JP2004069983A - 反射防止膜、反射防止フィルム、および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射率が低く、耐擦傷性と防汚性に優れ、大量生産に適し、かつ耐久性、耐候性に優れた反射防止膜及び反射防止フィルム並びにそれらを用いた画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】特定のシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する一官能性単量体(A)、特定の繰り返し単位を含む、単量体(A)と共重合可能な重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)を、各々少なくとも一種含有して共重合されたグラフト共重合体(GP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有することから成る皮膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成された低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜、及び反射防止フィルム並びにそれらを用いた画像表示装置。
【選択図】なし
【解決手段】特定のシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する一官能性単量体(A)、特定の繰り返し単位を含む、単量体(A)と共重合可能な重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)を、各々少なくとも一種含有して共重合されたグラフト共重合体(GP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有することから成る皮膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成された低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜、及び反射防止フィルム並びにそれらを用いた画像表示装置。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止膜ならびにそれを用いた反射防止フィルムおよび画像表示装置(特に液晶表示装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は一般に、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するように光学製品などの表面に設置され、特に良好な視認性を求められる陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、その表示面の最表面に配置される。
【0003】
このような反射防止膜は、通常、高屈折率層の上に適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低屈折率層素材としては反射防止性能の観点からできる限り屈折率の低い素材が望まれ、同時にディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性及び防汚性が要求される。また低い反射率性能を発現するために膜厚の均一性も重要であり、塗布型材料においては、塗布性、レベリング性も重要なファクターになる。
【0004】
厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性を高めることが重要である。材料の屈折率を下げる手段としては、▲1▼フッ素原子を導入する、▲2▼密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向である。
【0005】
低屈折率性を保ちながら耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効である。滑り性付与に対してはフッ素の導入、シリコーンの導入等の手法が有効であり、これらの手段は表面張力を下げるために他の目的であるレベリング性付与にも効果が期待できる。低屈折率層に含フッ素ポリマーを用いる場合にはそれ自体でも滑り性を有しているが、溶剤可溶化するために炭化水素系共重合成分を50%程度導入した側鎖の短いフッ素系材料単独では十分な滑り性が得られず、シリコーン化合物と組み合わせることが従来より行なわれてきた。
【0006】
低屈折率層素材に対して少量のシリコーン化合物を添加することにより、滑り性発現効果および耐擦傷性改良効果は顕著に現れる。また、滑り性に加えて撥水性、防汚性等の効果も発現する。しかし一方で、低屈折率層素材との相溶性(皮膜の透明性)、経時あるいは高温条件下でのブリードアウト、接触媒体へのシリコーン成分の転写、これらに伴う性能の劣化、製造ラインの汚染等さまざまな問題があった。特に反射防止膜においては、相溶性不足によるヘイズ発生は光学性能を悪化させるため大きな問題である。また塗布後の膜を巻き取った際に、膜の裏面にシリコーンが付着することがその後の加工工程に支障をきたすため大きな問題になっている。すなわち、シリコーン部位のみ効果的に表面に偏析させて、シリコーンに結合した残りの部位は低屈折率層皮膜中に効果的にアンカリングさせる技術が求められている。
【0007】
この問題に対して特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号公報にはシリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入した含フッ素オレフィン共重合体およびその反射防止膜用途への適用が記載されている。この手法により皮膜の均一性、耐久性は大幅に向上するが、残存開始剤又は開始剤種同志のラジカルカップリングによって生成した成分を完全に除去することが難しく、強制条件下での接触媒体へのシリコーン転写性は完全には押さえることができない。ポリマー中へのより均質な導入が必要と考えられる。
【0008】
シリコーン成分を含フッ素共重合体にグラフトさせる手法として、特開昭56−28219号にはエポキシ基を含有する含フッ素オレフィン共重合体とアミノ基含有ポリシロキサンとの高分子反応、WO98/29505号には、水酸基を含有するパーフルオロオレフィン共重合体とエポキシ基含有ポリシロキサンとの高分子反応について記載されているが、反射防止膜用途への適用に関しては記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、第1に、反射率が低く、耐擦傷性と防汚性に優れた反射防止膜を提供することであり、第2に大量生産に適した塗布型の反射防止膜を提供することであり、第3に耐久性、耐候性に優れた反射防止膜を提供することであり、第4に反射が防止されたフィルムまたは画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下に示す手段により達成されることが見出された。
(1) 下記一般式(Ia)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する一官能性単量体(A)と、該一官能性単量体(A)と共重合可能であって、下記一般式(IIa)で示される繰り返し単位を主鎖に含む重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)とを、各々少なくとも一種含有して共重合されたグラフト共重合体(GP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有することから成る皮膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成された低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
【化3】
一般式(Ia)において、R11、R12、R13、R14及びR15は、各々同じでも異なってもよく、脂肪族基又は芳香族基を表す。
【化4】
一般式(II)において、Rf 0は、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基、又は−ORf 1基を表す。ここで、Rf 1は炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表す。
(2) 上記(1)記載のグラフト共重合体(GP)が、共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に、架橋性反応性基を少なくとも1つ以上含有することを特徴とする上記(1)記載の反射防止膜。
(3) 前記低屈折率層が平均粒径5〜50nmのシリカ微粒子を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の反射防止膜。
(4) 上記(1)〜(3)の何れかに記載の反射防止膜を透明支持体上に配置したことを特微とする反射防止フィルム。
(5) 前記低屈折率層と透明支持体との間に、無機微粒子を含有する高屈折率層を有することを特徴とする上記(4)記載の反射防止フィルム。
【0011】
(6) 上記(1)、(2)もしくは(3)に記載の反射防止膜または(4)もしくは(5)項記載の反射防止フィルムを配置したことを特徴とする画像表示装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の反射防止膜に関して説明する。
【0013】
[反射防止膜の層構成]
本発明の反射防止膜の代表的な層構成を図1を参照しながら説明する。
図1は、好ましい反射防止膜の好ましい層構成を示す断面模式図である。図1の(a)に示す態様は、透明支持体4、ハードコート層3、高屈折率層2、そして低屈折率層1の順序の層構成を有する。(a)のように、高屈折率層2と低屈折率層1とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記式(i)、低屈折率層が下記式(ii)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0014】
【数1】
【0015】
式(i)中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そして、d1は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0016】
【数2】
【0017】
式(ii)中、nは正の奇数(一般に1)であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0018】
高屈折率層の屈折率n1は、一般に透明フィルムより少なくとも0.05高く、そして、低屈折率層の屈折率n2は、一般に高屈折率層の屈折率より少なくとも0.1低くかつ透明フィルムより少なくとも0.05低い。更に、高屈折率層の屈折率n1は、一般に1.57〜2.40の範囲にある。
【0019】
図1の(b)に示す態様は、透明支持体(4)、ハードコート層(3)、中屈折率層(5)、高屈折率層(2)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。(b)のように、中屈折率層(5)、高屈折率層(2)と低屈折率層(1)とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(iii)、高屈折率層が下記式(iv)、低屈折率層が下記式(v)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0020】
【数3】
【0021】
式(iii)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。
【0022】
【数4】
【0023】
式(iv)中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0024】
【数5】
【0025】
式(v)中、kは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0026】
中屈折率層の屈折率n3は、一般に1.5〜1.7の範囲にあり、高屈折率層の屈折率n4は、一般に1.7〜2.2の範囲にある。
【0027】
図1の(c)に示す態様は、透明支持体(4)、防眩性ハードコート層(6)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。このような反射防止膜は、例えば、特開2001−281410号公報に記載されているように、低屈折率層が、下記式(vi)を満足することが好ましい。
【0028】
【数6】
【0029】
式(vi)中、mは正の奇数(一般に1)であり、n6は低屈折率層の屈折率であり、d6は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0030】
また、式(i)〜(vi)中のλは光線の波長であり、可視領域の反射防止層として用いる場合のλは380〜680nmの範囲の値であり、また、可視光線以外にも可視領域近傍の紫外線、赤外線に対しても有効である。ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。例えば中屈折率層は高屈折率層に添加する高屈折率無機微粒子の含率を変えるなどの方法で作製される。
以上の層構成を有する本発明の反射防止膜において、少なくとも、本発明に従い改良された低屈折率層を用いる。
【0031】
[低屈折率層]
低屈折率層は図1の(a)、(b)及び(c)に示すごとく高屈折率層の上層に配置される。通常、低屈折率層の上側が反射防止膜の表面である。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.20〜1.49であり、1.20〜1.45であることがより好ましく、1.20〜1.43であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、10〜400nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0032】
本発明の低屈折率層は、グラフト共重合体(GP)を、好ましくは、硬化剤とともに硬化されたマトリックス層から成る。
【0033】
本発明に用いるグラフト共重合体(GP)(本発明のグラフト共重合体(GP)ともいう)について説明する。
本発明のグラフト共重合体(GP)は、シロキサン構造を少なくとも1つ含有する置換基を有する一官能性単量体(A)と、該一官能性単量体(A)と共重合可能であって、下記一般式(IIa)で示される繰り返し単位を主鎖に含む重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)との共重合体から成る。
この一官能性マクロモノマー(MM)は、一官能性単量体(A)と共重合可能な重合性基を、重合体主鎖の片末端のみに結合し、且、該主鎖は前記一般式(IIa)で表されるパーフルオロエチレン構造を主成分とすることが好ましい。
本発明のグラフト共重合体(GP)を主成分として含有する硬化膜は、グラフト部であるフッ素成分含有のマクロモノマー成分から成る側鎖が膜の上層表面に効果的に配向し、且つ、側鎖のグラフト重合部が主鎖もパーフルオロ置換された重合成分を主成分として含有することから、表面層の廃水・廃油効果が優れた効果を発現すると推定される。
更には、本発明のグラフト共重合体(GP)の共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を少なくとも一種以上含有することが好ましい。
含有される架橋性反応性基は、本発明の皮膜形成用組成物に含有される硬化剤中の架橋性反応性基と化学結合する反応性基であることがより好ましい。
この様な態様とすることで、塗膜形成後の硬化が速やかに進行し、且つ、膜の強度が一層向上する。
【0034】
一般式(Ia)で示されるシロキサン構造を含有する一官能性単量体(A)について説明する。
この様な一官能性単量体(A)としては、下記一般式(I)で示される単量体が好ましい。
【化5】
式(I)中、a1およびa2は、同じでも異なっていてもよく、各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−Q1または−CH2−COO−Q1〔ここでQ1は水素原子、または置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等を表す〕を表す。
【0035】
U1は−(CH2)dCOO−、−(CH2)dOCO−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−CON(K1)、−SO2N(K1)−又はフェニレン基を表す(ここで、K1は水素原子または炭素数1〜22の脂肪族基を示し、dは0又は1〜4の整数を示す)。
【0036】
K1は、好ましくは、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)である。
【0037】
W1は、式(I)における−U1−と−Lとを連結する基を表す。W1は、好ましくは、総原子数1〜12の連結基を表す(ここでいう総原子数は、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子又は置換基の原子を除く)。
【0038】
W1における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。
【0039】
【化6】
【0040】
2価の脂環式基(脂環式構造の炭化水素環としては、例えばシクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環、等)、2価のアリール環基(アリール環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、等)で示される基等の原子団の任意の組合せで構成されるものである。
このような環構造の場合の総原子数は、2価の残基において1つの結合位置からもう一方の結合位置までの最短を結ぶ環構成の原子数を意味する(例えば、1,3−シクロヘキシレンの場合、総原子数は、3であり、1,2−シクロヘキシレンの場合、総原子数は、2である。)
【0041】
上記において、r1、r2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、r3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、r4、r5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には上記r3と同一の内容を表す)を表す。
Lは、一般式(Ia)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。
【0042】
【化7】
【0043】
式(Ia)中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同じでも異なってもよく、各々脂肪族基又は芳香族基を表す。
一般式(Ia)において、R11〜R15は好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基〔例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化アルキル基{例えば−(CH2)hCiF2i+1基(但しhは1〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH2)h−(CF2)j−R36基(但しjは0又は1〜12の整数、R36基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF2H、−CFH2、−CF3を表す)、−CH(CF3)2、−CF2Cl、−CFCl2、−CFClH、−CF(CF3)OCiF2i+1、−OCiF2i+1、−C(CF3)2OCiF2i+1等}等〕、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、パーフルオロベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、パーフロロヘキシル基、テトラフロオロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ジフロロフェニル基、パーフルオロフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0044】
以下に、シロキサン構造を含有する繰り返し単位の具体例を示す。但しこれらに限定されるものではない。以下の各例で、eは、水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。
【0045】
【化8】
【0046】
一官能性マクロモノマー(MM)について説明する。
一官能性マクロモノマー(MM)として具体的には、下記一般式(II)で示される化合物が好ましいものとして挙げられる。
【0047】
【化9】
【0048】
式(II)中、b1、b2及びU2は各々式(I)中のa1、a2及びU1と同一の内容を表わす。W2は−U2−と重合性主鎖を連結する基を表わす。W2は、一般式(I)中のW1と同一の内容のもの、及び下記に示す連結基等の原子団から選ばれる、単独の連結基もしくは任意の組合せで構成された連結基を表わす。
【0049】
【化10】
【0050】
一般式(II)におけるW2は、総原子数6以上(但し、上記各例において、上記r1〜r5で示される水素原子又は置換基の原子を除く)の「連結基」であることが好ましい。これにより、一般式(II)で示されるマクロモノマー(MM)の単量体(A)との共重合反応性が良好となる。
以下に一般式(II)における下記一般式(II′)で示される部分の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
一般式(II)における繰り返し単位におけるRf 0は、一般式(IIa)と同一の内容である。
マクロモノマー(MM)の繰り返し単位中のRf 0は、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフロオロアルキル基、又は−ORf 1基を表わす。
