JP2004020809A - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各形成パターンの断面傾斜角が適切で、気泡混入やクラックのない高品質なカラーフィルターを容易に製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、
前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、
前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子やプラズマディスプレイ等に使用するカラーフィルターの製造方法に関し、特に感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示用カラーフィルターは、ガラス等の透明基板上に赤色、緑色、青色のドット状画像をそれぞれマトリックス状に配置し、必要時に応じてその境界をブラックマトリックスで区分した構造を有する。このようなカラーフィルターの製造方法としては、従来、支持体としてガラス等の透明基板を用い、1)染色法、2)印刷法、3)特開昭63─298304号公報、特開昭63─309916号公報或いは特開平1─152449号公報等に記載の着色した感光性樹脂液の塗布と露光および現像の繰り返しによる着色感光性樹脂液法(着色レジスト法)、4)特開昭61─99103号公報、特開昭61─233704号公報或いは特開昭61─279802号公報に記載されているように、仮支持体上に形成した画像を順次、最終または仮の支持体上に転写する方法、5)特開昭61─99102号公報に記載されているように、予め着色した感光性樹脂液を仮支持体上に塗布することにより着色層を形成し、順次直接、透明基板上にこの感光性着色層(感光性樹脂層)を転写し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法等により多色画像を形成する方法(以下、当該方法を「転写方式」という場合がある。)が知られている。その他にも電着法或いは蒸着法等の方法も知られている。
【0003】
カラーフィルターの製造に関する着色画像形成の従来の主な方法において、上記1)染色法ではフォトレジスト塗布や乾燥した透明な膜の部分的染色を繰り返すため、防染層の形成と除去の反復とが必要であり、製造工程が煩雑である。また、上記2)印刷法では、ガラスへの印刷インキの転写性が劣るため、着色パターンの形状欠陥や濃度むらを生じ易く、更に3色或いは4色のパターンの位置合わせの点でも不利であり、この方法によって品質の良いカラーフィルターを作製することは困難である。上記3)の方法では、着色層の濃度は着色層の厚みで決まるため、着色層の濃度を一定にするためには極めて精密な塗布技術を必要とする。更に、第1色目を形成後、第2色目の着色層を塗布すると、第1の着色層に基づく表面の凹凸のため、実際に均一な塗布層を得るのが困難である。更に、上記4)の方法は最終支持体への着色画像の転写時に各色の画像を所望の位置に正しく配置する(以下、「位置合わせ」という場合がある。)ことが困難である。
【0004】
これに対し、上記転写方式(上記5)の方法)は着色画像の形成の工程が簡略化され、露光や現像、濃度管理が容易であり、更に各着色画像の位置合わせに関して転写操作でのズレを生成しないので本質的に優れている。また、予め一定の厚さで均一に塗布された着色感光性樹脂層を転写することから、露光特性および現像特性も安定し、得られる最終着色画像の光学濃度管理も容易である。
【0005】
また、近年、いわゆるCOA(Color Filter on Alley)が盛んになってきている。この場合、画素上の透明電極とTFT電極とを導通させる目的で、画素や保護膜にコンタクトホールが形成される。しかし、コンタクトホール壁の断面形状が逆テーパ状だと、コンタクトホールの壁面に十分な膜厚の透明導電層を形成することができず、導通不良を起こしてしまう。このため、コンタクトホールはその壁面の断面形状がテーパ状(以下、「順テーパ状」という場合がある。)であること、換言すると、コンタクトホールの断面形状がすり鉢状であることが望ましい。
【0006】
また、画素の周縁部が逆テーパ状であると、例えば第2色目をラミネートする際や画素上に保護層を設ける際に該画素周縁部が未充填になり易いという問題がある。さらに、通常のカラーフィルターの場合には共通電極として透明導電膜を形成するが、画素の周縁部が逆テーパ状であると、画素周縁部の透明導電膜の厚みが薄くなり、クラックを生じやすくなる。これらの点から、画素の周縁部の断面形状も順テーパ状であることが望まれる。
さらに、必要に応じて設けられるスペーサーも荷重がかかることからその断面も台形であること、即ち順テーパー状であることが好ましい。同様に画素上に設けられる配向制御材の断面形状も順テーパ状であることが好ましい。
【0007】
しかし、これら画素、コンタクトーホールの壁面、スペーサーおよび配向制御材などの用途はそれぞれ異なるものであるため、その用途に適切な断面形状も異なる。しかも、断面形状が順テーパ状であっても、その傾斜角が大きすぎるとラミネート時に気泡が混入しやすくなり、また、スパッタによってクラックが生じやすくなってしまう。このため、形成パターンの様々な用途に合わせてその断面形状を適切な角度に制御する必要がある。
【0008】
従来においては、感光性材料の材料物性によってベーク(加熱)時の熱流動を利用することで形成パターンを所望の断面形状に制御していた。しかし、感光性材料の種々の性能・物性との関係から、感光性材料の材料物性のみで所望の断面形状に制御することは困難であり、適切な傾斜角を得ることができない場合もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決すべく、各形成パターンの断面傾斜角が適切で、気泡混入やクラックのない高品質なカラーフィルターを容易に製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記の手段により達成された。
<1> 基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
【0011】
上記<1>のカラーフィルターの製造方法によれば、上記ポスト露光工程によって上記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で該パターンを照射するため、ベーク時におけるパターンのエッジ部等が熱によって軟化する熱だれの具合を制御できる。これにより、目的に応じて、上記パターンの断面形状を所望の傾斜角に制御することができる。
【0012】
<2> 前記所望の傾斜角は50〜80°であり、かつ、前記露光量は、500mJ/cm2未満であることを特徴とする上記<1>のカラーフィルターの製造方法である。
【0013】
上記<2>のカラーフィルターの製造方法によれば、露光量を500mJ/cm2未満の範囲内で調整して、パターンの傾斜角を50〜80°の範囲で制御することができる。
【0014】
<3> 前記パターンは、画素、スペーサー、および配向制御材のいずれかであることを特徴とする上記<1>または<2>のカラーフィルターの製造方法である。
【0015】
上記<3>のカラーフィルターの製造方法によれば、画素、スペーサーおよび配向制御材の断面形状を所望の傾斜角に制御することができる。
【0016】
<4> 前記画素は、コンタクトホールを有することを特徴とする上記<3>のカラーフィルターの製造方法である。
【0017】
上記<4>のカラーフィルターの製造方法によれば、コンタクトホール壁面の断面形状をも所望の傾斜角に制御することができる。
【0018】
<5> 前記基板は、TFT用アレイ基板であることを特徴とする<1>〜<4>のカラーフィルターの製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とする。
【0020】
以下、感光性転写材料を用いた方法を例に、カラーフィルターの製造方法、感光性転写材料、基板、等について詳細に説明するが、本発明のカラーフィルターの製造方法はこれに限定されるものではなく、基板上に塗布等の方式で感光性樹脂層を形成するものであってもよい。
【0021】
《カラーフィルター製造方法》
後述する方法で作製した感光性転写材料を用いる場合を例に、本発明のカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0022】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、露光現像工程と、ポスト露光工程と、加熱工程とを少なくとも含み、必要に応じて、積層体形成工程と、剥離工程と等を含む。また、多色のカラーフィルターを製造する場合には、積層体形成工程から露光現像工程を各色毎におこなって各色の画素を形成する。なお、多色のカラーフィルターを製造する場合、加熱工程は各色毎におこなってもよく、また、各画素を全て形成した後におこなってもよく、さらに、形成した画素表面にオーバーコート層を形成する場合には該オーバーコート層形成後におこなってもよい。
【0023】
まず、上記感光性転写材料の構成について図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明における感光性転写材料の構成を示す概略断面図である。また、図2は、本発明における積層体の構成を示す概略断面図である。
【0024】
図1において本発明における感光性転写材料1は、仮支持体2上に、熱可塑性樹脂層3、中間層4および感光性樹脂層5がこの順に積層されてなる構造を有する。また、感光性樹脂層5の上には、保存時に該感光性樹脂層5を保護する目的で、保護層が形成されていてもよい。
【0025】
図2に示す本発明における積層体6は、後述する積層体形成工程で、透明基板7の表面と感光性樹脂層5とが接するように、透明基板7の表面に感光性転写材料1をラミネート等によって密着させることで得られる。
【0026】
上記感光性転写材料は画素のみならず、その構成成分を適宜選定することでスペーサーや配向制御材をも形成することもできる。
【0027】
(積層体形成工程)
積層体形成工程は、感光性転写材料を、上記基板の表面と上記感光性樹脂層とが接するように密着させた積層体を得る工程である。具体的には、先ず、約0.7mm厚のTFT基板(若しくは、金属Crのブラックマトリックス遮光層形成基板)の上に、感光性転写材料の感光性樹脂層を加温加圧下で貼り合わせ積層体を形成する(積層体形成工程)。この場合、感光性樹脂層と透明ガラス基板との密着力を向上させる目的で、予め透明ガラス基板にシランカップリング剤等の下塗を施してもよい。上記積層体形成工程においては、従来公知のラミネーターや真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの使用が望ましい。積層体形成工程における貼り合わせの際の温度は、感光性転写材料側で測定して、50〜180℃、好ましくは100〜160℃である。転写速度は通常0.1m/分〜3m/分程度でおこなう。量産性を考慮すれば、通常、気泡の巻き込みが無い範囲内で最高速度を選択する。この速度は、感光性樹脂層および熱可塑性樹脂層の物性、ラミネート温度、ラミネート圧力等により適切に決定される。 尚、感光性転写材料に保護層が設けられている場合には、該保護層を感光性樹脂層表面から剥離した後、基板に感光性転写材料を貼り合わせる。
【0028】
(剥離工程)
剥離工程は、上記積層体形成工程によって形成された積層体から仮支持体を剥離する工程である。該剥離手段としては、仮支持体の背面を吸盤等で捉えてめくるようにしてもよいし、剥離ロールに巻きつけるようにしてめくってもよい。
【0029】
また、仮支持体を剥がす際熱可塑性樹脂層も一緒に剥がすのが高い解像度を得るためにも、また現像時間を短縮するためにも好ましいが、仮支持体のみが剥離される構成であってもよい。仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、および感光性樹脂層の各層間の密着力バランスを制御することで、この熱可塑性樹脂層の剥がしは可能である。
【0030】
(露光現像工程)
露光現像工程は、仮支持体が剥離された積層体の感光性樹脂層表面をパターン露光し、現像して基板上にパターンを形成する工程である。該パターンはその目的に応じて、画素、スペーサーおよび配向制御材となる。また、当該工程では必要に応じて画素内にコンタクトホールも形成してもよい。
