JP2004006535A - 超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子とその製造方法 - Google Patents

超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ガラス基板等の安価な基板上に密着層を介さずにW層で下部電極を形成することにより、ヒロックやクラック、剥離がなく、しかもc軸に超高配向した窒化アルミニウム薄膜を形成させた高性能の圧電素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、下部電極は基板面に対してWの(111)面が平行である配向性W層で形成し、且つ圧電体薄膜はロッキングカーブ半値幅(RCFWHM)が2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス等の安価な基板上に窒化アルミニウムを高度にc軸配向させた薄膜を用いた圧電素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウムは、作製・薄膜化が容易であるなど、圧電素子の小型化・薄型化に向けて、有望な材料である。しかし、窒化アルミニウムを圧電素子として利用するには、c軸に一軸配向した窒化アルミニウムが必要であり、c軸配向性が強いほど圧電性も強くなる。また、窒化アルミニウム薄膜を圧電素子として利用する場合は、その上面と下面を電極で挟む必要がある。
【0003】
c軸配向した窒化アルミニウム薄膜は、従来からガラス基板上などへ様々な方法で作製したものが報告(T.Shiosaki, T.Yamamoto, T.Oda, A.Kawabata, Appl.Phys.Lett.,36(1980)643.)されており、また電極膜上に作製したものも報じられている。しかし、いずれも窒化アルミニウム膜のc軸配向性がロッキングカーブ半値幅(RCFWHM)で3.0°程度かそれ以上と大きく、圧電特性も十分ではなかった。
【0004】
また、c軸に超高配向(RCFWHMで2.5°以下)した窒化アルミニウム膜は、(F.Engelmark, G.F.Iriarte, I.V.Katardjiev, M.Ottosson, P.Muralt,S.Berg,J.Vac.Sci.Technol.A,19(2001)2664.)などに報じられているが、基板に単結晶基板を用いて、その上に直接窒化アルミニウムの単結晶または多結晶薄膜を作製するものであるため、基板と窒化アルミニウム薄膜の間に電極を挿入することができず、圧電素子としての利用は困難である。
【0005】
さらに窒化アルミニウム膜は、成膜した際に非常に大きな内部応力をもち、電極上に形成した場合、電極にクラックが生じたり、窒化アルミニウム膜が電極ごと基板から剥がれたりするなど、圧電素子として使用するためには、非常に大きな問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガラス基板等の安価な基板上に密着層を介さずにW層で下部電極を形成することにより、ヒロックやクラック、剥離がなく、しかもc軸に超高配向した窒化アルミニウム薄膜を形成させた高性能の圧電素子を提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、Wの単層のみならず、密着層を含む積層体である下部電極を形成するに際して、下部電極の表面層の材料を適切に選択することにより、同様にc軸に超高配向した窒化アルミニウム薄膜を形成させた高性能の圧電素子を提供することを目的とする。この際、具体的な下部電極の積層構造をも提案する。
【0008】
本発明では、上記窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子を製造するに際して、粒子形状を制御して、ヒロック、クラック又は剥離を生じさせずに、窒化アルミニウム薄膜をc軸に超高配向させる容易且つ安価な作製方法を提供する。
【0009】
本発明は、安価なガラス基板を使用した場合においても単結晶を基板とした場合と同等の性能を実現することを目的とする。
【0010】
さらに本発明は、下部電極をRFプラズマ支援スパッタリング法で成膜することで、窒化アルミニウム薄膜をよりc軸に超高配向させる製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子は、基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は基板面に対してWの(111)面が平行である配向性W層で形成し、且つ前記圧電体薄膜はロッキングカーブ半値幅(RCFWHM)が2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子は、基板上に、該基板と密着する密着層を下層に含む下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は積層体からなり、該積層体の最表層は、1.4付近の電気陰性度を有し且つ窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属の前記結晶面が基板面に対して平行である配向性の金属層で形成し、且つ前記圧電体薄膜はRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子は、基板上に、該基板と密着する密着層を下層に含む下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は、基板面に対してW、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層のいずれかを最表層に形成した積層体で形成し、且つ前記圧電体薄膜はRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子において、前記下部電極は、基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層の表記に従ってTi/Pt又はCr/Ptの二層体に形成するか、或いは基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層/第2層上に形成する第3層の表記に従ってTi/Pt/Au、Ti/Ni/Au又はCr/Ni/Auの三層体に形成することが好ましい。
