JP2004020522A - 周波数特性の測定方法及びその測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数が減少でき、集積回路などの周波数特性の測定などに汎用的に使用可能な周波数特性測定装置の提供。
【解決手段】周波数特性測定装置21は、DC測定モジュール22と、ゼロクロス検出回路23と、時間間隔測定回路24と、周波数特性算出回路25とからなる。DC測定モジュール22は、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルを測定する。ゼロクロス検出回路23は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点を検出する。時間間隔測定回路24は、ゼロクロス検出回路23が検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する。周波数特性算出回路25は、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと時間間隔測定回路24が測定した時間間隔に基づいて、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める。
【選択図】 図1
【解決手段】周波数特性測定装置21は、DC測定モジュール22と、ゼロクロス検出回路23と、時間間隔測定回路24と、周波数特性算出回路25とからなる。DC測定モジュール22は、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルを測定する。ゼロクロス検出回路23は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点を検出する。時間間隔測定回路24は、ゼロクロス検出回路23が検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する。周波数特性算出回路25は、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと時間間隔測定回路24が測定した時間間隔に基づいて、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路など集積回路の周波数特性や、その集積回路の周波数特性の測定に先立って、測定信号発生器からその集積回路までの間の伝送路の周波数特性などを測定できる、周波数特性の測定方法およびその測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDの駆動装置や、DVDの駆動装置に使用される高周波用のプロセッサ用ICなどの半導体集積回路は、高周波を処理するRFブロックを始めとして多数のブロックを含んでいる。
このような半導体集積回路の主な試験項目(テスト項目)は、周波数に対する利得(振幅)の測定である。この測定は、例えば図5に示すようなシステム(装置)により行われる。
【0003】
すなわち、測定信号発生器1で発生させた正弦波からなる測定信号を、入力信号がアナログ信号で出力信号がデジタル信号からなるADコンバータのような集積回路3に入力させ、その集積回路3の出力信号のレベルを出力信号測定装置4で測定している。そして、このような測定を、測定信号発生器1で発生させる測定信号の周波数を変化させながら行う。
【0004】
通常、試験に必要な測定信号発生器やデジタイザなどのテスタモジュールは、被測定対象である半導体集積回路の入力と出力の数に対して十分ではないので、試験は、1組の入出力または複数組の入出力に対して行われる。このため、入力と出力について全ての組み合わせの試験を終了させるには、そのテスタモジュールの個数に反比例した時間を必要とする。
【0005】
従って、近年のように、多数のブロックからなる上に多数の入出力ピンを有する半導体集積回路を試験する場合には、テスタモジュールの個数が少ないと、試験時間が膨大になるという不都合がある。
一方、被測定対象である半導体集積回路に入力される測定信号発生器からの測定信号の周波数が高くなると、その測定信号発生器から半導体集積回路までの信号の伝送路の周波数特性、またはテスタモジュール自身の周波数特性を把握していないと、正確な試験ができない。
【0006】
例えば、MO(光磁気ディスク)の波形再生用に使用する集積回路では、高速の入力波形を集積回路の内部でA/D変換し、デジタル処理をしている。しかし、そのA/D変換動作を試験するために、その集積回路に入力される測定信号のレベルを予め測定しておく必要がある。
次に、上記の伝送路の周波数特性、またはテスタモジュール自身の周波数特性を測定するための従来の方法を、図5を参照して説明する。
【0007】
第1の方法は、図5に示すように、測定信号発生器1と集積回路3との間を伝送路2とし、その伝送路2の出力信号をRMS−DCコンバータ5で直流信号に変換し、その直流信号のレベルをDC測定モジュール6で測定する方法である。ここで、RMS−DCコンバータ5は、比較的大規模な回路からなり、図示しないテストボード上に作成される。
【0008】
これに対して、第2の方法は、RMS−DCコンバータ5およびDC測定モジュール6に代え、図5に破線で示すように、伝送路2の出力信号のレベルを外部の所定の測定器7で測定する方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の第1の方法では、回路規模の大きなRMS−DCコンバータ5がテストボード上に搭載されるので、テストボード上の部品点数が多くなってその構成が複雑になり故障の原因になり易いという不都合がある。一方、従来の第2の方法では、その測定器7の制御のために試験時間が長期化するという不都合がある。
【0010】
ところで、集積回路3が、入出力信号の双方がアナログ信号からなるゲインアンプのようなアナログ回路の場合には、上記のような周波数測定は、例えば図6に示すようなシステムにより行われる。
すなわち、このシステムでは、集積回路3と出力信号測定装置であるデジタイザ30との間に、集積回路3の入力とその出力とを選択的にデジタイザ30に導く切り換えスイッチSW10を配置するようにしている。
【0011】
そして、その切り換えスイッチSW10の切り換えにより、伝送路2のみ周波数特性と、伝送路2を含めた集積回路3の周波数特性とを別々に求め、その両者を引き算して伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3だけの周波数特性を求めるようにしている。
このように、集積回路3がアナログ回路の場合には、図5に示すシステムの場合のように、RMS−DCコンバータ5やDC測定モジュール6がなくても、伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3の周波数特性が測定できる。
【0012】
しかし、このような場合であっても、デジタイザ30に代えて、TMS(時間測定システム)などの既存の時間測定モジュールを有効活用することが望まれる。
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数の減少が図れ、かつ既存のモジュールの有効利用が可能となる上に、集積回路などの周波数特性の測定などに汎用的に使用可能な周波数特性の測定方法およびその測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して本発明の目的を達成するために、請求項1〜請求項9に記載の発明は、以下のように構成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定と、前記被測定対象の出力信号のゼロクロスの検出とをそれぞれ行い、前記測定した直流成分レベルおよび前記検出したゼロクロスに基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定を行い、前記被測定対象の出力信号のゼロクロス点を検出し、この検出したゼロクロス点間の時間間隔の測定を行い、前記測定した直流成分レベルおよび時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、前記伝送路の周波数特性を先に行い、次に前記高周波用の集積回路の周波数特性を行うようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、所定の周波数を持つ測定信号が入力される被