JP2004114376A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで画像を形成する画像形成方法である。基材に着弾した液滴のドット径が10μm(マイクロメートル)以下となるように溶液を吐出することにより、偽造防止画像を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワーク及びデータベース技術の進展によって、各種行政機関並びに企業等の情報提供端末装置どうしのネットワーク化が図られている。
そして、各種行政サービス(住民票等の各種証明書の発行)、チケット販売並びにカード(メンバーズカード等)発行等に、今後、コンビニエンスストアやキオスク等に設置された情報提供端末装置が利用される構想がある。
【0003】
コンビニエンスストアやキオスク等に設置された情報提供端末装置から各種証明書、チケット並びにカード等(以下、「発行物」という。)を発行する場合には、発行物の不正な取得並びに発行物の偽造の防止を行うことが重要となる。
そこで、例えば情報提供端末装置の利用は、ユーザがネットワークに接続する上で必要なIDによりセキュリティが管理されることによって、IDが盗まれない限り発行物の不正な取得を防止することが可能となる。
【0004】
しかしながら、前記発行物の発行に、仮に電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式等を利用したプリンタが用いられる場合、前記プリンタが汎用的であることから、発行物が偽造され易くなる虞があり、発行物が精巧に偽造されると偽造物と発行物の真贋の判別が困難になることになる。
そのため、カラーコピー機による偽造を阻止し得るものとして、透明基材の片面上に複写されても正確に再現されないマイクロ文字からなる第1の印刷層が形成された偽造防止印刷物が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ホログラムや、複写されることで記録媒体上に視認が容易となる濃度で表現される透かし画像等の偽造防止画像による発行物の偽造の防止も考えられている。
具体的には、マイクロ文字、ホログラム並びに透かし画像等の偽造防止加工を予め施した記録用紙を情報提供端末装置のプリンタにセットしておき、各々の発行物に対応させて、所定の記録用紙に対し所定の記録内容を画像形成するという方法が考えられる。さらに、各種証明書、チケット並びにカード等を発行する際に、各々の発行物に対応させて所定の偽造防止画像を形成するという方法も考えられる。
【0005】
また、従来のインクジェット方式としては、圧電素子の振動によりインク流路を変形させることによりインク液滴を吐出させるピエゾ方式、インク流路ないに発熱体を設け、その発熱体を発熱させて気泡を発生させ、気泡によるインク流路内の圧力変化に応じてインク液滴を吐出させるサーマル方式、インク流路内のインクを帯電させてインクの静電吸引力によりインク液滴を吐出させる静電吸引方式が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−324094号公報(第2−5頁、第1図)
【特許文献2】
特開平8−238774号公報
【特許文献3】
特開2000−127410号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の場合、偽造防止印刷物を得るために特定の透明基材を用意しなければならず、偽造防止印刷物の作成を容易には行えなかった。さらに、マイクロ文字の形成をオフセット印刷によって行うため、オフセット印刷可能な装置(以下、「オフセット印刷装置」という。)が設置された専用の工場等でないと偽造防止印刷物の作成を行えないといった問題もある。
【0008】
また、偽造を防止する加工を施した記録用紙を情報提供端末装置にセットする場合、各種行政機関や企業に対応した記録用紙、すなわち行政機関から発行される証明書、並びに企業から発行されるチケットやカード等に応じて、所定のマイクロ文字、ホログラム並びに透かし画像等の加工が施された記録用紙を予め用意する必要がある。従い、用意しなければならない記録用紙が多種類に亘ることになり、情報提供端末装置が大型化して、各種証明書、チケット並びにカード等の発行を容易に行えなくなることから、現実的ではない。
さらに、マイクロ文字、ホログラム並びに透かし画像等は高精細で記録される必要があるため、マイクロ文字、ホログラム並びに透かし画像等の記録用紙への形成を、オフセット印刷装置で行っているのが現状である。しかしながら、オフセット印刷装置は大きく設置スペースをとるため、コンビニエンスストアやキオスク等への設置には不向きで少量生産に向いておらず、これも現実的には不可能となっている。
【0009】
また、上記インクジェット方式には以下の問題があった。
(1)微小液滴形成の安定性
ノズル径が大きいため、ノズルから吐出される液滴の形状が安定しない。
(2)微小液滴の着弾精度の不足
ノズルから吐出した液滴に付与される運動エネルギーは、液滴半径の3乗に比例して小さくなる。このため、微小液滴は空気抵抗に耐えるほどの十分な運動エネルギーを確保できず、空気対流などによる擾乱を受け、正確な着弾が期待出来ない。さらに、液滴が微細になるほど、表面張力の効果が増すために、液滴の蒸気圧が高くなり蒸発量が激しくなる。このため微細液滴は、飛翔中の著しい質量の消失を招き、着弾時に液滴の形態を保つことすら難しいという事情があった。
以上のように液滴の微細化と高精度化は、相反する課題であり、両方を同時に実現することは困難であった。
この着弾位置精度の悪さは、印字画質を低下させるのみならず、例えばインクジェット技術により導電性インクを用いて回路の配線パターンを描画する際などには特に大きな問題となる。すなわち、位置精度の悪さは所望の太さの配線が描画出来ないばかりか、断線やショートを生ずることさえあり得る。
(3)高印加電圧
従来の静電吸引方式の原理では、メニスカスの中心に電荷を集中させてメニスカスの***を発生する。この***したテーラーコーン先端部の曲率半径は、電荷の集中量により定まり、集中した電荷量と電界強度による静電力がそのときのメニスカスの表面張力より勝った時に液滴の分離が始まる。
メニスカスの最大電荷量は、インクの物性値とメニスカス曲率半径により定まるため、最小の液滴のサイズはインクの物性値(特に表面張力)とメニスカス部に形成される電界強度により定まる。
一般的に、液体の表面張力は純粋な溶媒よりも溶剤を含んだ方が表面張力は低くなる傾向があり、実際のインクにおいても種々の溶剤を含んでいるため、表面張力を高くすることは難しい。このため、インクの表面張力を一定と考え、電界強度を高くすることにより液滴サイズを小さくする方法が採られていた。
従って、上記の特許文献2,3に開示されたインクジェット装置では、両者とも吐出原理として、吐出液滴の投影面積よりもはるかに広い面積のメニスカス領域に強い電界強度のフィールドを形成することにより該メニスカスの中心に電荷を集中させ、該集中した電荷と形成している電界強度からなる静電力により吐出を行うため、2000[V]に近い非常に高い電圧を印加する必要があり、駆動制御が難しいと共に、インクジェット装置を操作するうえでの安全性の面からも問題があった。
(4)吐出応答性
上記の特許文献2,3に開示されたインクジェット装置では、両者とも吐出原理として、吐出液滴の投影面積よりもはるかに広い面積のメニスカス領域に強い電界強度のフィールドを形成することにより該メニスカスの中心に電荷を集中させ、該集中した電荷と形成している電界強度からなる静電力により吐出を行うため、メニスカス部の中心に電荷が移動するための電荷の移動時間が吐出応答性に影響し、印字速度の向上において問題となっていた。
【0010】
本発明の課題は、偽造防止画像の形成を簡便に行える画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで画像を形成する画像形成方法であって、
前記基材に着弾した液滴のドット径が10μm(マイクロメートル)以下となるように溶液を吐出することにより、偽造を防止する画像(以下、「偽造防止画像」という。)を形成することを特徴としている。
【0012】
ここで、「溶液」には、インクが含まれており、インクには、溶媒、染料、顔料等の色剤、各種添加剤などが含まれている。さらに、インクとして、溶剤を含まずにモノマーと色剤とを混合し、射出後に活性エネルギー線が照射されることで硬化する、いわゆる活性光線硬化型インクを用いても良い。
