JP2004080140A - 通信方法、通信装置、ならびに受信装置とその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の通信装置間で通信を行う際における受信データの誤り率の上昇を抑制できる通信方法、通信装置、受信装置およびその方法を提供する
【解決手段】送信源を特定可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、ID信号抽出部211において抽出される。周波数補正値算出部215では、抽出されたID信号により特定される送信源から以前に伝送された一連のパケット信号の周波数オフセットに関する情報を用いて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値が算出される。また、誤り率算出部216では、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出される。この誤り率が一定限度を超えている場合、パケット信号のプリアンブルに基づいて設定された周波数補正値が、周波数補正値算出部215で算出された周波数補正値によって更新される。
【選択図】 図7
【解決手段】送信源を特定可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、ID信号抽出部211において抽出される。周波数補正値算出部215では、抽出されたID信号により特定される送信源から以前に伝送された一連のパケット信号の周波数オフセットに関する情報を用いて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値が算出される。また、誤り率算出部216では、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出される。この誤り率が一定限度を超えている場合、パケット信号のプリアンブルに基づいて設定された周波数補正値が、周波数補正値算出部215で算出された周波数補正値によって更新される。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信方法、通信装置、ならびに受信装置とその方法に係り、たとえばパケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う通信方法とその通信装置、受信装置および受信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パケット信号を用いて複数の通信装置が無線通信を行う通信方式では、通常そのパケット信号の先頭部に既知のプリアンブル信号(前置き信号)が付加されており、受信側の通信装置は、このプリアンブル信号を受信信号の中から検出したタイミングに同期して、パケット信号の受信処理を行う。
【0003】
図10は、こうした通信方式の1つであるIEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
パケット信号の先頭にはショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2とよばれるプリアンブル信号が付加されている。ショート・プリアンブルP1は、一定の周期で反復される10個の既知信号(ショート・トレーニング・シンボル)で構成され、ロング・プリアンブルP2は、2個の既知信号(ロング・トレーニング・シンボル)で構成される。
【0004】
ショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に続くパケット信号の主要部分は、複数のOFDMシンボル(SL1〜SLk、kは1より大きい自然数を示す)で構成される。OFDMシンボルは、OFDM(orthogonal frequency division multiplex)方式において変調処理や復調処理が行われる際の単位となる信号であり、たとえばIEEE802.11aで規定されている最低のデータ・レートにおいて、1OFDMシンボルにより24ビットのデータを伝送することができる。
【0005】
OFDMシンボルSL1〜OFDMシンボルSLkによって伝送されるデータは、4つのデータ・フィールド(F1〜F4)に区分される。先頭のデータ・フィールドF1はシグナル・フィールドと呼ばれ、データ・レートやデータ長に関する24ビットの情報がこれに含まれる。シグナル・フィールドF1は、先頭のOFDMシンボルSL1を用いて伝送される。
2番目のデータ・フィールドF2はサービス・フィールドと呼ばれ、スクランブル処理などに用いられる規定の16ビットのビット列がこれに含まれる。3番目のデータ・フィールドF3には、伝送する任意の情報が含まれる。4番目のデータ・フィールドには、パケットの末尾を示す規定の6ビットのビット列と、パケット長の調整用に付け足されるビット列とが含まれる。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4の各データは、2番目以降のOFDMシンボル(SL2〜SLk)を用いて伝送される。
【0006】
IEEE802.11a方式の受信装置では、図10のショート・プリアンブルF1を用いてパケット信号の検出処理が行われるとともに、このショート・プリアンブルF1を用いて、OFDMシンボルを復調する際の基準となるクロック信号の周波数のずれ(以降、周波数オフセットと呼ぶ)を補正する処理も行われる。
【0007】
また、デジタル方式の復調処理を行う受信装置では、アナログの受信信号をアナログ/デジタル(A/D)コンバータにおいてデジタル信号に変換した後で復調処理が行われており、A/Dコンバータに入力される受信信号レベルはそのダイナミック・レンジの範囲内に収まる必要がある。ところが、無線LANシステムなどのように多数の機器間で通信が行われる無線通信システムでは、各機器の送信出力や機器間の距離に応じて受信信号レベルが大きく異なるので、この信号がそのままA/Dコンバータに入力されると、ダイナミック・レンジが非常に広いものでない限り、A/D変換後のデジタル信号に歪みが生じてしまう。そこで、通常このような受信装置には、受信信号レベルをA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に調整するための自動利得制御回路が搭載されている。
【0008】
IEEE802.11a方式の受信装置では、たとえば上述したショート・プリアンブルF1が検出される前の受信待ち状態において受信信号の増幅利得が固定の値に設定されており、ショート・プリアンブルF1が検出された時点から自動利得制御回路によってこの増幅利得が制御されて、受信されたパケット信号のレベルがA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した周波数オフセットの補正処理が正常に行われるためには、ショート・プリアンブルF1が正しく検出される必要がある。しかしながら、雑音レベルの大きい通信環境では、ショート・プリアンブルF1の受信信号に雑音が重畳される可能性があり、これによって周波数オフセットが正しく補正されない場合が生じ得る。この場合、検出されたショート・プリアンブルF1を含むパケット信号全体に誤った周波数オフセット補正処理が行われるため、データの誤り率が上昇してしまう不利益が生じる。
【0010】
また、自動利得制御回路における増幅利得の制御では、OFDM変調信号のように変化周期が短くレベル変動の大きい信号に対して増幅利得が敏感に追従してしまうことがないように、応答速度が遅く設定される場合が多い。そのため、特にパケット信号の前部で増幅利得を最適値に収束させることは難しく、これによりデータの誤り率が上昇してしまう不利益が生じる。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う際における受信データの誤り率の上昇を抑制できる通信方法およびその通信装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数の送信源からパケットとして伝送される信号を受信する際におけるデータの誤り率の上昇を抑制できる受信装置およびその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、受信側の通信装置において、上記パケット信号を受信し、所定の方式で取得した第1の周波数補正値を用いて当該受信したパケット信号の周波数を補正し、上記周波数の補正が行われたパケット信号に対し、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して算出された1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する。
【0013】
本発明の第1の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、この生成された識別信号が伝送する信号に付加されて、所定の変調方式で変調される。こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成され、送信される。受信側の通信装置においては、送信されたパケット信号が受信され、所定の方式で取得される第1の周波数補正値を用いて、この受信したパケット信号の周波数が補正される。周波数の補正が行われたパケット信号に対しては、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して算出された1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、このパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、周波数補正値の更新を実行するか否か決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0014】
本発明の第2の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成し、上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行って送信し、受信側の通信装置において、受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する。
【0015】
本発明の第2の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定の領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、この識別信号が伝送する信号に付加されて所定の変調方式で変調される。変調信号の先頭部には、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加される。こうして生成されたパケット信号は、直交変調されて送信される。
受信側の通信装置において、受信された信号に対し直交検波が行なわれ、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号が生成される。生成された複素受信信号と、この複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中から前置き信号が検出される。前置き信号が検出された場合、この検出された前置き信号に対し算出された位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数が補正される。そして、検出された前置き信号を先頭部に有し、周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じてパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、周波数補正値の更新を実行するか否かが決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いられる周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0016】
本発明の第3の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、受信側の通信装置において、受信された信号のレベルを所定の初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新を実行するか否か決定する。
【0017】
本発明の第3の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定の領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、伝送する信号にこの識別信号が付加されて、所定の変調方式で変調される。こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成され、送信される。
受信側の通信装置において、受信された信号のレベルが、設定された初期増幅利得をもって増幅されるとともに、増幅された受信信号の中からパケット信号を検出する処理が行われる。パケット信号が検出された場合、このパケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、このパケット信号が増幅され、増幅されたパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の第1の増幅利得に応じて、復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じてパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、増幅利得の更新を実行するか否かが決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の増幅利得が、第1の増幅利得から第2の増幅利得へ更新される。
【0018】
本発明の第4の観点に係る通信装置は、送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、上記送信手段は、送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成するパケット信号生成手段と、上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行う直交変調手段とを含み、上記受信手段は、入力される受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられ1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段とを含む。
好適には、上記パケット信号生成手段は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、上記補正値更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正値の更新処理を実行するか否か決定する。
【0019】
本発明の第4の観点に係る通信装置によれば、送信手段による送信時において、送信源を識別するための識別信号が識別信号生成手段により生成される。また、パケット信号生成手段において、供給される伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入され、これに識別信号が付加されて所定の変調方式で変調され、その変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されたパケット信号が生成される。生成されたパケット信号は、直交変調手段において直交変調されて送信される。
受信手段による受信時において、直交検波手段では、入力される受信信号に対し直交検波が行われ、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号が出力される。相関算出手段では、直交検波手段から出力される複素受信信号と、この複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。前置き信号検出手段では、相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中から前置き信号が検出される。
前置き信号検出手段において前置き信号が検出された場合、周波数補正手段では、検出された前置き信号に対し算出された相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数が補正される。またこの場合、復調処理手段では、検出された前置き信号を先頭部に有し、周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。
復調処理手段において復調処理中のパケット信号からは、識別信号抽出手段によって識別信号が抽出される。周波数補正値算出手段では、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正に用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。誤り率算出手段では、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、復調されたパケット信号の誤り率が算出される。
補正値更新手段では、誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値の更新処理を実行するか否かが決定され、更新処理の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正手段の周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0020】
本発明の第5の観点に係る通信装置は、送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、上記送信手段は、送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、供給される伝送信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成するパケット信号生成手段とを含み、上記受信手段は、受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し上記利得設定手段において設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段とを有する。
好適には、上記パケット信号生成手段は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0021】
本発明の第5の観点に係る通信装置によれば、送信手段による送信時において、送信源を識別するための識別信号が識別信号生成手段により生成される。パケット信号生成手段では、供給される伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入され、この伝送信号に識別信号が付加され、所定の変調方式で変調され、こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成される。
受信手段による受信時において、受信された信号のレベルが、利得設定手段により設定された増幅利得をもって増幅手段により増幅される。増幅された受信信号のレベルは、受信レベル測定手段において測定される。また、パケット検出手段では、増幅された受信信号の中からパケット信号を検出する処理が行われる。パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合は、所定の初期増幅利得が利得設定手段において設定され、増幅手段では、この初期増幅利得をもって、受信信号のレベルが増幅される。パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には、受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得が利得設定手段において設定され、増幅手段では、この第1の増幅利得をもって、検出されたパケット信号のレベルが増幅される。この場合、復調処理手段では、この検出されたパケット信号に対して所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。
復調処理手段において復調処理中のパケット信号からは、識別信号抽出手段によって識別信号が抽出される。利得算出手段では、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定手段において設定された1つまたは複数の第1の増幅利得に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得が算出される。誤り率算出手段では、復調処理手段において復調されたパケット信号中の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、復調されたパケット信号の誤り率が算出される。
利得更新手段では、誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、増幅利得の更新処理を実行するか否かが決定され、更新処理の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する増幅手段の増幅利得が、第1の増幅利得から第2の増幅利得へ更新される。
【0022】
本発明の第6の観点に係る受信装置は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信装置であって、受信された信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段とを有する。
【0023】
本発明の第7の観点に係る受信装置は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信装置であって、受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段とを有する。
【0024】
好適には、本発明の第6および第7の観点に係る受信装置は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されている場合において、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含む。上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0025】
本発明の第8の観点に係る受信方法は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信方法であって、受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調処理に対応する復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
【0026】
本発明の第9の観点に係る受信方法は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信方法であって、受信された信号のレベルを、設定された初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調処理に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する。
