JP2004148566A - ガスバリア性フィルム並びに該ガスバリア性フィルムからなる基板、該ガスバリア性フィルムを有する画像表示素子 - Google Patents

ガスバリア性フィルム並びに該ガスバリア性フィルムからなる基板、該ガスバリア性フィルムを有する画像表示素子 Download PDF

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俊一 石川
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Abstract

【課題】優れた耐熱性及びガスバリア性を併有するガスバリア性フィルム、並びに該ガスバリア性フィルムを有する基板及び有機EL素子の提供。
【解決手段】ガラス転移温度が150〜400℃、線熱膨張係数が40ppm/℃以下である基材フィルム上に、蒸着法により形成した無機薄膜層を有するガスバリア性フィルム、該ガスバリア性フィルムからなる基板、及び該バスバリア性を有することを特徴とする画像表示素子。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐熱性及びガスバリア性を併有する透明なフィルム、並びに該フィルムからなる基板及び該フィルムを有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という。)や液晶表示素子などの画像表示素子に関し、特にフレキシブルな支持体を用いた画像表示素子に好適に用いられるガスバリア性フィルム、並びにこのフィルムからなる基板及びこのフィルムを有する有機EL素子を含めた画像表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコンや携帯用情報端末の普及に伴い、軽くて薄い電子ディスプレイの需要が急増している。現在、最も普及している液晶表示素子、及び自己発色性による視認性の高さから最近注目されている有機EL素子の基板は、主としてガラス基板が用いられている。素子の軽量化、衝撃への耐久性、柔軟性などの観点からは、液晶表素子や有機EL素子の基板は、フレキシブルなプラスチック基板を用いることが好ましい。
しかしながら、プラスチック基板は、ガラス基板と比べて耐熱性やガスバリア性が劣るため、高精細なパターンを作製する場合には不向きであり、また耐久性に欠けるといった欠点もあった。
【0003】
このようなプラスチック基板における欠点を改善するための研究がこれまで数多く報告されている。例えば、ガスバリア性を改善する技術として特許文献1が報告されている。
【0004】
特許文献1は、層状化合物を含む層を有する多層構造プラスチック基板を液晶表示装置に用いた例を開示する。この公報には、層状化合物を使用することで耐熱性、硬度、耐透気性を改善できる旨が記載されている。しかしながら、ガスバリア性は十分なものとはいえず、さらなる改良が必要とされていた。
【0005】
また、別のガスバリア性改善技術として、特許文献2が知られている。特許文献2は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に酸化ケイ素薄膜とゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド膜を積層したフィルムを有機EL素子用の基材、及び保護層に用いた例を開示する。しかし、PETのガラス転移温度は100℃以下であり、耐熱性が低いので、高詳細なパターンを形成するには問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−205743号公報(第3頁[0012]〜第8頁[0063])
【特許文献2】
特開2000−323273号公報(第2頁[0008]〜第8頁[0078])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐熱性とガスバリア性とを有する透明なガスバリア性フィルムを提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、前記ガスバリア性フィルムを用いた基板及び画像表示素子を提供し、特にフレキシブルな支持体を用いた液晶表示装置や有機EL素子などの画像表示素子において、高精細及び高耐久性を可能にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、耐熱性とガスバリア性を有する透明なプラスチックフィルムの開発につき鋭意検討した。その結果、本発明者は、所定の基材フィルム上に所定の薄膜層を設けることにより、耐熱性とガスバリア性が共に優れた透明なプラスチックフィルムが得られることを見出し、本発明を完成する に至った。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、以下のガスバリア性フィルムにより達成される。
(1)ガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が150〜400℃、線熱膨張係数が40ppm/℃以下である基材フィルム上に、蒸着法により形成した無機薄膜層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
(2)無機層状化合物を含有する基材フィルム上に、蒸着法により形成した無機薄膜層を有することを特徴するガスバリア性フィルム。
(3)前記基材フィルムが無機層状化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のガスバリア性フィルム。
(4)前記無機層状化合物がホスホニウム4級塩を含有していることを特徴とする(1)〜(3)に記載のガスバリア性フィルム。
(5)前記ホスホニウム4級塩がテトラアルキルホスホニウム4級塩であることを特徴とする(4)に記載のガスバリア性フィルム。
(6)無機層状化合物を含有することで、線熱膨張係数が10〜40ppm/℃変化することを特徴とする(1)〜(5)に記載のガスバリア性フィルム。
(7)基材フィルム及び/又は無機薄膜層の光線透過率が80%以上であることを特徴とする(1)〜(6)に記載のガスバリア性フィルム。
(8)前記無機薄膜層上にゾル−ゲル法により形成された有機−無機ハイブリッドコーティング層をさらに有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(9)前記基材フィルムが、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、オレフィンメタセシス重合体樹脂からなる(1)〜(8)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【0010】
