JP2004030748A - 光学記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期使用において、接着層が大気に触れた部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止する。
【解決手段】中央部に開口を有するレプリカ基板1aの一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部1cと、情報信号部1cを少なくとも覆う光透過層2とを備え、光透過層2は、中央部に開口を有する光透過性シート2aと、この光透過性シート2bをレプリカ基板1aの一主面に接着させるための接着層2bとを備えることを特徴とする光学記録媒体において、光透過層2の内周部において接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部3aおよび/あるいは、光透過層2の外周部において接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部3bを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】中央部に開口を有するレプリカ基板1aの一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部1cと、情報信号部1cを少なくとも覆う光透過層2とを備え、光透過層2は、中央部に開口を有する光透過性シート2aと、この光透過性シート2bをレプリカ基板1aの一主面に接着させるための接着層2bとを備えることを特徴とする光学記録媒体において、光透過層2の内周部において接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部3aおよび/あるいは、光透過層2の外周部において接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部3bを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学記録媒体およびその製造方法に関し、特に、情報信号部を保護する保護層が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の記録および/または再生が行われる光学記録媒体に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野において、光学情報記録方式に関するさまざまな研究、開発が、各所で進められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録および/または再生を行うことができるとともに、磁気記録方式に比して一桁以上高い記録密度を達成可能であるという利点を有している。また、この光学情報記録方式は、再生専用型、追記型、書換可能型などのそれぞれのメモリ形態に対応可能であるという、さらなる利点をも有する。そのため、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式として、産業用から民生用まで幅広い用途への適用が考えられている。
【0003】
その中でも特に、再生専用型のメモリ形態に対応した光ディスクであるディジタルオーディオディスク(DAD)や光学式ビデオディスクなどは、現在広く普及している。
【0004】
ディジタルオーディオディスクなどの光ディスクは、情報信号を示すピットやグルーブなどの凹凸パターンが形成された光透過性を有するディスク基板上に、アルミニウム(Al)膜などの金属薄膜からなる反射膜と、さらにこの反射膜を大気中の水分(H2O)や酸素(O2)から保護するための保護膜とが設けられた構成を有する。そして、この光ディスクにおける情報信号の再生時には、ディスク基板側から凹凸パターンに向けてレーザ光などの再生光を照射し、この再生光による入射光と戻り光との反射率の差によって情報信号を検出する。
【0005】
そして、このような光ディスクを製造する際には、まず、射出成形法により凹凸パターンを有するディスク基板を形成する。次に、真空蒸着法により、光ディスク基板上に金属薄膜からなる反射膜を形成する。次に、この反射膜の上層に紫外線硬化樹脂を塗布することにより保護膜を形成する。
【0006】
近年、このような光学情報記録方式においては、さらなる高記録密度化が要求されている。そして、この高記録密度化の要求に対応するために、光学ピックアップの再生光の照射時に用いられる対物レンズの開口数(NA)を大きくすることによって、再生光のスポット径の小径化を図る技術が提案された。
【0007】
すなわち、例えば従来のDADの再生時に用いられる対物レンズのNAが0.45であるのに対し、この従来のDADの6〜8倍の記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)といった光学式ビデオディスクでは再生時に用いられる対物レンズのNAを0.60程度として、スポット径の小径化が図られる。
【0008】
このような対物レンズにおける高NA化を進めていくと、照射される再生光を透過させるために、光ディスクにおけるディスク基板を薄くする必要が生じる。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスク面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、さらに、このチルト角がディスク基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、ディスク基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、上述したDADにおいては、基板の厚さは1.2mm程度とされている。これに対し、DADの6〜8倍の記録容量を有するDVDなどの光学式ビデオディスクにおいては、基板の厚さは0.6mm程度とされている。
【0009】
そして、今後のさらなる高記録密度化の要求を考慮すると、基板のさらなる薄型化が必要になる。そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と、光を透過可能な薄膜からなる光透過層とを順次積層し、光透過層側から再生光を照射することにより情報信号の再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。このような、光透過層側から再生光を照射して情報信号の再生を行うようにした光ディスクにおいては、光透過層の薄膜化を図ることによって対物レンズの高NA化に対応することができる。
【0010】
ところが、光透過層の薄膜化を進めていくと、光ディスクの製造に一般に用いられる、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法により光透過層を形成することが困難になる。すなわち、従来の技術を採用して、複屈折を小さく保ちつつ、良好な透明性が維持された、0.1mm程度の光透過層を形成することは、非常に困難である。
【0011】
そこで、光透過層を、紫外線硬化樹脂により形成する方法が考案された。ところが、光透過層を紫外線硬化樹脂により形成する場合、光透過層を基板表面において均一な膜厚にすることは、非常に困難である。そのため、情報信号の再生を安定して行うことが困難になってしまう。
【0012】
そこで、ディスク基板に、光透過性シートを接着剤により貼りつけることにより、小複屈折、かつ透明性良好で均一な膜厚の光透過層を形成する方法が提案されている。例えば、金属からなる平面ステージとこの平面ステージに対向した位置に備えられた弾性体からなるパッドとにより、感圧性粘着剤からなる接着層が一主面に設けられた光透過性シートと、情報信号部が一主面に設けられたディスク基板とを押圧し、光透過性シートとディスク基板とを貼り合わせる方法が提案されている。この方法により、例えば、小複屈折、かつ透明性良好で、0.1mmの均一な膜厚の光透過層を形成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した方法で形成された光ディスクでは、内周エッジ部と外周エッジ部とにおいて、感圧性粘着剤からなる接着層が大気中に露出してしまう。このように接着層が大気中に露出すると、光ディスクの美観が損なわれるばかりではなく、以下のような重要な問題が生じる。
【0014】
すなわち、(1)接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、光透過層が基板から剥がれてしまうことがある、(2)接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着する、(3)長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生する、という問題が生じる。
【0015】
したがって、この発明の課題は、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、光透過層が基板から剥がれることを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
また、この発明の課題は、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0017】
さらに、この発明の課題は、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願第1の発明は、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部と、情報信号部を少なくとも覆う保護層とを備え、
保護層は、中央部に開口を有するシートと、シートを基板の一主面に接着させるための接着層とを備えることを特徴とする光学記録媒体において、
保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を設けたことを特徴とする光学記録媒体である。
【0019】
本願第1の発明は、典型的には、保護層が、情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層である。
【0020】
本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下である。本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下である。
【0021】
本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部が、紫外線硬化樹脂からなる。本願第1の発明は、典型的には、内周封入部が、保護層が設けられている側の面から盛り上がっている。本願第1の発明は、典型的には、封入部の盛り上がり幅が、保護層が設けられている側の面を基準にして、0.1mm以上1.2mm以下である。
【0022】
本願第1の発明は、典型的には、基板と保護層とが円環形状を有し、保護層の径が、基板の径より小さい。本願第1の発明は、典型的には、基板と保護層とが円環形状を有し、保護層の径が、基板の径と等しい。本願第1の発明は、典型的には、基板および保護層の開口が円形状を有し、保護層の開口の径が基板の開口の径より大きい。
【0023】
本願第2の発明は、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録および/または再生するための情報信号部を形成する工程と、
情報信号部を少なくとも覆うとともに、中央部に開口を有するシートを接着層により貼り合わせることにより、情報信号部上に保護層を形成する工程と、
保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を形成する工程と
を備えることを特徴とする光学記録媒体の製造方法である。
【0024】
本願第2の発明は、典型的には、封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下である。また、本願第2の発明は、典型的には、封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下である。
【0025】
本願第2の発明は、典型的には、保護層が、情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層である。
【0026】
本願第2の発明は、典型的には、保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、内周封入部を形成する。
【0027】
本願第2の発明は、典型的には、紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下である。
