JP2004026911A - 粘着剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

粘着剤組成物およびその製造方法 Download PDF

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Yutaka Moroishi
諸石 裕
Tetsuo Inoue
井上 徹雄
Tomoko Doi
土井 知子
Fumiko Nakano
中野 史子
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Abstract

【課題】紫外線照射による架橋を有効に行えて、耐候性や耐熱性の改善をはかれ、実用性や被着体の汚染の問題もない、粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】a)ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜のモノマー順にリビングラジカル重合して、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を生成する手段と、b)このブロック共重合体に紫外線に活性な基をペンダント状に導入する手段とにより、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を生成し、これを主剤とすることを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を主剤とした粘着剤組成物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装用粘着テープ、塗装用マスキング用粘着テープ、医療用粘着テープ、生理用品用粘着テープ、紙オムツ固定用粘着テープおよび粘着ラベルなど、圧着する程度で簡単に接着することが要求される用途に対して、溶剤型、エマルション型、ホットメルト型などの粘着剤が用いられている。
【0003】
溶剤型の粘着剤としては、ゴム系やアクリル系などが知られているが、近年、乾燥効率や省エネルギー性および作業環境の面から、溶剤の使用量をできるだけ削減することが要望されている。この要望に対して、ポリマー製造時の溶剤の使用量を少なくすると、発生する重合熱の制御の点から、安全性に問題があった。また、エマルション型の粘着剤では、ポリマー粒子が水中に分散しているため、粘着剤層の形成に際して、最終的に水分を除去する必要があり、乾燥効率や省エネルギー性の理由で、やはり問題があった。
【0004】
これに対し、ホットメルト型の粘着剤は、溶剤型やエマルション型の粘着剤に比べて、安全性や経済性などの面ですぐれており、たとえば、スチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分としたものが知られている。しかし、この種の粘着剤は、一般に、耐候性が良くなく、これを用いた製品の経日による性能劣化が問題となりやすく、また耐熱性にも不足していた。
【0005】
このため、ブロック共重合体のゴム成分部分を水素添加により改質したり、耐候性が良いことが知られているアクリル系ポリマー成分を導入したり、これらの成分を架橋処理して耐熱性を向上させるなどの試みがなされている。このうち、アクリル系ポリマー成分の導入はとくに有効な手段である。しかし、上記導入のために、ただ単にアクリル系モノマーとスチレン系モノマーとをランダム共重合させるやり方では、粘着特性の良好な粘着剤は得られない。
【0006】
一方、本発明者らは、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとを特定の活性化剤および重合開始剤を用いてリビングラジカル重合させると、従来では合成不可能であったスチレン系ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を、無溶剤または少量の溶剤の存在下、重合熱などの安全性の問題を生じることなく、容易に生成でき、これに特定の光架橋剤を配合して紫外線照射により架橋処理すると、従来のエマルション型のような経済性の問題を生じずに、耐候性や耐熱性の改善された粘着剤組成物が得られることを知り、これをホットメルト型の粘着剤として既に提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の先行発明に係るホットメルト型の粘着剤は、ブロック共重合体における各ポリマーブロックの組成や分子量などを変化させると、これに配合する光架橋剤の種類や量などを、上記共重合体との相溶性を考慮して選択し直す必要があるといった煩わしさがあり、実用性の点で難があった。また、配合する光架橋剤の分解残渣が被着体を汚染させる心配もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に照らし、紫外線照射による架橋を有効に行えて、耐候性や耐熱性の改善をはかれ、実用性や被着体の汚染の問題も本質的にない、粘着剤組成物を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、スチレン系モノマーなどのガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとを、先行発明の場合と同様に、リビングラジカル重合させて、A−B型などのブロック共重合体を生成する一方、このブロック共重合体中に紫外線に活性な基をペンダント状に導入し、これを紫外線の照射にて架橋処理したときには、上記架橋が有効に行えて、耐候性や耐熱性を容易に改善でき、この場合、光架橋剤をあえて配合する必要がないため、その種類や量を選択使用するなどの煩わしさがなく、実用性によりすぐれたものとなり、また光架橋剤の分解残渣が被着体を汚染する問題も回避できることがわかった。