本発明のガスバリア性フィルムは、Tgが150〜400℃、線熱膨張係数が40ppm/℃以下の基材フィルムを使用するため、優れた耐熱性を有する。さらに本発明のガスバリア性フィルムはこの基材フィルム上に蒸着法により無機薄膜層を有するため、優れたガスバリア性をも併有する。
【0011】
また、本発明のもう一つの目的は、前記ガスバリア性フィルムからなる基板、及び前記ガスバリア性フィルム又は前記基板を有する有機EL素子や液晶表示素子などの画像表示素子により達成される。
【0012】
本発明の基板及び画像表示素子は、耐熱性及びガスバリア性ともに優れた透明なガスバリア性フィルムを有する。このため、本発明の基板及び画像表示素子は、高精細かつ高耐久性を有する。
【0013】
本発明のガスバリア性フィルムを用いた画像表示素子の好ましい態様としては、他に以下のものが挙げられる。
(1)前記ガスバリア性フィルムを用いたディスプレイ素子。
(2)前記ガスバリア性フィルムを用いた液晶素子。
(3)前記ガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のガスバリア性フィルム、基板及び画像表示素子についてさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0015】
[ガスバリア性フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムの第一の特徴は、Tgが150〜400℃、線熱膨張係数が40ppm/℃以下である耐熱性の高い透明なプラスチックフィルムを支持体として用いることである。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって変化させることができる。
Tgは、好ましくは160〜300℃であり、さらに好ましくは180〜270℃である。
Tgが150〜400℃で、透明なフィルムになり得るプラスチック素材としては、例えば、ポリカーボネート(Tg:160℃)、シクロオレフィンポリマー(Tg:例えば163℃)、ポリアリレート(Tg:193℃)、ポリエーテルスルホン(Tg:225℃)などが挙げられる。なお、括弧内の温度は添加剤のない、ほぼ樹脂単独でのTgを示す。
【0016】
本発明のガスバリア性フィルムは、ディスプレイ等の画像表示素子として利用されることから、透明な基材フィルム、すなわち、光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である基材フィルムを用いることが好ましい。基材フィルムの光線透過率が80%以上あれば、後述する有機EL素子の基材フィルムとして好適に用いることができる。
なお、本明細書において透明の尺度として用いられる光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
この透明の意味については、後述する無機薄膜層についても同様である。
【0017】
上記に列記されたプラスチック素材は、いずれも線熱膨張係数がやや大きい。そこで、このようなプラスチック素材を使用する場合には、これらの素材中に無機層状化合物を劈開状態で含有させることにより、線熱膨張係数を減少させることができる。
線熱膨張係数は、無機層状化合物の種類、量、混練条件、存在する有機オニウムの種類などによって制御することが可能である。また、線熱膨張係数の好ましい減少幅は10〜40ppm/℃であり、さらに好ましくは15〜35ppm/℃である。減少幅が小さすぎると耐熱性があがらず、大きすぎると樹脂の透明度などの性質が大きく異なるため好ましくない。
【0018】
線熱膨張係数を減少させるために用いられる無機層状化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。そのような無機層状化合物として、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物が特に好ましく用いられる。
【0019】
上記粘土鉱物は、より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
また、天然の粘土鉱物だけではなく、合成により作成された粘土鉱物も好ましく用いることができる。特に、膨潤性雲母として知られている合成フッ素4珪素雲母は、膨潤・劈開後のアスペクト比が大きく、線熱膨張係数を減少させる効果も大きいため好ましい。
【0020】
上記無機層状化合物の具体例としては、例えば、クニミネ工業のスメクトンSA、クニミネ工業のクニピアF、コープケミカル社のソマシフME−100、コープケミカル社のルーセンタイトSWNなどの商品を挙げることができる。
【0021】
本発明では、無機層状化合物、好ましくは層状珪酸塩の層間に担持されている陽イオン(ナトリウム、カリウム、リチウムなど)を有機カチオンで置き換えたもの(有機化層状化合物)も好ましく用いることができる。これらの陽イオンは、有機カチオン性物質とのイオン交換性を有し、イオン交換反応によりカチオン性を有する種々の物質を上記無機層状化合物の層間(無機層状化合物の表面を含む)に挿入(インターカレート)できる(以下、これを「親有機化」ともいう)。
【0022】
上記無機層状化合物のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、例えば25〜200meq/100gであることが好ましく、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。無機層状化合物のカチオン交換容量が25meq/100g未満であると、イオン交換により無機層状化合物の層間に挿入(インターカレート)されるカチオン性物質の量が少なくなるために、層間が充分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、無機層状化合物の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなり、分散性が悪くなることがある。
【0023】
用いられる親有機化剤としては、例えば、長鎖のアルキル基を含むアルキルアンモニウム4級塩、ホスホニウム4級塩などが挙げられ、ホスホニウム4級塩であることが好ましい。
長鎖のアルキル基を含むアルキルアンモニウム4級塩の例としては、テトラブチルアンモニウム4級塩、テトラヘキシルアンモニウム4級塩、ジヘキシルジメチルアンモニウム4級塩、ジオクチルジメチルアンモニウム4級塩、ヘキサトリメチルアンモニウム4級塩、オクタトリメチルアンモニウム4級塩、ドデシルトリメチルアンモニウム4級塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム4級塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム4級塩、ジオクタデシルジメチルアンモニウム4級塩、ドコセニルトリメチルアンモニウム4級塩、ヘキサデシルアンモニウム4級塩、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム4級塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム4級塩、ジオレイルジメチルアンモニウム4級塩、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウム4級塩などが挙げられる。