まず、上記剥離工程において仮支持体を剥離した後で所定のフォトマスクを通し、上記感光性樹脂層を露光(パターン露光)し、現像する。
【0031】
−パターン露光−
上記パターン露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度であり、さらに好ましくは15〜80mJ/cm2程度である。
【0032】
−現像−
現像は公知の方法で、溶剤系もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーから現像液を噴射すること、更には超音波を印加しながら現像処理することでおこなわれる。
【0033】
次に、非画像形成部の現像残膜を除去するために、現像残膜除去液中で、パターニングされ現像された感光性樹脂層が設けられた透明ガラス基板表面をブラッシングすると共に、同様の薬液を高圧で噴射等するのが好ましい。上記現像残膜除去液としては、従来公知の洗浄液を広汎に使用できるが、中でも、界面活性剤とアルカリ剤とを、それぞれ少なくとも一種含む水溶液が好ましい。
【0034】
上記ブラッシングに使用されるブラシとしては、特に限定はされないが、ナイロンやアクリル製の繊維ロールブラシ、PVAスポンジ製のディスクブラシ等が適宜利用できる。繊維ロールブラシを使用する際には毛脚が長く(少なくとも10mm以上)繊維径が細い(100μm以下)物が好ましい。毛脚が短く、繊維径の太いブラシを用いると、形成パターンに傷が付いたり画素が剥がれたりするため好ましくない。ブラシ擦りする時間は現像装置や使用するブラシによって異なるが、例えば、繊維径50μm、毛脚25mmのロールブラシを用い、ブラシの回転数100rpmで、1秒〜20秒程度である。これはブラシの回転下、基板表面がブラシの毛先に軽く触れる状態で基板を水平に搬送した時の各部接触時間である。接触時間が短すぎると、残膜が十分に除去できず、逆に長すぎると画素等のパターンに傷が付いたり、剥がれたりするので好ましくない。
【0035】
ブラッシング処理と高圧噴射処理とは、現像後直ちに出来るようにインライン化することが好ましい。現像とブラッシングおよび高圧噴射を別々の装置でおこなう際には、現像後に一旦、感光性樹脂層を水洗して現像を停止する必要がある。
【0036】
〈パターン〉
露光現像工程において形成されるパターンはその目的に応じて、画素、スペーサー、配向制御材等になる。
−画素−
当該工程において基板上に形成される画素のサイズは作製するカラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅50〜100μm、長さ100〜300μm程度であり、画素の厚さは通常0.5〜3.0μm程度である。また、画素にコンタクトホールを形成する場合、該コンタクトホールの穴径は通常10〜20μm程度である。
【0037】
−スペーサー−
当該工程において基板上に形成されるスペーサーは、液晶空間の確保等の目的で形成され、既に形成された画素上に形成してもよいし、画素と画素との間に形成してもよい。スペーサーのサイズは、カラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅5〜40μm、長さ5〜40μm程度であり、厚みは2.0〜6.0μm程度である。スペーサーは無色透明であってもよいし、画素の上に形成する場合には、該画素と同色としてもよい。
【0038】
−配向制御材−
当該工程において基板上に形成される配向制御材は、液晶材料の配向を特定の方向へ制御する目的で形成され、主として、既に基板上に形成された画素上に形成される。配向制御材のサイズは、カラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅5〜40μm、長さ30〜500μm程度であり、厚みは0.5〜2.0μm程度である。配向制御材は無色透明であってもよいし、有色であってもよい。
【0039】
−オーバーコート層−
画素等のパターン形成後、更に、必要に応じて、カラーフィルター表面の物理的および化学的保護と平坦化とを目的とするオーバーコート層をカラーフィルターに積層して設けてもよい。オーバーコート層としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の樹脂皮膜や、酸化珪素等の金属酸化物のような透明性の高い皮膜が用いられる。これら皮膜の形成方法としては樹脂皮膜は、スピンコート、ロールコート、印刷法等のほか、上述した感光性転写材料のように転写により形成することもできる。また、金属酸化物等の無機皮膜については、スパッタリング法、真空蒸着法等によって設けることが出来る。
【0040】
オーバーコート層の膜厚は、通常1〜5μm程度である。また、オーバーコート層を設ける場合には、その厚みを考慮して画素に設けるコンタクトホールの穴径を5〜10μm程度大きめに設定するのが好ましい。
【0041】
(ポスト露光工程)
ポスト露光工程は、上記露光現像工程によって形成されたパターンを、画素の色毎の不均一な膜減り防止や、感光性樹脂層に含まれるUV吸収剤等の成分の析出防止のために露光してパターンを硬化する工程である。また、ベーク(加熱)処理を施す前にポスト露光をおこなうと、ラミネート時にかみこんだ微小な異物が膨れてLCDに組み立てたときに対向基板とのショートの原因となる突起状の異物となるのを防止することができる。
【0042】
本発明は、当該ポスト露光工程において画素等のパターンに照射する露光量を調整して上記パターンの断面形状の傾斜角を制御することが重要である。ここで、「パターンの断面形状の傾斜角」について図3および図4を用いて基板上に画素を形成した場合を例に説明する。図3は、画素の傾斜角を示す概略断面図である。図3において、基板7上に形成されたパターン(画素8)の断面形状の傾斜角はxで示される。すなわち、傾斜角xとは、画素8の端面と基板7の表面とからなる傾斜角をいう。なお、画素の端面とは各画素を形成するための層を現像・パターン化した際のカラーフィルターの厚み方向に傾斜する側面を意味する。
図4は、コンタクトホール壁面の傾斜角を示す概略断面図である。図4において、基板7上に形成された画素8にはコンタクトホール9が設けられている。この場合、コンタクトホール9の壁面の傾斜角はx’で示される。
【0043】
本発明において上記パターンの断面形状の傾斜角を制御するためには、ポスト露光時における露光量を上記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量に調節しておこなう。
上記「パターンの所望の傾斜角」とは、各パターンの断面形状の適切な傾斜角を意味し、画素、スペーサー、配向制御材、コンタクトホールの壁面など各パターンの目的に応じて決定される。
画素の断面形状の傾斜角は、60〜80°が好ましく、さらに70〜80°が好ましい。画素の断面形状の傾斜角が80°を越えると上層膜にステップカバレッジが発生する場合があり、60°未満であるとコントラスト低下の原因となる場合がある。
【0044】
スペーサーの断面形状の傾斜角は60〜80°が好ましく、70〜80°がさらに好ましい。スペーサーの断面形状の断面形状の傾斜角が80°を越えるとスペーサーの脱落、損傷が生ずる場合があり、60°未満であると配向不良領域が拡大する場合がある。
配向制御材の断面形状の傾斜角は50〜70°が好ましく、50〜60°がさらに好ましい。配向制御材の断面形状の断面形状の傾斜角が70°を越えると配向不良になる場合があり、50°未満であると配向規制の角度が不足する場合がある。
コンタクトホール壁面の断面形状の傾斜角は50〜70°が好ましく、50〜60°がさらに好ましい。配向制御材の断面形状の断面形状の傾斜角が70°を越えると上層膜にステップカバレッジを生じる場合があり、50°未満であるとホール径を大きく設計する必要が生じる場合がある。
【0045】
また、「パターンの所望の傾斜角に対応する露光量」とは、各パターンの用途に応じた傾斜角になるようにパターンの断面形状を制御するための露光量を意味する。上記露光量は感光性樹脂層の成分、光重合開始剤、光重合性モノマー、バインダー等によって適宜決定されるが、50〜400mJ/cm2、好ましくは100〜300mJ/cm2の範囲内で調整するのが好ましい。特に、本発明においては、露光量を500mJ/cm2未満の範囲内で、パターンの断面形状の傾斜角を50〜80°の範囲内で制御する態様が好ましい。
【0046】
ポスト露光工程における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係について図5を用いて説明する。但し、本発明は以下の例に限定されるものではない。図5は、ポスト露光時における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係の一例を示すグラフである。図5において露光量(x)とパターンの断面形状の傾斜角(y)とは、線Zの関係にある。すなわち、基板上に画素を形成し、その断面形状の傾斜角を70°に制御するための露光量は、図5から200mJ/cm2であると読みとることができる(点A)。同様に、パターンの断面形状の傾斜角を60°に制御したい場合には、ポスト露光の露光量を100mJ/cm2に調節すればよい(点B)。尚、図5における露光量は365nmにおいて計測した露光量を意味する。
【0047】
上記ポスト露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0048】
(加熱工程)
加熱工程は、前記露光現像工程によって形成された前記画素を加熱(ベーク処理)して硬化させる工程である。
【0049】
画素を形成する場合、ベーク処理は、画素を1色形成するごとに実施する中間ベーク処理と、各色を形成した後、最終的に実施する最終ベーク処理とに大別できる。
ベーク処理(ポストベーク)の方法としては、従来公知の種々の方法を使うことが出来る。即ち、複数枚の基板をカセットに収納してコンベクションオーブンで処理する方法、ホットプレートで1枚ずつ処理する方法、赤外線ヒーターで処理する方法等である。 また、ベーク温度(加熱温度)としては、通常150〜280℃程度であり、好ましくは180〜250℃程度である。加熱時間は、上記ベーク温度によって変動するが、ベーク温度を約220℃とした場合には、中間ベーク処理では5〜30分、最終ベーク処理では60〜200分が好ましい。尚、スペーサーおよび配向制御材を形成する場合は上記最終ベーク処理と同様の条件が好ましい。
【0050】
本発明のカラーフィルターの製造方法において、画素を形成する場合には、加熱工程は少なくとも1色の画素を形成する際(オーバーコート層を設ける場合にはその際)におこなえばよい。しかし、多色のカラーフィルターを作製するには、通常、赤色、緑色、青色、黒色(遮光層を金属膜で形成する場合は黒色は不要)と4回の処理プロセスが必要になるため、第1番目に形成した着色画像では4回、2番目に形成した着色画像では3回、3番目に形成した着色画像では2回と、複数回現像処理されることになる。このことは過現像による画素形状の崩れを惹起する結果となる。現像後にブラッシングや高圧噴射をおこなうと、更にこの傾向が強くなる。そのため、上記加熱工程は、各色の画素を形成する毎におこなうのが好ましい。
【0051】
感光性転写材料の貼り合わせる積層体形成工程、から、加熱工程を赤色、緑色、青色、黒色、必要に応じてスペーサーや配向制御材について繰り返せば、カラーフィルターを形成することが出来る。ここで、金属薄膜により予め遮光層を形成したガラス基板を用いた場合には、黒色画像形成工程を省くことが出来る。
【0052】
感光性転写材料を用いてカラーフィルターを製造する場合、ブラックマトリックス遮光層の形成方法により少なくとも2通りの工程を選択することが出来る。その1つはブラックマトリックス遮光層を金属薄膜で形成する方法で、もう1つは赤色、緑色、青色の各画素と同様に感光性転写材料の転写により設ける方法である。金属薄膜を用いる場合は赤色、緑色、青色の各画素形成に先立って、金属薄膜によるブラックマトリックス遮光層を形成するのが好ましく、一方感光性転写材料の転写によりブラックマトリックス遮光層を形成する場合には、赤色、緑色、青色の各画素形成後に設けるのが好ましい。
【0053】
金属薄膜によるブラックマトリックス遮光層は、約1mm厚のガラス基板にスパッタリング或いは真空蒸着等の方法により、厚さ100〜300nmの金属Cr膜を形成し、フォトリソグラフィーによりマトリックス状にパターニングすることにより得られる。金属薄膜としては金属Cr以外にも種々の材料を用いることが可能であるが、膜が黒色であること、更にガラス基板との密着性、膜の緻密性、光遮断性能の点からは金属Crが好ましい。
