JP2004099676A - エンジン油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合物からなる基油に、モリブデンジチオカーバメートをモリブデン量で200〜3000ppm、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)を硫黄量で150〜4000ppm、及びアルカリ土類金属サリシレートを硫酸灰分量で0.02〜1.5質量%含有させ、必要に応じてジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン量で800ppm以下含有させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンを含有しないか、又は低いリン含有量でありながら、長期に亘り、酸化安定性と摩擦低減効果の持続性に優れるエンジン油組成物に関する。また、本発明のエンジン油は、ガソリンエンジン、ディ−ゼルエンジン用潤滑油として利用できるとともに、2輪自動車用4−サイクルエンジン油にも利用できる。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化、大気汚染、酸性雨などの環境問題に対応するため、自動車の燃費向上、排出ガス浄化などが検討されている。燃費の向上には、自動車本体の軽量化、エンジンの改良といった自動車本体の改良とともに、エンジン油の省燃費性能向上が重要な要素となっている。また、排気ガス浄化システムではエンジン油に添加されているジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、ZnDTPともいう。)により排気ガス浄化性能が低下する場合がある。そのため、ZnDTPの低減が要求されている。一方、エンジンでは燃焼ガスの一部がピストンとシリンダの間からブローバイガスとしてクランクケース内に漏洩する。燃焼ガス中には窒素酸化物ガスが高濃度で含まれており、エンジン油を劣化させる。近年、エンジンの高性能化により、クランクケース内に漏洩する窒素酸化物ガスの濃度が増加する傾向にある。エンジン油のZnDTPは酸化防止剤としても機能しているため、ZnDTPの低減はオイル寿命を大幅に低下させる可能性がある。さらにZnDTPに含まれる硫黄量も少なくなることから、モリブデンジチオカーバメート(以下、MoDTCともいう。)などの摩擦調整剤による摩擦低減効果の持続性も損なわれる場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、リンを含有しないか、又はリンの含有量を低減したエンジン油組成物であって、酸化安定性と耐摩耗性に優れ、さらに長期に亘り摩擦低減効果の持続性に優れるエンジン油組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合物から成る基油に、MoDTC、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)、アルカリ土類金属サリシレート、及び必要に応じてZnDTPをそれぞれ特定量配合することによって、上記の目的を達成することを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合物からなる基油と、モリブデンジチオカーバメートをモリブデン量で200〜3000ppm、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)を硫黄量で150〜4000ppm、及びアルカリ土類金属サリシレートを硫酸灰分量で0.02〜1.5質量%含有しており、必要に応じてジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン量で800ppm以下含有していることを特徴とするエンジン油組成物を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、上記エンジン油組成物において、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)がメチレンビス(ジアルキルジチオカ−バメイト)であるエンジン油組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記エンジン油組成物において、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、分子内に有する炭化水素基のうちプライマリータイプの脂肪族炭化水素基の割合が50%以上のものであるエンジン油組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記エンジン油組成物において、アルカリ土類金属サリシレートが塩基価100mgKOH/g以下であるエンジン油組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における必須成分の1つであるMoDTCは、次の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアルキルアリール基もしくはアリールアルキル基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
【0007】
一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、炭素数1〜30の炭化水素基であり、Xは酸素原子又は硫黄原子である。一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4で表される炭化水素基は、すべて同一であっても、異なっていてもよい。また、一般式(1)において、すべてのXが硫黄原子又は酸素原子であってもよく、また一部のXが硫黄原子で、残りのXが酸素原子であってもよい。R1、R2、R3及びR4で表される炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数5〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアルキルアリール基及びアリールアルキル基などを挙げることができる。炭素数1〜30の炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルフェニル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチル基、ジメチルナフチル基などを挙げることができる。
【0008】
本発明のエンジン油組成物においては、一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4が炭素数8〜13のアルキル基であることが特に好ましい。
MoDTCは1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
MoDTCの含有量はモリブデン量で200〜3000ppmであり、好ましくは400〜1500ppmであり、特に好ましくは500〜900ppmである。MoDTCの含有量が少ないと高い摩擦低減効果が得られないし、多すぎると含有量に見合った摩擦低減効果が得られないばかりか、エンジン内部においてスラッジなどが生成し、清浄性を損なう恐れがある。
