JP2004018718A - 半導体装置用接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低吸湿率で、耐吸湿リフロー性に優れ、特に耐クラック性に優れた半導体装置用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】半導体装置用接着剤組成物は、(A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)特定の構造の化合物からなる硬化促進剤を必須の成分とする組成物である。さらに(F)エチレン−アクリル系エラストマー、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体、(H)シリコーン変成ポリイミドなどのその他の熱可塑性樹脂を含有していることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】半導体装置用接着剤組成物は、(A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)特定の構造の化合物からなる硬化促進剤を必須の成分とする組成物である。さらに(F)エチレン−アクリル系エラストマー、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体、(H)シリコーン変成ポリイミドなどのその他の熱可塑性樹脂を含有していることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路を含む半導体装置の組み立てに用いられる接着剤組成物に関し、より詳しくは吸湿率を大幅に改善した半導体装置用エポキシ樹脂系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体用接着剤は、熱硬化性樹脂系、熱可塑性樹脂系あるいはそれらの組み合わせで構成されており、半導体装置の構造にもよるが、リードフレームの固定、半導体チップと基板、リードフレームなど支持体との接着、チップ積層型工法ではチップとチップ間の接着、フリップチップ接続の補強、柔軟な基板と支持体との接着、放熱板と支持体との接着、薄型パッケージ積層型工法ではパッケージ間の接着などに供されてきた。
【0003】
半導体装置内に取り込まれる接着剤の場合、封止樹脂と同様に、半導体装置内に空隙を残さないこと、線膨張率の異なる被着体間の応力緩和能に優れること、配線腐食を起こさないこと、吸湿環境に置かれたあとでのはんだリフロー工程でクラックを生じないこと、長期湿熱環境に置かれても性能を維持することなど各種信頼性に耐える性能が要求されている。
【0004】
なかでも吸湿後のリフロー工程で、半田処理条件下に晒される際高温下におかれ、水分の爆発的な気化によりクラックを生じる現象に対する耐性を要求されていた。この耐クラック性を向上するための材料特性では、低い吸湿率、高い接着強度、耐熱性などが要求される。従来の熱硬化性樹脂を含む接着剤においては、コスト面と物性面のバランスからフェノール系樹脂を硬化剤としたエポキシ樹脂系接着剤が多く使われてきた。
【0005】
しかし、樹脂の吸湿に関しては、エポキシ基と水酸基の反応による硬化反応である限り下記反応式(i)で表される様に、必ず水酸基を生成する反応であり、水酸基を要因として親水性が大きくなり、基本骨格を疎水化しても全体としての吸湿率の低減には限界がある。また、接着剤では、封止剤のように充填材を高配合することで、吸湿率を低下させようとすると、接着強度や、応力緩和能が低下する傾向があるため、樹脂自身の吸湿特性を改善することが要求されていた。
【0006】
【化15】
(上式中、Aはエポキシ残基、Bはフェノール残基を示す。)
【0007】
これらの問題を解決する一つの手法として、西久保氏らの特許出願、特開昭62−53327号公報に示される様なエポキシ基とエステル基の反応が提案されている。該公報中には、触媒の好ましいものとして4級オニウム塩やクラウンエーテル錯体が示され、更に同氏らの論文「エポキシ化合物とエステル類との付加反応とその高分子合成への応用」〔有機合成化学第49巻第218〜233頁(1991)〕中において、具体的に単位反応としての各触媒を用いたときの収率が示されている。それによれば最高値としてテトラブチルアンモニウムクロライドの91%があるものの、収率は総じて低い。また、これら4級オニウム塩やクラウンエーテル錯体は、半導体集積回路の封止材として用いられる樹脂中に含まれたままであると、電気的な短絡等の好ましくない結果をもたらすのみでなく、それが接触する金属部分の腐食等も引き起こし、製品として重大な欠陥の原因となることは言うまでもない。
【0008】
一方、一般的なエポキシ樹脂とフェノール樹脂との付加反応においては、触媒としてトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンの様なホスフィン類、イミダゾール類、三級アミン類等が用いられ、特に半導体封止用としてはイミダゾール類、ホスフィン類が多く用いられる。
【0009】
これらの内、イミダゾール類は反応活性があるが、副反応であるエポキシ単独重合を起こしやすく、フェノール樹脂の水酸基が過剰となり、耐湿性、電気特性に劣ったり、本来のエポキシ−フェノール樹脂ネットワーク以外に、エポキシ単独重合部分や、過剰となったフェノール樹脂部分が存在することにより機械特性が低下したりする問題が大きい。イミダゾール類を触媒としてエポキシ/エステル硬化反応に応用した場合、先の西久保氏らの文献によるとエポキシ基に対するエステル基の付加反応の反応収率は約50%程度であり、その他はエポキシ樹脂の単独重合等の副反応であることもふまえると、充分な硬化物が得られる触媒ではない。
【0010】
更に、本発明者らの追試においては、これらイミダゾール類やホスフィン類を硬化触媒としたときに、本発明におけるカルボン酸類によるエステルは実質的にエポキシ樹脂の硬化反応を起こさないことが判る。具体的には、通常、硬化の際に用いられる温度である150〜200℃の範囲では10分以上ゲル化せず、現実には硬化物が得られる前に樹脂組成物が流れ出してしまう状況がみられる。
【0011】
また、エポキシ樹脂をエステル硬化させ、半導体集積回路の封止材として利用するために、フェノール樹脂の10〜90%をエステル化し、硬化剤とする方法が提案されている(特開平9−235451号公報)。この方法は、エステル樹脂を製造するに当たり、原料であるフェノール樹脂のフェノール性水酸基を一部残存させることにより、硬化初期において反応し易いフェノール部分により一次的に架橋部分を形成させ、後のアフターキュアーによりエステル基をエポキシ基に作用させるという発想に基づくものである。
【0012】
しかしながら、該公報に示されている硬化触媒は、ホスフィン類、イミダゾール類およびジアザビシクロ類であり、ホスフィン類は本願比較例(後述)で示されるように、エポキシ基とエステル基に対する充分な硬化触媒能を示さず、また、イミダゾール、ジアザビシクロ類は、前記の西久保氏らの論文から明らかなように、エポキシ単独重合が多く起こり、エポキシ基と硬化剤官能基のモル比の調節が難しく、また物性的にも好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低吸湿率で、耐吸湿リフロー性に優れ、特に耐クラック性に優れた半導体装置用接着剤組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来のフェノール系あるいはナフトール系エポキシ樹脂硬化剤を、エステル化した硬化剤に置き換え、エポキシ基と速やかに反応させる触媒として、下記一般式(1)で表される化合物を必須の成分として用いることにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の内容を包含する。
(1) (A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)硬化促進剤として下記一般式(1)
【0016】
【化16】
(上式中、R1 〜R6 は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基またはアラルキル基を示し、全て同一であっても、それぞれ異なっていても良く、Xは酸素もしくは硫黄原子である。)
で表される化合物を必須の成分とすることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
【0017】
(2) 前記(B)硬化剤として、水酸基の90モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂を含有することを特徴とする前記(1)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0018】
(3) 分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)が、下記一般式(II)で表されるノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(III)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(IV)で表されるフェノールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(V)で表されるナフトールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(VI)で表されるビフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂、または下記一般式(VII)で表されるビスフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂である前記(1)または(2)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0019】