【0028】
本願第2の発明は、典型的には、基板およびシートの開口が円形状である。本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、保護層の内周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。本願第2の発明は、典型的には、ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下する。
【0029】
本願第2の発明は、典型的には、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、外周封入部を形成する。
【0030】
本願第2の発明は、典型的には、紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下を有する。
【0031】
本願第2の発明は、典型的には、基板およびシートが円形状である。本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、保護層の外周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。本願第2の発明は、典型的には、ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下する。
【0032】
本願第2の発明は、典型的には、接触により紫外線硬化樹脂を供給する樹脂供給手段を、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分に少なくとも接触させることにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。
【0033】
本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、樹脂供給手段に貯められた紫外線硬化樹脂の液面に、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも接触させることにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。
【0034】
この発明において、製造される光学記録媒体における反りや歪みを最小限にするために、好適には、光透過性シートは、基板に用いられる材料と同種の材料から構成される。また、光透過性シートの厚さは、典型的には、基板の厚さより小さくなるように構成され、具体的には、30μm以上150μm以下から選ばれる。また、この発明において、ディスク基板は、具体的には、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマーなどの低吸水性の樹脂が用いられ、好ましくは、光透過性シートは、ディスク基板と同じ材料から構成される。なお、基板に用いられる材料としては、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、ガラス基板、あるいは、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
【0035】
この発明において、典型的には、光透過性シートは、少なくとも情報信号の記録/再生に用いられる、GaN系半導体レーザ(発光波長400nm帯、青色発光)、ZnSe系半導体レーザ(発光波長500nm帯、緑色)、またはAlGaInP系半導体レーザ(発光波長635〜680nm程度、赤色)などから照射されるレーザ光を、透過可能な非磁性材料からなり、具体的には、ポリカーボネートなどの光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。また、この発明において、好適には、保護シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などからなり、具体的には、このPETやPENの少なくとも一面に第2の粘着剤が被着されている。そして、この第2の粘着剤が被着された面を光透過性シートの一面に接着させることにより、基板に貼り合わせられるシートが構成される。
【0036】
この発明は、好適には、DVR(Digital Video Recording system)などの薄い光透過層を有する次世代の光学記録媒体に適用することができ、発光波長が650nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR−redや、発光波長が400nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR−blueなどの光学記録媒体に適用することが可能である。このDVRは、好ましくは、NAを0.85程度にまで高めた対物レンズを用いて、情報信号を記録可能に構成されている。また、このDVRなど、この発明の適用が好ましい光学記録媒体は、好適にはカートリッジに納められているが、この発明の適用は、必ずしもカートリッジに納められているものに限定されるものではない。
【0037】
本願第1の発明の光学記録媒体では、基板の情報信号部上に形成された、シートおよび接着層からなる保護層の外周部および/あるいは内周部に、接着層の大気と接触する部分を少なくとも覆う封入部が設けられているため、光学記録媒体の外周部および/あるいは内周部において、接着層が大気中に露出することを防止することができる。よって、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。また、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0038】
本願第2の発明の光学記録媒体の製造方法では、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録および/または再生するための情報信号部を形成し、情報信号部を少なくとも覆うとともに中央部に開口を有するシートを接着層により貼り合わせることにより情報信号部上に保護層を形成し、保護層の内周部および/あるいは外周部において接着層が大気と接触する部分を覆う封入部を形成するため、光学記録媒体の外周部および/あるいは内周部において、光透過層が大気中に露出することを防止することができる。よって、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。また、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0040】
まず、この発明の第1の実施形態による光ディスクについて説明する。図1に、この第1の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す。図2に、この第1の実施形態によるディスク基板の構成の一例を示す。図3に、この第1の実施形態によるシートの構成の一例を示す。
【0041】
図1に示すように、この第1の実施形態による光ディスクは、主として、中央部にセンターホール1bを有する円環形状のディスク基板1と、中央部に貫通孔2cを有する平面円環形状の光透過層2と、光透過層2の内周側の側壁に設けられた内周封入部3aと、光透過層2の外周側の側壁に設けられた外周封入部3bとから構成される。
【0042】
図1に示すように、光ディスクのセンターホール1bの近傍には、光ディスクをスピンドルモータに装着するためのクランプ領域4が設定されている。このクランプ領域4の内周径は、22mm〜24mmから選ばれ、例えば23mmに選ばれる。クランプ領域4の外周径は、32mm〜34mmから選ばれ、例えば33mmに選ばれる。
【0043】
図2に示すように、ディスク基板1は、中央部にセンターホール1bを有するとともに、一主面に凹凸が形成されたレプリカ基板1aと、このレプリカ基板1aの一主面に形成された情報信号部1cとから構成される。
【0044】
レプリカ基板1aの厚さは、0.6mm〜1.2mmから選ばれ、例えば1.1mmに選ばれる。また、このレプリカ基板1aの直径(外径)は、例えば120mmであり、センターホール1bの開口径(内口径)は、例えば15mmである。また、レプリカ基板1aの材料としては、例えばポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマー(例えば、ゼオネックス(登録商標))などの低吸水性の樹脂が用いられる。なお、この第1の実施形態による光ディスクは、ディスク基板1に対して薄い光透過層2が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の記録/再生を行うように構成されている。そのため、レプリカ基板1aとしては、透過性を有するか否かを考慮する必要がないので、例えばAlなどの金属からなる基板を用いることも可能である。また、レプリカ基板1aとして、ガラス基板、または、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
【0045】
情報信号部1cは、反射膜、光磁気材料からなる膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などが設けられて構成される。これらのうち、反射膜の材料としては、例えばAlやAl合金などが用いられる。具体的には、最終製品としての光ディスクが再生専用型(ROM(Read Only Memory))光ディスクである場合、情報信号部1cは、例えばAl、Al合金、またはAg合金などからなる反射層を少なくとも有する単層膜または積層膜が設けられて構成される。他方、最終製品としての光ディスクが書換可能型光ディスクである場合には、情報信号部1cは、TbFeCo系合金、TbFeCoSi系合金、またはTbFeCoCr系合金などの光磁気材料からなる膜や、GeSbTe合金、GeInSbTe合金、またはAgInSbTe合金などの相変化材料からなる膜を少なくとも有する、単層膜または積層膜が設けられて構成される。また、最終製品としての光ディスクが、追記型光ディスクの場合には、情報信号部1cは、GeTe系材料などの相変化材料からなる膜、またはシアニン色素やフタロシアニン色素などの有機色素材料からなる膜を少なくとも有する、単層膜または積層膜から構成される。
【0046】
ここで、光ディスクが書換可能型である場合について、情報信号部1cの具体的構成の一例を挙げると、情報信号部1cは、レプリカ基板1aの凹凸が形成された領域上に、膜厚が例えば100nmのAl合金からなる反射層、膜厚が例えば18nmの、硫化亜鉛(ZnS)と酸化シリコン(SiO2)との混合物(ZnS−SiO2)からなる第1の誘電体層、膜厚が例えば24nmのGeSbTe合金からなる相変化記録層、および膜厚が例えば100nmのZnS−SiO2からなる第2の誘電体層が順次積層された積層膜である。
【0047】
図3に示すように、この第1の実施形態による光透過層2の形成に用いられるシート5は、光透過性シート2aと、この光透過性シート2aの一面に被着された感圧性粘着剤(PSA)からなる接着層2bとから構成される。このシート5は、ディスク基板1におけると同様に、平面円環状に打ち抜かれた構造を有し、中央部に貫通孔2cが形成されている。シート5の直径(外径)は、ディスク基板1の外径とほぼ同じ、またはそれ以下に選ばれ、例えば120mmとする。一方、貫通孔2cの径(内孔径)は、センターホール1bの開口径以上、かつ、クランプ領域4の最内周径(例えば23mm径)以下の範囲から選ばれ、例えば23mmとする。また、シート5の厚さは、例えば100μmである。
【0048】
このようなシート5における光透過性シート2aは、例えば、少なくとも記録/再生に用いられるレーザ光を透過可能な光学特性を満足した、光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹脂は、耐熱寸法安定性、熱膨張率、または吸湿膨張率などの物性値がレプリカ基板1aに近い材料から選ばれ、具体的には、例えばポリカーボネート(PC)や、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル)などのメタクリル樹脂などから選ばれる。また、光透過性シート2aの厚さは、好適には60μm〜100μmの範囲から選ばれ、より好適には70〜100μmの範囲から選ばれる。この第1の実施形態においては、光透過性シート2aが、ディスク基板1の一主面に感圧性粘着剤(PSA)からなる接着層2bを介して貼り合わせられることを考慮すると、光透過性シート2aの厚さは、例えば70μmに選ばれる。なお、この光透過性シート2aの厚さは、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光の波長や、光透過層2の所望とする膜厚を考慮して決定される。