【0010】
ところで、ポリマー中に紫外線に活性な基を導入することについては、特開平3−205415号公報において、共重合可能なオレフィン不飽和光開始剤や重合調節光開始剤を用いて重合させ、上記基を導入したランダム共重合体を得ることが知られている。しかし、この方法は、上記基の導入部分が当然ランダムであるため、架橋効率に劣り、大量の上記光開始剤を用いる必要があった。
【0011】
これに対し、リビングラジカル重合によりA−B型などのブロック共重合体を生成する方法においては、スチレン系ポリマーブロックなどのガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとのいずれか一方または両方のブロック部分の所望位置に紫外線に活性な基を導入でき、これを皮膜化してドメインを形成した状態で上記所望位置で効率良く架橋反応を行わせることが可能となる。このため、上記基を過剰に導入しすぎるといった不都合をきたすことなく、紫外線照射による架橋を有効に行えて、これに基づいて耐候性や耐熱性を容易に改善できるという効果がもたらされる。
【0012】
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を主剤としたことを特徴とする粘着剤組成物に係るものである。とくに、本発明は、アクリル系ポリマーブロックBのガラス転移温度が0℃以下である上記構成の粘着剤組成物、紫外線に活性な基が紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基および/または不飽和二重結合である上記構成の粘着剤組成物、ブロック共重合体がA−B型、A−B−A型またはB−A−B型である上記構成の粘着剤組成物、ブロック共重合体におけるガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAがブロック共重合体全体の50重量%を超えない割合である上記構成の粘着剤組成物に係るものである。
【0013】
また、本発明は、a)ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜のモノマー順にリビングラジカル重合して、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を生成する手段と、b)このブロック共重合体に紫外線に活性な基をペンダント状に導入する手段とにより、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を生成し、これを主剤とすることを特徴とする粘着剤組成物の製造方法に係るものである。
【0014】
とくに、本発明は、上記bの手段として、リビングラジカル重合に際し、紫外線に活性な基を有する単量体を使用する上記構成の粘着剤組成物の製造方法と、同じく上記bの手段として、リビングラジカル重合に際し、官能基を有する重合開始剤または/および官能基を有する単量体を使用し、このリビングラジカル重合後に上記官能基を介して紫外線に活性な基を導入する上記構成の粘着剤組成物の製造方法とに係るものである。
【0015】
また、本発明は、支持体上に上記構成の粘着剤組成物を設けたのち、これに紫外線を照射して架橋処理することを特徴とする粘着シートの製造方法を提供できるものである。なお、本発明において、上記の「粘着シート」には、通常幅広である粘着シートだけでなく、通常幅狭である粘着テープも含まれ、さらに粘着ラベルなどの他の各種の粘着製品も含まれるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、主剤として使用するブロック共重合体は、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するものであり、このようなブロック共重合体は、a)リビングラジカル重合により、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を生成する手段と、b)このブロック共重合体に紫外線に活性な基をペンダント状に導入する手段とにより、生成される。
【0017】
リビングラジカル重合法に関しては、たとえば、(1)Pattenらによる報告、“Radical Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜 1.05 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerization ”Polymer Preprinted,pp 575−6,No37(March 1996)、(2)Matyjasewskiらによる報告、“Controlled/LivingRadical Polymerization. Halogen Atom Transfer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu(II)Redox Process ”Macromolecules 1995,28,7901−10(October 15,1995)、(3)同著PCT/US96/03302,International Publication No.WO96/30421 (October 3,1996)、(4)M.Sawamotoらの報告、“Ruthenium−mediated Living Radical polymerization of Methyl Methacrylate ”Macromolecules,1996,29,1070.などが知られている。
