JP2004059625A - 水性顔料分散液、その製造方法及び水性顔料記録液 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録液用として、低粘度で分散性や分散安定性にも優れた記録液用水性顔料分散液を提供する。
【解決手段】側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とを含有することを特徴とする記録液用水性顔料分散液、予め側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させることを特徴とする記録液用水性顔料分散液の製造方法並びに水性顔料分散液を含み、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%である水性顔料記録液。
【選択図】なし
【解決手段】側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とを含有することを特徴とする記録液用水性顔料分散液、予め側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させることを特徴とする記録液用水性顔料分散液の製造方法並びに水性顔料分散液を含み、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%である水性顔料記録液。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散液、その製造方法及び前記水性顔料分散液を含む水性顔料記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高精細度を要求される記録液には染料が用いられてきた。染料を用いた記録液は、高透明度、高精細度や優れた演色性などの特徴を有しているが、記録画像の耐光性及び耐水性等が不充分な点で問題を有する。
【0003】
近年、この様な記録画像の耐光性及び耐水性の問題を解決するために、染料に代えて、顔料を含む水性顔料分散液が製造されている。
【0004】
この様な水性顔料分散液としては、例えば、特開平5−331780号公報や、特開平6−240191号公報に記載のものが知られている。
【0005】
前者の水性顔料分散液は、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の様なカチオン性有機高分子化合物と、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物の様なアニオン系界面活性剤と、顔料とを含有するものである。
【0006】
一方、後者の水性顔料分散液は、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂の様なカチオン性有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物アニオン性有機高分子化合物と顔料とを含有するものである。
【0007】
そしてこれら公報に記載された水性顔料分散液の製造方法では、いずれも、カチオン性成分とアニオン性成分とで異極性かつ異なる化学構造を有するもの同士を併用しており、しかもこれらを同時に顔料と共に水性媒体中分散しているため、比較的高粘度となり、分散性や分散安定性も不十分となるという欠点を有している。
【0008】
また特開平8−333538号公報では、一分子中にアニオン性基とカチオン性基とを共に有する両性高分子化合物を用いた水性顔料分散液が記載されている。しかしながらこの公報に記載された水性顔料分散液も、アニオン性基含有単量体とカチオン性基含有単量体との二元共重合体であり、しかもこれらを同時に顔料と共に水性媒体中分散しているため、比較的高粘度となり、分散性や分散安定性も不十分となるという欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、記録液用として、低粘度で分散性や分散安定性にも優れた記録液用水性顔料分散液を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、カチオン性有機高分子化合物とアニオン性有機高分子化合物として、いずれも同種の化学構造を有するものを用いることで、これら極性が異なる高分子化合物を組み合わせた場合や両性高分子化合物を製造しようとした場合に頻発するゲル化や増粘を効果的に抑制でき、低粘度で分散性や分散安定性にも優れた水性顔料分散液が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とを含有することを特徴とする記録液用水性顔料分散液、予め側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させることを特徴とする記録液用水性顔料分散液の製造方法、及び前記した水性顔料分散液を含み、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%である水性顔料記録液を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の記録液用水性顔料分散液は、顔料(A)と、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物(B)と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物(C)とを少なくとも含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の水性顔料分散液の調製に用いる顔料(A)は、有機顔料或いは無機顔料であり、公知慣用のものがいずれも挙げられる。顔料(A)は、粉末状、顆粒状或いは塊状の乾燥顔料であっても良いし、ウエットケーキやスラリーであっても良い。
【0013】
本発明においてアクリル系有機高分子化合物とは、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを主成分として重合せしめた有機高分子化合物を意味する。また、アクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を包含する用語として(メタ)アクリル酸エステルを用いる。また水性媒体とは、水のみまたは水と水溶性有機溶剤との混合物で質量換算で60%以上の水を含んでいるものを言う。
【0014】
本発明の水性顔料分散液は、前記顔料(A)、化合物(B)及び同(C)を含有したものであれば良いが、化合物(B)と(C)は水性媒体中において溶解状態であるよりも分散状態であるほうが好ましい。
【0015】
水性顔料分散液の水性媒体に分散している粒子(分散粒子)は、顔料(A)粒子と、前記化合物(B)粒子及び化合物(C)の粒子であっても良いが、顔料(A)が前記化合物(B)及び化合物(C)の混合物で被覆された粒子である、マイクロカプセル型複合粒子であっても良い。そして水性顔料分散液には、前記分散粒子が、平均粒子径が50〜300nmとなる様に分散している。
【0016】
化合物(B)及び化合物(C)は、共通して、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含むものである。化合物(B)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他に側鎖にカチオン性基を含有した有機高分子化合物であり、この化合物(B)はアニオン性基を含有しない。一方、化合物(C)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他に側鎖にアニオン性基を含有した有機高分子化合物であり、この化合物(C)はカチオン性基を含有しない。これら化合物(B)及び(C)は、前記した要件を満足していれば、その他の必要な重合単位を含んでいても良い。
【0017】
本発明の水性顔料分散液に含まれる化合物(B)は、カチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と、これと共重合し得る(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも共重合させた重合単位を含む有機高分子化合物である。化合物(B)はその分子中の側鎖にカチオン性基を有するモノエチレン性不飽和単量体の重合単位に基づくカチオン性基が存在する。尚、カチオン性基とは、第1〜第3級の各種アミノ基であり、好ましくはジアルキルアミノ基やピリジル基の様な第3級アミノ基である。
【0018】
