JP2004107541A - 有機変性層状珪酸塩を含有する重合体組成物、フィルム、ガスバリア性フィルム、並びにそれらを用いた基板及び画像表示素子 - Google Patents

有機変性層状珪酸塩を含有する重合体組成物、フィルム、ガスバリア性フィルム、並びにそれらを用いた基板及び画像表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱性と優れたガスバリア性を兼ね備えた重合体組成物及びその重合体組成物からなるフィルムの提供、該フィルムを有するガスバリア性フィルムの提供、並びに優れた精細性及び耐久性を有する基板及び画像表示素子の提供。
【解決手段】重合体単体でのガラス転移温度が120〜400℃の重合体中に分解開始温度が190〜350℃の有機変性層状珪酸塩を含有する重合体、該重合体組成物からなるフィルム、該フィルム上に、ゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有するガスバリア性フィルム、前記フィルム又は前記ガスバリア性フィルムを有する基板、前記フィルム又は前記ガスバリア性フィルム上に少なくとも陽極、発光性有機薄膜層及び陰極を有する画像表示素子。
【選択図】       なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機層状珪酸塩を含有する重合体組成物(以下、重合体組成物という。)、該重合体組成物からなるフィルム、ガスバリア性フィルム、基板及び画像表示素子に関する。
さらに詳しくは、本発明は、優れた耐熱性と優れたガスバリア性とを兼ね備えた重合体組成物及び該重合体組成物からなるフィルム、並びに該フィルムを有するガスバリア性フィルム、基板及び画像表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコンや携帯用情報端末が普及するにつれて、軽くて薄い電子ディスプレイの需要が急増している。現在、普及している液晶表示素子と、最近自己発色性による視認性の高さから注目を集めている有機EL素子は、いずれも主としてガラス基板が使用される。素子の軽量化、衝撃への耐久性、柔軟性などの観点からは、液晶表素子や有機EL素子の基板としては、フレキシブルなプラスチック基板を用いることが好ましい。しかしながら、プラスチック基板は、ガラス基板と比べて耐熱性やガスバリア性が劣るため、高精細なパターンを作製する場合には不向きであり、また耐久性に欠けるといった欠点もあった。
【0003】
このようなプラスチック基板における欠点を改善するための研究がこれまで数多く報告されている。例えば、ガスバリア性を改善する技術として、特開2001−205743号公報、特開平7−251489号公報、特開2000−343659号公報などが報告されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
特開2001−205743号公報(特許文献1)は、層状化合物を含有する層を有する多層構造プラスチック基板を液晶表示装置に用いる例を開示する。この公報には、層状化合物を使用することで耐熱性、硬度、耐透気性を改善できる旨が記載されている。しかしながら、ガスバリア性は十分なものとはいえず、さらなる改良が必要とされていた。
【0004】
また、特開平7−251489号公報(特許文献2)は、防湿性と酸素バリア性を両立させるために、ポリオレフィン系樹脂層間に、特定のアスペクト比を有する層状無機化合物と樹脂よりなる組成物層を設けた積層フィルムを開示する。さらに、特開2000−343659号公報(特許文献3)は、アルコキシドの部分加水分解重縮合物と水溶性高分子との混合物からなるガスバリア層を有するフィルムを開示する。
しかし、これらは、いずれも高湿度下における酸素バリア性に関しては未だ十分でなく、液晶表示基板や有機EL基板に使用するためには、積層フィルム全体のガスバリア性をさらに改良する必要があった。
【0005】
一方、耐熱性を改善する技術としては、特開2000−323273号公報がある(例えば、下記特許文献4参照)。特開2000−323273号公報は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に酸化ケイ素薄膜とゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド膜を積層したフィルムを有機EL素子用の基材、及び保護層に用いた例を開示する。しかし、PETのガラス転移温度(以下、Tgという)は100℃以下であり、耐熱性は十分なものではなかった。
【0006】
ところで、透明性が高く吸水率の低い樹脂として、従来からオレフィンメタセシス反応性モノマーをメタセシス重合反応させて得られるオレフィンメタセシス重合体が知られ、そのオレフィンメタセシス重合体の耐熱性等を改善する試みもなされている。例えば、特開平2−6525号公報は、ガラス繊維をオレフィンメタセシス重合体中に分散させることにより、成型体の強度、弾性率及び耐熱性等を向上させる補強方法を開示する(下記、特許文献5参照)。
【0007】
しかし、上記方法の場合、ガラス短繊維だけでは十分な補強効果を得ることが困難である。このため、必然的にガラス長繊維やガラスクロス等と組み合わせることが必要となり、精密な成型や注型のような型内に流し込む成型方法では、得られる成型体にボイドが残ったり、寸法にバラツキが生じたりするという問題点や、成型体の耐熱性も必ずしも十分ではないという問題点があった。
【0008】
この問題点を解決するため、特開2001−302888号公報は、オレフィンメタセシス重合体樹脂中に層状化合物を混練する技術が開示されている(下記、特許文献6参照)。しかし、ここで開示されている技術では、環状ポリオレフィン系化合物との混練が不十分であり、液晶表示基板や有機EL基板で要求される程度の耐熱性を得ることができなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−205743号公報(第3頁[0012]〜第10頁[0062])
【特許文献2】
特開平7−251489号公報(第3頁[0005]〜第8頁[0034])
【特許文献3】
特開2000−343659号公報(第2頁[0010]〜第7頁[0058])
【特許文献4】
特開2000−323273号公報(第3頁[0008]〜第10頁[0078])
【特許文献5】
特開平2−6525号公報(第4頁右上6行目〜第4頁右下5行目)
【特許文献6】
特開2001−302888号公報(第4頁[0008]〜第8頁[0054])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、優れた耐熱性とガスバリア性とを兼ね備えた重合体組成物及びその重合体組成物からなるフィルムを提供することにある。また、本発明の第二の目的は、優れた耐熱性とガスバリア性とを兼ね備えたガスバリア性フィルムを提供することにある。また、本発明の第三の目的は、優れた精細性及び耐久性を有する基板及び画像表示素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、良好な耐熱性とガスバリア性とを併有し、かつ液晶表示基板や有機EL基板などの画像表示素子に用いた場合に、良好な精細性及び耐久性を示す重合体組成物の開発について鋭意検討した。その結果、所定の重合体中に所定の有機変性層状珪酸塩を含有させることにより優れた耐熱性とガスバリア性とを兼ね備えた重合体組成物を開発することに成功し、本発明の完成に至った。
【0012】
すなわち、本発明の第一の目的は、以下の重合体組成物により達成される。
(1)重合体単体でのTgが120〜400℃である重合体中に分解開始温度が190〜350℃である有機変性層状珪酸塩を含有することを特徴とする重合体組成物。
(2)重合体単体でのTgが160〜300℃である重合体中に分解開始温度が250〜350℃である有機変性層状珪酸塩を含有することを特徴とする重合体組成物。
(3)前記重合体がオレフィンメタセシス重合体である(1)又は(2)に記載の重合体組成物。
(4)前記オレフィンメタセシス重合体を形成するオレフィンメタセシス反応性モノマーが、ノルボルネン系モノマー及び/又は単環状シクロオレフィン系モノマーである(3)に記載の重合体組成物。
(5)前記有機変性層状珪酸塩がテトラアルキルホスホニウム化合物及び/又は含窒素複素環式化合物の4級塩を含有することを特徴とする(1)〜(4)に記載の重合体組成物。
【0013】
本発明の第一の目的は、さらに前記重合体組成物からなることを特徴とするフィルムによっても達成される。
【0014】