【0049】
また、接着層2bを構成するPSAは、例えばメタクリル樹脂などである。また、この接着層2bの厚さは、例えば30μmであるが、接着層2bの厚さや、感圧性粘着剤として用いられる材料は、光透過層2の所望とする膜厚や、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光の波長を考慮して決定される。また、図示省略したが、シート5が保管されている際には、このシート5の接着層2bの面には、これを保護する保護フィルムがラミネートされている。
【0050】
図4Aに、この発明の第1の実施形態による光ディスクの内周部における拡大断面図を示す。光透過層2の内周側の側壁に備えられた内周封入部3aは、少なくとも接着層2bの内周側の側壁を覆うように、好適には、光透過層2の内周側の側壁を覆うように形成されている。
【0051】
内周封入部3aの幅d1は、0.1mm〜2.0mmから選ばれ、例えば0.8mmに選ばれる。内周封入部3aの高さhは、0.05mm〜0.5mmから選ばれ、例えば0.1mmに選ばれる。
【0052】
図4Bに、この発明の第1の実施形態による光ディスクの外周部における拡大断面図を示す。図4Bに示すように、光ディスクの外周側の側壁に備えられた外周封入部3bは、少なくとも接着層2bの外周側の側壁を覆うように、好適には、光ディスクの外周側の側壁を覆うように形成されている。この外周封入部3bの厚さd2は、0.05mm〜0.2mmから選ばれ、例えば0.1mmに選ばれる。
【0053】
内周封入部3aおよび外周封入部3bは、例えば紫外線硬化樹脂から構成される。内周封入部3aおよび外周封入部3bの透湿度は、例えば、温度40℃、湿度90%の環境下において、0.1g/cm2・24h〜75g/cm2・24hの範囲から選ばれる。また、残留イオン濃度は、0.01ppm〜0.1ppmの範囲から選ばれる。
【0054】
次に、以上のように構成されたこの第1の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。図5に、この第1の実施形態による光ディスクの製造方法の一例を説明するためのフローチャートを示す。
【0055】
まず、ステップST1において、例えば射出成形法により、一主面に凹凸が形成されたレプリカ基板1aを作製する。
【0056】
次に、ステップST2において、レプリカ基板1aの凹凸が形成された一主面に、情報信号部1cを形成する。具体的には、例えば、最終製品としての光ディスクが再生専用型の光ディスクである場合、レプリカ基板1aの凹凸が形成された一主面に、例えば真空蒸着法あるいはスパッタリング法により、Al、Al合金またはAg合金などからなる反射層を成膜する。これにより、図2に示すディスク基板1が作製される。
【0057】
次に、ステップST3において、ディスク基板1の情報信号部1cが形成された一主面に、シート5を貼り合わせる。
【0058】
以下、図6を参照しながら、ディスク基板1とシート5との貼り合わせ工程について具体的に説明する。まず、ディスク基板1を、ディスク載置板が有するディスク載置面(図示省略)の所定位置に載置する。ここで、光ディスク載置面は平面である。そして、シート5とディスク基板1との間のクリアランスが、シート5の一端から他端に向かって徐々に大きくなるように、シート5をディスク基板1に対して傾斜を持たせて保持する。その後、図6の矢印aに示すように、ディスク基板1の一端から他端に向けて、弾性体を巻き付けたロール10を移動させる。これにより、シート5がディスク基板1に対して、ディスク基板1の一端から他端に向けて順次貼り合わされる。なお、シート5とディスク基板1との間のクリアランスは、シート5の他端の貼り合わせ直前まで保持される。
【0059】
これにより、図7に示すように、ディスク基板1の情報信号部1cが形成された一主面に、光透過層2が形成される。
【0060】
次に、ステップST4において、光透過層2が形成されたディスク基板1に、内周封入部3aおよび外周封入部3bを形成する。
【0061】
以下、図8および図9を参照しながら、封入部の形成工程について具体的に説明する。まず、図8に示すように、ステップST3にて光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1を回転させるとともに、ディスク基板1および光透過層2の外周側の側壁に紫外線硬化樹脂供給部11を接触させ、紫外線硬化樹脂を均一に塗布する。そして、ディスク基板1および光透過層2の外周部に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、図4Bに示すように、ディスク基板1および光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さd2を有する外周封入部3bが形成される。
【0062】
次に、ディスク基板1の回転を維持するとともに、光透過層2の内周側の側壁に紫外線硬化樹脂を塗布可能な位置に、ディスペンサ12を移動させる。そして、図9に示すように、紫外線硬化樹脂を滴下し、光透過層2の内周側の側壁に紫外線硬化樹脂を均一に塗布する。その後、光透過層2の外周側の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、図4Aに示すように、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さd1を有する外周封入部3bが形成される。
【0063】
なお、光ディスクの所望位置に、所望量の紫外線硬化樹脂を塗布するためには、紫外線硬化樹脂の液状態における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましい。表面張力の下限値を20mN/m以下とすると、粘度が低すぎるために、紫外線硬化樹脂を所望の部分にのみ塗布することが困難となる。一方、表面張力の上限値を40mN/m以上とすると、濡れ性が悪くなり、光ディスクに対して所望量の紫外線硬化樹脂を塗布することが困難となる。
【0064】
また、本発明者は、封入部による腐食防止効果をさらに向上させるべく、封入部の透湿度範囲を検討した。透湿度範囲の検討は、以下のようにして行った。
【0065】
まず、第1の実施形態による光ディスクと同一の構成を有し、外周封入部を構成する紫外線構成樹脂の透湿度が互いに異なるサンプルA、サンプルB、サンプルCおよびサンプルDを製造した。なお、これらのサンプルの外周封入部の厚さd2は、0.1mmである。また、紫外線硬化樹脂の残留イオン濃度は1ppmである。ここで、透湿度の検討範囲は1g/cm2・24h〜100g/cm2・24hである。この透湿度は、温度40℃、湿度90%の環境下において、紫外線硬化樹脂からなる、100μm厚のシート状サンプルを、24時間維持することにより測定したものである。
【0066】
そして、各サンプルに対して、温度80℃、湿度85%の環境下に200時間維持する加速度試験を行った後、情報信号部の外周領域を目視により観測し、外周部に腐食が生じているか否かを判定した。
【0067】
表1に、各サンプルの透湿度と判定結果とを示す。なお、表1において、サンプルの外周領域に腐食が観測されなかった場合には判定結果を○により表し、サンプルの外周領域に腐食が観測された場合には判定結果を×により表すものとする。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から、透湿度が75g/cm2・24hを越えた封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されたのに対し、透湿度が75g/cm2・24h以下である封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されなかった。すなわち、封入部の透湿度を75g/cm2・24h以下にすることにより、封入部の腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0070】
さらに、本発明者は、封入部による腐食防止効果をさらに向上させるべく、封入部の残留塩素イオン濃度範囲を検討した。残留塩素イオン濃度範囲の検討は、以下のようにして行った。
【0071】
まず、第1の実施形態による光ディスクと同一の構成を有し、外周封入部を構成する紫外線構成樹脂の塩素イオン濃度が互いに異なるサンプルF、サンプルG、サンプルHおよびサンプルIを製造した。なお、これらのサンプルの外周封入部の厚さd2は、0.1mmである。また、紫外線硬化樹脂の透湿度は、75g/cm2・24hである。この透湿度は、温度40℃、湿度90%の環境下において、紫外線硬化樹脂からなる、100μm厚のシート状サンプルを、24時間維持することにより測定したものである。ここで、塩素イオン濃度の検討範囲は0.1〜1.5ppmの範囲であり、塩素イオン濃度の値はイオンクロマトグラフにより測定したものである。
【0072】
そして、各サンプルに対して、温度80℃、湿度85%の環境下に200時間維持する加速度試験を行った後、情報信号部の外周領域を目視により観測し、光ディスクの外周部に腐食が生じているか否かを判定した。
【0073】
表2に、各サンプルの塩素イオン濃度と判定結果を示す。なお、表2において、サンプルの外周領域に腐食が観測されなかった場合には判定結果を○により表し、サンプルの外周領域に腐食が観測された場合には判定結果を×により表すものとする。
【0074】
【表2】
【0075】
表2から、透湿度が1.0ppmを越えた封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されたのに対し、塩素イオン濃度が1.0ppm以下である封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されなかった。すなわち、封入部の塩素イオン濃度を1.0ppm以下にすることにより、腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0076】
この発明の第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
光ディスクの光透過層2の内周側の側面および外周側の側面に、接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部3aおよび外周封入部3bが形成されているため、接着層2bが大気に接触することを防ぐことができる。したがって、接着層2bの大気中に露出した部分が突起部などに接触することがなくなり、光透過層2がディスク基板1から剥がれることを防止することができる。また、接着層2bの大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層2bの大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0077】
また、紫外線硬化樹脂の液状態における表面張力が20mN/m〜40mN/mの範囲内にある紫外線硬化樹脂を用いて内周封入部3aおよび外周封入部3bを形成することにより、光ディスクの所望位置に、所望量の紫外線硬化樹脂を塗布することができる。よって、封入部形成工程における作業性をより向上させることができる。
【0078】
また、内周封入部3aおよび外周封入部3bの透湿度を、0.1g/cm2・24h〜75g/cm2・24hにすることにより、内周封入部3aおよび外周封入部3bによる腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0079】
また、内周封入部3aおよび外周封入部3bの残留塩素イオン濃度を0.01ppm〜1.0ppmにすることにより、内周封入部3aおよび外周封入部3bによる腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0080】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。この発明の第2の実施形態による光ディスクの構成は、第1の実施形態における光ディスクと同様であるので説明を省略する。
【0081】
以下、この発明の第2の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。第2の実施形態による光ディスクの製造方法において、レプリカ基板成形工程(ステップST1)から貼り合わせ工程(ステップST3)までは、第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0082】
図10は、この発明の第2の実施形態による封入部形成工程を説明するための図である。まず、光透過層2が形成されたディスク基板1の一主面が、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に対して垂直になるように、光透過層2が形成されたディスク基板1を供給部13の上方に保持する。
