JP2004106138A - ワイヤーソー用ビーズ及びビーズのドレッシング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状の台金の周囲に超砥粒3をボンド材で結合した超砥粒層2が設けられたワイヤーソー用ビーズ1であって、超砥粒層2の作用面がドレッシングされ、超砥粒3のドレッシング方向後側に形成されるボンドテール4は、前記ビーズの軸方向に対して傾きを有するビーズとする。また、ドレッシング装置として、前記ビーズを自転可能に保持するビーズ保持手段と、作用面が前記ビーズに当接可能な砥石と、前記ビーズかまたは前記砥石を前記砥石の軸方向に往復運動させる移動手段とを有し、前記ビーズはその軸が砥石軸と直交する面に対し傾きを有するように前記ビーズ保持手段で保持されている構造とする。
【選択図】図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、石材、コンクリートなどを切断するためのワイヤーソーに使用するビーズ及びそのビーズのドレッシング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石材やコンクリートを切断するための工具として、図5に示すようなワイヤーソーがある。これは図4に示すようなビーズ1をワイヤーロープ10に挿通し、同ロープとビーズ1との間及びビーズ1間のワイヤーロープ10の周囲にゴムや樹脂などの被覆材の層9を形成してビーズ1を固定したものである。このビーズ1は、円筒状の台金5の周囲にダイヤモンドなどの超砥粒3とボンド材である金属粉末とを混合し、成形、焼結した超砥粒層2を設けたものである。
【0003】
通常、超砥粒層の表面は、焼結した状態では超砥粒がボンド材の中に埋まり込んでおり突出していない。そのため、切断する際に切れ刃として作用させるために、ドレッシングを行って超砥粒を突出させる必要がある。円板状のカッターなどであれば台金に超砥粒層を設けた後、超砥粒層の作用面に砥石を接触させるなどの方法で容易にドレッシングすることができる。しかしワイヤーソーに使用されるビーズは超砥粒層が円筒形状であるため、ドレッシングを均一に行いにくい。また、ビーズをワイヤーロープに固定した後にドレッシングを行おうとすると、ワイヤーロープの可撓性のため、より一層ドレッシングが行いにくい。これらの問題から、ワイヤーソーのビーズは、しばしばドレッシングを行わずに使用されることがある。
【0004】
このような形状のビーズ表面のドレッシングを効率的に行うには、例えばサンドブラストにより行うことが考えられる。この方法は、GCやWAなどの砥粒を高圧でビーズに当て、ボンド材を摩耗させて超砥粒を突出させるものであるが、超砥粒にも砥粒が当たり、超砥粒のエッジが丸くなってしまう。したがって超砥粒がボンド材から突出していても被削材に食い付かず切れ刃として作用しないので、使用初期の切れ味が低下し、さらに使い続けると超砥粒がさらに摩耗してボンド材から突出していない目つぶれ状態になり、切断不能になる可能性もある。
【0005】
この問題を解決するドレッシング装置が、特開平8−336751号公報に開示されている。そのドレッシングは、砥石とビーズの両方を回転させ、いずれか一方を移動させながら砥石にビーズを当接させることによって、超砥粒層の作用面は切断時の状態に近いものとし、使用初期から切れ味の良い状態が維持できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の装置でドレッシングされた超砥粒層の作用面は、図6に示すように超砥粒3が突出しており、砥石を当接させた時に超砥粒3の後方になる部分のボンド材は完全に削られず、ボンドテール4と呼ばれる部分が存在する。なおその場合、ボンドテール4が形成される方向はビーズ1の軸方向に対して平行になる。
【0007】
ところが、ドレッシング条件によっては、初期の切れ味が良いと初期摩耗が早くなり、超砥粒層が偏摩耗するというワイヤーソー特有の問題が発生する恐れがある。図7はこの状況を説明した図であり、偏摩耗したビーズの断面を模式的に示す。図において、円筒状の超砥粒層2のうち2aの部分が大きく偏摩耗しており摩耗した部分のみが切断作用面となる。そのため、偏摩耗がさらに進み、最終的には超砥粒層が残っているにも関わらず、使用不能となる。
【0008】
また、上記の加工装置では砥石とビーズの両方を回転させ、いずれか一方を移動させながら砥石にビーズを当接させるため、装置の構造が複雑になり、両者の当接チャンスが低下し、その結果ビーズ1ヶ当たりのドレッシングに要する時間も長くなる。
【0009】
以上のような課題に鑑み、本発明は、使用初期に偏摩耗の発生しにくいワイヤーソー用ビーズ及びビーズを容易に効率よくドレッシングでき、構造も簡単でドレッシング効率の高い装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイヤーソー用ビーズの特徴は、円筒状の台金の周囲に超砥粒をボンド材で結合した超砥粒層が設けられたワイヤーソー用ビーズであって、超砥粒層の作用面がドレッシングされ、超砥粒のドレッシング方向後側に形成されるボンドテールは、前記ビーズの軸方向に対して傾きを有することである。なお、このビーズのボンドテールの傾きは、ビーズの軸方向に対して10°以上60°以下であることが望ましく、20°以上45°以下であることがより望ましい。
