JP3687381B2 - 印刷装置、印刷方法および記録媒体 - Google Patents

印刷装置、印刷方法および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一色のドットを形成して印刷媒体上に該単一色の多階調の画像を印刷可能な印刷装置、印刷方法並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクを吐出して画像を多色多階調で印刷するインクジェットプリンタが、コンピュータの出力装置として広く用いられている。インクジェットプリンタは、各画素ごとにはドットのオン・オフの2値しか表現し得ない。従って、ハーフトーン処理によって、画像の階調値をドットの分布によって表現するように、各画素ごとのドットのオン・オフを決めている。また、シアン、マゼンタ、イエロという三原色によるドットの記録密度によって種々の色を表現している。ドットの形成は、ヘッドを印刷用紙に対して一方向に往復動する主走査と、主走査と交差する方向に印刷用紙を搬送する副走査とを繰り返し実行することによって行われるものが一般的である。
【0003】
近年、プリンタに要求される画質は高まる傾向にある。例えば、プリンタのドットを微細にし、高解像度での印刷が図られている。また、インクジェットプリンタでは、インクを吐出するノズルの機械的製造誤差などに起因するドットの形成位置のずれによってバンディングと呼ばれる筋状の濃度ムラが生じ、画質が低下することがあるが、かかるずれを軽減して画質を向上するためにいわゆるオーバラップ方式による記録が提案されている。オーバラップ方式による記録とは、各ラスタを2本以上のノズルで形成する方法をいう。例えば、一ラスタ上の奇数番目の画素のみを1回目の主走査で形成し、偶数番目の画素を2回目の主走査で1回目とは異なるノズルを用いて形成するのである。こうすることにより、ドットの形成位置のずれを画像領域内で分散させることができ、画質を向上することができる。
【0004】
プリンタの画質の向上を図った技術として、各画素ごとに3値以上の階調表現を可能にした、いわゆる多値プリンタが提案されている。多値プリンタとしては、例えば、同一の色相につき濃度の異なる2種類以上のインクを備えることによって濃淡のドットを形成可能なプリンタや、インクの吐出量を段階的に変化させてドットを形成するプリンタなどが挙げられる。これらの多値プリンタにおいても、各画素ごとに表現可能な階調数は画像データの階調範囲よりも低いため、ドットの分布によって階調表現を行うが、各画素ごとに3値以上の階調表現が可能であるため階調表現が滑らかになり、高画質な印刷を実現することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、プリンタでは、このように種々の技術により画質の向上が図られてきたが、これらは主として多色印刷における画質の向上を対象としており、単色印刷での画質の向上は十分に図られていなかった。ここでいう単色印刷とは、黒など特定の単一色のインクのみを備える単色印刷専用のプリンタによる印刷や、多色印刷可能なプリンタにおける単色印刷モードでの印刷をいう。従来、このような単色印刷においては、バンディングの軽減や滑らかな階調表現などは十分考慮されていなかった。
【0006】
従来、単色印刷は文字など、画質への影響が比較的低い画像の印刷に主として適用されてきた。これに対し、近年では、例えば、X線写真をプリンタで印刷する場合など、単色印刷でも階調表現に優れた、高解像度な印刷が要求されるようになってきた。従来の単色印刷は、これらの要求に応えられる程、十分な画質を有してはいなかった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであり、単色印刷を行う印刷装置において、バンディングを低減するとともに、階調表現を滑らかにして画質を向上する技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では以下の手段を採用した。本発明の印刷装置は、ヘッドと印刷媒体とを一方向に相対的に往復動しつつ該方向に並んだ特定の単一色のドット列を形成する主走査と、該ヘッドに対し前記一方向と交差する方向に印刷媒体を相対的に送る副走査とを行って、前記印刷媒体上に前記単一色の画像を印刷可能な印刷装置であって、該単一色につき、それぞれ単位面積当たりの濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドと、各画素ごとに階調値を有する画像データを入力する入力手段と、前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係であって、所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を記憶する記憶手段と、前記関係を参照しつつ、前記画像データに基づいて、各画素ごとに前記それぞれのドットのオン・オフを設定してハーフトーン処理するハーフトーン手段と、前記処理結果に基づいて、前記主走査を行う主走査手段とを備え、前記ハーフトーン手段は、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットがオンとならないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記単位面積当たりの濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、前記それぞれのドットのオン・オフを設定することを要旨とする。
【0009】
かかる印刷装置によれば、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えており、階調値が所定の範囲内では、少なくとも3種類のドット形成要素を使って画像が記録される。3種類以上の全てのドット形成要素が一様にドットの形成位置にずれが生じる特性を有していることは稀だから、ドットの形成位置にずれが生じるドット形成要素が上記ヘッドに含まれている場合であっても、3種類のドット形成要素を用いて画像を記録することによって、形成位置のずれを分散させることができ、いわゆるバンディングの発生を抑制することができる。なお、画像の印刷に使用される3種類以上のドットは、前記所定の範囲内で統一されている必要はない。例えば、所定の範囲の低階調側ではA,B,Cの3種類のドットを用い、高階調側ではB,C,Dの3種類のドットを用いるものとしてもよい。
【0010】
