JP2004014177A - 質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオンの通過効率を高めつつ、保持構造を簡単にする。
【解決手段】偶数枚の板状の電極50a〜50hを、イオン光軸Cの周囲に径方向に延展させつつ放射状に並べて配置して、レンズ電極50とする。各電極50a〜50hはイオン光軸Cに面する内縁部が傾斜状であるため、電極で囲まれるイオン通過空間は、イオン入射側端面が広くイオンの進行に従ってその面積が小さくなるような略円錐形状となる。周方向に隣接する電極には同一の直流電圧に位相が反転した高周波電圧を重畳した電圧がそれぞれ印加される。イオンはこの高周波電場によって振動しつつ、イオン光軸Cに近づくように収束する。このため、イオンはスキマー6の通過孔に効率よく送り込まれる。
【選択図】 図2
【解決手段】偶数枚の板状の電極50a〜50hを、イオン光軸Cの周囲に径方向に延展させつつ放射状に並べて配置して、レンズ電極50とする。各電極50a〜50hはイオン光軸Cに面する内縁部が傾斜状であるため、電極で囲まれるイオン通過空間は、イオン入射側端面が広くイオンの進行に従ってその面積が小さくなるような略円錐形状となる。周方向に隣接する電極には同一の直流電圧に位相が反転した高周波電圧を重畳した電圧がそれぞれ印加される。イオンはこの高周波電場によって振動しつつ、イオン光軸Cに近づくように収束する。このため、イオンはスキマー6の通過孔に効率よく送り込まれる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は質量分析装置に関し、更に詳しくは、イオン源で発生したイオンを四重極フィルタなどの質量分析器まで輸送するためのイオン光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析装置(以下「MS」と略す)の中で、エレクトロスプレイ質量分析装置(ESP−MS)、大気圧化学イオン化質量分析装置(APCI−MS)、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)等は、略大気圧雰囲気中で試料をイオン化するため、大気圧イオン化質量分析装置(API−MS)と呼ばれる。
【0003】
図9は、従来知られているESP−MSの一例を示す概略構成図である。このMSは、例えば液体クロマトグラフのカラム出口端に接続されたノズル2が配設されて成るイオン化室1と、四重極フィルタ10及び検出器11が内設された分析室9との間に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室4及び第2中間真空室7が設けられている。イオン化室1と第1中間真空室4との間は細径の脱溶媒パイプ3を介して、第1中間真空室4と第2中間真空室7との間は極小径の通過孔(オリフィス)を有するスキマー6を介してのみ連通している。
【0004】
イオン源であるイオン化室1の内部は、ノズル2から連続的に供給される試料溶液の気化分子によりほぼ大気圧雰囲気になっており、第1中間真空室4内はロータリポンプにより約102Paの低真空状態まで真空排気される。また、第2中間真空室7内はターボ分子ポンプにより約10−1〜10−2Paの中真空状態まで真空排気され、分析室9内はターボ分子ポンプにより約10−3〜10−4Paの高真空状態まで真空排気される。すなわち、イオン化室1から分析室9に向かって各室毎に真空度を段階的に高くした多段差動排気系の構成とすることによって、分析室9内が高真空状態に維持されるようにしている。
【0005】
試料溶液はノズル2先端から電荷を付与されながらイオン化室1内に噴霧(エレクトロスプレイ)され、液滴中の溶媒が蒸発する過程で試料分子はイオン化される。イオンが入り混じった液滴はイオン化室1と第1中間真空室4との差圧により脱溶媒パイプ3中に引き込まれ、加熱されている脱溶媒パイプ3を通過する過程で更に溶媒の気化が促進されてイオン化が進む。第1中間真空室4内には例えば円筒形状の第1レンズ電極5が設けられており、それによって発生する電場により脱溶媒パイプ3を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー6のオリフィス近傍に収束させる。
【0006】
スキマー6のオリフィスを通過して第2中間真空室7に導入されたイオンは、例えば複数枚の円環状の第2レンズ電極8により収束及び加速された後に分析室9へと送られる。分析室9では、特定の質量数(質量/電荷)を有するイオンのみが四重極フィルタ10の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量数を持つイオンは途中で発散する。そして、四重極フィルタ10を通り抜けたイオンは検出器11に到達し、検出器11ではそのイオン量に応じた電気信号を出力する。
【0007】
上記構成において、第1レンズ電極5や第2レンズ電極8は一般に総称してイオン光学系と呼ばれており、その主たる作用は、飛行するイオンを電場によって収束し、場合によっては加速しつつ次段へと送ることである。こうしたレンズ電極の構成は、従来より種々の形状のものが提案されている。
【0008】
例えば、図10には、マルチロッド型(この例では4本だが6、8本など偶数であればよい)のレンズ電極20の斜視図を示す。隣接するロッド電極(例えば符号201と202が付された電極)には、同一の直流電圧にそれぞれ位相が反転した高周波電圧が重畳された電圧が印加される。この高周波電場によって、イオン光軸Cの延伸方向に導入されたイオンは所定の周期で振動しながら進む。この構成では、一般にイオンの収束効果が高く、より多くのイオンを後段へ送ることができる。
【0009】
