JP2003342073A - 金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法

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JP2003342073A JP2002154382A JP2002154382A JP2003342073A JP 2003342073 A JP2003342073 A JP 2003342073A JP 2002154382 A JP2002154382 A JP 2002154382A JP 2002154382 A JP2002154382 A JP 2002154382A JP 2003342073 A JP2003342073 A JP 2003342073A
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metallized layer
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nitride sintered
adhesion
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Yoshiyuki Hirose
義幸 広瀬
Takashi Chikuno
孝 築野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化アルミニウムと金属化層との接合強度が
高く、金属化層内にクラックのない金属化層を有する窒
化アルミニウム焼結体を提供すること。 【解決手段】 表面及び/又は内部に金属化層を有する
窒化アルミニウム焼結体において、前記金属化層を、導
体高融点金属であるWと、Al23、SiO2及びMg
Oから選ばれる少なくとも2種類以上からなる接着増強
用無機物とから構成し、前記接着増強用無機物の熱膨張
率を3×10−6/K〜6×10−6/Kとする。前記接
着増強用無機物としては、ムライト(3Al23・2S
iO2)を用いるか、前記酸化物混合体をその融点以上
でガラス化した後に粉砕した無機物粉末を用いることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体やIC用の基
板、パッケージ材料として有用な、金属化層を有する窒
化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は熱伝導率が高
いため放熱性に優れると共に、電気絶縁性や機械的強度
にも優れているため、発熱量の大きな半導体やICを搭
載する基板、パッケージ材料として用いられることが多
い。
【0003】窒化アルミニウム焼結体を基板やパッケー
ジとして用いる場合には、この窒化アルミニウム焼結体
の表面及び/又は内部に金属化層(メタライズ層)を形
成することが必要となる。ところが、窒化アルミニウム
は金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難である。そ
こで、従来から、濡れ性を改善し、金属化した時の窒化
アルミニウムとの接着強度を確保するために、様々な接
着増強用成分が検討されてきた。
【0004】このような接着増強用成分を配合してなる
金属化層形成材料を用いることにより、窒化アルミニウ
ム焼結体母材と金属化層との接合強度を高めている従来
例を挙げると次の通りである。
【0005】(特開平8−109084号公報)Mo、
W、Taから選ばれた1種以上の金属に、Al及び希土
類元素から選ばれた1種以上、ならびにTi、Zr、H
fから選ばれた1種以上からなる接着増強用成分を添加
したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強
度を高めている。
【0006】(特開昭63−115393号公報)W及
び/又はMoの金属に、SiO2、Al23、CaOを
主成分とし、これに必要に応じてMgO、BaO、B2
3のいずれか1種以上を混合した接着増強用成分を添
加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合
強度を高めている。
【0007】(特開昭63−195183号公報)W及
び/又はMoの金属に、CaO、BaO、SrO、Y2
3、CeO2、Gd23の1種以上と、Al23、Al
Nの一種以上とからなる接着増強用成分を添加したもの
を金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高め
ている。
【0008】(特開平6−116068号公報)Mo、
W、Taから選ばれた1種以上を含有する第1の金属化
層に第2の金属化層を積層し、第2の金属化層には少な
くともSiO2又はAl23を含有した接着増強用成分
を含ませることにより接合強度を高めている。
【0009】一方で、近年金属化層には低抵抗化が要求
されることがあり、金属化層厚を厚くする必要が出てき
た。通常金属化層厚は0.02mm程度であるが、場合
によると0.1mm程度にすることもある。また、近年
パッケージとして窒化アルミニウムを用いることが多く
なったが、この場合、多層配線基板構造への要求が高
く、層間の導通を確保するためにスルーホール(ビアホ
ール)を金属化した導通部であるビアを形成する必要が
ある。従来ビア径は焼成前で0.2〜0.25mmであ
った。焼結後は一般的に0.15〜0.2mmとなる。
ところが、ビアに対しても低抵抗化への要求が強く、近
年0.3〜0.45mm、焼結後で0.25〜0.4m
mというビア径が求められることが多い。
【0010】ところが、従来取られていた方策によれ
ば、金属化層と窒化アルミニウムとの接合強度は向上す
るものの、金属化層が厚くなったり、スルーホールに金
属化層を充填しようとすると、金属の内部にクラックが
生じることがあることが判った。すなわち、通常の金属
化の厚みである0.02mm程度では、接合強度は問題
なく強く、金属化層内にクラック等の不具合は全く発生
していないが、金属化層の厚みが0.lmm程度と厚く
なると金属化層内にクラックが生じ、金属化層自体の強
度が小さくなり、ひどい場合には金属化層が破壊すると
いう問題が発生した。また、スルーホールに金属化層を
充填しようとする場合にも、同様な問題が生じた。従来
のスルーホール径を有するスルーホールの金属化では問
題は生じなかったものの、スルーホール径が焼結前で