【0015】
請求項1、2、3又は4記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子において、前記基板は、ガラス基板であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法は、基板上に、Wの(111)面が基板面に対して平行となる配向性W層からなる下部電極を室温乃至W粒子間の隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法は、基板上に、該基板と密着する密着層を含めて二層以上の積層構造の下部電極を形成するに際して、まず前記密着層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜し、1.4付近の電気陰性度を有し且つ窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属を使用して、前記下部電極の最表層に基板面に対して前記金属の前記結晶面が平行となる金属層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで配向させて成膜して下部電極を形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明に係る超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法は、基板上に、該基板と密着する密着層を含めて二層以上の積層構造の下部電極を形成するに際して、まず前記密着層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜し、基板面に対してW、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層を最表層に室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜して前記下部電極を形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする。
【0019】
請求項6、7又は8記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法において、前記基板として、ガラス基板を使用することが好ましい。
【0020】
請求項6、7、8又は9記載の下部電極はRFプラズマ支援スパッタリング法で成膜することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施形態及び実施例を挙げながら詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0022】
本発明に係る圧電素子は、基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有する。ここで、ヒロック、クラック又は剥離のいずれかが下部電極、圧電体薄膜又は上部電極に存在すると、圧電素子としての信頼性が著しく低下するので、本発明では、ヒロック、クラック又は剥離のいずれもない圧電素子とする。
【0023】
本発明は基板上に圧電素子を形成するので、圧力センサ、表面弾性波フィルタ等として使用することができ、しかも高感度とすることが可能である。
【0024】
本発明で使用する基板は、サファイア等の単結晶のみならず、ガラス基板、多結晶セラミック基板、金属基板、樹脂基板等の単結晶基板以外の基板を使用することができる。本発明では単結晶基板を使用できるが、単結晶基板以外の基板においてもc軸に超高配向した窒化アルミニウムを成膜できるので、特に圧電素子の安価化に貢献する。
【0025】
下部電極は、金属単層とするか、或いは基板と密着させる密着層を含む積層体としても良い。
【0026】
下部電極は、金属単層とする場合は、基板面に対してWの(111)面が平行である配向性W層で形成することが好ましい。
【0027】
また、下部電極を、密着層を含む積層体とする場合には、積層体の最表層を形成する金属を1.4付近の電気陰性度を有する金属とすることが好ましい。さらにこの条件に加えて、窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属とすることがさらに好ましい。このような金属は、窒化アルミニウムの(001)面と非常に相性がよいからである。下部電極の最表層は、このような金属の前記結晶面が基板面に対して平行である配向性の金属層で形成することが良い。
【0028】
また、下部電極を、密着層を含む積層体とする具体例として、下部電極は、基板面に対してW、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層のいずれかを最表層に形成した積層体で形成してもよい。W、Pt、Au又はAgの(111)面は、窒化アルミニウムの(001)面と非常に相性がよいからである。
【0029】
さらに、具体例を例示すると、下部電極は、基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層の表記に従ってTi/Pt又はCr/Ptの二層体に形成することが好ましい。また、下部電極は、基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層/第2層上に形成する第3層の表記に従ってTi/Pt/Au、Ti/Ni/Au又はCr/Ni/Auの三層体に形成しても良い。
【0030】
密着層を介さずに基板上にPt、Au又はAgを下部電極として形成すると、応力により、剥離、クラックの発生が生じやすい。上記の密着層を介することで、剥離、クラック或いはヒロックの発生を効果的に防止することができる。しかも、上記密着層はPt、Au又はAgの(111)面の配向を促し、結果として、c軸に超配向した窒化アルミニウム薄膜を成膜することを可能とする。
【0031】
本発明の圧電体薄膜は、ロッキングカーブ半値幅(RCFWHM)が2.5°以下のc軸超配向窒化アルミニウム薄膜で形成する。ロッキングカーブ測定により、結晶面方位(配向方位)の偏り・広がりがわかる。図13に示すように、RCFWHMと圧電素子がためる電荷量とは相関がある。すなわち、RCFWHMが小さいほど、圧電素子は高電荷を蓄積し高性能となる。本発明では、RCFWHMが2.5°以下の窒化アルミニウム薄膜をc軸超配向窒化アルミニウム薄膜とした。