【0054】
《感光性転写材料》
感光性樹脂層を仮支持体上に設けた感光性転写材料について説明する。本発明で用いる感光性転写材料は、少なくとも仮支持体上に、感光性樹脂層(着色感光性樹脂層)が設けられており、必要に応じて、仮支持体と感光性樹脂層との間に、熱可塑性樹脂層と、中間層とがこの順に積層されてなる構造を有する。
【0055】
(仮支持体)
上記仮支持体としては、可撓性を有し加圧、或いは加圧および加熱下においても著しい変形、収縮もしくは伸びを生じないことが必要である。そのような仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルローズフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができる。特に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的および熱的特性に優れているので好ましい。
【0056】
仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。仮支持体の厚みが上記範囲よりも小さいと、感光性転写材料を転写すべき基板と貼り合わせる際にシワが発生しやすく、また、厚みが上記範囲よりも大きいと感光性転写材料のシートカッティング時にゴミを発生しやすい。また、上記仮支持体には帯電防止剤を含有させてもよいし、表面に導電層を設けてもよい。
【0057】
(感光性樹脂層)
本発明における感光性樹脂層は、形成するパターンの目的に応じて膜厚や構成成分を適宜選定して形成される。
感光性樹脂層は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性を帯びることが好ましく、そのため熱可塑性であることが好ましい。公知の光重合性組成物を用いた層の大部分は上記性質を有するが、公知層の一部は、熱可塑性バインダーの添加あるいは相溶性可塑剤の添加によって更に改質することが出来る。
【0058】
本発明の感光性樹脂層の主剤としては公知の感光性樹脂を使用することができる。具体的には、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂、光重合性組成物、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物、光重合性樹脂等があげられる(以下これらを総称して「感光性樹脂組成物」という場合がある。)。その中でも、特に好ましいのは光重合性樹脂である。該光重合性樹脂は光重合開始剤、光重合性モノマーおよびバインダーを基本構成要素として含む。該感光性樹脂としては、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものが知られているが、公害防止および労働安全の確保の観点から、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましい。
【0059】
画素を形成する場合、感光性樹脂層には更にカラーフィルターの構成色である赤色、緑色、青色、黒色の顔料を添加するが、これら顔料の好ましい具体例としては、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、カーボンブラック等を挙げることができる。着色された感光性樹脂中の顔料の含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
また、無色透明のスペーサーや配向制御材を形成する場合は顔料を用いなくてもよい。
【0060】
上記感光性樹脂層は、仮支持体上に、上記感光性樹脂組成物と顔料とを溶剤に溶解若しくは分散し調製された溶液若しくは分散液(感光性樹脂層用塗布液)を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。上記感光性樹脂層の膜厚としては、画素を形成する場合には0.5〜3μmが好ましく、約0.8〜2.0μmがさらに好ましい。上記感光性樹脂層の膜厚が0.5μm未満であると目的の色度を得ることが困難となり、膜厚が3μmを超えると2色目以降の転写時に気泡が入り易かったり、LCDに組み上げたときに脱ガスが多く、液晶中に気泡が残ることがあり好ましくない。
また、スペーサーを形成する場合の膜厚としては2.0〜6.0μmが好ましく、3.0〜5.0μmがさらに好ましい。さらに、配向制御材を形成する場合の膜厚としては、0.5〜2.0μmが好ましく、0.8〜1.5μmがさらに好ましい。
【0061】
上記仮支持体の上には、着色した感光性樹脂層を直接設けてもよいが、紫外線透過性を有し酸素透過率が低い中間層を介して設けるのが好ましく、転写時の気泡混入を避ける目的で、熱可塑性樹脂層(クッション層)を設けるのがさらに好ましい。この場合は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層、中間層、感光性樹脂層の順に積層するのが好ましい。
【0062】
(中間層)
上記中間層は、着色した感光性樹脂層を透明基板に密着した後で、仮支持体を剥離し、パターン露光するに際し、着色した感光性樹脂層中での光硬化反応を阻害する空気中からの酸素の浸透を防止する為と、3つの層を積層する場合に熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とが混じり合わないようにするためのバリアー層として設けられる。そのため、着色した感光性樹脂層からは機械的に剥離できないようにし、且つ酸素の遮断性能が高いことが好ましい。
【0063】
上記中間層は、ポリマー溶液を仮支持体上に直接または熱可塑性樹脂層を介して塗布することにより形成される。適当なポリマーとしては、特公昭46−32714号および特公昭56−40824号の各公報に記載されているポリビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、およびマレイネート樹脂、およびこれらの2種以上の組合せが挙げられる。
【0064】
特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピリドンとの組合せである。ポリビニルアルコールは鹸化率が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有量は中間層固形分の1質量%〜75質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜60質量%、更に好ましくは10質量%〜50質量%である。該含有量が1質量%未満では、感光性樹脂層との十分な密着が得られないことがあり、75質量%を超えると、酸素遮断能が低下することがある。
【0065】
中間層の厚みは非常に薄くてよく、約0.1〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。該厚みが0.1μm未満だと、酸素遮断性能が不十分なことがあり、一方5μmを超えると、現像時または中間層除去時に時間が掛かり過ぎる場合がある。
【0066】
(熱可塑性樹脂層)
上記熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、軟化点が実質的に80℃以下であることが好ましい。軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体の鹸化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物等から少なくとも1つ選ばれるのが好ましい。更に、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会刊行、1968年10月25日)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ水溶液に可溶なものを使用することが出来る。
【0067】
軟化点が80℃以上である有機高分子物質であっても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して、実質的な軟化点を80℃以下に下げたものを使うことも可能である。また、これらの有機高分子物質中に仮支持体との接着力を調節するために、実質的な軟化点が80℃を超えない範囲で、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤或いは界面活性剤や離型剤等を加えることが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等を挙げることができる。
【0068】
上記熱可塑性樹脂層の厚みは、クッション層として機能するために6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂層の厚みが5μm以下であると、1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが出来ない場合があり、転写時に下地との間に気泡が生じ易くなるためである。また上限については、現像性および製造適性の観点より100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0069】
本発明に用いる感光性転写材料は、仮支持体上に着色された感光性樹脂溶液を塗布し乾燥することによって得られる。更に、必要に応じて熱可塑性樹脂層および中間層を設けることができるが、その場合には、先ず熱可塑性樹脂層溶液を塗布し乾燥することにより、熱可塑性樹脂層を設け、その後該熱可塑性樹脂層の上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布し乾燥して、その後感光性樹脂層を、該中間層を溶解しない溶剤を用いて塗布し乾燥して設ける。
【0070】
(保護層)
また、感光性樹脂層の上には、感光性転写材料を貯蔵する際に感光性樹脂層を汚染や損傷から保護するための保護層を設けることが好ましい。保護層は仮支持体を構成する合成樹脂と同じかまたは類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂層から容易に分離できるものであることが必要である。保護層としては、例えばシリコーン被覆紙、ポリオレフィンまたはポリテトラフルオロエチレンのシートまたはフィルムが適当である。保護層の厚みは約5〜100μmであるのが好ましい。保護層として特に好ましくは、10〜30μm厚のポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムである。本発明における感光性転写材料に於いて、保護層は無くてもよいが、感光性転写材料の取り扱い、輸送、貯蔵の際の安全のために設けることが好ましい。尚、保護層は、感光性転写材料の感光性樹脂層を基板表面に密着させる前に剥離される。
【0071】
《基板》
本発明において、カラーフィルターが形成される基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
【0072】
また、本発明の構成は、特に上記基板が、TFTアレイ基板である場合に好適である。TFTアレイ基板上に上記感光性転写材料を用いてカラーフィルターを形成する場合、画素上、または該画素上にオーバーコート層を設ける場合にはオーバーコート層上に設けられる透明電極と、TFT電極との導通の目的でコンタクトホールが形成されるが、本発明の製造方法によれば、ポスト露光の際にコンタクトホールの壁面の断面形状を適切な傾斜角になるように制御することができるため、コンタクトホールの壁面に十分な膜厚の透明導電層を形成することができ、上記透明電極とTFT電極との導通を十分に確保することができる。
【0073】
本発明に適用されるTFTアレイ基板としては、従来公知のTFTアレイの基板が挙げられるが、なかでも米国特許第5641974号明細書に記載された、HA方式の液晶ディスプレイを実現するため、TFTアレイ基板上にさらに絶縁性の透明樹脂の構造体が形成されたものや、米国特許第5994721号明細書に記載された、高開口率を実現するCOA方式の液晶ディスプレイに用いられるTFTアレイ基板に本発明を適用することが、特に有効である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例においては特に断りのない限り、「部」および「%」は、全て「質量部」および「質量%」を表す。
【0075】
[実施例1]
