JP2004058367A - ポリオレフィン製防音シート - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で柔軟性があり、かつ、防音性能を備え、耐候性及び防炎性に優れたポリオレフィン製防音シートを提供する。
【解決手段】2枚のポリオレフィン樹脂の延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィン、特にポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのラミネート層を設けてなり、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸、特に凹凸の高さの差が100μm以上の凹凸を形成してなることを特徴とするポリオレフィン製防音シートである。
【選択図】 なし
【解決手段】2枚のポリオレフィン樹脂の延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィン、特にポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのラミネート層を設けてなり、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸、特に凹凸の高さの差が100μm以上の凹凸を形成してなることを特徴とするポリオレフィン製防音シートである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン製防音シートに関し、さらに詳しくは、工事現場の足場用に使用される耐候性及び防炎性を備えた防音シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビル等の建築工事現場の周囲に張設される工事用シートとして、従来はポリエステルやナイロンなどのフィラメント糸を用いた織編布にポリ塩化ビニルを積層した通称塩ビシートが一般的に用いられている。そして、工事現場からの騒音が外部に漏れるのをできるだけ抑止するために、塩ビシートに無機充填剤を加えて高比重とし、質量則に従って遮音機能を向上させた防音シートが用いられていた。
【0003】
しかしながら、塩ビシートは燃焼時に有毒ガスが発生するという問題があるとともに、上記のように増重量化したシートは、通常目付重量が1100〜1300g/m2程度であって1.8×5.1mサイズで使用されていたものでは重量が10kgを超えて取り扱いが困難となり、その結果高所における展張作業などを容易にするために、仮設足場のスパンが5.1mピッチであるにも拘わらず1.8×3.4mに縮小したものが一般的になるなどの不都合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するために、近年、フィラメント成形性にすぐれ、有毒ガスの発生の恐れのないポリオレフィンからなる養生シートが試みられているが、ポリオレフィン延伸糸からなる織編布の両面にポリオレフィン層を積層したラミネートクロスでは防音効果が十分でなく、かつ、防音効果を向上させるためにラミネート厚みを増加させると柔軟性が低下して取り扱い性に劣るうえに縫製加工も困難になるなどという問題を生じ、さらに、ポリオレフィンは易燃焼性であるため工事用シートとしては耐候性及び防炎性を付与する必要があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、軽量で柔軟性があり、かつ、防音性能を備え、耐候性及び防炎性に優れたポリオレフィン製防音シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィンのラミネート層を設け、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸を形成することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィンのラミネート層を設けてなり、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸を形成してなることを特徴とするポリオレフィン製防音シート、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリオレフィン製延伸糸は、ポリオレフィンを用いて、公知の製造方法により形成された延伸糸である。延伸糸の糸条形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーンなどいずれも使用できるが、柔軟性の点からマルチフィラメントあるいはスプリットヤーンが好ましい。
【0008】
ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、メタロセン触媒により製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が用いられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。これらのうち、延伸効果により高強力が得られる、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン等が好ましい。
【0009】
上記ポリオレフィンの延伸糸の繊度としては、300〜3000デシテクス(以下、dtと記載)の範囲であり、好ましくは500〜2000dtの範囲でる。繊度が300dt未満では織編布としての機械的特性が不充分となり、3000dtを超えると柔軟性が劣り好ましくない。
【0010】
上記延伸糸を経緯糸に用いて、織編成し織編布を形成する。打込密度は10〜30本/2.54cmの範囲であり、好ましくは15〜20本/2.54cmの範囲である。織布の織組織としては、平織、綾織、絡み織、模紗織など種々の形状が使用され、編布としては、横編み、縦編みいずれでもよく、具体的にはトリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編等が挙げられる。
【0011】
