JP2004080191A - 重み推定方法並びに重み推定装置及びそれを備えた干渉除去装置と受信機 - Google Patents

重み推定方法並びに重み推定装置及びそれを備えた干渉除去装置と受信機 Download PDF

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Abstract

【課題】統計的手法を用いることなくアダプティブアレーアンテナに対応する重みの計算を行い、計算量を低減することができる。
【解決手段】重み推定器120は、複素インパルス応答判定器101にて測定した複素インパルス応答102を用いて、自己相関行列計算器128により各端末の複素インパルス応答に基づいて自己相関行列127を計算し、相互相関ベクトル発生器123により希望端末、希望パスに関する相互相関ベクトル126を発生する。連立1次方程式計算器125により、希望端末、希望パスに関する重み104を計算する。指向性形成器103が、希望端末からのSINRが最大となるように希望信号推定値315を出力する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル無線通信システムに用いられるアダプティブアレーアンテナ方式の干渉除去装置に関するものであり、アダプティブアレーアンテナ方式におけるアンテナの重みを算出する重み推定方法並びに重み推定装置及びそれを備えた干渉除去装置と受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル無線通信システムにおいて、周波数選択性フェージングを軽減し、干渉を低減する方式として、アレーアンテナの指向性を制御し、遅延波や干渉波を抑圧するアダプティブアレーアンテナ方式がある。アダプティブアレーアンテナを制御する方式として、“抑圧パイロット信号を用いたビームフォーミング法”電子情報通信学会論文誌Vol. J81−B−1 No. 11 pp. 661(1998/11発行)に示されるような方式(以下従来方式と呼ぶ)がある。この方式では、伝送信号の中に含まれているパイロット信号を用いて伝搬路のインパルス応答を測定し、これを基にしてアダプティブアレーアンテナの重みを計算し、その指向性を制御している。
【0003】
従来方式の具体例を述べる。
図12は従来方式の送信機である。QPSK信号発生器203ではデータを元にQPSKベースバンド信号を発生する。Walsh関数発生器204ではその端末に割り当てられたWalsh関数を発生する。乗算器205ではWalsh関数をQPSK信号に乗算する事によってスペクトラムを拡散する。加算器206では一定値であり、十分に減衰されたパイロット信号を加算する。受信機は、このパイロット信号を用いて送信器との間の伝搬路のインパルス応答を推定する。擬似雑音系列発生器207では、その端末に割り当てられた擬似雑音系列を発生する。乗算器208では擬似雑音系列を乗算し、再度スペクトラム拡散を行う。乗算器208の出力信号は、図示していないが、D/A変換、帯域制限、アップコンバート等の処理が施され送信される。
【0004】
図13は従来方式の受信機である。それぞれが前記送信機を持つ3個の端末300〜302からの信号を、4本のアンテナ素子を持つアレーアンテナ311で受信している。受信した信号は、RF、IF、ダウンコンバート、LPF、A/D変換器等からなるダウンコンバート部312を経てデジタル複素ベースバンド信号313に変換され、干渉除去器314に入力される。干渉除去器314では、ある端末に対して、その端末からの希望する信号の電力と、それ以外の遅延波や雑音や他端末からの干渉の電力の総計との比SINR(Signal−TO−Interference plus Noise power Ratio)が最大になる様に信号処理を行う。この処理を通信中の全3端末に関して行い、結果を希望信号推定値(複素数)315として出力する。これらの信号は、逆拡散器316において、各々の端末に対応するWalsh関数、擬似雑音系列によって逆拡散が行われ、判定器317にてビット判定が行われる。
【0005】
図14は前記干渉除去器の従来方式の場合の詳細図である。簡単のため、端末#0に関する信号処理部分のみを取り上げる。干渉除去器314cには4本のアンテナ素子に対応した4個のデジタル複素ベースバンド信号313が入力される。これらの信号にはパイロット信号が含まれているため、複素インパルス応答推定器101にて、通信中の端末#0、#1、#2それぞれに対応する擬似雑音系列を用いて逆拡散処理及び同期加算処理を行うことによって、それぞれの端末との間の伝搬路の複素インパルス応答102が推定される。
【0006】
指向性形成器103では、4個のデジタル複素ベースバンド信号に対応する重み(複素数)104をそれぞれ乗算し、結果を全て加算し、希望信号推定値315として出力する。以下に述べるような端末#0用の重みを用いた時、アレーアンテナ311の指向性は概ねアンテナビームパターン108のように端末#0からの希望波の到来方向に強い指向性ち、端末#1、#2からの干渉波の到来方向にヌルの指向性を持ったものとなる。
【0007】
重み推定器420では、複素インパルス応答推定器101にて測定した複素インパルス応答102を用いて重み104を推定する。この際、希望信号推定値315の端末#0に関するSINRが最大となることを目標として推定する。一般に、このような推定を行うためには、受信信号の他に端末#0の送信信号が必要となるが、それは無理である。よって重み推定器420において、実際の通信環境のシミュレーションを行う。これによって、受信信号だけでなく、送信信号についても擬似的に得る事ができ、これを元に重みを計算できる。
【0008】
擬似送信信号発生器421は、その内部のランダムQPSK信号発生器によって、通信中の3端末からの送信信号に対応する擬似送信信号(複素数)422を発生する。
擬似受信信号発生器423は、複素インパルス応答102に従って実際の通信環境を再現し、3端末分の擬似送信信号をもとに、4アンテナ素子分の擬似受信信号(複素数)425を生成する。
【0009】
フィルタ426には、それぞれ対応する端末#Tとアンテナ素子eに対応する複素インパルス応答102がタップ係数として設定される。これに、端末#Tの擬似送信信号422を入力することによって、アンテナ素子eで受信する端末#Tからの信号が出力される。この信号を3端末分加算し、擬似的な雑音をさらに雑音加算器424にて加算する事によって、アンテナ素子eに対応する擬似受信信号425が生成される。
