JP2004028394A - ボイラ装置の腐食抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、このボイラ2へ給水を供給する給水部3と、前記ボイラ2で生成した蒸気を負荷機器4へ供給する蒸気供給部5と、前記負荷機器4で使用した蒸気を復水として前記給水部3へ供給する復水供給部6とを備えたボイラ装置1において、前記復水供給部6における腐食を抑制する方法であって、前記給水部3に設けた脱気手段7の上流側の全炭酸濃度を測定する測定工程と、この測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段7の上流側へ酸を供給する酸供給工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段7の下流側へアルカリを供給するアルカリ供給工程とを含んでいる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボイラ装置の腐食抑制方法に関するもので、特に給水を加熱して蒸気を生成するボイラと、ボイラへ給水を供給する給水部と、ボイラで生成した蒸気を負荷機器へ供給する蒸気供給部と、負荷機器で使用した蒸気を復水として給水部へ供給する復水供給部とを備えたボイラ装置における腐食抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ装置の配管,特にボイラからの蒸気が凝縮して得られる復水をボイラ用の給水として再利用するための主として鋼管製の復水配管は、腐食が原因で交換を余儀なくされる場合がある。この復水配管の腐食は、主に復水中の炭酸ガスや溶存酸素の影響により生じる。炭酸ガスを原因とする腐食は、ボイラ内において全炭酸を含む給水の熱分解により生成する炭酸ガスが復水に溶解し、復水のpHを低下させることにより生じるものであり、復水と接触している配管の内面部分に均等に進行して配管の減肉をもたらすものであるため、進行速度が比較的遅いという特徴がある。これに対し、溶存酸素を原因とする腐食は、復水に溶解している酸素が配管,特に横引き配管の下部等のスラッジの堆積した下部に対して部分的に集中的な腐食作用をもたらし、配管の肉厚方向の内側から外側へ向かう孔状の腐食(孔食)をもたらすものであるため、進行速度が比較的速く、復水配管に対して短時間で致命的な破損をもたらすという特徴を有している。
【0003】
このため、復水を再利用する際には、復水供給部の腐食を抑制するために、給水に含まれる全炭酸に由来する炭酸ガスを脱アルカリ塔等で除去している。そして、通常給水の全炭酸濃度を一回測定し、それに応じて酸およびアルカリを添加している。しかし、給水の水質は日々変動し、全炭酸の濃度が上昇すると、除去すべき全炭酸量は増加し、酸およびアルカリの添加量が多くしなければならないにもかかわらず、酸およびアルカリの添加量は予め設定されているため、酸およびアルカリの添加量が不足し、炭酸ガスの除去が不十分になる。逆に、全炭酸の濃度が下降すると、除去すべき全炭酸量は減少し、酸およびアルカリの添加量が少なくても良いにもかかわらず、酸およびアルカリの添加量は予め設定されているため、酸およびアルカリの添加量が過多となり、薬品が無駄に使われることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記課題に鑑み、ボイラ装置の腐食を抑制するにあたり、全炭酸に由来する炭酸ガスを除去するために添加する酸およびアルカリの添加量を適正化することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラと、このボイラへ給水を供給する給水部と、前記ボイラで生成した蒸気を負荷機器へ供給する蒸気供給部と、前記負荷機器で使用した蒸気を復水として前記給水部へ供給する復水供給部とを備えたボイラ装置において、前記復水供給部における腐食を抑制する方法であって、前記給水部に設けた脱気手段の上流側の全炭酸濃度を測定する測定工程と、この測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段の上流側へ酸を供給する酸供給工程と、前記測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段の下流側へアルカリを供給するアルカリ供給工程とを含んでいる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の発明は、アルカリ添加後の給水のpHを測定するpH測定工程をさらに含んでいる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、この発明の実施の形態に係るボイラ装置を説明する。図1において、ボイラ装置1は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、このボイラ2へ給水を供給する給水装置3(給水部の一例)と、蒸気を使用する負荷機器4と、前記ボイラ2で生成した蒸気を負荷機器4へ供給する蒸気配管5(蒸気供給部の一例)と、前記負荷機器4で使用した蒸気を復水として前記給水装置3へ供給する復水配管6(復水供給部の一例)と、給水中に含まれる全炭酸に由来する炭酸ガスを除去する脱アルカリ塔7(脱気手段の一例)と、この脱アルカリ塔7の上流側へ酸を添加する酸供給装置8と、前記脱アルカリ塔7の下流側へアルカリを添加するアルカリ供給装置9と、給水中に含まれる全炭酸濃度を測定する測定装置10とを主に備えている。
【0008】