また、「基材」とは吐出された溶液の液滴の着弾を受ける対象物をいうものとする。従って、例えば、上記構成をインクジェットプリンタに適応した場合には、用紙やシート等の記録媒体が基材に相当することとなる。また、「基材」に、公知のインクジェット受像層を設けても良い。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるようにインクジェット方式で溶液を吐出することにより、偽造防止画像が形成される。すなわち、例えば基材として記録媒体を適用し、溶液としてインクを適用した場合に、インクをインクジェット方式で記録媒体に対して吐出することで、記録媒体上に偽造防止画像を高精細で形成することができる。例えば、コンビニエンスストアやキオスク等に設置された情報提供端末装置から各種証明書、チケット並びにカード等の発行物を発行する場合、発行物の偽造を防止する上で、発行物が作製される記録媒体上に高精細な偽造防止画像が形成される必要がある。従い、高精細な偽造防止画像の形成をインクジェット方式により行うことができるので、このインクジェット方式による画像形成方法を画像形成装置に適用することによって、偽造防止画像を形成可能な画像形成装置を小型化できる。これにより、前記画像形成装置を用いることで大きな設置スペースが必要なオフセット印刷装置を用いる必要がなくなり、例えばコンビニエンスストアやキオスク等に画像形成装置を設置可能となって、コンビニエンスストアやキオスク等にて高精細な偽造防止画像の形成を行えることとなる。
また、偽造防止画像の各々に対応した記録媒体を用意する必要がないとともに、如何なる記録媒体に対しても偽造防止画像の形成を行うことができるので、偽造防止画像が形成された記録媒体を容易に得ることができる。
このように、高精細な偽造防止画像の形成を簡便に行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成方法において、
前記偽造防止画像として、10μm以下の幅の細線で構成された画像を形成することを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、偽造防止画像として、10μm以下の幅の細線で構成された画像が形成される。すなわち、例えば複写されても正確に再現されないような寸法の細線で構成された画像を形成できるので、複写された場合に偽造物と本物の発行物とにおける真贋の判別が可能となる。
また、10μm以下の幅の細線で構成されたバーコードを偽造防止画像として適用する場合に、所定のバーコードを画像形成することもできる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成方法において、
前記偽造防止画像として、マイクロ文字からなる画像を形成することを特徴としている。
【0017】
ここで、マイクロ文字とは、複写されても基材への正確な再現が不可能な程度に小さい文字のことである。例えば、日本国の紙幣には偽造防止用のマイクロ文字が形成されており、複写によって偽造紙幣が作製された場合に、偽造紙幣上のマイクロ文字の部分は潰れたようになるため正確に再現されないことになる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、偽造防止画像として、マイクロ文字からなる画像が形成される。これにより、例えば一文字当たりの幅が1mm(ミリメートル)以下であるマイクロ文字からなる画像を形成した場合には、複写時に正確に再現されないこととなる。従って、マイクロ文字からなる画像を偽造防止画像として適用することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
吐出される溶液の一滴当たりの量が1fl(フェムトリットル)以上500fl以下であることを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、吐出される溶液の一滴当たりの量が1fl以上500fl以下となっている。これにより、基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるようにすることができ、高精細な偽造防止画像の形成を行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記インクジェット方式として、基材の溶液受け面に先端部が対向配置された超微細径のノズル内の溶液に吐出電圧を印加することで、前記先端部から帯電した液滴を吐出する静電吸引型インクジェット方式を適用することを特徴としている。
【0022】
上記構成にあっては、ノズルの先端部に溶液受け面が対向するように、ノズル又は基材が配置される。これら相互の位置関係を実現するための配置作業は、ノズルの移動又は基材の移動のいずれにより行っても良い。
そして、ノズル内の溶液は吐出を行うために帯電した状態にあることが要求される。溶液の帯電は、例えば、吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段により、吐出されない範囲での電圧印加により行っても良いし、帯電専用の電極を設けても良い。
【0023】
また、上記構成にあっては、ノズルを従来にない超微細径とすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めることに特徴がある。ノズルの小径化に関しては後の記載により詳述する。かかる場合、ノズルの先端部に対向する対向電極がなくとも液滴の吐出を行うことが可能である。例えば、対向電極が存在しない状態で、ノズル先端部に対向させて基材を配置した場合、当該基材が導体である場合には、基材の受け面を規準としてノズル先端部の面対称となる位置に逆極性の鏡像電荷が誘導され、基材が絶縁体である場合には、基材の受け面を規準として基材の誘電率により定まる対称位置に逆極性の映像電荷が誘導される。
そして、ノズル先端部に誘起される電荷と鏡像電荷又は映像電荷間での静電力により液滴の飛翔が行われる。
但し、本発明の構成は、対向電極を不要とすることを可能とするが、対向電極を併用しても構わない。対向電極を併用することで、ノズル−対向電極間での電界による静電力を飛翔電極の誘導のために併用することも可能となるし、対向電極を接地すれば、帯電した液滴の電荷を対向電極を介して逃がすことができ、電荷の蓄積を低減する効果も得られるので、むしろ併用することが望ましい構成といえる。
【0024】
従って、請求項5に記載の発明によれば、インクジェット方式として、静電吸引型インクジェット方式が適用されているので、吐出される溶液の基材への着弾精度を向上させることができ、高画質な偽造防止画像を安定して形成できる。これにより、偽造防止画像をさらに高精細に形成することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるように溶液を吐出して画像形成するとともに、前記基材に着弾した液滴のドット径が10μmを越えるように溶液を吐出して画像形成することを特徴としている。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるように溶液を吐出して画像形成するとともに、基材に着弾した液滴のドット径が10μmを越えるように溶液を吐出して画像形成する。すなわち、基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるように溶液を吐出することで、高精細に画像形成される必要がある偽造防止画像を形成できるとともに、基材に着弾した液滴のドット径が10μmを越えるように溶液を吐出することで、偽造防止画像以外の画像、すなわち高精細で画像形成する必要のない画像(例えば、非偽造防止画像)を形成できる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、
インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで偽造防止画像を形成する偽造防止画像形成部と、前記偽造防止画像以外の画像である非偽造防止画像を前記基材に形成する非偽造防止画像形成部とを備える画像形成装置であって、
前記偽造防止画像形成部は、前記非偽造防止画像形成部よりも高い解像度で画像形成することを特徴としている。
【0028】