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号に含まれる直流成分レベルを測定する直流成分レベル測定手段と、前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、前記検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する時間間隔測定手段と、前記測定した直流成分レベルおよび前記測定した時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求める周波数特性算出手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の周波数特性の測定装置において、前記測定信号を発生する測定信号発生手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の周波数特性の測定装置において、ゼロクロス検出手段は、前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号がマイナスからプラスに、あるいはその逆になった場合に、その変化に応じたパルス状のゼロクロス信号を生成するようになっており、前記時間間隔測定手段は、前記ゼロクロス信号の変化点から次の変化点までの期間を前記ゼロクロスの時間間隔として測定するようになっていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の周波数特性の測定装置において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の周波数特性の測定装置において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、前記伝送路の周波数特性と前記高周波用の集積回路の周波数特性を選択的に行うようになっていることを特徴とするものである。
【0019】
このような構成からなる本発明によれば、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数を減少できる。
すなわち、例えば、高周波用の集積回路の周波数特性の試験の場合には、その試験に先立って、集積回路に入力される測定信号の伝送路の周波数特性を把握する必要があり、本発明はその伝送路の周波数特性の測定装置として利用できる。この場合には、従来のその種の周波数特性測定装置に比べて部品点数を減少できる。
【0020】
また、本発明の装置は、被測定対象として上記の伝送路の周波数特性の測定のみならず、集積回路などの各種の回路の周波数特性の測定に汎用的に使用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図1を参照して説明する。
この周波数特性測定システムは、図1に示すように、測定信号発生器1が発生する測定信号に基づいて本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定する第1の周波数特性測定系11と、この第1の周波数特性測定系11の測定に先立ち、測定信号発生器1から集積回路3までの信号の伝送路(伝送経路)2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定する第2の周波数測定系12とを備えたものである。
【0022】
ここで、集積回路3の周波数特性の他に、伝送路2の周波数特性を求めるのは、測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波の場合には、伝送路2の周波数特性を把握していないと、本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を正確に測定できないからである。
測定信号発生器1は、正弦波、方形波などの各種の波形の測定信号が発生できるとともに、その各波形の測定信号は任意の周波数、任意の出力レベルのものが発生できるようになっている。
【0023】
伝送路2は、周波数信号発生器1の出力端子から集積回路3の入力端子までの信号の伝送路のみならず、周波数信号発生器1の測定信号の発生部分からその出力端子までの信号の伝送路をも、含むものである。
集積回路3は本来の被測定対象であり、入出力信号がいずれもアナログ信号からなるアナログ回路、ADコンバータのような入力信号がアナログ信号で出力信号がデジタル信号からなる回路、またはDAコンバータのような入力信号がデジタル信号で出力信号がアナログ信号からなる回路のいずれでも良く、例えば、CDやDVDの駆動装置などに使用される高周波処理用の半導体集積回路などである。この集積回路3の入力端子と出力端子とは、周波数特性の測定の際に、テストボード(図示せず)上に設けられた測定端子8、9に接続(挿入)されるようになっている。
【0024】
出力信号測定装置4は、例えばデジタイザなどからなり、集積回路3の出力信号をA/D(アナログ/デジタル)変換し、その変換値のレベルを測定するようになっている。この出力信号測定装置4は、集積回路3がADコンバータのように出力がデジタル信号の場合にはデジタルキャプチャで良く、さらに集積回路3の周波数特性ができれば、他の一般的な測定器に置き換えることができる。
【0025】
周波数特性測定装置21は、図1に示すように、DC測定モジュール22と、ゼロクロス検出回路23と、時間間隔測定回路24と、周波数特性算出回路25とを備えている。
DC測定モジュール22は、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルを測定するものであり、その測定レベルが周波数特性算出回路25に供給されるようになっている。
【0026】
ゼロクロス検出回路23は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点を検出する回路である。すなわち、伝送路2の出力信号がマイナスからプラスに、あるいはその逆になった場合に、そのタイミングを検出し、そのタイミングの情報を含むゼロクロス信号を生成する回路である。
このゼロクロス検出回路23は、具体的にはコンパレータ231からなり、コンパレータ231が伝送路2からの出力信号を基準電圧と比較し、その出力信号が基準電圧以上の場合に「H」レベルとなり、基準電圧以下の場合に「L」レベルとなるパスル信号をゼロクロス信号として出力するようになっている。
【0027】
時間間隔測定回路24は、ゼロクロス検出回路23が検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する回路である。この時間間隔測定回路24は、具体的には、コンパレータ231から出力される上記のパルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間を計数し、この計数によりゼロクロス点間の時間間隔を測定するようになっている。
【0028】
周波数特性算出回路25は、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと時間間隔測定回路24が測定した時間間隔に基づいて、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める回路である。
ここで、周波数特性測定装置21の構成要素のうち、ゼロクロス検出回路23がテストボードに搭載され、これはコンパレータ231で構成できて回路規模が小さい。また、DC測定モジュール22は既存のものを使用でき、時間間隔測定回路23は、TMS(Time Measurement System)のような既存の時間測定モジュールを使用できる。
【0029】
次に、このような構成からなる第1実施形態を適用した周波数特性測定システムにより、集積回路3の周波数特性を測定する場合に測定例を説明する。
まず、第1の周波数特性測定系11による集積回路3の周波数測定の測定に先立ち、第2の周波数測定系12により、伝送路2の周波数特性の測定を以下のように行う。
【0030】
すなわち、測定信号発生器1により、所定の周波数と出力レベルからなるアナログ信号(正弦波からなる高周波信号)を測定信号として発生させる。発生する測定信号は、シングルトーンでもマルチトーンでも良い。この測定信号は、伝送路2に入力されると変形され、伝送路2の終端から出力される。