Rf 0がパーフロオロアルキル基の場合、それに相当する単量体の重合反応性の観点から、パーフロオロメチル基、パーフロオロエチル基、パーフロオロプロピル基、パーフロオロブチル基がより好ましい。
【0054】
Rf 1は、炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表わし、炭素数1〜12の含フッ素脂肪族基が好ましい。
例えば、炭素数1〜8のパーフロオロアルキル基、−CH2F、−CHF2、−CH2CF3、−(CH2)2C2F5、−CH2CF2CF2CFH2、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフロオロシクロヘキシル基、パーフロオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、エーテル結合(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH2C4F8H、CH2CH2OCH2CH2C8F17、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H、−CF2CH2OCH2CF3、−(CF2)2(CH2)2OCH(CF3)3、等が例示される。
【0055】
本発明のマクロモノマー(MM)は、前記した一般式(IIa)で示される繰り返し単位(重合成分)の他に、これらの重合成分に相当する単量体と共重合可能な他の重合性単量体を含有してもよい。
例えば下記一般式(IIb)で示される繰り返し単位が挙げられる。
【0056】
【化13】
【0057】
式(IIb)中、d1、d2及びd3は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を表わす。
好ましくはCF2=CF−、CF2=CH−、CFH=CF−、CH2=CF−、CH2=CH−、CH(CH3)=CH−、CH2=C(CH3)−等が挙げられる。
U3は、式(I)中のU1と同一の内容又は、C(d3)とRとの直接結合を表わす。U3としては、−O−、フェニレン基、直接結合等が好ましい。
Rは、炭素数1〜22の置換されてもよい、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族基、置換されてもよい炭素数6〜12の芳香族基を表わす。
具体的には、前記一般式(Ia)のR11〜R15の脂肪族基、芳香族基で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
Rが脂肪族基の場合に、他の置換基の具体例として、−OR′基、−OCOR′基、−COOR′基も好ましい。ここでR′はフッ素原子含有の炭素数1〜12の脂肪族基を表わす。具体的には、前記一般式(IIa)中のRf 1のフッ素含有脂肪族基と同様のものが挙げられる。
一般式(IIb)で表わされる繰り返し単位は、本発明のグラフト共重合体(GP)の効果を増大乃至低下させない範囲でその種類、配合割合が決定されるが、通常、マクロモノマー(MM)に50質量%以下、好ましくは、30質量%以下で用いられる。
以下に、一般式(II)における繰り返し単位の重合成分(:一般式(IIa)、又は一般式(IIa)と他の含有してもよい成分)の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
本発明のマクロモノマー(MM)は、従来公知の合成方法によって製造することができる。例えば、(i)アニオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させて、マクロマーにする、イオン重合法による方法、(ii)分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合のオリゴマーと種々の試薬を反応させて、マクロマーにするラジカル重合法による方法等が挙げられる。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl.Polym.Sci.Eng., 7, 551(1987)、P.F.Rempp & E.Franta, Adv.Polym.Sci., 58, 1(1984)、V.Percec, Appl.Polym.Sci., 285, 95(1984)、R.Asami & M.Takari, Makvamol.Chem.Suppln.12, 163(1985)、P.Rempp.et al, Makvamol.Chem.Suppln.8, 3(1984)、川上雄資、化学工業、38, 56(1987)、山下雄也、高分子、31, 988(1982)、小林四郎、高分子、30,625(1981)、東村敏延、日本接着協会誌、18, 536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35, 262(1986)、東貫四郎、津田隆、機能材料、1987, No.10, 5等の総説及びそれに引例の文献・特許等に記載の方法に従って合成することができる。
【0062】
上記した分子中に特定の反応性基を含有した重合開始剤としては、例えば、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2′−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノール)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド〕、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミド}、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼビン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2′−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕、2,2′−アゾビス〔N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕等のアゾビス系化合物が挙げられる。
【0063】
又、分子中に特定の反応性基を含有した連鎖移動剤として、例えば該反応性基あるいは該反応性基に誘導しうる置換基を含有するメルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール等)、あるいは上記反応性基又は置換基を含有するヨード化アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)が挙げられる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
他の方法としては、特定の官能基(例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等)を含有するジチオカルバメート基を含有する化合物および/またはザンテート基を含有する化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行って合成することもできる。例えば、上記の大津等の文献、特開昭64−11号公報、特開昭64−26619号公報、東信行等 ”Polymer Preprints, Japan” 36(6), 1511(1987)、M.Niwa, N.Higashi et al,”J.Macromol.Sci.Chem.”, A24(5), 567(1987)等に記載の各々の合成方法に従って合成することができる。
【0064】
これらの連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々一般式(IIa)の繰り返し単位に相当する単量体100重量部に対して0.5〜20重量部を用いることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
一官能性マクロモノマー(MM)は、この様にして製造される重合体主鎖の片末端に選択的に結合した特定の反応性基を利用して、高分子反応を行うことによって重合性二重結合基を導入する方法等により容易に製造することができる。
【0065】
本発明のグラフト共重合体(GP)は、共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を結合していることが好ましい。架橋性反応性基とは、本発明のグラフト共重合体(GP)同士または硬化剤との架橋反応に関与し得る反応性基を意味する。
架橋性反応性基としては例えば、活性水素原子を有する基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロキシル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でも良い)等が挙げられる。
【0066】
上記の架橋性反応性基の中で、好ましくは水酸基、エポキシ基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基または加水分解性シリル基等が挙げられる。
これら架橋性反応性基を本発明のグラフト共重合体(GP)の側鎖に含有する場合は、これらの反応性基は、単量体段階から導入されてもよいし、高分子反応により導入してもよい。高分子反応は、従来公知の化学結合しうる官能基同士との組合せを適宜して選択して行なうことができる。例えば岩倉義男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社刊(1977年)等に記載されている方法が挙げられる。
これらの架橋性反応性基を含有の共重合成分として、例えば下記一般式(IV)の繰り返し成分が挙げられる。
【0067】
【化16】
【0068】
式(IV)中、U4、L4、e1、e2及びe3は、各々式(I)中のU1、L1、a1、a2及びa3と同一の内容を表わす。
Yは、少なくとも1つの架橋性反応性基を含有する炭素数1〜12の炭化水素基を表わす。
これらの架橋性反応性基を含有の共重合成分は、グラフト共重合体(GP)全成分の1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
この範囲において、本発明の反射防止膜を形成する組成物を塗布し硬化して得られた膜は、ゲル状物の生じない均一な皮膜であり、且つ、充分な膜強度が保持される。
【0069】
これら架橋性反応性基を含有の共重合成分として、例えば特開平11−106704号公報明細書中の段落番号〔0032〕記載のシリル化合物に相当の重合体成分、あるいは以下の化合物例が挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
又、前記の架橋性反応性基は、共重合体の主鎖の片末端に結合されていることが好ましい。
具体的には、前記の一般式(IV)の[−L4−Y]構成部分が共重合体の主鎖の片末端に結合したものが挙げられる。
【0073】
本発明のグラフト共重合体(GP)は、具体的には、公知の方法である、単量体(A)、上記したマクロモノマー(MM)、更には架橋性反応性基もしくは架橋性反応性基を導入しうる官能性基を含有した単量体(前記の成分(C)相当)を少なくとも共存させて、重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法が簡便であり、好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、全単量体と全マクロモノマー(MM)の合計量100質量部に対して0.5〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明のグラフト共重合体(GP)として好ましくは、前記したように、その共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を結合して成るものが挙げられる。
本発明のグラフト共重合体(GP)は、具体的には、(i)特定の極性基(例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、エポキシ基、酸ハライド基等)を含有する連鎖移動剤の混合物を重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法あるいは、(ii)連鎖移動剤及び重合開始剤のいずれにも、該極性基を含有した化合物を用いる方法、更には、(iii)前記2つの方法において、連鎖移動剤あるいは重合開始剤を用いて重合反応後、更に高分子反応で、これらの官能基と反応させることで架橋性反応性基を導入する方法等を用いて製造することができる。具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., 7, 551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」30, 232(1985)、上田明、永井進「科学と工業」60, 57(1986)等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法によって製造することができる。
本発明のグラフト共重合体(GP)の重量平均分子量は、2×104〜5×105が好ましい。更には4×104〜2×105が好ましい。
【0074】
本発明の皮膜形成用組成物には、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種が併用される。これらは、前記本発明のグラフト共重合体(GP)中の架橋性反応性基の硬化反応に応じて、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
例えば、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)高分子学会編「高分子データハンドブック 基礎編」培風舘(1986年)等に記載されている化合物を用いることができる。
例えば、有機シラン系化合物、ポリイソシアナート系化合物、ポリオール系化合物、ポリアミン系化合物、酸無水化合物類、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば堀内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)、等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物類が挙げられる。
【0075】
例えば、本発明のグラフト共重合体(GP)が加水分解性シリル基を架橋性反応性基として含有する場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸、塩基触媒または金属キレート化合物を硬化促進剤として用いることができる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン等の無機・有機の化合物が挙げられる。
【0076】
金属キレート化合物としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物等が挙げられる。例えば特開平11−106704号明細書中の段落番号「0044」〜[0046]中に記載の化合物等が挙げられる。
好ましくは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが挙げられる。
【0077】
これら硬化促進剤の使用量は化合物の種類、架橋性反応性基の違いによってまちまちであるが、一般的には皮膜形成用組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
【0078】
また、皮膜形成用組成物の保存安定性の観点から、光の作用によって酸又は塩基等の硬化促進剤を発生する化合物を使用しても良い。これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3 −(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 −、SbF6 −、PF6 −、BF4 −等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。光の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
【0079】
本発明では特に光の作用により、上記記載の酸を発生する化合物を用いることが好ましい。これらの光の作用により、酸あるいは塩基を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。本発明の光の作用によって硬化反応を促進する化合物の添加量としては、皮膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0080】
さらに硬化を促進する他の硬化促進剤として、脱水剤を使用しても良い。脱水剤としては、例えば、カルボン酸オルトエステル(オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル等)、酸無水物(無水酢酸等)等を挙げることができる。
【0081】
また、硬化剤として有機シラン化合物を用いることが好ましい。
例えば、アルコキシシラン化合物、アシルオキシシラン化合物等であり、化合物の素材安定性から、アルコキシシラン化合物類が好ましい。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
更に好ましくは、一般式(R11)Si(OR21)3、一般式(R11)(R12)Si(OR21)2で示されるオルガノシランにおいて、R11及びR12のうちの少なくともいずれかの置換基がフッ素原子を含有する化合物が挙げられる。
ここで、R11は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばCF3CH2−、(CF)2CH−、CF2=CF−、CF3CH2CH2CH2−、C2F5CH2CH2CH2−、C3F7CH2CH2CH2−、C2F5CH2CH2−、CF3OCH2CH2CH2−、C2F5OCH2CH2CH2−、C3F7OCH2CH2CH2−、(CF3)2CHOCH2CH2CH2−、C4F9CH2OCH2CH2CH2−、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2−、H(CF2)4CH2CH2CH2−等が挙げられる。
【0083】
オルガノシラン中、R21は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などが挙げられる。又、(R12)は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等のアルキル基、そのほかγ−クロロプロピル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等の有機基、又はR11と同一の内容のフッ素原子含有の有機基等が挙げられる。
【0084】
硬化剤としての上記シラン化合物は、グラフト共重合体(GP)100質量部当たり、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体100質量部当たり、5.0〜100質量部程度の添加量とすることが好ましい。
【0085】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基が水酸基、アミノ基、メルカプト基等の活性水素を有する基である場合に用いる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。
【0086】
ポリイソシアネート系としては、m−キシリレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物、およびこれらイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0087】
アミノプラストとしては、メラミン皮膜、グアナミン皮膜、尿素皮膜などが採用される。中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミン(例えばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン等)、又はこれらの縮合物などが挙げられる。
【0088】
多塩基酸またはその無水物としては、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。
【0089】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基がエポキシ基、オキセタニル基の場合は、活性水素を有する反応性基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基)あるいは環状酸無水物含有基を有する硬化剤との化学反応により、皮膜形成用組成物を硬化させることができる。
この場合に、前記したと同様の酸、塩基、光及び/又は熱により酸あるいは塩基を発生する化合物を硬化促進剤として用いることができる。
他の好ましい態様として、エポキシ基あるいはオキセタニル基と反応可能な上記の活性水素を有する反応性基又は環状酸無水物含有基を分子中に2ケ以上含有する多官能化合物からなる硬化剤が挙げられる。
【0090】
また、硬化剤としてカチオン重合可能な基(カチオン重合性基:活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる反応性基)の場合は、カチオン重合性基の代表例としては、エポキシ基、オキセタン基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基などを有する化合物を挙げることができる。本発明ではこれらカチオン重合性基含有化合物のうちの1種を用いてもまたは2種以上を用いてもよい。
【0091】