【0083】
次に、光透過層2が形成されたディスク基板1を回転させるとともに、光透過層2が形成されたディスク基板1を、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁が、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に接触する位置まで移動させ保持する。この際、ディスク基板1の一主面を、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に対して垂直に保持するようにする。これにより、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に紫外線硬化樹脂6が均一に塗布される。
【0084】
その後、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面からディスク基板1を引き離し、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂6に紫外線を照射する。これにより、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂6が硬化し、外周封入部3bが形成される。
【0085】
これ以後のことは、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0086】
この発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。図11は、この発明の第3の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【0088】
図11に示すように、光透過層2は、ディスク基板1より小さい外径を有する。光透過層2は、例えば、ディスク基板1より0.2mm〜1.0mm小さい外径を有する。ここで、ディスク基板1の直径(外径)は、例えば120mmである。外周封入部3bは、少なくとも接着層2aの内周側の側壁を覆うように、好適には、光透過層2の内周側の側壁を覆うように、ディスク基板1の一主面に形成される。
【0089】
これ以外のことは、第1の実施形態による光ディスクと同様であるので説明を省略する。
【0090】
次に、この発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。第3の実施形態による光ディスクの製造方法において、レプリカ基板成形工程(ステップST1)から貼り合わせ工程(ステップST3)までは、第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0091】
図12に、ステップST1からST3までの工程により形成された、光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1の一例を示す。
【0092】
以下、図13および図14を参照しながら封入部形成工程を説明する。まず、光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1を回転させるとともに、内周用ディスペンサ14の先端が光透過層2の内周部の上方に位置するように、内周用ディスペンサ14を移動させ、外周用ディスペンサ15の先端が光透過層2の外周部の上方に位置するように、内周用ディスペンサ15を移動させる。
【0093】
そして、内周用ディスペンサ14および外周ディスペンサ15から紫外線硬化樹脂を滴下する。これにより、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さの紫外線硬化樹脂が塗布されるとともに、光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さの紫外線硬化樹脂が塗布される。
【0094】
最後に、光ディスクの内周部および外周部に塗布された紫外線硬化樹脂に、紫外線を照射する。これにより、光ディスクの内周部および外周部に塗布した紫外線硬化樹脂が硬化し、内周封入部3aおよび外周封入部3bが形成される。具体的には、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さd1を有する外周封入部3bが形成され、光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さd2を有する外周封入部3bが形成される。以上により、目的とする光ディスクが製造される。
【0095】
これ以後のことは、上述した第1の実施形態により製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0096】
この発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0098】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0099】
また、上述した第1、第2および第3の実施形態において、内周封入部3aが、光透過層2が設けられている側の面から盛り上がるようにしてもかまわない。
【0100】
図15は、光透過層2が設けられている側の面から盛り上がった形状を有する内周封入部3aを備えた光ディスクの内周部を示す。この内周封入部3aの盛り上がり幅Hは、光ディスクの光透過層2が設けられた側の面を基準にして、0.1mm以上2.0mm以下、例えば1.2mmである。これにより、光ディスクを複数枚積み重ねた際に、積み重ねたディスクが互いに接触することを防止するためのスタックリブを形成することができる。
【0101】
また、上述した第1、第2および第3の実施形態において、ディスク基板1とシート5との貼り合わせを、真空中にて行うようにしてもかまわない。これにより、気泡の混入をより低減することができ、気泡混入の防止効果をより向上させることができる。したがって、接着むらや気泡混入が少なく、薄型化され、小複屈折で、透明性良好で厚さも均一な光透過層を有し、対物レンズの高NA化に対応可能な、高信頼性を有する光ディスクを製造することができる。
【0102】
また、上述した第1および第2の実施形態においては、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布する例について示したが、紫外線硬化樹脂の塗布の順序は、この実施形態に限られるものではない。例えば、内周部と外周部とに同時に、紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。また、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。
【0103】
また、この発明の第3の実施形態においては、外周部と外周部とに同時に、紫外線硬化樹脂を塗布する例について示したが、紫外線硬化樹脂塗布の方法は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。あるいは、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。すなわち、光学記録媒体の耐久性を向上することを防止させることができる。
【0105】
また、この発明によれば、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。すなわち、光学記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態によるディスク基板の構成の一例を示す断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態によるシートの構成の一例を示す断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による光ディスクの内周部および外周部における拡大断面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の第1の実施形態による貼り合わせ工程を説明するためのディスク基板とシートとの斜視図である。
【図7】この発明の第1の実施形態による貼り合わせ工程により光透過層が一主面に形成されたディスク基板の断面図である。
【図8】この発明の第1の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図9】この発明の第1の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図10】この発明の第2の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図11】この発明の第3の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【図12】この発明の第3の実施形態による貼り合わせ工程により光透過層が一主面に形成されたディスク基板の断面図である。
【図13】この発明の第3の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図14】この発明の第3の実施形態による封入部形成工程を説明するための光ディスクの外周部の断面図である。
【図15】この発明の第1、第2あるいは第3の実施形態の変形例による光ディスク構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ディスク基板、1a・・・レプリカ基板、1b・・・センターホール、1c・・・情報信号部、2・・・光透過層、2a・・・光透過性シート、2b・・・接着層、2c・・・貫通孔、3a・・・外周封入部、3b・・・外周封入部、4・・・クランプ領域、5・・・シート、10・・・ロール、11・・・紫外線硬化樹脂供給部、12・・・ディスペンサ、13・・・供給部、14・・・内周用ディスペンサ、15・・・外周用ディスペンサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学記録媒体およびその製造方法に関し、特に、情報信号部を保護する保護層が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の記録および/または再生が行われる光学記録媒体に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野において、光学情報記録方式に関するさまざまな研究、開発が、各所で進められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録および/または再生を行うことができるとともに、磁気記録方式に比して一桁以上高い記録密度を達成可能であるという利点を有している。また、この光学情報記録方式は、再生専用型、追記型、書換可能型などのそれぞれのメモリ形態に対応可能であるという、さらなる利点をも有する。そのため、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式として、産業用から民生用まで幅広い用途への適用が考えられている。
【0003】
その中でも特に、再生専用型のメモリ形態に対応した光ディスクであるディジタルオーディオディスク(DAD)や光学式ビデオディスクなどは、現在広く普及している。
【0004】
ディジタルオーディオディスクなどの光ディスクは、情報信号を示すピットやグルーブなどの凹凸パターンが形成された光透過性を有するディスク基板上に、アルミニウム(Al)膜などの金属薄膜からなる反射膜と、さらにこの反射膜を大気中の水分(H2O)や酸素(O2)から保護するための保護膜とが設けられた構成を有する。そして、この光ディスクにおける情報信号の再生時には、ディスク基板側から凹凸パターンに向けてレーザ光などの再生光を照射し、この再生光による入射光と戻り光との反射率の差によって情報信号を検出する。
【0005】
そして、このような光ディスクを製造する際には、まず、射出成形法により凹凸パターンを有するディスク基板を形成する。次に、真空蒸着法により、光ディスク基板上に金属薄膜からなる反射膜を形成する。次に、この反射膜の上層に紫外線硬化樹脂を塗布することにより保護膜を形成する。
【0006】
近年、このような光学情報記録方式においては、さらなる高記録密度化が要求されている。そして、この高記録密度化の要求に対応するために、光学ピックアップの再生光の照射時に用いられる対物レンズの開口数(NA)を大きくすることによって、再生光のスポット径の小径化を図る技術が提案された。
【0007】
