JP2004037665A - 現像剤担持ローラー、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性の軸心体と、該軸心体の外周に設けられた弾性層および/または樹脂層とを有するローラーであって、ローラー表面に現像剤の薄層を形成し、該ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させるための現像剤担持ローラーにおいて、該ローラーの軸方向にその長さを8等分した各部分の回転時ローラーの抵抗値について、任意の隣り合う該部分の抵抗値をA(Ω)、B(Ω)としたとき(ただしB≧Aとする)、
【数1】
の関係が成り立つ。このローラーを有する電子写真プロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等の電子写真画像形成装置において、画像形成体に接触して該画像形成体表面に現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させる電子写真プロセスカートリッジに用いられる、濃度ムラがなく、高精彩な画像を得ることが出来る現像剤担持ローラーに関する。また、この現像剤担持ローラーを用いた電子写真プロセスカートリッジ及び、それを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、画像形成体に接触して配置された現像剤担持ローラーにより、該画像形成体に現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成する現像方式として、接触現像法が知られている。この接触現像法は、現像剤担持ローラー表面に現像剤を付着させ、該現像剤の層厚を層厚規制部材により均一化し、画像形成体に現像剤担持ローラーを接触させることにより該画像形成体表面に現像剤を付着させている。その為、該現像方式に用いられる現像剤担持ローラーには、画像形成体に接触した際に適度なニップを形成するための弾性、さらには適度な導電性を有する必要がある。
【0003】
その為に必要な現像剤担持ローラーの構造としては、従来から、金属等の良導電体からなる軸心体の外周上に、EPDM、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム等の弾性ゴムやその発泡体に導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電剤を配合したものを被覆したものが用いられている。さらには、その弾性体層の外周上には現像剤担持ローラー表面への現像剤付着量のコントロールを目的として、導電剤や樹脂粒子を配合した塗膜を被覆したものも提案されている。
【0004】
しかしながら、カーボンブラック等の導電性充填材を配合することにより導電性を付与された高分子材料からなる導電性層は、その抵抗値の部分的なばらつきが生じ、その抵抗ばらつきが一定以上大きくなると画像ムラとして問題となりうることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高速高精細電子写真プロセスにおいてもムラのない高品位な画像を形成することを可能とする現像剤担持ローラー、電子写真プロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明により、導電性の軸心体と、該軸心体の外周に設けられた弾性層および/または樹脂層とを有するローラーであって、
ローラー表面に現像剤の薄層を形成し、該ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させるための現像剤担持ローラーにおいて、
該ローラーの軸方向にその長さを8等分した各部分の回転時ローラーの抵抗値について、任意の隣り合う該部分の抵抗値をA(Ω)、B(Ω)としたとき(ただしB≧Aとする)、
【0007】
【数4】
【0008】
の関係が成り立つことを特徴とする現像剤担持ローラーが提供される。
【0009】
また本発明により、導電性の軸心体と、該軸心体の外周に設けられた弾性層および/または樹脂層とを有するローラーであって、
ローラー表面に現像剤の薄層を形成し、該ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させるための現像剤担持ローラーにおいて、
該ローラーの軸方向にその長さを8等分した各部分の回転時ローラーの抵抗値のうち、最大値をRmax(Ω)、最小値をRmin(Ω)としたとき、
【0010】
【数5】
【0011】
の関係が成り立つことを特徴とする現像剤担持ローラーが提供される。
【0012】
上記現像剤担持ローラーは、液状ゴムが硬化した前記弾性層を有し、
該液状ゴムの100℃における10%硬化時間、90%硬化時間をそれぞれT10(秒)、T90(秒)としたとき、
【0013】
【数6】
【0014】
の関係が成り立つことができる。
【0015】
上記現像剤担持ローラーは、液状シリコーンゴムを硬化させた前記弾性層を有することが好ましい。
