JP2003342089A - 金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法

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JP2003342089A
JP2003342089A JP2002154385A JP2002154385A JP2003342089A JP 2003342089 A JP2003342089 A JP 2003342089A JP 2002154385 A JP2002154385 A JP 2002154385A JP 2002154385 A JP2002154385 A JP 2002154385A JP 2003342089 A JP2003342089 A JP 2003342089A
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metallized layer
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Yoshiyuki Hirose
義幸 広瀬
Takashi Chikuno
孝 築野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化アルミニウムと金属化層との接合強
度が高く、金属化層内にクラックのない金属化層を有す
る窒化アルミニウム焼結体を提供すること。 【解決手段】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
ックスグリーンシートに導体高融点金属として、平均粒
径2μm以上、5μm以下(好ましくは、2.5μm以
上、4μm以下)のW粉末を含むペーストを塗布した
後、全体を同時に焼結して金属化層を有するか、該セラ
ミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該ス
ルーホール内部に主に導体高融点金属を含むペーストを
充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化
層を有し、Wの平均粒径が2μm以上、5.5μm以下
(好ましくは、2.5μm以上、4.5μm以下)であ
る窒化アルミニウム焼結体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体やIC用の基
板、パッケージ材料として有用な、金属化層を有する窒
化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は熱伝導率が高
いため放熱性に優れると共に、電気絶縁性や機械的強度
にも優れているため、発熱量の大きな半導体やICを搭
載する基板、パッケージ材料として用いられることが多
い。
【0003】窒化アルミニウム焼結体を基板やパッケー
ジとして用いる場合には、この窒化アルミニウム焼結体
の表面及び/又は内部に金属化層(メタライズ層)を形
成することが必要となる。ところが、窒化アルミニウム
は金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難である。そ
こで、従来から、濡れ性を改善し、金属化した時の金属
化層と窒化アルミニウム焼結体との接着強度を確保する
ために、様々な接着増強用成分が検討されてきた。
【0004】このような接着増強用成分を配合してなる
金属化層形成材料を用いることにより、窒化アルミニウ
ム焼結体母材と金属化層との接合強度を高めている従来
例を挙げると次の通りである。
【0005】(特開平8−109084号公報)Mo、
W、Taから選ばれた1種以上の金属に、Al及び希土
類元素から選ばれた1種以上、ならびにTi、Zr、H
fから選ばれた1種以上からなる接着増強用成分を添加
したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強
度を高めている。
【0006】(特開昭63−115393号公報)W及
び/又はMoの金属に、SiO2、Al23、CaOを
主成分とし、これに必要に応じてMgO、BaO、B2
3のいずれか1種以上を混合した接着増強用成分を添
加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合
強度を高めている。
【0007】(特開昭63−195183号公報)W及
び/又はMoの金属に、CaO、BaO、SrO、Y2
3、CeO2、Gd23の1種以上と、Al23、Al
Nの一種以上とからなる接着増強用成分を添加したもの
を金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高め
ている。
【0008】(特開平6−116068号公報)Mo、
W、Taから選ばれた1種以上を含有する第1の金属化
層に第2の金属化層を積層し、第2の金属化層には少な
くともSiO2又はAl23を含有した接着増強用成分
を含ませることにより接合強度を高めている。
【0009】また、これらの金属化は金属粉末をペース
ト状にして、スクリーン印刷等で形成することが多い
が、金属粉末の粒径を制御して、接着強度を確保する方
法も検討されており、これらの技術を例示すると次の通
