JP2004001876A - 密着防止層を有するキャリアテープ用カバーテープ - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品等の収納・保管・搬送に使用するキャリアテープの蓋材としてのカバーテープに関して、カバーテープ保管時のブロッキング防止とキャリアテープに電子部品を収納して長期間保存してもカバーテープへの電子部品の密着防止ができ、また、収納された電子部品の観察や検査が容易に行える透明性を有し、さらには、搬送中における電子部品とカバーテープとの接触および実装時のカバーテープ剥離により発生する静電気に対する帯電防止能に優れたカバーテープを提供する。
【解決手段】カバーテープの構成層であるヒートシーラント層2(HS層)上に、グラビア印刷法により、ストライプ状のパターンとした密着防止層3を形成する。また、密着防止層を、平均粒径0.01〜0.1μmの導電性金属酸化物微粒子を含有する層とする。
【選択図】 図1
【解決手段】カバーテープの構成層であるヒートシーラント層2(HS層)上に、グラビア印刷法により、ストライプ状のパターンとした密着防止層3を形成する。また、密着防止層を、平均粒径0.01〜0.1μmの導電性金属酸化物微粒子を含有する層とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品搬送用キャリアテープの蓋材であって、そのキャリアテープに対して、ヒートシール性を有するカバーテープの技術に関し、さらに詳しくは、カバーテープの保管特性と使用特性改良の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子を代表とするチップ型電子部品等の搬送および実装用等として、キャリアテープおよびカバーテープと称される部材からなる包装体が、多量に、使用されている。キャリアテープとは、それぞれの部品形状に合わせた収納用エンボス部を持つ一種の容器であり、一方、カバーテープとは、キャリアテープ内へ収納した部品の脱落を防止したり保護するための蓋材である。そして、カバーテープは、通常、その片面に、キャリアテープ上面に対して熱圧着で接着するヒートシール性を備えている。これにより該包装体は、部品の搬送時には、キャリアテープエンボス部に部品を収納した後にカバーテープをヒートシールして一体化物と成し、逆に、電子部品を取り出し使用する実装時には、キャリアテープからカバーテープを機械的に剥離して前記一体化物を分離させるという操作を行って使用する包装体である。
【0003】
このカバーテープに対しては、次のような要求がある。▲1▼キャリアテープに対する良好な接着性、および収納して搬送する電子部品への非接着性の保有。▲2▼近年のヒートシール速度(テーピング速度)の高速化や消費エネルギーの低減化への対応としての低温ヒートシール性、すなわち、キャリアテープに比較的低温で接着可能なヒートシーラント層(以後、HS層と略記する)の保有。▲3▼収納物である電子部品が容易に識別できるような高い透明性の保有。▲4▼搬送中の電子部品接触やキャリアテープからの剥離時に発生する静電気に対する、電子部品の劣化や破壊の危険性を回避するための、帯電防止性能の保有。
ここで特に、上記▲2▼を満足させようとした場合、カバーテープは次のような不具合を起こし易くなる。すなわち、片面全面がHS層であって、通常はロール状巻き物状態としてのテーピング前の保管時に、その接触部である表面と裏面とが密着してしまうブロックキングという現象を起こしたり、シールして部品収納状態で長期保存したときにカバーテープの構成層であるHS層に被収納部品が密着してしまうという不具合である。正常な表裏境界面でテープが剥がれないブロッキングが起きた場合、もはや、カバーテープは機能しないし、電子部品が密着した状態でカバーテープを剥離させた場合には実装作業に支障が生じる。
そこで、カバーテープのブロッキング防止とカバーテープへの部品密着防止のために、HS層中にブロッキング防止剤を添加する方法やHS層上の全面に有機または無機粒子を添加した凹凸層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−207988号公報(第2−3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記HS層にブロッキング防止剤を添加する方法においては、キャリアテープへのヒートシール性と十分な透明性(全光線透過率が80%以上でヘイズ値が30%以下)を確保するために、ブロッキング防止剤の添加量を少なくしたり、粒子径を小さくする必要がある。しかしこの場合は、ブロッキング防止効果および電子部品の密着防止効果が得られにくいという傾向になる。
一方、HS層上の全面に凹凸層を設ける方法においては、キャリアテープ基材に対するHS層の接着力を損なったり、ヒートシール性や透明性をも阻害し易くなるという傾向がある。それは、長期にわたる密着防止効果を得るために、粒子径を大きくして表面の突起高さを大きくする必要があるからである。また、電子部品を支えているのは、粒子の突起部、すなわち点であり、HS層に使用されているバインダー樹脂のビカット軟化点より高温環境化に曝露された場合は、粒子の自重と電子部品の重さによって粒子が沈降してしまい、十分な密着防止効果を得にくいという難点もあった。更には、透明性を得るためには凹凸を緩やかにする方が望ましいのであるが、密着防止効果に対しては逆行するということもあった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カバーテープ保管時のブロッキングを防止し、キャリアテープに電子部品を収納してカバーテープでシールした状態で長期保存してもカバーテープへの電子部品の密着を防止でき、また、収納された電子部品の観察や検査が容易に行える透明性をもったカバーテープの提供を第一の目的とする。また、搬送中における電子部品とカバーテープとの接触により発生する静電気または実装時のカバーテープ剥離により発生する静電気に対する帯電防止効果に優れたカバーテープの提供を第二の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記第一の目的を達成するために、電子部品を収納するキャリアテープ用の蓋材としてのカバーテープにおいて、該カバーテープの構成層であるヒートシーラント層(HS層)上に、グラビア印刷法により、パターン状の密着防止層を形成するものである。また本発明は、前記第二の目的を達成するために、前記第一の目的達成用に形成した密着防止層を、導電性金属酸化物微粒子を含有する層と成すものである。