【0010】
端末#Tの擬似送信信号422をd[k]、端末#T、アンテナ素子eに対応する複素インパルス応答102をh [k]、アンテナ素子eに対応する擬似雑音、擬似受信信号をそれぞれn[k]、x[k]とすると、擬似受信信号425は次のように表される。
【0011】
【数1】
Figure 2004080191
【0012】
但し、kは整数であり、離散化された時間を意味している。擬似雑音の電力は、擬似受信信号425のSN比と前記デジタル複素ベースバンド信号313のSN比とが同じになるようにあらかじめ調整される。
【0013】
重み計算器427は、端末#0の擬似送信信号428と擬似受信信号425を用いて、重み104を統計的に計算する。
重み計算器427内の自己相関行列計算器429は、擬似受信信号425から4次の正方行列である自己相関行列を計算する。自己相関行列をRxx、統計計算に用いるサンプル数をNsa、x[k]の複素共役をx[k]とすると、自己相関行列は次式のように計算される。
【0014】
【数2】
Figure 2004080191
【0015】
相互相関ベクトル計算器430は、端末#0の擬似送信信号428と擬似受信信号425とから、4次の列ベクトルである相互相関ベクトルを計算する。相互相関ベクトルをRxdとすると、相互相関ベクトルは次式のように計算される。
【0016】
【数3】
Figure 2004080191
【0017】
連立1次方程式計算器431は、自己相関行列と相互相関ベクトルとを用いて、重みを未知数とする連立1次方程式を満足する重みを計算する。アンテナ素子eに対応する重みをwとし、これをe行目の要素にもつ4次の列ベクトルをWとする。連立1次方程式計算器は、方程式 Rxx・W=Rxd を満足するWを計算する。
以上で述べた重み推定器420の重み推定方法はSMI法(逆行列演算法)と呼ばれる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示す従来方式の重み推定器420では、統計処理を行って重みを算出しているため、計算量が極めて大きいという問題がある。また、重みを高精度に算出するためには、統計に用いるサンプル数を増大させる必要があり、さらに計算量が大きくなるという問題がある。また、一般に良く用いられるRLS(Recursive Least Square:再帰最小二乗)法をSMI法の代わりに用いると、さらに計算量が増大する。
【0019】
本発明の目的は、統計的手法を用いることなくアダプティブアレーアンテナに対応する重みの計算を行い、計算量を低減することができる重み推定方法並びに重み推定装置及びそれを備えた干渉除去装置と受信機を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1つまたは複数の送信機から送信された信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアダプティブアレーアンテナに対応したデジタル複素ベースバンド信号に基づいて、各送信機の複素インパルス応答を推定して、該複素インパルス応答を用いて前記アダプティブアレーアンテナに対応する重みを推定する重み推定方法において、
各送信機の前記自己相関行列を計算するステップと、希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生させるステップと、前記相互相関ベクトルと前記自己相関行列から、希望端末、希望パスに関する重みを計算するステップとを実行することを特徴とする。
【0021】
本発明は、前記相互相関ベクトル発生のステップでは、アンテナ素子eの希望送信機の複素インパルス応答の希望パスの遅延時間の値の複素共役をe行目に持つ希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生することを特徴とする。
【0022】
本発明は、前記自己相関行列計算のステップでは、雑音の自己相関行列を計算し、ある送信機の自己相関行列を計算し、全送信機の自己相関行列を計算し、これらと雑音の自己相関行列を全て加算し、自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0023】
本発明は、送信機の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子pの複素インパルス応答と、アンテナ素子qの複素インパルス応答との相互相関関数の原点の値をp行q列に持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0024】
本発明は、雑音の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0025】
本発明は、雑音の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数とあらかじめ設定された微小正値のうち大きな値をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0026】
本発明は、1つまたは複数の送信機から送信された信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアダプティブアレーアンテナに対応したデジタル複素ベースバンド信号に基づいて、各送信機の複素インパルス応答を推定して、該複素インパルス応答を用いて前記アダプティブアレーアンテナに対応する重みを推定する重み推定装置において、