0.3mmと大きくなったときに問題が生じたことよ
り、金属化層が厚くなった場合と同じ原因によるものと
考えられた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであり、金属化層が厚くなった場
合でも、金属化層内にクラックが生じるのを防ぐと共
に、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度が高い、
金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次の構成を有する。 (1)表面及び/又は内部に金属化層を有する窒化アル
ミニウム焼結体において、前記金属化層は導体高融点金
属と接着増強用無機物からなり、前記導体高融点金属は
Wであり、前記接着増強用無機物は熱膨張率が3×10
−6/K〜6×10−6/Kであることを特徴とする金属
化層を有する窒化アルミニウム焼結体。 (2)前記接着増強用無機物がAl23、SiO2及び
MgOから選ばれる少なくとも2種類以上からなる酸化
物混合体であることを特徴とする上記(1)記載の金属
化層を有する窒化アルミニウム焼結体。 (3)前記接着増強用無機物として、ムライト(3Al
23・2SiO2)を使用することを特徴とする上記
(2)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結
体。
【0013】(4)窒化アルミニウムを主成分とするセ
ラミックスグリーンシートに導体高融点金属と接着増強
用無機物とを含むペーストを塗布した後、全体を同時に
焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウ
ム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含ま
れる導体高融点金属がWであり、前記接着増強用無機物
がAl23、SiO2及びMgOから選ばれる少なくと
も2種類以上からなる酸化物混合体であることを特徴と
する金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方
法。 (5)前記接着増強用無機物として、ムライト(3Al
23・2SiO2)を使用することを特徴とする上記
(4)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体
の製造方法。 (6)前記接着増強用無機物として、前記酸化物混合体
の融点以上でガラス化した後に粉砕した無機物粉末を使
用することを特徴とする上記(4)又は(5)記載の金
属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0014】(7)窒化アルミニウムを主成分とするセ
ラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該
スルーホール内部に導体高融点金属と接着増強用無機物
とを含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結する
ことにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体
を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体
高融点金属がWであり、前記接着増強用無機物がAl2
3、SiO2、及びMgOから選ばれる少なくとも2種
類以上からなる酸化物混合体であることを特徴とする金
属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。 (8)前記接着増強用無機物として、ムライト(3Al
23・2SiO2)を使用することを特徴とする上記
(7)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体
の製造方法。 (9)前記接着増強用無機物として、前記酸化物混合体
の融点以上でガラス化した後に粉砕した無機物粉末を使
用することを特徴とする上記(7)又は(8)記載の金
属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の金属化層を有する窒化ア
ルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウム焼結体母
材は、窒化アルミニウム粉末を主成分とし、これに焼結
助剤として広く知られているイットリウム、希土類金
属、アルカリ金属等の化合物の粉末を0.1〜10wt
%程度添加した焼結用粉末を成形し、焼結して得られ
る。
【0016】成形方法としては、窒化アルミニウム粉末
と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の
樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤
を混合し、これを造粒した後、プレス等で成形を行って
も良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシー
トを作製しても良い。また、押し出し法等も適用するこ
とができる。
【0017】ただし、多層構造とするためには、窒化ア
ルミニウムと金属化層とを焼結前に積層し、同時焼成す
る必要がある。この場合、プレス成形では困難であるた
め、グリーンシートを用いることが多い。また、スルー
ホールやビアを形成する場合もプレス成形では困難であ
るので、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが
一般的である。以下では、主にグリーンシートを用いた
同時焼成による作製方法について説明する。
【0018】グリーンシートには必要に応じて、パンチ
等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホール
には後述する組成のペーストが充填される。充填する方
法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用する
ことができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に
後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法
としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー
塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0019】本発明において、ビア、回路配線形成に用
いるペーストは、導体粉末、接着増強用無機物粉末、樹
脂結合剤、溶剤からなり、前記導体粉末としてはW粉末
を用いる。これは、本グリーンシートは窒化アルミニウ
ムと導体形成用組成物とを同時に焼結する必要がある
が、窒化アルミニウム粉末とW粉末とは焼結温度を近く
することができ、さらに熱膨張率も近いため、導体粉末
としてW粉末を用いることが好ましいからである。
【0020】ただし、窒化アルミニウム粉末とW粉末の
焼結温度を近づけるためには、W粉末の平均粒径を1μ
m以上、5μm以下にすることが好ましい。W粉末は平
均粒径の異なるものを数種類混合して用いることも多い
が、その場合、平均粒径が1μm以上、5μm以下のW
を50wt%以上用いることが好ましい。W粉末の平均
粒径が1μmより小さくなると、Wの焼結開始温度が窒
化アルミニウムの焼結温度に比べて低くなりすぎるた
め、Wや窒化アルミニウムとWの界面にクラックが生じ
やすくなる。一方、W粉末の平均粒径が5μmより大き
くなると、Wの焼結性が著しく悪化し、窒化アルミニウ
ムの焼結温度でWの焼結が充分に行われないため、好ま
しくない。
【0021】また、前記接着増強用無機物粉末として
は、焼結後の熱膨張率が3×10−6/K〜6×10−6
/Kであるものが好ましい。従来接着増強用無機物単体
の熱膨張率を制御するという考え方は無く、上述のよう
に窒化アルミニウムと導体材料の熱膨張率の整合のみが
考えられてきた。従来のように、印刷膜厚が薄い段階で
は問題が生じなかった。しかしながら、印刷膜厚の増
加、窒化アルミニウムの多層化に伴うスルーホール、ビ
アの必要性の増加に伴い、接着増強用無機物の熱膨張率
を制御しないと、焼結後の金属化層にクラックが生じ、
金属化層自体の強度も小さくなるという問題が生じるこ
とが判った。これらを避けるためには、接着増強用無機
物単体の熱膨張率を3×10−6/K〜6×10−6/K
とする必要があることが判った。
【0022】さらに前記接着増強用無機物粉末が所望の
特性を有するには、後述する窒化アルミニウムの焼結温
度付近で軟化、もしくは溶融する必要がある。窒化アル
ミニウム、Wの焼結過程においては、焼結温度が接着増
強用無機物粉末の軟化、溶融温度より低い間は、無機物
粉末はWの焼結の阻害を行う。一方、焼結温度が軟化、
溶融温度を超えて無機物粉末が一旦軟化、溶融を開始す
ると、逆にWの焼結を促進させる働きがある。窒化アル
ミニウムとWを同時焼結する場合は、Wの焼結のタイミ
ングを窒化アルミニウムに合わせるためにも、接着増強
用無機物の軟化、溶融温度も窒化アルミニウムの焼結温
度に近い必要がある。
【0023】また、接着増強用無機物は、W部分で軟
化、もしくは溶融することで、W粒同士の結合、窒化ア
ルミニウムとWの結合等を行う。この軟化、溶融温度が
低すぎると、接着増強用無機物はW部分だけでなく、毛
細管現象によって窒化アルミニウム部分へも拡散してし
まう。逆に軟化、溶融温度が高すぎると、接着増強用無
機物は粉末のままであり、所望の特性を得ることができ
ない。
【0024】接着増強用無機物成分としては、酸化物混
合体を用いることができる。特に、軟化、溶融温度を考
慮すると、Al23、SiO2及びMgOから選ばれる
少なくとも2種類以上からなる酸化物混合体が軟化、溶
融温度を窒化アルミニウムの焼結温度に近づけることが
できるため、好ましい。
【0025】ペースト中の接着増強用無機物はAl
23、SiO2、MgOそれぞれの粉末を所要量混合さ
せても良いし、ムライト(3Al23・2SiO2)や
スピネル(Al23・MgO)等の複合物の粉末を使用
しても良い。
【0026】例えばMgOは偏析しやすいため、MgO
粉末を用いるよりもスピネル粉末を用いた方が良い。ま
た、均一な混合状態を確保するためには、使用する粉末
の種類を少なくすることが好ましい。例えば、偏析しや
すいMgOを含まず、単一の粉末だけで構成できるムラ
イト(3Al23・2SiO2)を接着増強用無機物に
用いることが、均一な組成の混合物を得るという観点か
らは好ましく、これにより金属化層内でのクラックの発
生を効率的に防ぐことができる。また、同様の観点か
ら、接着増強用無機物の融点以上でガラス化した後に粉
砕した無機物粉末を用いることによって、均一な混合状
態を確保することが容易になる。
【0027】また、ペースト中に含有させる接着増強用
無機物の含有量、すなわち、金属化層中に占める接着増
強用無機物の含有量は、1〜20wt%が望ましい。含
有量が1wt%より少なくなると、接着増強用無機物の
効果が現れない。一方、含有量が20wt%を超える
と、金属化層の抵抗値の増加が無視できなくなるため、
好ましくない。
【0028】これらの粉末をエチルセルロース、ニトロ
セルロース等の樹脂結合剤とブチルカルビトール、テル
ピネオール等の溶剤に分散させることによってペースト
を得る。通常、樹脂結合剤は、W粉末及び接着増強用無
機物を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、
溶剤は3〜15重量部程度混合する。
【0029】これまでに述べてきたようなペーストを窒
化アルミニウムのグリーンシートのスルーホールに充
填、もしくは回路印刷した後、必要に応じてグリーンシ
ートを積層する。積層はシートをモールド中にセットし
た後に、プレス機により50℃〜80℃程度に熱しなが
ら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけ
て熱圧着することにより行う。シート間には必要に応じ
て溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0030】積層したシートは、任意の形に切断された
後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグ
リーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒
体を除去するために、例えば300℃〜800℃という