本発明の第二の目的は、上記フィルムを有するガスバリア性フィルムにより達成される。
(1)前記フィルム上に、ゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
(2)前記有機−無機ハイブリッド層上にさらに重合体からなるフィルムを有することを特徴とする(1)に記載のガスバリア性フィルム。
(3)前記重合体からなるフィルムが前記フィルムである(2)に記載のガスバリア性フィルム。
(4)23℃90%RHでの酸素透過率が10ml/m・day・atm以下であることを特徴とする(1)〜(3)に記載のガスバリア性フィルム。
【0015】
本発明の第三の目的は、前記フィルム又は前記ガスバリア性フィルムを有する基板、及び前記フィルム又は前記ガスバリア性フィルムを有する画像表示素子により達成される。
本発明の基板及び画像表示素子は、例えば、液晶素子や有機EL素子などであり、それらはフレキシブルな本発明のガスバリア性フィルムを用いて作製されるため、高精細及び高耐久性を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の重合体組成物、フィルム、ガスバリア性フィルム、基板及び画像表示素子についてさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0017】
[重合体組成物]
<Tg120〜400℃の重合体>
本発明で用いられる重合体は、重合体単体でのTgが120〜400℃であり、好ましくは160〜300℃であり、さらに好ましくは180〜250℃の範囲である。Tgが120℃より低い重合体単体が含まれると、混練時に充分なシェアがかからず分散性が悪化するため好ましくない。一方、Tgが400℃よりも高い重合体単体が含まれると、重合体組成物の熱分解が起こるため好ましくない。
なお、本明細書における「重合体単体」とは、Tgを大きく変化(10℃以上)させるための有機変性層状珪酸塩を含有しない状態の重合体を意味し、開始剤や可塑剤等は含んでいてもよい。
【0018】
重合体単体でのTgが120〜400℃であり、透明なフィルムになり得るプラスチック素材としては、例えば、ポリカーボネート(Tg:160℃)、シクロオレフィンポリマー(Tg:例えば163℃)、ポリアリレート(Tg:193℃)、ポリエーテルスルホン(Tg:225℃)、オレフィンメタセシス重合体(Tg:例えばノルボルネンの場合、200℃)などが挙げられ、溶融混合をする場合には、熱可塑性樹脂であることが好ましく、特にオレフィンメタセシス重合体であることが好ましい。
【0019】
<オレフィンメタセシス重合体>
本発明の重合体組成物で重合体として用いることができるオレフィンメタセシス重合体は、オレフィンメタセシス反応により得られるものであれば、特に限定されるものではない。ここで、オレフィンメタセシス反応とは、下記の反応式で表されるようなオレフィンのアルキリデン基が交換する反応を意味する。
【0020】
【式1】
CH=CHRm + RCH=CHR ⇔ 2RCH=CHR
【0021】
式中、RCH=CHR、RCH=CHRは、それぞれオレフィンメタセシス反応性モノマーを示す。
【0022】
本発明で使用可能なオレフィンメタセシス反応性モノマーは、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンやブタジエン等のような少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和鎖状オレフィンや、シクロオクテン、シクロオクタジエン、ノルボルネン等のような少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和環状オレフィン等を用いることができる。
これらのオレフィンメタセシス反応性モノマーは、単独で用いることができ、又は2種類以上を併用してもよい。
【0023】
上記オレフィンメタセシス反応性モノマーの中でも、メタセシス反応性に富み、かつ得られるオレフィンメタセシス重合体の剛性等の機械的特性に優れるノルボルネン系モノマーを好適に用いることができる。また得られるオレフィンメタセシス重合体の柔軟性等の物性に優れる単環状シクロオレフィンをより好適に用いることができる。
上記ノルボルネン系モノマー及び単環状シクロオレフィンは、それぞれ単独で用いることができ、又は両者を併用することもできる。
【0024】
上記ノルボルネン系モノマーは、特に限定されるものではないが、例えば、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン等の2環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等の3環体;テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセン等の4環体;トリシクロペンタジエン等の5環体;テトラシクロペンタジエン等の7環体、及び、これらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体等)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体等)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体等)、並びに、エポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基を有するこれらの誘導体等を用いることができる。
【0025】
上記ノルボルネン系モノマーの中でも、ジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン誘導体、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン及びノルボルナジエンが好ましく、特にジシクロペンタジエンが好ましい。これらのノルボルネン系モノマーは、単独で用いることができ、又は2種類以上を併用することもできる。
【0026】
また、単環状シクロオレフィンは、特に限定されるものではないが、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン等を挙げることができる。中でもシクロオクタジエンが好ましい。
これらの単環状シクロオレフィンは、単独で用いることができ、又は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0027】
本発明で使用可能なメタセシス重合体の触媒としては、酸素、水分、官能基等が存在していても失活せず、上述したオレフィンメタセシス反応性モノマーを酸素や水分の存在する通常雰囲気下でメタセシス重合させ得るものであれば、特に限定されないが、例えば、特開2001−302888号公報に記載されたメタセシス重合触媒を使用することができる。
【0028】
<有機変性層状珪酸塩>
本発明の重合体組成物は、前記重合体中に190〜350℃の分解開始温度を有する有機変性層状珪酸塩を含有する。この分解開始温度とは、リガク株式会社製Thermo Plusシステムを用いてアルゴン雰囲気下で10℃/minの速度で昇温した場合の親有機化剤の質量が有機変性層状系珪酸塩の全質量に対して1%減少する温度である。
従来の有機変性層状珪酸塩(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩を親有機化剤として使用した有機変性層状珪酸塩)の分解開始温度は190℃未満である。これに対し、本発明で用いられる有機変性層状珪酸塩は、分解開始温度が190〜350℃である。これより本発明の組成物は、190℃以上の融点を有する重合体と溶融混練しても熱分解しにくく、優れた熱安定性を得ることができる。また、分解開始温度が350℃以下であれば、この有機変性層状珪酸塩の熱分解を最小限に抑えることができる。本発明で用いられる有機変性層状珪酸塩の分解開始温度は、好ましくは250〜350℃であり、さらに好ましくは250〜300℃である。
【0029】
本発明で用いられる有機変性層状珪酸塩としては、例えば、テトラアルキルホスホニウム化合物、トリフェニルホスホニウム化合物、テトラフェニルホスホニウム化合物、含窒素複素環式化合物の4級塩を含有する有機変性層状珪酸塩などを挙げることができ、特にテトラアルキルホスホニウム化合物又は含窒素複素環式化合物の4級塩を含有する有機変性層状珪酸塩であることが好ましい。
上記の有機変性層状珪酸塩は、単独又は複数を混合して用いることができる。
【0030】