各送信機の前記自己相関行列を計算する自己相関行列計算手段と、希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生させる相互相関ベクトル発生手段と、前記相互相関ベクトルと前記自己相関行列から、希望端末、希望パスに関する重みを計算する連立1次方程式計算手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記相互相関ベクトル発生手段が、アンテナ素子eの希望端末の複素インパルス応答の希望パスの遅延時間の値の複素共役をe行目に持つ希望端末、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生することを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、前記自己相関行列計算手段が、雑音の自己相関行列を計算する雑音用自己相関行列計算手段と、ある端末の自己相関行列を計算する端末用自己相関行列計算手段とを備え、全端末の自己相関行列を計算し、これらと雑音の自己相関行列を全て加算し、自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、前記端末用自己相関行列計算手段が、アンテナ素子pの複素インパルス応答と、アンテナ素子qの複素インパルス応答との相互相関関数の原点の値をp行q列に持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、前記雑音用自己相関行列計算手段は、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0031】
また、本発明は、前記雑音用自己相関行列計算手段が、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数とあらかじめ設定された微小正値のうち大きな値をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする。
【0032】
ここで、請求項1〜6のいずれかの重み推定装置は干渉除去装置や受信機に備えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について詳細を述べる。
送信機については、図12に示す従来方式の送信機と同じである。送信信号、はトラフィックチャネル201とパイロットチャネル202から構成される。トラフィックチャネルはデータを運ぶためのものであり、パイロットチャネルは複素インパルス応答を測定するためのものである。
【0035】
QPSK信号発生器203では、データを元にQPSKベースバンド信号を発生する。QPSKシンボル長をTとする。Walsh関数発生器204では、その端末に割り当てられたWalsh関数210を発生する。Walsh関数のチップ長をT、周期をPとすると、T=T・Pである。本実施形態ではP=64である。乗算器205ではWalsh関数をQPSK信号に乗算する事によって、スペクトラムを拡散し、トラフィックチャネル201を生成する。加算器206では、一定値であり十分に減衰されたパイロットチャネル202を加算する。擬似雑音系列発生器207では、その端末に割り当てられた擬似雑音系列209を発生する。擬似雑音系列のチップ長は、Walsh関数のチップ長Tと等しい。擬似雑音系列の周期Pは、Walsh関数の周期の整数倍である。本実施形態ではP=256である。乗算器208では擬似雑音系列を乗算する事により、再度スペクトラム拡散を行い、送信ベースバンド信号を生成する。この後、図示していないが、帯域制限、D/A変換、直交変調、アップコンバート等行い送信する。
【0036】
Walsh関数のn番目の値をw、擬似雑音系列のx番目の値(複素数)をc、QPSKシンボルのk番目の値(複素数)をd、パイロットチャネルの値(一定値)をp、δ(t)をディラックのデルタ関数とすると、送信ベースバンド信号S(t)は次のように表される。
【0037】
【数4】
Figure 2004080191
【0038】
受信機の概要については図13に示す従来方式の受信機と同じであり、詳しい説明は省略する。
【0039】
図1に、第1実施形態の干渉除去器の詳細図を示す。簡単のため従来例と同じく、ある希望端末#τ(本例ではτ=0)に関する信号処理部分のみを取り上げる。第1実施形態の干渉除去器314aは、図14に示す従来方式の干渉除去器314cとは、重み推定器120の部分が大きく異なる。一般的に説明を行うために、以下ではアンテナ素子の数をNeleと表す。本実施形態ではNele=4である。まず重み推定器について述べ、その後それ以外の部分について述べる。
【0040】
重み推定器120は、図14の従来の重み推定器420と同等の機能を有する。すなわち、複素インパルス応答推定器101にて測定した複素インパルス応答102を用いて重み(複素数)104を推定する。この際、従来と同じく、希望端末#τからの希望パスの成分を信号成分S、希望端末#τからであっても希望のパス以外の成分や、希望端末#τ以外からの信号の合計を干渉成分I、雑音成分をNとしたときの、希望信号推定値(複素数)315のSINRが最大となることを目標として推定する。希望パスについては、候補となるパスのうち最大電力をもつパスが複素インパルス応答推定器101にて希望パスとして選択される。これについては以下でも詳細を述べるが、以下の説明では、希望端末#τ(=0)から到来する直接波131や反射波132などの信号のうち、最大電力をもつ直接波131を希望パスとして選択している。また本発明の重み推定器120は、図14の従来の重み推定器420と比べて、計算量が大幅に削減されている。推定した重みは端末#τとの通信に用いる。この重みを用いた時のアレーアンテナの指向性は概ねアンテナビームパターン108のように端末#τ(=0)からの希望パスである直接波131の到来方向に強い指向性を持ち、その他のパス(例えば反射波132)やその他の端末からの干渉信号の到来方向にヌルの指向性を持ったものとなる。
【0041】
端末#T用の自己相関行列計算器121は、複素インパルス応答102を元に、端末#Tからの信号の自己相関行列を計算する。この行列はNele次の正方行列である。詳細には、アンテナ素子pに対応する複素インパルス応答と、アンテナ素子qに対応する複素インパルス応答との相互相関関数の原点の値をp行q列の値として計算する。
【0042】
ただし、関数A[k]とB[k]の相互相関関数RAB[k]を、
【数5】
Figure 2004080191
としている。
【0043】
よって原点の値RAB[0]は、
【数6】
Figure 2004080191
となる。
【0044】
端末#T、アンテナ素子eに対応する複素インパルス応答をh [k]とすると、端末#Tからの信号の自己相関行列R xxは次のように表される。
【数7】
Figure 2004080191