【0018】
本発明者らは、近年に発見された上記のリビングラジカル重合法に着目して、まず、aの手段として、重合活性化剤として遷移金属とその配位子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を使用して、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとを、適宜のモノマー順に、リビングラジカル重合させることにより、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を、容易に生成できることを見い出したものである。
【0019】
遷移金属としては、Cu、Ru、Fe、Rh、VまたはNiがあり、通常、これら金属のハロゲン化物(塩化物、臭化物など)の中から、用いられる。また、配位子は、遷移金属を中心にして配位して錯体を形成するものであり、ビピリジル誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体、アミン誘導体などが用いられる。遷移金属とその配位子の組み合わせの中でも、Cu+1−2,2′−ビピリジル錯体が、重合の安定性や重合速度の面で、最も好ましい。
【0020】
重合開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体が用いられ、とくに2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘導体、塩化(または臭化)1−フェニル誘導体が好ましい。
具体的には、臭素または塩素を分子内に1個だけ有する1官能基型として、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭化)1−フェニルエチルなどが挙げられる。
また、臭素または塩素を分子内に2個有する2官能基型として、エチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)なども用いられる。
【0021】
重合性モノマーのひとつであるガラス転移温度が50℃以上、好ましくは80℃以上(通常は、200℃以下)の硬質ポリマーを付与するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。その他、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニルなどを使用することができる。
【0022】
重合性モノマーの他のひとつであるアクリル系モノマーは、式(1):CH2 =CR1 COOR2 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メタ)アクリル酸アルキルアステルを主モノマーとしたものである。その中でも、ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−20℃以下(通常は、−100℃以上)のポリマーを付与する、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルなどの炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。
【0023】
アクリル系モノマーとしては、上記主モノマーとともに、これと共重合可能な改質用モノマーを、アクリル系モノマー全体の50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の割合で併用してもよい。
このような改質用モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、(メタ)アクリロリイルモルホリンなどが挙げられる。これらの改質用モノマーを併用する場合でも、これと前記主モノマーとのコポリマーのガラス転移温度が0℃以下となるようなモノマー組成とするのが望ましい。
【0024】
上記のリビングラジカル重合法において、重合開始剤として1官能基型のものを使用して、スチレン系モノマーなどを最初に重合させ、ついで、アクリル系モノマーを加えてこのモノマーの重合を続けるか、あるいは上記と逆の順に重合させると、A−B型のジブロック共重合体を生成できる。
また、上記したアクリル系モノマーの重合後、再度スチレン系モノマーなどを加えてこのモノマーの重合を続けると、A−B−A型のトリブロック共重合体を生成できる。さらに、これら重合の順序を逆にすることにより、B−A−B型のトリブロック共重合体を生成することができる。
【0025】
また、重合開始剤として2官能基型のものを使用して、最初にアクリル系モノマーを重合してアクリル系ポリマーを生成し、つぎにスチレン系モノマーなどを加えてこのモノマーの重合を続け、最初に生成したアクリル系ポリマーブロックBの両側に硬質ポリマーブロックAを生成させることによっても、A−B−A型のトリブロック共重合体を生成できる。
同様に、最初にスチレン系モノマーなどを重合して硬質ポリマーブロックAを生成し、つぎにアクリル系モノマーを加えてこのモノマーの重合を続け、最初に生成した硬質ポリマーブロックAの両側にアクリル系ポリマーブロックBを生成させると、B−A−B型のトリブロック共重合体を生成できる。
これらの方法は、重合開始剤として1官能基型のものを使用する方法に比べ、A−B−A型やB−A−B型のトリブロック共重合体を2段階の重合操作で生成できるので、製造工程上、より有利である。
【0026】