《感光性転写材料の作製》
(熱可塑性樹脂層の形成)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの仮支持体上に下記処方(A)からなる塗布液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が15μmの熱可塑性樹脂層を設けた。この樹脂層は、複数層の画素等を順次ラミネートにより形成する際に、既形成画素の存在に起因する気泡の混入を防止する役割を果たす。
【0076】
〔処方(A):熱可塑性樹脂層処方〕
・メチルメタクリレート/2─エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリ
レート/メタクリル酸共重合体(共重合モル組成比=55/11.7/4.5
/28.8、重量平均分子量=80000) 4.5部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合質量組成比=70/30、重量平均分
子量=8000) 10.5部
・BPE−500(新中村化学(株)製) 7部
・F177P(大日本インキ(株)製;フッ素系界面活性剤) 0.26部
・メチルエチルケトン 18.6部
・メタノール 30.6部
・1−メトキシ−2−プロパノール 9.3部
【0077】
(中間層の形成)
次に上記熱可塑性樹脂層の上に下記処方(B)からなる塗布液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。この層は、次にこの層上に形成される着色層と先に形成した熱可塑性樹脂層とが混じり合わないようにするためのバリアー層として働くものである。また、酸素遮断膜としての機能もする。
【0078】
〔処方(B):中間層処方〕
・ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA205) 13部
・ポリビニルピロリドン(五協産業(株)製、PVP−K30) 6部
・メタノール 173部
・水 211.4部
【0079】
(感光性樹脂層の形成)
上記熱可塑性樹脂層および中間層が設けられた仮支持体の上に、それぞれ下記表1の処方を有する赤色(R層用)、緑色(G層用)、青色(B層用)の3色の感光性樹脂溶液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が2μmの着色感光性樹脂層を形成した。
【0080】
【表1】
【0081】
同様に、上記熱可塑性樹脂層および中間層が設けられた仮支持体の上に、下記処方(C)からなるスペーサー用感光性樹脂溶液、処方(D)からなる配向制御材用感光性樹脂溶液を塗布し、それぞれ、乾燥膜厚が4.0μmのスペーサー用感光性樹脂層、および、乾燥膜厚が1.0μmの配向制御材用感光性樹脂層を形成した。
【0082】
〔処方(C):スペーサー用感光性樹脂層処方〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 9.7部
(共重合組成比(モル比)=73/27、分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 9.8部
・フェノチアジン 0.005部
・2,4ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボ
ニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.5部
・ソルスパース20000(ゼネカ社製) 0.9部
・ビクトリアピュアブルーBOH 0.1部
・ポリ−(N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレー
ト)−コ−(ポリプロピレングリコールメチルエーテルアクリレート)
(共重合組成比(モル比)=40/60) 0.03部
・メチルエチルケトン 47.6部
・1−メトキシ−2プロピルアセテート 29.4部
・メタノール 1.9部
【0083】
〔処方(D):配向制御材用感光性樹脂層処方〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 6.7部
(共重合組成比(モル比)=73/27、分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.0部
・フェノチアジン 0.005部
・2,4ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボ
ニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.13部
・ビクトリアピュアブルーBOH−M 0.19部
・ポリ−(N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート)−コ−(ポリプロピレングリコールメチルエーテルアクリレート)
(共重合組成比(モル比)=40/60) 0.010部
・メチルエチルケトン 32部
・1−メトキシ−2プロピルアセテート 53部
・メタノール 4部
【0084】
更に、上記着色感光性樹脂層の上に厚さ12μmのポリプロピレン製の被覆フィルムを貼り付けて、赤色、青色、緑色、スペーサー用および配向制御材用の感光性転写材料を作製した。この感光性転写材料を用いて、以下に述べる方法でカラーフィルターを作製した。
【0085】
《カラーフィルターの製造》
先ず、洗浄した厚さ0.7mmで400mm×300mmのアレイ基板(TFT素子が形成された透明ガラス基板で、ほぼ全面がSiNxで覆われ、各画素毎のコンタクトホールとなるべき部位にはAl電極が形成されている。)をシランカップリング剤(信越化学(株)製、KBM−603)の0.3%水溶液中に30秒間浸漬した後、30秒間純水でリンスし、エアーナイフで乾燥した。この作業は、着色感光性樹脂層とアレイ基板との密着性を向上させるためのものである。
【0086】
次に、上記赤色感光性転写材料(転写フィルム)の被覆フィルム(保護層)を剥離しながら、着色感光性樹脂層面を、100℃に加熱したアレイ基板に向けてラミネーター(ソマール(株)製、オートカットラミネーターASL−24)を用いて加熱(130℃)、加圧(2MPa)の条件で貼り合わせた(積層体形成工程)。続いて、アレイ基板が常温になった後、剥離界面とアレイ基板表面をイオナイザーで除電しながら仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した(剥離工程)。
【0087】
次に、所定のフォトマスクを介して、プロキシミティ一括露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)を用いて、パターン露光し、現像して、コンタクトホールを有する赤色画素を形成した。その後下記に示す現像残膜除去液中でアクリル繊維製ロールブラシで形成画像表面をブラッシングすると共に、旭サナック(株)製の超高圧マイクロジェット精密洗浄システム「HPMJAF5400S」を用い、同一の現像残膜除去液を10MPaの圧力で噴射して、水洗・水切りをおこなった(露光現像工程)。
【0088】
〔現像残膜除去溶剤〕
・トリエタノールアミン 1.5g
・パイオニンD−3120P(竹本油脂(株)製) 0.075g
・純水 98.43g
【0089】
次いで、画素用マスクを介し、上記露光現像工程におけるパターン露光で用いた露光機を使用して、赤色画素が設けられた側からポスト露光をおこなった。上記ポスト露光における露光量は、365nmで計測して、200mJ/cm2とした。
なお、上記画素用マスクには、画素のコンタクトホールに対応する領域にCr膜を形成し遮光膜とした。
【0090】
その後、コンタクトホール用マスクを介し、上記露光現像工程におけるパターン露光で用いた露光機を使用して、赤色画素が設けられた側からポスト露光をおこなった。上記ポスト露光における露光量は、365nmで計測して、100mJ/cm2とした。
なお、上記コンタクトホール用マスクには、画素に設けられたコンタクトホールに対応する領域以外にCr膜を形成し遮光膜とした。
【0091】
その後、コンベクションオーブンで赤色画素が設けられた基板に、下記の条件でベーク(加熱)処理を施し、アレイ基板上に赤色画素パターンを形成した(加熱工程)。
【0092】
(カラーフィルターの作製)
上記と同様な工程を緑色、青色、スペーサー用および配向制御材用の感光性転写材料で繰り返し、アレイ基板上にスペーサーおよび配向制御材を有するカラーフィルターを作製した。尚、転写、パターン露光、現像、ポスト露光、およびベーク処理(加熱処理)の条件は下記表2に示すとおりである。
【0093】
【表2】
【0094】
表2の記載事項の補足説明およびその他の条件は次の通りである。
(1)現像1は、熱可塑性樹脂層と中間層とを溶解除去するための現像で、現像液としてトリエタノールアミン1%水溶液を用い、38℃でシャワー現像した。
【0095】
(2)現像2では、着色感光性樹脂層を現像し、現像液として下記処方液を使用して、温度33℃でシャワー現像した。
【0096】
〔現像液処方〕
・モノエタノールアミン 6.11g
・パイオニンD−3120P(竹本油脂(株)製) 6.8g
・WTC−1146(旭電化(株)製) 0.1944g
・酢酸 3.57g
・純水 469.55g
【0097】
(3)ブラッシング処理は、温度33℃で現像残膜除去液をシャワーでかけながら、繊維径50μm、毛足20mmのアクリル製ロールブラシを100rpmで回転させて基板搬送速度2m/分でおこなった。
【0098】
(4)HPMJ(高圧噴射)処理は、温度33℃で現像残膜除去液を基板/ノズル間距離100mm、基板搬送速度2m/分、圧力10MPaでおこなった。
【0099】
(5)表2における加熱処理時間は、コンベクションオーブン中でアレイ基板が設定温度(220℃)に達してからの時間を示す。
【0100】
〈傾斜角の測定〉
次いで画素の断面形状の傾斜角、コンタクトホール壁面、スペーサーおよび配向制御材の断面形状の傾斜角を断面SEMにて観察した。結果を表3に示す。
【0101】
[実施例2]
実施例1におけるポスト露光時において、画素に対する露光量を「200mJ/cm2」から「300mJ/cm2」に、コンタクトホールに対する露光量を「100mJ/cm2」から「150mJ/cm2」に、スペーサーに対する露光量を「0mJ/cm2」から「100mJ/cm2」に、配向制御材に対する露光量を「100mJ/cm2」から「300mJ/cm2」に、変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のカラーフィルターを作製し、各パターンの傾斜角を測定した。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3から、ポスト露光時の露光量によって、画素、コンタクトホール壁面、スペーサーおよび配向制御材の断面形状が適切な傾斜角に制御されていることがわかる。なお、実施例1および2のカラーフィルターは気泡混入およびクラックの発生がなく高品質なものであった。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、各形成パターンの断面傾斜角が適切で、気泡混入やクラックのない高品質なカラーフィルターを容易に製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における感光性転写材料の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明における積層体の構成を示す概略断面図である。
【図3】画素の傾斜角を示す概略断面図である。
【図4】コンタクトホール壁面の傾斜角を示す概略断面図である。
【図5】ポスト露光時における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光性転写材料
2 仮支持体
3 熱可塑性樹脂層
4 中間層
5 感光性樹脂層
6 積層体
7 透明基板
8 画素
9 コンタクトホール
