JP2004091440A - p−ジクロロベンゼンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを原料とし、塩素分子によって核塩素化するに際して、上記原料1モルに対して塩化アルミニウム0.1〜3ミリモル、および塩化アルミニウム1モルに対して下記式(I)で示されるフェノチアジン類0.1〜0.9モルを使用して、塩素化度1.2〜2.5の範囲で塩素化する。
【化1】
[式中、tは、0〜4の整数を表し、uは、0〜4の整数を表す。
Aは、ハロカルボニル基、基:CHxX1 yCO−(X1は塩素原子または臭素原子を表し、xは0〜2の整数を表し、yは1〜3の整数を表す。)、基:CF3(CF2)nCO−(nは0〜2の整数を表す。)、または未置換または置換フェノキシカルボニル基を表す。]
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを核塩素化して、高分子の重要な原料化合物であるp−ジクロロベンゼンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
p−ジクロロベンゼン製造の1工程である、クロロベンゼンの核塩素化反応はオルソ・パラ配向性を示す親電子的置換反応に分類されており、ルイス酸を触媒として用い、塩素分子によって塩素化することが知られている。
クラム&ハモンドの有機化学第2版218頁(1964年)には、重要なルイス酸として、塩化アルミニウム、塩化第2鉄が記載されている。また、この刊行物の427頁には、ハロゲン分子の1つのハロゲン原子が、ハロゲン化第2鉄やハロゲン化アルミニウムに結合して、残りの1個がカチオン化ハロゲンになり、親電子性が高められることが記載されている。
【0003】
また、塩素分子とルイス酸とを用いて、ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを核塩素化して、p−ジクロロベンゼンを製造する際に、パラ選択性を高めるために、ルイス酸と混合使用する助触媒である10−置換−10H−フェノチアジン類について、次のような提案がなされている。
EP126669号公報(対応JP:特開昭59−206051号公報)には、10−アリールカルボニル−10H−フェノチアジン、10−ハロカルボニル−10H−フェノチアジンおよび10−CHxX1 y CO−10H−フェノチアジン(X1は塩素原子または臭素原子を表し、xは0〜2であり、yは1〜3である。)が記載されている。EP474074号公報(対応JP:特開平4−305544号公報応)には、10−CF3(CF2)nCO−10H−フェノチアジン(n=0,1または2)が記載されている。WO97/43041号公報には、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステル類が記載されている。
【0004】
EP126669号公報には、ルイス酸として、アルミニウム化合物は記載されておらず、実施例では、塩化第2鉄及び、3塩化アンチモンが使用されており、塩化アルミニウムが塩化第2鉄及び、3塩化アンチモン以上の効果を有することは何等示唆されていない。EP474074号公報及び、WO97/43041号公報には、ルイス酸として、塩化アルミニウムが記載されてはいるが、実施例では塩化第2鉄のみが使用されており、塩化アルミニウムが塩化第2鉄以上の効果を有することは何等示唆されていない。
これら3つの特許文献に記載の方法は、いずれも、パラ選択性の改良に関する提案である点で共通しているが、反応時間の点でなお改良すべき未解決の課題を残している。
【0005】
特開昭60−125251号公報には、アルキルベンゼンの核塩素化におけるパラ選択性を高める触媒系として、ルイス酸と10−トリフルオロアセチルフェノチアジンとの組み合わせでトルエンを塩素化した実施例3が記載されているが、この第1表には、塩化アルミニウムが、塩化第2鉄及び3塩化アンチモンに比して、パラ選択性で劣っていることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、p−ジクロロベンゼンの製造において、高いパラ選択性と短い反応時間で核塩素化を可能にする触媒系を見出すことを課題として、種々検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の構成上の特徴を有している。
すなわち、本発明のp−ジクロロベンゼンの製造方法は、ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを原料とし、塩素分子によって核塩素化するに際して、上記原料1モルに対して塩化アルミニウム0.1〜3ミリモル、および塩化アルミニウム1モルに対して下記式(I)で示されるフェノチアジン類0.1〜0.9モルを使用して、塩素化度1.2〜2.5の範囲で塩素化することを特徴とする。
【0008】
【化3】
[式中、tは、0〜4の整数を表し(0〜3が好ましい)、uは、0〜4の整数を表す(0〜3が好ましい)。
Aは、ハロカルボニル基(好ましくは、クロロカルボニル基)、基:CHxX1 yCO−(X1は塩素原子または臭素原子を表し、xは0〜2の整数を表し、yは1〜3の整数を表す。ジクロロアセチル基が好ましい。)、基:CF3(CF2)nCO−(nは0〜2の整数を表す。トリフルオロアセチル基が好ましい。)、または下記式(II)で示される基を表す。
【0009】
【化4】
(式中、X2は、ハロゲン原子(フッ素原子または塩素原子が好ましい)、炭素数1〜4個のアルキル基(メチル基が好ましい)、炭素数1〜4個のアルコキシ基(メトキシ基が好ましい)、ニトロ基またはシアノ基を表し、aは、0〜5の整数を表し(0または1が好ましい)、aが2より大きい場合には、X2は同一または相異なっていてもよく、bは、0〜5の整数を表す(0〜2が好ましい)。ただし、(a+b)は、5以下の整数である。)]
