の各外周に形成されている請求項5記載の車輪軸受装置。
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