前記給水装置3は、前記ボイラ2へ給水するために、補給水の注水路11と、この注水路11からの補給水を貯留する給水タンク12と、この給水タンク12に貯留された給水を前記ボイラ2へ供給する給水路13とを主に備えている(図1参照)。ここで、前記注水路11は、軟水化装置14と脱酸素装置15とをこの順にそれぞれ備えている。前記軟水化装置14は、補給水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水に変換するものである。一方、前記脱酸素装置15は、補給水中に含まれる溶存酸素を機械的に除去するものである。また、前記給水路13は、給水を前記ボイラ2へ送り出す給水ポンプ16を備えている。
【0009】
前記負荷機器4は、前記ボイラ2からの蒸気を用いて所要の熱交換するもの,すなわち前記ボイラ装置1における負荷装置であり、前記蒸気配管5の下流側に接続されている。
【0010】
前記脱アルカリ塔7は、給水中に含まれる炭酸ガス等を機械的に除去するものである。前記給水タンク12内から取出流路17を介して給水を取り出し、前記脱アルカリ塔7ヘ供給し、前記脱アルカリ塔7で給水中の炭酸ガスを除去し、その後、給水を還流流路18を介して前記給水タンク12へ還流している。
【0011】
前記酸供給装置8は、酸を前記取出流路17へ添加するために、酸を貯蔵している酸タンク19と、前記取出流路17へ連絡する酸供給路20とを主に備えている。前記酸タンク19内に貯蔵されている酸は、給水中に含まれる全炭酸を炭酸ガスに変化させる機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、たとえば塩酸,硫酸,硝酸等である。
【0012】
そして、前記酸供給路20は、前記酸タンク19内の酸を前記取出流路17に対して供給する第一供給ポンプ21を備えている。この第一供給ポンプ21は、前記取出流路17中を前記脱アルカリ塔7へ向けて移動中の一定量の給水に対し、所定量の酸を供給することができる定量ポンプである。
【0013】
前記アルカリ供給装置9は、アルカリを前記還流流路18へ添加するために、アルカリを貯蔵しているアルカリタンク22と、前記還流流路18へ連絡するアルカリ供給路23とを主に備えている。前記アルカリタンク22内に貯蔵されているアルカリは、前記脱アルカリ塔7通過後の給水中のpHを酸性から中性にする機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、たとえば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等である。
【0014】
そして、前記アルカリ供給路23は、前記アルカリタンク22内のアルカリを前記還流流路18に対して供給する第二供給ポンプ24を備えている。この第二供給ポンプ24は、前記還流流路18中を前記給水タンク12へ向けて移動中の一定量の給水に対し、所定量のアルカリを供給することができる定量ポンプである。
【0015】
前記測定装置10は、給水中に含まれる全炭酸濃度を測定するために、前記取出流路17から分岐した測定試料供給路25に設けられている(図1参照)。ここにおいて、全炭酸は、炭酸,炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの3つの形態を含んでおり、中性付近においては、ほとんど炭酸水素イオンとして存在している。そのため、この実施の形態では、炭酸水素イオン濃度を測定する場合について説明する。炭酸水素イオン濃度を測定する場合、前記測定装置10は、図2に示すように、測定セル26と、測定部27と、試薬供給装置28と、制御装置29とを主に備えている。
【0016】
前記測定セル26は、たとえばアクリル樹脂を筒状に形成した透明な容器であり、上部に開口部30を備えている。また、前記測定セル26の底部近傍の側面には、前記測定試料供給路25と接続された試料導入路31が設けられている。この試料導入路31は、前記測定試料供給路25側から順にフィルター32,定流量弁33および電磁弁34をそれぞれ備えており、前記取出流路17から前記測定試料供給路25を介して供給される給水を前記測定セル26内へ供給可能に設定されている。また、前記測定セル26の側部には、前記開口部30の近傍において、測定試料を外部へ排出する試料排出路35が設けられている。
【0017】
また、前記測定セル26の底部には、攪拌装置36が設けられている。この攪拌装置36は、攪拌子37とステータ38とを備えている。この攪拌子37は、前記測定セル26の底部において回転可能に配置されており、磁石(図示省略)を内蔵している。前記ステータ38は、前記攪拌子37を取り囲むように、前記測定セル26の外側に配置されており、電磁誘導コイル(図示省略)を備えている。この電磁誘導コイルには、電流が供給されるように設定されている。
【0018】
前記測定部27は、前記測定セル26内に貯留された給水(以下、「給水試料」と云う。)の透過光強度を測定するものであり、前記測定セル26を挟んで対向する発光体39と受光体40とを備えている。ここで、この発光体39は、たとえばLEDであり、また前記受光体40は、たとえばフォトトランジスタである。
【0019】
前記試薬供給装置28は、前記開口部30に着脱可能に配置されており、図3(前記試薬供給装置28を図2のIII方向から見た縦断面図)に示すように、試薬カセット41,試薬カートリッジ42および排出装置43を主に備えている。この試薬カセット41は、装着具(図示省略)により底部が前記開口部30に気密状態を維持するように、着脱可能に装着されている。前記試薬カセット41の壁部には、上下方向に延びるスリット44が形成されている。また、前記試薬カセット41の内部には、前記スリット44と対向する内面に押圧部材45が上下方向に装着されている。