【0010】
(本発明と上記従来の技術との対比)
以下、本発明を従来の技術と対比しながら詳細に説明する。
EP126669号公報の実施例3、10及び13には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄0.12〜0.38ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.07〜1.50の触媒系を用いて、60℃、4.5時間でベンゼン3モルに塩素4.5モルを反応させて、パラ選択率82.1〜83.4%で核塩素化できることを記載している。
ここで、パラ選択率とは、核塩素化反応後の反応混合物中のo−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンのガスクロマトグラフィーの値(各々の値を、o、pとする)を用いて、{p/(o+p)×100}で計算した値である。以下同様である。
【0011】
EP126669号公報の実施例4には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、3塩化アンチモン0.066ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/3塩化アンチモンのモル比で1.53の触媒系を用いて、60℃、4.5時間でベンゼン3モルに塩素4.5モルを反応させて、パラ選択率82.8%で核塩素化できることが記載されている。
【0012】
EP126669号公報の実施例5には、クロロベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、クロロベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄1.52ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.61の触媒系を用いて、20℃、5時間でクロロベンゼン6モルに塩素5モルを反応させて、パラ選択率87.3%で核塩素化できることが記載されている。
【0013】
EP474074号公報の実施例1、2、4及び5には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄0.24ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.0の触媒系を用いて、60℃、5時間でベンゼン1.28モルに塩素140モル%を反応させて、パラ選択率81.3〜83.0%で核塩素化できることが記載されている。
【0014】
EP474074号公報の実施例3には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄2.46ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.0の触媒系を用いて、20℃、5時間でベンゼン1.28モルに塩素140モル%を反応させて、パラ選択率86.1%で核塩素化できることが記載されている。
【0015】
EP474074号公報の実施例6には、クロロベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、クロロベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄0.42ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.0の触媒系を用いて、70℃、2.5時間でクロロベンゼン0.89モルに塩素60モル%を反応させて、パラ選択率82.0%で核塩素化できることが記載されている。
【0016】
WO97/43041号公報の製造例2には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄0.19ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.52の触媒系を用いて、60℃、5.5時間でベンゼン1.92モルに塩素を反応させて塩素化度1.59(反応混合物中、ベンゼン環1モルあたりに置換している塩素原子のモル数)まで塩素化して、パラ選択率86%で核塩素化できることが記載されている。さらに60℃、4.5時間(合計10時間)塩素化を続けて、塩素化度1.96まで塩素化して、パラ選択率88%で塩素化できることも記載されている。
WO97/43041号公報の製造例7には、ベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、ベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄0.22ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.2の触媒系を用いて、60℃、3.5時間でベンゼン1.84モルに塩素を反応させて塩素化度1.72まで塩素化して、パラ選択率86%で核塩素化できることが記載されている。
【0017】
WO97/43041号公報の製造例1には、クロロベンゼンからp−ジクロロベンゼンを製造する際に、クロロベンゼン1モルに対して、塩化第2鉄1.33ミリモル、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で5.1の触媒系を用いて、50℃、7時間でクロロベンゼン2.18モルに塩素を反応させて塩素化度1.48まで塩素化して、パラ選択率87%で核塩素化できることが記載されている。
【0018】