その伝送路2の出力信号は、DC測定モジュール22とゼロクロス検出回路23にそれぞれ供給される。DC測定モジュール22では、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルが測定され、その測定レベルが周波数特性算出回路25に供給される。
【0031】
ゼロクロス検出回路23では、その出力信号のゼロクロス点が検出される。そのゼロクロス点の検出は、具体的には、コンパレータ231が伝送路2からの出力信号を基準電圧と比較し、その出力信号が基準値以上の場合に「H」レベルとなり、基準値以下の場合に「L」レベルとなるパスル信号をゼロクロス信号として出力することにより行う。
【0032】
上記のように、ゼロクロス検出回路23で検出されたゼロクロス点に基づき、時間間隔測定回路24は、そのゼロクロス点間の時間間隔を測定する。このゼロクロス点間の時間間隔の測定は、具体的には、コンパレータ231から出力される上記のパルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間を計数することにより行う。
【0033】
次に、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと、時間間隔測定回路24が測定した時間間隔とに基づき、周波数特性算出回路25は、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める。
なお、このように、直流成分レベルとゼロクロス点間の時間間隔とに基づき、周波数特性算出回路25が、伝送路2の周波数特性に係る振幅値および位相値を測定できる原理については後述する。
【0034】
以上の測定が終わると、測定信号発生器1が発生する測定信号が、シングルトーンの場合は、周波数を少なくとも2回以上変え、その周波数を変えるたびに、上記のようにしてその各周波数に対応する伝送路2の振幅値と位相値とをそれぞれ求める。この結果、伝送路2の振幅と位相についての周波数特性を測定できる。
【0035】
このようにして、第2の周波数測定系12による伝送路2の周波数特性の測定が終了すると、次に、第1の周波数測定系11による集積回路3の周波数特性の測定を、以下のように行う。
まず、測定信号発生器1により、所定の周波数と出力レベルからなる高周波のアナログ信号を測定信号として発生させる。この測定信号は、信号路2を経て集積回路3に入力される。集積回路3の出力信号は、出力信号測定装置4でA/D変換され、例えば、その変換値のレベルが測定される。
【0036】
この測定が終わると、測定信号発生器1が発生する測定信号が、シングルトーンの場合は、周波数を少なくとも2回以上変え、その周波数を変えるたびに、上記のようにしてその各周波数に対応する集積回路3の振幅値を求める。この結果、集積回路3の振幅についての周波数特性を得ることができる。
なお、出力信号測定装置4で集積回路3の周波数特性を測定する際には、上記で求めた伝送路2の周波数特性に係るデータが活用され、集積回路3の周波数特性の測定を正確に行う。
【0037】
以上説明したように、この第1実施形態における周波数特性測定装置21は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点間の時間間隔と、その出力信号に含まれる直流成分のレベルに基づき、伝送路2の入力周波数に対するその振幅応答と位相応答を求めるようにしたものである。そこで、その測定原理について、以下に数式を用いて説明する。
【0038】
なお、以下では、伝送路2をフィルタとみなして説明するものとする。
いま、フィルタに入力される入力信号として、帯域制限されたM個の既知の周期信号ui (t) について考え、これを複素形のフーリエ級数で表すと、次に示す(1)式のようになる。
【0039】
【数1】
【0040】
この周期信号ui (t) が、周波数特性がHn からなるフィルタを通過すると、フィルタの出力信号はyi となり、この出力信号yi はゼロクロスを計算できて、以下の(2)式になるとする。
【0041】
【数2】
【0042】
つまり、周波数特性Hn が、以下の(3)式で表されるとすると、出力信号yi のゼロクロス点は、以下の(4)式のようになる。
【0043】
【数3】
【0044】
(4)式において、直流成分(n=0)の項だけ右辺に移行させると、(4)式は次の(5)式のようになる。
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、(5)式において、以下の(6)式に示すものは適宜に決めた値であり、以下の(7)式に示すものは測定が可能である。
【0047】
【数5】
【0048】
このような条件を満たすとすると、(5)式は複素数
H−N・・・H−1,H1 ,・・・HN (n≠0,n=N〜−N) (8)
を未知数とする2N元1次方程式である。
従って、2N個以上のゼロクロスで同様の方程式を立てられる場合、周波数特性Hn を計算することができる。信号の数をM個、その各信号のゼロクロスの個数をLi(i =1 〜M)とすると、次の(9)式の方程式を得る。
【0049】
Ce hc =−Co (9)
ただし、Ce 、hc 、Co は、以下の(10)式および(11)のように表される。
【0050】
【数6】
【0051】
ここで、1つの信号についてLi 個(ゼロクロス数)の方程式が立てられるとすると、M個の信号では次の(12)式で示す個数の連立方程式を作ることができる。
【0052】
【数7】
【0053】
この場合に、ゼロクロス数が信号に含まれるbin数Nの丁度2倍で、係数を表す行列が正則であれば、一意に解を求めることができる。ゼロクロス数がbin数の2倍より多い場合は、最小自乗法によって解を求めることができる。
信号は実数であるので、Hi を求めた後、以下の式により周波数ω1 における振幅fi と位相φi を求めることができる。
【0054】
【数8】
【0055】
なお、求めたフィルタの実際のゲインは2fi であるので、注意を要する。
以上の説明は、フィルタに入力される入力信号として、帯域制限されたM個の既知の周期信号ui (t) について考えたが、以下では、i=1,n=−1,1,k=1,2である場合、すなわちその入力信号がシングルトーンの場合について、任意の周波数(ω1 )における振幅f1 と位相φi の算出の仕方について説明する。
【0056】
シングルトーンの場合には、(9)式は以下の(15)式のようになる。
【0057】
【数9】
【0058】
(15)式は、次の(16)式のように変形できる。
【0059】
【数10】
【0060】
(16)式をH−1,H1 について解くと、次の(17)式および(18)式のようになる。
【0061】
【数11】
【0062】
ここで、H1 ,H−1を以下の(19)式および(20)式とおくと、以下の(21)式が得られる。
【0063】
【数12】
【0064】
(21)式において、C0 1はフィルタの出力信号のうちの直流成分の測定により求めることができ、C1 1とωは既知の値であり、λ1 21 は出力信号のクロスポイント間の間隔である。
従って、(21)式によれば、フィルタの出力信号について、その直流成分のレベル、およびそのクロスポイント間の間隔を測定すれば、周波数(ω1 )における振幅f1 の大きさを求めることができる。
【0065】
また、(17)式と(18)とから、次の(22)式を得ることができる。
【0066】
【数13】
【0067】
(22)式によれば、フィルタの出力信号について、その直流成分のレベル、およびそのクロスポイント間の間隔を測定すれば、周波数(ω1 )における位相φ1 の大きさを求めることができる。
なお、位相特性の絶対値を知るためには、ゼロクロスの絶対時間の測定が必要となるが、困難である。実際には、遅延差が重要である場合が多く、変動分の相対差を求めれば十分である。
【0068】
以上説明したように、この第1実施形態に係る周波数特性測定装置21によれば、テストボードに搭載するのは比較的回路規模が小さなゼロクロス検出回路23だけで良く、他の構成要素は既存のものが使用可能である。
このため、テストボードの構成が簡易になって部品点数を減少できるので、故障になりにくくなって信頼性が向上し、その結果、周波数特性システムの全体の信頼性が向上する。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図2を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、集積回路3の周波数特性を測定するために出力信号測定装置4を使用しているが、この出力信号測定装置4は、一般に、測定信号中の直流成分のレベルを測定できるDC測定モジュール22としての機能を持っている。
