JP2004061675A - ズームレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、そして正の屈折力の第3レンズ群の3つのレンズ群を有し、各群の間隔を変化させて変倍を行なうズームレンズにおいて、該第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズの2枚のレンズで構成し、該第2レンズ群は物体側より順に、両レンズ面が凸面の正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズの3枚のレンズで構成し、該第3レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有すると共に、広角端の焦点距離をfw、該第2レンズ群の焦点距離をf2としたときに、1.5<f2/fw<2.5 なる条件を満足する事を特徴とするズームレンズ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスチルカメラやビデオカメラ、そしてデジタルスチルカメラ等に好適なズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、固体撮像素子を用いたビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等、撮像装置(カメラ)の高機能化にともない、それに用いる光学系には広い画角を包含した大口径比のズームレンズが求められている。この種のカメラには、レンズ最後部と撮像素子との間に、ローパスフィルターや色補正フィルターなどの各種光学部材を配置する為、それに用いる光学系には、比較的バックフォーカスの長いレンズ系が要求される。さらに、カラー画像用の撮像素子を用いたカラーカメラの場合、色シェーディングを避けるため、それに用いる光学系には像側のテレセントリック特性の良いものが望まれている。
【0003】
従来より、負の屈折力の第1群と正の屈折力の第2群の2つのレンズ群より成り、双方のレンズ間隔を変えて変倍を行う。所謂ショートズームタイプの広角の2群ズームレンズが種々提案されている。これらのショートズームタイプの光学系では、正の屈折力の第2群を移動する事で変倍を行い、負の屈折力の第1群を移動する事で変倍に伴う像点位置の補正を行っている。これらの2つのレンズ群よりなるレンズ構成においては、ズーム倍率は2倍程度である。
【0004】
さらに2倍以上の高い変倍比を有しつつレンズ全体をコンパクトな形状にまとめるため、例えば特公平7−3507号公報や、特公平6−40170号公報等には2群ズームレンズの像側に負または正の屈折力の第3群を配置し、高倍化に伴って発生する諸収差の補正を行っている、所謂3群ズームレンズが提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの3群ズームレンズは主として35mmフィルム写真用に設計されているため、固体撮像素子を用いた光学系に求められるバックフォーカスの長さと、良好なテレセントリック特性を両立したものとは言い難かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
バックフォーカスとテレセントリック特性を満足する広角の3群ズームレンズ系が、例えば、特開昭63−135913号公報や、特開平7−261083号公報等で提案されている。また、特開平3−288113号公報には、3群ズームレンズにおいて負の屈折力の第1群を固定とし、正の屈折力の第2群と正の屈折力の第3群を移動させて変倍を行う光学系も開示されている。
【0007】
ところが、これらの従来例においては、各レンズ群の構成枚数が比較的多く、レンズ全長が長い、製造コストが高いなどの欠点を有していた。
【0008】
さらに近年、カメラのコンパクト化とレンズの高倍化を両立する為に、非撮影時に各レンズ群の間隔を撮影状態と異なる間隔まで縮小し、カメラ本体からのレンズの突出量を少なくした所謂沈胴ズームレンズが広く用いられているが、上記従来例の様に各群の構成枚数が多く、結果的に各レンズ群の光軸上の長さが長くなる場合や、各レンズ群のズーミング及びフォーカシングにおける移動量が大きく、レンズ全長が長くなる場合においては、所望の沈胴長が達成出来ない場合がある。
【0009】
また、特開平7−261083号公報に記載される例では、負の屈折力の第1群の最も物体側に正レンズが配置されており、特に広角化した場合のレンズ外径の増大が避けられない欠点を有していた。さらに、この例では負の屈折力の第1レンズ群を移動させて近距離物体へのフォーカシングを行うため、ズーミングでの移動とあいまってメカ構造が複雑化する欠点があった。
【0010】
また、米国特許第4999007号には、3群ズームレンズにおいて、第1レンズ群、第2レンズ群をそれぞれ1枚の単レンズで構成したものも開示されている。
【0011】