りである。
【0010】(特開昭63−86598号公報)W及び
/又はMoの平均粒径を3μm以下、好ましくは2μm
以下とすることで、窒化アルミニウムとの反応が促進さ
れ、充分に接着した回路基板を得ることができることが
開示されている。しかしながら、これは窒化アルミニウ
ムを一旦焼結したあとに金属化する方法に限られてい
る。
【0011】(特開平4−83783号公報)平均粒径
1.0μm乃至1.5μmのW粉末に窒化アルミニウム
焼結体と実質的に同一の組成から成る無機物を3.0重
量%乃至10.0重量%含有させることにより、金属化
層にクラックが入ることを防止している。
【0012】さらに、金属粉末の粒径を制御すること
で、接着強度を向上させるという効果に加えて他の効果
を付加したものもある。例えば特開昭63−20637
7号公報には、Mo、W及び周期律表の第IVa族元素
の単体粉体もしくはそれらの化合物粉体よりなる群より
選ばれる少なくとも1種の粉末を平均粒子径が1.5μ
m以下になるように粉砕しながら混合したペーストを用
いることで、金属化表面粗さを小さくできることが記載
されている。
【0013】一方で、近年金属化層には低抵抗化が要求
されることがあり、金属化層厚を厚くする必要が出てき
た。通常金属化層厚は0.02mm程度であるが、場合
によると0.1mm程度にすることもある。また、近年
パッケージとして窒化アルミニウムを用いることが多く
なったが、この場合、多層配線基板構造への要求が高
く、層間の導通を確保するためにスルーホール(ビアホ
ール)を金属化した導通部であるビアを形成する必要が
ある。従来ビア径は焼成前で0.2〜0.25mmであ
った。焼結後は一般的に0.15〜0.2mmとなる。
ところが、ビアに対しても低抵抗化への要求が強く、近
年0.3〜0.45mm、焼結後で0.25〜0.4m
mというビア径が求められることが多い。
【0014】ところが、従来取られていた方策によれ
ば、金属化層と窒化アルミニウムとの接合強度は向上す
るものの、金属化層が厚くなったり、スルーホールに金
属化層を充填しようとすると、金属の内部にクラックが
生じることがあることが判った。すなわち、通常の金属
化の厚みである0.02mm程度では、接合強度は問題
なく強く、金属化層内にクラック等の不具合は全く発生
していないが、金属化層の厚みが0.1mm程度に厚く
なると金属化層内にクラックが生じ、金属化層自体の強
度が小さくなり、ひどい場合には金属化層が破壊すると
いう問題が発生した。また、スルーホールに金属化層を
充填しようとする場合にも、同様な問題が生じた。従来
のスルーホール系の金属化では問題がなかったが、スル
ーホール径が焼結前で0.3mmと大きくなったときに
問題が生じたことより、金属化層が厚くなった場合と同
じ原因と考えられた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであり、金属化層が厚くなった場
合でも、金属化層内に生じるクラックを防ぐと共に、窒
化アルミニウムと金属化層との接合強度が高い、金属化
層を有する窒化アルミニウム焼結体及び製造方法を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次の構成を有する。 (1)表面及び/又は内部に金属化層を有する窒化アル
ミニウム焼結体において、前記金属化層は主に導体高融
点金属からなり、前記導体高融点金属がWであり、前記
Wの平均粒径が2μm以上、5.5μm以下であること
を特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結
体。 (2)前記Wの平均粒径が2.5μm以上、4.5μm
以下であることを特徴とする上記(1)記載の金属化層
を有する窒化アルミニウム焼結体。
【0017】(3)窒化アルミニウムを主成分とするセ
ラミックスグリーンシートに主に導体高融点金属を含む
ペーストを塗布した後、全体を同時に焼結することによ
り、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造す
る方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金
属が平均粒径2μm以上、5μm以下のW粉末であるこ
とを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結
体の製造方法。 (4)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、4μm
以下であることを特徴とする上記(3)記載の金属化層
を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0018】(5)窒化アルミニウムを主成分とするセ
ラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該
スルーホール内部に主に導体高融点金属を含むペースト
を充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属
化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法に