【0016】
液状シリコーンゴムが不飽和アルコールを含むことが好ましい。
【0017】
上記現像剤担持ローラーは、ウレタン結合を有する前記樹脂層を有することができる。
【0018】
上記現像剤担持ローラーは、1層以上の前記弾性層と、該弾性層の少なくとも1つの外周に少なくとも1層の前記樹脂層を有することができる。
【0019】
本発明により、現像剤担持ローラーを有し、該現像剤担持ローラーの表面に現像剤の薄層を形成し、該現像剤担持ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させる電子写真プロセスカートリッジにおいて、
該現像剤担持ローラーが、上記の現像剤担持ローラーであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジが提供される。
【0020】
また本発明により、現像剤担持ローラーを有し、該現像剤担持ローラーの表面に現像剤の薄層を形成し、該現像剤担持ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させる電子写真画像形成装置において、
該現像剤担持ローラーが、上記の現像剤担持ローラーであることを特徴とする電子写真画像形成装置が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ローラー抵抗の位置ばらつきのうち、ある限られた狭い範囲内での抵抗ばらつきが画像ムラに悪影響を及ぼすことを突き止め、この局部的な抵抗ムラが以下の関係式(I)に示す範囲内であれば、ムラのない高精細な画像を得ることが可能であることを発見し本発明に至った。
【0022】
即ち、ローラーを軸方向に8等分した各部分について測定した抵抗値のうち、任意の隣り合う2測定点の抵抗値をA(Ω)、B(Ω)としたとき(ただし、A≦BとなるようにA、Bを選ぶ)
【0023】
【数7】
【0024】
を満足するようなローラー、即ち全ての隣り合う2測定点間の抵抗値差が小さいローラーであれば、画像ムラのない高精細な画像を得ることができることを見出した。
【0025】
たとえば、隣り合う2測定点間の抵抗がまったく等しかった場合は、
【0026】
【数8】
【0027】
である。
【0028】
また、上記ローラーの局所的抵抗差だけでなく、ローラーを軸方向に8等分した各部分について測定した抵抗値の最大値と最小値をそれぞれRmax、Rminとしたとき、
【0029】
【数9】
【0030】
を満たすローラーはムラのない高精細な画像を得ることができることも見出した。
【0031】
このとき、ローラー軸方向に8分割して測定した抵抗値の最大値と最小値が等しかった場合、上記関係式Log10(Rmax/Rmin)=0となり、画像ムラに対してもっとも有効な抵抗のローラーとなる。
【0032】
さらには、以下の関係式(II)及び(III)を満たす硬化特性を有する未硬化液状ゴムを硬化させ、その硬化物を弾性層として用いることで、上記局所的抵抗ばらつきの関係式を満足する現像剤担持ローラーを得ることができるという知見を見いだし、本発明に至った。
【0033】
【数10】
【0034】
ここで、T10、T90はそれぞれ、キュラストメーター(日合商事株式会社製、商品名:キュラストメーターV型にて15分測定。ISO6502−1999に準拠。)100℃における10%硬化時間と90%硬化時間を示す。
【0035】
また、弾性層を形成するために用いる液状未硬化ゴムとしては、液状シリコーンゴムが好適であり、さらに弾性層の外周上に1層以上の樹脂層が設けられる場合には、該樹脂層は摩耗性に優れる、クリープ性が良いなどの観点からウレタン結合を有する樹脂、例えばウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
このような材料および層構成にて与えられる現像剤担持ローラーは抵抗ムラが少なく、該現像剤担持ローラーを内部に配置した電子写真プロセスカートリッジ、さらには該電子写真プロセスカートリッジを内部に配置した画像形成装置は、濃度ムラのない高精細な画像を得ることが可能であることを見いだし、本発明に至った。
【0037】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明者らは、現像剤担持ローラーの弾性層に使用する導電性弾性材料として、ある一定の硬化特性を有する液状硬化性材料を硬化させてなる弾性体を使用することにより、部分的な抵抗ムラを少なくすることが可能であることを見いだし、本発明に至った。
【0038】
〔弾性層形成方法〕
現像剤担持ローラーの弾性層を、軸芯体1の周りに配する方法としては、押し出し成形、射出成形等いくつかの方法が挙げられる。このうち、押し出し成形により加工される弾性体は、そのままでは現像剤担持ローラーに使用するための形状精度を有していないため、円筒研削盤などにより表面を研磨することで、所望の形状に仕上げ加工する必要がある。
【0039】