ここで、非偽造防止画像とは、偽造の防止を目的とする画像ではなく、ヒトへの表示を目的とした画像のことである。例えば、発行物が「住民票」である場合には、非偽造防止画像として、住民の住所、氏名の他、発行者である区、市町村の首長名等が挙げられる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで偽造防止画像を形成する偽造防止画像形成部と、偽造防止画像以外の画像である非偽造防止画像を前記基材に形成する非偽造防止画像形成部とが備えられる。また、偽造防止画像形成部によって、非偽造防止画像形成部よりも高い解像度で画像形成される。すなわち、例えば基材として記録媒体を適用し、溶液としてインクを適用した場合において、偽造防止画像形成部は、記録媒体に着弾したインク滴のドット径が10μm以下となるようにインクをインクジェット方式で吐出することにより偽造防止画像を形成でき、非偽造防止画像形成部は、記録媒体に着弾したインク滴のドット径が10μmを越えるようにインクを例えばインクジェット方式で吐出することにより非偽造防止画像を形成できる。つまり、記録媒体上に偽造防止画像を非偽造防止画像よりも高精細で形成することができる。
例えば、コンビニエンスストアやキオスク等に設置された情報提供端末装置から各種証明書、チケット並びにカード等の発行物を発行する場合には、発行物の偽造を防止する上で、発行物が作製される記録媒体上に高精細な偽造防止画像が形成される必要がある。この場合に、高精細な偽造防止画像の形成をインクジェット方式により行うことによって画像形成装置を小型化でき、この画像形成装置を用いることで大きな設置スペースが必要なオフセット印刷装置を用いる必要がなくなり、前記画像形成装置を例えばコンビニエンスストアやキオスク等に設置可能となる。結果として、コンビニエンスストアやキオスク等にて高精細な偽造防止画像の形成を行えることとなる。
また、偽造防止画像の各々に対応した記録媒体を用意する必要がないとともに、如何なる記録媒体に対しても偽造防止画像の形成を行うことができるので、偽造防止画像が形成された記録媒体を容易に得ることができる。
このように、高精細な偽造防止画像の形成を簡便に行うことができる。
【0030】
さらに、偽造防止画像及び非偽造防止画像の各々の画像形成を分業して行うことができるので、画像形成時に偽造防止画像形成部と非偽造防止画像形成部の各々にかかる負担を軽減できる。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記インクジェット方式として、基材の溶液受け面に先端部を対向配置された超微細径のノズル内の溶液に吐出電圧を印加することで、前記先端部から帯電した液滴を吐出する静電吸引型インクジェット方式を適用することを特徴としている。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、
前記非偽造防止画像形成部は、画像形成時に溶液を吐出するための圧力を制御する圧力制御方式若しくは電子写真方式によって画像形成することを特徴としている。
【0034】
ここで、圧力制御方式とは、溶液を吐出するための圧力を、ピエゾ素子等の圧電素子によって変化させる方式や、熱による膨張によって変化させる方式等のことである。
【0035】
請求項9に記載の発明によれば、非偽造防止画像形成部により、画像形成時に溶液を吐出するための圧力を制御する圧力制御方式若しくは電子写真方式によって画像形成されるので、非偽造防止画像形成部の小型化に寄与でき、結果として画像形成装置を小型化することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が30μm以下であることを特徴としている。
【0037】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が20μm未満であることを特徴としている。
【0038】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が8μm以下であることを特徴としている。
【0039】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が4μm以下であることを特徴としている。
【0040】
請求項14に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が30μm以下であることを特徴としている。
【0041】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が20μm未満であることを特徴としている。
【0042】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が8μm以下であることを特徴としている。
【0043】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が4μm以下であることを特徴としている。
【0044】
本発明において、ノズル径とは、ノズルの先端部の内部直径をいう。
ノズル径を20[μm]未満とすることにより、電界強度分布が狭くなる。このことにより、電界を集中させることができる。その結果、形成される液滴を微小で且つ形状の安定化したものとすることができると共に、総印加電圧を低減することができる。また、液滴は、ノズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズルから離れると電界は急激に低下するので、その後は、空気抵抗により減速する。しかしながら、微小液滴でかつ電界が集中した液滴は、対向電極に近づくにつれ、鏡像力により加速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。
また、ノズルの内部直径は、8[μm]以下であることが好ましい。ノズルの内部直径を8[μm]以下とすることにより、さらに電界を集中させることが可能となり、さらなる液滴の微小化と、飛翔時に対向電極の距離の変動が電界強度分布に影響することを低減させることができるので、対向電極の位置精度や基材の特性や厚さの液滴形状への影響や着弾精度への影響を低減することができる。
さらに、ノズルの内部直径を4[μm]以下とすることにより、顕著な電界の集中を図ることができ、最大電界強度を高くすることができ、形状の安定な液滴の超微小化と、液滴の初期吐出速度を大きくすることができる。これにより、飛翔安定性が向上することにより、着弾精度をさらに向上させ、吐出応答性を向上することができる。
また、ノズルの内部直径は0.2[μm]より大きい方が望ましい。ノズルの内径を0.2[μm]より大きくすることで、液滴の帯電効率を向上させることができるので、液滴の吐出安定性を向上させることができる。
さらに、上記各請求項の構成において、
(1)ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に電極を挿入あるいはメッキ形成ことが好ましい。
(2)上記各請求項の構成又は上記(1)の構成において、ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に電極を挿入或いはメッキ形成すると共にノズルの外側に電極を設けることが好ましい。
(1)及び(2)により、上記各請求項による作用効果に加え、吐出力を向上させることができるので、ノズル径をさらに微小化しても、低電圧で液を吐出することができる。
(3)上記各請求項の構成、上記(1)又は(2)の構成において、基材を導電性材料または絶縁性材料により形成することが好ましい。
(4)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)又は(3)の構成において、ノズルに印加する電圧Vを
【数1】
で表される流域において駆動することが好ましい。
ただし、γ:液体の表面張力、ε0:真空の誘電率、r:ノズル半径、h:ノズル−基板間距離、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
(5)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)又は(4)の構成において、印加する任意波形電圧が1000V以下であることが好ましい。
(6)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の構成において、印加する任意波形電圧が500V以下であることが好ましい。
(7)上記各請求項の構成、上記(1)〜(6)いずれかの構成において、ノズルと基板との距離が500[μm]以下とすることが、ノズル径を微細にした場合でも高い着弾精度を得ることができるので好ましい。
(8)上記各請求項の構成、上記(1)〜(7)いずれかの構成において、ノズル内の溶液に圧力を印加するように構成することが好ましい。
(9)上記各請求項の構成、上記(1)〜(8)いずれかの構成において、単一パルスによって吐出する場合、
【数2】
