JP2004109668A - 定着用フィルム管状体、及びそれを用いた定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15°以上としたことを特徴とする定着用フィルム管状体、及びそれを用いた定着装置。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真記録装置に用いられるフィルム管状体、及び定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等における電子写真画像形成では、未定着トナー像を形成した記録媒体等を画像定着装置に通して加熱加圧することにより、トナー像を定着させる過程を経ることが必要であり、定着画質の性能は加熱温度と時間、それと圧力によるパラメータで制御される。
かかる画像定着装置として図2及び図3に示す画像定着装置が挙げられる。
図2に示す画像定着装置では、フィルム管状体2を加圧ロール51とテンションロール52と補助ロール53とに掛架し、駆動式の定着ロール1をフィルム管状体2に外接させると共に、加圧ロール51を定着ロール1にフィルム管状体2を介して押圧させてニップ部nを形成しており、記録媒体4が前記ニップ部nを通過する間にトナー像41が定着される。
【0003】
図2に示す画像定着装置は、充分な定着圧力を伝達するために加圧ロールで押し当てた部分以外に、テンションロールによってベルトを張った状態とし、その張力で定着圧力を得ようとするものであるが、ベルトの強度から、高い張力が得られず、十分な定着圧力を伝達することが出来ない。
また、加圧ロールでの圧力を十分なものとするには外形の小さなロールで圧力をかけることが有効であるが、一方、外形の小さなロールではDwell Timeと呼ばれる加熱時間が不足してしまい、十分な定着画質が得られない問題がある。
更に、ロールを押し当てる力を非常に大きくし、且つ加圧ロールの外形を大きくする手段もあるが、押し当て圧のアップによる部材の耐久性低下が発生したり、加圧ロールの外形を大きくするとニップ排出部の剥離角度が小さくなり、剥離不良の問題が発生してしまう。
【0004】
一方、図3に示す方式では、駆動式の定着ロール1にフィルム管状体2を外接させ、その外接部位のフィルム管状体部分に対し支持体31上の弾性体32からなる押圧部材を内接させ、定着ロール1と前記フィルム管状体2との間にニップ部nを形成しており、記録媒体4が前記ニップ部nを通過する間にトナー像41が定着される。
この方法においては、装置の小型化が図れるメリットがあり、且つ、前記弾性押圧部材の形状を変更することによってニップ部内の回転方向での圧力分布を自由に制御できるメリットもあり、ニップ排出部の剥離角度を大きくすることも可能でオフセットも問題や紙しわの発生などに対し、容易に対応が取れるメリットがある。
【0005】
しかし、図3に示す方法では定着ロールと記録媒体との間でのスリップ、定着ロールとフィルム管状体との間でのスリップ、更には記録媒体とフィルム管状体との間でのスリップを実質的になくす必要がある。
これは定着ロールやフィルム管状体の信頼性或いは定着画質の面でフィルム管状体の摺動性能は非常に大きな影響を及ぼすためである。つまり、摺動性能とは定着ロールから与えられた駆動力によってフィルム管状体が定着ロールと同調して回転する性能を指すが、スリップが発生すると、スリップ個所での摩擦による部材表面の摩耗によって、部材における摺動性能の信頼性が低下するばかりでなく、スリップによって未定着画像の定着画像ズレが発生してしまったり、用紙搬送性の不良から紙皺が発生し画質欠陥となる。
【0006】
また、これを回避する手段として、フィルム管状体の内面に、親油化処理したフッ素樹脂を使用するか、又は親油化剤をフッ素樹脂と併用することを特徴とする画像定着装置が開示されている。該画像定着装置はフィルム管状体の内面にフッ素樹脂を用いることを前提とし、かかるフッ素樹脂の親油性を向上させる手段を示している(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、フッ素樹脂を使用することについては、フッ素樹脂の摩擦係数が低いため、摺動抵抗低減の効果はあるものの、フッ素樹脂は摩耗し易く、摩耗した摩耗粉が発生し、この粉と潤滑剤が混合することによる潤滑剤の動粘度上昇が発生し、結果的に摺動抵抗上昇してしまうこととなる。
【0007】
更に、フィルム管状体の内面の親油性を向上させる手段として、内表面の処理として物理的形状変化をもたらす処理が挙げられるが、定着装置を長時間運転した際に凸部が摩耗し、上述の場合と同様に摩耗粉と潤滑剤との混合による潤滑剤の動粘度上昇が発生し、結果的に摺動抵抗上昇してしまうばかりでなく、定着画像の品質にも悪影響を及ぼす結果となる。