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性有機化合物として、エポキシ基、ビニルオキシ基含有の化合物が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基を各々一個以上有する化合物、がより好ましく用いられる。特に、カチオン重合性有機化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有し且つ該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量がエポキシ化合物の全質量に基づいて好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物(エポキシ化合物の混合物)を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも樹脂組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
【0092】
上記した脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
【0093】
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越シリコーン社製のK−62−722や東芝シリコーン社製のUV9300等のエポキシシリコーン、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.28, 497(1990)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
【0094】
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。
具体例として、例えば特開平11−242101号明細書中の段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0095】
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。具体的には、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物、J.V.CRIVELLO et al、J.M.S.−PUREAPPL. CHEM.、A30、pp.173〜187(1993)に記載のシリコン含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
【0096】
ビシクロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物等を挙げることができる。
【0097】
スピロオルソカーボネート化合物としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等の化合物を挙げることができる。
【0098】
ビニルオキシ化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.32, 2895(1994)に記戦されているプロペニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A; Polymer Chemistry, Vol.33, 2493(1995)に記載されているアルコキシアレン化合物、Journa1 of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,Vol.34, 1015(1996)に記載されているビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 34, 2051(1996)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。具体例として、特開2002−29162号公報明細書中の段落番号[0021]〜[0029]記載の化合物等が挙げられる。
【0099】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0100】
これらの硬化剤を添加する場合、本発明のグラフト共重合体(GP)100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体(GP)100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。また、これらのカチオン重合性反応性基からなる硬化系は、酸もしくは光酸発生化合物を硬化促進剤として用いることが好ましい。具体的には、加水分解性シリル基で記載と同様の化合物が挙げられる。
【0101】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基が、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基の場合には、硬化剤としてラジカル重合性化合物、そして硬化促進剤として光及び/又は熱でラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。ラジカル重合性化合物は、重合性基を2個〜10個含有する多官能性化合物が好ましく、更には2〜6個の多官能化合物が好ましい。
【0102】
ラジカル重合性化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0103】
脂肪族多価アルコール化合物として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール、シクロヘキシルジオール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられ、それらと不飽和カルボン酸(クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とのモノ置換、あるいはポリ置換の重合性化合物が挙げられる。
その他のエステル系硬化剤の例として、例えばビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0104】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマー硬化剤の具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0105】
その他の好ましいアミド系モノマー硬化剤の例としては、特公昭54−21726記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
【0106】
また、硬化剤として、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有する水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有する化合物が挙げられる。
【0107】
さらに、硬化剤として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0108】
その他の硬化剤の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0109】
更には、硬化剤としてフッ素原子含有の単官能もしくは多官能の化合物も好ましく、例えば特開2000−275403号明細書中の段落番号[0059]〜[0066]記載の化合物等が挙げられる。
ラジカル重合乃至架橋反応の開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、又は光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
【0110】
熱の作用による開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ、ジアゾ化合物、オニウム化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等、オニウム化合物として前記加水分解性シリル基で記載したと同様の化合物等を挙げることができる。
【0111】
光の作用による開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0112】
熱または光の作用によってラジカル重合乃至架橋反応を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合乃至架橋が開始する量であれば良いが、一般的には皮膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0113】
これらの硬化剤を添加する場合も他の硬化剤と同様に、上記グラフト共重合体(GP)100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体(GP)100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。
【0114】
本発明の皮膜形成用組成物は、通常本発明のグラフト共重合体(GP)等を適当な溶剤に溶解して作製される。この際、本発明のグラフト共重合体(GP)の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
【0115】
上記溶剤としては、本発明のグラフト共重合体(GP)を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
【0116】
本発明の皮膜形成用組成物にはさらに膜強度または塗布性の改良のためにコロイダル無機粒子を添加しても良い。このようなコロイダル無機粒子としては、粒子径は5〜50nmのものが好ましく用いられるが、更に好ましくは、5〜30nmのものであり、特に好ましくは、粒子径8〜20nmのものである。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム等が挙げられる。好ましくはコロイダルシリカである。このようなコロイダルシリカは、例えばI.M.Thomas著、Appl. Opt. 25, 1481(1986)等に記載の手法に順じて、テトラアルコキシシランを原料としてアンモニア水等の触媒を用いて加水分解・重縮合することにより調整することができる。また市販のものでは、日産化学工業(株)製スノーテックスIPA−ST、同MEK−ST、日本エアロジル(株)製AEROSIL300、同AEROSIL130、同AEROSIL50(いずれも商品名)等を利用することもできる。
【0117】
コロイダル無機粒子の添加量は、一般に皮膜形成用組成物塗膜硬化後の全固形分の5〜95質量%の範囲であり、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは、20〜60質量%の場合である。
【0118】
その他、低屈折率層、皮膜形成用組成物には各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
【0119】
[高・中屈折率層]
本発明の反射防止膜が、多層膜の態様をとる場合、一般に、低屈折率層は、低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、前記の高屈折率層、中屈折率層)と共に用いられる。
【0120】
上記低屈折率層より高い屈折率を有する層を形成するための有機材料としては、熱可塑性皮膜(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素環、脂環式環状基を有するポリマー、またはフッ素以外のハロゲン基を有するポリマー);皮膜組成物(例、メラミン皮膜、フェノール皮膜、またはエポキシ皮膜などを硬化剤とする皮膜組成物);ウレタン形成性組成物(例、脂環式または芳香族イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ);およびラジカル重合性組成物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合を導入することにより、ラジカル硬化を可能にした変性皮膜またはプレポリマーを含む組成物)などを挙げることができる。高い皮膜形成性を有する材料が好ましい。上記より高い屈折率を有する層は、有機材料中に分散した無機系微粒子も使用することができる。上記に使用される有機材料としては、一般に無機系微粒子が高屈折率を有するため有機材料単独で用いられる場合よりも低屈折率のものも用いることができる。そのような材料として、上記に述べた有機材料の他、アクリル系を含むビニル系共重合体、ポリエステル、アルキド皮膜、繊維素系重合体、ウレタン皮膜およびこれらを硬化せしめる各種の硬化剤、硬化性官能基を有する組成物など、透明性があり無機系微粒子を安定に分散せしめる各種の有機材料を挙げることができる。
【0121】
さらに有機置換されたケイ素系化合物をこれに含めることができる。これらのケイ素系化合物は下記一般式で表される化合物、あるいはその加水分解生成物である。
【0122】
:RamRbnSiZ(4−m−n)
【0123】
(ここでRa及びRbは、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリル基、またはハロゲン、エポキシ、アミノ、メルカプト、メタクリロイルまたはシアノで置換された炭化水素基を表し、Zは、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン原子及びアシルオキシ基から選ばれた加水分解可能な基を表し、m+nが1または2である条件下で、m及びnはそれぞれ0、1または2である。)
【0124】
これらに分散される無機系微粒子の好ましい無機化合物としては、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンなどの金属元素の酸化物を挙げることができる。これらの化合物は、微粒子状で、即ち粉末または水および/またはその他の溶媒中へのコロイド状分散体として、市販されている。これらをさらに上記の有機材料または有機ケイ素化合物中に混合分散して使用する。
【0125】
上記より高い屈折率を有する層を形成する材料として、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機系材料(例、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合物)、無機ポリマー)を挙げることができる。これらの好適な例としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物が挙げられ、例えば、特開平11−106704号公報の段落番号〔0044〕〜〔0046〕に記載の化合物等が挙げられる。さらには炭素ジルコニルアンモニウムあるいはジルコニウムを主成分とする無機ポリマーなどを挙げることができる。上記に述べた他に、屈折率が比較的低いが上記の化合物と併用できるものとしてとくに各種のアルキルシリケート類もしくはその加水分解物、微粒子状シリカとくにコロイド状に分散したシリカゲルも使用することができる。
高・中屈折率層には、前記屈折率の範囲内において、必要に応じて本発明のグラフト共重合体(GP)を併用することもできる。
【0126】
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。屈折率は、アッペ屈折率計を用いる測定や、層表面からの光の反射率からの見積もりにより求めることができる。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.5μmであることが最も好ましい。高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0127】
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
高屈折率層に無機微粒子とポリマーを用い、中屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率を低めに調節して形成することが特に好ましい。中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
【0128】
[その他の層]
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してよい。アクリル系ポリマーは、多官能アクリレートモノマー(例、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート)の重合反応により合成することが好ましい。ウレタン系ポリマーの例には、メラミンポリウレタンが含まれる。シリコン系ポリマーとしては、シラン化合物(例、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン)と反応性基(例、エポキシ、メタクリル)を有するシランカップリング剤との共加水分解物が好ましく用いられる。二種類以上のポリマーを組み合わせて用いてもよい。シリカ系化合物としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。ハードコート層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。透明支持体の上には、ハードコート層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
【0129】
[透明支持体]
反射防止膜をCRT画像表示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止膜は透明支持体を有することが好ましい。透明支持体としては、ガラス板よりもプラスチックフィルムの方が好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。透明支持体に、表面処埋を実施してもよい。
【0130】
表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
【0131】
[反射防止膜の形成]
反射防止膜が、単層又は前記のように多層の構成をとる場合は、各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜(下記のアンチグレア機能がない場合)のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0132】
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
【0133】
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用し、それにより膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば特開2000−281410号、同2000−95893号等)、低屈折率層表面に物理的に凹凸形状を転写(エンボス加工方法等)する方法(例えば特開平11−268800号)が挙げられる。
【0134】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ〈ELD〉や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反射防止膜は、高屈折率層が画像表示装置の画像表示面側になるように配置する。
反射防止膜が透明支持体を有する場合は、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。反射防止膜は、さらに、ケースカバー、光学用レンズ、眼鏡用レンズ、ウインドウシールド、ライトカバーやヘルメットシールドにも利用できる。
【0135】
【実施例】
以下に本発明を実施例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[マクロモノマー(MM)の合成例]
(マクロモノマー(MM)の合成例1:マクロモノマー(MM−1))
内容量100mlのステンレス製攪拌機付オートクレーブにテトラヒドロフラン40ml、下記構造の単量体(F−1)20g、3−メルカプトプロピオン酸1.5g、及び2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称:A.I.V.N.)1.0gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)30.0gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2(529kPa)であった。このまま4時間反応後、A.I.V.N. 0.3gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した液を窒素ガス圧を利用して添加した。
更に6時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し200mlの3つ口フラスコに投入した。
これに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.6g、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:D.C.C.)5.7g、4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン0.02g及び塩化メチレン10gの混合溶液を30分間で滴下した。t−ブチルハイドロキノン1.0gを加え、そのまま4時間攪拌した。析出した結晶を濾別して得た濾液を、メタノール800ml中に再沈した。沈降物をデカンテーションで捕集し、これをテトラヒドロフラン80mlに溶解し、メタノール500ml中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量44gで、質量平均分子量6×103のマクロモノマー(MM−1)を得た。
【0136】
【化19】
【0137】
(マクロモノマー(MM)の合成例2:マクロモノマー(MM−2))
内容量100mlのステンレス製攪拌機付オートクレーブにテトラヒドロフラン40ml、下記構造の単量体(F−2)27.5g、2,2′−アゾビス(2−シアノヘプタノール(略称:A.B.C.H.)2.5gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)22.5gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2(529kPa)であった。このまま4時間反応後、A.B.C.H. 1.5gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した液を窒素ガス圧を利用して添加した。