しかしながら、マルチロッド型のレンズ電極20では、各ロッド電極201〜204の入口側の内接円P1と出口側の内接円P2とが同一径であり、それら電極201〜204で囲まれるイオン通過空間の形状は略円筒形である。図9に示すように、特に第1中間真空室4においては、脱溶媒パイプ3から吐き出されるイオンはかなり大きなコーン状に広がるため、第1レンズ電極5の入口側のイオン受容開口が広くないとイオンの捕集効率が悪い。上記のようなマルチロッド型のレンズ電極20では、入口側のイオン受容開口を広くするとスキマー6のオリフィスへの収束効率が悪くなり、結果的にイオンの通過効率を高くすることが困難となる。また、イオン通過空間内ではイオン光軸C方向に直流電圧が一定であるため、該空間内でのイオンの加速は行われない。このため、第1中間真空室4内のように比較的高い圧力条件下(高真空状態に比べれば)では、イオンが残留ガス分子と衝突して運動エネルギが奪われ、第1レンズ電極5を透過するイオンが少なくなるという不利益もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、本出願人は、特願平11−196856号(特開2000−149865号公報参照)において、別の構成を有するレンズ電極を提案している。図11はそのレンズ電極21の一例を示す斜視図である。このレンズ電極21は、イオン光軸Cにほぼ直交する面を有し、その光軸Cに沿って複数並べられた複数枚の金属板電極によって、仮想的なロッド電極211〜214を形成するものである。このような構成によれば、図示したように、1本の仮想的ロッド電極を構成する複数の金属板電極をイオン光軸Cに近づくようにずらして配置することにより、イオン光軸Cの進行方向に向かって内接円の半径を徐々に小さくすることができる。したがって、イオン通過空間は円錐形状となり、イオン入射側で広がっているイオンを無駄なく捕捉してイオン通過空間内に取り込み、徐々に収束させてスキマー6のオリフィスに効率よく送り込むことができる。また、1本の仮想的ロッド電極を構成する各金属板電極にそれぞれ異なる電圧を印加することができるから、それによって直流的な電圧勾配を有する電場を発生させ、イオンを加速することもできる。
【0011】
このように上記構成のレンズ電極21は大きな利点を有するものの、各金属板電極を保持する構造が複雑になる傾向にあり、その分だけコストが高くなることが避けられなかった。そのため、より構造が簡単で、しかも高いイオン通過効率が得られるようなレンズ電極が望まれている。
【0012】
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その主たる目的とするところは、その構造、特に保持構造が簡単であって、しかも高いイオン通過効率を達成することができるレンズ電極を備えた質量分析装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンを発生するイオン源と、該イオンを質量数毎に分離する質量分析器との間に、該イオンを収束させて質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
前記イオン光学系は、イオン光軸を取り囲んで、周方向に互いに分離され、且つ径方向に延展する偶数枚の板状の電極を放射状に配置して成るレンズ電極を含み、該レンズ電極の周方向に隣接する電極にはそれぞれ、互いに位相が反転した高周波電圧と共通の直流電圧とを重畳した電圧を印加することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態、及び効果】
ここで「板状の電極」はその板の厚さについては問わない。したがって、板状の電極の厚さは均一である必要はなく、例えば、外周に向かうに従って厚さが厚くなる形状とすることができる。
【0015】
この発明に係る質量分析装置では、レンズ電極を構成する偶数枚の電極に所定の電圧が印加されたとき、イオン源でイオン化されたイオンがそのレンズ電極で囲まれる空間内に導入されると、高周波電圧によって形成される電場によってイオンは振動しながら進み、後方焦点位置に収束する。したがって、その後方焦点位置の近傍に次段の例えば中間真空室や分析室に連通する小孔を設ける構成とすれば、収束させたイオンを効率よく次段へと送ることができる。その結果、質量分析器により多量のイオンを導入することができ、分析感度や精度の向上に寄与する。
【0016】
また、この構成では、例えば従来のマルチロッド型レンズ電極におけるロッド電極に相当するのは1枚の板状の電極であるため、その電極の外縁部を容易に平坦な面とすることができる。そのため、ネジ止めなどの固着が容易であって、電極の保持構造が簡単になる。したがって、コストを抑えつつ高いイオン通過効率を達成することができる。
【0017】
また、本発明に係る質量分析装置においてイオンの通過効率を高めるために好ましい形態としては、レンズ電極の偶数枚の電極の縁部が接触する、イオン光軸周りの内接円の面積がイオン出射側よりもイオン入射側で広くなるように、上記電極の内縁部をイオン光軸に対して傾斜状又は湾曲状に形成するとよい。
【0018】
これにより、電極の内縁部で囲まれるイオン通過空間は、イオン入射側では広く、イオンの進行に伴って徐々に狭くなる。そのため、イオン入射側で広がっているイオンを無駄なくイオン通過空間内に取り込み、その進行に伴って全体としてイオン光軸に近づくように収束させることができる。その結果、例えば次段へと連通する小孔に効率よくイオンを送り込むことができる。
【0019】
本発明に係る質量分析装置の一態様として、レンズ電極の各電極は、電気的な絶縁材料から成る基体に対して、その内縁部にイオン入射側端部からイオン出射側端部まで連続的に電気抵抗層を有するように構成され、該電気抵抗層の両端部に、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加する構成とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る質量分析装置の別の態様として、レンズ電極の各電極はその全体が半導体的な電気特性を有する材料から構成され、該電極のイオン入射側端部とイオン出射側端部とに、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加する構成とすることもできる。