このようなリビングラジカル重合法により、逐次的な重合を行わせる場合に、後のモノマーを加えるときは、前のモノマーの重合率が少なくとも50重量%を超えた時点、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上となつた時点で、加えるのがよい。これにより、粘着力と凝集力をバランス良く両立させることができる。
【0027】
なお、B−A−B型のトリブロック共重合体のように、1分子内にアクリル系ポリマーブロックBを2個以上有するものであるときは、各ポリマーブロックBをモノマー組成が異なるポリマーブロックB1,B2などで構成してもよい。この場合、モノマー組成の差異が特性上明確であるときは、リビングラジカル重合のモノマー順を変更し、A−B1−B2型などのように硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとが必ずしも交互に結合していないトリブロック以上のブロック共重合体としてもよい。
同様に、A−B−A型のトリブロック共重合体のように、1分子内に硬質ポリマーブロックAを2個以上有するものであるときは、各ポリマーブロックAをモノマー組成が異なるポリマーブロックA1,A2などで構成してもよく、この場合に上記と同様の結合様式をとらせることもできる。
【0028】
上記のリビングラジカル重合において、重合開始剤としては、重合性モノマー全体に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量は、ハロゲン化物などの形態として、上記重合開始剤1モルに対して、通常0.01〜3モル、好ましくは0.1〜1モルの割合で用いられる。さらに、その配位子は、上記の遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルの割合で用いられる。重合開始剤と活性化剤を上記使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、生成ブロック共重合体の分子量などに好結果が得られる。
【0029】
このようなリビングラジカル重合は、無溶剤でも進行させることができるし、酢酸ブチル、トルエン、キシレンなどの溶剤の存在下で進行させてもよい。溶剤を用いる場合、重合速度の低下を防ぐため、重合終了後の溶剤濃度が50重量%以下となる少量の使用量とするのがよい。無溶剤または少量の溶剤量でも、重合熱の制御などに関する安全性の問題はとくになく、むしろ溶剤削減によつて経済性や環境対策などの面で好結果が得られる。また、重合条件としては、重合速度や触媒の失活の点より、70〜130℃の重合温度で、最終的な分子量や重合温度にも依存するが、約1〜100時間の重合時間とすればよい。
【0030】
本発明において、このように生成される硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体は、汎用されるスチレン−イソプレン−スチレン系ブロック共重合体にみられるようなミクロドメイン構造を示し、このミクロドメイン構造が粘着力とともに凝集力を満足する、すぐれた粘着特性を付与する原因となっているものと思われる。
このブロック共重合体において、硬質ポリマーブロックAの割合は、ブロック共重合体全体の50重量%を超えない割合、とくに好ましくは10〜40重量%の範囲内にあるのがよい。硬質ポリマーブロックAの割合が多すぎると、粘着剤に要求される粘弾性特性に欠け、粘着剤用として固すぎるポリマーとなり、逆に少なすぎると、粘着剤に必要な凝集力に劣るようになる。
【0031】
また、このようなブロック共重合体の分子量は、粘着特性や塗布性などの実用性の観点より、数平均分子量が通常5,000〜500,000の範囲、とくに好ましくは10,000〜200,000の範囲にあるのがよい。ここで、上記の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算にて求められる値を意味する。
なお、ブロック共重合体の数平均分子量〔Mn〕は、使用する重合開始剤と重合性モノマーのモル比から、Mn(計算値)=Σ(総和)〔モノマーの分子量×(モノマーのモル比)/(重合開始剤のモル比)〕として、求められることが知られている。よって、理論的には、重合性モノマーと重合開始剤との仕込み比率を調整することで、数平均分子量を任意に制御することができる。
【0032】
このように生成される硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体中には、重合活性化剤として使用した遷移金属とその配位子からなる不純物が多量に含まれており、これをそのまま使用すると、上記不純物が着色の原因となったり、被着体面などにマイグレートして汚染の原因となったりする。したがって、上記不純物を重合後に除去しておくのがよく、そのために、以下の方法を採用するのが望ましい。
【0033】
すなわち、重合後、生成したブロック共重合体を、加熱または溶剤を使用して粘度が100Pa・s以下の状態とし、まず、この共重合体に不溶な遷移金属とその配位子を遠心分離機などにより分離除去し、ついで、この共重合体に溶解している遷移金属とその配位子をイオン交換樹脂などにより分離除去する。これによれば、共重合体の収率を大きく低下させることなく、共重合体中の遷移金属とその配位子をそれぞれ30ppm以下にまで低減することができ、これら不純物に起因した前記問題を回避することができる。
【0034】
本発明においては、上記のように、aの手段として、リビングラジカル重合により、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を生成する一方、bの手段として、上記のブロック共重合体中に紫外線に活性な基をペンダント状に導入する手段を付加して、上記の基を有するブロック共重合体を生成する。