おいて、前記ペーストに含まれる導体高融点金属が平均
粒径が2μm以上、5μm以下のW粉末であることを特
徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製
造方法。 (6)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、4μm
以下であることを特徴とする上記(5)記載の金属化層
を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の金属化層を有する窒化ア
ルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウム焼結体母
材は、窒化アルミニウム粉末を主成分とし、これに焼結
助剤として広く知られているイットリウム、希土類金
属、アルカリ金属等の化合物の粉末を0.1〜10wt
%程度添加した焼結用粉末を成形し、焼結して得られ
る。
【0020】成形方法としては、窒化アルミニウム粉末
と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の
樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤
を混合し、これを造粒した後、プレス等で成形を行って
も良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシー
トを作製しても良い。また、押し出し法等も適用するこ
とができる。
【0021】ただし、多層構造とするためには、窒化ア
ルミニウムと金属化層を焼結前に積層し、同時焼成する
必要がある。この場合、プレス成形では困難であるため
グリーンシートを用いることが多い。また、スルーホー
ルやビアを形成する場合もプレス成形では困難であるの
で、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが一般
的である。以下では、主にグリーンシートを用いた同時
焼成による作製方法について説明する。
【0022】グリーンシートには必要に応じて、パンチ
等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホール
には後述する組成のペーストが充填される。充填する方
法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用する
ことができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に
後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法
としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー
塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0023】本発明においてビア、回路配線形成に用い
るペーストは、導体粉末、樹脂結合剤及び溶剤からな
る。場合によっては、金属化層と窒化アルミニウムの接
着強度を高めるために、マッチング用無機物粉末を混合
しても良い。本発明では前記導体粉末としてW粉末を用
いる。本グリーンシートは窒化アルミニウムと導体形成
用組成物とを同時に焼結する必要があるが、窒化アルミ
ニウム粉末とW粉末とは焼結温度を近くすることがで
き、さらに熱膨張率も近いため、導体粉末としてWを用
いることが好ましいからである。
【0024】使用するW粉末の平均粒径としては、2μ
m以上、5μm以下が好ましい。異なる平均粒径のW粉
末を数種類混合して用いることも多いが、その場合、
2.5μm以上、4μm以下の粒径のW粉末を50wt
%以上用いることが好ましい。W粉末の平均粒径が2μ
mより小さくなると、Wの焼結開始温度が窒化アルミニ
ウムの焼結温度に比べて、かなり低くなる。例えば、1
800〜1900℃で焼結する窒化アルミニウムを考え
ると、窒化アルミニウムは1700〜1800℃で焼結
が開始されるのに対して、Wは1300〜1500℃で
焼結が開始される。
【0025】このように、窒化アルミニウムとWとの焼
結開始温度が大きく異なると、例えばスルーホールに充
填したペーストを考えると、窒化アルミニウム母材が焼
結開始、すなわち収縮開始するより前に、ペースト部分
が収縮開始することになる。そのため、スルーホール周
辺の結合が弱い部分にクラックが生じやすくなる。例え
ば、スルーホールに充填したペーストに不均一部分があ
ればビア内部にクラックが生じ、窒化アルミニウム母材
に何かしらの欠陥があれば母材にクラックが生じる。ビ
ア及び窒化アルミニウムの両方ともに欠陥が無い場合
は、母材とビアの界面でクラックが生じることになる。
これらのクラックを避けるためにはW粉末の粒径を2μ
m以上にする必要がある。
【0026】また、スルーホールにペーストを充填する
ことを考えると、W粉末の粒径が細かいと粉末の嵩密度
が低くなることに起因して、ペースト内のW粉末の充填
密度が低くなり、焼結時の収縮が極端に大きくなるた
め、ビアにクラックが生じやすくなる。具体的には、W
粉末の平均粒径が1μmより小さくなると、Wの充填密
度が極端に低くなり、ビア内に生じるクラックを避ける