【0070】
そこで、図2に示す周波数特性測定システムでは、図1に示す周波数特性測定装置21の構成要素からDC測定モジュール22を省略して周波数特性装置21Aに置換するとともに、伝送路2または集積回路3の出力信号を切り換えスイッチSW1で選択的に出力信号測定装置4に導くようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、伝送路2の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW1の接点を図2の位置として伝送路2からの出力信号の直流成分のレベルを出力信号測定装置4で測定し、その測定値を周波数特性算出回路25に供給し、周波数特性測定装置21Aにより伝送路2の周波数特性を測定するようにした。
【0071】
一方、集積回路3の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW1の接点を図2の位置から反対側の位置に切り換え、これにより、集積回路3の出力信号を出力信号測定装置4に供給し、出力信号測定装置4により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
なお、他の部分の構成は図1の周波数測定測定システムと同様であるので、同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
このように、この第2実施形態に係る周波数特性測定装置21Aによれば、テストボードに搭載するのは比較的回路規模が小さなゼロクロス検出回路23だけで良い上に、DC測定モジュールを省略することができる。
このため、テストボードの構成が簡易になって部品点数を減少できるので、故障になりにくくなって信頼性が向上し、その結果、周波数特性システムの全体の信頼性が向上する。
【0073】
次に、本発明の第3実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図3を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、伝送路2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定し、集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定するようにした。しかし、周波数特性測定装置21は、伝送路2のみならず集積回路3の周波数特性を測定することができる。
【0074】
そこで、図3の周波数特性測定システムでは、周波数特性測定装置21によりその伝送路2と集積回路3の周波数測定を選択的に行うようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、図3に示すように、2つの切り換えスイッチSW2、SW3を設け、伝送路2の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW2、SW3の各接点を図3の位置として伝送路2からの出力信号を周波数特性装置21に導き、周波数特性測定装置21により伝送路2の周波数特性を測定するようにした。
【0075】
一方、集積回路3の周波数特性を測定する場合には、スイッチSW2、SW3の各接点を図3の位置から反対側の位置に切り換え、これにより、集積回路3の出力信号を周波数特性測定装置21に供給し、周波数特性測定装置21により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
このような構成からなる周波数特性測定システムでは、周波数特性測定装置21を伝送路2と集積回路3の周波数特性の測定に共用できるので、図1に示す出力信号測定装置4を省略できる。
【0076】
次に、本発明の第4実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図4を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、伝送路2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定し、集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定するようにした。
【0077】
このように、集積回路3の周波数特性の他に、伝送路2の周波数特性を求めるのは、測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波の場合には、伝送路2の周波数特性を把握していないと、本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を正確に測定できないからである。
しかし、集積回路3が高周波用以外の場合、すなわち測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波以外の場合には、伝送路2の周波数特性の測定は必ずしも必要でない。
【0078】
そこで、図4の周波数特性測定システムでは、図1に示す周波数特性測定装置21が各種の回路の周波数特性を汎用的に測定できる点に着目し、集積回路3の周波数測定を行うようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、図4に示すように、集積回路3の出力信号を周波数特性測定装置21に導き、この周波数特性測定装置21により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
【0079】
この場合には、周波数特性測定装置21の被測定対象は、伝送路2と集積回路3の双方になるが、伝送路2の周波数特性は無視できるので、実質的に集積回路3の周波数特性を測定することになる。
次に、第5実施形態の周波数特性測定システムについて、図4を参照して説明する。
【0080】
この第5実施形態の周波数特性測定システムは、図4の集積回路3と周波数特性測定装置21との間に、図6に示す切り換えスイッチSW10に相当する切り換えスイッチ(図示せず)を設け、その切り換えスイッチの切り換えにより集積回路3の入力信号とその出力信号とを選択的に周波数特性測定装置21に導くようにしたものである。
【0081】
このような構成からなる第5実施形態では、その切り換えスイッチの切り換えにより、伝送路2のみ周波数特性と、伝送路2を含めた集積回路3の周波数特性とを別々に求め、その両者を引き算して伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3だけの周波数特性を求めることができる。
この第5実施形態では、図6に示すデジタイザ30を図4に示す周波数特性測定装置21に置き換えるようにしたので、周波数特性測定装置21を構成する時間間隔測定回路24として既存の時間測定モジュールを有効に活用できる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数が減少できる上に、既存のモジュールが有効に活用可能となる。
また、本発明によれば、被測定対象として上記のような伝送路の周波数特性の測定のみならず、集積回路などの各種の回路の周波数特性の測定に汎用的に使用できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図5】従来の周波数特性測定システムの一例を示すブロック図である。
【図6】従来の周波数特性測定システムの他の例を示すブロック図である。
【符号の簡単な説明】
SW1〜SW3 切り換えスイッチ
1 測定信号発生器
2 伝送路
3 集積回路
4 出力信号測定装置
11 第1の周波数特性測定系
12 第2の周波数特性測定系
21、21A 周波数特性測定装置
22 DC測定モジュール
23 ゼロクロス検出回路
24 時間間隔測定回路
25 周波数特性算出回路
231 コンパレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路など集積回路の周波数特性や、その集積回路の周波数特性の測定に先立って、測定信号発生器からその集積回路までの間の伝送路の周波数特性などを測定できる、周波数特性の測定方法およびその測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDの駆動装置や、DVDの駆動装置に使用される高周波用のプロセッサ用ICなどの半導体集積回路は、高周波を処理するRFブロックを始めとして多数のブロックを含んでいる。