【0009】
本発明の必須成分の1つであるアルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)は、一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【化2】
〔式中、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基、AはS−(CH2)m −S(式中、mは1〜6の整数である)、又はS−CH2CH(CH3)−Sを示す。〕
【0010】
上記一般式(2)のR5〜R8のアルキル基は、分岐を有してもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、各種ブチル、各種ペンチル、各種ヘキシル、各種ヘプチル、各種オクチル、各種ノニル、各種デシル等を挙げることができる。
上式において、Aが−S−S−や−S−S−S−などの硫黄原子が連続した構造を含むものは酸化安定性の点で好ましくない。上式においてmが1又は2のタイプのアルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)が酸化安定性と摩擦低減効果持続性の点でより好ましい。その中でもメチレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)がさらに好ましい。
上記一般式(2)のアルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)の具体例としては、メチレンビス(ジメチルジチオカルバメ−ト)、メチレンビス(ジエチルジチオカルバメ−ト)、メチレンビス(ジブチルジチオカルバメ−ト)、メチレンビス(ジヘキシルジチオカルバメ−ト)、メチレンビス(ジ2エチルヘキシルジチオカルバメ−ト)等が挙げられる。
【0011】
アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)は、1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)の含有量は硫黄量で150〜4000ppmであり、好ましくは400〜3000ppmであり、特に好ましくは1600〜2700ppmである。アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)の含有量が、少なすぎると摩擦低減効果の持続性が得られないし、多すぎると含有量に見合った効果が得られないばかりか、排出ガス浄化装置に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0012】
本発明における必須成分の1つであるアルカリ土類金属サリシレートとしては、炭素数10〜24のα−オレフィンでフェノールをアルキル化し、次いでコルベ−シュミット反応でカルボキシル基を導入した後、複分解などによりアルカリ土類金属塩としたものが挙げられる(イギリス特許第734,598号公報、イギリス特許第734,622号公報など参照)。アルキル基としては、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基等を挙げることができる。また、これらのサリシレートは硫黄化合物との接触により硫化させたものでもよい。アルカリ土類金属としてはCa、Mgが好ましい。また、アルカリ土類金属サリシレートの塩基価は200mgKOH/g以下のものが好ましく、さらに好ましくは100mgKOH/g以下であり、特に好ましくは80mgKOH/g以下である。アルカリ土類金属サリシレートの塩基価の下限値は、特に制限ないが、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。塩基価はJIS−K−2501−6にて測定した値とする。
【0013】
アルカリ土類金属サリシレートは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ土類金属サリシレートの含有量は、硫酸灰分量で0.02〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1.3質量%であり、特に好ましくは0.6〜1.2質量%である。アルカリ土類金属サリシレートの含有量が少なすぎると十分な摩擦低減効果の持続性を得ることができないし、多すぎると含有量に見合った摩擦低減効果の持続性が得られないばかりか、排出ガス浄化装置に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0014】
本発明のエンジン油組成物においては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を少量含有させてもよいし、実質的に含有させなくてもよい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【化3】
(式中、R9、R10、R11及びR12は、炭化水素基である)
【0015】
一般式(3)において、R9〜R12の炭化水素基は、セカンダリータイプ、プライマリータイプ等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、アリールタイプ等の芳香族炭化水素基等のいずれの炭化水素基であってもよく、それらの混合物であってもよい。また、一般式(3)において、R9〜R12の炭化水素基は、セカンダリータイプ、プライマリータイプ、アリールタイプが混合して結合したものでもよい。一般式(3)のジアルキルジチオリン酸亜鉛の好ましいものは、R9〜R12の炭化水素基のうちプライマリータイプの脂肪族炭化水素基の割合が50%以上のものであり、より好ましくは60%以上のものである。残りの炭化水素基はセカンダリータイプ、アリールタイプなどいずれの炭化水素基であってもよく、それらの混合物であってもよい。これらの炭化水素基の炭素数は、2〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜10である。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明のエンジン油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有させなくても優れた清浄性、耐摩耗性、摩擦低減効果の持続性を得ることができるが、少量のジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有させることにより、上記の性能をより一層向上することができる。
本発明のエンジン油組成物において、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、自動車に装着される排気ガス触媒がジアルキルジチオリン酸亜鉛のリン分により被毒されるため、リン量で800ppm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは600ppm以下であり、特に好ましくは400ppm以下である。ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有させる場合の含有量の下限値は、特に制限ないが、10ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましい。