更に6時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し、200mlの3つ口フラスコに投入した。
これに、2−(メタクロイルオキシ)エチルイソシアナート4.0g、ジブチルスズジラウレート0.05g及びt−ブチルハイドロキノン0.1gを加えて、50℃で6時間攪拌した。放冷後、メタノール1リットル中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量40gで、質量平均分子量7.5×103のマクロモノマー(MM−2)を得た。
【0138】
【化20】
【0139】
(マクロモノマー(MM)の合成例3:マクロモノマー(MM−3))
400rpmで作動する攪拌器を備えた2リットル AISI 316 オートクレーブの側壁に石英の丸窓を挿入し、該石英の丸窓に合わせてHanau(商標登録)TQ−150 UVランプを配置した。このランプは高圧水銀灯であって、240〜600nmの光を発し、波長240〜330nmの光では13.2Wのエネルギーを有する。
この装置に、下記構造の単量体(F−3)45g、下記構造の光重合開始剤2.0g、及びテトラヒドロフラン100gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにオクタフルオロブテン55gをオートクレーブ中に導入して45℃まで昇温した。10時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し、テトラヒドロフランを濃縮した後、トルエンの30質量%溶液とした。
次にこの反応溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシルアミン0.1g及びt−ブチルハイドロキノン0.05gを加え、温度100℃にて、8時間攪拌した。冷却後この反応溶液をメタノール1.5リットル中に再沈し、沈降物を捕集して減圧乾燥した。得られたマクロモノマー(MM−3)の収量は82gで、Mwは5×103であった。
【0140】
【化21】
【0141】
[グラフト共重合体(GP)の合成]
(グラフト共重合体(GP)の合成例1:グラフト共重合体(GP−1))
下記構造の単量体(A1)27.5g、マクロモノマーMM−1を15g、グリシジルメタクリレート7.5gおよびトルエン100gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度85℃に加温した。2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称:A.I.B.N.)を0.6g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を0.3g加えて2時間反応し、また更にA.I.B.N.を0.2g加えて2時間反応した。冷却後、メタノール1リットル中にこの混合溶液を再沈し、粉末を濾集後、乾燥して、白色粉末41gを得た。得られたグラフト共重合体(GP−1)のMwは6×104であった。
【0142】
【化22】
【0143】
(グラフト共重合体(GP)の合成例2〜7:グラフト共重合体(GP−2)〜(GP−7)
グラフト共重合体(GP)の合成例1と同様にして、下記表−Aのグラフト共重合体(GP−2)〜(GP−7)を作成した。得られた各共重合体のMwは5×104〜7×104の範囲であった。尚、マクロモノマー(MM−4)〜(MM−9)は、前記マクロモノマー(MM)の合成法に準じて作製した。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
(グラフト共重合体(GP)の合成例8:グラフト共重合体(GP−8))
下記構造の単量体(A2)22.5g、マクロモノマーMM−2を17.5g、2−ヒドロキシメタクリレート5gおよびトルエン100gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度85℃に加温した。A.I.B.N.を0.6g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を0.3g加えて2時間反応し、また更にA.I.B.N.を0.2g加えて2時間反応した。室温まで冷却後、この反応液に2−(2−カルボキシエチルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート10.5g、t−ブチルハイドロキノン0.1g及びトルエン16gを加えて攪拌した。これにD.C.C. 8.5g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.05g及び塩化メチレン15gの混合溶液を20分間で滴下し、そのまま1時間攪拌した。温度を40℃に加温し、3時間攪拌した後、析出した結晶を濾別して得た濾液をメタノール1リットル中に再沈した。沈殿物を捕集し、これを塩化メチレン100mlに溶解し、メタノール1リットル中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量33gで、Mw7×104のグラフト共重合体(GP−8)を得た。
【0147】
【化23】
【0148】
(グラフト共重合体(GP)の合成例9〜12:グラフト共重合体(GP−9)〜(GP−12)
グラフト共重合体(GP−1)の合成例及びグラフト共重合体(GP−8)の合成例(架橋基の反応性基を高分子反応で導入)に示したような合成方法で、下記表−Bのグラフト共重合体(GP−9)〜(GP−12)を合成した。
各グラフト共重合体のMwは、6×104〜8×104の範囲であった。
【0149】
【表3】
【0150】
実施例1及び比較例1〜2
<ハードコート層用塗布液の調製>
ペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)125gおよびウレタンアクリレートオリゴマー(UV−6300B(商品名)、日本合成化学工業(株)製)125gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX(商品名)、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を攪拌した後、1ミクロンメッシュのフィルターでろ過してハードコート層の塗布液を調製した。
【0151】
<中屈折率層用塗布液の調製>
下記内容の二酸化チタン分散物49.60gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)を18.08g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)を0.920g、光増感剤(カヤキュアーDETX(商品名)、日本化薬(株)製)を0.307gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノンを500g添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層の塗布液を調製した。
【0152】
(二酸化チタン分散物の調製)
コア/シェル構造の二酸化チタン微粒子(TTO−55B(商品名)、シェル材料;アルミナ粒子全体の9質量%、石原産業(株)製)30質量部、市販のアニオン性モノマー(PM−21(商品名)、日本化薬(株)製)4.5質量部、市販のカチオン性モノマー(DMAEA(商品名)、(株)興人)0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径53nmの二酸化チタン分散物を調製した。
【0153】
<高屈折率層用塗布液の調製>
上記二酸化チタン分散物110.0gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)を6.29g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)を0.520g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.173gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノン460.0gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して高屈折率層の塗布液を調製した。
【0154】
<低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製>
本発明のグラフト共重合体(GP−1)5.4g、コロイダルシリカMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のメチルエチルケトン分散物;日産化学工業(株)製)2.2g(固形分量として)、エポキシ系硬化剤DEX314(ナガセ化成工業(株)製)1.1g(固形分量として)、パラトルエンスルホン酸0.35g及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して低屈折率層用塗布液(Ln−1)を調製した。
【0155】
[実施例1]
<反射防止膜(F−1)の作製>
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−DU、富士写真フイルム(株)製)上に、上記のハードコート層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。90℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、上記中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.70、膜厚70nm、TTB−55B、21体積%)を形成した。中屈折率層の上に、上記の高屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.95、膜厚75nm、TTB−55B、51体積%)を形成した。高屈折率層の上に、上記の低屈折率層用塗布液(Ln−1)をバーコーターを用いて硬化後の膜厚が85nmとなるように塗布した。塗布後に1分間風乾し、その後、120℃で10分間加熱し、その後室温まで放冷して低屈折率層を形成し、反射防止膜(F−1)を作製した。
【0156】
[比較例1]
実施例1において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(Ln−R1)を用いた他は、実施例1と同様に攪拌して、反射防止膜(FR−1)を作製した。
【0157】
<比較用低屈折率層用塗布液(Ln−R1)の調製>
上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製において、グラフト共重合体(GP−1)5.4gの代わりに、下記構造の共重合体を5.4gを用いた他は、上記塗布液(Ln−1)の調製方法と同様にして塗布液(Ln−R1)を調製した。
【0158】
【化24】
【0159】
[比較例2]
実施例1において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(Ln−R2)を用いた他は、実施例1と同様に攪拌して、反射防止膜(FR−2)を作製した。
【0160】
<低屈折率層用塗布液(Ln−R2)の調製>
低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製において、グラフト共重合体(GP−1)5.4gの代わりに、比較用ブロック共重合体(P−R)として、特開平11−189621号公報の実施例1に記載の方法に従って合成した、含フッ素成分の重合体成分のシロキサン成分の重合体成分から成るAB型ブロック共重合体5.4gを用いた他は、上記塗布液(Ln−1)の調製方法と同様にして比較用塗布液(Ln−R2)を調製した。
【0161】
<反射防止膜の評価>
こうして得られた第1〜4層を塗設した各膜(実施例1及び比較例1〜2)について、下記性能評価を実施し、その結果を表−Cに記載した。
【0162】
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面平均反射率を用いた。
【0163】
(2)鉛筆硬度評価
反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS K5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
【0164】
(3)耐傷性試験
膜表面をスチールウール#0000を用いて、200gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
全くつかない :○
細かい傷がつく :△
傷が著しい :×
【0165】
(4)密着性
基盤目−セロテープ(登録商標)剥離試験をJIS K5400に準拠して行った。10分割した桝目の内の剥がれずに残った数(x)を観察した。判定は次の基準に従った。
全く剥がれない :○
1〜5個程度剥がれる:△
5個以上剥がれる :×
【0166】
(5)防汚性
サンプル表面に指紋を付着させてから、それをベンコットン(旭化成(株)製)で拭き取った時の状態を観察して、以下の基準で評価した。
◎:簡単に拭き取れる。
○:しっかり擦れば拭き取れる。
△:一部が拭き取れずに残る。
×:殆んど拭き取れずに残る。
【0167】
(6)非接触触媒へのポリマー成分の転写性試験
80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF(商品名)、富士写真フイルム(株)製)と上記サンプルを貼り合わせ2kg/m2(196kPa)の荷重をかけて25℃で24時間放置した後、TACベース表面に転写したSiの量をESCAを用いて測定し、Si/Cの面積比を指標とした。なお転写試験前のベース表面の(Si/C)値は0であった。
【0168】
【表4】
【0169】
本発明の反射防止膜(F−1)の各特性は良好であった。即ち、膜の硬度、耐傷性、密着性は実用上充分な性能を示した。又、指紋等の油性汚れに対しても、極めて簡単に除去できた。重合体中のシロキサン成分の転写は検出されなかった。
一方、従来公知のシロキサン成分及びパーフルオロアルキル基含有成分を含むランダム共重合体を用いた比較例1の反射防止膜(FR−1)は、シロキサン成分の転写は検出されなかったが、膜の密着性が低く、且つ防汚性も不十分であった。
また、比較用ブロック共重合体(P−R)を硬膜した比較例2の反射防止膜(FR−2)は、塗布後の塗布面の面上にムラが観察された。又、膜の耐傷性が低く、防汚性も不十分であった。ポリシロキサン成分の転写が確認された。即ち、これらの不具合はブロックポリマー化されないポリシロキサン成分によるものと推定される。
以上のことから、本発明のグラフト共重合体(GP)を硬化して形成された反射防止膜のみが優れた性能を示すことがわかる。
【0170】
実施例2
<ハードコート層用塗布液Bの調製>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)250gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50質量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。なお、この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。さらにこの溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層の塗布液Bを調製した。
【0171】
<防眩性ハードコート層用塗布液Aの調製>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7041、JSR(株)製)199g、および粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7042、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46(質量比)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバファインケミカルズ(株)製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に、個数平均粒径1.99μm、粒径の標準偏差0.32μm(個数平均粒径の16%)の架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX―200HS(SX−200Hの風力分級品)、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46(質量比)混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散し、孔径10μm、3μm、1μmのポリプロピレン製フィルター(それぞれPPE−10、PPE−03、PPE−01、いずれも富士写真フイルム(株)製)にてろ過して得られた分散液29g(5.0μm以上の粗大粒子を含有する割合は0個/1×1010個)を添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液Aを調製した。
【0172】
<低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製>
本発明の上記グラフト共重合体(GP−6)6.5g、コロイダルシリカ MEK−ST 2.2g(固形分量として)、イソホロンジイソシアナート2.8g、テトラブトキシチタネート0.015g及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(Ln−2)を調製した。
【0173】
<反射防止膜(F−2)の作製及び評価>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(商品名:TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、上記のハードコート層用塗布液Bをバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmのハードコート層を形成した。その上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層を形成した。その上に、上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)をバーコーターを用いて塗布し、風乾(1分間)の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。
得られた反射防止膜(F−2)について、実施例1に記載の試験項目について評価した。その結果は実施例1と同等の性能を示し、良好であった。
【0174】
[実施例3〜8]
実施例1において用いた低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の各塗布液を用いた他は、実施例1と同様にして各反射防止膜を作成した。
【0175】
<各低屈折率層用塗布液の調製>
表−Dに記載の通り本発明のグラフト共重合体(GP)、硬化剤及び/又は硬化促進剤、並びにコロイダルシリカ MEK−ST 2.2g(固形分量として)及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、各低屈折率層用塗布液(Ln−3)〜(Ln−8)を調製した。
【0176】
【表5】
【0177】
得られた各膜について、実施例1と同様にして各性能を評価した。実施例3〜8の各膜は、いずれも実施例1と同等の性能を示し、良好であった。
【0178】
実施例9〜12
実施例1において用いた低屈折率層(Ln−1)において、グラフト共重合体(GP−1)5.4g、硬化剤DEX314 1.1g及びパラトルエンスルホン酸0.35gの代わりに、下記表−Eに記載の各グラフト共重合体(GP)、硬化剤及び硬化促進剤を用いた他は、実施例1と同様にして低屈折率層用塗布液(Ln−9)〜(Ln−12)を調製した。次いで、実施例1における反射防止膜の作製において、加熱の代わりに紫外線を照射した後、120℃で10分間加熱する操作を行ない、各反射防止膜(F−9)〜(F−12)を作製した。
【0179】
【表6】
【0180】
得られた各膜について、実施例1と同様にして各性能を評価した。実施例9〜14の各膜は、いずれも実施例1と同等の性能を示し良好であった。
【0181】
実施例13
実施例2において用いた低屈折率層用塗布液(Ln−2)の代わりに、下記内容の低屈折率層用塗布液(Ln−13)を用いた他は、実施例2と同等にして反射防止膜(F−13)を作製した。
【0182】
<低屈折率層用塗布液(Ln−13)の調製>
グラフト共重合体(GP−7)5.0g、コロイダルシリカ MEK−STを2.0g、メチルトリメトキシシラン2.5g、アセチルアセテートZr塩0.01g及びメチルエチルケトン150gの混合物を1時間攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(Ln−13)を調製した。
【0183】
得られた反射防止膜(F−13)を、実施例1と同様にして性能を評価した。その結果は、実施例2の膜と同等の性能を示した。
【0184】
実施例14
実施例1〜13で得られた各反射防止膜を用いて防眩性反射防止偏光板を作成した。
これらの各偏光板を用いて反射防止層を最表面に配置した液晶表示装置を作成した。各表示装置の何れも、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、色むらも発生せず、指紋付も良好であった。
【0185】
【発明の効果】
本発明によれば、反射率が低く、耐擦傷性と防汚性に優れた反射防止膜を得ることができる。更に、本発明の反射防止膜は、耐久性、耐候性に優れている。また、本発明の反射防止剤は塗布型であり、大量生産に適しており、また、被接触媒体に対するシリコン成分の転写が起こらない。