このような半導体集積回路の主な試験項目(テスト項目)は、周波数に対する利得(振幅)の測定である。この測定は、例えば図5に示すようなシステム(装置)により行われる。
【0003】
すなわち、測定信号発生器1で発生させた正弦波からなる測定信号を、入力信号がアナログ信号で出力信号がデジタル信号からなるADコンバータのような集積回路3に入力させ、その集積回路3の出力信号のレベルを出力信号測定装置4で測定している。そして、このような測定を、測定信号発生器1で発生させる測定信号の周波数を変化させながら行う。
【0004】
通常、試験に必要な測定信号発生器やデジタイザなどのテスタモジュールは、被測定対象である半導体集積回路の入力と出力の数に対して十分ではないので、試験は、1組の入出力または複数組の入出力に対して行われる。このため、入力と出力について全ての組み合わせの試験を終了させるには、そのテスタモジュールの個数に反比例した時間を必要とする。
【0005】
従って、近年のように、多数のブロックからなる上に多数の入出力ピンを有する半導体集積回路を試験する場合には、テスタモジュールの個数が少ないと、試験時間が膨大になるという不都合がある。
一方、被測定対象である半導体集積回路に入力される測定信号発生器からの測定信号の周波数が高くなると、その測定信号発生器から半導体集積回路までの信号の伝送路の周波数特性、またはテスタモジュール自身の周波数特性を把握していないと、正確な試験ができない。
【0006】
例えば、MO(光磁気ディスク)の波形再生用に使用する集積回路では、高速の入力波形を集積回路の内部でA/D変換し、デジタル処理をしている。しかし、そのA/D変換動作を試験するために、その集積回路に入力される測定信号のレベルを予め測定しておく必要がある。
次に、上記の伝送路の周波数特性、またはテスタモジュール自身の周波数特性を測定するための従来の方法を、図5を参照して説明する。
【0007】
第1の方法は、図5に示すように、測定信号発生器1と集積回路3との間を伝送路2とし、その伝送路2の出力信号をRMS−DCコンバータ5で直流信号に変換し、その直流信号のレベルをDC測定モジュール6で測定する方法である。ここで、RMS−DCコンバータ5は、比較的大規模な回路からなり、図示しないテストボード上に作成される。
【0008】
これに対して、第2の方法は、RMS−DCコンバータ5およびDC測定モジュール6に代え、図5に破線で示すように、伝送路2の出力信号のレベルを外部の所定の測定器7で測定する方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の第1の方法では、回路規模の大きなRMS−DCコンバータ5がテストボード上に搭載されるので、テストボード上の部品点数が多くなってその構成が複雑になり故障の原因になり易いという不都合がある。一方、従来の第2の方法では、その測定器7の制御のために試験時間が長期化するという不都合がある。
【0010】
ところで、集積回路3が、入出力信号の双方がアナログ信号からなるゲインアンプのようなアナログ回路の場合には、上記のような周波数測定は、例えば図6に示すようなシステムにより行われる。
すなわち、このシステムでは、集積回路3と出力信号測定装置であるデジタイザ30との間に、集積回路3の入力とその出力とを選択的にデジタイザ30に導く切り換えスイッチSW10を配置するようにしている。
【0011】
そして、その切り換えスイッチSW10の切り換えにより、伝送路2のみ周波数特性と、伝送路2を含めた集積回路3の周波数特性とを別々に求め、その両者を引き算して伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3だけの周波数特性を求めるようにしている。
このように、集積回路3がアナログ回路の場合には、図5に示すシステムの場合のように、RMS−DCコンバータ5やDC測定モジュール6がなくても、伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3の周波数特性が測定できる。
【0012】
しかし、このような場合であっても、デジタイザ30に代えて、TMS(時間測定システム)などの既存の時間測定モジュールを有効活用することが望まれる。
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数の減少が図れ、かつ既存のモジュールの有効利用が可能となる上に、集積回路などの周波数特性の測定などに汎用的に使用可能な周波数特性の測定方法およびその測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して本発明の目的を達成するために、請求項1〜請求項9に記載の発明は、以下のように構成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定と、前記被測定対象の出力信号のゼロクロスの検出とをそれぞれ行い、前記測定した直流成分レベルおよび前記検出したゼロクロスに基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定を行い、前記被測定対象の出力信号のゼロクロス点を検出し、この検出したゼロクロス点間の時間間隔の測定を行い、前記測定した直流成分レベルおよび時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、前記伝送路の周波数特性を先に行い、次に前記高周波用の集積回路の周波数特性を行うようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、所定の周波数を持つ測定信号が入力される被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号に含まれる直流成分レベルを測定する直流成分レベル測定手段と、前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、前記検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する時間間隔測定手段と、前記測定した直流成分レベルおよび前記測定した時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求める周波数特性算出手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の周波数特性の測定装置において、前記測定信号を発生する測定信号発生手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の周波数特性の測定装置において、ゼロクロス検出手段は、前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号がマイナスからプラスに、あるいはその逆になった場合に、その変化に応じたパルス状のゼロクロス信号を生成するようになっており、前記時間間隔測定手段は、前記ゼロクロス信号の変化点から次の変化点までの期間を前記ゼロクロスの時間間隔として測定するようになっていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の周波数特性の測定装置において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の周波数特性の測定装置において、前記被測定対象は、前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、前記伝送路の周波数特性と前記高周波用の集積回路の周波数特性を選択的に行うようになっていることを特徴とするものである。
【0019】
このような構成からなる本発明によれば、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数を減少できる。
すなわち、例えば、高周波用の集積回路の周波数特性の試験の場合には、その試験に先立って、集積回路に入力される測定信号の伝送路の周波数特性を把握する必要があり、本発明はその伝送路の周波数特性の測定装置として利用できる。この場合には、従来のその種の周波数特性測定装置に比べて部品点数を減少できる。
【0020】