上記のテトラアルキルホスホニウム化合物は、ホスホニウム(P)基に4つのアルキル基が共有結合した有機カチオン化合物である。テトラアルキルホスホニウム化合物の種類は、特に限定されるものではないが、好ましくは以下の一般式(I)で表されるテトラアルキルホスホニウム化合物を本発明で用いることができる。
【0031】
【化1】
Figure 2004107541
ここで、一般式(I)中のR〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。
【0032】
上記一般式(I)のR〜Rにおける直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、 n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。
【0033】
上記一般式(I)中のR〜Rにおける分岐状アルキル基としては、例えば、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、neo−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基などを挙げることができる。さらに、上記R〜Rにおける環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、上記R〜Rは、一部に不飽和結合(二重結合や三重結合)、エステル基、アミド基、エーテル基、フェニレン基などを有していてもよい。
【0034】
上記R〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であれば、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは上記一般式(I)のR〜Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがn−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−オクチル基である場合であって、Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。また、上記R〜Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがメチル基又はエチル基である場合であって、Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくは炭素数10以上の直鎖状アルキル基の場合である。さらに好ましくは、上記R〜Rが同一の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。
本発明で使用されるテトラアルキルホスホニウム化合物は、上記一般式(I)で示されるテトラアルキルホスホニウム化合物を単独で使用し、又は複数を組み合わせて使用することもできる。
【0035】
上記テトラアルキルホスホニウム化合物は、通常、トリアルキルホスフィンにハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。合成のし易さの観点からは炭素数1以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンに炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するハロゲン化アルキルを反応させることが好ましい。一方、トリメチルホスフィンやトリエチルホスフィンは毒性が高いため、人体への安全性の観点からは、炭素数3以上、好ましくは炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンを使用することが好ましい。
【0036】
上記テトラアルキルホスホニウム化合物の原料となるトリアルキルホスフィンは、市販の化合物を用いることができる。このような市販の化合物としては、例えば、トリn−ブチルホスフィン、トリn−ヘキシルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどを挙げることができる。
【0037】
本発明の組成物で使用可能なホスホニウム系化合物の親有機化剤の具体例としては次のものが挙げられる。
【0038】
【化2】
Figure 2004107541
【0039】
本発明で用いられる有機変性層状珪酸塩の親有機化剤として使用可能な含窒素複素環式化合物の4級塩は、窒素を含有する環状化合物の窒素原子を4級化して得られる化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、複素環を構成する窒素原子を4級化して得られる化合物である。複素環を構成する元素数については特に限定されないが、好ましくは4〜10員環であり、さらに好ましくは5〜8員環である。また、複素環については、飽和でも不飽和でもよく、芳香族性を有していてもよい。さらに、複素環には窒素原子、炭素原子の他に酸素原子や硫黄原子を含んでいてもよい。
【0040】
本発明で使用可能な含窒素6員環芳香族化合物としては、例えば、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジンなどを挙げることができ、1位以外の位置に置換基を有する含窒素6員環芳香族化合物であることが好ましい。
また、含窒素5員環芳香族化合物としては、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾールなど、及びこれらの誘導体を挙げることができる。
また、含窒素非芳香族系化合物としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、デカヒドロキノリン、デカヒドロイソキノリン、インドリン、イソインドリン、ピロリジジン、キノリジジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどを挙げることができる。
【0041】
本発明の有機変性層状珪酸塩が良好な熱安定性を示すようにするためには、前記含窒素複素環式化合物の置換基として少なくとも一つ以上の一定鎖長以上のアルキル基を有することが好ましい。より好ましくはこれらのアルキル基を窒素複素環式化合物の4級塩を形成する窒素原子上に有する場合である。
前記アルキル基としては、炭素数4〜100のアルキル基であることが好ましく、炭素数8〜50のアルキル基であることがより好ましく、炭素数12〜30のアルキル基を有することがさらに好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状又は不飽和構造を有するものであってもよい。
前述の少なくとも一つ以上の一定鎖長以上のアルキル基を有していれば、4級塩を形成する窒素原子及びそれ以外の原子の置換基については特に限定されず、いかなる置換基を有していてもよいし、また置換基を有していなくてもよい。好ましくは、ハロゲン、総炭素数8以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び水素(無置換)である。
【0042】
上記含窒素複素環式化合物の置換基として好ましいアルキル基は、例えば、n−ブチル基(C)、n−ペンチル基(C)、n−ヘキシル基(C)、n−ヘプチル基(C)、n−オクチル基(C)、2−エチルヘキシル基(C)、n−ノニル基(C)、デシル基(C10)テトラデシル基(C14)、ヘキサデシル基(C16)、オクタデシル基(C18)、2−ヘキシルデシル基などを挙げることができる。また、アルキル基の一部に、不飽和結合(二重結合や三重結合)、エステル基、アミド基、エーテル基、フェニレン基などを含むこともできる。
上記含窒素複素環式化合物の4級塩は、単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。
【0043】
上記含窒素複素環式化合物の4級塩は、上記含窒素複素環式化合物の窒素原子にハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。前記含窒素複素環式化合物の4級塩の原料となる含窒素複素環式化合物は、市販の化合物を用いることができる。
【0044】
本発明の組成物で使用可能な含窒素複素環式化合物の4級塩の具体例としては次のものが挙げられる。但し、本発明で使用可能な窒素複素環式化合物の4級塩がこれらの化合物に限定されるわけではない。
【0045】
【化3】
Figure 2004107541
【0046】