により決まる時定数τ以上のパルス幅Δtを印加する構成としても良い。ただし、ε:流体の誘電率、σ:導電率とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。ここで、図1は、本発明が適用された一実施の形態として例示する画像形成装置の要部構成を模式的に示した平面図である。
【0046】
以下の実施形態で説明する液体吐出装置のノズル径(内部直径)は、30[μm]以下であることが好ましく、さらに好ましくは20[μm]未満、さらに好ましくは8[μm]以下、さらに好ましくは4[μm]以下とすることが好ましい。また、ノズル径は、0.2[μm]より大きいことが好ましい。
【0047】
本発明が適用された画像形成装置100は、例えばコンビニエンスストア(図示略)やキオスク(図示略)等に情報提供端末装置として設置されるものであり、ネットワーク(図示略)を介して各種行政機関並びに企業等の情報提供端末装置(図示略)と通信可能に接続されている。また、画像形成装置100は、各種証明書、チケット並びにカード等の発行物(図示略)の発行に際し、前記発行物の各々に対応した偽造防止画像(図示略)を記録用紙K(図1参照)に対して形成する場合についてものである。
なお、以下の説明においては、溶液としてインクを採用し、また、基材として記録媒体、特に記録用紙Kを採用している。
【0048】
図1に示すように、画像形成装置100は、偽造防止画像形成部200と、非偽造防止画像形成部300とを備えて概略構成されている。
【0049】
偽造防止画像形成部200は、インク(液体)吐出装置としてインクジェットヘッド20(図2参照)を備えており、このインクジェットヘッド20は、ノズルユニット210と、対向電極23(詳細後述)とを備えて構成されている。
ノズルユニット210は、その長手方向が記録用紙Kの幅方向(記録用紙Kの搬送方向Aに直交する方向)と平行となるように配設されている。また、ノズルユニット210には、記録用紙Kの幅方向に亘って多数のノズル21(図2参照)が所定間隔を空けて配設されている。
従って、偽造防止画像形成部200は、一ライン分のノズル21を全て単一の部材(ノズルユニット210)上に搭載したラインヘッドを構成している。
【0050】
[インクジェットヘッド]
(インクジェットヘッドの全体構成)
以下、インクジェットヘッド20について図2及び図3に基づき、さらに詳細に説明する。
ここで、図2および図3は、インクジェットヘッド20の詳細を示したものであり、図2はノズル21に沿ったインクジェットヘッド20の断面図であり、図3はインクの吐出動作とインクに印加される電圧との関係を示す説明図であって、図3(A)は吐出を行わない状態であり、図3(B)は吐出状態を示す。
【0051】
インクジェットヘッド20は、帯電可能なインクのインク滴をその先端部から吐出する超微細径のノズル21と、ノズル21の先端部に対向する対向面を有すると共にその対向面でインク滴の着弾を受ける記録用紙Kを支持する対向電極23と、ノズル21内の流路22にインクを供給するインク供給手段と、ノズル21内のインクに吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段25とを備えている。なお、上記ノズル21とインク供給手段の一部の構成と吐出電圧印加手段25の一部の構成はノズルプレート26により一体的に形成されている。
なお、図2では、説明の便宜上、ノズル21の先端部が垂直下方を向き、ノズル21の下方に対向電極23が配設されている状態で図示されているが、実際上は、ノズル21が水平方向か或いはそれよりも下方で使用される。また、ノズル21の先端部を上方に向けた状態で使用されても良い。
【0052】
(ノズル)
上記ノズル21は、後述するノズルプレート26の下面層26cと共に一体的に形成されており、当該ノズルプレート26の平板面上から垂直に立設されている。さらに、ノズル21にはその先端部からその中心線に沿って貫通するノズル内流路22が形成されている。
【0053】
ノズル21についてさらに詳説する。ノズル21は、前述の通り、超微細径で形成されている。具体的な各部の寸法の一例を挙げると、ノズル内流路22の内部直径は、1[μm]、ノズル21の先端部における外部直径は2[μm]、ノズル21の根元の直径は5[μm]、ノズル21の高さは100[μm]に設定されており、その形状は限りなく円錐形に近い円錐台形に形成されている。また、ノズル21はその全体がノズルプレート26の下面層26cと共に絶縁性の樹脂材により形成されている。
【0054】
(インク供給手段)
インク供給手段は、ノズルプレート26の内部であってノズル21の根元となる位置に設けられると共にノズル内流路22に連通するインク室24と、図示しない外部のインクタンクからインク室24にインクを導く供給路27と、インク室24へのインクの供給圧力を付与する図示しない供給ポンプとを備えている。
上記供給ポンプは、ノズル21の先端部までインクを供給し、当該先端部からこぼれ出さない範囲の供給圧力を維持してインクの供給を行う(図3(A)参照)。
【0055】
(吐出電圧印加手段)
吐出電圧印加手段25は、ノズルプレート26の内部であってインク室24とノズル内流路22との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極28と、この吐出電極28に常時,直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源30と、吐出電極28にバイアス電圧に重畳して吐出に要する電位とするパルス電圧を印加する吐出電圧電源29とを備えている。
【0056】
上記吐出電極28は、インク室24内部においてインクに直接接触し、インクを帯電させると共に吐出電圧を印加する。
バイアス電源30によるバイアス電圧は、インクの吐出が行われない範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減し、これによる吐出時の反応性の向上を図っている。
【0057】
吐出電圧電源29は、インクの吐出を行う際にのみパルス電圧をバイアス電圧に重畳させて印加する。このときの重畳電圧Vは次式(25)の条件を満たすようにパルス電圧の値が設定されている。
【数3】
ただし、γ:溶液の表面張力、ε0:真空の誘電率、r:ノズル半径、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
一例を挙げると、バイアス電圧はDC300[V]で印加され、パルス電圧は100[V]で印される。従って、吐出の際の重畳電圧は400[V]となる。
【0058】
(ノズルプレート)
ノズルプレート26は、図2において最も上層に位置するベース層26aと、その下に位置するインクの供給路を形成する流路層26bと、この流路層26bのさらに下に形成される下面層26cとを備え、下面層26cと流路層26bとの間には前述した吐出電極28が介挿されている。
上記ベース層26aは、シリコン基板或いは絶縁性の高い樹脂又はセラミックにより形成され、その下に溶解可能な樹脂層を形成すると共に供給路27及びインク室24のパターンに従う部分のみを残して除去し、除去された部分に絶縁樹脂層を形成する。この絶縁樹脂層が流路層26bとなる。そして、この絶縁樹脂層の下面に導電素材(例えばNiP)のメッキにより吐出電極28を形成し、さらにその上から絶縁性のレジスト樹脂層を形成する。このレジスト樹脂層が下面層26cとなるので、この樹脂層はノズル21の高さを考慮した厚みで形成される。そして、この絶縁性のレジスト樹脂層を電子ビーム法やフェムト秒レーザにより露光し、ノズル形状を形成する。ノズル内流路22もレーザ加工により形成される。そして、供給路27及びインク室24のパターンに従う溶解可能な樹脂層を除去し、これら供給路27及びインク室24が開通してノズルプレートが完成する。
【0059】
(対向電極)
対向電極23は、ノズル21に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うように記録用紙Kの支持を行う。ノズル21の先端部から対向電極23の対向面までの距離は、一例としては100[μm]に設定される。
また、この対向電極23は接地されているため、常時,接地電位を維持している。従って、パルス電圧の印加時にはノズル21の先端部と対向面との間に生じる電界による静電力により吐出されたインク滴を対向電極23側に誘導する。