また、本発明の装置は、被測定対象として上記の伝送路の周波数特性の測定のみならず、集積回路などの各種の回路の周波数特性の測定に汎用的に使用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図1を参照して説明する。
この周波数特性測定システムは、図1に示すように、測定信号発生器1が発生する測定信号に基づいて本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定する第1の周波数特性測定系11と、この第1の周波数特性測定系11の測定に先立ち、測定信号発生器1から集積回路3までの信号の伝送路(伝送経路)2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定する第2の周波数測定系12とを備えたものである。
【0022】
ここで、集積回路3の周波数特性の他に、伝送路2の周波数特性を求めるのは、測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波の場合には、伝送路2の周波数特性を把握していないと、本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を正確に測定できないからである。
測定信号発生器1は、正弦波、方形波などの各種の波形の測定信号が発生できるとともに、その各波形の測定信号は任意の周波数、任意の出力レベルのものが発生できるようになっている。
【0023】
伝送路2は、周波数信号発生器1の出力端子から集積回路3の入力端子までの信号の伝送路のみならず、周波数信号発生器1の測定信号の発生部分からその出力端子までの信号の伝送路をも、含むものである。
集積回路3は本来の被測定対象であり、入出力信号がいずれもアナログ信号からなるアナログ回路、ADコンバータのような入力信号がアナログ信号で出力信号がデジタル信号からなる回路、またはDAコンバータのような入力信号がデジタル信号で出力信号がアナログ信号からなる回路のいずれでも良く、例えば、CDやDVDの駆動装置などに使用される高周波処理用の半導体集積回路などである。この集積回路3の入力端子と出力端子とは、周波数特性の測定の際に、テストボード(図示せず)上に設けられた測定端子8、9に接続(挿入)されるようになっている。
【0024】
出力信号測定装置4は、例えばデジタイザなどからなり、集積回路3の出力信号をA/D(アナログ/デジタル)変換し、その変換値のレベルを測定するようになっている。この出力信号測定装置4は、集積回路3がADコンバータのように出力がデジタル信号の場合にはデジタルキャプチャで良く、さらに集積回路3の周波数特性ができれば、他の一般的な測定器に置き換えることができる。
【0025】
周波数特性測定装置21は、図1に示すように、DC測定モジュール22と、ゼロクロス検出回路23と、時間間隔測定回路24と、周波数特性算出回路25とを備えている。
DC測定モジュール22は、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルを測定するものであり、その測定レベルが周波数特性算出回路25に供給されるようになっている。
【0026】
ゼロクロス検出回路23は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点を検出する回路である。すなわち、伝送路2の出力信号がマイナスからプラスに、あるいはその逆になった場合に、そのタイミングを検出し、そのタイミングの情報を含むゼロクロス信号を生成する回路である。
このゼロクロス検出回路23は、具体的にはコンパレータ231からなり、コンパレータ231が伝送路2からの出力信号を基準電圧と比較し、その出力信号が基準電圧以上の場合に「H」レベルとなり、基準電圧以下の場合に「L」レベルとなるパスル信号をゼロクロス信号として出力するようになっている。
【0027】
時間間隔測定回路24は、ゼロクロス検出回路23が検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する回路である。この時間間隔測定回路24は、具体的には、コンパレータ231から出力される上記のパルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間を計数し、この計数によりゼロクロス点間の時間間隔を測定するようになっている。
【0028】
周波数特性算出回路25は、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと時間間隔測定回路24が測定した時間間隔に基づいて、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める回路である。
ここで、周波数特性測定装置21の構成要素のうち、ゼロクロス検出回路23がテストボードに搭載され、これはコンパレータ231で構成できて回路規模が小さい。また、DC測定モジュール22は既存のものを使用でき、時間間隔測定回路23は、TMS(Time Measurement System)のような既存の時間測定モジュールを使用できる。
【0029】
次に、このような構成からなる第1実施形態を適用した周波数特性測定システムにより、集積回路3の周波数特性を測定する場合に測定例を説明する。
まず、第1の周波数特性測定系11による集積回路3の周波数測定の測定に先立ち、第2の周波数測定系12により、伝送路2の周波数特性の測定を以下のように行う。
【0030】
すなわち、測定信号発生器1により、所定の周波数と出力レベルからなるアナログ信号(正弦波からなる高周波信号)を測定信号として発生させる。発生する測定信号は、シングルトーンでもマルチトーンでも良い。この測定信号は、伝送路2に入力されると変形され、伝送路2の終端から出力される。
その伝送路2の出力信号は、DC測定モジュール22とゼロクロス検出回路23にそれぞれ供給される。DC測定モジュール22では、伝送路2の出力信号の直流成分のレベルが測定され、その測定レベルが周波数特性算出回路25に供給される。
【0031】
ゼロクロス検出回路23では、その出力信号のゼロクロス点が検出される。そのゼロクロス点の検出は、具体的には、コンパレータ231が伝送路2からの出力信号を基準電圧と比較し、その出力信号が基準値以上の場合に「H」レベルとなり、基準値以下の場合に「L」レベルとなるパスル信号をゼロクロス信号として出力することにより行う。
【0032】
上記のように、ゼロクロス検出回路23で検出されたゼロクロス点に基づき、時間間隔測定回路24は、そのゼロクロス点間の時間間隔を測定する。このゼロクロス点間の時間間隔の測定は、具体的には、コンパレータ231から出力される上記のパルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間を計数することにより行う。
【0033】
次に、DC測定モジュール22が測定した直流成分レベルと、時間間隔測定回路24が測定した時間間隔とに基づき、周波数特性算出回路25は、測定信号発生器1の発生する測定信号の周波数に対する伝送路2の振幅値および位相値をそれぞれ求める。
なお、このように、直流成分レベルとゼロクロス点間の時間間隔とに基づき、周波数特性算出回路25が、伝送路2の周波数特性に係る振幅値および位相値を測定できる原理については後述する。
【0034】
以上の測定が終わると、測定信号発生器1が発生する測定信号が、シングルトーンの場合は、周波数を少なくとも2回以上変え、その周波数を変えるたびに、上記のようにしてその各周波数に対応する伝送路2の振幅値と位相値とをそれぞれ求める。この結果、伝送路2の振幅と位相についての周波数特性を測定できる。
【0035】
このようにして、第2の周波数測定系12による伝送路2の周波数特性の測定が終了すると、次に、第1の周波数測定系11による集積回路3の周波数特性の測定を、以下のように行う。
まず、測定信号発生器1により、所定の周波数と出力レベルからなる高周波のアナログ信号を測定信号として発生させる。この測定信号は、信号路2を経て集積回路3に入力される。集積回路3の出力信号は、出力信号測定装置4でA/D変換され、例えば、その変換値のレベルが測定される。
【0036】
この測定が終わると、測定信号発生器1が発生する測定信号が、シングルトーンの場合は、周波数を少なくとも2回以上変え、その周波数を変えるたびに、上記のようにしてその各周波数に対応する集積回路3の振幅値を求める。この結果、集積回路3の振幅についての周波数特性を得ることができる。
なお、出力信号測定装置4で集積回路3の周波数特性を測定する際には、上記で求めた伝送路2の周波数特性に係るデータが活用され、集積回路3の周波数特性の測定を正確に行う。