本発明の反射防止膜を設けることにより、反射が有効に防止されたフィルムまたは画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜が複合膜である場合の層構成の例示する断面模式図であり、(a)は4層構成、(b)は5層構成、(c)は3層構成の例を示す。
【符号の説明】
1 低屈折率層
2 高屈折率層
3 ハードコート層
4 透明支持体
5 中屈折率層
6 防眩性ハードコート層
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止膜ならびにそれを用いた反射防止フィルムおよび画像表示装置(特に液晶表示装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は一般に、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するように光学製品などの表面に設置され、特に良好な視認性を求められる陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、その表示面の最表面に配置される。
【0003】
このような反射防止膜は、通常、高屈折率層の上に適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低屈折率層素材としては反射防止性能の観点からできる限り屈折率の低い素材が望まれ、同時にディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性及び防汚性が要求される。また低い反射率性能を発現するために膜厚の均一性も重要であり、塗布型材料においては、塗布性、レベリング性も重要なファクターになる。
【0004】
厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性を高めることが重要である。材料の屈折率を下げる手段としては、▲1▼フッ素原子を導入する、▲2▼密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向である。
【0005】
低屈折率性を保ちながら耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効である。滑り性付与に対してはフッ素の導入、シリコーンの導入等の手法が有効であり、これらの手段は表面張力を下げるために他の目的であるレベリング性付与にも効果が期待できる。低屈折率層に含フッ素ポリマーを用いる場合にはそれ自体でも滑り性を有しているが、溶剤可溶化するために炭化水素系共重合成分を50%程度導入した側鎖の短いフッ素系材料単独では十分な滑り性が得られず、シリコーン化合物と組み合わせることが従来より行なわれてきた。
【0006】
低屈折率層素材に対して少量のシリコーン化合物を添加することにより、滑り性発現効果および耐擦傷性改良効果は顕著に現れる。また、滑り性に加えて撥水性、防汚性等の効果も発現する。しかし一方で、低屈折率層素材との相溶性(皮膜の透明性)、経時あるいは高温条件下でのブリードアウト、接触媒体へのシリコーン成分の転写、これらに伴う性能の劣化、製造ラインの汚染等さまざまな問題があった。特に反射防止膜においては、相溶性不足によるヘイズ発生は光学性能を悪化させるため大きな問題である。また塗布後の膜を巻き取った際に、膜の裏面にシリコーンが付着することがその後の加工工程に支障をきたすため大きな問題になっている。すなわち、シリコーン部位のみ効果的に表面に偏析させて、シリコーンに結合した残りの部位は低屈折率層皮膜中に効果的にアンカリングさせる技術が求められている。
【0007】
この問題に対して特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号公報にはシリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入した含フッ素オレフィン共重合体およびその反射防止膜用途への適用が記載されている。この手法により皮膜の均一性、耐久性は大幅に向上するが、残存開始剤又は開始剤種同志のラジカルカップリングによって生成した成分を完全に除去することが難しく、強制条件下での接触媒体へのシリコーン転写性は完全には押さえることができない。ポリマー中へのより均質な導入が必要と考えられる。
【0008】
シリコーン成分を含フッ素共重合体にグラフトさせる手法として、特開昭56−28219号にはエポキシ基を含有する含フッ素オレフィン共重合体とアミノ基含有ポリシロキサンとの高分子反応、WO98/29505号には、水酸基を含有するパーフルオロオレフィン共重合体とエポキシ基含有ポリシロキサンとの高分子反応について記載されているが、反射防止膜用途への適用に関しては記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、第1に、反射率が低く、耐擦傷性と防汚性に優れた反射防止膜を提供することであり、第2に大量生産に適した塗布型の反射防止膜を提供することであり、第3に耐久性、耐候性に優れた反射防止膜を提供することであり、第4に反射が防止されたフィルムまたは画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下に示す手段により達成されることが見出された。
(1) 下記一般式(Ia)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する一官能性単量体(A)と、該一官能性単量体(A)と共重合可能であって、下記一般式(IIa)で示される繰り返し単位を主鎖に含む重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)とを、各々少なくとも一種含有して共重合されたグラフト共重合体(GP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有することから成る皮膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成された低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
【化3】
一般式(Ia)において、R11、R12、R13、R14及びR15は、各々同じでも異なってもよく、脂肪族基又は芳香族基を表す。
【化4】
一般式(II)において、Rf 0は、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基、又は−ORf 1基を表す。ここで、Rf 1は炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表す。
(2) 上記(1)記載のグラフト共重合体(GP)が、共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に、架橋性反応性基を少なくとも1つ以上含有することを特徴とする上記(1)記載の反射防止膜。
(3) 前記低屈折率層が平均粒径5〜50nmのシリカ微粒子を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の反射防止膜。
(4) 上記(1)〜(3)の何れかに記載の反射防止膜を透明支持体上に配置したことを特微とする反射防止フィルム。
(5) 前記低屈折率層と透明支持体との間に、無機微粒子を含有する高屈折率層を有することを特徴とする上記(4)記載の反射防止フィルム。
【0011】
(6) 上記(1)、(2)もしくは(3)に記載の反射防止膜または(4)もしくは(5)項記載の反射防止フィルムを配置したことを特徴とする画像表示装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の反射防止膜に関して説明する。
【0013】
[反射防止膜の層構成]
本発明の反射防止膜の代表的な層構成を図1を参照しながら説明する。
図1は、好ましい反射防止膜の好ましい層構成を示す断面模式図である。図1の(a)に示す態様は、透明支持体4、ハードコート層3、高屈折率層2、そして低屈折率層1の順序の層構成を有する。(a)のように、高屈折率層2と低屈折率層1とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記式(i)、低屈折率層が下記式(ii)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0014】
【数1】
【0015】
式(i)中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そして、d1は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0016】
【数2】
【0017】
式(ii)中、nは正の奇数(一般に1)であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0018】
高屈折率層の屈折率n1は、一般に透明フィルムより少なくとも0.05高く、そして、低屈折率層の屈折率n2は、一般に高屈折率層の屈折率より少なくとも0.1低くかつ透明フィルムより少なくとも0.05低い。更に、高屈折率層の屈折率n1は、一般に1.57〜2.40の範囲にある。
【0019】
図1の(b)に示す態様は、透明支持体(4)、ハードコート層(3)、中屈折率層(5)、高屈折率層(2)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。(b)のように、中屈折率層(5)、高屈折率層(2)と低屈折率層(1)とを有する反射防止膜では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記式(iii)、高屈折率層が下記式(iv)、低屈折率層が下記式(v)をそれぞれ満足することが好ましい。
【0020】
【数3】
【0021】
式(iii)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。
【0022】
【数4】
【0023】
式(iv)中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。
【0024】
【数5】
【0025】
式(v)中、kは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0026】
中屈折率層の屈折率n3は、一般に1.5〜1.7の範囲にあり、高屈折率層の屈折率n4は、一般に1.7〜2.2の範囲にある。
【0027】
図1の(c)に示す態様は、透明支持体(4)、防眩性ハードコート層(6)、そして低屈折率層(1)の順序の層構成を有する。このような反射防止膜は、例えば、特開2001−281410号公報に記載されているように、低屈折率層が、下記式(vi)を満足することが好ましい。
【0028】
【数6】
【0029】
式(vi)中、mは正の奇数(一般に1)であり、n6は低屈折率層の屈折率であり、d6は低屈折率層の層厚(nm)である。
【0030】
また、式(i)〜(vi)中のλは光線の波長であり、可視領域の反射防止層として用いる場合のλは380〜680nmの範囲の値であり、また、可視光線以外にも可視領域近傍の紫外線、赤外線に対しても有効である。ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。例えば中屈折率層は高屈折率層に添加する高屈折率無機微粒子の含率を変えるなどの方法で作製される。
以上の層構成を有する本発明の反射防止膜において、少なくとも、本発明に従い改良された低屈折率層を用いる。
【0031】
[低屈折率層]
低屈折率層は図1の(a)、(b)及び(c)に示すごとく高屈折率層の上層に配置される。通常、低屈折率層の上側が反射防止膜の表面である。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.20〜1.49であり、1.20〜1.45であることがより好ましく、1.20〜1.43であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、10〜400nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0032】
本発明の低屈折率層は、グラフト共重合体(GP)を、好ましくは、硬化剤とともに硬化されたマトリックス層から成る。
【0033】
本発明に用いるグラフト共重合体(GP)(本発明のグラフト共重合体(GP)ともいう)について説明する。
本発明のグラフト共重合体(GP)は、シロキサン構造を少なくとも1つ含有する置換基を有する一官能性単量体(A)と、該一官能性単量体(A)と共重合可能であって、下記一般式(IIa)で示される繰り返し単位を主鎖に含む重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)との共重合体から成る。
この一官能性マクロモノマー(MM)は、一官能性単量体(A)と共重合可能な重合性基を、重合体主鎖の片末端のみに結合し、且、該主鎖は前記一般式(IIa)で表されるパーフルオロエチレン構造を主成分とすることが好ましい。
本発明のグラフト共重合体(GP)を主成分として含有する硬化膜は、グラフト部であるフッ素成分含有のマクロモノマー成分から成る側鎖が膜の上層表面に効果的に配向し、且つ、側鎖のグラフト重合部が主鎖もパーフルオロ置換された重合成分を主成分として含有することから、表面層の廃水・廃油効果が優れた効果を発現すると推定される。
更には、本発明のグラフト共重合体(GP)の共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を少なくとも一種以上含有することが好ましい。
含有される架橋性反応性基は、本発明の皮膜形成用組成物に含有される硬化剤中の架橋性反応性基と化学結合する反応性基であることがより好ましい。
この様な態様とすることで、塗膜形成後の硬化が速やかに進行し、且つ、膜の強度が一層向上する。
【0034】
一般式(Ia)で示されるシロキサン構造を含有する一官能性単量体(A)について説明する。
この様な一官能性単量体(A)としては、下記一般式(I)で示される単量体が好ましい。
【化5】
式(I)中、a1およびa2は、同じでも異なっていてもよく、各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−Q1または−CH2−COO−Q1〔ここでQ1は水素原子、または置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等を表す〕を表す。
【0035】
U1は−(CH2)dCOO−、−(CH2)dOCO−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−CON(K1)、−SO2N(K1)−又はフェニレン基を表す(ここで、K1は水素原子または炭素数1〜22の脂肪族基を示し、dは0又は1〜4の整数を示す)。
【0036】
K1は、好ましくは、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)である。
【0037】
W1は、式(I)における−U1−と−Lとを連結する基を表す。W1は、好ましくは、総原子数1〜12の連結基を表す(ここでいう総原子数は、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子又は置換基の原子を除く)。
【0038】
W1における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。
【0039】
【化6】
【0040】
2価の脂環式基(脂環式構造の炭化水素環としては、例えばシクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環、等)、2価のアリール環基(アリール環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、等)で示される基等の原子団の任意の組合せで構成されるものである。
このような環構造の場合の総原子数は、2価の残基において1つの結合位置からもう一方の結合位置までの最短を結ぶ環構成の原子数を意味する(例えば、1,3−シクロヘキシレンの場合、総原子数は、3であり、1,2−シクロヘキシレンの場合、総原子数は、2である。)
【0041】
上記において、r1、r2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、r3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、r4、r5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には上記r3と同一の内容を表す)を表す。
Lは、一般式(Ia)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。
【0042】
【化7】
【0043】
式(Ia)中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同じでも異なってもよく、各々脂肪族基又は芳香族基を表す。
一般式(Ia)において、R11〜R15は好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基〔例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化アルキル基{例えば−(CH2)hCiF2i+1基(但しhは1〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH2)h−(CF2)j−R36基(但しjは0又は1〜12の整数、R36基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF2H、−CFH2、−CF3を表す)、−CH(CF3)2、−CF2Cl、−CFCl2、−CFClH、−CF(CF3)OCiF2i+1、−OCiF2i+1、−C(CF3)2OCiF2i+1等}等〕、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、パーフルオロベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、パーフロロヘキシル基、テトラフロオロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ジフロロフェニル基、パーフルオロフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0044】
以下に、シロキサン構造を含有する繰り返し単位の具体例を示す。但しこれらに限定されるものではない。以下の各例で、eは、水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。
【0045】
【化8】
【0046】
一官能性マクロモノマー(MM)について説明する。
一官能性マクロモノマー(MM)として具体的には、下記一般式(II)で示される化合物が好ましいものとして挙げられる。
【0047】
【化9】
【0048】
式(II)中、b1、b2及びU2は各々式(I)中のa1、a2及びU1と同一の内容を表わす。W2は−U2−と重合性主鎖を連結する基を表わす。W2は、一般式(I)中のW1と同一の内容のもの、及び下記に示す連結基等の原子団から選ばれる、単独の連結基もしくは任意の組合せで構成された連結基を表わす。
【0049】
【化10】
【0050】
一般式(II)におけるW2は、総原子数6以上(但し、上記各例において、上記r1〜r5で示される水素原子又は置換基の原子を除く)の「連結基」であることが好ましい。これにより、一般式(II)で示されるマクロモノマー(MM)の単量体(A)との共重合反応性が良好となる。
以下に一般式(II)における下記一般式(II′)で示される部分の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
一般式(II)における繰り返し単位におけるRf 0は、一般式(IIa)と同一の内容である。
マクロモノマー(MM)の繰り返し単位中のRf 0は、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフロオロアルキル基、又は−ORf 1基を表わす。
Rf 0がパーフロオロアルキル基の場合、それに相当する単量体の重合反応性の観点から、パーフロオロメチル基、パーフロオロエチル基、パーフロオロプロピル基、パーフロオロブチル基がより好ましい。
【0054】
Rf 1は、炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表わし、炭素数1〜12の含フッ素脂肪族基が好ましい。
例えば、炭素数1〜8のパーフロオロアルキル基、−CH2F、−CHF2、−CH2CF3、−(CH2)2C2F5、−CH2CF2CF2CFH2、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフロオロシクロヘキシル基、パーフロオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、エーテル結合(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH2C4F8H、CH2CH2OCH2CH2C8F17、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H、−CF2CH2OCH2CF3、−(CF2)2(CH2)2OCH(CF3)3、等が例示される。
【0055】
本発明のマクロモノマー(MM)は、前記した一般式(IIa)で示される繰り返し単位(重合成分)の他に、これらの重合成分に相当する単量体と共重合可能な他の重合性単量体を含有してもよい。
例えば下記一般式(IIb)で示される繰り返し単位が挙げられる。
【0056】
【化13】
【0057】
式(IIb)中、d1、d2及びd3は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を表わす。
好ましくはCF2=CF−、CF2=CH−、CFH=CF−、CH2=CF−、CH2=CH−、CH(CH3)=CH−、CH2=C(CH3)−等が挙げられる。