【0008】
すなわち本発明は、電子部品搬送用キャリアテープにヒートシールして使用するカバーテープであって、基材上に、少なくとも接着剤層、中間層、ヒートシーラント層および密着防止層をこの順に積層して形成したカバーテープにおいて、前記密着防止層を、ヒートシーラント層上に、グラビア印刷法によりストライプ状のパターンとして設けたことを特徴とするカバーテープである。
【0009】
前記パターンとして設ける密着防止層は、HS層上に、グラビア印刷法により、ストライプ状の図柄で形成する。そのため、HS層上には密着防止層の不形成部分があり、ヒートシール性は、主に、この密着防止層不形成部分のHS層成分から得る構成となっている。また、密着防止層は、カバーテープ自身の保管時においてはブロッキングを防ぎ、さらに、電子部品の収納・搬送・実装時においては電子部品とカバーテープとの密着を防止する機能を発揮するものである。このように、HS層中に透明性阻害要因であるブロッキング防止剤を添加しなくても済むか又は添加しても阻害しない範囲の最小限の量に留めることができることに加えて、密着防止層が全面域ではなくストライプ状パターンであることによって、透明性に優れたカバーテープとすることが可能となる。
【0010】
カバーテープは、電子部品を収納した後キャリアテープ蓋材としてヒートシールされ、電子部品を保管・搬送し、電子部品を取り出す際にキャリアテープより剥離される。被収納電子部品は、取り出されるまでに幾度となくカバーテープ内面、すなわちHS層面と接触することとなる。このため、従来のカバーテープでは静電気による帯電が起きる。しかしながら、本発明における第二の目的達成用のカバーテープでは、導電性金属酸化物微粒子を含有する密着防止層を有していて且つパターン状の該密着層とのみ接触するようになるため、静電気を蓄積して帯電することはない。また、ヒートシール部にも該導電性の密着防止層が存在することで剥離時の静電気発生をも抑えることができ、これらの静電気対策によって、電子部品の劣化や破壊の危険性を回避することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照にして説明する。
図1は、本発明のカバーテープを長手(剥離)方向に対して垂直に切断したときの、縦断面積層構造の例を示す図である。図1における積層構造は、基材1上に、接着剤層7、中間層6、HS層2、バインダー4のみからなる密着防止層3を、この順序に積層した層構成の例である。また図2は、図1において、バインダー4中に導電性金属酸化物微粒子5を含有させて密着防止層3’(4+5)を設けた層構成の例であり、密着防止層3’は帯電防止機能を持つ層である。
【0012】
上記において、基材1としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかからなる二軸延伸樹脂フィルムが挙げられ、特には耐熱性に優れ、透明で剛性の高いポリエチレンテレフタレートが好ましい。二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは5〜50μm、好ましくは7〜20μmであり、厚さが5μm未満では剛性が不足し、フィルムとしての強度が保てない。一方、50μmを超えると、剛性が強過ぎて柔軟性に欠け、ヒートシール時に接着不良を起こし易くなる。又、基材1には、その片面或いは両面に塵等の付着防止と層間接着性改善のために、公知の方法による帯電防止処理やコロナ放電処理を付与する事もできる。
【0013】
中間層6は、クッション性を高めてヒートシール性を向上させるために設けられる層であり、ポリエチレン系樹脂層単独あるいはポリエチレン系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層の積層体からなる。中間層6の厚さは5〜40μm、好ましくは10〜30μmである。基材1と中間層6は、接着剤層7によってラミネートされ、接着剤層7としてはイソシアネート系、イミン系等の接着剤が好ましい。接着剤層7の厚さは10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0014】
HS層2に用いる樹脂は、比較的低温で接着性を発現する樹脂が望ましく、例えば、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−アクリル系等のエチレン系共重合樹脂の1種または2種以上の材料が挙げられ、ビカット軟化点としては65℃以下のものが好ましい。
【0015】
HS層2の形成は、エアドクター法、ブレードコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、ダイレクトロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、スライドコート法等のコート法により塗布形成することができるが、溶融共押出法によって中間層6と共に一体形成で得ることもできる。HS層2の厚みは、1μm〜40μm、特に5μm〜30μmが好ましく、厚みが1μm未満の場合、キャリアテープに対するヒートシール強度が不足し、厚みが40μmを超える場合は、カバーテープをヒートシールするときの必要熱量が大きくなり、高速ヒートシール性が困難となる。
【0016】
密着防止層3または3’の形成は、グラビア印刷法によって行うのが好適である。何故なら、パターン形成が容易で、安定した連続塗布形成が可能であり、コスト的にも有利であるからである。密着防止層3または3’の厚みは、0.1μm〜15μm、特には0.2μm〜5μmが好ましく、厚みが0.1μm未満の場合、収納された電子部品がHS層に接触する可能性が高くなり、厚みが15μmを超える場合は、HS層2のヒートシール性を阻害しやすくなり、適度な接着強度が得られ難く、又コスト的にも不利である。
【0017】
密着防止層3または3’のパターンは、剥離時にジッピング(接着部位によって剥離強度差が大きく変化し、特にキャリアテープとの接着部と非接着部が交互に存在する現象)を起こし難くするために、長手(剥離)方向にストライプ状に形成したパターンとする。ストライプ状のパターンは0.05〜0.5mmピッチであることが好ましいが、ストライプの線幅やピッチはヒートシール条件によって最適な形態を選択する事ができる。尚、密着防止層の形成方法によっては、ストライプ状の密着防止層のラインエッジが直線状ではないために密着防止層同士が若干接触する場合もあり得るが、カバーテープ特性を妨げない範囲内であれば接触していても何ら問題はない。さらに、密着防止層3または3’はストライプ状のパターンであり、収納される電子部品との接触は、粒子等の点で支える構成と違い、密着防止層面で行われる。そのため、例え、HS層2に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点以上の高温環境化に曝露されたとしても、密着防止層3または3’が沈降して電子部品がHS層2に接触することを確実に防止できる。