【0017】
本発明においては、上記成分を鉱油系潤滑油基油もしくは合成系潤滑油基油あるいは両者の混合物からなる基油に配合する。
これらの基油の粘度は、40℃動粘度で1〜250mm2/sであればよく、好ましくは10〜150mm2/sであり、特に好ましくは20〜120mm2/sである。また、粘度指数は、50〜200であればよく、好ましくは80〜150である。
【0018】
鉱油系潤滑油基油としては、様々な製造法により得られたものが使用できるが、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ−アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油、又はワックスの異性化により得られるワックス異性化油などの鉱油が挙げられる。例えば、60ニュートラル油、100ニュートラル油、150ニュートラル油、300ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストックなどを挙げることができる。一方、合成系潤滑油基油としては、例えば、メタンなどの天然ガスを原料合成されるイソパラフィン、ポリ−α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、シリコーン油などを挙げることができる。これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また鉱油系潤滑油基油と合成系潤滑油基油とを混合使用してもよい。本発明のエンジン油組成物において用いられる基油としては、100℃における粘度が3〜20mm2/sの範囲にあるものが好適であり、なかでも、芳香族成分3重量%以下、硫黄分50ppm(重量比)以下及び窒素分50ppm(重量比)以下の水素化処理油及びワックス異性化油が特に好適である。
【0019】
合成系潤滑油基油の好適なものとしては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、ジオクチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエステル類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエステルを始めとするポリオールエステル類、炭素数9〜40のアルキル基を有するアルキルベンゼン類やポリブテンなどが挙げられる。
上記鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油はそれぞれ1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
本発明のエンジン油組成物においては、上記した添加物の他に、必要に応じて各種公知の添加剤、例えば、金属系清浄剤、分散剤、他の摩擦調整剤、他の摩耗防止剤、酸化防止剤、極圧剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、防錆剤、腐食防止剤などを適宜配合することができる。金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムサリシレート、マグネシウムサリシレート、カルシウムスルフォネート、マグネシウムスルフォネート、バリウムスルフォネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどを挙げることができる。これらの金属系清浄剤は、通常0.1〜5.0重量%の割合で配合される。分散剤としては、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系及びこれらのホウ酸誘導体などを挙げることができる。これらの分散剤は、通常0.5〜9.0重量%の割合で配合される。他の摩擦調整剤としては、例えば、多価アルコール部分エステル、アミン、アミド、硫化エステルなどを挙げることができる。他の摩耗防止剤としては、例えば、アルコール残基が全てセカンダリータイプのZnDTP、チオリン酸金属塩、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩などを挙げることができる。これらの摩耗防止剤は、通常0.05〜5.0重量%の割合で配合される。
【0021】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤やナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、通常0.05〜4.0重量%の割合で配合される。極圧剤としてはメチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などが挙げられる。粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン水添共重合体系あるいはポリイソブチレンなどを挙げることができる。これらの粘度指数向上剤は、通常0.5〜40重量%の割合で配合される。
【0022】
流動点降下剤としては、例えば、ポリアルキルメタクリレート、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどを挙げることができる。消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンやポリアクリル酸などを挙げることができる。防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸部分エステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルフォン酸塩、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテルなどを挙げることができる。腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。
本発明のエンジン油組成物の調整方法は、基油、上記必須成分及び必要に応じて各種添加剤を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではなく、基油に必須成分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合した後基油に混合してもよい。さらに、各種添加剤についても、予め基油に添加してもよく、必須成分に添加してもよい。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例によっては何等限定されるものではない。
実施例では、基油に、必須成分及び各種添加剤を配合してエンジン油組成物を調製し、酸化安定性と摩擦低減効果の持続性を評価した。
各実施例、各比較例のエンジン油組成物の調整に用いた基油、必須成分及び添加剤の種類並びに各評価試験は次の通りである。
【0024】
1.基油
40℃の動粘度が35mm2/sで、粘度指数125、100℃動粘度4.3mm2/s、芳香族分1.0質量%以下、窒素量10ppm以下、硫黄分10ppm以下の水素化処理鉱油を使用した。
2.MoDTC
