JP2004051812A - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを形成し得るアクリル系溶剤型粘着剤及びホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを提供することを目的とする。
【解決手段】溶剤可溶性アクリル系ポリマーを含有する主剤、架橋剤及びアセチルアセトンを含有するアクリル系溶剤型粘着剤組成物であり、主剤の固形分100重量部に対して、アセチルアセトンを0.01〜2重量部含有することが好ましい。該粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材シート上に設けてなる粘着剤シートは、90℃−2時間で水中で加熱した際に、0.05μg/g以下のホルムアルデヒドしか発生し得ない。
【選択図】 なし
【解決手段】溶剤可溶性アクリル系ポリマーを含有する主剤、架橋剤及びアセチルアセトンを含有するアクリル系溶剤型粘着剤組成物であり、主剤の固形分100重量部に対して、アセチルアセトンを0.01〜2重量部含有することが好ましい。該粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材シート上に設けてなる粘着剤シートは、90℃−2時間で水中で加熱した際に、0.05μg/g以下のホルムアルデヒドしか発生し得ない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着シート、粘着テープなどに使用されるアクリル系溶剤型感圧性接着剤組成物(=粘着剤組成物)に関し、更に詳しくは、加熱により発生するホルムアルデヒドを低減させたアクリル系溶剤型感圧性接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤組成物を用いた粘着加工品は、耐候性、耐久性、耐熱性、耐寒性、耐水性等に優れているので、従来から、建材、家電製品、自動車用緩衝材、壁紙、隙間テープ、養生テープ等の用途に、両面テープ、フォームテープ等として汎用されている。このような粘着加工品に用いる粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂を主体とする溶剤型粘着剤組成物が用いられている。
【0003】
また、上記の粘着加工品は室内で使用されることも考えられる。このような場合、粘着剤に含有する成分が気化して室内に漂うことがありうる。このような気化した成分としてホルムアルデヒドやトルエン等の化学物質を含むことがある。そしてこのような化学物質は、所謂シックハウス症候群を引き起こす原因物質として挙げられている。
【0004】
ところで、そもそもこの様な室内で用いられる粘着加工品に用いられる粘着剤に、前述したようなシックハウス症候群を誘引する化学物質を含まないものを使用すれば問題はないと考えられる。
しかし、ホルムアルデヒドの発生原因と思われるような物質を使用しなくとも、ホルムアルデヒドは大気中にも含まれ、一部粘着剤中に入り込む可能性もあり、また加熱によりホルムアルデヒドが発生する可能性もあり、コントロールが難しいという問題がある。
【0005】
ホルムアルデヒド低減法として、尿素とアセチルアセトン、およびグリオキザールとアセチルアセトンからなる群より選択された増進剤と尿素との組み合わせからなる群より選択されたホルムアルデヒド捕集剤の使用(特開平2−232279)、アセトアセチル基を含有する活性エネルギー線硬化樹脂からなるアルデヒド吸着剤の使用(特開平11−197501)および尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン、アミン類、アミド類を捕集剤として使用することが公知である。
しかし、尿素類は、溶剤系粘着剤では溶解性に乏しい。一方、ジシアンジアミドやアミン類は溶剤型粘着剤のいわゆる主剤と反応し易く、これらを用いた場合粘着剤の経時安定性に欠けるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを形成し得るアクリル系溶剤型粘着剤及びホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、アクリル系溶剤型粘着剤にアセチルアセトンを成分中に含有させることにより粘着シートからのホルムアルデヒドの発生が抑えられることを見出した。
即ち、第1の発明は、溶剤可溶性アクリル系ポリマーを含有する主剤、架橋剤及びアセチルアセトンを含有するアクリル系溶剤型粘着剤組成物であり、
第2の発明は、主剤の固形分100重量部に対して、アセチルアセトンを0.01〜2重量部含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物である。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材シート上に設けてなる粘着剤シートであって、90℃−2時間で水中で加熱した際に、0.05μg/g以下のホルムアルデヒドしか発生し得ない粘着剤シートである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次ぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の粘着剤組成物の主剤を構成する、アクリル系溶剤型ポリマーは、溶剤中で(メタ)アクリル系モノマーを重合してなるものである。
該ポリマーとしては、当該分野で使用されているポリマーをいずれも使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基もしくはその無水物基を有する重合性モノマー、アルキル(メタ)アクリレート〔メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等〕、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル系モノマーから選択されたモノマーのホモポリマー、並びに2種以上選択するコポリマー、ターポリマー等の多元ポリマーがある。更に、前記(メタ)アクリル系モノマーと酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン等の(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル化合物とのコポリマーが挙げられる。
【0011】
上記モノマーを重合する際に使用される重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ系重合開始剤;等のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。重合開始剤の使用量は、単量体組成物の組成や反応条件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0012】