【0020】
前記試薬カートリッジ42は、容器46と試薬および緩衝液の収納体47とを主に備えている。この容器46は、前記試薬カートリッジ42の上部に装着されており、前記収納体47の上部は前記容器46内に収容されている。前記収納体47は、炭酸水素イオンと反応して変色する試薬(たとえば、メチルオレンジ)および緩衝液(たとえば、pH3.4のフタル酸緩衝液)が貯蔵された貯蔵部48と、この貯蔵部48内の試薬および緩衝液を外部に排出する排出部49とを備えている。この排出部49は、たとえばフッ素ゴム製のチューブからなり、前記貯蔵部48から延びかつ先端部に排出ノズル50を備えている。前記排出部49は、前記試薬カートリッジ42の内部を上下方向に延びており、前記排出ノズル50が前記開口部30から前記測定セル26内へ挿入されることになる。ここにおいて、前記排出ノズル50は、前記測定セル26内の給水試料が逆流するのを防止する逆止弁(図示省略)を内蔵している。
【0021】
前記排出装置43は、前記貯蔵部48内に貯蔵された試薬および緩衝液を排出させるものであり、モータ(図示省略)に接続された回転駆動軸51,駆動アーム52および押圧ローラ53を主に備えている。この回転駆動軸51は、前記スリット44の外側に配置されており、図3の反時計方向に回転可能である。前記駆動アーム52は、一端が前記回転駆動軸51に連結されており、他端に前記押圧ローラ53が回転自在に装着されている。前記駆動アーム52は、前記回転駆動軸51の回転により、図3に二点鎖線で示すように、反時計方向に回転可能であり、この回転により、前記スリット44の部分において前記押圧ロ−ラ53が前記試薬カセット41から出入り可能に設定されている。
【0022】
なお、前記試薬供給装置28は、本特許出願人の特許である特許第3186577号(発明の名称:液体吐出装置)とほぼ同様の構成を採用しているので、詳細は、同公報を参照されたい。
【0023】
前記制御装置29は、前記測定装置10の動作を制御するものであり、図4に示すように、演算装置54と入出力ポート55とを主に備えている。この演算装置54は、中央制御装置56(以下、「CPU56」と云う。),前記制御装置29の動作プログラムを記憶している読み取り専用記憶装置57(以下、「ROM57」と云う。)および読み書き可能な記憶装置58(以下、「RAM58」と云う。)を主に備えている。
【0024】
一方、前記入出力ポート55の入力側には、オペレータが動作条件等を入力するスイッチ59および前記受光体40等が接続されている。また、その出力側には、測定結果等を表示するLCD60,前記発光体39,前記電磁弁34,前記ステータ38および前記回転駆動軸51を駆動するモータ(符号省略)等が接続されている。
【0025】
前記制御装置29は、前記ROM57に記憶させた動作プログラムにしたがって、前記演算装置54が前記入出力ポート55を介して入力された各種の情報を前記RAM58で適宜保存しながら演算処理し、前記演算装置54は、そこで得られた演算結果に基づいて、前記入出力ポート55を介して各種の動作指令を各部材に対して伝達するように設定されている。
【0026】
つぎに、前記ボイラ装置1の動作を説明し、あわせて前記ボイラ装置1の腐食抑制方法を説明する。前記ボイラ装置1を運転する場合は、前記注水路11から前記給水タンク12へ補給水を供給し、この補給水を前記ボイラ2への給水として前記給水タンク12に貯留する。ここで、貯留される給水は、前記軟水化装置14および前記脱酸素装置15で処理されたもの,すなわち脱酸素された軟水である。そして、前記給水ポンプ16を作動させ、前記給水タンク12に貯留された給水を前記給水路13を介して前記ボイラ2へ供給する。
【0027】
前記ボイラ2へ前記給水路13を介して供給される給水は、ボイラ水として前記ボイラ2内に貯留される。そして、前記ボイラ2に貯留されたボイラ水は、加熱されて徐々に蒸気になる。生成した蒸気は、前記蒸気配管5を介して前記負荷機器4へ供給される。前記負荷機器4へ供給された蒸気は、その後冷却されて復水となり、前記給水タンク12へ供給される。
【0028】
ところで、前記ボイラ2へ供給する給水は、炭酸水素イオンを含む場合がある。この場合、前記ボイラ2内で給水が加熱されて蒸気になるとともに、炭酸水素イオンは、熱分解により炭酸ガスを生成する。この生成した炭酸ガスは、蒸気とともに前記負荷機器4へ供給され、蒸気が凝縮するときに凝縮水へ溶解する。この結果、前記復水配管6は、炭酸ガスに由来する腐食が発生し、前記復水配管6の破損をもたらす可能性がある。
【0029】
そこで、前記ボイラ装置1は、前記測定装置10により、給水に炭酸水素イオンが含まれているか否を一定時間毎に測定する。そして、前記測定装置10での測定結果に基づいて、前記酸供給装置8から前記取出流路17へ酸を添加する。また、前記測定装置10での測定結果に基づいて、前記アルカリ供給装置9から前記還流流路18へアルカリを添加する。以下、図5および図6に示す動作フローチャートにしたがって、この動作を詳細に説明する。
【0030】
前記ボイラ装置1の運転が開始されると、プログラムは、ステップS1において、前記制御装置29の内部タイマーの経過時間tをゼロ(0)に設定し、またつぎのステップS2において、経過時間tが一定時間t1に到達したか否かを判断する。経過時間tが一定時間t1になると、プログラムはステップS3へ移行し、経過時間tをゼロ(0)にリセットする。ここにおいて、一定時間t1は、通常0.1〜24時間程度の時間である。