一方、界面活性剤を用いる手段も例示してあるが、潤滑剤の安定性に対し悪影響を及ぼし潤滑剤の増粘度或いはゲル化を引き起こす原因となり実用的ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−249558号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、定着装置に用いた場合に摺動性が向上した定着用フィルム管状体、及び、それを用いた小型で保守性がよく、更に紙しわやオフセットのない定着画質を得るとともに、部材の耐久性を向上させた定着装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記本発明により達成された。
即ち、本発明は、
<1> 少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15゜以下としたことを特徴とする定着用フィルム管状体である。
【0011】
<2> 前記内面にポリイミド系樹脂を使用していることを特徴とする<1>に記載の定着用フィルム管状体である。
<3> 前記内面にポリベンズイミダゾール樹脂を使用していることを特徴とする<1>に記載の定着用フィルム管状体である。
【0012】
<4> 前記濡れ性を向上させる処理が、短波長紫外線処理であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の定着用フィルム管状体である。
<5> 前記内面の表面粗さ(Ra)が、10μm未満であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載の定着用フィルム管状体である。
【0013】
<6> 回転可能な定着部材と、
未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持するニップ部を前記定着部材との間に形成する回転可能な定着用フィルム管状体と、
前記定着用フィルム管状体の内側に配置され、前記定着用フィルム管状体を前記定着部材側に押圧する押圧部材と、
前記定着用フィルム管状体と押圧部材との間に配置され、その摺接面と前記定着用フィルム管状体の内側との間に潤滑剤を介在させたシート状部材と、
前記ニップ部を加熱する加熱源と、
を備えた定着装置であって、
前記定着用フィルム管状体が、少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15゜以下としたことを特徴とする定着装置である。
【0014】
<7> 前記シート状部材の摺接面側に潤滑剤保持性を有する多孔質繊維層が形成されていることを特徴とする<6>に記載の定着装置である。
<8> 前記潤滑剤がシリコーン系オイルであることを特徴とする<6>又は<7>に記載の定着装置である。
【0015】
<9> 前記潤滑剤がアミノ変性シリコーンオイルであることを特徴とする<6>又は<7>に記載の定着装置である。
<10> 前記潤滑剤がメチルフェニルシリコーンオイルであることを特徴とする<6>又は<7>に記載の定着装置である。
<11> 前記潤滑剤がフッ素系オイルであることを特徴とする<6>又は<7>に記載の定着装置である。
【0016】
上述のように駆動式の定着ロールにフィルム管状体を外接させ、その定着用フィルム管状体の外接部位に対し弾性押圧部材を内接させ、定着ロールと前記定着用フィルム管状体との間にニップ部を形成しており、記録媒体が前記ニップ部を通過する間にトナー像が定着される定着装置において、定着用フィルム管状体の摺動性能を向上させることは定着画質面及び部材の信頼性から非常に重要である。
定着用フィルム管状体の摺動性能を向上させる方法として、物体の摩擦係数を軽減する方法が挙げられるが、物体の摩擦係数を軽減するためには、固体−固体の接触面の摩擦係数を軽減するより、オイル等の潤滑性を有する低動粘度液体と固体の接触による流体摩擦にとすることが最も理想的である。しかし高い定着圧力下で完全な流体摩擦にすることは困難である。そこで、定着用フィルム管状体において、少なくともその内面が潤滑剤に対する濡れ性を向上させる処理を施すことにより流体摩擦に近づけることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の定着用フィルム管状体は、少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15゜以下としたことを特徴とする。尚、本発明における「潤滑剤」とは、後述する定着装置に用いられる潤滑剤をいう。つまり、本発明の定着用フィルム管状体における潤滑剤に対する接触角とは、本発明の定着用フィルム管状体の後述する定着装置に用いられる潤滑剤に対する接触角を意味する。
本発明の定着用フィルム管状体は、後述する定着装置に用いた場合、内面の潤滑剤に対する接触角が15゜以下であるため、常時回転する前記定着用フィルム管状体の内面がオイルを連れ回し、結果としてニップ部の摺動面側にオイルが供給され、摺動性を飛躍的に向上させることが可能となる。前記内面の潤滑剤に対する接触角は10゜以下以上であることが好ましい。