【0018】
密着防止層3または3’に用いる樹脂は、HS層2に対する密着性が良好で透明性を有する熱可塑性樹脂であればよく、特に組成上の制限はない。しかしながら、実施例で述べる<密着防止効果の確認方法>において、密着防止層3または3’をHS層2上の全面に設けたときの密着防止率が、密着防止層3または3’を設けていないHS層2単独の密着防止率よりも高くなる樹脂を選択することが必要である。
【0019】
ここで、本発明における密着防止層は、導電性金属酸化物を含有していなくても含有していても、何れであっても良く、収納する部品の特性若しくは性状または用途などにより、適宜、選択することが可能である。
前記図1は含有していないときの例であり、一方、図2は含有しているときの例である。
【0020】
密着防止層に球状および/または針状の導電性金属酸化物を含有させる場合、導電性金属酸化物の平均粒径は、球状であれば0.01〜0.1μmであることが望ましく、針状であれば長軸方向粒径が0.2〜2.0μmで且つ短軸方向粒径が0.01〜0.02μmであることが望ましい。導電性金属酸化物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して25〜500質量部が好ましく、特に好ましくは50〜350質量部である。これにより、十分な静電気除去効果と透明性を得ることが可能である。導電性金属酸化物の平均粒径が0.01μmより小さい場合は、金属酸化物粒子同士の接触が困難となって静電気の除去効果を得にくくなり、0.1μmより大きい場合は、透明性が得られにくくなるので好ましくない。導電性金属酸化物としては、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム等が挙げられるが、特には、球状であれば錫ドープ酸化インジウム、針状であればアンチモンドープ酸化錫が好適である。これらの導電性金属酸化物は、湿度依存性が少なく、安定した剥離時の帯電防止能の維持をカバーテープに発揮させることができる。
【0021】
密着防止層3’の表面抵抗率は、カバーテープの長手(剥離)方向の同一ストライプ上での測定で、23℃、50%RH下において106 〜1012Ω/□の範囲、好ましくは106 〜1010Ω/□の範囲にすることで、封入された電子部品との接触およびキャリアテープからの剥離時に発生する静電気の十分な除去効果が得られる。表面抵抗率が1012Ω/□を超えると、静電気の十分な除去効果が極端に悪くなり、電子部品等の内容物に静電気障害を招く危険性が増し、また、106Ω/□未満になると、外部からカバーテープを介して電子部品に電気が通電する可能性があるために好ましくない。また、透明性を向上させるために、必要に応じて分散安定剤等の添加剤を包含させることができる。
【0022】
【実施例】
次に、具体的な実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、以下「部」は質量部を表わす。
(実施例1) ※帯電防止効果が不要である用途向けカバーテープの例
片面をコロナ処理した膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面と、中間層として膜厚23μmのポリエチレン層とエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を主成分とする膜厚12μmのHS層(ビカット軟化点:55℃)の共押出フィルムのポリエチレン側にイソシアネート系接着剤を用いてコールドラミネートした。更に、HS層上に下記密着防止層用塗料(1)を使用して、膜厚0.5μmの密着防止層を線幅0.2mm、線間0.2mmとした長手方向に平行なストライプパターンをグラビア印刷法により形成し、図1に示した層構成のカバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(1)とその組成]
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製)23部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
【0023】
(実施例2) ※帯電防止効果を必要とする用途向けカバーテープの例
実施例1に於いて、密着防止層用塗料を下記密着防止層用塗料(2)とした以外は実施例1と同様にして、図2に示した構成のカバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(2)とその組成]
・錫ドープ酸化インジウム微粒子(平均粒径0.02μm) 30部
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製) 23部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
・分散安定剤 2部
【0024】
(比較例1)
実施例1に於いて、密着防止層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0025】
(比較例2)
実施例1において、密着防止層をストライプ状ではなく全面形成かつ膜厚0.5μmで形成した以外は実施例1と同様にして、カバーテープを作製した。
【0026】
(比較例3)
比較例1のHS層に使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の代わりに、予め該共重合樹脂100部に対して50部のシリカ粒子(平均粒径5μm)をブロッキング防止剤として混合させたシリカ含有樹脂でHS層を形成した以外は比較例1と同様にして、即ち、密着防止層は無しで、カバーテープを作製した。
【0027】
(比較例4)
比較例1において、HS層表面の平均表面粗さが8μmの凹凸になるように機械的にマット処理した以外は同様にして、即ち、密着防止層は無しで、カバーテープを作製した。
【0028】
(比較例5)