【0011】
また、本発明のワイヤーソー用ビーズのドレッシング装置の特徴は、円筒状の台金の周囲に超砥粒をボンド材で結合した超砥粒層が設けられたワイヤーソー用ビーズのドレッシングを行うための装置であって、
前記ビーズを自転可能に保持するビーズ保持手段と、作用面が前記ビーズに当接可能な砥石と、前記ビーズかまたは前記砥石を前記砥石の軸方向に往復運動させる移動手段とを有し、前記ビーズはその軸が砥石軸と直交する面に対し傾きを有するように前記ビーズ保持手段で保持されているドレッシング装置である。
【0012】
なお、この場合のビーズ保持手段には、ビーズの自転を抑制するための自転抑制手段を有することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のワイヤーソー用ビーズは、図1に示すように、円筒状の台金5の周囲にダイヤモンドなどの超砥粒3とボンド材の原料であるCo、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属粉末とを混合し、この混合粉末を台金5の外周に成形した後、焼結して台金5と一体化される。超砥粒層2の表面は、焼結したままの状態では超砥粒3がボンド材の中に埋まっており突出していない。この超砥粒層2の表面に超砥粒3を突出させるため、図2に示すように、GC砥石などを当接させてボンド材を削り落とす。この時、ビーズ1の軸方向を砥石6の回転方向に対して傾きを有するように斜めにして当接させる。これによりボンドテール4の方向はビーズ1の軸に対して斜めになる。この時に、ビーズ1の軸方向の角度を調節し、ビーズ1の軸方向が砥石6の回転方向に対して10°以上60°以下になるようにするのが好ましく、20°以上45°以下とするのがより好ましい。
【0014】
以上のようにして製作したビーズ1をワイヤーロープ10に挿通し、ゴムなどの被覆材9で固定してワイヤーソーとするが、ビーズ1の進行方向に対してボンドテール4は斜めになっているので、使用初期に超砥粒3の保持力が弱められ、適度に脱落しやすくなる。その結果、超砥粒層2の自生が促進され、初期切味が悪化するのを防止できる。また、ビーズ1の進行方向に対してボンドテール4が平行に形成されているものと比べて、超砥粒3の突出量を少なくすることができ、前述のような偏摩耗が発生しにくくなる。さらに、ビーズ1の進行方向に対してボンドテール4が斜めになっているので、被削材や冷却水がボンドテール4に当たり摩擦抵抗が発生する。その結果ビーズ1が自転しやすくなり、円筒状の超砥粒層2の同じ部分が切断の作用面になるのを防止でき、使用初期の偏摩耗を防止できる。
【0015】
次に本発明のワイヤーソー用ビーズのドレッシング装置について説明する。本発明のワイヤーソー用ビーズのドレッシング装置は、図2に示すように、主にビーズ保持手段7、ビーズ移動手段(図示せず)及びドレッシング用の砥石6で構成される。ビーズ保持手段7としては、例えば丸棒状のものが用いられ、これに1個または複数個のビーズ1を挿通させる。丸棒状の保持手段7の直径はビーズ1の穴径より僅かに小さくなっており、保持手段7に対して自転可能になっている。また、ドレッシング時に砥石6がビーズ1に当接した時にビーズ1が軸方向に移動するのを抑制するため、保持手段7の下側はビーズ1を保持している部分よりも直径の大きい大径部7aが設けられている。
【0016】
ドレッシング用の砥石6は砥石軸8に取り付けられ回転可能になっている。この砥石6の作用面に前述のビーズ1の超砥粒層2が当接可能なように、ビーズ保持手段7が設けられる。このビーズ保持手段7の部分は砥石6の軸方向に移動可能になっており、ビーズ1を砥石6に当接させながら軸方向に往復運動させてドレッシングを行う。なお、ビーズ保持手段7を固定しておき、砥石6自身を軸方向に移動させることも可能である。
【0017】
丸棒状のビーズ保持手段7はその軸方向が砥石6の軸8と直交する面に対し傾きを有するように取り付けられている。この傾きは、好ましくは軸8と直交する面に対して10°以上60°以下であり、より好ましくは20°以上45°以下である。このようにすれば、ビーズ保持手段7の軸は砥石の軸と平行にならず、砥石6の回転方向Aに対しても平行にならない。すなわち、砥石の回転方向Aに対してビーズ1は斜めにセットされる。このようにすれば、ビーズ回転手段がなくても砥石6の回転力によりビーズ1は自転する。しかも、砥石6の回転方向Aに対して斜めになっているので、砥石6の回転周速度と同等の回転周速度にはならず、ビーズ1の回転への抑制力が働くのでビーズ1の外周部のボンド材が砥石6により削られ、ドレッシングが可能となる。
【0018】
なお、ビーズ保持手段7の大径部7aと反対側すなわち上側には、ビーズ1の自転を抑制するための自転抑制手段を設けることも有効である。自転抑制手段としては、図2に示すような大径部7aを有する丸棒状のビーズ保持手段7の軸にビーズ1を挿通した後、大径部7aの無い側にコイルバネを挿通し、そのコイルバネを圧縮させた状態でビーズ保持手段7に固定する手段を設けたものなどがあげられる。