本発明においては、上記織編布2枚を重ね合わせてその間に接着層を介して積層し積層体を形成する。2枚の織編布の構成は同一の織編布であってもよく、また異なる構成の織編布であってもよい。織編布の目付重量は、100〜800g/m2の範囲であり、好ましくは200〜600g/m2の範囲である。この目付重量が100g/m2未満では、工事用シートとして機械的強力が劣るとともに本発明の目的である防音効果の達成が困難となり、また、この目付重量が800g/m2を超えると重量が増加して取り扱い性が劣るとともに柔軟性が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明の防音シートを形成する方法としては、2枚の織編布の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けて積層した後に、その両面にラミネート層を設けた後、得られた積層体のラミネート層の片面にエンボス加工を施して凹凸を設ける方法、2枚の織編布の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けて積層した後に、一方の片面にはラミネート層を設け、他方の片面には凹凸を設けたフイルムを貼り合わせてラミネート層を設ける方法、予め織編布の片面にラミネート層を設けた積層体の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けた後、得られた積層体のラミネート層の片面にエンボス加工を施して凹凸を設ける方法、予め一方の織編布の片面にラミネート層を設け、他方の織編布の片面に凹凸を設けたフイルムを貼り合わせてラミネート層を設ける方法等が挙げられる。上記エンボス加工は、例えば、所定の型形状を有する一対の雄型及び雌型の間に上記積層体を挿入し、熱圧することによって、簡単に行うことができる。
【0013】
上記接着層を形成する方法としてはポリオレフィンを用いたサンドイッチラミネート法が好ましく、接着層の厚みとしては、30〜200μmの範囲であり、好ましくは50〜150μmの範囲である。接着層の厚みが30μm未満では、接着力が不十分となり好ましくなく、また200μmを越えると剛性が増して好ましくない。
【0014】
上記積層体の両面にはポリオレフィンからなるラミネート層が設けられる。ラミネート層を設ける方法としては、押出ラミネート法または貼り合わせ法が好ましい。ラミネート層の厚みは、一方の平坦なラミネート層は50〜400μmの範囲、好ましくは100〜200μmの範囲であり、他方の凹凸を設けるラミネート層は100μm以上、好ましくは100〜2000μmの範囲である。上記凹凸の高さの差は100μm以上、好ましくは100〜1000μmの範囲であり、また凹部の幅は0.3mm以上、好ましくは0.5〜2mmの範囲であり、さらに凹凸の間隔は0.5mm以上、好ましくは0.7〜2mmの範囲ある。この凹凸の高さの差が100μm未満で、凹部の幅が0.3mm未満、凹凸の間隔が0.5mm未満では、この凹凸部での防音効果が低下するので、好ましくない。
【0015】
上記接着層及びラミネート層に用いるポリオレフィンとしては、従来押出ラミネート法で用いられるポリオレフィンが用いられるが、織編布との接着性の点から織編布を構成するポリオレフィン延伸糸と同種・同系のポリオレフィンが好ましい。具体的には、延伸糸がポリプロピレンであればポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等が好ましく、延伸糸が高密度ポリエチレンであれば直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。これらは単独或いは2種以上の混合物として用いてもよい。
これらのうちでは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが柔軟性の点、及び制振作用の点から最も好ましい。
【0016】
上記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPOと記載することがある)は、ポリプロピレンやポリエチレン等の結晶性ポリオレフィン成分と、エチレンープロピレン共重合体等のゴム成分からなる樹脂組成物であってさせて得る、従来は両成分のブレンド型またはその架橋型TPOが知られており、近年、両成分をエチレン、プロピレン及び必要に応じてジエンを多段重合により共重合(EPDM(エチレンープロピレンージエンメチレン結合))させて得ることができるリアクター型TPOが知られている。
これらのうちでは、リアクター型TPOが好ましく、リアクター型TPOの市販品としては、「NEWCON」(チッソ株式会社製)、「キャタロイ」(商品名:モンテル・エスディケイ・サンライズ「MSS」株式会社製)、「P.E.R」(商品名:トクヤマ株式会社製)、「CAP350」(宇部興産株式会社製)などが挙げられる。
【0017】
前記ラミネート層を構成するポリオレフィンには、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはポリウレタン系熱可塑性エラストマーから選ばれた少なくとも1種を添加するのが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、「ハイブラー」、「セプトン」(商品名:株式会社クラレ製)などが挙げられ、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、「クラミロンU」(商品名:株式会社クラレ製)などが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、結晶性成分とゴム成分から構成されており、その構成により伝えられた振動を素早く減衰させる制振性能を有しており、これらの添加により透過損失が大きくなり、防音性が向上する。
【0018】
上記熱可塑性エラストマーの添加量は、ラミネート層を構成するポリオレフィンに対して5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。添加量が5重量%未満では、添加による防音性の向上が十分でなく、50重量%を超えるとラミネート層と織編布との接着性が低下して好ましくない。