比較例2において、密着防止層を下記密着防止層用塗料(3)とした以外は比較例2と同様にし、即ち、密着防止層はストライプ状ではなく全面形成により、カバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(3)とその組成]
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製)23部
・シリカ粒子(平均粒径5μm) 5部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
・分散安定剤 2部
【0029】
上記で得たカバーテープについて、下記条件で全光線透過率、ヘイズ値および密着防止層面の長手(剥離)方向の表面抵抗率を測定した。また、下記方法により、密着防止効果、ブロッキング防止効果およびキャリアテープに対する接着性の評価を行った。その評価結果を表1に示した。
【0030】
<全光線透過率およびヘイズ値の測定>
日本電色工業(株)製NDH2000を用いて測定した。
【0031】
<表面抵抗率の測定>
23℃、50%RH下、三菱油化(株)製ハイレスタを用いて測定した。
【0032】
<密着防止効果の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープの密着防止層またはHS層上に、自重が1gの電子部品を載せて、60℃の乾燥機内に7日放置したときの密着防止率を求め評価した。密着防止率とは、電子部品がカバーテープに密着しない割合であって、上記環境下で7日放置した電子部品を載せたカバーテープを、電子部品が下になるように静かに反転させて静止させたとき、電子部品が1秒以内に自然落下する個数割合(電子部品の試料数n=10個)である。例えば、1秒以内に試料10個全てが落下した場合は、密着防止率は100%であって密着性が小、逆に1秒以内に試料10個の全てが落下せずにカバーテープに残ったままの場合は、密着防止率は0%であって、密着性が大の評価結果となる。
【0033】
<ブロッキング防止効果の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープを幅13.5mmにスリット後、3インチコアに長さ900mで巻き取った。得られたリール状のカバーテープを40℃の温度下で1ヶ月放置した後、カバーテープを巻きだしてブロッキングの有無を確認した。ブロッキングの発生していないものを○、発生したものを×とした。
【0034】
<キャリアテープに対する接着性の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープを13.5mm幅にスリット後、導電性カーボン微粒子を含有する市販の16mm幅ポリスチレン製キャリアテープに下記条件でヒートシールした後、ヒートシール性を評価した。
・ヒートシール条件:23℃、50%RH下において、(株)パルメック製エンボスキャリア半自動テーピング機を用いて、シール温度100℃、シールコテ幅0.6mm、レール幅12mm、圧力0.4MPa、シール時間0.4秒の2度打ちで実施した。
・剥離強度の測定条件:(株)パルメック製エンボスキャリアテープ剥離強度テスターを用いて、剥離速度=300mm/minで測定した。尚、接着性の良否評価方法は、上記ヒートシール条件のもとで、JIS C0806−31999に記載されていて、実用上好ましい剥離強度と考えられる0.1N〜1.3Nの剥離強度が得られ、且つ、ジッピングの起きないものを○とし、それ以外を×とした。
【0035】
【表1】
表1.実施例および比較例の評価結果
※1:帯電防止効果が不要の例 ※2:帯電防止効果を必要とする例
【0036】
上記表1中の略字は、以下の内容を示す。
EVA:エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
EVA−S:シリカ粒子を分散したエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
EVA−M:表面をマット処理したエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
【0037】
上記表1の結果から、実施例1および2はカバーテープのブロッキング発生が無く、HS層に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点以上の温度に曝されても収納されている電子部品との密着が起きず、かつ、高透明性を有していることが判る。更に、実施例2は表面抵抗率が108であって、密着防止層に帯電防止効果が有ることが判る。これに対して、比較例1は、密着防止層を設けていないためにカバーテープのブロッキングが発生し、電子部品の密着防止効果も劣っている。また比較例2は、HS層上の全面に密着防止層を設けているために電子部品の密着防止効果とブロッキング防止効果は有るものの、キャリアテープ基材との接着性が劣っている。比較例3は、HS層自身にブロッキング防止剤を添加してあるため、ブロッキング防止効果は得られるが、透明性が劣っている。比較例4は、キャリアテープ基材との接着性は有るが、電子部品の密着防止効果や透明性が劣っている。比較例5は、キャリアテープ基材との接着性や透明性が劣っている。
【0038】
【発明の効果】
本発明のカバーテープは、HS層上にストライプ状のパターンとした密着防止層を設けてあるため、透明性に優れ、長期保存中にHS層に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点を越える環境下に曝されても、キャリアテープに対して十分な接着性を維持しながら収納された電子部品との密着を防止することができと共にヒートシール前のカバーテープ自身のブロッキングをも防止することができる。更に、密着防止層に湿度依存性のない微細な導電性金属酸化物による帯電防止効果を付与できるため、透明性と帯電防止能を兼ね備えたカバーテープを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性金属酸化物を含有しない密着防止層を有する本発明のカバーテープを、その長手方向に対して垂直に切断したときの縦断面積層構造の例を示す模式図である。
【図2】導電性金属酸化物を含有する密着防止層を有する本発明のカバーテープを、その長手方向に対して垂直に切断したときの縦断面積層構造の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 : 基材層
2 : HS層