【化17】
(上式中R2は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0020】
【化18】
【0021】
(上式中R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表しその平均は0〜15の範囲である。)
【0022】
【化19】
(上式中R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0023】
【化20】
(上式中R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基あるいはグリシジルエーテル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0024】
【化21】
(上式中R6は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)
【0025】
【化22】
(上式中R7は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表す。)
【0026】
(4) 前記硬化剤(B)が、下記一般式(VIII)で表されるノボラック型エステル樹脂、下記一般式(IX)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック型エステル樹脂、下記一般式(X)で表されるフェノールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XI)で表されるナフトールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XII)で表されるビフェノールエステル化合物、または下記一般式(XIII)で表されるビスフェノールエステル化合物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0027】
【化23】
(上式中R8は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0028】
【化24】
(上式中R9は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0029】
【化25】
(上式中R10は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0030】
【化26】
(上式中R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0031】
【化27】
(上式中R12は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0032】
【化28】
(上式中R13は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表し、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0033】
(5) 前記(A)、(B)、(C)に加え、(E)その他の熱可塑性樹脂を含有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0034】
(6) 前記(E)その他の熱可塑性樹脂が、(F)エチレン−アクリル系エラストマー、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体、(H)シリコーン変成ポリイミドから選ばれるもののうち1種以上である前記(5)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0035】
(7) 前記シリコーン変成ポリイミド(H)がテトラカルボン酸2無水物と式(XIV)で表されるジアミンを含むジアミンとを原料として合成されたポリイミドである前記(6)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【化29】
(上式中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を表し、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0〜20の整数を表わす。)
【0036】
(8) 前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して、前記(F)、(G)、(H)から選ばれるもののうち1種以上を10〜2000重量部含有する前記(5)〜(7)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0037】
(9) 前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(D)有機充填材および/または無機充填材を0.1重量部以上1900重量部以下の範囲で含有する前記(1)〜(8)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
(10) 前記(1)〜(9)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物からなる半導体装置用シート状接着剤。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)硬化促進剤として下記一般式(1)
【0039】
【化30】
(式中、R1 〜R6 は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基またはアラルキル基を示し、全て同一であっても、それぞれ異なっていても良く、Xは酸素もしくは硫黄原子である。)
で表される化合物を必須の成分とする半導体装置用接着剤組成物に関するものである。
【0040】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂
本発明の接着剤組成物において、(A)成分のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂であって、このエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は、後述するような各種硬化剤で硬化させられることが可能な限り分子構造、分子量等に特に制限はなく、従来から知られている種々のものを使用することができる。例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールをはじめとする各種ノボラック樹脂から合成されるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、塩素や臭素等のハロゲン原子を導入したエポキシ樹脂などを用いることができる。エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても構わない。
【0041】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は、具体的な原料としてカテコール、レゾルシン、ハイドロキノンのジヒドロキシベンゼン類、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、下記一般式(XV)で表されるフェノールノボラック樹脂類
【0042】
【化31】
(上式中R14は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
下記一般式(XVI)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック樹脂類
【0043】
【化32】
(上式中R15は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
【0044】
下記一般式(XVII)で表されるフェノールアラルキル樹脂類
【化33】
(上式中R16は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
【0045】
下記一般式(XVIII)で表されるナフトールアラルキル樹脂類
【化34】
(上式中R17は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基あるいは水酸基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表しその平均は0〜15の範囲である。)、
【0046】
下記一般式(XIX)で表されるビフェノール類
【化35】
(上式中R18は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)、
【0047】
下記一般式(XX)で表されるビスフェノール類
【化36】
(上式中R19は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表す。)、
【0048】
