JP2003528908A - Dおよびlエーテル脂質立体異性体およびリポソーム - Google Patents

Dおよびlエーテル脂質立体異性体およびリポソーム

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JP2003528908A JP2001572078A JP2001572078A JP2003528908A JP 2003528908 A JP2003528908 A JP 2003528908A JP 2001572078 A JP2001572078 A JP 2001572078A JP 2001572078 A JP2001572078 A JP 2001572078A JP 2003528908 A JP2003528908 A JP 2003528908A
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アーマッド,イムラン
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ザ リポソーム カンパニー、インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 脂質二重層を有するリポソームであって、脂質二重層が、エーテル脂質のLまたはD立体異性体、または両者の等量でない混合物を含むリポソーム。リポソームは、(a)誘導体化されていないホスファチジルコリン、(b)ステロール、(c)約5〜20モル%の、ホスファチジルエタノールアミンのエタノールアミン基にて、ジカルボン酸に連結されたホスファチジルエタノールアミン、および(d)約10モル%より多く約30モル%未満の、エーテル脂質のLまたはD立体異性体のいずれかも含むことが最も好ましい。かかるリポソームは、抗癌薬または抗炎症薬として使用することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の分野] 本発明は、脂質二重層中にエーテル脂質立体異性体を含むリポソームに関する
。本発明は、かかるリポソームを含む医薬組成物およびかかるリポソームで動物
を治療する方法も含む。
【0002】 [発明の背景] 癌または炎症の治療に有用な薬物療法は、一般に、癌細胞の増殖を遅くするか
、または癌細胞を破壊するか、あるいは、炎症反応を引き起こす細胞を変調させ
ることを目標とする。最適な治療法、たとえば、癌化学療法は、癌細胞の増殖を
低下または根絶させ、同時に、随伴する正常な細胞および組織に対する傷害を回
避または減少させる。最も有効な抗癌薬は、癌細胞を選択的に標的とし、正常細
胞を比較的影響を受けないままにしておく。一部のエーテル脂質は、有効な抗癌
薬であることが証明されている。しかし、ほとんどのエーテル脂質においては、
(動物を治療するために)in vivoで使用することには、正常細胞に対する
ある一定レベルの毒性が随伴した。エーテル脂質類は、それらの炭化水素を、そ
れらの分子の主鎖に接続するエーテル結合を有する両親媒性脂質である。エーテ
ル脂質は、血小板活性化因子(「PAF」;1−O−2−アセチル−sn−グリ
セロ−3−ホスホコリン)の合成類縁体である。PAFは、炎症、免疫応答およ
びアレルギー性反応等の、様々な生理学的過程に関与すると考えられるエフェク
ターである。
【0003】 エーテル脂質は細胞膜に蓄積され、その後、この脂質は、多くの様式で細胞に
影響を及ぼす可能性がある。細胞膜蓄積は、エーテル脂質の界面活性剤様活性に
よる膜脂質組織化の乱れを招く可能性がある。膜構造、および従って、細胞安定
性が、この活性によって乱される可能性がある。関連する酵素の幾つか、たとえ
ば、CTP:ホスホコリンシチジルトランスフェラーゼ、ジアシルグリセロール
キナーゼ、ナトリウム/カリウムアデノシン三リン酸ホスファターゼ、アシルト
ランスフェラーゼ、リゾホスホリパーゼ、およびホスホリパーゼCおよびDは、
その活性が、エーテル脂質の存在下で阻害されるため、リン脂質代謝も乱される
可能性がある。エーテル脂質は、貫膜情報伝達経路、栄養摂取、細胞分化および
アポトーシスにも影響する可能性がある。
【0004】 さらに、エーテル脂質は、癌細胞に対して細胞障害性であると考えられ、有効
な抗癌薬であることが動物で証明されている(たとえば、Lohmeyer a
nd Bittman,1994;Lu et al.(1994a);Lu
et al.(1994b);Dietzfelbinger et al.(
1993);Zeisig et al.(1993);Berdel(199
1);Workman(1991);Workman et al.(1991
);Bazill and Dexter(1990);Berdel(199
0);Guivisdalsky et al.(1990a);Guivis
dalsky et al.(1990b);Powis et al.(19
90);Layton et al.(1980);英国特許第1,583,6
61号;米国特許第3,752,886号参照)。しかし、エーテル脂質は、一
般に、ほとんどの正常細胞に対して有毒ではない。エーテル脂質が癌細胞に選択
的に作用できる能力は、この脂質の加水分解に必要なアルキル切断酵素が、癌細
胞に欠如しているためであると考えられ、その結果生じる細胞内脂質蓄積は、細
胞が機能するのを様々な様式で混乱させる可能性がある。正常細胞は、一般にこ
うした酵素を有し、従って、エーテル脂質の細胞内蓄積を防止することができる
【0005】 しかし、全ての正常細胞が、細胞内エーテル脂質蓄積を防止できるほど十分な
レベルのアルキル切断酵素を含むとは限らない。必要なレベルの酵素を持たない
細胞は、癌細胞と同様、エーテル脂質作用の破壊作用を受ける可能性がある。た
とえば、赤血球には、必要なアルキル切断酵素が欠如しており、従って、やはり
、エーテル脂質の界面活性剤様活性を受ける。これらの細胞が、界面活性剤様活
性を有するエーテル脂質に曝露された結果として生じる溶血は、エーテル脂質を
治療に使用するのを妨げる重大な欠点であろう(たとえば、Houlihan
et al.,1995参照)。
【0006】 このような薬物誘導性毒性の低減または排除に、多数の異なるアプローチを利
用できる可能性がある。1つのそのようなアプローチは、薬物を脂質系担体、た
とえば、リポソームに組みこむ方法である。このような担体は、たとえば、薬物
を、毒性の誘導に利用できないように、担体中の薬物を隔離することによって、
薬物毒性を緩衝することができる。脂質担体は、薬物と相互に作用し、次には、
薬物それ自身が、その細胞障害作用を発揮する細胞標的と相互に作用できないこ
とにより、薬物誘導性毒性を緩衝することもできる。この担体は、薬物が担体か
ら放出されたとき、たとえば、担体が、腫瘍付近で崩壊したとき、治療的に有効
である能力も保持する。
【0007】 米国特許第5,762,958号(引用することにより本明細書の一部をなす
ものとする)には、リポソームの脂質二重層の成分としてエーテル脂質を有する
リポソームが記載されている。このようなリポソームは、エーテル脂質の抗癌効
力を阻害することなく、その毒性を減少させる。それにも拘わらず、米国特許第
5,762,958号には、エーテル脂質の鏡像異性が、リポソーム製剤の毒性
に影響を及ぼすであろうことは示唆されていない。
【0008】 [発明の概要] 本発明は、D鏡像異性またはL鏡像異性のいずれかを有するエーテル脂質を含
む脂質二重層を有するリポソームを提供する。本発明のリポソームの脂質二重層
は、Dエーテル脂質またはLエーテル脂質に加えて、少なくとも1種の脂質を含
むことが好ましい。最も好ましくは、本リポソームは、(a)誘導体化されてい
ないホスファチジルコリンと、(b)ステロールと、(c)約5〜20モル%の
、ホスファチジルエタノールアミンのエタノールアミン基にてジカルボン酸に連
結されたホスファチジルエタノールアミン(本明細書では、「頭部基誘導体化脂
質」とも呼ぶ)と、(d)約10モル%より多く、約30モル%未満のエーテル
脂質のL立体異性体またはD立体異性体のいずれかとを含む。本エーテル脂質は
、次式、
【化4】 (式中、Ylは、(CH2n1(CH=CH)n2(CH2n3(CH=CH)n4
CH2n5(CH=CH)n6(CH2n7(CH=CH)n8(CH2n9である。
n1+2n2+n3+2n4+n5+2n6+n7+2n8+n9の合計は、3
〜23の整数であり、n1は、0であるか、または1〜22の整数であり、n3
は、0であるか、または1〜19の整数であり、n5は、0であるか、または1
〜16の整数であり、n7は、0であるか、または0〜16の整数であり、n9
は、0であるか、または1〜10の整数であって、n2、n4、n6および8は
、それぞれ独立に0または1である。Y2は、CH3またはCO2Hである。)を
有することが好ましい。
