JP2004055015A - 光学記録方法及び光学記録再生媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも記録トラックに沿ってピットとグルーブが形成されて成る光学記録再生媒体の製造用原盤に対するパターン露光を行う光学記録方法にあって、製造用原盤上の感光層に対して記録用の露光ビームをパターン照射する際に、光学記録再生媒体のグルーブ16の幅wg がこのグルーブ16のトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下となり、グルーブ16の深さdg が19nm以上31nm以下となるようにパターン照射を行う。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば原盤用基板上に形成された感光層に対してレーザ光等の記録用ビームを照射することにより、感光層に記録用ビームの照射軌跡に応じた記録パターンを形成(描画)する光学記録方法及び光学記録再生媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD(Compact Disc)やLD(Laser Disc)等の再生専用形の光ディスク、MD(Mini Disc: 登録商標、ソニー(株))等プリフォーマットとしての離散的情報パターンやトラッキング用の案内溝(グルーブ)が予め形成された書き込み可能な光ディスク、或いはDVD−RW(登録商標)ディスク等の各種ディスク状の光学記録再生媒体が提案されている。このような光ディスクの製造プロセスは、ピットやグルーブ等の所望の凹凸パターンに応じた表面形状を有する金属原盤(スタンパ)を作製する工程、いわゆる原盤工程と、このスタンパの表面凹凸形状をディスク用の基板に転写して形成してから光ディスクとして製品化するまでの工程に大別される。
【0003】
このうち、上記原盤工程においては、表面を研磨したガラス円盤等の原盤用基板を洗浄、乾燥した後、この原盤用基板上に感光材料であるフォトレジストを塗布形成し、次いでこのフォトレジストに対してレーザビーム等の光ビームによる露光を行うことによってピットやグルーブの形成パターンに応じた凹凸パターンを記録する方法が一般的に使用されている。このパターン露光によってフォトレジストに形成された潜像はこの後の現像工程によって現像液滴下により現像され、得られた凹凸パターンが電鋳によって金属表面に転写されてスタンパが作製される。このような光ビームによる露光によって凹凸パターンを記録する方法では、サブミクロンオーダーで所定のパターンをフォトレジスト表面に忠実に転写することが要求される。
【0004】
ところで、上述したCDやLD等の再生専用形の光ディスク、MDやDVD−RWディスク等グルーブ自体を記録トラックとして使用する光ディスクにおいては、最適なピット幅やグルーブ幅が異なる。上述したように、通常の光ディスクの製造過程では露光ビームの照射によりピットやグルーブを形成するため、これらピット幅やグルーブ幅は露光ビームのスポット径によって決まる。
【0005】
一例として、露光ビームのスポット径によりパターン幅を制御する従来技術を、MDのフォーマットを例にして図7を参照して説明する。図7は、MDのフォーマットの一部を拡大して示したものである。MDには、グルーブ以外にリードイントラックすなわち記録トラックに、CDと同様に、TOC(Table Of Contents )情報等の所定周期のパルス信号等が予め記録されている。
【0006】
従って、図7に示すように、プリフォーマットされた光ディスクには、ピット61が形成された領域と幅広のグルーブ62とが存在することになる。この図7に示されるように、グルーブ62の幅w1 は、ピット61の幅w2 より広いものとされ、ピットに比し幅広のグルーブ内にデータを記録する。一般的に、比較的幅の狭いいわゆる幅狭グルーブ内にデータを記録すると、グルーブが狭いためにノイズが増え、S/Nが低下し、一方、ランドにデータを記録すると、ディスクの半径方向で隣合うグルーブの位相が一致していないために、ランドの幅が常に変化するので、再生信号のゆらぎが大きくなるという欠点がある。
よって、ある程度幅広のグルーブ内にデータを記録することによって、S/Nの低下、並びに再生信号のゆらぎを防止することが可能となる。
【0007】
そして本出願人の出願に係わる先願特許(特許第2960018号)では、このような幅狭のピット61と幅広のグルーブ62との両方をディスク(原盤)に形成する場合に、両者を1個の記録ビームで形成できる方法を提案した。すなわち、図7においてグルーブ62上に、記録スポット63が移動する様子を模式的に矢印eで示すように、幅広グルーブ部分をパターン露光する際に、記録スポット63を幅方向に振動するように軌跡を描き、グルーブエリア内を多重露光する方法を採ることによって、グルーブ幅を広げ、これにより充分な再生信号量を得ることができる。一方ピット61を記録する場合は、矢印fで示すように、幅方向に振動することなく所定のパターン露光を行うようにして、結果的に1個の記録ビームによるパターン露光を可能としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高密度光ディスクのDVD−RWでは、
(1)リーダブルピット ・・・ウォブルしたU−形状の深いピット
(2)アンリーダブルピット ・・・ウォブルしたU−形状のピット
(3)データ記録部のグルーブ・・・U−形状の浅いウォブルグルーブ
の3種の凹凸パターンを形成するフォーマットが提案され、異なる3種のフォーマットによる凹凸パターンを基板上に形成することが求められている。ここで、U−形状とは、記録トラックを横切る半径方向の断面をU字状とする形状を表現したものである。
【0009】
ここで、リーダブルピットには、例えばディスク自体の情報としてTOC(Table of Contents) 情報或いは所定周期のパルス信号等の情報が記録され、アンリーダブルピットには、例えばコピープロテクト等の情報が記録される。
ピットの深さは、再生用光の波長λに対しλ/4の深さとすることが望ましく、また、記録層や誘電体層などを成膜する際に、記録トラックに沿う方向とディスクの半径方向との2方向において埋め込まれることから、ある程度の深さが必要となる。