【0032】
本発明の上部電極は、Al、Pt、Au、Ag等の金属又はこれらの金属を主体とした合金、ITO、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、三酸化レニウム、LSCO(La0.5Sr CoO)等の導電性酸化物又は窒化タンタル等の導電性窒化物とすることができる。上記は例示であり、窒化アルミニウム薄膜と密着性がよく、応力を生じさせにくい導電物質であれば使用することができる。
【0033】
次に本発明の圧電素子の製造方法について説明する。まず、基板の選択としては、単結晶基板、多結晶基板或いはアモルファス基板のいずれも選択できるが、基板種によらずc軸超高配向窒化アルミニウム薄膜を形成可能な本発明では、多結晶基板或いはアモルファス基板を選択することが好ましい。ガラス基板、特に石英ガラス基板を選択することが好ましい。
【0034】
本発明において、密着層を含まない下部電極或いは密着層を含む下部電極のいずれにおいても金属を電極材料として用いることから、物理気相成長法(PVD)法を用いて蒸着する。すなわち、抵抗加熱蒸着又は電子ビーム加熱蒸着等の真空蒸着法、DCスパッタリング、高周波スパッタリング、RFプラズマ支援スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、ECRスパッタリング又はイオンビームスパッタリング等の各種スパッタリング法、高周波イオンプレーティング、活性化蒸着又はアークイオンプレーティング等の各種イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザアブレーション法、イオン化クラスタビーム蒸着法、並びにイオンビーム蒸着法などの成膜方法である。このうち、好ましくはスパッタリング法により、特に好ましくはRFプラズマ支援スパッタリング法により、所定の金属或いは合金からなる下部電極を形成する。これらの蒸着方法の選択は、蒸着物質によって適宜選択する。
【0035】
下部電極の成膜温度は、下部電極を構成する金属粒子の粒子間の隙間が生じない程度の低温で、好ましくは室温で行なう。粒子間の隙間が生じると、クラック、剥離が生じやすくなるとともに、上部電極と下部電極とのショート(短絡)が生じ易くなるためである。
【0036】
なお、粒子間の隙間が生ずる成膜温度を超えると、成膜時に粒成長することがあり、この粒成長によって下部電極の微構造が滑らかになる場合がある。このような場合には、ショートのおそれが少なくなるので、粒成長により粒子間の隙間が消失し、微構造が平坦にとなる成膜温度で成膜しても良い。
【0037】
成膜条件は、例えば、圧力は1.0×10−1Pa、窒素ガス分圧比は0%、基板温度は無加熱、ターゲット投入電力は200Wとし、膜厚は材料により変化させる。これらの条件も適宜変更可能である。
【0038】
基板上に、基板と密着する密着層を含めて二層以上の積層構造の下部電極を形成する場合には、まず、密着層を粒子間に隙間が生じない程度の低温、好ましくは室温にてスパッタリングで成膜する。次にこの密着層の上に、窒化アルミニウムの(001)面とマッチングの良い電極面を形成する。この電極面は、例えば、1.4付近の電気陰性度を有し且つ窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属を使用して、下部電極の最表層に基板面に対して前記金属の前記結晶面が平行となる金属層をスパッタリングで配向させて成膜して下部電極を形成する。この場合の成膜温度条件は前記のとおり、下部電極を構成する金属粒子の粒子間の隙間が生じない程度の低温で、好ましくは室温で行なう。
【0039】
このとき、W、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層を最表層として、スパッタリングで形成しても良い。この場合の成膜温度条件は、金属粒子の粒子間の隙間が生じない程度の低温で、好ましくは室温で行なう。
【0040】
密着層を含む下部電極を形成する場合においても、下部電極はRFプラズマ支援スパッタリング法で成膜することが好ましい。
【0041】
下部電極を低温で成膜することにより、窒化アルミニウムを配向させるのに適した最表面を形成するとともに、熱膨張差を無くして応力を下げ、クラック、ヒロック及び剥離の防止を図ることができる。
【0042】
次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成する。この工程はPVD法、特にスパッタリング法で成膜することが好ましい。下部電極を形成した段階で、下部電極の最表層を形成する電極材料である金属は、窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面が基板に対して平行となる状態で配向している。したがって、サファイア等の単結晶と同等の下地表面を形成している。この下部電極の最表層にPVD法により窒化アルミニウムをターゲットとして薄膜を形成することでc軸に超配向した窒化アルミニウム薄膜が得られる。このときの成膜条件は、例えば、圧力は1.3×10−1Pa、窒素ガス分圧比は60%、基板温度は300℃、ターゲット投入電力は200Wである。膜厚は2000nmとした。これらの条件は適宜変更可能である。
【0043】
次いで圧電体薄膜上に上部電極を形成する。前記した上部電極の材質をPVD或いはCVDの蒸着方法により形成する。ここで、蒸着物質によって適宜、蒸着方法を選択する。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を示しながら本発明をさらに詳細に説明する。本発明では元素表記は元素記号を用いた。
【0045】
[高配向性薄膜の作製]
窒化アルミニウム薄膜の電気機械結合係数などの電気的な特性は、結晶の配向性に大きく依存することが知られている。そこで、高配向性AlN薄膜を得るために、下部電極の影響及び下部電極の積層効果について検討した。
【0046】
[実施例1;下部電極の影響]
これまでにAlN薄膜を導電体上に作製する研究は、鉄の耐腐食性を向上させるために行った研究及び表面弾性波(SAW)フィルタ用のAl電極上に作製した研究が主である。その他の導電体上での研究は、僅かしか行われてない。報告されている中で最も高配向性のAlN薄膜は、ガラス基板上のAu薄膜上に作製され、ロッキングカーブの半価幅3°を示している。そこで、下部電極上で高配向性AlN薄膜を得るために、20種類の導電体薄膜上でAlN薄膜を作製し、AIN薄膜の結晶構造への影響を調べた。20種類の導電体薄膜は主にスパッタリング法で室温にて作製した。作製したAlN薄膜のXRDの測定結果を表1に示す。基板にはガラスを使用した。