ここで、3種類以上のドット形成要素を備えることがバンディングを抑制するために妥当である理由について説明する。従来の印刷装置では、多色の画像を印刷する際に主としてシアン、マゼンタ、イエロの三原色でそれぞれ形成されるドットの分布によって種々の色彩を表現し、画像を印刷していた。単色の場合には、ブラックのインクを用いて画像を印刷していた。この際、多色の画像を印刷したときはバンディングが比較的生じにくく、単色の画像を印刷したときはバンディングが比較的生じやすいことが見いだされた。いずれの場合であっても、各色ごとに見れば各ラスタを1個のドット形成要素で記録している点に相違はないため、バンディングの生じ易さについての原因は明らかでなかった。
【0011】
本発明の発明者は、精緻な分析に基づき、上述の現象は以下の原因に依るものであるとの結論に至った。多色の画像を印刷する場合、画像の各領域のラスタは各色ごとに見れば1個のドット形成要素で記録されるに過ぎないが、画像全体としてみれば上記三原色に対応する3個のドット形成要素で記録される。各ラスタを構成するドット形成要素が一様にドットの形成位置にずれが生じる特性を有していることは稀であるから、上述の3個のドット形成要素の中にドットの記録位置にずれが生じるドット形成要素が含まれていても、他の2個のドット形成要素が適正な位置にドットを形成することによって、ずれによる影響が緩和される。上記三原色に加えてブラックや、濃度の低い淡シアン、淡マゼンタを用いる印刷装置では、さらに影響が緩和される。また、先に説明したオーバラップ方式による記録を適用すれば、各ラスタを6個以上のドット形成要素で形成することになり、ドットの形成位置のずれによる影響がさらに緩和される。
【0012】
これに対し、単一色のみで画像を印刷するときは、画像全体として見た場合でも、各ラスタは1個のドット形成要素で記録されることに変わりない。オーバラップ記録を行ったとしても、各ラスタは2個のドット形成要素で記録されるに過ぎない。単色印刷の場合には、多色で印刷を行う場合に比較して、各ラスタの形成に適用されるドット形成要素の数が極端に少ないのである。従って、各ラスタを構成するドット形成要素にドットの記録位置がずれる特性を有するものが含まれている場合には、そのずれがバンディングとして視認され易いのである。
【0013】
本発明は、このような原因分析に基づいてなされた。本発明の印刷装置は、特定の単一色につき3種類のドット形成要素を用いてラスタを形成することができる。従って、バンディングの生じ易さを、少なくともシアン、マゼンタ、イエロの3色を用いて多色印刷を実行した場合と同程度にまで低減することができる。この結果、従来の単色印刷に比べてバンディングの発生を抑制した高画質な印刷を実現することができる。本発明の印刷装置において、ドット形成要素の種類を増やしたり、オーバラップ記録による印刷を実行したりすれば、更にバンディングの発生を抑制することができることはいうまでもない。
【0014】
本発明の印刷装置は、さらに単一色につき、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を備えている。従って、各画素ごとにドットのオン・オフの2値以上の階調値を表現することができる。従って、滑らかな階調表現を実現することができ、単色印刷における画質を大きく向上することができる。
【0015】
また、各ラスタを構成するドット形成要素として、同一濃度のドットを形成する要素ではなく、濃度の異なるドットを形成する要素を備えることで、本発明の印刷装置はバンディングをさらに抑制することができる。単一の濃度でドットを形成する場合は、階調値に応じて該ドットの記録密度が一義的に設定される。これに対して、濃度の異なるドットを形成可能にすれば、ドットの記録密度に自由度を持たせた設定が可能となる。一例として、濃淡2種類のドットを形成可能とし、1つのドットで濃ドットは淡ドットの2倍の濃度を表現可能である場合を考える。所定の領域に濃ドットを5つ形成して表現される濃度は、全てを淡ドットに置換すれば淡ドットを10個形成して表現することができる。一部を淡ドットに置換することもでき、4つの濃ドットと2つの淡ドットにより表現することもできる。このように両者の記録の割合を変えることによって、両者を併せたドットの記録密度を変更することができる。
【0016】
バンディングの生じ易さはドットの記録密度と関係があり、記録密度が比較的低くドットが疎に形成される領域や、記録密度が非常に高くドットが密に形成される領域では、一般にバンディングが生じにくい。本発明の印刷装置によれば、濃度の異なるドットを形成可能にすることによって、ドットの記録率をこのようにバンディングが生じにくい状態に設定することが可能となる。従って、各ラスタを3個以上の異なるドット形成要素で形成する効果に加えて、さらにバンディングの発生を抑制することが可能となる。
【0017】
前記所定の範囲は、種々の階調値に設定することが可能であり、もちろん、画像データの全範囲に設定することもできるが、
前記所定の範囲は、ドットの形成位置のずれによる画質への影響が視認され易い階調値であるものとすることが望ましい。
【0018】
これらの階調値で3種類以上のドットを用いて画像を印刷するものとすれば、バンディングの抑制による画質の向上効果を大きく得ることができる。なお、所定の範囲は、一つの連続した範囲である必要はなく、複数の範囲で設定しても構わない。所定の範囲以外の階調値では、2種類のドットを混在して画像を印刷するものとしてもよいし、1種類のドットで画像を印刷するものとしてもよい。なお、画質への影響が視認され易い階調値は画像の種類や解像度などに応じて種々設定することができ、例えば上記階調値を中間階調とすることができる。つまり、画像データの階調値の最小値を含む低階調の領域、および画像データの最大値を含む高階調の領域を除く範囲である。
【0019】
また、本発明の印刷装置において、前記関係は、前記所定の範囲で0より大きな記録率に設定された前記少なくとも3種類のドットのうち最も濃度が高いドットの記録率が0より大きな値となる下限の階調値において、該最も濃度が高いドットよりも一段階濃度の低いドットの記録率が他のいずれのドットの記録率よりも高い値に設定された関係であるものとすることが望ましい。
【0020】
こうすれば、画像の粒状感を向上した高画質な印刷を実現することができる。例えば、所定の範囲でA,B,Cの3種類のドットの記録率が有意な値になっているものとする。単位面積当たりの濃度はAが最も低く、B,Cの順に濃度が高くなるものとする。所定の範囲において、最も濃度が高いドットCの記録率が有意の値となる領域には下限の階調値が存在する。この下限は、所定の範囲自体の下限と一致する場合もあれば、一致しない場合もある。例えば、所定の範囲の低階調側では、a,A,Bの3種類のドットの記録率が有意となり、ドットCの記録率が値0となっているような場合には、上記下限の階調値は所定の範囲の下限とは一致しない。