なお、インクジェットヘッド20は、ノズル21の超微細化による当該ノズル21の先端部での電界集中により電界強度を高めることでインク滴の吐出を行うことから、対向電極23による誘導がなくともインク滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル21と対向電極23との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電したインク滴の電荷を対向電極23の接地により逃がすことも可能である。
【0060】
(インクジェットヘッドによる微小液滴の吐出動作)
図2及び図3によりインクジェットヘッド20の動作説明を行う。
インク供給手段の供給ポンプによりノズル内流路22にはインクが供給された状態にあり、かかる状態でバイアス電源30により吐出電極28を介してバイアス電圧がインクに印加されている。かかる状態で、インクは帯電すると共に、ノズル21の先端部においてインクによる凹状に窪んだメニスカスが形成される(図3(A))。
そして、吐出電圧電源29によりパルス電圧が印加されると、ノズル21の先端部では集中された電界の電界強度による静電力によりインクがノズル21の先端部側に誘導され、外部に突出した凸状メニスカスが形成されると共に、かかる凸状メニスカスの頂点により電界が集中し、ついにはインクの表面張力に抗して微小インク滴が対向電極23側に吐出される(図3(B))。
【0061】
上記インクジェットヘッド20は、従来にない微小径のノズル21によりインク滴の吐出を行うので、ノズル内流路22内で帯電した状態のインクにより電界が集中され、電界強度が高められる。このため、電界の集中化が行われない構造のノズル(例えば内径100[μm])では吐出に要する電圧が高くなり過ぎて事実上吐出不可能とされていた微細径でのノズル21によるインクの吐出を従来よりも低電圧で行うことを可能としている。
そして、微細径であるがために、ノズルコンダクタンスの低さによりその単位時間あたりの吐出流量を低減する制御を容易に行うことができると共に、パルス幅を狭めることなく十分に小さなインク滴径(上記各条件によれば0.8[μm])によるインクの吐出を実現している。
さらに、吐出されるインク滴は帯電されているので、微小のインク滴であっても蒸気圧が低減され、蒸発を抑制することからインク滴の質量の損失を低減し、飛翔の安定化を図り、インク滴の着弾精度の低下を防止する。
【0062】
なお、ノズル21にエレクトロウェッティング効果を得るために、ノズル21の外周に電極を設けるか、また或いは、ノズル内流路22の内面に電極を設け、その上から絶縁膜で被覆しても良い。そして、この電極に電圧を印加することで、吐出電極28により電圧が印加されているインクに対して、エレクトロウェッティング効果によりノズル内流路22の内面のぬれ性を高めることができ、ノズル内流路22へのインクの供給を円滑に行うことができ、良好に吐出を行うと共に、吐出の応答性の向上を図ることが可能となる。
【0063】
また、吐出電圧印加手段25ではバイアス電圧を常時印加すると共にパルス電圧をトリガーとしてインク滴の吐出を行っているが、吐出に要する振幅で常時交流又は連続する矩形波を印加すると共にその周波数の高低を切り替えることで吐出を行う構成としても良い。インク滴の吐出を行うためにはインクの帯電が必須であり、インクの帯電する速度を上回る周波数で吐出電圧を印加していても吐出が行われず、インクの帯電が十分に図れる周波数に替えると吐出が行われる。従って、吐出を行わないときには吐出可能な周波数より大きな周波数で吐出電圧を印加し、吐出を行う場合にのみ吐出可能な周波数帯域まで周波数を低減させる制御を行うことで、インクの吐出を制御することが可能となる。かかる場合、インクに印加される電位自体に変化はないので、より時間応答性を向上させると共に、これによりインク滴の着弾精度を向上させることが可能となる。
【0064】
上記のように構成された偽造防止画像形成部200は、記録用紙Kに対して、この記録用紙K上に着弾したインク滴のドット径が10μm以下となるように、すなわち一滴当たりの量が1fl以上500fl以下となるようにインクをノズル21から吐出していくことによって、偽造防止画像としてマイクロ文字から構成された画像を形成する。従い、マイクロ文字は、10μm以下の幅の細線で構成されることとなり、複写されても正確な再現が不可能となっている。
【0065】
非偽造防止画像形成部300は、偽造防止画像形成部200よりも記録用紙Kの搬送方向Aの下流側に配置されている。
また、非偽造防止画像形成部300は、非偽造防止画像の形成にて使用される4色のインク(ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))に対応する4つ設けられており、これによって非偽造防止画像のカラープリントが可能となっている。
【0066】
さらに、非偽造防止画像形成部300は、互いの長手方向が平行となるように記録用紙Kの搬送方向Aに並んでいる。また、非偽造防止画像形成部300の各々は、記録用紙Kの幅方向に亘って多数のノズル(図示略)が所定間隔を空けて位置するようにインクジェットヘッド(図示略)を備えている。つまり、非偽造防止画像形成部300の各々は、一ライン分のノズルを全て単一の部材上に搭載したラインヘッドを構成している。
そして、各非偽造防止画像形成部300は、偽造防止画像形成部200によって偽造防止画像が形成された後、搬送方向Aに沿って搬送される記録用紙Kに対して、この記録用紙K上に着弾したインク滴のドット径が10μmを越えるようにインクを吐出していくことにより、偽造防止画像以外の画像である非偽造防止画像を形成する。
すなわち、非偽造防止画像形成部300の画像形成における解像度は、偽造防止画像形成部200の前記解像度よりも低くなっている。
【0067】
なお、ノズルからインクを吐出するための吐出力(圧力)は、図示しないインク収納部から各ノズルまでインクを供給する供給路(図示略)に付設されたピエゾ素子(圧電素子;図示略)によって発生される。
すなわち、非偽造防止画像形成部300は、画像形成時にピエゾ素子を制御することによりインクの吐出力を変化させるピエゾ方式(圧力制御方式)で画像形成するようになっている。
【0068】
また、記録用紙Kの搬送は、搬送方向Aに沿って所定の搬送手段(図示略)によって行われる。
【0069】
次に、画像形成装置100によって、発行物が発行される際の動作について説明する。なお、発行物として「住民票」を例示して、以下の説明を行うこととする。
【0070】
先ず、画像形成装置100の電源が入れられた状態で、ユーザにより画像形成装置100からの「住民票」の発行が選択され実行されると、ユーザからのID(identification)情報の入力に基づいて、アクセスしようとしているユーザの確認を行う。具体的には、例えば画像形成装置100は、所定の通信手段を介して、「住民票」の発行を管轄する行政機関(発行先)の情報提供端末装置に接続して、発行先の情報提供端末装置に対してID情報を送信する。そして、発行先の情報提供端末装置は、送信されたID情報を受信すると、受信したID情報に基づいてユーザの氏名や身元等のユーザ固有情報を確認する。
【0071】
その後、発行先の情報提供端末装置は、ユーザ固有情報の確認に基づきユーザのアクセスを許可すると、ユーザが希望する「住民票」の内容(例えば、ユーザの住所や氏名、発行先となる行政機関の名称や首長名等)に関する情報(以下、「住民票内容情報」という。)及び「住民票」に対応した偽造防止画像に関する情報(以下、「偽造防止画像情報」という。)を画像形成装置100に対して送信する。
【0072】
画像形成装置100は、送信された住民票内容情報及び偽造防止画像情報を受信した後、偽造防止画像形成部200を制御することによって、偽造防止画像情報に基づき、搬送方向Aに沿って搬送される記録用紙K上の所定の位置に、インクジェットヘッド20のノズル21よりインクを吐出していくことでマイクロ文字から構成された偽造防止画像を高精細に形成する。
その後、画像形成装置100は、非偽造防止画像形成部300を制御することによって、住民票内容情報に基づき、偽造防止画像が形成された記録用紙K上の所定位置に、ノズルからインクを吐出していくことでユーザの住所や氏名、発行先となる行政機関の名称や首長名等の「住民票」を構成する上で必要不可欠な情報となっている非偽造防止画像を形成する。このとき、非偽造防止画像として、前記必要不可欠な情報に加えて書面の背景色や飾り等を画像形成するようにしても良い。
【0073】
そして、画像形成装置100は、偽造防止画像及び非偽造防止画像が記録用紙Kに対して形成されることで作製された「住民票」を搬出部(図示略)より搬出する。
【0074】