【0024】
ホスホニウム4級塩は、例えば、テトラアルキルホスホニウム4級塩、テトラフェニルホスホニウム4級塩などが挙げられ、テトラアルキルホスホニウム4級塩であることが好ましい。
テトラアルキルホスホニウム4級塩は、ホスホニウム(P)基に4つのアルキル基が共有結合した有機カチオン化合物である。テトラアルキルホスホニウム4級塩の種類は、特に限定されるものではないが、好ましくは以下の一般式(I)で表されるテトラアルキルホスホニウム4級塩を本発明で用いることができる。
【0025】
【化1】
Figure 2004148566
ここで、一般式(I)中のR〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。
【0026】
上記一般式(I)のR〜Rにおける直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、 n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。
【0027】
上記一般式(I)中のR〜Rにおける分岐状アルキル基としては、例えば、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、neo−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基などを挙げることができる。さらに、上記R〜Rにおける環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、上記R〜Rは、一部に不飽和結合(二重結合や三重結合)、エステル基、アミド基、エーテル基、フェニレン基などを有していてもよい。
【0028】
上記R〜Rは、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であれば、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは上記一般式(I)のR〜Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがn−ブチル基、n−ヘキシル基又はn−オクチル基である場合であって、Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。また、上記R〜Rが炭素数1以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくはR〜Rがメチル基又はエチル基である場合であって、Rが炭素数3以上の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基、より好ましくは炭素数10以上の直鎖状アルキル基の場合である。さらに好ましくは、上記R〜Rが同一の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基の場合である。
本発明で使用可能なテトラアルキルホスホニウム4級塩は、上記一般式(I)で示されるテトラアルキルホスホニウム4級塩を単独で使用し、又は複数を組み合わせて使用することもできる。
【0029】
上記テトラアルキルホスホニウム4級塩は、通常、トリアルキルホスフィンにハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。合成のしやすさの観点からは炭素数1以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンに炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するハロゲン化アルキルを反応させることが好ましい。一方、トリメチルホスフィンやトリエチルホスフィンは毒性が高いため、人体への安全性の観点からは、炭素数3以上、好ましくは炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を有するトリアルキルホスフィンを使用することが好ましい。
【0030】
上記テトラアルキルホスホニウム4級塩の原料となるトリアルキルホスフィンは、市販の化合物を用いることができる。このような市販の化合物としては、例えば、トリn−ブチルホスフィン、トリn−ヘキシルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどを挙げることができる。
【0031】
本発明の組成物で使用可能なテトラアルキルホスホニウム4級塩の具体例としては次のものが挙げられる。
【0032】
【化2】
Figure 2004148566
【0033】
無機層状化合物を親有機化する方法としては、一般に湿式法が用いられる。すなわち、無機層状化合物を水やアルコール等で十分溶媒和させた後、有機カチオンを加え、撹拌し、無機層状化合物の層間の金属イオンを有機カチオンに置換させる。その後、未置換の有機カチオンを十分に洗浄し、ろ過、乾燥する。その他、有機溶剤中で無機層状化合物と有機カチオンを直接反応させたり、樹脂などの存在下、無機層状化合物と有機カチオンを押出機中で加熱混練し反応させたりすることも可能である。
【0034】
本発明では、以上のようにして得られた有機化層状化合物を、目的とするプラスチック素材と溶融混練又は溶液中で混合することにより、無機層状化合物を劈開した状態でプラスチック素材中に分散した組成物(以下、「プラスチック組成物」という。)を得ることができる。この中では、溶融混練による方法が、プロセスやコストの面からも好ましい。また、溶融混練機としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練機が適用できる。例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等であってもよい。
【0035】
無機層状化合物又は有機化層状化合物とプラスチック素材を配合する場合の配合比率としては、質量比で1/100〜100/20であることが好ましく、5/100〜100/50であることがさらに好ましい。無機層状化合物又は有機化層状化合物の配合量がプラスチック素材の質量100質量部に対して1質量部未満であると、耐熱性を発現しない場合がある。一方、プラスチック素材の配合量が無機層状化合物又は有機層状化合物100質量部に対して20質量部未満であると、透明性や機械的特性(可撓性)が悪化する場合がある。