ところが、広角端でのレンズ全長が比較的大きく、さらに広角端での第1群と絞りが大きく離れているため軸外光線の入射高が大きく第1群を構成するレンズの径が増大してしまうため、レンズ系全体が大きくなってしまう欠点を有していた。
【0012】
さらに、ズーム広角端での画角を大きくした場合の特有な問題として歪曲収差の補正不足の問題がある。また、比較的感度の低い高画素の撮影素子で用いるためには更なる大口径比化が求められる。
【0013】
また本出願人提案の特開2001−272602号公報の実施例3において、第1レンズ群を負レンズ・正レンズの2枚のレンズで構成し、第2レンズ群を正レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズの3枚のレンズで構成し、第3レンズ群を正レンズ1枚で構成した、構成枚数の少ない3群構成のズームレンズが開示されているが、変倍比が2倍程度であり3倍程度の変倍比にて最適化されたものではなかった。
【0014】
本発明では、これら従来例の欠点に鑑み、特に固体撮像素子を用いた撮影系に好適で、構成レンズ枚数の少なく、特に沈胴ズームレンズに適し、変倍比が3倍程度の優れた光学性能を有するズームレンズの提供を目的とする。
【0015】
さらに、本発明では、次の事項のうち少なくとも1つを満足するズームレンズを得る事を目的としている。
【0016】
即ち、
・広画端の画角を大きくしながら、高性能、コンパクト化を図る事。
【0017】
・特に広角側での非点収差、歪曲収差を良好に補正する事。
【0018】
・最小のレンズ構成を取りつつ、移動するレンズ群の収差分担を減らし、製造誤差によるレンズ群相互の偏心等での性能劣化を少なくし、製造の容易なものとする事。
【0019】
・感度の低い高画素撮像素子に好適な大口径比化を図る事。
【0020】
・構成枚数を最小としながら、固体撮像素子を用いた撮影系に好適な良好な像側テレセントリック結像をもたせる事。
【0021】
・沈胴ズームレンズに要求される各レンズ群の光軸上の長さや各レンズ群のズーミング及びフォーカシングによる光軸上の移動量を短くする。
【0022】
・広角端のみならずズーム全域で歪曲収差を良好に補正する事。
【0023】
・像側テレセントリック結像のズームによる変動を小さくする事。
【0024】
・テレセントリック結像を保ったまま変倍レンズ群の移動量を減らし、さらなる小型化を達成する事。
【0025】
・近距離物体へのフォーカシング機構を簡素化する事。
等である。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、そして正の屈折力の第3レンズ群の3つのレンズ群を有し、各群の間隔を変化させて変倍を行うズームレンズにおいて、該第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズの2枚のレンズで構成し、該第2レンズ群は物体側より順に、両レンズ面が凸面の正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズの3枚のレンズで構成し、該第3レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有すると共に、広角端の焦点距離をfw、該第2レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
1.5 < f2/fw < 2.5
なる条件を満足する事を特徴としている。
【0027】
請求項2の発明は請求項1の発明において、広角端から望遠端への変倍動作に際して、前記第1レンズ群は像側に凸状の軌跡で移動し、前記第2レンズ群は物体側に単調に移動し、前記第3レンズ群は像側に移動する事を特徴としている。
【0028】
請求項3の発明は請求項1又は2項の発明において、前記第2レンズ群中の最も物体側に配置した正レンズの材質の屈折率をnd21、アッベ数をνd21とした時に、
1.55 < nd21 < 1.75
νd21 > 45.0
なる条件を満足する事を特徴としている。
【0029】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記第2レンズ群中の接合レンズにて、正レンズの材質の屈折率をnd22、アッベ数をνd22とした時に、
nd22 > 1.70
νd22 > 35.0
なる条件を満足する事を特徴としている。
【0030】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記第1レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD1、前記第2レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD2、前記第3レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD3、広角端の焦点距離をfwとしたときに、