【0027】
好適には、本発明の第8および第9の観点に係る受信方法は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されている場合において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の2つの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る通信装置によって構成される通信システムの一例を示すブロック図である。
図1に示す通信システムは、アクセスポイントに対応する通信装置1Aと、ステーションに対応する通信装置1Bおよび通信装置1Cとで構成されている。無線LANなどで用いられる一般的な通信システムでは、図1の例に示すように、主としてアクセスポイント(通信装置1A)とステーション(通信装置1Bおよび通信装置1C)との間で通信が行われる。
このような通信システムの他、たとえば、一対一で通信可能な複数の通信装置で構成される通信システムにも本発明は適用可能である。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す通信装置は、送信部1000、受信部2000、アンテナ共用器3000、およびアンテナATを有する。
送信部1000は、本発明の送信手段の一実施形態である。
受信部2000は、本発明の受信手段の一実施形態である。
【0030】
アンテナ共用器Uは、送信部1000からアンテナATに供給される送信信号Stと、アンテナATから受信部2000に入力される受信信号Srとを分離して、送信部1000と受信部2000とがアンテナATを共用することを可能にするユニットである。たとえばスイッチでこれらの信号を直接切り換える方式や、帯域通過フィルタを用いて両信号を分離する方式によって実現される。
また、このアンテナ共用器Uを設けずに、送信部1000と受信部2000とに独立にアンテナを設けても良い。
【0031】
送信部1000は、送信源を識別するための識別信号(以降、ID信号と呼ぶ)を生成し、これを送信するデータDtに付加して所定の変調方式で変調し、所定の周期で反復される一連の信号を含んだプリアンブル信号をこの変調信号の先頭部に付加して、パケット信号を生成する。さらに、この生成したパケット信号に対して直交変調を行い、これを送信信号Stとして出力する。
送信部1000において用いられる変調方式や生成されるパケット信号の構造は本発明に関して任意であるが、ここでは一例として、IEEE802.11aにおいて規定されたOFDM変調方式によって、図10に示すフレーム構造のパケット信号を生成するものとする。
【0032】
図3は、送信部1000の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図3の例に示す送信部1000は、データ付加部101、ID信号生成部102、スクランブル処理部103、畳み込み符号化部104、変調部105、逆フーリエ変換部106、ガード・インターバル付加部107、ウィンドウ処理部108、直交変調部109、RF処理部110、およびプリアンブル付加部111を有する。
ID信号生成部102は、本発明の識別信号生成手段の一実施形態である。
データ付加部101、スクランブル処理部103、畳み込み符号化部104、変調部105、逆フーリエ変換部106、ガード・インターバル付加部107、ウィンドウ処理部108およびプリアンブル付加部111を含むユニットは、本発明のパケット信号生成手段の一実施形態である。
直交変調部109は、本発明の直交変調手段の一実施形態である。
【0033】
データ付加部101は、図10に示す各データ・フィールドのうち、データ・フィールドF3に含まれる送信データDtを入力して、これに、IEEE802.11aにおいて規定されたデータ・フィールドF1、データ・フィールドF2およびデータ・フィールド4に対応するデータを付加する。またデータ付加部101は、これらのデータ・フィールドに加えて所定のデータ・フィールド、たとえばデータ・フィールドF2とデータ・フィールドF3との間にデータ・フィールドF5を設け、そこに所定のデータを挿入する。挿入されたデータは、受信側の通信装置において誤り率の算出に用いられる。
【0034】
図4(A)は、データ付加部101に供給される送信データDtを示し、図4(B)は、データ付加部101から出力されるデータの構造の一例を示す。
図4(B)の例において、データ付加部101から出力されるデータの先頭のデータ・フィールドF1(シグナル・フィールド)には、データ・レートやデータ長に関する24ビットの情報が含まれる。2番目のデータ・フィールドF2(サービス・フィールド)には、スクランブル処理などに用いられる規定の16ビットのビット列が含まれる。3番目のデータ・フィールドF5には、受信側の通信装置において誤り率の算出に用いられる所定のデータが含まれる。4番目のデータ・フィールドF3には、供給される送信データDtが含まれる。5番目のデータ・フィールドには、パケットの末尾を示す規定の6ビットのビット列と、パケット長の調整用に付け足されるビット列とが含まれる。
【0035】
ID信号生成部102は、送信源を識別するためのID信号を生成する。
たとえば、通信装置ごとに定めた固有のID信号を出力する回路によって実現することもできるし、ID信号を書き込んだROMなどの記憶装置によって実現することも可能である。
【0036】
またID信号生成部102は、MAC(media access control)アドレスやIP(internet protocol)アドレスなどに含まれた、送信源の特定を可能にする情報に基づいてID信号を生成しても良い。
図5は、そのようなID信号生成部102の構成の一例を示すブロック図である。この例において、ID信号生成部102は、MACアドレスやIPアドレスなどに含まれた送信源特定用の情報Da(A,B,C,…)とID信号の値(01,02,03,…)とを対応付けたデータ・テーブルの記憶装置を有している。送信データDtとともにそのMACアドレスやIPアドレスなどに含まれた送信源特定用情報DaがID信号生成部102に入力されると、これに対応するID信号がデータ・テーブルから検索されて出力される。
【0037】
スクランブル処理部103は、ID信号生成部102において生成されたID信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、この生成した乱数系列を用いて、データ付加部101から出力されるデータに対するスクランブル処理を行う。
また、受信側においてスクランブルの解除処理を実行するための鍵となる信号として、ID信号生成部102で生成されたID信号やこれと唯一に対応する信号を、たとえばスクランブル処理されたデータの先頭部などに付加する。
【0038】
図6は、スクランブル処理部103の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図6の例に示すスクランブル処理部103は、直列接続されたフリップフロップ1031〜フリップフロップ1037、排他的OR回路1038および排他的OR回路1039を有する。
【0039】
フリップフロップ1031〜フリップフロップ1037の直列回路は7段のシフトレジスタを構成しており、排他的OR回路1038において、このシフトレジスタの4段目のフリップフロップ1034と7段目のフリップフロップ1037の出力信号に対する排他的論理和演算が実行され、演算結果S1038がシフトレジスタの入力に帰還される。また、排他的OR回路1039において、排他的OR回路1038の演算結果S1038とデータ付加部101からのデータS101との排他的論理和演算が実行され、演算結果S103が変調部104へ出力される。
【0040】
このスクランブル処理部103に供給されるID信号S102は7ビットであり、スクランブル処理が開始される時点において、シフトレジスタの各フリップフロップ(1031〜1037)にはID信号S102の各ビットのデータ(ID1〜ID7)がプリセットされる。ただし、7ビット全てが論理値’0’となるデータ’0000000’はID信号から除外されており、ID信号S102として設定可能なデータは127通り存在する。
【0041】
7ビットのID信号S102がシフトレジスタにプリセットされた初期状態から、シフトレジスタのデータ・シフトとともに排他的OR回路1038からビット・データが順次出力されると、そのビット列は、初期状態にプリセットされたID信号S102と唯一に対応する127ビット長の擬似ランダムなビット・パターンを反復したものになる。たとえば、7ビット全てが論理値’1’のID信号(’1111111’)をシフトレジスタにプリセットした場合、排他的OR回路1038から出力されるビット列は、左から右へ順に
’00001110 11110010 11001001 00000010 00100110 00101110 10110110 0000110011010100 11100111 10110100 00101010 11111010 01010001 10111000 1111111’というビット・パターンを反復したものになる。他の値のID信号がプリセットされた場合には、この127ビットのビット列と同一のビット・パターンを有し、先頭ビットの開始位置が異なるビット列が生成される。
【0042】
スクランブル処理部103は、データ付加部101からビット列として供給されるデータS101のうち、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4に含まれるビット列に対してスクランブル処理を行い、データ・フィールドF1に含まれるビット列に対してはスクランブル処理を行わない。たとえば、データ・フィールドF1のビット列が入力される期間において、各フリップフロップ(1031〜1037)の出力値を論理値’0’に初期化し、これにより排他的OR回路1038の出力値を論理値’0’に設定して、入力されるビット列S101を、スクランブル処理せずにそのままビット列S103として出力する。
【0043】
また、スクランブル処理が開始されるデータ・フィールドF2の先頭7ビットは、IEEE802.11aにおいて全て論理値’0’であることが規定されている。このため、排他的OR回路1039から出力される先頭7ビットのビット列S103と、排他的OR回路1038から出力されてシフトレジスタに保持される7ビットのビット列S1038とが、互いに同一の値になる。たとえば、ID信号として’1111111’をシフトレジスタにプリセットした場合、排他的OR回路1039から出力される先頭7ビットは’0000111’となり、これがフリップフロップ1031〜フリップフロップ1037で構成された7段シフトレジスタに保持されるとともに、受信側の通信装置に伝送されて、後述するスクランブル解除処理部212の同様な7段シフトレジスタに保持される。これにより、データ・フィールドF2の8ビット目以降のデータに対しては、スクランブル処理部103が生成する擬似乱数列とスクランブル解除処理部212が生成する擬似乱数列とが等しくなる。
【0044】
また、スクランブル処理開始時にスクランブル処理部103から出力される先頭7ビットのビット列は、ID信号生成部102から供給されるID信号S102と一対一に対応するので、受信側の通信装置では、この先頭7ビットのビット列に基づいて送信源を識別することが可能である。
【0045】
畳み込み符号化部104は、スクランブル処理部103から出力されるビット列S103に対し、畳み込み符号化処理を行う。データ・フィールドF1のビット列に対する畳み込み符号化の符号化率は1/2に設定する。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列に対する符号化率は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに応じて、1/2、2/3、または3/4の何れかに設定する。
また、畳み込み符号化部104は、畳み込み符号化後のビット列に対して規定の並べ替え処理(インターリーブ処理)を行う。
【0046】
変調部105は、畳み込み符号化部104において畳み込み符号化処理およびインターリーブ処理が行われたビット列に対し、BPSK(binary phase shiftkeying)、QPSK(quadrature phase shift keying)、16値QAM(quadrature amplitude modulation)または64値QAMの何れかの方式で変調を行う。
たとえば、畳み込み符号化部104から出力されるビット列を、変調方式に対応した規定のビット長(1ビット、2ビット、4ビットまたは6ビット)のデータに分割し、この分割したデータを、変調方式に対応した信号点配置図(signalconstellation)上の点を表す複素数データ、すなわち同相成分データと直交成分データとのペアに変換する。BPSKでは1ビット、QPSKでは2ビット、16値QAMでは4ビット、64値QAMでは6ビットのデータを、1つの複素数データに変換する。
変調部105は、データ・フィールドF1のビット列をBPSKで変調し、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列を、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに対応する変調方式(BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAM)で変調する。
【0047】
逆フーリエ変換部106は、変調部105から出力される複素数データのストリームに対して逆フーリエ変換処理を実行し、時間領域のOFDMシンボルを生成する。
たとえば、複素数データのストリームを48個の複素数データからなるグループごとに分割する。そして、48個の複素数データにパイロット信号用の4つの既知データを加えた52個の複素数データを52本のサブキャリア周波数に割り当てて逆フーリエ変換を実行し、時間領域のOFDMシンボルを生成する。
また、プリアンブル付加部111から図10のショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に対応する規定の複素数データが入力された場合にも、これに対応した時間領域のOFDM信号を生成する。
【0048】
ガード・インターバル付加部107は、逆フーリエ変換部106から出力されるOFDMシンボル列のシンボル間に、規定されたガード・インターバルを付加する処理を行う。ガード・インターバルは、OFDMシンボルの先端に末尾のデータをコピーして貼り付けることにより信号長を延長させるものである。ガード・インターバルがOFDMシンボル間に設けられることで、信号遅延による受信性能の劣化を抑えることができる。
【0049】
ウィンドウ処理部108は、ガード・インターバル付加部107においてガード・インターバルが付加されたOFDMシンボルにそれぞれ所定の窓関数を乗算して、OFDMシンボルの境界部における信号の不連続性を低減させる処理を行う。
【0050】
直交変調部109は、ウィンドウ処理部108から出力されるパケット信号、すなわちプリアンブル(P1,P2)が付加されたOFDMシンボル列に対し直交変調を行う。たとえば、同相成分データに所定の周波数のコサイン信号を乗算するとともに、同一周波数のサイン信号を直交成分データに乗算し、これらの乗算結果を加算する。
【0051】
RF処理部110は、直交変調部109において直交変調された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、これに高周波増幅処理、周波数変換処理、帯域制限処理を施して、5GHz帯の送信信号Stを生成する。
【0052】
プリアンブル付加部111は、送信データDtを含むパケット信号を生成する場合に、図10のショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に対応する規定の複素数データを逆フーリエ変換部106に供給して、パケット信号の先頭部にプリアンブルを付加させる。
以上が、送信部1000の説明である。
【0053】
受信部2000は、受信信号Srの中から、所定のプリアンブルを先頭部に有したパケット信号を検出し、検出したパケット信号に対して送信部1000の変調方式に対応した復調処理を行い、受信データDrを再生する。このとき、受信データDrの誤り率を算出し、これが一定限度を超えて大きい場合、パケット信号に含まれるID信号によってパケット信号の送信源を特定し、その送信源の過去の受信処理で用いられた周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値を更新する処理を行う。
受信部2000において受信されるパケット信号の構造やその復調方式は本発明に関して任意であるが、ここでは一例として、図10に示すフレーム構造のパケット信号を受信し、IEEE802.11aにおいて規定されたOFDM変調方式に対応する復調処理を行って、受信データDrを再生するものとする。
【0054】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る受信部2000の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図7の例に示す受信部2000は、RF処理部201、受信レベル測定部202、利得設定部203、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209、復号化部210、ID信号抽出部211、スクランブル解除部212、相関算出部213、プリアンブル検出部214、周波数補正値算出部215、誤り率算出部216、および周波数補正値更新部217を有する。
直交検波部204は、本発明の直交検波手段の一実施形態である。
周波数補正部205は、本発明の周波数補正手段の一実施形態である。
ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210を含むユニットは、本発明の復調処理手段の一実施形態である。
ID信号抽出部211は、本発明の識別信号抽出手段の一実施形態である。
スクランブル解除部212は、本発明のスクランブル解除手段の一実施形態である。
相関算出部213は、本発明の相関算出手段の一実施形態である。
プリアンブル検出部214は、本発明の前置き信号検出手段の一実施形態である。
周波数補正値算出部215は、本発明の周波数補正値算出手段の一実施形態である。
誤り率算出部216は、本発明の誤り率算出手段の一実施形態である。
周波数補正値更新部217は、本発明の周波数補正値更新手段の一実施形態である。
【0055】
RF処理部201は、入力される受信信号Srを利得設定部203によって設定された増幅利得をもって増幅し、これに周波数変換処理、帯域制限処理、A/D変換処理を施して、デジタルの受信信号を出力する。
【0056】
受信レベル測定部202は、RF処理部において増幅された受信信号のレベル、たとえば信号電力の平均値やピーク値を測定する。
【0057】
利得設定部203は、プリアンブル検出部214においてパケット信号の先頭を示すプリアンブルが検出されるのを待っている受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得を所定の初期増幅利得に設定し、この初期増幅利得をもって受信信号の増幅を行わせる。また、プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合は、受信レベル測定部202において測定される信号レベルに応じてRF処理部201の増幅利得を制御し、増幅後の受信信号レベルをA/D変換のダイナミック・レンジに適合させる。
【0058】
直交検波部204は、RF処理部において処理された受信信号に対し直交検波を行い、複素数データとしての受信信号(以降、複素受信信号と呼ぶ)を出力する。たとえば、RF処理部203から出力される受信信号と、所定の周波数のコサイン信号およびサイン信号とを乗算して、同相成分データおよび直交成分データのペアとしての複素受信信号を生成する。
【0059】
周波数補正部205は、プリアンブル検出部214においてパケット信号のショート・プリアンブルP1が検出された場合、この検出されたショート・プリアンブルP1に対し相関算出部213において算出される後述の位相差に応じた第1の周波数補正値S205を取得し、この第1の周波数補正値S205を用いて、直交検波部204から出力される複素受信信号の周波数を補正する。たとえば、相関算出部213から出力される複素数データの位相差を、検出されたショート・プリアンブルP1に含まれる所定数のショート・トレーニング・シンボルに渡って平均し、この位相差の平均値を第1の周波数補正値S205として、直交検波部204から出力される複素受信信号に乗算することにより、複素受信信号の周波数を補正する。この第1の周波数補正値S205は、周波数補正値算出部215における第2の周波数補正値S215の算出に用いられる。
なお、後述する周波数補正値更新部217において周波数補正値の更新処理が行われた場合には、この第1の周波数補正値S205の代わりに、周波数補正値更新部217において更新される周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数を補正する。
【0060】
ガード・インターバル除去部206は、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、周波数補正部205から出力される複素受信信号の中からOFDMシンボルを抽出し、抽出したOFDMシンボルに付加されたガード・インターバルを除去する。
【0061】
フーリエ変換部207は、ガード・インターバル除去部206においてガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルに対しフーリエ変換を実行し、これを周波数領域のOFDMシンボルに変換する。たとえば、1OFDMシンボルごとに52本のサブキャリアに対応する52個の複素数データ(以降、サブキャリア信号と呼ぶ)を出力する。
【0062】
位相補正部208は、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルを抽出する。そして、抽出したOFDMシンボルの各サブキャリア信号と、ロング・プリアンブルP2の生成に用いた既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態をサブキャリアごとに推定する。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相を補正する。
また、ロング・プリアンブルP2以降の各OFDMシンボルについては、52個のサブキャリア信号に含まれる4個の既知のパイロット・サブキャリア信号を用いて位相誤差を補正する処理も行う。すなわち、パイロット・サブキャリア信号が既知の値に対して有する誤差から、他のサブキャリアにおける位相誤差を推定し、推定した位相誤差を補正する処理を行う。これにより、周波数補正部205による周波数補正後にも残留する各サブキャリア信号の位相誤差を補正することができる。
【0063】
