JP2004067575A - 糖尿病治療薬効果促進剤 - Google Patents

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伊藤 幹雄
Kanoko Hamaishi
濱石 華乃子
Koji Hayashi
林 浩司
Ryoji Kojima
小島 良二
Masashi Yukishimo
雪下 正志
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Abstract

【課題】糖尿病治療薬と併用することにより、糖尿病治療の効果を高め、糖尿病の諸症状を効果的に改善することができ、該糖尿病治療薬の投与量を低減して、その副作用を回避することが可能となる糖尿病治療薬効果促進剤を提供する。
【解決手段】この糖尿病治療薬効果促進剤は、糖尿病治療薬と併用した際に、その治療効果を高めるために用いられるものであり、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含む経口摂取用の組成物からなる。前記低分子化キトサンの平均分子量は、10,000〜30,000であることが好ましく、前記低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を0.01〜10質量%含むことが好ましい。また、前記糖尿病治療薬は、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、ビグアナイド剤、フェニルアラニン誘導体、スルフォニル尿素剤から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含む経口糖尿病治療薬効果促進剤に関する。より具体的には、糖尿病治療薬と併用して投与することにより、糖尿病治療の効果を高めることができ、糖尿病治療薬の投与量を低減することが可能となる糖尿病治療薬効果促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病はインスリンの分泌不全、もしくはその作用不足によって起こる高血糖を特徴とする代謝疾患であり、大別すると1型(インスリン依存型、一部はインスリン非依存型から始まる緩徐進行性)糖尿病と、2型(インスリン非依存型)糖尿病に分類される。更に、2型糖尿病は、肥満で高インスリン血症、インスリン抵抗性(インスリン作用障害)を特徴とするもの、非肥満でインスリン分泌障害を特徴とするもの、及び両障害を持つものに分類される。
【0003】
2型糖尿病は、成人期以降に発症することが多く、過栄養、運動不足、ストレス、肥満等の生活要因が加わって発症することから「生活習慣病」であると認識されている。
【0004】
糖尿病の治療法には、運動療法、食物療法、薬物療法があり、薬物療法には、糖尿病のタイプに応じて、糖尿病治療薬として、インスリン製剤や、経口血糖降下剤であるスルフォニル尿素剤、ビグアナイド剤、チアゾリジン誘導体、α−グルコシダーゼ阻害剤、フェニルアラニン誘導体等が用いられている。
【0005】
一方、キトサンは、カニ、エビ等の甲殻類の殻等から調製されるキチン(N−アセチルグルコサミンのポリマー)を脱アセチル化することによって得られるグルコサミンのポリマーであり、様々な生理効果を有していることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の糖尿病治療薬は、その使用に際しては充分な注意が必要とされ、投与量や投与するタイミング等を間違えると、低血糖症状、胃腸障害、肝障害、皮膚障害等の副作用が現われることがあり、特に、長期間投与する場合に問題となっていた。
【0007】
したがって、本発明の目的は、糖尿病治療薬と併用することにより、糖尿病治療の効果を高め、糖尿病の諸症状を効果的に改善することができ、該糖尿病治療薬の投与量を低減して、その副作用を回避することが可能となる糖尿病治療薬効果促進剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、糖尿病治療薬と併用した際に、その効果を高めるための糖尿病治療薬効果促進剤であって、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含む経口摂取用の組成物からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤においては、前記低分子化キトサンの平均分子量は、10,000〜30,000であることが好ましい。
【0010】
また、前記低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を0.01〜10質量%含むことが好ましい。
【0011】