さらに、共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることができる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0.001〜3重量%程度の範囲で調節される。なお、重合反応は、通常40〜100℃の温度条件下、2〜8時間かけて行われる。
【0013】
本発明にかかる粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマーを含むいわゆる主剤と、架橋剤とを含有する。(メタ)アクリル系ポリマーは、一種類のみが含まれていてもよく、また、二種類以上が含まれていてもよい。
【0014】
架橋剤は、上記(メタ)アクリル系ポリマーが有する官能基、即ち、例えば水酸基やカルボキシル基等を有するモノマーによって分子内に導入された官能基と、反応し得る官能基を有するものであり、該架橋剤を用いることにより、粘着剤層の粘着力と凝集力とをより一層向上させることができる。
上記の架橋剤は、(メタ)アクリル系重合体が有する官能基と反応し得る官能基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、アジリジン化合物、および、金属架橋剤等が挙げられる。
【0015】
多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該多官能エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
【0016】
多官能イソシアネート化合物は、イソシアネート基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該多官能イソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;スミジュールN(商品名,住友バイエルウレタン株式会社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL,デスモジュールHL(商品名,バイエルA.G.株式会社製)、コロネートEH(商品名,日本ポリウレタン工業株式会社製)等の、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(商品名,住友バイエルウレタン株式会社製)、コロネートL(商品名,日本ポリウレタン工業株式会社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物;等が挙げられる。また、これら多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基と、活性水素を有するマスク剤とを反応させることにより該イソシアネート基を不活性化した、ブロックイソシアネート化合物を用いることもできる。
【0017】
アジリジン化合物としては、具体的には、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0018】
金属架橋剤としては、具体的には、例えば、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫等の多価金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等の配位子が配位してなるキレート化合物等が挙げられる。
【0019】
これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーの種類や、粘着剤組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、該(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲内がより好ましく、0.5重量部〜5重量部の範囲内がさらに好ましい。これにより、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋密度を適度な値に調節することができるので、粘着剤組成物の各種物性をより一層向上させることができる。架橋剤の使用量が0.1重量部よりも少ない場合には、架橋剤が不足して架橋密度が低くなり過ぎ、凝集力が不充分となるおそれがある。また、該使用量が10重量部よりも多い場合には、架橋密度が高くなり過ぎ、凝集力が高くなり過ぎて粘着力および耐反発性が低下するおそれがある。尚、(メタ)アクリル系ポリマーに架橋剤を添加する添加方法は、特に限定されるものではない。
【0020】
本発明の粘着剤組成物を構成する主剤には、更に粘着物性の向上のため、粘着付与剤を配合することが好ましい。粘着付与剤を配合することにより、例えばポリオレフィン等の被着体に対する粘接着性も改善される。本発明で使用される粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)が挙げられるが、中でもロジン誘導体が望ましく、特にロジンエステル系が好ましい。
【0021】
前記粘着付与剤は、1種類あるいは2種類以上を併用することができる。すなわち、粘着付与剤の組み合わせとしては、テルペン樹脂と脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂とクマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂とロジン誘導体、テルペン樹脂とロジン誘導体、脂肪族系石油樹脂とロジン誘導体、芳香族系石油樹脂とロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂とロジン誘導体、フェノール樹脂とロジン誘導体等の2種類あるいは、ロジン誘導体と脂肪族系石油樹脂と芳香族系石油樹脂の3種類あるいはそれ以上の混合物で使用することもできる。また、粘着付与剤の配合割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。因みに、1重量部未満では、粘着力や接着力を向上させる効果に乏しく、50重量部を越えると、逆に粘着力や接着力が低下する傾向にある。
【0022】
本発明で使用されるアセチルアセトンは、上記溶剤可溶性(メタ)アクリル系ポリマーを含有する主剤の固形分100重量部に対し、0.01〜2重量部添加することが望ましく、より好ましくは0.05〜1重量部添加することが望ましい。0.01重量部未満では、ホルムアルデヒドを捕集する効果が薄く、2重量部を超えると、捕集効果は高まるものの、乾燥後に残留溶剤として塗工物中に残り、凝集力不足になる可能性がある。