【0021】
これらの構成によれば、電気抵抗層の両端部又は半導体的電気特性を有する材料から成る電極の両端部に印加される直流電圧の差によって、イオン通過空間内のイオン光軸方向に直流電位の勾配が形成される。そして、この電位勾配によってイオンに運動エネルギを付与し、イオンを加速することができる。そのため、イオンが飛行途中で運動エネルギを失って発散してしまう確率を小さくすることができるから、イオンの通過効率を向上させるのに有用である。
【0022】
なお、上記のように本発明に係る質量分析装置におけるレンズ電極は、イオン入射側でイオンの広がりが大きい場合や、真空度が比較的低く残留ガス分子との衝突によってイオンが運動エネルギを失い易いような場合に特に有効である。そのため、本発明に係る質量分析装置が、イオン源としての略大気圧雰囲気にあるイオン化室又はパイプと、高真空雰囲気にあり前記質量分析器を内装した分析室との間に、それぞれ真空を隔離するための小孔を介して連通した複数の中間真空室を有して成る多段差動排気系の大気圧イオン化質量分析装置であるとき、上記レンズ電極をそのイオン化室の次段の第1中間真空室の内部に設置する構成とするとよい。
【0023】
【実施例】
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例であるエレクトロスプレイ質量分析装置(ESP−MS)について、図面を参照して説明する。図1は本実施例によるESP−MSの概略構成図、図2は第1中間真空室を中心とする拡大図、図3は第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)である。なお、既に説明した図9の構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付して、特に要しない限り説明を省略する。
【0024】
本実施例のESP−MSでは、第1中間真空室4内に特徴的な構成を有する第1レンズ電極50が配置されている。また、第1、第2、第3電圧発生部12、13、14はそれぞれ、第1レンズ電極50、第2レンズ電極8、四重極フィルタ10に印加するための所定電圧を発生するものであり、その電圧値は制御部15により制御される。また、図示しないものの、ノズル2、脱溶媒パイプ3、スキマー6などにもそれぞれ所定の電圧(通常は直流電圧)が印加される。なお、第2中間真空室7内に配置された第2レンズ電極8は、図9に示したものとは異なりマルチロッド型構造を採用しているが、第2レンズ電極8の構成は特に問わない。
【0025】
第1レンズ電極50は、図3(B)に示したような板状の電極501を8枚(図2、図3(A)では符号50a〜50hで示す)、イオン光軸Cの周囲に互いに約45°の角度を保って、径方向に延展するべく放射状に配置したものである。1枚の電極501は、略四角形状の金属板基体(又は他の導電体)502の1つの角部を大きく斜めに切り落として傾斜部503とした形状を有する。そして、8枚の各電極50a〜50hの傾斜部503は、イオン光軸Cに面するように配置されている。
【0026】
この第1レンズ電極50では、各電極50a〜50hにおいてイオン光軸Cに面した内縁部(傾斜部503を含む)で囲まれる空間がイオン通過空間となる。各電極50a〜50hの内縁部の内接円は、イオン入射側においては直径がd1である内接円P1であり、イオン出射側においては直径がd1よりも格段に小さいd2である内接円P2である。したがって、イオン通過空間の形状は略円筒形状の小さな首部を有する略円錐形状体となる。
【0027】
第1レンズ電極50を構成する8枚の電極50a〜50hにあっては、図3(B)に示すように、周方向に1つおきの電極50a、50c、50e、50gと50b、50d、50f、50hとはそれぞれ互いに結線され、第1電圧発生部12からそれぞれ直流電圧と高周波電圧とを重畳した電圧が印加される。このとき、周方向に隣接する電極に印加される直流電圧は同一のXであるが、高周波電圧は互いに位相が反転したもの、つまりY又は−Yである。このような印加電圧によって、上記イオン通過空間内には高周波電場が形成される。
【0028】
上記構成において、脱溶媒パイプ3の両端の差圧によってイオン化室1から脱溶媒パイプ3内に吸い込まれたイオンは、その出口からコーン状に広がるように第1中間真空室4内に吐き出される。これに対し、第1レンズ電極50のイオン受容範囲、つまり上記イオン通過空間の入射側端面の面積は広くなっているため、イオンは高い効率でそのイオン通過空間内に取り込まれる。そして、イオンは上記高周波電場の作用により振動しながら、且つその振動振幅が減衰しながら全体としてイオン光軸Cに近づきつつ進行する。そして、小径のイオン流に絞られた状態でイオン通過空間の出射側端面に達し、その前方に位置しているスキマー6のオリフィスを通して第2中間真空室7へと送り込まれる。したがって、イオンは非常に効率よく収束され、高い通過効率で次段の第2中間真空室7へと遅れられる。
【0029】
なお、第1レンズ電極50のイオン通過空間内でのイオンの振動周期は印加電圧とイオンの質量数とに依存するから、電圧X、Y又はその両方を適宜に調節することによって、特定質量数を有するイオンを選択的に後方焦点位置F近傍に収束させることができる。これにより、後方焦点位置F近傍に収束された特定のイオンのみをオリフィスを通過させて第2中間真空室7へと導入し、それ以外のイオンをオリフィスを通過させずに排気するようにすることもできる。
【0030】
なお、各電極50a〜50hはそれぞれ外縁部が直線形状であって、しかもイオン光軸Cを中心とする同心円上に位置し、外縁部を挟む両面は平面であるため、簡単な構造のホルダで電極50a〜50hを容易に保持することができる。特に、ネジなどの通常利用する固着部材で簡単に固定することができ、溶接等の特別な固着は不要である。また、例えば、ホルダを円環状とすることによって、ホルダと各電極を相互結線するための導体とを兼用することができる。