更に、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤と併用される糖尿病治療薬は、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、ビグアナイド剤、フェニルアラニン誘導体、スルフォニル尿素剤から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含み、従来から用いられている糖尿病治療薬と併用して投与することにより、糖尿病治療の効果を高め、高血糖、高インスリン血症、高トリグリセリド血症等の糖尿病に伴う諸症状を効果的に改善することができる。その結果、糖尿病治療薬の投与量を減らすことが可能となるので、懸念される副作用を回避することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤の有効成分である低分子化キトサンとは、キチンの脱アセチル化物であるキトサンの加水分解物であり、好ましくは平均分子量10,000〜30,000のものが用いられ、より好ましくは平均分子量15,000〜25,000のものが用いられ、特に好ましくは平均分子量20,000のものが用いられる。例えば、平均分子量20,000の低分子化キトサンは、分子量1,000〜100,000の範囲に分布するキトサン分解物の混合物である。
【0014】
上記低分子化キトサンは、遊離体であってもよく塩を形成していてもよい。低分子化キトサンの塩類としては、薬学的に許容されるものであればよく、具体的には、塩酸塩、乳酸塩、酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩等が例示できる。
【0015】
低分子化キトサンは、キトサンを酸又は酵素で加水分解することにより調製することができ、例えば、キトサンを塩酸、酢酸、蟻酸等の酸と共に加熱した後、酸を除去するか又は中和脱塩し、結晶化等により粉末化する方法、あるいはキトサンを希酸に溶解後、キトサナーゼ、D−グルコサミニダーゼ等のキトサン分解酵素を作用させる方法等によって行うことができる。このようにして得られたキトサン加水分解物はそのまま用いてもよく、カラムクロマトグラフィーや溶剤分画等の方法によって精製してから用いてもよい。なお、加水分解条件は、上記の平均分子量範囲のキトサン分解物(低分子化キトサン)が得られるように適宜設定すればよい。
【0016】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、上記の有効成分の他に、薬学的に許容される添加剤を適宜含むことができる。このような添加剤としては、賦形剤、ミネラル類、ビタミン類、糖類、香料、油脂、アミノ酸等が挙げられる。
【0017】
一方、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤と併用される糖尿病治療薬としては、既知の糖尿病治療薬を用いることができる。具体的には、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、ビグアナイド剤、フェニルアラニン誘導体、スルフォニル尿素剤から選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0018】
インスリン製剤は、基本的にはインスリン分泌不全の1型糖尿病にホルモン補充療法として使用されている注射剤であるが、経口血糖降下剤で血糖をコントロールできない2型糖尿病にも頻繁に使用されており、具体的には、速効型、混合型、中間型、持続型インスリン製剤等が例示できる。
【0019】
α−グルコシダーゼ阻害剤は、食事による糖類の消化、吸収を阻害することで一時的に食後の高血糖を抑制する経口薬であり、具体的にはアカルボース、ボグリボース、ミグリトール等が例示できる。
【0020】
チアゾリジン誘導体は、細胞レベルでインスリン感受性を高めてインスリンの作用発現を正常化する経口薬であり、具体的にはピオグリタゾン、ロシグリタゾン等が例示できる。
【0021】
ビグアナイド剤は、肝臓からのブドウ糖の放出を妨げ、また、筋肉等へのブドウ糖の取り込みを促進させるなどして血糖を低下させる経口薬であり、最近そのインスリン抵抗性改善作用が注目され、インスリン抵抗性改善薬と共に肥満合併糖尿病患者に有効な薬剤と考えられており、具体的にはメトフォルミン、ブホルミン等が例示できる。
【0022】
スルフォニル尿素剤は、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進することにより血糖を低下させる経口薬であり、具体的にはトリブタミド、グリクラジド、グリベンクラミド、グリメピド等が例示できる。
【0023】
フェニルアラニン誘導体は、スルフォニル尿素剤と同様に膵β細胞からのインスリン分泌を促進することにより血糖を低下させるが、スルフォニル尿素剤と比較して、腸管からの吸収と血中からの消失が速いことから、α−グルコシダーゼ阻害剤と同様に主に食後の高血糖が認められる場合に使用されている経口薬であり、具体的にはナテグリニド等が例示できる。