1.7 <(ΣD1+ΣD2+ΣD3)/fw < 2.1
なる条件を満足する事を特徴としている。
【0031】
請求項6の発明は請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記第1レンズ群中に少なくとも非球面を1面有すると共に、前記第2レンズ群中にすくなくとも非球面を2面有する事を特徴としている。
【0032】
請求項7の発明は請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記第3レンズ群は単一の正レンズにて構成している事を特徴としている。
【0033】
請求項8の発明は請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記第3群を物体側に移動させて無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行う事を特徴としている。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の後述する実施形態1のレンズ断面図である。図2〜図4は本発明の実施形態1の広角端,中間,望遠端の収差図である。
【0035】
図5は本発明の後述する実施形態2のレンズ断面図である。図6〜図8は本発明の実施形態2の広角端,中間,望遠端の収差図である。
【0036】
図9は本発明の後述する実施形態3のレンズ断面図である。図10〜図12は本発明の実施形態3の広角端,中間,望遠端の収差図である。
【0037】
レンズ断面図においてL1は負の屈折力の第1群(第1レンズ群)、L2は正の屈折力の第2群(第2レンズ群)、L3は正の屈折力の第3群(第3レンズ群)、SPは開口絞り、IPは像面である。Gは水晶ローパスフィルターや赤外カットフィルター等のガラスブロックである。
【0038】
次に本発明のズームレンズのレンズ構成について説明する。
【0039】
本発明のズームレンズでは、物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、そして正の屈折力の第3レンズ群L3の3つのレンズ群を有しており、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群が像側に凸の往復移動、第2レンズ群が物体側に移動し、第3レンズ群は像側に移動している。
【0040】
本発明のズームレンズは、第2レンズ群の移動により主な変倍を行い、第1レンズ群の往復移動及び第3レンズ群による像側方向への移動によって変倍に伴う像点の移動を補正している。
【0041】
第3レンズ群は、撮像素子の小型化に伴う撮影レンズの屈折力の増大を分担し、第1、第2レンズ群で構成されるショートズーム系の屈折力を減らす事で特に第1レンズ群を構成するレンズでの収差の発生を抑え良好な光学性能を達成している。また、特に固体撮像素子等を用いた撮影装置に必要な像側のテレセントリックな結像を第3レンズ群にフィールドレンズの役割を持たせる事で達成している。
【0042】
また、絞りSPを第2レンズ群の最も物体側に置き、広角側での入射瞳と第1レンズ群との距離を縮める事で第1レンズ群を構成するレンズの外径の増大を抑えると共に、第2レンズ群の物体側に配置した絞りを挟んで第1レンズ群と第3レンズ群とで軸外の諸収差を打ち消す事で構成レンズ枚数を増やさずに良好な光学性能を得ている。
【0043】
本発明のズームレンズは、第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズの2枚のレンズで構成し、第2レンズ群は物体側より順に、両レンズ面が凸面の正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズの3枚のレンズで構成し、第3レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有する事を特徴としている。
【0044】
次に各実施形態のレンズ構成について説明する。
【0045】
本発明における各実施形態においては、負の屈折力の第1レンズ群を物体側から順に像側に凹面を向けたメニスカス状の負レンズ11、物体側に凸面を向けたメニスカス状の正レンズ12の2枚のレンズで構成している。
【0046】
また、正の屈折力の第2レンズ群を物体側から順に、物体側に強い凸面を向けた正レンズ21、像側に強い凸面を向けた正レンズ22、両レンズ面が凹面の負レンズ23の3枚のレンズで構成されている。
【0047】
さらに、正の屈折力の第3レンズ群を両レンズ面が凸面の正レンズ31で構成している。
【0048】
図5の実施形態2においては、負の屈折力の第1レンズ群を物体側から順に像側に凹面を向けたメニスカス状の負レンズ11、同じく像面側に凹面を向けたメニスカス状の負レンズ12、そして物体側に凸面を向けたメニスカス状の正レンズ13の3枚のレンズで構成している。