【0045】
雑音用の自己相関行列計算器122は、雑音の自己相関行列を計算する。この行列はNele次の対角行列である。詳細には、アンテナ素子eに対応する参照信号対雑音電力比(実数)DNの逆数をe行e列に配置する。参照信号対雑音電力比の計算方法については後述する。参照信号対雑音電力比は、図14の従来方式においては、擬似送信信号発生器421において発生させる擬似送信信号422の電力と、擬似受信信号発生器423において加算させる擬似雑音の電力との比に相当するものである。雑音の自己相関行列をRNoise xxとすると、次のように表される。
【0046】
【数8】
Figure 2004080191
【0047】
相互相関ベクトル発生器123は、複素インパルス応答102を元に、Nele次の列ベクトルである相互相関ベクトル126を計算する。詳細には、アンテナ素子eに対応する希望端末#τの複素インパルス応答102で、希望パスの遅延時間κτの時点の値の複素共役を、e行目の値として配置する。希望パスの遅延時間κτの決定方法は後述する。希望端末#τに対応する相互相関ベクトルをRτxdとすると、次のように表される。
【0048】
【数9】
Figure 2004080191
【0049】
行列加算器124は、雑音の自己相関行列と、通信中の端末からの信号の自己相関行列全て(ここでは#0、#1、#2)を加算し、自己相関行列127を計算する。通信中の端末については、上位プロトコルから適時通知してもらう。自己相関行列をRxxとすると、次のように表される。
【0050】
【数10】
Figure 2004080191
【0051】
連立1次方程式計算器125は、自己相関行列127と希望端末#τに対応する相互相関ベクトル126を用いて、希望端末#τに対応する重みを未知数とする連立1次方程式を満足するように重み104を計算する。ただし、自己相関行列127の行列式の値があらかじめ設定しておいた固定値Δminに満たない場合、計算された重みは連立1次方程式を満足しない場合もある。またある固定値以上であったとしても、デジタル信号処理によって計算を行うため、まるめ誤差が発生し、誤差程度の範囲で満足しない場合もある。これを言い換えると、連立1次方程式の左辺と右辺の差があらかじめ設定しておいた固定値Δerr以下になるような条件を満たす重みを1組計算するということもできる。
【0052】
連立1次方程式計算器125の構成を図2に示す。自己相関行列計算器128で計算された自己相関行列127は、連立1次方程式計算器125の逆行列計算器1201で逆行列を求める。この逆行列と相互相関ベクトル発生器123で計算された相互相関ベクトル126とを乗算器1202で乗算しセレクタ1204に入力する。また、セレクタ1204には、逆行列計算器1201から、行列式の値が小さすぎて(あらかじめ設定しておいた固定値Δminより小さくて)逆行列が計算できないことを示す例外フラグと例外時重み発生器1203で発生させた重みが入力されている。セレクタ1204は例外フラグが立っている場合、例外時重み発生器1203で発生させた重みを選択し、立っていない場合、乗算器1202の結果を選択する。こうして、セレクタ1204から重み104が出力される。例外時重み発生器1203は、例外時の重みを計算する。例えば、各アンテナ素子からの複素ベースバンド信号のうち最大のSINRを持つものを希望信号推定値315とするように重みを計算する。この計算方法を式で表すと次式のようになる。ただし例外時のアンテナ素子eに対応する重みをwexτとする。
【0053】
【数11】
Figure 2004080191
【0054】
連立1次方程式の左辺は、自己相関行列の右から、アンテナ素子eに対応する重みをe行目にもつNele次の重み列ベクトルを掛けたものである。右辺は相互相関ベクトルである。希望端末#τ、アンテナ素子eに対応する重みをwτとすると、重み列ベクトルWτ、連立1次方程式は、次のように表される。
【0055】
【数12】
Figure 2004080191
【0056】
以上の手順で計算された重み104を用いて、指向性形成器103は、端末#τ用にSINRが最大化された希望信号推定値(複素数)315を生成する。詳細には、全てのアンテナ素子からのデジタル複素ベースバンド信号313に、それぞれ対応する重みを乗算し、これらの積を全て加算する。アンテナ素子eからのデジタル複素ベースバンド信号をy(t)とすると、希望信号推定値zτ(t)は、次のように表される。
【0057】
【数13】
Figure 2004080191
【0058】
複素インパルス応答推定器101は、デジタル複素ベースバンド信号313を逆拡散及び同期加算することによって、通信中の端末(ここでは#0、#1、#2)との間の伝搬路の複素インパルス応答102を推定する。構成を図3に示す。
通信中の端末それぞれに対して、逆拡散器501にて、逆拡散及び同期加算を行う。これによって、デジタル複素ベースバンド信号313のサンプリング周期Tsaと同じサンプリング周期を持つ複素インパルス応答502が得られる。これらを整形器503で適切に処理し、チップ長Tをサンプリング周期とする複素インパルス応答102を生成する。またこの際、相互相関ベクトル発生器123が必要としている希望パスの遅延時間κτも求める。
【0059】
端末#T用の逆拡散器501を図4に示す。アンテナ素子分の逆拡散器601から構成される。アンテナ素子eからのデジタル複素ベースバンド信号313は、対応する逆拡散器601に入り、端末#Tの送信機においてパイロット信号の拡散を行った擬似雑音系列209に対応する整合炉波器611を通る。この結果、擬似雑音系列の周期時間P・T毎にトラフィック信号が未だ十分抑圧されていない複素インパルス応答612が出力される。これを擬似雑音系列の周期時間毎に分配器613で重ね合わせてゆき、積分器614によって同期的に加算してゆくと、トラフィック信号が抑圧された複素インパルス応答615が得られる。
【0060】
図5はこの処理を概念的に表したものである。デジタル複素ベースバンド信号313のオーバーサンプリング数をNos(=T/Tsa)とすると、擬似乱数系列の周期時間P・Tの間にはNos・P個のサンプルが存在するので、積分器614はこの数だけ存在する。Nos・P個の積分器614の出力を順にg (0・Tsa)、g (1・Tsa)、g (2・Tsa)、...、g ((Nos・P−1)・Tsa)とすると、端末#T、アンテナ素子eに対応する複素インパルス応答g (n・Tsa)ができる。