【0031】
上記実施例の構成では、第1レンズ電極50の各電極501に傾斜部503を設けることによって、略円錐形状のイオン通過空間を形成してイオンの収束効率を高めている。しかしながら、図3(A)で明らかなように、イオン入射端面での内接円P1は出射端面での内接円P2よりも径が大きいため、イオン入射側では隣接する電極501の距離がイオン出射側よりも大きくなる。そのため、イオン入射側では出射側よりも電界強度が弱くなる。
【0032】
そこで、こうした電界強度の弱まりを軽減するためには、図4に示す構成とするとよい。図4(A)、(B)は図3(A)、(B)に対応する図であるが、各電極50a〜50hを接続する結線のみは省略している。この第1レンズ電極50では、1枚の電極501は外周方向に向かうに従い厚みが増すような形状を有している。そのため、内周側と外周側とで、周方向に隣接する電極間の距離の差は図3の構成よりも大幅に縮小している。それによって、イオン通過空間のイオン入射端面に近い部分でも充分に強い電場を形成することができ、イオンを適切に収束することができる。
【0033】
更にまた、上記実施例では、イオン光軸Cの延伸方向に沿って直流電場はほぼ一定であるため(厳密に言えば、イオン光軸から電極の内縁部までの距離の相違により、イオン光軸C上でも直流電場は一定ではない)、その直流電場はイオンを加速する作用を有しない。第1中間真空室4内には脱溶媒パイプ3を介して多くの残留ガス分子が流入する。イオンがこうした残留ガス分子と衝突して運動エネルギを失うと、軌道を外れてオリフィスに到達しない確率が高くなる。イオンの飛行途中で運動エネルギを付与して加速してやれば、仮に途中で残留ガス分子と衝突しても軌道を大きく外れず、オリフィスに到達する確率を高めることができる。
【0034】
そこで、イオン通過空間内でイオンの加速を行えるようにした他の構成を、図5〜図8を参照して説明する。図5(A)、(B)は図3(A)、(B)に対応する図、図6は図2対応する図、図7はイオン光軸C上での電位勾配を示す図である。
【0035】
図5(B)に示すように、この第1レンズ電極50の各電極501の外形形状は図3と同様であるが、その形状を形作る基体511はセラミック、プラスチック等の電気的な絶縁体材料から成る。そして、その基体511の内縁部に相当する傾斜面512と内端面515とには所定の抵抗率を有する抵抗体材料が塗布された電気抵抗層516が形成され、その電気抵抗層516の両端部に相当する入射側縁部513及び出射側縁部514には導電性材料が塗布された導電層が形成されている。実質的には、導電層は電気抵抗層516に電流を流すための導線として機能する。
【0036】
図6に示すように、入射側縁部513の導電層と出射側縁部514の導電層には、それぞれ同一の高周波電圧が相違する直流電圧に重畳された電圧X1+Y、X2+Yが印加される。そのため、電気抵抗層516の両端で高周波電位は同一であるが、直流電位は相違しており、該電気抵抗層516に沿ってスロープ状の電位勾配が形成される。イオン光軸C上での直流電場の電位勾配は図7に示すようになる。イオン通過空間内に導入されたイオンは、高周波電場によって振動するのみならず、こうした直流電場の電位勾配によって、運動エネルギを付与され加速されることになる。これによって、第1レンズ電極50に導入された際に運動エネルギが不足しているようなイオンであっても、電位勾配に沿って加速されつつスキマー6のオリフィスに導かれ、効率よく次段へと送り込まれる。
【0037】
また、図4に示した第1レンズ電極50に対しても上記と同様に図8に示すような構成に変形できることは、容易に想到し得る。更にまた、各電極の基体511自体を半導体的な電気特性を有する材料から構成し、この両端部に電圧を印加することによっても、同様の効果を達成することが可能である。
【0038】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による質量分析装置の概略構成図。
【図2】本実施例の質量分析装置における第1中間真空室を中心とする詳細構成図。
【図3】本実施例の質量分析装置において第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図4】他の構成を有する第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図5】他の実施例の質量分析装置において第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図6】他の実施例の質量分析装置における第1中間真空室を中心とする詳細構成図。
【図7】他の実施例の質量分析装置において第1レンズ電極のイオン通過空間におけるイオン光軸C上での電位勾配を示す図。
【図8】更に他の構成を有する第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図9】従来のESP−MSの一例を示す概略構成図。
【図10】従来のレンズ電極の一例を示す斜視図。
【図11】従来のレンズ電極の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…イオン化室
2…ノズル
3…脱溶媒パイプ
4…第1中間真空室
50…第1レンズ電極
501、50a〜50h…電極
502…金属板基体
503…傾斜部
511…基体(絶縁体)
512…傾斜面
513…入射側縁部
514…出射側縁部
515…内縁面
516…電気抵抗層
6…スキマー
7…第2中間真空室
9…分析室
10…四重極フィルタ
11…検出器
12…第1電圧発生部
15…制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は質量分析装置に関し、更に詳しくは、イオン源で発生したイオンを四重極フィルタなどの質量分析器まで輸送するためのイオン光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析装置(以下「MS」と略す)の中で、エレクトロスプレイ質量分析装置(ESP−MS)、大気圧化学イオン化質量分析装置(APCI−MS)、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)等は、略大気圧雰囲気中で試料をイオン化するため、大気圧イオン化質量分析装置(API−MS)と呼ばれる。