【0009】 Zは、酸素またはイオウであり、好ましくは、ZはOである。従って、本発明
のグリセロ−ルを主成分とするエーテル脂質は、そのグリセロール主鎖のsn−
2位にメトキシ基を有することが好ましい。
【0010】 最も好ましくは、本エーテル脂質は、式、
【化5】 のD立体異性体またはL立体異性体である(「ET−18−OCH3」、または
「エデルホシン(edelfosine)」としても知られる)。
【0011】 好ましくは、リポソームは、約50nmより大きく約200nm未満の直径を
有する単ラメラリポソームであり、誘導体化されていないホスファチジルコリン
は、不飽和または部分的に不飽和のホスファチジルコリンであり、さらに好まし
くは、ジオレオイルホスファチジルコリンであり、ステロールは、コレステロー
ルである。頭部基誘導体化脂質は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールア
ミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミンおよびジオレオ
イルホスファチジルエタノールアミンからなる群から選択されるホスファチジル
エタノールアミン(「PE」)、およびグルタル酸、セバシン酸、コハク酸およ
び酒石酸からなる群から選択されるジカルボン酸を含むことが好ましい。さらに
好ましくは、PEは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンであり、ジ
カルボン酸は、グルタル酸である。
【0012】 本発明のリポソームの好ましい実施形態は、誘導体化されていないPCとして
ジオレオイルホスファチジルコリンを含み、ステロールとしてコレステロールを
、頭部基誘導体化脂質としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミングル
タル酸を、エーテル脂質としてET−18−OCH3を含む二重層を有する。今
のところ、リポソームの二重層は、約20モル%のエーテル脂質、約10モル%
の頭部基誘導体化脂質、約30モル%のコレステロールおよび約40モル%のジ
オレオイルホスファチジルエタノールアミンを含むことが最も好ましい。リポソ
ームは、エーテル脂質以外の作用物質である、付加的な生物活性作用物質をさら
に含んでもよい。
【0013】 薬学的に許容できる担体および本発明のリポソームを含む医薬組成物をも提供
する。さらに、肺癌、脳腫瘍、結腸癌、卵巣癌、乳癌を含むがその限りではない
癌に苦しめられている哺乳動物の治療方法を提供する。かかる方法は、本発明の
組成物を、上記エーテル脂質の抗癌有効量を含む量で哺乳動物に投与することを
含む。投与されるリポソームは、約50nm〜約200nmの平均直径を有する
単ラメラリポソームであることが好ましい。一般に、上記エーテル脂質の抗癌有
効量は、哺乳動物の体重kg当たりエーテル脂質約0.1mgから約1000m
g/kgである。
【0014】 本発明の方法は、付加的な生物活性作用物質、たとえば、抗悪性腫瘍薬、抗菌
薬、治療用脂質または造血細胞成長刺激薬を、哺乳動物に投与することも含んで
もよい。このような付加的な物質の投与は、一般に、エーテル脂質の抗癌有効量
と関連した付加的な薬剤の有効量の投与である。しかし、付加的な薬剤が抗癌薬
であるとき、付加的な薬剤、エーテル脂質、またはその両者のいずれかを、「抗
癌有効量未満」で、すなわち、それだけでは癌に有効ではないかもしれない量で
、投与することができる。
【0015】 さらに、本発明の医薬組成物を、本発明のエーテル脂質の抗炎症有効量を含む
量で、哺乳動物に投与することを含む、炎症性疾患、たとえば、関節炎病態、喘
息性疾患またはアレルギー性反応に苦しめられている哺乳動物の治療方法も提供
する。一般に、本エーテル脂質の抗炎症有効量は、哺乳動物の体重1kg当たり
エーテル脂質約0.1mgから約1000mg/kgである。本発明のリポソー
ムを炎症性疾患に対して使用するとき、付加的な生物活性作用物質、たとえば、
付加的な抗炎症薬も投与してもよい。
【0016】 [本発明の詳細な説明] 重要な立体異性体的態様以外の、本発明の個々のエレメントおよびそれらの重
要性は、米国特許第5,762,958号(引用することにより本明細書の一部
をなすものとする)に詳細に記載されている。本発明は、エーテル脂質のD立体
異性体またはL立体異性体を、リポソームの脂質二重層の成分として有するリポ
ソームを含む。2つの光学異性体のいずれか、またはDエーテル脂質およびLエ
ーテル脂質のラセミ混合物を含むリポソームは、一般に、様々な細胞系(A54
9、ルイス肺、MCF7、MCF7/adr、L1210およびU−937)に
対して等しいin vitroでの成長阻害を示した。しかし、L1210/v
mdr細胞系に対して、D異性体光学異性体を含むリポソームは、L−異性体お
よびラセミ混合物に比べて有意に大きい活性を示した。しかし、本発明による、
エーテル脂質成分のL立体異性体を含むリポソームは、Dエーテル脂質またはエ
ーテル脂質ラセミ体を含む同一のリポソームに比べて、確立されたB16/F1
0肺腫瘍の平均腫瘍小結節を有意に減少させることにより、in vivoで、
優れた抗癌効果を示す。さらに、1日1回、5日間、静脈内投与したとき、リポ
ソームエーテル脂質のL異性体製剤は、D異性体リポソーム製剤に比べて、有意
に低い毒性を示した。エーテル脂質のD異性体およびL異性体の両者およびラセ
ミ混合物は、類似した溶血活性を示した。この溶血活性は、本発明によるリポソ
ーム内への組み込みによって、有意に減弱された。
【0017】 本発明は、(a)誘導体化されていないホスファチジルコリンと、(b)ステ
ロールと、(c)ホスファチジルエタノールアミンおよびジカルボン酸類、ガン
グリオシド類、ポリエチレングルコール類およびポリアルキルエーテル類からな
る群から選択される部分を含む頭部基誘導体化脂質であって、二重層の約5モル
%〜約20モル%を構成する頭部基誘導体化脂質と、(d)次式、
【化6】 とを有するエーテル脂質であって、二重層の約10モル%より多く、約30モル
%未満を構成するエーテル脂質とを含む脂質二重層を有するリポソームを含むこ
とが好ましい。
【0018】 「リポソーム」は、1つまたは複数の脂質二重層を含み、それぞれが、水性区
画を取り囲み、且つ2つの向い合った両親媒性脂質分子の単層を含む自己集合構
造である。両親媒性脂質は、1つまたは2つの無極性(疎水性)アシル鎖に共有
結合した極性(親水性)頭部基領域を含む。疎水性アシル鎖と水性媒体との間の
、エネルギー的に好ましくない接触は、一般に、極性頭部基を水性媒体に向け、
アシル鎖を二重層の内部に向けるように、脂質分子を再配列させると考えられる
。アシル鎖が水性媒体と接触するのを効果的に遮断するエネルギー的に安定な構
造が形成される。
【0019】 リポソームは、唯一の脂質二重層(単ラメラリポソーム、「ULV」)を有し
てもよく、多数の脂質二重層(マルチラメラリポソーム、「MLV」)を有して
もよく、また、様々な方法で作製することができる(総説に関しては、たとえば
、Dearnerand Uster(1983)参照)。これらの方法として
は、マルチラメラリポソーム(MLV)を作製するためのBanghamの方法
、層間溶質分配が実質的に等しいMLVを作製するためのLenk,Fount
ainおよびCulliの方法(たとえば、米国特許第4,522,803号、
第4,588,578号、第5,030,453号、第5,169,637号お
よび第4,975,282号参照)、およびオリゴラメラリポソームを調製する
ための、Paphadjopoulosらの逆相蒸発方法(米国特許第4,23
5,871号)などがあるが、その限りではない。ULVは、超音波処理(Pa
phadjopoulos et al.(1968)参照)または押出(米国
特許第5,008,050号および米国特許第5,059,421号)等の方法
で、MLVから作製することができる。本発明のエーテル脂質リポソームは、こ
れらの開示内容(その内容を引用することにより本明細書の一部をなすものとす
る)のいずれかの方法で作製することができる。
【0020】 様々な方法論、たとえば、超音波処理、ホモジナイズ、フレンチプレスアプリ
ケーションおよび摩砕を使用して、大きいリポソームから小さいサイズのリポソ
ームを調製することができる。押出(米国特許第5,008,050号参照)を
使用してリポソームを減サイズすることができる。すなわち、リポソームを、加
圧下で、規定され、選択されたサイズのフィルター孔を通過させることによって
、予め決定された平均サイズを有するリポソームを作製することができる。接線
流濾過(tangential flow filtration,WO89/008846参照)を使用し
て、リポソームのサイズを正規化することもできる、すなわち、サイズ不均一性