【0024】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、上記のような糖尿病治療薬を使用している患者に対して経口的に投与されるものである。したがって、その製品形態は、経口投与に適した形態であれば特に制限されず、例えば、錠剤、粉末、顆粒、溶液、カプセル剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤の服用量は、成人1日当たり低分子化キトサン及び/又はそれらの塩換算で0.1〜5,000mgが好ましく、100〜1,000mgがより好ましい。なお、低分子化キトサンの安全性については、既に確認されているところであるが、念のためラットにおける経口投与での急性毒性試験結果を記載すると、LD50>5g/kg以上であった。
【0026】
また、上記の糖尿病治療薬については、各薬剤に成人1日当たりの投与量が決められているため、それに基づいて投与量を設定すればよい。例えば、アカルボース(α−グルコシダーゼ阻害剤)は、成人では通常1回100mgを1日3回、食前に服用するように定められている。また、ピオグリタゾン(チアゾリジン誘導体)は、成人では1日1回、塩酸ピオグリタゾンとして15mgあるいは30mg服用するように定められている。
【0027】
また、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、例えば、滋養強壮ドリンク、ミネラルウォーター、調味料、たれ、ドレッシング等の飲食品や、経口的に投与される上記糖尿病治療薬(経口血糖降下剤)に配合して摂取することもできる。上記飲食品や経口血糖降下剤への糖尿病治療薬効果促進剤の配合量は、上記の服用量に基づいて設定すればよいが、通常、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩換算で0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0028】
なお、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、上記糖尿病治療薬と同時に服用してもよく、個別に服用してもよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
製造例
キトサン3.0kgを300Lの水に分散させ、撹拌しながら乳酸を加えて溶解させた(pH5.0)。この溶液に、キトサナーゼ(商品名「キトサナーゼ−U」、明治製菓株式会社製)を1500U(力価はメーカー表示による)加え、45℃で分解反応を行った。この反応液をフィルタープレス濾過して不溶物を除去した後、限外濾過膜処理した。限外濾過膜処理は、マイクローザACV−3010(商品名、旭化成工業株式会社製、分画分子量13,000)で処理した非透過側液を回収し、次いでマイクローザAHV−3010(商品名、旭化成工業株式会社製、分画分子量50,000)で処理して透過側の液を回収した。この透過液を凍結乾燥して、570gの低分子化キトサンを得た。この低分子化キトサンを用いて後述する実施例の実験を行った。
【0030】
なお、ゲル浸透クロマトグラフィー(カラム:「TSK−GEL G2500PWXL」、「TSK−GEL G3000PWXL」(いずれも東ソー製)、移動相:0.2M NaCl、流速:0.5mL/min、検出:RI、HPLCポンプ:日立L−7100)で得られた低分子化キトサンの分子量を測定した結果、分子量分布は15,000〜30,000の範囲で、平均分子量は約22,000であった。
【0031】
実施例1(α−グルコシダーゼ阻害剤との併用)
8週齢雄性ICRマウス(日本SLC株式会社より購入)40匹を5群(n=8)に分け、▲1▼群には、0.05Mクエン酸緩衝液(pH4.5)を腹腔内投与し、▲2▼〜▲5▼群には、インスリン分泌障害を持つ緩徐進行性2型糖尿病(緩徐進行性1型糖尿病を含む)を誘発させるためにクエン酸緩衝液に溶解したストレプトゾトシン(STZ)を体重kg当たり100mgとなるように腹腔内投与して、通常飼料及び蒸留水を与えて2週間飼育した。そして、2週間目以降、各群のマウスには、以下に示す被験物質(飼料と飲料水)を与えた。
▲1▼正常群(以下、N群):通常飼料、蒸留水を与えた。
▲2▼糖尿病対照群(以下、DC群):通常飼料、蒸留水を与えた。
▲3▼アカルボース群(以下、DC+A群):アカルボース含有飼料(アカルボース400mg/粉末kgとなるように通常飼料に混ぜたもの。以下同じ。)、蒸留水を与えた。
▲4▼低分子キトサン群(以下、DC+LC群):通常飼料、0.4(w/v)%低分子キトサン含有水を与えた。