U3は、式(I)中のU1と同一の内容又は、C(d3)とRとの直接結合を表わす。U3としては、−O−、フェニレン基、直接結合等が好ましい。
Rは、炭素数1〜22の置換されてもよい、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族基、置換されてもよい炭素数6〜12の芳香族基を表わす。
具体的には、前記一般式(Ia)のR11〜R15の脂肪族基、芳香族基で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
Rが脂肪族基の場合に、他の置換基の具体例として、−OR′基、−OCOR′基、−COOR′基も好ましい。ここでR′はフッ素原子含有の炭素数1〜12の脂肪族基を表わす。具体的には、前記一般式(IIa)中のRf 1のフッ素含有脂肪族基と同様のものが挙げられる。
一般式(IIb)で表わされる繰り返し単位は、本発明のグラフト共重合体(GP)の効果を増大乃至低下させない範囲でその種類、配合割合が決定されるが、通常、マクロモノマー(MM)に50質量%以下、好ましくは、30質量%以下で用いられる。
以下に、一般式(II)における繰り返し単位の重合成分(:一般式(IIa)、又は一般式(IIa)と他の含有してもよい成分)の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
本発明のマクロモノマー(MM)は、従来公知の合成方法によって製造することができる。例えば、(i)アニオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させて、マクロマーにする、イオン重合法による方法、(ii)分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合のオリゴマーと種々の試薬を反応させて、マクロマーにするラジカル重合法による方法等が挙げられる。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl.Polym.Sci.Eng., 7, 551(1987)、P.F.Rempp & E.Franta, Adv.Polym.Sci., 58, 1(1984)、V.Percec, Appl.Polym.Sci., 285, 95(1984)、R.Asami & M.Takari, Makvamol.Chem.Suppln.12, 163(1985)、P.Rempp.et al, Makvamol.Chem.Suppln.8, 3(1984)、川上雄資、化学工業、38, 56(1987)、山下雄也、高分子、31, 988(1982)、小林四郎、高分子、30,625(1981)、東村敏延、日本接着協会誌、18, 536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35, 262(1986)、東貫四郎、津田隆、機能材料、1987, No.10, 5等の総説及びそれに引例の文献・特許等に記載の方法に従って合成することができる。
【0062】
上記した分子中に特定の反応性基を含有した重合開始剤としては、例えば、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2′−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノール)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド〕、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミド}、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼビン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2′−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕、2,2′−アゾビス〔N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕等のアゾビス系化合物が挙げられる。
【0063】
又、分子中に特定の反応性基を含有した連鎖移動剤として、例えば該反応性基あるいは該反応性基に誘導しうる置換基を含有するメルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール等)、あるいは上記反応性基又は置換基を含有するヨード化アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)が挙げられる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
他の方法としては、特定の官能基(例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等)を含有するジチオカルバメート基を含有する化合物および/またはザンテート基を含有する化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行って合成することもできる。例えば、上記の大津等の文献、特開昭64−11号公報、特開昭64−26619号公報、東信行等 ”Polymer Preprints, Japan” 36(6), 1511(1987)、M.Niwa, N.Higashi et al,”J.Macromol.Sci.Chem.”, A24(5), 567(1987)等に記載の各々の合成方法に従って合成することができる。
【0064】
これらの連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々一般式(IIa)の繰り返し単位に相当する単量体100重量部に対して0.5〜20重量部を用いることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
一官能性マクロモノマー(MM)は、この様にして製造される重合体主鎖の片末端に選択的に結合した特定の反応性基を利用して、高分子反応を行うことによって重合性二重結合基を導入する方法等により容易に製造することができる。
【0065】
本発明のグラフト共重合体(GP)は、共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を結合していることが好ましい。架橋性反応性基とは、本発明のグラフト共重合体(GP)同士または硬化剤との架橋反応に関与し得る反応性基を意味する。
架橋性反応性基としては例えば、活性水素原子を有する基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロキシル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でも良い)等が挙げられる。
【0066】
上記の架橋性反応性基の中で、好ましくは水酸基、エポキシ基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基または加水分解性シリル基等が挙げられる。
これら架橋性反応性基を本発明のグラフト共重合体(GP)の側鎖に含有する場合は、これらの反応性基は、単量体段階から導入されてもよいし、高分子反応により導入してもよい。高分子反応は、従来公知の化学結合しうる官能基同士との組合せを適宜して選択して行なうことができる。例えば岩倉義男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社刊(1977年)等に記載されている方法が挙げられる。
これらの架橋性反応性基を含有の共重合成分として、例えば下記一般式(IV)の繰り返し成分が挙げられる。
【0067】
【化16】
【0068】
式(IV)中、U4、L4、e1、e2及びe3は、各々式(I)中のU1、L1、a1、a2及びa3と同一の内容を表わす。
Yは、少なくとも1つの架橋性反応性基を含有する炭素数1〜12の炭化水素基を表わす。
これらの架橋性反応性基を含有の共重合成分は、グラフト共重合体(GP)全成分の1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
この範囲において、本発明の反射防止膜を形成する組成物を塗布し硬化して得られた膜は、ゲル状物の生じない均一な皮膜であり、且つ、充分な膜強度が保持される。
【0069】
これら架橋性反応性基を含有の共重合成分として、例えば特開平11−106704号公報明細書中の段落番号〔0032〕記載のシリル化合物に相当の重合体成分、あるいは以下の化合物例が挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
又、前記の架橋性反応性基は、共重合体の主鎖の片末端に結合されていることが好ましい。
具体的には、前記の一般式(IV)の[−L4−Y]構成部分が共重合体の主鎖の片末端に結合したものが挙げられる。
【0073】
本発明のグラフト共重合体(GP)は、具体的には、公知の方法である、単量体(A)、上記したマクロモノマー(MM)、更には架橋性反応性基もしくは架橋性反応性基を導入しうる官能性基を含有した単量体(前記の成分(C)相当)を少なくとも共存させて、重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法が簡便であり、好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、全単量体と全マクロモノマー(MM)の合計量100質量部に対して0.5〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明のグラフト共重合体(GP)として好ましくは、前記したように、その共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に架橋性反応性基を結合して成るものが挙げられる。
本発明のグラフト共重合体(GP)は、具体的には、(i)特定の極性基(例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、エポキシ基、酸ハライド基等)を含有する連鎖移動剤の混合物を重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法あるいは、(ii)連鎖移動剤及び重合開始剤のいずれにも、該極性基を含有した化合物を用いる方法、更には、(iii)前記2つの方法において、連鎖移動剤あるいは重合開始剤を用いて重合反応後、更に高分子反応で、これらの官能基と反応させることで架橋性反応性基を導入する方法等を用いて製造することができる。具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., 7, 551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」30, 232(1985)、上田明、永井進「科学と工業」60, 57(1986)等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法によって製造することができる。
本発明のグラフト共重合体(GP)の重量平均分子量は、2×104〜5×105が好ましい。更には4×104〜2×105が好ましい。
【0074】
本発明の皮膜形成用組成物には、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種が併用される。これらは、前記本発明のグラフト共重合体(GP)中の架橋性反応性基の硬化反応に応じて、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
例えば、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)高分子学会編「高分子データハンドブック 基礎編」培風舘(1986年)等に記載されている化合物を用いることができる。
例えば、有機シラン系化合物、ポリイソシアナート系化合物、ポリオール系化合物、ポリアミン系化合物、酸無水化合物類、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば堀内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)、等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物類が挙げられる。
【0075】
例えば、本発明のグラフト共重合体(GP)が加水分解性シリル基を架橋性反応性基として含有する場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸、塩基触媒または金属キレート化合物を硬化促進剤として用いることができる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン等の無機・有機の化合物が挙げられる。
【0076】
金属キレート化合物としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物等が挙げられる。例えば特開平11−106704号明細書中の段落番号「0044」〜[0046]中に記載の化合物等が挙げられる。
好ましくは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが挙げられる。
【0077】
これら硬化促進剤の使用量は化合物の種類、架橋性反応性基の違いによってまちまちであるが、一般的には皮膜形成用組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
【0078】
また、皮膜形成用組成物の保存安定性の観点から、光の作用によって酸又は塩基等の硬化促進剤を発生する化合物を使用しても良い。これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3 −(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 −、SbF6 −、PF6 −、BF4 −等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。光の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
【0079】
本発明では特に光の作用により、上記記載の酸を発生する化合物を用いることが好ましい。これらの光の作用により、酸あるいは塩基を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。本発明の光の作用によって硬化反応を促進する化合物の添加量としては、皮膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0080】
さらに硬化を促進する他の硬化促進剤として、脱水剤を使用しても良い。脱水剤としては、例えば、カルボン酸オルトエステル(オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル等)、酸無水物(無水酢酸等)等を挙げることができる。
【0081】
また、硬化剤として有機シラン化合物を用いることが好ましい。
例えば、アルコキシシラン化合物、アシルオキシシラン化合物等であり、化合物の素材安定性から、アルコキシシラン化合物類が好ましい。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
更に好ましくは、一般式(R11)Si(OR21)3、一般式(R11)(R12)Si(OR21)2で示されるオルガノシランにおいて、R11及びR12のうちの少なくともいずれかの置換基がフッ素原子を含有する化合物が挙げられる。
ここで、R11は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばCF3CH2−、(CF)2CH−、CF2=CF−、CF3CH2CH2CH2−、C2F5CH2CH2CH2−、C3F7CH2CH2CH2−、C2F5CH2CH2−、CF3OCH2CH2CH2−、C2F5OCH2CH2CH2−、C3F7OCH2CH2CH2−、(CF3)2CHOCH2CH2CH2−、C4F9CH2OCH2CH2CH2−、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2−、H(CF2)4CH2CH2CH2−等が挙げられる。
【0083】
オルガノシラン中、R21は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などが挙げられる。又、(R12)は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等のアルキル基、そのほかγ−クロロプロピル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等の有機基、又はR11と同一の内容のフッ素原子含有の有機基等が挙げられる。
【0084】
硬化剤としての上記シラン化合物は、グラフト共重合体(GP)100質量部当たり、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体100質量部当たり、5.0〜100質量部程度の添加量とすることが好ましい。
【0085】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基が水酸基、アミノ基、メルカプト基等の活性水素を有する基である場合に用いる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。
【0086】
ポリイソシアネート系としては、m−キシリレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物、およびこれらイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0087】
アミノプラストとしては、メラミン皮膜、グアナミン皮膜、尿素皮膜などが採用される。中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミン(例えばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン等)、又はこれらの縮合物などが挙げられる。
【0088】
多塩基酸またはその無水物としては、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。
【0089】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基がエポキシ基、オキセタニル基の場合は、活性水素を有する反応性基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基)あるいは環状酸無水物含有基を有する硬化剤との化学反応により、皮膜形成用組成物を硬化させることができる。
この場合に、前記したと同様の酸、塩基、光及び/又は熱により酸あるいは塩基を発生する化合物を硬化促進剤として用いることができる。
他の好ましい態様として、エポキシ基あるいはオキセタニル基と反応可能な上記の活性水素を有する反応性基又は環状酸無水物含有基を分子中に2ケ以上含有する多官能化合物からなる硬化剤が挙げられる。
【0090】
また、硬化剤としてカチオン重合可能な基(カチオン重合性基:活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる反応性基)の場合は、カチオン重合性基の代表例としては、エポキシ基、オキセタン基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基などを有する化合物を挙げることができる。本発明ではこれらカチオン重合性基含有化合物のうちの1種を用いてもまたは2種以上を用いてもよい。
【0091】
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性有機化合物として、エポキシ基、ビニルオキシ基含有の化合物が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基を各々一個以上有する化合物、がより好ましく用いられる。特に、カチオン重合性有機化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有し且つ該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量がエポキシ化合物の全質量に基づいて好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物(エポキシ化合物の混合物)を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも樹脂組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
【0092】
上記した脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
【0093】
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越シリコーン社製のK−62−722や東芝シリコーン社製のUV9300等のエポキシシリコーン、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.28, 497(1990)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
【0094】
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。
具体例として、例えば特開平11−242101号明細書中の段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0095】