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子やプラズマディスプレイ等に使用するカラーフィルターの製造方法に関し、特に感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示用カラーフィルターは、ガラス等の透明基板上に赤色、緑色、青色のドット状画像をそれぞれマトリックス状に配置し、必要時に応じてその境界をブラックマトリックスで区分した構造を有する。このようなカラーフィルターの製造方法としては、従来、支持体としてガラス等の透明基板を用い、1)染色法、2)印刷法、3)特開昭63─298304号公報、特開昭63─309916号公報或いは特開平1─152449号公報等に記載の着色した感光性樹脂液の塗布と露光および現像の繰り返しによる着色感光性樹脂液法(着色レジスト法)、4)特開昭61─99103号公報、特開昭61─233704号公報或いは特開昭61─279802号公報に記載されているように、仮支持体上に形成した画像を順次、最終または仮の支持体上に転写する方法、5)特開昭61─99102号公報に記載されているように、予め着色した感光性樹脂液を仮支持体上に塗布することにより着色層を形成し、順次直接、透明基板上にこの感光性着色層(感光性樹脂層)を転写し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法等により多色画像を形成する方法(以下、当該方法を「転写方式」という場合がある。)が知られている。その他にも電着法或いは蒸着法等の方法も知られている。
【0003】
カラーフィルターの製造に関する着色画像形成の従来の主な方法において、上記1)染色法ではフォトレジスト塗布や乾燥した透明な膜の部分的染色を繰り返すため、防染層の形成と除去の反復とが必要であり、製造工程が煩雑である。また、上記2)印刷法では、ガラスへの印刷インキの転写性が劣るため、着色パターンの形状欠陥や濃度むらを生じ易く、更に3色或いは4色のパターンの位置合わせの点でも不利であり、この方法によって品質の良いカラーフィルターを作製することは困難である。上記3)の方法では、着色層の濃度は着色層の厚みで決まるため、着色層の濃度を一定にするためには極めて精密な塗布技術を必要とする。更に、第1色目を形成後、第2色目の着色層を塗布すると、第1の着色層に基づく表面の凹凸のため、実際に均一な塗布層を得るのが困難である。更に、上記4)の方法は最終支持体への着色画像の転写時に各色の画像を所望の位置に正しく配置する(以下、「位置合わせ」という場合がある。)ことが困難である。
【0004】
これに対し、上記転写方式(上記5)の方法)は着色画像の形成の工程が簡略化され、露光や現像、濃度管理が容易であり、更に各着色画像の位置合わせに関して転写操作でのズレを生成しないので本質的に優れている。また、予め一定の厚さで均一に塗布された着色感光性樹脂層を転写することから、露光特性および現像特性も安定し、得られる最終着色画像の光学濃度管理も容易である。
【0005】
また、近年、いわゆるCOA(Color Filter on Alley)が盛んになってきている。この場合、画素上の透明電極とTFT電極とを導通させる目的で、画素や保護膜にコンタクトホールが形成される。しかし、コンタクトホール壁の断面形状が逆テーパ状だと、コンタクトホールの壁面に十分な膜厚の透明導電層を形成することができず、導通不良を起こしてしまう。このため、コンタクトホールはその壁面の断面形状がテーパ状(以下、「順テーパ状」という場合がある。)であること、換言すると、コンタクトホールの断面形状がすり鉢状であることが望ましい。
【0006】
また、画素の周縁部が逆テーパ状であると、例えば第2色目をラミネートする際や画素上に保護層を設ける際に該画素周縁部が未充填になり易いという問題がある。さらに、通常のカラーフィルターの場合には共通電極として透明導電膜を形成するが、画素の周縁部が逆テーパ状であると、画素周縁部の透明導電膜の厚みが薄くなり、クラックを生じやすくなる。これらの点から、画素の周縁部の断面形状も順テーパ状であることが望まれる。
さらに、必要に応じて設けられるスペーサーも荷重がかかることからその断面も台形であること、即ち順テーパー状であることが好ましい。同様に画素上に設けられる配向制御材の断面形状も順テーパ状であることが好ましい。
【0007】
しかし、これら画素、コンタクトーホールの壁面、スペーサーおよび配向制御材などの用途はそれぞれ異なるものであるため、その用途に適切な断面形状も異なる。しかも、断面形状が順テーパ状であっても、その傾斜角が大きすぎるとラミネート時に気泡が混入しやすくなり、また、スパッタによってクラックが生じやすくなってしまう。このため、形成パターンの様々な用途に合わせてその断面形状を適切な角度に制御する必要がある。
【0008】
従来においては、感光性材料の材料物性によってベーク(加熱)時の熱流動を利用することで形成パターンを所望の断面形状に制御していた。しかし、感光性材料の種々の性能・物性との関係から、感光性材料の材料物性のみで所望の断面形状に制御することは困難であり、適切な傾斜角を得ることができない場合もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決すべく、各形成パターンの断面傾斜角が適切で、気泡混入やクラックのない高品質なカラーフィルターを容易に製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記の手段により達成された。
<1> 基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
【0011】
上記<1>のカラーフィルターの製造方法によれば、上記ポスト露光工程によって上記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で該パターンを照射するため、ベーク時におけるパターンのエッジ部等が熱によって軟化する熱だれの具合を制御できる。これにより、目的に応じて、上記パターンの断面形状を所望の傾斜角に制御することができる。
【0012】
<2> 前記所望の傾斜角は50〜80°であり、かつ、前記露光量は、500mJ/cm2未満であることを特徴とする上記<1>のカラーフィルターの製造方法である。
【0013】
上記<2>のカラーフィルターの製造方法によれば、露光量を500mJ/cm2未満の範囲内で調整して、パターンの傾斜角を50〜80°の範囲で制御することができる。
【0014】
<3> 前記パターンは、画素、スペーサー、および配向制御材のいずれかであることを特徴とする上記<1>または<2>のカラーフィルターの製造方法である。
【0015】
上記<3>のカラーフィルターの製造方法によれば、画素、スペーサーおよび配向制御材の断面形状を所望の傾斜角に制御することができる。
【0016】
<4> 前記画素は、コンタクトホールを有することを特徴とする上記<3>のカラーフィルターの製造方法である。
【0017】
上記<4>のカラーフィルターの製造方法によれば、コンタクトホール壁面の断面形状をも所望の傾斜角に制御することができる。
【0018】
<5> 前記基板は、TFT用アレイ基板であることを特徴とする<1>〜<4>のカラーフィルターの製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とする。
【0020】
以下、感光性転写材料を用いた方法を例に、カラーフィルターの製造方法、感光性転写材料、基板、等について詳細に説明するが、本発明のカラーフィルターの製造方法はこれに限定されるものではなく、基板上に塗布等の方式で感光性樹脂層を形成するものであってもよい。
【0021】
《カラーフィルター製造方法》
後述する方法で作製した感光性転写材料を用いる場合を例に、本発明のカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0022】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、露光現像工程と、ポスト露光工程と、加熱工程とを少なくとも含み、必要に応じて、積層体形成工程と、剥離工程と等を含む。また、多色のカラーフィルターを製造する場合には、積層体形成工程から露光現像工程を各色毎におこなって各色の画素を形成する。なお、多色のカラーフィルターを製造する場合、加熱工程は各色毎におこなってもよく、また、各画素を全て形成した後におこなってもよく、さらに、形成した画素表面にオーバーコート層を形成する場合には該オーバーコート層形成後におこなってもよい。
【0023】
まず、上記感光性転写材料の構成について図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明における感光性転写材料の構成を示す概略断面図である。また、図2は、本発明における積層体の構成を示す概略断面図である。
【0024】
図1において本発明における感光性転写材料1は、仮支持体2上に、熱可塑性樹脂層3、中間層4および感光性樹脂層5がこの順に積層されてなる構造を有する。また、感光性樹脂層5の上には、保存時に該感光性樹脂層5を保護する目的で、保護層が形成されていてもよい。
【0025】
図2に示す本発明における積層体6は、後述する積層体形成工程で、透明基板7の表面と感光性樹脂層5とが接するように、透明基板7の表面に感光性転写材料1をラミネート等によって密着させることで得られる。
【0026】
上記感光性転写材料は画素のみならず、その構成成分を適宜選定することでスペーサーや配向制御材をも形成することもできる。
【0027】
(積層体形成工程)
積層体形成工程は、感光性転写材料を、上記基板の表面と上記感光性樹脂層とが接するように密着させた積層体を得る工程である。具体的には、先ず、約0.7mm厚のTFT基板(若しくは、金属Crのブラックマトリックス遮光層形成基板)の上に、感光性転写材料の感光性樹脂層を加温加圧下で貼り合わせ積層体を形成する(積層体形成工程)。この場合、感光性樹脂層と透明ガラス基板との密着力を向上させる目的で、予め透明ガラス基板にシランカップリング剤等の下塗を施してもよい。上記積層体形成工程においては、従来公知のラミネーターや真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの使用が望ましい。積層体形成工程における貼り合わせの際の温度は、感光性転写材料側で測定して、50〜180℃、好ましくは100〜160℃である。転写速度は通常0.1m/分〜3m/分程度でおこなう。量産性を考慮すれば、通常、気泡の巻き込みが無い範囲内で最高速度を選択する。この速度は、感光性樹脂層および熱可塑性樹脂層の物性、ラミネート温度、ラミネート圧力等により適切に決定される。 尚、感光性転写材料に保護層が設けられている場合には、該保護層を感光性樹脂層表面から剥離した後、基板に感光性転写材料を貼り合わせる。
【0028】
(剥離工程)
剥離工程は、上記積層体形成工程によって形成された積層体から仮支持体を剥離する工程である。該剥離手段としては、仮支持体の背面を吸盤等で捉えてめくるようにしてもよいし、剥離ロールに巻きつけるようにしてめくってもよい。
【0029】
また、仮支持体を剥がす際熱可塑性樹脂層も一緒に剥がすのが高い解像度を得るためにも、また現像時間を短縮するためにも好ましいが、仮支持体のみが剥離される構成であってもよい。仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、および感光性樹脂層の各層間の密着力バランスを制御することで、この熱可塑性樹脂層の剥がしは可能である。
【0030】
(露光現像工程)
露光現像工程は、仮支持体が剥離された積層体の感光性樹脂層表面をパターン露光し、現像して基板上にパターンを形成する工程である。該パターンはその目的に応じて、画素、スペーサーおよび配向制御材となる。また、当該工程では必要に応じて画素内にコンタクトホールも形成してもよい。
まず、上記剥離工程において仮支持体を剥離した後で所定のフォトマスクを通し、上記感光性樹脂層を露光(パターン露光)し、現像する。
【0031】
−パターン露光−
上記パターン露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度であり、さらに好ましくは15〜80mJ/cm2程度である。
【0032】
−現像−
現像は公知の方法で、溶剤系もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーから現像液を噴射すること、更には超音波を印加しながら現像処理することでおこなわれる。
【0033】
次に、非画像形成部の現像残膜を除去するために、現像残膜除去液中で、パターニングされ現像された感光性樹脂層が設けられた透明ガラス基板表面をブラッシングすると共に、同様の薬液を高圧で噴射等するのが好ましい。上記現像残膜除去液としては、従来公知の洗浄液を広汎に使用できるが、中でも、界面活性剤とアルカリ剤とを、それぞれ少なくとも一種含む水溶液が好ましい。