【0019】
本発明の防音シートは、総厚みが1mm以上、好ましくは1〜3mmの範囲が好適である。総厚みが1mm以上であることを達成するために、織編布の目付重量がそれぞれ異なっていてもよく、また、両面のラミネート層の厚みがそれぞれ異なっていてもよい。総厚み1mmであることは、工事用養生シートとして使用する場合の防音効果、強度、風によるはためきを抑止できる適度の重量等を勘案して要求される特性である。
【0020】
上記防音シートの目付重量は、500〜1000g/m2が好ましく、550〜700g/m2がより好ましい。目付重量が500g/m2未満では本発明の目的である防音効果の達成が困難となり、目付重量が1000g/m2を超えると重量が増加して取り扱い性が劣るとともに柔軟性が低下して好ましくない。
【0021】
本発明において使用される難燃剤は、ハロゲン系、リン系、無機系等公知の難燃剤が適宜用いられるが、高温での加工性、難燃効果に優れ、低廉であるものとしてハロゲン系難燃剤が好ましく、とりわけ臭素系難燃剤が好ましい。
【0022】
臭素系難燃剤としては、テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ビスジブロモプロピルエーテルテトラブロモビスフェノールS等の芳香族系臭素系難燃剤、ヘキサブロムシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン等の脂環族系臭素系難燃剤、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド等の液状臭素系難燃剤等が挙げられる。
これらは単独或いは2種以上の混合物としても用いられる。
【0023】
上記臭素系難燃剤の配合割合は、防音シート総重量に対して1〜10重量%の範囲であり、好ましくは2〜6重量%の範囲である。配合割合が1重量%未満では難燃性が不十分となり、10重量%より多いと難燃性の効果はそれ以上向上せず、逆にコストが上昇するので経済的でない。難燃剤はラミネート層に配合するが、ラミネート層に上記配合割合で配合するのが困難である場合には、接着性を損なわない範囲で接着層にも配合して上記配合割合となるようにしてもよい。
【0024】
上記臭素系難燃剤に対して、難燃助剤として三酸化アンチモンを併用するのが難燃化効果を向上させる点で好ましい。臭素系難燃剤と三酸化アンチモンの配合比は特に限定されるものではないが、2:1〜3:1が好ましい。
【0025】
このようにして得られたポリオレフィン製防音シートは、JISA8952に規定する防炎性規格に合格する性能を有しているものが好ましい。
【0026】
また、本発明のポリオレフィン製防音シートは屋外で使用され、日光に晒されるために長時間使用する場合には、耐候性が必要とされている。この耐候性を改良する方法としては、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤を添加する方法を採用することもできる。
【0027】
紫外線吸収剤の具体例としては、具体的には2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ −5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′−5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の配合割合は、ポリエチレンに対して好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0028】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物等が挙げられる。光安定剤の配合割合は、ポリエチレンに対して好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0029】
本発明に用いられるポリオレフィンには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、核剤、発泡剤、分散剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0030】
【実施例】
実施例1
繊度が760dtのポリプロピレン製マルチフィラメントを経緯糸に用いて、打込密度20×20本/2.54cmで平織に織成した織布Aと、繊度が1510dtのポリプロピレン製マルチフィラメントを経緯糸に用いて、打込密度16×16本/2.54cmで平織に織成した織布Bを形成した。
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:NEWCON−NNT2005、チッソ株式会社製)90重量%、難燃剤として、デカブロムジフェニルオキサイド:ビスジブロモプロピルエーテルテトラブロモビスフェノールS:三酸化アンチモンを1:1:1で配合したマスターバッチ(難燃剤濃度40重量%)10重量%の混合物にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5重量%を用いた。
【0031】
防音シートの製造方法としては、まず、上記織布Aの片面に上記ラミネート層用ポリオレフィン混合物を用いて、押出ラミネート法により厚み100μmのラミネート層を設け、同様にして織布Bの片面に厚み100μmのラミネート層を設けた基布を形成した。ついで、前記両基布の織布面を重ね合わせ、その間に上記接着層用ポリオレフィン混合物を用いて、サンドイッチラミネート法により厚み60μmの接着層を設けて積層体を形成した。この積層体の片面に熱圧によるエンボス加工を施し、凹凸の高さの差が200μm、凹部の幅が1mm、凹凸の間隔が1.5mmの凹凸を形成した。
【0032】
このようにして得られた積層体は、厚みが1.10mmで、目付重量は550g/m2であった。そして、その透過損失を測定したところ、音源からの直接測定値が80デシベル(以下、dBと記載)であったところ、凹凸側を表側にした積層体通過後は32dBであった。また、JISA8952に規定する防炎性規格に合格するものであった。