が少なく、およびより均質な、規定されたサイズ分布を有するリポソーム集団を
有するリポソームを作製することもできる。これらの資料の内容を、引用するこ
とにより本明細書の一部をなすものとする。リポソームサイズは、擬似電気光散
乱等の多数の技術によって、決定することができる。たとえば、十分に通常の熟
練者の実施可能範囲内である、登録商標Nicomp粒子サイザー等の装置を用
いて、決定することもできる。
【0021】 本発明のリポソームは、単ラメラであってもよく、マルチラメラであってもよ
い。好ましくは、リポソームは単ラメラであり、且つ約200nm未満、さらに
好ましくは、約50nmより大きく約200nm未満の直径を有する。小さいリ
ポソームは、一般に、哺乳動物中を長く循環すると考えられ、これが哺乳動物の
細網内皮系(「RES」)によって速やかに認識される。従って、たとえば、2
00nmのリポソームは、一般に、500nmの直径を有するリポソームより長
く循環中にとどまることが予期される。長い循環は、より多くのリポソームを、
その所期の作用部位、たとえば、腫瘍または炎症に到達させることにより、治療
効果を高めることができる。しかし、小さいリポソーム、すなわち、一般に直径
50nm未満のものは、場合によっては十分な治療利益をもたらすには低すぎる
かもしれない量の生物活性作用物質を輸送する。
【0022】 エーテル脂質のR1(そのグリセロール主鎖の炭素#1位に、酸素によって結合
された鎖である)は、式Yl2を有し、式中、Y2はCH3またはC02Hである
が、好ましくはCH3であり、Y1は、(CH2n1(CH=CH)n2(CH2n3 (CH=CH)n4(CH2n5(CH=CH)n6(CH2n7(CH=CH)n8
CH2n9である。n1は、0に等しいか、または1〜23の整数であり、n3
は、0に等しいか、または1〜20の整数であり、n5は、0に等しいか、1〜
17の整数であり、n7は、0に等しいか、または1〜14の整数であり、n9
は、0に等しいか、または1〜11の整数であり、n2、n4、n6および8は
、それぞれ独立に、0または1に等しい。n1+2n2+n3+2n4+n5+
2n6+n7+2n8+n9の合計は、3〜23の整数である。すなわち、この
鎖は、4〜24炭素原子長である。
【0023】 この炭化水素鎖は、好ましくは飽和されている。すなわち、好ましくは、隣り
合った炭素原子間に二重結合を持たず、そのとき、n2、n4、n6およびn8
は、それぞれ、0に等しい。従って、R1は、好ましくは、(CH2n1CH3
ある。さらに好ましくは、R1は、(CH217CH3である。あるいは、この鎖
は、1つ以上の二重結合を持っていてもよい、すなわち、不飽和であってもよく
、n2、n4、n6およびn8の1つ以上が、1に等しくてもよい。たとえば、
不飽和炭化水素が二重結合1個を有するとき、n2は1に等しく、n4、n6お
よびn8は、それぞれ、0に等しく、Y1は、(CH2n1CH=CH(CH2n 3 である。そのとき、n1は、0に等しいか、または、1〜21の整数であり、
n3は、やはり0であるか、または1〜20の整数であり、n1またはn3の少
なくとも1つは、0に等しくない。
【0024】 Zは酸素、イオウ、NH、または−NHC(O)−であり、そのとき、Zは、
窒素またはカルボニル炭素のいずれかによってメチル基に連結されている。Zは
、−OC(O)−であってもよく、そのとき、Zは、酸素またはカルボニル炭素
原子のいずれかによって、メチル基に連結されている。好ましくは、Zは0であ
る。従って、本発明のグリセロールを主成分とするエーテル脂質は、好ましくは
、それらのグリセロール主鎖のsn−2位にメトキシ基を有する。
【0025】 R2は、アルキル基であるか、または、式(C(X1n1O(X2n11)n12
345(式中、X1、X2、X3、X4、およびX5は、それぞれ独立に、水素ま
たはハロゲンであるが、好ましくは水素である。n10は、0、1または2に等
しく、n11は、0、1、または2に等しく、n12は、0、または1〜23の
整数に等しいが、最も好ましくは、0であり、そのとき、R2は、CX345
ある。X3、X4、およびX5は、最も好ましくはHであり、そのとき、R2は、C
3である。)を有するハロゲン置換アルキル基である。従って、本エーテル脂
質は、その炭素#2に結合したメチル基を有することが好ましい。しかし、その
とき、R2は、CH2F、CHF2またはCF3であってもよい。n12が0でない
とき、n10+n11の合計は2に等しく、n12は、好ましくは、1に等しく
、R2は、好ましくは、CH2CH3、CH2CF3またはCF2CF3である。
【0026】 本発明のエーテル脂質は、Y2はCH3、R1は(CH2n1CH3であり、R2
、CH3であり、ZはOであるものであることが好ましい。従って、好ましいエ
ーテル脂質は、
【化7】 すなわち、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3−ホス
ホコリン(「ET−18−OCH3」または「エデルホシン」)である。
【0027】 好ましくは、誘導体化されていないPCは、部分的にまたは完全に不飽和であ
る、すなわち、誘導体化されていないPCは、それぞれ、鎖中の隣り合った炭素
原子間に少なくとも1つの二重結合を有する、1つまたは2つのアシル鎖を有す
ることが好ましい。今のところ、誘導体化されていないPCは、ジオレオイルホ
スファチジルエタノールアミン(「DOPE」)であることがさらに好ましい。
【0028】 「ステロール類」は、一般に、脂質二重層の流動性に影響する(たとえば、L
ewis and McElhaney(1992)および Darnell
et al.(1986)参照)。従って、周囲の炭化水素鎖とのステロール相
互作用は、一般に、これらの鎖が二重層から遊出するのを阻害する。本発明のリ
ポソームの二重層のステロール成分は、好ましくは、コレステロールであるが、
必ずしもコレステロールではなく、様々な他のステロール化合物であってもよい
【0029】 「頭部基誘導体化(headgroup-derivatized)」脂質は、エーテル脂質を含む
リポソーム脂質二重層内に存在するとき、そのエーテル脂質の毒性を緩衝するこ
とができる脂質である。すなわち、誘導体化脂質は、エーテル脂質の毒性を低下
させることができ、一般に、遊離形のエーテル脂質より毒性が低くなる。頭部基
誘導体化脂質は、一般に1つ以上の疎水性アシル鎖、および適当な化学部分を結
合させたホスホリルエタノールアミン基を含む、両親媒性脂質である。このアシ
ル鎖は、一般に、4〜24個の炭素原子を含み、飽和されていても不飽和であっ
てもよく、特に、パルミチン酸鎖およびオレイン酸鎖を含む。
【0030】 好ましいアシル鎖は、二重層内に存在する他の脂質の疎水性部分と相容性のパ
ッキング構造を取ることができ、且つ二重層からのエーテル脂質の放出が阻害さ
れ、エーテル脂質毒性が緩衝されるように、エーテル脂質と相互に作用すること
ができるものである。さらに好ましくは、本明細書で使用される頭部基誘導体化
脂質は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(「DPPE」)、パ
ルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「POPE」)または
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)である。今のと
ころ、脂質はDOPEであることが最も好ましい。
【0031】 このような脂質への結合に適した化学部分は、ジカルボン酸類、ガングリオシ
ド類、ポリエチレングルコール類、ポリアルキルエーテル類等々の、ホスホリル
エタノールアミンに結合させることができ、且つ毒性緩衝性、循環増強特性を有
する脂質を生じさせるものである。たとえば、誘導体化脂質を、in vitr
oおよびin vivo毒性試験に付すことにより、適当な化学部分を確認する
方法は、通常の熟練者に周知であり、本発明の教示が与えられれば、通常の熟練
者により容易に実行される。化学部分を極性基に結合させる方法も、通常の熟練
者に周知であり、通常の熟練者により容易に実行される。
【0032】 頭部基誘導体化脂質の毒性緩衝力は、通常の熟練者に周知であり、本発明の教
示が与えられれば、通常の熟練者により容易に実行される、多数のin vit
roおよびin vivo試験方法で決定することができる。たとえば、エーテ
ル脂質とRBC懸濁液とを配合し、この配合物をインキュベートし、次いで、R
BC溶解の割合を分光光度法で計量することにより、エーテル脂質誘導性赤血球
(RBC)溶血をin vitroで検査することができる。
【0033】 化合物の治療域(therapeutic window)「TW」は、化合物の溶血誘導と、そ