【0037】
以上説明したように、この第1実施形態における周波数特性測定装置21は、伝送路2の出力信号のゼロクロス点間の時間間隔と、その出力信号に含まれる直流成分のレベルに基づき、伝送路2の入力周波数に対するその振幅応答と位相応答を求めるようにしたものである。そこで、その測定原理について、以下に数式を用いて説明する。
【0038】
なお、以下では、伝送路2をフィルタとみなして説明するものとする。
いま、フィルタに入力される入力信号として、帯域制限されたM個の既知の周期信号ui (t) について考え、これを複素形のフーリエ級数で表すと、次に示す(1)式のようになる。
【0039】
【数1】
【0040】
この周期信号ui (t) が、周波数特性がHn からなるフィルタを通過すると、フィルタの出力信号はyi となり、この出力信号yi はゼロクロスを計算できて、以下の(2)式になるとする。
【0041】
【数2】
【0042】
つまり、周波数特性Hn が、以下の(3)式で表されるとすると、出力信号yi のゼロクロス点は、以下の(4)式のようになる。
【0043】
【数3】
【0044】
(4)式において、直流成分(n=0)の項だけ右辺に移行させると、(4)式は次の(5)式のようになる。
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、(5)式において、以下の(6)式に示すものは適宜に決めた値であり、以下の(7)式に示すものは測定が可能である。
【0047】
【数5】
【0048】
このような条件を満たすとすると、(5)式は複素数
H−N・・・H−1,H1 ,・・・HN (n≠0,n=N〜−N) (8)
を未知数とする2N元1次方程式である。
従って、2N個以上のゼロクロスで同様の方程式を立てられる場合、周波数特性Hn を計算することができる。信号の数をM個、その各信号のゼロクロスの個数をLi(i =1 〜M)とすると、次の(9)式の方程式を得る。
【0049】
Ce hc =−Co (9)
ただし、Ce 、hc 、Co は、以下の(10)式および(11)のように表される。
【0050】
【数6】
【0051】
ここで、1つの信号についてLi 個(ゼロクロス数)の方程式が立てられるとすると、M個の信号では次の(12)式で示す個数の連立方程式を作ることができる。
【0052】
【数7】
【0053】
この場合に、ゼロクロス数が信号に含まれるbin数Nの丁度2倍で、係数を表す行列が正則であれば、一意に解を求めることができる。ゼロクロス数がbin数の2倍より多い場合は、最小自乗法によって解を求めることができる。
信号は実数であるので、Hi を求めた後、以下の式により周波数ω1 における振幅fi と位相φi を求めることができる。
【0054】
【数8】
【0055】
なお、求めたフィルタの実際のゲインは2fi であるので、注意を要する。
以上の説明は、フィルタに入力される入力信号として、帯域制限されたM個の既知の周期信号ui (t) について考えたが、以下では、i=1,n=−1,1,k=1,2である場合、すなわちその入力信号がシングルトーンの場合について、任意の周波数(ω1 )における振幅f1 と位相φi の算出の仕方について説明する。
【0056】
シングルトーンの場合には、(9)式は以下の(15)式のようになる。
【0057】
【数9】
【0058】
(15)式は、次の(16)式のように変形できる。
【0059】
【数10】
【0060】
(16)式をH−1,H1 について解くと、次の(17)式および(18)式のようになる。
【0061】
【数11】
【0062】
ここで、H1 ,H−1を以下の(19)式および(20)式とおくと、以下の(21)式が得られる。
【0063】
【数12】
【0064】
(21)式において、C0 1はフィルタの出力信号のうちの直流成分の測定により求めることができ、C1 1とωは既知の値であり、λ1 21 は出力信号のクロスポイント間の間隔である。
従って、(21)式によれば、フィルタの出力信号について、その直流成分のレベル、およびそのクロスポイント間の間隔を測定すれば、周波数(ω1 )における振幅f1 の大きさを求めることができる。
【0065】
また、(17)式と(18)とから、次の(22)式を得ることができる。
【0066】
【数13】
【0067】
(22)式によれば、フィルタの出力信号について、その直流成分のレベル、およびそのクロスポイント間の間隔を測定すれば、周波数(ω1 )における位相φ1 の大きさを求めることができる。
なお、位相特性の絶対値を知るためには、ゼロクロスの絶対時間の測定が必要となるが、困難である。実際には、遅延差が重要である場合が多く、変動分の相対差を求めれば十分である。
【0068】
以上説明したように、この第1実施形態に係る周波数特性測定装置21によれば、テストボードに搭載するのは比較的回路規模が小さなゼロクロス検出回路23だけで良く、他の構成要素は既存のものが使用可能である。
このため、テストボードの構成が簡易になって部品点数を減少できるので、故障になりにくくなって信頼性が向上し、その結果、周波数特性システムの全体の信頼性が向上する。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図2を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、集積回路3の周波数特性を測定するために出力信号測定装置4を使用しているが、この出力信号測定装置4は、一般に、測定信号中の直流成分のレベルを測定できるDC測定モジュール22としての機能を持っている。
【0070】
そこで、図2に示す周波数特性測定システムでは、図1に示す周波数特性測定装置21の構成要素からDC測定モジュール22を省略して周波数特性装置21Aに置換するとともに、伝送路2または集積回路3の出力信号を切り換えスイッチSW1で選択的に出力信号測定装置4に導くようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、伝送路2の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW1の接点を図2の位置として伝送路2からの出力信号の直流成分のレベルを出力信号測定装置4で測定し、その測定値を周波数特性算出回路25に供給し、周波数特性測定装置21Aにより伝送路2の周波数特性を測定するようにした。
【0071】
一方、集積回路3の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW1の接点を図2の位置から反対側の位置に切り換え、これにより、集積回路3の出力信号を出力信号測定装置4に供給し、出力信号測定装置4により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
なお、他の部分の構成は図1の周波数測定測定システムと同様であるので、同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
このように、この第2実施形態に係る周波数特性測定装置21Aによれば、テストボードに搭載するのは比較的回路規模が小さなゼロクロス検出回路23だけで良い上に、DC測定モジュールを省略することができる。
このため、テストボードの構成が簡易になって部品点数を減少できるので、故障になりにくくなって信頼性が向上し、その結果、周波数特性システムの全体の信頼性が向上する。
【0073】
次に、本発明の第3実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図3を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、伝送路2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定し、集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定するようにした。しかし、周波数特性測定装置21は、伝送路2のみならず集積回路3の周波数特性を測定することができる。
【0074】
そこで、図3の周波数特性測定システムでは、周波数特性測定装置21によりその伝送路2と集積回路3の周波数測定を選択的に行うようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、図3に示すように、2つの切り換えスイッチSW2、SW3を設け、伝送路2の周波数特性を測定する場合には、切り換えスイッチSW2、SW3の各接点を図3の位置として伝送路2からの出力信号を周波数特性装置21に導き、周波数特性測定装置21により伝送路2の周波数特性を測定するようにした。