すなわち、例えば従来のDADの再生時に用いられる対物レンズのNAが0.45であるのに対し、この従来のDADの6〜8倍の記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)といった光学式ビデオディスクでは再生時に用いられる対物レンズのNAを0.60程度として、スポット径の小径化が図られる。
【0008】
このような対物レンズにおける高NA化を進めていくと、照射される再生光を透過させるために、光ディスクにおけるディスク基板を薄くする必要が生じる。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスク面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、さらに、このチルト角がディスク基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、ディスク基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、上述したDADにおいては、基板の厚さは1.2mm程度とされている。これに対し、DADの6〜8倍の記録容量を有するDVDなどの光学式ビデオディスクにおいては、基板の厚さは0.6mm程度とされている。
【0009】
そして、今後のさらなる高記録密度化の要求を考慮すると、基板のさらなる薄型化が必要になる。そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と、光を透過可能な薄膜からなる光透過層とを順次積層し、光透過層側から再生光を照射することにより情報信号の再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。このような、光透過層側から再生光を照射して情報信号の再生を行うようにした光ディスクにおいては、光透過層の薄膜化を図ることによって対物レンズの高NA化に対応することができる。
【0010】
ところが、光透過層の薄膜化を進めていくと、光ディスクの製造に一般に用いられる、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法により光透過層を形成することが困難になる。すなわち、従来の技術を採用して、複屈折を小さく保ちつつ、良好な透明性が維持された、0.1mm程度の光透過層を形成することは、非常に困難である。
【0011】
そこで、光透過層を、紫外線硬化樹脂により形成する方法が考案された。ところが、光透過層を紫外線硬化樹脂により形成する場合、光透過層を基板表面において均一な膜厚にすることは、非常に困難である。そのため、情報信号の再生を安定して行うことが困難になってしまう。
【0012】
そこで、ディスク基板に、光透過性シートを接着剤により貼りつけることにより、小複屈折、かつ透明性良好で均一な膜厚の光透過層を形成する方法が提案されている。例えば、金属からなる平面ステージとこの平面ステージに対向した位置に備えられた弾性体からなるパッドとにより、感圧性粘着剤からなる接着層が一主面に設けられた光透過性シートと、情報信号部が一主面に設けられたディスク基板とを押圧し、光透過性シートとディスク基板とを貼り合わせる方法が提案されている。この方法により、例えば、小複屈折、かつ透明性良好で、0.1mmの均一な膜厚の光透過層を形成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した方法で形成された光ディスクでは、内周エッジ部と外周エッジ部とにおいて、感圧性粘着剤からなる接着層が大気中に露出してしまう。このように接着層が大気中に露出すると、光ディスクの美観が損なわれるばかりではなく、以下のような重要な問題が生じる。
【0014】
すなわち、(1)接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、光透過層が基板から剥がれてしまうことがある、(2)接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着する、(3)長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生する、という問題が生じる。
【0015】
したがって、この発明の課題は、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、光透過層が基板から剥がれることを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
また、この発明の課題は、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0017】
さらに、この発明の課題は、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる光学記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願第1の発明は、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部と、情報信号部を少なくとも覆う保護層とを備え、
保護層は、中央部に開口を有するシートと、シートを基板の一主面に接着させるための接着層とを備えることを特徴とする光学記録媒体において、
保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を設けたことを特徴とする光学記録媒体である。
【0019】
本願第1の発明は、典型的には、保護層が、情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層である。
【0020】
本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下である。本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下である。
【0021】
本願第1の発明は、典型的には、内周封入部および外周封入部が、紫外線硬化樹脂からなる。本願第1の発明は、典型的には、内周封入部が、保護層が設けられている側の面から盛り上がっている。本願第1の発明は、典型的には、封入部の盛り上がり幅が、保護層が設けられている側の面を基準にして、0.1mm以上1.2mm以下である。
【0022】
本願第1の発明は、典型的には、基板と保護層とが円環形状を有し、保護層の径が、基板の径より小さい。本願第1の発明は、典型的には、基板と保護層とが円環形状を有し、保護層の径が、基板の径と等しい。本願第1の発明は、典型的には、基板および保護層の開口が円形状を有し、保護層の開口の径が基板の開口の径より大きい。
【0023】
本願第2の発明は、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録および/または再生するための情報信号部を形成する工程と、
情報信号部を少なくとも覆うとともに、中央部に開口を有するシートを接着層により貼り合わせることにより、情報信号部上に保護層を形成する工程と、
保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を形成する工程と
を備えることを特徴とする光学記録媒体の製造方法である。
【0024】
本願第2の発明は、典型的には、封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下である。また、本願第2の発明は、典型的には、封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下である。
【0025】
本願第2の発明は、典型的には、保護層が、情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層である。
【0026】
本願第2の発明は、典型的には、保護層の内周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、内周封入部を形成する。
【0027】
本願第2の発明は、典型的には、紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下である。
【0028】
本願第2の発明は、典型的には、基板およびシートの開口が円形状である。本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、保護層の内周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。本願第2の発明は、典型的には、ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下する。
【0029】
本願第2の発明は、典型的には、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、外周封入部を形成する。
【0030】
本願第2の発明は、典型的には、紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下を有する。
【0031】
本願第2の発明は、典型的には、基板およびシートが円形状である。本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、保護層の外周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。本願第2の発明は、典型的には、ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下する。
【0032】
本願第2の発明は、典型的には、接触により紫外線硬化樹脂を供給する樹脂供給手段を、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分に少なくとも接触させることにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。
【0033】
本願第2の発明は、典型的には、保護層が一主面に形成された基板を回転させるとともに、樹脂供給手段に貯められた紫外線硬化樹脂の液面に、保護層の外周部において接着層が大気と接触する部分を少なくとも接触させることにより、紫外線硬化樹脂を塗布する。
【0034】
この発明において、製造される光学記録媒体における反りや歪みを最小限にするために、好適には、光透過性シートは、基板に用いられる材料と同種の材料から構成される。また、光透過性シートの厚さは、典型的には、基板の厚さより小さくなるように構成され、具体的には、30μm以上150μm以下から選ばれる。また、この発明において、ディスク基板は、具体的には、ポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマーなどの低吸水性の樹脂が用いられ、好ましくは、光透過性シートは、ディスク基板と同じ材料から構成される。なお、基板に用いられる材料としては、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板や、ガラス基板、あるいは、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
【0035】
この発明において、典型的には、光透過性シートは、少なくとも情報信号の記録/再生に用いられる、GaN系半導体レーザ(発光波長400nm帯、青色発光)、ZnSe系半導体レーザ(発光波長500nm帯、緑色)、またはAlGaInP系半導体レーザ(発光波長635〜680nm程度、赤色)などから照射されるレーザ光を、透過可能な非磁性材料からなり、具体的には、ポリカーボネートなどの光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。また、この発明において、好適には、保護シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などからなり、具体的には、このPETやPENの少なくとも一面に第2の粘着剤が被着されている。そして、この第2の粘着剤が被着された面を光透過性シートの一面に接着させることにより、基板に貼り合わせられるシートが構成される。
【0036】
この発明は、好適には、DVR(Digital Video Recording system)などの薄い光透過層を有する次世代の光学記録媒体に適用することができ、発光波長が650nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR−redや、発光波長が400nm程度の半導体レーザを用いて情報信号の記録や再生を行うように構成された、いわゆるDVR−blueなどの光学記録媒体に適用することが可能である。このDVRは、好ましくは、NAを0.85程度にまで高めた対物レンズを用いて、情報信号を記録可能に構成されている。また、このDVRなど、この発明の適用が好ましい光学記録媒体は、好適にはカートリッジに納められているが、この発明の適用は、必ずしもカートリッジに納められているものに限定されるものではない。