の、腫瘍細胞の増殖を抑制できる能力との間の関係から導かれる。TW値は、式
HI5/GI50(ここで、「HI5」は、培養中の赤血球の5%を溶血させる作用
物質の濃度に等しく、「GI50」は、作用物質に曝露された細胞集団において、
50%の成長阻害を誘導する作用物質の用量に等しい)に従って決定される。作
用物質のHI5値が高いほど、その作用物質は低溶血性であり、HI5値が上昇す
るにつれて、作用物質は、5%溶血を誘導するために、その作用物質のHI5
が低い場合より高濃度で存在することが必要である。従って、作用物質は、その
HI5が高いほど、治療上有益である。対照的に、低いGI50は、すぐれた治療
薬を示す。低いGI50値は、50%成長阻害に低濃度の作用物質が必要なことを
示す。従って、作用物質のTWが高いほど、すなわち、そのHI5値が高いほど
、またそのGI50値が低いほど、その作用物質の治療特性は優れている。
【0034】 一般に、生物活性作用物質のTWが1未満であるとき、その作用物質を効果的
に使用することはできない。すなわち、その作用物質のHI5値が十分に低く、
且つそのGI50値が十分に高いとき、一般に、許容できないレベルの溶血に達す
ることなく、十分なレベルの腫瘍成長阻害を達成できるほど十分な作用物質を投
与することはできない。頭部基誘導体化脂質を含む二重層を有するエーテル脂質
リポソームは、1より大きいTWを有することができる。やはり頭部基誘導体化
脂質を含むリポソーム二重層内のエーテル脂質のTWは、約1.5より大きいこ
とが好ましく、さらに好ましくは、約2より大きく、さらになお好ましくは、約
3より大きい。
【0035】 頭部基誘導体化脂質は、循環増強脂質であってもよい、すなわち、脂質毒性緩
衝に向けた修飾は、循環増強をもたらすこともできる。従って、頭部基誘導体化
脂質は、投与された動物の循環系からリポソームが排除されるのを阻害すること
ができる。リポソームは、一般に、細網内皮系(RES)を介して動物の身体か
ら排除されると考えられる。RESクリアランスを回避することは、リポソーム
投与の頻度を減らすことができ、また、その作用物質の、所望の血清レベルを達
成するために、より少量のリポソーム会合生物活性作用物質を投与すればよいこ
とを意味する。循環時間を増大することによって、リポソームを非RES含有組
織にターゲティングさせることもできる。
【0036】 リポソーム外面は、動物の循環系で、オプソニン等の血清タンパク質で被覆さ
れると考えられる。理論によって制限する意図はないが、一般に、血清タンパク
質のリポソームへの結合が阻害されるように、リポソームの外面を修飾すること
によって、リポソームクリアランスを阻害することができると考えられる。有効
な表面修飾、すなわち、オプソニン化およびRES取込みの阻害を招く、リポソ
ーム外面への変更は、動物の循環系におけるリポソームの薬物動態学的挙動が変
わるように、血清タンパク質がリポソームに結合するのを阻害することができる
化学部分を、リポソームに結合させることによって誘導体化されている極性頭部
基を有するリポソーム二重層脂質に組み込むことによって行われると考えられる
(たとえば、Blume et al.(1993);Gabizon et
al.(1993);Park et al.(1992);Woodle e
t al.米国特許第5,013,556号;および米国特許第4,837,0
28号参照)。
【0037】 今のところ、グルタル酸、セバシン酸、コハク酸および酒石酸および酒石酸等
の、ジカルボン酸が、頭部基誘導体化脂質の好ましい成分である。ジカルボン酸
は、グルタル酸(「GA」)であることが最も好ましい。従って、適当な頭部基
誘導体化脂質としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン−グル
タル酸(「DPPE−GA」)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノ
ールアミン−グルタル酸(「POPE−GA」)およびジオレオイルホスファチ
ジルエタノールアミングルタル酸(「DOPE−GA」)等の、ホスファチジル
エタノールアミン−ジカルボン酸などがある。誘導体化脂質は、DOPE−GA
であることが最も好ましい。頭部基誘導体化脂質は、リポソーム脂質二重層の約
5モル%〜約50モル%を構成することができるが、二重層の約10モル%を構
成することが最も好ましい。
【0038】 本発明のリポソームは、1種以上の付加的な脂質、すなわち、リポソームの二
重層中に既に存在するステロール、誘導体化されていないPE、頭部基誘導体化
脂質およびエーテル脂質以外にも、脂質を含んでもよい。付加的な脂質は、脂質
構成要素がぴったり詰め込まれ、二重層からの脂質の放出が阻害されるように、
二重層の他の脂質成分と相容性のパッキング構造を取ることができる能力に合わ
せて選択される。相容性のパッキング構造に寄与する脂質系因子は、通常の熟練
者に周知であり、アシル鎖長および不飽和度、ならびに頭部基サイズおよび電荷
などがあるが、その限りではない。従って、通常の熟練者は、必要以上の実験を
せずに、卵ホスファチジルコリン(「EPC」)またはジオレオイルホスファチ
ジルコリン(「DOPC」)等の、様々なホスファチジルコリン類(「PC」)
を含む適当な付加的な脂質を選択することができる。
【0039】 本発明の好ましい実施形態は、誘導体化されていないPEはDOPEであり、
ステロールはコレステロール(「chol」)であり、エーテル脂質はET−1
8−OCH3であり、頭部基誘導体化脂質はDOPE−GAである。今のところ
、リポソームは、DOPE、chol、ET−18−0−CH3を、それぞれ4
:3:1:2というモル比で含み、DOPEが、リポソーム二重層の40モル%
、chol 30モル%、DOPE−GA 10モル%、エーテル脂質 20モ
ル%を構成することが最も好ましい。好ましくは、リポソームは単ラメラであり
、約50nm〜約200nmの平均直径を有し、「平均」は、本発明のリポソー
ム集団のメジアン直径が50〜200nmであることを意味する。
【0040】 リポソームは、付加的な生物活性作用物質、すなわち、エーテル脂質以外の生
物活性作用物質を含んでもよい。「生物活性作用物質」は、動物、好ましくは、
ヒトに投与することができる、化合物または組成物である。このような作用物質
は、動物で、生物学的活性を有する。その作用物質を、動物における診断に使用
することもできる。
【0041】 リポソームと会合することが可能な生物活性作用物質としては、アシクロビル
、ジドブジンおよびインターフェロン等の抗ウイルス薬、アミノグリコシド類、
セファロスポリン類およびテトラサイクリン類等の、抗菌薬、ポリエン抗生物質
、イミダゾール類およびトリアゾール類等の、抗真菌薬、葉酸、プリン類縁体お
よびピリミジン類縁体等の、抗代謝薬、アントラサイクリン抗生物質および植物
アルカロイド類等の、抗悪性腫瘍薬、コレステロール等の、ステロール類;炭水
化物、たとえば、糖類およびスターチ、細胞受容体タンパク質、免疫グロブリン
、酵素、ホルモン類、神経伝達物質および糖タンパク質等の、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質、染料、放射性同位元素および放射性同位元素標識化合物等の、
放射標識、放射線不透過性化合物、蛍光性化合物、散瞳性化合物、気管支拡張薬
、局所麻酔薬等々があるが、その限りではない。
【0042】 リポソーム生物活性作用物質製剤は、たとえば、その作用物質の毒性を緩衝す
ることによって、生物活性作用物質の治療係数を高めることができる。リポソー
ムは、生物活性作用物質が動物の循環から排除される速度を低減することもでき
る。従って、生物活性作用物質のリポソーム製剤は、所望の効果を達成するため
に、より少量の作用物質を投与してもよいことを意味する。本発明のリポソーム
に好ましい付加的な生物活性作用物質としては、抗菌薬、抗炎症薬および抗悪性
腫瘍薬、または治療用脂質、たとえば、セラミドなどがある。付加的な生物活性
作用物質は、抗悪性腫瘍薬であることが最も好ましい。
【0043】 その作用物質を、リポソームの調製に使用される脂質層または水性層に可溶化
することによって、1つ以上の生物学的に活性な作用物質を、リポソームに充填
することができる。あるいは、先ず、リポソームを形成し、たとえば、pH勾配
によって、最外のリポソーム二重層を横切る電気化学的ポテンシャルを確立し、
次いで、イオン化可能な作用物質を、リポソーム外部の水性媒体に加えることに
よって、イオン化可能な生物活性作用物質を、リポソーム内に充填することもで
きる(Bally et al.米国特許第5,077,056号およびW08
6/01102参照)。
【0044】 本発明のリポソームは、脱水し、保存し、次いで、その内部の内容物のかなり
の部分が保持されるように、再構成することができる。リポソームの脱水には、