【0018】
本発明の定着用フィルム管状体は、少なくともその内面がポリイミド系樹脂であることが好ましい、これはポリイミド樹脂が熱硬化性であるため、定着装置に用いた場合、高温条件下でも樹脂の軟化が少なく、そのため摩耗による摩擦粉が出にくいという利点があるとともに、比較的濡れ性の向上が図りやすい。
また、本発明の定着用フィルム管状体は、少なくともその内面がポリベンズイミダゾール樹脂であることも好ましい。該ポリベンズイミダゾール樹脂は熱可塑性ではあるが、その熱変形温度は400℃以上であり、ポリイミドと同等以上の耐熱性を有し、摩耗にも強く摩耗粉の発生も少ない、また、濡れ性の向上も図りやすく本発明に適している。
一方、フッ素樹脂は熱可塑性であり、定着装置に用いた場合、高温条件下において、摩耗が発生する場合があり、かつ濡れ性の向上が図りにくい場合がある。
【0019】
本発明において、定着用フィルム管状体の内面の潤滑剤に対する濡れ性を向上させる処理としては、短波長紫外線処理、エキシマレーザー処理、コロナ放電処理、及びサンドブラスト処理が挙げられるが、短波長紫外線処理であることが好ましい、短波長紫外線処理は処理面の平滑性を損なうことなく潤滑剤に対する濡れ性を向上させる効果があり、また、処理の深さ方向に対し濡れ性の向上効果を付与することも可能で、たとえば定着用フィルム管状体の内面が摩耗したとしても、濡れ性の効果を維持することができる。
また、短波長紫外線は、製造上の内面に付着した有機物質を洗浄する効果もあり、潤滑剤の変質による潤滑剤の動粘度上昇やゲル化を抑制する効果もある。
更に、内面がポリイミドである場合、短波長紫外線処理によって耐摩耗性が向上する結果が得たれた、その効果発生のメカニズムについて未だ不明な部分は有るものの、我々の推定では短波長紫外線処理によって、ポリイミドのイミド化率が向上し、樹脂フィルムの耐久性能が向上したと考えられる。
【0020】
前記短波長紫外線処理としては少なくとも184.9nm及び253.7nmの波長の光を含む短波長紫外線であることが好ましく、900mJ/cm2以上で50000mJ/cm2以下の波長の光を含む短波長紫外線であることがより好ましい。前記波長が900mJ/cm2未満の短波長紫外線では有効な効果が発現できない場合があり、50000mJ/cm2以上では内表面の劣化が発生し、定着用フィルム管状体の強度低下が起こる場合がある。
【0021】
前述の定着用フィルム管状体の内面の潤滑剤に対する濡れ性を向上させる処理として、エキシマレーザー処理も好適に挙げられる。但し、エキシマレーザー処理は照射エネルギーの調節が微妙で、低エネルギーでは濡れ性の向上が図れない場合があり、高エネルギーにするとポリイミド基材を貫通したり、表面凹凸が大きくなりすぎる場合がある。
また、コロナ放電処理も好適であるが、長期にわたって濡れ性を持続させるには短波長紫外線処理及びエキシマレーザー処理の方が優れている。
更に、サンドブラスト処理も好適であるが、物理的形状で濡れ性を向上させるものである為、定着画質との兼ね合いで、凹凸の調整が微妙となる場合がある。上述の関係からも、物理的な表面形状変化を起こさず、濡れ性の維持性に優れている短波長紫外線処理が最も好適である。
【0022】
また、本発明の定着用フィルム管状体は、その内面の表面粗さ(Ra)が10μm未満であることが好ましい。前記内面の表面粗さ(Ra)が10μmを超えると、定着画質に斑が発生する場合がある。
【0023】
本発明の定着用フィルム管状体を用いた定着装置の一例を図1を用いて説明する。図1は本発明の定着用フィルム管状体を用いた定着装置の一例を示す構成図である。図1に示す定着装置は、駆動式の定着ロール1に本発明の濡れ性を向上させる処理を施した定着用フィルム管状体2を外接させ、その外接部位の定着用フィルム管状体部分に対し、支持体31上に弾性体32を装着しシート状部材33を被せた配置押圧部材Aを内接させ、定着ロール1と前記定着用フィルム管状体2との間にニップ部nを形成しており、記録媒体4が前記ニップ部nを通過する間にトナー像41が定着される。また、走行ガイド35は支持体31に固定されている。更に、シート状部材33の定着用フィルム管状体2に対する摺接面には潤滑剤34が介在している。
【0024】
定着ロール1及び定着用フィルム管状体2は加熱源11及び21で所定の温度に加熱され、それぞれ矢印の方向に回転する。シート状部材33の定着用フィルム管状体2に対する摺接面には潤滑剤34が介在しており、定着用フィルム管状体2の内面に潤滑剤34が供給される。定着用フィルム管状体2の内面は濡れ性を向上させる処理を施してあり、定着用フィルム管状体2の内面により供給された潤滑剤34は連れ回され、ニップ部の摺接面側供給されることになり、摺動性が飛躍的に向上させることが可能となる。