【0037】
本願第1の発明の光学記録媒体では、基板の情報信号部上に形成された、シートおよび接着層からなる保護層の外周部および/あるいは内周部に、接着層の大気と接触する部分を少なくとも覆う封入部が設けられているため、光学記録媒体の外周部および/あるいは内周部において、接着層が大気中に露出することを防止することができる。よって、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。また、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0038】
本願第2の発明の光学記録媒体の製造方法では、中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録および/または再生するための情報信号部を形成し、情報信号部を少なくとも覆うとともに中央部に開口を有するシートを接着層により貼り合わせることにより情報信号部上に保護層を形成し、保護層の内周部および/あるいは外周部において接着層が大気と接触する部分を覆う封入部を形成するため、光学記録媒体の外周部および/あるいは内周部において、光透過層が大気中に露出することを防止することができる。よって、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。また、接着層の大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0040】
まず、この発明の第1の実施形態による光ディスクについて説明する。図1に、この第1の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す。図2に、この第1の実施形態によるディスク基板の構成の一例を示す。図3に、この第1の実施形態によるシートの構成の一例を示す。
【0041】
図1に示すように、この第1の実施形態による光ディスクは、主として、中央部にセンターホール1bを有する円環形状のディスク基板1と、中央部に貫通孔2cを有する平面円環形状の光透過層2と、光透過層2の内周側の側壁に設けられた内周封入部3aと、光透過層2の外周側の側壁に設けられた外周封入部3bとから構成される。
【0042】
図1に示すように、光ディスクのセンターホール1bの近傍には、光ディスクをスピンドルモータに装着するためのクランプ領域4が設定されている。このクランプ領域4の内周径は、22mm〜24mmから選ばれ、例えば23mmに選ばれる。クランプ領域4の外周径は、32mm〜34mmから選ばれ、例えば33mmに選ばれる。
【0043】
図2に示すように、ディスク基板1は、中央部にセンターホール1bを有するとともに、一主面に凹凸が形成されたレプリカ基板1aと、このレプリカ基板1aの一主面に形成された情報信号部1cとから構成される。
【0044】
レプリカ基板1aの厚さは、0.6mm〜1.2mmから選ばれ、例えば1.1mmに選ばれる。また、このレプリカ基板1aの直径(外径)は、例えば120mmであり、センターホール1bの開口径(内口径)は、例えば15mmである。また、レプリカ基板1aの材料としては、例えばポリカーボネート(PC)やシクロオレフィンポリマー(例えば、ゼオネックス(登録商標))などの低吸水性の樹脂が用いられる。なお、この第1の実施形態による光ディスクは、ディスク基板1に対して薄い光透過層2が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の記録/再生を行うように構成されている。そのため、レプリカ基板1aとしては、透過性を有するか否かを考慮する必要がないので、例えばAlなどの金属からなる基板を用いることも可能である。また、レプリカ基板1aとして、ガラス基板、または、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなる基板を用いることも可能である。
【0045】
情報信号部1cは、反射膜、光磁気材料からなる膜、相変化材料からなる膜、または有機色素膜などが設けられて構成される。これらのうち、反射膜の材料としては、例えばAlやAl合金などが用いられる。具体的には、最終製品としての光ディスクが再生専用型(ROM(Read Only Memory))光ディスクである場合、情報信号部1cは、例えばAl、Al合金、またはAg合金などからなる反射層を少なくとも有する単層膜または積層膜が設けられて構成される。他方、最終製品としての光ディスクが書換可能型光ディスクである場合には、情報信号部1cは、TbFeCo系合金、TbFeCoSi系合金、またはTbFeCoCr系合金などの光磁気材料からなる膜や、GeSbTe合金、GeInSbTe合金、またはAgInSbTe合金などの相変化材料からなる膜を少なくとも有する、単層膜または積層膜が設けられて構成される。また、最終製品としての光ディスクが、追記型光ディスクの場合には、情報信号部1cは、GeTe系材料などの相変化材料からなる膜、またはシアニン色素やフタロシアニン色素などの有機色素材料からなる膜を少なくとも有する、単層膜または積層膜から構成される。
【0046】
ここで、光ディスクが書換可能型である場合について、情報信号部1cの具体的構成の一例を挙げると、情報信号部1cは、レプリカ基板1aの凹凸が形成された領域上に、膜厚が例えば100nmのAl合金からなる反射層、膜厚が例えば18nmの、硫化亜鉛(ZnS)と酸化シリコン(SiO2)との混合物(ZnS−SiO2)からなる第1の誘電体層、膜厚が例えば24nmのGeSbTe合金からなる相変化記録層、および膜厚が例えば100nmのZnS−SiO2からなる第2の誘電体層が順次積層された積層膜である。
【0047】
図3に示すように、この第1の実施形態による光透過層2の形成に用いられるシート5は、光透過性シート2aと、この光透過性シート2aの一面に被着された感圧性粘着剤(PSA)からなる接着層2bとから構成される。このシート5は、ディスク基板1におけると同様に、平面円環状に打ち抜かれた構造を有し、中央部に貫通孔2cが形成されている。シート5の直径(外径)は、ディスク基板1の外径とほぼ同じ、またはそれ以下に選ばれ、例えば120mmとする。一方、貫通孔2cの径(内孔径)は、センターホール1bの開口径以上、かつ、クランプ領域4の最内周径(例えば23mm径)以下の範囲から選ばれ、例えば23mmとする。また、シート5の厚さは、例えば100μmである。
【0048】
このようなシート5における光透過性シート2aは、例えば、少なくとも記録/再生に用いられるレーザ光を透過可能な光学特性を満足した、光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹脂は、耐熱寸法安定性、熱膨張率、または吸湿膨張率などの物性値がレプリカ基板1aに近い材料から選ばれ、具体的には、例えばポリカーボネート(PC)や、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル)などのメタクリル樹脂などから選ばれる。また、光透過性シート2aの厚さは、好適には60μm〜100μmの範囲から選ばれ、より好適には70〜100μmの範囲から選ばれる。この第1の実施形態においては、光透過性シート2aが、ディスク基板1の一主面に感圧性粘着剤(PSA)からなる接着層2bを介して貼り合わせられることを考慮すると、光透過性シート2aの厚さは、例えば70μmに選ばれる。なお、この光透過性シート2aの厚さは、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光の波長や、光透過層2の所望とする膜厚を考慮して決定される。
【0049】
また、接着層2bを構成するPSAは、例えばメタクリル樹脂などである。また、この接着層2bの厚さは、例えば30μmであるが、接着層2bの厚さや、感圧性粘着剤として用いられる材料は、光透過層2の所望とする膜厚や、情報信号の記録/再生に用いられるレーザ光の波長を考慮して決定される。また、図示省略したが、シート5が保管されている際には、このシート5の接着層2bの面には、これを保護する保護フィルムがラミネートされている。
【0050】
図4Aに、この発明の第1の実施形態による光ディスクの内周部における拡大断面図を示す。光透過層2の内周側の側壁に備えられた内周封入部3aは、少なくとも接着層2bの内周側の側壁を覆うように、好適には、光透過層2の内周側の側壁を覆うように形成されている。
【0051】
内周封入部3aの幅d1は、0.1mm〜2.0mmから選ばれ、例えば0.8mmに選ばれる。内周封入部3aの高さhは、0.05mm〜0.5mmから選ばれ、例えば0.1mmに選ばれる。
【0052】
図4Bに、この発明の第1の実施形態による光ディスクの外周部における拡大断面図を示す。図4Bに示すように、光ディスクの外周側の側壁に備えられた外周封入部3bは、少なくとも接着層2bの外周側の側壁を覆うように、好適には、光ディスクの外周側の側壁を覆うように形成されている。この外周封入部3bの厚さd2は、0.05mm〜0.2mmから選ばれ、例えば0.1mmに選ばれる。
【0053】
内周封入部3aおよび外周封入部3bは、例えば紫外線硬化樹脂から構成される。内周封入部3aおよび外周封入部3bの透湿度は、例えば、温度40℃、湿度90%の環境下において、0.1g/cm2・24h〜75g/cm2・24hの範囲から選ばれる。また、残留イオン濃度は、0.01ppm〜0.1ppmの範囲から選ばれる。
【0054】
次に、以上のように構成されたこの第1の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。図5に、この第1の実施形態による光ディスクの製造方法の一例を説明するためのフローチャートを示す。
【0055】
まず、ステップST1において、例えば射出成形法により、一主面に凹凸が形成されたレプリカ基板1aを作製する。
【0056】
次に、ステップST2において、レプリカ基板1aの凹凸が形成された一主面に、情報信号部1cを形成する。具体的には、例えば、最終製品としての光ディスクが再生専用型の光ディスクである場合、レプリカ基板1aの凹凸が形成された一主面に、例えば真空蒸着法あるいはスパッタリング法により、Al、Al合金またはAg合金などからなる反射層を成膜する。これにより、図2に示すディスク基板1が作製される。
【0057】
次に、ステップST3において、ディスク基板1の情報信号部1cが形成された一主面に、シート5を貼り合わせる。
【0058】
以下、図6を参照しながら、ディスク基板1とシート5との貼り合わせ工程について具体的に説明する。まず、ディスク基板1を、ディスク載置板が有するディスク載置面(図示省略)の所定位置に載置する。ここで、光ディスク載置面は平面である。そして、シート5とディスク基板1との間のクリアランスが、シート5の一端から他端に向かって徐々に大きくなるように、シート5をディスク基板1に対して傾斜を持たせて保持する。その後、図6の矢印aに示すように、ディスク基板1の一端から他端に向けて、弾性体を巻き付けたロール10を移動させる。これにより、シート5がディスク基板1に対して、ディスク基板1の一端から他端に向けて順次貼り合わされる。なお、シート5とディスク基板1との間のクリアランスは、シート5の他端の貼り合わせ直前まで保持される。
【0059】
これにより、図7に示すように、ディスク基板1の情報信号部1cが形成された一主面に、光透過層2が形成される。
【0060】
次に、ステップST4において、光透過層2が形成されたディスク基板1に、内周封入部3aおよび外周封入部3bを形成する。
【0061】
以下、図8および図9を参照しながら、封入部の形成工程について具体的に説明する。まず、図8に示すように、ステップST3にて光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1を回転させるとともに、ディスク基板1および光透過層2の外周側の側壁に紫外線硬化樹脂供給部11を接触させ、紫外線硬化樹脂を均一に塗布する。そして、ディスク基板1および光透過層2の外周部に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、図4Bに示すように、ディスク基板1および光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さd2を有する外周封入部3bが形成される。
【0062】