復調部209は、送信側の通信装置においてBPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの方式により変調された、OFDMシンボルの各サブキャリア信号を復調する。すなわち、変調方式に対応した信号点配置図上の信号点とサブキャリア信号とを対応付けることにより、複素数データとしてのサブキャリア信号を、信号点に対して決められた1〜6ビットのデータに変換する。1つのサブキャリア信号は、BPSKでは1ビット、QPSKでは2ビット、16値QAMでは4ビット、64値QAMでは6ビットのデータに変換される。また復調部209は、ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対してBPSKの復調処理を行う。他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを後述の復号化部210において復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの復調処理を行う。
【0064】
復号化部210は、復調部209において復調されたデータに対して、送信側で行われたインターリーブ処理に対応する逆の並べ替え処理(デ・インターリーブ処理)を行い、更に、送信側で行われた畳み込み符号化処理に対応した復号化処理、たとえばビタビ復号化処理を行う。
また復号化部210は、ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対して符号化率1/2の復号化処理を行う。他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、符号化率1/2、2/3、または3/4の復号化処理を行う。
【0065】
ID信号抽出部211は、復号化部210において復号化されたパケット信号から、送信源を識別するためのID信号を抽出する。このID信号は、たとえば図10のサービス・フィールドF2の先頭部分に含まれており、抽出したID信号を用いて、パケット信号の残りの部分に対するスクランブル解除部212や周波数補正値算出部215の処理が実行される。
【0066】
スクランブル解除部212は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、生成した乱数系列と復号化部210から出力される復号化データとに所定の演算、たとえば排他的論理和演算を行い、復号化部210から出力される復号化データに加えられたスクランブルを解除する。スクランブル解除の結果として、送信データDtに対応する受信データDrが再生される。
【0067】
スクランブル解除部212は、たとえば図6に示すスクランブル処理部103と同一の構成で実現することができる。この場合、図6のID信号S102は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211に、図6のデータS101は、復号化部210において復号化されたデータS210に、図6のビット列S103は、スクランブル解除部212においてスクランブルが解除されて再生される受信データDrにそれぞれ置き換えられる。
【0068】
相関算出部213は、直交検波部204から出力される複素受信信号と、この複素受信信号を所定の遅延時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する。この遅延時間は、ショート・プリアンブルP1に含まれる10個のショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応して設定されているので、複素受信信号中にショート・トレーニング・シンボルが含まれていると、相関算出部213において算出される相関値は極大になる。また、設定された遅延時間とショート・トレーニング・シンボルの反復周期とが完全に一致している場合、相関算出部213において算出される位相差はゼロになるので、この位相差のゼロからのずれにより、設定した遅延時間の誤差量、すなわち受信側において想定している受信信号の周波数が実際の周波数に対して有する誤差量を求めることができる。
【0069】
プリアンブル検出部214は、相関算出部213において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中からパケット信号の先頭部に含まれるショート・プリアンブルP1を検出する。
【0070】
周波数補正値算出部215は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値S205に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する。
【0071】
図8は、周波数補正値算出部215のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図8の例に示す周波数補正値算出部215は、フリップフロップ21511〜フリップフロップ2151n(nは任意の自然数を示す)、フリップフロップ21521〜フリップフロップ2152n、フリップフロップ21531〜フリップフロップ2153n、加算器21541〜加算器2154n、乗算器21551〜乗算器2155n、レジスタ選択部2156、およびセレクタ2157を有する。
【0072】
フリップフロップ2151i(iは1≦i≦nの自然数を示す)、フリップフロップ2152i、およびフリップフロップ2153iは直列に接続されており、3段のシフトレジスタを構成する。周波数補正値算出部215の内部には、こうした3段シフトレジスタがn本含まれる。3段シフトレジスタの初段のフリップフロップには、周波数補正部205において周波数の補正に用いられた第1の周波数補正値S205が入力される。レジスタ選択部2156の選択信号によってシフトレジスタのシフト動作が有効になると、初段のフリップフロップに入力される第1の周波数補正値S205がこの初段のフリップフロップに保持され、各段に既に保持されている周波数補正値が次段にシフトされる。
【0073】
加算器2154iは、フリップフロップ2151i〜フリップフロップ2153iで構成される3段シフトレジスタに保持された3つの周波数補正値を加算する。
乗算器2155iは、加算器2154iの加算結果に定数’1/3’を乗算する。乗算器2155iの乗算結果は、フリップフロップ2151i〜フリップフロップ2153iで構成される3段シフトレジスタに保持された3つの周波数補正値の平均値に相当する。
【0074】
レジスタ選択部2156は、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つを選択し、そのシフト動作を有効状態に設定する。これにより、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正で用いられた第1の周波数補正値S205を、このパケット信号のID信号に対応した3段シフトレジスタに保持させる。
【0075】
セレクタ2157は、n個の乗算器(21551〜2155n)から出力される周波数補正値の平均値のうち、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211に対応する平均値を選択し、これを第2の周波数補正値S215として出力する。
【0076】
図8の例に示す周波数補正値算出部215によれば、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つが選択され、この選択されたシフトレジスタに、復調処理中のパケット信号の第1の周波数補正値S205が保持される。これにより、n本の3段シフトレジスタには、それぞれに対応するID信号S211を含んだ一連のパケット信号のうち、最近受信された3つのパケット信号の周波数補正値が保持される。各レジスタに保持される3つの周波数補正値は、加算器2154iにおいて加算され、乗算器2155iにおいて3分の1にされて、その平均値が算出される。セレクタ2157からは、ID信号S211に対応してレジスタに保持された3つの周波数補正値の平均値が、第2の周波数補正値S215として出力される。
【0077】
誤り率算出部216は、スクランブル解除部212から出力される受信データDrのうち、データ・フィールドF5に含まれるデータと所定のデータとを比較し、この比較結果に応じて、受信データDrとして復調されたパケット信号の誤り率を算出する。
【0078】
周波数補正値更新部217は、誤り率算出部216において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かを判定し、たとえば誤り率が所定のしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対する周波数補正処理で用いられている周波数補正値を、第1の周波数補正値S205から第2の周波数補正値S215へ更新する。
【0079】
ここで、上述した構成を有する図2の通信装置の動作について、送信時と受信時とに分けて説明する。
【0080】
(送信時)
データ付加部101に送信データDtが供給されると、図4(B)に示すように、この送信データDtを含むデータ・フィールドF3の前後に新たなデータ・フィールド(F1、F2、F5、F4)が付加される。また、ID信号生成部102において、送信源を識別するためのID信号が生成され、スクランブル処理部103に供給される。ID信号は、たとえば図5に示すようなデータ・テーブルを用いて、MACアドレスやIPアドレスなどに含まれる情報に基づいて生成される。
【0081】
スクランブル処理部103では、この生成されたID信号と唯一に対応する乱数系列が生成され、生成された乱数系列を用いて、データ付加部101から出力されるデータに対するスクランブル処理が行われる。
たとえば、図6に示すような構成のスクランブル処理部103において、7ビットのID信号S102と唯一に対応する127ビット長の擬似乱数系列が生成され、これとデータ付加部101から出力されるビット列との排他的論理和が演算される。スクランブル処理は、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4に含まれるビット列に対して行われ、データ・フィールドF1に含まれるビット列に対しては行われない。データ・フィールドF2の先頭7ビットは全て論理値’0’であり、データ・フィールドF2の先頭7ビットのスクランブル処理結果としてスクランブル処理部103から出力される7ビットのビット列は、スクランブル処理部103の7段のシフトレジスタ(フリップフロップ1031〜フリップフロップ1037)に保持されるデータと等しくなる。この7ビットのビット列は、受信時においてID信号抽出部211によりID信号S211として抽出される。
【0082】
スクランブル処理部103から出力されるスクランブル処理されたビット列は、畳み込み符号化部104において畳み込み符号化される。データ・フィールドF1のビット列に対する畳み込み符号化の符号化率は1/2に設定される。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列に対する符号化率は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに応じて、1/2、2/3、または3/4の何れかに設定される。また、畳み込み符号化部104において、畳み込み符号化後のビット列に対するインターリーブ処理も行われる。
【0083】
畳み込み符号化部104において畳み込み符号化処理およびインターリーブ処理が行われたビット列は、変調部105において、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの方式で変調され、複素数データのストリームが生成される。データ・フィールドF1のビット列はBPSKで変調される。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに対応する変調方式(BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAM)で変調される。
【0084】
変調部105から出力される複素数データのストリームに対し、逆フーリエ変換部106において逆フーリエ変換処理が実行され、時間領域のOFDMシンボルが生成される。
また、変調部105から出力される複素数データのストリームに先立って、プリアンブル付加部111から規定の複素数データが逆フーリエ変換部106に供給され、これに応じてプリアンブル部(ショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2)に対応する時間領域のOFDM信号が生成され、パケット信号の先頭部に付加される。
【0085】
逆フーリエ変換部106から出力されるOFDMシンボル列のシンボル間には、ガード・インターバル付加部107によってガード・インターバルが付加される。さらに、ガード・インターバルが付加されたOFDMシンボルには、ウィンドウ処理部108においてそれぞれ窓関数が乗算され、OFDMシンボルの境界部における信号の不連続性が低減される。
【0086】
ウィンドウ処理部108から出力されるパケット信号は、図4(C)に示すように、先頭部にショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2が付加され、データ・フィールドF1と対応するOFDMシンボルSL1がこれに続き、その後にデータ・フィールドF2〜データ・フィールドF5と対応するOFDMシンボルSL2〜OFDMシンボルSLkが続いたパケット構造となる。このパケット信号に対し、直交変調部109において直交変調が行われ、さらにRF処理部110においてD/A変換処理、高周波増幅処理、周波数変換処理、帯域制限処理が行われて、5GHz帯の送信信号Stが生成される。
【0087】
(受信時)
アンテナATからアンテナ共用器Uを経てにRF処理部201に入力された受信信号Srは、利得設定部203により設定された増幅利得をもって増幅され、これに周波数変換処理、帯域制限処理およびA/D変換処理が行われて、デジタルの受信信号が生成される。
また、受信レベル測定部202において、RF処理部201の増幅後の受信信号レベルが測定され、測定結果が利得設定部203に供給される。
パケット信号の先頭を示すプリアンブルがプリアンブル検出部214において検出される前の受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得は所定の初期増幅利得に設定される。プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合、この増幅利得は受信レベル測定部202の測定結果に応じて制御され、RF処理部201における増幅後の受信信号レベルがA/D変換のダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0088】
RF処理部201において処理された受信信号には、直交検波部204において直交検波が施され、同相成分データおよび直交成分データのペアからなる複素受信信号が生成される。
【0089】
相関算出部213では、直交検波部204から出力される複素受信信号と、ショート・プリアンブルP1に含まれる10個のショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応した遅延時間だけこの複素受信信号を遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。プリアンブル検出部214では、算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中に含まれたショート・プリアンブルP1が検出される。
【0090】
プリアンブル検出部214においてショート・プリアンブルP1が検出された場合、周波数補正部205において、この検出されたショート・プリアンブルP1に対し相関算出部213において算出された位相差に応じた第1の周波数補正値S205が決定され、この第1の周波数補正値S205を用いて、直交検波部204から出力される複素受信信号の周波数が補正される。また、ガード・インターバル除去部206において、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、周波数補正部205から出力される複素受信信号の中からOFDMシンボルが抽出され、各OFDMシンボルに付加されたガード・インターバルが除去される。
【0091】
ガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルは、フーリエ変換部207においてフーリエ変換され、時間領域のOFDMシンボルから周波数領域のOFDMシンボルに変換される。たとえば、1OFDMシンボルごとに52本のサブキャリアに対応する52個の複素数データが出力される。
【0092】
フーリエ変換部207から出力されるOFDMシンボルには、位相補正部208において、ロング・プリアンブルP2およびパイロット・サブキャリア信号を用いた位相補正処理が行われる。まず、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルが抽出され、抽出されたOFDMシンボルの各サブキャリア信号と、ロング・プリアンブルP2の生成に用いられる既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態がサブキャリアごとに推定される。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相が補正される。さらに、各OFDMシンボルに含まれる4個のパイロット・サブキャリア信号が既知の値に対して有する誤差から、そのOFDMシンボルの他のサブキャリアにおける位相誤差が推定され、推定された位相誤差を各サブキャリア信号から除去する位相補正処理が行われる。
【0093】
位相補正部208による位相補正後のOFDMシンボルには、復調部209において、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの変調方式に対応した復調処理が行われる。ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対してはBPSKの復調処理が行われ、他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化部210において復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの復調処理が行われる。
【0094】
復調部209において復調されたデータには、復号化部210において、送信側で行われたインターリーブ処理に対応したデ・インターリーブ処理が行われた後、たとえばビタビ復号化などの復号化処理が行われる。ロング・プリアンブルP2に続くデータ・フィールドF1(シグナル・フィールド)に対して符号化率1/2の復号化処理が行われ、他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、符号化率1/2、2/3、または3/4の復号化処理が行われる。
【0095】
ID信号抽出部211では、復号化部210において復号化されたパケット信号から、送信源を識別するためのID信号が抽出される。スクランブル解除部212では、ID信号抽出部212において抽出されたID信号と唯一に対応する乱数系列が生成され、生成された乱数系列と復号化部210から出力される復号化データとの演算処理、たとえば排他的論理和演算によって、復号化部210から出力される復号化データに加えられたスクランブルが解除される。
たとえば、ID信号はデータ・フィールドF2(サービス・フィールド)の先頭7ビット部分に含まれており、これがID信号抽出部211において抽出されて、スクランブル解除部212の7段シフトレジスタにプリセットされる。これにより、データ・フィールドF2の先頭の8ビット目以降では、スクランブル処理部103およびスクランブル解除部212における7段シフトレジスタの状態が等しくなり、両者で生成される乱数データが等しくなる。したがって、スクランブル解除部212では、スクランブル処理部103において加算(排他的論理和)されたものと等しい乱数データが復号化データに加算されるため、スクランブル処理前の元の伝送データが再生される。
【0096】
また、ID信号抽出部211において抽出されたID信号は周波数補正値算出部215にも供給され、この抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値S205に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値S215が算出される。ID信号は、送信側の通信装置において送信源と唯一に対応するように生成されるので、周波数補正値算出部215により算出される第2の周波数補正値S215は、ID信号によって特定された送信源から以前に伝送されたパケット信号の受信状態に基づいて算出されたものになる。
たとえば、周波数補正値算出部215が図8に示すような構成を有する場合、ID信号S211によって特定された送信源から最近伝送された3つのパケット信号に対する3つの第1の周波数補正値の平均値が算出され、これが復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値S215として出力される。
【0097】
パケット信号の復調処理中において、スクランブル解除部212から出力される受信データDrのうちのデータ・フィールドF5に含まれるデータは、誤り率算出部216において既知のデータと比較され、この比較結果に応じて、受信データDrとして復調されたパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率は、周波数補正値更新部217において所定のしきい値に達しているか否か判定され、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられている第1の周波数補正値S205が、周波数補正値算出部215において算出された第2の周波数補正値S215に応じて更新される。
【0098】
以上説明したように、図3の送信部1000および図7の受信部2000を有した図2の通信装置によれば、送信源の識別を可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、受信側の通信装置において、復調処理中のパケット信号からこのID信号が抽出されて送信源が特定される。送信源が特定されると、この送信源から以前伝送された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正処理で用いられた第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出され、算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否かに応じて、周波数の補正値の更新を実行するか否かが決定される。更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する周波数の補正処理で用いられている周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
したがって、たとえばプリアンブルの受信信号中にノイズが混入するなどして相関算出部213で算出された位相差に誤差が生じた場合、これに応じて周波数補正されたパケット信号の復調処理後の受信データDrは誤り率が大きくなってしまい、誤差の大きさによってはパケット全体のデータが失われてしまうところを、上述した通信装置では、パケット復調処理の途中で周波数補正値の更新が行われるので、更新後のパケット信号についての誤り率の改善を図ることができ、データの損失を抑えることができる。また、誤り率の大きさに応じて周波数補正値の更新を実行するか否かが決定されるので、良好な通信状態において周波数補正値の更新が行われることにより、かえって誤り率が悪化してしまうことを防止できる。