本発明において化合物(B)の調製に使用できるカチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−アミノプロピル、アクリル酸2−(メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(メチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(エチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、等のアミノアルキル(メタ)アクリル酸類、(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸類;N−(2−アミノエチル)アクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミドまたは(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ブテニルピリジン、等のビニルピリジン類が挙げられる。
【0019】
これらの単量体のうち好ましいのは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸類である。
【0020】
化合物(B)を製造する際に用いることが出来る、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
【0021】
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
【0022】
前記化合物(B)としては、アミン価70〜130のものが好ましい。
化合物(B)を製造する際の全単量体に含ませるカチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体の使用割合は、化合物(B)のアミン価が前記好適範囲となる様に調整する。この様な好適な化合物(B)は、顔料(A)と水性媒体との両方への親和性のバランスに優れ、分散性や分散安定性にも優れたものとなる点で性能上好ましい。
【0023】
一方、本発明の水性顔料分散液に含まれる化合物(C)は、アニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と、これと共重合し得る(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも共重合させた重合単位を含む有機高分子化合物である。化合物(B)はその分子中の側鎖にアニオン性基を有するモノエチレン性不飽和単量体の重合単位に基づくアニオン性基が存在する。尚、アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基が挙げられ、好ましくはカルボキシル基やスルホン基、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲をより広く制御できる点で、最適にはカルボキシル基である。
【0024】
本発明において化合物(C)の調製に使用できるアニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えばカルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタアクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
【0025】
尚、前記アニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と共重合し得る、(メタ)アクリル酸エステルやその他の単量体は、前記化合物(B)を調製する際に用いることが出来るものとして例示したのと同様のものが使用出来る。
【0026】
前記化合物(C)としては、酸価80〜150のものが好ましい。
化合物(C)を製造する際の全単量体に含ませるアニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体の使用割合は、化合物(C)の酸価が前記好適範囲となる様に調整する。この様な好適な化合物(C)は、顔料(A)と水性媒体との両方への親和性のバランスに優れ、分散性や分散安定性にも優れたものとなる点で性能上好ましい。
【0027】
前記化合物(B)及び(C)としては、いずれも、少なくとも(メタ)アクリル酸の炭素原子数4〜8のアルキルエステルからなる群から選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合単位と共に、スチレンの重合単位をも含有する有機高分子化合物を選択するのが好ましい。特に、質量換算で化合物(B)を製造する際の全単量体100部当たりスチレンが15〜35%であると、前記した効果に加えて耐候性に優れた記録画像が得られる点で性能上好ましい。
【0028】
さらに前記化合物(B)及び(C)は、いずれも、被記録媒体への定着性や耐擦過性等の観点から、ガラス転移温度(Tg)が20〜60℃であるものが好ましい。
【0029】
前記化合物(B)及び(C)は、いずれか一方または両方が、例えば、架橋部分を有していてもよいが、いずれも直鎖状分子であることが好ましい。化合物(B)及び(C)に架橋部分を含ませる場合には、直鎖分子が有する長所を損なわない様に架橋部分が極少量となる様にする。また架橋部分の有無に関わらず、化合物(B)や(C)がグラフト共重合体の様な分岐を有する分子の場合には、水性媒体中での温度や濃度による粘度変化が大きく分散安定性に優れた水性顔料分散液が得られ難い。従って、分散安定性に優れた水性顔料分散液を容易に得るには、化合物(B)と(C)は、やはりいずれも直鎖状分子の両化合物を用いることが好ましい。
【0030】
本発明に用いられる化合物(B)及び(C)は、前記した立体構造の相違も考慮に入れると、いずれも分子が直鎖状で重量平均分子量10,000〜50,000であることが好ましい。この範囲であれば、水性顔料分散液自体の分散安定性が良好であり、粘度も適切となる。また、この様な水性顔料分散液を用いて調製した水性顔料記録液は、例えばインクジェット記録用水性インクに適用した場合に、長期間安定した印字を行わせることが容易になる。
【0031】
かかる化合物(B)及び(C)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。化合物(B)及び(C)は、有機溶剤または水性媒体中で通常重合開始剤を用いて、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で前記単量体を重合させることで容易に得ることが出来る。
【0032】
こうして得られた化合物(B)及び(C)は、同時に水性媒体中に加えたり、或いは分散前に予め混合してから水性媒体中に加えて、顔料(A)の分散に用いることが出来る。しかしながら本発明においては、予め化合物(B)と(C)とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させて水性顔料分散液とすることが好ましい。
【0033】
化合物(B)と化合物(C)との混合割合において、化合物(B)と化合物(C)のイオン対しか形成しない様な場合〔化合物(B)のカチオン性基と化合物(C)のアニオン性基とが同量である場合〕には、より優れた分散性をもたせるために、それに酸性物質又は塩基性物質を併用することが出来る(第一の方法)。
【0034】
また、化合物(B)と化合物(C)のいずれか一方の基が過剰となる様な混合割合とし、かつ過剰の基とは逆極性の物質を併用する様にして、化合物(B)と化合物(C)とのイオン対の他に、化合物(B)または化合物(C)のいずれか一方の基と逆極性の酸性物質又は塩基性物質とのイオン対との両方のイオン対を形成させることも出来る(第二の方法)。第二の方法は、前記第一の方法の様に、さらなる酸性物質又は塩基性物質を加えなくても、より優れた分散性等を得られやすいので好ましい。
【0035】
酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられ、塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミン等の塩基性物質が挙げられる。勿論、これは水溶液として用いることも出来る。
【0036】
化合物(B)と(C)の混合割合は、化合物(B)中のカチオン性基量と化合物(C)中のアニオン性基量を考慮し、いずれか一方の基が過剰となる様に定めることが好ましい。その上で、具体的な化合物(B)と(C)の混合割合は、前記化合物(B)と(C)の混合物の場合にせよ、水性顔料分散液の場合にせよ、例えば不揮発分の質量比でいえば化合物(B)/(C)=80/20〜20/80とすることがより好ましい。中でも、顔料(A)としてカーボンブラックやフタロシアニン系顔料を用いる場合には、不揮発分の質量比が化合物(B)/(C)=70/30〜90/10とすることが、被記録媒体に対する記録画像の着色濃度をより高めることが出来る点で好ましい。