【0003】
図9は、従来知られているESP−MSの一例を示す概略構成図である。このMSは、例えば液体クロマトグラフのカラム出口端に接続されたノズル2が配設されて成るイオン化室1と、四重極フィルタ10及び検出器11が内設された分析室9との間に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室4及び第2中間真空室7が設けられている。イオン化室1と第1中間真空室4との間は細径の脱溶媒パイプ3を介して、第1中間真空室4と第2中間真空室7との間は極小径の通過孔(オリフィス)を有するスキマー6を介してのみ連通している。
【0004】
イオン源であるイオン化室1の内部は、ノズル2から連続的に供給される試料溶液の気化分子によりほぼ大気圧雰囲気になっており、第1中間真空室4内はロータリポンプにより約102Paの低真空状態まで真空排気される。また、第2中間真空室7内はターボ分子ポンプにより約10−1〜10−2Paの中真空状態まで真空排気され、分析室9内はターボ分子ポンプにより約10−3〜10−4Paの高真空状態まで真空排気される。すなわち、イオン化室1から分析室9に向かって各室毎に真空度を段階的に高くした多段差動排気系の構成とすることによって、分析室9内が高真空状態に維持されるようにしている。
【0005】
試料溶液はノズル2先端から電荷を付与されながらイオン化室1内に噴霧(エレクトロスプレイ)され、液滴中の溶媒が蒸発する過程で試料分子はイオン化される。イオンが入り混じった液滴はイオン化室1と第1中間真空室4との差圧により脱溶媒パイプ3中に引き込まれ、加熱されている脱溶媒パイプ3を通過する過程で更に溶媒の気化が促進されてイオン化が進む。第1中間真空室4内には例えば円筒形状の第1レンズ電極5が設けられており、それによって発生する電場により脱溶媒パイプ3を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー6のオリフィス近傍に収束させる。
【0006】
スキマー6のオリフィスを通過して第2中間真空室7に導入されたイオンは、例えば複数枚の円環状の第2レンズ電極8により収束及び加速された後に分析室9へと送られる。分析室9では、特定の質量数(質量/電荷)を有するイオンのみが四重極フィルタ10の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量数を持つイオンは途中で発散する。そして、四重極フィルタ10を通り抜けたイオンは検出器11に到達し、検出器11ではそのイオン量に応じた電気信号を出力する。
【0007】
上記構成において、第1レンズ電極5や第2レンズ電極8は一般に総称してイオン光学系と呼ばれており、その主たる作用は、飛行するイオンを電場によって収束し、場合によっては加速しつつ次段へと送ることである。こうしたレンズ電極の構成は、従来より種々の形状のものが提案されている。
【0008】
例えば、図10には、マルチロッド型(この例では4本だが6、8本など偶数であればよい)のレンズ電極20の斜視図を示す。隣接するロッド電極(例えば符号201と202が付された電極)には、同一の直流電圧にそれぞれ位相が反転した高周波電圧が重畳された電圧が印加される。この高周波電場によって、イオン光軸Cの延伸方向に導入されたイオンは所定の周期で振動しながら進む。この構成では、一般にイオンの収束効果が高く、より多くのイオンを後段へ送ることができる。
【0009】
しかしながら、マルチロッド型のレンズ電極20では、各ロッド電極201〜204の入口側の内接円P1と出口側の内接円P2とが同一径であり、それら電極201〜204で囲まれるイオン通過空間の形状は略円筒形である。図9に示すように、特に第1中間真空室4においては、脱溶媒パイプ3から吐き出されるイオンはかなり大きなコーン状に広がるため、第1レンズ電極5の入口側のイオン受容開口が広くないとイオンの捕集効率が悪い。上記のようなマルチロッド型のレンズ電極20では、入口側のイオン受容開口を広くするとスキマー6のオリフィスへの収束効率が悪くなり、結果的にイオンの通過効率を高くすることが困難となる。また、イオン通過空間内ではイオン光軸C方向に直流電圧が一定であるため、該空間内でのイオンの加速は行われない。このため、第1中間真空室4内のように比較的高い圧力条件下(高真空状態に比べれば)では、イオンが残留ガス分子と衝突して運動エネルギが奪われ、第1レンズ電極5を透過するイオンが少なくなるという不利益もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、本出願人は、特願平11−196856号(特開2000−149865号公報参照)において、別の構成を有するレンズ電極を提案している。図11はそのレンズ電極21の一例を示す斜視図である。このレンズ電極21は、イオン光軸Cにほぼ直交する面を有し、その光軸Cに沿って複数並べられた複数枚の金属板電極によって、仮想的なロッド電極211〜214を形成するものである。このような構成によれば、図示したように、1本の仮想的ロッド電極を構成する複数の金属板電極をイオン光軸Cに近づくようにずらして配置することにより、イオン光軸Cの進行方向に向かって内接円の半径を徐々に小さくすることができる。したがって、イオン通過空間は円錐形状となり、イオン入射側で広がっているイオンを無駄なく捕捉してイオン通過空間内に取り込み、徐々に収束させてスキマー6のオリフィスに効率よく送り込むことができる。また、1本の仮想的ロッド電極を構成する各金属板電極にそれぞれ異なる電圧を印加することができるから、それによって直流的な電圧勾配を有する電場を発生させ、イオンを加速することもできる。