【0099】
なお、周波数補正値更新部217において更新処理が実行された場合には、この更新処理によって第2の周波数補正値と置き換えられた第1の周波数補正値を、周波数補正値算出部215における周波数補正値の算出に用いる周波数補正値から除外しても良い。たとえば、周波数補正値更新部217において更新処理が実行された場合、レジスタ選択部2156によるシフトレジスタの選択を停止して、第1の周波数補正値S205をシフトレジスタに保持させないようにしても良い。
周波数補正値更新部217の更新処理は、誤り率算出部216において算出される誤り率がある一定限度を超えて大きい場合であるので、相関算出部213で算出される位相差は不適切な値を有している可能性がある。したがって、このような位相差に応じて決定された第1の周波数補正値を第2の周波数補正値の算出に用いないようにすることで、より適切な周波数の補正を行うことができる。
【0100】
また、図8の例に示す周波数補正値算出部217では、保持された3つの第1の周波数補正値を平均化することにより第2の周波数補正値S215を算出しているが、平均する周波数補正値の数は任意であり、たとえば2のべき乗個(2、4、8、…)でも良い。この場合、乗算器21551〜乗算器2155nを単純なビット・シフト回路で実現することができる。また、保持された周波数補正値に対してそれぞれ重み付け値を乗算した上で加算平均を行っても良い。
【0101】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態に係る通信装置は、たとえば図2と同様な構成を有している。ただし、図2の受信部2000は、次に述べる受信部2000Aに置き換えられる。
【0102】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る受信部2000Aの構成の一例を示すブロック図である。
図9の例に示す受信部2000Aは、RF処理部201、受信レベル測定部202、利得設定部203、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209、復号化部210、ID信号抽出部211、スクランブル解除部212、相関算出部213、プリアンブル検出部214、誤り率算出部216、利得算出部218および利得更新部219を有する。ただし、図9と図7の同一符号は同一の構成要素を示す。
RF処理部201は、本発明の増幅手段の一実施形態である。
受信レベル測定部202は、本発明の受信レベル測定手段の一実施形態である。
利得設定部203は、本発明の利得設定手段の一実施形態である。
相関算出部213およびプリアンブル検出部214を含むユニットは、本発明のパケット検出手段の一実施形態である。
直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210を含むユニットは、本発明の復調処理手段の一実施形態である。
ID信号抽出部211は、本発明の識別信号抽出手段の一実施形態である。
スクランブル解除部212は、本発明のスクランブル解除手段の一実施形態である。
誤り率算出部216は、本発明の誤り率算出手段の一実施形態である。
利得算出部218は、本発明の利得算出手段の一実施形態である。
利得更新部219は、本発明の利得更新手段の一実施形態である。
【0103】
利得算出部218は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定された1つまたは複数の増幅利得S203(第1の増幅利得)に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218(第2の増幅利得)を算出する。
増幅利得S218の算出に用いられる増幅利得S205は、パケット信号の任意の部分において利得設定部203により設定さる増幅利得S203を用いて良いが、好ましくは、利得設定部203における利得制御の応答速度からその増幅利得が一定値に収束すると期待できる部分、たとえば、パケット信号の末尾において設定された増幅利得S203を用いる。
【0104】
利得算出部218は、たとえば図8に示す周波数補正値算出部215と同様な構成で実現できる。
ただし、図8における第1の周波数補正値S205は増幅利得S203に、第2の周波数補正値S215は増幅利得S218にそれぞれ置き換えられる。
このような構成の利得算出部218によれば、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つが選択される。選択されたシフトレジスタには、復調処理中のパケット信号における所定の部分、たとえばパケット信号の末尾において利得設定部203がRF処理部201に設定する増幅利得S203が保持される。これにより、n本の3段シフトレジスタには、それぞれに対応するID信号S211を含んだ一連のパケット信号のうち、最近受信された3つのパケット信号の増幅利得S203が保持される。各レジスタに保持される3つの増幅利得は、加算器2154iにおいて加算され、乗算器2155iにおいて3分の1にされて、その平均値が算出される。セレクタ2157からは、ID信号S211に対応してレジスタに保持された3つの増幅利得の平均値が、増幅利得S218として出力される。
【0105】
利得更新部219は、誤り率算出部216において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かを判定し、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得を、利得設定部203において設定されている増幅利得S203から、利得算出部218において算出された増幅利得S218へ更新する。
【0106】
なお、利得設定部203は、増幅利得の更新が行われた後で、新たに設定された増幅利得S218を初期値として、受信レベル測定部202の測定結果に応じたRF処理部201の利得制御を再開しても良い。あるいは、更新後の増幅利得をそのままパケット信号の末尾まで保持してRF処理部201に設定し続けても良い。
【0107】
上述した構成を有する受信部2000Aの動作を説明する。
アンテナATからアンテナ共用器Uを経てにRF処理部201に入力された受信信号Srは、利得設定部203により設定された増幅利得をもって増幅され、これに周波数変換処理、帯域制限処理およびA/D変換処理が行われて、デジタルの受信信号が生成される。
また、受信レベル測定部202において、RF処理部201の増幅後の受信信号レベルが測定され、測定結果が利得設定部203に供給される。
パケット信号の先頭を示すプリアンブルがプリアンブル検出部214において検出される前の受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得は所定の初期増幅利得に設定される。プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合、この増幅利得は受信レベル測定部202の測定結果に応じて制御され、RF処理部201における増幅後の受信信号レベルがA/D変換のダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0108】
RF処理部201において処理された受信信号に対する相関算出部213およびプリアンブル検出部214によるパケット信号の検出処理、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210によるパケット信号の復調処理、ID信号抽出部211によるID信号の抽出処理、ならびに、スクランブル解除部212によるスクランブル解除処理は、既に述べた受信部2000と同様であるので説明を割愛する。
【0109】
ID信号抽出部211において抽出されたID信号が利得算出部218に供給されると、この抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定された1つまたは複数の増幅利得S203に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218が算出される。この増幅利得S218は、ID信号によって特定された送信源から以前に伝送されたパケット信号の受信状態に基づいて算出されたものになる。
たとえば、利得算出部218が図8に示すような構成を有する場合、ID信号S211によって特定された送信源から最近伝送された3つのパケット信号に対し利得設定部203において設定され3つの増幅利得S203の平均値が算出され、これが復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218として出力される。
【0110】
復調処理中のパケット信号に対しては、誤り率算出部216において誤り率の算出が行われ、利得更新部219において、この算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否か判定される。判定の結果、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得が、利得設定部203において設定中の増幅利得S203から、利得算出部218により算出された増幅利得S218へ更新される。
【0111】
以上説明したように、図9の受信部2000Aを有した通信装置によれば、受信部2000を有した前述の通信装置と同様に、送信源の識別を可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、受信側の通信装置において、復調処理中のパケット信号からこのID信号が抽出されて送信源が特定される。送信源が特定されると、この送信源から以前伝送された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定されたRF処理部201の増幅利得S203に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218が算出される。また、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出され、算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否かに応じて、増幅利得の更新を実行するか否か決定される。更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得が、利得設定部203により設定された増幅利得S203から、利得算出部218において算出された増幅利得S218へ更新される。
したがって、利得設定部203の応答速度が遅いことなどにより最適な増幅利得に対してずれが生じている場合、たとえば過大な増幅利得によってA/D変換後の信号に大きな歪成分が生じたり、増幅利得が十分でないために信号対ノイズ比が悪化したりして、受信データDrの誤り率が増加してしまうところを、上述した通信装置では、パケット復調処理の途中で増幅利得の更新が行われるので、更新後のパケット信号についての誤り率の改善を図ることができ、データの損失を抑えることができる。また、誤り率の大きさに応じて増幅利得の更新を実行するか否かが決定されるので、良好な通信状態において増幅利得の更新が行われることにより、かえって誤り率が悪化してしまうことを防止できる。
【0112】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。
図2に示す通信装置の例では、送信部と受信部とを両方備えているが、本発明はこの例に限定されず、たとえば、他方の通信装置が送信部のみを備え、他方の通信装置が受信部のみを備えている場合にも本発明は適用可能である。
【0113】
本発明に係る通信装置の各構成要素は、全てをハードウェアによって構成することも可能であるが、少なくともその一部を、プログラムに応じて処理を実行するDSPなどの処理装置に置き換えて実現することも可能である。
【0114】
本発明に係る通信装置は無線信号の通信装置に限定されない。ケーブル等を介して信号が伝送される有線の通信装置でも良い。
【0115】
【発明の効果】
本発明の第1ないし第5の観点によれば、パケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う際における受信データの誤り率の上昇を抑制できる。
本発明の第6ないし第9の観点によれば、複数の送信源からパケットとして伝送される信号を受信する際におけるデータの誤り率の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通信装置によって構成される通信システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1および第2の実施形態に係る送信部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】元の送信データの前後に付加されるデータ・フィールドと、各データ・フィールドに対応するOFDMシンボルを示す図である。
【図5】ID信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】スクランブル処理部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る受信部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図8】周波数補正値算出部のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る受信部の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】IEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
【符号の説明】
1A〜1C…通信装置、101…データ付加部、102…ID信号生成部、103…スクランブル処理部、104…畳み込み符号化部、105…変調部、106…逆フーリエ変換部、107…ガード・インターバル付加部、108…ウィンドウ処理部、109…直交変調部、110,201…RF処理部、111…プリアンブル付加部、202…受信レベル測定部、203…利得設定部、204…直交検波部、205…周波数補正部、206…ガード・インターバル除去部、207…フーリエ変換部、208…位相補正部、209…復調部、210…復号化部、211…ID信号抽出部、212…スクランブル解除部、213…相関算出部、214…プリアンブル検出部、215…周波数補正値算出部、216…誤り率算出部、217…周波数補正値更新部、218…利得算出部、219…利得更新部、1000…送信部、2000,2000A…受信部、1031〜1037,21511〜2151n,21521〜2152n,21531〜2153n…フリップフロップ、1038,1039…排他的OR回路、21541〜2154n…加算器、21551〜2155n…乗算器、2156…レジスタ選択部、2157…セレクタ、AT…アンテナ、U…アンテナ共用器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信方法、通信装置、ならびに受信装置とその方法に係り、たとえばパケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う通信方法とその通信装置、受信装置および受信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パケット信号を用いて複数の通信装置が無線通信を行う通信方式では、通常そのパケット信号の先頭部に既知のプリアンブル信号(前置き信号)が付加されており、受信側の通信装置は、このプリアンブル信号を受信信号の中から検出したタイミングに同期して、パケット信号の受信処理を行う。
【0003】
図10は、こうした通信方式の1つであるIEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
パケット信号の先頭にはショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2とよばれるプリアンブル信号が付加されている。ショート・プリアンブルP1は、一定の周期で反復される10個の既知信号(ショート・トレーニング・シンボル)で構成され、ロング・プリアンブルP2は、2個の既知信号(ロング・トレーニング・シンボル)で構成される。
【0004】
ショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に続くパケット信号の主要部分は、複数のOFDMシンボル(SL1〜SLk、kは1より大きい自然数を示す)で構成される。OFDMシンボルは、OFDM(orthogonal frequency division multiplex)方式において変調処理や復調処理が行われる際の単位となる信号であり、たとえばIEEE802.11aで規定されている最低のデータ・レートにおいて、1OFDMシンボルにより24ビットのデータを伝送することができる。
【0005】
OFDMシンボルSL1〜OFDMシンボルSLkによって伝送されるデータは、4つのデータ・フィールド(F1〜F4)に区分される。先頭のデータ・フィールドF1はシグナル・フィールドと呼ばれ、データ・レートやデータ長に関する24ビットの情報がこれに含まれる。シグナル・フィールドF1は、先頭のOFDMシンボルSL1を用いて伝送される。
2番目のデータ・フィールドF2はサービス・フィールドと呼ばれ、スクランブル処理などに用いられる規定の16ビットのビット列がこれに含まれる。3番目のデータ・フィールドF3には、伝送する任意の情報が含まれる。4番目のデータ・フィールドには、パケットの末尾を示す規定の6ビットのビット列と、パケット長の調整用に付け足されるビット列とが含まれる。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4の各データは、2番目以降のOFDMシンボル(SL2〜SLk)を用いて伝送される。
【0006】
IEEE802.11a方式の受信装置では、図10のショート・プリアンブルF1を用いてパケット信号の検出処理が行われるとともに、このショート・プリアンブルF1を用いて、OFDMシンボルを復調する際の基準となるクロック信号の周波数のずれ(以降、周波数オフセットと呼ぶ)を補正する処理も行われる。
【0007】
また、デジタル方式の復調処理を行う受信装置では、アナログの受信信号をアナログ/デジタル(A/D)コンバータにおいてデジタル信号に変換した後で復調処理が行われており、A/Dコンバータに入力される受信信号レベルはそのダイナミック・レンジの範囲内に収まる必要がある。ところが、無線LANシステムなどのように多数の機器間で通信が行われる無線通信システムでは、各機器の送信出力や機器間の距離に応じて受信信号レベルが大きく異なるので、この信号がそのままA/Dコンバータに入力されると、ダイナミック・レンジが非常に広いものでない限り、A/D変換後のデジタル信号に歪みが生じてしまう。そこで、通常このような受信装置には、受信信号レベルをA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に調整するための自動利得制御回路が搭載されている。
【0008】
IEEE802.11a方式の受信装置では、たとえば上述したショート・プリアンブルF1が検出される前の受信待ち状態において受信信号の増幅利得が固定の値に設定されており、ショート・プリアンブルF1が検出された時点から自動利得制御回路によってこの増幅利得が制御されて、受信されたパケット信号のレベルがA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した周波数オフセットの補正処理が正常に行われるためには、ショート・プリアンブルF1が正しく検出される必要がある。しかしながら、雑音レベルの大きい通信環境では、ショート・プリアンブルF1の受信信号に雑音が重畳される可能性があり、これによって周波数オフセットが正しく補正されない場合が生じ得る。この場合、検出されたショート・プリアンブルF1を含むパケット信号全体に誤った周波数オフセット補正処理が行われるため、データの誤り率が上昇してしまう不利益が生じる。
【0010】
また、自動利得制御回路における増幅利得の制御では、OFDM変調信号のように変化周期が短くレベル変動の大きい信号に対して増幅利得が敏感に追従してしまうことがないように、応答速度が遅く設定される場合が多い。そのため、特にパケット信号の前部で増幅利得を最適値に収束させることは難しく、これによりデータの誤り率が上昇してしまう不利益が生じる。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う際における受信データの誤り率の上昇を抑制できる通信方法およびその通信装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数の送信源からパケットとして伝送される信号を受信する際におけるデータの誤り率の上昇を抑制できる受信装置およびその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、受信側の通信装置において、上記パケット信号を受信し、所定の方式で取得した第1の周波数補正値を用いて当該受信したパケット信号の周波数を補正し、上記周波数の補正が行われたパケット信号に対し、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して算出された1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する。
【0013】
本発明の第1の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、この生成された識別信号が伝送する信号に付加されて、所定の変調方式で変調される。こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成され、送信される。受信側の通信装置においては、送信されたパケット信号が受信され、所定の方式で取得される第1の周波数補正値を用いて、この受信したパケット信号の周波数が補正される。周波数の補正が行われたパケット信号に対しては、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して算出された1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、このパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、周波数補正値の更新を実行するか否か決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0014】
本発明の第2の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成し、上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行って送信し、受信側の通信装置において、受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する。