一般に、リポソーム二重層の内面および外面の両方で、二糖類等の親水性乾燥用
保護剤を使用することが必要である(米国特許第4,880,635号参照)。
この親水性化合物は、一般に、リポソームにおける脂質の再配列を防止し、乾燥
手順の間ずっと、および後続の再水和が終わるまで、サイズおよび内容物が維持
されると考えられる。このような乾燥用保護剤に適した量は、乾燥用保護剤が強
い水素結合アクセプターであり、リポソーム二重層成分の分子内間隔を保持する
という立体化学的特徴を有する量である。あるいは、脱水前にリポソーム調製物
を凍結させず、脱水後に、十分な水が調製物中に残るのであれば、乾燥用保護剤
を省略することができる。
【0045】 薬学的に許容できる担体および本発明のリポソームを含む医薬組成物も、本明
細書に提供する。本明細書で使用される「薬学的に許容できる担体」は、一般に
、リポソームの生物活性作用物質製剤を含む脂質およびリポソームを、ヒトを含
む動物に投与することに関連して使用するのに許容できる媒体である。薬学的に
許容できる担体は、一般に、使用される個々のリポソーム生物活性作用物質、そ
の濃度、安定性および所期のバイオアベイラビリティ、リポソーム組成物で治療
しようとしている疾患、障害または病態、患者、その年齢、サイズおよび全身状
態、および組成物の所期の投与経路、たとえば、経鼻、経口、眼科、局所、経皮
、膣、皮下、***内、腹腔内、静脈内、または筋内(たとえば、Nairn(1
985)参照)を含むが、この限りではない、通常の熟練者が決定し説明する範
囲内である、多数の因子に従って調合される。非経口生物活性作用物質投与に使
用される、代表的な、薬学的に許容できる担体としては、たとえば、D5W、5
%(w/v)のデキストロースを含む水溶液、および生理食塩水などがある。薬
学的に許容できる担体は、付加的成分、たとえば、保存料および酸化防止剤等の
、含まれる活性な成分の安定性を増強するものを含んでもよい。
【0046】 本発明の医薬組成物を、哺乳動物に投与することを含み、エーテル脂質が、腫
瘍細胞に対して選択的に細胞障害性であると考えられる、癌、たとえば、脳腫瘍
、乳癌、肺癌、結腸癌、または卵巣癌、白血病、リンパ腫、肉腫、癌腫に苦しめ
られている哺乳動物を治療する方法がさらに提供される。一般に、リポソームエ
ーテル脂質を使用して、遊離の、すなわち、非リポソームエーテル脂質で処置し
た癌を治療することができる。しかし、エーテル脂質をリポソーム内に封入する
ことにより、その治療係数を高めることができる、従って、リポソームエーテル
脂質を、さらに有効な治療法にすることができる。
【0047】 エーテル脂質の抗癌有効量、一般に、哺乳動物の体重1kg当たり約0.1〜
約1000mgの脂質を含む量の組成物が、好ましくは静脈内に、投与される。
本発明の目的には、リポソームエーテル脂質の「抗癌有効量」は、エーテル脂質
が投与された動物における1つ以上の癌の確立、増殖、転移または侵襲を、抑制
、改善、縮小または防止するのに有効な量である。抗癌有効量は、一般に、多数
の因子、たとえば、患者の年齢、サイズおよび全身状態、治療しようとしている
癌、および所期の投与経路によって選択され、様々な方法、たとえば、通常の熟
練者に周知であり、本発明の教示が与えられれば、通常の熟練者により容易に実
行される、用量範囲決定試験で決定される。本発明のリポソームエーテル脂質の
抗悪性腫瘍有効量は、遊離の非リポソームエーテル脂質の量とほぼ同じである。
【0048】 投与されるリポソームは、約50nm〜約200nmの平均直径を有する単ラ
メラリポソームであることが好ましい。抗癌治療法は、リポソームエーテル脂質
に加えて、1つ以上の生物活性作用物質を投与することを含み、これらの付加的
な薬剤は、エーテル脂質と同じリポソームに含まれていることが好ましいが、必
ずしもそうではない。リポソームの内部区画に内包することができるか、または
リポソームの脂質二重層内に隔離することができる付加的な生物活性作用物質は
、抗癌薬または細胞性成長促進因子であることが好ましいが、必ずしもそうでは
ない。
【0049】 本発明は、リポソームエーテル脂質の抗炎症有効量を含むのに十分な量の、本
明細書に提供されている医薬組成物を、哺乳動物に投与することを含む、抗炎症
性疾患、たとえば、関節炎の病態、喘息性疾患およびアレルギー性反応に苦しめ
られている哺乳動物を治療する方法も提供する。炎症は、傷害に応答して、冒さ
れた血管、および周囲の組織で起こる、細胞学的反応および組織学的反応の経過
である(たとえば、Stedman’s Medical Dictiona
ry(Illustrated)(1982)参照)。このような刺激に対する
炎症反応としては、局所反応および結果として生じる形態学的変化、傷害性物質
の破壊または除去、および修復機構の活性化などがある。従って、炎症は、動物
が自身を治す経過の一部であり得る。しかし、炎症は、異常な生理学的刺激に応
答して起こることもあり、身体に問題を引き起こすこともある。たとえば、関節
は、痛風、フィラリア性関節炎、関節リウマチおよびライム病等の、関節炎の病
態で炎症を起こす(たとえば、Stedman’s Medical Dict
ionary(Illustrated)、上掲、123−124ページ参照)
。これらの状態は、細胞の浸出、すなわち、循環から炎症領域への細胞の脱出を
特徴とすることがある。このような浸出を阻害することができるか、または異常
な生理学的刺激に対する炎症反応を他の方法で抑制することができる作用物質を
使用して、炎症を改善することができる。一般に、治療される哺乳動物の体重k
g当たり約0.1mg〜約1000mgというリポソームエーテル脂質の「抗炎
症有効量」は、炎症反応、または異常な炎症、すなわち、異常な生理学的刺激に
応答し、且つ傷害に応答した身体の正常な修復過程の一部ではない炎症を特徴と
する、病態に苦しめられている動物における反応を、改善、抑制、または防止す
るのに有効なエーテル脂質の量である。
【0050】 本発明は、以下の実施例により、さらによく理解されるであろう。しかし、当
技術分野における通常の熟練者は、これらの実施例は、クレームに明確に規定さ
れた本発明を説明するのに役立つにすぎないことを容易に理解するであろう。
【0051】 当技術分野で通常に熟練した者に周知の技術で、DおよびLエーテル脂質立体
異性体を、少量で調製することができる。これらの方法は、Lエーテル脂質の調
製に使用されてきた。しかし、in vitroおよびin vivo実験に十
分な純度のDエーテル脂質の十分な量は市販されていない。本発明を限定するも
のではない代表的な技術を、実施例1および2で説明する。
【0052】 [実施例1] <L−ET18OCH3(L−エデルホシン)の立体特異的合成> ET18OCH3(L−エデルホシン)のL光学異性体の合成は、多段工程で
ある。第1に、n−オクタデシルアルコールを塩化メシルと反応させて、オクタ
デシルメシレートを生成する。反応が完了した後、固体残渣が得られるまで母液
を濃縮する。この残渣は、第1の中間体であり、結晶化によって精製し、洗浄す
る。
【0053】 次のステップでは、n−オクタデシルメシレートを2,3−イソプロピリデン
−sn−グリセロールと反応させ、続いて加水分解し、1−O−オクタデシル−
sn−グリセロールを生成する。この1−O−オクタデシル−sn−グリセロー
ルを結晶化により精製し、洗浄し、乾燥させる。
【0054】 次に、1−O−オクタデシル−sn−グリセロールを、トリフェニルメチルク
ロリド(トリチルクロリド)と反応させる。このステップで反応混合物を完成さ
せ、濃縮する。1−O−オクタデシル−3−O−トリチル−sn−グリセロール
生成物を結晶化し、洗浄する。
【0055】 1−O−オクタデシル−3−O−トリチル−sn−グリセロールをヨウ化メチ
ルと反応させて、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−3−O−トリチル−
sn−グリセロール生成物を生成する。生成物を結晶化した後、トリチル基を加
水分解して、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロールを生
成し、続いて、クロマトグラフィおよび結晶化により精製する。
【0056】 上で調製した1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロールを
オキシ塩化リンと反応させ、次いで、コリントシレートと反応させて粗エーテル
脂質を精製する。この反応混合物を完成させ、真空下で濃縮する。粗エーテル脂
質は、結晶化、遠心分離および洗浄によって得られる。
【0057】 この多段反応を図1にまとめる。
【0058】 [実施例2] <D−ET18OCH3(D−エデルホシン)の立体特異的合成> ET18OCH3(Dエデルホシン)のD光学異性体の多段合成の第1ステッ