【0036】
上記プラスチック組成物は、通常の溶融押し出し法、カレンダー法、溶液流延法などによってフィルムを形成することができる。また、これを一軸延伸、又は二軸延伸することも可能である。また、フィルムの表面は、塗布層との密着を良化するため、コロナ処理、グロー処理、UV処理、プラズマ処理などを施してもよい。また、アンカー層を設けてもよい。
【0037】
本発明における基材フィルムの厚みは5〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。基材フィルムが薄いと強度不足や取扱いが困難になり、厚いと透明性の低下や可撓性が損なわれる傾向がある。
【0038】
本発明の第二の特徴は、蒸着法により形成された無機薄膜層を用いることである。これによって、ガスバリア性の高いフィルムを得ることができる。
無機薄膜層は前述の基材フィルムと同様、透明な無機薄膜層、すなわち、光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の無機薄膜層であることが好ましい。
透明な無機薄膜層を構成する成分は特に限定されないが、アルミニウム、珪素、マグネシウム及びそれらの酸化物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、シリカ、窒化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
無機薄膜層の形成方法として蒸着法やゾル−ゲル法が知られているが、本発明では、より均一で高いガスバリア性が得られる蒸着法が用いられる。蒸着法のうち、PVD(物理蒸着)として知られている方法では、原料(例えばSiO、SiO、Al)を抵抗加熱や電子線照射などによって加熱、昇華させて、基材フィルム上に蒸着させる。また、本発明で用いられる蒸着法の中には、通常、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法として知られている方法も含まれる。すなわち本発明では、これらの方法によって形成された無機薄膜層を用いてもよい。
【0040】
また本発明では、上記PVD法とは別にCVD(化学蒸着)法を用いてもよい。この方法は、SiOの場合を例に挙げて説明すれば、液体の有機シリコン化合物又は気体のシランを原料とし、キャリヤガスのヘリウムや、酸素と共に混合して、真空チャンバー内に導入し、高周波や電磁波によってプラズマ化して酸素により酸化しながら基材上に蒸着させるものである。
【0041】
無機薄膜層の厚みは、1〜300nmであり、6〜200nmであることが好ましい。薄膜層の厚みが薄すぎるとガスバリア性が低下し、厚いと透明性の低下や、クラックが発生して破損しやすくなる。
【0042】
本発明では、上記無機薄膜層上にゾル−ゲル法を用いた有機−無機ハイブリッドコーティング層をさらに有していてもよい。
なお、本明細書における有機−無機ハイブリッドとは、有機成分と金属化合物、特に金属酸化物とが少なくとも分子分散された状態にあるものを意味する。
【0043】
ゾル−ゲル法としては、好ましくは金属アルコキシドを加水分解、縮重合させる方法を用いることができる。金属アルコキシドとしては、アルコキシシラン及び/又はアルコキシシラン以外の金属アルコキシドを使用する。アルコキシシラン以外の金属アルコキシドとしては、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が好ましい。
【0044】
本発明に好ましく用いられるアルコキシシラン類についてさらに説明する。
例としては、以下の一般式で表されるアルコキシシラン類である。
【0045】
【化3】
Si(OR(R4−X
【0046】
上式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などが挙げられる。また、Rは、炭素数1〜10の有機基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−デシル基、フェニル、ビニル基、アリル基などの無置換の炭化水素基、γ−クロロプロピル基、CFCH−、CFCHCH−、CCHCH−、CCHCHCH−、CFOCHCHCH−、COCHCHCH−、COCHCHCH−、(CFCHOCHCHCH−、CCHOCHCHCH−、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、(CFCHOCHCHCH−、H(CFCHCHCH−、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基などの置換炭化水素基が挙げられる。xは2〜4の整数が好ましい。
【0047】
これらのアルコキシシランの具体例を以下に示す。x=4のものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−アセトキシシランなどを挙げることができる。
【0048】
x=3のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、CFCHCHSi(OCH、CCHCHSi(OCH 、COCHCHCHSi(OCH、COCHCHCHSi(OC、(CFCHOCHCHCHSi(OCH、CCHOCHCHCHSi(OCH、H(CFCHOCHCHCHSi(OCH、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0049】
x=2のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、(CFCHCHSi(OCH、(COCHCHCHSi(OCH、〔H(CFCHOCHCHCHSi(OCH、(CCHCHSi(OCHなどを挙げることができる。
【0050】
有機−無機ハイブリッドコーティング層を形成するため、ゾル−ゲル反応時にポリマーを併用してもよい。そのポリマーとしては、水素結合形成基を有していることが好ましい。水素結合形成基を有する樹脂の例としては、ヒドロキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、メチロールメラミン等とその誘導体);カルボキシル基を有するポリマーとその誘導体(ポリ(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和酸の単位を含む単独又は共重合体と、これらのポリマーのエステル化物(酢酸ビニル等のビニルエステル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル等の単位を含む単独又は共重合体)等);エーテル結合を有するポリマー(ポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、珪素樹脂等);アミド結合を有するポリマー(>N(COR)−結合(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す)を有するポリオキサゾリンやポリアルキレンイミンのN−アシル化物);>NC(O)−結合を有するポリビニルピロリドンとその誘導体;ウレタン結合を有するポリウレタン;尿素結合を有するポリマーなどを挙げることができる。