有機変性層状珪酸塩に含まれる層状珪酸塩は、特に限定されるものではないが、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物が好ましい。これら粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
上記層状珪酸塩は、天然物であっても合成物であってもよい。また、これらの層状珪酸塩は、単独で用いることができ、また複数を併用することもできる。
【0047】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、層状珪酸塩が多層に重なっていると有機化した後に劈開することが困難になることから、親有機化されていない層状珪酸塩の厚さは、可能な限り1層における厚み(約1nm)であることが好ましい。また、平均長さは0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μm、アスペクト比は20〜500、好ましくは50〜200であるものを好適に用いることができる。
【0048】
上記層状珪酸塩は、その層間にイオン交換可能な無機カチオンを有する。イオン交換可能な無機カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオンのことである。これらのイオンは、カチオン性物質とのイオン交換性を有し、イオン交換反応によりカチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)できる。
【0049】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、例えば25〜200meq/100gであることが好ましく、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が25meq/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)されるカチオン性物質の量が少なくなるために、層間が十分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなり、分散性が悪くなることがある。
【0050】
上記条件を満たす層状珪酸塩の具体例としては、例えば、クニミネ工業のスメクトンSA、クニミネ工業のクニピアF、コープケミカル社のソマシフME−100、コープケミカル社のルーセンタイトSWNなどの商品を挙げることができる。
【0051】
上記層状珪酸塩の層間に親有機化剤を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、合成操作が容易であるという観点からイオン交換反応で無機カチオンを親有機化剤に交換することにより含有させる方法が好ましい。上記層状珪酸塩のイオン交換可能な無機カチオンを親有機化剤とイオン交換する手法は、特に限定されるものではなく、既知の方法を用いることができる。具体的には、水中におけるイオン交換、アルコール中におけるイオン交換、水/アルコール混合溶媒中におけるイオン交換等の手法を用いることができる。
【0052】
具体的には、層状珪酸塩を水、アルコール等で十分溶媒和させた後、親有機化剤を加え、撹拌し、層状珪酸塩の層間の金属イオンを親有機化剤で置換させる。その後、未置換の親有機化剤を十分に洗浄し、濾取し、乾燥する。その他、有機溶剤中で層状珪酸塩と有機カチオンを直接反応させたり、樹脂などの存在下、層状珪酸塩と親有機化剤とを押出機中で加熱混練しながら反応させたりすることも可能である。
イオン交換は、0〜100℃の温度で行うことが好ましく、10〜80℃の温度範囲で行うことがより好ましく、15〜60℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。
【0053】
上記イオン交換の進行状況は、既知の方法で確認することができる。例えば、濾液のICP発光分析法により交換された無機イオンを確認する方法、X線解析により層状珪酸塩の層間隔が拡張したことを確認する方法、熱天秤により昇温過程の質量減少から親有機化剤の存在を確認する方法等により、層状珪酸塩の親有機化剤と置換されたことを確認することができる。イオン交換は、層状珪酸塩のイオン交換可能な無機イオン1当量に対し、0.05当量(5%)以上であることが好ましく、0.1当量(10%)以上であることがより好ましく、0.5当量(50%)以上であることがさらに好ましい。
【0054】
本発明においては、上記の方法で得られた有機変性層状珪酸塩と所定のTgを有する重合体とを溶融混練又は溶液中で混合することにより、有機変性層状珪酸塩が劈開した状態で前記重合体中に分散された組成物を得ることができる。中でも溶融混練による方法が、プロセスやコストの面から好ましい。また、溶融混練で用いる溶融混練機としては、熱可塑性樹脂で一般に実用されている混練機を挙げることができ、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等を混練機として使用することができる。
【0055】
上記有機変性層状珪酸塩と上記重合体との配合比率は、質量比で1/100〜100/20であることが好ましく、5/100〜100/50であることがさらに好ましい。配合比率が1/100未満であると、充分な耐熱性及びガスバリア性の効果が得られない場合がある。一方、配合比率が100/20より大きくなると、上記有機変性層状珪酸塩と重合体との分散性が著しく悪化する場合がある。
【0056】
[重合体組成物からなるフィルム]
本発明のフィルムは、本発明の重合体組成物からなる。本発明のフィルムは、本発明の重合体組成物のほかに、他の成分(例えば、帯電防止剤などの添加剤)を添加することができる。本発明のフィルムは、本発明の重合体組成物を通常の溶融押出法、カレンダー法、溶液流延法などを用いてフィルム状にすることにより得られる。また、本発明のフィルムは、さらに一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよい。本発明のフィルムは、さらに塗布層との密着を向上させるために、コロナ処理、グロー処理、UV処理、プラズマ処理などにより表面処理されているものであってもよい。
【0057】
本発明のフィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは10〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは50〜250μmの範囲である。10μmより薄くなると強度不足や取扱いが困難になり、300μmより厚くなると、透明性の低下や可撓性が損なわれる傾向がある。
【0058】
本発明のフィルムのガスバリア性は、酸素透過率と水蒸気透過率とで表すことができる。酸素透過率は23℃0%RHの環境下では100ml/m・day・atm以下であり、50ml/m・day・atm以下であることが好ましく、40ml/m・day・atm以下であることがさらに好ましい。また、水蒸気透過率は、0.3g/m・day以下であり、0.25g/m・day以下であることが好ましく、0.20g/m・day以下であることがさらに好ましい。
【0059】
[ガスバリア性フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムは、前記フィルム上に、ゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有する。
本明細書における「有機−無機ハイブリッド」とは、無機材料と有機材料とが分子レベル及びナノーオーダーで混ざり合った状態を示し、例えば、Adv.Polym.Sci.,100,11(1992)、Poly.Mater.Encyclopedia,,4793(1996)、Current Opinionin Solid State & Materials Science,,806(1996)に記載されたゾル−ゲル法により得られた有機材料と無機材料との複合材料を示す。
【0060】
本発明のガスバリア性フィルムは、23℃90%RHでの酸素透過率が10ml/m・day・atm 以下の機能を有するフィルムであり、好ましくは23℃90%RHで3ml/m・day・atm 以下、より好ましくは0.8ml/m・day・atm 以下、さらに好ましくは0.65ml/m・day・atm 以下の酸素透過率を有するフィルムである。また、本発明のガスバリア性フィルムは、23℃90%RHでの水蒸気透過率が0.16g/m・day以下の機能を有するフィルムであり、好ましくは0.15m・day以下であり、さらに好ましくは0.13m・day以下の機能を有するガスバリア性フィルムである。
【0061】