上記積層体は、柔軟性もすぐれ、折り畳み加工、ミシン縫製、4枚重ねたままハトメ打ちが可能であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0033】
実施例2
ラミネート層用ポリオレフィンにスチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:ハイブラー、株式会社クラレ製)30重量%を添加したこと以外は実施例1と同様に行った。得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は30dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0034】
実施例3
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:キャタロイKS−357P、MSS株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は31dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0035】
実施例4
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、プロピレンーエチレンランダム共重合体(エチレン含有量:6モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は34dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0036】
比較例1
紫外線吸収剤を添加せず、且つ、得られる積層体の片面にエンボス加工を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして行った。
その結果、得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は42dBであり、また長期間にわたる耐候性は不十分であった。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリオレフィン製防音シートは、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着する接着層及び表裏面のポリオレフィンからなるラミネート層から構成され、その表面のラミネート層に凹凸を形成して、総厚みが1mm以上で、かつ目付重量が500g/m2以上、かつ、ラミネート層は難燃剤及び耐候剤を含有してなるものである。さらに、無機充填剤などを配合していないために軽量であり、柔軟性があって折り畳み加工、ミシン縫製、4枚重ねたままのハトメ打ちが可能になるなどの効果を奏し、かつ防炎性及び耐候性を備えた優れたポリオレフィン製防音シートが得られた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン製防音シートに関し、さらに詳しくは、工事現場の足場用に使用される耐候性及び防炎性を備えた防音シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビル等の建築工事現場の周囲に張設される工事用シートとして、従来はポリエステルやナイロンなどのフィラメント糸を用いた織編布にポリ塩化ビニルを積層した通称塩ビシートが一般的に用いられている。そして、工事現場からの騒音が外部に漏れるのをできるだけ抑止するために、塩ビシートに無機充填剤を加えて高比重とし、質量則に従って遮音機能を向上させた防音シートが用いられていた。
【0003】
しかしながら、塩ビシートは燃焼時に有毒ガスが発生するという問題があるとともに、上記のように増重量化したシートは、通常目付重量が1100〜1300g/m2程度であって1.8×5.1mサイズで使用されていたものでは重量が10kgを超えて取り扱いが困難となり、その結果高所における展張作業などを容易にするために、仮設足場のスパンが5.1mピッチであるにも拘わらず1.8×3.4mに縮小したものが一般的になるなどの不都合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するために、近年、フィラメント成形性にすぐれ、有毒ガスの発生の恐れのないポリオレフィンからなる養生シートが試みられているが、ポリオレフィン延伸糸からなる織編布の両面にポリオレフィン層を積層したラミネートクロスでは防音効果が十分でなく、かつ、防音効果を向上させるためにラミネート厚みを増加させると柔軟性が低下して取り扱い性に劣るうえに縫製加工も困難になるなどという問題を生じ、さらに、ポリオレフィンは易燃焼性であるため工事用シートとしては耐候性及び防炎性を付与する必要があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、軽量で柔軟性があり、かつ、防音性能を備え、耐候性及び防炎性に優れたポリオレフィン製防音シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィンのラミネート層を設け、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸を形成することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィンのラミネート層を設けてなり、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸を形成してなることを特徴とするポリオレフィン製防音シート、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリオレフィン製延伸糸は、ポリオレフィンを用いて、公知の製造方法により形成された延伸糸である。延伸糸の糸条形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーンなどいずれも使用できるが、柔軟性の点からマルチフィラメントあるいはスプリットヤーンが好ましい。
【0008】
ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、メタロセン触媒により製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が用いられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。これらのうち、延伸効果により高強力が得られる、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン等が好ましい。
【0009】
上記ポリオレフィンの延伸糸の繊度としては、300〜3000デシテクス(以下、dtと記載)の範囲であり、好ましくは500〜2000dtの範囲でる。繊度が300dt未満では織編布としての機械的特性が不充分となり、3000dtを超えると柔軟性が劣り好ましくない。
【0010】
上記延伸糸を経緯糸に用いて、織編成し織編布を形成する。打込密度は10〜30本/2.54cmの範囲であり、好ましくは15〜20本/2.54cmの範囲である。織布の織組織としては、平織、綾織、絡み織、模紗織など種々の形状が使用され、編布としては、横編み、縦編みいずれでもよく、具体的にはトリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編等が挙げられる。
【0011】
本発明においては、上記織編布2枚を重ね合わせてその間に接着層を介して積層し積層体を形成する。2枚の織編布の構成は同一の織編布であってもよく、また異なる構成の織編布であってもよい。織編布の目付重量は、100〜800g/m2の範囲であり、好ましくは200〜600g/m2の範囲である。この目付重量が100g/m2未満では、工事用シートとして機械的強力が劣るとともに本発明の目的である防音効果の達成が困難となり、また、この目付重量が800g/m2を超えると重量が増加して取り扱い性が劣るとともに柔軟性が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明の防音シートを形成する方法としては、2枚の織編布の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けて積層した後に、その両面にラミネート層を設けた後、得られた積層体のラミネート層の片面にエンボス加工を施して凹凸を設ける方法、2枚の織編布の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けて積層した後に、一方の片面にはラミネート層を設け、他方の片面には凹凸を設けたフイルムを貼り合わせてラミネート層を設ける方法、予め織編布の片面にラミネート層を設けた積層体の間にサンドイッチラミネート法で接着層を設けた後、得られた積層体のラミネート層の片面にエンボス加工を施して凹凸を設ける方法、予め一方の織編布の片面にラミネート層を設け、他方の織編布の片面に凹凸を設けたフイルムを貼り合わせてラミネート層を設ける方法等が挙げられる。上記エンボス加工は、例えば、所定の型形状を有する一対の雄型及び雌型の間に上記積層体を挿入し、熱圧することによって、簡単に行うことができる。
【0013】
上記接着層を形成する方法としてはポリオレフィンを用いたサンドイッチラミネート法が好ましく、接着層の厚みとしては、30〜200μmの範囲であり、好ましくは50〜150μmの範囲である。接着層の厚みが30μm未満では、接着力が不十分となり好ましくなく、また200μmを越えると剛性が増して好ましくない。
【0014】
上記積層体の両面にはポリオレフィンからなるラミネート層が設けられる。ラミネート層を設ける方法としては、押出ラミネート法または貼り合わせ法が好ましい。ラミネート層の厚みは、一方の平坦なラミネート層は50〜400μmの範囲、好ましくは100〜200μmの範囲であり、他方の凹凸を設けるラミネート層は100μm以上、好ましくは100〜2000μmの範囲である。上記凹凸の高さの差は100μm以上、好ましくは100〜1000μmの範囲であり、また凹部の幅は0.3mm以上、好ましくは0.5〜2mmの範囲であり、さらに凹凸の間隔は0.5mm以上、好ましくは0.7〜2mmの範囲ある。この凹凸の高さの差が100μm未満で、凹部の幅が0.3mm未満、凹凸の間隔が0.5mm未満では、この凹凸部での防音効果が低下するので、好ましくない。
【0015】
上記接着層及びラミネート層に用いるポリオレフィンとしては、従来押出ラミネート法で用いられるポリオレフィンが用いられるが、織編布との接着性の点から織編布を構成するポリオレフィン延伸糸と同種・同系のポリオレフィンが好ましい。具体的には、延伸糸がポリプロピレンであればポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等が好ましく、延伸糸が高密度ポリエチレンであれば直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。これらは単独或いは2種以上の混合物として用いてもよい。
これらのうちでは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが柔軟性の点、及び制振作用の点から最も好ましい。
【0016】
上記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPOと記載することがある)は、ポリプロピレンやポリエチレン等の結晶性ポリオレフィン成分と、エチレンープロピレン共重合体等のゴム成分からなる樹脂組成物であってさせて得る、従来は両成分のブレンド型またはその架橋型TPOが知られており、近年、両成分をエチレン、プロピレン及び必要に応じてジエンを多段重合により共重合(EPDM(エチレンープロピレンージエンメチレン結合))させて得ることができるリアクター型TPOが知られている。
これらのうちでは、リアクター型TPOが好ましく、リアクター型TPOの市販品としては、「NEWCON」(チッソ株式会社製)、「キャタロイ」(商品名:モンテル・エスディケイ・サンライズ「MSS」株式会社製)、「P.E.R」(商品名:トクヤマ株式会社製)、「CAP350」(宇部興産株式会社製)などが挙げられる。
【0017】