4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4,4’−ジアミノフェニル)プロパン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、下記一般式(XXI)で表されるアラルキルアニリン樹脂等の芳香族多価アミン類
【化37】
(上式中R20は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−(4’−ヒドロキシフェニル)メタン等のアミノフェノール類より誘導されるエポキシ化合物あるいはエポキシ樹脂である。
【0049】
中でも更に好ましいのは、フェノールノボラック樹脂類、フェノールジシクロペンタジエン共重合樹脂類、フェノールアラルキル樹脂類、ナフトールアラルキル樹脂類、ビフェノール類、ビスフェノール類より誘導されるエポキシ樹脂あるいは化合物である。
【0050】
エステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂
本発明の接着剤組成物において、(B)成分の硬化剤としては、水酸基の10〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂であり、フェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂をエステル化したものは全て該当する。
【0051】
フェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂として好ましいものには、前記一般式(XV)で表されるフェノールノボラック樹脂類、前記一般式(XVI)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック樹脂類、前記一般式(XVII)で表されるフェノールアラルキル樹脂類、前記一般式(XVIII)で表されるナフトールアラルキル樹脂類、前記一般式(XIX)で表されるビフェノール類、前記一般式(XX)で表されるビスフェノール類が挙げられる。
【0052】
これらのフェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂のエステル化方法は公知の方法で行うことが可能である。エステル化する際に用いるエステル化剤としては、有機カルボン酸無水物、有機カルボン酸ハロゲン化物、有機カルボン酸のいずれでも良い。誘導したいエステルの炭素数に応じ、エステル化剤の特徴により都合の良いものを選択すればよい。このエステル化剤を具体的に例示すれば、無水酢酸、アセチルクロライド、アセチルブロマイド、酢酸、無水プロピオン酸、プロピオン酸クロライド、プロピオン酸ブロマイド、プロピオン酸、無水酪酸、酪酸クロライド、酪酸、無水吉草酸、吉草酸クロライド、吉草酸ブロマイド、吉草酸、ピバリン酸クロライド、ピバリン酸、フェニル酢酸、フェニル酢酸クロライド、2−フェニルプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、o−トリル酢酸、m−トリル酢酸、p−トリル酢酸、クメン酸、無水安息香酸、安息香酸クロライド、安息香酸ブロマイド、安息香酸、o−メチル安息香酸クロライド、m−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロライド、o−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、p−メチル安息香酸、ジメチル安息香酸類、ナフトエ酸類等を挙げることが出来る。これらのエステル化剤は単独あるいは任意の2種類以上を併用して用いることも可能である。
【0053】
また、本発明のエステル含有化合物もしくはエステル含有樹脂のエステル化率は、10モル%〜100モル%の範囲であるが、好ましくは50モル%〜100モル%、より好ましくは80モル%〜100モル%、さらに好ましくは90モル%〜100モル%の範囲である。
【0054】
本発明の接着剤組成物は、2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂に対して、一例としてエステル化フェノール化合物あるいは樹脂を硬化剤として用いるが、従来のエポキシ−フェノール硬化物と同様に熱硬化性樹脂として同じ分野へ利用することも目的としており、組成物の硬化後に3次元構造を取り得るような組み合わせが望ましい。
【0055】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と硬化剤との配合比は、エポキシ基1モルに対してエステル基もしくはエステル基および水酸基の合計、すなわちエポキシ基に対する活性基が、0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.3モルの割合の範囲であり、硬化物の最適物性が得られるモル比を調整して用いることが好ましい。
【0056】
硬化促進剤
本発明の接着剤組成物で用いる式(1)で表される硬化促進剤については、特開2000−80049号公報に詳細に記されている。式(1)で表されるホスフィンオキシド化合物中のR1 〜R6 は、同種または異種の、水素原子または炭素数1ないし10個の炭化水素基であり、具体的には、このR1 〜R6 は、水素原子や、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。これらのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチルまたは1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の炭素数1ないし8個の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0057】
この硬化促進剤自体は吸湿性を有するので、硬化剤に練りこんで使用することが好ましい。使用目的に応じ必要な硬化速度に合わせて促進剤添加量を調整する必要があるが、硬化促進剤自体の持つ吸湿性を考慮すると、添加量は樹脂全体に対して1wt%以下が好ましい。1wt%を超えて配合した場合、硬化剤の低吸湿性を損なう可能性がある。またフィルム状接着剤におけるBステージ状態での保存安定性を考慮すると、(エポキシ樹脂+硬化剤)の100重量部に対して、0.6重量部以下にすることが望ましい。
【0058】
本発明の接着剤組成物には、本発明の目的を損ねない範囲で、必要に応じて、有機充填剤および/または無機充填剤((D)成分)や、その他の添加剤、例えば、カップリング剤、難燃剤、イオントラップ剤を添加してもよい。
【0059】
充填剤
本発明の接着剤組成物に添加することのできる(D)成分としての有機充填剤および/または無機充填剤の添加量は、(A)及び(B)成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、1900重量部以下の範囲であり、接着強度の観点から、より好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部の範囲である。
【0060】
用いられる有機充填剤、無機充填剤として具体的には、例えばシリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、チタンホワイト、アクリル、シリコーン、ポリイミド等の粉体、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維体等が挙げられる。
【0061】
添加剤
また、本発明のエポキシ樹脂系接着剤組成物においては、接着強度や耐熱性の面を考慮した各種添加剤を配合することが好ましい。例えば、樹脂と無機充填材との接着性向上のためにはカップリング剤を用いることが望ましく、かかるカップリング剤としてはシラン系、チタネート系、アルミネート系、およびジルコアルミネート系等を挙げることができる。
なかでも好ましいものとしてはシランカップリング剤であり、特にエポキシ基と反応する官能基を持つシランカップリング剤が最も好ましい。
【0062】
そのようなカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのカップリング剤は、予め無機充填材の表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが望ましい。
【0063】
その他の熱可塑性樹脂
本発明のエポキシ樹脂系接着剤組成物には、被着体間の線膨張率の違いや、硬化収縮により発生する応力を緩和するため、あるいは、フィルムの成形性を良くするためその他の熱可塑性樹脂((E)成分)を添加することが望ましい。添加する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、耐熱性がある点で、アクリル系樹脂、エチレンアクリル樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂などが望ましい。
【0064】
さらに、エポキシ樹脂と反応するグリシジル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、酸無水物などの官能基を有するものであることが望ましい。
なかでも耐熱性があり吸湿率が低い点では(F)エチレン−アクリル系エラストマーや(H)シリコーン変成ポリイミドが好ましい。
【0065】
シリコーン変成ポリイミドに関しては、前記式(XIV)で表されるシリコーンジアミンを含むジアミンとテトラカルボン酸2無水物を公知の方法で反応させて得られる溶剤可溶型ポリイミドが好ましい。シリコーン変成ポリイミドは、溶剤可溶性、低吸湿性、低Tg、溶剤乾燥性などで本発明の目的に適している。