3 : 密着防止層(導電性金属酸化物を含有しない)
3’: 密着防止層(導電性金属酸化物を含有し、帯電防止機能がある)
4 : バインダー
5 : 導電性金属酸化物
6 : 中間層
7 : 接着剤層
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品搬送用キャリアテープの蓋材であって、そのキャリアテープに対して、ヒートシール性を有するカバーテープの技術に関し、さらに詳しくは、カバーテープの保管特性と使用特性改良の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子を代表とするチップ型電子部品等の搬送および実装用等として、キャリアテープおよびカバーテープと称される部材からなる包装体が、多量に、使用されている。キャリアテープとは、それぞれの部品形状に合わせた収納用エンボス部を持つ一種の容器であり、一方、カバーテープとは、キャリアテープ内へ収納した部品の脱落を防止したり保護するための蓋材である。そして、カバーテープは、通常、その片面に、キャリアテープ上面に対して熱圧着で接着するヒートシール性を備えている。これにより該包装体は、部品の搬送時には、キャリアテープエンボス部に部品を収納した後にカバーテープをヒートシールして一体化物と成し、逆に、電子部品を取り出し使用する実装時には、キャリアテープからカバーテープを機械的に剥離して前記一体化物を分離させるという操作を行って使用する包装体である。
【0003】
このカバーテープに対しては、次のような要求がある。▲1▼キャリアテープに対する良好な接着性、および収納して搬送する電子部品への非接着性の保有。▲2▼近年のヒートシール速度(テーピング速度)の高速化や消費エネルギーの低減化への対応としての低温ヒートシール性、すなわち、キャリアテープに比較的低温で接着可能なヒートシーラント層(以後、HS層と略記する)の保有。▲3▼収納物である電子部品が容易に識別できるような高い透明性の保有。▲4▼搬送中の電子部品接触やキャリアテープからの剥離時に発生する静電気に対する、電子部品の劣化や破壊の危険性を回避するための、帯電防止性能の保有。
ここで特に、上記▲2▼を満足させようとした場合、カバーテープは次のような不具合を起こし易くなる。すなわち、片面全面がHS層であって、通常はロール状巻き物状態としてのテーピング前の保管時に、その接触部である表面と裏面とが密着してしまうブロックキングという現象を起こしたり、シールして部品収納状態で長期保存したときにカバーテープの構成層であるHS層に被収納部品が密着してしまうという不具合である。正常な表裏境界面でテープが剥がれないブロッキングが起きた場合、もはや、カバーテープは機能しないし、電子部品が密着した状態でカバーテープを剥離させた場合には実装作業に支障が生じる。
そこで、カバーテープのブロッキング防止とカバーテープへの部品密着防止のために、HS層中にブロッキング防止剤を添加する方法やHS層上の全面に有機または無機粒子を添加した凹凸層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−207988号公報(第2−3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記HS層にブロッキング防止剤を添加する方法においては、キャリアテープへのヒートシール性と十分な透明性(全光線透過率が80%以上でヘイズ値が30%以下)を確保するために、ブロッキング防止剤の添加量を少なくしたり、粒子径を小さくする必要がある。しかしこの場合は、ブロッキング防止効果および電子部品の密着防止効果が得られにくいという傾向になる。
一方、HS層上の全面に凹凸層を設ける方法においては、キャリアテープ基材に対するHS層の接着力を損なったり、ヒートシール性や透明性をも阻害し易くなるという傾向がある。それは、長期にわたる密着防止効果を得るために、粒子径を大きくして表面の突起高さを大きくする必要があるからである。また、電子部品を支えているのは、粒子の突起部、すなわち点であり、HS層に使用されているバインダー樹脂のビカット軟化点より高温環境化に曝露された場合は、粒子の自重と電子部品の重さによって粒子が沈降してしまい、十分な密着防止効果を得にくいという難点もあった。更には、透明性を得るためには凹凸を緩やかにする方が望ましいのであるが、密着防止効果に対しては逆行するということもあった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カバーテープ保管時のブロッキングを防止し、キャリアテープに電子部品を収納してカバーテープでシールした状態で長期保存してもカバーテープへの電子部品の密着を防止でき、また、収納された電子部品の観察や検査が容易に行える透明性をもったカバーテープの提供を第一の目的とする。また、搬送中における電子部品とカバーテープとの接触により発生する静電気または実装時のカバーテープ剥離により発生する静電気に対する帯電防止効果に優れたカバーテープの提供を第二の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記第一の目的を達成するために、電子部品を収納するキャリアテープ用の蓋材としてのカバーテープにおいて、該カバーテープの構成層であるヒートシーラント層(HS層)上に、グラビア印刷法により、パターン状の密着防止層を形成するものである。また本発明は、前記第二の目的を達成するために、前記第一の目的達成用に形成した密着防止層を、導電性金属酸化物微粒子を含有する層と成すものである。
【0008】
すなわち本発明は、電子部品搬送用キャリアテープにヒートシールして使用するカバーテープであって、基材上に、少なくとも接着剤層、中間層、ヒートシーラント層および密着防止層をこの順に積層して形成したカバーテープにおいて、前記密着防止層を、ヒートシーラント層上に、グラビア印刷法によりストライプ状のパターンとして設けたことを特徴とするカバーテープである。
【0009】
前記パターンとして設ける密着防止層は、HS層上に、グラビア印刷法により、ストライプ状の図柄で形成する。そのため、HS層上には密着防止層の不形成部分があり、ヒートシール性は、主に、この密着防止層不形成部分のHS層成分から得る構成となっている。また、密着防止層は、カバーテープ自身の保管時においてはブロッキングを防ぎ、さらに、電子部品の収納・搬送・実装時においては電子部品とカバーテープとの密着を防止する機能を発揮するものである。このように、HS層中に透明性阻害要因であるブロッキング防止剤を添加しなくても済むか又は添加しても阻害しない範囲の最小限の量に留めることができることに加えて、密着防止層が全面域ではなくストライプ状パターンであることによって、透明性に優れたカバーテープとすることが可能となる。
