JP2004090411A - 印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化を両立することができなかった。
【解決手段】濃度パターン法によって画像データの各画素を上記サブ画素に対するインク吐出量に変換するに当たり、冗長なインク吐出量を排除してインク吐出量の変化ピッチを非一定としつつインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチの一定性を維持するようにサブ画素へのインク吐出量の割り当てを決定する。従って、インクの色や各種条件毎に異なるインクデューティと色彩値との相関に的確に対応させつつ割り当てを実施することができ、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することができる。
【選択図】 図6
【解決手段】濃度パターン法によって画像データの各画素を上記サブ画素に対するインク吐出量に変換するに当たり、冗長なインク吐出量を排除してインク吐出量の変化ピッチを非一定としつつインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチの一定性を維持するようにサブ画素へのインク吐出量の割り当てを決定する。従って、インクの色や各種条件毎に異なるインクデューティと色彩値との相関に的確に対応させつつ割り当てを実施することができ、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンタの性能向上に伴って、高速化および高解像度化の要請も高まっている。高解像度での印刷を実現する際には一般に多くの画素に対する処理が必要であり、その処理の演算負担が大きくなる。例えば、印刷制御装置によって元画像を目的の印刷解像度で印刷するための画素数になるように画素を補間して拡大し、色変換処理およびハーフトーン処理を実行して各ドットに対するインクの吐出/非吐出を規定した印刷データを生成している。高解像度での印刷には多くの画素が必要になることから、印刷時の画素数と上記色変換処理を行う際の画素数が同等では非常に処理負担が大きく、処理に時間がかかってしまう。
【0003】
そこで、高速化のための一つの回答として従来の印刷制御装置では、ハーフトーン処理に濃度パターン法を利用することがある。濃度パターン法では、例えば多階調表現された1つの画素をn×n個(nは2以上の自然数)のサブ画素に対応させており、各サブ画素では2値の階調(インクの吐出/非吐出による2値)を与えつつn×n画素でのインク滴の数によって階調を表現している。従って、印刷解像度より少ない画素で上記色変換を行い、濃度パターン法によって形成される画素で印刷時の画素を構成すれば、中間段階で扱う画像データの画素数を抑えることができ、処理負担が小さくなる。また、上記1つの画素に対応する複数のサブ画素で表現される階調数を適宜調整することによって、当該サブ画素の階調を特定するのに必要なビット数を調整することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷制御装置においては、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化を両立することができなかった。すなわち、n×n個のサブ画素に割り当てるインク滴のパターン数が多いほど多階調を表現できるものの、多階調であればビット数が増加してしまう。ビット数を低減するために特定のインク滴数のパターンを排除しても、インクの色やノズルによってインクの吐出特性が異なることにより、各条件に適切に対応することができない。従って、特定のインクの色等、特定の条件によって最適な階調変化を表現できたとしても、総ての条件について必要最低限の情報量で最適な階調変化を表現することはできなかった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することが可能な印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、1画素の多階調データをそれより多くのサブ画素であって単位画素につきより少ない階調表現がなされた中間画像データに変換する濃度パターン法を実行して印刷を実行するに当たり、効果的に情報量を低減しつつもインクデューティ/色彩値特性に合わせてサブ画素の階調が的確に変化するように濃度パターンを選択することができる。すなわち、濃度パターン法を利用しているので、元々の1画素の階調を複数のサブ画素一体での階調表現とすることができる。このため、中間画像データへの変換時に画素数を増加させた段階で印刷解像度を実現するための画素数とすることができ、中間画像データへの変換対象となる画像データの画素数を印刷解像度を実現する画素数より少なくすることができる。従って、少ない情報量にて印刷を実行することができる。
【0006】
さらに、濃度パターン法でのインク吐出量の割り当てに際してサブ画素で表現される階調のピッチを非一定にすることによって冗長なインク吐出量での割り当てを行わないようにする。従って、排除したインク吐出量に対して情報容量を費やす必要がなくなり、少ない情報量でサブ画素の階調を表現することができる。本発明では、サブ画素に対する特定のインク吐出量を単に排除するのではなく、冗長なインク吐出量を排除している。すなわち、そのインク吐出量を排除したとしてもインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチに大きなジャンプを与えないインク吐出量を排除して、色彩値変化ピッチがなるべく一定になるようにしている。
【0007】
すなわち、インクデューティとその色彩値との相関はインクの色やインクの吐出タイミング,印刷速度,印刷モード等によって異なっており、インクデューティのリニアな増加に対して印刷媒体上での色彩値がリニアに変化しない場合もある。
【0008】
例えば、インクデューティがある程度増加すると色彩値の低下率が急激に小さくなる場合やインクデューティが少ないときにはデューティの増加に対して色彩値の低下率が小さいがある程度のデューティを超えると色彩値が急激に低下する場合等種々の場合が存在する。このように、デューティの増加に対して色彩値の低下率が小さい場合には、サブ画素に対するインク吐出量を細かく変動させても実効的な明度変化あるいは彩度変化が少ない。この状況で多くの階調変化を可能にしてもそれは冗長である。
【0009】
そこで、このような冗長なインク吐出量を排除すれば、色彩値の変化具合に大きなジャンプを与えずにこれらの変化の一定性を維持しながら情報量を低減することができる。また、インクデューティと色彩値との相関はインクの色や印刷条件によって異なることもあるが、上記冗長なインク吐出量の排除と色彩値の一定性の維持を図る構成では、インクの色や印刷条件毎の差異に的確に対応してインク吐出量の割り当てを変更することができるので、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することができる。
【0010】
ここで、インクデューティは単位面積当たりに打ち込まれるインク量を特定する指標であってインクを打ち込まない状況からインクを限界まで打ち込む状況までが全値域であり、各インク色毎にインクデューティを規定している。本明細書では各色インク毎のデューティをインクデューティとしており、インクデューティ値が同じ値であったとしてもインク色毎にインク吐出量が同一になるとは限らない。また、各インクデューティ値において、吐出するインク量を決定可能であるが、ターゲットとする吐出量が一定であるとしても、実際に吐出されるインク量としては上記吐出タイミング等の条件によって変動し得る。
【0011】
画像データとしては各画素の色を多階調表現していれば良く、通常は1画素について複数の色成分を備えたカラー画像データであるが、むろん、明度情報のみを利用したモノクロ画像データであっても良い。また、色成分としては特に限定されないが、中間画像データにて特定されるインク吐出量にて印刷を実行することに鑑みれば、印刷装置に搭載するインク色に対応した色成分を有する画像データであることが好ましい。むろん、色成分数としても特に限定されることはなく、4色,6色,7色等種々の色数を採用可能である。
【0012】
サブ画素数としても特に限定されない。すなわち、2以上の画素を有していればよい。尚、中間画像データへの変換に際して画像の縦横比を変動させないために、縦方向のサブ画素数×中間画像の縦画素数が縦方向の記録画素数であって横方向のサブ画素数×中間画像の横画素数が横方向の記録画素数であることが好ましい。サブ画素における階調表現としても種々の階調表現を採用可能であり、例えば、サブ画素の1つについてインクを吐出する状況と吐出しない状況とについての2階調与える構成であっても良いし、インク滴の径を大中小に調整可能に構成してサブ画素の1つについて4階調与える構成であっても良く、種々の構成を採用可能である。
【0013】
中間画像データにおいては、サブ画素の1つずつについてインク吐出量を特定することができれば良く、むろん、各画素をインク吐出順序通りに並べ替える処理等を付加しても良い。また、本明細書では、複数のサブ画素全体に対してインクを吐出する量を決定することを割り当ての決定としており、サブ画素全体でのインク滴の数や各サブ画素に対して吐出するインク滴の大きさを決定すること等が割り当ての決定に該当する。本発明における色彩値は、各インクデューティ値にて印刷を実行した場合にその印刷結果の色彩を数量で評価する指標であり、請求項2に記載の発明のように色彩値が明度であっても良いし彩度であっても良い。すなわち、単位面積当たりに記録されるインク量によっては明度や彩度が変動するし、濃淡インク滴を使い分ける際には同量であってもインク滴自体の濃淡が異なることによって媒体に記録された状態でその明度や彩度が異なる。そこで、これらの色彩値とインクデューティの相関に応じてサブ画素へのインク吐出量の割当を決定すればよい。
【0014】
冗長なインク吐出量を排除しつつ色彩値変化ピッチの一定性を維持する手法としては種々の手法を採用可能であり、その構成例として請求項3に記載の発明では、各インクにおいてインクデューティと色彩値との相関を考慮するに当たり、インクデューティの値域毎に相関を相対比較し、色彩値変化率が大きなインクデューティ値域で細かいインク量変化になるようにしている。すなわち、色彩値変化に対して冗長なインク吐出量は、上述のようにインク吐出量を細かく変動させても実効的な色彩値変化が少ない状況である。そこで、色彩値変化率が大きなインクデューティ値域で細かいインク量変化になるようにすれば、細かい階調が必要なインクデューティ値域において的確に階調表現することができる。
【0015】
尚、冗長なインク吐出量を排除するといっても、いずれのインク吐出量が冗長であるのかを判定しづらい場合もある。このような場合に、いずれかのインク吐出量での階調を排除しつつも、実際に印刷を実行する印刷装置において再度階調を増加させることも可能である。例えば、冗長なインク吐出量を排除した中間画像データを印刷装置に転送し、印刷装置側にてディザ法,重み付け演算,乱数等によって排除されたインク吐出量を再現すればよい。かかる構成は、インクデューティの増加に伴う色彩値の低下率変化が小さい場合、すなわち、インクデューティと色彩値の相関がリニアな場合であって、排除すべき階調を明確に特定しづらい状況に適用すると特に好適である。
【0016】
さらに、冗長なインク吐出量を排除しつつ色彩値変化ピッチの一定性を維持する手法の構成例として請求項4に記載の発明では、各インクにおいてインクデューティと色彩値との相関を考慮するに当たり、異なるインク同士で相関を相対比較し、相関が異なるインク同士で割り当て手法を変更している。従って、インクの色やインクの吐出タイミング,印刷速度,印刷モード等によって異なる種々の状況のそれぞれに対して的確に対応して割り当て手法を決定することができ、各インクのそれぞれにて必要充分な階調数で各インクの相関に適切に対応した中間画像データを生成することができる。
【0017】
さらに、インク同士で割り当て手法を変更する際の具体例として請求項5に記載の発明では、各インク同士で色彩値域を規格化し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクにおける低下率より小さいインクは、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより大きくしている。尚、異なるインク同士で色彩値の低下率を相対比較すると言っても、インクの色が異なればデューティの全値域で表現可能な色彩値域が異なるので、各インクにおいて色彩値の絶対値を無視して同じ色彩値幅であるかのように色彩値域を規格化する。これにより、インク同士で色彩値の低下率を相対的に比較することができる。
【0018】
かかる規格化をして考えた場合、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクより小さいインクは、当該他のインクと比較して冗長性が大きいと言える。従って、画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより大きくすることで冗長な階調を排除して情報量を低減することができる。尚、インクデューティの変化率と規格化された色彩値の変化率との相関は全インクデューティ値域に渡って略一定でない場合がほとんどであるので、むろん、2つのインクがサブ画素の全階調に渡って上記相対関係を満たしている必要はなく、一部のインクデューティ値域において上記相対関係を満たしている場合に適用することができる。
【0019】
上述のインク吐出量の割り当てによれば、上記ハーフトーン処理部にて各サブ画素に対してインク吐出量を割り当てるに際し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクにおける低下率より大きいインクについて、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより小さくすることができる。従って、インク吐出量の細かい変化が必要な値域での適切な階調変化を実現することができる。
【0020】
さらに、各サブ画素に対してインク吐出量を割り当てるに際し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他の2つのインクにおける低下率の中間値となっているインクは、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他の2つのインクの中間値にする構成を採用しても良い。すなわち、上述のようにインクデューティの増加に伴う色彩値の低下率に応じてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを決定する際に、冗長な階調を排除すると情報量が低下するものの、インクデューティと色彩値との相関によっては2つの階調のうちいずれのインク吐出量を排除すべきか明確にならない場合もある。
【0021】
このような場合には、いずれかのインク吐出量での階調を排除しつつも、実際に印刷を実行する印刷装置において再度階調を増加させることも可能である。例えば、冗長なインク吐出量を排除することによって情報量を低減した中間画像データを印刷装置に転送し、印刷装置側にてディザ法,重み付け演算,乱数等によって排除されたインク吐出量を再現すればよい。かかる構成は、インクデューティの増加に伴う色彩値の低下率変化が小さい場合、すなわち、低下率がリニアな場合であって、排除すべきインク吐出量を明確に特定しづらい状況に適用すると特に好適である。
【0022】
また、請求項6にかかる発明では、元画像データについて解像度変換処理と色変換処理とハーフトーン処理とが実行可能であり、ハーフトーン処理によって生成されるサブ画素によって印刷解像度での画素数にする。ハーフトーン処理では、1画素のデータをそれより多いサブ画素からなるデータに変換しているので、ハーフトーン処理以前の色変換処理ではより少ない画素数での処理でよく、処理負担が低減され、高速での印刷が可能である。近年の印刷装置のように高解像度での印刷を実行したり非常に多くの画素からなる大判印刷装置等において、このような処理負担の低減は印刷速度高速化に大きく寄与する。
【0023】
ここで、解像度変換部においては画像データの拡大および縮小を実施することができればよい。すなわち、ハーフトーン処理の対象画素数が元の入力画像データの画素数より多ければ拡大処理を行えばよいし、ハーフトーン処理の対象画素数が元の入力画像データの画素数より少なければ縮小処理を行えばよい。拡大/縮小のアルゴリズムは特に限定されず、種々の補間演算等を採用可能である。色変換部においては、画像データの各画素を構成する色成分を印刷装置で使用されるインク色成分で表現した画像データに変換することができれば良く、ここでもアルゴリズムは限定されない。むろん、印刷制御装置においてインク色による多階調データを取得して処理を行う場合には、上記色変換部による処理は不要である。
【0024】
情報量を確実に低減するための構成例として請求項7にかかる発明では、サブ画素によって表現される階調数を、2n個としてある。すなわち、インク吐出量の変化ピッチを非一定とすることによって冗長な階調を排除するに当たり、サブ画素で表現される階調数をnビットとすれば、冗長な階調の排除によって階調表現に必要なビット数が(n+1)ビット以上からnビットに低減される。従って、サブ画素全体の階調を少ないビット数で特定することができ、中間画像データを少ない容量で形成することができる。nは2以上の自然数であると特に好ましい。
【0025】
本発明によれば、インクデューティと色彩値との相関の差異に応じて冗長な階調を排除することができ、当該相関における差異としては種々の視点を採用することができる。例えば、請求項8に記載の発明のように、相関が異なるインクとして色の異なるインクを採用することができる。すなわち、ブラックインクなどの濃いインクは高デューティになるほど明度変化率が小さくなる傾向にあるなど、色が異なればインクデューティと色彩値との相関が異なるので、かかる相関に応じて個別のインク吐出量の割り当てによって中間画像データを決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。
【0026】