【0021】
かかる下限の階調値において、最も濃度の低いドットAの記録率が高い場合を考える。かかる場合、ドットCが形成され始める領域では、ドットAが主として形成されていることになる。ドットAとドットCとは濃度差が大きいため、ドットAが主として形成されている領域中にドットCを形成すれば、ドットCが視認されやすい。これに対し、上記発明の印刷装置では、上述の下限の階調値において、ドットCよりも一段階濃度の低いドットBの記録率をA,B,Cの各ドット中で最も高い値に設定する。こうすることによって、ドットCが形成され始める領域では、ドットCと比較的近い濃度を有するドットBが主として形成されていることになる。かかる領域中にドットCを形成すれば、ドットCは視認されにくい。上記発明の印刷装置によれば、このように濃度が高いドットの視認性を抑えることができるため、画像の粒状感を向上することができる。
【0022】
上記発明の印刷装置は、「最も濃度が高いドットの記録率が有意な値となる下限の階調値」の全てにおいて、一段階濃度の低いドットの記録率が最も高く設定されている必要はない。前記所定の範囲内にかかる条件を満足する階調値が複数存在する場合には、いずれかの階調値においてのみ「一段階濃度の低いドットの記録率が最も高く設定」されているものとしても構わない。前記所定の範囲の下限値は必ず「最も濃度が高いドットの記録率が有意な値となる下限の階調値」を満足するから、例えば、かかる階調値においてのみ「一段階濃度の低いドットの記録率が最も高く設定」されているものとしてもよい。
【0023】
本発明の印刷装置において、ドット形成要素がインクを吐出してドットを形成するものである場合には、ドット形成要素は、吐出するインク量が異なるものとすることもできるし、
前記ドット形成要素は、それぞれ濃度の異なるインクを吐出してドットを形成可能な要素であるものとすることもできる。
【0024】
前者によれば、単一のインクを共通して用いることができる利点があり、後者によれば、濃度を幅広い範囲で精度よく変更することができる利点がある。もちろん、両者を組み合わせることによって、更に幅広い範囲で濃度の異なるドットを形成可能にしてもよい。
【0025】
本発明の印刷装置は、多色の印刷が可能な印刷装置において前記単一色での印刷を行う印刷モードを有するものとしてもよいが、
前記ヘッドは、前記単一色でのみドットを形成可能なヘッドであるものとすることが望ましい。
つまり、単一色での印刷を専用に行う印刷装置である。このような印刷装置によれば、他色のインクを備える必要がないから、単一色につき濃度の異なるインクを多数備えることが可能となり、バンディングの軽減および階調表現の向上を十分に図ることができる。
【0026】
また、本発明の印刷装置において、前記単一色はいかなる色に設定しても構わないが、現実の用途として、前記単一色は黒であるものとすることが望ましい。
【0027】
本発明の印刷装置が、濃度の異なるインクを吐出してドットを形成するヘッドを備える印刷装置である場合、本発明は該印刷装置とサブコンビネーションに当たるインクカートリッジの発明として構成することもできる。
つまり、本発明の印刷装置に使用されるインクカートリッジであって、
前記単一色につき濃度の異なる3種類以上のインクを蓄えるインクカートリッジである。
かかるインクカートリッジを搭載することにより、本発明の印刷装置は先に説明した態様で、高画質な印刷を実現することができる。なお、インクカートリッジを取り替えることによって、該単一色を複数の色に変更可能な構成とすることも可能である。
【0028】
本発明は以下に示す印刷方法として構成することもできる。本発明の印刷方法は、特定の単一色について、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドにより、各画素ごとに階調値を有する画像データに基づいて印刷媒体上にドットを形成することで、前記単一色の画像を印刷する印刷方法であって、前記階調値が所定の範囲にある領域では、前記ヘッドに備えられた少なくとも3種類のドット形成要素を用いて、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットが形成されないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、ドットを形成する印刷方法である。
【0029】
かかる印刷方法においては、(a)前記画像データを入力する工程と、(b)前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係であって、前記所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を参照しつつ、前記画像データに基づいて、各画素ごとに前記それぞれのドットのオン・オフを設定してハーフトーン処理する工程と、(c)前記処理結果に基づいて、前記ヘッドを駆動して、前記ドットを形成する工程とを備えるものとすることができる。
【0030】
これらの印刷方法によれば、先に印刷装置として説明した作用に基づいて高画質な単色印刷を実現することができる。
【0031】
本発明は以下に示す記録媒体として構成することもできる。つまり、本発明の記録媒体は、特定の単一色について、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドを有し、該単一色の画像を印刷可能な印刷装置に供給するデータを、画像データから生成するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、画像データに基づいて、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットがオンとならないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、それぞれのドットのオン・オフを設定するようなハーフトーン処理する際に用いられ、前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係を表したテーブルとして、所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を表すテーブルを記録した記録媒体である。