それに対し、液状の未硬化材料を円筒型内に注入して、その後加熱加硫することにより弾性層を軸体の周りに配する方法による現像剤担持ローラーの弾性層の形成においては、使用する型の形状をある一定の収縮量のもとに再現するため、研磨することなしに十分満足できる形状精度を有するものを得ることが出来る。しかし、材料の硬化速度が一定値以上早いと円筒型内の材料圧力が上昇し、さらにはその圧力分布により成形品に抵抗ムラが発生する傾向がある。
【0040】
このような抵抗ムラを回避するためには、使用する液状未硬化ゴムの硬化時間をある一定値以上に長くすることが有効である。しかしながら、この未硬化ゴムの硬化時間が必要以上に長いことは、成形サイクルを短縮する観点からは不利である。以上のようなことから、液状未硬化材料の10%硬化時間は型内圧を上昇させることがなく、さらに加硫サイクルを長くすることのない範囲にすることが好ましい。さらに10%硬化時間を一定範囲内にした材料においても、その90%硬化時間が長い場合、製造条件によっては、加硫により得られる弾性層が加硫が不十分な状態で円筒型から取り出され、その脱型時の応力により形状精度が悪くなる傾向があるという点で不利である。
【0041】
本発明者らは、以上のような問題を解決できる最適な材料の硬化速度が、前記関係式(II)および(III)を満たすものであることを見いだし、本発明に至った。
【0042】
〔現像剤担持ローラー〕
次に本発明の現像剤担持ローラーの構成について説明する。本発明の現像剤担持ローラーは、例えば、図1に示すような断面構造を有し、図2にも示すように導電性の軸芯体1と、該軸芯体1の外周上に同心円状に形成された導電性弾性層2と該導電性弾性層2の外周上に形成された樹脂層である表層3を有する。
【0043】
〔軸芯体〕
本発明で使用する導電性の軸芯体1は、例えば、炭素鋼合金表面に5μm厚さの工業ニッケルメッキを施した円柱である。導電性軸芯体1を構成する材料としては他にも、たとえば鉄、アルミニウム、チタン、銅およびニッケル等の合金やこれらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金、さらにカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の剛直で導電性を示す公知の材料を使用することも出来る。また、形状としては、円柱状のほかに中心部分を空洞とした円筒形状とすることもできる。
【0044】
〔弾性層〕
上記導電性軸体の外周上に、導電性弾性層を形成することができる。導電性弾性層を形成するのに好ましい材料は、液状シリコーンゴムに導電性フィラーとしてカーボンブラック等の無機粒子を配合したものが挙げられる。必要とする弾性層外径に対してその内径が適当に選択された円筒型内に、その表面に加硫接着タイプのシリコーンゴム用プライマーを極薄く塗布した上記導電性軸芯体1を両端で押えて配し、その軸体の長さ方向のどちらか一方から、上記液状シリコーンゴムに導電性フィラーとしてカーボンブラックを配合したものを、円筒型の注入口から適当な速度で注入し、加熱・硬化することにより円筒内で軸体とその外周上に導電性弾性層を配したものを得ることができる。その後、円筒型外から冷却し、さらに脱型することにより、弾性層の肉厚が例えば2〜5mmの現像剤担持ローラーの導電性弾性層を得ることができる。
【0045】
〔液状シリコーンゴム〕
液状シリコーンゴムとしては、加工性に優れている、硬化反応に伴う副生成物の発生がないため寸法安定性が良好である、硬化後の物性が安定している等の理由から、付加反応架橋型液状シリコーンゴムが好ましい。
【0046】
液状シリコーンゴムは、例えば式1で表されるオルガノポリシロキサン、および式2で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含み、さらに触媒や他の添加物を適宜含む組成物であることができる。
【0047】
【化1】
【0048】
オルガノポリシロキサンはシリコーンゴム原料のベースポリマーである。加工特性および得られるシリコーンゴム組成物の特性等の観点から、オルガノポリシロキサンの粘度は、下限値として10Pa・s以上が好ましく、50Pa・s以上がより好ましく、上限値としては300Pa・s以下が好ましく250Pa・s以下がより好ましい。その分子量は特に限定されないが、上記粘度を得るためには、10万以上100万以下が好ましく、平均分子量は40万以上70万以下が好ましい。
【0049】
上記オルガノポリシロキサンのアルケニル基は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの活性水素と反応して架橋点を形成する部位であり、その種類は特に限定されないが、活性水素との反応性が高い等の理由から、ビニル基およびアリル基の少なくとも一方であることが好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0050】
【化2】