【0037】
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、例えば下記する様な1)〜4)の方法に基づき実施することが出来る。
1)前記化合物(B)及び(C)を含む水性エマルジョンに顔料(A)を機械的に強制分散する水性顔料分散液の製造方法。
2)顔料(A)と前記化合物(B)と(C)と有機溶剤の混合物(但しこの混合物がアニオン性かカチオン性のいずれかを呈する様に両化合物を併用する)を、混合物をアニオン化させる場合は塩基性物質と水を、混合物をカチオン化させる場合は酸性物質と水を用いて徐徐に油相から水相に転相させてから脱溶剤して、顔料(B)が前記化合物(B)と(C)の混合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする水性顔料分散液の製造方法。
3)顔料(A)と前記化合物(B)と(C)と有機溶剤と水と、酸性物質又は塩基性物質との均一混合物(但しアニオン性かカチオン性のいずれかを呈する様に両化合物を併用し、混合物をアニオン化させる場合は塩基性物質を、混合物をカチオン化させる場合は酸性物質を併用する)から脱溶剤して、前記均一混合物と逆極性の酸性物質又は塩基性物質を加えて前記化合物(B)及び(C)を析出させ、顔料(A)と前記化合物(B)と(C)の相互作用を一層高め、その析出物を洗浄後、この析出物を均一混合物中に含まれていたのと同一極性の酸性物質又は塩基性物質と共に水性媒体に分散させて、顔料(A)が前記化合物(B)と(C)の混合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする水性顔料分散液の製造方法。
【0038】
本発明の水性顔料分散液の製造方法では、前記2)または3)の製造方法が最適である。
【0039】
本発明の水性顔料分散液を製造するには、用いる両化合物のアミン価と酸価に応じて、両者の混合物が電気的中性となるようにそれぞれの化合物(B)と(C)とを組み合わせることも出来るが、顔料(A)として無極性又は低極性のカーボンブラックやフタロシアニン系顔料を用いる場合には、この混合物として、化合物(B)と化合物(C)とを前者が過剰になる様に混合した混合物を用い、酸性物質を更に併用してカチオン化して水性顔料分散液を製造する方法が、水性顔料分散液の粘度をより低減できる点で好ましい。この様にすると、紙の様な被記録媒体への記録画像の濃度も高められる。
【0040】
特に前記2)または3)の製造方法において、上記手法を適用した製造方法が最適な効果をもたらす。
【0041】
本発明では、前記いずれの製造方法をとるにせよ、顔料(A)、化合物(B)、化合物(C)、前記化合物(B)と(C)とを混合した時の極性と逆極性の酸性物質又は塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませることが好ましい。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも顔料(A)、化合物(B)、化合物(C)、前記両化合物の混合物が呈する極性と逆極性の酸性物質又は塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程(分散工程)を含ませることが好ましい。
【0042】
分散工程においては、水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素原子数が3〜6のケトンおよび炭素原子数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は化合物(B)または(C)の溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0043】
本発明の水性顔料分散液の製造方法においては、顔料(A)/〔化合物(B)+化合物(C)(不揮発分の質量換算)〕=100/10〜100/100とするのが好ましい。最適には、質量換算で顔料(A)100部当たり、化合物(B)と化合物(C)の合計の不揮発分20〜65部かつ水性媒体835〜880部となる様に、上記した原料を用いて製造することが出来る。
【0044】
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
【0045】
本発明の水性顔料分散液としては、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たっては、顔料(A)が化合物(B)と化合物(C)とで被覆された粒子(即ち前記したマイクロカプセル型複合粒子)という形態で水性媒体中に分散していることが好ましい。
【0046】
このような状態を形成するため、相異なる極性を有する前記化合物(B)及び(C)を含有する液媒体中に顔料を分散させている状態において、前記の分散工程の後工程として、溶解状態にある化合物(B)及び(C)で顔料(A)表面を被覆する工程を組み込むことが好ましい。
【0047】
溶解状態にある化合物(B)及び(C)を顔料(A)表面に被覆させる工程としては、溶解している化合物(B)及び(C)を、溶液のpHを調整することにより顔料(A)表面で析出させる工程(析出工程)を設けることが好ましい。この工程により、顔料(A)と化合物(B)と化合物(C)との相互作用を高めることができる。
【0048】
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。
【0049】
本発明の製造方法においては、顔料(A)と化合物(B)と化合物(C)と、化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と逆極性の酸性物質または塩基性物質とを混合し分散させた後、化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と同一極性の酸性物質または塩基性物質を加えて両化合物を析出させ、次いで化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と逆極性の酸性物質または塩基性物質を加えて水に再分散する工程を含ませ、顔料(A)が化合物(B)と化合物(C)とで被覆された粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散液を製造するのが最も好ましい。
【0050】
この結果、前記した様なマイクロカプセル型複合粒子が水性分散媒中に分散している形態を取らせることができ、水性顔料分散液として、分散到達レベルや分散安定性等の物性面や耐溶剤性等の使用適性の面で、より優れた特性を発揮させることができる。
【0051】
濾過工程の例には、前述した析出工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。再分散工程の例には、析出工程、濾過工程によって得られた固形分に逆極性の中和剤および必要により水や添加物を加えて再び分散液とする工程がある。
【0052】
こうして得られた本発明の水性顔料分散液は、例えば、水性インク、水性塗料等の各種着色用途において、着色濃度が高く、耐擦過性に優れた着色物を得ることが出来る。
【0053】
本発明の水性顔料分散液は、質量換算による分散粒子含有率1〜10%となる様に調製し水性顔料記録液とすることが出来る。この際には、上記したより濃厚な水性顔料分散液に対して必要に応じて水や水溶性有機溶剤等を加えて必要な分散粒子含有率となる様に希釈したり、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の水性インクの調製に必要な各種添加剤を併用することが出来る。また得られた水性顔料記録液は、必要に応じてミクロフィルターにより濾過をすることにより、インクジェット記録用に適したノズル目詰まり等の極めて少ない水性顔料記録液とすることが出来る。
【0054】
また、吐出方式に応じた組成に適宜調製することにより、ピエゾ方式でもサーマル方式でもいずれの方式にも対応できるインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を得ることが出来る。
【0055】
本発明の水性顔料記録液は、公知慣用の被記録媒体への記録に使用することが出来る。この様な被記録媒体としては、例えば普通紙、樹脂コート紙、混抄紙、合成樹脂フィルム等が挙げられる。中でも本発明の水性顔料記録液は、普通紙への記録に用いると、印字の様な記録を行った際に記録画像の着色濃度がより高くなり、より鮮明な記録を行うことが出来るので好ましい。