【0015】
本発明の第2の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定の領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、この識別信号が伝送する信号に付加されて所定の変調方式で変調される。変調信号の先頭部には、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加される。こうして生成されたパケット信号は、直交変調されて送信される。
受信側の通信装置において、受信された信号に対し直交検波が行なわれ、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号が生成される。生成された複素受信信号と、この複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中から前置き信号が検出される。前置き信号が検出された場合、この検出された前置き信号に対し算出された位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数が補正される。そして、検出された前置き信号を先頭部に有し、周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じてパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、周波数補正値の更新を実行するか否かが決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いられる周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0016】
本発明の第3の観点に係る通信方法は、送信側の通信装置において、送信源を識別するための識別信号を生成し、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、受信側の通信装置において、受信された信号のレベルを所定の初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する。
好適には、送信側の通信装置において、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、受信側の通信装置において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新を実行するか否か決定する。
【0017】
本発明の第3の観点に係る通信方法によれば、送信側の通信装置において、伝送する信号中の所定の領域に所定のデータが挿入される。また、送信源を識別するための識別信号が生成され、伝送する信号にこの識別信号が付加されて、所定の変調方式で変調される。こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成され、送信される。
受信側の通信装置において、受信された信号のレベルが、設定された初期増幅利得をもって増幅されるとともに、増幅された受信信号の中からパケット信号を検出する処理が行われる。パケット信号が検出された場合、このパケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、このパケット信号が増幅され、増幅されたパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。復調処理中のパケット信号からは識別信号が抽出され、抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の第1の増幅利得に応じて、復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得が算出される。また、復調処理中のパケット信号の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じてパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、増幅利得の更新を実行するか否かが決定され、更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号の増幅利得が、第1の増幅利得から第2の増幅利得へ更新される。
【0018】
本発明の第4の観点に係る通信装置は、送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、上記送信手段は、送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成するパケット信号生成手段と、上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行う直交変調手段とを含み、上記受信手段は、入力される受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられ1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段とを含む。
好適には、上記パケット信号生成手段は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、上記補正値更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正値の更新処理を実行するか否か決定する。
【0019】
本発明の第4の観点に係る通信装置によれば、送信手段による送信時において、送信源を識別するための識別信号が識別信号生成手段により生成される。また、パケット信号生成手段において、供給される伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入され、これに識別信号が付加されて所定の変調方式で変調され、その変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されたパケット信号が生成される。生成されたパケット信号は、直交変調手段において直交変調されて送信される。
受信手段による受信時において、直交検波手段では、入力される受信信号に対し直交検波が行われ、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号が出力される。相関算出手段では、直交検波手段から出力される複素受信信号と、この複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。前置き信号検出手段では、相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中から前置き信号が検出される。
前置き信号検出手段において前置き信号が検出された場合、周波数補正手段では、検出された前置き信号に対し算出された相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数が補正される。またこの場合、復調処理手段では、検出された前置き信号を先頭部に有し、周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。
復調処理手段において復調処理中のパケット信号からは、識別信号抽出手段によって識別信号が抽出される。周波数補正値算出手段では、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正に用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。誤り率算出手段では、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、復調されたパケット信号の誤り率が算出される。
補正値更新手段では、誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値の更新処理を実行するか否かが決定され、更新処理の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正手段の周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
【0020】
本発明の第5の観点に係る通信装置は、送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、上記送信手段は、送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、供給される伝送信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成するパケット信号生成手段とを含み、上記受信手段は、受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し上記利得設定手段において設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段とを有する。
好適には、上記パケット信号生成手段は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0021】
本発明の第5の観点に係る通信装置によれば、送信手段による送信時において、送信源を識別するための識別信号が識別信号生成手段により生成される。パケット信号生成手段では、供給される伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入され、この伝送信号に識別信号が付加され、所定の変調方式で変調され、こうして変調された信号を含んだパケット信号が生成される。
受信手段による受信時において、受信された信号のレベルが、利得設定手段により設定された増幅利得をもって増幅手段により増幅される。増幅された受信信号のレベルは、受信レベル測定手段において測定される。また、パケット検出手段では、増幅された受信信号の中からパケット信号を検出する処理が行われる。パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合は、所定の初期増幅利得が利得設定手段において設定され、増幅手段では、この初期増幅利得をもって、受信信号のレベルが増幅される。パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には、受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得が利得設定手段において設定され、増幅手段では、この第1の増幅利得をもって、検出されたパケット信号のレベルが増幅される。この場合、復調処理手段では、この検出されたパケット信号に対して所定の変調方式に対応した復調処理が行われる。
復調処理手段において復調処理中のパケット信号からは、識別信号抽出手段によって識別信号が抽出される。利得算出手段では、この抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定手段において設定された1つまたは複数の第1の増幅利得に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得が算出される。誤り率算出手段では、復調処理手段において復調されたパケット信号中の所定領域に含まれるデータと、送信側で挿入された所定のデータとが比較され、この比較結果に応じて、復調されたパケット信号の誤り率が算出される。
利得更新手段では、誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、増幅利得の更新処理を実行するか否かが決定され、更新処理の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する増幅手段の増幅利得が、第1の増幅利得から第2の増幅利得へ更新される。
【0022】
本発明の第6の観点に係る受信装置は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信装置であって、受信された信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段とを有する。
【0023】
本発明の第7の観点に係る受信装置は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信装置であって、受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段とを有する。
【0024】
好適には、本発明の第6および第7の観点に係る受信装置は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されている場合において、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含む。上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0025】
本発明の第8の観点に係る受信方法は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信方法であって、受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調処理に対応する復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する。
【0026】
本発明の第9の観点に係る受信方法は、送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信方法であって、受信された信号のレベルを、設定された初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調処理に対応した復調処理を行い、上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する。
【0027】
好適には、本発明の第8および第9の観点に係る受信方法は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されている場合において、上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の2つの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る通信装置によって構成される通信システムの一例を示すブロック図である。
図1に示す通信システムは、アクセスポイントに対応する通信装置1Aと、ステーションに対応する通信装置1Bおよび通信装置1Cとで構成されている。無線LANなどで用いられる一般的な通信システムでは、図1の例に示すように、主としてアクセスポイント(通信装置1A)とステーション(通信装置1Bおよび通信装置1C)との間で通信が行われる。
このような通信システムの他、たとえば、一対一で通信可能な複数の通信装置で構成される通信システムにも本発明は適用可能である。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す通信装置は、送信部1000、受信部2000、アンテナ共用器3000、およびアンテナATを有する。
送信部1000は、本発明の送信手段の一実施形態である。
受信部2000は、本発明の受信手段の一実施形態である。
【0030】
アンテナ共用器Uは、送信部1000からアンテナATに供給される送信信号Stと、アンテナATから受信部2000に入力される受信信号Srとを分離して、送信部1000と受信部2000とがアンテナATを共用することを可能にするユニットである。たとえばスイッチでこれらの信号を直接切り換える方式や、帯域通過フィルタを用いて両信号を分離する方式によって実現される。
また、このアンテナ共用器Uを設けずに、送信部1000と受信部2000とに独立にアンテナを設けても良い。
【0031】
送信部1000は、送信源を識別するための識別信号(以降、ID信号と呼ぶ)を生成し、これを送信するデータDtに付加して所定の変調方式で変調し、所定の周期で反復される一連の信号を含んだプリアンブル信号をこの変調信号の先頭部に付加して、パケット信号を生成する。さらに、この生成したパケット信号に対して直交変調を行い、これを送信信号Stとして出力する。
送信部1000において用いられる変調方式や生成されるパケット信号の構造は本発明に関して任意であるが、ここでは一例として、IEEE802.11aにおいて規定されたOFDM変調方式によって、図10に示すフレーム構造のパケット信号を生成するものとする。
【0032】
図3は、送信部1000の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図3の例に示す送信部1000は、データ付加部101、ID信号生成部102、スクランブル処理部103、畳み込み符号化部104、変調部105、逆フーリエ変換部106、ガード・インターバル付加部107、ウィンドウ処理部108、直交変調部109、RF処理部110、およびプリアンブル付加部111を有する。
ID信号生成部102は、本発明の識別信号生成手段の一実施形態である。
データ付加部101、スクランブル処理部103、畳み込み符号化部104、変調部105、逆フーリエ変換部106、ガード・インターバル付加部107、ウィンドウ処理部108およびプリアンブル付加部111を含むユニットは、本発明のパケット信号生成手段の一実施形態である。
直交変調部109は、本発明の直交変調手段の一実施形態である。
【0033】
データ付加部101は、図10に示す各データ・フィールドのうち、データ・フィールドF3に含まれる送信データDtを入力して、これに、IEEE802.11aにおいて規定されたデータ・フィールドF1、データ・フィールドF2およびデータ・フィールド4に対応するデータを付加する。またデータ付加部101は、これらのデータ・フィールドに加えて所定のデータ・フィールド、たとえばデータ・フィールドF2とデータ・フィールドF3との間にデータ・フィールドF5を設け、そこに所定のデータを挿入する。挿入されたデータは、受信側の通信装置において誤り率の算出に用いられる。
【0034】
図4(A)は、データ付加部101に供給される送信データDtを示し、図4(B)は、データ付加部101から出力されるデータの構造の一例を示す。
図4(B)の例において、データ付加部101から出力されるデータの先頭のデータ・フィールドF1(シグナル・フィールド)には、データ・レートやデータ長に関する24ビットの情報が含まれる。2番目のデータ・フィールドF2(サービス・フィールド)には、スクランブル処理などに用いられる規定の16ビットのビット列が含まれる。3番目のデータ・フィールドF5には、受信側の通信装置において誤り率の算出に用いられる所定のデータが含まれる。4番目のデータ・フィールドF3には、供給される送信データDtが含まれる。5番目のデータ・フィールドには、パケットの末尾を示す規定の6ビットのビット列と、パケット長の調整用に付け足されるビット列とが含まれる。
【0035】
ID信号生成部102は、送信源を識別するためのID信号を生成する。
たとえば、通信装置ごとに定めた固有のID信号を出力する回路によって実現することもできるし、ID信号を書き込んだROMなどの記憶装置によって実現することも可能である。
【0036】
またID信号生成部102は、MAC(media access control)アドレスやIP(internet protocol)アドレスなどに含まれた、送信源の特定を可能にする情報に基づいてID信号を生成しても良い。
図5は、そのようなID信号生成部102の構成の一例を示すブロック図である。この例において、ID信号生成部102は、MACアドレスやIPアドレスなどに含まれた送信源特定用の情報Da(A,B,C,…)とID信号の値(01,02,03,…)とを対応付けたデータ・テーブルの記憶装置を有している。送信データDtとともにそのMACアドレスやIPアドレスなどに含まれた送信源特定用情報DaがID信号生成部102に入力されると、これに対応するID信号がデータ・テーブルから検索されて出力される。
【0037】
スクランブル処理部103は、ID信号生成部102において生成されたID信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、この生成した乱数系列を用いて、データ付加部101から出力されるデータに対するスクランブル処理を行う。
また、受信側においてスクランブルの解除処理を実行するための鍵となる信号として、ID信号生成部102で生成されたID信号やこれと唯一に対応する信号を、たとえばスクランブル処理されたデータの先頭部などに付加する。
【0038】
図6は、スクランブル処理部103の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図6の例に示すスクランブル処理部103は、直列接続されたフリップフロップ1031〜フリップフロップ1037、排他的OR回路1038および排他的OR回路1039を有する。
【0039】
フリップフロップ1031〜フリップフロップ1037の直列回路は7段のシフトレジスタを構成しており、排他的OR回路1038において、このシフトレジスタの4段目のフリップフロップ1034と7段目のフリップフロップ1037の出力信号に対する排他的論理和演算が実行され、演算結果S1038がシフトレジスタの入力に帰還される。また、排他的OR回路1039において、排他的OR回路1038の演算結果S1038とデータ付加部101からのデータS101との排他的論理和演算が実行され、演算結果S103が変調部104へ出力される。
【0040】
このスクランブル処理部103に供給されるID信号S102は7ビットであり、スクランブル処理が開始される時点において、シフトレジスタの各フリップフロップ(1031〜1037)にはID信号S102の各ビットのデータ(ID1〜ID7)がプリセットされる。ただし、7ビット全てが論理値’0’となるデータ’0000000’はID信号から除外されており、ID信号S102として設定可能なデータは127通り存在する。
【0041】
7ビットのID信号S102がシフトレジスタにプリセットされた初期状態から、シフトレジスタのデータ・シフトとともに排他的OR回路1038からビット・データが順次出力されると、そのビット列は、初期状態にプリセットされたID信号S102と唯一に対応する127ビット長の擬似ランダムなビット・パターンを反復したものになる。たとえば、7ビット全てが論理値’1’のID信号(’1111111’)をシフトレジスタにプリセットした場合、排他的OR回路1038から出力されるビット列は、左から右へ順に
’00001110 11110010 11001001 00000010 00100110 00101110 10110110 0000110011010100 11100111 10110100 00101010 11111010 01010001 10111000 1111111’というビット・パターンを反復したものになる。他の値のID信号がプリセットされた場合には、この127ビットのビット列と同一のビット・パターンを有し、先頭ビットの開始位置が異なるビット列が生成される。
【0042】