【0051】
また、併用するポリマーとしては、シリル基含有ポリマーを用いてもよい。シリル基含有ポリマーは、主鎖重合体からなり、末端あるいは側鎖に加水分解性基及び/又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上含有するものであり、該シリル基の好ましい構造としては、下記一般式で表されるものである。
【0052】
【化4】
−Si(R3−a(X)
【0053】
上式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基及び/又は水酸基、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基、aは1〜3の整数である。
【0054】
シリル基含有ポリマーとして特に好ましいのは主鎖がビニルポリマーからなるシリル基含有ビニルポリマーである。これらは一般に下記の方法で容易に合成することができる。但し、その製造方法はこれらの方法に限定されるものではない。
【0055】
(イ)ヒドロシラン化合物を炭素−炭素二重結合を有するビニルポリマーと反応させる。
(ロ)下記一般式で表されるシラン化合物と、各種ビニル系化合物とを重合する。
【0056】
【化5】
−Si(R3−a(X)
【0057】
上式中、X、R及びaは前記[化4]のものと同じであり、Rは重合性二重結合を有する有機基である。
【0058】
ここで、前記(イ)で示される製造方法で使用されるヒドロシラン化合物としては、例えばメチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチルアミノキシシラン、トリアミノシランなどのアミノシラン類が挙げられる。
【0059】
また、上記(イ)で示される製造方法で使用されるビニルポリマーとしては、水酸基を含むビニルポリマーを除く以外に特に限定はなく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸及び無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、などから選ばれるビニル系化合物をアリルメタクリレートのような側鎖に二重結合を有するモノマーと共重合したビニルポリマーが好ましい。
【0060】
一方、上記(ロ)で示される製造方法で使用されるシラン化合物としては、例えば、特開2001−42102号公報に記載された[化5]が挙げられる。
【0061】
また、上記(ロ)で示される製造方法で使用されるビニル系化合物としては、前記(イ)の製造方法でビニルポリマーの重合時に用いられるビニル系化合物を使用できるが、上記(イ)の製造方法に記載されたビニル系化合物以外に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなどの水酸基を含むビニル系化合物を挙げることもできる。
【0062】
以上のようなシリル基含有ビニルポリマーの好ましい具体例としては、例えば下記一般式で表されるトリアルコキシシリル基含有アクリル重合体を挙げることができる。このシリル基含有ビニルポリマーの数平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000であり、さらに好ましくは4,000〜50,000である。
【0063】
【化6】
Figure 2004148566
【0064】
上式中、R、Rは水素原子、フッ素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、アリル、n−ブチル、iso−ブチル、n−ペンテル、n−ヘキシル、ベンジル、(CFCH−、CFCH−、C15CH−、CCHCH−などのフッ素原子を含むアルキル基)を表し、Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、Rは前述のRと同義であり、n/(m+n)=0.01〜0.4、好ましくは0.02〜0.2である。
【0065】
本発明に好ましく使用されるシリル基含有ビニルポリマーの具体例としては、鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラックや下記のポリマーを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
P−1 メチルメタクリレート/γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(80/20:質量比)
P−2 メチルメタクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(85/15:質量比)
P−3 メチルメタクリレート/エチルアクリレート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50/40/10:質量比)
P−4 M−1/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(90/10:質量比)
P−5 M−2/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(80/20:質量比)
P−6 M−1/M−3/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50/40/10:質量比)
【0067】
なお、上記M−1、M−2、M−3の構造式は以下のとおりである。
【0068】
【化7】
Figure 2004148566
【0069】
シリル基含有ポリマーの組成物中の割合は、用いる総アルコキシシランに対し1〜200質量%、好ましくは3〜100質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。また、ゾル−ゲル反応時にモノマーを併用し、ゾル−ゲル反応時、又はその後に重合させて有機−無機ハイブリッド層を作製することもできる。
【0070】
ゾル−ゲル反応時には、水及び有機溶媒中で金属アルコキシドを加水分解及び縮重合させるが、この時、触媒を用いることが好ましい。加水分解の触媒としては、一般に酸が用いられる。酸は、無機酸又は有機酸が用いられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸など、有機酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸など)を挙げることができる。