【0051】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、硬化工程における付加反応の架橋剤の働きをするもので、一分子中のケイ素原子結合水素原子の数は2コ以上であり、硬化反応を最適に行わせるために、3個以上のポリマーが好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子量に特に制限は無く、例えば1000から10000まで含まれるが、硬化反応を適切に行わせるために、比較的低分子量(1000以上5000以下)が好ましい。
【0052】
〔液状シリコーンゴムに含まれる各種添加物〕
液状シリコーンゴムは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの架橋触媒として、例えば、塩化白金酸六水和物を含むことができる。また架橋触媒として、ヒドロシリル化反応において触媒作用を示す遷移金属化合物も使用できる。その具体例としては、Fe(CO)5、Co(CO)8、RuCl3、IrCl3、〔(オレフィン)PtCl2〕2、ビニル基含有ポリシロキサン−Pt錯体、H2PtCl6・6H2O、L2Ni(オレフィン)、L4Pd、L4Pt、L2NiCl2(但し、L=PPh3若しくはPR’3、ここでPはリン、Phはフェニル基、R’はアルキル基を示す)を挙げることができる。その中でも、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム系遷移金属化合物触媒である。
【0053】
上記触媒の配合量は、白金系金属化合物触媒の場合、液状シリコーンゴム(各種配合物を含む)中、白金として1質量ppm以上100質量ppm以下が好ましいが、この範囲に限定されることはなく、目標とする可使時間、硬化時間、製品形状等により適宜選択される。
【0054】
また液状シリコーンゴムは、硬化反応遅延剤として1−エチニル−シクロヘキサノール、フェニルブチノール等の不飽和アルコールを含むことができる。硬化反応遅延剤の配合量としては、オルガノポリシロキサン100質量部に対して例えば0.05〜0.5質量部の範囲で、目標とする可使時間、硬化時間、製品形状により適宜選択できる。
【0055】
液状ゴムのT10、T90を調整するために、上記触媒および硬化反応遅延剤の種類と量を調整することが有効である。
【0056】
硬化物の低硬度及び低圧縮永久歪の特徴を阻害しない範囲内で、液状シリコーンゴムに通常使用される各種の配合剤を添加することができる。
【0057】
例えば、配合剤として用いることのできるゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、(メタ)アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートゴム、エピクロルヒドリンゴム等である。
【0058】
液状シリコーンゴムに含ませることのできる補強充填剤及び増量剤としては、例えば、導電性のカーボンブラック、導電性のフィラー、導電性可塑剤、KSCN、LiClO4、NaClO4、4級アンモニウム塩等のイオン伝導物質、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、カーボンブラック、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤を挙げることができる。これらの充填剤の表面を有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサン等で処理して疎水化してもよい。
【0059】
液状シリコーンゴムに含ませることのできる可塑剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサンオイル、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、軟化剤としては、例えば、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、老化防止剤としては、例えば、フェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩類、耐熱剤としては、例えば、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化カリウム、ナフテン酸鉄、ナフテン酸カリウム、そのほか加工助剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を添加できる。
【0060】
液状シリコーンゴムに含ませることのできる導電剤としては、例えば、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物;硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉;又は適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化モリブデンや、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウムを電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN系カーボンブラック、ピッチ系カーボンブラック等のカーボン粉が挙げられる。