スクランブル処理部103は、データ付加部101からビット列として供給されるデータS101のうち、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4に含まれるビット列に対してスクランブル処理を行い、データ・フィールドF1に含まれるビット列に対してはスクランブル処理を行わない。たとえば、データ・フィールドF1のビット列が入力される期間において、各フリップフロップ(1031〜1037)の出力値を論理値’0’に初期化し、これにより排他的OR回路1038の出力値を論理値’0’に設定して、入力されるビット列S101を、スクランブル処理せずにそのままビット列S103として出力する。
【0043】
また、スクランブル処理が開始されるデータ・フィールドF2の先頭7ビットは、IEEE802.11aにおいて全て論理値’0’であることが規定されている。このため、排他的OR回路1039から出力される先頭7ビットのビット列S103と、排他的OR回路1038から出力されてシフトレジスタに保持される7ビットのビット列S1038とが、互いに同一の値になる。たとえば、ID信号として’1111111’をシフトレジスタにプリセットした場合、排他的OR回路1039から出力される先頭7ビットは’0000111’となり、これがフリップフロップ1031〜フリップフロップ1037で構成された7段シフトレジスタに保持されるとともに、受信側の通信装置に伝送されて、後述するスクランブル解除処理部212の同様な7段シフトレジスタに保持される。これにより、データ・フィールドF2の8ビット目以降のデータに対しては、スクランブル処理部103が生成する擬似乱数列とスクランブル解除処理部212が生成する擬似乱数列とが等しくなる。
【0044】
また、スクランブル処理開始時にスクランブル処理部103から出力される先頭7ビットのビット列は、ID信号生成部102から供給されるID信号S102と一対一に対応するので、受信側の通信装置では、この先頭7ビットのビット列に基づいて送信源を識別することが可能である。
【0045】
畳み込み符号化部104は、スクランブル処理部103から出力されるビット列S103に対し、畳み込み符号化処理を行う。データ・フィールドF1のビット列に対する畳み込み符号化の符号化率は1/2に設定する。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列に対する符号化率は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに応じて、1/2、2/3、または3/4の何れかに設定する。
また、畳み込み符号化部104は、畳み込み符号化後のビット列に対して規定の並べ替え処理(インターリーブ処理)を行う。
【0046】
変調部105は、畳み込み符号化部104において畳み込み符号化処理およびインターリーブ処理が行われたビット列に対し、BPSK(binary phase shiftkeying)、QPSK(quadrature phase shift keying)、16値QAM(quadrature amplitude modulation)または64値QAMの何れかの方式で変調を行う。
たとえば、畳み込み符号化部104から出力されるビット列を、変調方式に対応した規定のビット長(1ビット、2ビット、4ビットまたは6ビット)のデータに分割し、この分割したデータを、変調方式に対応した信号点配置図(signalconstellation)上の点を表す複素数データ、すなわち同相成分データと直交成分データとのペアに変換する。BPSKでは1ビット、QPSKでは2ビット、16値QAMでは4ビット、64値QAMでは6ビットのデータを、1つの複素数データに変換する。
変調部105は、データ・フィールドF1のビット列をBPSKで変調し、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列を、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに対応する変調方式(BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAM)で変調する。
【0047】
逆フーリエ変換部106は、変調部105から出力される複素数データのストリームに対して逆フーリエ変換処理を実行し、時間領域のOFDMシンボルを生成する。
たとえば、複素数データのストリームを48個の複素数データからなるグループごとに分割する。そして、48個の複素数データにパイロット信号用の4つの既知データを加えた52個の複素数データを52本のサブキャリア周波数に割り当てて逆フーリエ変換を実行し、時間領域のOFDMシンボルを生成する。
また、プリアンブル付加部111から図10のショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に対応する規定の複素数データが入力された場合にも、これに対応した時間領域のOFDM信号を生成する。
【0048】
ガード・インターバル付加部107は、逆フーリエ変換部106から出力されるOFDMシンボル列のシンボル間に、規定されたガード・インターバルを付加する処理を行う。ガード・インターバルは、OFDMシンボルの先端に末尾のデータをコピーして貼り付けることにより信号長を延長させるものである。ガード・インターバルがOFDMシンボル間に設けられることで、信号遅延による受信性能の劣化を抑えることができる。
【0049】
ウィンドウ処理部108は、ガード・インターバル付加部107においてガード・インターバルが付加されたOFDMシンボルにそれぞれ所定の窓関数を乗算して、OFDMシンボルの境界部における信号の不連続性を低減させる処理を行う。
【0050】
直交変調部109は、ウィンドウ処理部108から出力されるパケット信号、すなわちプリアンブル(P1,P2)が付加されたOFDMシンボル列に対し直交変調を行う。たとえば、同相成分データに所定の周波数のコサイン信号を乗算するとともに、同一周波数のサイン信号を直交成分データに乗算し、これらの乗算結果を加算する。
【0051】
RF処理部110は、直交変調部109において直交変調された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、これに高周波増幅処理、周波数変換処理、帯域制限処理を施して、5GHz帯の送信信号Stを生成する。
【0052】
プリアンブル付加部111は、送信データDtを含むパケット信号を生成する場合に、図10のショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に対応する規定の複素数データを逆フーリエ変換部106に供給して、パケット信号の先頭部にプリアンブルを付加させる。
以上が、送信部1000の説明である。
【0053】
受信部2000は、受信信号Srの中から、所定のプリアンブルを先頭部に有したパケット信号を検出し、検出したパケット信号に対して送信部1000の変調方式に対応した復調処理を行い、受信データDrを再生する。このとき、受信データDrの誤り率を算出し、これが一定限度を超えて大きい場合、パケット信号に含まれるID信号によってパケット信号の送信源を特定し、その送信源の過去の受信処理で用いられた周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正値を更新する処理を行う。
受信部2000において受信されるパケット信号の構造やその復調方式は本発明に関して任意であるが、ここでは一例として、図10に示すフレーム構造のパケット信号を受信し、IEEE802.11aにおいて規定されたOFDM変調方式に対応する復調処理を行って、受信データDrを再生するものとする。
【0054】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る受信部2000の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図7の例に示す受信部2000は、RF処理部201、受信レベル測定部202、利得設定部203、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209、復号化部210、ID信号抽出部211、スクランブル解除部212、相関算出部213、プリアンブル検出部214、周波数補正値算出部215、誤り率算出部216、および周波数補正値更新部217を有する。
直交検波部204は、本発明の直交検波手段の一実施形態である。
周波数補正部205は、本発明の周波数補正手段の一実施形態である。
ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210を含むユニットは、本発明の復調処理手段の一実施形態である。
ID信号抽出部211は、本発明の識別信号抽出手段の一実施形態である。
スクランブル解除部212は、本発明のスクランブル解除手段の一実施形態である。
相関算出部213は、本発明の相関算出手段の一実施形態である。
プリアンブル検出部214は、本発明の前置き信号検出手段の一実施形態である。
周波数補正値算出部215は、本発明の周波数補正値算出手段の一実施形態である。
誤り率算出部216は、本発明の誤り率算出手段の一実施形態である。
周波数補正値更新部217は、本発明の周波数補正値更新手段の一実施形態である。
【0055】
RF処理部201は、入力される受信信号Srを利得設定部203によって設定された増幅利得をもって増幅し、これに周波数変換処理、帯域制限処理、A/D変換処理を施して、デジタルの受信信号を出力する。
【0056】
受信レベル測定部202は、RF処理部において増幅された受信信号のレベル、たとえば信号電力の平均値やピーク値を測定する。
【0057】
利得設定部203は、プリアンブル検出部214においてパケット信号の先頭を示すプリアンブルが検出されるのを待っている受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得を所定の初期増幅利得に設定し、この初期増幅利得をもって受信信号の増幅を行わせる。また、プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合は、受信レベル測定部202において測定される信号レベルに応じてRF処理部201の増幅利得を制御し、増幅後の受信信号レベルをA/D変換のダイナミック・レンジに適合させる。
【0058】
直交検波部204は、RF処理部において処理された受信信号に対し直交検波を行い、複素数データとしての受信信号(以降、複素受信信号と呼ぶ)を出力する。たとえば、RF処理部203から出力される受信信号と、所定の周波数のコサイン信号およびサイン信号とを乗算して、同相成分データおよび直交成分データのペアとしての複素受信信号を生成する。
【0059】
周波数補正部205は、プリアンブル検出部214においてパケット信号のショート・プリアンブルP1が検出された場合、この検出されたショート・プリアンブルP1に対し相関算出部213において算出される後述の位相差に応じた第1の周波数補正値S205を取得し、この第1の周波数補正値S205を用いて、直交検波部204から出力される複素受信信号の周波数を補正する。たとえば、相関算出部213から出力される複素数データの位相差を、検出されたショート・プリアンブルP1に含まれる所定数のショート・トレーニング・シンボルに渡って平均し、この位相差の平均値を第1の周波数補正値S205として、直交検波部204から出力される複素受信信号に乗算することにより、複素受信信号の周波数を補正する。この第1の周波数補正値S205は、周波数補正値算出部215における第2の周波数補正値S215の算出に用いられる。
なお、後述する周波数補正値更新部217において周波数補正値の更新処理が行われた場合には、この第1の周波数補正値S205の代わりに、周波数補正値更新部217において更新される周波数補正値を用いて、複素受信信号の周波数を補正する。
【0060】
ガード・インターバル除去部206は、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、周波数補正部205から出力される複素受信信号の中からOFDMシンボルを抽出し、抽出したOFDMシンボルに付加されたガード・インターバルを除去する。
【0061】
フーリエ変換部207は、ガード・インターバル除去部206においてガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルに対しフーリエ変換を実行し、これを周波数領域のOFDMシンボルに変換する。たとえば、1OFDMシンボルごとに52本のサブキャリアに対応する52個の複素数データ(以降、サブキャリア信号と呼ぶ)を出力する。
【0062】
位相補正部208は、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルを抽出する。そして、抽出したOFDMシンボルの各サブキャリア信号と、ロング・プリアンブルP2の生成に用いた既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態をサブキャリアごとに推定する。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相を補正する。
また、ロング・プリアンブルP2以降の各OFDMシンボルについては、52個のサブキャリア信号に含まれる4個の既知のパイロット・サブキャリア信号を用いて位相誤差を補正する処理も行う。すなわち、パイロット・サブキャリア信号が既知の値に対して有する誤差から、他のサブキャリアにおける位相誤差を推定し、推定した位相誤差を補正する処理を行う。これにより、周波数補正部205による周波数補正後にも残留する各サブキャリア信号の位相誤差を補正することができる。
【0063】
復調部209は、送信側の通信装置においてBPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの方式により変調された、OFDMシンボルの各サブキャリア信号を復調する。すなわち、変調方式に対応した信号点配置図上の信号点とサブキャリア信号とを対応付けることにより、複素数データとしてのサブキャリア信号を、信号点に対して決められた1〜6ビットのデータに変換する。1つのサブキャリア信号は、BPSKでは1ビット、QPSKでは2ビット、16値QAMでは4ビット、64値QAMでは6ビットのデータに変換される。また復調部209は、ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対してBPSKの復調処理を行う。他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを後述の復号化部210において復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの復調処理を行う。
【0064】
復号化部210は、復調部209において復調されたデータに対して、送信側で行われたインターリーブ処理に対応する逆の並べ替え処理(デ・インターリーブ処理)を行い、更に、送信側で行われた畳み込み符号化処理に対応した復号化処理、たとえばビタビ復号化処理を行う。
また復号化部210は、ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対して符号化率1/2の復号化処理を行う。他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、符号化率1/2、2/3、または3/4の復号化処理を行う。
【0065】
ID信号抽出部211は、復号化部210において復号化されたパケット信号から、送信源を識別するためのID信号を抽出する。このID信号は、たとえば図10のサービス・フィールドF2の先頭部分に含まれており、抽出したID信号を用いて、パケット信号の残りの部分に対するスクランブル解除部212や周波数補正値算出部215の処理が実行される。
【0066】
スクランブル解除部212は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、生成した乱数系列と復号化部210から出力される復号化データとに所定の演算、たとえば排他的論理和演算を行い、復号化部210から出力される復号化データに加えられたスクランブルを解除する。スクランブル解除の結果として、送信データDtに対応する受信データDrが再生される。
【0067】
スクランブル解除部212は、たとえば図6に示すスクランブル処理部103と同一の構成で実現することができる。この場合、図6のID信号S102は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211に、図6のデータS101は、復号化部210において復号化されたデータS210に、図6のビット列S103は、スクランブル解除部212においてスクランブルが解除されて再生される受信データDrにそれぞれ置き換えられる。
【0068】
相関算出部213は、直交検波部204から出力される複素受信信号と、この複素受信信号を所定の遅延時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する。この遅延時間は、ショート・プリアンブルP1に含まれる10個のショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応して設定されているので、複素受信信号中にショート・トレーニング・シンボルが含まれていると、相関算出部213において算出される相関値は極大になる。また、設定された遅延時間とショート・トレーニング・シンボルの反復周期とが完全に一致している場合、相関算出部213において算出される位相差はゼロになるので、この位相差のゼロからのずれにより、設定した遅延時間の誤差量、すなわち受信側において想定している受信信号の周波数が実際の周波数に対して有する誤差量を求めることができる。
【0069】
プリアンブル検出部214は、相関算出部213において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中からパケット信号の先頭部に含まれるショート・プリアンブルP1を検出する。
【0070】
周波数補正値算出部215は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値S205に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する。
【0071】
図8は、周波数補正値算出部215のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図8の例に示す周波数補正値算出部215は、フリップフロップ21511〜フリップフロップ2151n(nは任意の自然数を示す)、フリップフロップ21521〜フリップフロップ2152n、フリップフロップ21531〜フリップフロップ2153n、加算器21541〜加算器2154n、乗算器21551〜乗算器2155n、レジスタ選択部2156、およびセレクタ2157を有する。
【0072】
フリップフロップ2151i(iは1≦i≦nの自然数を示す)、フリップフロップ2152i、およびフリップフロップ2153iは直列に接続されており、3段のシフトレジスタを構成する。周波数補正値算出部215の内部には、こうした3段シフトレジスタがn本含まれる。3段シフトレジスタの初段のフリップフロップには、周波数補正部205において周波数の補正に用いられた第1の周波数補正値S205が入力される。レジスタ選択部2156の選択信号によってシフトレジスタのシフト動作が有効になると、初段のフリップフロップに入力される第1の周波数補正値S205がこの初段のフリップフロップに保持され、各段に既に保持されている周波数補正値が次段にシフトされる。
【0073】
加算器2154iは、フリップフロップ2151i〜フリップフロップ2153iで構成される3段シフトレジスタに保持された3つの周波数補正値を加算する。
乗算器2155iは、加算器2154iの加算結果に定数’1/3’を乗算する。乗算器2155iの乗算結果は、フリップフロップ2151i〜フリップフロップ2153iで構成される3段シフトレジスタに保持された3つの周波数補正値の平均値に相当する。
【0074】
レジスタ選択部2156は、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つを選択し、そのシフト動作を有効状態に設定する。これにより、復調処理中のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正で用いられた第1の周波数補正値S205を、このパケット信号のID信号に対応した3段シフトレジスタに保持させる。
【0075】
セレクタ2157は、n個の乗算器(21551〜2155n)から出力される周波数補正値の平均値のうち、ID信号抽出部211において抽出されたID信号S211に対応する平均値を選択し、これを第2の周波数補正値S215として出力する。
【0076】
図8の例に示す周波数補正値算出部215によれば、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つが選択され、この選択されたシフトレジスタに、復調処理中のパケット信号の第1の周波数補正値S205が保持される。これにより、n本の3段シフトレジスタには、それぞれに対応するID信号S211を含んだ一連のパケット信号のうち、最近受信された3つのパケット信号の周波数補正値が保持される。各レジスタに保持される3つの周波数補正値は、加算器2154iにおいて加算され、乗算器2155iにおいて3分の1にされて、その平均値が算出される。セレクタ2157からは、ID信号S211に対応してレジスタに保持された3つの周波数補正値の平均値が、第2の周波数補正値S215として出力される。
【0077】
誤り率算出部216は、スクランブル解除部212から出力される受信データDrのうち、データ・フィールドF5に含まれるデータと所定のデータとを比較し、この比較結果に応じて、受信データDrとして復調されたパケット信号の誤り率を算出する。
【0078】
周波数補正値更新部217は、誤り率算出部216において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かを判定し、たとえば誤り率が所定のしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対する周波数補正処理で用いられている周波数補正値を、第1の周波数補正値S205から第2の周波数補正値S215へ更新する。
【0079】
ここで、上述した構成を有する図2の通信装置の動作について、送信時と受信時とに分けて説明する。
【0080】
(送信時)
データ付加部101に送信データDtが供給されると、図4(B)に示すように、この送信データDtを含むデータ・フィールドF3の前後に新たなデータ・フィールド(F1、F2、F5、F4)が付加される。また、ID信号生成部102において、送信源を識別するためのID信号が生成され、スクランブル処理部103に供給される。ID信号は、たとえば図5に示すようなデータ・テーブルを用いて、MACアドレスやIPアドレスなどに含まれる情報に基づいて生成される。
【0081】
スクランブル処理部103では、この生成されたID信号と唯一に対応する乱数系列が生成され、生成された乱数系列を用いて、データ付加部101から出力されるデータに対するスクランブル処理が行われる。