【0066】
また、反応性官能基としてグリシジル基を有する、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体のアクリル樹脂は、強い接着強度をもち、耐熱性、保存安定せ位にも優れ好ましい。
【0067】
熱可塑性樹脂の分子量は、硬化前のフィルム強度、接着時の流動性、硬化後の機械強度を考慮すると重量平均分子量として5〜200万程度が好ましく、10〜100万程度がより好ましい。
【0068】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、エポキシ樹脂、硬化剤との配合物に要求されるTgを考慮して選択することが好ましい。近年の低応力化への要求を考慮すると、比較的高Tgのエポキシ樹脂との組み合わせになる熱可塑性樹脂のTgは、より低温の100℃以下のものが望ましい。
【0069】
また、エポキシ樹脂、硬化剤と著しく相溶性が悪く、硬化物でも分離が激しい組み合わせは接着剤組成物として好ましくない。しかし、エポキシ樹脂も硬化剤も、構造に多様性があるため、相溶性の良い組み合わせのものを見つけるのは可能である。同様に、エポキシ樹脂が可溶な溶剤に溶解可能であることもエポキシ樹脂との混合を考慮すると望ましい。
【0070】
シート状接着剤
一般にシート状接着剤は、厚み制御が容易であること、プロセスでの扱いが容易であることなどから広く商品展開されているが、本発明の接着剤組成物も、例えば以下の様にしてフィルム化することができる。
【0071】
エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂など樹脂分は、可溶な有機溶媒、例えばメチルエチルケトンなどに溶解しワニスとする。必要に応じワニスに充填材を加え混錬分散させる。こうして得られたワニスを、コーターでベースフィルム(シート状接着剤がはがしやすいよう、表面処理してあるものが望ましい。)上にコートし、加熱により溶剤を蒸発させ乾燥し、必要に応じBステージ化する。このようにしてシート状接着剤とすることができる。
【0072】
シート状接着剤は、粘着性が低いと取り扱いが容易である。粘着性には使用するエポキシ樹脂、添加する高分子の軟化点温度、Tg、分子量などが影響する。そして、被着体とは、加熱圧着と、その後の硬化で接着できる。
【0073】
上記のような本発明の接着剤組成物は、半導体パッケージや半導体基板などの半導体装置で、半導体チップと支持体(リードフレーム、樹脂基板、フレキシブル基板、放熱板、チップをスタックする場合はチップ上面、スペーサなど)の接着に供することができる。接着剤組成物は、ペースト状の接着剤もしくはシート状接着剤として使用できる。シート状接着剤としては、単層、耐熱性樹脂の少なくとも片面、金属箔の少なくとも片面に接着層を形成したシート状接着剤などとして利用できる。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ(三井化学製R140S)13重量部、クレゾールノボラック型エポキシ(日本化薬製EOCN102S)39重量部、ベンゾイル化フェノールノボラック樹脂49重量部、促進剤として式(1)のR1 〜R6 が全てメチル基であり、Xが酸素である化合物(PZO触媒と称する。)を0.15重量部、アクリル樹脂(ナガセケムテック製P3−DR)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲1▼)を得た。
【0075】
(実施例2)
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ(ジャパンエポキシレジン社製YX4000H)24重量部、DCPG型エポキシ(大日本インキ製HP7200H)24重量部、ベンゾイル化したジシクロペンタジエン変成フィノールノボラック52重量部、PZO触媒0.15重量部、エチレンアクリル樹脂(三井デュポンポリケミカル製ベイマックGLS)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲2▼)を得た。
【0076】
(実施例3)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、シリコーン系ジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)、平均分子量906)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)を101:60:40のモル比で混合調製し重合したシリコーン変成ポリイミド100重量部に対し、エポキシ樹脂としてDCPG型エポキシ(大日本インキ製HP7200H)10重量部、ベンゾイル化したジシクロペンタジエン変成フェノールノボラック8重量部、PZO触媒0.15重量部を、NMP(1−メチル−2−ピロリドン)に溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲3▼)を得た。
【0077】
(比較例)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ(三井化学製R140S)13重量部、クレゾールノボラック型エポキシ(日本化薬製EOCN102S)39重量部、フェノールノボラック樹脂49重量部、促進剤としてイミダゾール(四国化成製2E4MZ)を0.15重量部、アクリル樹脂(ナガセケムテック製P3−DR)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲4▼)を得た。
【0078】
(試験例1)
▲1▼〜▲4▼のフィルムを50mm×50mm×0.5mmの試験片に加工し、125℃にて5時間乾燥後の重量を測定した。これを85℃、85%RH環境下で48時間吸湿させ吸湿後重量を測定した。二つの重量の測定値を用いて吸湿率(重量%)を求めた。その結果を表1のまとめた。
【0079】
【表1】
【0080】
(試験例2)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し(200℃、10sec、5kg加重で熱圧着し、180℃、3hr、無加重で硬化した。以下同様。)、せん断接着強度を測定した。せん断接着強度の測定は、20mm角チップを固定し、5mm角チップにプッシュプルゲージでせん断力を加え、破断強度を測定する方法で行った。その結果を表2にまとめた。
【0081】
【表2】
【0082】
(試験例3)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し、260℃でのせん断接着強度を測定した。せん断接着強度の測定は、20mm角チップを260℃に加熱したホットプレート上に固定し、5mm角チップにプッシュプルゲージでせん断力を加え、破断強度を測定する方法で行った。その結果を表3にまとめた。
【0083】
【表3】
【0084】
(試験例4)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し、85℃、85%RHで168hr吸湿させ、吸湿後30分以内に260℃でのせん断接着強度を測定した。その結果を表4にまとめた。
【0085】
【表4】
【0086】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は、従来エポキシ樹脂系接着剤が用いられてきた産業分野において用いることが可能であり、特に低吸湿率が要求される半導体装置分野において、従来のエポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系接着剤より吸湿リフロー耐性に優れた接着剤として有用である。
【0087】
本発明の接着剤組成物は、半導体分野で要求される、接着強度、耐熱性、低吸湿性、応力緩和性などを高いレベルでバランスさせ得るとともに、吸湿リフロー信頼性に関係する吸湿率を大幅に改善することができるので、半導体装置用接着剤として好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路を含む半導体装置の組み立てに用いられる接着剤組成物に関し、より詳しくは吸湿率を大幅に改善した半導体装置用エポキシ樹脂系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体用接着剤は、熱硬化性樹脂系、熱可塑性樹脂系あるいはそれらの組み合わせで構成されており、半導体装置の構造にもよるが、リードフレームの固定、半導体チップと基板、リードフレームなど支持体との接着、チップ積層型工法ではチップとチップ間の接着、フリップチップ接続の補強、柔軟な基板と支持体との接着、放熱板と支持体との接着、薄型パッケージ積層型工法ではパッケージ間の接着などに供されてきた。
【0003】
半導体装置内に取り込まれる接着剤の場合、封止樹脂と同様に、半導体装置内に空隙を残さないこと、線膨張率の異なる被着体間の応力緩和能に優れること、配線腐食を起こさないこと、吸湿環境に置かれたあとでのはんだリフロー工程でクラックを生じないこと、長期湿熱環境に置かれても性能を維持することなど各種信頼性に耐える性能が要求されている。
【0004】
なかでも吸湿後のリフロー工程で、半田処理条件下に晒される際高温下におかれ、水分の爆発的な気化によりクラックを生じる現象に対する耐性を要求されていた。この耐クラック性を向上するための材料特性では、低い吸湿率、高い接着強度、耐熱性などが要求される。従来の熱硬化性樹脂を含む接着剤においては、コスト面と物性面のバランスからフェノール系樹脂を硬化剤としたエポキシ樹脂系接着剤が多く使われてきた。