さらに、請求項9に記載の発明のように、相関が異なるインクとしてノズルから飛翔するインク滴の特性が異なるインクを採用することができる。すなわち、同じデューティでインクを吐出しようとしても各ノズルから飛翔するインク滴の特性が異なることによって、実際に吐出されるインク量が異なる場合等が生じる。この結果、インクデューティと色彩値との相関がインク滴の特性によって変動する。そこで、かかる相関に応じて中間画像データの階調を決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。
【0027】
インク滴の特性を決定する要因としては種々の要因があり、これらのいずれが反映された相関であっても考慮することができる。具体的には、インクをインク室から吐出させる力が一定であったとしても、インク面が振動している状態で吐出したインク量とインク面が安定している状態で吐出したインク量とではその量が異なるので、このようなインク面の安定性に起因するインク量変動を反映させた相関を加味しても良い。また、インク滴を吐出した後にインク面が安定になるまでには所定の時間が必要であるが、この時間を十分に確保しないで次のインクを吐出する場合、例えば、高速印刷や高解像度印刷を実現しようとしたときにインク面が不安定であってもインク量の吐出を行うことがあり、この場合に適用することができる。
【0028】
また、印刷装置において複数のノズルからインク滴を吐出させることが一般的であるが、各ノズルの組み上げ誤差によって吐出されるインクの量や飛翔方向が異なることもあるので、この組み上げ誤差を反映させた相関を加味しても良い。さらに、印刷モードによっても上記相関が異なる場合がでてくる。例えば、双方向印刷モード(ヘッドの往復動の双方にてインクを吐出するモード)と単方向印刷モードとでは相関が異なる。むろん、印刷媒体によってもインクデューティと色彩値の相関は異なるので、印刷媒体の差異によって異なる相関を加味しても良い。
【0029】
さらに、請求項10に記載の発明のように、相関が異なるインクとして単位吐出回数でのインク量が異なるインクを採用することができる。すなわち、吐出インク径が異なる場合には、インクデューティの値が同値であったとしても印刷媒体上でインクが占める面積が異なるので、色彩値が異なってくる。そこで、かかる相関に応じて中間画像データの階調を決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。このように、印刷媒体上で単位面積当たりに付着されるインク量が異なると、インクデューティと色彩値との相関が異なるので、請求項11に記載の発明を採用することもできる。
【0030】
本発明においてインクデューティと色彩値との相関に対応したインク吐出量の割り当てを行うためには、予め決まった規則に沿って割り当てを行っても良いし、相関を示す情報を取得して当該情報を参照しつつ行っても良い。前者は例えば、インクの色によって相関が異なり、その相関が明らかであるときに、予めこの相関を加味した割り当てアルゴリズムを作成するなどして対応することができる。
【0031】
後者を実現するための構成としては種々の構成を採用可能であるが、その一例として請求項12に記載の発明のように、所定の記憶媒体に記憶された情報に基づいてインクデューティの増加に伴う色彩値の変化率に応じて冗長なインク吐出量の排除とインク吐出量の割り当てを実施する構成を採用可能である。すなわち、相関を示す情報を記憶して利用する構成であれば、印刷装置の機体や状況によって変動する相関を非常に容易に反映させてインク吐出量の割り当てを決定することができる。また、相関を示す情報を特定のフォーマットで記述することにより、相関を反映するためのアルゴリズムとして汎用的なものを作成しておけば種々の相関を反映させることが可能になる。
【0032】
相関を示す情報は所定の記憶媒体に記憶し、その情報を取得できれば良く、記憶媒体としては印刷装置に備えられていても良いし、印刷装置と印刷制御装置とが別体であるときに印刷制御装置側に備えられていても良い。むろん、分散処理をする際に印刷装置と印刷制御装置以外のコンピュータに備えられていても良い。印刷装置に備えられた記憶媒体を利用する際には、工場において印刷装置を製造する際に上記相関を示す情報を書き込むのが好ましい。印刷制御装置となるコンピュータに備えられた記憶媒体を利用する場合には、当該コンピュータを印刷制御装置として利用可能にセットアップする際(例えば、印刷制御プログラムのインストール時)に当該コンピュータのハードディスクドライブに書き込む構成等を採用可能である。
【0033】
さらに、ユーザが入力した相関に対応できるように構成することもできる。かかる構成の具体例としては、請求項13に記載の発明のようにパターン印刷制御部によって各インク毎に所定のパターンを印刷し、このパターンから判明するパターン同士の相対的な明るさを示す情報を入力させ、当該相対的な明るさを示す情報からインクデューティと色彩値との相関を示す情報を取得すればよい。この結果、利用者が入力した情報に基づいて個々のプリンタによって異なるインクデューティと色彩値との相関を把握することができ、当該相関に応じてインク吐出量の割り当てを実施することが可能になる。
【0034】
また、本発明においては、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することが可能であり、これを実現するための構成として請求項14にかかる構成を採用することもできる。すなわち、ハーフトーン処理を行って1画素の多階調をn×m画素での階調表現に変換するに当たり、インクデューティの増加に対する明度の変化率が他の値域より大きなインクデューティ値域では当該他の値域より上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を小さくしながら上記画像データを中間画像データに変換する。
【0035】
かかる構成により、冗長な階調を排除しつつもインクデューティと色彩値との相関に的確に対応した変換を行うことができる。従って、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化を両立することができる。また、印刷データ生成手段は疑似中間データにて特定されるインク吐出量で印刷を実行させるデータを生成することができればよく、印刷モード等に応じて適宜ラスタライズを行う等種々の処理を付加することは可能である。むろん、このような構成において上記請求項2〜請求項13と同様な構成を採用することもできる。
【0036】
本発明にかかる印刷制御装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。発明の思想の具現化例として印刷制御装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるし、当該ソフトウェア自体としても発明は成立する。このため、上記請求項15にかかる発明は、上記請求項1に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項13に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能であるし、請求項14に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能である。
【0037】
むろん、このプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。上記媒体とは異なるが、供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0038】
また、このような印刷制御装置の制御においては各手段が所定の制御手順で処理を進めていく上で、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然であり、方法としても適用可能である。このため、請求項16にかかる発明は、上記請求項1に対応させた工程からなる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項13に対応させた工程を具備する構成も実現可能であるし、請求項14に対応させた工程を具備する構成も実現可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の構成:
(2)印刷制御処理:
(2−1)ハーフトーン処理:
(2−2)インク吐出量の割り当て:
(3)他の実施形態:
【0040】
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる印刷制御装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示しており、図2はプリンタの概略ハードウェア構成を示している。コンピュータ10はROM13やRAM14からなるプログラム実行環境を備えており、システムバス12を介しデータを授受して所定のプログラムを実行可能である。システムバス12には外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)15とフレキシブルディスクドライブ16とCD−ROMドライブ17とが接続されており、HDD15に記憶されたOS20やアプリケーションプログラム(APL)25等がRAM14に転送され上記プログラムが実行される。
【0041】
本実施形態においては、このプログラム実行環境にて後述のプリンタドライバが実行されることによりコンピュータ10が印刷制御装置を構成する。従って、このプリンタドライバが印刷制御プログラムにも該当する。むろん、プリンタ本体にプログラム実行環境を構築し、プリンタ単体で印刷制御装置を形成しても良く、この場合は印刷制御装置および印刷制御プログラムがプリンタに内蔵される。
【0042】
コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはUSB用I/O19bを介して接続が可能である。尚、本コンピュータ10としては、いわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良く種々の形態で実現可能である。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくシリアルインタフェースやSCSI接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
【0043】
この例では各プログラムの類はHDD15に記憶されているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブルディスク16aであるとか、CD−ROM17aであってもよい。これらの記録媒体に記録されたプログラムはコンピュータ10にて読み込まれ、HDD15にインストールされる。インストール後にはHDD15を介してRAM14上に読み込まれてコンピュータを制御することになる。また、記録媒体はこれに限らず、光磁気ディスクなどであってもよい。また、半導体デバイスとしてフラッシュカードなどの不揮発性メモリなどを利用することも可能であるし、モデムや通信回線を介して外部のファイルサーバにアクセスしてダウンロードする場合には通信回線が伝送媒体となって本発明が利用される。
【0044】
一方、図2に示すように、プリンタ40内部に設けられたバス40aには、CPU41、ROM42、RAM43、ASIC44、コントロールIC45、USB用I/O46、イメージデータや駆動信号などを送信するためのインターフェイス(I/F)47、等が接続されている。そして、CPU41が、RAM43をワークエリアとして利用しながらROM42に書き込まれたプログラムに従って各部を制御する。ASIC44は図示しない印刷ヘッドを駆動するためにカスタマイズされたICであり、CPU41と所定の信号を送受信しつつ印刷ヘッド駆動のための処理を行う。また、ヘッド駆動部49に対して印加電圧データを出力する。
【0045】
ヘッド駆動部49は、専用ICと駆動用トランジスタ等からなる回路である。同ヘッド駆動部49は、ASIC44から入力される印加電圧データに基づいて印刷ヘッドに内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成する。印刷ヘッドは、KCMYlclm(順にブラック,シアン,マゼンタ,イエロー,ライトシアン,ライトマゼンタ)の6色のインクが充填されたインクカートリッジ48a〜48fを搭載可能なカートリッジホルダ48とインク別のチューブで接続されており、各インクの供給を受けるようになっている。
【0046】
印刷ヘッドのインク吐出部には、6色のインクのそれぞれを吐出する6組のノズル列が印刷ヘッドの主走査方向に並ぶように形成され、ノズル列のそれぞれでは複数のノズルが副走査方向に一定の間隔で配置されている。図3は、ノズルおよびその内部構造を拡大して示す図である。同図に示すように上記インクカートリッジ48a〜48f内のインクとインク室48gとは上記チューブを介して連通され、ヘッドの下側で開口したノズルNzの開口部にまでインクが供給されている。
【0047】
ピエゾ素子PEは上記ヘッド駆動部49が生成する印加電圧によって伸張/収縮し、インク室48gの容積を変動させる。この結果、上記ノズルNzの開口部からインク滴Ipが吐出され、当該インク滴Ipが印刷媒体に付着することによって印刷がなされる。このインク滴Ipが吐出された後には、インク滴Ipとして飛翔しないインクがインク室48gに残るが、その際にノズルNzの開口部付近でインク面が振動する。すなわち、ピエゾ素子PEに対して電圧が印加されていない状態ではノズルNz開口部のインク面は安定的にヘッドの下面と略同一面を形成しているが、インク滴が吐出された直後にはインク面が振動する不安定状態になり、所定時間経過後に安定状態に戻る。
【0048】
図4は、この様子を示す図である。同図において横軸は時間であり、縦軸はインク面の変位量である。横軸の原点はピエゾ素子PEに対して電圧印加を開始した時間であり、縦軸の原点は上記安定状態でのインク面の位置を示している。すなわち、インク面が時間とともにヘッド下面よりさらに下側にあるときは縦軸の負の方向に変位し、ヘッド下面より上側にあるときは縦軸の正の方向に変位する。同図に示す時間Tbではインク面は安定しているので、主走査方向に連続的にインク滴Ipを吐出する場合であっても当該時間Tbに達してから次のインク滴Ipを吐出するように構成すれば、インク滴Ipの吐出量は安定する。
【0049】
しかし、この安定状態のみを利用するためにはあるインク滴Ipを吐出してから次のインク滴を吐出するまでに時間Tbの待機が必要になる。高速印刷を実現するためには、インク滴の連続吐出に際してなるべく待機時間が短い方がよい。また、高解像度の印刷を実現するためには1主走査当たりにインクを吐出する回数が増加するので、待機時間を一定にするとその分印刷速度が低下してしまう。そこで、本実施形態においては、上記時間Tb以降においてのみインク滴を吐出するのではなく、解像度および印刷速度の設定により必要に応じて時間Taでのインク滴吐出を行うようになっている。
【0050】
時間Taにおいてインク滴を吐出すると、インク面が不安定であることに起因して時間Tbでのインク滴と比較して吐出量が変動する(インクの吐出タイミングによってインク量が変動する)。すなわち、プリンタ40においてピエゾ素子PEを伸張/収縮させる力やターゲットとなるインク吐出量が同じであっても吐出時間の差異によって吐出インク量が変動する。この結果、後述するようにインクデューティと明度との相関が変動するので、本実施形態においては、予め各時間Ta,Tbにてインクの吐出量を検出しておくことによって当該相関関係を把握し、相関データ42aとしてROM42に記録しておく。尚、本実施形態では色彩値として明度を考慮した場合について説明するが、むろん色彩値として彩度を採用しても良いことは上述の通りである。
【0051】
相関データ42aとしては、後述するハーフトーン処理モジュール21cが取得することによってサブ画素に対して上記相関を反映したインク吐出量の割り当てを実施することができれば良く、種々のフォーマットを採用可能である。尚、ROM42は当該変動割合データ42aを記憶しておき、読み出し可能に提供できればよいので、種々のROMを適用可能であるが、上述のようにインク量を計測してから書き込むという意味では、プリンタ40の組み上げ後にデータを書き込むことが可能なEEPROM等を利用するのが好ましい。また、上記図4に示すグラフは一例であり、ノズル形やピエゾ素子への電圧パターンによってインク面は種々の変化をする。
【0052】
上記図2において、コントロールIC45は、各インクカートリッジ48a〜48fに搭載された不揮発性メモリであるカートリッジメモリを制御するICであり、CPU41の制御によって、カートリッジメモリに記録されたインクの色や残量の情報の読み出しや、インク残量の情報の更新等がなされる。USB用I/O46はコンピュータ10のUSB用I/O19bと接続されており、プリンタ40はUSB用I/O46を介してコンピュータ10から送信されるデータを受信する。I/F47には、キャリッジ機構47aと紙送り機構47bとが接続されている。紙送り機構47bは、紙送りモータや紙送りローラなどからなり、印刷用紙などの印刷記録媒体を順次送り出して副走査を行う。キャリッジ機構47aは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジを備え、キャリッジを往復動させて印刷ヘッドを主走査させる。
【0053】
図5はコンピュータ10にて実現される印刷装置の主な制御系の概略構成図を示している。上記プリンタ40はコンピュータ10にインストールされたプリンタドライバに制御されて印刷を実行するようになっており、プリンタドライバはコンピュータ10を印刷制御装置として機能させる。具体的には、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付ける。
【0054】
APL25は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL25の実行下において上記操作用入力機器を操作し、RGBデータ15aが示す画像をレタッチするなどして印刷指示を行うことができる。APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、後述するLUT15bを参照して色変換を実行し、さらにハーフトーン処理等を実行しつつ印刷データを作成し、上記プリンタ40に印刷データを送出することによって印刷を実行する。