【0071】
酸の使用量は、金属アルコキシド(アルコキシシラン及び他の金属アルコキシドを含有する場合には、アルコキシシラン+他の金属アルコキシド)1モル当たり、0.0001〜0.05モルであり、好ましくは0.001〜0.01モルである。
【0072】
加水分解後、無機塩基やアミンなどの塩基性化合物を添加して溶液のpHを中性付近にし、縮重合を促進してもよい。
無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニアなど;有機塩基化合物としてはアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、N、N−ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなど)を用いることができる。
なお、有機塩基化合物としてアミンを添加する場合、アミンの添加量としては、酸と等モル〜100倍モル、好ましくは等モル〜20倍モルであることが適当である。
【0073】
また、酸による加水分解後、下記一般式のアミンを用いることも好ましい。
【0074】
【化8】
Figure 2004148566
【0075】
上式中、R、Rは水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基を表し、Rは、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ヒドロキシ基を表す。但し、Rが芳香族基でないときRとRのいずれか一方又は両方は水素原子である。
【0076】
また、他のゾル−ゲル触媒も併用することができる。その例は以下に挙げられる。
(1)金属キレート化合物
一般式R10OH(式中、R10は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表されるアルコールと、R11COCHCOR12(式中、R11は炭素数1〜6のアルキル基、R12は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜16のアルコキシ基を示す)で表されるジケトンとを配位子とした、金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。本発明の金属キレート化合物として特に好ましいものは中心金属にAl、Ti、Zrを有するものであり、一般式 Zr(OR10 (R11COCHCOR12p2、Ti(OR10q1(R11COCHCOR12q2及び Al(OR10r1(R11COCHCOR12r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、縮合反応を促進する作用をなす。
【0077】
上記金属キレート化合物中のR10及びR11は、同一又は異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R12は、前記と同様の炭素数1〜6のアルキル基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ラウリル基、ステアリル基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、r2 は4又は6座配位となるように決定される整数を表す。
【0078】
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
【0079】
(2)有機金属化合物
好ましい有機金属化合物としては特に制限はないが、有機遷移金属は活性が高いため好ましい。中でもスズの化合物は安定性及び活性がよく、特に好ましい。これらの具体的化合物例としては、(CSn(OCOC1123、(CSn(OCOCH=CHCOOC、(C17Sn(OCOC1123、(C17Sn(OCOCH=CHCOOC、Sn(OCOCC17などのカルボン酸型有機スズ化合物;(CSn(SCHCOOC17、(CSn(SCHCOOC17、(C17Sn(SCHCHCOOC17、(C17Sn(SCHCOOC1225
【0080】
【化9】
Figure 2004148566
【0081】
などのメルカプチド型やスルフィド型の有機スズ化合物、(CSnO、(C17SnO、又は(CSnO、(C17SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケートマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが挙げられる。
【0082】
(3)金属塩類
金属塩類としては有機酸のアルカリ金属塩(例えばナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、オクタン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウムなど)が好ましく用いられる。
【0083】
ゾル−ゲル触媒化合物の組成物中における割合は、ゾル液の原料であるアルコキシシランに対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0084】
次に、ゾル−ゲル反応に用いられる溶媒について述べる。溶媒はゾル液中の各成分を均一に混合させ、本発明の組成物の固形分調製をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性及び保存安定性を向上させるものである。これらの溶媒は上記目的の果たせるものであれば特に限定されない。これらの溶媒の好ましい例として、例えば水及び水と混和性の高い有機溶媒が挙げられる。
【0085】
その例としては、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、蟻酸、酢酸、酢酸メチル、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
【0086】
ゾル−ゲル反応の反応速度を調節する目的で、多座配位可能な有機化合物を添加して金属アルコキシドを安定化してもよい。その例としては、β−ジケトン及び/又はβ−ケトエステル類、及びアルカノールアミンが挙げられる。
このβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−iso−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−tert−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