【0011】
このように上記構成のレンズ電極21は大きな利点を有するものの、各金属板電極を保持する構造が複雑になる傾向にあり、その分だけコストが高くなることが避けられなかった。そのため、より構造が簡単で、しかも高いイオン通過効率が得られるようなレンズ電極が望まれている。
【0012】
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その主たる目的とするところは、その構造、特に保持構造が簡単であって、しかも高いイオン通過効率を達成することができるレンズ電極を備えた質量分析装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンを発生するイオン源と、該イオンを質量数毎に分離する質量分析器との間に、該イオンを収束させて質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
前記イオン光学系は、イオン光軸を取り囲んで、周方向に互いに分離され、且つ径方向に延展する偶数枚の板状の電極を放射状に配置して成るレンズ電極を含み、該レンズ電極の周方向に隣接する電極にはそれぞれ、互いに位相が反転した高周波電圧と共通の直流電圧とを重畳した電圧を印加することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態、及び効果】
ここで「板状の電極」はその板の厚さについては問わない。したがって、板状の電極の厚さは均一である必要はなく、例えば、外周に向かうに従って厚さが厚くなる形状とすることができる。
【0015】
この発明に係る質量分析装置では、レンズ電極を構成する偶数枚の電極に所定の電圧が印加されたとき、イオン源でイオン化されたイオンがそのレンズ電極で囲まれる空間内に導入されると、高周波電圧によって形成される電場によってイオンは振動しながら進み、後方焦点位置に収束する。したがって、その後方焦点位置の近傍に次段の例えば中間真空室や分析室に連通する小孔を設ける構成とすれば、収束させたイオンを効率よく次段へと送ることができる。その結果、質量分析器により多量のイオンを導入することができ、分析感度や精度の向上に寄与する。
【0016】
また、この構成では、例えば従来のマルチロッド型レンズ電極におけるロッド電極に相当するのは1枚の板状の電極であるため、その電極の外縁部を容易に平坦な面とすることができる。そのため、ネジ止めなどの固着が容易であって、電極の保持構造が簡単になる。したがって、コストを抑えつつ高いイオン通過効率を達成することができる。
【0017】
また、本発明に係る質量分析装置においてイオンの通過効率を高めるために好ましい形態としては、レンズ電極の偶数枚の電極の縁部が接触する、イオン光軸周りの内接円の面積がイオン出射側よりもイオン入射側で広くなるように、上記電極の内縁部をイオン光軸に対して傾斜状又は湾曲状に形成するとよい。
【0018】
これにより、電極の内縁部で囲まれるイオン通過空間は、イオン入射側では広く、イオンの進行に伴って徐々に狭くなる。そのため、イオン入射側で広がっているイオンを無駄なくイオン通過空間内に取り込み、その進行に伴って全体としてイオン光軸に近づくように収束させることができる。その結果、例えば次段へと連通する小孔に効率よくイオンを送り込むことができる。
【0019】
本発明に係る質量分析装置の一態様として、レンズ電極の各電極は、電気的な絶縁材料から成る基体に対して、その内縁部にイオン入射側端部からイオン出射側端部まで連続的に電気抵抗層を有するように構成され、該電気抵抗層の両端部に、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加する構成とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る質量分析装置の別の態様として、レンズ電極の各電極はその全体が半導体的な電気特性を有する材料から構成され、該電極のイオン入射側端部とイオン出射側端部とに、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加する構成とすることもできる。
【0021】
これらの構成によれば、電気抵抗層の両端部又は半導体的電気特性を有する材料から成る電極の両端部に印加される直流電圧の差によって、イオン通過空間内のイオン光軸方向に直流電位の勾配が形成される。そして、この電位勾配によってイオンに運動エネルギを付与し、イオンを加速することができる。そのため、イオンが飛行途中で運動エネルギを失って発散してしまう確率を小さくすることができるから、イオンの通過効率を向上させるのに有用である。
【0022】
なお、上記のように本発明に係る質量分析装置におけるレンズ電極は、イオン入射側でイオンの広がりが大きい場合や、真空度が比較的低く残留ガス分子との衝突によってイオンが運動エネルギを失い易いような場合に特に有効である。そのため、本発明に係る質量分析装置が、イオン源としての略大気圧雰囲気にあるイオン化室又はパイプと、高真空雰囲気にあり前記質量分析器を内装した分析室との間に、それぞれ真空を隔離するための小孔を介して連通した複数の中間真空室を有して成る多段差動排気系の大気圧イオン化質量分析装置であるとき、上記レンズ電極をそのイオン化室の次段の第1中間真空室の内部に設置する構成とするとよい。
【0023】
【実施例】
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例であるエレクトロスプレイ質量分析装置(ESP−MS)について、図面を参照して説明する。図1は本実施例によるESP−MSの概略構成図、図2は第1中間真空室を中心とする拡大図、図3は第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)である。なお、既に説明した図9の構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付して、特に要しない限り説明を省略する。