【0034】
上記ブラッシングに使用されるブラシとしては、特に限定はされないが、ナイロンやアクリル製の繊維ロールブラシ、PVAスポンジ製のディスクブラシ等が適宜利用できる。繊維ロールブラシを使用する際には毛脚が長く(少なくとも10mm以上)繊維径が細い(100μm以下)物が好ましい。毛脚が短く、繊維径の太いブラシを用いると、形成パターンに傷が付いたり画素が剥がれたりするため好ましくない。ブラシ擦りする時間は現像装置や使用するブラシによって異なるが、例えば、繊維径50μm、毛脚25mmのロールブラシを用い、ブラシの回転数100rpmで、1秒〜20秒程度である。これはブラシの回転下、基板表面がブラシの毛先に軽く触れる状態で基板を水平に搬送した時の各部接触時間である。接触時間が短すぎると、残膜が十分に除去できず、逆に長すぎると画素等のパターンに傷が付いたり、剥がれたりするので好ましくない。
【0035】
ブラッシング処理と高圧噴射処理とは、現像後直ちに出来るようにインライン化することが好ましい。現像とブラッシングおよび高圧噴射を別々の装置でおこなう際には、現像後に一旦、感光性樹脂層を水洗して現像を停止する必要がある。
【0036】
〈パターン〉
露光現像工程において形成されるパターンはその目的に応じて、画素、スペーサー、配向制御材等になる。
−画素−
当該工程において基板上に形成される画素のサイズは作製するカラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅50〜100μm、長さ100〜300μm程度であり、画素の厚さは通常0.5〜3.0μm程度である。また、画素にコンタクトホールを形成する場合、該コンタクトホールの穴径は通常10〜20μm程度である。
【0037】
−スペーサー−
当該工程において基板上に形成されるスペーサーは、液晶空間の確保等の目的で形成され、既に形成された画素上に形成してもよいし、画素と画素との間に形成してもよい。スペーサーのサイズは、カラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅5〜40μm、長さ5〜40μm程度であり、厚みは2.0〜6.0μm程度である。スペーサーは無色透明であってもよいし、画素の上に形成する場合には、該画素と同色としてもよい。
【0038】
−配向制御材−
当該工程において基板上に形成される配向制御材は、液晶材料の配向を特定の方向へ制御する目的で形成され、主として、既に基板上に形成された画素上に形成される。配向制御材のサイズは、カラーフィルターの目的に応じて適宜選定することができるが、通常、幅5〜40μm、長さ30〜500μm程度であり、厚みは0.5〜2.0μm程度である。配向制御材は無色透明であってもよいし、有色であってもよい。
【0039】
−オーバーコート層−
画素等のパターン形成後、更に、必要に応じて、カラーフィルター表面の物理的および化学的保護と平坦化とを目的とするオーバーコート層をカラーフィルターに積層して設けてもよい。オーバーコート層としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の樹脂皮膜や、酸化珪素等の金属酸化物のような透明性の高い皮膜が用いられる。これら皮膜の形成方法としては樹脂皮膜は、スピンコート、ロールコート、印刷法等のほか、上述した感光性転写材料のように転写により形成することもできる。また、金属酸化物等の無機皮膜については、スパッタリング法、真空蒸着法等によって設けることが出来る。
【0040】
オーバーコート層の膜厚は、通常1〜5μm程度である。また、オーバーコート層を設ける場合には、その厚みを考慮して画素に設けるコンタクトホールの穴径を5〜10μm程度大きめに設定するのが好ましい。
【0041】
(ポスト露光工程)
ポスト露光工程は、上記露光現像工程によって形成されたパターンを、画素の色毎の不均一な膜減り防止や、感光性樹脂層に含まれるUV吸収剤等の成分の析出防止のために露光してパターンを硬化する工程である。また、ベーク(加熱)処理を施す前にポスト露光をおこなうと、ラミネート時にかみこんだ微小な異物が膨れてLCDに組み立てたときに対向基板とのショートの原因となる突起状の異物となるのを防止することができる。
【0042】
本発明は、当該ポスト露光工程において画素等のパターンに照射する露光量を調整して上記パターンの断面形状の傾斜角を制御することが重要である。ここで、「パターンの断面形状の傾斜角」について図3および図4を用いて基板上に画素を形成した場合を例に説明する。図3は、画素の傾斜角を示す概略断面図である。図3において、基板7上に形成されたパターン(画素8)の断面形状の傾斜角はxで示される。すなわち、傾斜角xとは、画素8の端面と基板7の表面とからなる傾斜角をいう。なお、画素の端面とは各画素を形成するための層を現像・パターン化した際のカラーフィルターの厚み方向に傾斜する側面を意味する。
図4は、コンタクトホール壁面の傾斜角を示す概略断面図である。図4において、基板7上に形成された画素8にはコンタクトホール9が設けられている。この場合、コンタクトホール9の壁面の傾斜角はx’で示される。
【0043】
本発明において上記パターンの断面形状の傾斜角を制御するためには、ポスト露光時における露光量を上記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量に調節しておこなう。
上記「パターンの所望の傾斜角」とは、各パターンの断面形状の適切な傾斜角を意味し、画素、スペーサー、配向制御材、コンタクトホールの壁面など各パターンの目的に応じて決定される。
画素の断面形状の傾斜角は、60〜80°が好ましく、さらに70〜80°が好ましい。画素の断面形状の傾斜角が80°を越えると上層膜にステップカバレッジが発生する場合があり、60°未満であるとコントラスト低下の原因となる場合がある。
【0044】
スペーサーの断面形状の傾斜角は60〜80°が好ましく、70〜80°がさらに好ましい。スペーサーの断面形状の断面形状の傾斜角が80°を越えるとスペーサーの脱落、損傷が生ずる場合があり、60°未満であると配向不良領域が拡大する場合がある。
配向制御材の断面形状の傾斜角は50〜70°が好ましく、50〜60°がさらに好ましい。配向制御材の断面形状の断面形状の傾斜角が70°を越えると配向不良になる場合があり、50°未満であると配向規制の角度が不足する場合がある。
コンタクトホール壁面の断面形状の傾斜角は50〜70°が好ましく、50〜60°がさらに好ましい。配向制御材の断面形状の断面形状の傾斜角が70°を越えると上層膜にステップカバレッジを生じる場合があり、50°未満であるとホール径を大きく設計する必要が生じる場合がある。
【0045】
また、「パターンの所望の傾斜角に対応する露光量」とは、各パターンの用途に応じた傾斜角になるようにパターンの断面形状を制御するための露光量を意味する。上記露光量は感光性樹脂層の成分、光重合開始剤、光重合性モノマー、バインダー等によって適宜決定されるが、50〜400mJ/cm2、好ましくは100〜300mJ/cm2の範囲内で調整するのが好ましい。特に、本発明においては、露光量を500mJ/cm2未満の範囲内で、パターンの断面形状の傾斜角を50〜80°の範囲内で制御する態様が好ましい。
【0046】
ポスト露光工程における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係について図5を用いて説明する。但し、本発明は以下の例に限定されるものではない。図5は、ポスト露光時における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係の一例を示すグラフである。図5において露光量(x)とパターンの断面形状の傾斜角(y)とは、線Zの関係にある。すなわち、基板上に画素を形成し、その断面形状の傾斜角を70°に制御するための露光量は、図5から200mJ/cm2であると読みとることができる(点A)。同様に、パターンの断面形状の傾斜角を60°に制御したい場合には、ポスト露光の露光量を100mJ/cm2に調節すればよい(点B)。尚、図5における露光量は365nmにおいて計測した露光量を意味する。
【0047】
上記ポスト露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0048】
(加熱工程)
加熱工程は、前記露光現像工程によって形成された前記画素を加熱(ベーク処理)して硬化させる工程である。
【0049】
画素を形成する場合、ベーク処理は、画素を1色形成するごとに実施する中間ベーク処理と、各色を形成した後、最終的に実施する最終ベーク処理とに大別できる。
ベーク処理(ポストベーク)の方法としては、従来公知の種々の方法を使うことが出来る。即ち、複数枚の基板をカセットに収納してコンベクションオーブンで処理する方法、ホットプレートで1枚ずつ処理する方法、赤外線ヒーターで処理する方法等である。 また、ベーク温度(加熱温度)としては、通常150〜280℃程度であり、好ましくは180〜250℃程度である。加熱時間は、上記ベーク温度によって変動するが、ベーク温度を約220℃とした場合には、中間ベーク処理では5〜30分、最終ベーク処理では60〜200分が好ましい。尚、スペーサーおよび配向制御材を形成する場合は上記最終ベーク処理と同様の条件が好ましい。
【0050】
本発明のカラーフィルターの製造方法において、画素を形成する場合には、加熱工程は少なくとも1色の画素を形成する際(オーバーコート層を設ける場合にはその際)におこなえばよい。しかし、多色のカラーフィルターを作製するには、通常、赤色、緑色、青色、黒色(遮光層を金属膜で形成する場合は黒色は不要)と4回の処理プロセスが必要になるため、第1番目に形成した着色画像では4回、2番目に形成した着色画像では3回、3番目に形成した着色画像では2回と、複数回現像処理されることになる。このことは過現像による画素形状の崩れを惹起する結果となる。現像後にブラッシングや高圧噴射をおこなうと、更にこの傾向が強くなる。そのため、上記加熱工程は、各色の画素を形成する毎におこなうのが好ましい。
【0051】
感光性転写材料の貼り合わせる積層体形成工程、から、加熱工程を赤色、緑色、青色、黒色、必要に応じてスペーサーや配向制御材について繰り返せば、カラーフィルターを形成することが出来る。ここで、金属薄膜により予め遮光層を形成したガラス基板を用いた場合には、黒色画像形成工程を省くことが出来る。
【0052】
感光性転写材料を用いてカラーフィルターを製造する場合、ブラックマトリックス遮光層の形成方法により少なくとも2通りの工程を選択することが出来る。その1つはブラックマトリックス遮光層を金属薄膜で形成する方法で、もう1つは赤色、緑色、青色の各画素と同様に感光性転写材料の転写により設ける方法である。金属薄膜を用いる場合は赤色、緑色、青色の各画素形成に先立って、金属薄膜によるブラックマトリックス遮光層を形成するのが好ましく、一方感光性転写材料の転写によりブラックマトリックス遮光層を形成する場合には、赤色、緑色、青色の各画素形成後に設けるのが好ましい。
【0053】
金属薄膜によるブラックマトリックス遮光層は、約1mm厚のガラス基板にスパッタリング或いは真空蒸着等の方法により、厚さ100〜300nmの金属Cr膜を形成し、フォトリソグラフィーによりマトリックス状にパターニングすることにより得られる。金属薄膜としては金属Cr以外にも種々の材料を用いることが可能であるが、膜が黒色であること、更にガラス基板との密着性、膜の緻密性、光遮断性能の点からは金属Crが好ましい。
【0054】
《感光性転写材料》
感光性樹脂層を仮支持体上に設けた感光性転写材料について説明する。本発明で用いる感光性転写材料は、少なくとも仮支持体上に、感光性樹脂層(着色感光性樹脂層)が設けられており、必要に応じて、仮支持体と感光性樹脂層との間に、熱可塑性樹脂層と、中間層とがこの順に積層されてなる構造を有する。
【0055】
(仮支持体)
上記仮支持体としては、可撓性を有し加圧、或いは加圧および加熱下においても著しい変形、収縮もしくは伸びを生じないことが必要である。そのような仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルローズフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができる。特に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的および熱的特性に優れているので好ましい。