ここで、上記の紫外線に活性な基には、紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基および/または不飽和二重結合がある。
【0035】
bの手段としては、aの手段におけるリビングラジカル重合に際し、紫外線に活性な基を有する単量体を併用することにより、生成するブロック共重合体中に紫外線に活性な基を導入できる。とくに、この単量体の添加時期の選択により、ブロック共重合体を構成するガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとのうちのいずれか一方または両方の所望位置に紫外線に活性な基を導入することができる。
【0036】
この方法における紫外線に活性な基は、紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基であるのが望ましい。このような光開始基を有する単量体には、(メタ)アクリロイル基が付加したベンゾフェノン(ダイセルUCB社製の「エベクリルP36」)や、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンの1級の水酸基と2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物がある。
【0037】
また、上記の方法とは異なり、bの手段として、aの手段におけるリビングラジカル重合に際し、官能基を有する重合開始剤または/および官能基を有する単量体を使用し、このリビングラジカル重合後に上記官能基を介して紫外線に活性な基を導入する手段を用いてもよい。具体的には、リビングラジカル重合に際し、官能基として水酸基を有する重合開始剤または/および水酸基を有する単量体を使用して、これらに由来する水酸基を導入したブロック共重合体を生成し、この水酸基を介して、紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基および/または不飽和二重結合を有する反応性化合物を、直接または間接的に反応させることにより、紫外線に活性な基を導入できる。
【0038】
水酸基を有する重合開始剤を使用すると、生成するブロック共重合体の重合鎖の開始末端に上記水酸基を導入できる。このような重合開始剤には、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体として、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0039】
水酸基を有する単量体を使用すると、この単量体の添加時点に応じてブロック共重合体を構成する各ポリマーブロックの重合鎖の任意位置に水酸基を導入できる。このような単量体には、式(2):CH2 =CR3 COOR4 (式中、R3 は水素原子またはメチル基、R4 は水酸基を少なくとも1個有する炭素数2〜6のアルキル基である)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがある。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
このような重合開始剤または/および単量体を使用して、ブロック共重合体を構成するガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとのうちのいずれか一方または両方の所望の位置に導入された水酸基に対し、この水酸基と反応する官能基であるイソシアナート基とともに不飽和二重結合を有する反応性化合物、たとえば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどを反応させることにより、ブロック共重合体中に紫外線に活性な基として不飽和二重結合を直接導入することができる。
【0041】
また、上記の水酸基に、いったん、トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物を反応させて、ブロック共重合体中に水酸基よりもより活性な官能基としてイソシアナート基を導入し、このイソシアナート基と反応する官能基である水酸基とともに不飽和二重結合を有する反応性化合物、たとえば、前記の水酸基を有する単量体を反応させることにより、ブロック共重合体中に紫外線に活性な基として不飽和二重結合を間接的に導入することができる。
【0042】
さらに、上記と同様にして、ブロック共重合体中に導入したイソシアナート基と反応する官能基である水酸基とともに、紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基を有する反応性化合物、たとえば、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンを反応させることにより、ブロック共重合体中に、紫外線に活性な基として上記光開始基を間接的に導入することができる。
【0043】
本発明において、上記bの手段により導入される紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基および/または不飽和二重結合からなる紫外線に活性な基の数は、ブロック共重合体の1分子あたり、1〜10個、とくに好ましくは2〜8個の範囲内にあるのがよい。紫外線に活性な基が過少では、架橋反応が十分に進行せず、粘着剤の耐熱性を十分に改善することができず、逆に過多となると、未反応の上記基が多量に残存して粘着性能、とくにタックが低下するなどの問題があり、いずれも、好ましくない。