本発明のガスバリア性フィルムは、ディスプレイ用や電子回路用などの基板として用いることができる。また、耐熱性と、脱酸素や臭い封じなどガスの遮断の必要な包装用材料(例えば味噌汁、パックご飯、カレー、ラーメン等の電子レンジ等による加熱の必要なレトルト食料品の包装シート、ボトル)などにも用いることができる。
【0062】
本発明のガスバリア性フィルムにおける有機−無機ハイブリッド層は、ゾル−ゲル法を用いて、無機材料の反応時又はその前後に有機材料を共存させることにより得られる。本発明のガスバリア性フィルムの製造で用いられるゾル−ゲル法は、好ましくは溶液中、又は塗膜中で金属アルコキシドを加水分解、縮重合させて緻密な薄膜を得る。また、この時、樹脂を併用して、有機−無機ハイブリッド材料にしてもよい。
【0063】
ゾル−ゲル法で使用する金属アルコキシドとして、アルコキシシラン及び/又はアルコキシシラン以外の金属アルコキシドを使用することができる。アルコキシシラン以外の金属アルコキシドとしては、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が好ましい。
【0064】
アルコキシシラン類の例としては、以下の一般式で示されるアルコキシシランを挙げることができる。
【0065】
【化4】
Si(OR(R4−X
【0066】
上記一般式中のR は、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などが挙げられる。また、R は、炭素数1〜10の有機基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−デシル基、フェニル、ビニル基、アリル基などの無置換の炭化水素基、γ−クロロプロピル基、CFCH−、CFCHCH−、CCHCH−、CCHCHCH−、CFOCHCHCH−、COCHCHCH−、COCHCHCH−、(CFCHOCHCHCH−、CCHOCHCHCH−、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、(CFCHOCHCHCH−、H(CFCHCHCH−、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基などの置換炭化水素基が挙げられる。xは2〜4の整数のものが好ましい。
【0067】
これらのアルコキシシランの具体例を以下に示す。x=4のものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−アセトキシシランなどを挙げることができる。
【0068】
x=3のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、CFCHCHSi(OCH、CCHCHSi(OCH、COCHCHCHSi(OCH、COCHCHCHSi(OC、(CFCHOCHCHCHSi(OCH、CCHOCHCHCHSi(OCH、H(CFCHOCHCHCHSi(OCH、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0069】
x=2のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、(CFCHCHSi(OCH、(COCHCHCHSi(OCH、〔H(CFCHOCHCHCHSi(OCH、(CCHCHSi(OCHなどを挙げることができる。
【0070】
ゾルゲル反応時に併用するポリマーとしては、水素結合形成基を有していることが好ましい。水素結合形成基を有するポリマーの例としては、ヒドロキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、メチロールメラミン等とその誘導体);カルボキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリ(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和酸の単位を含む単独又は共重合体と、これらのポリマーのエステル化物(酢酸ビニル等のビニルエステル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル等の単位を含む単独又は共重合体)等);エーテル結合を有するポリマー(ポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、珪素樹脂等);アミド結合を有するポリマー(>N(COR)−結合(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す)を有するポリオキサゾリンやポリアルキレンイミンのN−アシル化物);>NC(O)−結合を有するポリビニルピロリドンとその誘導体;ウレタン結合を有するポリウレタン;尿素結合を有するポリマー等を挙げることができる。
【0071】
またゾル−ゲル反応時に併用するポリマーとして、シリル基含有ポリマーを用いてもよい。シリル基含有ポリマーは、主鎖重合体からなり、末端あるいは側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上含有するものであり、該シリル基の好ましい構造としては、下記一般式で表されるものである。
【0072】
【化5】
−Si(R3−a(X)
【0073】
上記一般式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基及び/又は水酸基、R は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基、aは1〜3の整数である。
【0074】
シリル基含有ポリマーとして特に好ましいのは、主鎖がビニルポリマーからなるシリル基含有ビニルポリマーである。これらは一般に下記の方法で容易に合成することができる。その製造方法はこれらの方法に限定されるものではない。
【0075】
(イ)ヒドロシラン化合物を炭素−炭素二重結合を有するビニルポリマーと反応させる。
(ロ)下記一般式で表されるシラン化合物と、各種ビニル系化合物とを重合する。
【0076】
【化6】
−Si(R3−a(X)
【0077】
上記一般式中、X、R 及びaは前記[化5]と同じであり、R は重合性二重結合を有する有機基である。
【0078】
ここで、前記(イ)で示される製造方法で使用されるヒドロシラン化合物としては、例えばメチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチルアミノキシシラン、トリアミノシランなどのアミノシラン類が挙げられる。
【0079】
また、前記(イ)で示される製造方法で使用されるビニルポリマーとしては、水酸基を含むビニルポリマーを除くほかは特に限定はなく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸及び無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどから選ばれるビニル系化合物をアリルメタクリレートのような側鎖に二重結合を有するモノマーと共重合したビニルポリマーが好ましい。
【0080】
一方、上記(ロ)で示される製造方法で使用されるシラン化合物としては、特開2001−42102号公報に記載の[化5]で示される化合物が挙げられる。
【0081】
また、上記(ロ)で示される製造方法で使用されるビニル系化合物としては、前記(イ)の製造方法でビニルポリマーの重合時に用いられるビニル系化合物を使用することが可能であるが、この(イ)の製造方法に記載された以外に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなどの水酸基を含むビニル系化合物を挙げることもできる。
【0082】
以上のようなシリル基含有ビニルポリマーの好ましい具体例としては、例えば下記一般式で表されるトリアルコキシシリル基含有アクリル重合体を挙げることができる。このシリル基含有ビニルポリマーの数平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは4,000〜50,000である。
【0083】
【化7】
Figure 2004107541
【0084】
上記一般式中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンテル基、n−ヘキシル基、ベンジル基、(CFCH−、CFCH−、C15CH−、CCHCH−等の(a)成分で説明したフッ素原子を含むアルキル基)を表し、Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、Rは前述のRと同義であり、n/(m+n)=0.01〜0.4、好ましくは0.02〜0.2である。