【0055】
すなわち、LUT15bは、RGBデータとKCMYlclmデータとの対応関係を規定するテーブルであり、所定数の参照点についてRGBデータとKCMYlclmデータとの各色階調値の組み合わせが規定されている。例えば、RGBデータについて、RGBの各要素色毎に256階調の階調値域を16分割して参照点を形成し、RGB各色について階調値「0,16,32,、、、255」の総ての組み合わせを規定するなどして参照点を規定する。
【0056】
色変換時には、色変換モジュール21bが各参照点を参照して補間演算を行い、より多数の参照点を有する中間テーブルに展開するとともに、当該中間テーブルの参照点を参照した補間演算によって上記RGBデータ15aの各画素についてRGBデータをKCMYlclmデータに変換する。むろん、LUTとしては、プリンタ40にて使用可能なメディアやインクセット毎に異なるテーブルを作成し、適宜選択可能に構成することもできる。尚、LUT15bにおいてはRGBデータの具体的な値をデータとして有する構成の他、予め決められた順番に特定のRGBデータの組について色を規定することとし、RGBデータの具体的な値を省いても良い。
【0057】
色変換モジュール21bが色変換を実施すると画像は各ドットについてKCMYlclmの各色について256階調で色成分を表現したデータとなっている。本実施形態にかかるプリンタ40においては各ドットについてインク滴を付着させる、あるいは付着させないという2階調で階調表現しており、ハーフトーン処理モジュール21cは相関データを参照しつつ各ドットのKCMYlclm階調値を各色成分毎に中間画像データに変換する。すなわち、本実施形態においては、上記KCMYlclmデータが請求項に言う画像データに相当する。
【0058】
本実施形態において、上記相関を示す相関データはHDD15にも保存されており、この相関データ15cはプリンタ40の製品出荷前に予め測定されたインク量やインクの性質等に基づいて決められており、プリンタドライバ21のインストール時にHDD15に書き込まれる。ハーフトーン処理モジュール21cは、上記プリンタ40のROM42に書き込まれた相関データ42aとHDD15に書き込まれた相関データ15cとのいずれをも利用することができる。むろん、いずれか一方のみを利用する構成等種々の実施形態を採用することができる。
【0059】
このハーフトーン処理の後、印刷データ生成モジュール21dはラスタライズ処理を行う。すなわち、プリンタ40においては上記ヘッドに上記吐出ノズルNzが列状に形成されており、当該ノズル列では副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替えるラスタライズ処理を行う。このラスタライズの後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、上記USB用I/O19bを介してプリンタ40に出力すと、プリンタ40においては当該印刷データに基づいて上記ディスプレイ18に表示された画像を印刷する。このプリンタ40においては、この印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0060】
(2)印刷制御処理:
以上の構成によって、プリンタドライバ21はプリンタ40の制御装置として機能し、印刷を実行する際のハーフトーン処理においてインクデューティと明度との相関が異なるインク同士では各サブ画素に対するインク吐出量の割り当て手法を変更することによって、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立している。図6は、本実施形態におけるデータ処理の流れを示す説明図であり、図7は印刷制御処理のフローチャートである。以下、これらの図を参照しながら情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを実現する様子を説明する。
【0061】
利用者が上記APL25にて印刷実行を指示すると、図7に示すフローに従って印刷処理を実行する。印刷処理が開始されるとステップS100において上記画像データ取得モジュール21aは上記RAM14に格納されたRGBデータ15aを取得する。ステップS110においては、上記RGBデータ15aの画素数と印刷に必要な画素数が整合しない場合に両者を整合させるための解像度変換を実行する。
【0062】
すなわち、APL25にて印刷実行するときには、利用者の指示に応じて解像度や印刷モードを予め決定することができ、決定された解像度での印刷に必要な画素数になるように、RGBデータ15aの画素数を増減する。尚、図6においては各画素を1つの正方形で示しており、同図左側には解像度変換後のRGBデータを示している。解像度変換においては、補間等によって画素数を増減しており、当該RGBデータは各画素256階調である。本実施形態においては、後述するように1画素について256階調で表現した画像データを4画素について各画素2階調で表現した中間画像データに変換しており、図6の左側に示すRGBデータと中央に示すKCMYlclmデータの画素数は同数なので、解像度変換においては印刷解像度を実現するための画素数の1/4の画素数になるように画素数の増減処理を実行することになる。むろん、RGBデータ15aの画素数が元々所望の値になっているときには、このステップS110をスキップして良い。
【0063】
解像度変換処理が行われると、画像データ取得モジュール21aが上記色変換モジュール21bを起動する。色変換モジュール21bは、ステップS120にて上記HDD15に記憶されたLUT15bを取得し、当該LUT15bを参照するとともに補間処理によって上記解像度変換後のRGBデータをKCMYlclmデータのドットデータに変換する。このKCMYlclmデータは各色256階調のデータであり、上述のように画素数は解像度変換後のRGBデータと同数である。
【0064】
(2−1)ハーフトーン処理:
次にステップS130〜S150にて、上記ハーフトーン処理モジュール21cがハーフトーン処理を行う。当該ハーフトーン処理においてはいわゆる濃度パターン法によって4画素からなるサブ画素へのインク吐出量を決定することによりサブ画素全体で4階調の中間画像データを生成している。図8は、本実施形態におけるハーフトーン処理を説明する説明図である。同図においてはサブ画素を構成する4画素を示しており、各画素が占める領域についてインク滴を付着させる数を変動させることによって5階調の表現が可能であることを示している。
【0065】
すなわち、インク滴の付着位置による差異を考慮しなければ、同図に示すようにインク滴数によってインク滴付着の有無によって5階調の表現が可能である。5階調を2進数で表現するとすれば3bit必要になり、また、3bitであれば8階調の表現が可能であるところ、図8に示すサブ画素で5階調を表現するためには無駄に情報容量を費やしてしまう。さらに、インクデューティと明度との相関としては、インクデューティのリニアな増加に対して明度がリニアに増加しない場合も多く、上記5階調のいずれかが冗長な階調になる場合がある。
【0066】
図9は、この一例を示す図である。同図においては、インクデューティ(%)を横軸,明度(L*)を縦軸とし、あるKインクとlcインクとのそれぞれについてインクデューティと明度との相関を示している。インクデューティは印刷媒体に対してインクを打ち込まない場合を0%,許容される最大打ち込み量を打ち込もうとする場合を100%としており、0%は上記KCMYlclmデータの階調値”0”,100%は上記KCMYlclmデータの階調値”256”に対応している。
【0067】
同図においては、上記KCMYlclmデータの各階調値に対応して本実施形態におけるハーフトーン処理を行わずに、インクデューティに対応したインク量での印刷を実行させようとした場合の一般的な相関を示している。従って、特定のデューティにおいて印刷媒体に付着するインクの絶対量や印刷媒体上のインク滴の厳密な位置が図9から特定されるとは限らない。すなわち、あるデューティで印刷を実行しようとしてもノズルの状況や高速印刷等の印刷モード等、種々の条件によって相関は変動し、本発明においては、この相関の変動に応じて濃度パターン法での階調を決定するものである。
【0068】
同図に示すKインクの例では、低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。同図に示すlcインクの例では、低デューティ域においてデューティの増大に対する明度の低下度合いが鈍く、中デューティから高デューティ域ではデューティの増大に対する明度の低下度合いが大きい。すなわち、Kインクにおいては、低デューティから中デューティ域での明度変化率が高デューティ域での明度変化率より大きい。また、lcインクにおいては、中デューティから高デューティ域での明度変化率が低デューティ域での明度変化率より大きい。従って、図9におけるKインクの高デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長(4個のサブ画素についてインク滴の数が多い場合にはその数の変化に応じて明度が明示的に変動しない)であり、図9におけるlcインクの低デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長である。
【0069】
(2−2)インク吐出量の割り当て:
そこで、Kインクでは低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくする。また、lcインクでは中デューティから高デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を低デューティ域より小さくする。さらに、本実施形態においては上記図8に示すようにサブ画素に対して吐出するインクのうちインク滴数が1個〜3個のいずれかを排除し、図8に示す4つのサブ画素にて4階調の表現をすることにしてある。これにより、全4階調を2ビットのデータにすることができる。従って、変換前の上記KCMYlclmデータの1画素について変換後の中間画像データでは2ビットで階調を特定することができる。
【0070】
具体的には、図9に示すようにKインクでは低デューティから中デューティ域にてインク滴数の増加率を小さくするためにインク滴数”0,1,2”を割り当てることになり、高デューティ域ではインク滴の増加率をこれより大きくするためにインク滴数”3”を排除し、インクデューティの増加に伴ってインク滴数が”2”から”4”に変化するように割り当てを行う。一方、lcインクでは図9に示すように中デューティから高デューティ域にてインク滴数の増加率を小さくするためにインク滴数”2,3,4”を割り当てることになり、低デューティ域ではインク滴の増加率をこれより大きくするためにインク滴数”1”を排除し、インクデューティの増加に伴ってインク滴数が”0”から”2”に変化するように割り当てを行う。
【0071】
以上のように各インクデューティに対する割り当てを行うと、上記画像データの各階調値増加に対してKインクではインク滴数が”0,1,2,4”と増加し、lcインクではインク滴が”0,2,3,4”と増加することになるが、両者とも冗長な階調が排除されているのでデータとしては2bitで十分でありながらも、明度の変化ピッチとしても大きなジャンプが無く、情報量の低減と条件変動(この場合はインク色の差異)に的確に対応した階調変化とを両立することができる。むろん、図9に示すKインクとlcインクとは一例であり、相関が上述の相対関係と同様の関係を満たすインクでは同様の考え方で割り当てを決定することができる。
【0072】
ハーフトーン処理モジュール21cは、以上のようにして各色毎に決定された割り当て手法に基づいて各色毎に中間画像データを生成しており、ステップS130にて相関データ42aと相関データ15cとを取得する。これらの相関データは各色インクのインクデューティと明度との相関を示す情報であり、ハーフトーン処理モジュール21cが当該相関データを参照することによってステップS140にて各色毎に割り当て手法を決定する。そして、ステップS150にて各色毎の割り当て手法によって各色毎に疑似中間データを生成する。
【0073】
印刷データ生成モジュール21dはかかる中間画像データを受け取って、ステップS160にてプリンタ40で使用される順番に並べ替える。そして、この並べ替えられたデータを印刷データとして出力する。この結果、プリンタ40にて上記RGBデータ15aに基づく画像が印刷される。尚、データをどの段階でプリンタ40に転送してもよく、上述のように並べ替え後のデータを転送する構成以外にも、色変換後画像データや中間画像データ等、種々の段階で転送することができる。むろん、並べ替え前の段階で転送する際には、プリンタ40側でインク滴の吐出/非吐出を画素毎に決定したデータであって、使用される順番に並べたデータを生成することになる。
【0074】
上記相関データ42a,15cはインクデューティと明度との相関を示す情報であって割り当ての決定に利用することができる限りにおいて種々の態様を採用可能である。例えば、各色インクについてデューティ域を複数の領域に分割して各領域での変化率を示すデータとしておけば、各領域毎に明度の変化率を容易に比較することができる。さらに、相関を予め測定するとともに各インクの相関をフラグで表現するとともに、ハーフトーン処理モジュール21cがこのフラグに基づいて割り当て手法を決定しても良く、他にも種々の態様を採用可能である。
【0075】
上述の具体例では、同一色インクにて異なるインクデューティ域での相対比較を行っていたが、むろん他の視点に基づいて割り当てを決定しても良い。図9の破線は各インクデューティ値にてlcインクの明度値を定数倍することによって規格化し、lcインクの明度域を仮想的にKインクの明度域と合致させた場合を示している。この規格化によって異なる色同士を比較して異なる色のインクについて異なる割り当てを行うことも可能である。
【0076】
同図に示すKインクと破線に示す規格化されたlcインクとで比較すると、低デューティから中デューティ域においてKインクは、インクデューティの増加に伴う明度の低下率がlcインクにおける低下率より大きい。また、中デューティから高デューティ域においてlcインクは、インクデューティの増加に伴う明度の低下率がKインクにおける低下率より大きい。そこで、Kインクの高デューティ域においてインク滴数の増加率を大きくし、lcインクの低デューティ域においてインク滴数の増加率を大きくする。各インクでのデューディ域におけるインク滴数の割り当ては、所望の情報容量に応じて適宜決定すればよい。(本実施形態の場合は、情報量を2bitにするためにインク滴数”0”と”4”の間に2階調与えることができ、例えば、Kインクでは高デューティ域で増加率を大きくしつつ残りの2階調を利用するためにインク滴数”1””2”を採用すればよい。)
【0077】
上記Kインクとlcインクとではインクデューティの増加に対する明度の変化率が他の値域より大きな値域が存在し、値域間での明度変化率の差異に起因して冗長なインク吐出量と非冗長なインク吐出量が存在したが、総ての場合にこのような有意な差が生じるとは限らない。この場合であっても情報量を低減することは可能である。図10は、この例を示しており、KインクとCインクとについてインクデューティと明度との相関を示している。尚、同図横軸と縦軸は上記図9と同様であり、Kインクについては上記図9に示す例と同様である。
【0078】
図10に示すCインクでは、全デューティ域で明度の変化率が急激に変化することなく、略一定の変化率である。従って、サブ画素の階調を表現する際に冗長なインク吐出量は存在しない。そこで、サブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することとし、図10に示す例では4階調のうち低デューティ側から3番目の階調を示すデータをインク滴数”2””3”のいずれかであるとする。従って、中間画像データを利用する際に上記3番目の階調を示すデータが存在する場合には、インク滴数”2””3”のいずれかに展開すればよい。
【0079】
かかる構成は、中間画像データをプリンタに転送し、プリンタ40側でラスタデータに展開する態様に対して適用すると好ましい。すなわち、かかる態様であれば、印刷時の4画素について2bitの小容量で階調表現した中間画像データを転送すれば良く、少ない情報量のデータ転送を行うことによって、高スループットのシステムを構築することができる。尚、本実施形態におけるハーフトーン処理モジュール21cは、256階調のKCMYlclmデータに基づいてサブ画素のインク滴数を決定するので、上述の例においてインク滴数”2””3”を割り当てるにあたり、インク滴数”2””3”が割り当てられるKCMYlclmデータの階調値域を他のデータ(例えば2番目の階調を示すデータ)より多くすると好ましい。
【0080】
また、2つのインク吐出量のいずれかを意味する階調を2つのインク吐出量に展開する際には、一定の比率でインク滴数”2””3”のいずれかに振り分けても良いし、ディザ法,重み付け演算,乱数等によっていずれかに振り分けても良く、種々の手法を採用可能である。さらに、上述の例ではサブ画素数が4であってので、2つのインク吐出量のいずれかを意味する階調を生成したが、むろん、サブ画素数が増えた場合に2つ以上のインク吐出量のいずれかを意味する階調を生成しても良い。
【0081】
(3)他の実施形態:
本発明においては、条件によって異なるインクデューティと明度との相関に対応させつつハーフトーン処理モジュール21cでの割り当てを実施することができれば良く、上述のように同一色インク内でのデューティ域相関の差異に対応したり、異色インク間の差異に対応する他にも種々の態様を採用可能である。例えば、飛翔インク滴の特性の差異に起因して生ずる相関の差異に対応させることが可能である。
【0082】
図11はインク滴の吐出周波数と吐出インク滴の重量との関係を示している。同図においては、横軸が時間であり縦軸がインク重量である。また、原点Oでのインク重量は上記図4に示す時間Tbでの吐出インク重量である。同図においては上記ピエゾ素子PEを駆動する力が一定であっても周波数がある程度大きくなるとインク重量が変動することを示している。
【0083】