【0032】
かかる記録媒体に記録されたプログラムが実行されると、濃度の異なる3種類のドットを使い分けて画像を印刷することができ、先に印刷装置で説明した作用に基づいて単一色での高画質な印刷を実現することができる。ここで、記憶媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。また、通信経路を介してコンピュータに上記プログラムを供給するプログラム供給装置としての態様も含む。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
(1)装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての印刷装置の構成を示すブロック図である。図示するように、コンピュータ90にスキャナ12とプリンタ22とが接続されている。このコンピュータ90に所定のプログラムがロードされ実行されることにより印刷装置として機能する。例えば、スキャナ12で読み込んだ画像に種々のレタッチを施した上でプリンタ22により印刷を行う機能を実現することができる。後述する通り、プリンタ22は単色での印刷専用のモノクロプリンタであり、スキャナ12から読み込む画像もモノクロの画像である。実施例の印刷装置は、スキャナ12に代えて、X線写真をディジタルで撮影するカメラを画像の入力機器として構成することも可能である。
【0034】
印刷装置の一部を構成するコンピュータ90は、プログラムに従って印刷に関わる動作を制御するCPU81、ROM82、RAM83を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。入力インターフェイス84は、スキャナ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出力インタフェース85は、プリンタ22へのデータの出力を司る。CRTC86は画像を表示可能なCRT21への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DDC)87は、ハードディスク16やCD−ROMドライブ15あるいは図示しないフレキシブルドライブとの間のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバの形式で提供される各種プログラムなどが記憶されている。
【0035】
このほか、バス80には、シリアル入出力インタフェース(SIO)88が接続されている。このSIO88は、モデム18に接続されており、モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コンピュータ90は、このSIO88およびモデム18を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバーSVに接続することにより、画像の印刷に必要なプログラムをハードディスク16にダウンロードすることも可能である。また、必要なプログラムをフレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロードし、コンピュータ90に実行させることも可能である。当然、これらのプログラムは、印刷に必要なプログラム全体をまとめてロードする態様を採ることもできるし、例えば本実施例に特徴的な部分のみをモジュールとしてロードする態様を採ることもできる。
【0036】
図2は実施例の印刷装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムにはプリンタドライバ96が組み込まれている。アプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、画像のレタッチなどの処理を行う。
【0037】
アプリケーションプログラム95から印刷命令が出力されると、プリンタドライバ96は、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、プリンタ22が処理可能な信号に変換する。プリンタドライバ96には、かかる変換を行うためにハーフトーンモジュール97およびラスタライザ98が備えられている。ハーフトーンモジュール97は、画像データの階調値をドットの分布によって表現するハーフトーン処理を行う。後述する通り、プリンタ22はブラックのインクのみを備える単色プリンタであるが、濃度の異なる4種類のドットを形成する。これらのドットを画像データの階調値に応じて使い分けるための記録率は予め記録率テーブルDRTに記憶されている。ハーフトーンモジュール97は、階調値に応じて記録率テーブルDRTを参照しつつ、該テーブルに記憶された記録率が実現されるようにハーフトーン処理を実行する。ラスタライザ98は、ハーフトーン処理された画像データをプリンタ22に転送する順序に並べ替える処理を行う。
【0038】
プリンタ22は、プリンタドライバ96から転送された画像データを入力部201が受け取り、一旦、バッファ202に記憶する。そして、制御部203が、バッファ202に記憶されたデータを読みとり、主走査部204および副走査部205を駆動して画像を印刷する。主走査部204は、主走査として、印字ヘッドを印刷用紙に対して一方向に往復動しながらドットを形成する。副走査部205は主走査が終了する度に印刷用紙を主走査と直交する方向に搬送する。
【0039】
図3によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、プリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する回路と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる回路と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う回路と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0040】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる回路は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0041】
キャリッジ31には、濃度の異なる4種類の黒インク(K1〜K4)を蓄えたカートリッジ71が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計4個の印字ヘッド61〜64が形成されている。キャリッジ31の底部には、これらのヘッドにそれぞれのインクタンクからインクを導くインク通路68が設けられている。