【0085】
本発明に好ましく使用されるシリル基含有ビニルポリマーの具体例としては、鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラックや下記のポリマーを挙げることができるが、本発明で用いられる基含有ビニルポリマーはこれらに限定されるものではない。
【0086】
上記一般式で表されるシリル気含有ビニルポリマーの具体例を示せば次のようになる。
P−1  メチルメタクリレート/γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(80/20:質量比)
P−2  メチルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(85/15:質量比)
P−3  メチルメタクリレート/エチルアクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50/40/10:質量比)
P−4  M−1/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(90/10:質量比)
P−5  M−2/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(80/20:質量比)
P−6   M−1/M−3/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50/40/10:質量比)
P−7  メチルメタクリレート/メチルアクリレート/γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(60/25/15:質量比)
P−8  M−1/メチルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(70/25/5:質量比)
【0087】
なお、上記M−1、M−2、M−3の構造式は以下のとおりである。
【化8】
Figure 2004107541
【0088】
シリル基含有ポリマーの組成物中の割合は、用いる総アルコキシシランに対し1〜200質量%、好ましくは3〜100質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。また、ゾル−ゲル反応時にモノマーを併用し、ゾル−ゲル反応時、又はその後に重合させて有機−無機ハイブリッド層を作製することもできる。
【0089】
ゾル−ゲル反応時には、水、及び有機溶媒中で金属アルコキシドを加水分解、及び縮重合させるが、この時、触媒を用いることが好ましい。加水分解の触媒としては、一般に酸が用いられる。酸は、無機酸又は有機酸が用いられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸など、有機酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸など)などを挙げることができる。
【0090】
酸の使用量は、金属アルコキシド(アルコキシシラン及び他の金属アルコキシドを含有する場合には、アルコキシシラン+他の金属アルコキシド)1モル当たり、0.0001〜0.05モルであり、好ましくは0.001〜0.01モルである。
【0091】
加水分解後、無機塩基やアミンなどの塩基性化合物を添加して溶液のpHを中性付近にし、縮重合を促進してもよい。
【0092】
無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニアなど、有機塩基化合物としてはアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、N、N−ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなど)を用いることができる。
【0093】
また、酸による加水分解後、特に特願2002−110061号明細書に記載の、下記一般式のアミンを用いることも好ましい。
【0094】
【化9】
Figure 2004107541
【0095】
上式中、R、Rは水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基を表し、Rは、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ヒドロキシ基を表す。但し、Rが芳香族基でない場合、RとRのいずれか一方、あるいは両方が水素原子である。
【0096】
この場合、アミンの添加量としては、酸と等モル〜100倍モル、好ましくは等モル〜20倍モルが適当である。
【0097】
また、他のゾル−ゲル触媒も併用することができる。その例は以下に挙げられる。
(1)金属キレート化合物:
一般式R10OH(式中、R10は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表されるアルコールと、R11COCHCOR12(式中、R11は炭素数1〜6のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜16のアルコキシ基を示す)で表されるジケトンを配位子とした、金属を中心金属とするものであれば特に制限なく、好適に用いることができる。この範囲であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。本発明の金属キレート化合物として特に好ましいものは中心金属にAl、Ti、Zrを有するものであり、一般式 Zr(OR10) p1(R11COCHCOR12p2、Ti(OR10q1(R11COCHCOR12q2及び Al(OR10) r1(R11COCHCOR12r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、縮合反応を促進する作用をなす。
【0098】
金属キレート化合物中のR10及びR11は、同一又は異なってもよく炭素数1〜6のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R12は、前記と同様の炭素数1〜6のアルキル基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ラウリル基、ステアリル基などである。また、金属キレート化合物中のp1 、p2、 q1 、q2 、r1 、r2 は、4又は6座配位となるように決定される整数を表す。
【0099】
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
【0100】
(2)有機金属化合物:
好ましい有機金属化合物としては特に制限はないが、有機遷移金属が活性が高いため好ましい。中でも錫の化合物は、安定性と活性がよく、特に好ましい。これらの具体的化合物例としては、これらの具体的な化合物例としては、(CSn(OCOC1123、(CSn(OCOCH=CHCOOC、(C17Sn(OCOC1123、(C17Sn(OCOCH=CHCOOC、Sn(OCOCC17などのカルボン酸型有機錫化合物;(CSn(SCHCOOC17、(CSn(SCHCOOC17、(C17Sn(SCHCHCOOC17、(C17Sn(CHCOOC1225、下記の化学式で示されるメルカプチド型やスルフィド型の有機錫化合物;(CSnO、(C17SnO、又は(CSnO、(C17SnOなどの有機錫オキサイドとエチルシリケートマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機錫化合物などを挙げることができる。
【0101】
【化10】
Figure 2004107541
【0102】
(3)金属塩類
金属塩類としては有機酸のアルカリ金属塩(例えばナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、オクタン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウムなど)が好ましく用いられる。
【0103】
ゾル−ゲル触媒化合物の組成物中の割合は、ゾル液の原料であるアルコキシシランに対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0104】
次に、ゾル−ゲル反応に用いられる溶媒について述べる。溶媒はゾル液中の各成分を均一に混合させ、本発明の組成物の固形分調製をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性及び保存安定性を向上させるものである。これらの溶媒は上記目的の果たせるものであれば特に限定されない。これらの溶媒の好ましい例として、例えば水、及び水と混和性の高い有機溶媒が挙げられる。