一方、グルーブについては、例えば記録層を相変化材料より構成する場合は、その相変化信号が、グルーブを比較的浅くするとジッターが改善されることがわかってきた。
このため、上述したようにリーダブルピットは比較的深く、グルーブは比較的浅くするようになされている。
【0010】
さらに、アンリーダブルピット形成部と、データ記録部(浅いウォブルグルーブ)との両ランドに、孤立するマークとしてのランドプリピット(LPP)を設けるフォーマットも提案されている。このランドプリピットは、例えばデータ記録時の高精度位置決め情報、また記録アドレスやその他の記録に必要な情報の取得等のために設けられている。
【0011】
しかし、このようなピットと浅いグルーブを形成する場合、一般的にはピットはフォトレジストの感光が充分に行われるように露光されフォトレジストの底まで現像されてU−形状になる。このピットに比し浅いグルーブを形成しようとすると、フォトレジストを感光する露光量を下げて、フォトレジストの底までは現像されないようにする必要があり、その断面形状はほぼV−形状、即ち記録トラックを横切る半径方向の断面がV字状になってしまい、グルーブ内に記録することができない。
【0012】
またこのとき、グルーブを浅くするために露光量を下げることから、グルーブ幅がピットに比べ半分程度と狭くなってしまう。また、V−形状のグルーブは幅が狭く、深さが一定でなく深さのばらつきも大きいことから、サーボ信号量(プッシュプル信号量)が低下し、サーボ特性も低下するという問題を招来する。
【0013】
本発明においては、上述したようにピットより浅く、断面形状がU−形状のグルーブを作製することを可能とし、これにより上述のサーボ信号量、サーボ特性の低下を回避して良好な記録再生特性を保持すると共に、ウォブルしたグルーブの形成を可能として、記録再生特性の良好なDVD−RW型の光学記録再生媒体に適用して好適な光学記録方法及び光学記録再生媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも記録トラックに沿ってピットとグルーブが形成されて成る光学記録再生媒体の製造用原盤に対するパターン露光を行う光学記録方法にあって、製造用原盤上の感光層に対して記録用の露光ビームをパターン照射する際に、光学記録再生媒体のグルーブの幅wg をこのグルーブのトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下とし、またグルーブの深さdg を19nm以上31nm以下となるようにパターン照射を行う。
【0015】
また本発明においては、上述の光学記録方法において、露光ビームをビームスプリッターにより分割し、少なくとも1の露光ビームに高周波重畳信号を重畳し、この高周波重畳信号の振幅量を変化させることにより多重露光を行ってグルーブの幅及び深さを調節する。
【0016】
そして本発明は、上述した光学記録方法によって製造し得る光学記録再生媒体であって、少なくとも一部のピットの深さに比してグルーブの深さを小として構成する。
また本発明は、グルーブの幅wg とトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下とし、またグルーブの深さdg を19nm以上31nm以下として構成する。
【0017】
上述したように、本発明によれば、製造用原盤上の感光層に対して記録用の露光ビームをパターン照射する際に、光学記録再生媒体のグルーブの幅とトラックピッチとの比、グルーブの深さを上述の範囲となるように選定することによって、断面がU−形状、即ち記録トラックを横切る半径方向の断面形状がU字型であり、且つピットに比し深さが大とされたグルーブを、その形状を制御性よく形成することができて、これによりDVD−RW等の光学記録再生媒体において要求されるピット及びグルーブのフォーマットを実現することができる。
【0018】
またこの幅広のグルーブを、上述したように高周波重畳信号を重畳して振幅量を変化させた記録ビームによって多重露光を行って形成することにより、幅及び深さを確実に精度良く制御することができて、ばらつきを生じることなく均一な幅及び深さのグルーブを形成することが可能となる。
【0019】
従って、特に上述したようなランドプリピット、リーダブルピット、アンリーダブルピット及びデータ記録部のグルーブなどの深いピットと浅いグルーブとを有するDVD−RWのような光学記録再生媒体の製造にあたって本発明を適用することにより、記録再生特性の良好な光学記録再生媒体を生産性良く、また歩留り良く製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の好適な形態を図面を参照しながら説明する。
以下の例は、ピットやグルーブを有するディスク状の光学記録再生媒体の製造プロセス等において、所望の凹凸パターンをディスク状等の原盤用基板の表面に形成するためのいわゆる原盤工程におけるパターン露光の際に、特にDVD−RWに好適なピット形状やグルーブ形状を容易に形成する光学記録方法を提供するものである。
【0021】
先ず、本実施の形態で使用した光学記録装置の一例の構成について、図1を参照して説明する。この例では、DVD−RW等の光学記録再生媒体の製造工程において、上述したように、ガラス等より成る原盤用基板11上に、フォトレジスト等の感光層12を被着形成し、これに対し露光ビームの強度、スポット径、ウォブルさせる場合はその周波数及び振幅等を調整して、所望の凹凸パターンを感光層12の表面に形成するものである。
【0022】
先ず、図1に示すように、光源20から出射されたレーザビームLB0 を、ビームスプリッター21により第1の露光ビームLB1 と第2の露光ビームLB2 とに分割する。以下の例においては、第1の露光ビームLB1 により上述のランドプリピット(LPP)のパターン露光を行い、第2の露光ビームLB2 によってリーダブルピット、アンリーダブルピット及びグルーブのパターン露光を行った例を示す。
【0023】