たとえば、図6に示すような構成のスクランブル処理部103において、7ビットのID信号S102と唯一に対応する127ビット長の擬似乱数系列が生成され、これとデータ付加部101から出力されるビット列との排他的論理和が演算される。スクランブル処理は、データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4に含まれるビット列に対して行われ、データ・フィールドF1に含まれるビット列に対しては行われない。データ・フィールドF2の先頭7ビットは全て論理値’0’であり、データ・フィールドF2の先頭7ビットのスクランブル処理結果としてスクランブル処理部103から出力される7ビットのビット列は、スクランブル処理部103の7段のシフトレジスタ(フリップフロップ1031〜フリップフロップ1037)に保持されるデータと等しくなる。この7ビットのビット列は、受信時においてID信号抽出部211によりID信号S211として抽出される。
【0082】
スクランブル処理部103から出力されるスクランブル処理されたビット列は、畳み込み符号化部104において畳み込み符号化される。データ・フィールドF1のビット列に対する畳み込み符号化の符号化率は1/2に設定される。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列に対する符号化率は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに応じて、1/2、2/3、または3/4の何れかに設定される。また、畳み込み符号化部104において、畳み込み符号化後のビット列に対するインターリーブ処理も行われる。
【0083】
畳み込み符号化部104において畳み込み符号化処理およびインターリーブ処理が行われたビット列は、変調部105において、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの方式で変調され、複素数データのストリームが生成される。データ・フィールドF1のビット列はBPSKで変調される。データ・フィールドF2〜データ・フィールドF4のビット列は、データ・フィールドF1で指定したデータ・レートに対応する変調方式(BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAM)で変調される。
【0084】
変調部105から出力される複素数データのストリームに対し、逆フーリエ変換部106において逆フーリエ変換処理が実行され、時間領域のOFDMシンボルが生成される。
また、変調部105から出力される複素数データのストリームに先立って、プリアンブル付加部111から規定の複素数データが逆フーリエ変換部106に供給され、これに応じてプリアンブル部(ショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2)に対応する時間領域のOFDM信号が生成され、パケット信号の先頭部に付加される。
【0085】
逆フーリエ変換部106から出力されるOFDMシンボル列のシンボル間には、ガード・インターバル付加部107によってガード・インターバルが付加される。さらに、ガード・インターバルが付加されたOFDMシンボルには、ウィンドウ処理部108においてそれぞれ窓関数が乗算され、OFDMシンボルの境界部における信号の不連続性が低減される。
【0086】
ウィンドウ処理部108から出力されるパケット信号は、図4(C)に示すように、先頭部にショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2が付加され、データ・フィールドF1と対応するOFDMシンボルSL1がこれに続き、その後にデータ・フィールドF2〜データ・フィールドF5と対応するOFDMシンボルSL2〜OFDMシンボルSLkが続いたパケット構造となる。このパケット信号に対し、直交変調部109において直交変調が行われ、さらにRF処理部110においてD/A変換処理、高周波増幅処理、周波数変換処理、帯域制限処理が行われて、5GHz帯の送信信号Stが生成される。
【0087】
(受信時)
アンテナATからアンテナ共用器Uを経てにRF処理部201に入力された受信信号Srは、利得設定部203により設定された増幅利得をもって増幅され、これに周波数変換処理、帯域制限処理およびA/D変換処理が行われて、デジタルの受信信号が生成される。
また、受信レベル測定部202において、RF処理部201の増幅後の受信信号レベルが測定され、測定結果が利得設定部203に供給される。
パケット信号の先頭を示すプリアンブルがプリアンブル検出部214において検出される前の受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得は所定の初期増幅利得に設定される。プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合、この増幅利得は受信レベル測定部202の測定結果に応じて制御され、RF処理部201における増幅後の受信信号レベルがA/D変換のダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0088】
RF処理部201において処理された受信信号には、直交検波部204において直交検波が施され、同相成分データおよび直交成分データのペアからなる複素受信信号が生成される。
【0089】
相関算出部213では、直交検波部204から出力される複素受信信号と、ショート・プリアンブルP1に含まれる10個のショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応した遅延時間だけこの複素受信信号を遅延させた信号との相間値および位相差が算出される。プリアンブル検出部214では、算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、複素受信信号中に含まれたショート・プリアンブルP1が検出される。
【0090】
プリアンブル検出部214においてショート・プリアンブルP1が検出された場合、周波数補正部205において、この検出されたショート・プリアンブルP1に対し相関算出部213において算出された位相差に応じた第1の周波数補正値S205が決定され、この第1の周波数補正値S205を用いて、直交検波部204から出力される複素受信信号の周波数が補正される。また、ガード・インターバル除去部206において、プリアンブル検出部214におけるショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、周波数補正部205から出力される複素受信信号の中からOFDMシンボルが抽出され、各OFDMシンボルに付加されたガード・インターバルが除去される。
【0091】
ガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルは、フーリエ変換部207においてフーリエ変換され、時間領域のOFDMシンボルから周波数領域のOFDMシンボルに変換される。たとえば、1OFDMシンボルごとに52本のサブキャリアに対応する52個の複素数データが出力される。
【0092】
フーリエ変換部207から出力されるOFDMシンボルには、位相補正部208において、ロング・プリアンブルP2およびパイロット・サブキャリア信号を用いた位相補正処理が行われる。まず、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルが抽出され、抽出されたOFDMシンボルの各サブキャリア信号と、ロング・プリアンブルP2の生成に用いられる既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態がサブキャリアごとに推定される。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相が補正される。さらに、各OFDMシンボルに含まれる4個のパイロット・サブキャリア信号が既知の値に対して有する誤差から、そのOFDMシンボルの他のサブキャリアにおける位相誤差が推定され、推定された位相誤差を各サブキャリア信号から除去する位相補正処理が行われる。
【0093】
位相補正部208による位相補正後のOFDMシンボルには、復調部209において、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの何れかの変調方式に対応した復調処理が行われる。ロング・プリアンブルP2に続くシグナル・フィールドF1のOFDMシンボルに対してはBPSKの復調処理が行われ、他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化部210において復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAMの復調処理が行われる。
【0094】
復調部209において復調されたデータには、復号化部210において、送信側で行われたインターリーブ処理に対応したデ・インターリーブ処理が行われた後、たとえばビタビ復号化などの復号化処理が行われる。ロング・プリアンブルP2に続くデータ・フィールドF1(シグナル・フィールド)に対して符号化率1/2の復号化処理が行われ、他のOFDMシンボルについては、シグナル・フィールドF1のデータを復号化した結果に含まれるデータ・レートの情報に応じて、符号化率1/2、2/3、または3/4の復号化処理が行われる。
【0095】
ID信号抽出部211では、復号化部210において復号化されたパケット信号から、送信源を識別するためのID信号が抽出される。スクランブル解除部212では、ID信号抽出部212において抽出されたID信号と唯一に対応する乱数系列が生成され、生成された乱数系列と復号化部210から出力される復号化データとの演算処理、たとえば排他的論理和演算によって、復号化部210から出力される復号化データに加えられたスクランブルが解除される。
たとえば、ID信号はデータ・フィールドF2(サービス・フィールド)の先頭7ビット部分に含まれており、これがID信号抽出部211において抽出されて、スクランブル解除部212の7段シフトレジスタにプリセットされる。これにより、データ・フィールドF2の先頭の8ビット目以降では、スクランブル処理部103およびスクランブル解除部212における7段シフトレジスタの状態が等しくなり、両者で生成される乱数データが等しくなる。したがって、スクランブル解除部212では、スクランブル処理部103において加算(排他的論理和)されたものと等しい乱数データが復号化データに加算されるため、スクランブル処理前の元の伝送データが再生される。
【0096】
また、ID信号抽出部211において抽出されたID信号は周波数補正値算出部215にも供給され、この抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられた1つまたは複数の第1の周波数補正値S205に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値S215が算出される。ID信号は、送信側の通信装置において送信源と唯一に対応するように生成されるので、周波数補正値算出部215により算出される第2の周波数補正値S215は、ID信号によって特定された送信源から以前に伝送されたパケット信号の受信状態に基づいて算出されたものになる。
たとえば、周波数補正値算出部215が図8に示すような構成を有する場合、ID信号S211によって特定された送信源から最近伝送された3つのパケット信号に対する3つの第1の周波数補正値の平均値が算出され、これが復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値S215として出力される。
【0097】
パケット信号の復調処理中において、スクランブル解除部212から出力される受信データDrのうちのデータ・フィールドF5に含まれるデータは、誤り率算出部216において既知のデータと比較され、この比較結果に応じて、受信データDrとして復調されたパケット信号の誤り率が算出される。算出された誤り率は、周波数補正値更新部217において所定のしきい値に達しているか否か判定され、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対する周波数補正部205の周波数補正処理で用いられている第1の周波数補正値S205が、周波数補正値算出部215において算出された第2の周波数補正値S215に応じて更新される。
【0098】
以上説明したように、図3の送信部1000および図7の受信部2000を有した図2の通信装置によれば、送信源の識別を可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、受信側の通信装置において、復調処理中のパケット信号からこのID信号が抽出されて送信源が特定される。送信源が特定されると、この送信源から以前伝送された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正処理で用いられた第1の周波数補正値に応じて、復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値が算出される。また、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出され、算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否かに応じて、周波数の補正値の更新を実行するか否かが決定される。更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対する周波数の補正処理で用いられている周波数補正値が、第1の周波数補正値から第2の周波数補正値へ更新される。
したがって、たとえばプリアンブルの受信信号中にノイズが混入するなどして相関算出部213で算出された位相差に誤差が生じた場合、これに応じて周波数補正されたパケット信号の復調処理後の受信データDrは誤り率が大きくなってしまい、誤差の大きさによってはパケット全体のデータが失われてしまうところを、上述した通信装置では、パケット復調処理の途中で周波数補正値の更新が行われるので、更新後のパケット信号についての誤り率の改善を図ることができ、データの損失を抑えることができる。また、誤り率の大きさに応じて周波数補正値の更新を実行するか否かが決定されるので、良好な通信状態において周波数補正値の更新が行われることにより、かえって誤り率が悪化してしまうことを防止できる。
【0099】
なお、周波数補正値更新部217において更新処理が実行された場合には、この更新処理によって第2の周波数補正値と置き換えられた第1の周波数補正値を、周波数補正値算出部215における周波数補正値の算出に用いる周波数補正値から除外しても良い。たとえば、周波数補正値更新部217において更新処理が実行された場合、レジスタ選択部2156によるシフトレジスタの選択を停止して、第1の周波数補正値S205をシフトレジスタに保持させないようにしても良い。
周波数補正値更新部217の更新処理は、誤り率算出部216において算出される誤り率がある一定限度を超えて大きい場合であるので、相関算出部213で算出される位相差は不適切な値を有している可能性がある。したがって、このような位相差に応じて決定された第1の周波数補正値を第2の周波数補正値の算出に用いないようにすることで、より適切な周波数の補正を行うことができる。
【0100】
また、図8の例に示す周波数補正値算出部217では、保持された3つの第1の周波数補正値を平均化することにより第2の周波数補正値S215を算出しているが、平均する周波数補正値の数は任意であり、たとえば2のべき乗個(2、4、8、…)でも良い。この場合、乗算器21551〜乗算器2155nを単純なビット・シフト回路で実現することができる。また、保持された周波数補正値に対してそれぞれ重み付け値を乗算した上で加算平均を行っても良い。
【0101】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態に係る通信装置は、たとえば図2と同様な構成を有している。ただし、図2の受信部2000は、次に述べる受信部2000Aに置き換えられる。
【0102】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る受信部2000Aの構成の一例を示すブロック図である。
図9の例に示す受信部2000Aは、RF処理部201、受信レベル測定部202、利得設定部203、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209、復号化部210、ID信号抽出部211、スクランブル解除部212、相関算出部213、プリアンブル検出部214、誤り率算出部216、利得算出部218および利得更新部219を有する。ただし、図9と図7の同一符号は同一の構成要素を示す。
RF処理部201は、本発明の増幅手段の一実施形態である。
受信レベル測定部202は、本発明の受信レベル測定手段の一実施形態である。
利得設定部203は、本発明の利得設定手段の一実施形態である。
相関算出部213およびプリアンブル検出部214を含むユニットは、本発明のパケット検出手段の一実施形態である。
直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210を含むユニットは、本発明の復調処理手段の一実施形態である。
ID信号抽出部211は、本発明の識別信号抽出手段の一実施形態である。
スクランブル解除部212は、本発明のスクランブル解除手段の一実施形態である。
誤り率算出部216は、本発明の誤り率算出手段の一実施形態である。
利得算出部218は、本発明の利得算出手段の一実施形態である。
利得更新部219は、本発明の利得更新手段の一実施形態である。
【0103】
利得算出部218は、ID信号抽出部211において抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定された1つまたは複数の増幅利得S203(第1の増幅利得)に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218(第2の増幅利得)を算出する。
増幅利得S218の算出に用いられる増幅利得S205は、パケット信号の任意の部分において利得設定部203により設定さる増幅利得S203を用いて良いが、好ましくは、利得設定部203における利得制御の応答速度からその増幅利得が一定値に収束すると期待できる部分、たとえば、パケット信号の末尾において設定された増幅利得S203を用いる。
【0104】
利得算出部218は、たとえば図8に示す周波数補正値算出部215と同様な構成で実現できる。
ただし、図8における第1の周波数補正値S205は増幅利得S203に、第2の周波数補正値S215は増幅利得S218にそれぞれ置き換えられる。
このような構成の利得算出部218によれば、ID信号抽出部211においてID信号S211が抽出された場合、この抽出されたID信号S211に応じて、n本の3段シフトレジスタのうち何れか1つが選択される。選択されたシフトレジスタには、復調処理中のパケット信号における所定の部分、たとえばパケット信号の末尾において利得設定部203がRF処理部201に設定する増幅利得S203が保持される。これにより、n本の3段シフトレジスタには、それぞれに対応するID信号S211を含んだ一連のパケット信号のうち、最近受信された3つのパケット信号の増幅利得S203が保持される。各レジスタに保持される3つの増幅利得は、加算器2154iにおいて加算され、乗算器2155iにおいて3分の1にされて、その平均値が算出される。セレクタ2157からは、ID信号S211に対応してレジスタに保持された3つの増幅利得の平均値が、増幅利得S218として出力される。
【0105】
利得更新部219は、誤り率算出部216において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かを判定し、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得を、利得設定部203において設定されている増幅利得S203から、利得算出部218において算出された増幅利得S218へ更新する。
【0106】
なお、利得設定部203は、増幅利得の更新が行われた後で、新たに設定された増幅利得S218を初期値として、受信レベル測定部202の測定結果に応じたRF処理部201の利得制御を再開しても良い。あるいは、更新後の増幅利得をそのままパケット信号の末尾まで保持してRF処理部201に設定し続けても良い。
【0107】
上述した構成を有する受信部2000Aの動作を説明する。
アンテナATからアンテナ共用器Uを経てにRF処理部201に入力された受信信号Srは、利得設定部203により設定された増幅利得をもって増幅され、これに周波数変換処理、帯域制限処理およびA/D変換処理が行われて、デジタルの受信信号が生成される。
また、受信レベル測定部202において、RF処理部201の増幅後の受信信号レベルが測定され、測定結果が利得設定部203に供給される。
パケット信号の先頭を示すプリアンブルがプリアンブル検出部214において検出される前の受信待ち状態において、RF処理部201の増幅利得は所定の初期増幅利得に設定される。プリアンブル検出部214においてプリアンブルが検出された場合、この増幅利得は受信レベル測定部202の測定結果に応じて制御され、RF処理部201における増幅後の受信信号レベルがA/D変換のダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0108】
RF処理部201において処理された受信信号に対する相関算出部213およびプリアンブル検出部214によるパケット信号の検出処理、直交検波部204、周波数補正部205、ガード・インターバル除去部206、フーリエ変換部207、位相補正部208、復調部209および復号化部210によるパケット信号の復調処理、ID信号抽出部211によるID信号の抽出処理、ならびに、スクランブル解除部212によるスクランブル解除処理は、既に述べた受信部2000と同様であるので説明を割愛する。
【0109】
ID信号抽出部211において抽出されたID信号が利得算出部218に供給されると、この抽出されたID信号と同一のID信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定された1つまたは複数の増幅利得S203に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218が算出される。この増幅利得S218は、ID信号によって特定された送信源から以前に伝送されたパケット信号の受信状態に基づいて算出されたものになる。
たとえば、利得算出部218が図8に示すような構成を有する場合、ID信号S211によって特定された送信源から最近伝送された3つのパケット信号に対し利得設定部203において設定され3つの増幅利得S203の平均値が算出され、これが復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218として出力される。
【0110】
復調処理中のパケット信号に対しては、誤り率算出部216において誤り率の算出が行われ、利得更新部219において、この算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否か判定される。判定の結果、たとえば誤り率がしきい値を超えた場合に、その誤り率が算出された復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得が、利得設定部203において設定中の増幅利得S203から、利得算出部218により算出された増幅利得S218へ更新される。
【0111】