EP126669号公報、EP474074号公報及びWO97/43041号公報(以下において、「従来技術3特許文献」と記載する)において、共通している点は、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比が1以上であることにある。
従来技術3特許文献中、基質にベンゼンを使用した場合の反応温度は、EP474074号公報の実施例3の20℃を除いて、60℃になっている。
【0019】
従来技術3特許文献中、反応温度が20℃になっているのは、EP126669号公報の実施例5と、EP474074号公報の実施例3であり、各々、クロロベンゼン1モルに対して塩化第2鉄1.52ミリモル(EP126669号公報の実施例3の12.7倍量)、ベンゼン1モルに対して2.46ミリモル(EP474074号公報の実施例1の10.2倍量)、置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比は、1.61、1.0になっている。EP126669号公報の実施例5と、EP474074号公報の実施例3のパラ選択率は、各々、87.3%、86.1%になっており、各々の特許文献の中で最も良い値になっている。これらの値は、反応温度を低くし、触媒量を増量することにより、実現した値である。反応温度を低くしたにもかかわらず、反応時間の著しい増加がなく、反応時間が同じか、11%の増加にとどまっているのは、触媒量を増量した効果によると考えられる。
【0020】
EP474074号公報の実施例6は、クロロベンゼン1モルに対して塩化第2鉄0.42ミリモル(EP474074号公報の実施例1の1.7倍量)、置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比は、1.0になっている。反応温度は70℃で、2.5時間に、クロロベンゼンに対して塩素を60モル%反応させている。触媒量を増量し、反応温度を10℃高くすることにより、反応時間は2分の1になっているが、パラ選択率は82.0%にとどまっている。
【0021】
WO97/43041号公報の製造例7は、ベンゼン1モルに塩化第2鉄0.22ミリモル(WO97/43041号公報の製造例2の1.1倍量)、10−置換−10H−フェノチアジン類/塩化第2鉄のモル比で1.2の触媒系を用いて、60℃、3.5時間で、塩素化度1.72まで塩素化して、パラ選択率86%で核塩素化できることを記載している。しかしながら、反応時間が3.5時間と短くなっている理由については記載されておらず、製造例2との明確な違いとして、製造例12の反応時間7時間の反応混合物の一部を触媒系として用いることが記載されている。製造例12と製造例2とを合わせると、反応時間は10.5時間になっている。
【0022】
以上から明らかなように、本発明である、「ベンゼン及び/または、クロロベンゼン(これらを「基質」と記載する)を塩素分子で核塩素化して、p−ジクロロベンゼンを製造する際に、塩化アルミニウムと上記式(I)のフェノチアジン類とを、[式(I)のフェノチアジン類/塩化アルミニウム]がモル比で0.1〜0.9、[塩化アルミニウム/基質]がミリモル/モル比で0.1〜3となるような量を使用して、反応時間1〜4時間で、塩素化度1.2〜2.5に塩素化する方法。」は、従来技術3特許文献に記載も示唆もされていない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、原料であるベンゼン、クロロベンゼンは、市販品を使用してもよく、また、文献記載の方法によって調製して使用することもできる。好ましくは、蒸留したもの、より好ましくは乾燥後及び/又は乾燥剤の存在下に蒸留したものを使用する。蒸留後、できるだけ早く使用するのが好ましく、蒸留直後に使用するのが特に好ましい。ベンゼン及びクロロベンゼンは混合物の状態で使用してもよい。
【0024】
本発明において使用する塩化アルミニウムは、市販品であってもよく、また、金属アルミニウムから調製して使用することもできる。塩化アルミニウムの使用量は、原料であるベンゼン及び/又はクロロベンゼン1モルに対して、0.1〜3ミリモル、好ましくは、0.2〜1.5ミリモル、より好ましくは、0.3〜1ミリモルである。
【0025】
本発明において使用する上記式(I)で示されるフェノチアジン類は、市販品を使用してもよく、また、文献記載の方法で調製して使用することもできる。式(I)において、Aが基:CF3(CF2)nCO−(n=0,1または2)を表すフェノチアジン類は、例えば、特開平9−301939号公報記載の方法又はこれに準じた方法で調製することができる。また、式(I)において、Aが式(II)の(未置換または置換)フェノキシカルボニル基を表すフェノチアジン類は、例えば、WO97/43041号公報記載の方法、又は、これに準じた方法で調製することができる。
【0026】
式(I)で示されるフェノチアジン類のうちで好ましいフェノチアジン類としては、10−クロロカルボニル−10H−フェノチアジン、10−ジクロロアセチル−10H−フェノチアジン、2−クロロ−10−クロロカルボニル−10H−フェノチアジン、10−トリフルオロアセチル−10H−フェノチアジン、10−ペンタフルオロプロピオニル−10H−フェノチアジン、10−ヘプタフルオロブチロイル−10H−フェノチアジン、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステル、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸(4−クロロフェニル)エステル、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸(4−メチルフェニル)エステル、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸(4−メトキシフェニル)エステル、2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステル及び、10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステルの核塩素化物をあげることができる。