図1において、ビームスプリッター21を透過し、更にビームスプリッター22を透過した露光ビームは、フォトダイオード23によって検出され、図示しないが例えば比較器により所定の比較電圧と比較した後電気変調器から変調信号を出力してフィードバックを行うことにより、露光ビーム出力を一定化させることができる。
【0024】
尚、光源20としては特に限定されるものではなく、適宜選択して使用されれば良いが、例えばKrレーザ(λ=351nm)の記録用レーザ光を発振するレーザ源を使用することができる。
【0025】
第1の露光ビームLB1 はビームスプリッター21を透過した後、ビームスプリッター22により反射され、第1の変調光学系24に入射され、第2の露光ビームLB2 は、ビームスプリッター21により反射されて第2の変調光学系25に入射される。
【0026】
第1の変調光学系24において、第1の露光ビームLB1 は集光レンズ26により音響光学変調器27に集光され、この音響光学変調器27により強度変調され発散した露光ビームLB1 は、レンズ29によって平行ビームとして出射される。28はピットのオンオフ情報を出力する駆動用のドライバを示す。
同様に第2の変調光学系25において、第2の露光ビームLB2 は集光レンズ30を用いて音響光学変調器31に集光され、この音響光学変調器31により強度変調され発散した露光ビームLB2 は、レンズ33によって平行ビームとして出射される。32は、ピットを形成する場合の駆動用のドライバである。
【0027】
そして、第1の変調光学系24から出射された第1の露光ビームLB1 は、ミラー34によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で、1/2波長板35を介して移動光学テーブル40上に水平且つ平行に導かれる。同様に、第2の変調光学系25から出射された第2の露光ビームLB2 は、ミラー36によって反射され、移動光学テーブル40上に水平且つ平行に導かれる。
【0028】
そして、第1の変調光学系24から出射され、移動光学テーブル40に導かれた第1の露光ビームLB1 は、偏光ビームスプリッター48に入射する。また、第2の変調光学系25から出射され、移動光学テーブル40に導かれた第2の露光ビームLB2 は、偏向光学系41(OD:Optical Deflector )によって光学偏向が施された上でミラー47によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッター48に入射される。
【0029】
ここで、偏向光学系41は、ウォブルグルーブのウォブルに対応するように、第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向を施すためのものである。すなわち、第2の変調光学系25から出射され偏向光学系41に入射した第2の露光ビームLB2 は、ウェッジプリズム42を介して音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector )43に入射され、この音響光学偏向器43によって、所望する露光パターンに対応するように光学偏向が施される。ここで、音響光学偏向器43に使用される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2 )からなる音響光学素子が好適である。そして、音響光学偏向器43によって光学偏向が施された第2の露光ビームLB2 は、ウエッジプリズム44を介して偏向光学系41から出射される。
【0030】
なお、ウェッジプリズム42、44は、音響光学偏向器43の音響光学素子の格子面に対してブラッグ条件を満たすように第2の露光ビームLB2 が入射するようにするとともに、音響光学偏向器43によって第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向を施したとしてもビーム水平高さが変わらないようにするためのものである。
【0031】
ここで、音響光学偏向器43には、この音響光学偏向器43を駆動するための駆動用ドライバ45が取り付けられており、当該駆動用ドライバ45には、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator )46からの高周波信号が、アドレス情報を含む制御信号により位相変調され供給される。そして、ウォブルパターンの露光時には、所望する露光パターンに応じた信号が、電圧制御発振器46から駆動用ドライバ45に入力され、この信号に応じて駆動用ドライバ45によって音響光学偏向器43が駆動され、これにより、第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向が施される。
【0032】
以下の式(1)に示すように、ウォブル(蛇行)周波数の空間周波数が記録ビームの半径より小さい周期で多重露光することでグルーブを幅広にすることができる。
【0033】
v・1/f<D ‥‥ (1)
ここで、vは線速度、fはウォブル周波数、Dは感光層上のビームスポット径を示している。
【0034】たとえば、DVD−RWの場合 v=3.49m/s、D=200nmとすると、f>17.45MHzとなる。しかし、通常ウォブル周波数は5MHz以下であるから、記録(カッティング)の線速度vを1/4にすると、v=(3.49/4.0=0.8725)m/s、D=200nmとすると、f>4.363MHzであるため、ウォブル周波数は5MHzで充分に多重露光することが可能である。
【0035】
具体的には、例えば、リーダブルピット、アンリーダブルピットの記録の場合は、線速度v=0.8725m/s、周波数35.175(=140.7/4.0)kHzにてグルーブをウォブルさせることにより、グルーブにクロック情報を付加するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHzの制御信号を、電圧制御発振器46から駆動用ドライバ45に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ45によって音響光学偏向器43を駆動し、当該音響光学偏向器43の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数35.175kHzのウォブルに対応するように、第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向を施す。