【0044】
本発明の粘着剤組成物は、このように生成されるガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を主剤としてなるものであり、この組成物には、必要により、充填剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合することでできる。
この粘着剤組成物は、環境対策面などより、ホットメルト型の粘着剤として、通常は、無溶剤タイプとされるが、場合により、ブロック共重合体の生成方法やその後の調製方法により、有機溶剤溶液タイプとすることもできる。
【0045】
本発明の粘着剤組成物は、最終的に、紫外線の照射により架橋処理されるが、その際、ブロック共重合体中に紫外線に活性な基が導入されているため、既提案の先行発明のように、紫外線によりラジカルを発生する光架橋剤をあえて配合しなくてもよい。そのため、ブロック共重合体を構成する各ポリマーブロックの組成や分子量などに応じて、これに配合する光架橋剤の種類や量などを厳密に選択使用するといった煩わしさがなく、実用性によりすぐれており、また光架橋剤の分解残渣が被着体を汚染するといった問題もとくにない。
【0046】
しかし、このことは、光架橋剤の使用を一切禁止することを意味しない。すなわち、光架橋剤を用いても上記問題が生じない限り、光架橋剤を配合することを妨げるものではない。光架橋剤の配合により、ブロック共重合体の架橋度や架橋効率の調整がより容易になることもあり、とくに紫外線に活性な基が不飽和二重結合である場合、上記光架橋剤を配合するのが望ましい。
【0047】
紫外線によりラジカルを発生する光架橋剤には、ヒドロキシケトン類、ベンジルジメチルケタール類、アミノケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、トリクロロメチル基含有トリアジン誘導体などがある。このような光架橋剤の使用量は、ブロック共重合体からなる主剤100重量部あたり、0〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部とするのがよい。光架橋剤が過多となると、過度な架橋反応により粘着剤層が硬くなって耐久性に乏しくなり、また未反応物の転着により被着体を汚染させやすい。
【0048】
また、本発明の粘着剤組成物には、架橋反応を一段と良好に進行させるため、また支持体に対する投錨性を向上させるため、さらには粘着剤層の被膜強度を向上させて耐久性を良くするため、光架橋助剤を配合することもできる。この光架橋助剤としては、不飽和二重結合を有する化合物であって、沸点が高くて蒸発しにくいものであるのが望ましく、また分子中に(メタ)アクリロイル基などの不飽和二重結合を複数個有するものが望ましい。
【0049】
このような光架橋助剤としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーや、オリゴ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどのオリゴマーが用いられる。このような光架橋助剤の使用量としては、ブロック共重合体からなる主剤100重量部あたり、0〜100重量部、好ましくは0〜60重量部とするのがよい。光架橋助剤が過多となると、粘着力が低下するなど、粘着特性を損なうおそれがある。
【0050】
本発明の粘着剤組成物は、最終的に紫外線架橋して、ブロック共重合体の主鎖延長と網状化を同時に行わせて、分子鎖長の長い架橋ポリマーを生成させ、これにより粘着力と凝集力をともに満足する、すぐれた粘着特性を発揮させる。その際、紫外線架橋後において、ブロック共重合体の溶剤可溶分が50重量%以下、通常は20〜45重量%となるように、するのがよい。
【0051】
本発明の粘着剤組成物は、これを支持体の片面または両面にその厚さが片面で通常2〜1,000μm、とくに10〜300μmとなるように設けて、これを必要により乾燥したのち、紫外線照射により架橋処理して、テープ状やシート状などの形態とした粘着シートとすることができる。
支持体としては、紙、プラスチックラミネート紙、布、プラスチックラミネート布、プラスチックフィルム、金属箔、発泡体などが挙げられ、その他、これらの材料に剥離処理したものなどを使用してもよい。
【0052】
支持体の片面または両面に粘着剤組成物を設けるには、ロールコーターやダイコーターなどが用いられる。また、紫外線照射による架橋処理は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの有極ランプや無極ランプを用いて、通常50mj〜10J/cm2 の照射光量となるように、紫外線を照射して架橋処理すればよい。紫外線照射時の温度はとくに限定はなく、室温から140℃までの加熱条件を適宜選択できる。このような架橋処理により、粘着シートの架橋が均一に行え、すぐれた粘着力と凝集力が得られる。
【0053】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例になんら限定されものではない。
【0054】
実施例1
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、スチレン(ホモポリマーのガラス転移温度100℃)40gを加え、これに2,2′−ビピリジン1.8gを加え、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.61gを加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル0.84gを加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で12時間重合した。