プで、n−オクタデシルアルコールを塩化メシルと反応させて、n−オクタデシ
ルメシレートを生成する。この母液を、固体残渣が得られるまで濃縮する。この
残渣を、結晶化により精製し、洗浄する。
【0059】 第2ステップでは、n−オクタデシルメシレートを1,2−イソプロピリデン
−sn−グリセロ−ルと反応させ、続いて、加水分解し、1−O−オクタデシル
−sn−グリセロールを生成する。この1−O−オクタデシル−snグリセロ−
ルを結晶化により精製し、洗浄して乾燥させる。
【0060】 第3ステップでは、1−O−オクタデシル−sn−グリセロールをトリフェニ
ルメチルクロリド(トリチルクロリド)と反応させる。このステップで反応混合
物を完成させ、濃縮する。1−O−オクタデシル−3−O−トリチル−sn−グ
リセロール生成物を結晶化し、洗浄する。
【0061】 第4ステップでは、1−O−オクタデシル−3−O−トリチル−sn−グリセ
ロールをヨウ化メチルと反応させて、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−
3−O−トリチル−sn−グリセロール生成物を生成する。この生成物を結晶化
した後、トリチル基を加水分解して1−O−オクタデシル−2−O−メチル−s
n−グリセロールを生成し、続いて、これをクロマトグラフィおよび結晶化によ
り精製する。
【0062】 第5ステップでは、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ
ールを、オキシ塩化リンと反応させ、次いで、コリントシレートと反応させて、
粗エーテル脂質を生成する。この反応混合物を完成させ、真空下で濃縮する。粗
エーテル脂質は、結晶化、遠心分離および洗浄により得られる。
【0063】 本発明によるリポソーム製剤を調製し、以下の実施例に記載の通りに評価した
【0064】 [実施例3] <血小板凝集アッセイ> 米国特許第5,762,958号(引用することにより本明細書の一部をなす
ものとする)に記載の通りに、リポソーム製剤を調製した。
【0065】 以下のプロトコールに従い、CHRONO−LOG Dual Chambe
r Whole Blood Aggregometer Model 560
を使用して、リポソームの血小板凝集作用を、様々な哺乳動物の全血で評価した
【0066】 3.8%のクエン酸ナトリウムを使用して、Vacutainer内に静脈血
を採取した。希釈率は1対9である(クエン酸溶液:血液)。DおよびLエーテ
ル脂質およびそれらを含むリポソームが、ラット、イヌ、サルおよびヒトからの
血小板の凝集に及ぼす作用をテストした。
【0067】 採取後直ちに、血液を穏やかに逆さにすることによって混合した(室温で)。
使い捨てのプラスチック製キュベット中の、予熱した食塩水500μlに、50
0μlの全血またはPRPを加えた。使い捨ての、シリコン処理したミニスター
バーを各サンプルに加えた。テスト前に、希釈済み血液を37℃にて5分間加温
した。被験サンプルを凝集チャンバに加え、インピーダンスプローブを挿入した
【0068】 血小板懸濁液中でインピーダンス電極を使用して、高い抵抗で、血小板凝集応
答を決定した。抵抗測定を行った。6〜8分後、被験物品を、全血または血多小
板血漿(PRP)1mlに加えた。評価の結果を表1に報告する。
【0069】
【表1】
【0070】 表1に報告した結果から、DまたはLエーテル脂質のいずれも、ラット全血お
よびヒト全血で、血小板凝集応答がなかったが、イヌ全血で、L−エーテル脂質
に対して立体特異的応答があったことが分かる(PAF、ADPおよびコラーゲ
ンに対する反応は、テスト用の各血小板調製物の許容性を示す)。
【0071】 [実施例4] イヌ全血でL−エーテル脂質により誘発される血小板凝集応答をさらに研究す
るために、PAF結合部位に結合する化合物(CV−6209)が、イヌ血液血
小板に及ぼす作用を試験した。結果を、表2に報告する。
【0072】
【表2】
【0073】 PAFおよびL−エーテル脂質により誘導される血小板凝集応答に対する、C
V−6209結合分子の作用が類似していることから、分子は、イヌ血液血小板
上の同一結合部位を利用すること、および分子が血小板凝集を誘導するメカニズ
ムは類似していることが示唆される。実施例3の結果で立証される通り、イヌ血
液血小板は、PAFとL−エーテル脂質とを区別できないことが表2のデータか
ら、分かる。
【0074】 [実施例5] エーテル脂質成分の鏡像異性のみが異なる2つのリポソーム製剤を調製し、C
57/BL6マウス(グループ当たり3〜10匹)に対するそれらの毒性を試験
した。体重16〜20gのメスC57/BL6マウス群に、PBSで希釈した、
様々な用量のELL−12(LまたはD)を注射(i.v.)した。最大耐容量
(MTD=被験マウスの10%以下における致死用量)を決定するために、用量
150または200mg/kgのLまたはD ELL−12を使用して、i.v
.単回投与の毒性を評価した。50〜150mg/kgのLまたはD ELL−
12 を、1日1回、連続5日間投与(i.v.)することにより、多回投与M
TDを決定した。毎週2回、マウスの体重を測定し、観察し、毎日、死亡数を記
録した。投与の30日後に、実験を終わらせた。結果を表3に報告する。ELL
−12で調合したET−18−OCH3のLおよびD異性体は、静脈内投与した
とき、in vivoで異なった。i.v.投与したとき、L−ELL−12は
、D−ELL−12より低い急性毒性を示した。
【0075】
【表3】
【0076】 [実施例6] 1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン
の2つの光学異性体(EL;以下の式IおよびIIに示す光学異性体L−ELお
よびD−EL)の相対的活性および毒性を、この試験で調査した。従って、本試
験は、多剤耐性を示す細胞系を含む様々な腫瘍細胞系パネルを用いた標準化in
vitro成長阻害アッセイを使用して、ELの各光学異性体、およびラセミ
混合物の活性を評価するためにデザインされた。被験化合物の潜在的毒性のアッ
セイとして、in vitroでの洗浄ラット赤血球の溶血を使用した。
【0077】 式I:L−EL(1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3
−ホスホコリン)
【化8】
【0078】 式II:D−EL(3−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−
l−ホスホコリン)
【化9】
【0079】 DおよびLエーテル脂質の抗腫瘍活性を評価した。A549(ヒト非小細胞胚
癌細胞系);MCF 7(ヒト乳癌系)およびMCF7/adr(多剤耐性ヒト
乳癌);は、DCT Tumor Repository(NCI−Frede
rick Cancer Research Facility,Freder
ick,MD)から入手した。U937(ヒト組織球リンパ腫細胞系)は、Am
erican Type Culture Collectionから入手した
。これらのヒト細胞系の保存培養は、10%の熱不活化ウシ胎仔血清(Life
Technologies)および10mM HEPES(Life Tec
hnologies)を加えたRPMI 1640組織培地(Life Tec
hnologies,Gaithersburg,MD)で維持した。加湿した
インキュベーター内、5%のCO2で、培養を指数増殖状態で維持し、毎週2回
継代した。L1210およびL1210/vmdr、ネズミリンパ球性白血病、
(Yale University School of Medicine)
。L1210/vmdr(L1210の選択された系)に、mdr I遺伝子を
含むプラスミド(pHaMDRl/A)をトランスフェクトした。
【0080】 Sulforhodamine B(SRB)アッセイを用いて、GI50パラ
メータ(細胞増殖を50%阻害する薬剤濃度)を使用した、相対的in vit
ro薬剤感受性を決定した。SRBアッセイの詳細な方法論は、ほかで説明され
ている(2,3)。簡単に記載すると、全ての細胞系について、10%のウシ胎
仔血清(Life Technologies)を加えた培地(L−グルタミン
を含むRPMI 1640(Mediatech,Hemdon,VA))中の
、上記細胞系100μlを、最適細胞密度(3500〜15,000細胞/ウェ
ル)で、96ウェルマイクロタイタープレートに接種した。次いで、このプレー
トを、37℃、湿度100%、5%のCO2で、24時間インキュベートした。
24時間インキュベートした後、培地100μlを、指定の時刻0プレートに加
え、次いで、接着細胞系を含むプレートを、50%のトリクロロ酢酸(wt/v