【0031】
ステップS3の後、プログラムはステップS4へ移行し、前記測定装置10において前洗浄工程を実施する。まず、前記取出流路17内の給水は、前記測定試料供給路25を経由して前記試料導入路31から前記測定セル26内へ流入する。この際、給水中に含まれる爽雑物は、前記フィルター32により取り除かれる。また、前記測定セル26内へ流入する給水の流量は、前記定流量弁33により制御される。前記測定セル26内へ連続的に流入する給水は、前記測定セル26内を満たし、前記試料排出路35から外部へ連続的に排出される。このとき、前記ステータ38の電磁誘導コイルが通電され、それによって生じる磁場を前記攪拌子37内の磁石が受ける。これにより、前記測定セル26内の前記攪拌子37が回転し、前記測定セル26内へ流入した給水は攪拌される。この結果、前記測定セル26は、連続的に流入する給水により洗浄される。
【0032】
前記のような前洗浄工程の後、プログラムはステップS5へ移行し、給水中の炭酸水素イオン濃度を測定する(測定工程)。ここでは、前記ステータ38の電磁誘導コイルへの通電を一旦停止し、また給水の供給も停止する。これにより、前記測定セル26内への給水の流入が断たれ、前記測定セル26内において、図2に一点鎖線で示す水位まで所定量の給水が給水試料として貯留される。また、前記排出ノズル50の先端部は、貯留された給水試料中に位置することになる。この状態で前記測定部27を作動させ、前記発光体39から前記受光体40へ向けて光を照射する。そして、給水試料の透過光強度(A)を測定する。
【0033】
つぎに、前記ステータ38の電磁誘導コイルへの通電を開始して前記攪拌子37の回転を再開し、その状態を継続しながら、前記排出装置43のモータを駆動させて前記回転駆動軸51を回転させる。この結果、前記駆動アーム52が図3の反時計方向へ回転し、それにともなって前記押圧ローラ53が前記排出部49を前記押圧部材45と協働して下方向へ扱く。この結果、前記測定セル26内の給水試料には、前記貯蔵部48に貯蔵された試薬および緩衝液の一定量が注入される。そして、このような前記駆動アーム52の回転運動を所定回数繰り返すと、給水試料には前記駆動アーム52の回転動作毎に、一定量の試薬および緩衝液が前記測定セル26内へ断続的に注入される(注入工程)。したがって、試薬および緩衝液が徐々に注入されることになる。このようにして前記測定セル26内に注入された試薬および緩衝液は、前記攪拌子37の回転により攪拌される給水試料中に溶解され、給水試料を変色させる。
【0034】
前記のような注入工程において、前記制御装置29は、前記攪拌子37の回転を継続し、また前記測定部27により、徐々に注入される試薬および緩衝液により変色する給水試料の透過光強度(B)を連続的に測定する。この際、前記制御装置29は、給水試料に対して注入される試薬および緩衝液の量の増加にともなう透過光強度の変化の変化量を測定する(変化量測定工程)。ここで測定する透過光強度の変化量は、通常一定量の試薬および緩衝液が注入される前後の透過光強度の差(ΔB)である。たとえば、図8に示すように、給水試料の透過光強度は、試薬および緩衝液の注入回数(すなわち、前記駆動アーム52の回転動作数)にしたがって徐々に減少する。ここで、給水試料中の炭酸水素イオンの全てが第X回目以前に注入された試薬および緩衝液と反応した場合、第X回目より後の注入動作においてそれ以上の試薬および緩衝液を注入しても、給水試料の変色は進行しにくくなり、給水試料の透過光強度は変化しにくくなる。すなわち、試薬および緩衝液の第X回目の注入後の透過光強度B1と第X+1回目の注入後の透過光強度B2との差(B1−B2,すなわち前記ΔB)は、微差になる。したがって、前記ΔBが所定量以下になったとき、給水試料にそれ以上の試薬および緩衝液を注入しても、その試薬および緩衝液は給水試料中の炭酸水素イオンとの反応に関与せず、そのままの状態で給水試料中に残留することになる。
【0035】
そこで、前記制御装置29は、前記ΔBが所定量以下になったと判定した場合、前記駆動アーム52の回転動作を停止する。これにより、給水試料に対する試薬および緩衝液の追加的な注入が停止される。続いて、前記制御装置29は、その時点における給水試料の透過光強度(B)と試薬および緩衝液注入前の前記透過光強度(A)との比(透過光強度比:B/A)を求める。そして、予め作成された透過光強度比と炭酸水素イオン濃度との検量線データに基づいて、前記制御装置29は、給水試料中の炭酸水素イオン濃度を算出し、その結果を前記LCD60に表示する。
【0036】
前記のような測定工程の後、プログラムはステップS6へ移行し、このステップS6において、給水試料から炭酸水素イオンが検出されたか否かを判定する。ステップS5の測定工程において炭酸水素イオンが検出されたと測定された場合(すなわち、給水試料において炭酸水素イオンが検出された場合)、プログラムはステップS6からステップS12へ移行して、前記CPU56の炭酸水素イオン検出識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。炭酸水素イオン検出識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS16へ移行し、酸添加量調整工程を実施する。
【0037】