整形器503は複素インパルス応答502を利用可能な形に整形する。
【0061】
図6はこの処理を概念的に表したものである。上の応答が処理前、下が処理後である。図中の131、132で示される個所のインパルス応答のレベルが高くなっているが、これはそれぞれ直接波、遅延波の信号成分に相当する。処理内容については、まず、最大電力を持つパス801を探す。次に最大電力を持つパスのチップタイミング804でチップ長毎に複素インパルス応答502を間引いてゆく。更に、間引いた値が雑音電力レベルに満たなければ、これを切り捨て、値を0とする。また、最大電力を持つパスの遅延時間を希望パスの遅延時間とする。以上を式で表すと次のようになる。
雑音レベル(実数)をNとすると、次式で表される各パスの電力σ(n・Tsa)を計算し、σ(n・Tsa)を最大にするn=n max(パスの遅延時間802)を求める。
【0062】
【数14】
Figure 2004080191
【0063】
整形器503処理後の複素インパルス応答h (k・T+t0)(符号102)は以下のように表される。
【0064】
【数15】
Figure 2004080191
【0065】
ここでt0は最大電力を持つパスのチップタイミング804である。また、THはあらかじめ設定された閾値であり、本実施形態ではTH=Nele(=4)である。このようにして計算したh (k・T+t0)を複素インパルス応答h [k](符号102)として出力する。
最大電力を持つパスの遅延時間κ(パスの遅延時間803)は以下のように表される。
【0066】
【数16】
Figure 2004080191
【0067】
全端末の最大電力を持つパスの遅延時間κ(T=0、1、2)のうち、端末#τに対応する重みを計算するために、遅延時間κτ(τ=0)を希望パスの遅延時間として相互相関ベクトル発生器123に渡す。
雑音レベルの求め方については後述する。
【0068】
ダウンコンバート部312の構成を図7に示す。アンテナからの信号318は、各アンテナ素子用のダウンコンバート部901に入力され、増幅、周波数変換、A/D変換、フィルタリング等が行われ、デジタル複素ベースバンド信号313として出力される。ダウンコンバート部901の中にはフィルタや、固定利得の増幅器のような固定利得を持つものと、AGC増幅器のような可変利得を持つものがある。各アンテナ素子毎の可変利得を持つものの総利得は雑音推定器105に渡される。
雑音推定器105は、複素インパルス応答推定器101で用いられる雑音電力レベル106と、雑音用自己相関行列計算器122で用いられる参照信号対雑音電力比107を計算する。
【0069】
複素インパルス応答推定器101で用いられるあるアンテナ素子に対応する雑音電力レベルは、対応するダウンコンバート部901の可変利得部の総利得とあらかじめ設定された定数の積として計算される。
あらかじめ設定された定数は、適当な端末#Tの送信器のRF出力の信号を減衰器を介して有線にて対応するアンテナ素子のアンテナ入力に入力し、デジタル複素ベースバンド信号313のトラフィックチャネルと雑音電力の比が1となるように減衰器を調整した場合、この時(設定時)の可変利得部の総利得の逆数と、(設定時の)複素インパルス応答の最大電力を持つパスの値の絶対値の二乗の積として算出する。
【0070】
ダウンコンバート部901の可変利得部の総利得をG 、設定時の総利得をG0 、設定時複素インパルス応答の最大電力を持つパスの遅延時間をn0 maxとすると、あらかじめ設定された定数N0、雑音電力レベルN、設定時複素インパルス応答の最大電力を持つパスの値A0は次のように表される。
【0071】
【数17】
Figure 2004080191
【0072】
重み推定器120で用いられるあるアンテナ素子に対応する参照信号対雑音電力比は、対応するダウンコンバート部901の可変利得部の総利得の逆数とあらかじめ設定された定数の積として計算される。
あらかじめ設定された定数は、先に述べた設定時の可変利得部の総利得と、(設定時の)複素インパルス応答102の最大電力を持つパスの値の絶対値の二乗の逆数の積として算出する。
あらかじめ設定された定数DN0、参照信号対雑音電力比DNは次のように表される。
【0073】
【数18】
Figure 2004080191
【0074】
従来方式と本実施形態の重み計算器の計算量を比較した図を図8、図9に示す。図8はアンテナ素子数Nele=4の場合、図9は7の場合である。従来方式の重み計算アルゴリズムとしては、SMI法とRLS法を取り上げた。有効パス数Lとは、全ての端末からの複素インパルス応答のうち、閾値THを超えたパスの数である。L=12の一例は、通信中の端末数が6端末で、各端末からのパスの数が2パスの場合に相当する。L=4の一例は、2端末から2パスずつの場合に相当する。このような状況において、ある1端末に対する重みを計算する場合の計算量が縦軸である。ただし、複素数の加減乗除算、実数の加減乗除算すべてを計算量1としている。横軸はSMI法、RLS法のアルゴリズムを実行する際、統計計算に必要となるサンプル数Nsaである。
【0075】
本実施形態は統計計算を行わないため、サンプル数という概念が無く、従ってグラフは横軸と平行な一定値となる。従来方式において、SMI法や、RLS法のサンプル数については、アレーアンテナの素子数の2倍以上とするのが一般的である。すなわちアンテナ素子数が、4、7のとき、それぞれ、8、14以上としている。よって図8及び図9のグラフより、本発明によっておよそ6割以上計算量が削減されていることがわかる。
【0076】