【0105】
有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、蟻酸、酢酸、酢酸メチル、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
【0106】
ゾル−ゲル反応の速度を調節する目的で、多座配位可能な有機化合物を添加して、金属アルコキシドを安定化してもよい。その例としては、β−ジケトン及び/又はβ−ケトエステル類、並びにアルカノールアミンが挙げられる。
【0107】
このβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−iso−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−tert−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
これらの多座配位可能な化合物は、ゾル−ゲル触媒として前記の金属キレート化合物を用いた場合、その反応速度を調節する目的にも用いることができる。
【0108】
本発明のガスバリア性フィルムは、本発明のフィルムとゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド層との間に無機薄膜層を有していてもよい。そのような無機薄膜層としては、無機蒸着層、又はゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
【0109】
次にゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を塗設する方法について説明する。ゾル液はカーテンフローコート、ディップコート、スピンコート、ロールコート等の塗布法によって、本発明のフィルム上に薄膜を形成することができる。この場合、加水分解のタイミングは製造工程中の如何なる時期であっても構わない。例えば、あらかじめ必要な組成の液を加水分解部分縮合して目的のゾル液を調製し、それを塗布−乾燥する方法、必要な組成の液を調製し塗布と同時に加水分解部分縮合させながら乾燥する方法、塗布−一次乾燥後、加水分解に必要な水含有液を重ねて塗布し加水分解させる方法等を好適に採用できる。また、塗布方法としては、様々な形態をとることが可能であるが、生産性を重視する場合には多段の吐出口を有するスライドギーサー上で下層塗布液と上層塗布液のそれぞれが必要な塗布量になる様に吐出流量を調整し、形成した多層流を連続的に本発明のフィルム(支持体)に載せ、乾燥させる方法(同時重層法)が好適に用いられる。
【0110】
塗布後の乾燥温度は、本発明のフィルムが変形を起こさない範囲であれば特に制限はないが、好ましくは150℃以下、より好ましくは30〜150℃、特に好ましくは50〜130℃である。
【0111】
塗布、乾燥後のガスバリア性フィルムをさらに緻密にするため、エネルギー線の照射を行ってもよい。その照射線種に特に制限はないが、支持体の変形や変性に対する影響を勘案し、紫外線、電子線あるいはマイクロ波の照射を特に好ましく用いることができる。照射強度は30〜500mJ/cmであり、特に好ましくは50〜400mJ/cmである。照射温度は、室温から支持体の変形温度の間を制限なく採用することが可能であり、好ましくは30〜150℃、特に好ましくは50〜130℃である。
【0112】
本発明のガスバリア性フィルムは、前記フィルム上に前記ゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有するが、さらにこの有機−無機ハイブリッド層上に重合体からなるフィルムを有することができる。
前記重合体からなるフィルムを構成する重合体は、特に限定されず、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。前記重合体からなるフィルムは、好ましくは本発明のフィルムである。
【0113】
本発明のガスバリア性フィルムの層構成は、本発明のフィルム上にゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有する構成か、又はこの有機−無機ハイブリッド層上にさらに重合体からなるフィルムを有する構成を有する。本発明のガスバリア性フィルムにおける有機−無機ハイブリッド層の厚さは、良好なガスバリア性を得るために0.1〜5μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることがさらに好ましい。また、有機−無機ハイブリッド層上に設けられる前記重合体からなるフィルムの厚さは、10〜300μmであることが好ましく、25〜100μmであることがさらに好ましい。
【0114】
本発明のガスバリア性フィルムの作製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明のフィルム上に有機−無機ハイブリッド層を塗設した後、さらに重合体からなるフィルムを塗設する方法、該重合体からなるフィルムを有機−無機ハイブリッド層に接着する方法などを挙げることができる。さらに、前記重合体からなるフィルムが本発明のフィルムである場合には、本発明のフィルム上に有機−無機ハイブリッド層を塗設したものどうしを有機−無機ハイブリッド層側で貼り合わせることにより作製することもできる。
【0115】
[基板]
本発明の基板は、本発明のフィルム又は本発明のガスバリア性フィルムを有する。本発明の基板は、例えばディスプレイ用基板や電子回路用基板として用いることができる。本発明の基板をディスプレイ用基板として用いる場合、本発明のフィルム又は本発明のガスバリア性フィルム上に、電極、誘電体層、保護層、隔壁、蛍光体などを形成してディスプレイ用部材を得ることができ、さらにこれを用いてPDP、PALC、FED、VFD等のディスプレイを作製することができる。また、本発明の基板を電子回路用基板として用いる場合、本発明のフィルム又は本発明のガスバリア性フィルム上に回路を形成し、各種の電子機器、半導体素子に用いられる電子回路を作製することができる。その他、本発明の基板は太陽電池、電子ペーパー、その他、各種の携帯を目的とした商品などの基板として用いることができる。
【0116】
[画像表示素子]
本発明の画像表示素子とは、本発明のフィルム、ガスバリア性フィルム又は基板を有する液晶素子及び有機EL素子などである。
本発明の有機EL素子は、例えば、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特願2001−58834号明細書、特願2001−58835号明細書、特願2001−89663号明細書、特願2001−334858号明細書に記載された態様で用いることが好ましい。
すなわち、本発明のフィルム又は本発明のガスバリア性フィルムを有する有機EL素子は、本発明のフィルム又は本発明のガスバリア性フィルムを基材フィルム、及び/又は保護フィルムとして用いることができる。本発明の有機EL素子は、本発明のガスバリア性フィルムを用いる場合、ゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド層が有機EL層側、すなわち外気と接しない側に向けて塗設することが好ましい。
【0117】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0118】
(実施例1〜8)
支持体の作成
ゼオノア1600R(Tg:163℃、日本ゼオン(株)製シクロオレフィンポリマー)樹脂100質量部当たりに、表1に示されるP−3、P−4、P−6、P−7、N−3、N−6、N−9及びN−11で親有機化(表面処理)したソマシフME−100(コープケミカル(株)製合成膨潤雲母)の10質量部を混合した後、二軸押出機(レオミックス600P/PTW25(独ハーケ社製))を用いて、270℃で、混練・押出することにより、厚み200μmのフィルム1A(実施例1)〜1H(実施例8)を得た。
【0119】
(比較例1)
実施例1において親有機化したソマシフME−100を添加しなかったことを除いて、実施例1と同様の方法によりフィルムC1を作製した。
【0120】
(比較例2)
実施例1の親有機化剤(P−3〜N−11)を特開2001−302888号公報に記載された化合物(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(DSDM))に変更し、同公報に掲載された方法で支持体を作製し、フィルムC2を得た。