【0027】
上記式(I)で示されるフェノチアジン類の使用量は、塩化アルミニウム1モルに対して0.1〜0.9モル、好ましくは、0.2〜0.8モル、より好ましくは、0.3〜0.7である。
【0028】
本発明において、核塩素化は、必要量または過剰量の気体状または液体状の塩素を用いて行い、所望の塩素化度に見合う量を反応させればよい。塩素化度の値は、1.2〜2.5であり、好ましくは、1.3〜2.2、より好ましくは、1.4〜2である。
【0029】
本発明における核塩素化反応は、所望により反応溶媒を用いて行うことができる。反応溶媒としては、ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類を使用することができる。
【0030】
本発明における反応温度は、好ましくは、30〜80℃、より好ましくは、40〜70℃、特に好ましくは、45〜55℃である。
【0031】
また、反応時間は、1〜4時間、好ましくは、1〜3.5時間、特に好ましくは、1.5〜3.2時間である。
【0032】
核塩素化反応は、上記の反応条件を組み合わせて、得られる反応混合物のパラ選択率が、好ましくは83%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは86%以上になるように行う。
【0033】
本発明のp−ジクロロベンゼンの製造方法は、上記のように塩化アルミニウムと式(I)で示されるフェノチアジン類とを併用して触媒系として反応を行うことを特徴とするが、原料であるベンゼン及び/又はクロロベンゼンの核塩素化後に反応混合物から、生成物を蒸留で取り出し、残渣を触媒系として再びベンゼン及び/又はクロロベンゼンを加えて、核塩素化を行うような繰り返し反応方法や、反応混合物の一部を触媒系としてベンゼン及び/又はクロロベンゼンに加えて、核塩素化を行うような反応方法も可能である。これら本発明の反応方法において、塩化アルミニウム及び/又は式(I)で示されるフェノチアジン類は、反応工程の途中で追加しても差し支えない。
【0034】
【実施例】
実施例1(10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステルと塩化アルミニウムのモル比0.60の触媒系を用いたベンゼンの塩素化反応)
50℃、攪拌下で、遮光した反応器中のベンゼン150g(1.92mol)に、塩化アルミニウム0.09g(0.675mmol、ベンゼン1モルあたり0.35ミリモル)および10H−フェノチアジン−10−カルボン酸フェニルエステル0.13g(0.41mmol、フェノチアジン類/塩化アルミニウムのモル比は0.60)を加えた。同温度で、気体状の塩素を吹き込んで、150分間反応させ、ベンゼンを基準に塩素化度1.62まで塩素化した。
反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、次の成分よりなる組成を有することが確認された。
ベンゼン0.02%、クロロベンゼン31.67%、o−ジクロロベンゼン9.13%、m−ジクロロベンゼン0.11%、p−ジクロロベンゼン58.98%、トリクロロベンゼン0.09%。
上記の組成から算出したパラ選択率は、86.60%であった。
【0035】
実施例2(10−クロロカルボニル−10H−フェノチアジンと塩化アルミニウムのモル比0.50の触媒系を用いたベンゼンの塩素化反応)
50℃、攪拌下で、遮光した反応器中のベンゼン150g(1.92mol)に、塩化アルミニウム0.09g(0.67mmol、ベンゼン1モルあたり0.35ミリモル)および10−クロロカルボニル−10H−フェノチアジン0.09g(0.34mmol、フェノチアジン類/塩化アルミニウムのモル比は0.50)を加えた。同温度で、気体状の塩素を吹き込んで、170分間反応させて、ベンゼンを基準に塩素化度1.62まで塩素化した。
反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、次の成分よりなる組成を有することが確認された。
ベンゼン0.03%、クロロベンゼン32.15%、o−ジクロロベンゼン9.87%、m−ジクロロベンゼン0.15%、p−ジクロロベンゼン57.67%、トリクロロベンゼン0.13%。
上記の組成から算出したパラ選択率は、85.38%であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを塩素分子で核塩素化して、p−ジクロロベンゼンを製造するに際して、塩化アルミニウム及び上記式(I)で示されるフェノチアジン類を用い、上記の範囲の使用量で反応させることにより、p−ジクロロベンゼンを従来の方法と同等又はそれ以上のパラ選択率で得ることができ、また、従来の方法に比して短い反応時間で塩素化することが可能になる。
Claims (1)
- ベンゼン及び/又はクロロベンゼンを原料とし、塩素分子によって核塩素化するに際して、上記原料1モルに対して塩化アルミニウム0.1〜3ミリモル、および塩化アルミニウム1モルに対して下記式(I)で示されるフェノチアジン類0.1〜0.9モルを使用して、塩素化度1.2〜2.5の範囲で塩素化することを特徴とするp−ジクロロベンゼンの製造方法。
Aは、ハロカルボニル基、基:CHxX1 yCO−(X1は塩素原子または臭素原子を表し、xは0〜2の整数を表し、yは1〜3の整数を表す。)、基:CF3(CF2)nCO−(nは0〜2の整数を表す。)、または下記式(II)で示される基を表す。
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