【0010】
カバーテープは、電子部品を収納した後キャリアテープ蓋材としてヒートシールされ、電子部品を保管・搬送し、電子部品を取り出す際にキャリアテープより剥離される。被収納電子部品は、取り出されるまでに幾度となくカバーテープ内面、すなわちHS層面と接触することとなる。このため、従来のカバーテープでは静電気による帯電が起きる。しかしながら、本発明における第二の目的達成用のカバーテープでは、導電性金属酸化物微粒子を含有する密着防止層を有していて且つパターン状の該密着層とのみ接触するようになるため、静電気を蓄積して帯電することはない。また、ヒートシール部にも該導電性の密着防止層が存在することで剥離時の静電気発生をも抑えることができ、これらの静電気対策によって、電子部品の劣化や破壊の危険性を回避することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照にして説明する。
図1は、本発明のカバーテープを長手(剥離)方向に対して垂直に切断したときの、縦断面積層構造の例を示す図である。図1における積層構造は、基材1上に、接着剤層7、中間層6、HS層2、バインダー4のみからなる密着防止層3を、この順序に積層した層構成の例である。また図2は、図1において、バインダー4中に導電性金属酸化物微粒子5を含有させて密着防止層3’(4+5)を設けた層構成の例であり、密着防止層3’は帯電防止機能を持つ層である。
【0012】
上記において、基材1としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかからなる二軸延伸樹脂フィルムが挙げられ、特には耐熱性に優れ、透明で剛性の高いポリエチレンテレフタレートが好ましい。二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは5〜50μm、好ましくは7〜20μmであり、厚さが5μm未満では剛性が不足し、フィルムとしての強度が保てない。一方、50μmを超えると、剛性が強過ぎて柔軟性に欠け、ヒートシール時に接着不良を起こし易くなる。又、基材1には、その片面或いは両面に塵等の付着防止と層間接着性改善のために、公知の方法による帯電防止処理やコロナ放電処理を付与する事もできる。
【0013】
中間層6は、クッション性を高めてヒートシール性を向上させるために設けられる層であり、ポリエチレン系樹脂層単独あるいはポリエチレン系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層の積層体からなる。中間層6の厚さは5〜40μm、好ましくは10〜30μmである。基材1と中間層6は、接着剤層7によってラミネートされ、接着剤層7としてはイソシアネート系、イミン系等の接着剤が好ましい。接着剤層7の厚さは10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0014】
HS層2に用いる樹脂は、比較的低温で接着性を発現する樹脂が望ましく、例えば、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−アクリル系等のエチレン系共重合樹脂の1種または2種以上の材料が挙げられ、ビカット軟化点としては65℃以下のものが好ましい。
【0015】
HS層2の形成は、エアドクター法、ブレードコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、ダイレクトロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、スライドコート法等のコート法により塗布形成することができるが、溶融共押出法によって中間層6と共に一体形成で得ることもできる。HS層2の厚みは、1μm〜40μm、特に5μm〜30μmが好ましく、厚みが1μm未満の場合、キャリアテープに対するヒートシール強度が不足し、厚みが40μmを超える場合は、カバーテープをヒートシールするときの必要熱量が大きくなり、高速ヒートシール性が困難となる。
【0016】
密着防止層3または3’の形成は、グラビア印刷法によって行うのが好適である。何故なら、パターン形成が容易で、安定した連続塗布形成が可能であり、コスト的にも有利であるからである。密着防止層3または3’の厚みは、0.1μm〜15μm、特には0.2μm〜5μmが好ましく、厚みが0.1μm未満の場合、収納された電子部品がHS層に接触する可能性が高くなり、厚みが15μmを超える場合は、HS層2のヒートシール性を阻害しやすくなり、適度な接着強度が得られ難く、又コスト的にも不利である。
【0017】
密着防止層3または3’のパターンは、剥離時にジッピング(接着部位によって剥離強度差が大きく変化し、特にキャリアテープとの接着部と非接着部が交互に存在する現象)を起こし難くするために、長手(剥離)方向にストライプ状に形成したパターンとする。ストライプ状のパターンは0.05〜0.5mmピッチであることが好ましいが、ストライプの線幅やピッチはヒートシール条件によって最適な形態を選択する事ができる。尚、密着防止層の形成方法によっては、ストライプ状の密着防止層のラインエッジが直線状ではないために密着防止層同士が若干接触する場合もあり得るが、カバーテープ特性を妨げない範囲内であれば接触していても何ら問題はない。さらに、密着防止層3または3’はストライプ状のパターンであり、収納される電子部品との接触は、粒子等の点で支える構成と違い、密着防止層面で行われる。そのため、例え、HS層2に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点以上の高温環境化に曝露されたとしても、密着防止層3または3’が沈降して電子部品がHS層2に接触することを確実に防止できる。
【0018】
密着防止層3または3’に用いる樹脂は、HS層2に対する密着性が良好で透明性を有する熱可塑性樹脂であればよく、特に組成上の制限はない。しかしながら、実施例で述べる<密着防止効果の確認方法>において、密着防止層3または3’をHS層2上の全面に設けたときの密着防止率が、密着防止層3または3’を設けていないHS層2単独の密着防止率よりも高くなる樹脂を選択することが必要である。
【0019】