具体的にはプリンタ40においてインク滴を吐出すると、上記図4に示すようにインク面が振動し、図4に示す時間Tb以降ではインク面が安定するので、この時間Tb以降の時間域でインク滴を吐出してもインク重量に変動はないが、時間Tbでインク滴を吐出すると、インク面がノズル開口部より下に位置していることに起因して吐出インク滴重量が増加する。時間Taでのインク滴吐出は、高解像度印刷や高解像度での印刷のようにインク滴吐出周波数が大きくなる場合に発生する。図11の曲線aは、この特性、すなわち、ある周波数以降では周波数の増大とともにインク重量が増大する特性を示している。
【0084】
尚、プリンタ40においては、周波数の増大とともにインク重量が増大するが、ノズル形やピエゾ素子PEの駆動特性によっては、インク滴吐出後のインク面振動の様子が変動し、周波数の増大とともにインク重量が減少する場合もある。図11の曲線cはかかる特性の一例を示している。いずれにしても、インク滴吐出の周波数によって吐出インク滴の重量が変動する場合がある。図12はインク滴の重量変動によるインクデューティと明度との相関の変動を説明する説明図である。横軸と縦軸とは上記図9と同様である。
【0085】
図において曲線bはインク滴の重量変動が無い場合(時間Tb以降でインク滴を吐出した場合)の相関を示しており、曲線a,曲線cは上述の図11と同様にそれぞれ時間Taのいずれかでインク滴を吐出することによってインク滴重量が増大する場合と減少する場合との相関を示している。図に示すように、インク滴重量が増減すると、インクデューティと明度との相関も変動し、同じ色のインクであってもインク滴吐出周波数によって上記ハーフトーン処理モジュール21cでの割り当て手法を変更すべき場合がある。
【0086】
具体的には、図12における曲線aでは低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。同図に示す曲線cでは、全デューティ域で明度の変化率が急激に変化することなく、略一定の変化率である。従って、曲線aの高デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長であり、曲線cサブ画素の階調を表現する際に冗長なインク吐出量は存在しない。
【0087】
そこで、曲線aのような特性である場合には、低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくする。また、曲線cのような特性の場合には、サブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することにする。この結果、インク重量に起因する相関の変動に的確に対応した階調変化と情報量の低減とを両立することができる。
【0088】
飛翔インク滴の特性としては、他にも種々の特性がある。例えば、インク滴の径を変動可能に構成する場合があり、この場合にもインク滴の径によってインクデューティと明度との相関が変動し、この変動に対応する割り当てを実施可能である。具体的には、上記サブ画素の1つ当たりに大中小いずれかの径のインク滴を吐出可能に構成することによりサブ画素の1つあたりで4階調の表現を行う例が該当する。大中小の径でインクを吐出するためには上記プリンタ40においてピエゾ素子PEに対する印加電圧パターンを変動させることによって実現可能である。
【0089】
図13は、大中小それぞれのインク滴(大中小ドット)において上記KCMYlclmデータの階調値に対して設定されたインクデューティ値の例をインク滴の径毎に示す図である。このように、KCMYlclmデータの低階調値域では主に小ドットを利用し、中階調値域では主に中ドットを利用し、高階調値域では大ドットを利用する。図14は、これら大中小ドットのそれぞれについてのインクデューティと明度との相関を示す図である。
【0090】
同図に示すように、大中小ドットではインクデューティと明度との相関が異なり、この例では小ドットと中ドットは全インクデューティ域に渡ってリニアに明度が変化するが、大ドットは低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。そこで、大ドットでは低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくし、小ドットと中ドットではサブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することにする。この結果、インク重量に起因する相関の変動に的確に対応した階調変化と情報量の低減とを両立することができる。
【0091】
条件によって異なるインクデューティと明度との相関に対応させつつハーフトーン処理モジュール21cでの割り当てを実施する際に、インク滴が印刷媒体上で占める面積を考慮しても良い。図15は印刷媒体上でインク滴が占める面積を説明する説明図である。同図においては、各サブ画素の一つについて大中小の各ドット径のインクを吐出可能な構成にてインクデューティを変化させた場合の面積変化を示している。
【0092】
同図では左から右に向けてインクデューティが増大した状況を示し、上側では小ドットのインク滴による面積,下側では大ドットのインク滴による面積を示している。尚、図における丸は印刷媒体上のインク滴を模式的に示している。図に示す例において、小ドットのインク滴は印刷媒体上で各サブ画素の一つに該当する領域(図15の1マス該当)内に含まれるが、大ドットのインク滴は各サブ画素の一つに該当する領域より大きい。
【0093】
従って、図に示す小ドットと大ドットでは左から右に向けてインク滴数の増加率は同一であるものの印刷媒体上でインクが占める面積の減少率は異なってくる。印刷媒体における明度は、照明および錐体の分光感度による寄与を除いて考えると、単位面積当たりに占めるインクの面積とその分光反射率との積および印刷媒体の露出面積とその分光反射率の積についての波長による積分から特定される。すなわち、インクデューティの増大に伴う明度変化は、インク滴が印刷媒体上で占める面積の増加率に依存性がある。
【0094】
図15の上側に示す小ドットでは、インクデューティの増大に伴ってインク滴同士が重ならないので、インクデューティの増大に伴う印刷媒体の露出面積の変化率は全インクデューティ値域に渡って大きく変動することはない。しかし、大ドットでは隣り合うインク滴同士が重なるので、インクデューティの増大に伴って印刷媒体の露出面積の変化率が変動する。すなわち、インク滴の面積を考慮したときに、小ドットではインクデューティの増大に伴う明度変化率は略一定であるが、大ドットではインクデューティの増大に伴う明度変化は高デューティ側で低下する傾向にある。
【0095】
従って、以上のように印刷媒体上のインク滴の面積に起因して変動するインクデューティと明度との相関に対応させてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを決定しても良い。尚、上述の例では同一径のインク滴について面積の変化率を説明したが、むろん、異なる径のインク滴を印刷媒体上で混在して使用する場合にその面積変化率に起因して変化するインクデューティと明度との相関に対応させても良い。
【0096】
さらに、インク滴の飛翔特性や当該飛翔特性に伴うインク滴付着位置の変動に起因して変動するインクデューティと明度との相関に対応させても良い。図16は、かかる例を示す図である。同図においてはプリンタ40に搭載されたキャリッジ47a1,47a2を示しており、キャリッジ47a1は主走査の往道時,キャリッジ47a2は主走査の復動時である。すなわち、この例は、キャリッジが往復動する際の双方にて印刷を実行する双方向印刷モードである。キャリッジ47a1,47a2から吐出されたインク滴は印刷媒体Pに向けて飛翔する際に慣性によって紙面右側あるいは左側にも移動するが、通常同じ画像データで印刷を実行した際には同じ位置にインク滴を付着させようとしている。
【0097】
しかし、図16に示すように往道と復動で微妙に位置がずれる場合もある。この場合には、インクデューティの増大に伴うインク滴の面積の変化率が往道と復動とで異なる。また、キャリッジの往道と復動のそれぞれにおいて同じ力でインク滴を吐出させたとしてもインク重量が微妙に変動する場合もある。これらの場合、インクデューティと明度との相関が往道と復動とで変動するので、この変動に対応させてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを変動させても良い。
【0098】
以上の実施形態においては、上記プリンタ40のROM42に記憶された相関データ42aやHDD15に記憶された相関データ42aやHDD15cに基づいてインクデューティと明度との相関を把握することによってこれに対応したインク吐出量の割り当てを実現していたが、ユーザーの入力に基づいてインクデューティと明度との相関を示す情報を取得しても良い。かかる構成であれば、プリンタ40の経時変化に対応することができて好適である。
【0099】
この例は、上記第1実施形態のコンピュータ10において所定のキャリブレーションプログラムを起動可能にする構成等によって実現することができる。具体的にはキャリプレーションプログラムによってインクデューティと明度との相関を明らかにする所定のパターンを印刷する。所定のパターン例としてはKインクによるパッチとCMY3色によるコンポジットグレーのパッチとを採用可能である。すなわち、キャリブレーションプログラムによってKインクによるパッチとCMY3色によるパッチとであって製品出荷時に両者が同等の明度になるようなパッチを印刷する。
【0100】
図17にはプリンタ40の出荷時でのKインクによるパッチとコンポジットグレーによるパッチのインクデューティに対する明度変化を示している。同図においては、横軸にインクデューティを示し、縦軸に明度を示しており、Kインクについては上記図9と同様であるが、コンポジットグレーにおいては、3色合わせた状態でのインクデューティを規定してグラフにプロットしている。図17に示すように、低デューティ域でのデューティ増加に伴う明度変化はKインクの方が急激であり、コンポジットグレーでは全デューティ域に渡って略一定の明度変化率である。
【0101】
上記キャリブレーションプログラムにて印刷するパッチの明度がL0のとき、同図に示すようにKインクでのパッチをデューティK1で印刷し、コンポジットグレーでのパッチをデューティK2で印刷することになる。プリンタ40の出荷時に、デューティK1でのKインクのパッチと、デューティK2でのコンポジットグレーのパッチが同明度L0であったとしても、経時変化によってインク吐出特性が変動すると、各パッチの明度が変動し得る。
【0102】
コンポジットグレーはCMY3色の組み合わせであることからいずれかのインクの吐出特性変動等によって明度が変動しやすい。そこで、コンポジットグレーにおいてインクデューティと明度との相関が変動した場合について説明する。インクの吐出特性変動等によって上記相関は図17の一点鎖線や破線のように変動する。一点鎖線の場合はデューティK2で印刷したパッチであっても明度が上昇し、破線の場合は低下する。
【0103】
そこで、上記コンピュータ10にてコンポジットグレーのパッチがKインクのパッチより暗い/明るいのいずれかを選択するためのUIを表示し、上記キーボード31やマウス32等の入力機器を介して利用者に暗い/明るいのいずれかを選択させる。そして、利用者が「暗い」を選択したときにはインクデューティと明度との相関が上記図17に示す破線のようになっているとし、上記ハーフトーン処理モジュール21cにて中間画像データを生成するときに低デューティから中デューティ域でインク吐出量変動率が小さくなるようにインク吐出量の割り当てを実施する。
【0104】
利用者が「明るい」を選択したときにはインクデューティと明度との相関が上記図17に示す一点鎖線のようになっているとし、上記ハーフトーン処理モジュール21cにて中間画像データを生成するときに高デューティ域でインク吐出量変動率が小さくなるようにインク吐出量の割り当てを実施する。この結果、プリンタ40におけるインク吐出特性の経時変化に対応したインク吐出量の割り当てを実施することが可能になる。以上説明したように、本発明によれば、濃度パターン法によってハーフトーン処理を実施する際に、種々の条件によって変動するインクデューティと明度との相関に対応させながらインク吐出量の割り当てを行うことができ、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷制御装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図2】プリンタの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図3】ノズルおよびその内部構造を拡大して示す図である。
【図4】インク面が振動する状態を示す図である。
【図5】印刷装置の主な制御系の概略構成図を示す図である。
【図6】データ処理の流れを示す説明図である。
【図7】印刷制御処理のフローチャートである。
【図8】ハーフトーン処理を説明する説明図である。
【図9】インクデューティと明度との相関の例を示す図である。
【図10】インクデューティと明度との相関の例を示す図である。
【図11】インク滴の吐出周波数と吐出インク滴の重量との関係を示す図である。
【図12】インク滴の重量変動によるインクデューティと明度との相関の変動を説明する説明図である。
【図13】大中小のインク滴を使用する場合のインクデューティ値の例を示す図である。
【図14】大中小ドットのそれぞれについてのインクデューティと明度との相関を示す図である。
【図15】印刷媒体上でインク滴が占める面積を説明する説明図である。
【図16】双方向印刷時のキャリッジを示す説明図である。
【図17】Kインクによるパッチとコンポジットグレーによるパッチのインクデューティに対する明度変化を示す図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ
11…CPU
12…システムバス
13…ROM
14…RAM
15…ハードディスクドライブ(HDD)
15a…RGBデータ
15b…LUT
15c,42a…相関データ
16…フレキシブルディスクドライブ
17…CD−ROMドライブ
18…ディスプレイ
20…OS
21…プリンタドライバ(PRTDRV)
21a…画像データ取得モジュール
21b…色変換モジュール
21c…ハーフトーン処理モジュール
21d…印刷データ生成モジュール
22…入力機器ドライバ(DRV)
23…ディスプレイドライバ(DRV)
25…アプリケーションプログラム(APL)
31…キーボード
32…マウス
40…プリンタ
41…CPU
42…ROM
43…RAM
44…ASIC
45…コントロールIC
47a…キャリッジ機構
47b…紙送り機構
48a〜48f…インクカートリッジ
48g…インク室
49…ヘッド駆動部
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンタの性能向上に伴って、高速化および高解像度化の要請も高まっている。高解像度での印刷を実現する際には一般に多くの画素に対する処理が必要であり、その処理の演算負担が大きくなる。例えば、印刷制御装置によって元画像を目的の印刷解像度で印刷するための画素数になるように画素を補間して拡大し、色変換処理およびハーフトーン処理を実行して各ドットに対するインクの吐出/非吐出を規定した印刷データを生成している。高解像度での印刷には多くの画素が必要になることから、印刷時の画素数と上記色変換処理を行う際の画素数が同等では非常に処理負担が大きく、処理に時間がかかってしまう。
【0003】
そこで、高速化のための一つの回答として従来の印刷制御装置では、ハーフトーン処理に濃度パターン法を利用することがある。濃度パターン法では、例えば多階調表現された1つの画素をn×n個(nは2以上の自然数)のサブ画素に対応させており、各サブ画素では2値の階調(インクの吐出/非吐出による2値)を与えつつn×n画素でのインク滴の数によって階調を表現している。従って、印刷解像度より少ない画素で上記色変換を行い、濃度パターン法によって形成される画素で印刷時の画素を構成すれば、中間段階で扱う画像データの画素数を抑えることができ、処理負担が小さくなる。また、上記1つの画素に対応する複数のサブ画素で表現される階調数を適宜調整することによって、当該サブ画素の階調を特定するのに必要なビット数を調整することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷制御装置においては、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化を両立することができなかった。すなわち、n×n個のサブ画素に割り当てるインク滴のパターン数が多いほど多階調を表現できるものの、多階調であればビット数が増加してしまう。ビット数を低減するために特定のインク滴数のパターンを排除しても、インクの色やノズルによってインクの吐出特性が異なることにより、各条件に適切に対応することができない。従って、特定のインクの色等、特定の条件によって最適な階調変化を表現できたとしても、総ての条件について必要最低限の情報量で最適な階調変化を表現することはできなかった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することが可能な印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、1画素の多階調データをそれより多くのサブ画素であって単位画素につきより少ない階調表現がなされた中間画像データに変換する濃度パターン法を実行して印刷を実行するに当たり、効果的に情報量を低減しつつもインクデューティ/色彩値特性に合わせてサブ画素の階調が的確に変化するように濃度パターンを選択することができる。すなわち、濃度パターン法を利用しているので、元々の1画素の階調を複数のサブ画素一体での階調表現とすることができる。このため、中間画像データへの変換時に画素数を増加させた段階で印刷解像度を実現するための画素数とすることができ、中間画像データへの変換対象となる画像データの画素数を印刷解像度を実現する画素数より少なくすることができる。従って、少ない情報量にて印刷を実行することができる。
【0006】