【0056】
仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。仮支持体の厚みが上記範囲よりも小さいと、感光性転写材料を転写すべき基板と貼り合わせる際にシワが発生しやすく、また、厚みが上記範囲よりも大きいと感光性転写材料のシートカッティング時にゴミを発生しやすい。また、上記仮支持体には帯電防止剤を含有させてもよいし、表面に導電層を設けてもよい。
【0057】
(感光性樹脂層)
本発明における感光性樹脂層は、形成するパターンの目的に応じて膜厚や構成成分を適宜選定して形成される。
感光性樹脂層は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性を帯びることが好ましく、そのため熱可塑性であることが好ましい。公知の光重合性組成物を用いた層の大部分は上記性質を有するが、公知層の一部は、熱可塑性バインダーの添加あるいは相溶性可塑剤の添加によって更に改質することが出来る。
【0058】
本発明の感光性樹脂層の主剤としては公知の感光性樹脂を使用することができる。具体的には、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂、光重合性組成物、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物、光重合性樹脂等があげられる(以下これらを総称して「感光性樹脂組成物」という場合がある。)。その中でも、特に好ましいのは光重合性樹脂である。該光重合性樹脂は光重合開始剤、光重合性モノマーおよびバインダーを基本構成要素として含む。該感光性樹脂としては、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものが知られているが、公害防止および労働安全の確保の観点から、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましい。
【0059】
画素を形成する場合、感光性樹脂層には更にカラーフィルターの構成色である赤色、緑色、青色、黒色の顔料を添加するが、これら顔料の好ましい具体例としては、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、カーボンブラック等を挙げることができる。着色された感光性樹脂中の顔料の含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
また、無色透明のスペーサーや配向制御材を形成する場合は顔料を用いなくてもよい。
【0060】
上記感光性樹脂層は、仮支持体上に、上記感光性樹脂組成物と顔料とを溶剤に溶解若しくは分散し調製された溶液若しくは分散液(感光性樹脂層用塗布液)を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。上記感光性樹脂層の膜厚としては、画素を形成する場合には0.5〜3μmが好ましく、約0.8〜2.0μmがさらに好ましい。上記感光性樹脂層の膜厚が0.5μm未満であると目的の色度を得ることが困難となり、膜厚が3μmを超えると2色目以降の転写時に気泡が入り易かったり、LCDに組み上げたときに脱ガスが多く、液晶中に気泡が残ることがあり好ましくない。
また、スペーサーを形成する場合の膜厚としては2.0〜6.0μmが好ましく、3.0〜5.0μmがさらに好ましい。さらに、配向制御材を形成する場合の膜厚としては、0.5〜2.0μmが好ましく、0.8〜1.5μmがさらに好ましい。
【0061】
上記仮支持体の上には、着色した感光性樹脂層を直接設けてもよいが、紫外線透過性を有し酸素透過率が低い中間層を介して設けるのが好ましく、転写時の気泡混入を避ける目的で、熱可塑性樹脂層(クッション層)を設けるのがさらに好ましい。この場合は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層、中間層、感光性樹脂層の順に積層するのが好ましい。
【0062】
(中間層)
上記中間層は、着色した感光性樹脂層を透明基板に密着した後で、仮支持体を剥離し、パターン露光するに際し、着色した感光性樹脂層中での光硬化反応を阻害する空気中からの酸素の浸透を防止する為と、3つの層を積層する場合に熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とが混じり合わないようにするためのバリアー層として設けられる。そのため、着色した感光性樹脂層からは機械的に剥離できないようにし、且つ酸素の遮断性能が高いことが好ましい。
【0063】
上記中間層は、ポリマー溶液を仮支持体上に直接または熱可塑性樹脂層を介して塗布することにより形成される。適当なポリマーとしては、特公昭46−32714号および特公昭56−40824号の各公報に記載されているポリビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、およびマレイネート樹脂、およびこれらの2種以上の組合せが挙げられる。
【0064】
特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピリドンとの組合せである。ポリビニルアルコールは鹸化率が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有量は中間層固形分の1質量%〜75質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜60質量%、更に好ましくは10質量%〜50質量%である。該含有量が1質量%未満では、感光性樹脂層との十分な密着が得られないことがあり、75質量%を超えると、酸素遮断能が低下することがある。
【0065】
中間層の厚みは非常に薄くてよく、約0.1〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。該厚みが0.1μm未満だと、酸素遮断性能が不十分なことがあり、一方5μmを超えると、現像時または中間層除去時に時間が掛かり過ぎる場合がある。
【0066】
(熱可塑性樹脂層)
上記熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、軟化点が実質的に80℃以下であることが好ましい。軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体の鹸化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体の鹸化物等から少なくとも1つ選ばれるのが好ましい。更に、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会刊行、1968年10月25日)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ水溶液に可溶なものを使用することが出来る。
【0067】
軟化点が80℃以上である有機高分子物質であっても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して、実質的な軟化点を80℃以下に下げたものを使うことも可能である。また、これらの有機高分子物質中に仮支持体との接着力を調節するために、実質的な軟化点が80℃を超えない範囲で、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤或いは界面活性剤や離型剤等を加えることが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等を挙げることができる。
【0068】
上記熱可塑性樹脂層の厚みは、クッション層として機能するために6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂層の厚みが5μm以下であると、1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが出来ない場合があり、転写時に下地との間に気泡が生じ易くなるためである。また上限については、現像性および製造適性の観点より100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0069】
本発明に用いる感光性転写材料は、仮支持体上に着色された感光性樹脂溶液を塗布し乾燥することによって得られる。更に、必要に応じて熱可塑性樹脂層および中間層を設けることができるが、その場合には、先ず熱可塑性樹脂層溶液を塗布し乾燥することにより、熱可塑性樹脂層を設け、その後該熱可塑性樹脂層の上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布し乾燥して、その後感光性樹脂層を、該中間層を溶解しない溶剤を用いて塗布し乾燥して設ける。
【0070】
(保護層)
また、感光性樹脂層の上には、感光性転写材料を貯蔵する際に感光性樹脂層を汚染や損傷から保護するための保護層を設けることが好ましい。保護層は仮支持体を構成する合成樹脂と同じかまたは類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂層から容易に分離できるものであることが必要である。保護層としては、例えばシリコーン被覆紙、ポリオレフィンまたはポリテトラフルオロエチレンのシートまたはフィルムが適当である。保護層の厚みは約5〜100μmであるのが好ましい。保護層として特に好ましくは、10〜30μm厚のポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムである。本発明における感光性転写材料に於いて、保護層は無くてもよいが、感光性転写材料の取り扱い、輸送、貯蔵の際の安全のために設けることが好ましい。尚、保護層は、感光性転写材料の感光性樹脂層を基板表面に密着させる前に剥離される。
【0071】
《基板》
本発明において、カラーフィルターが形成される基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
【0072】
また、本発明の構成は、特に上記基板が、TFTアレイ基板である場合に好適である。TFTアレイ基板上に上記感光性転写材料を用いてカラーフィルターを形成する場合、画素上、または該画素上にオーバーコート層を設ける場合にはオーバーコート層上に設けられる透明電極と、TFT電極との導通の目的でコンタクトホールが形成されるが、本発明の製造方法によれば、ポスト露光の際にコンタクトホールの壁面の断面形状を適切な傾斜角になるように制御することができるため、コンタクトホールの壁面に十分な膜厚の透明導電層を形成することができ、上記透明電極とTFT電極との導通を十分に確保することができる。
【0073】
本発明に適用されるTFTアレイ基板としては、従来公知のTFTアレイの基板が挙げられるが、なかでも米国特許第5641974号明細書に記載された、HA方式の液晶ディスプレイを実現するため、TFTアレイ基板上にさらに絶縁性の透明樹脂の構造体が形成されたものや、米国特許第5994721号明細書に記載された、高開口率を実現するCOA方式の液晶ディスプレイに用いられるTFTアレイ基板に本発明を適用することが、特に有効である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例においては特に断りのない限り、「部」および「%」は、全て「質量部」および「質量%」を表す。
【0075】
[実施例1]
《感光性転写材料の作製》
(熱可塑性樹脂層の形成)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの仮支持体上に下記処方(A)からなる塗布液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が15μmの熱可塑性樹脂層を設けた。この樹脂層は、複数層の画素等を順次ラミネートにより形成する際に、既形成画素の存在に起因する気泡の混入を防止する役割を果たす。
【0076】
〔処方(A):熱可塑性樹脂層処方〕
・メチルメタクリレート/2─エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリ
レート/メタクリル酸共重合体(共重合モル組成比=55/11.7/4.5
/28.8、重量平均分子量=80000) 4.5部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合質量組成比=70/30、重量平均分