【0047】
すなわち、石英ガラス(20mm×20mm×1.1mm)を基板とし、下部電極の成膜条件は、圧力は1.0×10−1Pa、窒素ガス分圧比は0%、基板温度は無加熱、ターゲット投入電力は200Wとし、膜厚は材料により変化させた。また、窒化アルミニウムの成膜条件は、圧力は1.3×10−1Pa、窒素ガス分圧比は60%、基板温度は300℃、ターゲット投入電力は200Wとし、膜厚は2000nmとした。
【表1】
Figure 2004006535
【0048】
Al−Si、Ni、Crなどは半導体で良く使われる材料のため、これらが電極として使用できれば半導体と窒化アルミニウム圧電素子を集積する際に有利になるが、残念ながらこれらの材料ではRCFWHMが大きく、またクラックも多数発生した。次に、Pt、Auについては石英基板上に直接これらを形成した場合、基板への密着性が悪く剥離が激しく起こった。そこで、密着層としてTiやCrなどを挿入した。表1の測定結果より、W及びTi/Pt、Ti/Au、Ti/Ag上で、ロッキングカーブの半価幅2°前後の超高配向性を示すAlN薄膜が得られた。
【0049】
なお、下部電極が複層の場合には、左に記載した元素を基板上に形成する第1層とした。例えば、Ti/Ptと表記する場合には、Tiが第1層、Ptが第2層である。下部電極が3層により構成する場合には、第1層/第2層/第3層と表記することとする。
【0050】
ミクロ的に優れた結晶構造を示しても、マクロ的にクラックや剥離が生じた場合は、量産化は困難となる。そこで、光学顕微鏡を用いてそれぞれのAlN薄膜の表面観察を行った。その結果を図1及び2、3に示す。超高配向性及び高結晶化度を示した、W薄膜上に作製したAlN薄膜の表面の光学顕微鏡写真を図1に示す。WとTi/Pt上のAlN薄膜の表面は、図1に示すように滑らかで、均一であり、クラックや剥離はまったく観祭されなかった。
【0051】
一方、Ti/AuやTi/Ag上のAlN薄膜の表面では、図2(左側)に示すようなヒロックと大きなクラックが観察された。既存の半導体技術を生かすためには、Al−Siの使用が有利であるが、Al−Si薄膜上では高配向性のAlN薄膜を得られず、図2(右側)に示すように、激しいクラックの発生が観察された。図3には比較のために、CrとNi薄膜上に作製したAlN薄膜表面の光学顕微鏡写真を示す。CrやNi薄膜などの上に作製したAlN薄膜には、図3に示すように、無数のクラックが入り、所々にピンホールのような部分も観察された。これらの結果より、W及びTi/Pt上のAlN薄膜は、高配向性及び高結晶化度を示し、更にクラックなどを生じない。したがって、下部電極薄膜としては、WまたはTi/Pt薄膜が優れていることがわかった。
【0052】
AlN薄膜がW及びTi/Pt、Ti/Au、Ti/Ag上で優れた結晶構造を示した理由を明らかにするために、下部電極薄膜の配向性と電気陰性度とその上に作製したAlN薄膜の配向性の関係を調べた。その結果を図4と5に示す。下部電極薄膜の配向性が高いほど、AlN薄膜の配向性も高くなる傾向を示した。また、下部電極材料の電気陰性度が1.4付近で高配向性のAIN薄膜が得られた。これより、電気陰性度が1.4付近の導電体を使用することによって、導電体上に優れた結晶構造を示すAlN薄膜を作製することができる。
【0053】
[実施例2;下部電極の積層効果]
AlN薄膜における下部電極の積層効果については、今までに報告例が無い。そこで、金属薄膜を二重、三重に積層させ、AIN薄膜の配向性や結晶化度などの結晶構造への影響を調べた。
【0054】
高配向性及び高結晶化度を示した、Ti/PtとCr/PtのPt系について調べた。石英ガラス(20mm×20mm×1.1mm)を基板とし、下部電極の成膜条件は、圧力は1.0×10−1Pa、窒素ガス分圧比は0%、基板温度は無加熱、ターゲット投入電力は200Wとし、膜厚は材料により変化させた。また、窒化アルミニウムの成膜条件は、圧力は1.3×10−1Pa、窒素ガス分圧比は60%、基板温度は300℃、ターゲット投入電力は200Wとし、膜厚は2000nmとした。
【0055】
それぞれの薄膜上に作製したAlN薄膜のXRDの結果を表2に示す。最下部をTiからCrに変えることによって、AlN薄膜のロッキングカーブの半価幅は2.06°から0.40°に大きく減少した。AlN(002)面のピークの積分強度も約2倍も向上した。AlN(001)の面間隔は4.980Åであり、これらの薄膜の面間隔は4.982Åと4.984Åを示し、若干c軸は伸び、c軸の横方向から圧縮応力が発生していると考えられる。これらより、このCr薄膜はわずか数十nmしかないにもかかわらず、その上に作製されるAlN薄膜の結晶構造に大きく影響することがわかった。また、発明者らが調べた範囲では、ロッキングカーブの半価幅が0.40°を示す、超高配向性AlN薄膜の作製報告は、基板にα−A1単結晶(サファイア)を用い、基板温度500℃以上で得られているのみである。したがって、ガラス基板上で、しかも300℃という低温で超高配向性AIN薄膜が得られたのは、初めてのことである。
【表2】
Figure 2004006535
【0056】
最下部層の影響による、AIN薄膜の配向性及び結晶化度の違いを明らかにするために、極微小領域の表面観察に適している、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、それぞれのAlN薄膜の表面観察を行った。その結果を図6に示す。Ti/Pt薄膜上では、AlN薄膜の表面組さ(Ra)は2.95nmであり、直径約30〜50nmの粒から形成されていた(図6左側)。一方、高配向性を示したCr/Pt薄膜上では、AlN薄膜の表面粗さ(Ra)は1.69nmと比較的低く、いくつかの粒子がつながった二次粒子から形成されていた。このCr/Pt試料は大きい粒子から形成されているにもかかわらず、表面粗さが低く、平らであった。これらの結果より、AlN薄膜の配向性及び結晶化度、成長過程への最下部金属薄膜の影響は大きく、優れた結晶性を示すAlN薄膜を得るためには、最下部金属薄膜の材料の選択も非常に重要であることがわかった。
【0057】