ol)(Sigma,St.Louis,MO)50μlで酸固定し、4℃で1
時間冷蔵した(懸濁細胞系は、80%のトリクロロ酢酸で酸固定した)。上澄を
捨て、プレートを水で6回すすぎ、風乾した。次いで、残りの(非固定)プレー
トに、被験化合物(100μlアリコート)を、予め決定された最高濃度の2倍
で加え、プレートの全域で、連続的に希釈した。増殖対照ウェルに、さらに10
0μlの培地を加えた。各薬剤濃度について、各プレート上に三つ組みのウェル
があり、且つプレートは二重にあった(代表するウェル6個)。次いで、上記条
件で、細胞を72時間インキュベートした。処理したプレートを、上記の通りに
酸固定し、すすぎ、乾燥させた。1%の酢酸(Sigma)中0.4%のSRB
(Sigma)100μlをプレートに加え、室温で10分間インキュベートし
た。プレートを1%の酢酸で3回すすぐことにより、非結合の染色を除去した。
プレートを24時間、風乾した。結合した染色を、10mMのトリス緩衝液(S
igma)100μlで可溶化し、490mnにおける光学密度を分光光度法で
読取った(Microplate Reader Model 3550−UV
,Biorad,Hercules,CA)。光学密度生データを、Excel
(Microsoft,Redmond,WA)スプレッドシートにインポート
し、用量応答を決定した。以下の通りに、%増殖を算出した。(T−T0)/(
C−T0)×100。ここで、(T)=所与の薬剤濃度における、処理ウェルの
平均光学密度、(T0)=時刻0ウェルの平均光学密度、(C)=対照ウェルの
光学密度であり、また、T<T0であれば、細胞死滅が起っており、そのときは
、以下の通りに%細胞死を算出することができる。(T−T0)/(T0)×10
0。薬剤濃度を変えることにより、用量応答曲線を作成し、GI50値を算出した
。2枚の別個のプレート上の二つ組みのウェルで得られたデータを使用して、各
実験に関するGI50値を算出した。次いで、各独立した実験のGI50値から、平
均GI50値および標準偏差を算出した。
【0081】 被験化合物について、in vitro溶血アッセイも実施した。麻酔(CO2 )したSprague Dawleyラットから、新鮮な全血をEDTAモノ
ベットに採取した。この血液を1000rpmで遠心分離して血漿を除去し、ダ
ルベッコ(Dulbecco)のPBS(Ca++およびMg++を含まない)で洗
浄することにより、4%のRBC溶液を調製した。試験する各化合物を、最終所
望濃度の2倍まで、PBSに溶解/分散させた。同量の薬剤およびRBC溶液を
、ガラス製の試験管内で混合し、パラフィルムをかけ、速度140rpm、37
℃の、振盪式インキュベーターに20時間入れた。全てのサンプルを、二重に実
行した。インキュベーション後、サンプルを遠心分離して、無傷のRBCを除去
した。上澄をきれいな試験管に移し、550nmにおける吸光度を、蒸留水をブ
ランクとして測定した。次式から、%溶血を算出した。
【0082】
【数1】
【0083】 完全な溶血対照は、結果として生じるペレットがなくなるかまたは白色になる
まで、繰り返し凍結と解凍とを実施することによって完成した。薬剤の溶血能力
を効果的に比較するために、全ての薬剤濃度をμMに換算した。4%のRBC溶
液の日間変動を説明するために、結果を0.4ODに正規化した。該当する場合
、WinNonlinバージョン1.1 Model 106(sigmoid
Emax)を使用して、HI50濃度を算出した。
【0084】 in vitro成長阻害試験(SRBアッセイ)の結果を表4に報告し、i
n vitro溶血アッセイの結果を、図2にグラフで表す。D−ELが、L−
ELおよびラセミ体に比べて、僅かであるが統計学的に有意に大きい活性を示し
たL121O/vmdr系を除き、2つの光学異性体およびラセミ混合物は、一
般に、全ての細胞系に対して同じ活性を有していたことが、表4から分かる(異
なる細胞系で、約1.5〜29μMの範囲のGI50)。両異性体およびラセミ混
合物は、in vitroで、洗浄ラット赤血球に対して、同程度に溶血性であ
り、H50は、15.06〜16.19μMの範囲であった。
【0085】
【表4】
【0086】 [実施例8] P388ネズミ白血病。0日に、メスCDF1マウス(18〜20g)に、0
.5ml PBS中1×105個のP388細胞を注射(i.p.)した。マウ
スを無作為にグループ(n=10)に分け、接種後1〜10日に、対照または5
0mg/kg ELL−12(LまたはD)を投与(i.p.)した。死亡数を
毎日観測し、平均生存時間(MST)を算出した。図3から、i.p.投与した
DおよびL ELL−12は、P388白血病に対して、同程度に有効であった
ことが分かる。
【0087】 B16/F10ネズミ黒色腫。3つの別々の実験で、0日に、メスC57/B
L6(16〜20g)マウスに、5×104個のB16/F10細胞を注射(i
.v.)した。マウスを無作為に投与群(n=10)に分け、接種後10、12
、14、16、および18日に、6.25〜12.5mg/kg ELL−12
(LまたはD)または対照を投与(i.v.)した。接種後21日または25日
にマウスを屠殺し、肺を切除し、10%のホルマリンで固定し、拡大鏡を使用し
て、盲検方式で腫瘍小結節を計数した。
【0088】 モジュール侵害(module encroachment)のため、肺1個につき、総数が30
以上のとき、小結節の正確な数を決定することは困難であった。各実験内の投与
群当たりの平均小結節数を算出した。腫瘍小結節数が肺1個につき、30以上で
あったとき、計算のために、「30」と記録した。Student t−検定法
を使用して、ELL−12(L)と(D)を比較した。確立したB16/F10
肺腫瘍に対して投与したとき、L異性体リポソーム製剤は、対照またはD異性体
リポソーム製剤に比べて、有意に(p<0.05)腫瘍小結節の平均数を減少さ
せたことが、図4から分かる。
【0089】 溶血活性。1×108細胞/mlの細胞密度に調節した、Fisherラット
からの洗浄赤血球を使用して、溶血を評価した。サンプルを37℃で30分間イ
ンキュベートし、遠心分離して、細胞をペレット化した。上澄の吸光度を550
nmで測定し、結果を、1mg/mlのエーテル脂質標準で誘発された%溶血と
して表した。
【0090】 細胞周期試験。既述(Exp.Cell Res.207:142−151)
の通りに、固定および染色を実施した。簡単に記載すると、2×106の細胞を
回収し、遠心分離(1000rpm、4℃、5分)でペレット化した。この細胞
を、冷PBS(1×)1mlに懸濁し、冷却した無水EtOH(−20℃)4m
lを加えることによって固定した。細胞を−20℃で保存した。染色するために
、固定した細胞をペレット化し(1000rpm、5分)、PBS 1mlに再
懸濁した。使用前に5〜10分間煮沸した、200μg/ml RNAase(
DNAaseは含まず)100μlを加え、この混合物を37℃で30分間イン
キュベートした。ヨウ化プロピジウム(1mg/ml保存液100μl)を加え
、このサンプルを12×75 Falcon管に移し、5〜10分後に読取った
。図5。
【0091】 CD発現の解析。モノクローナルCD11b−PEは、Ancell(Bay
port,MN)から購入し、CD71−FITCおよびCD82−PEは、P
harmingen(San Diego,CA)から購入した。非特異的結合
を評価するために、トリニトロフェノールに対して生じたモノクローナルIgG
1 PE−またはFITC−複合体を、イソタイプ対照として使用した。ATC
C(Manassas,VA)からの、U−937(ヒト組織球リンパ腫)細胞
を収穫し、1000rpm、4℃で遠心分離し、0.1%のアジ化ナトリウム(
Sigma Chemicals)および1%の熱不活化ウシ胎仔血清を加えた
、Mg2+またはCa2+を含まないダルベッコのPBS(DPBS、Life T
echnologies)(洗浄用緩衝液)で2回洗浄した。1×106細胞を
エッペンドルフ試験管に等分し、細胞染色緩衝液(0.1%のアジ化ナトリウム
、1%の熱不活化ウシ胎仔血清および5%のマウス血清を加えた、MgまたはC
aを含まないPBS)で総量を100μlにした。複合モノクローナル抗体また
は複合イソタイプ対照抗体の適当な希釈液を、1×106細胞に加え(製造業者
により与えられたプロトコールに従って、CD11b 2.5μlまたはCD7
1またはCD82 20μlを使用した)、サンプルを、暗所にて、氷上で、6
0分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄緩衝液で2回洗浄し、PBS中
4%のp−ホルムアルデヒドで10分間固定し、洗浄緩衝液中に再懸濁し、FA
CScanで解析した。図6および図7。