【0005】
しかし、樹脂の吸湿に関しては、エポキシ基と水酸基の反応による硬化反応である限り下記反応式(i)で表される様に、必ず水酸基を生成する反応であり、水酸基を要因として親水性が大きくなり、基本骨格を疎水化しても全体としての吸湿率の低減には限界がある。また、接着剤では、封止剤のように充填材を高配合することで、吸湿率を低下させようとすると、接着強度や、応力緩和能が低下する傾向があるため、樹脂自身の吸湿特性を改善することが要求されていた。
【0006】
【化15】
(上式中、Aはエポキシ残基、Bはフェノール残基を示す。)
【0007】
これらの問題を解決する一つの手法として、西久保氏らの特許出願、特開昭62−53327号公報に示される様なエポキシ基とエステル基の反応が提案されている。該公報中には、触媒の好ましいものとして4級オニウム塩やクラウンエーテル錯体が示され、更に同氏らの論文「エポキシ化合物とエステル類との付加反応とその高分子合成への応用」〔有機合成化学第49巻第218〜233頁(1991)〕中において、具体的に単位反応としての各触媒を用いたときの収率が示されている。それによれば最高値としてテトラブチルアンモニウムクロライドの91%があるものの、収率は総じて低い。また、これら4級オニウム塩やクラウンエーテル錯体は、半導体集積回路の封止材として用いられる樹脂中に含まれたままであると、電気的な短絡等の好ましくない結果をもたらすのみでなく、それが接触する金属部分の腐食等も引き起こし、製品として重大な欠陥の原因となることは言うまでもない。
【0008】
一方、一般的なエポキシ樹脂とフェノール樹脂との付加反応においては、触媒としてトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンの様なホスフィン類、イミダゾール類、三級アミン類等が用いられ、特に半導体封止用としてはイミダゾール類、ホスフィン類が多く用いられる。
【0009】
これらの内、イミダゾール類は反応活性があるが、副反応であるエポキシ単独重合を起こしやすく、フェノール樹脂の水酸基が過剰となり、耐湿性、電気特性に劣ったり、本来のエポキシ−フェノール樹脂ネットワーク以外に、エポキシ単独重合部分や、過剰となったフェノール樹脂部分が存在することにより機械特性が低下したりする問題が大きい。イミダゾール類を触媒としてエポキシ/エステル硬化反応に応用した場合、先の西久保氏らの文献によるとエポキシ基に対するエステル基の付加反応の反応収率は約50%程度であり、その他はエポキシ樹脂の単独重合等の副反応であることもふまえると、充分な硬化物が得られる触媒ではない。
【0010】
更に、本発明者らの追試においては、これらイミダゾール類やホスフィン類を硬化触媒としたときに、本発明におけるカルボン酸類によるエステルは実質的にエポキシ樹脂の硬化反応を起こさないことが判る。具体的には、通常、硬化の際に用いられる温度である150〜200℃の範囲では10分以上ゲル化せず、現実には硬化物が得られる前に樹脂組成物が流れ出してしまう状況がみられる。
【0011】
また、エポキシ樹脂をエステル硬化させ、半導体集積回路の封止材として利用するために、フェノール樹脂の10〜90%をエステル化し、硬化剤とする方法が提案されている(特開平9−235451号公報)。この方法は、エステル樹脂を製造するに当たり、原料であるフェノール樹脂のフェノール性水酸基を一部残存させることにより、硬化初期において反応し易いフェノール部分により一次的に架橋部分を形成させ、後のアフターキュアーによりエステル基をエポキシ基に作用させるという発想に基づくものである。
【0012】
しかしながら、該公報に示されている硬化触媒は、ホスフィン類、イミダゾール類およびジアザビシクロ類であり、ホスフィン類は本願比較例(後述)で示されるように、エポキシ基とエステル基に対する充分な硬化触媒能を示さず、また、イミダゾール、ジアザビシクロ類は、前記の西久保氏らの論文から明らかなように、エポキシ単独重合が多く起こり、エポキシ基と硬化剤官能基のモル比の調節が難しく、また物性的にも好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低吸湿率で、耐吸湿リフロー性に優れ、特に耐クラック性に優れた半導体装置用接着剤組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来のフェノール系あるいはナフトール系エポキシ樹脂硬化剤を、エステル化した硬化剤に置き換え、エポキシ基と速やかに反応させる触媒として、下記一般式(1)で表される化合物を必須の成分として用いることにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の内容を包含する。
(1) (A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)硬化促進剤として下記一般式(1)
【0016】
【化16】
(上式中、R1 〜R6 は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基またはアラルキル基を示し、全て同一であっても、それぞれ異なっていても良く、Xは酸素もしくは硫黄原子である。)
で表される化合物を必須の成分とすることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
【0017】
(2) 前記(B)硬化剤として、水酸基の90モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂を含有することを特徴とする前記(1)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0018】
(3) 分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)が、下記一般式(II)で表されるノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(III)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(IV)で表されるフェノールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(V)で表されるナフトールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(VI)で表されるビフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂、または下記一般式(VII)で表されるビスフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂である前記(1)または(2)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0019】
【化17】
(上式中R2は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0020】
【化18】
【0021】
(上式中R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表しその平均は0〜15の範囲である。)
【0022】
【化19】
(上式中R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0023】
【化20】
(上式中R5は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基あるいはグリシジルエーテル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)
【0024】
【化21】
(上式中R6は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)
【0025】
【化22】
(上式中R7は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表す。)
【0026】
(4) 前記硬化剤(B)が、下記一般式(VIII)で表されるノボラック型エステル樹脂、下記一般式(IX)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック型エステル樹脂、下記一般式(X)で表されるフェノールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XI)で表されるナフトールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XII)で表されるビフェノールエステル化合物、または下記一般式(XIII)で表されるビスフェノールエステル化合物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0027】
【化23】
(上式中R8は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0028】
【化24】
(上式中R9は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0029】
【化25】
(上式中R10は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0030】
【化26】