【0049】
以上のように各レンズ群を所望の屈折力配置と収差補正とを両立するレンズ構成とする事により、良好な性能を保ちつつ、レンズ系のコンパクト化を達成している。
【0050】
第1レンズ群は、軸外主光線を絞り中心に瞳結像させる役割を持っており、特に広角側においては軸外主光線の屈折量が大きいために軸外諸収差、特に非点収差と歪曲収差が発生し易い。
【0051】
そこで本実施形態では、通常の広角レンズと同様、最も物体側のレンズ径の増大が抑えられる負レンズと正レンズの構成としている。
【0052】
そして、メニスカス状の負レンズ11の像側のレンズ面を周辺で負の屈折力が弱くなる非球面とする事により、非点収差と歪曲収差をバランス良く補正すると共に、2枚と言う少ない枚数で第1レンズ群を構成し、レンズ全体のコンパクト化に寄与している。
【0053】
また第1レンズ群を構成する各レンズは、軸外主光線の屈折によって生じる軸外収差の発生を抑えるために絞りと光軸が交差する点を中心とする同心球面に近い形状をとっている。
【0054】
次に第2レンズ群は、物体側に強い凸面を向けた両レンズ面が凸面の正レンズ21を配置し、第1レンズ群を射出した軸外主光線の屈折角を少なくし、軸外諸収差が発生しない様な形状としている。
【0055】
また、正レンズ21は、最も軸上光線の通る高さが高いレンズであり、主に球面収差、コマ収差の補正に関与しているレンズである。
【0056】
そこで本発明においては、正レンズ21の物体側の面を周辺で正の屈折力が弱くなる非球面とすることにより球面収差、コマ収差を良好に補正している。
【0057】
さらに実施形態1においては、正レンズ21の両側のレンズ面を非球面とすることにより、球面収差、コマ収差をより良好に補正している。
【0058】
次に、正レンズ21の像面側に、正レンズ22と負レンズ23とを接合した接合レンズを配置する事で、CCD等の固体撮像素子の高画素化及びセルピッチの微細化に伴って要求される、色収差の縮小化に対応している。
【0059】
さらに実施形態2及び3においては、正レンズ22の物体側の面を周辺で正の屈折力が弱くなる非球面とすることにより、正レンズ21と収差補正を分担することで、球面収差、コマ収差をより良好に補正している。
【0060】
次に第3レンズ群は、両レンズ面が凸面の正レンズ31より構成し、像側テレセントリックにするためのフィールドレンズとしての役割をも有している。
【0061】
いま、バックフォーカスをsk’、第3レンズ群の焦点距離をf3、第3レンズ群の結像倍率をβ3とすると、
sk’=f3(1−β3)
の関係が成り立っている。
【0062】
但し、
0 < β3 < 1.0
である。
【0063】
ここで、広角端から望遠端への変倍に際して第3レンズ群を像側に移動するとバックフォーカスsk’が減少する事になり、第3レンズ群の結像倍率β3は望遠側で増大する。
【0064】
すると、結果的に第3レンズ群で変倍を分担できて第2レンズ群の移動量が減少し、そのためのスペースが節約できるためにレンズ系の小型化に寄与する。
【0065】
本実施形態のズームレンズを用いて近距離物体を撮影する場合には、第1レンズ群を物体側へ移動する事で良好な性能を得られるが、さらに望ましくは、第3レンズ群を物体側に移動した方が良い。
【0066】
これは、最も物体側に配置した第1レンズ群をフォーカシングさせた場合に生じる、前玉径の増大、レンズ重量が最も重い第1レンズ群を移動させる事によるアクチュエーターの負荷の増大を防ぎ、さらに第1レンズ群と第2レンズ群とをカム等で単純に連携してズーミング時に移動させる事が可能となり、メカ構造の簡素化及び精度向上を達成できるためである。
【0067】
また、第3レンズ群にてフォーカシングを行う場合、広角端から望遠端への変倍に際して第3レンズ群を像側に移動する事により、フォーカシング移動量の大きい望遠端を像面側に配置する事が出来る為、ズーミング及びフォーカシングで必要となる第3レンズ群の全ての移動量を最小とする事が可能となり、レンズ系のコンパクト化を達成している。
【0068】
尚、本発明のズームレンズにおいて、良好なる光学性能を得るため、又はレンズ系全体の小型化を図るには、次の諸条件のうちの少なくとも1つを満足させるのが良い。
【0069】
(ア−1)光学系の全長短縮及び沈胴時のレンズ全長短縮の為に、以下の条件を満足するのが好ましい。
【0070】
1.5 < f2/fw < 2.5 ‥‥‥(1)
ここで、f2は第2レンズ群の焦点距離、fwは広角端の焦点距離である。
【0071】
条件式(1)の上限値を超えると、変倍時の第2レンズ群の移動量が増大し、光学系の全長が長くなるので好ましくない。
【0072】
また、条件式(1)の下限値を超えると、光学系の全長は短くなるが、第2レンズ群の焦点距離が短くなることで、変倍域全体の収差補正が困難となり好ましくない。
【0073】
(ア−2)第2レンズ群中の最も物体側に配置した正レンズ21の材質の屈折率及びアッベ数については、以下の条件を満足するのが好ましい。