【0023】
さらに、粘着剤組成物は、必要に応じて、公知の粘着剤組成物に配合されている充填剤、顔料、染料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、添加剤の添加量は、所望する物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0024】
上記構成の粘着剤組成物は、公知の粘着剤組成物を用いるあらゆる用途に適用することができる。即ち、本発明にかかる粘着剤組成物は、例えば、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル、両面テープ等の各種粘着製品の製造に好適に用いることができる。上記粘着製品の基材としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、セロファン等のプラスチック;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の紙;織布、不織布等の布;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。基材の形状は、例えば、フィルム状、シート状、テープ状、板状等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、基材がプラスチックである場合には、発泡体であってもよい。
【0025】
粘着剤組成物を基材に塗布する塗布方法、即ち、粘着製品の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法を採用することができる。該方法としては、例えば、粘着剤組成物を基材に直接、塗布する方法;離型紙に粘着剤組成物を塗布した後、該塗布物を基材に転写する方法;等が挙げられる。粘着剤組成物は、基材に容易に塗布することができる。粘着剤組成物を基材に塗布する際に用いる塗布機器は、特に限定されるものではない。そして、粘着剤組成物を基材の片面または両面に塗布した後、乾燥させることにより、基材と粘着剤組成物とが一体化し、基材表面に粘着剤層(以下、粘着剤面と記す)が形成される。乾燥温度は、特に限定されるものではない。乾燥時に、例えば(メタ)アクリル系重合体が有する官能基と、架橋剤の官能基とが反応して、架橋構造が形成される。尚、用途によっては、粘着剤組成物を被着体に直接、塗布してもよい。また、離型紙に粘着剤組成物を塗布した後、該塗布物を離型紙から剥離することにより、粘着剤組成物自体がフィルム状やシート状、テープ状、板状等に形成されてなる粘着製品を製造することもできる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ表す。
〔粘着シートの製造〕 市販のポリエチレンラミネート剥離紙に粘着剤層用塗液を、乾燥重量で65g/m2となるように塗布し、90℃−1分間で乾燥させた後、この粘着剤層面とポリエステルフィルム(商品名「東洋紡エステル」50μm 東洋紡株式会社製)を貼り合わせて粘着シートを作成した。なお、上記ポリエチレンラミネート剥離紙は、上質紙にポリエチレン層を熱融着し、該ポリエチレン層にシリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を塗布乾燥したものである。
【0027】
〔ホルムアルデヒド測定方法〕 内容量800〜1000mLのガラス瓶に、4mLの蒸留水を予め入れておく。20cm×10cmの大きさに切り出した塗工物から剥離紙を剥がし、これを前記蒸留水中に入れ、90℃で2時間放置して、ホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させる。試験溶液中のホルムアルデヒドの濃度はアセチルアセトン法によって、光電分光光度計または光電比色計を用いて比色定量する。
【0028】
【実施例1】
アクリル酸n−ブチル 76.9部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20部
アクリル酸 3部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 0.2部
1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン 0.05部
酢酸エチル 85部
上記組成で、還流下で3時間共重合させ、その後、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.2部で未反応のモノマーを共重合させ、反応終了後、酢酸エチル 37部を加え、冷却を行ない、不揮発分濃度が45%のアクリル酸共重合体を得た。更に上記で製造したアクリル酸共重合体にロジンエステルを20部加え、酢酸エチル23.5部で希釈し、更にアセチルアセトンを1部添加し、不揮発分45%の粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0μg/gであった。
【0029】
【実施例2】
アクリル酸n−ブチル 70部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20部
酢酸ビニル 6.9部
アクリル酸 3部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 0.2部
1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン 0.05部
酢酸エチル 85部
上記組成で、還流下で3時間共重合させ、その後、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.2部で未反応のモノマーを共重合させ、反応終了後、酢酸エチル 37部を加え、冷却を行ない、不揮発分濃度が45%のアクリル酸共重合体を得た。更に上記で製造したアクリル酸共重合体にロジンステルを20部加え、酢酸エチル24.3部で希釈し、更にアセチルアセトンを0.2部添加し、不揮発分45%の粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0μg/gであった。
【0030】
【比較例1】
アセチルアセトンを除いた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0.4μg/gであった。
【0031】
【比較例2】