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。具体的には、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物、J.V.CRIVELLO et al、J.M.S.−PUREAPPL. CHEM.、A30、pp.173〜187(1993)に記載のシリコン含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
【0096】
ビシクロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物等を挙げることができる。
【0097】
スピロオルソカーボネート化合物としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等の化合物を挙げることができる。
【0098】
ビニルオキシ化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.32, 2895(1994)に記戦されているプロペニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A; Polymer Chemistry, Vol.33, 2493(1995)に記載されているアルコキシアレン化合物、Journa1 of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,Vol.34, 1015(1996)に記載されているビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 34, 2051(1996)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。具体例として、特開2002−29162号公報明細書中の段落番号[0021]〜[0029]記載の化合物等が挙げられる。
【0099】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0100】
これらの硬化剤を添加する場合、本発明のグラフト共重合体(GP)100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体(GP)100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。また、これらのカチオン重合性反応性基からなる硬化系は、酸もしくは光酸発生化合物を硬化促進剤として用いることが好ましい。具体的には、加水分解性シリル基で記載と同様の化合物が挙げられる。
【0101】
一方、本発明のグラフト共重合体(GP)の架橋性反応性基が、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基の場合には、硬化剤としてラジカル重合性化合物、そして硬化促進剤として光及び/又は熱でラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。ラジカル重合性化合物は、重合性基を2個〜10個含有する多官能性化合物が好ましく、更には2〜6個の多官能化合物が好ましい。
【0102】
ラジカル重合性化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0103】
脂肪族多価アルコール化合物として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール、シクロヘキシルジオール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられ、それらと不飽和カルボン酸(クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とのモノ置換、あるいはポリ置換の重合性化合物が挙げられる。
その他のエステル系硬化剤の例として、例えばビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0104】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマー硬化剤の具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0105】
その他の好ましいアミド系モノマー硬化剤の例としては、特公昭54−21726記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
【0106】
また、硬化剤として、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有する水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有する化合物が挙げられる。
【0107】
さらに、硬化剤として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0108】
その他の硬化剤の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0109】
更には、硬化剤としてフッ素原子含有の単官能もしくは多官能の化合物も好ましく、例えば特開2000−275403号明細書中の段落番号[0059]〜[0066]記載の化合物等が挙げられる。
ラジカル重合乃至架橋反応の開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、又は光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
【0110】
熱の作用による開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ、ジアゾ化合物、オニウム化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等、オニウム化合物として前記加水分解性シリル基で記載したと同様の化合物等を挙げることができる。
【0111】
光の作用による開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
【0112】
熱または光の作用によってラジカル重合乃至架橋反応を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合乃至架橋が開始する量であれば良いが、一般的には皮膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0113】
これらの硬化剤を添加する場合も他の硬化剤と同様に、上記グラフト共重合体(GP)100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、グラフト共重合体(GP)100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。
【0114】
本発明の皮膜形成用組成物は、通常本発明のグラフト共重合体(GP)等を適当な溶剤に溶解して作製される。この際、本発明のグラフト共重合体(GP)の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
【0115】
上記溶剤としては、本発明のグラフト共重合体(GP)を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
【0116】
本発明の皮膜形成用組成物にはさらに膜強度または塗布性の改良のためにコロイダル無機粒子を添加しても良い。このようなコロイダル無機粒子としては、粒子径は5〜50nmのものが好ましく用いられるが、更に好ましくは、5〜30nmのものであり、特に好ましくは、粒子径8〜20nmのものである。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム等が挙げられる。好ましくはコロイダルシリカである。このようなコロイダルシリカは、例えばI.M.Thomas著、Appl. Opt. 25, 1481(1986)等に記載の手法に順じて、テトラアルコキシシランを原料としてアンモニア水等の触媒を用いて加水分解・重縮合することにより調整することができる。また市販のものでは、日産化学工業(株)製スノーテックスIPA−ST、同MEK−ST、日本エアロジル(株)製AEROSIL300、同AEROSIL130、同AEROSIL50(いずれも商品名)等を利用することもできる。
【0117】
コロイダル無機粒子の添加量は、一般に皮膜形成用組成物塗膜硬化後の全固形分の5〜95質量%の範囲であり、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは、20〜60質量%の場合である。
【0118】
その他、低屈折率層、皮膜形成用組成物には各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
【0119】
[高・中屈折率層]
本発明の反射防止膜が、多層膜の態様をとる場合、一般に、低屈折率層は、低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、前記の高屈折率層、中屈折率層)と共に用いられる。
【0120】
上記低屈折率層より高い屈折率を有する層を形成するための有機材料としては、熱可塑性皮膜(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素環、脂環式環状基を有するポリマー、またはフッ素以外のハロゲン基を有するポリマー);皮膜組成物(例、メラミン皮膜、フェノール皮膜、またはエポキシ皮膜などを硬化剤とする皮膜組成物);ウレタン形成性組成物(例、脂環式または芳香族イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ);およびラジカル重合性組成物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合を導入することにより、ラジカル硬化を可能にした変性皮膜またはプレポリマーを含む組成物)などを挙げることができる。高い皮膜形成性を有する材料が好ましい。上記より高い屈折率を有する層は、有機材料中に分散した無機系微粒子も使用することができる。上記に使用される有機材料としては、一般に無機系微粒子が高屈折率を有するため有機材料単独で用いられる場合よりも低屈折率のものも用いることができる。そのような材料として、上記に述べた有機材料の他、アクリル系を含むビニル系共重合体、ポリエステル、アルキド皮膜、繊維素系重合体、ウレタン皮膜およびこれらを硬化せしめる各種の硬化剤、硬化性官能基を有する組成物など、透明性があり無機系微粒子を安定に分散せしめる各種の有機材料を挙げることができる。
【0121】
さらに有機置換されたケイ素系化合物をこれに含めることができる。これらのケイ素系化合物は下記一般式で表される化合物、あるいはその加水分解生成物である。
【0122】
:RamRbnSiZ(4−m−n)
【0123】
(ここでRa及びRbは、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリル基、またはハロゲン、エポキシ、アミノ、メルカプト、メタクリロイルまたはシアノで置換された炭化水素基を表し、Zは、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン原子及びアシルオキシ基から選ばれた加水分解可能な基を表し、m+nが1または2である条件下で、m及びnはそれぞれ0、1または2である。)
【0124】
これらに分散される無機系微粒子の好ましい無機化合物としては、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンなどの金属元素の酸化物を挙げることができる。これらの化合物は、微粒子状で、即ち粉末または水および/またはその他の溶媒中へのコロイド状分散体として、市販されている。これらをさらに上記の有機材料または有機ケイ素化合物中に混合分散して使用する。
【0125】
上記より高い屈折率を有する層を形成する材料として、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機系材料(例、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合物)、無機ポリマー)を挙げることができる。これらの好適な例としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物が挙げられ、例えば、特開平11−106704号公報の段落番号〔0044〕〜〔0046〕に記載の化合物等が挙げられる。さらには炭素ジルコニルアンモニウムあるいはジルコニウムを主成分とする無機ポリマーなどを挙げることができる。上記に述べた他に、屈折率が比較的低いが上記の化合物と併用できるものとしてとくに各種のアルキルシリケート類もしくはその加水分解物、微粒子状シリカとくにコロイド状に分散したシリカゲルも使用することができる。
高・中屈折率層には、前記屈折率の範囲内において、必要に応じて本発明のグラフト共重合体(GP)を併用することもできる。
【0126】
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。屈折率は、アッペ屈折率計を用いる測定や、層表面からの光の反射率からの見積もりにより求めることができる。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.5μmであることが最も好ましい。高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0127】
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
高屈折率層に無機微粒子とポリマーを用い、中屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率を低めに調節して形成することが特に好ましい。中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
【0128】
[その他の層]
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してよい。アクリル系ポリマーは、多官能アクリレートモノマー(例、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート)の重合反応により合成することが好ましい。ウレタン系ポリマーの例には、メラミンポリウレタンが含まれる。シリコン系ポリマーとしては、シラン化合物(例、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン)と反応性基(例、エポキシ、メタクリル)を有するシランカップリング剤との共加水分解物が好ましく用いられる。二種類以上のポリマーを組み合わせて用いてもよい。シリカ系化合物としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。ハードコート層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。透明支持体の上には、ハードコート層に加えて、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
【0129】
[透明支持体]
反射防止膜をCRT画像表示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止膜は透明支持体を有することが好ましい。透明支持体としては、ガラス板よりもプラスチックフィルムの方が好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。透明支持体に、表面処埋を実施してもよい。
【0130】
表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
【0131】
[反射防止膜の形成]
反射防止膜が、単層又は前記のように多層の構成をとる場合は、各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜(下記のアンチグレア機能がない場合)のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0132】
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
【0133】
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用し、それにより膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば特開2000−281410号、同2000−95893号等)、低屈折率層表面に物理的に凹凸形状を転写(エンボス加工方法等)する方法(例えば特開平11−268800号)が挙げられる。
【0134】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ〈ELD〉や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反射防止膜は、高屈折率層が画像表示装置の画像表示面側になるように配置する。
反射防止膜が透明支持体を有する場合は、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。反射防止膜は、さらに、ケースカバー、光学用レンズ、眼鏡用レンズ、ウインドウシールド、ライトカバーやヘルメットシールドにも利用できる。
【0135】
【実施例】
以下に本発明を実施例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[マクロモノマー(MM)の合成例]
(マクロモノマー(MM)の合成例1:マクロモノマー(MM−1))
内容量100mlのステンレス製攪拌機付オートクレーブにテトラヒドロフラン40ml、下記構造の単量体(F−1)20g、3−メルカプトプロピオン酸1.5g、及び2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称:A.I.V.N.)1.0gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)30.0gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2(529kPa)であった。このまま4時間反応後、A.I.V.N. 0.3gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した液を窒素ガス圧を利用して添加した。
更に6時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し200mlの3つ口フラスコに投入した。
これに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.6g、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:D.C.C.)5.7g、4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン0.02g及び塩化メチレン10gの混合溶液を30分間で滴下した。t−ブチルハイドロキノン1.0gを加え、そのまま4時間攪拌した。析出した結晶を濾別して得た濾液を、メタノール800ml中に再沈した。沈降物をデカンテーションで捕集し、これをテトラヒドロフラン80mlに溶解し、メタノール500ml中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量44gで、質量平均分子量6×103のマクロモノマー(MM−1)を得た。
【0136】
【化19】
【0137】
(マクロモノマー(MM)の合成例2:マクロモノマー(MM−2))
内容量100mlのステンレス製攪拌機付オートクレーブにテトラヒドロフラン40ml、下記構造の単量体(F−2)27.5g、2,2′−アゾビス(2−シアノヘプタノール(略称:A.B.C.H.)2.5gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)22.5gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2(529kPa)であった。このまま4時間反応後、A.B.C.H. 1.5gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した液を窒素ガス圧を利用して添加した。
更に6時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し、200mlの3つ口フラスコに投入した。
これに、2−(メタクロイルオキシ)エチルイソシアナート4.0g、ジブチルスズジラウレート0.05g及びt−ブチルハイドロキノン0.1gを加えて、50℃で6時間攪拌した。放冷後、メタノール1リットル中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量40gで、質量平均分子量7.5×103のマクロモノマー(MM−2)を得た。
【0138】
【化20】
【0139】
(マクロモノマー(MM)の合成例3:マクロモノマー(MM−3))
400rpmで作動する攪拌器を備えた2リットル AISI 316 オートクレーブの側壁に石英の丸窓を挿入し、該石英の丸窓に合わせてHanau(商標登録)TQ−150 UVランプを配置した。このランプは高圧水銀灯であって、240〜600nmの光を発し、波長240〜330nmの光では13.2Wのエネルギーを有する。
この装置に、下記構造の単量体(F−3)45g、下記構造の光重合開始剤2.0g、及びテトラヒドロフラン100gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにオクタフルオロブテン55gをオートクレーブ中に導入して45℃まで昇温した。10時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し、テトラヒドロフランを濃縮した後、トルエンの30質量%溶液とした。