【0042】
図4は、印字ヘッド61〜64におけるノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、濃度の異なる4種類の黒インク(K1〜K4)に対応した4組のノズルアレイから成っており、48個のノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されている。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致している。ヘッドは濃度が低いインクK1から濃度が高いインクK4の順に主走査方向に配置されている。プリンタ22は、これらのインクを用いて各画素ごとに濃度の異なる4種類のドットを形成可能である。
【0043】
図5は印字ヘッド28によるドットの形成原理を示す説明図である。図示の都合上、インクK1〜K3を吐出する部分について示した。インク用カートリッジ71がキャリッジ31に装着されると、各インクは図5に示すインク通路68を通じてヘッド61〜64に供給される。図示する通り、ヘッド61〜64には、各ノズル毎にピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEは、周知の通り、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定の時間幅で電圧を印加すると、図5に矢印で示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより印刷が行われる。
【0044】
プリンタ22の各機能を制御する制御回路40は、CPU,PROM,RAMを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。制御回路40には、ヘッド61〜64のそれぞれにピエゾ素子を駆動するための駆動波形を出力するための発信器が設けられている。制御回路40が、ヘッド61〜64の各ノズルについてドットのオン・オフを指定するデータに基づいて、駆動波形を出力すると、先に説明した原理に基づいて、オンに設定されたノズルからインクが吐出される。
【0045】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送する副走査と、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させつつ各ヘッド61〜64のピエゾ素子PEを駆動してドットを形成する主走査とを繰り返し行って用紙P上に単色の画像を形成する。
【0046】
なお、本実施例では、上述の通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、他の方法によりインクを吐出するプリンタを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのプリンタに適用するものとしてもよい。また、インクを吐出するタイプのプリンタのみならず、いわゆる熱転写型、昇華型などのプリンタに適用することも可能である。
【0047】
(2)ドット発生処理ルーチン:
次に、本実施例におけるドット発生処理ルーチンについて説明する。図6はドット発生処理ルーチンのフローチャートである。このルーチンはプリンタドライバ96による処理であり、本実施例においてはコンピュータ90のCPU81により実行されるルーチンである。
【0048】
ドット発生処理ルーチンが実行されると、CPU81は画像データを入力する(ステップS10)。ここで入力されるデータは各画素ごとに黒の濃淡を0〜255の256階調で表したデータである。CPU81はこの画像データに基づいて、ドット形成判定処理を行う(ステップS20)。ドット形成判定処理とは、各画素ごとに濃度の異なる4種類のドットについて、それぞれのオン・オフを判定する処理をいう。この処理内容については後述する。
【0049】
全画素についてドット形成判定処理が終了すると(ステップS30)、CPU81はラスタライズを行ってプリンタ22にデータを出力する(ステップS200)。ラスタライズとは、データをプリンタ22に転送する順序に並べ替える処理をいう。例えば、主走査の往復動双方向で画像を印刷する場合には、主走査の方向に応じてデータの配列を逆転させる。また、各ラスタを2本のノズルを用いて形成する、いわゆるオーバラップ記録を行う場合には、一方のノズルに奇数番目の画素のデータ、他方のノズルに偶数番目の画素のデータが供給されるようにデータの並べ替えを行う。奇数番目の画素のみを形成するノズルに対しては、偶数番目の画素にマスクデータが挿入される。プリンタ22は、ラスタライズされたデータを受け取ってドットを形成し、画像を印刷する。
【0050】
ドット形成判定処理の内容について説明する。本実施例では、濃度の異なる4種類のドットの記録率が画像データの階調値に応じて予め設定されている。記録率の設定例を図7に示す。記録率とは、一定の階調値を有する所定領域内の画素中にドットが形成される割合をいう。図示する通り、階調値が低い領域では、濃度の低いインクK1のみを使用してドットを形成する。階調値が高くなるにつれ、インクK1とインクK2とが混在してドットが形成され、所定の階調値以上の領域(図中の区間D)では、3種類のインクによるドットが混在して形成される。記録率は、図7の設定の他、画像の階調表現、粒状感などを考慮して種々の関係に設定することができる。
【0051】
ドット形成判定処理では、図7に示した記録率が実現されるように、各画素ごとのドットのオン・オフを判定する。本実施例では、ディザ法に基づいて判定を行う。もちろん、誤差拡散法など、種々のハーフトーン処理方法を適用することが可能である。
【0052】
図8にドット形成判定処理ルーチンのフローチャートを示す。ここでは、一つの画素についてドットのオン・オフを判定する処理を示した。この処理が開始されると、CPU81は種々の変数の初期化を実行する(ステップS100)。具体的には、レベルデータを表す変数LDに値0を代入する。また、ドット形成の判定対象となるインクを表す変数IKに値1を代入する。変数IKは1〜4の値がそれぞれインクK1〜K4に対応する。さらに、ドットのオン・オフの判定結果を表す変数RDに値0を代入する。
【0053】