【0036】
データ記録部のウォブルグルーブの記録の場合は、線速度v=0.8725m/s、周波数35.175kHzのウォブルクロック信号と5MHzの高周波重畳信号により多重露光するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHz+5MHzの制御信号を、電圧制御発振器46から駆動用ドライバ45に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ45によって音響光学偏向器43を駆動し、当該音響光学偏向器43の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周波数35.175kHz+5MHzのウォブルに対応するように、第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向を施す。5MHzの高周波重畳信号の多重露光することにより、ウォブルグルーブの幅を広くすることができる。
【0037】
そして、このような偏向光学系41によって、リーダブルピット、アンリーダブルピット、データ記録部のウォブルグルーブのウォブルに対応するように光学偏向が施された第2の露光ビームLB2 は、上述したように、ミラー47によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッター48に入射され、ここで反射される。
【0038】
偏光ビームスプリッター48は、S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされている。そして、第1の変調光学系24から出射された第1の露光ビーム、λ/2波長板35を透過することにより偏光方向が90°回転させられているのでP偏光となっており偏光ビームスプリッター48を透過する。
【0039】
そして、進行方向が同一方向となるように再合成されて偏光ビームスプリッター48から出射した、第1及び第2の露光ビームLB1 及びLB2 は、拡大レンズ49によって所定のビーム径とされた上でミラー50によって反射されて対物レンズ51へと導かれ、当該対物レンズ51によって感光層12上に集光される。これにより、感光層12が露光され、露光パターンに対応する潜像が形成されることとなる。このとき、感光層12が塗布されているガラス等より成る原盤用基板11は、上述したように、感光層12の全面にわたって所望のパターンでの露光がなされるように、矢印aに示すように回転駆動装置(図示せず)によって回転駆動されるとともに、移動光学テーブル40によって平行移動される。この結果、第1の露光ビームLB1 、第2の露光ビームLB2 の照射軌跡に応じた潜像が、感光層12の全面にわたって形成されることとなる。
【0040】
第1及び第2の露光ビームは、偏光ビームスプリッター48によって光軸方向となるように合成される。このときの各ビームの配置は、偏光ビームスプリッター48の角度を変えることにより、感光層12上において、半径方向に所定の間隔をもって配置することができる。
【0041】
尚、上述の光学記録装置においては、第1の露光ビームによりランドプリピットの潜像を形成する場合について説明したが、このランドプリピットは、以下の光学記録方法により行うこともできる。
即ち、グルーブ及びリーダブルピット、アンリーダブルピットを露光する第2の露光ビームLB2 をウォブルすると共に、ランドプリピットを形成する位置に向かって突出するようにこの露光ビームLB2 のウォブル振幅を変調させることによって、グルーブ又はピットの間のランド上のランドプリピットのパターン露光を行うこともできる。この場合には、記録用の露光ビームをビームスプリッターにより2分割することなく、1の露光ビームによる光学系を有する光学記録装置により、DVD−RW型構成のフォーマットに対応するパターン露光を行うことができ、2ビームの間隔を精度良く調整するなどの作業性の煩雑化を回避し、生産性の向上をはかることができる。
【0042】
上記の各方法を用いて、DVD−RWに適切なフォーマットであるU−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットを提供できる。
【0043】
次に、DVD−RWに対応した各ピット及びグルーブのフォーマットとする光学記録再生媒体を作製する場合に本発明を適用した具体的な実施例を説明する。この例では、図2にその模式的な平面構成を示すように第3のピット15の間のランドと、グルーブ16の間のランドとに第1のピット13、いわゆるランドプリピット(LPP)が配置される。そして第2のピット14としていわゆるリーダブルピット、第3のピットとしてアンリーダブルピットが配置され、更にデータ記録部のグルーブ16をウォブリンググルーブとして設ける構成とされる。尚、この例はディスクの内周側を図2の紙面の左側、外周側を図2の紙面の右側として示す。
【0044】
そして、これら各ピット及びグルーブを有する光学記録再生媒体の基板の断面形状は、図3にその一例の模式的な断面構成を示すように、第1〜第3のピット13〜15は比較的深く、グルーブ16はこれらピットに比し浅く、また断面形状はU−形状とされる。即ち、このグルーブ16の幅wg は、トラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下として、深さdg は、19nm以上31nm以下とすることによって、グルーブ16における記録情報の記録再生特性を良好に保持することができる。
【0045】