前記ラミネート層を構成するポリオレフィンには、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはポリウレタン系熱可塑性エラストマーから選ばれた少なくとも1種を添加するのが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、「ハイブラー」、「セプトン」(商品名:株式会社クラレ製)などが挙げられ、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、「クラミロンU」(商品名:株式会社クラレ製)などが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、結晶性成分とゴム成分から構成されており、その構成により伝えられた振動を素早く減衰させる制振性能を有しており、これらの添加により透過損失が大きくなり、防音性が向上する。
【0018】
上記熱可塑性エラストマーの添加量は、ラミネート層を構成するポリオレフィンに対して5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。添加量が5重量%未満では、添加による防音性の向上が十分でなく、50重量%を超えるとラミネート層と織編布との接着性が低下して好ましくない。
【0019】
本発明の防音シートは、総厚みが1mm以上、好ましくは1〜3mmの範囲が好適である。総厚みが1mm以上であることを達成するために、織編布の目付重量がそれぞれ異なっていてもよく、また、両面のラミネート層の厚みがそれぞれ異なっていてもよい。総厚み1mmであることは、工事用養生シートとして使用する場合の防音効果、強度、風によるはためきを抑止できる適度の重量等を勘案して要求される特性である。
【0020】
上記防音シートの目付重量は、500〜1000g/m2が好ましく、550〜700g/m2がより好ましい。目付重量が500g/m2未満では本発明の目的である防音効果の達成が困難となり、目付重量が1000g/m2を超えると重量が増加して取り扱い性が劣るとともに柔軟性が低下して好ましくない。
【0021】
本発明において使用される難燃剤は、ハロゲン系、リン系、無機系等公知の難燃剤が適宜用いられるが、高温での加工性、難燃効果に優れ、低廉であるものとしてハロゲン系難燃剤が好ましく、とりわけ臭素系難燃剤が好ましい。
【0022】
臭素系難燃剤としては、テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ビスジブロモプロピルエーテルテトラブロモビスフェノールS等の芳香族系臭素系難燃剤、ヘキサブロムシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン等の脂環族系臭素系難燃剤、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド等の液状臭素系難燃剤等が挙げられる。
これらは単独或いは2種以上の混合物としても用いられる。
【0023】
上記臭素系難燃剤の配合割合は、防音シート総重量に対して1〜10重量%の範囲であり、好ましくは2〜6重量%の範囲である。配合割合が1重量%未満では難燃性が不十分となり、10重量%より多いと難燃性の効果はそれ以上向上せず、逆にコストが上昇するので経済的でない。難燃剤はラミネート層に配合するが、ラミネート層に上記配合割合で配合するのが困難である場合には、接着性を損なわない範囲で接着層にも配合して上記配合割合となるようにしてもよい。
【0024】
上記臭素系難燃剤に対して、難燃助剤として三酸化アンチモンを併用するのが難燃化効果を向上させる点で好ましい。臭素系難燃剤と三酸化アンチモンの配合比は特に限定されるものではないが、2:1〜3:1が好ましい。
【0025】
このようにして得られたポリオレフィン製防音シートは、JISA8952に規定する防炎性規格に合格する性能を有しているものが好ましい。
【0026】
また、本発明のポリオレフィン製防音シートは屋外で使用され、日光に晒されるために長時間使用する場合には、耐候性が必要とされている。この耐候性を改良する方法としては、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤を添加する方法を採用することもできる。
【0027】
紫外線吸収剤の具体例としては、具体的には2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ −5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′−5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の配合割合は、ポリエチレンに対して好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0028】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物等が挙げられる。光安定剤の配合割合は、ポリエチレンに対して好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0029】
本発明に用いられるポリオレフィンには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、核剤、発泡剤、分散剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0030】
【実施例】
実施例1
繊度が760dtのポリプロピレン製マルチフィラメントを経緯糸に用いて、打込密度20×20本/2.54cmで平織に織成した織布Aと、繊度が1510dtのポリプロピレン製マルチフィラメントを経緯糸に用いて、打込密度16×16本/2.54cmで平織に織成した織布Bを形成した。
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:NEWCON−NNT2005、チッソ株式会社製)90重量%、難燃剤として、デカブロムジフェニルオキサイド:ビスジブロモプロピルエーテルテトラブロモビスフェノールS:三酸化アンチモンを1:1:1で配合したマスターバッチ(難燃剤濃度40重量%)10重量%の混合物にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5重量%を用いた。