第1実施形態を説明する際、端末#0、#1、#2が存在し、このうち端末#0と通信を行うことを仮定していたが、図15のように、端末#6しか存在しない環境で、この端末#6と通信を行うことも可能である。この場合は以下のような動作になる。複素インパルス応答推定器101は端末#6との間の複素インパルス応答を推定し出力する。複素インパルス応答推定器101が最大3端末分の複素インパルス応答を出力することができるなら、残りの出力からは何も出力されない。図示されない上位層は端末#6が存在していることを認識し、端末#6と通信を行うために、端末#6用の重みを重み推定器120に計算するように指示する。端末用自己相関行列計算器121は端末#6用の自己相関行列を計算する。重み推定器がハードウエアのみで構成されており、考慮できる最大の端末が3個であり、端末用自己相関行列計算器121が3個備えられているならば、端末#6用以外の2個の端末用自己相関行列計算器121は全ての要素が0である行列を出力する。ソフトウエアで処理しているならば、端末#6用の自己相関行列のみしか計算しないことも可能である。自己相関行列計算器128が自己相関行列を計算する際用いる式[数10]の第2項はT=#6に関して加算するのみである。このような場合、重み推定器120は、端末#6からの希望パスの成分を信号成分S、それ以外のパスの成分を干渉成分I、雑音成分をNとしたときの希望信号推定値315のSINR比を最大にすることを目標として重みを計算していることになる。計算した重みを用いたときのアレーアンテナの指向性は、例えば、反射波132の電力が最大で、これが希望パスとなる場合、概ね図15のアンテナビームパターン108のように、反射波の到来方向に強い指向性を持ち、その他のパス(例えば直接波131)からの干渉信号の到来方向にヌルを持ったものとなる。
【0077】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について詳細を述べる。
本発明の第2実施形態は第1実施形態とほとんど同じである。異なる点は雑音用の自己相関行列計算器122である。第1実施形態において、伝搬路の状態が非常に良好な場合、アンテナ入力318に入力される受信信号の電力が大きくなるため、AGCが働き、ダウンコンバート部312の可変利得部の総利得902が小さくなり、従って、参照信号対雑音電力比の逆数が非常に小さくなる。自己相関行列計算器122はデジタル信号処理を行っており量子化誤差が存在するため、参照信号対雑音電力比の逆数がこれより小さな値になると切り捨てられて0となる場合がある。このような場合で、さらに、希望端末からの信号に遅延波がなく、希望端末以外の端末からの干渉波が無いような好条件が重なった場合、自己相関行列127の行列式があらかじめ与えられた設定値に満たなくなる場合がある。すると、連立1次方程式計算器125で採用される計算アルゴリズムによっては、計算される重み104が必ずしも最適な値とならず、絶好の通信条件を生かすことが出来なくなる恐れがある。以上のような事を防ぐために、第2実施形態ではあらかじめ微小な正の値を設定し、参照信号対雑音電力比の逆数がこれより小さくなった場合、この微小正値を代わりに用いる。
アンテナ素子eに対応する微小正値をεとすると、雑音用の自己相関行列のe行e列の値RNoise xx(e)は以下のように表される。
【0078】
【数19】
Figure 2004080191
【0079】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について詳細を述べる。
第1実施形態の干渉除去器(図1の314a)は、説明を簡略化するため、ある端末#τの最大電力を持つパスに関する重み104だけを計算し、対応する希望信号推定値315を出力していた。第3実施形態は基本的には第1実施形態と同じであるが、より現実的な例である。第3実施形態の干渉除去器314bを図10に示す。受信機は端末#3、#7、#9を認識している。その内端末#3、#9と通信を行っている。端末#7はさらに他の端末と通信しており、その際使用している電波が、端末#3、#9との通信の干渉となるため、干渉除去の対象としている。
【0080】
第3実施形態は、2フィンガーのレイク受信機となっている。すなわち、端末#3、#9との通信においてそれぞれ、最大電力パスと第二電力パスに関して対応する希望信号推定値1211を算出し、これらを最大比合成器1212にてパスタイミングを調節した後、最大比合成を行い希望信号推定値1213として出力する。
【0081】
重み推定器1220は、全ての希望端末の最大電力パスと第二電力パス用の重み104を計算する。
重み推定器の詳細図を図11に示す。例として、希望端末#3、#9それぞれの最大電力パスの遅延時間が31、91、第二電力パスの遅延時間が35、98であるとする。これらの値は複素インパルス応答推定器101で推定される。これらの値が希望パスの遅延時間として重み推定器1220に渡される。重み推定器では、希望端末、希望パスに対応する相互相関ベクトル126を相互相関ベクトル発生器123で発生する。先の値を例とすると、希望端末=#3、希望パス=最大電力パスについて発生させる場合、τ=3、κ=31というパラメーターを相互相関ベクトル発生器に与える。また、全端末は#3、#7、#9であるというパラメーターを自己相関行列発生器128に与え、自己相関行列127を計算する。連立1次方程式計算器125では、希望端末=#3、希望パス=最大電力パスについての相互相関ベクトル126と自己相関行列127から、対応する希望端末、希望パスの重みを計算する。同様の方法で、全ての希望端末の最大電力パスと第二電力パス用の重み104を計算する。
【0082】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態について詳細を述べる。
第4実施形態は、通信の品質をあらかじめ推定するための通信シミュレーターであり、第1の実施形態と同じ機能がソフトウエアで構成されている。このソフトウエアを汎用計算器上で動作させる。このように本発明の重みの計算方法の実現手段は、ハードウエアに限定されない。
【0083】
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態について詳細を述べる。