【0056】
【実施例】
以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
【0057】
<合成例1>(側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器に、メチルエチルケトン550部を加え、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸n−ブチル100部、アクリル酸n−ブチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル50部、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル215部、スチレン105部、および「パーブチルO」(有効成分:ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)50部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で6時間反応を継続させて、ガラス転移温度(Tg)30℃、アミン価100、重量平均分子量19,000の、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液(A−1)を得た。反応終了後、不揮発分を50%に調製した。
【0058】
<合成例2>(側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の合成)
合成例1と同じ装置を用い、反応容器にメチルエチルケトンを500部仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸n−ブチル150部、アクリル酸n−ブチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル50部、メタクリル酸80部、メタクリル酸メチル40部、スチレン150部、および「パーブチルO」50部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で6時間反応を継続させて、ガラス転移温度(Tg)60℃、酸価104、重量平均分子量20,000の、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液(A−2)を得た。反応終了後、不揮発分を50%に調製した。
【0059】
<合成例3> (混合高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−1)および(A−2)をそれぞれ40部および10部を混合し、この混合物中のA−1に基づくアミン価の過剰部分を2%塩酸81.5部で中和し、イオン交換水(希釈水)を加えて不揮発分20%の混合高分子化合物溶液(A−3)を得た。
【0060】
<合成例4> (側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−1)50部を、20%塩酸12.5部で中和し、イオン交換水を加えて不揮発分20%の高分子化合物溶液(A−4)を得た。
【0061】
<合成例5> (側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−2)50部を、20%水酸化カリウム水溶液13.0部で中和し、イオン交換水を加えて不揮発分20%の高分子化合物溶液(A−5)を得た。
【0062】
<実施例1> (マイクロカプセル型粒子を含有する水性顔料分散液)
前記混合高分子化合物溶液(A−3)を20部、ファストゲンブルーTGR(C.I.ピグメントブルー15:3、大日本インキ化学工業(株)製)8.0部、水6.0部とジルコニアビーズ200gを投入し、ペイントシェーカーで2時間分散した。これにより得られた水性顔料分散液から、濾過によりジルコニアビーズを除去した後、蒸留工程にて含有するメチルエチルケトンを除去した。次の析出工程において、この水性顔料分散液に5%水酸化カリウム水溶液をpH9となるように加えて、前記(A−3)に含まれる各有機高分子化合物を顔料表面上に析出させて、これを濾過してウエットケーキとした。次の再中和工程で、カチオン性基アミン価相当量の5%水酸化カリウム水溶液と、顔料分を10%とするのに必要な量の水を添加して、分散攪拌機(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて再分散し、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とで被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−1)を調製した。分散粒子の平均粒子径は、下記水性顔料記録液における測定値とほぼ同様であった。
【0063】
<比較例1>
高分子化合物溶液として(A−4)の同量(不揮発分換算)を用いる以外は、実施例1と同様にして、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物で被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−2)を得た。
【0064】
<比較例2>
高分子化合物溶液として(A−5)の同量(不揮発分換算)を用いる以外は、実施例1と同様にして、顔料が側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物で被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−3)を得た。
【0065】
<実施例2> 実施例1で得られた記録液用水性顔料分散液(B−1)を用い、特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、質量換算で分散粒子の含有率4%のインクジェット記録用水性インクを調製した。インク組成を以下に示す。
【0066】
水性顔料分散液 20部
トリエチレンク゛リコールモノフ゛チルエーテル 5部
シ゛エチレンク゛リコール 7.5部
サーフィノール465(エアフ゜ロタ゛クツ社製) 0.4部
水 17.1部
【0067】
<比較例3>
比較例1で得られた記録液用水性顔料分散液(B−3)を用い、上記実施例2の組成により、インクジェット記録用水性インクを調製した。
【0068】
<比較例4>
比較例2で得られた記録液用水性顔料分散液(B−4)を用い、上記実施例2の組成により、インクジェット記録用水性インクを調製した。
【0069】
このようにして調製した各インクについて、分散性および分散安定性はそれぞれ、調製直後および70℃の恒温槽中で3日間貯蔵後の分散粒子の平均粒子径で評価した。この平均粒子径はレーザードップラー式粒度分析計マイクロトラック(UPA150型、リーズ&ノースロップ社製)で測定したメディアン径とした。粘度はR型粘度計(R−500型、東機産業(株)製)を用い、貯蔵後のインクについて20℃で測定した。
【0070】
また、調製直後のインクを用い、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ(STYLUS C80セイコーエプソン(株)製)で普通紙(ハンマーミル社CopyPlus紙)にベタ印字したものを、GRETAGマクベス反射濃度計D196を用いてOD値を測定し、印字濃度(記録画像の着色濃度)で評価した。
【0071】
これらの結果を表1にまとめて示した。
【0072】
【表1】
表 1
【0073】
表1より、顔料と側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを含有した実施例2の水性顔料記録液では、低粘度かつ分散性および分散安定性に優れ、また普通紙への印字濃度が高いことがわかる。実施例1で調製された水性顔料分散液は、記録液用として適した水性顔料分散液であることが明らかである。
【0074】
【発明の効果】
本発明の水性顔料分散液は、顔料と側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物を含むので、水性顔料記録液を調製した際に、より低粘度かつ優れた分散性および分散安定性、また被記録媒体へ着色濃度高く記録を行うことが出来るという格別顕著な効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散液、その製造方法及び前記水性顔料分散液を含む水性顔料記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高精細度を要求される記録液には染料が用いられてきた。染料を用いた記録液は、高透明度、高精細度や優れた演色性などの特徴を有しているが、記録画像の耐光性及び耐水性等が不充分な点で問題を有する。