(上式中R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲であり、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0031】
【化27】
(上式中R12は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0032】
【化28】
(上式中R13は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表し、Aは水素原子または脂肪族アシル基あるいは芳香族アシル基を表し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲である。)
【0033】
(5) 前記(A)、(B)、(C)に加え、(E)その他の熱可塑性樹脂を含有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0034】
(6) 前記(E)その他の熱可塑性樹脂が、(F)エチレン−アクリル系エラストマー、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体、(H)シリコーン変成ポリイミドから選ばれるもののうち1種以上である前記(5)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0035】
(7) 前記シリコーン変成ポリイミド(H)がテトラカルボン酸2無水物と式(XIV)で表されるジアミンを含むジアミンとを原料として合成されたポリイミドである前記(6)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【化29】
(上式中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を表し、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0〜20の整数を表わす。)
【0036】
(8) 前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して、前記(F)、(G)、(H)から選ばれるもののうち1種以上を10〜2000重量部含有する前記(5)〜(7)に記載の半導体装置用接着剤組成物。
【0037】
(9) 前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(D)有機充填材および/または無機充填材を0.1重量部以上1900重量部以下の範囲で含有する前記(1)〜(8)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
(10) 前記(1)〜(9)のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物からなる半導体装置用シート状接着剤。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と、(B)硬化剤として、水酸基の10モル%〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂と、(C)硬化促進剤として下記一般式(1)
【0039】
【化30】
(式中、R1 〜R6 は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基あるいは炭素数6〜10のアリール基またはアラルキル基を示し、全て同一であっても、それぞれ異なっていても良く、Xは酸素もしくは硫黄原子である。)
で表される化合物を必須の成分とする半導体装置用接着剤組成物に関するものである。
【0040】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂
本発明の接着剤組成物において、(A)成分のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂であって、このエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は、後述するような各種硬化剤で硬化させられることが可能な限り分子構造、分子量等に特に制限はなく、従来から知られている種々のものを使用することができる。例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールをはじめとする各種ノボラック樹脂から合成されるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、塩素や臭素等のハロゲン原子を導入したエポキシ樹脂などを用いることができる。エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても構わない。
【0041】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂は、具体的な原料としてカテコール、レゾルシン、ハイドロキノンのジヒドロキシベンゼン類、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、下記一般式(XV)で表されるフェノールノボラック樹脂類
【0042】
【化31】
(上式中R14は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
下記一般式(XVI)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック樹脂類
【0043】
【化32】
(上式中R15は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
【0044】
下記一般式(XVII)で表されるフェノールアラルキル樹脂類
【化33】
(上式中R16は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
【0045】
下記一般式(XVIII)で表されるナフトールアラルキル樹脂類
【化34】
(上式中R17は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基あるいは水酸基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表しその平均は0〜15の範囲である。)、
【0046】
下記一般式(XIX)で表されるビフェノール類
【化35】
(上式中R18は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)、
【0047】
下記一般式(XX)で表されるビスフェノール類
【化36】
(上式中R19は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲンを表し、Yは炭素数1〜10のアルキリデン、炭素数2〜10のアルキレン、炭素数3〜10のシクロアルキリデン、炭素数3〜10のシクロアルキレン、−O−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO−、または−SO2−の二価の基を表す。)、
【0048】
4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4,4’−ジアミノフェニル)プロパン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、下記一般式(XXI)で表されるアラルキルアニリン樹脂等の芳香族多価アミン類
【化37】
(上式中R20は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐または環状の脂肪族アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはフェニル基を表し、繰り返し単位数nは0〜50の整数を表し、その平均値は0〜15の範囲である。)、
m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−(4’−ヒドロキシフェニル)メタン等のアミノフェノール類より誘導されるエポキシ化合物あるいはエポキシ樹脂である。
【0049】
中でも更に好ましいのは、フェノールノボラック樹脂類、フェノールジシクロペンタジエン共重合樹脂類、フェノールアラルキル樹脂類、ナフトールアラルキル樹脂類、ビフェノール類、ビスフェノール類より誘導されるエポキシ樹脂あるいは化合物である。
【0050】
エステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂
本発明の接着剤組成物において、(B)成分の硬化剤としては、水酸基の10〜100モル%がカルボン酸類によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂であり、フェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂をエステル化したものは全て該当する。
【0051】
フェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂として好ましいものには、前記一般式(XV)で表されるフェノールノボラック樹脂類、前記一般式(XVI)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック樹脂類、前記一般式(XVII)で表されるフェノールアラルキル樹脂類、前記一般式(XVIII)で表されるナフトールアラルキル樹脂類、前記一般式(XIX)で表されるビフェノール類、前記一般式(XX)で表されるビスフェノール類が挙げられる。