ここで、本発明における密着防止層は、導電性金属酸化物を含有していなくても含有していても、何れであっても良く、収納する部品の特性若しくは性状または用途などにより、適宜、選択することが可能である。
前記図1は含有していないときの例であり、一方、図2は含有しているときの例である。
【0020】
密着防止層に球状および/または針状の導電性金属酸化物を含有させる場合、導電性金属酸化物の平均粒径は、球状であれば0.01〜0.1μmであることが望ましく、針状であれば長軸方向粒径が0.2〜2.0μmで且つ短軸方向粒径が0.01〜0.02μmであることが望ましい。導電性金属酸化物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して25〜500質量部が好ましく、特に好ましくは50〜350質量部である。これにより、十分な静電気除去効果と透明性を得ることが可能である。導電性金属酸化物の平均粒径が0.01μmより小さい場合は、金属酸化物粒子同士の接触が困難となって静電気の除去効果を得にくくなり、0.1μmより大きい場合は、透明性が得られにくくなるので好ましくない。導電性金属酸化物としては、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム等が挙げられるが、特には、球状であれば錫ドープ酸化インジウム、針状であればアンチモンドープ酸化錫が好適である。これらの導電性金属酸化物は、湿度依存性が少なく、安定した剥離時の帯電防止能の維持をカバーテープに発揮させることができる。
【0021】
密着防止層3’の表面抵抗率は、カバーテープの長手(剥離)方向の同一ストライプ上での測定で、23℃、50%RH下において106 〜1012Ω/□の範囲、好ましくは106 〜1010Ω/□の範囲にすることで、封入された電子部品との接触およびキャリアテープからの剥離時に発生する静電気の十分な除去効果が得られる。表面抵抗率が1012Ω/□を超えると、静電気の十分な除去効果が極端に悪くなり、電子部品等の内容物に静電気障害を招く危険性が増し、また、106Ω/□未満になると、外部からカバーテープを介して電子部品に電気が通電する可能性があるために好ましくない。また、透明性を向上させるために、必要に応じて分散安定剤等の添加剤を包含させることができる。
【0022】
【実施例】
次に、具体的な実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、以下「部」は質量部を表わす。
(実施例1) ※帯電防止効果が不要である用途向けカバーテープの例
片面をコロナ処理した膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面と、中間層として膜厚23μmのポリエチレン層とエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を主成分とする膜厚12μmのHS層(ビカット軟化点:55℃)の共押出フィルムのポリエチレン側にイソシアネート系接着剤を用いてコールドラミネートした。更に、HS層上に下記密着防止層用塗料(1)を使用して、膜厚0.5μmの密着防止層を線幅0.2mm、線間0.2mmとした長手方向に平行なストライプパターンをグラビア印刷法により形成し、図1に示した層構成のカバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(1)とその組成]
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製)23部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
【0023】
(実施例2) ※帯電防止効果を必要とする用途向けカバーテープの例
実施例1に於いて、密着防止層用塗料を下記密着防止層用塗料(2)とした以外は実施例1と同様にして、図2に示した構成のカバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(2)とその組成]
・錫ドープ酸化インジウム微粒子(平均粒径0.02μm) 30部
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製) 23部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
・分散安定剤 2部
【0024】
(比較例1)
実施例1に於いて、密着防止層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0025】
(比較例2)
実施例1において、密着防止層をストライプ状ではなく全面形成かつ膜厚0.5μmで形成した以外は実施例1と同様にして、カバーテープを作製した。
【0026】
(比較例3)
比較例1のHS層に使用したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の代わりに、予め該共重合樹脂100部に対して50部のシリカ粒子(平均粒径5μm)をブロッキング防止剤として混合させたシリカ含有樹脂でHS層を形成した以外は比較例1と同様にして、即ち、密着防止層は無しで、カバーテープを作製した。
【0027】
(比較例4)
比較例1において、HS層表面の平均表面粗さが8μmの凹凸になるように機械的にマット処理した以外は同様にして、即ち、密着防止層は無しで、カバーテープを作製した。
【0028】
(比較例5)
比較例2において、密着防止層を下記密着防止層用塗料(3)とした以外は比較例2と同様にし、即ち、密着防止層はストライプ状ではなく全面形成により、カバーテープを作製した。
[密着防止層用塗料(3)とその組成]
・ダイヤナールLR−163(固形分45%、三菱レイヨン(株)製)23部
・シリカ粒子(平均粒径5μm) 5部
・トルエン 60部
・メチルエチルケトン 60部
・分散安定剤 2部
【0029】
上記で得たカバーテープについて、下記条件で全光線透過率、ヘイズ値および密着防止層面の長手(剥離)方向の表面抵抗率を測定した。また、下記方法により、密着防止効果、ブロッキング防止効果およびキャリアテープに対する接着性の評価を行った。その評価結果を表1に示した。
【0030】
<全光線透過率およびヘイズ値の測定>
日本電色工業(株)製NDH2000を用いて測定した。
【0031】
<表面抵抗率の測定>
23℃、50%RH下、三菱油化(株)製ハイレスタを用いて測定した。
【0032】