この酸添加量調整工程は、今回ステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度が前回のステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度と異なる場合、ステップS16において、プログラムが炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第一供給ポンプ21を作動させることになるため、前記取出流路17から前記脱アルカリ塔7へ供給される給水に対して添加される酸の量を変化させることになる。
【0038】
その後、プログラムはステップS17へ移行し、アルカリ添加量調整工程を実施する。このアルカリ添加量調整工程は、今回ステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度が前回のステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度と異なる場合、ステップS17において、プログラムが炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第二供給ポンプ24を作動させることになるため、前記還流流路18から前記給水タンク12へ供給される給水に対して添加されるアルカリの量を変化させることになる。
【0039】
そして、プログラムはステップS18へ移行し、後洗浄工程を実施する。この後洗浄工程において、プログラムは、前記攪拌子37を回転させながら給水を供給する。ここで、前記測定セル26内に貯留された試薬および緩衝液を含む給水試料は、前記試料導入路31から新たに流入する給水により押し出され、前記試料排出路35から外部へ排出される。これにより、前記測定セル26は、新たに流入する給水により洗浄されることになる。ステップS18の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0040】
逆に、炭酸水素イオン検出識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはステップS13へ移行し、酸添加工程を実施する。
【0041】
このステップS13における酸添加工程において、前記制御装置29は、前記酸供給装置8の前記第一供給ポンプ21を作動させ、前記取出流路17に対して酸を供給する。これにより、前記取出流路17を前記脱アルカリ塔7へ向けて通過中の給水へ酸が添加される。ここで、前記制御装置29は、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第一供給ポンプ21の動作を制御する。より具体的には、前記制御装置29は、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度が小さい場合は、前記取出流路17を通過する単位量の給水に対して少量の酸が添加されるように、前記第一供給ポンプ21を連続して作動させる。一方、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度が大きい場合は、前記取出流路17を通過する単位量の給水に対して比較的多量の酸が添加されるように、前記第一供給ポンプ21を連続的に作動させる。すなわち、前記制御装置29は、給水に対して添加する酸の量がステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度に比例するように、前記第一供給ポンプ21を作動させる。ここにおいて、前記第一供給ポンプ21は、前記制御装置29からの停止指令を受けない限り作動し続ける。
【0042】
そして、プログラムはステップS14へ移行し、アルカリ添加工程を実施する。このアルカリ添加工程において、前記制御装置29は、前記アルカリ供給装置9の前記第二供給ポンプ24を作動させ、前記還流流路18に対してアルカリを供給する。これにより、前記還流流路18を前記給水タンク12へ向けて通過中の給水へアルカリが添加される。ここで、前記制御装置29は、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第二供給ポンプ24の動作を制御する。より具体的には、前記制御装置29は、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度が小さい場合は、前記還流流路18を通過する単位量の給水に対して少量のアルカリが添加されるように、前記第二供給ポンプ24を連続して作動させる。一方、ステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度が大きい場合は、前記還流流路18を通過する単位量の給水に対して比較的多量のアルカリが添加されるように、前記第二供給ポンプ24を連続的に作動させる。すなわち、前記制御装置29は、給水に対して添加するアルカリの量がステップS5において測定した炭酸水素イオン濃度に比例するように、前記第二供給ポンプ24を作動させる。ここにおいて、前記第二供給ポンプ24は、前記制御装置29からの停止指令を受けない限り作動し続ける。
【0043】
そして、ステップS14の終了後、プログラムはステップS15へ移行し、炭酸水素イオン検出識別フラグをオン(ON)に設定する。そして、ステップS18において後洗浄を実施した後、ステップS2ヘ戻る。
【0044】
この結果、前記給水タンク12から前記ボイラ2内へ供給される給水は、給水の炭酸水素イオン濃度に応じて、酸供給量およびアルカリ供給量を制御することになるので、前記復水配管6において、腐食が効果的に抑制される。
【0045】