【0052】
これらのフェノール性水酸基を有する化合物あるいは樹脂のエステル化方法は公知の方法で行うことが可能である。エステル化する際に用いるエステル化剤としては、有機カルボン酸無水物、有機カルボン酸ハロゲン化物、有機カルボン酸のいずれでも良い。誘導したいエステルの炭素数に応じ、エステル化剤の特徴により都合の良いものを選択すればよい。このエステル化剤を具体的に例示すれば、無水酢酸、アセチルクロライド、アセチルブロマイド、酢酸、無水プロピオン酸、プロピオン酸クロライド、プロピオン酸ブロマイド、プロピオン酸、無水酪酸、酪酸クロライド、酪酸、無水吉草酸、吉草酸クロライド、吉草酸ブロマイド、吉草酸、ピバリン酸クロライド、ピバリン酸、フェニル酢酸、フェニル酢酸クロライド、2−フェニルプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、o−トリル酢酸、m−トリル酢酸、p−トリル酢酸、クメン酸、無水安息香酸、安息香酸クロライド、安息香酸ブロマイド、安息香酸、o−メチル安息香酸クロライド、m−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロライド、o−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、p−メチル安息香酸、ジメチル安息香酸類、ナフトエ酸類等を挙げることが出来る。これらのエステル化剤は単独あるいは任意の2種類以上を併用して用いることも可能である。
【0053】
また、本発明のエステル含有化合物もしくはエステル含有樹脂のエステル化率は、10モル%〜100モル%の範囲であるが、好ましくは50モル%〜100モル%、より好ましくは80モル%〜100モル%、さらに好ましくは90モル%〜100モル%の範囲である。
【0054】
本発明の接着剤組成物は、2官能以上のエポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂に対して、一例としてエステル化フェノール化合物あるいは樹脂を硬化剤として用いるが、従来のエポキシ−フェノール硬化物と同様に熱硬化性樹脂として同じ分野へ利用することも目的としており、組成物の硬化後に3次元構造を取り得るような組み合わせが望ましい。
【0055】
エポキシ化合物もしくはエポキシ樹脂と硬化剤との配合比は、エポキシ基1モルに対してエステル基もしくはエステル基および水酸基の合計、すなわちエポキシ基に対する活性基が、0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.3モルの割合の範囲であり、硬化物の最適物性が得られるモル比を調整して用いることが好ましい。
【0056】
硬化促進剤
本発明の接着剤組成物で用いる式(1)で表される硬化促進剤については、特開2000−80049号公報に詳細に記されている。式(1)で表されるホスフィンオキシド化合物中のR1 〜R6 は、同種または異種の、水素原子または炭素数1ないし10個の炭化水素基であり、具体的には、このR1 〜R6 は、水素原子や、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。これらのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチルまたは1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の炭素数1ないし8個の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0057】
この硬化促進剤自体は吸湿性を有するので、硬化剤に練りこんで使用することが好ましい。使用目的に応じ必要な硬化速度に合わせて促進剤添加量を調整する必要があるが、硬化促進剤自体の持つ吸湿性を考慮すると、添加量は樹脂全体に対して1wt%以下が好ましい。1wt%を超えて配合した場合、硬化剤の低吸湿性を損なう可能性がある。またフィルム状接着剤におけるBステージ状態での保存安定性を考慮すると、(エポキシ樹脂+硬化剤)の100重量部に対して、0.6重量部以下にすることが望ましい。
【0058】
本発明の接着剤組成物には、本発明の目的を損ねない範囲で、必要に応じて、有機充填剤および/または無機充填剤((D)成分)や、その他の添加剤、例えば、カップリング剤、難燃剤、イオントラップ剤を添加してもよい。
【0059】
充填剤
本発明の接着剤組成物に添加することのできる(D)成分としての有機充填剤および/または無機充填剤の添加量は、(A)及び(B)成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、1900重量部以下の範囲であり、接着強度の観点から、より好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部の範囲である。
【0060】
用いられる有機充填剤、無機充填剤として具体的には、例えばシリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、チタンホワイト、アクリル、シリコーン、ポリイミド等の粉体、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維体等が挙げられる。
【0061】
添加剤
また、本発明のエポキシ樹脂系接着剤組成物においては、接着強度や耐熱性の面を考慮した各種添加剤を配合することが好ましい。例えば、樹脂と無機充填材との接着性向上のためにはカップリング剤を用いることが望ましく、かかるカップリング剤としてはシラン系、チタネート系、アルミネート系、およびジルコアルミネート系等を挙げることができる。
なかでも好ましいものとしてはシランカップリング剤であり、特にエポキシ基と反応する官能基を持つシランカップリング剤が最も好ましい。
【0062】
そのようなカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのカップリング剤は、予め無機充填材の表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが望ましい。
【0063】
その他の熱可塑性樹脂
本発明のエポキシ樹脂系接着剤組成物には、被着体間の線膨張率の違いや、硬化収縮により発生する応力を緩和するため、あるいは、フィルムの成形性を良くするためその他の熱可塑性樹脂((E)成分)を添加することが望ましい。添加する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、耐熱性がある点で、アクリル系樹脂、エチレンアクリル樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂などが望ましい。
【0064】
さらに、エポキシ樹脂と反応するグリシジル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、酸無水物などの官能基を有するものであることが望ましい。
なかでも耐熱性があり吸湿率が低い点では(F)エチレン−アクリル系エラストマーや(H)シリコーン変成ポリイミドが好ましい。
【0065】
シリコーン変成ポリイミドに関しては、前記式(XIV)で表されるシリコーンジアミンを含むジアミンとテトラカルボン酸2無水物を公知の方法で反応させて得られる溶剤可溶型ポリイミドが好ましい。シリコーン変成ポリイミドは、溶剤可溶性、低吸湿性、低Tg、溶剤乾燥性などで本発明の目的に適している。
【0066】
また、反応性官能基としてグリシジル基を有する、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体のアクリル樹脂は、強い接着強度をもち、耐熱性、保存安定せ位にも優れ好ましい。
【0067】
熱可塑性樹脂の分子量は、硬化前のフィルム強度、接着時の流動性、硬化後の機械強度を考慮すると重量平均分子量として5〜200万程度が好ましく、10〜100万程度がより好ましい。
【0068】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、エポキシ樹脂、硬化剤との配合物に要求されるTgを考慮して選択することが好ましい。近年の低応力化への要求を考慮すると、比較的高Tgのエポキシ樹脂との組み合わせになる熱可塑性樹脂のTgは、より低温の100℃以下のものが望ましい。
【0069】
また、エポキシ樹脂、硬化剤と著しく相溶性が悪く、硬化物でも分離が激しい組み合わせは接着剤組成物として好ましくない。しかし、エポキシ樹脂も硬化剤も、構造に多様性があるため、相溶性の良い組み合わせのものを見つけるのは可能である。同様に、エポキシ樹脂が可溶な溶剤に溶解可能であることもエポキシ樹脂との混合を考慮すると望ましい。
【0070】
シート状接着剤
一般にシート状接着剤は、厚み制御が容易であること、プロセスでの扱いが容易であることなどから広く商品展開されているが、本発明の接着剤組成物も、例えば以下の様にしてフィルム化することができる。
【0071】
エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂など樹脂分は、可溶な有機溶媒、例えばメチルエチルケトンなどに溶解しワニスとする。必要に応じワニスに充填材を加え混錬分散させる。こうして得られたワニスを、コーターでベースフィルム(シート状接着剤がはがしやすいよう、表面処理してあるものが望ましい。)上にコートし、加熱により溶剤を蒸発させ乾燥し、必要に応じBステージ化する。このようにしてシート状接着剤とすることができる。