【0031】
防音シートの製造方法としては、まず、上記織布Aの片面に上記ラミネート層用ポリオレフィン混合物を用いて、押出ラミネート法により厚み100μmのラミネート層を設け、同様にして織布Bの片面に厚み100μmのラミネート層を設けた基布を形成した。ついで、前記両基布の織布面を重ね合わせ、その間に上記接着層用ポリオレフィン混合物を用いて、サンドイッチラミネート法により厚み60μmの接着層を設けて積層体を形成した。この積層体の片面に熱圧によるエンボス加工を施し、凹凸の高さの差が200μm、凹部の幅が1mm、凹凸の間隔が1.5mmの凹凸を形成した。
【0032】
このようにして得られた積層体は、厚みが1.10mmで、目付重量は550g/m2であった。そして、その透過損失を測定したところ、音源からの直接測定値が80デシベル(以下、dBと記載)であったところ、凹凸側を表側にした積層体通過後は32dBであった。また、JISA8952に規定する防炎性規格に合格するものであった。
上記積層体は、柔軟性もすぐれ、折り畳み加工、ミシン縫製、4枚重ねたままハトメ打ちが可能であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0033】
実施例2
ラミネート層用ポリオレフィンにスチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:ハイブラー、株式会社クラレ製)30重量%を添加したこと以外は実施例1と同様に行った。得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は30dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0034】
実施例3
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:キャタロイKS−357P、MSS株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は31dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0035】
実施例4
ラミネート層用及び接着層用ポリオレフィンとして、プロピレンーエチレンランダム共重合体(エチレン含有量:6モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。
得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は34dBであった。また、柔軟性も良好であり、工事現場の足場に展張されて防炎性に優れた防音シートとして好適に使用され、長期間にわたり、耐候性に優れていた。
【0036】
比較例1
紫外線吸収剤を添加せず、且つ、得られる積層体の片面にエンボス加工を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして行った。
その結果、得られた積層体の透過損失は、音源からの直接測定値が80dBであったところ、積層体通過後は42dBであり、また長期間にわたる耐候性は不十分であった。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリオレフィン製防音シートは、2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着する接着層及び表裏面のポリオレフィンからなるラミネート層から構成され、その表面のラミネート層に凹凸を形成して、総厚みが1mm以上で、かつ目付重量が500g/m2以上、かつ、ラミネート層は難燃剤及び耐候剤を含有してなるものである。さらに、無機充填剤などを配合していないために軽量であり、柔軟性があって折り畳み加工、ミシン縫製、4枚重ねたままのハトメ打ちが可能になるなどの効果を奏し、かつ防炎性及び耐候性を備えた優れたポリオレフィン製防音シートが得られた。
Claims (3)
- 2枚のポリオレフィン延伸糸からなる織編布を接着層を介して積層した積層体の両面に難燃剤及び耐候剤を含有したポリオレフィンのラミネート層を設けてなり、且つ、少なくとも一方のラミネート層に凹凸を形成してなることを特徴とするポリオレフィン製防音シート。
- 上記ラミネート層を構成するポリオレフィンがポリオレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項1記載のポリオレフィン製防音シート。
- ラミネート層の凹凸の高さの差が100μm以上である請求項1記載のポリオレフィン製防音シート。
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JP2002217943A JP2004058367A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | ポリオレフィン製防音シート |
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JP2017089227A (ja) * | 2015-11-10 | 2017-05-25 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 吸音積層体並びにその製造方法及び取付方法、吸音積層体を含む道路用吸音ユニット、並びに吸音積層体が取り付けられた建築構造物 |
JP2017196892A (ja) * | 2016-04-21 | 2017-11-02 | 萩原工業株式会社 | 成形加工用フラットヤーンラミネートシート及び成形加工品 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217943A patent/JP2004058367A/ja active Pending
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