【0074】
1.55 < nd21 < 1.75 ‥‥‥(2)
νd21 > 45.0 ‥‥‥(3)
条件式(2)の上限値を超えるとペッツバール和が正の方向に増大し像面彎曲補正が困難となる。
【0075】
逆に、条件式(2)の下限値を超えると像面彎曲補正が困難になると共に、コマ収差の補正も困難となり好ましくない。
【0076】
また条件式(3)の下限値を超えると望遠端での軸上色収差補正が困難となり好ましくない。
【0077】
(ア−3)第2レンズ群中の接合レンズにて、正レンズ22の材質の屈折率及びアッベ数については、以下の条件を満足するのが好ましい。
【0078】
nd22 > 1.70 ‥‥‥(4)
νd22 > 35.0 ‥‥‥(5)
条件式(4)の下限値を超えるとペッツバール和が負の方向に増大し像面彎曲補正が困難となる。
【0079】
また条件式(5)の下限値を超えると望遠端での軸上色収差補正が困難となり好ましくない。
【0080】
(ア−4)光学系の全長短縮及び沈胴時のレンズ全長短縮の為に、さらに以下の条件を満足させるのが良い。
【0081】
1.7 <(ΣD1+ΣD2+ΣD3)/fw < 2.1 ‥‥‥(6)
ここで、ΣD1は第1レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計、ΣD2は第2レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計を、ΣD3は第3レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計、fwは広角端の焦点距離である。
【0082】
条件式(6)の上限値を超えると、各レンズの厚みが相対的に厚くなる為、レンズ沈胴全長を短くする事が難しくなるので好ましくない。
【0083】
条件式(6)の下限値を超えると、各レンズの厚みが薄くなり沈胴時のレンズ全長を短くする事が可能になるが、各レンズの厚みを薄くする為には各レンズの曲率を緩くしなければならず、この為に各レンズ群の焦点距離が長くなる。各レンズ群の焦点距離が長くなると、必然的に各レンズ群の変倍に伴う移動量が大きくなることで、各レンズ群を移動させるカム筒が長くなり、レンズの厚みが薄くなっても逆に沈胴長時のレンズ全長が長くなってしまい好ましくない。
【0084】
図1に本発明の実施形態2の光学断面図を示す。実施形態1は変倍比2.8倍、開口比2.9〜5.4程度のズームレンズである。図2〜図4に収差図を示す。
【0085】
本実施形態においては、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群が像側に凸の往復移動、第2レンズ群が物体側に移動し、第3レンズ群は単調に像側に移動している。
【0086】
図5に本発明の実施形態2の光学断面図を示す。実施形態2は変倍比2.8倍、開口比2.9〜5.4程度のズームレンズである。図6〜図8に収差図を示す。
【0087】
本実施形態においては、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群が像側に凸の往復移動、第2レンズ群が物体側に移動し、第3レンズ群は物体側に移動している。
【0088】
図9の実施形態3は変倍比2.9倍、開口比2.9〜5.5程度のズームレンズである。図10〜図12に収差図を示す。
【0089】
本実施形態においては、実施形態1と同様に、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群が像側に凸の往復移動、第2レンズ群が物体側に移動し、第3レンズ群は単調に像側に移動している。
【0090】
(数値実施例)
次に、本発明の実施形態1〜3に各々対応する数値実施例1〜3を示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示し、riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、diは第i面と第i+1面との間の間隔、niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の屈折率、アッベ数を示す。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角である。また、最も像側の2面はフエースプレート等のガラス材である。またkを離心率、B,C,Dを非球面係数、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき、非球面形状は、
x=(h2/R)/[1+[1−(1+k)(h/R)2]1/2]+Bh4+Ch6+Dh8
で表示される。但しRは曲率半径である。また、例えば「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。又、各数値実施例における上述した条件式との対応を表1に示す。