【0024】
本実施例のESP−MSでは、第1中間真空室4内に特徴的な構成を有する第1レンズ電極50が配置されている。また、第1、第2、第3電圧発生部12、13、14はそれぞれ、第1レンズ電極50、第2レンズ電極8、四重極フィルタ10に印加するための所定電圧を発生するものであり、その電圧値は制御部15により制御される。また、図示しないものの、ノズル2、脱溶媒パイプ3、スキマー6などにもそれぞれ所定の電圧(通常は直流電圧)が印加される。なお、第2中間真空室7内に配置された第2レンズ電極8は、図9に示したものとは異なりマルチロッド型構造を採用しているが、第2レンズ電極8の構成は特に問わない。
【0025】
第1レンズ電極50は、図3(B)に示したような板状の電極501を8枚(図2、図3(A)では符号50a〜50hで示す)、イオン光軸Cの周囲に互いに約45°の角度を保って、径方向に延展するべく放射状に配置したものである。1枚の電極501は、略四角形状の金属板基体(又は他の導電体)502の1つの角部を大きく斜めに切り落として傾斜部503とした形状を有する。そして、8枚の各電極50a〜50hの傾斜部503は、イオン光軸Cに面するように配置されている。
【0026】
この第1レンズ電極50では、各電極50a〜50hにおいてイオン光軸Cに面した内縁部(傾斜部503を含む)で囲まれる空間がイオン通過空間となる。各電極50a〜50hの内縁部の内接円は、イオン入射側においては直径がd1である内接円P1であり、イオン出射側においては直径がd1よりも格段に小さいd2である内接円P2である。したがって、イオン通過空間の形状は略円筒形状の小さな首部を有する略円錐形状体となる。
【0027】
第1レンズ電極50を構成する8枚の電極50a〜50hにあっては、図3(B)に示すように、周方向に1つおきの電極50a、50c、50e、50gと50b、50d、50f、50hとはそれぞれ互いに結線され、第1電圧発生部12からそれぞれ直流電圧と高周波電圧とを重畳した電圧が印加される。このとき、周方向に隣接する電極に印加される直流電圧は同一のXであるが、高周波電圧は互いに位相が反転したもの、つまりY又は−Yである。このような印加電圧によって、上記イオン通過空間内には高周波電場が形成される。
【0028】
上記構成において、脱溶媒パイプ3の両端の差圧によってイオン化室1から脱溶媒パイプ3内に吸い込まれたイオンは、その出口からコーン状に広がるように第1中間真空室4内に吐き出される。これに対し、第1レンズ電極50のイオン受容範囲、つまり上記イオン通過空間の入射側端面の面積は広くなっているため、イオンは高い効率でそのイオン通過空間内に取り込まれる。そして、イオンは上記高周波電場の作用により振動しながら、且つその振動振幅が減衰しながら全体としてイオン光軸Cに近づきつつ進行する。そして、小径のイオン流に絞られた状態でイオン通過空間の出射側端面に達し、その前方に位置しているスキマー6のオリフィスを通して第2中間真空室7へと送り込まれる。したがって、イオンは非常に効率よく収束され、高い通過効率で次段の第2中間真空室7へと遅れられる。
【0029】
なお、第1レンズ電極50のイオン通過空間内でのイオンの振動周期は印加電圧とイオンの質量数とに依存するから、電圧X、Y又はその両方を適宜に調節することによって、特定質量数を有するイオンを選択的に後方焦点位置F近傍に収束させることができる。これにより、後方焦点位置F近傍に収束された特定のイオンのみをオリフィスを通過させて第2中間真空室7へと導入し、それ以外のイオンをオリフィスを通過させずに排気するようにすることもできる。
【0030】
なお、各電極50a〜50hはそれぞれ外縁部が直線形状であって、しかもイオン光軸Cを中心とする同心円上に位置し、外縁部を挟む両面は平面であるため、簡単な構造のホルダで電極50a〜50hを容易に保持することができる。特に、ネジなどの通常利用する固着部材で簡単に固定することができ、溶接等の特別な固着は不要である。また、例えば、ホルダを円環状とすることによって、ホルダと各電極を相互結線するための導体とを兼用することができる。
【0031】
上記実施例の構成では、第1レンズ電極50の各電極501に傾斜部503を設けることによって、略円錐形状のイオン通過空間を形成してイオンの収束効率を高めている。しかしながら、図3(A)で明らかなように、イオン入射端面での内接円P1は出射端面での内接円P2よりも径が大きいため、イオン入射側では隣接する電極501の距離がイオン出射側よりも大きくなる。そのため、イオン入射側では出射側よりも電界強度が弱くなる。
【0032】
そこで、こうした電界強度の弱まりを軽減するためには、図4に示す構成とするとよい。図4(A)、(B)は図3(A)、(B)に対応する図であるが、各電極50a〜50hを接続する結線のみは省略している。この第1レンズ電極50では、1枚の電極501は外周方向に向かうに従い厚みが増すような形状を有している。そのため、内周側と外周側とで、周方向に隣接する電極間の距離の差は図3の構成よりも大幅に縮小している。それによって、イオン通過空間のイオン入射端面に近い部分でも充分に強い電場を形成することができ、イオンを適切に収束することができる。
【0033】
更にまた、上記実施例では、イオン光軸Cの延伸方向に沿って直流電場はほぼ一定であるため(厳密に言えば、イオン光軸から電極の内縁部までの距離の相違により、イオン光軸C上でも直流電場は一定ではない)、その直流電場はイオンを加速する作用を有しない。第1中間真空室4内には脱溶媒パイプ3を介して多くの残留ガス分子が流入する。イオンがこうした残留ガス分子と衝突して運動エネルギを失うと、軌道を外れてオリフィスに到達しない確率が高くなる。イオンの飛行途中で運動エネルギを付与して加速してやれば、仮に途中で残留ガス分子と衝突しても軌道を大きく外れず、オリフィスに到達する確率を高めることができる。
【0034】