【0061】
導電剤としては、少量の添加で電気抵抗率を低下させることができ、ゴム組成物の硬度を大きくすることなく導電性を付与することができるので、特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの商品名としては、例えば、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(ともに「ケッチェンブラックインターナショナル」製)等が好ましい。
【0062】
液状シリコーンゴムに含ませることのできる硬化反応抑制剤としては、アセチレンアルコール類、環状メチルビニルシロキサン、シロキサン変性アセチレンアルコール類等を例示することが出来る。
【0063】
〔液状シリコーンゴムの物性〕
必要な充填剤等が配合されたシリコーンゴム原料の粘度は特に制限はないが、材料の流動性をある程度抑制して材料漏れを防止する観点から10Pa・s以上が好ましく、注入ゲート間にウェルドが発生する等の成形加工性の問題を回避するための観点から、300Pa・s以下が好ましい。
【0064】
〔表層〕
本発明では以上のようにして形成された導電性弾性体基層の表面に更に表層として樹脂層を形成することもできる。表層を形成する材料としては、各種のポリアミド、フッ素樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0065】
これらの表層を構成する材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した従来公知の分散装置を使用して分散させる。得られた表層形成用の分散体は、スプレー塗工法、ディッピング法等により導電性基体の表面に塗工される。本発明においては、現像剤担持ローラーの表面が均一に粗面となることが好ましいので、特にスプレー塗工が好ましく用いられる。
【0066】
表層の厚みとしては、低分子量成分がしみ出してきて感光体を汚染することを防止する観点から5μm以上が好ましく、現像剤担持ローラーが硬くなり、融着が発生することを防止する観点から500μm以下が好ましい。より好ましくは10〜30μmである。
【0067】
上記の如くして形成する表層中に質量平均粒径が1〜20μmの微粒子を分散させることにより、現像剤担持ローラー表面のトナー等の現像剤の搬送を容易にすることができ、充分な量の現像剤を現像領域に搬送することができ、好ましい。このような目的に使用する微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子等のプラスチックピグメントが挙げられるが、特にポリメチルメタクリル酸メチル微粒子及びシリコーンゴム微粒子が好ましい、これらの微粒子は前記表層の約20〜200質量%(この微粒子を除く表層構成成分の総質量に対して)の範囲で添加することが好ましい。
【0068】
〔電子写真プロセスカートリッジ〕
次に前記本発明の現像剤担持ローラーを有する接触現像方式の電子写真画像形成装置の概略図の一例を図3に示す。
【0069】
まず本発明の現像剤担持ローラーを有する電子写真プロセスカートリッジを説明する。電子写真プロセスカートリッジには、画像形成体である感光体ドラム12と、現像剤担持ローラー22と、一次帯電ローラー11と、現像剤供給ローラー23と、現像剤層厚規制部材であるトナー層厚規制部材26と、撹拌羽31と、現像剤であるトナー25とが一つのカートリッジにまとめられ、電子写真装置の中で一体的に交換可能となっている。撹拌羽で現像剤供給ローラーに送られたトナーは、トナー層厚規制部材によって現像剤担持ローラー表面に均一にコートされ、感光体ドラム12表面へと運ばれ、現像される。紙等の記録メディア20にトナーが転写された後、感光体表面は一次帯電ローラーで再び均一に帯電される。
【0070】
図3に従って接触現像方式の電子写真画像形成装置を見て行くと、本発明の現像剤担持ローラー22は、その表面にトナー25を保持して矢印の方向に回転しながら感光体12上にレーザー光29によって形成された潜像を現像し、現像に使用されずに現像剤担持ローラー表面に残ったトナーを表面に坦持したまま現像容器24に戻す。
【0071】
現像容器の内部では現像剤供給ローラー23が現像剤担持ローラー表面に残ったトナーを現像剤担持ローラー表面から取り除くとともに、新しいトナーを現像剤担持ローラーの表面に供給する。現像剤担持ローラー表面に供給された新しいトナーは、トナー層厚規制部材26にてコート厚さを均一に整えられ、現像領域に搬送されていく。この繰り返しによって現像剤担持ローラーは常に新しいトナーを均一にコートして静電潜像を現像する。
【0072】