第5実施形態は、地上波デジタル放送の受信機である。放送の受信機であるため、通信は行わず、受信するのみである。第1実施形態ではある端末からの信号を受信していたが、第5実施形態では図16で示すように放送局1602から送信される信号を受信する。図18で示すように受信機1601は第1の実施形態と同じく、複数のアンテナ素子から構成されるアダプティブアレーアンテナ311を搭載している。また同じく、複素インパルス応答推定器、重み推定器、指向性形成器を備える。そして第5実施形態では、指向性形成器から出力される希望信号推定値をOFDM復調器1801に入力する。地上波デジタル放送の変調方式はOFDM方式であり、受信信号をもとに放送局1602との間の複素インパルス応答を推定することができる。従って、第1実施形態が端末#6と通信していた図15に示す状況とおなじように、重み推定器で重みを計算することができる。また、同じように、受信機は直接波131や反射波132の内から最大の電力を持つパスを希望パスとして選択し、他のパスの成分を干渉とみなし、SINRを最大化するようにアダプティブアレーを制御する。OFDM方式は直接波のほかに反射波などの遅延波が存在する環境においても受信特性がよいが、アダプティブアレーアンテナを用いて受信することによって、さらに受信特性が良くなる。これによって、アダプティブアレーアンテナを用いていない受信機では受信できなかったエリアでも、受信が可能となる。
【0084】
このように本発明は通信分野に限定されない。また、受信機が受信する信号を送信する送信機を備えているのは第1から第4実施形態のように端末に限らず、本実施形態のように放送局であることもあるし、また通信分野においては基地局であることもあり、特定されない。
【0085】
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態について詳細を述べる。
第6実施形態も、第5実施形態と同じく、地上波デジタル放送の受信機である。第6実施形態と異なる点は、放送の電波が主局1602から送信されると共に、この電波が中継局1603で中継されて送信される。このとき同じ周波数で中継されている。OFDM方式を用いると、同じ周波数で中継しても受信機で問題なく受信可能となり、地上波デジタル放送ではこのような中継方式も予定されている。このような状況で第5実施例とまったく同じ受信機1601で受信する。受信機中の複素インパルス応答推定器は複素インパルス応答を推定するが、このときあたかも1個の送信機から送信されているかのごとく複素インパルス応答が推定される。実際には図17のように主局1602と中継局1603が存在するが、図16のように中継局が存在せず、中継局からの電波が主局からの電波の反射波のように解釈される。またはこの逆で、主局が存在せず、主局からの電波が中継局からの電波の反射波のように解釈される。この解釈の違いは複素インパルス応答の時間の基準をどことみなすかに依存するだけの話であり、たいした違いではない。どちらにせよ受信機は同じように最大電力を持つパスを捕捉し、その他のパスを干渉とみなし、SINR比が最大になるようにアダプティブアレーアンテナを制御する。図17は、主局からの直接波131や図示されない反射波、中継局からの直接波171や図示されない反射波のうちから、最大電力をもつ主局からの直接波131を補足している様子を示している。
【0086】
このように、複素インパルス応答推定器や重み推定器の認識している送信機(端末、基地局、放送局等)は実際の物理的な送信機を反映したものではない場合もある。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、各端末の複素インパルス応答に基づいて計算された自己相関行列と希望端末、希望パスに関する相互相関ベクトルとから、希望端末、希望パスに関する重みを代数的に計算するので、統計的手法を用いることがなく、計算量を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の干渉除去器を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態の連立1次方程式計算器を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の複素インパルス応答推定器を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態の端末#T用逆拡散器を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態の同期加算処理の概念図である。
【図6】本発明の第1実施形態の整形器の処理の概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態のダウンコンバート部を示すブロック図である。
【図8】アンテナ素子数が4の場合の重み計算器の計算量を示す特性図である。
【図9】アンテナ素子数が7の場合の重み計算器の計算量を示す特性図である。
【図10】本発明の第3実施形態の干渉除去器を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3実施形態の重み推定器を示すブロック図である。
【図12】デジタル無線通信の送信機を示すブロック図である。
【図13】デジタル無線通信の受信機を示すブロック図である。
【図14】従来方式の干渉除去器を示すブロック図である。
【図15】本発明の第1実施形態の干渉除去器を示すブロック図であり、通信相手が端末#6のみの場合である。
【図16】本発明の第5実施形態の受信環境を示すブロック図である。
【図17】本発明の第6実施形態の受信環境を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5、6実施形態である地上波デジタル放送の受信機を示すブロック図である。
【符号の説明】
101 複素インパルス応答推定器
102 複素インパルス応答
103 指向性形成器
104 重み
105 雑音推定器
106 雑音電力レベル
107 参照信号対雑音電力比
108 アンテナビームパターン
120 重み推定器
121 端末用自己相関行列計算器
122 雑音用自己相関行列計算器
123 相互相関ベクトル発生器
124 行列加算器
125 連立1次方程式計算器
126 相互相関ベクトル
128 自己相関行列計算器
131 直接波
132 反射波
201 トラフィックチャネル
202 パイロットチャネル
203 QPSK信号発生器
204 Walsh関数発生器
205 乗算器
206 加算器
207 擬似雑音系列発生器
208 乗算器
209 擬似雑音系列
210 Walsh関数
300 端末#0
301 端末#1
302 端末#2
311 アレーアンテナ
312 ダウンコンバート部
313 デジタル複素ベースバンド信号
314 干渉除去器
315 希望信号推定値
316 逆拡散器
317 判定器