ことが出来ない。一方、W粉末の平均粒径が5μmより
大きくなると、W粉末の焼結性が著しく悪化し、窒化ア
ルミニウムの焼結温度でW粉末の焼結が充分に行われな
い。そのため、金属化層と窒化アルミニウムとの接合強
度が著しく弱くなるため、用いることが困難である。
【0027】これらの平均粒径が2μm以上、5μm以
下のW粉末を使用した場合、焼結後の平均粒径が同様に
2μm以上、5.5μm以下となる。一般的に、粉末を
焼結した場合、粉末が粒成長するため、粉末の平均粒径
より焼結後の平均粒径が大きくなるのが普通である。し
かしながら、Wは難焼結材であり、窒化アルミニウムの
窒素中等の焼結雰囲気、焼結温度では、焼結があまり進
まない。W粉末の粒子同士の一部が接合してはいるもの
の、粒全体が成長している構造とはならない。そのた
め、平均粒径としては焼結前とほぼ同じとなるのであ
る。この構造は焼結体内部では顕著である。焼結体表面
に形成されたWでは、ある程度粒成長した構造となって
おり、粒同士も密に結合されてはいるが、焼結体内部と
大差はない粒径となっている。
【0028】ところで、前記特開昭63−86598号
公報では、W及び/又はMoの平均粒径を3μm以下、
好ましくは2μm以下とすることで、窒化アルミニウム
との反応が促進され、充分に接着した回路基板を得るこ
とができると記載されている。Wの平均粒径が2μm以
上、5μm以下の粉末を利用するという本発明は、前記
特開昭63−86598号公報記載の発明と一見すると
技術的に重複したものとなっている。
【0029】しかしながら、特開昭63−86598号
公報記載の発明は窒化アルミニウムを一旦焼結したあと
に金属化する方法(ポスメタ法)に限られている。これ
に対して、本発明は窒化アルミニウムとWを同時に焼結
する同時焼結法を主に対象としている。ポスメタ法では
焼結した窒化アルミニウム基板を用いるため、Wのみの
焼結を考えればよい。また、窒化アルミニウムを焼結す
る1800〜1900℃といった高温は必要なく、一般
的に1500〜1700℃程度の比較的低温での焼結を
行う。1800〜1900℃まであげると、母材である
窒化アルミニウム基板に悪影響を与えることも低温で焼
結する理由である。このように、Wのみの焼結、しかも
低温での焼結では、同時焼結のようにWと母材の焼結開
始温度のミスマッチに起因した金属化層のクラックは考
慮しなくて良い。すなわち、ボスメタ法と同時焼結の技
術的ポイントは全く異なり、金属化層のクラックやクラ
ックに伴う金属化層と母材との密着強度の低下を解決す
ることを狙った本発明と前記特開昭63−86598号
公報記載の発明とは根本的に異なるものである。
【0030】W粉末の平均粒径は、さらに好ましくは、
2.5μm以上、4μm以下が望ましい。異なる平均粒
径のW粉末を数種類混合して用いることも多いが、その
場合、2.5μm以上、4μm以下の平均粒径のWを5
0wt%以上用いることが好ましい。一般的にW粉末は
平均粒径に対して、ある程度ブロードな粒度分布を持っ
ている。この粒度分布の広がりは粉末ロットによって、
ある程度上下する。通常、平均粒径を中心に1〜2μm
程度の幅を持っているが、場合によっては2〜3μm程
度に広がることもある。その場合、W粉末の平均粒径が
2.5μmより小さいと、粒度分布が大きかった場合、
分布の中の小さなW粉末が起点となって金属化層にクラ
ックが生じることがある。平均粒径が2μm以上あって
も、分布の中の小さなW粉末が低い温度で焼結、すなわ
ち収縮開始してしまうからである。
【0031】一方、W粉末の平均粒径が4μmより大き
いと、粒度分布が大きかった場合、平均粒径が5μm以
下であっても、分布の中の大きな粉末が未焼となること
がある。これらを避けるには、W粉末の平均粒径を、
2.5μm以上、4μm以下とすることが好ましいので
ある。また、この平均粒径のW粉末を使用した場合、焼
結後の平均粒径は2.5μm以上、4.5μm以下とな
る。
【0032】これらの粉末をエチルセルロース、ニトロ
セルロース等の樹脂結合剤とプチルカルビトール、テル
ピネオール等の溶剤に分散させることによってペースト
を得る。通常樹脂結合剤は、W粉末やマッチング用ガラ
ス等の粉末を100重量部とした場合、1〜3重量部混
合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。
【0033】これまでに述べてきたようなペーストを窒
化アルミニウムのグリーンシートのスルーホールに充
填、もしくは回路印刷した後、必要に応じてグリーンシ
ートを積層する。積層はシートをモールド中にセットし
た後に、プレス機により50℃〜80℃程度に熱しなが
ら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけ
るて熱圧着することにより行う。シート間には必要に応
じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0034】積層したシートは、任意の形に切断された
後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグ
リーンシートの樹脂結合剤、可塑剤及びペーストの媒体
を除去するために、例えば300〜800℃というよう