さらに、濃度パターン法でのインク吐出量の割り当てに際してサブ画素で表現される階調のピッチを非一定にすることによって冗長なインク吐出量での割り当てを行わないようにする。従って、排除したインク吐出量に対して情報容量を費やす必要がなくなり、少ない情報量でサブ画素の階調を表現することができる。本発明では、サブ画素に対する特定のインク吐出量を単に排除するのではなく、冗長なインク吐出量を排除している。すなわち、そのインク吐出量を排除したとしてもインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチに大きなジャンプを与えないインク吐出量を排除して、色彩値変化ピッチがなるべく一定になるようにしている。
【0007】
すなわち、インクデューティとその色彩値との相関はインクの色やインクの吐出タイミング,印刷速度,印刷モード等によって異なっており、インクデューティのリニアな増加に対して印刷媒体上での色彩値がリニアに変化しない場合もある。
【0008】
例えば、インクデューティがある程度増加すると色彩値の低下率が急激に小さくなる場合やインクデューティが少ないときにはデューティの増加に対して色彩値の低下率が小さいがある程度のデューティを超えると色彩値が急激に低下する場合等種々の場合が存在する。このように、デューティの増加に対して色彩値の低下率が小さい場合には、サブ画素に対するインク吐出量を細かく変動させても実効的な明度変化あるいは彩度変化が少ない。この状況で多くの階調変化を可能にしてもそれは冗長である。
【0009】
そこで、このような冗長なインク吐出量を排除すれば、色彩値の変化具合に大きなジャンプを与えずにこれらの変化の一定性を維持しながら情報量を低減することができる。また、インクデューティと色彩値との相関はインクの色や印刷条件によって異なることもあるが、上記冗長なインク吐出量の排除と色彩値の一定性の維持を図る構成では、インクの色や印刷条件毎の差異に的確に対応してインク吐出量の割り当てを変更することができるので、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することができる。
【0010】
ここで、インクデューティは単位面積当たりに打ち込まれるインク量を特定する指標であってインクを打ち込まない状況からインクを限界まで打ち込む状況までが全値域であり、各インク色毎にインクデューティを規定している。本明細書では各色インク毎のデューティをインクデューティとしており、インクデューティ値が同じ値であったとしてもインク色毎にインク吐出量が同一になるとは限らない。また、各インクデューティ値において、吐出するインク量を決定可能であるが、ターゲットとする吐出量が一定であるとしても、実際に吐出されるインク量としては上記吐出タイミング等の条件によって変動し得る。
【0011】
画像データとしては各画素の色を多階調表現していれば良く、通常は1画素について複数の色成分を備えたカラー画像データであるが、むろん、明度情報のみを利用したモノクロ画像データであっても良い。また、色成分としては特に限定されないが、中間画像データにて特定されるインク吐出量にて印刷を実行することに鑑みれば、印刷装置に搭載するインク色に対応した色成分を有する画像データであることが好ましい。むろん、色成分数としても特に限定されることはなく、4色,6色,7色等種々の色数を採用可能である。
【0012】
サブ画素数としても特に限定されない。すなわち、2以上の画素を有していればよい。尚、中間画像データへの変換に際して画像の縦横比を変動させないために、縦方向のサブ画素数×中間画像の縦画素数が縦方向の記録画素数であって横方向のサブ画素数×中間画像の横画素数が横方向の記録画素数であることが好ましい。サブ画素における階調表現としても種々の階調表現を採用可能であり、例えば、サブ画素の1つについてインクを吐出する状況と吐出しない状況とについての2階調与える構成であっても良いし、インク滴の径を大中小に調整可能に構成してサブ画素の1つについて4階調与える構成であっても良く、種々の構成を採用可能である。
【0013】
中間画像データにおいては、サブ画素の1つずつについてインク吐出量を特定することができれば良く、むろん、各画素をインク吐出順序通りに並べ替える処理等を付加しても良い。また、本明細書では、複数のサブ画素全体に対してインクを吐出する量を決定することを割り当ての決定としており、サブ画素全体でのインク滴の数や各サブ画素に対して吐出するインク滴の大きさを決定すること等が割り当ての決定に該当する。本発明における色彩値は、各インクデューティ値にて印刷を実行した場合にその印刷結果の色彩を数量で評価する指標であり、請求項2に記載の発明のように色彩値が明度であっても良いし彩度であっても良い。すなわち、単位面積当たりに記録されるインク量によっては明度や彩度が変動するし、濃淡インク滴を使い分ける際には同量であってもインク滴自体の濃淡が異なることによって媒体に記録された状態でその明度や彩度が異なる。そこで、これらの色彩値とインクデューティの相関に応じてサブ画素へのインク吐出量の割当を決定すればよい。
【0014】
冗長なインク吐出量を排除しつつ色彩値変化ピッチの一定性を維持する手法としては種々の手法を採用可能であり、その構成例として請求項3に記載の発明では、各インクにおいてインクデューティと色彩値との相関を考慮するに当たり、インクデューティの値域毎に相関を相対比較し、色彩値変化率が大きなインクデューティ値域で細かいインク量変化になるようにしている。すなわち、色彩値変化に対して冗長なインク吐出量は、上述のようにインク吐出量を細かく変動させても実効的な色彩値変化が少ない状況である。そこで、色彩値変化率が大きなインクデューティ値域で細かいインク量変化になるようにすれば、細かい階調が必要なインクデューティ値域において的確に階調表現することができる。
【0015】
尚、冗長なインク吐出量を排除するといっても、いずれのインク吐出量が冗長であるのかを判定しづらい場合もある。このような場合に、いずれかのインク吐出量での階調を排除しつつも、実際に印刷を実行する印刷装置において再度階調を増加させることも可能である。例えば、冗長なインク吐出量を排除した中間画像データを印刷装置に転送し、印刷装置側にてディザ法,重み付け演算,乱数等によって排除されたインク吐出量を再現すればよい。かかる構成は、インクデューティの増加に伴う色彩値の低下率変化が小さい場合、すなわち、インクデューティと色彩値の相関がリニアな場合であって、排除すべき階調を明確に特定しづらい状況に適用すると特に好適である。
【0016】
さらに、冗長なインク吐出量を排除しつつ色彩値変化ピッチの一定性を維持する手法の構成例として請求項4に記載の発明では、各インクにおいてインクデューティと色彩値との相関を考慮するに当たり、異なるインク同士で相関を相対比較し、相関が異なるインク同士で割り当て手法を変更している。従って、インクの色やインクの吐出タイミング,印刷速度,印刷モード等によって異なる種々の状況のそれぞれに対して的確に対応して割り当て手法を決定することができ、各インクのそれぞれにて必要充分な階調数で各インクの相関に適切に対応した中間画像データを生成することができる。
【0017】
さらに、インク同士で割り当て手法を変更する際の具体例として請求項5に記載の発明では、各インク同士で色彩値域を規格化し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクにおける低下率より小さいインクは、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより大きくしている。尚、異なるインク同士で色彩値の低下率を相対比較すると言っても、インクの色が異なればデューティの全値域で表現可能な色彩値域が異なるので、各インクにおいて色彩値の絶対値を無視して同じ色彩値幅であるかのように色彩値域を規格化する。これにより、インク同士で色彩値の低下率を相対的に比較することができる。
【0018】
かかる規格化をして考えた場合、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクより小さいインクは、当該他のインクと比較して冗長性が大きいと言える。従って、画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより大きくすることで冗長な階調を排除して情報量を低減することができる。尚、インクデューティの変化率と規格化された色彩値の変化率との相関は全インクデューティ値域に渡って略一定でない場合がほとんどであるので、むろん、2つのインクがサブ画素の全階調に渡って上記相対関係を満たしている必要はなく、一部のインクデューティ値域において上記相対関係を満たしている場合に適用することができる。
【0019】
上述のインク吐出量の割り当てによれば、上記ハーフトーン処理部にて各サブ画素に対してインク吐出量を割り当てるに際し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクにおける低下率より大きいインクについて、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより小さくすることができる。従って、インク吐出量の細かい変化が必要な値域での適切な階調変化を実現することができる。
【0020】
さらに、各サブ画素に対してインク吐出量を割り当てるに際し、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他の2つのインクにおける低下率の中間値となっているインクは、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他の2つのインクの中間値にする構成を採用しても良い。すなわち、上述のようにインクデューティの増加に伴う色彩値の低下率に応じてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを決定する際に、冗長な階調を排除すると情報量が低下するものの、インクデューティと色彩値との相関によっては2つの階調のうちいずれのインク吐出量を排除すべきか明確にならない場合もある。
【0021】
このような場合には、いずれかのインク吐出量での階調を排除しつつも、実際に印刷を実行する印刷装置において再度階調を増加させることも可能である。例えば、冗長なインク吐出量を排除することによって情報量を低減した中間画像データを印刷装置に転送し、印刷装置側にてディザ法,重み付け演算,乱数等によって排除されたインク吐出量を再現すればよい。かかる構成は、インクデューティの増加に伴う色彩値の低下率変化が小さい場合、すなわち、低下率がリニアな場合であって、排除すべきインク吐出量を明確に特定しづらい状況に適用すると特に好適である。
【0022】
また、請求項6にかかる発明では、元画像データについて解像度変換処理と色変換処理とハーフトーン処理とが実行可能であり、ハーフトーン処理によって生成されるサブ画素によって印刷解像度での画素数にする。ハーフトーン処理では、1画素のデータをそれより多いサブ画素からなるデータに変換しているので、ハーフトーン処理以前の色変換処理ではより少ない画素数での処理でよく、処理負担が低減され、高速での印刷が可能である。近年の印刷装置のように高解像度での印刷を実行したり非常に多くの画素からなる大判印刷装置等において、このような処理負担の低減は印刷速度高速化に大きく寄与する。
【0023】
ここで、解像度変換部においては画像データの拡大および縮小を実施することができればよい。すなわち、ハーフトーン処理の対象画素数が元の入力画像データの画素数より多ければ拡大処理を行えばよいし、ハーフトーン処理の対象画素数が元の入力画像データの画素数より少なければ縮小処理を行えばよい。拡大/縮小のアルゴリズムは特に限定されず、種々の補間演算等を採用可能である。色変換部においては、画像データの各画素を構成する色成分を印刷装置で使用されるインク色成分で表現した画像データに変換することができれば良く、ここでもアルゴリズムは限定されない。むろん、印刷制御装置においてインク色による多階調データを取得して処理を行う場合には、上記色変換部による処理は不要である。
【0024】
情報量を確実に低減するための構成例として請求項7にかかる発明では、サブ画素によって表現される階調数を、2n個としてある。すなわち、インク吐出量の変化ピッチを非一定とすることによって冗長な階調を排除するに当たり、サブ画素で表現される階調数をnビットとすれば、冗長な階調の排除によって階調表現に必要なビット数が(n+1)ビット以上からnビットに低減される。従って、サブ画素全体の階調を少ないビット数で特定することができ、中間画像データを少ない容量で形成することができる。nは2以上の自然数であると特に好ましい。
【0025】
本発明によれば、インクデューティと色彩値との相関の差異に応じて冗長な階調を排除することができ、当該相関における差異としては種々の視点を採用することができる。例えば、請求項8に記載の発明のように、相関が異なるインクとして色の異なるインクを採用することができる。すなわち、ブラックインクなどの濃いインクは高デューティになるほど明度変化率が小さくなる傾向にあるなど、色が異なればインクデューティと色彩値との相関が異なるので、かかる相関に応じて個別のインク吐出量の割り当てによって中間画像データを決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。
【0026】
さらに、請求項9に記載の発明のように、相関が異なるインクとしてノズルから飛翔するインク滴の特性が異なるインクを採用することができる。すなわち、同じデューティでインクを吐出しようとしても各ノズルから飛翔するインク滴の特性が異なることによって、実際に吐出されるインク量が異なる場合等が生じる。この結果、インクデューティと色彩値との相関がインク滴の特性によって変動する。そこで、かかる相関に応じて中間画像データの階調を決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。
【0027】
インク滴の特性を決定する要因としては種々の要因があり、これらのいずれが反映された相関であっても考慮することができる。具体的には、インクをインク室から吐出させる力が一定であったとしても、インク面が振動している状態で吐出したインク量とインク面が安定している状態で吐出したインク量とではその量が異なるので、このようなインク面の安定性に起因するインク量変動を反映させた相関を加味しても良い。また、インク滴を吐出した後にインク面が安定になるまでには所定の時間が必要であるが、この時間を十分に確保しないで次のインクを吐出する場合、例えば、高速印刷や高解像度印刷を実現しようとしたときにインク面が不安定であってもインク量の吐出を行うことがあり、この場合に適用することができる。
【0028】
また、印刷装置において複数のノズルからインク滴を吐出させることが一般的であるが、各ノズルの組み上げ誤差によって吐出されるインクの量や飛翔方向が異なることもあるので、この組み上げ誤差を反映させた相関を加味しても良い。さらに、印刷モードによっても上記相関が異なる場合がでてくる。例えば、双方向印刷モード(ヘッドの往復動の双方にてインクを吐出するモード)と単方向印刷モードとでは相関が異なる。むろん、印刷媒体によってもインクデューティと色彩値の相関は異なるので、印刷媒体の差異によって異なる相関を加味しても良い。
【0029】
さらに、請求項10に記載の発明のように、相関が異なるインクとして単位吐出回数でのインク量が異なるインクを採用することができる。すなわち、吐出インク径が異なる場合には、インクデューティの値が同値であったとしても印刷媒体上でインクが占める面積が異なるので、色彩値が異なってくる。そこで、かかる相関に応じて中間画像データの階調を決定することにより、インク色毎に適切なインク吐出量となった中間画像データを生成することができる。このように、印刷媒体上で単位面積当たりに付着されるインク量が異なると、インクデューティと色彩値との相関が異なるので、請求項11に記載の発明を採用することもできる。
【0030】
本発明においてインクデューティと色彩値との相関に対応したインク吐出量の割り当てを行うためには、予め決まった規則に沿って割り当てを行っても良いし、相関を示す情報を取得して当該情報を参照しつつ行っても良い。前者は例えば、インクの色によって相関が異なり、その相関が明らかであるときに、予めこの相関を加味した割り当てアルゴリズムを作成するなどして対応することができる。
【0031】
後者を実現するための構成としては種々の構成を採用可能であるが、その一例として請求項12に記載の発明のように、所定の記憶媒体に記憶された情報に基づいてインクデューティの増加に伴う色彩値の変化率に応じて冗長なインク吐出量の排除とインク吐出量の割り当てを実施する構成を採用可能である。すなわち、相関を示す情報を記憶して利用する構成であれば、印刷装置の機体や状況によって変動する相関を非常に容易に反映させてインク吐出量の割り当てを決定することができる。また、相関を示す情報を特定のフォーマットで記述することにより、相関を反映するためのアルゴリズムとして汎用的なものを作成しておけば種々の相関を反映させることが可能になる。
【0032】
相関を示す情報は所定の記憶媒体に記憶し、その情報を取得できれば良く、記憶媒体としては印刷装置に備えられていても良いし、印刷装置と印刷制御装置とが別体であるときに印刷制御装置側に備えられていても良い。むろん、分散処理をする際に印刷装置と印刷制御装置以外のコンピュータに備えられていても良い。印刷装置に備えられた記憶媒体を利用する際には、工場において印刷装置を製造する際に上記相関を示す情報を書き込むのが好ましい。印刷制御装置となるコンピュータに備えられた記憶媒体を利用する場合には、当該コンピュータを印刷制御装置として利用可能にセットアップする際(例えば、印刷制御プログラムのインストール時)に当該コンピュータのハードディスクドライブに書き込む構成等を採用可能である。
【0033】
さらに、ユーザが入力した相関に対応できるように構成することもできる。かかる構成の具体例としては、請求項13に記載の発明のようにパターン印刷制御部によって各インク毎に所定のパターンを印刷し、このパターンから判明するパターン同士の相対的な明るさを示す情報を入力させ、当該相対的な明るさを示す情報からインクデューティと色彩値との相関を示す情報を取得すればよい。この結果、利用者が入力した情報に基づいて個々のプリンタによって異なるインクデューティと色彩値との相関を把握することができ、当該相関に応じてインク吐出量の割り当てを実施することが可能になる。