以上のように、インクをインクジェット方式で記録用紙Kに対して吐出することで、記録用紙K上に偽造防止画像を高精細で形成することができる。このとき、インクジェット方式として、超微細径のノズル21内に供給されたインクを帯電させ、ノズル21内のインクに吐出電圧を印加することで、ノズル21の先端部からインク滴を吐出する静電吸引型インクジェット方式を採用しているので、インクの記録用紙Kへの着弾精度を向上させることができ、高画質な偽造防止画像を安定して形成できる。従って、より高精細な偽造防止画像を形成できる。
すなわち、上記インクジェット方式によって偽造防止画像を形成することにより画像形成装置100を小型化でき、この画像形成装置100を例えばコンビニエンスストアやキオスク等に設置可能となる。これにより、例えばコンビニエンスストアやキオスク等において発行物として「住民票」を発行する場合に、コンビニエンスストアやキオスク等にて高精細な偽造防止画像の形成を行えることとなる。つまり、コンビニエンスストアやキオスク等にて「住民票」を発行しても、この「住民票」には高精細な偽造防止画像が形成されているため、「住民票」を紛失した場合等に不正に偽造される虞がなくなる。
また、偽造防止画像の各々に対応した記録用紙Kを用意する必要がなくなるとともに、如何なる記録用紙Kに対しても偽造防止画像の形成を行えるので、偽造防止画像が形成された「住民票」を容易に得ることができる。
このように、「住民票」等の発行物を発行する際に、記録用紙Kに対して高精細な偽造防止画像の形成を簡便に行える。
【0075】
また、偽造防止画像として、複写されても記録用紙Kへの正確な再現が不可能なマイクロ文字からなる画像を形成できるので、複写された場合に偽造物と本物の発行物とにおける真贋の判別が可能となる。
さらに、偽造防止画像形成部200と、非偽造防止画像形成部300とを備えているので、各々の画像形成を分業して行うことができ、画像形成時に偽造防止画像形成部200と非偽造防止画像形成部300の各々にかかる負担を軽減できる。
【0076】
また、非偽造防止画像の形成は、画像形成時にインクの吐出力をピエゾ素子によって制御するピエゾ方式が適用された非偽造防止画像形成部300によって行われるので、非偽造防止画像形成部300を小型化して、画像形成装置100自体を小型化できる。
【0077】
なお、上記実施の形態では、記録媒体として記録用紙Kを例示したが、これに限られるものではなく、偽造防止画像を形成可能であれば如何なる記録媒体であっても良い。例えば、シート状のフィルム等であっても良く、発行物の種類によって適宜変更可能となっている。また、記録用紙Kは、偽造防止画像形成部200及び非偽造防止画像形成部300に対して一枚毎に順次供給されるものであっても良いし、帯状の形態であり連続して供給されるものであっても良いが、様々な種類の発行物への対応を目的とする場合、帯状の形態で連続して供給されるものである方が好ましい。さらに、記録用紙Kが帯状で連続して供給されるものである場合、記録用紙Kに画像形成されることで作製された発行物は、画像形成装置100に備わる切断手段(図示略)によって記録用紙Kの発行物の部分だけが切断された後で搬出部から搬出されても良いし、帯状の形態で搬出部から搬出された後、ヒトの手によって前記発行物の部分が切りとられるようなものであっても良い。
【0078】
また、上記実施の形態では、発行物として「住民票」を例示したが、これに限られるものではなく、偽造防止画像が形成される必要がある発行物であれば、如何なるものであっても良い。例えば、行政機関から発行される各種の「証明書」、コンサートや公共の交通機関等の「チケット」、入会することで発行される「メンバーズカード」等であっても良い。
さらに、偽造防止画像として、マイクロ文字からなる画像を例示したが、これに限られるものではなく、発行物の偽造を防止可能となるものであれば如何なるものであっても良い。例えば、ホログラムや、複写されることで記録用紙K上に視認が容易となる濃度で表現される透かし画像等であっても良い。また、複写されても正確に再現されないような寸法の細線で構成された所定のバーコードを記録用紙K上に形成することで、このバーコードを偽造防止画像として適用しても良い。
【0079】
加えて、上記実施の形態では、発行先の情報提供端末装置から偽造防止画像情報を受信することに基づき、偽造防止画像を記録用紙Kに対して形成するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、ネットワーク上を送受信される偽造防止画像情報に対するセキュリティを完全な状態とすることは、困難であることから、画像形成装置100に各種の偽造防止画像情報を記憶するための記憶部(図示略)を設けるようにしても良い。そして、ユーザからの発行物の発行指示に基づいて、記憶部より所定の偽造防止画像情報を読み出すことで、発行物に応じた偽造防止画像を記録用紙Kに形成するようにしても良い。
【0080】
<変形例1>
以下、変形例1について図4を参照して説明する。
ここで、図4は、変形例1の画像形成装置400を模式的に示した平面図である。なお、変形例1においては、この変形例1に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
上記実施の形態では、偽造防止画像形成部200及び非偽造防止画像形成部300をラインヘッドで構成するようにしたが、この変形例1の画像形成装置400においては、図4に示すように、偽造防止画像形成部410及び非偽造防止画像形成部420の各々を構成するインクジェットヘッド(ともに図示略)は、それぞれキャリッジ411、421上に搭載されている。
すなわち、各キャリッジ411、421は記録用紙Kの幅方向Bに沿って案内部材412、422により案内されながら移動し、このキャリッジ411、421の動作中において、インクジェットヘッドが記録用紙Kに向けてインクを吐出することで記録用紙Kに対して、偽造防止画像画像並びに非偽造防止画像を形成する。
なお、非偽造防止画像形成部420には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、4つのインクジェットヘッドがキャリッジ421に配設されている。
【0082】
このような構成の変形例1の画像形成装置400によっても、上記実施の形態の画像形成装置100と同等の効果を得ることができる。
【0083】
なお、変形例1及び上記実施の形態では、非偽造防止画像形成部300は、画像形成時にピエゾ方式によってインクを吐出するようにしたが、これに限られるものではなく、インクを吐出するための圧力を制御することで画像形成する方式であれば如何なるものであっても良く、例えば、熱による膨張によって前記圧力を変化させる方式であっても良い。
【0084】
<変形例2>
以下、変形例2について、図5を参照して説明する。
ここで、図5は、変形例2の画像形成装置500を模式的に示した側面図である。なお、変形例2においては、この変形例2に特有の部分以外は上記変形例1及び実施の形態と同様であるので、上記変形例1及び実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
上記実施の形態及び変形例1では、非偽造防止画像形成部300(420)はインクジェット方式を利用して画像形成する構成としたが、この変形例2の画像形成装置500においては、図5に示すように、非偽造防止画像形成部520は電子写真方式を利用して非偽造防止画像を形成する構成となっている。
すなわち、非偽造防止画像形成部520は、感光体ドラム521と、現像手段522と、露光手段523とを備えている。そして、非偽造防止画像形成部520による非偽造防止画像の形成の際に、先ず、感光体ドラム521の表面は、帯電手段(図示略)によって所定の電位に帯電させられた後、露光手段523によって画像が露光されて静電潜像が形成される。次に、静電潜像は、現像手段522によって現像剤(トナー)を用いて現像されて、トナー画像として可視化される。その後、トナー画像は、偽造防止画像が形成された後で搬送方向Aに沿って搬送される記録用紙Kに対して、感光体ドラム521より転写されて定着される。これにより、非偽造防止画像が記録用紙Kに対して形成される。
なお、現像手段522は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色の現像液に対応して各々設けられている。
【0086】
このような構成の変形例2の画像形成装置500によっても、上記実施の形態の画像形成装置100及び変形例1の画像形成装置400と同等の効果を得ることができる。