【0019】
【実施例】
本発明のビーズである図1に示すものと、比較例として図6に示すビーズ及びドレッシングを行っていないビーズを準備し、これらのビーズをワイヤーロープに挿通した後、ゴム被覆用金型に組み込み、ゴムを注入した後加硫させて、ビーズをワイヤーロープに固着して、ワイヤーソーを製作した。本発明のビーズのボンドテールは、ビーズの軸に対して45°となるようにドレッシングを行った。
このワイヤーソーを小型の切断機に取り付けて、エンドレスの状態に接合し、コンクリートの切断試験を行った。切断条件は以下の通りである。
【0020】
ビーズピッチ:25mm
ワイヤーソー長さ:10m
ワイヤーソー周速度:25m/sec
テンション:30kg/本
被削材:鉄筋コンクリート(耐圧強度250kg/cm2、配筋率1.1%)切断面積:1m2/面
【0021】
上記の条件で切断を行い、使用初期30分間の平均切断速度を比較した結果、本発明のビーズを使ったワイヤーソーの初期切断速度は1.4m2/hであったのに対し、比較例で従来のドレッシング装置によるビーズを使ったものは1.3m2/h、ドレッシングを行っていないビーズを使ったものは0.4m2/hであった。また、10m2切断後のビーズの偏摩耗の状態を測定した。測定方法は、図7に示すように、1個のビーズの中央部の直径で最も小さい部分の径d1と、その測定方向から90°回転させた部分の径d2を測定し、その直径差を確認した。本発明のビーズを使ったワイヤーソーは直径差が平均0.3mmであったのに対し、比較例で従来のドレッシング装置によるビーズを使ったワイヤーソーは直径差が平均0.7mm、ドレッシングを行っていないビーズを使ったものは直径差が0.2mmであったが、上記のように使用初期の切断速度が遅く、この状態が継続されたために砥粒が目つぶれして突出していない状態となり、切れ味不良となった。以上のことから、本発明のビーズは使用初期から切れ味が良好で、しかも偏摩耗が起こりにくいことが分かった。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のビーズを使ったワイヤーソーでは、使用初期から切れ味が良好で、初期の切れ味不良が起こりにくい。また、偏摩耗も少なく、ワイヤーソーの寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビーズを示す側面図。
【図2】本発明のドレッシング装置を示す概略図。
【図3】(a)は本発明のドレッシング装置を示す正面概略図、(b)は側面概略図。
【図4】ドレッシング前のビーズを示す側面図。
【図5】ワイヤーソーの側面図。
【図6】(a)は従来のドレッシングされたビーズを示す側面図、(b)は断面図。
【図7】ビーズの偏摩耗状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 ビーズ
2 超砥粒層
2a 超砥粒層偏摩耗部
3 超砥粒
4 ボンドテール
5 台金
6 砥石
7 ビーズ保持手段
7a ビーズ保持手段の大径部
8 砥石軸
9 ゴム被覆
10 ワイヤーロープ
A 砥石回転方向
B ビーズ回転方向
Claims (4)
- 円筒状の台金の周囲に超砥粒をボンド材で結合した超砥粒層が設けられたワイヤーソー用ビーズであって、
超砥粒層の作用面がドレッシングされ、超砥粒のドレッシング方向後側に形成されるボンドテールは、前記ビーズの軸方向に対して傾きを有することを特徴とするワイヤーソー用ビーズ。 - 前記ボンドテールの傾きは、前記ビーズの軸方向に対して10°以上60°以下であることを特徴とする請求項1記載のワイヤーソー用ビーズ。
- 円筒状の台金の周囲に超砥粒をボンド材で結合した超砥粒層が設けられたワイヤーソー用ビーズのドレッシングを行うための装置であって、前記ビーズを自転可能に保持するビーズ保持手段と、作用面が前記ビーズに当接可能な砥石と、前記ビーズかまたは前記砥石を前記砥石の軸方向に往復運動させる移動手段とを有し、前記ビーズはその軸が砥石軸と直交する面に対し傾きを有するように前記ビーズ保持手段で保持されていることを特徴とするドレッシング装置。
- 前記ビーズ保持手段には、ビーズの自転を抑制するための自転抑制手段を有することを特徴とする請求項3記載のドレッシング装置。
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JP2002274718A JP4155501B2 (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | ワイヤーソー用ビーズ及びビーズのドレッシング装置 |
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JP2006201771A (ja) * | 2005-01-17 | 2006-08-03 | Samsung Electronics Co Ltd | アレイ基板、それを有する液晶表示パネル及び液晶表示装置 |
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