【0003】
近年、この様な記録画像の耐光性及び耐水性の問題を解決するために、染料に代えて、顔料を含む水性顔料分散液が製造されている。
【0004】
この様な水性顔料分散液としては、例えば、特開平5−331780号公報や、特開平6−240191号公報に記載のものが知られている。
【0005】
前者の水性顔料分散液は、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の様なカチオン性有機高分子化合物と、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物の様なアニオン系界面活性剤と、顔料とを含有するものである。
【0006】
一方、後者の水性顔料分散液は、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂の様なカチオン性有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物アニオン性有機高分子化合物と顔料とを含有するものである。
【0007】
そしてこれら公報に記載された水性顔料分散液の製造方法では、いずれも、カチオン性成分とアニオン性成分とで異極性かつ異なる化学構造を有するもの同士を併用しており、しかもこれらを同時に顔料と共に水性媒体中分散しているため、比較的高粘度となり、分散性や分散安定性も不十分となるという欠点を有している。
【0008】
また特開平8−333538号公報では、一分子中にアニオン性基とカチオン性基とを共に有する両性高分子化合物を用いた水性顔料分散液が記載されている。しかしながらこの公報に記載された水性顔料分散液も、アニオン性基含有単量体とカチオン性基含有単量体との二元共重合体であり、しかもこれらを同時に顔料と共に水性媒体中分散しているため、比較的高粘度となり、分散性や分散安定性も不十分となるという欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、記録液用として、低粘度で分散性や分散安定性にも優れた記録液用水性顔料分散液を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、カチオン性有機高分子化合物とアニオン性有機高分子化合物として、いずれも同種の化学構造を有するものを用いることで、これら極性が異なる高分子化合物を組み合わせた場合や両性高分子化合物を製造しようとした場合に頻発するゲル化や増粘を効果的に抑制でき、低粘度で分散性や分散安定性にも優れた水性顔料分散液が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とを含有することを特徴とする記録液用水性顔料分散液、予め側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させることを特徴とする記録液用水性顔料分散液の製造方法、及び前記した水性顔料分散液を含み、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%である水性顔料記録液を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の記録液用水性顔料分散液は、顔料(A)と、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物(B)と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物(C)とを少なくとも含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の水性顔料分散液の調製に用いる顔料(A)は、有機顔料或いは無機顔料であり、公知慣用のものがいずれも挙げられる。顔料(A)は、粉末状、顆粒状或いは塊状の乾燥顔料であっても良いし、ウエットケーキやスラリーであっても良い。
【0013】
本発明においてアクリル系有機高分子化合物とは、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを主成分として重合せしめた有機高分子化合物を意味する。また、アクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を包含する用語として(メタ)アクリル酸エステルを用いる。また水性媒体とは、水のみまたは水と水溶性有機溶剤との混合物で質量換算で60%以上の水を含んでいるものを言う。
【0014】
本発明の水性顔料分散液は、前記顔料(A)、化合物(B)及び同(C)を含有したものであれば良いが、化合物(B)と(C)は水性媒体中において溶解状態であるよりも分散状態であるほうが好ましい。
【0015】
水性顔料分散液の水性媒体に分散している粒子(分散粒子)は、顔料(A)粒子と、前記化合物(B)粒子及び化合物(C)の粒子であっても良いが、顔料(A)が前記化合物(B)及び化合物(C)の混合物で被覆された粒子である、マイクロカプセル型複合粒子であっても良い。そして水性顔料分散液には、前記分散粒子が、平均粒子径が50〜300nmとなる様に分散している。
【0016】
化合物(B)及び化合物(C)は、共通して、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含むものである。化合物(B)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他に側鎖にカチオン性基を含有した有機高分子化合物であり、この化合物(B)はアニオン性基を含有しない。一方、化合物(C)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他に側鎖にアニオン性基を含有した有機高分子化合物であり、この化合物(C)はカチオン性基を含有しない。これら化合物(B)及び(C)は、前記した要件を満足していれば、その他の必要な重合単位を含んでいても良い。
【0017】
本発明の水性顔料分散液に含まれる化合物(B)は、カチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と、これと共重合し得る(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも共重合させた重合単位を含む有機高分子化合物である。化合物(B)はその分子中の側鎖にカチオン性基を有するモノエチレン性不飽和単量体の重合単位に基づくカチオン性基が存在する。尚、カチオン性基とは、第1〜第3級の各種アミノ基であり、好ましくはジアルキルアミノ基やピリジル基の様な第3級アミノ基である。
【0018】
本発明において化合物(B)の調製に使用できるカチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−アミノプロピル、アクリル酸2−(メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(メチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(エチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、等のアミノアルキル(メタ)アクリル酸類、(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸類;N−(2−アミノエチル)アクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミドまたは(ジ)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ブテニルピリジン、等のビニルピリジン類が挙げられる。
【0019】
これらの単量体のうち好ましいのは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸類である。
【0020】
化合物(B)を製造する際に用いることが出来る、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
【0021】
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
【0022】
前記化合物(B)としては、アミン価70〜130のものが好ましい。
化合物(B)を製造する際の全単量体に含ませるカチオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体の使用割合は、化合物(B)のアミン価が前記好適範囲となる様に調整する。この様な好適な化合物(B)は、顔料(A)と水性媒体との両方への親和性のバランスに優れ、分散性や分散安定性にも優れたものとなる点で性能上好ましい。