これらの多座配位可能な化合物は、ゾル−ゲル触媒として前記の金属キレート化合物を用いた場合、その反応速度を調節する目的にも用いることができる。
【0087】
次にゾル−ゲル反応組成物を塗設する方法について述べる。ゾル液はカーテンフローコート、ディップコート、スピンコート、ロールコート等の塗布法によって、透明フィルム上に薄膜を形成することができる。この場合、加水分解のタイミングは製造工程中の如何なる時期であっても構わない。例えば、予め必要な組成の液を加水分解部分縮合して目的のゾル液を調製し、それを塗布−乾燥する方法、必要な組成の液を調製し塗布と同時に加水分解部分縮合させながら乾燥する方法、塗布−一次乾燥後、加水分解に必要な水含有液を重ねて塗布し加水分解させる方法等を好適に採用できる。また、塗布方法としては、様々な形態をとることが可能であるが、生産性を重視する場合には多段の吐出口を有するスライドギーサー上で下層塗布液と上層塗布液のそれぞれが必要な塗布量になるように吐出流量を調整し、形成した多層流を連続的に支持体に乗せ、乾燥させる方法(同時重層法)が好適に用いられる。
【0088】
塗布後の乾燥温度は、支持体の変形を起こさない範囲であれば特に制限は無いが、好ましくは150℃以下、より好ましくは30〜150℃、特に好ましくは50〜130℃である。
【0089】
塗布、乾燥後のフィルムをさらに緻密にするため、エネルギー線の照射を行ってもよい。その照射線種に特に制限はないが、支持体の変形や変性に対する影響を勘案し、紫外線、電子線あるいはマイクロ波の照射を特に好ましく用いることができる。照射強度は30〜500mJ/cm であり、特に好ましくは50〜400mJ/cm である。照射温度は室温から支持体の変形温度の間を制限無く採用することが可能であり、好ましくは30〜150℃、特に好ましくは50〜130℃である。
【0090】
このようにして得られたゾル−ゲルコーティング層の上に他の機能層を設けて積層してもよい。機能層としては、例えば、保護層などが挙げられる。
【0091】
[基板]
本発明の基板は、前記ガスバリア性フィルムを有する。本発明の基板は、例えばディスプレイ用基板や電子回路用基板として用いることができる。本発明の基板をディスプレイ用基板として用いる場合、前記ガスバリア性フィルム上に、電極、誘電体層、保護層、隔壁、蛍光体などを形成してディスプレイ用部材を得ることができ、さらにこれを用いてPDP、PALC、FED、VFD等のディスプレイを作製することができる。また、本発明の基板を電子回路用基板として用いる場合、前記ガスバリア性フィルム上に回路を形成し、各種の電子機器、半導体素子に用いられる電子回路を作製することができる。その他、本発明のガスバリア性フィルムは封止部材としても用いることができる。
また、有機EL素子は、水及び酸素によって顕著に劣化することが知られており、この本発明のガスバリア性フィルムを用いることで、有機EL素子の寿命を大きく伸ばすことができる。また、本発明のフィルムは耐熱性も高いため熱による変形がなく、高詳細なパターンをもつEL素子を作製することができる。以上の理由から、本発明の耐熱性のあるガスバリア性フィルムは、有機EL素子の基板として好ましく用いられる。
【0092】
[画像表示素子]
本発明の画像表示素子とは、本発明のフィルム、ガスバリア性フィルム又は基板を有する液晶素子及び有機EL素子などである。
本発明のガスバリア性フィルムを有する有機EL素子は、例えば、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特願2001−58834号明細書、特願2001−58835号明細書、特願2001−89663号明細書、特願2001−334858号明細書に記載された態様で用いることが好ましい。
すなわち、本発明のガスバリア性フィルムを有する有機EL素子は、本発明のガスバリア性フィルムを基材フィルム、及び/又は保護フィルムとして用いることができる。本発明の有機EL素子では、ゾル−ゲル法による有機−無機ハイブリッド層が有機EL層側、すなわち外気と接しない側に向けて塗設することが好ましい。
【0093】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0094】
(実施例1)
支持体の作製
ゼオノア1600R(Tg:163℃、線熱膨張係数60ppm/℃、日本ゼオン(株)製シクロオレフィンポリマー)樹脂100質量部当たりに、ソマシフMTE(コープケミカル(株)製合成雲母)10質量部を混合し、二軸押出機(レオミックス600P/PTW25(独ハーケ社製))を用いて、270℃で混練・押出を行うことにより、厚み200μmのフィルムAを得た。
さらに、ソマシフMTEの代わりに、トリブチルヘキサデシルホスホニウムを含有したソマシフMTEを用いた以外はフィルムAと同じ方法によりフィルムCを作製した。なお、トリブチルヘキサデシルホスホニウムはソマシフMTEの陽イオン交換容量に対して1.0当量とした。
また、フィルムCのトリブチルヘキサデシルホスホニウムの代わりに、テトラオクチルホスホニウム及びテトラブチルホスホニウムを用いたものを、それぞれフィルムD及びフィルムEとした。
このフィルムAを動的引張粘弾性試験法により、ガラス転移温度を測定したところ、168℃であった。また、このフィルムAの線熱膨張係数をTMAによって求めたところ、35ppm/℃であった。ソマシフMTEの混合により、Tgの上昇および線熱膨張係数の減少がみられ、フィルムAの耐熱性が大きく向上していることが分かる。
また、上記方法によるフィルムCのTgは190℃であり、線熱膨張係数は25ppm/℃であった。トリブチルヘキサデシルホスホニウムを含有したソマシフMTEの混合により、Tgの大きな上昇及び線熱膨張係数の大きな減少がみられ、フィルムCの耐熱性が極めて大きく向上していることが分かる。さらに、フィルムD、EのTgは共に190℃であり、線熱膨張係数はそれぞれ22、23ppm/℃であった。ホスホニウム4級塩を含有したソマシフMTEの混合により、Tgの大きな上昇及び線熱膨張係数の大きな減少がみられ、フィルムD、Eの耐熱性が極めて大きく向上していることが分かる。
【0095】
蒸着法による無機薄膜層の形成
上記フィルムAに、アルミニウム蒸発量と酸素ガス導入量をコントロールしつつ、真空下で反応蒸着させ、厚み40nmの酸化アルミニウム層を形成させた。このサンプルをサンプルAとした。
【0096】
(実施例2)
ゾルゲル法による有機−無機ハイブリッドコーティング層の形成
ソアノールD2908(日本合成化学工業(株)製、エチレン−ビニルアルコール共重合体)8gを1−プロパノール118.8g、及び水73.2gの混合溶媒に80℃で溶解した。この溶液10.72gに、2N塩酸を2.4ml加えて混合した。この液を攪拌しながらテトラエトキシシラン1gを滴下した。滴下後30分間攪拌を続けた。これをサンプルAにワイヤレスバーで塗布した。その後120℃で5分間乾燥することにより、膜厚約1μmの有機−無機ハイブリッドコーティング層を形成した。このサンプルをサンプルBとした。