現像されたトナー像は感光体の回転によって転写領域に運ばれ、転写ローラー19で記録メディア20に転写される。その後未定着のトナー像は定着ローラー15と加圧ローラー17の間を通り、圧力と熱で記録メディアに定着される。 転写工程で転写されずに感光体上に残ったトナーは、感光体の回転に伴い清掃用の弾性ブレード13で感光体から取り除かれる。表面が清掃された感光体表面は一次帯電ローラー11で帯電され、再び露光、現像される、という工程を繰り返す。
【0073】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品用いた。
【0074】
まず、実施例および比較例にて行った、現像剤担持ローラーの画だし評価について説明する。本評価で使用した電子写真式レーザービームプリンターは、A4版出力用のマシンで、記録メディアの出力スピードはA4縦16枚/分、画像の解像度は1200dpiである。感光体はアルミシリンダーにOPC(有機光導電体)層をコートした反転現像方式の感光ドラムであり、最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層である。
【0075】
感光体上で現像されたトナー像は転写ローラーで記録メディアに転写され、定着部で熱定着される。転写ローラーで転写しなかったトナーはクリーニングブレードで感光体から掻き取られる。現像部分はカートリッジ化されており、現像剤担持ローラーにはトナー層厚規制部材である現像ブレードがカウンタ方向に当接し、トナーの層厚を規制する。
【0076】
現像剤担持ローラーの画だしは、現像剤担持ローラーを電子写真装置に組み込んだ直後に行った。
【0077】
初期の画だしは感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットもしくは、幅2ドット、間隔3ドットで印字するような画像を出力した。画像濃度が十分に濃く、しかも現像剤担持ローラーの回転に起因する周期性(現像剤担持ローラーピッチ)のあるなしにかかわらず画像濃度ムラがまったく見られない画像を◎、画像濃度のムラがかすかに見られるが実用上はまったく問題がない画像を○、画像濃度ムラが明らかに認められるものを×とした。
【0078】
次に、本発明で実際に評価を行った現像剤担持ローラーの製造方法について詳細に説明する。まず、軸芯体には鉄表面に化学ニッケルメッキを施したものを使用し、円筒形金型中心部に該軸芯体を配置し、該円筒金型内にその注入口から液状シリコーンゴム原料を注入時間およそ10秒で注入し、100℃で5分間、加熱硬化させてシリコーンゴム弾性層を成形した。該液状シリコーンゴムは、オルガノポリシロキサンに充填剤として石英粉末・カーボンブラックを配合し、さらに硬化触媒として白金化合物を微量配合したものと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに充填剤として石英粉末・カーボンブラックを配合し、さらに微量の硬化遅延剤を配合したものとを、重量比1:1で混合したものを使用した。シリコーンゴム弾性層の形成に先立ち、芯金表面にはシリコーンゴムと軸心との接着性を向上させる目的で、プライマー処理を行った。
【0079】
次に、このシリコーンゴム弾性層の硬化後の物性を安定させる、シリコーンゴム弾性層中の反応残渣及び未反応低分子分を除去する等を目的として、200℃で4時間の熱処理をした。
【0080】
その後、得られたシリコーンゴム弾性層の表面上に、ウレタン樹脂および、トナー搬送性を良くする目的で平均粒径10〜20μmのポリメチルメタクリル酸メチル微粒子を10〜20%分散させた液を、ディッピングにより積層させた。
【0081】
そして、塗工・風乾後の該ローラを140℃で4時間の熱処理により、表層としておよそ20μmの厚さのポリウレタン樹脂層を製膜した。
【0082】
次にこのようにして得られた、現像剤担持ローラーの抵抗測定の方法について説明する。図4に示すように、現像剤担持ローラーのシリコーンゴム弾性層の長手方向に、その長さ方向に8分割した直径30mmの金属製電極用ローラーに、片側500gずつ合計1000gの荷重でトナー担持ローラーを押し当てて、電極ローラーを32rpmで回転させてトナー担持ローラーを従動回転させた。この状態で直流電流電源より50Vの電圧をトナー担持ローラー軸・電極ローラー間に印加したときの抵抗値をローラー一周分にわたり測定した。
【0083】
上記の方法、材料にて下記実施例1〜3および比較例1〜3は、T10、T90を種々変更して特性を評価した結果を下記に示す。
【0084】
(実施例1)
その10%硬化時間が90秒で、10%硬化時間と90%硬化時間との比T10/T90が0.75である導電性液状シリコーンゴムを使用し、上記の方法に従って、直径8mmの鉄製軸上にシリコーンゴム弾性層を形成し、ゴム部分直径16mmでゴム部分長さ240mmの導電性ローラー弾性層を得た。
【0085】
次に得られたシリコーンゴム弾性層に対し、上記表層塗料にてディッピングし、140℃で4時間乾燥することにより厚さおよそ20μmの表層を設けた。
【0086】
得られた現像剤担持ローラーについて、上記方法で回転時の抵抗を測定したところ、測定値は表1に示すような値を示し、このローラーを電子写真装置に組み込んで画像を出力したところ非常に均一で適正な濃度の画像を得た。