次に、ディスク基板1の回転を維持するとともに、光透過層2の内周側の側壁に紫外線硬化樹脂を塗布可能な位置に、ディスペンサ12を移動させる。そして、図9に示すように、紫外線硬化樹脂を滴下し、光透過層2の内周側の側壁に紫外線硬化樹脂を均一に塗布する。その後、光透過層2の外周側の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、図4Aに示すように、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さd1を有する外周封入部3bが形成される。
【0063】
なお、光ディスクの所望位置に、所望量の紫外線硬化樹脂を塗布するためには、紫外線硬化樹脂の液状態における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましい。表面張力の下限値を20mN/m以下とすると、粘度が低すぎるために、紫外線硬化樹脂を所望の部分にのみ塗布することが困難となる。一方、表面張力の上限値を40mN/m以上とすると、濡れ性が悪くなり、光ディスクに対して所望量の紫外線硬化樹脂を塗布することが困難となる。
【0064】
また、本発明者は、封入部による腐食防止効果をさらに向上させるべく、封入部の透湿度範囲を検討した。透湿度範囲の検討は、以下のようにして行った。
【0065】
まず、第1の実施形態による光ディスクと同一の構成を有し、外周封入部を構成する紫外線構成樹脂の透湿度が互いに異なるサンプルA、サンプルB、サンプルCおよびサンプルDを製造した。なお、これらのサンプルの外周封入部の厚さd2は、0.1mmである。また、紫外線硬化樹脂の残留イオン濃度は1ppmである。ここで、透湿度の検討範囲は1g/cm2・24h〜100g/cm2・24hである。この透湿度は、温度40℃、湿度90%の環境下において、紫外線硬化樹脂からなる、100μm厚のシート状サンプルを、24時間維持することにより測定したものである。
【0066】
そして、各サンプルに対して、温度80℃、湿度85%の環境下に200時間維持する加速度試験を行った後、情報信号部の外周領域を目視により観測し、外周部に腐食が生じているか否かを判定した。
【0067】
表1に、各サンプルの透湿度と判定結果とを示す。なお、表1において、サンプルの外周領域に腐食が観測されなかった場合には判定結果を○により表し、サンプルの外周領域に腐食が観測された場合には判定結果を×により表すものとする。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から、透湿度が75g/cm2・24hを越えた封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されたのに対し、透湿度が75g/cm2・24h以下である封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されなかった。すなわち、封入部の透湿度を75g/cm2・24h以下にすることにより、封入部の腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0070】
さらに、本発明者は、封入部による腐食防止効果をさらに向上させるべく、封入部の残留塩素イオン濃度範囲を検討した。残留塩素イオン濃度範囲の検討は、以下のようにして行った。
【0071】
まず、第1の実施形態による光ディスクと同一の構成を有し、外周封入部を構成する紫外線構成樹脂の塩素イオン濃度が互いに異なるサンプルF、サンプルG、サンプルHおよびサンプルIを製造した。なお、これらのサンプルの外周封入部の厚さd2は、0.1mmである。また、紫外線硬化樹脂の透湿度は、75g/cm2・24hである。この透湿度は、温度40℃、湿度90%の環境下において、紫外線硬化樹脂からなる、100μm厚のシート状サンプルを、24時間維持することにより測定したものである。ここで、塩素イオン濃度の検討範囲は0.1〜1.5ppmの範囲であり、塩素イオン濃度の値はイオンクロマトグラフにより測定したものである。
【0072】
そして、各サンプルに対して、温度80℃、湿度85%の環境下に200時間維持する加速度試験を行った後、情報信号部の外周領域を目視により観測し、光ディスクの外周部に腐食が生じているか否かを判定した。
【0073】
表2に、各サンプルの塩素イオン濃度と判定結果を示す。なお、表2において、サンプルの外周領域に腐食が観測されなかった場合には判定結果を○により表し、サンプルの外周領域に腐食が観測された場合には判定結果を×により表すものとする。
【0074】
【表2】
【0075】
表2から、透湿度が1.0ppmを越えた封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されたのに対し、塩素イオン濃度が1.0ppm以下である封入部を備えたサンプルでは、外周領域に腐食が観測されなかった。すなわち、封入部の塩素イオン濃度を1.0ppm以下にすることにより、腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0076】
この発明の第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
光ディスクの光透過層2の内周側の側面および外周側の側面に、接着層2bが大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部3aおよび外周封入部3bが形成されているため、接着層2bが大気に接触することを防ぐことができる。したがって、接着層2bの大気中に露出した部分が突起部などに接触することがなくなり、光透過層2がディスク基板1から剥がれることを防止することができる。また、接着層2bの大気中に露出した部分に埃などの異物が吸着することを防止することができる。さらに、長期使用において、接着層2bの大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。
【0077】
また、紫外線硬化樹脂の液状態における表面張力が20mN/m〜40mN/mの範囲内にある紫外線硬化樹脂を用いて内周封入部3aおよび外周封入部3bを形成することにより、光ディスクの所望位置に、所望量の紫外線硬化樹脂を塗布することができる。よって、封入部形成工程における作業性をより向上させることができる。
【0078】
また、内周封入部3aおよび外周封入部3bの透湿度を、0.1g/cm2・24h〜75g/cm2・24hにすることにより、内周封入部3aおよび外周封入部3bによる腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0079】
また、内周封入部3aおよび外周封入部3bの残留塩素イオン濃度を0.01ppm〜1.0ppmにすることにより、内周封入部3aおよび外周封入部3bによる腐食防止の効果をさらに向上させることができる。
【0080】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。この発明の第2の実施形態による光ディスクの構成は、第1の実施形態における光ディスクと同様であるので説明を省略する。
【0081】
以下、この発明の第2の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。第2の実施形態による光ディスクの製造方法において、レプリカ基板成形工程(ステップST1)から貼り合わせ工程(ステップST3)までは、第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0082】
図10は、この発明の第2の実施形態による封入部形成工程を説明するための図である。まず、光透過層2が形成されたディスク基板1の一主面が、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に対して垂直になるように、光透過層2が形成されたディスク基板1を供給部13の上方に保持する。
【0083】
次に、光透過層2が形成されたディスク基板1を回転させるとともに、光透過層2が形成されたディスク基板1を、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁が、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に接触する位置まで移動させ保持する。この際、ディスク基板1の一主面を、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面に対して垂直に保持するようにする。これにより、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に紫外線硬化樹脂6が均一に塗布される。
【0084】
その後、供給部13に貯められた紫外線硬化樹脂6の液面からディスク基板1を引き離し、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂6に紫外線を照射する。これにより、ディスク基板1および光透過層2の外周部の側壁に塗布された紫外線硬化樹脂6が硬化し、外周封入部3bが形成される。
【0085】
これ以後のことは、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0086】
この発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。図11は、この発明の第3の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【0088】
図11に示すように、光透過層2は、ディスク基板1より小さい外径を有する。光透過層2は、例えば、ディスク基板1より0.2mm〜1.0mm小さい外径を有する。ここで、ディスク基板1の直径(外径)は、例えば120mmである。外周封入部3bは、少なくとも接着層2aの内周側の側壁を覆うように、好適には、光透過層2の内周側の側壁を覆うように、ディスク基板1の一主面に形成される。
【0089】
これ以外のことは、第1の実施形態による光ディスクと同様であるので説明を省略する。
【0090】
次に、この発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法について説明する。第3の実施形態による光ディスクの製造方法において、レプリカ基板成形工程(ステップST1)から貼り合わせ工程(ステップST3)までは、第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0091】
図12に、ステップST1からST3までの工程により形成された、光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1の一例を示す。
【0092】
以下、図13および図14を参照しながら封入部形成工程を説明する。まず、光透過層2が一主面に形成されたディスク基板1を回転させるとともに、内周用ディスペンサ14の先端が光透過層2の内周部の上方に位置するように、内周用ディスペンサ14を移動させ、外周用ディスペンサ15の先端が光透過層2の外周部の上方に位置するように、内周用ディスペンサ15を移動させる。
【0093】
そして、内周用ディスペンサ14および外周ディスペンサ15から紫外線硬化樹脂を滴下する。これにより、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さの紫外線硬化樹脂が塗布されるとともに、光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さの紫外線硬化樹脂が塗布される。
【0094】
最後に、光ディスクの内周部および外周部に塗布された紫外線硬化樹脂に、紫外線を照射する。これにより、光ディスクの内周部および外周部に塗布した紫外線硬化樹脂が硬化し、内周封入部3aおよび外周封入部3bが形成される。具体的には、光透過層2の内周側の側壁に、均一厚さd1を有する外周封入部3bが形成され、光透過層2の外周側の側壁に、均一厚さd2を有する外周封入部3bが形成される。以上により、目的とする光ディスクが製造される。
【0095】
これ以後のことは、上述した第1の実施形態により製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0096】
この発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0098】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0099】
また、上述した第1、第2および第3の実施形態において、内周封入部3aが、光透過層2が設けられている側の面から盛り上がるようにしてもかまわない。
【0100】