▲5▼アカルボース及び低分子キトサン群(以下、DC+A+LC群):アカルボース含有飼料、0.4(w/v)%低分子キトサン含有水を与えた。
【0032】
そして、各群のマウスからSTZあるいはクエン酸緩衝液処理後12週間まで適当な間隔で採血を行い、非絶食時の血清グルコース量(血糖値)を、「グルコースCII−テストワコー」(商品名、和光純薬工業製)を用いて測定した。
【0033】
更に、各群のマウスを用いて経口グルコース負荷試験を行った。すなわち、STZ処理後11週目にマウスを18時間絶食させ、グルコース(2g/kg体重)を経口投与し、グルコース負荷前(−0.5時間)及び負荷後(0.5、1、2及び4時間)に採血し、血清グルコース量(血糖値)を測定した。
【0034】
図1は、実験期間中の各群の非絶食時の血清グルコース量(血糖値)の変動の推移を表したものである。図1から、N群の血糖値は安定した推移(179〜194mg/dl)を示しているのに対して、DC群の血糖値はSTZ処理後、経週的に増加を続け、STZ処理後2週目以降、N群に対して有意に高い値を示し、糖尿病が誘発されていることが分かる。
【0035】
一方、DC+A群、DC+LC群、DC+A+LC群では、被験物質投与開始後2週間目(STZ処理後4週目)までの血糖値は、DC群との間に明らかな差は認められなかったが、被験物質投与開始後4週間目(STZ処理後6週目)以降、DC群との差が広がり、血糖値の増加を顕著に抑制していることが分かる。特に、被験物質投与開始後10週間目(STZ処理後12週目)の血糖値は、DC群(656±38mg/dl)に対して、DC+A群(341±33mg/dl)、DC+LC群(369±24mg/dl)、DC+A+LC群(272±29mg/dl)は有意に低く、DC+A+LC群が最も低値を示していることが分かる。
【0036】
図2は、経口グルコース負荷試験の結果を表している。図2から、グルコース負荷前(絶食時)のDC群の血糖値は、N群(135±17mg/dl)と比較して2.5倍の高値を示していることが分かる。グルコース負荷後、いずれの群においても0.5時間後に血糖値はピークに達し、以後4時間まで徐々に減少した。特に、N群(288±29mg/dl)に比べて、DC群(642±41mg/dl)では著しく上昇していることが分かる。
【0037】
グルコース負荷後の血糖値は、DC+A群及びDC+LC群では、DC群とN群のほぼ中間の値を示し、DC+A+LC群では、ほぼN群に近い値を示しており、低分子キトサンとアカルボースを併用することによって、相乗的な血糖値降下作用が確認された。
【0038】
以上の結果から、低分子キトサンとアカルボースを併用することによって、緩徐進行性2型糖尿病(緩徐進行性1型糖尿病を含む)の症状を効果的に改善できることが示唆された。
【0039】
実施例2(チアゾリジン誘導体との併用)
肥満遺伝子を導入した肥満・インスリン抵抗性糖尿病マウスモデル(KK−Aマウス)を使用して実験を行った。KK−Aマウスは、生後4週齢から肥満と高血糖が観察され、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性を特徴としている。
【0040】
5週齢の雄性KK−Aマウスを日本クレア株式会社より購入し、13週齢(糖尿病がかなり進行した状態)から、下記▲2▼〜▲5▼に示す被験物質の投与を開始した。また、比較として同じ週齢の正常ICRマウスを使用し、下記▲1▼に示す被験物質を与えた。
▲1▼正常ICR群(以下、ICR群):通常飼料、蒸留水を与えた。
▲2▼KK−Aマウス群(以下、KK群):通常飼料、蒸留水を与えた。
▲3▼ピオグリタゾン群(以下、KK+P群):ピオグリタゾン含有飼料(ピオグリタゾン640mg/粉末kgとなるように通常飼料に混ぜたもの。以下同じ。)、蒸留水を与えた。
▲4▼低分子キトサン群(以下、KK+LC群):通常飼料、0.8(w/v)%低分子キトサン含有水を与えた。
▲5▼ピオグリタゾン及び低分子キトサン群(以下、KK+P+LC群):ピオグリタゾン含有飼料、0.8(w/v)%低分子キトサン含有水を与えた。
【0041】
そして、被験物質投与開始後3日目、1週間目(14週齢)、7週間目(20週齢)及び11週間目(24週齢)に、各群のマウスから採血を行い、非絶食時の血清グルコース量(血糖値)、インスリン量及びトリグリセリド量を測定した。血清グルコース量はムタローゼ・GOD法(商品名「グルコースCII−テストワ
コー」、和光純薬工業製)、血清インスリン量はEIAサンドイッチ法(商品名「インスリン測定キット」、森永生化学研究所製)、血清トリグリセリド量はGPO・DAOS法を用いて測定した。
【0042】
図3は、実験期間中の各群の血清グルコース量(血糖値)の変動の推移を表したものである。図3から、ICR群の非絶食時の血糖値は、安定した推移(167〜183mg/dl)を示しているのに対して、KK群の血糖値は実験期間中を通して高く(345mg/dl(13週齢)、416mg/dl(14週齢)、465mg/dl(24週齢))、糖尿病状態であることが分かる。