初期化が済むと、CPU81は、レベルデータLDDを読みとる(ステップS102)。レベルデータとは、図7に示した記録率を8ビット、即ち0〜255の正数値に置換したデータをいう。本実施例では、図7に示したレベルデータは、各インクごとに記録率テーブルとしてROM83に記憶されている。CPU81は、このテーブルから画像データの階調値に応じたレベルデータを読みとるのである。最初にこの処理を実行する時には、インクを表す変数IKが値1に設定されているから、インクK1についてのレベルデータをLDDとして読みとる。図7中に階調値がT1である場合のレベルデータLDDを示した。
【0054】
次に、変数LDにレベルデータLDDを加える(ステップS104)。最初にこの処理を実行するときは、変数LDが値0に初期化されているため、変数LDは、レベルデータLDDの値になる。こうして設定された変数LDを所定の閾値thと比較する(ステップS106)。変数LDが閾値thよりも大きい場合には、その画素にドットを形成すべきと判定して結果値RDに変数IKの値を代入する(ステップS108)。閾値thは、予め設定されたディザマトリックスにより各画素ごとに与えられる。最初にこの処理を実行する際には、IKは値1となっているから、結果値RDも値1となる。結果値RDは、そこに記憶された値に対応するインクでドットを形成することを意味する変数である。変数LDが閾値thよりも小さい場合には、現在の判定対象となっているインクではドットを形成すべきではないと判定し、次の処理に移行する。
【0055】
図9(a)にディザ法によるドットのオン・オフの判定についての考え方を示した。図示する通り、変数LDとディザマトリックスに示された閾値との大小関係を比較し、変数LDの方が閾値よりも大きい画素ではドットがオンとなる。図9(a)では、ドットをオンにすべき画素にハッチングを施した。
【0056】
ドットを形成すべきでないと判定された場合には、判定対象となるインクを更新する処理を行う。つまり、インクを表す変数IKを1だけ増やす(ステップS110)。この処理により、判定対象となるインクはK1から順次、濃度の高い側に移行する。次に、CPUは、変数IKが値4よりも大きいか否かを判定する(ステップS112)。先に説明した通り、プリンタ22に備えられているインクは4種類であるため、変数IKがこの範囲を超えないようにしているのである。変数IKが値4よりも大きくなった場合、全てのインクについてドットを形成すべきでないと判定された場合に相当するため、それ以上の処理を行うことなくドット形成判定処理ルーチンを終了する。このとき、結果値RDには、初期化の際(ステップS100)に代入された値0が設定されている。結果値RDが値0となっている画素には、いずれのドットも形成されない。
【0057】
変数IKが値4以下の場合には、更新されたインクを対象としてドットのオン・オフを判定する。例えば、インクK2が対象となっている場合には、図7のインクK2に対応するテーブルからレベルデータLDDを読みとり、変数LDにレベルデータLDDを加える(ステップS102,104)。変数LDには、先にインクK1に対応するレベルデータが設定されているから、上記処理によって、変数LDにはインクK1とインクK2のレベルデータの和が設定されることになる。この変数LDと閾値thとの大小関係を判定し(ステップS106)、変数LDが閾値thよりも大きい場合には、ドットを形成すべきと判定する。閾値thはインクK1について用いられた閾値と同じ値である。
【0058】
本実施例において、インクK2によるドットのオン・オフを判定する様子を図9(b)に示した。図9(b)中の下段に示したのが図7から読みとられたインクK2のレベルデータである。本実施例では、このレベルデータと先に読みとられたインクK1のレベルデータとの和を変数LDとする。変数LDを図9(b)の上段に示した。この変数LDがディザマトリックスによって与えられる閾値よりも大きい画素ではインクK2によるドットをオンにすべきと判定する。ステップS106およびS108の処理により、インクK1のドットが形成されない場合にのみインクK2についてのオン・オフが判定されるから、インクK2によるドットはK1によるドットが発生していない画素において、上記変数LDが閾値よりも大きい場合にのみ形成される。図9(b)中のハッチングを示した画素がオンと判定された画素である。図9(a)と対比すれば、インクK1によるドットと重ならない画素でインクK2によるドットがオンになることが分かる。このようにインクK1とインクK2のレベルデータの和LDを用いてインクK2によるドットのオン・オフを判定することにより、それぞれのインクによるドットを重ねずに形成することができ、ドットの分散性を確保することができる。
【0059】
以下、同様にしてインクK3の判定を行う場合には、インクK1〜K3までのレベルデータの和を用い、インクK4の判定を行う場合には、インクK1〜K4までのレベルデータの和を用いる。なお、以上の説明では、全ての画像データを入力し、全ての画素についてドット形成判定処理を実行した上で、ラスタライズしてプリンタ22に出力するものとした(図6)。これに対し、画像データの入力、ドット形成判定、およびラスタライズを各画素単位、ラスタ単位などで実行するものとしても構わない。
【0060】
本実施例で説明した印刷装置によれば、図7の区間Dにおいて、3種類のインクを用いて画像が印刷されるため、ドットの形成位置のずれに起因するバンディングと呼ばれる濃度ムラを低減することができる。図10に本実施例によるドットの形成例を示す。図10の左側に示した丸印がそれぞれノズルを意味している。図示の都合上、インクK1〜K3について、副走査方向に密に並んだ5つのノズルを示した。番号は便宜上付したノズル番号である。図10の右側には、各インクにより形成されたドットを示した。ハッチングで示したドットD1はインクK1により形成されたドット、小さい径のドットD2はインクK2により形成されたドット、大きい径のドットD3はインクK3により形成されたドットを意味している。なお、ドットの径およびハッチングは、それぞれのインクで形成される濃度を便宜的に表現したものであって、現実に形成されるドットの形状を描写したものではない。
【0061】
図10(a)は各ノズルからインクが精度良く吐出されている場合の様子を示している。それぞれのドットが所定の記録率で整然と形成されることによってある階調値を表現している。これに対し、図10(b)はインクの吐出方向がずれている場合の様子を示している。図中の各ノズルに矢印で付した通り、インクK1の4番ノズル、インクK2の4番および5番ノズル、インクK3の1番および2番ノズルについてインクの吐出方向がずれた場合を示した。このようなずれは、各ノズルの機械的製造誤差などに起因して生じる。