一方、ステップS5の測定工程において求められた給水試料中に含まれる炭酸水素イオン濃度がゼロ(0)の場合(すなわち、給水試料中から炭酸水素イオンが検出されない場合)、プログラムはステップS6からステップS7へ移行し(図6参照)、前記CPU56の炭酸水素イオン検出識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。炭酸水素イオン検出識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはS11へ移行し、ステップS18の場合と同じく後洗浄工程を実施した後、ステップS2へ戻る。
【0046】
これに対し、ステップS7において、炭酸水素イオン検出識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS8へ移行し、前記第一供給ポンプ21の動作を停止する。これにより、前記酸供給装置8は、前記取出流路17に対する酸の供給を停止する。この結果、炭酸水素イオンを含まない給水に対する酸の無駄な供給が防止されることになる。ステップS8の終了後、プログラムはステップS9へ移行し、前記第二供給ポンプ24の動作を停止する。これにより、前記アルカリ供給装置9は、前記還流流路18に対するアルカリの供給を停止する。この結果、炭酸水素イオンを含まない給水に対するアルカリの無駄な供給が防止されることになる。ステップS9の終了後、プログラムはステップS10へ移行し、炭酸水素イオン検出識別フラグをオフ(OFF)に設定する。そして、プログラムはステップS11へ移行し、ステップS18の場合と同じく後洗浄工程を実施した後、ステップS2ヘ戻る。
【0047】
そして、プログラムは、ステップS2において、ステップS3でゼロ(0)にリセットした経過時間tが一定時間t1になったか否かを判定する。そして、経過時間tが一定時間t1に到達すると、再びステップS4以下を繰り返す。したがって、前記ボイラ装置1では、一定時間t1が経過する毎に、給水における炭酸水素イオン濃度が測定され、またその結果に基づいて、必要に応じて前記酸供給装置8から供給される酸および前記アルカリ供給装置9から供給されるアルカリが給水に対して添加されることになる。
【0048】
たとえば、先のステップS5において給水から炭酸水素イオンが検出された場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5において炭酸水素イオンが検出されない場合、プログラムはステップS6からステップS7へ移行する。ここで、先のステップS15において炭酸水素イオン検出識別フラグがオン(ON)に設定されているため、プログラムはステップS7へ移行し、ステップS8〜ステップS11を経由してステップS2へ戻る。したがって、前記取出流路17に対する酸の供給が停止されることになる。また、前記還流流路18に対するアルカリの供給も停止されることになる。逆に、先のステップS5において給水から炭酸水素イオンが検出されなかった場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5において給水から炭酸水素イオンが検出された場合、プログラムはステップS6からステップS12へ移行し、ステップS13〜ステップS18を経由してステップS2ヘ戻る。したがって、前記取出流路17から前記脱アルカリ塔7へ供給する給水には、ステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記酸供給装置8から酸が供給されることになる。また、前記還流流路18から前記給水タンク12へ供給する給水には、ステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記アルカリ供給装置9からアルカリが添加されることになる。
【0049】
一方、先のステップS5において給水から炭酸水素イオンが検出され、つぎの繰返し工程のステップS5においても炭酸水素イオンが検出された場合、プログラムはステップS6からステップS12へ移行し、前記取出流路17に対する酸の供給を継続する。また、前記還流流路18に対するアルカリの供給も継続する。ただし、この場合、後のステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度が先のステップS5で測定した炭酸水素イオン濃度と異なる場合、ステップS16において、プログラムが炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第一供給ポンプ21を作動させることになるため、前記取出流路17から前記脱アルカリ塔7へ供給される給水に対して添加される酸の量が変化する。また、ステップS17において、プログラムが炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記第二供給ポンプ24を作動させることになるため、前記還流流路18から前記給水タンク12へ供給される給水に対して添加されるアルカリの量が変化する。すなわち、この場合、給水に含まれる炭酸水素イオン濃度に応じ、前記取出流路17への酸の供給量および前記還流流路18へのアルカリの供給量が変化することになる。
【0050】