アセチルアセトンの添加量を0.01部に減量した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0.3μg/gであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の粘着剤組成物は、溶剤可溶性アクリル系粘着剤を含む主剤及び架橋剤を含むアクリル系溶剤型粘着剤層組成物中にアセチルアセトンを含有させることにより、ホルムアルデヒドの低減に優れた効果を発揮する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着シート、粘着テープなどに使用されるアクリル系溶剤型感圧性接着剤組成物(=粘着剤組成物)に関し、更に詳しくは、加熱により発生するホルムアルデヒドを低減させたアクリル系溶剤型感圧性接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤組成物を用いた粘着加工品は、耐候性、耐久性、耐熱性、耐寒性、耐水性等に優れているので、従来から、建材、家電製品、自動車用緩衝材、壁紙、隙間テープ、養生テープ等の用途に、両面テープ、フォームテープ等として汎用されている。このような粘着加工品に用いる粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂を主体とする溶剤型粘着剤組成物が用いられている。
【0003】
また、上記の粘着加工品は室内で使用されることも考えられる。このような場合、粘着剤に含有する成分が気化して室内に漂うことがありうる。このような気化した成分としてホルムアルデヒドやトルエン等の化学物質を含むことがある。そしてこのような化学物質は、所謂シックハウス症候群を引き起こす原因物質として挙げられている。
【0004】
ところで、そもそもこの様な室内で用いられる粘着加工品に用いられる粘着剤に、前述したようなシックハウス症候群を誘引する化学物質を含まないものを使用すれば問題はないと考えられる。
しかし、ホルムアルデヒドの発生原因と思われるような物質を使用しなくとも、ホルムアルデヒドは大気中にも含まれ、一部粘着剤中に入り込む可能性もあり、また加熱によりホルムアルデヒドが発生する可能性もあり、コントロールが難しいという問題がある。
【0005】
ホルムアルデヒド低減法として、尿素とアセチルアセトン、およびグリオキザールとアセチルアセトンからなる群より選択された増進剤と尿素との組み合わせからなる群より選択されたホルムアルデヒド捕集剤の使用(特開平2−232279)、アセトアセチル基を含有する活性エネルギー線硬化樹脂からなるアルデヒド吸着剤の使用(特開平11−197501)および尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン、アミン類、アミド類を捕集剤として使用することが公知である。
しかし、尿素類は、溶剤系粘着剤では溶解性に乏しい。一方、ジシアンジアミドやアミン類は溶剤型粘着剤のいわゆる主剤と反応し易く、これらを用いた場合粘着剤の経時安定性に欠けるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを形成し得るアクリル系溶剤型粘着剤及びホルムアルデヒドが発生し難い粘着シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、アクリル系溶剤型粘着剤にアセチルアセトンを成分中に含有させることにより粘着シートからのホルムアルデヒドの発生が抑えられることを見出した。
即ち、第1の発明は、溶剤可溶性アクリル系ポリマーを含有する主剤、架橋剤及びアセチルアセトンを含有するアクリル系溶剤型粘着剤組成物であり、
第2の発明は、主剤の固形分100重量部に対して、アセチルアセトンを0.01〜2重量部含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物である。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材シート上に設けてなる粘着剤シートであって、90℃−2時間で水中で加熱した際に、0.05μg/g以下のホルムアルデヒドしか発生し得ない粘着剤シートである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次ぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の粘着剤組成物の主剤を構成する、アクリル系溶剤型ポリマーは、溶剤中で(メタ)アクリル系モノマーを重合してなるものである。
該ポリマーとしては、当該分野で使用されているポリマーをいずれも使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基もしくはその無水物基を有する重合性モノマー、アルキル(メタ)アクリレート〔メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等〕、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル系モノマーから選択されたモノマーのホモポリマー、並びに2種以上選択するコポリマー、ターポリマー等の多元ポリマーがある。更に、前記(メタ)アクリル系モノマーと酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン等の(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル化合物とのコポリマーが挙げられる。
【0011】
上記モノマーを重合する際に使用される重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ系重合開始剤;等のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。重合開始剤の使用量は、単量体組成物の組成や反応条件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0012】
さらに、共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることができる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0.001〜3重量%程度の範囲で調節される。なお、重合反応は、通常40〜100℃の温度条件下、2〜8時間かけて行われる。
【0013】
本発明にかかる粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマーを含むいわゆる主剤と、架橋剤とを含有する。(メタ)アクリル系ポリマーは、一種類のみが含まれていてもよく、また、二種類以上が含まれていてもよい。
【0014】
架橋剤は、上記(メタ)アクリル系ポリマーが有する官能基、即ち、例えば水酸基やカルボキシル基等を有するモノマーによって分子内に導入された官能基と、反応し得る官能基を有するものであり、該架橋剤を用いることにより、粘着剤層の粘着力と凝集力とをより一層向上させることができる。