ような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0031】焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰
囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼
結後の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率等の特性が所
望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1
600℃〜2000℃であり、焼結時間は1時間〜5時
間程度に設定される。
【0032】前記のごとく、本発明の金属化層を有する
窒化アルミニウム焼結体は、金属化層が厚くなった場合
でも、金属化層内にクラックが生じず、金属化層と窒化
アルミニウム焼結体との接合強度の高いものとなる。ま
た今まで主に述べてきたグリーンシートを用いた同時焼
結法によらなくても、例えば、窒化アルミニウム焼結体
単体を一旦焼結した後に、本発明の金属化層を実現する
ペーストを塗布し、非酸化雰囲気中、1600℃〜20
00℃で焼結することによっても、金属化層が厚くなっ
た場合でも、金属化層内にクラックが生じず、金属化層
と窒化アルミニウム焼結体との接合強度の高い金属化層
を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。
【0033】
【実施例】[実施例1]97重量部の窒化アルミニウム
粉末と3重量部のY粉末とを混合し、これに樹脂
結合剤としてポリビニルブチラールを、また、可塑剤と
してジブチルフタレートをそれぞれ10重量部及び5重
量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚の
グリーンシートを成形した。これを金型を使用して10
0mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ
0.3mmのスルーホールを形成した。
【0034】また、一方で、表1に示したような配合組
成のペースト試料を作製した。表1に示した各ペースト
試料は、スルーホールの金属化層中に占める無機物の割
合が15wt%となるように、W粉末85重量部と接着
増強用無機物粉末15重量部とを、樹脂結合剤としての
5重量部のエチルセルロースと、溶媒としての5重量部
のブチルカルビトールに分散させることにより作製し
た。W粉末は平均粒径2μmのものを使用した。表1に
おいて示した接着増強用無機物粉末中のAl23、Si
2及びMgOの各組成比は接着増強用無機物粉末を1
00とした時の値である。また、試料7においては、接
着増強用無機物粉末としてムライトを用いた。表1に示
した無機物の熱膨張率の値は、接着増強用無機物粉末だ
けで評価ペレットを作製して測定した値である。
【0035】
【表1】
【0036】このペースト試料をスクリーン印刷機を用
いて前記スルーホールに充填した。さらに、同じペース
トに5重量部のブチルカルビトールを混合して粘度を低
下させ、スクリーン印刷機にて325メッシュ、乳剤厚
20μmのスクリーンを用いて回路印刷を行った。
【0037】次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層し
た。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プ
レス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分
間熱圧着することによって行った。その後、窒素雰囲気
中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1800
℃、3時間の条件で焼結を行った。
【0038】焼結後、窒化アルミニウム焼結体上の、回
路印刷部分には10μmの厚みの金属化層が形成されて
おり、また、ビア部分にはφ0.25mmのスルーホー
ルに金属化層が形成されていた。この状態で、回路印刷
部分及びビア部分におけるクラックの発生の有無を40
倍の顕微鏡で確認した。
【0039】次に、この金属化層が形成された窒化アル
ミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法にて厚
み3〜5μmのNiめっき層を形成した。次に800℃
のホーミングガス中でめっき層をアニールし、次にφ
0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−Ni−
Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろう付け
温度は800℃、雰囲気は水素と窒素との混合ガス雰囲
気とした。次に、窒化アルミニウム基板を固定し、Fe
−Ni−Co合金ピンを引っ張って強度を測定し、破壊
モードを観察した。さらに、回路印刷部分、ビア部分で
のクラックの発生の有無を確認するために、断面を研磨
し、電子顕微鏡(1000倍)によって観察した。
【0040】これらの評価結果を表1に示す。本発明の
ペースト配合によれば、回路印刷面及びビア部分ともに
クラックは生じていなかった。一方、本発明外のものに
関しては、無機物の熱膨張率の小さな試料3に関して
は、ビアだけでなく周辺の窒化アルミニウムにもクラッ
クが認められた。また、熱膨張率の大きい試料1、2に
関しては、ビアにクラックが認められた。
【0041】引っ張り強度及び破壊モードについては、
本発明のペースト配合では、引っ張り強さ20MPaで
金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断
した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合
強度は20MPa以上であることが判る。一方、本発明
の範囲外のペースト配合によって形成された金属化層
は、接合強度が20MPaより低いものがあり、ビアの
真上の金属化層内で破壊が生じていた。
【0042】[実施例2]実施例1の試料7に関して、
スルーホールの金属化層中に占める無機物の割合を変化
させて、その影響を調べた。変化させた割合を表2に示
す。実験方法等は、スルーホール径が焼結後φ0.1m
mとなるようにパンチャーを変更したことを除いては、
実施例1と同じとした。
【0043】試料は、焼結後に試料表面の研磨を行い、