【0062】
かかるずれに起因して、それぞれのノズルで形成されるドットは副走査方向に位置がずれる。しかし、本実施例の印刷装置によれば、各ラスタを3種類のノズルで形成する。これらのノズルによるドットの形成位置が一様にずれる可能性はほとんどないため、本実施例に印刷装置は、ラスタ全体が副走査方向にずれて形成されることを回避できる。従って、本実施例の印刷装置によれば、ラスタ間での粗密が顕著に現れることを抑制することができる。
【0063】
比較例として、4種類のインクのうち、2種類までを混在してドットを形成する場合を示す。図11は、かかる場合の記録率の設定例を示したグラフである。図7との比較から明らかな通り、いかなる階調値においても3種類のインクの記録率が有意な値に設定されている部分は存在しない。また、階調値Tのように結果的に1種類のインクによってドットが形成される階調値が存在する。
【0064】
図12にインクK2のみでドットが形成される階調値Tにおけるドットの形成の様子を示した。先に図10(b)に示したのと同様、4番ノズルおよび5番ノズルのインクの吐出方向にずれが生じている場合を示した。かかる場合は、図12の右側に示す通り、ラスタ全体のドットが副走査方向にずれる。従って、図示する通り、ラスタ間に粗密が生じ、図中の領域Aでバンディングが生じる。
【0065】
本実施例の印刷装置は、以上で説明した通り、所定の階調範囲では、3種類以上のインクで画像を形成することにより、バンディングを抑制し、高画質な印刷を行うことができる。また、濃度の異なる4種類のドットを用いて画像を印刷することによって、滑らかな階調表現を実現することができ、単色印刷における画質を向上することが可能である。本実施例では、濃度の異なる4種類のインクを用いているが、インクの種類を更に増やせば、より画質を向上することが可能である。また、オーバラップ方式によるドットの記録など、バンディングを低減するために従来から用いられている技術を併せて適用することも効果的である。
【0066】
以上で説明した本実施例の印刷装置では、濃度の異なるインクを用いた。これに対し、ヘッド61〜64に共通のインクを供給しつつ、インク量の異なるドットを形成可能にしてもよい。インク量の異なるドットを形成する方法としては、各ヘッドのノズルの径を変える方法や、各ノズルのピエゾ素子に印加される電圧を変える方法が挙げられる。また、ヘッド61〜64に濃度の異なるインクを供給しつつ、さらに各ヘッドから吐出されるインク量を可変とし、両者の組み合わせでさらに多段階の濃度のドットを形成可能としてもよい。
【0067】
本実施例では、図7に示した通り、区間Dにおいて3種類以上のインクを用いてドットを形成するものとしている。この区間Dは、比較的バンディングが目立ちやすいとされる中間階調領域を含んで設定されている。従って、本実施例では、かかる領域でバンディングの発生を抑制し、効果的に画質を向上することができる。もちろん、区間Dをさらに低階調側に広げても良いし、高階調側では2種類のインクを用いるような設定としてもよい。また、3種類以上の濃度でドットを形成する領域は、必ずしも連続した一つの領域である必要はなく、2つ以上の区間に分けて設定されていても構わない。また、4種類以上の濃度でドットを形成する領域を設けても構わないのはいうまでもない。3種類以上の濃度でドットを形成する領域においては、これらのドットの濃度が必ずしも連続している必要はない。例えば、本実施例におけるインクK1,K3およびK4でドットを形成する領域を設定しても構わない。このように各濃度のドットと記録率の関係は、種々の設定が可能である。
【0068】
本実施例では、図7に示す通り、例えば、インクK3の記録率が有意な値を取り始める階調値T3においては、インクK2の記録率がインクK1の記録率よりも高く設定されている。インクK4の記録率が有意な値を取り始める階調値においても同様に、インクK3の記録率がインクK2の記録率よりも高く設定されている。つまり、各領域で最も濃度の高いドットが形成され始める階調値において、該ドットよりも一段階濃度の低いドットの記録率を最も高い値に設定している。こうすることにより、以下に示す通り、粒状感の滑らかな画像を印刷することができ、画質を向上することができる。
【0069】
例えば、図7の階調値T3において、インクK1の記録率がインクK2の記録率よりも高い場合を考える。このとき、T3近傍の階調値ではインクK1によるドットが主として形成されている領域にインクK3によるドットが形成され始める状態となる。インクK3によるドットとインクK1によるドットとは濃度差が比較的大きいため、かかる状態でインクK3によるドットが形成され始めると、該ドットが視認されやすくなる。一方、本実施例のように階調値T3において主としてインクK2によるドットが形成されている場合、T3近傍の階調値ではインクK2によるドットが主として形成されている領域にインクK3によるドットが形成され始める状態となる。インクK3によるドットとインクK2によるドットとは濃度差が比較的小さいため、かかる状態でインクK3によるドットが形成され始めると、インクK3によるドットが視認されにくい。本実施例の印刷装置は、このように記録率を設定することにより、濃度が高いドットの視認性を低減し、粒状感を向上することができる。
【0070】
以上で説明した本実施例の印刷装置は、ブラックのインクのみを搭載可能とした。これに対し、ブラックの他、シアン、マゼンタ、イエロなどの有色インクを搭載したカラープリンタに本発明を適用するものとしてもよい。かかるカラープリンタにおいて、例えば、ブラックのインクのみを用いた単色印刷モードを設け、該モードではブラックにつき濃度の異なる3種類以上のインクを用いて印刷を行うものとしてもよい。当然、ブラック以外の色による単色印刷モードに適用するものとしてもよい。
【0071】
以上、本発明の種々の実施例について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実施が可能である。例えば、以上で説明した種々の処理はコンピュータ90で実行するものとしているが、かかる処理を実行する機能をプリンタ22に持たせ、プリンタ22側で行うものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の印刷装置の概略構成図である。
【図2】実施例の印刷装置のソフトウェア構成を示す説明図である。
【図3】プリンタ22の概略構成を示す説明図である。
【図4】プリンタ22におけるノズル配置を示す説明図である。
【図5】プリンタ22によるドットの形成原理を示す説明図である。