最下部のCr薄膜の影響を更に調べるために、XRDを用いて中間のPt薄膜部分の結晶構造を調べた。その結果を表3に示す。Tiの代わりにCrを最下部に使用した場合、Pt薄膜のロッキングカーブの半価幅は増加し、積分強度は大きく減少した。また、Pt(111)の面間隔は2.2650Åであり、面間隔の差は小さくなっている。これらの結果より、Crを最下部に用いることによって、Pt薄膜の配向性及び結晶化度は低下した。したがって、Pt薄膜が高配向性及び高結晶化度を示すので、その上に作製したAlN薄膜が高配向性及び高結晶化度を示すと思われたが、Ptの配向性及び結晶化度は、AlNの結晶構造を決定する重要な因子ではなく、別の重要な因子があると考えられる。また、図7に示すように、格子定数の変化よりAlNには圧縮、Ptには引っ張りが働いていると考えられる。
【表3】
Figure 2004006535
【0058】
AlN薄膜の結晶構造を決定する重要な因子を明らかにするために、両方のPt薄膜を原子力顕微鏡(AFM)を用いて観察を行った。その結果を図8に示す。Ti薄膜上では、Pt薄膜の表面粗さ(Ra)は1.99nmであり、直径約50nmの均一な粒子から形成されている。一方、Cr薄膜上では、Pt薄膜の表面粗さ(Ra)は4.09nmであり、ところどころ直径約200nmの粒子が観察され、表面は均一ではなかった。また、粒子が無い部分は非常に平らであった。これより、Crを最下部に用いた場合、AlN薄膜の配向性及び結晶化度が向上したのは、Pt薄膜の表面粗さが低下し、平坦性が増したためと推測される。
【0059】
次に、Ti/Au及びTi/Pt/Au、Ti/Ni/Au、Cr/Ni/AuのAu系おいても積層効果を調べた。その結果を表4に示す。ロッキングカーブの半価幅は、すべてほぼ1.6°前後であり、大きな差は見られなかった。(002)ピークの積分強度にも大きな差は観察されなかった。これより、Au系薄膜の場合はPt系薄膜の場合とは異なり、積層効果の影響は観察されなかった。
【表4】
Figure 2004006535
【0060】
Au系の電極では積層効果が観察されなかった理由を明らかにするために、各試料のAu薄膜の結晶構造をXRDを用いて調べた。その結果を表5に示す。
【表5】
Figure 2004006535
Auの(111)面のピークのロッキングカーブの半価幅は、1.62〜6.60°と大きな差が見られ、積分強度においても桁違いの差が見られた。また、Au(111)の面間隔は2.3550Åであるが、どの電極でもAuの格子定数は短く、特にCr/Ni/Auは2.317Åと最も短く、Au薄膜に大きな引っ張り応力が働いていると考えられる。これらのことから、Au系電極の場合も、Auの配向性及び結晶化度には関係なく、その上に作製したAlN薄膜は高配向性及び高結晶化度を示すことがわかった。この場合も、薄膜表面の平坦性が重要な因子と推測される。また、膜に作用する応力も、図7に示したように、AlN薄膜には圧縮、Au薄膜には引っ張りが働いている。
【0061】
Al及びCr/AlのAl系おいても比較してみた。その結果を表6に示す。ロッキングカーブの半価幅は、5.88°から2.57°に減少し、積分強度は600,000から2,090,000(cps)に増加した。これより、Al系薄膜の場合も、AlN薄膜の配向性及び結晶化度、成長過程ヘの最下部の薄膜の影響は大きい。したがって、優れた結晶性を示すAIN薄膜を得るためには、最下部金属薄膜の材料の選択を重視する必要がある。
【表6】
Figure 2004006535
【0062】
実施例1及び実施例2では超高配向性AlN薄膜を作製するために、下部電極の影響及び下部電極の積層効果について検討した。下部電極の種類及び下部電極の積層構造によって、AlN薄膜の配向性及び結晶化度などが大きく変化することがわかった。すなわち、下部電極の影響を調べた結果、W及びTi/Au、Ti/Ag、Ti/Pt薄膜上で高配向性AlN薄膜が得られた。しかし、Ti/Au及びTi/Ag薄膜上に作製したAIN薄膜には、ヒロックや大きなクラックが観察され、Ti/Au及びTi/Agは下部電極材料には適していなかった。一方、W及びTi/Pt上に作製したAlN薄膜の表面は、均一であり、クラックや剥離はほとんど無く、下部電極材料としてはWまたはTi/Ptが適していることがわかった。下部電極材料全体の傾向としては、下部電極の配向性及び結晶化度が高いほど、その上に作製されるAlN薄膜の配向性及び結晶化度も向上する。また、電極材料としては、電気陰性度1.4付近を示す材料が適している。
【0063】
下部電極の積層効果を調べた結果、Pt系薄膜の場合には、AlN薄膜の配向性及び結晶化度、成長過程への最下部の材質の影響は大きく、優れた結晶性を示すAlN薄膜を得るためには、最下部の物質を最適化しなければならない。Crを最下部に用いた場合、AlN薄膜の配向性及び結晶化度が向上するのは、Pt薄膜の表面粗さが低下し、平坦性が増加したためと推測される。Al系薄膜の場合にもCrによって大きな影響が観察された。しかし、Au系薄膜の場合はほとんど変化は観察されなかった。
【0064】
以上の結果より、下部電極にはWまたはTi/Pt積層薄膜、Cr/Pt積層薄膜を使用することによって、超高配向性(ロッキングカーブの半価幅:0.4°)を示すAlN薄膜が、低温で、ガラス基板上でも得られることが明らかとなった。
【0065】
[クラック及びショート対策]
薄膜のショートの原因として、クラックやピンホールが考えられる。これらのクラックやピンホールの発生を防ぐために、下部電極の作製温度の影響及び下部電極の作製方法の影響を調べた。また、AlN薄膜のセンサ等の圧電素子としての信頼性を評価するために、AlN薄膜の密着強度を評価した。
【0066】
[実施例3;下部電極の作製温度の影響]
クラックや剥離の原因として、基板及び下部電極とAlNとの熱膨張係数の差が考えられる。そこで、熱膨張係数の差の影響を小さくし、クラック及び剥離を防ぐために、下部電極の作製温度の影響を調べた。下部電極には高配向性を示したTi/Pt薄膜を用いた。室温及び300℃、約400℃でTi/Pt下部電極を作製した。上部電極には真空蒸着法によるAlを用いた。作製温度が異なる試料を同時に三個作製し、各試料のショート状況を調べた。
【0067】
室温で下部電極を作製した場合は、すべてショートしなかった。一方、300℃で作製したものは、三分の一がショートしなかった。400℃で作製したものはすべてショートしなかった。これより、ショートしない試料を作製するためには、Ti/Pt下部電極を室温または400℃で作製すれば良いことがわかった。