前記のように、前記ボイラ装置1においては、給水における炭酸水素イオンの存在もしくは炭酸水素イオン濃度とは無関係に、連続的にもしくは定期的に酸およびアルカリを供給するのではなく、給水が炭酸水素イオンを含む場合においてのみ、しかも炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記取出流路17へ酸および前記還流流路18へアルカリを添加することができるので、酸およびアルカリの使用量を適正化することができ、結果的に腐食抑制に要するコストを削減することができる。また、前記ボイラ装置1は、前記復水配管6内の腐食が発生してから酸およびアルカリを供給するのではなく、腐食の発生原因となる給水中の炭酸水素イオンに注目して酸およびアルカリの供給量を制御しているので、前記復水配管6における腐食を未然に防止することができる。
【0051】
[他の実施の形態]
(1)前記の実施の形態では、一定時間t1が経過する毎に給水中の炭酸水素イオン濃度を測定し、その結果に基づいて酸を前記脱アルカリ塔7の上流の給水に対して添加するとともに、アルカリを前記脱アルカリ塔7の下流の給水に対して添加しているが、この一定時間は状況に応じて変更することができる。たとえば、図7に示すように、動作フローチャートのステップS18の後にステップS19をさらに設定し、ここでステップS3でゼロ(0)にリセットした経過時間tが別の一定時間t2に到達したか否かを判断する。そして、ステップS19において経過時間tが一定時間t2に到達していると判断した場合、プログラムがステップS3へ移行するように設定する。ここにおいて、t2は、t1よりも短い時間である。
【0052】
この場合、前記ボイラ装置1は、ステップS5において炭酸水素イオンが検出されない場合は、長めの一定時間t1の経過毎に給水中の炭酸水素イオン濃度を測定し、またステップS5において炭酸水素イオンが検出された場合は、短めの一定時間t2の経過毎に給水中の炭酸水素イオン濃度を測定することになるので、給水に対する酸およびアルカリの添加量を適正化することができる。
【0053】
(2)前記の実施の形態では、前記測定装置10において給水中の炭酸水素イオン濃度を測定し、その結果に基づいて、前記取出流路17に対して供給する酸の量および前記還流流路18に対して供給するアルカリの量を変化させているが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、前記測定装置10において、給水中に炭酸水素イオンが含まれているかどうかのみを単純に測定し、給水中に炭酸水素イオンが含まれる場合は、炭酸水素イオン濃度とは無関係に一定量の酸を前記取出流路17中の給水に対して添加するとともに、アルカリを前記還流流路18中の給水に対して添加するようにしてもよい。
【0054】
(3)前記の実施の形態において用いられる前記測定装置10は、給水中の炭酸水素イオンの存否もしくは炭酸水素イオン濃度を自動的に測定することができるものであれば、他の形態のものに変更することもできる。ここにおいて、給水中の炭酸水素イオン濃度を自動的に測定する方法としては、たとえばTOC計(有機体炭素濃度計)を用いた測定装置も採用することができる。
【0055】
(4)前記の実施の形態では、給水中に炭酸水素イオンが含まれている場合は、炭酸水素イオン濃度に応じて、酸およびアルカリを供給しているが、給水中に炭酸水素イオンが一定量以上含まれる場合においてのみ、一定量,もしくは炭酸水素イオン濃度に応じた量の酸およびアルカリを供給するようにしてもよい。
【0056】
(5)前記の実施の形態では、前記ボイラ装置1に前記測定装置10を設け、前記測定装置10において自動的に測定された給水中の炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記酸供給装置7から酸および前記アルカリ供給装置9からアルカリを供給するようにしたが、この発明の腐食抑制方法はこれに限定されるものではない。たとえば、給水中の炭酸水素イオン濃度を手作業により測定し、その測定結果に基づいて、前記酸供給装置7から酸および前記アルカリ供給装置9からアルカリを供給することができる。ここにおいて、給水中の炭酸水素イオン濃度を手作業により測定する方法としては、たとえばJIS K0101:1998に規定されている「炭酸,炭酸水素イオン及び炭酸イオンの濃度算出」等を採用することができる。
【0057】
(6)前記の実施の形態では、前記給水タンク12から給水を取り出して前記脱アルカリ塔7へ供給する構成としたが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図9に示すように、前記脱アルカリ塔7を前記脱酸素装置15の上流側に設けた構成とすることも、実施に応じて好適である。この場合、前記軟水化装置14と前記アルカリ塔7との間の補給水の炭酸水素イオン濃度を測定し、測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記軟水化装置14と前記アルカリ塔7との間に酸を供給する。また、測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記脱アルカリ塔7と前記脱酸素装置15との間にアルカリを供給する。
【0058】
(7)前記の実施の形態では、前記脱アルカリ塔7と前記脱酸素装置15とを個別に設けた構成について説明したが、この発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図10に示すように、前記脱アルカリ塔7で炭酸ガス除去作用だけでなく、脱酸素作用も備えた構成とすることも、実施に応じて好適である。この場合、前記軟水化装置14と前記アルカリ塔7との間の補給水の炭酸水素イオン濃度を測定し、測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記軟水化装置14と前記アルカリ塔7との間に酸を供給する。また、測定した炭酸水素イオン濃度に基づいて、前記脱アルカリ塔7と前記給水タンク12との間にアルカリを供給する。