な温度で脱脂処理をしてもよい。
【0035】焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰
囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼
結後の窒化アルミニウム焼結体が熱伝導率等の特性が所
望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1
600〜2000℃であり、焼結時間は1〜5時間程度
に設定される。
【0036】前記のごとく、本発明の金属化層を有する
窒化アルミニウム焼結体は、金属化層が厚くなった場合
でも、金属化層内にクラックが生じず、金属化層と窒化
アルミニウム焼結体との接合強度の高い金属化層を有す
る窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。
【0037】
【実施例】[実施例1]97重量部の窒化アルミニウム
粉末と3重量部のY23粉末とを混合し、これに樹脂結
合剤としてポリビニルブチラールを、また、可塑剤とし
てジブチルフタレートを、それぞれ10重量部及び5重
量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚の
グリーンシートを成形した。これを金型を使用して10
0mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ
0.3mmのスルーホールを形成した。
【0038】一方で、W粉末を100重量部として、5
重量部の樹脂結合剤であるエチルセルロースと、5重量
部の溶媒であるブチルカルビトールに分散させてW粉末
ペーストを作製した。使用したW粉末の平均粒径を表1
に示す。このペースト試料をスクリーン印刷機を用い
て、前記で得たグリーンシートのスルーホールに充填し
た。さらに、同じペーストに5重量部のプチルカルビト
ールを混合して粘度を低下させ、スクリーン印刷機にて
325メッシュ、乳剤厚20μmのスクリーンを用いて
回路印刷を行った。
【0039】次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層し
た。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プ
レス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分
間熱圧着することによって行った。その後、窒素雰囲気
中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1800
℃、3時間の条件で焼結を行った。
【0040】焼結後、窒化アルミニウム焼結体上の回路
印刷部分には10μmの厚みの金属化層が形成されてお
り、またビア部分にはφ0.25mmのスルーホールに
金属化層が形成されていた。この状態で、回路印刷部分
及びビア部分におけるクラックの発生の有無を40倍の
顕微鏡で確認した。次に、この金属化層が形成された窒
化アルミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法
にて厚み3〜5μmのNiめっき層を形成した。次いで
800℃のホーミングガス中でめっき層をアニールし、
次にφ0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−
Ni−Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろ
う付け温度は800℃、雰囲気は水素と窒素との混合ガ
ス雰囲気とした。
【0041】次に、窒化アルミニウム基板を固定し、F
e−Ni−Co合金ピンを引っ張って強度を測定し、破
壊モードを観察した。さらに、回路印刷部分、ビア部分
でのクラックの発生の有無を確認するために、断面を研
磨し、電子顕微鏡(1000倍)によって確認した。ま
た、焼結後のWの粒径を電子顕微鏡によって確認した。
【0042】これらの評価結果をペースト配合内容と同
様に表1に示す。本発明で規定する範囲内のW粉末平均
粒径、焼結後のWの平均粒径のものでは回路印刷面、ビ
ア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発
明範囲外のものに関しては、W粉末、焼結後のW粒径が
細かいものについては、ビアにクラックが認められた。
【0043】引っ張り強度及び破壊モードについては、
本発明で規定する範囲内の粒径のものでは、引っ張り強
さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう
付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金
属化層との接合強度は20MPa以上であることが判
る。一方、本発明の範囲外のペースト配合では、接合強
度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビア
の真上の金属化層内で破壊が生じていた。
【0044】
【表1】
【0045】[実施例2]W粉末のロットを変更して、
実施例1と同様な実験を行い、W粉末ロットによって引