【0068】
電極の作製温度のAIN薄膜の結晶構造への影響を調べるために、それぞれの試料の結晶構造をXRD法を用いて測定した。その結果を表7に示す。Ti/Pt下部電極薄膜の作製温度が高いほど、AlN薄膜の(002)面のロッキングカーブの半価幅は増加し、(002)面のピークの積分強度は減少した。c軸の長さには作製温度の影響は観察されず、すべて4.980Å付近であり、内部応力は発生しなかった。これより、Ti/Pt下部電極薄膜の作製温度が高いほど、AIN薄膜の配向性及び結晶化度は低下する。したがって、ショートせず、高配向性及び高結晶化度を示すAIN薄膜を作製するためには、下部電極薄膜は室温で作製すべきである。
【表7】
Figure 2004006535
【表8】
Figure 2004006535
【0069】
下部電極の作製条件の影響を更に調べるために、原子間力顕微鏡を用いて、各試料の表面形状を調べた。その結果を図9に示す。また、表面粗さと平均粒径の測定結果を表8に示す。Ti/Pt薄膜の作製温度が高くなるほど、AlN薄膜を形成している粒子の大きさが増加し、300℃では粒子間の隙間が多く観察される。しかし、400℃では粒径は大きくなるが、粒子間の隙間は見られなくなった。また、表面粗さも作製温度とともに増加する傾向を示し、400℃では17.9nmと大きな値を示した。これより、室温と400℃で作製した試料がショートしなかったのは、隙間が無く、級密な膜ができていたためであることが分かった。
【0070】
作製温度のPt薄膜への直接の影響を調べるために、Pt薄膜の結晶構造をXRD法を用いて測定した。その結果を表9に示す。Pt薄膜の(111)面のロッキングカーブの半価幅は、作製温度が高くなると減少し、積分強度も減少した。400℃ではPtによるピークが観察されなかった。これより、Pt薄膜の配向性及び結晶化度は、作製温度が高くなると減少する。したがって、AlN薄膜の配向性及び結晶化度が下部電極の作製温度が増加するにつれて減少するのは、下部電極であるPt薄膜の配向性及び結晶化度が作製温度とともに低下するためと考えられる。
【表9】
Figure 2004006535
【表10】
Figure 2004006535
【0071】
各試料のPt電極表面形状を詳細に把握するために、原子間力顕微鏡を用いて観察を行った。その結果を図10に示す。また、作製温度が異なるPt電極の表面粗さと平均粒径の測定結果を表10に示す。Ti/Pt薄膜の作製温度が高くなるほど、Pt薄膜を形成している粒子の大きさが増加し、大きな結晶片に成長していた。また、表面粗さも増加する傾向を示し、400℃では著しい増加を示した。これより、下部電極薄膜の作製温度によるAlN薄膜の表面粗さ及び平均粒径の変化は、作製温度によって下部電極であるPt薄膜の表面粗さ及び平均粒径が大きく変化していたためであることがわかった。したがって、下部電極を室温で作製することによって、ショートせず、高配向性及び高結晶化度を示し、表面がなめらかなAlN薄膜が得られる。
【0072】
他に4つの電極材料(Cr/Pt、Ti/Pt/Au、Ti/Ni/Au、Cr/Ni/Au)についても、作製温度のショートヘの影響について調べた。その結果を表11に示す。
【表11】
Figure 2004006535
【0073】
Cr/Pt下部電極についても作製温度の影響について調べた。室温でCr/Pt薄膜を作製した試料は、三分の二がショートしなかった。300℃で作製したものはすべてショートしなかった。これより、Cr/Ptでは300℃で作製することによって、ショートしにくい試料が得られ、Ti/Ptの場合とは異なった結果が得られた。表12に下部電極の作製温度が異なるAlN薄膜のXRDの測定結果を示す。Cr/Ptの場合も、作製温度が300℃になると配向性及び結晶化度は減少し、Ti/Ptと同様な結果が得られた。また、300℃ではPtのピークは観察されなかった。これより、Cr/Ptは300℃ではTi/Ptとは異なる粒子成長をしているために、異なった結果が得られたと推測される。
【表12】
Figure 2004006535
【0074】
Ti/Pt/Au下部電極についても作製温度の影響について調べた。室温でTi/Pt/Au薄膜を作製した試料はすべてショートせず、300℃で作製した試料は三分の一がショートし、Ti/Ptと同様な結果が得られた。表13に下部電極の作製温度が異なるAlN薄膜のXRDの測定結果を示す。Ti/Pt/Auの場合も、作製温度が300℃になると配向性及び結晶化度は減少し、Ti/Ptと同様な結果が得られた。また、300℃ではPt及びAuのピークは観察されなかった。これより、300℃でショートする原因としては、Ti/Ptと同様な粒成長が起こり、隙間ができたためと思われる。
【表13】
Figure 2004006535
【0075】
Ti/Ni/Au下部電極についても作製温度の影響について調べた。室温でTi/Ni/Au薄膜を作製した試料は、三分の二がショートしなかった。300℃で作製した場合は、三分の一はショートしなかった。表14に下部電極の作製温度が異なるAlN薄膜のXRDの測定結果を示す。Ti/Ni/Auの場合は、作製温度が300℃になると配向性は低下するが、結晶化度は向上し、Ti/Ptなどと異なる結果が得られた。また、300℃ではNi及びAuのピークは観察されなかった。これより、室温や300℃でショートする原因としては、Ti/Ptなどとは異なる粒成長が起こり、隙間ができたためと思われる。
【表14】
Figure 2004006535
【0076】
Cr/Ni/Au下部電極についても作製温度の影響について調べた。Cr/Ni/Au薄膜では、作製温度に関係なく、すべての試料がショートしなかった。表15に下部電極の作製温度が異なるAlN薄膜のXRDの測定結果を示す。Cr/Ni/Auの場合は、作製温度が300℃になると配向性及び結晶化度は向上し、Ti/Ptなどと異なる結果が得られた。また、300℃ではNi及びAuのピークは観察されなかった。これより、室温や300℃でショートしない原因としては、Ti/Ptなどとは異なる粒成長が起こり、緻密な膜ができたためと思われる。
【表15】
Figure 2004006535
【0077】
[実施例4;下部電極の作製方法の影響]