その結果、トナー像41を有する記録媒体4を前記ニップ部nを通過させることにより、紙しわやオフセットのない定着画質が得られるとともに、部材の耐久性も向上する。
【0025】
また、シート状部材33の定着用フィルム管状体2に対する摺接面には潤滑剤保持性を有する多孔質繊維層が形成されていることが好ましい、多孔質繊維層としては、多数の微細な孔を有する樹脂からなるもので、例えば、樹脂を発泡させて多孔質化したものや、樹脂を1軸或いは2軸方向に延伸し多孔質化したもの、或いは焼成成型等によって製造したものが使用でき、これら多孔質樹脂にて織られた繊維や多孔質樹脂を薄膜化したものを使用することが出来る。
尚、多孔質繊維層は繊維自体を多孔質化したものでなくとも、当該繊維を織ることによって、多孔質化された樹脂製の繊維織布から構成されたものであってもよいが、前述の多孔質樹脂によって織られた繊維などを用いることによって、繊維織布は自身を含め、多孔質樹脂そのものが潤滑剤を含浸した状態で保持するため一層好ましい。
【0026】
前記潤滑剤は潤滑性が優れている点が重要であるが、この指標としては動粘度がある。また、本発明の定着装置で使用する場合、耐熱性、揮発性等を考慮する必要がある。
この点より、シリコーン系オイルが好ましく用いられ、濡れ性に優る点でアミノ変性シリコーンオイルがより好ましく用いられる。また、耐熱性により優れた性能が必要な場合はメチルフェニルシリコーンオイルを使用することがより好ましい。
尚、耐熱性を向上させるためにシリコーンオイル中に微量の酸化防止剤を添加することも可能である。
一方、前記潤滑剤としてフッ素オイルも好ましく用いることが出来る。フッ素オイルはシリコーンオイルと比較し価格的に高いオイルであるが、特に優れた耐熱性と摺動性を必要とする場合に効果的である。
【0027】
【実施例】
<実施例1>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリイミド管状体の内面に、184.9nm及び253.7nmの波長の光を含む短波長紫外線を発光する低圧水銀ランプにて、2000mJ/cm2の条件で短波長紫外線処理を施すことにより、内面の濡れ性を向上させた本発明の定着用フィルム管状体を得た。
得られた定着用フィルム管状体を以下に示す定着装置に設置して、実機における定着画像の確認および耐久試験を行った。本試験に用いた定着装置は、図1に示す方式において、定着ロール1及び定着用フィルム管状体2を160℃に加熱し、シート状部材33としては(商品名:FGF−400−4、中興化成製)を用い、定着用フィルム管状体2に対する摺接面にはアミン変性シリコーンオイル(商品名:KF−8009、動粘度300cSt(3×10−4m2/s)、信越化学株式会社製)を介在させた装置である。
尚、内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体2の内面のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角は8゜であり、表面粗さRaは0.5μmであった。
【0028】
記録媒体4としては、富士ゼロックス株式会社製、A4サイズJD紙に、5g/m2のマジェンタ未定着トナー像を形成し、ニップ部nを通過させることによりトナー像を定着させた。尚、記録媒体4は3秒かけてニップ部nを通過し、通過1秒後に再び次の記録媒体4が通過した。上述の条件で5時間トナー像の定着を行ったときの記録媒体4のニップ部n通過時における定着ロール1の回転軸のトルクを測定した。尚、下記のトルクの値は、該測定したトルク値から定着用フィルム管状値を取り除いた定差ロール1の回転軸のトルク値を引いた値である。更に、定着画像ズレ、紙皺、その他画像Defectを後述する基準で評価した。
結果は、トルクは0.33N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0029】
(定着画像ズレの評価)
富士ゼロックス株式会社製A4サイズJD紙に、5g/m2のマジェンタベタ未定着トナー像を形成し、ニップ部nを通過させた後において、画像後端に全くDefectが発生しないものを○、僅かに発生するものを△、明らかに発生しているものを×とした。
【0030】
(紙皺の評価)
富士ゼロックス株式会社製A4サイズP紙に、5g/m2のマジェンタベタ未定着トナー像を形成し、ニップ部nを通過させた後において、全く紙皺が発生しないものを○、僅かに発生するものを△、明らかに発生しているものを×とした。
【0031】
(その他画像Defectの評価)
富士ゼロックス株式会社製A4サイズP紙に、5g/m2のマジェンタベタ未定着トナー像を形成し、ニップ部nを通過させた画像を目視判定した記録した。
Defectが発生しないものを○、わずかにDefectが発生したものを△、全面に渡ってDefectが発生したものを×とした。
【0032】
<実施例2>