以上説明したように、図9の受信部2000Aを有した通信装置によれば、受信部2000を有した前述の通信装置と同様に、送信源の識別を可能にするID信号がパケット信号に付加されて伝送され、受信側の通信装置において、復調処理中のパケット信号からこのID信号が抽出されて送信源が特定される。送信源が特定されると、この送信源から以前伝送された1つまたは一連のパケット信号に対し利得設定部203において設定されたRF処理部201の増幅利得S203に応じて、復調処理中のパケット信号に対する増幅利得S218が算出される。また、パケット信号の誤り率がその復調処理中に算出され、算出された誤り率が所定のしきい値に達しているか否かに応じて、増幅利得の更新を実行するか否か決定される。更新の実行が決定された場合、復調処理中のパケット信号に対するRF処理部201の増幅利得が、利得設定部203により設定された増幅利得S203から、利得算出部218において算出された増幅利得S218へ更新される。
したがって、利得設定部203の応答速度が遅いことなどにより最適な増幅利得に対してずれが生じている場合、たとえば過大な増幅利得によってA/D変換後の信号に大きな歪成分が生じたり、増幅利得が十分でないために信号対ノイズ比が悪化したりして、受信データDrの誤り率が増加してしまうところを、上述した通信装置では、パケット復調処理の途中で増幅利得の更新が行われるので、更新後のパケット信号についての誤り率の改善を図ることができ、データの損失を抑えることができる。また、誤り率の大きさに応じて増幅利得の更新を実行するか否かが決定されるので、良好な通信状態において増幅利得の更新が行われることにより、かえって誤り率が悪化してしまうことを防止できる。
【0112】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。
図2に示す通信装置の例では、送信部と受信部とを両方備えているが、本発明はこの例に限定されず、たとえば、他方の通信装置が送信部のみを備え、他方の通信装置が受信部のみを備えている場合にも本発明は適用可能である。
【0113】
本発明に係る通信装置の各構成要素は、全てをハードウェアによって構成することも可能であるが、少なくともその一部を、プログラムに応じて処理を実行するDSPなどの処理装置に置き換えて実現することも可能である。
【0114】
本発明に係る通信装置は無線信号の通信装置に限定されない。ケーブル等を介して信号が伝送される有線の通信装置でも良い。
【0115】
【発明の効果】
本発明の第1ないし第5の観点によれば、パケット信号を用いて複数の通信装置間で通信を行う際における受信データの誤り率の上昇を抑制できる。
本発明の第6ないし第9の観点によれば、複数の送信源からパケットとして伝送される信号を受信する際におけるデータの誤り率の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通信装置によって構成される通信システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1および第2の実施形態に係る送信部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】元の送信データの前後に付加されるデータ・フィールドと、各データ・フィールドに対応するOFDMシンボルを示す図である。
【図5】ID信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】スクランブル処理部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る受信部の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図8】周波数補正値算出部のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る受信部の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】IEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
【符号の説明】
1A〜1C…通信装置、101…データ付加部、102…ID信号生成部、103…スクランブル処理部、104…畳み込み符号化部、105…変調部、106…逆フーリエ変換部、107…ガード・インターバル付加部、108…ウィンドウ処理部、109…直交変調部、110,201…RF処理部、111…プリアンブル付加部、202…受信レベル測定部、203…利得設定部、204…直交検波部、205…周波数補正部、206…ガード・インターバル除去部、207…フーリエ変換部、208…位相補正部、209…復調部、210…復号化部、211…ID信号抽出部、212…スクランブル解除部、213…相関算出部、214…プリアンブル検出部、215…周波数補正値算出部、216…誤り率算出部、217…周波数補正値更新部、218…利得算出部、219…利得更新部、1000…送信部、2000,2000A…受信部、1031〜1037,21511〜2151n,21521〜2152n,21531〜2153n…フリップフロップ、1038,1039…排他的OR回路、21541〜2154n…加算器、21551〜2155n…乗算器、2156…レジスタ選択部、2157…セレクタ、AT…アンテナ、U…アンテナ共用器。
Claims (22)
- 送信側の通信装置において、
送信源を識別するための識別信号を生成し、
伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、
受信側の通信装置において、
上記パケット信号を受信し、所定の方式で取得した第1の周波数補正値を用いて当該受信したパケット信号の周波数を補正し、
上記周波数の補正が行われたパケット信号に対し、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、
上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、
上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して算出された1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、
上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する、
通信方法。 - 送信側の通信装置において、
上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、
受信側の通信装置において、
上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する、
請求項1に記載の通信方法。 - 送信側の通信装置において、
送信源を識別するための識別信号を生成し、
伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成し、
上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行って送信し、
受信側の通信装置において、
受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、
上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、
上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、
上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、
上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、
上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、
上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する、
通信方法。 - 送信側の通信装置において、
上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、
受信側の通信装置において、
上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新を実行するか否か決定する、
請求項3に記載の通信方法。 - 送信側の通信装置において、
送信源を識別するための識別信号を生成し、
伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成して送信し、
受信側の通信装置において、
受信された信号のレベルを所定の初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、
上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調方式に対応した復調処理を行い、
上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、
上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、
上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する、
通信方法。 - 送信側の通信装置において、
上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、
受信側の通信装置において、
上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新を実行するか否か決定する、
請求項5に記載の通信方法。 - 送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、
上記送信手段は、
送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、
伝送する信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調し、当該変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を付加したパケット信号を生成するパケット信号生成手段と、
上記生成されたパケット信号に対して直交変調を行う直交変調手段とを含み、
上記受信手段は、
入力される受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、
上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、
上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、
上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、
上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、
上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられ1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、
上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段とを含む、
通信装置。 - 上記パケット信号生成手段は、上記伝送する信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、
上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、
上記補正値更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正値の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項7に記載の通信装置。 - 送信手段と受信手段とを有する通信装置であって、
上記送信手段は、
送信源を識別するための識別信号を生成する識別信号生成手段と、
供給される伝送信号に上記識別信号を付加して所定の変調方式で変調した変調信号を含むパケット信号を生成するパケット信号生成手段とを含み、
上記受信手段は、
受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、
上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、
上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、
上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、
上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、
上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、
上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対し上記利得設定手段において設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、
上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段と
を有する通信装置。 - 上記パケット信号生成手段は、上記伝送信号中の所定領域に所定のデータを挿入し、
上記受信手段は、上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、
上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項9に記載の通信装置。 - 送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信装置であって、
受信された信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を出力する直交検波手段と、
上記直交検波手段から出力される複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出する相関算出手段と、
上記相関算出手段において算出された相関値が極大となるタイミングに応じて、上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出する前置き信号検出手段と、
上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記相関算出手段の位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて、上記複素受信信号の周波数を補正する周波数補正手段と、上記前置き信号検出手段において上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、上記周波数補正手段において周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、
上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、
上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数の補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出する周波数補正値算出手段と、
上記復調処理中のパケット信号に対する上記周波数補正手段の周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する周波数補正値更新手段と
を有する受信装置。 - 上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されており、
上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、
上記補正値更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項11に記載の受信装置。 - 上記周波数補正値算出手段は、上記周波数補正値更新手段において更新された第1の周波数補正値を、上記第2の周波数補正値の算出に用いる周波数補正値から除外する、
請求項12に記載の受信装置。 - 上記識別信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、当該生成した乱数系列と上記復調処理手段において復調されたパケット信号とに所定の演算を行い、当該復調されたパケット信号に加えられたスクランブルを解除するスクランブル解除手段を有する、
請求項11に記載の受信装置。 - 送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信装置であって、
受信された信号のレベルを、設定された増幅利得をもって増幅する増幅手段と、
上記増幅手段において増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出するパケット検出手段と、
上記増幅手段において増幅された受信信号のレベルを測定する受信レベル測定手段と、
上記パケット検出手段においてパケット信号が検出されていない場合には所定の初期増幅利得を、上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合には上記受信レベル測定手段で測定された受信信号レベルに応じた第1の増幅利得を、上記増幅手段の増幅利得として設定する利得設定手段と、
上記パケット検出手段においてパケット信号が検出された場合、当該検出されたパケット信号に対して、上記所定の変調方式に対応した復調処理を行う復調処理手段と、
上記復調処理手段において復調処理中のパケット信号から、上記識別信号を抽出する識別信号抽出手段と、
上記識別信号抽出手段において抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の増幅利得を算出する利得算出手段と、
上記復調処理中のパケット信号に対する上記増幅手段の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する利得更新手段と
を有する受信装置。 - 上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されており、
上記復調処理手段において復調されたパケット信号中の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて、当該復調されたパケット信号の誤り率を算出する誤り率算出手段を更に含み、
上記利得更新手段は、上記誤り率算出手段において算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項15に記載の受信装置。 - 上記識別信号と唯一に対応する乱数系列を生成し、当該生成した乱数系列と上記復調処理手段において復調されたパケット信号とに所定の演算を行い、当該復調されたパケット信号に加えられたスクランブルを解除するスクランブル解除手段を有する、
請求項15に記載の受信装置。 - 送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号の先頭部に、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号が付加されて直交変調されたパケット信号を受信する受信方法であって、
受信された信号に対して直交検波を行って、同相成分と直交成分とを有した複素受信信号を生成し、
上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を上記所定の周期に応じた時間だけ遅延させた信号との相間値および位相差を算出し、
上記算出された相関値が極大となるタイミングに応じて上記前置き信号を上記複素受信信号中から検出し、
上記前置き信号が検出された場合、当該検出された前置き信号に対し算出された上記位相差に応じた第1の周波数補正値を用いて上記複素受信信号の周波数を補正するとともに、当該検出された前置き信号を先頭部に有し、当該周波数補正された複素受信信号に含まれるパケット信号に対して、上記所定の変調処理に対応する復調処理を行い、
上記復調処理中のパケット信号から、送信源を識別するための識別信号を抽出し、
上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対する周波数補正で用いられた1つまたは複数の上記第1の周波数補正値に応じて、上記復調処理中のパケット信号に対する第2の周波数補正値を算出し、
上記復調処理中のパケット信号の周波数補正に用いる周波数補正値を、上記第1の周波数補正値から上記第2の周波数補正値へ更新する、
受信方法。 - 上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されており、
上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記周波数補正値の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項18に記載の受信方法。 - 上記第2の周波数補正値の算出する場合において、上記周波数補正値の更新処理により更新された第1の周波数補正値を、上記第2の周波数補正値の算出に用いる周波数補正値から除外する、
請求項19に記載の受信方法。 - 送信源識別用の識別信号が付加された伝送信号に対して所定の変調処理がなされた変調信号を含むパケット信号を受信する受信方法であって、
受信された信号のレベルを、設定された初期増幅利得をもって増幅するとともに、当該増幅された受信信号の中から上記パケット信号を検出し、
上記パケット信号が検出された場合、当該パケット信号の信号レベルを測定した結果に応じて設定した第1の増幅利得をもって、当該パケット信号を増幅するとともに、当該増幅したパケット信号に対して上記所定の変調処理に対応した復調処理を行い、
上記復調処理中のパケット信号から上記識別信号を抽出し、
上記抽出された識別信号と同一の識別信号を含むパケット信号であって、以前に復調された1つまたは一連のパケット信号に対して設定された1つまたは複数の上記第1の増幅利得に応じて、上記復調処理中のパケット信号の第2の増幅利得を算出し、
上記復調処理中のパケット信号の増幅利得を、上記第1の増幅利得から上記第2の増幅利得へ更新する、
受信方法。 - 上記伝送信号中の所定領域に所定のデータが挿入されており、
上記復調処理中のパケット信号の上記所定領域に含まれるデータと上記所定のデータとを比較し、当該比較結果に応じて当該パケット信号の誤り率を算出し、当該算出された誤り率が所定のしきい値に達するか否かに応じて、上記増幅利得の更新処理を実行するか否か決定する、
請求項21に記載の受信方法。
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- 2002-08-12 JP JP2002234712A patent/JP2004080140A/ja active Pending
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