【0023】
一方、本発明の水性顔料分散液に含まれる化合物(C)は、アニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と、これと共重合し得る(メタ)アクリル酸エステルとを少なくとも共重合させた重合単位を含む有機高分子化合物である。化合物(B)はその分子中の側鎖にアニオン性基を有するモノエチレン性不飽和単量体の重合単位に基づくアニオン性基が存在する。尚、アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基が挙げられ、好ましくはカルボキシル基やスルホン基、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲をより広く制御できる点で、最適にはカルボキシル基である。
【0024】
本発明において化合物(C)の調製に使用できるアニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えばカルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタアクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
【0025】
尚、前記アニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体と共重合し得る、(メタ)アクリル酸エステルやその他の単量体は、前記化合物(B)を調製する際に用いることが出来るものとして例示したのと同様のものが使用出来る。
【0026】
前記化合物(C)としては、酸価80〜150のものが好ましい。
化合物(C)を製造する際の全単量体に含ませるアニオン性基含有モノエチレン性不飽和単量体の使用割合は、化合物(C)の酸価が前記好適範囲となる様に調整する。この様な好適な化合物(C)は、顔料(A)と水性媒体との両方への親和性のバランスに優れ、分散性や分散安定性にも優れたものとなる点で性能上好ましい。
【0027】
前記化合物(B)及び(C)としては、いずれも、少なくとも(メタ)アクリル酸の炭素原子数4〜8のアルキルエステルからなる群から選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合単位と共に、スチレンの重合単位をも含有する有機高分子化合物を選択するのが好ましい。特に、質量換算で化合物(B)を製造する際の全単量体100部当たりスチレンが15〜35%であると、前記した効果に加えて耐候性に優れた記録画像が得られる点で性能上好ましい。
【0028】
さらに前記化合物(B)及び(C)は、いずれも、被記録媒体への定着性や耐擦過性等の観点から、ガラス転移温度(Tg)が20〜60℃であるものが好ましい。
【0029】
前記化合物(B)及び(C)は、いずれか一方または両方が、例えば、架橋部分を有していてもよいが、いずれも直鎖状分子であることが好ましい。化合物(B)及び(C)に架橋部分を含ませる場合には、直鎖分子が有する長所を損なわない様に架橋部分が極少量となる様にする。また架橋部分の有無に関わらず、化合物(B)や(C)がグラフト共重合体の様な分岐を有する分子の場合には、水性媒体中での温度や濃度による粘度変化が大きく分散安定性に優れた水性顔料分散液が得られ難い。従って、分散安定性に優れた水性顔料分散液を容易に得るには、化合物(B)と(C)は、やはりいずれも直鎖状分子の両化合物を用いることが好ましい。
【0030】
本発明に用いられる化合物(B)及び(C)は、前記した立体構造の相違も考慮に入れると、いずれも分子が直鎖状で重量平均分子量10,000〜50,000であることが好ましい。この範囲であれば、水性顔料分散液自体の分散安定性が良好であり、粘度も適切となる。また、この様な水性顔料分散液を用いて調製した水性顔料記録液は、例えばインクジェット記録用水性インクに適用した場合に、長期間安定した印字を行わせることが容易になる。
【0031】
かかる化合物(B)及び(C)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。化合物(B)及び(C)は、有機溶剤または水性媒体中で通常重合開始剤を用いて、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で前記単量体を重合させることで容易に得ることが出来る。
【0032】
こうして得られた化合物(B)及び(C)は、同時に水性媒体中に加えたり、或いは分散前に予め混合してから水性媒体中に加えて、顔料(A)の分散に用いることが出来る。しかしながら本発明においては、予め化合物(B)と(C)とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させて水性顔料分散液とすることが好ましい。
【0033】
化合物(B)と化合物(C)との混合割合において、化合物(B)と化合物(C)のイオン対しか形成しない様な場合〔化合物(B)のカチオン性基と化合物(C)のアニオン性基とが同量である場合〕には、より優れた分散性をもたせるために、それに酸性物質又は塩基性物質を併用することが出来る(第一の方法)。
【0034】
また、化合物(B)と化合物(C)のいずれか一方の基が過剰となる様な混合割合とし、かつ過剰の基とは逆極性の物質を併用する様にして、化合物(B)と化合物(C)とのイオン対の他に、化合物(B)または化合物(C)のいずれか一方の基と逆極性の酸性物質又は塩基性物質とのイオン対との両方のイオン対を形成させることも出来る(第二の方法)。第二の方法は、前記第一の方法の様に、さらなる酸性物質又は塩基性物質を加えなくても、より優れた分散性等を得られやすいので好ましい。
【0035】
酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられ、塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミン等の塩基性物質が挙げられる。勿論、これは水溶液として用いることも出来る。
【0036】
化合物(B)と(C)の混合割合は、化合物(B)中のカチオン性基量と化合物(C)中のアニオン性基量を考慮し、いずれか一方の基が過剰となる様に定めることが好ましい。その上で、具体的な化合物(B)と(C)の混合割合は、前記化合物(B)と(C)の混合物の場合にせよ、水性顔料分散液の場合にせよ、例えば不揮発分の質量比でいえば化合物(B)/(C)=80/20〜20/80とすることがより好ましい。中でも、顔料(A)としてカーボンブラックやフタロシアニン系顔料を用いる場合には、不揮発分の質量比が化合物(B)/(C)=70/30〜90/10とすることが、被記録媒体に対する記録画像の着色濃度をより高めることが出来る点で好ましい。
【0037】
本発明の水性顔料分散液の製造方法は、例えば下記する様な1)〜4)の方法に基づき実施することが出来る。
1)前記化合物(B)及び(C)を含む水性エマルジョンに顔料(A)を機械的に強制分散する水性顔料分散液の製造方法。
2)顔料(A)と前記化合物(B)と(C)と有機溶剤の混合物(但しこの混合物がアニオン性かカチオン性のいずれかを呈する様に両化合物を併用する)を、混合物をアニオン化させる場合は塩基性物質と水を、混合物をカチオン化させる場合は酸性物質と水を用いて徐徐に油相から水相に転相させてから脱溶剤して、顔料(B)が前記化合物(B)と(C)の混合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする水性顔料分散液の製造方法。
3)顔料(A)と前記化合物(B)と(C)と有機溶剤と水と、酸性物質又は塩基性物質との均一混合物(但しアニオン性かカチオン性のいずれかを呈する様に両化合物を併用し、混合物をアニオン化させる場合は塩基性物質を、混合物をカチオン化させる場合は酸性物質を併用する)から脱溶剤して、前記均一混合物と逆極性の酸性物質又は塩基性物質を加えて前記化合物(B)及び(C)を析出させ、顔料(A)と前記化合物(B)と(C)の相互作用を一層高め、その析出物を洗浄後、この析出物を均一混合物中に含まれていたのと同一極性の酸性物質又は塩基性物質と共に水性媒体に分散させて、顔料(A)が前記化合物(B)と(C)の混合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする水性顔料分散液の製造方法。
【0038】
本発明の水性顔料分散液の製造方法では、前記2)または3)の製造方法が最適である。
【0039】