また、非偽造防止画像形成部520を上記のような構成とすることで、非偽造防止画像形成部520の小型化にも寄与でき、結果として変形例2の画像形成装置500を小型化することができる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、記録用紙Kに対して偽造防止画像を形成した後、非偽造防止画像を形成するようにしたが、これに限られるものではなく、各々の画像を形成する順番は任意である。例えば、非偽造防止画像を形成した後で偽造防止画像を形成するようにしても良い。
【0088】
[液体吐出装置の理論説明]
以下に、インクジェットヘッド20として例示した液体吐出装置による液体吐出の理論説明及びこれに基づく基本例の説明を行う。なお、以下に説明する理論及び基本例におけるノズルの構造、各部の素材及び吐出液体の特性、ノズル周囲に付加する構成、吐出動作に関する制御条件等全ての内容は、可能な限り上述した各実施形態中に適用しても良いことはいうまでもない。
【0089】
(印加電圧低下および微少液滴量の安定吐出実現の方策)
本発明では、静電吸引型インクジェット方式において果たすノズルの役割を再考察し、
【数4】
即ち、
【数5】
或いは
【数6】
という従来吐出不可能として試みられていなかった領域において、マクスウェル力などを利用することで、微細液滴を形成することができる。
このような駆動電圧低下および微少量吐出実現の方策のための吐出条件等を近似的に表す式を導出したので以下に述べる。
以下の説明は、上記各本発明の実施形態で説明した液体吐出装置に適用可能である。
いま、半径rのノズルに導電性溶液を注入し、基材としての無限平板導体からhの高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図6に示す。このとき、ノズル先端部に誘起される電荷は、ノズル先端の半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似的に表される。
【数7】
ここで、Q:ノズル先端部に誘起される電荷、ε0:真空の誘電率、ε:基板の誘電率、h:ノズル−基板間距離、r:ノズル内径の半径、V:ノズルに印加する電圧である。α:ノズル形状などに依存する比例定数で、1〜1.5程度の値を取り、特にr<<hのときほぼ1程度となる。
【0090】
また、基材としての基板が導体基板の場合、基板内の対称位置に反対の符号を持つ鏡像電荷Q’が誘導されると考えられる。基板が絶縁体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に反対符号の映像電荷Q’が誘導される。
ところで、ノズル先端部に於ける電界強度Eloc.は、先端部の曲率半径をRと仮定すると、
【数8】
で与えられる。ここでk:比例定数で、ノズル形状などにより異なるが、1.5〜8.5程度の値をとり、多くの場合5程度と考えられる。(P. J. Birdseye and D.A.Smith, Surface Science, 23 (1970) 198−210)。今簡単のため、r=Rとする。これは、ノズル先端部に表面張力で導電性溶液がノズル径rと同じ半径を持つ半球形状に盛り上がっている状態に相当する。
ノズル先端の液体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力は、ノズル先端部の液面積をSとすると、
【数9】
(8)、(9)、(10)式よりα=1とおいて、
【数10】
と表される。
【0091】
一方、ノズル先端部に於ける液体の表面張力をPsとすると、
【数11】
ここで、γ:表面張力、である。
静電的な力により流体の吐出が起こる条件は、静電的な力が表面張力を上回る条件なので、
【数12】
となる。十分に小さいノズル径rをもちいることで、静電的な圧力が、表面張力を上回らせる事が可能である。
この関係式より、Vとrの関係を求めると、
【数13】
が吐出の最低電圧を与える。すなわち、式(7)および式(14)より、
【数14】
が、本発明の動作電圧となる。
【0092】
ある半径rのノズルに対し、吐出限界電圧Vcの依存性を図7に示す。この図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出開始電圧は、ノズル径の減少に伴い低下する事が明らかになった。
従来の電界に対する考え方、すなわちノズルに印加する電圧と対向電極間の距離によって定義される電界のみを考慮した場合では、微小ノズルになるに従い、吐出に必要な電圧は増加する。一方、局所電界強度に注目すれば、微細ノズル化により吐出電圧の低下が可能となる。
【0093】
静電吸引による吐出は、ノズル端部における流体の帯電が基本である。帯電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
【数15】
ここで、ε:流体の比誘電率、σ:流体の導電率である。流体の比誘電率を10、導電率を10−6 S/m を仮定すると、τ=1.854×10−5secとなる。あるいは、臨界周波数をfcとすると、
【数16】
となる。このfcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては10 kHz程度となる。このとき、ノズル半径2μm、電圧500V弱の場合、Gは10−13m3/sと見積もることができるが、上記の例の液体の場合、10kHzでの吐出が可能なので、1周期での最小吐出量は10fl(フェムトリットル、1fl:10−15 l)程度を達成できる。
【0094】
なお、各上記本実施の形態においては、図6に示したようにノズル先端部に於ける電界の集中効果と、対向基板に誘起される鏡像力の作用を特徴とする。このため、先行技術のように基板または基板支持体を導電性にしたり、これら基板または基板支持体に電圧を印加する必要はない。すなわち、基板として絶縁性のガラス基板、ポリイミドなどのプラスチック基板、セラミックス基板、半導体基板などを用いることが可能である。
また、上記各実施形態において電極への印加電圧はプラス、マイナスのどちらでも良い。
さらに、ノズルと基材との距離は、500[μm]以下に保つことにより、溶液の吐出を容易にすることができる。また、図示しないが、ノズル位置検出によるフィードバック制御を行い、ノズルを基材に対し一定に保つようにする。
また、基材を、導電性または絶縁性の基材ホルダーに載置して保持するようにしても良い。
【0095】
図8は、本発明の他の基本例の一例としての液体吐出装置の側面断面図を示したものである。ノズル1の側面部には電極15が設けられており、ノズル内溶液3との間に制御された電圧が引加される。この電極15の目的は、Electrowetting 効果を制御するための電極である。十分な電場がノズルを構成する絶縁体にかかる場合この電極がなくともElectrowetting効果は起こると期待される。しかし、本基本例では、より積極的にこの電極を用いて制御することで、吐出制御の役割も果たすようにしたものである。ノズル1を絶縁体で構成し、その厚さが1μm、ノズル内径が2μm、印加電圧が300Vの場合、約30気圧のElectrowetting効果になる。この圧力は、吐出のためには、不十分であるが溶液のノズル先端部への供給の点からは意味があり、この制御電極により吐出の制御が可能と考えられる。
【0096】
前述した図7は、本発明における吐出開始電圧のノズル径依存性を示したものである。液体吐出装置として、図2に示すものを用いた。微細ノズルになるに従い吐出開始電圧が低下し、従来より低電圧で吐出可能なことが明らかになった。
【0097】
上記各実施形態において、溶液吐出の条件は、ノズル基板間距離(L)、印加電圧の振幅(V)、印加電圧振動数(f)のそれぞれの関数になり、それぞれにある一定の条件を満たすことが吐出条件として必要になる。逆にどれか一つの条件を満たさない場合他のパラメーターを変更する必要がある。
【0098】
この様子を図9を用いて説明する。
まず吐出のためには、それ以上の電界でないと吐出しないというある一定の臨界電界Ecが存在する。この臨界電界は、ノズル径、溶液の表面張力、粘性などによって変わってくる値で、Ec以下での吐出は困難である。臨界電界Ec以上すなわち吐出可能電界強度において、ノズル基板間距離(L)と印加電圧の振幅(V)の間には、おおむね比例の関係が生じ、ノズル間距離を縮めた場合、臨界印加電圧Vを小さくする事が出来る。