実施例1において、FGF400−4を、多孔質潤滑剤保持層を有するゴアテックスシート(商品名:81GWF12G1−1、ジャパンゴアテックス株式会社製)に変更する以外、実施例1と同様にして定着用フィルム管状体を作製し評価した。
尚、得られた濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体の内面のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角は7゜であった。
結果は、トルクは0.30N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0033】
<実施例3>
実施例2において、アミン変性シリコーンオイルをジメチルシリコーンオイル(商品名:KF96、動粘度300cSt(3×10−4m2/s)、信越化学株式会社製)に変更する以外、実施例2と同様にして定着用フィルム管状体を作製し評価した。
尚、得られた内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体の内面のジメチルシリコーンオイルに対する接触角は13°あった。
結果は、トルクは0.40N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0034】
<実施例4>
実施例2において、アミン変性シリコーンオイルをメチルフェニルシリコーンオイル(商品名:KF53、動粘度200cSt(2×10−4m2/s)、信越化学株式会社製)に変更する以外、実施例2と同様にして定着用フィルム管状体を作製し評価した。
尚、得られた内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体の内面のメチルフェニルシリコーンオイルに対する接触角は9°であった。
結果は、トルクは0.33N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0035】
<実施例5>
実施例2において、アミン変性シリコーンオイルをフッ素オイル(商品名:デムナムS−65、動粘度150cSt(1.5×10−4m2/s)、ダイキン工業株式会社製)に変更する以外、実施例2と同様にして定着用フィルム管状体を作製し評価した。
尚、得られた内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体2の内面のフッ素オイルに対する接触角は15°であった。
結果は、トルクは0.42N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0036】
<実施例6>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリベンズイミダゾール管状体の内面に、184.9nm及び253.7nmの波長の光を含む短波長紫外線を発光する低圧水銀ランプにて、2000mJ/cm2の条件で短波長紫外線処理を施すことにより、内面の濡れ性を向上させた本発明の定着用フィルム管状体を得た。得られた定着用フィルム管状体は、実施例1と同様にして評価した。
尚、内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体2の内面のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角は8°であり、表面粗さRaは0.5μmであった。
結果は、トルクは0.27N・m、画像ズレ=○、紙皺=○、その他画像Defect=○であった。
【0037】
<実施例7>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリイミド管状体の内面に、エキシマレーザー処理を施すことにより、内面の濡れ性を向上させた本発明の定着用フィルム管状体を得た。得られた定着用フィルム管状体は、実施例1と同様にして評価した。
尚、内面の濡れ性を向上させた定着用フィルム管状体2の内面のアミン変性シリコーンオイルに対する接触角は15°であり、表面粗さRaは9.5μmであった。
結果は、トルクは0.5N・m、画像ズレ=△、紙しわ=△、その他画像Defect=△であった。
【0038】
<比較例1>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリイミド管状体の内面にもPFAコートを施し、定着用フィルム管状体を得た。得られた定着用フィルム管状体は、実施例1と同様にして評価した。
尚、アミン変性シリコーンオイルに対する接触角は32°であり、表面粗さRaは1.0μmであった。
結果は、トルクは0.7N・m、画像ズレ=×、紙しわ=×、その他画像Defect=×であった。
【0039】