【0059】
(8)また、図11に示すように、アルカリ添加後の給水のpHを測定するpH測定装置61を設けることも、実施に応じて好適である。このpH測定装置61は、前記還流流路18に設けるもので、アルカリ添加後の給水が中性になったかどうかを判定するものである。このpH測定装置61において、酸性と判定された場合には、前記第二供給ポンプ24の添加量を増加させて、pHが中性になるように調整する。逆にアルカリ性と判定された場合には、前記第二供給ポンプ24の添加量を減少させて、pHが中性になるように調整する。この操作により、給水が酸性の場合は、前記ボイラ装置1の腐食が促進することを防止し、給水がアルカリ性の場合は、アルカリの過多添加を抑制してアルカリの添加量を適正化できる。
【0060】
(9)前記の実施の形態では、炭酸ガスを除去する手段として前記脱アルカリ塔7を設けたが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、膜式脱気装置(図示省略)を使用することもできる。
【0061】
(10)前記の各実施の形態では、前記測定装置10として、炭酸水素イオン濃度を測定する場合について説明したが、全炭酸濃度を測定する装置(図示省略)を用いて酸およびアルカリの添加を制御することも、実施に応じて好適である。
【0062】
ここにおいて、前記給水タンク12内の無機体炭素は、炭酸,炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの形態に分かれており、さらにそれらの存在割合は、前記負荷機器4やスチームトラップ(符号省略)の構造,前記復水配管6の長さや構造,前記給水タンク12への供給方法等により異なっている。そのため、これら3つの形態を含めた全炭酸として測定することにより、前記ボイラ2内で発生する炭酸ガスの全量を予測することができるため、前記復水配管6の腐食を抑制する上で、酸およびアルカリの使用量を適正化することができる。全炭酸濃度を測定する装置は、給水中の全炭酸の存否もしくは全炭酸の濃度を測定することができるものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、JIS K0101:1998に規定されている「全炭酸」等を採用することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ボイラ装置の腐食を抑制するにあたり、全炭酸に由来する炭酸ガスを除去するために添加する酸およびアルカリの添加量を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に適用されるボイラ装置の概略図。
【図2】前記ボイラ装置において用いられる測定装置の縦断面概略図。
【図3】前記測定装置を構成する試薬供給装置部分を図2のIII方向から見た縦断面概略図。
【図4】前記測定装置の制御装置部分の概略構成を示す図。
【図5】前記ボイラ装置における酸およびアルカリの供給動作工程を示すフローチャート。
【図6】前記ボイラ装置における酸およびアルカリの供給動作工程を示すフローチャート。
【図7】他の実施の形態における酸およびアルカリの供給動作工程を示すフローチャート。
【図8】給水試料を通過する光の透過率に基づいて炭酸水素イオン濃度を測定する判定テーブルを概念的に示したグラフ。
【図9】他の実施の形態におけるボイラ装置の概略図。
【図10】他の実施の形態におけるボイラ装置の概略図。
【図11】他の実施の形態におけるボイラ装置の概略図。
【符号の説明】
1 ボイラ装置
2 ボイラ
3 給水部
4 負荷機器
5 蒸気供給部
6 復水供給部
7 脱気手段
Claims (2)
- 給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、このボイラ2へ給水を供給する給水部3と、前記ボイラ2で生成した蒸気を負荷機器4へ供給する蒸気供給部5と、前記負荷機器4で使用した蒸気を復水として前記給水部3へ供給する復水供給部6とを備えたボイラ装置1において、前記復水供給部6における腐食を抑制する方法であって、
前記給水部3に設けた脱気手段7の上流側の全炭酸濃度を測定する測定工程と、
この測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段7の上流側へ酸を供給する酸供給工程と、
前記測定工程における測定結果に基づいて、前記脱気手段7の下流側へアルカリを供給するアルカリ供給工程と、
を含むことを特徴とするボイラ装置の腐食抑制方法。 - アルカリ添加後の給水のpHを測定するpH測定工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のボイラ装置の腐食抑制方法。
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JP2020067209A (ja) * | 2018-10-23 | 2020-04-30 | 栗田工業株式会社 | ボイラ水処理装置および処理方法 |
-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002182580A patent/JP2004028394A/ja active Pending
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