逆に、ノズル基板間距離Lを極端に離し、印加電圧Vを大きくした場合、仮に同じ電界強度を保ったとしても、コロナ放電による作用などによって、流体液滴の破裂すなわちバーストが生じてしまう。そのため良好な吐出特性を得るためには、ノズル基板間距離は100μm程度以下に抑えることが吐出特性並びに、着弾精度の両面から望ましい。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、基材として記録媒体を適用し、溶液としてインクを適用した場合に、インクをインクジェット方式で記録媒体に対して吐出することで、記録媒体上に偽造防止画像を高精細で形成することができる。従い、インクジェット方式による画像形成方法を画像形成装置に適用することによって、高精細な偽造防止画像を形成可能な画像形成装置を小型化できる。これにより、前記画像形成装置を用いることで大きな設置スペースが必要なオフセット印刷装置を用いる必要がなく、前記画像形成装置を例えばコンビニエンスストアやキオスク等に設置可能となって、コンビニエンスストアやキオスク等にて高精細な偽造防止画像の形成を行えることとなる。また、偽造防止画像の各々に対応した記録媒体を用意する必要がないとともに、如何なる記録媒体に対しても偽造防止画像の形成を行えるので、偽造防止画像が形成された記録用紙を容易に得ることができる。
このように、高精細な偽造防止画像の形成を簡便に行うことができる。
【0100】
また、本発明によれば、従来のようにノズルと対向電極間に形成される電界により生じる静電力を利用して液滴を飛翔させるものではなく、ノズルを従来にない超微細径(30μm以下のノズル径)とすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めると共にその際に誘導される基材側の鏡像電荷或いは映像電荷までの間に生じる電界の静電力により液滴の飛翔を行っている。
従って、基材が導電体であっても絶縁体であっても良好に液滴の吐出を行うことが可能となる。また、対向電極の存在を不要とすることが可能となる。さらに、これにより、装置構成における備品点数の低減を図ることが可能となる。よって、本発明を業務用インクジェットシステムに適用した場合、システム全体の生産性の向上に貢献し、コスト低減をも図ることが可能となる。
このように、吐出される溶液の基材への着弾精度を向上させることができ、高画質な偽造防止画像を安定して形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された一実施の形態として例示する画像形成装置の要部構成を模式的に示した平面図である。
【図2】図1の画像形成装置に備わるインクジェットヘッドのノズルに沿った断面図である。
【図3】図1の画像形成装置に備わるインクジェットヘッドによるインクの吐出動作とインクに印加される電圧との関係を示す説明図であって、図3(A)は吐出を行わない状態であり、図3(B)は吐出状態を示す。
【図4】変形例1の画像形成装置の要部構成を模式的に示した平面図である。
【図5】変形例2の画像形成装置の要部構成を模式的に示した側面図である。
【図6】本発明の実施の形態として、ノズルの電界強度の計算を説明するために示したものである。
【図7】ノズルのノズル径とメニスカス部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示す線図である。
【図8】本発明の一例としての液体吐出機構の側面断面図を示したものである。
【図9】本発明の実施の形態の液体吐出装置における距離−電圧の関係による吐出条件を説明した図である。
【符号の説明】
100、400、500 画像形成装置
200、410 偽造防止画像形成部
20 インクジェットヘッド
21 ノズル
25 吐出電圧印加手段
300、420、520 非偽造防止画像形成部
K 記録用紙(基材)
Claims (17)
- インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで画像を形成する画像形成方法であって、
前記基材に着弾した液滴のドット径が10μm(マイクロメートル)以下となるように溶液を吐出することにより、偽造を防止する画像(以下、「偽造防止画像」という。)を形成することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1に記載の画像形成方法において、
前記偽造防止画像として、10μm以下の幅の細線で構成された画像を形成することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1又は2に記載の画像形成方法において、
前記偽造防止画像として、マイクロ文字からなる画像を形成することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
吐出される溶液の一滴当たりの量が1fl(フェムトリットル)以上500fl以下であることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記インクジェット方式として、基材の溶液受け面に先端部が対向配置された超微細径のノズル内の溶液に吐出電圧を印加することで、前記先端部から帯電した液滴を吐出する静電吸引型インクジェット方式を適用することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法において、
前記基材に着弾した液滴のドット径が10μm以下となるように溶液を吐出して画像形成するとともに、前記基材に着弾した液滴のドット径が10μmを越えるように溶液を吐出して画像形成することを特徴とする画像形成方法。 - インクジェット方式により溶液を液滴として基材に吐出し着弾させることで偽造防止画像を形成する偽造防止画像形成部と、前記偽造防止画像以外の画像である非偽造防止画像を前記基材に形成する非偽造防止画像形成部とを備える画像形成装置であって、
前記偽造防止画像形成部は、前記非偽造防止画像形成部よりも高い解像度で画像形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7に記載の画像形成装置において、
前記インクジェット方式として、基材の溶液受け面に先端部を対向配置された超微細径のノズル内の溶液に吐出電圧を印加することで、前記先端部から帯電した液滴を吐出する静電吸引型インクジェット方式を適用することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7又は8に記載の画像形成装置において、
前記非偽造防止画像形成部は、画像形成時に溶液を吐出するための圧力を制御する圧力制御方式若しくは電子写真方式によって画像形成することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が30μm以下であることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項10に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が20μm未満であることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項11に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が8μm以下であることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項12に記載の画像形成方法において、
前記ノズルのノズル径が4μm以下であることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項8に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が30μm以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項14に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が20μm未満であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が8μm以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項16に記載の画像形成装置において、
前記ノズルのノズル径が4μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
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-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002278241A patent/JP2004114376A/ja active Pending
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