【0075】
一方、集積回路3の周波数特性を測定する場合には、スイッチSW2、SW3の各接点を図3の位置から反対側の位置に切り換え、これにより、集積回路3の出力信号を周波数特性測定装置21に供給し、周波数特性測定装置21により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
このような構成からなる周波数特性測定システムでは、周波数特性測定装置21を伝送路2と集積回路3の周波数特性の測定に共用できるので、図1に示す出力信号測定装置4を省略できる。
【0076】
次に、本発明の第4実施形態を適用した周波数特性測定システムの構成について、図4を参照して説明する。
図1に示す周波数特性測定システムでは、伝送路2の周波数特性を周波数特性測定装置21で測定し、集積回路3の周波数特性を出力信号測定装置4で測定するようにした。
【0077】
このように、集積回路3の周波数特性の他に、伝送路2の周波数特性を求めるのは、測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波の場合には、伝送路2の周波数特性を把握していないと、本来の被測定対象である集積回路3の周波数特性を正確に測定できないからである。
しかし、集積回路3が高周波用以外の場合、すなわち測定信号発生器1が発生する測定信号が高周波以外の場合には、伝送路2の周波数特性の測定は必ずしも必要でない。
【0078】
そこで、図4の周波数特性測定システムでは、図1に示す周波数特性測定装置21が各種の回路の周波数特性を汎用的に測定できる点に着目し、集積回路3の周波数測定を行うようにした。
すなわち、この周波数特性測定システムは、図4に示すように、集積回路3の出力信号を周波数特性測定装置21に導き、この周波数特性測定装置21により集積回路3の周波数特性を測定するようにした。
【0079】
この場合には、周波数特性測定装置21の被測定対象は、伝送路2と集積回路3の双方になるが、伝送路2の周波数特性は無視できるので、実質的に集積回路3の周波数特性を測定することになる。
次に、第5実施形態の周波数特性測定システムについて、図4を参照して説明する。
【0080】
この第5実施形態の周波数特性測定システムは、図4の集積回路3と周波数特性測定装置21との間に、図6に示す切り換えスイッチSW10に相当する切り換えスイッチ(図示せず)を設け、その切り換えスイッチの切り換えにより集積回路3の入力信号とその出力信号とを選択的に周波数特性測定装置21に導くようにしたものである。
【0081】
このような構成からなる第5実施形態では、その切り換えスイッチの切り換えにより、伝送路2のみ周波数特性と、伝送路2を含めた集積回路3の周波数特性とを別々に求め、その両者を引き算して伝送路2の周波数特性を排除した集積回路3だけの周波数特性を求めることができる。
この第5実施形態では、図6に示すデジタイザ30を図4に示す周波数特性測定装置21に置き換えるようにしたので、周波数特性測定装置21を構成する時間間隔測定回路24として既存の時間測定モジュールを有効に活用できる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の周波数特性測定装置に比べて部品点数が減少できる上に、既存のモジュールが有効に活用可能となる。
また、本発明によれば、被測定対象として上記のような伝送路の周波数特性の測定のみならず、集積回路などの各種の回路の周波数特性の測定に汎用的に使用できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態を適用させた周波数特性測定システムのブロック図である。
【図5】従来の周波数特性測定システムの一例を示すブロック図である。
【図6】従来の周波数特性測定システムの他の例を示すブロック図である。
【符号の簡単な説明】
SW1〜SW3 切り換えスイッチ
1 測定信号発生器
2 伝送路
3 集積回路
4 出力信号測定装置
11 第1の周波数特性測定系
12 第2の周波数特性測定系
21、21A 周波数特性測定装置
22 DC測定モジュール
23 ゼロクロス検出回路
24 時間間隔測定回路
25 周波数特性算出回路
231 コンパレータ
Claims (9)
- 被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、
所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、
前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定と、前記被測定対象の出力信号のゼロクロスの検出とをそれぞれ行い、
前記測定した直流成分レベルおよび前記検出したゼロクロスに基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とする周波数特性の測定方法。 - 被測定対象の周波数特性を測定する周波数特性の測定方法であって、
所定の周波数を持つ測定信号を前記被測定対象に対して入力し、
前記被測定対象の出力信号に含まれる直流成分レベルの測定を行い、
前記被測定対象の出力信号のゼロクロス点を検出し、この検出したゼロクロス点間の時間間隔の測定を行い、
前記測定した直流成分レベルおよび時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求めるようにしたことを特徴とする周波数特性の測定方法。 - 前記被測定対象は、
前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法。 - 前記被測定対象は、
前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、
前記伝送路の周波数特性を先に行い、次に前記高周波用の集積回路の周波数特性を行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数特性の測定方法。 - 所定の周波数を持つ測定信号が入力される被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号に含まれる直流成分レベルを測定する直流成分レベル測定手段と、
前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
前記検出したゼロクロス点間の時間間隔を測定する時間間隔測定手段と、
前記測定した直流成分レベルおよび前記測定した時間間隔に基づいて、前記測定信号の周波数に対する前記被測定対象の振幅応答および位相応答のうちの少なくとも一方を求める周波数特性算出手段と、
を備えたことを特徴とする周波数特性の測定装置。 - 前記測定信号を発生する測定信号発生手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の周波数特性の測定装置。
- ゼロクロス検出手段は、前記被測定対象からの出力信号を受け取り、その出力信号がマイナスからプラスに、あるいはその逆になった場合に、その変化に応じたパルス状のゼロクロス信号を生成するようになっており、
前記時間間隔測定手段は、前記ゼロクロス信号の変化点から次の変化点までの期間を前記ゼロクロスの時間間隔として測定するようになっていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の周波数特性の測定装置。 - 前記被測定対象は、
前記測定信号の発生から本来の被測定対象である集積回路までの間の伝送路、または前記伝送路および前記集積回路であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の周波数特性の測定装置。 - 前記被測定対象は、
前記測定信号の発生から本来の被測定対象である高周波用の集積回路までの間の伝送路と、前記高周波用の集積回路とであり、
前記伝送路の周波数特性と前記高周波用の集積回路の周波数特性を選択的に行うようになっていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の周波数特性の測定装置。
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