尚、上述したように、第1及び第2の露光ビームを用いることなく、ランドプリピットをウォブルの振幅を変調させて形成する場合は、例えば図4にその一例の模式的な平面構成を示すように、第2及び第3のピット14及び15と、グルーブ16とをウォブルさせ、その振幅の片側ピーク位置において第1のピット即ちランドプリピットに相当する例えば台形ウォブルグルーブ13Sを設ける構成とすることもできる。この直線部13Sは、例えばグルーブ部の幅の1/3〜1/2程度のずれ量をもってウォブル中心位置からずれた位置に形成して、その記録方向の長さ、即ちディスク状の基板を構成する場合は円周方向の長さとしては、例えば9Tマーク長程度の長さとする場合に、良好にこの台形ウォブルグルーブ13Sをランドプリピット信号として再生することができる。
【0046】
この場合の基板1の模式的な断面構成は、例えば図5にその一例を示すように、ランドプリピット即ち台形ウォブルグルーブ13Sを形成する断面では、破線lで示すようにグルーブ16の図5において右側、即ちディスクの外周側に凹部の位置がずれることとなる。図5において、図4と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0047】
このようにしてランドプリピットを台形ウォブルグルーブで形成する場合には、図1において説明した光学記録装置において、1の露光ビームのみを用いる光学系とすることができて、リーダブルピット、アンリーダブルピット、ランドプリピット及びグルーブを1連の螺旋状の記録トラックに沿って形成することができる。
【0048】
【実施例】
(1)光学記録再生媒体の製造方法
以下、光学記録再生媒体の製造方法及び光学記録再生媒体について、具体的な一例を挙げて詳細に説明する。
光学記録再生媒体を作製する際は、先ず、原盤工程として、DVD−RWに適切なフォーマットであるランド部のLPPピット(第1のピット)とU−形状のウォブルピット(第2及び第3のピット)と浅いU−形状ウォブルグルーブのフォーマットに対応した凹凸パターンを有する光学記録再生媒体製造用原盤を、前述の図1において説明した光学記録装置、いわゆるレーザカッティング装置を用いて作製する。
【0049】
この原盤工程においては、先ず、表面を研磨した円盤状のガラス基板より成る原盤用基板11を洗浄し乾燥させ、その後、この原盤用基板11上に感光材料であるフォトレジスト即ち感光層12を塗布する。次に、この感光層12を上述の光学記録装置によって露光し、DVD−RWに適切なフォーマットに対応した潜像を感光層12に形成する。
【0050】
なお、後述する評価用光学記録再生媒体を作製する際、光学記録装置の光源20には、波長λが351nmのレーザ光を出射するKrレーザを使用し、第1の露光ビーム、第2の露光ビームを感光層12上に集光するための対物レンズ51には、開口数NAが0.52のものを使用した。また、拡大レンズ49には焦点距離が80mmのレンズを使用した。音響光学変調器27及び31の音響光学素子は酸化テルル(TeO2 )を用いた。
【0051】
そして、感光層12を光学記録装置によって露光する際は、先ず、第1の露光ビームによって感光層12を露光することにより、U−形状のウォブルピットとする第2及び第3のピットと、浅いU−形状ウォブルグルーブと、ランド部のLPPピットとする第1のピットに対応した潜像を感光層12に形成する。
【0052】
第1の露光ビームによって感光層12を露光することにより、LPPピットに対応した潜像を感光層12に形成する際は、第1の変調光学系24により第1の露光ビームLB1 に対して光強度変調を施す。具体的には、LPPのアドレス信号が施されたピットパターンに対応した変調信号を駆動用ドライバ28に入力し、当該変調信号に基づいて駆動用ドライバ28によって音響光学変調器27を駆動し、これにより、LPPのアドレス信号が施されたピットパターンに対応するように、第1の露光ビームLB1 に対して光強度変調を施す。そして、このように光強度変調を施した第1の露光ビームLB1 を、対物レンズ51によって感光層12上に集光することにより、感光層12を露光し、LPPのピットに対応した潜像を感光層12に形成する。なお、このように感光層12を露光して、LPPのピットに対応した潜像を形成する際は、感光層12が塗布形成されているガラス基板31を、所定の回転速度にて回転駆動させるとともに、所定の速度にて平行移動させる。
【0053】
具体的には、後述する評価用光学記録再生媒体を作製する際、原盤用基板11の回転速度は、第1の露光ビームLB1 による光スポットと感光層12との相対的な移動速度が線速0.8725m/secとなるようにした。そして、当該原盤用基板11を1回転毎に0.74μm(すなわちトラックピッチの分)だけ、移動光学テーブル40によって原盤用基板11の半径方向に平行移動させた。
【0054】
第2の露光ビームLB2 によって感光層12を露光することにより、U−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブに対応した潜像を感光層12に形成する際は、第2の露光ビームLB2 に対して、第2の変調光学系25により光強度変調を施すとともに、偏向光学系(OD)41により光学偏向を施す。
【0055】
すなわち、第2及び第3のピット(リーダブルピット及びアンリーダブルピット)を形成する場合は、EFM+信号であり、浅いU−形状のウォブルグルーブを形成する場合は、一定レベルのDC信号を駆動用ドライバ32に入力し、当該EFM+信号、DC信号に基づいて駆動用ドライバ32によって音響光学変調器31を駆動し、これにより、深いU−形状のEFM+信号のピットと浅いU−形状のウォブルグルーブのパターンに対応するように第2の露光ビームLB2 に対して光強度変調を施す。ここで、浅いU−形状のウォブルグルーブは一定の深さの連続した溝であるので、浅いU−形状のウォブルグルーブに対応した潜像を形成している間は、第2の露光ビームLB2 の光強度が一定となるように光強度変調を施す。ピットを形成する際には、LPPのアドレス信号やEFM+信号によって、露光ビームLB1 及びLB2 が強度変調(ON/OFF)される。
【0056】
次いで、第2の変調光学系25によって光強度変調が施された第2の露光ビームLB2 に対して、偏向光学系41により光学偏向を施す。具体的には、電圧制御発振器46から高周波信号を制御信号にて変調して駆動用ドライバ45に供給し、この信号に基づいて駆動用ドライバ45によって音響光学偏向器43を駆動して、当該音響光学偏向器43の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、第2の露光ビームLB2 に対して光学偏向を施す。