【0043】
一方、KK+P群、KK+LC群、KK+P+LC群では、被験物質投与開始1週目(14週齢)から、血糖値が顕著に低下し、KK群に対して有意差が認められた。
【0044】
図4は、実験期間中の各群の血清インスリン量に対する被験物質投与の影響を示したものである。図4から、ICR群マウスの非絶食時の血清インスリン量は、安定した値(約560pg/ml)を示しているのに対して、KK群では、高インスリン血症(30,000〜39,000pg/ml)を示していることが分かる。
【0045】
一方、KK+P群、KK+P+LC群では、被験物質投与開始後1週間目(14週齢)以降、KK+LC群では被験物質投与開始後7週目(20週齢)以降から、KK群に対して有意に低い血清インスリン量を示し、高インスリン血症が軽減されていることが分かる。特に、KK+P+LC群は、被験物質投与開始後1週間目(14週齢)以降、最も低値を示していることが分かる。
【0046】
図5は、実験期間中の血清トリグリセリド量に対する被験物質投与の影響を示したものである。図5から、ICR群マウスの非絶食時の血清トリグリセリド量は、安定した値(65〜103mg/dl)を示しているのに対して、KK群では、高トリグリセリド血症(272〜328mg/dl)を示していることが分かる。
【0047】
一方、KK+P群及びKK+P+LC群では被験物質投与開始後3日目以降、KK+LC群では被験物質投与開始後1週間目以降、KK群に比べて有意に低値を示していることが分かる。特に、KK+P+LC群は、ほぼICR群に近い値を示しており、低分子キトサンとピオグリタゾンを併用することにより、糖尿病に伴う高トリグリセリド血症を顕著に改善できることが分かる。
【0048】
以上の結果から、低分子キトサンとピオグリタゾンとを併用することにより、肥満でインスリン抵抗性を特徴とする2型糖尿病の諸症状を効果的に改善できることが示唆された。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含み、従来から用いられている糖尿病治療薬と併用して投与することにより、糖尿病治療の効果を高め、高血糖、高インスリン血症、高トリグリセリド血症等の糖尿病に伴う諸症状を効果的に改善することができる。その結果、糖尿病治療薬の投与量を減らすことが可能となり、懸念される副作用を回避することができる。
【0050】
本発明の糖尿病治療薬効果促進剤は、特にインスリン分泌障害を持つ緩徐進行性2型糖尿病(緩徐進行性1型糖尿病を含む)及び肥満でインスリン抵抗性を持つ2型糖尿病に対して有効であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスに、低分子化キトサン及び/又はα−グルコシダーゼ阻害剤を投与した際の、各群マウスの非絶食時の血清グルコース量(血糖値)の変動の推移を表した図である。
【図2】低分子化キトサン及び/又はα−グルコシダーゼ阻害剤を投与したストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスの経口グルコース負荷試験の結果を表した図である。
【図3】KK−Aマウスに、低分子化キトサン及び/又はチアゾリジン誘導体を投与した際の、各群マウスの非絶食時の血清グルコース量(血糖値)の変動の推移を表した図である。
【図4】KK−Aマウスを用いた上記実験における、各群の血清インスリン量の変化を示した図である。
【図5】KK−Aマウスを用いた上記実験における、各群の血清トリグリセリド量の変化を示した図である。

Claims (4)

  1. 糖尿病治療薬と併用した際に、その効果を高めるための糖尿病治療薬効果促進剤であって、低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を有効成分として含む経口摂取用の組成物からなることを特徴とする糖尿病治療薬効果促進剤。
  2. 前記低分子化キトサンの平均分子量は、10,000〜30,000である、請求項1に記載の糖尿病治療薬効果促進剤。
  3. 前記低分子化キトサン及び/又はそれらの塩を0.01〜10質量%含む、請求項1又は2に記載の糖尿病治療薬効果促進剤。
  4. 前記糖尿病治療薬は、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、ビグアナイド剤、フェニルアラニン誘導体、スルフォニル尿素剤から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の糖尿病治療薬効果促進剤。
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