420 重み推定器
421 擬似送信信号発生器
422 擬似送信信号
423 擬似受信信号発生器
424 雑音加算器
425 擬似受信信号
426 フィルタ
427 重み計算器
428 擬似送信信号
429 自己相関行列計算器
430 相互相関ベクトル計算器
431 連立1次方程式計算器
501 逆拡散器
502 整形前の複素インパルス応答
503 整形器
601 アンテナ素子e用逆拡散器
611 整合炉波器
612 同期加算前のインパルス応答
613 分配器
614 積分器
615 同期加算後のインパルス応答
801 最大電力を持つパス
802 最大電力を持つパスの遅延時間
803 最大電力を持つパスの遅延時間
804 チップタイミング
901 アンテナ素子e用ダウンコンバート部
902 可変処理部の総利得
1201 逆行列計算器
1202 乗算器
1203 例外時重み発生器
1204 セレクタ
1211 希望信号推定値
1212 最大比合成器
1213 希望信号推定値
1220 重み推定器
1601 地上波デジタル放送受信機
1602 放送局(主局)
1603 放送局(中継局)
1801 OFDM復調器
1802 干渉除去器

Claims (14)

  1. 1つまたは複数の送信機から送信された信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアダプティブアレーアンテナに対応したデジタル複素ベースバンド信号に基づいて、各送信機の複素インパルス応答を推定して、該複素インパルス応答を用いて前記アダプティブアレーアンテナに対応する重みを推定する重み推定方法において、
    各送信機の前記自己相関行列を計算するステップと、
    希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生させるステップと、
    前記相互相関ベクトルと前記自己相関行列から、希望端末、希望パスに関する重みを計算するステップとを実行することを特徴とする重み推定方法。
  2. 前記相互相関ベクトル発生のステップでは、アンテナ素子eの希望送信機の複素インパルス応答の希望パスの遅延時間の値の複素共役をe行目に持つ希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生することを特徴とする請求項1記載の重み推定方法。
  3. 前記自己相関行列計算のステップでは、
    雑音の自己相関行列を計算し、
    ある送信機の自己相関行列を計算し、
    全送信機の自己相関行列を計算し、これらと雑音の自己相関行列を全て加算し、自己相関行列を計算することを特徴とする請求項1又は2記載の重み推定方法。
  4. 送信機の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子pの複素インパルス応答と、アンテナ素子qの複素インパルス応答との相互相関関数の原点の値をp行q列に持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項3記載の重み推定方法。
  5. 雑音の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項3又は4記載の重み推定方法。
  6. 雑音の自己相関行列を計算する際には、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数とあらかじめ設定された微小正値のうち大きな値をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項3、4又は5記載の重み推定方法。
  7. 1つまたは複数の送信機から送信された信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアダプティブアレーアンテナに対応したデジタル複素ベースバンド信号に基づいて、各送信機の複素インパルス応答を推定して、該複素インパルス応答を用いて前記アダプティブアレーアンテナに対応する重みを推定する重み推定装置において、
    各送信機の前記自己相関行列を計算する自己相関行列計算手段と、
    希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生させる相互相関ベクトル発生手段と、
    前記相互相関ベクトルと前記自己相関行列から、希望端末、希望パスに関する重みを計算する連立1次方程式計算手段を備えたことを特徴とする重み推定装置。
  8. 前記相互相関ベクトル発生手段は、アンテナ素子eの希望送信機の複素インパルス応答の希望パスの遅延時間の値の複素共役をe行目に持つ希望送信機、希望パスに関する相互相関ベクトルを発生することを特徴とする請求項7記載の重み推定装置。
  9. 前記自己相関行列計算手段は、
    雑音の自己相関行列を計算する雑音用自己相関行列計算手段と、
    ある送信機の自己相関行列を計算する送信機用自己相関行列計算手段とを備え、
    全送信機の自己相関行列を計算し、これらと雑音の自己相関行列を全て加算し、自己相関行列を計算することを特徴とする請求項7又は8記載の重み推定装置。
  10. 前記送信機用自己相関行列計算手段は、アンテナ素子pの複素インパルス応答と、アンテナ素子qの複素インパルス応答との相互相関関数の原点の値をp行q列に持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項9記載の重み推定装置。
  11. 前記雑音用自己相関行列計算手段は、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項9又は10記載の重み推定装置。
  12. 前記雑音用自己相関行列計算手段は、アンテナ素子eの参照電力対雑音電力比の逆数とあらかじめ設定された微小正値のうち大きな値をe行e列に持ち、対角成分以外として0を持つ自己相関行列を計算することを特徴とする請求項9、10又は11記載の重み推定装置。
  13. 請求項7〜12のいずれかの重み推定装置を備えた干渉除去装置。
  14. 請求項7〜12のいずれかの重み推定装置を備えた受信機。
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