【0055】
重合率(加熱して揮発成分を除去したポリマーの重量を揮発成分を除去する前の重合溶液そのままのポリマーの重量で割つた値;以下同じ)が80重量%以上であることを確認したのち、これにアクリル酸n−ブチル(ホモポリマーのガラス転移温度−49℃)160gとさらにアクリロイル化ベンゾフェノン(ダイセルUCB社製の「エベクリルP36」)2gをラバーセプタムから加え、110℃で20時間加熱して重合を続けた。
【0056】
このようにして得られた重合反応物を140℃に加熱し、20,000gの遠心力で1時間遠心処理して、上澄みのポリマー(緑色)を得た。つぎに、このポリマー100gに、スルホン酸型イオン(カチオン)交換樹脂10gを加えて、120℃で2時間撹拌したのち、上記のイオン交換樹脂をろ去することにより、無色透明なポリマーを得た。
【0057】
このポリマーは、スチレンポリマーブロックAとアクリル酸n−ブチルポリマーブロックBとからなり、かつアクリル酸n−ブチルポリマーブロックB部分に紫外線を吸収することでラジカルを発生する光開始基をベンダント状に有するA−B型のブロック共重合体であり、数平均分子量は5.5万であった。また、上記光開始基の数は、1分子あたり、7.5個(計算値)であった。
【0058】
このブロック共重合体を主剤として、これ単独で粘着剤組成物とした。これを支持体として厚さが25μmのポリエステルフィルムの片面に、ホットメルトコーターにより、厚さが50μmとなるように塗布したのち、高圧水銀ランプで、紫外線を2.5J/cm2 の照射光量で照射することにより、架橋処理した粘着剤層を形成して、粘着シートを作製した。
【0059】
比較例1
リビングラジカル重合に際し、アクリロイル化ベンゾフェノンを全く加えなかった以外は、実施例1と同様にして、スチレンポリマーブロックAとアクリル酸n−ブチルポリマーブロックBとからなる、紫外線を吸収することでラジカルを発生する光開始基を持たないA−B型のブロック共重合体を得た。このブロック共重合体を用いて、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0060】
実施例2
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル80gおよびアクリル酸2−エチルヘキシル80g(両者のコポリマーのガラス転移温度−50℃)とさらにアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.25gを加え、これに2,2′−ビピリジン1.0gを加え、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.31gを加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−ブロモイソ酪酸エチル0.58gを加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、100℃で20時間重合した。重合率が80重量%以上であることを確認したのち、これにさらにメタクリル酸メチル(ホモポリマーのガラス転移温度105℃)20gをラバーセプタムから加え、110℃で15時間加熱して重合を続けた。
【0061】
このようにして得られた重合反応物に、酢酸エチル180gを加えて、均一な溶液にし、これを13,000gの遠心力で30分間遠心処理して、上澄みのポリマーを得た。つぎに、このポリマー溶液200gに、スルホン酸型イオン交換樹脂20gを加えて、室温で2時間撹拌したのち、上記のイオン交換樹脂をろ去することにより、ポリマー溶液を得た。
【0062】
このポリマーは、メタクリル酸メチルポリマーブロックAと、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシルポリマーブロックBとからなり、かつ上記ポリマーブロックBの部分に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体であり、数平均分子量は9.2万であった。
【0063】
このポリマー溶液に、ブロック共重合体100gあたり、2−イソシアナートエチルメタクリレート0.87gと、ジブチル錫ジラウレート0.01gとを加え、90℃で1時間、反応させることにより、上記のブロック共重合体中に不飽和二重結合(メタクリロイル基)をペンダント状に導入した。この不飽和二重結合の数は、1分子あたり、5個(計算値)であった。
【0064】
このブロック共重合体を主剤とし、この主剤100重量部あたり、光架橋剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー(Lamberti社製「EsacureKIP150」)1重量部を配合し、均一に混合したのち、減圧乾燥処理により溶剤を除去して、ホットメルト型の粘着剤組成物とした。
【0065】
この粘着剤組成物を、支持体として厚さが25μmのポリエステルフィルムの片面に、ホットメルトコーターにより、厚さが50μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプで、紫外線を3.7J/cm2 の照射光量で照射することにより、架橋処理した粘着剤層を形成して、粘着シートを作製した。
【0066】
比較例2
リビングラジカル重合後のブロック共重合体に2−イソシアナートエチルメタクリレートを反応させなかった以外は、実施例2と同様にして、粘着剤組成物を調製し、これを用いて粘着シートを作製した。