炭素数が8と13のアルキル基を持つモリブデンジチオカルバメート(一般式(1)におけるR1〜R4が炭素数8と13のアルキル基である)を使用した。
3.硫黄化合物
硫黄化合物1としてメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)を使用した。
比較のため、硫黄化合物2として硫化油脂を使用した。
比較のため、硫黄化合物3として2,5−ビス(第3オクチルジチオ)1,3,4−チアジアゾールを使用した。
4.ZnDTP
ZnDTP1は分子中に少なくとも1つは炭素数3であるセカンダリータイプのアルキル基があり、残りは炭素数4と5であるプライマリータイプのアルキル基からなるZnDTPを使用した。セカンダリータイプとプライマリータイプの割合(%)は30:70である。
ZnDTP2として全て炭素数4と5のプライマリータイプのアルキル基からなるZnDTPを使用した。
比較のため、ZnDTP3として炭素数3と6のセカンダリータイプのアルキル基からなるZnDTPを使用した。
【0025】
5.金属型清浄剤
金属型清浄剤1は塩基価60mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。
比較のため、金属型清浄剤2として塩基価250mgKOH/gのカルシウムフェネートを使用した。
比較のため、金属型清浄剤3として塩基価305mgKOH/gのカルシウムスルホネートを使用した。
塩基価はいずれもJIS−K−2501−6により測定した値である。
6.その他の添加剤
ビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドでブテニル基の分子量が約1300のものをホウ酸で変性させたものを窒素量で0.08質量%になるように添加した。粘度指数向上剤はPMAタイプのものを使用した。その他の添加剤を合計で8質量%添加した。
【0026】
(評価試験)
酸化安定性及び摩擦低減効果持続性の評価試験
200mlのベッセルに、供試油を40ml入れ、銅触媒(縦26mm×横10mm×厚さ0.2mm)及び鉄触媒(縦26mm×横20mm×厚さ0.2mm)、ガソリン重質留分2vol%を添加し、140℃で、混合ガス(N2:99.2質量%、NO:0.8質量%)5.7リットル/Hrと、加湿空気15リットル/Hrとを供試油に吹き込み、オイルを劣化させた。ガソリン重質留分とはガソリン中の沸点150℃以上の留分を指す。ここから20時間経過した時点から2時間毎に0.1mlずつサンプリングする。この油の摩擦係数をSRV試験にて測定する。試験条件は振動数50Hz、振幅1.0mm、荷重400N、温度80℃、試験時間30分とした。試験片のシリンダ、ディスクは材質SUJ−2のものを使用した。SRV試験終了時の摩擦係数が0.08を超えるまでを摩擦低減効果の持続時間として評価する。例えば、32時間後にサンプリングした油がはじめて摩擦係数0.08を超えた場合、摩擦低減効果の持続時間は32時間ということになる。本試験での摩擦低減効果の持続時間が長いほど、摩擦低減効果の持続性に優れるということになる。
酸化安定性については上述の劣化試験により、オイルを劣化させ、試験開始から72時間経過後の塩基価を測定する。この値と新油時の塩基価から下式により塩基価保持率を計算した。酸化安定性の優れる油ほど塩基価保持率が高いということになる。
塩基価保持率(%)=(72時間後の塩基価/新油の塩基価)×100
塩基価は、JIS−K−2501−6により測定した値である。
【0027】
(実施例1〜7)
前記の基油に、モリブデンジチオカーバメート、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)、アルカリ土類金属サリシレート、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、その他の添加剤を表1及び表2の上段に示す割合(質量%)で配合し、エンジン油組成物を調製した。得られたエンジン油組成物の摩擦低減効果の持続性と酸化安定性評価結果を表1及び表2の下段に示した。
なお、表中バランスとは、エンジン油に配合されている各成分の合計量が100質量%になるように、基油の量を選定する意味である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
(比較例1〜5)
前記の基油に、モリブデンジチオカーバメート、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)、及びアルカリ土類金属サリシレート、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、その他の添加剤を表3の上段に示す割合(質量%)で配合し、エンジン油組成物を調製した。得られたエンジン油組成物についてSRV試験により摩擦係数を測定し、評価結果を表3の下段に示した。
【0031】
【表3】
【0032】
(評価試験結果)
実施例1〜7の本発明によるエンジン油組成物はいずれも酸化安定性と摩擦低減効果の持続性に非常に優れている。実施例2と比較例2、3より硫黄化合物1は他の硫黄化合物と比較して非常に酸化安定性に優れている。また、実施例3と比較例4、5より金属型清浄剤1は他のタイプの金属型清浄剤と比較して摩擦低減効果の持続性、酸化安定性ともに優れている。
比較例において摩擦低減効果の持続性評価結果で20以下とは劣化時間20時間でサンプリングした油が既に摩擦係数0.08を超えていたことを示す。
【0033】
【発明の効果】
本発明によるエンジン油組成物は酸化安定性と摩擦低減効果の持続性に優れており、実用上極めて有効である。
Claims (4)
- 鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合物からなる基油と、モリブデンジチオカーバメートをモリブデン量で200〜3000ppm、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)を硫黄量で150〜4000ppm、及びアルカリ土類金属サリシレートを硫酸灰分量で0.02〜1.5質量%含有しており、必要に応じてジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン量で800ppm以下含有していることを特徴とするエンジン油組成物。
- アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)がメチレンビス(ジアルキルジチオカ−バメイト)である請求項1に記載のエンジン油組成物。
- ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、分子内に有する炭化水素基のうちプライマリータイプの脂肪族炭化水素基の割合が50%以上のものである請求項1又は2に記載のエンジン油組成物。
- アルカリ土類金属サリシレートが塩基価100mgKOH/g以下である請求項1、2又は3に記載のエンジン油組成物。
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JP2006016453A (ja) * | 2004-06-30 | 2006-01-19 | Nippon Oil Corp | 内燃機関用潤滑油組成物 |
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