Ti/Pt下部電極薄膜を直流(DC)スパッタリング装置で作製し、作製方法の違いによる影響を調べた。それぞれの薄膜上に作製したAlN薄膜のXRDの測定結果を表16に示す。RFプラズマ支援スパッタリング(RF)で作製した場合が、ロッキングカーブの半価幅は狭く、積分強度も高い。また、絶縁性を調べた結果、RFプラズマ支援スパッタリングではすべての試料がショートしなかったのに対し、DCで作製したものは三分の二がショートしなかった。これらより、Ti/Pt薄膜を作製する場合は、RFプラズマ支援スパッタリングを用いる方が良いことがわかった。
【表16】
Figure 2004006535
【0078】
違いの原因を調べるために、Pt薄膜の結晶構造をXRDで調べた。その結果を表17に示す。Pt(111)ピークのロッキングカーブの半値幅や積分強度にはほとんど差が見られなかった。これより、作製方法の違いによるPt薄膜の結晶構造への影響は確認されなかった。おそらく、平坦性などが影響していると考えられる。
【表17】
Figure 2004006535
【0079】
[実施例5;薄膜の密着強度評価]
薄膜が剥離しやすい場合は、センサ素子として使用する場合非常に困難となる。そこで、AlN薄膜の密着強度を測定する必要がある。AlN薄膜の密着強度を走査型スクラッチ試験機(烏津SST−101)を用いて評価した。荷重−カートリッジ出力グラフを図11に示す。また、スクラッチ痕の顕微鏡写真を図12に示す。
【0080】
スクラッチ試験機の測定条件の詳細は表18に示す。スクラッチ試験は3回行なった。剥離荷重は平均で169.2mN、標準偏差1.0、変動係数0.6%であった。測定は再現性よく行なう事ができ、顕微鏡視野のスクラッチ痕像(図12)から、容易に剥離荷重が得られた。この測定条件での剥離荷重169.2mNは、一般的な薄膜の密着強度より高く、AlN薄膜の密着強度がセンサ素子として十分可能であることを示した。
【表18】
Figure 2004006535
【0081】
実施例3、4及び5では、薄膜のショートの原因として、クラックやピンホールが考えられる。これらのクラックやピンホールの発生を防ぐために、下部電極の作製温度の影響及び下部電極の作製方法の影響について検討した。Ti/Pt薄膜を下部電極に使用した場合、室温または400℃で作製すればショートしない試料を得ることができた。室温と400℃で作製した試料がショートしなかったのは、隙間が無く、緻密な膜ができていたためであった。また、AlN薄膜の配向性及び結晶化度が下部電極の作製温度が増加するにつれて減少したのは、下部電極であるPt薄膜の配向性及び結晶化度が作製温度とともに低下するためと考えられる。下部電極を室温で作製することによって、ショートせず、高配向性及び高結晶化度を示し、表面がなめらかなAlN薄膜が得られることがわかった。
【0082】
他に4つの電極材料(Cr/Pt、Ti/Pt/Au、Ti/Ni/Au、Cr/Ni/Au)についても、作製温度のショートヘの影響について調べた。その結果、作製温度の影響は電極薄膜の積層構造によって異なり、Cr/Ptは300℃で、Ti/Pt/Auは室温で、Cr/Ni/Auはすべての温度ですべてショートしなかった。
【0083】
電極の作製方法の影響を調べた結果、RFプラズマ支援スパッタリング法と直流スパッタリング法を比較したところ、RFプラズマ支援スパッタリング法で作製した試料はすべてショートせず、RFプラズマ支援スパッタリング法を用いることによって、ショートしない確率を向上させることができた。
【0084】
スクラッチ試験機を用いてAlN薄膜の密着強度を評価した結果、剥離荷重169.2mNが得られ、AlN薄膜は比較的高い密着強度を持つことが実証された。
【0085】
本実施例において、窒化アルミニウム薄膜の量産化技術を開発するために、高配向性窒化アルミニウム(AIN)薄膜の作製及びクラックなどによるショートヘの対策、薄膜の高感度化、量産化成膜条件の確立に対して検討を行なった。その結果、下部電極の種類、下部電極の積層構造を最適化することによって、ロッキングカーブの半価幅0.4°を示す、超高配向性AlN薄膜をガラス基板上に作製することができた。また、ショートしない薄膜を作製するために、電極の作製温度を最適化し、RFプラズマ支援スパッタリング法で下部電極を作製することによって、ショートする可能性を減少させることができた。
【0086】
その結果、作製温度の影響は電極薄膜の積層構造によって異なり、Cr/Ptは300℃で、Ti/Pt/Auは室温で、Cr/Ni/Auはすべての温度ですべてショートしなかった。作製方法ではRFプラズマ支援スパッタリング法で作製した場合が、ショートする可能性を減らすことができた。また、AlN薄膜とガラス基板との密着強度を測定した結果、比較的高い強度を持つことが明らかとなった。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、基板上に密着層を介さずにW層で下部電極を形成することにより、ガラス基板等の安価な基板を用いたにもかかわらず、高性能の圧電素子を提供することができた。しかも、高性能であることと、ヒロックやクラック、剥離がないという高品質である点を両立することができた。ここで、高性能というのは、単結晶基板を用いた圧電素子とほぼ同等ということである。本発明は、安価なガラス基板を基板としてこのような高性能・高品質な窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子を提供可能としたことに意義がある。また本発明は、Wの単層のみならず、密着層を含む積層体である下部電極を形成するに際して、下部電極の表面層の材料を適切に選択することにより、安価な基板を用いて高性能・高品質の圧電素子を提供することができた。さらに、本発明は、粒子形状を制御し、さらに加えてRFプラズマ支援スパッタリング法で成膜することにより、ヒロック、クラック又は剥離を生じさせずに、上記の高性能・高品質の圧電素子の製造方法を提供することができた。
【0088】
本発明は下部電極を、窒化アルミニウムの結晶構造とのマッチングを考慮して、適切な表面結晶構造に形成することで、窒化アルミニウムの配向を妨害する基板因子の排除を図り、単結晶基板のみならず石英ガラス板をはじめとする安価且つ多彩な基板にc軸超高配向の窒化アルミニウム薄膜を形成することができる。したがって、圧電素子の形態、設計に自由度を付与することができ、応用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】W薄膜上の窒化アルミニウム薄膜表面の光学顕微鏡(写真)画像である。