電子顕微鏡によってクラックの有無を1000倍で確認
した。また、試料の上下面の導通をテスターにて測定
し、導通したビアの良品率を測定した。結果を表2に示
す。無機物のスルーホールの金属化層中に占める割合が
1〜20wt%であれば、クラックの発生がなく、また
導通も良好であった。この割合が1wt%より小さくな
るとビアにクラックが認められた。逆に20wt%より
大きくなると導通のないビアが認められた。
【0044】
【表2】
【0045】[実施例3]実施例1の試料7に関して、
使用するW粉末の粒径を変更して、その影響を調べた。
実験方法等は実施例1と同じとした。各試料について
は、実施例1と同様にピンの引張強度及びビア、窒化ア
ルミニウムのクラックの発生の有無により評価した。W
粉末の平均粒径1μm〜5μmでは特に特性に変化は認
められなかった。
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、窒化アルミニウム焼結
体に形成する、導体高融点金属と接着増強用無機物から
なる金属化層において、導体高融点金属として窒化アル
ミニウムと熱膨張率の近いWを選択した場合、さらには
接着増強用無機物の熱膨張率をも3×10−6/K〜6
×10−6/Kにすることで、金属化層が0.1mm程
度に厚くなったり、スルーホールに金属化層を形成する
場合でも、クラックを防ぎ、AlNとの密着強度を高く
することが出来る。このため、窒化アルミニウムをIC
用の基板、パッケージとして好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA03 BA04 BA06 BA09 BA36 BA61 BB03 BB04 BB06 BB36 BB61 BD23

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面及び/又は内部に金属化層を有する
    窒化アルミニウム焼結体において、前記金属化層は導体
    高融点金属と接着増強用無機物からなり、前記導体高融
    点金属はWであり、前記接着増強用無機物は熱膨張率が
    3×10−6/K〜6×10−6/Kであることを特徴と
    する金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 前記接着増強用無機物がAl23、Si
    2及びMgOから選ばれる少なくとも2種類以上から
    なる酸化物混合体であることを特徴とする請求項1記載
    の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】 前記接着増強用無機物として、ムライト
    (3Al23・2SiO2)を使用することを特徴とす
    る請求項2記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼
    結体。
  4. 【請求項4】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
    ックスグリーンシートに導体高融点金属と接着増強用無
    機物とを含むペーストを塗布した後、全体を同時に焼結
    することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼
    結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる
    導体高融点金属がWであり、前記接着増強用無機物がA
    23、SiO2及びMgOから選ばれる少なくとも2
    種類以上からなる酸化物混合体であることを特徴とする
    金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記接着増強用無機物として、ムライト
    (3Al23・2SiO2)を使用することを特徴とす
    る請求項4記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼
    結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記接着増強用無機物として、前記酸化
    物混合体の融点以上でガラス化した後に粉砕した無機物
    粉末を使用することを特徴とする請求項4又は請求項5
    記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
    ックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スル
    ーホール内部に導体高融点金属と接着増強用無機物とを
    含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結すること
    により、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製
    造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融
    点金属がWであり、前記接着増強用無機物がAl23
    SiO 2及びMgOから選ばれる少なくとも2種類以上
    からなる酸化物混合体であることを特徴とする金属化層
    を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記接着増強用無機物として、ムライト
    (3Al23・2SiO2)を使用することを特徴とす
    る請求項7記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼
    結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記接着増強用無機物として、前記酸化
    物混合体の融点以上でガラス化した後に粉砕した無機物
    粉末を使用することを特徴とする請求項7又は請求項8
    記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107324766A (zh) * 2017-07-11 2017-11-07 宁德师范学院 一种陶银结合的瓷土及生产工艺、制品

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