本発明の水性顔料分散液を製造するには、用いる両化合物のアミン価と酸価に応じて、両者の混合物が電気的中性となるようにそれぞれの化合物(B)と(C)とを組み合わせることも出来るが、顔料(A)として無極性又は低極性のカーボンブラックやフタロシアニン系顔料を用いる場合には、この混合物として、化合物(B)と化合物(C)とを前者が過剰になる様に混合した混合物を用い、酸性物質を更に併用してカチオン化して水性顔料分散液を製造する方法が、水性顔料分散液の粘度をより低減できる点で好ましい。この様にすると、紙の様な被記録媒体への記録画像の濃度も高められる。
【0040】
特に前記2)または3)の製造方法において、上記手法を適用した製造方法が最適な効果をもたらす。
【0041】
本発明では、前記いずれの製造方法をとるにせよ、顔料(A)、化合物(B)、化合物(C)、前記化合物(B)と(C)とを混合した時の極性と逆極性の酸性物質又は塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませることが好ましい。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも顔料(A)、化合物(B)、化合物(C)、前記両化合物の混合物が呈する極性と逆極性の酸性物質又は塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程(分散工程)を含ませることが好ましい。
【0042】
分散工程においては、水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素原子数が3〜6のケトンおよび炭素原子数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は化合物(B)または(C)の溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0043】
本発明の水性顔料分散液の製造方法においては、顔料(A)/〔化合物(B)+化合物(C)(不揮発分の質量換算)〕=100/10〜100/100とするのが好ましい。最適には、質量換算で顔料(A)100部当たり、化合物(B)と化合物(C)の合計の不揮発分20〜65部かつ水性媒体835〜880部となる様に、上記した原料を用いて製造することが出来る。
【0044】
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
【0045】
本発明の水性顔料分散液としては、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たっては、顔料(A)が化合物(B)と化合物(C)とで被覆された粒子(即ち前記したマイクロカプセル型複合粒子)という形態で水性媒体中に分散していることが好ましい。
【0046】
このような状態を形成するため、相異なる極性を有する前記化合物(B)及び(C)を含有する液媒体中に顔料を分散させている状態において、前記の分散工程の後工程として、溶解状態にある化合物(B)及び(C)で顔料(A)表面を被覆する工程を組み込むことが好ましい。
【0047】
溶解状態にある化合物(B)及び(C)を顔料(A)表面に被覆させる工程としては、溶解している化合物(B)及び(C)を、溶液のpHを調整することにより顔料(A)表面で析出させる工程(析出工程)を設けることが好ましい。この工程により、顔料(A)と化合物(B)と化合物(C)との相互作用を高めることができる。
【0048】
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。
【0049】
本発明の製造方法においては、顔料(A)と化合物(B)と化合物(C)と、化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と逆極性の酸性物質または塩基性物質とを混合し分散させた後、化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と同一極性の酸性物質または塩基性物質を加えて両化合物を析出させ、次いで化合物(B)と化合物(C)とを混合した際の極性と逆極性の酸性物質または塩基性物質を加えて水に再分散する工程を含ませ、顔料(A)が化合物(B)と化合物(C)とで被覆された粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散液を製造するのが最も好ましい。
【0050】
この結果、前記した様なマイクロカプセル型複合粒子が水性分散媒中に分散している形態を取らせることができ、水性顔料分散液として、分散到達レベルや分散安定性等の物性面や耐溶剤性等の使用適性の面で、より優れた特性を発揮させることができる。
【0051】
濾過工程の例には、前述した析出工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。再分散工程の例には、析出工程、濾過工程によって得られた固形分に逆極性の中和剤および必要により水や添加物を加えて再び分散液とする工程がある。
【0052】
こうして得られた本発明の水性顔料分散液は、例えば、水性インク、水性塗料等の各種着色用途において、着色濃度が高く、耐擦過性に優れた着色物を得ることが出来る。
【0053】
本発明の水性顔料分散液は、質量換算による分散粒子含有率1〜10%となる様に調製し水性顔料記録液とすることが出来る。この際には、上記したより濃厚な水性顔料分散液に対して必要に応じて水や水溶性有機溶剤等を加えて必要な分散粒子含有率となる様に希釈したり、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の水性インクの調製に必要な各種添加剤を併用することが出来る。また得られた水性顔料記録液は、必要に応じてミクロフィルターにより濾過をすることにより、インクジェット記録用に適したノズル目詰まり等の極めて少ない水性顔料記録液とすることが出来る。
【0054】
また、吐出方式に応じた組成に適宜調製することにより、ピエゾ方式でもサーマル方式でもいずれの方式にも対応できるインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を得ることが出来る。
【0055】
本発明の水性顔料記録液は、公知慣用の被記録媒体への記録に使用することが出来る。この様な被記録媒体としては、例えば普通紙、樹脂コート紙、混抄紙、合成樹脂フィルム等が挙げられる。中でも本発明の水性顔料記録液は、普通紙への記録に用いると、印字の様な記録を行った際に記録画像の着色濃度がより高くなり、より鮮明な記録を行うことが出来るので好ましい。
【0056】
【実施例】
以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
【0057】
<合成例1>(側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器に、メチルエチルケトン550部を加え、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸n−ブチル100部、アクリル酸n−ブチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル50部、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル215部、スチレン105部、および「パーブチルO」(有効成分:ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)50部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で6時間反応を継続させて、ガラス転移温度(Tg)30℃、アミン価100、重量平均分子量19,000の、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液(A−1)を得た。反応終了後、不揮発分を50%に調製した。
【0058】
<合成例2>(側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物の合成)
合成例1と同じ装置を用い、反応容器にメチルエチルケトンを500部仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸n−ブチル150部、アクリル酸n−ブチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル50部、メタクリル酸80部、メタクリル酸メチル40部、スチレン150部、および「パーブチルO」50部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で6時間反応を継続させて、ガラス転移温度(Tg)60℃、酸価104、重量平均分子量20,000の、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液(A−2)を得た。反応終了後、不揮発分を50%に調製した。