【0057】
なお、後述する評価用光学記録再生媒体を作製する際は、中心周波数224MHzの高周波信号を、第2及び第3のピットを形成する場合は、周波数35.175kHzの制御信号にて変調し、データ記録部の浅いU−形状のウォブルグルーブを形成する場合は、周波数35.175kHz+5MHzの制御信号にて変調して、電圧制御発振器46から駆動用ドライバ45に供給した。そして、この信号に基づいて、駆動用ドライバ45によって音響光学偏向器43を駆動し、当該音響光学偏向器43の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、感光層12上に集光される第2の露光ビームLB2 の光スポットの位置が、周波数35.175kHz,振幅±10nmにて、原盤用基板11の半径方向に振動するように光学偏向を行った。
【0058】
そして、データ記録部の浅いU−形状のウォブルグルーブを形成する場合、5MHzの高周波重畳信号の振幅量を変えることにより多重露光する半径方向の幅を変えることができグルーブ幅を広げることができて、スポット径の小さい露光ビームによって、これより幅の広く且つピットに比し浅いU−形状のウォブルグルーブを形成することができる。
【0059】
なお、このように第1及び第2の露光ビームによって感光層12に露光する際は、駆動用ドライバに入力するレベルを調整して、U−形状のピットを記録する第1の露光ビームのパワーは1.0mWとする。この場合、露光による潜像は感光層12の深さ方向に全面にわたって形成され、すなわち感光層12の厚さによって、各ピットの深さを調節することができるようにする。
【0060】
また、浅いU−形状のウォブルグルーブを記録する第2の露光ビームのパワーは、第1の露光ビームのパワーに比し小さい0.8mW程度とする。これにより、浅いU−形状のウォブルグルーブの深さを、ピットに比し浅くするように調整できる。尚、このグルーブの幅は、5MHzの高周波重畳信号の振幅量により調整できる。このような調整によって、U−形状のピットに対応した潜像と浅いU−形状のウォブルグルーブに対応した潜像の幅や深さとが異なるものとなる。
【0061】
そして、以上のようにして感光層12に潜像を形成した後、感光層12が塗布されている面が上面となるように、原盤用基板11を現像機のターンテーブル上に載置する。そして、当該ターンテーブルを回転させることにより原盤用基板11を回転させながら、感光層12上に現像液を滴下して現像処理を施して、原盤用基板11上にDVD−RWに適切なフォーマットであるU−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットに対応した凹凸パターンを形成する。
【0062】
次に、この凹凸パターン上に無電界メッキ法によりNi等からなる導電化膜を形成し、その後、導電化膜が形成された原盤用基板11を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜上にNi等からなるメッキ層を、300±5μm程度の厚さとなるように形成する。その後、このメッキ層を剥離し、剥離したメッキをアセトン等を用いて洗浄し、凹凸パターンが転写された面に残存している感光層12を除去する。
【0063】
以上の工程により、原盤用基板11上に形成されていた凹凸パターンが転写されたメッキからなる光記録媒体製造用原盤、すなわち、DVD−RWに適切なフォーマットであるU−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットに対応した凹凸パターンが形成された光学記録再生媒体製造用原盤(いわゆるスタンパ)が完成する。
【0064】
なお、この光学記録再生媒体製造用原盤は、本発明が適用されてなる光学記録再生媒体製造用原盤である。すなわち、この原盤は、記録トラックに沿ってU−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットが形成されてなる光学記録再生媒体を製造する際に使用される光学記録再生媒体製造用原盤であって、浅いU−形状のウォブルグルーブに対応した凹凸パターンであるグルーブパターンがスパイラル状に形成されてなる。
【0065】
次に、転写工程として、フォトポリマー法(いわゆる2P法)を用いて、上記光学記録再生媒体製造用原盤の表面形状が転写されてなるディスク状の基板を作製する。
具体的には、先ず、光学記録再生媒体製造用原盤の凹凸パターンが形成された面上にフォトポリマーを平滑に塗布してフォトポリマー層を形成し、次に、このフォトポリマー層に泡やゴミが入らないようにしながら、フォトポリマー層上にベースプレートを密着させる。ここで、ベースプレートには、例えば、0.6mm厚のポリメチルメタクリレート(屈折率1.49)からなるベースプレートを使用する。その後、紫外線を照射してフォトポリマーを硬化させ、その後、光学記録再生媒体製造用原盤を剥離することにより、光学記録再生媒体製造用原盤の表面形状が転写されてなるディスク基板を作製する。
【0066】
なお、ここでは、光学記録再生媒体製造用原盤に形成された凹凸パターンがより正確にディスク基板に転写されるように、2P法を用いてディスク基板を作製する例を挙げたが、ディスク基板を量産するような場合には、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネート等の透明樹脂を用いて射出成形によってディスク基板を作製するようにしても良いことは言うまでもない。
【0067】
次に、成膜工程として、光学記録再生媒体製造用原盤の表面形状が転写されてなる基板上に記録層及び保護層を形成する。具体的には例えば、図6にその一例の模式的な断面構成を示すように、先ず、ディスク状の基板1の凹凸パターンが形成された面上に、ZnS−SiO2 等からなる第1の誘電体膜2と、GeSbTe合金等からなる相変化材料の記録膜3と、ZnS−SiO2 等からなる第2の誘電体膜4とをスパッタリングによって順次成膜し、更に、第2の誘電体膜上にAlCu合金等からなる反射膜5を成膜することにより、第1の誘電体膜2、記録膜3、第2の誘電体膜4及び反射膜5からなる記録層を形成する。その後、この記録層上に紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布し、紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射し硬化させることにより、保護層6を形成する。