そこで、イオン通過空間内でイオンの加速を行えるようにした他の構成を、図5〜図8を参照して説明する。図5(A)、(B)は図3(A)、(B)に対応する図、図6は図2対応する図、図7はイオン光軸C上での電位勾配を示す図である。
【0035】
図5(B)に示すように、この第1レンズ電極50の各電極501の外形形状は図3と同様であるが、その形状を形作る基体511はセラミック、プラスチック等の電気的な絶縁体材料から成る。そして、その基体511の内縁部に相当する傾斜面512と内端面515とには所定の抵抗率を有する抵抗体材料が塗布された電気抵抗層516が形成され、その電気抵抗層516の両端部に相当する入射側縁部513及び出射側縁部514には導電性材料が塗布された導電層が形成されている。実質的には、導電層は電気抵抗層516に電流を流すための導線として機能する。
【0036】
図6に示すように、入射側縁部513の導電層と出射側縁部514の導電層には、それぞれ同一の高周波電圧が相違する直流電圧に重畳された電圧X1+Y、X2+Yが印加される。そのため、電気抵抗層516の両端で高周波電位は同一であるが、直流電位は相違しており、該電気抵抗層516に沿ってスロープ状の電位勾配が形成される。イオン光軸C上での直流電場の電位勾配は図7に示すようになる。イオン通過空間内に導入されたイオンは、高周波電場によって振動するのみならず、こうした直流電場の電位勾配によって、運動エネルギを付与され加速されることになる。これによって、第1レンズ電極50に導入された際に運動エネルギが不足しているようなイオンであっても、電位勾配に沿って加速されつつスキマー6のオリフィスに導かれ、効率よく次段へと送り込まれる。
【0037】
また、図4に示した第1レンズ電極50に対しても上記と同様に図8に示すような構成に変形できることは、容易に想到し得る。更にまた、各電極の基体511自体を半導体的な電気特性を有する材料から構成し、この両端部に電圧を印加することによっても、同様の効果を達成することが可能である。
【0038】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による質量分析装置の概略構成図。
【図2】本実施例の質量分析装置における第1中間真空室を中心とする詳細構成図。
【図3】本実施例の質量分析装置において第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図4】他の構成を有する第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図5】他の実施例の質量分析装置において第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図6】他の実施例の質量分析装置における第1中間真空室を中心とする詳細構成図。
【図7】他の実施例の質量分析装置において第1レンズ電極のイオン通過空間におけるイオン光軸C上での電位勾配を示す図。
【図8】更に他の構成を有する第1レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す図(A)及び1枚の電極の外観図(B)。
【図9】従来のESP−MSの一例を示す概略構成図。
【図10】従来のレンズ電極の一例を示す斜視図。
【図11】従来のレンズ電極の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…イオン化室
2…ノズル
3…脱溶媒パイプ
4…第1中間真空室
50…第1レンズ電極
501、50a〜50h…電極
502…金属板基体
503…傾斜部
511…基体(絶縁体)
512…傾斜面
513…入射側縁部
514…出射側縁部
515…内縁面
516…電気抵抗層
6…スキマー
7…第2中間真空室
9…分析室
10…四重極フィルタ
11…検出器
12…第1電圧発生部
15…制御部
Claims (5)
- イオンを発生するイオン源と、該イオンを質量数毎に分離する質量分析器との間に、該イオンを収束させて質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
前記イオン光学系は、イオン光軸を取り囲んで、周方向に互いに分離され、且つ径方向に延展する偶数枚の板状の電極を放射状に配置して成るレンズ電極を含み、該レンズ電極の周方向に隣接する電極にはそれぞれ、互いに位相が反転した高周波電圧と共通の直流電圧とを重畳した電圧を印加することを特徴とする質量分析装置。 - 前記レンズ電極の偶数枚の電極の縁部が接触する、イオン光軸周りの内接円の面積がイオン出射側よりもイオン入射側で広くなるように、前記電極の内縁部はイオン光軸に対して傾斜状又は湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
- 前記レンズ電極の各電極は、電気的な絶縁材料から成る基体に対して、その内縁部にイオン入射側端部からイオン出射側端部まで連続的に電気抵抗層を有するように構成され、該電気抵抗層の両端部に、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。
- 前記レンズ電極の各電極はその全体が半導体的な電気特性を有する材料から構成され、該電極のイオン入射側端部とイオン出射側端部とに、異なる直流電圧と同一の高周波電圧とを重畳した電圧をそれぞれ印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。
- 前記イオン源としての略大気圧雰囲気にあるイオン化室又はパイプと、高真空雰囲気にあり前記質量分析器を内装した分析室との間に、それぞれ真空を隔離するための小孔を介して連通した複数の中間真空室を有して成る多段差動排気系の大気圧イオン化質量分析装置であって、前記レンズ電極は前記イオン化室の次段の第1中間真空室の内部に設置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の質量分析装置。
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