次にこの反応溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシルアミン0.1g及びt−ブチルハイドロキノン0.05gを加え、温度100℃にて、8時間攪拌した。冷却後この反応溶液をメタノール1.5リットル中に再沈し、沈降物を捕集して減圧乾燥した。得られたマクロモノマー(MM−3)の収量は82gで、Mwは5×103であった。
【0140】
【化21】
【0141】
[グラフト共重合体(GP)の合成]
(グラフト共重合体(GP)の合成例1:グラフト共重合体(GP−1))
下記構造の単量体(A1)27.5g、マクロモノマーMM−1を15g、グリシジルメタクリレート7.5gおよびトルエン100gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度85℃に加温した。2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称:A.I.B.N.)を0.6g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を0.3g加えて2時間反応し、また更にA.I.B.N.を0.2g加えて2時間反応した。冷却後、メタノール1リットル中にこの混合溶液を再沈し、粉末を濾集後、乾燥して、白色粉末41gを得た。得られたグラフト共重合体(GP−1)のMwは6×104であった。
【0142】
【化22】
【0143】
(グラフト共重合体(GP)の合成例2〜7:グラフト共重合体(GP−2)〜(GP−7)
グラフト共重合体(GP)の合成例1と同様にして、下記表−Aのグラフト共重合体(GP−2)〜(GP−7)を作成した。得られた各共重合体のMwは5×104〜7×104の範囲であった。尚、マクロモノマー(MM−4)〜(MM−9)は、前記マクロモノマー(MM)の合成法に準じて作製した。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
(グラフト共重合体(GP)の合成例8:グラフト共重合体(GP−8))
下記構造の単量体(A2)22.5g、マクロモノマーMM−2を17.5g、2−ヒドロキシメタクリレート5gおよびトルエン100gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度85℃に加温した。A.I.B.N.を0.6g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を0.3g加えて2時間反応し、また更にA.I.B.N.を0.2g加えて2時間反応した。室温まで冷却後、この反応液に2−(2−カルボキシエチルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート10.5g、t−ブチルハイドロキノン0.1g及びトルエン16gを加えて攪拌した。これにD.C.C. 8.5g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.05g及び塩化メチレン15gの混合溶液を20分間で滴下し、そのまま1時間攪拌した。温度を40℃に加温し、3時間攪拌した後、析出した結晶を濾別して得た濾液をメタノール1リットル中に再沈した。沈殿物を捕集し、これを塩化メチレン100mlに溶解し、メタノール1リットル中に再度再沈した。沈降物を捕集し、減圧乾燥して、収量33gで、Mw7×104のグラフト共重合体(GP−8)を得た。
【0147】
【化23】
【0148】
(グラフト共重合体(GP)の合成例9〜12:グラフト共重合体(GP−9)〜(GP−12)
グラフト共重合体(GP−1)の合成例及びグラフト共重合体(GP−8)の合成例(架橋基の反応性基を高分子反応で導入)に示したような合成方法で、下記表−Bのグラフト共重合体(GP−9)〜(GP−12)を合成した。
各グラフト共重合体のMwは、6×104〜8×104の範囲であった。
【0149】
【表3】
【0150】
実施例1及び比較例1〜2
<ハードコート層用塗布液の調製>
ペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)125gおよびウレタンアクリレートオリゴマー(UV−6300B(商品名)、日本合成化学工業(株)製)125gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX(商品名)、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を攪拌した後、1ミクロンメッシュのフィルターでろ過してハードコート層の塗布液を調製した。
【0151】
<中屈折率層用塗布液の調製>
下記内容の二酸化チタン分散物49.60gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)を18.08g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)を0.920g、光増感剤(カヤキュアーDETX(商品名)、日本化薬(株)製)を0.307gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノンを500g添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層の塗布液を調製した。
【0152】
(二酸化チタン分散物の調製)
コア/シェル構造の二酸化チタン微粒子(TTO−55B(商品名)、シェル材料;アルミナ粒子全体の9質量%、石原産業(株)製)30質量部、市販のアニオン性モノマー(PM−21(商品名)、日本化薬(株)製)4.5質量部、市販のカチオン性モノマー(DMAEA(商品名)、(株)興人)0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径53nmの二酸化チタン分散物を調製した。
【0153】
<高屈折率層用塗布液の調製>
上記二酸化チタン分散物110.0gに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)を6.29g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)を0.520g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.173gおよびメチルエチルケトンを230.0gおよびシクロヘキサノン460.0gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して高屈折率層の塗布液を調製した。
【0154】
<低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製>
本発明のグラフト共重合体(GP−1)5.4g、コロイダルシリカMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のメチルエチルケトン分散物;日産化学工業(株)製)2.2g(固形分量として)、エポキシ系硬化剤DEX314(ナガセ化成工業(株)製)1.1g(固形分量として)、パラトルエンスルホン酸0.35g及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して低屈折率層用塗布液(Ln−1)を調製した。
【0155】
[実施例1]
<反射防止膜(F−1)の作製>
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−DU、富士写真フイルム(株)製)上に、上記のハードコート層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。90℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、上記中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.70、膜厚70nm、TTB−55B、21体積%)を形成した。中屈折率層の上に、上記の高屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。60℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.95、膜厚75nm、TTB−55B、51体積%)を形成した。高屈折率層の上に、上記の低屈折率層用塗布液(Ln−1)をバーコーターを用いて硬化後の膜厚が85nmとなるように塗布した。塗布後に1分間風乾し、その後、120℃で10分間加熱し、その後室温まで放冷して低屈折率層を形成し、反射防止膜(F−1)を作製した。
【0156】
[比較例1]
実施例1において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(Ln−R1)を用いた他は、実施例1と同様に攪拌して、反射防止膜(FR−1)を作製した。
【0157】
<比較用低屈折率層用塗布液(Ln−R1)の調製>
上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製において、グラフト共重合体(GP−1)5.4gの代わりに、下記構造の共重合体を5.4gを用いた他は、上記塗布液(Ln−1)の調製方法と同様にして塗布液(Ln−R1)を調製した。
【0158】
【化24】
【0159】
[比較例2]
実施例1において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(Ln−R2)を用いた他は、実施例1と同様に攪拌して、反射防止膜(FR−2)を作製した。
【0160】
<低屈折率層用塗布液(Ln−R2)の調製>
低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製において、グラフト共重合体(GP−1)5.4gの代わりに、比較用ブロック共重合体(P−R)として、特開平11−189621号公報の実施例1に記載の方法に従って合成した、含フッ素成分の重合体成分のシロキサン成分の重合体成分から成るAB型ブロック共重合体5.4gを用いた他は、上記塗布液(Ln−1)の調製方法と同様にして比較用塗布液(Ln−R2)を調製した。
【0161】
<反射防止膜の評価>
こうして得られた第1〜4層を塗設した各膜(実施例1及び比較例1〜2)について、下記性能評価を実施し、その結果を表−Cに記載した。
【0162】
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面平均反射率を用いた。
【0163】
(2)鉛筆硬度評価
反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS K5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
【0164】
(3)耐傷性試験
膜表面をスチールウール#0000を用いて、200gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
全くつかない :○
細かい傷がつく :△
傷が著しい :×
【0165】
(4)密着性
基盤目−セロテープ(登録商標)剥離試験をJIS K5400に準拠して行った。10分割した桝目の内の剥がれずに残った数(x)を観察した。判定は次の基準に従った。
全く剥がれない :○
1〜5個程度剥がれる:△
5個以上剥がれる :×
【0166】
(5)防汚性
サンプル表面に指紋を付着させてから、それをベンコットン(旭化成(株)製)で拭き取った時の状態を観察して、以下の基準で評価した。
◎:簡単に拭き取れる。
○:しっかり擦れば拭き取れる。
△:一部が拭き取れずに残る。
×:殆んど拭き取れずに残る。
【0167】
(6)非接触触媒へのポリマー成分の転写性試験
80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF(商品名)、富士写真フイルム(株)製)と上記サンプルを貼り合わせ2kg/m2(196kPa)の荷重をかけて25℃で24時間放置した後、TACベース表面に転写したSiの量をESCAを用いて測定し、Si/Cの面積比を指標とした。なお転写試験前のベース表面の(Si/C)値は0であった。
【0168】
【表4】
【0169】
本発明の反射防止膜(F−1)の各特性は良好であった。即ち、膜の硬度、耐傷性、密着性は実用上充分な性能を示した。又、指紋等の油性汚れに対しても、極めて簡単に除去できた。重合体中のシロキサン成分の転写は検出されなかった。
一方、従来公知のシロキサン成分及びパーフルオロアルキル基含有成分を含むランダム共重合体を用いた比較例1の反射防止膜(FR−1)は、シロキサン成分の転写は検出されなかったが、膜の密着性が低く、且つ防汚性も不十分であった。
また、比較用ブロック共重合体(P−R)を硬膜した比較例2の反射防止膜(FR−2)は、塗布後の塗布面の面上にムラが観察された。又、膜の耐傷性が低く、防汚性も不十分であった。ポリシロキサン成分の転写が確認された。即ち、これらの不具合はブロックポリマー化されないポリシロキサン成分によるものと推定される。
以上のことから、本発明のグラフト共重合体(GP)を硬化して形成された反射防止膜のみが優れた性能を示すことがわかる。
【0170】
実施例2
<ハードコート層用塗布液Bの調製>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)250gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50質量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。なお、この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。さらにこの溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層の塗布液Bを調製した。
【0171】
<防眩性ハードコート層用塗布液Aの調製>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7041、JSR(株)製)199g、および粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7042、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46(質量比)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバファインケミカルズ(株)製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に、個数平均粒径1.99μm、粒径の標準偏差0.32μm(個数平均粒径の16%)の架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX―200HS(SX−200Hの風力分級品)、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46(質量比)混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散し、孔径10μm、3μm、1μmのポリプロピレン製フィルター(それぞれPPE−10、PPE−03、PPE−01、いずれも富士写真フイルム(株)製)にてろ過して得られた分散液29g(5.0μm以上の粗大粒子を含有する割合は0個/1×1010個)を添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液Aを調製した。
【0172】
<低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製>
本発明の上記グラフト共重合体(GP−6)6.5g、コロイダルシリカ MEK−ST 2.2g(固形分量として)、イソホロンジイソシアナート2.8g、テトラブトキシチタネート0.015g及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(Ln−2)を調製した。
【0173】
<反射防止膜(F−2)の作製及び評価>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(商品名:TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、上記のハードコート層用塗布液Bをバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmのハードコート層を形成した。その上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層を形成した。その上に、上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)をバーコーターを用いて塗布し、風乾(1分間)の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。
得られた反射防止膜(F−2)について、実施例1に記載の試験項目について評価した。その結果は実施例1と同等の性能を示し、良好であった。
【0174】
[実施例3〜8]
実施例1において用いた低屈折率層用塗布液(Ln−1)の代わりに、下記内容の各塗布液を用いた他は、実施例1と同様にして各反射防止膜を作成した。
【0175】
<各低屈折率層用塗布液の調製>
表−Dに記載の通り本発明のグラフト共重合体(GP)、硬化剤及び/又は硬化促進剤、並びにコロイダルシリカ MEK−ST 2.2g(固形分量として)及びメチルエチルケトン200gの混合物を攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、各低屈折率層用塗布液(Ln−3)〜(Ln−8)を調製した。
【0176】
【表5】
【0177】
得られた各膜について、実施例1と同様にして各性能を評価した。実施例3〜8の各膜は、いずれも実施例1と同等の性能を示し、良好であった。
【0178】
実施例9〜12
実施例1において用いた低屈折率層(Ln−1)において、グラフト共重合体(GP−1)5.4g、硬化剤DEX314 1.1g及びパラトルエンスルホン酸0.35gの代わりに、下記表−Eに記載の各グラフト共重合体(GP)、硬化剤及び硬化促進剤を用いた他は、実施例1と同様にして低屈折率層用塗布液(Ln−9)〜(Ln−12)を調製した。次いで、実施例1における反射防止膜の作製において、加熱の代わりに紫外線を照射した後、120℃で10分間加熱する操作を行ない、各反射防止膜(F−9)〜(F−12)を作製した。
【0179】
【表6】
【0180】
得られた各膜について、実施例1と同様にして各性能を評価した。実施例9〜14の各膜は、いずれも実施例1と同等の性能を示し良好であった。
【0181】
実施例13
実施例2において用いた低屈折率層用塗布液(Ln−2)の代わりに、下記内容の低屈折率層用塗布液(Ln−13)を用いた他は、実施例2と同等にして反射防止膜(F−13)を作製した。
【0182】
<低屈折率層用塗布液(Ln−13)の調製>
グラフト共重合体(GP−7)5.0g、コロイダルシリカ MEK−STを2.0g、メチルトリメトキシシラン2.5g、アセチルアセテートZr塩0.01g及びメチルエチルケトン150gの混合物を1時間攪拌した。その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(Ln−13)を調製した。
【0183】
得られた反射防止膜(F−13)を、実施例1と同様にして性能を評価した。その結果は、実施例2の膜と同等の性能を示した。
【0184】
実施例14
実施例1〜13で得られた各反射防止膜を用いて防眩性反射防止偏光板を作成した。
これらの各偏光板を用いて反射防止層を最表面に配置した液晶表示装置を作成した。各表示装置の何れも、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、色むらも発生せず、指紋付も良好であった。
【0185】
【発明の効果】
本発明によれば、反射率が低く、耐擦傷性と防汚性に優れた反射防止膜を得ることができる。更に、本発明の反射防止膜は、耐久性、耐候性に優れている。また、本発明の反射防止剤は塗布型であり、大量生産に適しており、また、被接触媒体に対するシリコン成分の転写が起こらない。
本発明の反射防止膜を設けることにより、反射が有効に防止されたフィルムまたは画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜が複合膜である場合の層構成の例示する断面模式図であり、(a)は4層構成、(b)は5層構成、(c)は3層構成の例を示す。
【符号の説明】
1 低屈折率層
2 高屈折率層
3 ハードコート層
4 透明支持体
5 中屈折率層
6 防眩性ハードコート層
Claims (4)
- 下記一般式(Ia)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する一官能性単量体(A)と、該一官能性単量体(A)と共重合可能であって、下記一般式(IIa)で示される繰り返し単位を主鎖に含む重量平均分子量2万以下の一官能性マクロモノマー(MM)とを、各々少なくとも一種含有して共重合されたグラフト共重合体(GP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有することから成る皮膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成された低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1記載のグラフト共重合体(GP)が、共重合体主鎖の末端及び/又は共重合体の側鎖に、架橋性反応性基を少なくとも1つ以上含有することを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
- 請求項1または2記載の反射防止膜を、透明支持体上に配置したことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1または2記載の反射防止膜を配置したことを特徴とする画像表示装置。
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