【図6】ドット発生処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】ドットの記録率の設定例を示す説明図である。
【図8】ドット形成判定処理ルーチンのフローチャートである。
【図9】ディザ法によるドットのオン・オフ判定の考え方を示す説明図である。
【図10】本実施例によるドットの形成の様子を示す説明図である。
【図11】比較例としてのドットの記録率の設定を示す説明図である。
【図12】比較例としての記録率に基づくドットの形成の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
12…スキャナ
14…キーボード
16…ハードディスク
18…モデム
22…プリンタ
23…モータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印字ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
61〜64…印字ヘッド
68…インク通路
71…カートリッジ
80…バス
81…CPU
82…RAM
83…ROM
84…入力インターフェイス
85…出力インタフェース
86…CRTC
87…ディスクコントローラ
88…シリアル入出力インタフェース
90…コンピュータ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…ハーフトーンモジュール
98…ラスタライザ
201…入力部
202…バッファ
203…制御部
204…主走査部
205…副走査部

Claims (9)

  1. ヘッドと印刷媒体とを一方向に相対的に往復動しつつ該方向に並んだ特定の単一色のドット列を形成する主走査と、該ヘッドに対し前記一方向と交差する方向に印刷媒体を相対的に送る副走査とを行って、前記印刷媒体上に前記単一色の画像を印刷可能な印刷装置であって、
    該単一色につき、それぞれ単位面積当たりの濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドと、
    各画素ごとに階調値を有する画像データを入力する入力手段と、
    前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係であって、所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を記憶する記憶手段と、
    前記関係を参照しつつ、前記画像データに基づいて、各画素ごとに前記それぞれのドットのオン・オフを設定してハーフトーン処理するハーフトーン手段と、
    前記処理結果に基づいて、前記主走査を行う主走査手段とを備え
    前記ハーフトーン手段は、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットがオンとならないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記単位面積当たりの濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、前記それぞれのドットのオン・オフを設定する印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記関係は、前記所定の範囲で0より大きな記録率に設定された前記少なくとも3種類のドットのうち最も濃度が高いドットの記録率が0より大きな値となる下限の階調値において、該最も濃度が高いドットよりも一段階濃度の低いドットの記録率が他のいずれのドットの記録率よりも高い値に設定された関係である印刷装置。
  3. 前記ドット形成要素は、それぞれ濃度の異なるインクを吐出してドットを形成可能な要素である請求項1記載の印刷装置。
  4. 前記ヘッドは、前記単一色でのみドットを形成可能なヘッドである請求項1記載の印刷装置。
  5. 前記単一色は黒である請求項1記載の印刷装置。
  6. 請求項1記載の印刷装置に使用されるインクカートリッジであって、
    前記単一色につき濃度の異なる3種類以上のインクを蓄えるインクカートリッジ。
  7. 特定の単一色について、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドにより、各画素ごとに階調値を有する画像データに基づいて印刷媒体上にドットを形成することで、前記単一色の画像を印刷する印刷方法であって、
    前記階調値が所定の範囲にある領域では、前記ヘッドに備えられた少なくとも3種類のドット形成要素を用いて、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットが形成されないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、ドットを形成する印刷方法。
  8. 請求項7記載の印刷方法であって、
    (a)前記画像データを入力する工程と、
    (b)前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係であって、前記所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を参照しつつ、前記画像データに基づいて、各画素ごとに前記それぞれのドットのオン・オフを設定してハーフトーン処理する工程と、
    (c)前記処理結果に基づいて、前記ヘッドを駆動して、前記ドットを形成する工程とを備える印刷方法。
  9. 特定の単一色について、濃度の異なるドットを形成可能なドット形成要素を3種類以上備えるヘッドを有し、該単一色の画像を印刷可能な印刷装置に供給するデータを、画像データから生成するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、
    画像データに基づいて、前記画像データの各画素について1つの画素において複数のドットがオンとならないように、かつ、前記画像データの階調値に応じて前記濃度の異なる複数のドットが混在して形成されるように、それぞれのドットのオン・オフを設定するようなハーフトーン処理する際に用いられ、前記濃度の異なる各ドットの記録率と階調値との対応関係を表したテーブルとして、所定の範囲では少なくとも3種類のドットの記録率が0より大きな値に設定された関係を表すテーブルを記録した記録媒体。
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