【0087】
(実施例2)
使用するシリコーンゴム材料のT10が116秒で、T10/T90が0.77である以外は、実施例1と同様にして現像剤担持ローラーを作成した。実施例1と同様に測定・評価を行い、結果を表1にまとめた。
【0088】
(実施例3)
使用するシリコーンゴム材料のT10が145秒で、T10/T90が0.78である以外は、実施例1と同様にして現像剤担持ローラーを作成した。実施例1と同様に測定・評価を行い、結果を表1にまとめた。
【0089】
(比較例1)
使用するシリコーンゴム材料のT10が70秒で、T10/T90が0.70である以外は、実施例1と同様にして現像剤担持ローラーを作成した。実施例1と同様に測定・評価を行い、結果を表1にまとめた。
【0090】
(比較例2)
使用するシリコーンゴム材料のT10が65秒で、T10/T90が0.65である以外は、実施例1と同様にして現像剤担持ローラーを作成した。実施例1と同様に測定・評価を行い、結果を表1にまとめた。
【0091】
(比較例3)
弾性層に使用するシリコーンゴム材料のT10が161秒以上の材料を使用した場合、本発明中に記載した弾性ローラーの成形条件では、硬化が完了せず脱型が可能な状態の弾性層を得ることが出来なかった。特にT10が223秒で、T10/T90が0.84である材料では、弾性層の硬化に、実施例1〜3の場合と比較して倍以上の時間を要する結果になった。
【0092】
(比較例4)
また、使用するシリコーンゴム材料のT10/T90が0.5未満の場合、実施例1〜3と同様の弾性層成形条件にて、脱型が可能なレベルまで硬化は進むものの、脱型時に型内面と弾性層との間で生じる応力により、形状精度が悪化するという結果になった。従って、T10が124秒で、T10/T90が0.41である以外は、実施例1と同様にして作成した現像剤担持ローラーは表1に示すような結果になった。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による現像剤担持ローラーは、たとえばA4縦で毎分16枚の画像を1200dpiで出力するような高速高精細電子写真プロセスカートリッジ及び該電子プロセスカートリッジが組み込まれた写真装置において、該現像剤担持ローラーの長さ方向の抵抗ムラが小さいことにより、濃度ムラのない高精細な画像を供給することが可能になる。また濃度ムラの無い高精細な画像を得ることのできる電子写真プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持ローラーの一形態の概念的断面図である。
【図2】本発明の現像剤担持ローラーの一形態の概念的斜視図である。
【図3】本発明の電子写真画像形成装置の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の現像剤担持ローラーの抵抗測定方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1:軸芯体
2:導電性弾性層
3:表層
11:一次帯電ローラー
12:感光体
13:弾性ブレード
15:定着ローラー
17:加圧ローラー
19:転写ローラー
20:記録メディア
22:現像剤担持ローラー
23:現像剤供給ローラー
25:現像剤
26:トナー層厚規制部材
29:レーザー光
Claims (9)
- 液状シリコーンゴムを硬化させた前記弾性層を有する請求項1〜3のいずれか一項記載の現像剤担持ローラー。
- 前記液状シリコーンゴムが不飽和アルコールを含むことを特徴とする請求項4記載の現像剤担持ローラー。
- ウレタン結合を有する前記樹脂層を有する請求項1〜5のいずれか一項記載の現像剤担持ローラー。
- 1層以上の前記弾性層と、該弾性層の少なくとも1つの外周に少なくとも1層の前記樹脂層を有する請求項1〜6のいずれか一項記載の現像剤担持ローラー。
- 現像剤担持ローラーを有し、該現像剤担持ローラーの表面に現像剤の薄層を形成し、該現像剤担持ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させる電子写真プロセスカートリッジにおいて、
該現像剤担持ローラーが、請求項1〜7のいずれか一項記載の現像剤担持ローラーであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。 - 現像剤担持ローラーを有し、該現像剤担持ローラーの表面に現像剤の薄層を形成し、該現像剤担持ローラーを画像形成体に接触させて該画像形成体表面に該現像剤を供給することにより該画像形成体表面に可視画像を形成させる電子写真画像形成装置において、
該現像剤担持ローラーが、請求項1〜7のいずれか一項記載の現像剤担持ローラーであることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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