<密着防止効果の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープの密着防止層またはHS層上に、自重が1gの電子部品を載せて、60℃の乾燥機内に7日放置したときの密着防止率を求め評価した。密着防止率とは、電子部品がカバーテープに密着しない割合であって、上記環境下で7日放置した電子部品を載せたカバーテープを、電子部品が下になるように静かに反転させて静止させたとき、電子部品が1秒以内に自然落下する個数割合(電子部品の試料数n=10個)である。例えば、1秒以内に試料10個全てが落下した場合は、密着防止率は100%であって密着性が小、逆に1秒以内に試料10個の全てが落下せずにカバーテープに残ったままの場合は、密着防止率は0%であって、密着性が大の評価結果となる。
【0033】
<ブロッキング防止効果の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープを幅13.5mmにスリット後、3インチコアに長さ900mで巻き取った。得られたリール状のカバーテープを40℃の温度下で1ヶ月放置した後、カバーテープを巻きだしてブロッキングの有無を確認した。ブロッキングの発生していないものを○、発生したものを×とした。
【0034】
<キャリアテープに対する接着性の評価方法>
実施例および比較例で得たカバーテープを13.5mm幅にスリット後、導電性カーボン微粒子を含有する市販の16mm幅ポリスチレン製キャリアテープに下記条件でヒートシールした後、ヒートシール性を評価した。
・ヒートシール条件:23℃、50%RH下において、(株)パルメック製エンボスキャリア半自動テーピング機を用いて、シール温度100℃、シールコテ幅0.6mm、レール幅12mm、圧力0.4MPa、シール時間0.4秒の2度打ちで実施した。
・剥離強度の測定条件:(株)パルメック製エンボスキャリアテープ剥離強度テスターを用いて、剥離速度=300mm/minで測定した。尚、接着性の良否評価方法は、上記ヒートシール条件のもとで、JIS C0806−31999に記載されていて、実用上好ましい剥離強度と考えられる0.1N〜1.3Nの剥離強度が得られ、且つ、ジッピングの起きないものを○とし、それ以外を×とした。
【0035】
【表1】
表1.実施例および比較例の評価結果
※1:帯電防止効果が不要の例 ※2:帯電防止効果を必要とする例
【0036】
上記表1中の略字は、以下の内容を示す。
EVA:エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
EVA−S:シリカ粒子を分散したエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
EVA−M:表面をマット処理したエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂
【0037】
上記表1の結果から、実施例1および2はカバーテープのブロッキング発生が無く、HS層に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点以上の温度に曝されても収納されている電子部品との密着が起きず、かつ、高透明性を有していることが判る。更に、実施例2は表面抵抗率が108であって、密着防止層に帯電防止効果が有ることが判る。これに対して、比較例1は、密着防止層を設けていないためにカバーテープのブロッキングが発生し、電子部品の密着防止効果も劣っている。また比較例2は、HS層上の全面に密着防止層を設けているために電子部品の密着防止効果とブロッキング防止効果は有るものの、キャリアテープ基材との接着性が劣っている。比較例3は、HS層自身にブロッキング防止剤を添加してあるため、ブロッキング防止効果は得られるが、透明性が劣っている。比較例4は、キャリアテープ基材との接着性は有るが、電子部品の密着防止効果や透明性が劣っている。比較例5は、キャリアテープ基材との接着性や透明性が劣っている。
【0038】
【発明の効果】
本発明のカバーテープは、HS層上にストライプ状のパターンとした密着防止層を設けてあるため、透明性に優れ、長期保存中にHS層に使用されるバインダー樹脂のビカット軟化点を越える環境下に曝されても、キャリアテープに対して十分な接着性を維持しながら収納された電子部品との密着を防止することができと共にヒートシール前のカバーテープ自身のブロッキングをも防止することができる。更に、密着防止層に湿度依存性のない微細な導電性金属酸化物による帯電防止効果を付与できるため、透明性と帯電防止能を兼ね備えたカバーテープを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性金属酸化物を含有しない密着防止層を有する本発明のカバーテープを、その長手方向に対して垂直に切断したときの縦断面積層構造の例を示す模式図である。
【図2】導電性金属酸化物を含有する密着防止層を有する本発明のカバーテープを、その長手方向に対して垂直に切断したときの縦断面積層構造の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 : 基材層
2 : HS層
3 : 密着防止層(導電性金属酸化物を含有しない)
3’: 密着防止層(導電性金属酸化物を含有し、帯電防止機能がある)
4 : バインダー
5 : 導電性金属酸化物
6 : 中間層
7 : 接着剤層
Claims (4)
- 電子部品搬送用キャリアテープにヒートシールして使用するカバーテープであって、基材上に、少なくとも接着剤層、中間層、ヒートシーラント層および密着防止層をこの順に積層して形成したカバーテープにおいて、前記密着防止層を、ヒートシーラント層上に、グラビア印刷法によりストライプ状のパターンとして設けたことを特徴とするカバーテープ。
- 前記ヒートシーラント層を形成する素材樹脂が、エチレン系共重合樹脂である請求項1に記載のカバーテープ。
- 前記カバーテープの構成層であるヒートシーラント層および密着防止層の膜厚が、それぞれ、1〜40μmおよび0.1〜15μmであり、かつ、カバーテープの全光線透過率が80%以上、さらにはヘイズ値が30%以下である請求項1又は2に記載のカバーテープ。
- 前記密着防止層が、平均粒径0.01〜0.1μmの球状導電性金属酸化物および/または長軸方向粒径が0.2〜2.0μmで且つ短軸方向粒径が0.01〜0.02μmの針状導電性金属酸化物を含有する層である請求項1〜3のいずれかに記載のカバーテープ。
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