上記の架橋剤は、(メタ)アクリル系重合体が有する官能基と反応し得る官能基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、アジリジン化合物、および、金属架橋剤等が挙げられる。
【0015】
多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該多官能エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
【0016】
多官能イソシアネート化合物は、イソシアネート基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。該多官能イソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;スミジュールN(商品名,住友バイエルウレタン株式会社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL,デスモジュールHL(商品名,バイエルA.G.株式会社製)、コロネートEH(商品名,日本ポリウレタン工業株式会社製)等の、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(商品名,住友バイエルウレタン株式会社製)、コロネートL(商品名,日本ポリウレタン工業株式会社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物;等が挙げられる。また、これら多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基と、活性水素を有するマスク剤とを反応させることにより該イソシアネート基を不活性化した、ブロックイソシアネート化合物を用いることもできる。
【0017】
アジリジン化合物としては、具体的には、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0018】
金属架橋剤としては、具体的には、例えば、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫等の多価金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等の配位子が配位してなるキレート化合物等が挙げられる。
【0019】
これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーの種類や、粘着剤組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、該(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲内がより好ましく、0.5重量部〜5重量部の範囲内がさらに好ましい。これにより、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋密度を適度な値に調節することができるので、粘着剤組成物の各種物性をより一層向上させることができる。架橋剤の使用量が0.1重量部よりも少ない場合には、架橋剤が不足して架橋密度が低くなり過ぎ、凝集力が不充分となるおそれがある。また、該使用量が10重量部よりも多い場合には、架橋密度が高くなり過ぎ、凝集力が高くなり過ぎて粘着力および耐反発性が低下するおそれがある。尚、(メタ)アクリル系ポリマーに架橋剤を添加する添加方法は、特に限定されるものではない。
【0020】
本発明の粘着剤組成物を構成する主剤には、更に粘着物性の向上のため、粘着付与剤を配合することが好ましい。粘着付与剤を配合することにより、例えばポリオレフィン等の被着体に対する粘接着性も改善される。本発明で使用される粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)が挙げられるが、中でもロジン誘導体が望ましく、特にロジンエステル系が好ましい。
【0021】
前記粘着付与剤は、1種類あるいは2種類以上を併用することができる。すなわち、粘着付与剤の組み合わせとしては、テルペン樹脂と脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂とクマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂とロジン誘導体、テルペン樹脂とロジン誘導体、脂肪族系石油樹脂とロジン誘導体、芳香族系石油樹脂とロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂とロジン誘導体、フェノール樹脂とロジン誘導体等の2種類あるいは、ロジン誘導体と脂肪族系石油樹脂と芳香族系石油樹脂の3種類あるいはそれ以上の混合物で使用することもできる。また、粘着付与剤の配合割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。因みに、1重量部未満では、粘着力や接着力を向上させる効果に乏しく、50重量部を越えると、逆に粘着力や接着力が低下する傾向にある。
【0022】
本発明で使用されるアセチルアセトンは、上記溶剤可溶性(メタ)アクリル系ポリマーを含有する主剤の固形分100重量部に対し、0.01〜2重量部添加することが望ましく、より好ましくは0.05〜1重量部添加することが望ましい。0.01重量部未満では、ホルムアルデヒドを捕集する効果が薄く、2重量部を超えると、捕集効果は高まるものの、乾燥後に残留溶剤として塗工物中に残り、凝集力不足になる可能性がある。
【0023】
さらに、粘着剤組成物は、必要に応じて、公知の粘着剤組成物に配合されている充填剤、顔料、染料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、添加剤の添加量は、所望する物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0024】
上記構成の粘着剤組成物は、公知の粘着剤組成物を用いるあらゆる用途に適用することができる。即ち、本発明にかかる粘着剤組成物は、例えば、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル、両面テープ等の各種粘着製品の製造に好適に用いることができる。上記粘着製品の基材としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、セロファン等のプラスチック;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の紙;織布、不織布等の布;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。基材の形状は、例えば、フィルム状、シート状、テープ状、板状等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、基材がプラスチックである場合には、発泡体であってもよい。