っ張り強度、金属化層のクラックがどう影響を受けるか
を調べた。使用したW粉末ロット数はそれぞれの平均粒
径に対して10ロットである。これらのロットに対し
て、実施例1と同じ評価を行った。その中で引っ張り強
度が一番低かったロットの結果を表2に示す。
【0046】本発明の範囲外のW粉末粒径及び焼結後の
W平均粒径を有するものに関しては、W粉末、焼結後の
W平均粒径が細かいものには、ビアにクラックが認めら
れた。一方、本発明の範囲内のW粉末粒径、焼結後のW
平均粒径を有するものであっても、W粉末平均粒径が3
μmより小さいものには、ビアにクラックが認められ
た。
【0047】引っ張り強度及び破壊モードについては、
本発明の範囲外のペースト配合では、接合強度が20M
Paより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金
属化層内で破壊していた。一方、本発明の範囲内のW粉
末粒径、焼結後のW平均粒径であっても、W粉末粒径が
3μmより小さいものには、4μmより大きいものに関
しては、接合強度が20MPaより低く、ビアの真上の
金属化層内で破壊していた。W粉末粒径が3μm以上、
4μm以下のものは、引っ張り強さ20MPaで金属化
層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。
これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は
20MPa以上であることが判る。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、窒化アルミニウムに形
成する主に導体高融点金属からなる金属化層において、
導体高融点金属として窒化アルミニウムと熱膨張率の近
いWを選択した場合、W粉末の平均粒径を2μm以上、
5μm以下、より好ましくは2.5μm以上、4μm以
下に制御することによって、金属化層が0.1mm程度
に厚くなったり、スルーホールに金属層を形成する場合
でも、クラックを防ぎ、窒化アルミニウムとの密着強度
を高くすることが出来る。このため、窒化アルミニウム
をIC用の基板、パッケージとして好適に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA02 BA05 BA06 BA36 BA61 BB02 BB05 BB06 BB36 BB61 BD03 BD23 BE31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面及び/又は内部に金属化層を有する
    窒化アルミニウム焼結体において、前記金属化層は主に
    導体高融点金属からなり、前記導体高融点金属がWであ
    り、前記Wの平均粒径が2μm以上、5.5μm以下で
    あることを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウ
    ム焼結体。
  2. 【請求項2】 前記Wの平均粒径が2.5μm以上、
    4.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の
    金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
    ックスグリーンシートに主に導体高融点金属を含むペー
    ストを塗布した後、全体を同時に焼結することにより、
    金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方
    法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属が
    平均粒径2μm以上、5μm以下のW粉末であることを
    特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記W粉末の平均粒径が2.5μm以
    上、4μm以下であることを特徴とする請求項3記載の
    金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
    ックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スル
    ーホール内部に主に導体高融点金属を含むペーストを充
    填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層
    を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法におい
    て、前記ペーストに含まれる導体高融点金属が平均粒径
    が2μm以上、5μm以下のW粉末であることを特徴と
    する金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記W粉末の平均粒径が2.5μm以
    上、4μm以下であることを特徴とする請求項5記載の
    金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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