【0067】
上記の実施例1,2および比較例1,2の各粘着シートについて、下記の方法により、粘着力および保持力(クリープ)を測定した。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0068】
<粘着力>
粘着シートを幅20mm,長さ100mmに切断し、これを、被着体として#280のサンドペーパーで研磨したステンレス板に、重さ2Kgのローラーを1往復させて圧着したのち、23℃で20分間経過後、その剥離に要する力を測定した。なお、測定条件としては、23℃,65%RH雰囲気下、180度剥離、引張速度300mm/分とした。
【0069】
<保持力>
フェノール樹脂板に、粘着シートを幅10mm,長さ20mmの接着面積で接着させ、20分間経過後、40℃下で20分間放置し、ついで、フェノール樹脂板を垂下して、粘着シートの自由末端に500gの均一荷重を負荷し、40℃において粘着シートが落下するまでの時間(分)を測定した。
【0070】
Figure 2004026911
【0071】
上記の表1から明らかなように、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を主剤とした粘着剤組成物を紫外線の照射により架橋処理してなる実施例1,2の両粘着シートは、上記架橋を有効に行えるため、良好な粘着力に加えて、高温下での保持力特性も満足するすぐれた耐熱性を発揮するものであることがわかる。これに対して、紫外線に活性な基を持たないブロック共重合体を主剤とした粘着剤組成物を紫外線の照射により架橋処理してなる比較例1,2の両粘着シートは、高温下での保持力特性を満足できず、耐熱性を十分に改善することができなかった。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとをリビングラジカル重合させて、A−B型などのブロック共重合体を生成する一方、このブロック共重合体中に紫外線に活性な基をペンダント状に導入し、これを紫外線の照射により架橋処理する構成としたことにより、上記架橋を有効に行えて、耐候性や耐熱性を容易に改善でき、しかも、光架橋剤をあえて配合する必要がないため、ブロック共重合体の種類に応じて光架橋剤の種類や量を選択使用するという煩わしさがなく、実用性によりすぐれ、しかも光架橋剤の分解残渣が被着体を汚染させるというおそれもない、工業的に有用な粘着剤組成物を提供することができる。

Claims (9)

  1. ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を主剤としたことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. アクリル系ポリマーブロックBは、ガラス転移温度が0℃以下である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 紫外線に活性な基は、紫外線を吸収することによりラジカルを発生する光開始基および/または不飽和二重結合である請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. ブロック共重合体は、A−B型、A−B−A型またはB−A−B型である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  5. ブロック共重合体は、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAがブロック共重合体全体の50重量%を超えない割合である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  6. a)ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーを付与するモノマーとアクリル系モノマーとを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜のモノマー順にリビングラジカル重合して、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなるブロック共重合体を生成する手段と、b)このブロック共重合体に紫外線に活性な基をペンダント状に導入する手段とにより、ガラス転移温度が50℃以上の硬質ポリマーブロックAとアクリル系ポリマーブロックBとからなり、かつ紫外線に活性な基をペンダント状に有するブロック共重合体を生成し、これを主剤とすることを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
  7. bの手段として、リビングラジカル重合に際し、紫外線に活性な基を有する単量体を使用する請求項6に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  8. bの手段として、リビングラジカル重合に際し、官能基を有する重合開始剤または/および官能基を有する単量体を使用し、このリビングラジカル重合後に上記官能基を介して紫外線に活性な基をペンダント状に導入する請求項6に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  9. 支持体上に請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物を設けたのち、これに紫外線を照射して架橋処理することを特徴とする粘着シートの製造方法。
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