図15は、光透過層2が設けられている側の面から盛り上がった形状を有する内周封入部3aを備えた光ディスクの内周部を示す。この内周封入部3aの盛り上がり幅Hは、光ディスクの光透過層2が設けられた側の面を基準にして、0.1mm以上2.0mm以下、例えば1.2mmである。これにより、光ディスクを複数枚積み重ねた際に、積み重ねたディスクが互いに接触することを防止するためのスタックリブを形成することができる。
【0101】
また、上述した第1、第2および第3の実施形態において、ディスク基板1とシート5との貼り合わせを、真空中にて行うようにしてもかまわない。これにより、気泡の混入をより低減することができ、気泡混入の防止効果をより向上させることができる。したがって、接着むらや気泡混入が少なく、薄型化され、小複屈折で、透明性良好で厚さも均一な光透過層を有し、対物レンズの高NA化に対応可能な、高信頼性を有する光ディスクを製造することができる。
【0102】
また、上述した第1および第2の実施形態においては、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布する例について示したが、紫外線硬化樹脂の塗布の順序は、この実施形態に限られるものではない。例えば、内周部と外周部とに同時に、紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。また、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。
【0103】
また、この発明の第3の実施形態においては、外周部と外周部とに同時に、紫外線硬化樹脂を塗布する例について示したが、紫外線硬化樹脂塗布の方法は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。あるいは、外周部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、内周部に紫外線硬化樹脂を塗布してもかまわない。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、接着層の大気中に露出した部分が突起部などに接触した場合に、保護層が基板から剥がれることを防止することができる。すなわち、光学記録媒体の耐久性を向上することを防止させることができる。
【0105】
また、この発明によれば、長期使用において、接着層の大気中に露出した部分を介して情報信号部に腐食が発生することを防止することができる。すなわち、光学記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態によるディスク基板の構成の一例を示す断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態によるシートの構成の一例を示す断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による光ディスクの内周部および外周部における拡大断面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の第1の実施形態による貼り合わせ工程を説明するためのディスク基板とシートとの斜視図である。
【図7】この発明の第1の実施形態による貼り合わせ工程により光透過層が一主面に形成されたディスク基板の断面図である。
【図8】この発明の第1の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図9】この発明の第1の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図10】この発明の第2の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図11】この発明の第3の実施形態による光ディスクの構成の一例を示す断面図である。
【図12】この発明の第3の実施形態による貼り合わせ工程により光透過層が一主面に形成されたディスク基板の断面図である。
【図13】この発明の第3の実施形態による封入部形成工程を説明するための略線図である。
【図14】この発明の第3の実施形態による封入部形成工程を説明するための光ディスクの外周部の断面図である。
【図15】この発明の第1、第2あるいは第3の実施形態の変形例による光ディスク構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ディスク基板、1a・・・レプリカ基板、1b・・・センターホール、1c・・・情報信号部、2・・・光透過層、2a・・・光透過性シート、2b・・・接着層、2c・・・貫通孔、3a・・・外周封入部、3b・・・外周封入部、4・・・クランプ領域、5・・・シート、10・・・ロール、11・・・紫外線硬化樹脂供給部、12・・・ディスペンサ、13・・・供給部、14・・・内周用ディスペンサ、15・・・外周用ディスペンサ
Claims (26)
- 中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部と、上記情報信号部を少なくとも覆う保護層とを備え、
上記保護層は、中央部に開口を有するシートと、上記シートを上記基板の一主面に接着させるための接着層とを備えることを特徴とする光学記録媒体において、
上記保護層の内周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、上記保護層の外周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を設けたことを特徴とする光学記録媒体。 - 上記保護層が、上記情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層であることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記内周封入部および上記外周封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下であることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記内周封入部および上記外周封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記内周封入部および上記外周封入部が、紫外線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記内周封入部が、上記保護層が設けられている側の面から盛り上がっていることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 上記封入部の盛り上がり幅が、上記保護層が設けられている側の面を基準にして、0.1mm以上1.2mm以下であることを特徴とする請求項6記載の光学記録媒体。
- 上記基板と上記保護層とが円環形状を有し、
上記保護層の径が、上記基板の径より小さいことを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。 - 上記基板と上記保護層とが円環形状を有し、
上記保護層の径が、上記基板の径と等しいことを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。 - 上記基板および上記保護層の開口が円形状を有し、上記保護層の開口の径が上記基板の開口の径より大きいことを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
- 中央部に開口を有する基板の一主面に、レーザ光を照射することにより情報信号を記録および/または再生するための情報信号部を形成する工程と、
上記情報信号部を少なくとも覆うとともに、中央部に開口を有するシートを接着層により貼り合わせることにより、上記情報信号部上に保護層を形成する工程と、
上記保護層の内周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う内周封入部および/あるいは、上記保護層の外周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆う外周封入部を形成する工程と
を備えることを特徴とする光学記録媒体の製造方法。 - 上記封入部の透湿度が0.1g/cm2・24h以上75g/cm2・24h以下であることを特徴とする請求項11記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記封入部の残留塩素イオン濃度が0.01ppm以上1.0ppm以下であることを特徴とする請求項11記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層が、上記情報信号の記録および/または再生に用いられるレーザ光を透過可能に構成された光透過層であることを特徴とする請求項11記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層の内周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された上記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、上記内周封入部を形成することを特徴とする請求項11記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする請求項15記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記基板および上記シートの開口が円形状であることを特徴とする請求項15記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層が一主面に形成された上記基板を回転させるとともに、上記保護層の内周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、上記紫外線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項17記載の光学記録媒体の製造方法。
- ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下することを特徴とする請求項18記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層の外周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも覆うように紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された上記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより、上記外周封入部を形成することを特徴とする請求項11記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記紫外線硬化樹脂の表面張力が、20mN/m以上40mN/m以下を有することを特徴とする請求項20記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記基板および上記シートが円形状であることを特徴とする請求項20記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層が一主面に形成された上記基板を回転させるとともに、上記保護層の外周部の上方から紫外線硬化樹脂を滴下することにより、上記紫外線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項22記載の光学記録媒体の製造方法。
- ディスペンサにより紫外線硬化樹脂を滴下することを特徴とする請求項23記載の光学記録媒体の製造方法。
- 接触により紫外線硬化樹脂を供給する樹脂供給手段を、上記保護層の外周部において上記接着層が大気と接触する部分に少なくとも接触させることにより、上記紫外線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項20記載の光学記録媒体の製造方法。
- 上記保護層が一主面に形成された上記基板を回転させるとともに、樹脂供給手段に貯められた紫外線硬化樹脂の液面に、上記保護層の外周部において上記接着層が大気と接触する部分を少なくとも接触させることにより、上記紫外線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項20記載の光学記録媒体の製造方法。
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2002
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