【0034】
また、本発明においては、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立することが可能であり、これを実現するための構成として請求項14にかかる構成を採用することもできる。すなわち、ハーフトーン処理を行って1画素の多階調をn×m画素での階調表現に変換するに当たり、インクデューティの増加に対する明度の変化率が他の値域より大きなインクデューティ値域では当該他の値域より上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を小さくしながら上記画像データを中間画像データに変換する。
【0035】
かかる構成により、冗長な階調を排除しつつもインクデューティと色彩値との相関に的確に対応した変換を行うことができる。従って、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化を両立することができる。また、印刷データ生成手段は疑似中間データにて特定されるインク吐出量で印刷を実行させるデータを生成することができればよく、印刷モード等に応じて適宜ラスタライズを行う等種々の処理を付加することは可能である。むろん、このような構成において上記請求項2〜請求項13と同様な構成を採用することもできる。
【0036】
本発明にかかる印刷制御装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。発明の思想の具現化例として印刷制御装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるし、当該ソフトウェア自体としても発明は成立する。このため、上記請求項15にかかる発明は、上記請求項1に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項13に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能であるし、請求項14に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能である。
【0037】
むろん、このプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。上記媒体とは異なるが、供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0038】
また、このような印刷制御装置の制御においては各手段が所定の制御手順で処理を進めていく上で、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然であり、方法としても適用可能である。このため、請求項16にかかる発明は、上記請求項1に対応させた工程からなる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項13に対応させた工程を具備する構成も実現可能であるし、請求項14に対応させた工程を具備する構成も実現可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の構成:
(2)印刷制御処理:
(2−1)ハーフトーン処理:
(2−2)インク吐出量の割り当て:
(3)他の実施形態:
【0040】
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる印刷制御装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示しており、図2はプリンタの概略ハードウェア構成を示している。コンピュータ10はROM13やRAM14からなるプログラム実行環境を備えており、システムバス12を介しデータを授受して所定のプログラムを実行可能である。システムバス12には外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)15とフレキシブルディスクドライブ16とCD−ROMドライブ17とが接続されており、HDD15に記憶されたOS20やアプリケーションプログラム(APL)25等がRAM14に転送され上記プログラムが実行される。
【0041】
本実施形態においては、このプログラム実行環境にて後述のプリンタドライバが実行されることによりコンピュータ10が印刷制御装置を構成する。従って、このプリンタドライバが印刷制御プログラムにも該当する。むろん、プリンタ本体にプログラム実行環境を構築し、プリンタ単体で印刷制御装置を形成しても良く、この場合は印刷制御装置および印刷制御プログラムがプリンタに内蔵される。
【0042】
コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはUSB用I/O19bを介して接続が可能である。尚、本コンピュータ10としては、いわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良く種々の形態で実現可能である。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくシリアルインタフェースやSCSI接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
【0043】
この例では各プログラムの類はHDD15に記憶されているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブルディスク16aであるとか、CD−ROM17aであってもよい。これらの記録媒体に記録されたプログラムはコンピュータ10にて読み込まれ、HDD15にインストールされる。インストール後にはHDD15を介してRAM14上に読み込まれてコンピュータを制御することになる。また、記録媒体はこれに限らず、光磁気ディスクなどであってもよい。また、半導体デバイスとしてフラッシュカードなどの不揮発性メモリなどを利用することも可能であるし、モデムや通信回線を介して外部のファイルサーバにアクセスしてダウンロードする場合には通信回線が伝送媒体となって本発明が利用される。
【0044】
一方、図2に示すように、プリンタ40内部に設けられたバス40aには、CPU41、ROM42、RAM43、ASIC44、コントロールIC45、USB用I/O46、イメージデータや駆動信号などを送信するためのインターフェイス(I/F)47、等が接続されている。そして、CPU41が、RAM43をワークエリアとして利用しながらROM42に書き込まれたプログラムに従って各部を制御する。ASIC44は図示しない印刷ヘッドを駆動するためにカスタマイズされたICであり、CPU41と所定の信号を送受信しつつ印刷ヘッド駆動のための処理を行う。また、ヘッド駆動部49に対して印加電圧データを出力する。
【0045】
ヘッド駆動部49は、専用ICと駆動用トランジスタ等からなる回路である。同ヘッド駆動部49は、ASIC44から入力される印加電圧データに基づいて印刷ヘッドに内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成する。印刷ヘッドは、KCMYlclm(順にブラック,シアン,マゼンタ,イエロー,ライトシアン,ライトマゼンタ)の6色のインクが充填されたインクカートリッジ48a〜48fを搭載可能なカートリッジホルダ48とインク別のチューブで接続されており、各インクの供給を受けるようになっている。
【0046】
印刷ヘッドのインク吐出部には、6色のインクのそれぞれを吐出する6組のノズル列が印刷ヘッドの主走査方向に並ぶように形成され、ノズル列のそれぞれでは複数のノズルが副走査方向に一定の間隔で配置されている。図3は、ノズルおよびその内部構造を拡大して示す図である。同図に示すように上記インクカートリッジ48a〜48f内のインクとインク室48gとは上記チューブを介して連通され、ヘッドの下側で開口したノズルNzの開口部にまでインクが供給されている。
【0047】
ピエゾ素子PEは上記ヘッド駆動部49が生成する印加電圧によって伸張/収縮し、インク室48gの容積を変動させる。この結果、上記ノズルNzの開口部からインク滴Ipが吐出され、当該インク滴Ipが印刷媒体に付着することによって印刷がなされる。このインク滴Ipが吐出された後には、インク滴Ipとして飛翔しないインクがインク室48gに残るが、その際にノズルNzの開口部付近でインク面が振動する。すなわち、ピエゾ素子PEに対して電圧が印加されていない状態ではノズルNz開口部のインク面は安定的にヘッドの下面と略同一面を形成しているが、インク滴が吐出された直後にはインク面が振動する不安定状態になり、所定時間経過後に安定状態に戻る。
【0048】
図4は、この様子を示す図である。同図において横軸は時間であり、縦軸はインク面の変位量である。横軸の原点はピエゾ素子PEに対して電圧印加を開始した時間であり、縦軸の原点は上記安定状態でのインク面の位置を示している。すなわち、インク面が時間とともにヘッド下面よりさらに下側にあるときは縦軸の負の方向に変位し、ヘッド下面より上側にあるときは縦軸の正の方向に変位する。同図に示す時間Tbではインク面は安定しているので、主走査方向に連続的にインク滴Ipを吐出する場合であっても当該時間Tbに達してから次のインク滴Ipを吐出するように構成すれば、インク滴Ipの吐出量は安定する。
【0049】
しかし、この安定状態のみを利用するためにはあるインク滴Ipを吐出してから次のインク滴を吐出するまでに時間Tbの待機が必要になる。高速印刷を実現するためには、インク滴の連続吐出に際してなるべく待機時間が短い方がよい。また、高解像度の印刷を実現するためには1主走査当たりにインクを吐出する回数が増加するので、待機時間を一定にするとその分印刷速度が低下してしまう。そこで、本実施形態においては、上記時間Tb以降においてのみインク滴を吐出するのではなく、解像度および印刷速度の設定により必要に応じて時間Taでのインク滴吐出を行うようになっている。
【0050】
時間Taにおいてインク滴を吐出すると、インク面が不安定であることに起因して時間Tbでのインク滴と比較して吐出量が変動する(インクの吐出タイミングによってインク量が変動する)。すなわち、プリンタ40においてピエゾ素子PEを伸張/収縮させる力やターゲットとなるインク吐出量が同じであっても吐出時間の差異によって吐出インク量が変動する。この結果、後述するようにインクデューティと明度との相関が変動するので、本実施形態においては、予め各時間Ta,Tbにてインクの吐出量を検出しておくことによって当該相関関係を把握し、相関データ42aとしてROM42に記録しておく。尚、本実施形態では色彩値として明度を考慮した場合について説明するが、むろん色彩値として彩度を採用しても良いことは上述の通りである。
【0051】
相関データ42aとしては、後述するハーフトーン処理モジュール21cが取得することによってサブ画素に対して上記相関を反映したインク吐出量の割り当てを実施することができれば良く、種々のフォーマットを採用可能である。尚、ROM42は当該変動割合データ42aを記憶しておき、読み出し可能に提供できればよいので、種々のROMを適用可能であるが、上述のようにインク量を計測してから書き込むという意味では、プリンタ40の組み上げ後にデータを書き込むことが可能なEEPROM等を利用するのが好ましい。また、上記図4に示すグラフは一例であり、ノズル形やピエゾ素子への電圧パターンによってインク面は種々の変化をする。
【0052】
上記図2において、コントロールIC45は、各インクカートリッジ48a〜48fに搭載された不揮発性メモリであるカートリッジメモリを制御するICであり、CPU41の制御によって、カートリッジメモリに記録されたインクの色や残量の情報の読み出しや、インク残量の情報の更新等がなされる。USB用I/O46はコンピュータ10のUSB用I/O19bと接続されており、プリンタ40はUSB用I/O46を介してコンピュータ10から送信されるデータを受信する。I/F47には、キャリッジ機構47aと紙送り機構47bとが接続されている。紙送り機構47bは、紙送りモータや紙送りローラなどからなり、印刷用紙などの印刷記録媒体を順次送り出して副走査を行う。キャリッジ機構47aは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジを備え、キャリッジを往復動させて印刷ヘッドを主走査させる。
【0053】
図5はコンピュータ10にて実現される印刷装置の主な制御系の概略構成図を示している。上記プリンタ40はコンピュータ10にインストールされたプリンタドライバに制御されて印刷を実行するようになっており、プリンタドライバはコンピュータ10を印刷制御装置として機能させる。具体的には、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付ける。
【0054】
APL25は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL25の実行下において上記操作用入力機器を操作し、RGBデータ15aが示す画像をレタッチするなどして印刷指示を行うことができる。APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、後述するLUT15bを参照して色変換を実行し、さらにハーフトーン処理等を実行しつつ印刷データを作成し、上記プリンタ40に印刷データを送出することによって印刷を実行する。
【0055】
すなわち、LUT15bは、RGBデータとKCMYlclmデータとの対応関係を規定するテーブルであり、所定数の参照点についてRGBデータとKCMYlclmデータとの各色階調値の組み合わせが規定されている。例えば、RGBデータについて、RGBの各要素色毎に256階調の階調値域を16分割して参照点を形成し、RGB各色について階調値「0,16,32,、、、255」の総ての組み合わせを規定するなどして参照点を規定する。
【0056】
色変換時には、色変換モジュール21bが各参照点を参照して補間演算を行い、より多数の参照点を有する中間テーブルに展開するとともに、当該中間テーブルの参照点を参照した補間演算によって上記RGBデータ15aの各画素についてRGBデータをKCMYlclmデータに変換する。むろん、LUTとしては、プリンタ40にて使用可能なメディアやインクセット毎に異なるテーブルを作成し、適宜選択可能に構成することもできる。尚、LUT15bにおいてはRGBデータの具体的な値をデータとして有する構成の他、予め決められた順番に特定のRGBデータの組について色を規定することとし、RGBデータの具体的な値を省いても良い。
【0057】
色変換モジュール21bが色変換を実施すると画像は各ドットについてKCMYlclmの各色について256階調で色成分を表現したデータとなっている。本実施形態にかかるプリンタ40においては各ドットについてインク滴を付着させる、あるいは付着させないという2階調で階調表現しており、ハーフトーン処理モジュール21cは相関データを参照しつつ各ドットのKCMYlclm階調値を各色成分毎に中間画像データに変換する。すなわち、本実施形態においては、上記KCMYlclmデータが請求項に言う画像データに相当する。
【0058】
本実施形態において、上記相関を示す相関データはHDD15にも保存されており、この相関データ15cはプリンタ40の製品出荷前に予め測定されたインク量やインクの性質等に基づいて決められており、プリンタドライバ21のインストール時にHDD15に書き込まれる。ハーフトーン処理モジュール21cは、上記プリンタ40のROM42に書き込まれた相関データ42aとHDD15に書き込まれた相関データ15cとのいずれをも利用することができる。むろん、いずれか一方のみを利用する構成等種々の実施形態を採用することができる。
【0059】
このハーフトーン処理の後、印刷データ生成モジュール21dはラスタライズ処理を行う。すなわち、プリンタ40においては上記ヘッドに上記吐出ノズルNzが列状に形成されており、当該ノズル列では副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替えるラスタライズ処理を行う。このラスタライズの後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、上記USB用I/O19bを介してプリンタ40に出力すと、プリンタ40においては当該印刷データに基づいて上記ディスプレイ18に表示された画像を印刷する。このプリンタ40においては、この印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0060】
(2)印刷制御処理:
以上の構成によって、プリンタドライバ21はプリンタ40の制御装置として機能し、印刷を実行する際のハーフトーン処理においてインクデューティと明度との相関が異なるインク同士では各サブ画素に対するインク吐出量の割り当て手法を変更することによって、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立している。図6は、本実施形態におけるデータ処理の流れを示す説明図であり、図7は印刷制御処理のフローチャートである。以下、これらの図を参照しながら情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを実現する様子を説明する。
【0061】
利用者が上記APL25にて印刷実行を指示すると、図7に示すフローに従って印刷処理を実行する。印刷処理が開始されるとステップS100において上記画像データ取得モジュール21aは上記RAM14に格納されたRGBデータ15aを取得する。ステップS110においては、上記RGBデータ15aの画素数と印刷に必要な画素数が整合しない場合に両者を整合させるための解像度変換を実行する。
【0062】
すなわち、APL25にて印刷実行するときには、利用者の指示に応じて解像度や印刷モードを予め決定することができ、決定された解像度での印刷に必要な画素数になるように、RGBデータ15aの画素数を増減する。尚、図6においては各画素を1つの正方形で示しており、同図左側には解像度変換後のRGBデータを示している。解像度変換においては、補間等によって画素数を増減しており、当該RGBデータは各画素256階調である。本実施形態においては、後述するように1画素について256階調で表現した画像データを4画素について各画素2階調で表現した中間画像データに変換しており、図6の左側に示すRGBデータと中央に示すKCMYlclmデータの画素数は同数なので、解像度変換においては印刷解像度を実現するための画素数の1/4の画素数になるように画素数の増減処理を実行することになる。むろん、RGBデータ15aの画素数が元々所望の値になっているときには、このステップS110をスキップして良い。