以上の工程により、本発明構成による相変化型の光学記録再生媒体10が完成する。
【0068】
(2)光学記録再生媒体の評価
前述の光学記録装置において、露光ビームのレーザ光強度、原盤用基板と露光ビームとの相対速度等を調整して潜像を形成した原盤から、Ni等よりなるスタンパを以下の通り形成し、これらのスタンパを原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により、U−形状ピットのピット幅とピット深さ、浅いU−形状のウォブルグルーブのグルーブ幅とグルーブ深さを測定した。
【0069】
スタンパA1〜A3は、U−形状ピットの深さは83nm、ピット上幅は230nm、ピット下幅は350nm、即ちこのピットの平均の幅は247.5nmであった。グルーブ上幅は200nm、グルーブ下幅は420nm、即ちグルーブの平均の幅は310nmであった。グルーブの深さは、露光ビームのパワーを調整することでスタンパA1が20nm、スタンパA2が26nm、スタンパA3が31nmであった。
【0070】
スタンパB1〜B3は、U−形状ピットの深さは85nm、ピット上幅は240nm、ピット下幅は360nm、即ち平均の幅は300nmであった。グルーブ上幅は220nm、グルーブ下幅は490nm、即ち平均の幅は355nmであった。グルーブの深さは、露光ビームのパワーを調整することでスタンパB1が19nm、スタンパB2が25nm、スタンパB3が31nmであった。
【0071】
そして、前述した製造方法にて上記スタンパA1〜A3、スタンパB1〜B3を用いて光学記録再生媒体A1〜A3、B1〜B3を作製した。ここで、各光学記録再生媒体の基板に転写形成されたグルーブの幅wg とトラックピッチTp との比は、
41.9%≦wg /dg ×100≦48.0(%)
である。また、グルーブの深さdg は、19nm以上31nm以下であり、リーダブルピット、アンリーダブルピットに対応する各ピットの深さに比して、浅いグルーブとして構成した。
【0072】
次に、これら各光学記録再生媒体A1〜A3、B1〜B3の評価を行った結果について説明する。評価機として、再生用のレーザ波長λが600nm、対物レンズの開口数NAが0.60の光ピックアップを有する評価機を用いて、以上のように作製した各光学記録再生媒体についてU−形状ピットの信号特性、浅いU−形状のウォブルグルーブの信号特性を評価した。トラッキングはプッシュプル信号を用いて行った。
【0073】
U−形状ピットの信号特性は、光ディスクA、光ディスクB共に、安定なトラッキングおよびピットの信号の安定な再生が実現できた。ジッターは光学記録再生媒体A1〜A3が7.0%、光学記録再生媒体B1〜B3が7.1%であった。
【0074】
V字形グルーブで得られるプッシュプル信号はグルーブ幅(グルーブ上幅は0nm、グルーブ下幅は320nm程度、グルーブ幅160nm)が小さいことから、充分な信号量を得ることは難しい。グルーブの深さが30nm以下ではウォブル信号を再生することは難しかった。
【0075】
しかしながら、本発明により作製した光学記録再生媒体の浅いU−形状のウォブルグルーブのグルーブ幅は広く、充分なプッシュプル信号量を得ることができ、グルーブ深さを19nmから42nmの範囲に選定した光学記録再生媒体A1〜A3、B1〜B3のすべてにおいてウォブル信号を安定再生することができた。さらに、浅いU−形状のウォブルグルーブの記録再生のジッターはグルーブ深さを変えても、光学記録再生媒体A1〜A3が6.9−7.3%、光学記録再生媒体B1〜B3が6.8−7.4%であり、良好な記録再生特性を実現できた。
【0076】
本発明は、U−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットにすることにより、ピットの信号の安定な再生、ウォーブル信号の安定再生、ウォブルグルーブ内の安定記録再生を実現できた。また、LPPのアドレスピットの再生も充分に行えた。
【0077】
なお、本発明は、U−形状のウォブルピットと浅いU−形状ウォブルグルーブとランド部のLPPピットのフォーマットの光学記録再生媒体、並びにその製造に使用される光学記録再生媒体製造用原盤に対して広く適用可能であり、本発明による光学記録方法の適用の対象となる光学記録再生媒体は、例えば、再生専用の光学記録再生媒体、繰り返しデータの書き換えが可能な光学記録再生媒体、或いはデータの追記は可能だか消去はできないような光学記録再生媒体のいずれでもよい。
【0078】
また、記録領域への記録方法も特に限定されるものではなく、本発明方法の適用の対象となる光学記録再生媒体は、例えば、予めデータが書き込まれている再生専用の光学記録再生媒体、磁気光学効果を利用してデータの記録再生を行う光磁気記録媒体、或いは記録層の相変化を利用してデータの記録再生を行う相変化型光学記録再生媒体などのいずれでもよい。
【0079】
また本発明は、上述した光学記録方法のみならず、信号記録システムにおける光学記録再生媒体などにおいて、ピットとこれに比し浅い幅広のグルーブとを有する光学記録再生媒体の原盤を製造する際の光学記録方法にも適用可能である。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、ピット信号の変調、ウォブルグルーブ信号の偏向を調節することにより、U−形状ピットと浅いU−形状のウォブルグルーブの各種フォーマットの光学記録再生媒体の製造が簡便かつ容易にできる。
【0081】