【0097】
(比較例1)
比較用のガスバリア性フィルムの作製
実施例1における蒸着法による無機薄膜層を形成する替わりに、ゾル−ゲル法による無機コーティング層を形成した。
テトラエトキシシラン4.17g、1−プロパノール4.8g、水1.06gの混合物に0.1N塩酸を0.2ml加え、室温で2時間攪拌した。この反応液2.5gに1−プロパノール4.8gを加えた。これを実施例1のフィルムAをコロナ処理したものに、ワイヤレスバーを用いて塗布した。その後120℃で5分間乾燥することにより、膜厚約100nmの無機コーティング層を形成した。このサンプルをサンプル比Aとして比較例1に示す。
【0098】
試験例1 ガスバリア性の測定試験
実施例1、実施例2及び比較例1で作製した各ガスバリア性フィルムのガス透過率をMOCON法によって測定した。酸素透過率は、23℃、相対湿度0%の条件下で測定した。また、水蒸気透過率は、23℃、相対湿度90%の条件下で測定した。結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
Figure 2004148566
【0100】
表1から分かるように、支持体となるフィルムA上に蒸着法による形成された無機薄膜層を有するガスバリア性フィルム(実施例1)では、酸素透過率及び水蒸気透過率のいずれも蒸着していないフィルム(比較例1)よりも小さくなっていた。また、無機薄膜層上にさらに有機−無機ハイブリッドコーティング層を有するガスバリア性フィルム(実施例2)は、酸素透過率及び水蒸気透過率が実施例1よりもさらに小さくなっていた。
これより、本発明のガスバリア性フィルムは、前記の耐熱性の向上に加えて、優れたガスバリア性と優れた耐腐食性とを併有するフィルムであることが分かる。
また、フィルムC、D及びEについてもフィルムAと同様にガスバリア性フィルムを調製して、酸素及び水素透過率を測定したところ、フィルムAにおける実施例1、実施例2及び比較例1とそれぞれほぼ同じ数値が得られた。
【0101】
(実施例3)
有機EL素子の作製
サンプルBを真空チャンバー内に導入し、IXOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚さ0.2μmのIXO薄膜からなる透明電極を形成した。透明電極(IXO)より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。
透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
【0102】
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記の組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0103】
ポリビニルカルバゾール 40質量部
(Mw=63000、アルドリッチ社製)
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体 1質量部
(オルトメタル化錯体)
ジクロロエタン 3200質量部
【0104】
前記基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0105】
25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフイルム(UPILEX−50S、宇部興産製)の片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Alターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、AlをAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記の組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
【0106】
ポリビニルブチラール2000L 10質量部
(Mw=2000、電気化学工業社製)
下記構造を有する電子輸送性化合物 20質量部
【0107】
【化10】
Figure 2004148566
【0108】
1−ブタノール 3500質量部
【0109】
基板XYと基板Zを用い、電極どうしが発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せて有機EL素子1を作製した。
比較のために、表1記載のサンプル比AをサンプルBの代わりに用いる他は有機EL素子1と全く同じ操作によって有機EL素子2を作製した。また、ソマシフMTEを含まないゼオノアを用いたこと以外は有機EL素子1と全く同じ操作によって有機EL素子3を作製した。
【0110】
<試験例3>
得られた有機EL素子1をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加して、発光させた。素子1は良好に発光した。有機EL素子1を素子作成後1ヶ月経過した後、同様にして発光させてみたところ、同様に良好な発光が見られた。これに対し、有機EL素子2及び3は欠陥が増大していた。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガスバリア性フィルムは、Tg150〜400℃、線熱膨張係数40ppm/℃以下である基材フィルム上に蒸着法により形成した無機薄膜層を有する。これにより本発明のガスバリア性フィルムであれば、優れた耐熱性及びガスバリア特性が得られる。
また、本発明のガスバリア性プラスチックを用いれば、精細で耐久性に優れた基板、液晶素子や有機EL素子等の画像表示素子を提供することができる。

Claims (5)

  1. ガラス転移温度が150〜400℃、線熱膨張係数が40ppm/℃以下である基材フィルム上に、蒸着法により形成した無機薄膜層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 無機層状化合物を含有する基材フィルム上に、蒸着法により形成した無機薄膜層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  3. 前記無機層状化合物がホスホニウム4級塩を含有していることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 請求項1〜3に記載のガスバリア性フィルムからなることを特徴とする基板。
  5. 請求項1〜3に記載のガスバリア性フィルム又は請求項4に記載の基板を有することを特徴とする画像表示素子。
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