【0063】
解像度変換処理が行われると、画像データ取得モジュール21aが上記色変換モジュール21bを起動する。色変換モジュール21bは、ステップS120にて上記HDD15に記憶されたLUT15bを取得し、当該LUT15bを参照するとともに補間処理によって上記解像度変換後のRGBデータをKCMYlclmデータのドットデータに変換する。このKCMYlclmデータは各色256階調のデータであり、上述のように画素数は解像度変換後のRGBデータと同数である。
【0064】
(2−1)ハーフトーン処理:
次にステップS130〜S150にて、上記ハーフトーン処理モジュール21cがハーフトーン処理を行う。当該ハーフトーン処理においてはいわゆる濃度パターン法によって4画素からなるサブ画素へのインク吐出量を決定することによりサブ画素全体で4階調の中間画像データを生成している。図8は、本実施形態におけるハーフトーン処理を説明する説明図である。同図においてはサブ画素を構成する4画素を示しており、各画素が占める領域についてインク滴を付着させる数を変動させることによって5階調の表現が可能であることを示している。
【0065】
すなわち、インク滴の付着位置による差異を考慮しなければ、同図に示すようにインク滴数によってインク滴付着の有無によって5階調の表現が可能である。5階調を2進数で表現するとすれば3bit必要になり、また、3bitであれば8階調の表現が可能であるところ、図8に示すサブ画素で5階調を表現するためには無駄に情報容量を費やしてしまう。さらに、インクデューティと明度との相関としては、インクデューティのリニアな増加に対して明度がリニアに増加しない場合も多く、上記5階調のいずれかが冗長な階調になる場合がある。
【0066】
図9は、この一例を示す図である。同図においては、インクデューティ(%)を横軸,明度(L*)を縦軸とし、あるKインクとlcインクとのそれぞれについてインクデューティと明度との相関を示している。インクデューティは印刷媒体に対してインクを打ち込まない場合を0%,許容される最大打ち込み量を打ち込もうとする場合を100%としており、0%は上記KCMYlclmデータの階調値”0”,100%は上記KCMYlclmデータの階調値”256”に対応している。
【0067】
同図においては、上記KCMYlclmデータの各階調値に対応して本実施形態におけるハーフトーン処理を行わずに、インクデューティに対応したインク量での印刷を実行させようとした場合の一般的な相関を示している。従って、特定のデューティにおいて印刷媒体に付着するインクの絶対量や印刷媒体上のインク滴の厳密な位置が図9から特定されるとは限らない。すなわち、あるデューティで印刷を実行しようとしてもノズルの状況や高速印刷等の印刷モード等、種々の条件によって相関は変動し、本発明においては、この相関の変動に応じて濃度パターン法での階調を決定するものである。
【0068】
同図に示すKインクの例では、低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。同図に示すlcインクの例では、低デューティ域においてデューティの増大に対する明度の低下度合いが鈍く、中デューティから高デューティ域ではデューティの増大に対する明度の低下度合いが大きい。すなわち、Kインクにおいては、低デューティから中デューティ域での明度変化率が高デューティ域での明度変化率より大きい。また、lcインクにおいては、中デューティから高デューティ域での明度変化率が低デューティ域での明度変化率より大きい。従って、図9におけるKインクの高デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長(4個のサブ画素についてインク滴の数が多い場合にはその数の変化に応じて明度が明示的に変動しない)であり、図9におけるlcインクの低デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長である。
【0069】
(2−2)インク吐出量の割り当て:
そこで、Kインクでは低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくする。また、lcインクでは中デューティから高デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を低デューティ域より小さくする。さらに、本実施形態においては上記図8に示すようにサブ画素に対して吐出するインクのうちインク滴数が1個〜3個のいずれかを排除し、図8に示す4つのサブ画素にて4階調の表現をすることにしてある。これにより、全4階調を2ビットのデータにすることができる。従って、変換前の上記KCMYlclmデータの1画素について変換後の中間画像データでは2ビットで階調を特定することができる。
【0070】
具体的には、図9に示すようにKインクでは低デューティから中デューティ域にてインク滴数の増加率を小さくするためにインク滴数”0,1,2”を割り当てることになり、高デューティ域ではインク滴の増加率をこれより大きくするためにインク滴数”3”を排除し、インクデューティの増加に伴ってインク滴数が”2”から”4”に変化するように割り当てを行う。一方、lcインクでは図9に示すように中デューティから高デューティ域にてインク滴数の増加率を小さくするためにインク滴数”2,3,4”を割り当てることになり、低デューティ域ではインク滴の増加率をこれより大きくするためにインク滴数”1”を排除し、インクデューティの増加に伴ってインク滴数が”0”から”2”に変化するように割り当てを行う。
【0071】
以上のように各インクデューティに対する割り当てを行うと、上記画像データの各階調値増加に対してKインクではインク滴数が”0,1,2,4”と増加し、lcインクではインク滴が”0,2,3,4”と増加することになるが、両者とも冗長な階調が排除されているのでデータとしては2bitで十分でありながらも、明度の変化ピッチとしても大きなジャンプが無く、情報量の低減と条件変動(この場合はインク色の差異)に的確に対応した階調変化とを両立することができる。むろん、図9に示すKインクとlcインクとは一例であり、相関が上述の相対関係と同様の関係を満たすインクでは同様の考え方で割り当てを決定することができる。
【0072】
ハーフトーン処理モジュール21cは、以上のようにして各色毎に決定された割り当て手法に基づいて各色毎に中間画像データを生成しており、ステップS130にて相関データ42aと相関データ15cとを取得する。これらの相関データは各色インクのインクデューティと明度との相関を示す情報であり、ハーフトーン処理モジュール21cが当該相関データを参照することによってステップS140にて各色毎に割り当て手法を決定する。そして、ステップS150にて各色毎の割り当て手法によって各色毎に疑似中間データを生成する。
【0073】
印刷データ生成モジュール21dはかかる中間画像データを受け取って、ステップS160にてプリンタ40で使用される順番に並べ替える。そして、この並べ替えられたデータを印刷データとして出力する。この結果、プリンタ40にて上記RGBデータ15aに基づく画像が印刷される。尚、データをどの段階でプリンタ40に転送してもよく、上述のように並べ替え後のデータを転送する構成以外にも、色変換後画像データや中間画像データ等、種々の段階で転送することができる。むろん、並べ替え前の段階で転送する際には、プリンタ40側でインク滴の吐出/非吐出を画素毎に決定したデータであって、使用される順番に並べたデータを生成することになる。
【0074】
上記相関データ42a,15cはインクデューティと明度との相関を示す情報であって割り当ての決定に利用することができる限りにおいて種々の態様を採用可能である。例えば、各色インクについてデューティ域を複数の領域に分割して各領域での変化率を示すデータとしておけば、各領域毎に明度の変化率を容易に比較することができる。さらに、相関を予め測定するとともに各インクの相関をフラグで表現するとともに、ハーフトーン処理モジュール21cがこのフラグに基づいて割り当て手法を決定しても良く、他にも種々の態様を採用可能である。
【0075】
上述の具体例では、同一色インクにて異なるインクデューティ域での相対比較を行っていたが、むろん他の視点に基づいて割り当てを決定しても良い。図9の破線は各インクデューティ値にてlcインクの明度値を定数倍することによって規格化し、lcインクの明度域を仮想的にKインクの明度域と合致させた場合を示している。この規格化によって異なる色同士を比較して異なる色のインクについて異なる割り当てを行うことも可能である。
【0076】
同図に示すKインクと破線に示す規格化されたlcインクとで比較すると、低デューティから中デューティ域においてKインクは、インクデューティの増加に伴う明度の低下率がlcインクにおける低下率より大きい。また、中デューティから高デューティ域においてlcインクは、インクデューティの増加に伴う明度の低下率がKインクにおける低下率より大きい。そこで、Kインクの高デューティ域においてインク滴数の増加率を大きくし、lcインクの低デューティ域においてインク滴数の増加率を大きくする。各インクでのデューディ域におけるインク滴数の割り当ては、所望の情報容量に応じて適宜決定すればよい。(本実施形態の場合は、情報量を2bitにするためにインク滴数”0”と”4”の間に2階調与えることができ、例えば、Kインクでは高デューティ域で増加率を大きくしつつ残りの2階調を利用するためにインク滴数”1””2”を採用すればよい。)
【0077】
上記Kインクとlcインクとではインクデューティの増加に対する明度の変化率が他の値域より大きな値域が存在し、値域間での明度変化率の差異に起因して冗長なインク吐出量と非冗長なインク吐出量が存在したが、総ての場合にこのような有意な差が生じるとは限らない。この場合であっても情報量を低減することは可能である。図10は、この例を示しており、KインクとCインクとについてインクデューティと明度との相関を示している。尚、同図横軸と縦軸は上記図9と同様であり、Kインクについては上記図9に示す例と同様である。
【0078】
図10に示すCインクでは、全デューティ域で明度の変化率が急激に変化することなく、略一定の変化率である。従って、サブ画素の階調を表現する際に冗長なインク吐出量は存在しない。そこで、サブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することとし、図10に示す例では4階調のうち低デューティ側から3番目の階調を示すデータをインク滴数”2””3”のいずれかであるとする。従って、中間画像データを利用する際に上記3番目の階調を示すデータが存在する場合には、インク滴数”2””3”のいずれかに展開すればよい。
【0079】
かかる構成は、中間画像データをプリンタに転送し、プリンタ40側でラスタデータに展開する態様に対して適用すると好ましい。すなわち、かかる態様であれば、印刷時の4画素について2bitの小容量で階調表現した中間画像データを転送すれば良く、少ない情報量のデータ転送を行うことによって、高スループットのシステムを構築することができる。尚、本実施形態におけるハーフトーン処理モジュール21cは、256階調のKCMYlclmデータに基づいてサブ画素のインク滴数を決定するので、上述の例においてインク滴数”2””3”を割り当てるにあたり、インク滴数”2””3”が割り当てられるKCMYlclmデータの階調値域を他のデータ(例えば2番目の階調を示すデータ)より多くすると好ましい。
【0080】
また、2つのインク吐出量のいずれかを意味する階調を2つのインク吐出量に展開する際には、一定の比率でインク滴数”2””3”のいずれかに振り分けても良いし、ディザ法,重み付け演算,乱数等によっていずれかに振り分けても良く、種々の手法を採用可能である。さらに、上述の例ではサブ画素数が4であってので、2つのインク吐出量のいずれかを意味する階調を生成したが、むろん、サブ画素数が増えた場合に2つ以上のインク吐出量のいずれかを意味する階調を生成しても良い。
【0081】
(3)他の実施形態:
本発明においては、条件によって異なるインクデューティと明度との相関に対応させつつハーフトーン処理モジュール21cでの割り当てを実施することができれば良く、上述のように同一色インク内でのデューティ域相関の差異に対応したり、異色インク間の差異に対応する他にも種々の態様を採用可能である。例えば、飛翔インク滴の特性の差異に起因して生ずる相関の差異に対応させることが可能である。
【0082】
図11はインク滴の吐出周波数と吐出インク滴の重量との関係を示している。同図においては、横軸が時間であり縦軸がインク重量である。また、原点Oでのインク重量は上記図4に示す時間Tbでの吐出インク重量である。同図においては上記ピエゾ素子PEを駆動する力が一定であっても周波数がある程度大きくなるとインク重量が変動することを示している。
【0083】
具体的にはプリンタ40においてインク滴を吐出すると、上記図4に示すようにインク面が振動し、図4に示す時間Tb以降ではインク面が安定するので、この時間Tb以降の時間域でインク滴を吐出してもインク重量に変動はないが、時間Tbでインク滴を吐出すると、インク面がノズル開口部より下に位置していることに起因して吐出インク滴重量が増加する。時間Taでのインク滴吐出は、高解像度印刷や高解像度での印刷のようにインク滴吐出周波数が大きくなる場合に発生する。図11の曲線aは、この特性、すなわち、ある周波数以降では周波数の増大とともにインク重量が増大する特性を示している。
【0084】
尚、プリンタ40においては、周波数の増大とともにインク重量が増大するが、ノズル形やピエゾ素子PEの駆動特性によっては、インク滴吐出後のインク面振動の様子が変動し、周波数の増大とともにインク重量が減少する場合もある。図11の曲線cはかかる特性の一例を示している。いずれにしても、インク滴吐出の周波数によって吐出インク滴の重量が変動する場合がある。図12はインク滴の重量変動によるインクデューティと明度との相関の変動を説明する説明図である。横軸と縦軸とは上記図9と同様である。
【0085】
図において曲線bはインク滴の重量変動が無い場合(時間Tb以降でインク滴を吐出した場合)の相関を示しており、曲線a,曲線cは上述の図11と同様にそれぞれ時間Taのいずれかでインク滴を吐出することによってインク滴重量が増大する場合と減少する場合との相関を示している。図に示すように、インク滴重量が増減すると、インクデューティと明度との相関も変動し、同じ色のインクであってもインク滴吐出周波数によって上記ハーフトーン処理モジュール21cでの割り当て手法を変更すべき場合がある。
【0086】
具体的には、図12における曲線aでは低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。同図に示す曲線cでは、全デューティ域で明度の変化率が急激に変化することなく、略一定の変化率である。従って、曲線aの高デューティに対応するサブ画素のインク吐出量変動は冗長であり、曲線cサブ画素の階調を表現する際に冗長なインク吐出量は存在しない。
【0087】
そこで、曲線aのような特性である場合には、低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくする。また、曲線cのような特性の場合には、サブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することにする。この結果、インク重量に起因する相関の変動に的確に対応した階調変化と情報量の低減とを両立することができる。
【0088】
飛翔インク滴の特性としては、他にも種々の特性がある。例えば、インク滴の径を変動可能に構成する場合があり、この場合にもインク滴の径によってインクデューティと明度との相関が変動し、この変動に対応する割り当てを実施可能である。具体的には、上記サブ画素の1つ当たりに大中小いずれかの径のインク滴を吐出可能に構成することによりサブ画素の1つあたりで4階調の表現を行う例が該当する。大中小の径でインクを吐出するためには上記プリンタ40においてピエゾ素子PEに対する印加電圧パターンを変動させることによって実現可能である。
【0089】
図13は、大中小それぞれのインク滴(大中小ドット)において上記KCMYlclmデータの階調値に対して設定されたインクデューティ値の例をインク滴の径毎に示す図である。このように、KCMYlclmデータの低階調値域では主に小ドットを利用し、中階調値域では主に中ドットを利用し、高階調値域では大ドットを利用する。図14は、これら大中小ドットのそれぞれについてのインクデューティと明度との相関を示す図である。
【0090】
同図に示すように、大中小ドットではインクデューティと明度との相関が異なり、この例では小ドットと中ドットは全インクデューティ域に渡ってリニアに明度が変化するが、大ドットは低デューティから中デューティ域においてデューティの増大とともに明度が急激に低下し、高デューティ域ではデューティの増大に対して明度の低下度合いが鈍くなる。そこで、大ドットでは低デューティから中デューティ域においてサブ画素のインク滴数の増加率を高デューティ域より小さくし、小ドットと中ドットではサブ画素の階調を2bitで表現しつつも、特定の階調を示すデータでは2つのインク吐出量のいずれかを意味することにする。この結果、インク重量に起因する相関の変動に的確に対応した階調変化と情報量の低減とを両立することができる。
【0091】
条件によって異なるインクデューティと明度との相関に対応させつつハーフトーン処理モジュール21cでの割り当てを実施する際に、インク滴が印刷媒体上で占める面積を考慮しても良い。図15は印刷媒体上でインク滴が占める面積を説明する説明図である。同図においては、各サブ画素の一つについて大中小の各ドット径のインクを吐出可能な構成にてインクデューティを変化させた場合の面積変化を示している。
【0092】