【0059】
<合成例3> (混合高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−1)および(A−2)をそれぞれ40部および10部を混合し、この混合物中のA−1に基づくアミン価の過剰部分を2%塩酸81.5部で中和し、イオン交換水(希釈水)を加えて不揮発分20%の混合高分子化合物溶液(A−3)を得た。
【0060】
<合成例4> (側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−1)50部を、20%塩酸12.5部で中和し、イオン交換水を加えて不揮発分20%の高分子化合物溶液(A−4)を得た。
【0061】
<合成例5> (側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物溶液の調製)
前記溶液(A−2)50部を、20%水酸化カリウム水溶液13.0部で中和し、イオン交換水を加えて不揮発分20%の高分子化合物溶液(A−5)を得た。
【0062】
<実施例1> (マイクロカプセル型粒子を含有する水性顔料分散液)
前記混合高分子化合物溶液(A−3)を20部、ファストゲンブルーTGR(C.I.ピグメントブルー15:3、大日本インキ化学工業(株)製)8.0部、水6.0部とジルコニアビーズ200gを投入し、ペイントシェーカーで2時間分散した。これにより得られた水性顔料分散液から、濾過によりジルコニアビーズを除去した後、蒸留工程にて含有するメチルエチルケトンを除去した。次の析出工程において、この水性顔料分散液に5%水酸化カリウム水溶液をpH9となるように加えて、前記(A−3)に含まれる各有機高分子化合物を顔料表面上に析出させて、これを濾過してウエットケーキとした。次の再中和工程で、カチオン性基アミン価相当量の5%水酸化カリウム水溶液と、顔料分を10%とするのに必要な量の水を添加して、分散攪拌機(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて再分散し、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とで被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−1)を調製した。分散粒子の平均粒子径は、下記水性顔料記録液における測定値とほぼ同様であった。
【0063】
<比較例1>
高分子化合物溶液として(A−4)の同量(不揮発分換算)を用いる以外は、実施例1と同様にして、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物で被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−2)を得た。
【0064】
<比較例2>
高分子化合物溶液として(A−5)の同量(不揮発分換算)を用いる以外は、実施例1と同様にして、顔料が側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物で被覆された粒子となって水性媒体中に分散した水性顔料分散液(B−3)を得た。
【0065】
<実施例2> 実施例1で得られた記録液用水性顔料分散液(B−1)を用い、特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、質量換算で分散粒子の含有率4%のインクジェット記録用水性インクを調製した。インク組成を以下に示す。
【0066】
水性顔料分散液 20部
トリエチレンク゛リコールモノフ゛チルエーテル 5部
シ゛エチレンク゛リコール 7.5部
サーフィノール465(エアフ゜ロタ゛クツ社製) 0.4部
水 17.1部
【0067】
<比較例3>
比較例1で得られた記録液用水性顔料分散液(B−3)を用い、上記実施例2の組成により、インクジェット記録用水性インクを調製した。
【0068】
<比較例4>
比較例2で得られた記録液用水性顔料分散液(B−4)を用い、上記実施例2の組成により、インクジェット記録用水性インクを調製した。
【0069】
このようにして調製した各インクについて、分散性および分散安定性はそれぞれ、調製直後および70℃の恒温槽中で3日間貯蔵後の分散粒子の平均粒子径で評価した。この平均粒子径はレーザードップラー式粒度分析計マイクロトラック(UPA150型、リーズ&ノースロップ社製)で測定したメディアン径とした。粘度はR型粘度計(R−500型、東機産業(株)製)を用い、貯蔵後のインクについて20℃で測定した。
【0070】
また、調製直後のインクを用い、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ(STYLUS C80セイコーエプソン(株)製)で普通紙(ハンマーミル社CopyPlus紙)にベタ印字したものを、GRETAGマクベス反射濃度計D196を用いてOD値を測定し、印字濃度(記録画像の着色濃度)で評価した。
【0071】
これらの結果を表1にまとめて示した。
【0072】
【表1】
表 1
【0073】
表1より、顔料と側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを含有した実施例2の水性顔料記録液では、低粘度かつ分散性および分散安定性に優れ、また普通紙への印字濃度が高いことがわかる。実施例1で調製された水性顔料分散液は、記録液用として適した水性顔料分散液であることが明らかである。
【0074】
【発明の効果】
本発明の水性顔料分散液は、顔料と側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物を含むので、水性顔料記録液を調製した際に、より低粘度かつ優れた分散性および分散安定性、また被記録媒体へ着色濃度高く記録を行うことが出来るという格別顕著な効果を奏する。
Claims (6)
- 側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とを含有することを特徴とする記録液用水性顔料分散液。
- 側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とが、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とで被覆された粒子として含有する請求項1記載の水性顔料分散液。
- 予め側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合して混合物を得て、この混合物を顔料と共に水性媒体中に分散させることを特徴とする記録液用水性顔料分散液の製造方法。
- 前記混合物として、側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とを混合後の極性がカチオン性又はアニオン性を示す様に混合した混合物を用い、この混合物の極性と逆極性の酸性物質又は塩基性物質を更に併用する請求項3記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と、顔料とが、顔料が側鎖にカチオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物と側鎖にアニオン性基を有するアクリル系有機高分子化合物とで被覆された粒子として含有する請求項3記載の水性顔料分散液の製造方法。
- 請求項1の水性顔料分散液を含み、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%である水性顔料記録液。
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JP2009120640A (ja) * | 2007-11-12 | 2009-06-04 | Tokai Carbon Co Ltd | 親水性樹脂分散型カーボンブラックおよびその水性分散体の製造方法 |
JP2011508806A (ja) * | 2007-12-27 | 2011-03-17 | イーストマン コダック カンパニー | ポリマー分散剤で安定化された水性コロイド分散液 |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216503A patent/JP2004059625A/ja active Pending
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