【0025】
粘着剤組成物を基材に塗布する塗布方法、即ち、粘着製品の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法を採用することができる。該方法としては、例えば、粘着剤組成物を基材に直接、塗布する方法;離型紙に粘着剤組成物を塗布した後、該塗布物を基材に転写する方法;等が挙げられる。粘着剤組成物は、基材に容易に塗布することができる。粘着剤組成物を基材に塗布する際に用いる塗布機器は、特に限定されるものではない。そして、粘着剤組成物を基材の片面または両面に塗布した後、乾燥させることにより、基材と粘着剤組成物とが一体化し、基材表面に粘着剤層(以下、粘着剤面と記す)が形成される。乾燥温度は、特に限定されるものではない。乾燥時に、例えば(メタ)アクリル系重合体が有する官能基と、架橋剤の官能基とが反応して、架橋構造が形成される。尚、用途によっては、粘着剤組成物を被着体に直接、塗布してもよい。また、離型紙に粘着剤組成物を塗布した後、該塗布物を離型紙から剥離することにより、粘着剤組成物自体がフィルム状やシート状、テープ状、板状等に形成されてなる粘着製品を製造することもできる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ表す。
〔粘着シートの製造〕 市販のポリエチレンラミネート剥離紙に粘着剤層用塗液を、乾燥重量で65g/m2となるように塗布し、90℃−1分間で乾燥させた後、この粘着剤層面とポリエステルフィルム(商品名「東洋紡エステル」50μm 東洋紡株式会社製)を貼り合わせて粘着シートを作成した。なお、上記ポリエチレンラミネート剥離紙は、上質紙にポリエチレン層を熱融着し、該ポリエチレン層にシリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を塗布乾燥したものである。
【0027】
〔ホルムアルデヒド測定方法〕 内容量800〜1000mLのガラス瓶に、4mLの蒸留水を予め入れておく。20cm×10cmの大きさに切り出した塗工物から剥離紙を剥がし、これを前記蒸留水中に入れ、90℃で2時間放置して、ホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させる。試験溶液中のホルムアルデヒドの濃度はアセチルアセトン法によって、光電分光光度計または光電比色計を用いて比色定量する。
【0028】
【実施例1】
アクリル酸n−ブチル 76.9部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20部
アクリル酸 3部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 0.2部
1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン 0.05部
酢酸エチル 85部
上記組成で、還流下で3時間共重合させ、その後、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.2部で未反応のモノマーを共重合させ、反応終了後、酢酸エチル 37部を加え、冷却を行ない、不揮発分濃度が45%のアクリル酸共重合体を得た。更に上記で製造したアクリル酸共重合体にロジンエステルを20部加え、酢酸エチル23.5部で希釈し、更にアセチルアセトンを1部添加し、不揮発分45%の粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0μg/gであった。
【0029】
【実施例2】
アクリル酸n−ブチル 70部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20部
酢酸ビニル 6.9部
アクリル酸 3部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 0.2部
1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン 0.05部
酢酸エチル 85部
上記組成で、還流下で3時間共重合させ、その後、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.2部で未反応のモノマーを共重合させ、反応終了後、酢酸エチル 37部を加え、冷却を行ない、不揮発分濃度が45%のアクリル酸共重合体を得た。更に上記で製造したアクリル酸共重合体にロジンステルを20部加え、酢酸エチル24.3部で希釈し、更にアセチルアセトンを0.2部添加し、不揮発分45%の粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0μg/gであった。
【0030】
【比較例1】
アセチルアセトンを除いた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0.4μg/gであった。
【0031】
【比較例2】
アセチルアセトンの添加量を0.01部に減量した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤100重量部にコロネートLの45%濃度品を1.5重量%添加し混合したものを用い、上記記載の方法で粘着シートを作成し、加熱後のホルムアルデヒドを測定した結果、0.3μg/gであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の粘着剤組成物は、溶剤可溶性アクリル系粘着剤を含む主剤及び架橋剤を含むアクリル系溶剤型粘着剤層組成物中にアセチルアセトンを含有させることにより、ホルムアルデヒドの低減に優れた効果を発揮する。
Claims (3)
- 溶剤可溶性アクリル系ポリマーを含有する主剤、架橋剤及びアセチルアセトンを含有するアクリル系溶剤型粘着剤組成物。
- 主剤の固形分100重量部に対して、アセチルアセトンを0.01〜2重量部含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- 請求項1又は2記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材シート上に設けてなる粘着剤シートであって、90℃−2時間で水中で加熱した際に、0.05μg/g以下のホルムアルデヒドしか発生し得ない粘着剤シート。
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