即ち、グルーブの幅wg をトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下とし、グルーブの深さdg を19nm以上31nm以下となるように、感光層へのパターン照射を行うことにより、これを適用して作製した光学記録再生媒体のピットの信号の安定な再生、ウォーブル信号の安定な再生を実現でき、特にグルーブをウォブルグルーブとする場合に、グルーブ内の安定な記録再生を実現できる。これにより光学記録再生媒体のサーボ信号量、サーボ特性の低下を回避して良好な記録再生特性を保持すると共に、ウォブルしたグルーブの形成を可能として、記録再生特性の良好な光学記録再生媒体を形成することができる。
【0082】
また、光源から出射されたレーザビームをビームスプリッターにより分割し、第1の露光ビームと第2の露光ビームを偏光ビームスプリッターにより半径方向に配置するよう同一光軸上に合成して、例えば5MHzの高周波重畳信号の振幅量を変えることにより多重露光する半径方向の幅を変え、U−形状、即ち半径方向の断面がU字状の浅いウォブルしたグルーブを精度良く形成することができる。
【0083】
更に、ピットを第1〜第3のピットとして、DVD−RWに適用して好適なランドプリピット、リーダブルピット及びアンリーダブルを設ける構成とし、1の露光ビームにより第1のピット即ちランドプリピットをパターン露光し、他の露光ビームにより第2及び第3のピット即ちリーダブルピット及びアンリーダブルピットと、データ記録部のグルーブを記録することができ、幅狭の深いウォブルピットと浅いU−形状のウォブルグルーブを形成できる。また、1つの露光ビームにより、ウォブルピットと浅いU−形状のウォブルグルーブのウォブル信号をを露光することによって、各パターンの同期が容易となり、DVD−RW等の光学記録媒体の歩留り及び生産性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学記録装置の一例の模式的な構成図である。
【図2】光学記録再生媒体の一例の平面構成の説明図である。
【図3】光学記録再生媒体の基板の一例の断面構成の説明図である。
【図4】光学記録再生媒体の一例の平面構成の説明図である。
【図5】光学記録再生媒体の基板の一例の断面構成の説明図である。
【図6】光学記録再生媒体の一例の模式的な断面構成を示す図である。
【図7】光学記録方法の一例の説明図である。
【符号の説明】
1 基板、2 第1の誘電体膜、3 記録膜、4 第2の誘電体膜、5 反射膜、6 保護層、10 光学記録再生媒体、11 原盤用基板、12 感光層、13 第1のピット、14 第2のピット、15 第3のピット、16 グルーブ、20 光源、21 ビームスプリッター、22 ビームスプリッター、23 フォトダイオード、24 変調光学系、25 変調光学系、26 光学レンズ、27 音響光学変調器、28 駆動用ドライバ、29 光学レンズ、30 光学レンズ、31 音響光学変調器、32 駆動用ドライバ、33 光学レンズ、34 ミラー、35 1/2波長板、36 ミラー、40 移動光学テーブル、41 変調光学系、42 ウェッジプリズム、43 音響光学偏光器、44 ウェッジプリズム、45 駆動用ドライバ、46 電圧周波数制御器(VCO)47 ミラー、48 偏光ビームスプリッター、29 拡大レンズ、50 ミラー、51 対物レンズ
Claims (7)
- 少なくとも記録トラックに沿ってピットとグルーブが形成されて成る光学記録再生媒体の製造用原盤に対するパターン露光を行う光学記録方法にあって、
上記製造用原盤上の感光層に対して記録用の露光ビームをパターン照射する際に、
上記光学記録再生媒体の上記グルーブの幅wg が上記グルーブのトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下とされ、
上記グルーブの深さdg が19nm以上31nm以下とされるようにパターン照射を行うことを特徴とする光学記録方法。 - 上記露光ビームをビームスプリッターにより分割し、少なくとも第1の露光ビームに高周波重畳信号を重畳し、上記高周波重畳信号の振幅量を変化させることにより多重露光を行って上記グルーブの幅及び深さを調節することを特徴とする請求項1に記載の光学記録方法。
- 上記ピットを、異なる記録情報に対応する第1、第2及び第3のピットより構成し、
上記グルーブを、データ記録部のウォブルグルーブとし、
上記第1のピットを、記録用の第1の露光ビームによりパターン露光して、上記第2及び第3のピットと上記グルーブとを、記録用の第2の露光ビームによりパターン露光して、
上記第1及び第2の露光ビームを、偏光ビームスプリッターにより同一光軸に沿って所定の間隔をもって配置されるように合成して、上記第1〜第3のピット及び上記グルーブのパターン露光を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学記録方法。 - 少なくとも記録トラックに沿ってピットとグルーブが形成されて成る光学記録再生媒体であって、
上記ピットのうち少なくとも一部のピットの深さdp に比して上記グルーブの深さwg が小とされたことを特徴とする光学記録再生媒体。 - 上記グルーブの幅wg が上記グルーブのトラックピッチTp の41.9%以上48.0%以下とされ、
上記グルーブの深さdg が19nm以上31nm以下とされたことを特徴とする請求項4に記載の光学記録再生媒体。 - 上記ピット及び上記グルーブが1連の螺旋状に形成されて成ることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学記録再生媒体。
- 上記ピット及び上記グルーブがウォブルされて成ることを特徴とする請求項4、5又は6に記載の光学記録再生媒体。
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WO2007114044A1 (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-11 | Pioneer Corporation | 情報記録媒体 |
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2002
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