【図2】窒化アルミニウム薄膜表面の光学顕微鏡(写真)画像であり、左はTi/Au薄膜上、右はAl−Si薄膜上のものである。
【図3】窒化アルミニウム薄膜表面の光学顕微鏡(写真)画像であり、左はCr薄膜上、右はNi薄膜上のものである。
【図4】窒化アルミニウム薄膜の配向性と下部電極薄膜の配向性との関係を示す図である。
【図5】窒化アルミニウム薄膜の配向性と下部電極薄膜の電気陰性度との関係を示す図である。
【図6】窒化アルミニウム薄膜表面の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、左はTi/Pt薄膜上、右はCr/Pt薄膜上のものである。
【図7】薄膜に働く応力状態を示す概念図である。
【図8】Pt薄膜表面の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、左はTi薄膜上、右はCr薄膜上のものである。
【図9】作製温度を変えたTi/Pt薄膜上の窒化アルミニウム薄膜表面の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、左は室温、中央は300℃、右は400℃である。
【図10】作製温度を変えたTi/Pt薄膜上のPt薄膜表面の原子間力顕微鏡(AFM)像であり、左は室温、中央は300℃、右は400℃である。
【図11】荷重−出力グラフである。
【図12】スクラッチ痕の顕微鏡観察写真(画像)である。
【図13】RCFWHMが異なるときの圧電素子の圧力と電荷量の関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は基板面に対してWの(111)面が平行である配向性W層で形成し、且つ前記圧電体薄膜はロッキングカーブ半値幅(RCFWHM)が2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
  2. 基板上に、該基板と密着する密着層を下層に含む下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は積層体からなり、該積層体の最表層は、1.4付近の電気陰性度を有し且つ窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属の前記結晶面が基板面に対して平行である配向性の金属層で形成し、且つ前記圧電体薄膜はRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
  3. 基板上に、該基板と密着する密着層を下層に含む下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した積層構造を有するヒロック、クラック及び剥離のない圧電素子であって、前記下部電極は、基板面に対してW、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層のいずれかを最表層に形成した積層体で形成し、且つ前記圧電体薄膜はRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜で形成したことを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
  4. 前記下部電極は、基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層の表記に従ってTi/Pt又はCr/Ptの二層体に形成するか、或いは基板上に形成する第1層/第1層上に形成する第2層/第2層上に形成する第3層の表記に従ってTi/Pt/Au、Ti/Ni/Au又はCr/Ni/Auの三層体に形成したことを特徴とする請求項3記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
  5. 前記基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子。
  6. 基板上に、Wの(111)面が基板面に対して平行となる配向性W層からなる下部電極を室温乃至W粒子間の隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法。
  7. 基板上に、該基板と密着する密着層を含めて二層以上の積層構造の下部電極を形成するに際して、まず前記密着層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜し、1.4付近の電気陰性度を有し且つ窒化アルミニウムの(001)面の原子配列と同一配列でその原子間隔とほぼ同じ原子間隔の結晶面を有する金属を使用して、前記下部電極の最表層に基板面に対して前記金属の前記結晶面が平行となる金属層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで配向させて成膜して下部電極を形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法。
  8. 基板上に、該基板と密着する密着層を含めて二層以上の積層構造の下部電極を形成するに際して、まず前記密着層を室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜し、基板面に対してW、Pt、Au又はAgの(111)面が平行である配向性W層、配向性Pt層、配向性Au層又は配向性Ag層を最表層に室温乃至粒子間に隙間が生じない程度の低温にてスパッタリングで成膜して前記下部電極を形成し、次いで前記下部電極上にRCFWHMが2.5°以下のc軸配向窒化アルミニウム薄膜からなる圧電体薄膜を形成し、次いで前記圧電体薄膜上に上部電極を形成することを特徴とする超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法。
  9. 前記基板として、ガラス基板を使用したことを特徴とする請求項6、7又は8記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法。
  10. 請求項6、7、8又は9記載の下部電極はRFプラズマ支援スパッタリング法で成膜したことを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の超高配向窒化アルミニウム薄膜を用いた圧電素子の製造方法。
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