【0121】
<試験例1>
ガスバリア性試験
得られたフィルム1A〜1H、C1及びC2のガス透過率をMOCON法によって測定した。結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
Figure 2004107541
*1)特開2001−302888号公報に記載の親有機化剤である。
【0123】
表1より本発明のフィルム(実施例1〜8)は、いずれも酸素透過率及び水蒸気透過率が比較例1及び2よりもかなり小さくなっていた。
これより、本発明のフィルムは、従来の親有機化剤でイオン交換した層状珪酸塩を含むフィルム(比較例1)及び親有機化剤でイオン交換していない層状珪酸塩を含むフィルム(比較例2)よりもガスバリア性が向上したほか、耐腐蝕性も向上していることが分かる。
【0124】
耐熱性試験
得られたフィルム1C、1F及びC2について、動的引張粘弾性試験法によりTgを測定した。その結果、フィルム1CのTgは168℃であり、フィルム1FのTgは142℃であった。これに対して、フィルムC2のTgは116℃であった。
また、TMAによりフィルム1C、1F及びC2の線熱膨張係数を求めた。その結果、フィルム1Cは12ppm/℃であり、フィルム1Fは18ppm/℃であった。これに対して、フィルムC2は35ppm/℃であった。
以上のことから、本発明の重合体組成物からなるフィルムは、Tgが上昇し、かつ線熱膨張係数も低下しているため、重合体単体のみからなるフィルムよりも耐熱性が向上したことが分かる。
【0125】
(実施例9〜15)
ゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド層の形成
ソアノールD2908(日本合成化学工業(株)製、エチレン−ビニルアルコール共重合体)8gを1−プロパノール118.8g、及び水73.2gの混合溶媒に80℃で溶解した。この溶液の10.72gに2N塩酸を2.4ml加えて混合した後、攪拌しながらテトラエトキシシラン1gを滴下し、30分間攪拌を続けた。得られた溶液を実施例1〜8と同様の方法で作製した表2に記載のフィルム上にワイヤバーで塗布した。その後、120℃で5分間乾燥することにより、前記フィルム上に膜厚約1μmの有機−無機ハイブリッド層を形成した。
【0126】
フィルムの貼り合わせ
上記のようにして作製された有機−無機ハイブリッド層を有するフィルムにおいて、有機−無機コーティング層どうしをラミネートにより貼り合わせることで、試料2A〜2Gを作製した。
【0127】
(比較例3及び4)
実施例9のフィルム1AをC1又はC2に変更したことを除き、実施例7と同様の方法で試料C3及びC4を作製した。
【0128】
<試験例2>
ガスバリア性試験
試料2A〜2F、C3及びC4のガス透過率をMOCON法によって測定した。結果を表2に示す。
【0129】
【表2】
Figure 2004107541
*1)特開2001−302888号公報に記載の親有機化剤である。
【0130】
表2より本発明のガスバリア性フィルム(実施例9〜15)は、酸素透過率が23℃において0%及び90%のいずれも比較例3及び4よりも向上していた。また、本発明のガスバリア性フィルムの水蒸気透過率は比較例3及び4よりも低かった。
これより、本発明のガスバリア性フィルムは、従来の親有機化剤でイオン交換した層状珪酸塩及び親有機化剤でイオン交換していない層状珪酸塩を用いたガスバリア性フィルム(比較例3、4)よりもガスバリア性及び耐腐蝕性が向上していることが分かる。
【0131】
(実施例16)
有機EL素子の作製
試料2Cを真空チャンバー内に導入し、IXOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚さ0.2μmのIXO薄膜からなる透明電極を形成した。透明電極(IXO)より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。
透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
【0132】
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
ポリビニルカルバゾール              40質量部
(Mw=63000、Ardrich社製)
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体    1質量部
(オルトメタル化錯体)
ジクロロエタン                3200質量部
【0133】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い、160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフイルム(UPILEX−50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Alターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、AlをAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
【0134】
ポリビニルブチラール2000L          10質量部
(Mw=2000、電気化学工業社製)
1−ブタノール                3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物         20質量部
【0135】
【化11】
Figure 2004107541
【0136】
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い、160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子1を得た。
【0137】
(比較例5)
実施例16における基板Xの作製において、支持体として試料1Cの代わりに試料C1を用いて支持体を作製した以外は実施例16と同様の方法により有機EL素子2を得た。
【0138】
<試験例3>
得られた有機EL素子1及び2をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加して発光させた。
有機EL素子1及び2は作製直後においては、ともに良好に発光した。
一方、素子作製後3ヶ月経過後、有機EL素子1,2を発光させてみたところ、有機EL素子1は作成時と同様に良好な発光が得られた。これに対し、有機EL素子2は、欠陥が増大していた。
これより、本発明のガスバリア性フィルムを含む有機EL素子であれば、通常の有機EL素子の動作環境においても安定した発光が得られることが分かる。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の重合体組成物は、重合体単体でのTgが120〜400℃である重合体中に分解開始温度が190〜350℃である有機変性層状珪酸塩を含有する。これにより本発明の重合体組成物を用いれば、優れた耐熱性とガスバリア性とを併有するフィルム及びガスバリア性フィルムを提供できる。さらに、このガスバリア性フィルムを用いれば、優れた精細性及び耐久性を有する基板及び画像表示素子を提供することができる。

Claims (6)

  1. 重合体単体でのガラス転移温度が120〜400℃である重合体中に分解開始温度が190〜350℃である有機変性層状珪酸塩を含有することを特徴とする重合体組成物。
  2. 前記有機変性層状珪酸塩がテトラアルキルホスホニウム化合物及び/又は含窒素複素環式化合物の4級塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の重合体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の重合体組成物からなることを特徴とするフィルム。
  4. 請求項3に記載のフィルム上に、ゾル−ゲル法により得られる有機−無機ハイブリッド層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  5. 請求項3に記載のフィルム又は請求項4に記載のガスバリア性フィルムからなることを特徴とする基板。
  6. 請求項3に記載のフィルム又は請求項4に記載のガスバリア性フィルムを有することを特徴とする画像表示素子。
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