同図では左から右に向けてインクデューティが増大した状況を示し、上側では小ドットのインク滴による面積,下側では大ドットのインク滴による面積を示している。尚、図における丸は印刷媒体上のインク滴を模式的に示している。図に示す例において、小ドットのインク滴は印刷媒体上で各サブ画素の一つに該当する領域(図15の1マス該当)内に含まれるが、大ドットのインク滴は各サブ画素の一つに該当する領域より大きい。
【0093】
従って、図に示す小ドットと大ドットでは左から右に向けてインク滴数の増加率は同一であるものの印刷媒体上でインクが占める面積の減少率は異なってくる。印刷媒体における明度は、照明および錐体の分光感度による寄与を除いて考えると、単位面積当たりに占めるインクの面積とその分光反射率との積および印刷媒体の露出面積とその分光反射率の積についての波長による積分から特定される。すなわち、インクデューティの増大に伴う明度変化は、インク滴が印刷媒体上で占める面積の増加率に依存性がある。
【0094】
図15の上側に示す小ドットでは、インクデューティの増大に伴ってインク滴同士が重ならないので、インクデューティの増大に伴う印刷媒体の露出面積の変化率は全インクデューティ値域に渡って大きく変動することはない。しかし、大ドットでは隣り合うインク滴同士が重なるので、インクデューティの増大に伴って印刷媒体の露出面積の変化率が変動する。すなわち、インク滴の面積を考慮したときに、小ドットではインクデューティの増大に伴う明度変化率は略一定であるが、大ドットではインクデューティの増大に伴う明度変化は高デューティ側で低下する傾向にある。
【0095】
従って、以上のように印刷媒体上のインク滴の面積に起因して変動するインクデューティと明度との相関に対応させてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを決定しても良い。尚、上述の例では同一径のインク滴について面積の変化率を説明したが、むろん、異なる径のインク滴を印刷媒体上で混在して使用する場合にその面積変化率に起因して変化するインクデューティと明度との相関に対応させても良い。
【0096】
さらに、インク滴の飛翔特性や当該飛翔特性に伴うインク滴付着位置の変動に起因して変動するインクデューティと明度との相関に対応させても良い。図16は、かかる例を示す図である。同図においてはプリンタ40に搭載されたキャリッジ47a1,47a2を示しており、キャリッジ47a1は主走査の往道時,キャリッジ47a2は主走査の復動時である。すなわち、この例は、キャリッジが往復動する際の双方にて印刷を実行する双方向印刷モードである。キャリッジ47a1,47a2から吐出されたインク滴は印刷媒体Pに向けて飛翔する際に慣性によって紙面右側あるいは左側にも移動するが、通常同じ画像データで印刷を実行した際には同じ位置にインク滴を付着させようとしている。
【0097】
しかし、図16に示すように往道と復動で微妙に位置がずれる場合もある。この場合には、インクデューティの増大に伴うインク滴の面積の変化率が往道と復動とで異なる。また、キャリッジの往道と復動のそれぞれにおいて同じ力でインク滴を吐出させたとしてもインク重量が微妙に変動する場合もある。これらの場合、インクデューティと明度との相関が往道と復動とで変動するので、この変動に対応させてサブ画素に対するインク吐出量の割り当てを変動させても良い。
【0098】
以上の実施形態においては、上記プリンタ40のROM42に記憶された相関データ42aやHDD15に記憶された相関データ42aやHDD15cに基づいてインクデューティと明度との相関を把握することによってこれに対応したインク吐出量の割り当てを実現していたが、ユーザーの入力に基づいてインクデューティと明度との相関を示す情報を取得しても良い。かかる構成であれば、プリンタ40の経時変化に対応することができて好適である。
【0099】
この例は、上記第1実施形態のコンピュータ10において所定のキャリブレーションプログラムを起動可能にする構成等によって実現することができる。具体的にはキャリプレーションプログラムによってインクデューティと明度との相関を明らかにする所定のパターンを印刷する。所定のパターン例としてはKインクによるパッチとCMY3色によるコンポジットグレーのパッチとを採用可能である。すなわち、キャリブレーションプログラムによってKインクによるパッチとCMY3色によるパッチとであって製品出荷時に両者が同等の明度になるようなパッチを印刷する。
【0100】
図17にはプリンタ40の出荷時でのKインクによるパッチとコンポジットグレーによるパッチのインクデューティに対する明度変化を示している。同図においては、横軸にインクデューティを示し、縦軸に明度を示しており、Kインクについては上記図9と同様であるが、コンポジットグレーにおいては、3色合わせた状態でのインクデューティを規定してグラフにプロットしている。図17に示すように、低デューティ域でのデューティ増加に伴う明度変化はKインクの方が急激であり、コンポジットグレーでは全デューティ域に渡って略一定の明度変化率である。
【0101】
上記キャリブレーションプログラムにて印刷するパッチの明度がL0のとき、同図に示すようにKインクでのパッチをデューティK1で印刷し、コンポジットグレーでのパッチをデューティK2で印刷することになる。プリンタ40の出荷時に、デューティK1でのKインクのパッチと、デューティK2でのコンポジットグレーのパッチが同明度L0であったとしても、経時変化によってインク吐出特性が変動すると、各パッチの明度が変動し得る。
【0102】
コンポジットグレーはCMY3色の組み合わせであることからいずれかのインクの吐出特性変動等によって明度が変動しやすい。そこで、コンポジットグレーにおいてインクデューティと明度との相関が変動した場合について説明する。インクの吐出特性変動等によって上記相関は図17の一点鎖線や破線のように変動する。一点鎖線の場合はデューティK2で印刷したパッチであっても明度が上昇し、破線の場合は低下する。
【0103】
そこで、上記コンピュータ10にてコンポジットグレーのパッチがKインクのパッチより暗い/明るいのいずれかを選択するためのUIを表示し、上記キーボード31やマウス32等の入力機器を介して利用者に暗い/明るいのいずれかを選択させる。そして、利用者が「暗い」を選択したときにはインクデューティと明度との相関が上記図17に示す破線のようになっているとし、上記ハーフトーン処理モジュール21cにて中間画像データを生成するときに低デューティから中デューティ域でインク吐出量変動率が小さくなるようにインク吐出量の割り当てを実施する。
【0104】
利用者が「明るい」を選択したときにはインクデューティと明度との相関が上記図17に示す一点鎖線のようになっているとし、上記ハーフトーン処理モジュール21cにて中間画像データを生成するときに高デューティ域でインク吐出量変動率が小さくなるようにインク吐出量の割り当てを実施する。この結果、プリンタ40におけるインク吐出特性の経時変化に対応したインク吐出量の割り当てを実施することが可能になる。以上説明したように、本発明によれば、濃度パターン法によってハーフトーン処理を実施する際に、種々の条件によって変動するインクデューティと明度との相関に対応させながらインク吐出量の割り当てを行うことができ、情報量の低減と条件変動に的確に対応した階調変化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷制御装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図2】プリンタの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図3】ノズルおよびその内部構造を拡大して示す図である。
【図4】インク面が振動する状態を示す図である。
【図5】印刷装置の主な制御系の概略構成図を示す図である。
【図6】データ処理の流れを示す説明図である。
【図7】印刷制御処理のフローチャートである。
【図8】ハーフトーン処理を説明する説明図である。
【図9】インクデューティと明度との相関の例を示す図である。
【図10】インクデューティと明度との相関の例を示す図である。
【図11】インク滴の吐出周波数と吐出インク滴の重量との関係を示す図である。
【図12】インク滴の重量変動によるインクデューティと明度との相関の変動を説明する説明図である。
【図13】大中小のインク滴を使用する場合のインクデューティ値の例を示す図である。
【図14】大中小ドットのそれぞれについてのインクデューティと明度との相関を示す図である。
【図15】印刷媒体上でインク滴が占める面積を説明する説明図である。
【図16】双方向印刷時のキャリッジを示す説明図である。
【図17】Kインクによるパッチとコンポジットグレーによるパッチのインクデューティに対する明度変化を示す図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ
11…CPU
12…システムバス
13…ROM
14…RAM
15…ハードディスクドライブ(HDD)
15a…RGBデータ
15b…LUT
15c,42a…相関データ
16…フレキシブルディスクドライブ
17…CD−ROMドライブ
18…ディスプレイ
20…OS
21…プリンタドライバ(PRTDRV)
21a…画像データ取得モジュール
21b…色変換モジュール
21c…ハーフトーン処理モジュール
21d…印刷データ生成モジュール
22…入力機器ドライバ(DRV)
23…ディスプレイドライバ(DRV)
25…アプリケーションプログラム(APL)
31…キーボード
32…マウス
40…プリンタ
41…CPU
42…ROM
43…RAM
44…ASIC
45…コントロールIC
47a…キャリッジ機構
47b…紙送り機構
48a〜48f…インクカートリッジ
48g…インク室
49…ヘッド駆動部
Claims (16)
- ドットマトリクス状の画素で構成される画像について各画素の色を多階調表現した画像データを取得し、当該各画素より多数のサブ画素に対するインク吐出量で階調を表現した中間画像データに変換するハーフトーン処理部を備え、当該中間画像データで特定されるインク吐出量にて印刷を実行するように印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
上記ハーフトーン処理部は、上記画像データの各画素を上記サブ画素に対するインク吐出量に変換するに当たり、冗長なインク吐出量を排除してインク吐出量の変化ピッチを非一定としつつインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチの一定性を維持するようにサブ画素へのインク吐出量の割り当てを決定することを特徴とする印刷制御装置。 - 上記色彩値は、印刷媒体に対してインクを記録した状態での明度あるいは彩度のいずれかまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする上記請求項1に記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、インクデューティの増加に対する色彩値の変化率が他の値域より大きなインクデューティ値域では当該他の値域より上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を小さくすることを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、インクデューティと色彩値との相関が異なるインク同士では各サブ画素に対するインク吐出量の割り当て手法を変更することを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部では、インクデューティの増加に伴う規格化された色彩値の低下率が他のインクにおける低下率より小さいインクは、上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を上記他のインクより大きくすることを特徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記印刷制御装置は、印刷対象の画像データを入力して印刷解像度より低解像度の画像データに変換する解像度変換部と当該解像度変換部によって変換された画像データを色変換して上記画像データとする色変換部とを備え、上記ハーフトーン処理部は上記中間画像データのサブ画素数を上記印刷解像度での印刷を実行する際の画素数になるように上記変換を実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部が上記サブ画素に対してインク吐出量を割り当てるに際し、当該割り当てによってサブ画素にて表現する階調数を2n個(nは自然数)にすることを特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、色の異なるインク同士で異なる割り当てを実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、ノズルから飛翔するインク滴の特性が異なるインク同士で異なる割り当てを実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、一回の吐出動作によって吐出されるインク量が異なるインク同士で異なる割り当てを実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記ハーフトーン処理部は、単位面積当たりに付着されるインク量が異なるインク同士で異なる割り当てを実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 所定の記憶媒体にインクデューティの増加に伴う色彩値の変化率の相関を示す情報が記憶されており、上記ハーフトーン処理部は当該情報を参照することによって上記冗長なインク吐出量を取得し、当該インク吐出量を排除するとともにインク吐出量の割り当てを実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 各インク色毎に所定のパターンを印刷させるためのパターン印刷制御部と、当該パターン印刷制御部によって印刷されたパターン同士の相対的な明るさを示す情報を入力させる入力受付部と、当該入力受付部によって受け付けた相対的な明るさからインクデューティの増加に伴う色彩値の変化率の相関を示す情報を取得する変化率情報取得部とを備え、上記ハーフトーン処理部は当該変化率情報取得部にて取得した情報を参照することによって上記冗長なインク吐出量を取得し、当該インク吐出量を排除するとともにインク吐出量の割り当てを実施することを特徴とする上請求項1〜請求項11のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得して、印刷装置のヘッドに搭載された複数ノズルから上記画像データに応じたインク滴が吐出されるように制御する印刷制御装置であって、
上記多階調表現した画像データを取得し、当該画像データの各画素をn×m個(n,mはn×m≧2となる自然数)のサブ画素に対するインク吐出量で階調を表現した中間画像データに変換するハーフトーン処理手段と、
当該中間画像データで特定されるインク吐出量にて印刷を実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成手段とを備え、
上記ハーフトーン処理手段は、出力階調値とその色彩値との相関を示す相関情報を記憶する相関情報記憶部と、
同相関情報を参照することにより、インクデューティの増加に対する色彩値の変化率が他の値域より大きなインクデューティ値域では当該他の値域より上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を小さくし、インクデューティの増加に対する色彩値の変化率が他の値域より小さなインクデューティ値域では当該他の値域より上記画像データにおける各画素の階調値増加に伴うインク吐出量の増加率を大きくすることによって冗長なインク吐出量を排除しながら上記画像データを中間画像データに変換する画像データ変換部とを具備することを特徴とする印刷制御装置。 - ドットマトリクス状の画素で構成される画像について各画素の色を多階調表現した画像データを取得し、当該各画素より多数のサブ画素に対するインク吐出量で階調を表現した中間画像データに変換するハーフトーン処理機能と、当該中間画像データで特定されるインク吐出量にて印刷を実行するための印刷データによって印刷装置を制御する機能とをコンピュータに実現させる印刷制御プログラムであって、
上記ハーフトーン処理機能は、上記画像データの各画素を上記サブ画素に対するインク吐出量に変換するに当たり、冗長なインク吐出量を排除してインク吐出量の変化ピッチを非一定としつつインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチの一定性を維持するようにサブ画素へのインク吐出量の割り当てを決定することを特徴とする印刷制御プログラム。 - ドットマトリクス状の画素で構成される画像について各画素の色を多階調表現した画像データを取得し、当該各画素より多数のサブ画素に対するインク吐出量で階調を表現した中間画像データに変換するハーフトーン処理を行い、当該中間画像データで特定されるインク吐出量にて印刷を実行するように印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
上記ハーフトーン処理では、上記画像データの各画素を上記サブ画素に対するインク吐出量に変換するに当たり、冗長なインク吐出量を排除してインク吐出量の変化ピッチを非一定としつつインクデューティの増加に対する色彩値変化ピッチの一定性を維持するようにサブ画素へのインク吐出量の割り当てを決定することを特徴とする印刷制御方法。
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JP2002254638A JP2004090411A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法 |
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JP2014076604A (ja) * | 2012-10-11 | 2014-05-01 | Canon Inc | 記録装置および記録方法 |
-
2002
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