【0091】
【外1】
【0092】
【外2】
【0093】
【外3】
【0094】
【表1】
【0095】
【発明の効果】
本発明は以上の様に各要素を設定する事により、特に、固体撮像素子を用いた撮影系に好適な、構成レンズ枚数が少なくコンパクトで、特に沈胴ズームレンズに適した、変倍比が3倍程度の優れた光学性能を有するズームレンズが達成出来る。
【0096】
又、本発明によればレンズ群中に効果的に非球面を導入する事、特に第2レンズ群に2面以上の非球面レンズを導入することによって軸外諸収差、特に非点収差・歪曲収差および大口径比化した際の球面収差の補正が効果的に行える。
などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のレンズ断面図
【図2】本発明の実施形態1の広角端の収差図
【図3】本発明の実施形態1の中間の収差図
【図4】本発明の実施形態1の望遠端の収差図
【図5】本発明の実施形態2のレンズ断面図
【図6】本発明の実施形態2の広角端の収差図
【図7】本発明の実施形態2の中間の収差図
【図8】本発明の実施形態2の望遠端の収差図
【図9】本発明の実施形態3のレンズ断面図
【図10】本発明の実施形態3の広角端の収差図
【図11】本発明の実施形態3の中間の収差図
【図12】本発明の実施形態3の望遠端の収差図
【符号の説明】
L1 第1群
L2 第2群
L3 第3群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
S サジタル像面
M メリディオナル像面
Claims (8)
- 物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、そして正の屈折力の第3レンズ群の3つのレンズ群を有し、各群の間隔を変化させて変倍を行うズームレンズにおいて、該第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズの2枚のレンズで構成し、該第2レンズ群は物体側より順に、両レンズ面が凸面の正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズの3枚のレンズで構成し、該第3レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有すると共に、広角端の焦点距離をfw、該第2レンズ群の焦点距離をf2としたときに、
1.5 < f2/fw < 2.5
なる条件を満足する事を特徴とするズームレンズ。 - 広角端から望遠端への変倍動作に際して、前記第1レンズ群は像側に凸状の軌跡で移動し、前記第2レンズ群は物体側に単調に移動し、前記第3レンズ群は像側に移動する事を特徴とする請求項1のズームレンズ。
- 前記第2レンズ群中の最も物体側に配置した正レンズの材質の屈折率をnd21、アッベ数をνd21とした時に、
1.55 < nd21 < 1.75
νd21 > 45.0
なる条件を満足する事を特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。 - 前記第2レンズ群中の接合レンズにて、正レンズの材質の屈折率をnd22、アッベ数をνd22とした時に、
nd22 > 1.70
νd22 > 35.0
なる条件を満足する事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のズームレンズ。 - 前記第1レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD1、前記第2レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD2、前記第3レンズ群を構成する各レンズの光軸上の厚みの合計をΣD3、広角端の焦点距離をfwとしたときに、
1.7 <(ΣD1+ΣD2+ΣD3)/fw < 2.1
なる条件を満足する事を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のズームレンズ。 - 前記第1レンズ群中に少なくとも非球面を1面有すると共に、前記第2レンズ群中にすくなくとも非球面を2面有する事を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
- 前記第3レンズ群は単一の正レンズにて構成している事を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
- 前記第3群を物体側に移動させて無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行う事を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
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