<比較例2>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリイミド管状体の内面にもPFAコートを施し、更に液体アンモニア処理を施し濡れ性を改善した定着用フィルム管状体を得た。得られた定着用フィルム管状体は、実施例1と同様にして評価した。
尚、アミン変性シリコーンオイルに対する接触角は25°であり、表面粗さRaは1.5μmであった。
結果は、トルクは0.65N・m、画像ズレ=×、紙しわ=×、その他画像Defect=×であった。
【0040】
<比較例3>
周長100mm×幅350mm×厚さ120μmで表面にPFAコートを施したポリイミド管状体の内面をサンドペーパーで粗面化処理を施し濡れ性を改善した定着用フィルム管状体を得た。得られた定着用フィルム管状体は、実施例1と同様にして評価した。
尚、アミン変性シリコーンオイルに対する接触角は18°であり、表面粗さRaは12μmであった。
結果は、トルクは0.55N・m、画像ズレ=×、紙しわ=△、その他画像Defect=×であった。
【0041】
上述の結果は、実施例1〜7に記載の本発明の定着用フィルム管状体を用いた画像定着装置は、定着ロールのトルクが低く、更に、紙しわ、画像ズレ及び他画像Defectが無く、その結果オフセットのない定着画質を得ることができることを示している。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、定着装置に用いた場合に摺動性が向上した定着用フィルム管状体、及び、それを用いた小型で保守性がよく、更に紙しわやオフセットのない定着画質を得るとともに、部材の耐久性を向上させた定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着用フィルム管状体を用いた定着装置の一例を示す構成図である。
【図2】従来の定着装置の一例を示す構成図である。
【図3】従来の定着装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 定着ロール
2 定着用フィルム管状体
4 記録媒体
11 加熱源
21 加熱源
31 支持体
32 弾性体
33 シート状部材
35 走行ガイド
41 トナー像
51 加圧ロール
52 テンションロール
53 補助ロール
A 配置押圧部材
n ニップ部
Claims (11)
- 少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15゜以下としたことを特徴とする定着用フィルム管状体。
- 前記内面にポリイミド系樹脂を使用していることを特徴とする請求項1に記載の定着用フィルム管状体。
- 前記内面にポリベンズイミダゾール樹脂を使用していることを特徴とする請求項1に記載の定着用フィルム管状体。
- 前記濡れ性を向上させる処理が、短波長紫外線処理であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の定着用フィルム管状体。
- 前記内面の表面粗さ(Ra)が、10μm未満であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の定着用フィルム管状体。
- 回転可能な定着部材と、
未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持するニップ部を前記定着部材との間に形成する回転可能な定着用フィルム管状体と、
前記定着用フィルム管状体の内側に配置され、前記定着用フィルム管状体を前記定着部材側に押圧する押圧部材と、
前記定着用フィルム管状体と押圧部材との間に配置され、その摺接面と前記定着用フィルム管状体の内側との間に潤滑剤を介在させたシート状部材と、
前記ニップ部を加熱する加熱源と、
を備えた定着装置であって、
前記定着用フィルム管状体が、少なくとも内面に濡れ性を向上させる処理を施し、該内面の潤滑剤に対する接触角を15゜以下としたことを特徴とする定着装置。 - 前記シート状部材の摺接面側に潤滑剤保持性を有する多孔質繊維層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤がシリコーン系オイルであることを特徴とする請求項6又は7に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤がアミノ変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項6又は7に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤がメチルフェニルシリコーンオイルであることを特徴とする請求項6又は7に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤がフッ素系オイルであることを特徴とする請求項6又は7に記載の定着装置。
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