【0072】
シート状接着剤は、粘着性が低いと取り扱いが容易である。粘着性には使用するエポキシ樹脂、添加する高分子の軟化点温度、Tg、分子量などが影響する。そして、被着体とは、加熱圧着と、その後の硬化で接着できる。
【0073】
上記のような本発明の接着剤組成物は、半導体パッケージや半導体基板などの半導体装置で、半導体チップと支持体(リードフレーム、樹脂基板、フレキシブル基板、放熱板、チップをスタックする場合はチップ上面、スペーサなど)の接着に供することができる。接着剤組成物は、ペースト状の接着剤もしくはシート状接着剤として使用できる。シート状接着剤としては、単層、耐熱性樹脂の少なくとも片面、金属箔の少なくとも片面に接着層を形成したシート状接着剤などとして利用できる。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ(三井化学製R140S)13重量部、クレゾールノボラック型エポキシ(日本化薬製EOCN102S)39重量部、ベンゾイル化フェノールノボラック樹脂49重量部、促進剤として式(1)のR1 〜R6 が全てメチル基であり、Xが酸素である化合物(PZO触媒と称する。)を0.15重量部、アクリル樹脂(ナガセケムテック製P3−DR)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲1▼)を得た。
【0075】
(実施例2)
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ(ジャパンエポキシレジン社製YX4000H)24重量部、DCPG型エポキシ(大日本インキ製HP7200H)24重量部、ベンゾイル化したジシクロペンタジエン変成フィノールノボラック52重量部、PZO触媒0.15重量部、エチレンアクリル樹脂(三井デュポンポリケミカル製ベイマックGLS)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲2▼)を得た。
【0076】
(実施例3)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、シリコーン系ジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)、平均分子量906)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)を101:60:40のモル比で混合調製し重合したシリコーン変成ポリイミド100重量部に対し、エポキシ樹脂としてDCPG型エポキシ(大日本インキ製HP7200H)10重量部、ベンゾイル化したジシクロペンタジエン変成フェノールノボラック8重量部、PZO触媒0.15重量部を、NMP(1−メチル−2−ピロリドン)に溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲3▼)を得た。
【0077】
(比較例)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ(三井化学製R140S)13重量部、クレゾールノボラック型エポキシ(日本化薬製EOCN102S)39重量部、フェノールノボラック樹脂49重量部、促進剤としてイミダゾール(四国化成製2E4MZ)を0.15重量部、アクリル樹脂(ナガセケムテック製P3−DR)70重量部をメチルエチルケトンに溶解しワニスを得た。このワニスを表面離型処理したPETフィルムにコート、加熱し、乾燥フィルム(▲4▼)を得た。
【0078】
(試験例1)
▲1▼〜▲4▼のフィルムを50mm×50mm×0.5mmの試験片に加工し、125℃にて5時間乾燥後の重量を測定した。これを85℃、85%RH環境下で48時間吸湿させ吸湿後重量を測定した。二つの重量の測定値を用いて吸湿率(重量%)を求めた。その結果を表1のまとめた。
【0079】
【表1】
【0080】
(試験例2)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し(200℃、10sec、5kg加重で熱圧着し、180℃、3hr、無加重で硬化した。以下同様。)、せん断接着強度を測定した。せん断接着強度の測定は、20mm角チップを固定し、5mm角チップにプッシュプルゲージでせん断力を加え、破断強度を測定する方法で行った。その結果を表2にまとめた。
【0081】
【表2】
【0082】
(試験例3)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し、260℃でのせん断接着強度を測定した。せん断接着強度の測定は、20mm角チップを260℃に加熱したホットプレート上に固定し、5mm角チップにプッシュプルゲージでせん断力を加え、破断強度を測定する方法で行った。その結果を表3にまとめた。
【0083】
【表3】
【0084】
(試験例4)
▲1▼〜▲4▼のフィルム(30μm厚)をSiチップ(5mm×5mm)とSiチップ(20mm×20mm)にはさみ、接着硬化し、85℃、85%RHで168hr吸湿させ、吸湿後30分以内に260℃でのせん断接着強度を測定した。その結果を表4にまとめた。
【0085】
【表4】
【0086】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は、従来エポキシ樹脂系接着剤が用いられてきた産業分野において用いることが可能であり、特に低吸湿率が要求される半導体装置分野において、従来のエポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系接着剤より吸湿リフロー耐性に優れた接着剤として有用である。
【0087】
本発明の接着剤組成物は、半導体分野で要求される、接着強度、耐熱性、低吸湿性、応力緩和性などを高いレベルでバランスさせ得るとともに、吸湿リフロー信頼性に関係する吸湿率を大幅に改善することができるので、半導体装置用接着剤として好適に用いることができる。
Claims (10)
- 前記(B)硬化剤として、水酸基の90モル%〜100モル%がカルボン酸によりエステル化された2官能以上のエステル基含有化合物もしくはエステル基含有樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 分子中に2個以上のエポキシ基を有する前記エポキシ樹脂(A)が、下記一般式(II)で表されるノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(III)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラックエポキシ樹脂、下記一般式(IV)で表されるフェノールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(V)で表されるナフトールアラルキルエポキシ樹脂、下記一般式(VI)で表されるビフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂、または下記一般式(VII)で表されるビスフェノール型エポキシを含むエポキシ樹脂である請求項1または2に記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 前記硬化剤(B)が、下記一般式(VIII)で表されるノボラック型エステル樹脂、下記一般式(IX)で表されるジシクロペンタジエン変性ノボラック型エステル樹脂、下記一般式(X)で表されるフェノールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XI)で表されるナフトールアラルキル型エステル樹脂、下記一般式(XII)で表されるビフェノールエステル化合物、または下記一般式(XIII)で表されるビスフェノールエステル化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 前記(A)、(B)、(C)に加え、(E)その他の熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 前記(E)その他の熱可塑性樹脂が、(F)エチレン−アクリル系エラストマー、(G)Tg(ガラス転移温度)が−50℃以上、重量平均分子量が10万以上でありグリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重量%含むエポキシ基含有アクリル系共重合体、(H)シリコーン変成ポリイミドから選ばれるものうち1種以上である請求項5に記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 前記(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対して、前記(F)、(G)、(H)から選ばれる1種以上を10〜2000重量部含有する請求項5〜7に記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(D)有機充填材および/または無機充填材を0.1重量部以上1900重量部以下の範囲で含有する請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置用接着剤組成物からなる半導体装置用シート状接着剤。
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