子量=8000) 10.5部
・BPE−500(新中村化学(株)製) 7部
・F177P(大日本インキ(株)製;フッ素系界面活性剤) 0.26部
・メチルエチルケトン 18.6部
・メタノール 30.6部
・1−メトキシ−2−プロパノール 9.3部
【0077】
(中間層の形成)
次に上記熱可塑性樹脂層の上に下記処方(B)からなる塗布液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。この層は、次にこの層上に形成される着色層と先に形成した熱可塑性樹脂層とが混じり合わないようにするためのバリアー層として働くものである。また、酸素遮断膜としての機能もする。
【0078】
〔処方(B):中間層処方〕
・ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA205) 13部
・ポリビニルピロリドン(五協産業(株)製、PVP−K30) 6部
・メタノール 173部
・水 211.4部
【0079】
(感光性樹脂層の形成)
上記熱可塑性樹脂層および中間層が設けられた仮支持体の上に、それぞれ下記表1の処方を有する赤色(R層用)、緑色(G層用)、青色(B層用)の3色の感光性樹脂溶液を塗布し乾燥させ、乾燥膜厚が2μmの着色感光性樹脂層を形成した。
【0080】
【表1】
【0081】
同様に、上記熱可塑性樹脂層および中間層が設けられた仮支持体の上に、下記処方(C)からなるスペーサー用感光性樹脂溶液、処方(D)からなる配向制御材用感光性樹脂溶液を塗布し、それぞれ、乾燥膜厚が4.0μmのスペーサー用感光性樹脂層、および、乾燥膜厚が1.0μmの配向制御材用感光性樹脂層を形成した。
【0082】
〔処方(C):スペーサー用感光性樹脂層処方〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 9.7部
(共重合組成比(モル比)=73/27、分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 9.8部
・フェノチアジン 0.005部
・2,4ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボ
ニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.5部
・ソルスパース20000(ゼネカ社製) 0.9部
・ビクトリアピュアブルーBOH 0.1部
・ポリ−(N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレー
ト)−コ−(ポリプロピレングリコールメチルエーテルアクリレート)
(共重合組成比(モル比)=40/60) 0.03部
・メチルエチルケトン 47.6部
・1−メトキシ−2プロピルアセテート 29.4部
・メタノール 1.9部
【0083】
〔処方(D):配向制御材用感光性樹脂層処方〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 6.7部
(共重合組成比(モル比)=73/27、分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.0部
・フェノチアジン 0.005部
・2,4ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボ
ニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン0.13部
・ビクトリアピュアブルーBOH−M 0.19部
・ポリ−(N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート)−コ−(ポリプロピレングリコールメチルエーテルアクリレート)
(共重合組成比(モル比)=40/60) 0.010部
・メチルエチルケトン 32部
・1−メトキシ−2プロピルアセテート 53部
・メタノール 4部
【0084】
更に、上記着色感光性樹脂層の上に厚さ12μmのポリプロピレン製の被覆フィルムを貼り付けて、赤色、青色、緑色、スペーサー用および配向制御材用の感光性転写材料を作製した。この感光性転写材料を用いて、以下に述べる方法でカラーフィルターを作製した。
【0085】
《カラーフィルターの製造》
先ず、洗浄した厚さ0.7mmで400mm×300mmのアレイ基板(TFT素子が形成された透明ガラス基板で、ほぼ全面がSiNxで覆われ、各画素毎のコンタクトホールとなるべき部位にはAl電極が形成されている。)をシランカップリング剤(信越化学(株)製、KBM−603)の0.3%水溶液中に30秒間浸漬した後、30秒間純水でリンスし、エアーナイフで乾燥した。この作業は、着色感光性樹脂層とアレイ基板との密着性を向上させるためのものである。
【0086】
次に、上記赤色感光性転写材料(転写フィルム)の被覆フィルム(保護層)を剥離しながら、着色感光性樹脂層面を、100℃に加熱したアレイ基板に向けてラミネーター(ソマール(株)製、オートカットラミネーターASL−24)を用いて加熱(130℃)、加圧(2MPa)の条件で貼り合わせた(積層体形成工程)。続いて、アレイ基板が常温になった後、剥離界面とアレイ基板表面をイオナイザーで除電しながら仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した(剥離工程)。
【0087】
次に、所定のフォトマスクを介して、プロキシミティ一括露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)を用いて、パターン露光し、現像して、コンタクトホールを有する赤色画素を形成した。その後下記に示す現像残膜除去液中でアクリル繊維製ロールブラシで形成画像表面をブラッシングすると共に、旭サナック(株)製の超高圧マイクロジェット精密洗浄システム「HPMJAF5400S」を用い、同一の現像残膜除去液を10MPaの圧力で噴射して、水洗・水切りをおこなった(露光現像工程)。
【0088】
〔現像残膜除去溶剤〕
・トリエタノールアミン 1.5g
・パイオニンD−3120P(竹本油脂(株)製) 0.075g
・純水 98.43g
【0089】
次いで、画素用マスクを介し、上記露光現像工程におけるパターン露光で用いた露光機を使用して、赤色画素が設けられた側からポスト露光をおこなった。上記ポスト露光における露光量は、365nmで計測して、200mJ/cm2とした。
なお、上記画素用マスクには、画素のコンタクトホールに対応する領域にCr膜を形成し遮光膜とした。
【0090】
その後、コンタクトホール用マスクを介し、上記露光現像工程におけるパターン露光で用いた露光機を使用して、赤色画素が設けられた側からポスト露光をおこなった。上記ポスト露光における露光量は、365nmで計測して、100mJ/cm2とした。
なお、上記コンタクトホール用マスクには、画素に設けられたコンタクトホールに対応する領域以外にCr膜を形成し遮光膜とした。
【0091】
その後、コンベクションオーブンで赤色画素が設けられた基板に、下記の条件でベーク(加熱)処理を施し、アレイ基板上に赤色画素パターンを形成した(加熱工程)。
【0092】
(カラーフィルターの作製)
上記と同様な工程を緑色、青色、スペーサー用および配向制御材用の感光性転写材料で繰り返し、アレイ基板上にスペーサーおよび配向制御材を有するカラーフィルターを作製した。尚、転写、パターン露光、現像、ポスト露光、およびベーク処理(加熱処理)の条件は下記表2に示すとおりである。
【0093】
【表2】
【0094】
表2の記載事項の補足説明およびその他の条件は次の通りである。
(1)現像1は、熱可塑性樹脂層と中間層とを溶解除去するための現像で、現像液としてトリエタノールアミン1%水溶液を用い、38℃でシャワー現像した。
【0095】
(2)現像2では、着色感光性樹脂層を現像し、現像液として下記処方液を使用して、温度33℃でシャワー現像した。
【0096】
〔現像液処方〕
・モノエタノールアミン 6.11g
・パイオニンD−3120P(竹本油脂(株)製) 6.8g
・WTC−1146(旭電化(株)製) 0.1944g
・酢酸 3.57g
・純水 469.55g
【0097】
(3)ブラッシング処理は、温度33℃で現像残膜除去液をシャワーでかけながら、繊維径50μm、毛足20mmのアクリル製ロールブラシを100rpmで回転させて基板搬送速度2m/分でおこなった。
【0098】
(4)HPMJ(高圧噴射)処理は、温度33℃で現像残膜除去液を基板/ノズル間距離100mm、基板搬送速度2m/分、圧力10MPaでおこなった。
【0099】
(5)表2における加熱処理時間は、コンベクションオーブン中でアレイ基板が設定温度(220℃)に達してからの時間を示す。
【0100】
〈傾斜角の測定〉
次いで画素の断面形状の傾斜角、コンタクトホール壁面、スペーサーおよび配向制御材の断面形状の傾斜角を断面SEMにて観察した。結果を表3に示す。
【0101】
[実施例2]
実施例1におけるポスト露光時において、画素に対する露光量を「200mJ/cm2」から「300mJ/cm2」に、コンタクトホールに対する露光量を「100mJ/cm2」から「150mJ/cm2」に、スペーサーに対する露光量を「0mJ/cm2」から「100mJ/cm2」に、配向制御材に対する露光量を「100mJ/cm2」から「300mJ/cm2」に、変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のカラーフィルターを作製し、各パターンの傾斜角を測定した。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3から、ポスト露光時の露光量によって、画素、コンタクトホール壁面、スペーサーおよび配向制御材の断面形状が適切な傾斜角に制御されていることがわかる。なお、実施例1および2のカラーフィルターは気泡混入およびクラックの発生がなく高品質なものであった。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、各形成パターンの断面傾斜角が適切で、気泡混入やクラックのない高品質なカラーフィルターを容易に製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における感光性転写材料の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明における積層体の構成を示す概略断面図である。
【図3】画素の傾斜角を示す概略断面図である。
【図4】コンタクトホール壁面の傾斜角を示す概略断面図である。
【図5】ポスト露光時における露光量とパターンの断面形状の傾斜角との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光性転写材料
2 仮支持体
3 熱可塑性樹脂層
4 中間層
5 感光性樹脂層
6 積層体
7 透明基板
8 画素
9 コンタクトホール
Claims (5)
- 基板上の感光性樹脂層を露光、現像することによって、基板の表面にパターンを形成する露光現像工程と、前記露光現像工程によって形成された前記パターンを露光するポスト露光工程と、前記ポスト露光工程によって露光された前記パターンを加熱して硬化させる加熱工程と、を含むカラーフィルターの製造方法であって、
前記ポスト露光工程は、前記パターンの所望の傾斜角に対応する露光量で前記パターンを照射することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。 - 前記露光量は、500mJ/cm2未満であり、かつ、前記所望の傾斜角は、50〜80°であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記パターンは、画素、スペーサー、および配向制御材のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記画素は、コンタクトホールを有することを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記基板は、TFT用アレイ基板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
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-
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