【0092】 具体例および実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、添付のクレー
ムに明確に規定された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更、置
換、および/または省略を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ET18OCH3の立体特異的合成を示す図である。
【図2】 遊離のD−またはL−エーテル脂質およびELL−12リポソーム中のエーテ
ル脂質の溶血活性をグラフで表した図である。
【図3】 P388ネズミ白血病を注入し、対照または50mg/kg ELL−12(
LまたはD)を、接種後1〜10日に投与したマウスの生存率をグラフで表した
図である。
【図4】 B6/F10黒色腫を注入し、対照または6.25または12.5mg/kg
ELL−12(LまたはD)を投与したマウスにおいて、用量が平均小結節数
に及ぼす作用をグラフで表した図である。
【図5】 D−ELまたはL−ELが、細胞周期の様々な時期のU−937細胞に及ぼす
作用をグラフで表した図である。
【図6】 ELL−12(LまたはD)による、U−937細胞でのCD11bの発現の
変調をグラフで表した図である。
【図7】 ELL−12(LまたはD)による、U−937細胞でのCD71の発現の変
調をグラフで表した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 7/00 A61P 7/00 31/04 31/04 35/00 35/00 35/02 35/02 43/00 121 43/00 121 C07F 9/10 C07F 9/10 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アーマッド,イムラン アメリカ合衆国イリノイ州60083,ワッズ ワース,ウェスト・ペブル・ビーチ・ドラ イヴ 4731 (72)発明者 ジャノフ,アンドリュー・エス アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州19067, ヤードリー,カウンテス・ドライヴ 560 Fターム(参考) 4C076 AA19 BB13 CC14 CC27 CC31 DD63F DD70F FF16 4C084 AA19 MA02 MA24 NA06 ZA512 ZB262 ZB272 ZB352 4C086 AA01 AA02 MA03 MA05 MA24 NA06 ZA51 ZB26 ZB27 ZB35 4H050 AA03 AB20 AB68

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂質二重層を有するリポソームであって、前記脂質二重層は
    、光学的に活性なエーテル脂質成分を含み、前記エーテル脂質成分は、L−エー
    テル脂質、D−エーテル脂質、L−エーテル脂質とD−エーテル脂質との等量で
    ない混合物からなる群から選択されるリポソーム。
  2. 【請求項2】(a)誘導体化されていないホスファチジルコリンと、 (b)ステロールと、 (c)ホスファチジルエタノールアミンのエタノールアミン基においてジカルボ
    ン酸に連結された約5〜20モル%のホスファチジルエタノールアミンと をさらに含み、 (d)前記リポソームが、約10モル%より多く、約30モル%未満の前記エー
    テル立体異性体を含む請求項1に記載のリポソーム。
  3. 【請求項3】 前記エーテル脂質立体異性体が、式、 【化1】 (式中、Ylは、(CH2n1(CH=CH)n2(CH2n3(CH=CH)n4
    CH2n5(CH=CH)n6(CH2n7(CH=CH)n8(CH2n9であり、
    n1+2n2+n3+2n4+n5+2n6+n7+2n8+n9の合計は、3
    〜23の整数であり、n1は、0であるか、または1〜22の整数であり、n3
    は、0であるか、または1〜19の整数であり、n5は、0であるか、または1
    〜16の整数であり、n7は、0であるか、または0〜16の整数であり、n9
    は、0であるか、または1〜10の整数であって、n2、n4、n6およびn8
    は、それぞれ独立に0または1であり、Y2は、CH3またはCO2Hであり、Z
    は、酸素またはイオウである)で表される請求項1に記載のリポソーム。
  4. 【請求項4】 前記リポソームが単ラメラであり、約50〜200nmの範
    囲内の直径を有する請求項1に記載のリポソーム。
  5. 【請求項5】 前記誘導体化されていないホスファチジルコリンが、不飽和
    または部分的に不飽和のホスファチジルコリンである請求項2に記載のリポソー
    ム。
  6. 【請求項6】 前記誘導体化されていないホスファチジルコリンがジオレオ
    イルホスファチジルコリンである請求項5に記載のリポソーム。
  7. 【請求項7】 前記ステロールがコレステロールである請求項2に記載のリ
    ポソーム。
  8. 【請求項8】 前記ホスファチジルエタノールアミンが、ジパルミトイルホ
    スファチジルエタノールアミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノ
    ールアミンおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンからなる群から
    選択される請求項2に記載のリポソーム。
  9. 【請求項9】 前記ホスファチジルエタノールアミンが、ジオレオイルホス
    ファチジルエタノールアミンである請求項8に記載のリポソーム。
  10. 【請求項10】 前記ジカルボン酸が、グルタル酸、セバシン酸、コハク酸
    および酒石酸からなる群から選択される請求項2に記載のリポソーム。
  11. 【請求項11】 前記ジカルボン酸がグルタル酸である請求項10に記載の
    リポソーム。
  12. 【請求項12】 前記ホスファチジルエタノールアミンがジオレオイルホス
    ファチジルエタノールアミンであり、前記ジカルボン酸がグルタル酸である請求
    項2に記載のリポソーム。
  13. 【請求項13】 Y2がCH3であり、Y1が(CH2n1であり、ZがOであ
    る請求項3に記載のリポソーム。
  14. 【請求項14】 前記エーテル脂質が、式、 【化2】 を有する請求項1に記載のリポソーム。
  15. 【請求項15】 前記誘導体化されていないホスファチジルコリンがジオレ
    オイルホスファチジルコリンであり、前記ステロールがコレステロールであり、
    前記ホスファチジルエタノールアミンがジオレオイルホスファチジルエタノール
    アミンであり、前記ジカルボン酸がグルタル酸であり、前記エーテル脂質が式、 【化3】 を有する請求項2に記載のリポソーム。
  16. 【請求項16】 前記二重層が、約20モル%のエーテル脂質と、ジカルボ
    ン酸に連結された約10モル%のホスファチジルエタノールアミンと、約30モ
    ル%のコレステロールと、約40モル%のジオレオイルホスファチジルコリンと
    を含む請求項15に記載のリポソーム。
  17. 【請求項17】 付加的な生物活性作用物質を含む請求項1に記載のリポソ
    ーム。
  18. 【請求項18】 薬学的に許容可能な担体と請求項1に記載のリポソームと
    を含む医薬組成物。
  19. 【請求項19】 癌に苦しむ哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物
    の体重1kg当たり、約0.1mg〜約1000mg/kgのエーテル脂質を含
    む量で、請求項1に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含み
    、前記癌が、肺癌、脳腫瘍、結腸癌、卵巣癌、乳癌、白血病、リンパ腫、肉腫お
    よび癌腫からなる群から選択されることを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 前記哺乳動物に、付加的な生物活性作用物質を投与するス
    テップを含む請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記付加的な作用物質が、抗悪性腫瘍薬、抗菌薬、および
    造血細胞成長刺激薬からなる群から選択される請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記リポソームが、約50nm〜約200nmの直径を有
    する単ラメラリポソームである請求項19に記載の方法。
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