JP2003341224A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

インクジェット記録媒体

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JP2003341224A
JP2003341224A JP2002153906A JP2002153906A JP2003341224A JP 2003341224 A JP2003341224 A JP 2003341224A JP 2002153906 A JP2002153906 A JP 2002153906A JP 2002153906 A JP2002153906 A JP 2002153906A JP 2003341224 A JP2003341224 A JP 2003341224A
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JP
Japan
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ink
ink receiving
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polyvinyl alcohol
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JP2002153906A
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English (en)
Inventor
Koji Tashiro
耕二 田代
Toyoki Nishijima
豊喜 西嶋
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、インク定着性、インク吸収
性、光沢性及び変褪色耐性に優れた膨潤型のインクジェ
ット記録媒体を提供することにある。 【解決手段】 支持体上にインク受容層を有するインク
ジェット記録媒体において、該インク受容層が、少なく
とも1種のポリビニルアルコール類、ゼラチン及びカチ
オン性ポリマーを含有し、かつ最表面の膜面pHが4.
0以下であることを特徴とするインクジェット記録媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録媒体に関し、詳しくは、インク定着性、インク吸収
性、光沢性及び変褪色耐性に優れた膨潤型のインクジェ
ット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、騒音がなく、高
速印字が可能であり、また、複数個のインクノズルを使
用することにより多色記録を行うことも容易であること
から、特にコンピューター用の画像情報出力装置として
近年急速に普及している。また、その利用分野も、記録
媒体として透明なフィルムや光沢のある樹脂被覆紙を利
用したり、出力する画像の内容も、文字や図形などから
写真に近い画質が要求されるカラー版下やデザインイメ
ージ等へと拡大している。
【0003】ところで、インクジェット記録用のインク
には、安全性、記録特性の面から、主に水と水溶性有機
溶媒を主成分とする水性インクが使用され、インクの目
詰まり防止及び吐き出し特性向上等が図られている。ま
た、インクジェット記録媒体(以降、単に記録媒体とも
いう)としては、従来、通常の紙やインクジェット記録
紙と称される支持体上に多孔質のインク吸収層を設けて
なる記録用シートが使用されてきた。
【0004】しかし、これら従来の記録媒体は、インク
のにじみが大きく光沢性が低いため、近年の高い画質の
要求レベルに応えられるものではない。更に、透明フィ
ルムや光沢のある樹脂被覆紙に従来の多孔質インク吸収
層を用いた場合、多孔質インク吸収層は光透過性が低い
ため、透明性や光沢性が失われてしまう欠点がある。ま
た、インク吸収層が非多孔質の場合には光透過性は改良
されるが、水性インク受容性が劣るために、画像記録印
字後インクが記録媒体表面に長時間残存し、乾燥定着時
間が長くなるという問題点があった。
【0005】これらの問題点を解決するため、光透過性
が高く水性インクの受容性に優れたインク吸収層とし
て、ゼラチンを用いることが提案されている。例えば、
特開昭62−263084号では特定pHのゼラチン水
溶液から形成された受容層が、特開平1−146784
号ではゼラチンと界面活性剤の混合物の使用が、特開平
6−64306号では塗布したゼラチンを一旦ゲル状態
にして後、コールドドライ法により乾燥させて得られる
記録シートがそれぞれ提案されている。
【0006】確かに、これらゼラチンを用いた受容層は
インクの受容性に優れ、光透過性も高い。しかし、イン
クの乾燥定着時間という点ではやはり数分から数十分を
要し、画像記録印字直後に手や他の紙などに触れた場
合、これらがインクで汚れたり、また画像自体が汚れた
りするという問題点がある。
【0007】一般に、インク受容層にゼラチンを用いた
記録媒体のインク吸収能は、インク受容層に使用するポ
リマーの特性に大きく依存している。従来から用いられ
ていたインク吸収能の高いポリマーとして、ポリビニル
アルコールが知られているが、ポリビニルアルコールを
使用するとインク定着性が低下するという問題点を有し
ている。このインク定着性は、カチオン性の水溶性ポリ
マーを用いることにより改良はされるが、新たに光沢度
の低下を引き起こす結果となり、優れたインク定着性と
高い光沢性の両者を、同時に満足する手段が出現してい
ないのが現状である。
【0008】一方、インクジェット記録画像において
は、有害ガスによる変褪色を起こしやすい問題がある。
特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用され
ているフタロシアニン系水性染料で起こりやすい。この
変褪色のメカニズムに関しては、未だ全てが明確にはな
っていないが、オゾン、オキシダント、SOx、NOx
など空気中の極微量の活性な有害ガスが染料を分解して
いると推察している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に
鑑みてなされたものであり、その目的は、インク定着
性、インク吸収性、光沢性及び変褪色耐性に優れた膨潤
型のインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成により達成される。
【0011】1.支持体上にインク受容層を有するイン
クジェット記録媒体において、該インク受容層が、少な
くとも1種のポリビニルアルコール類、ゼラチン及びカ
チオン性ポリマーを含有し、かつ最表面の膜面pHが
4.0以下であることを特徴とするインクジェット記録
媒体。
【0012】2.支持体上に2層以上のインク受容層を
有するインクジェット記録媒体において、該インク受容
層の少なくとも1層が、少なくとも1種のポリビニルア
ルコール類とゼラチンとを含有し、支持体から最も遠い
インク受容層Aのポリビニルアルコール類含有比率が、
該インク受容層Aより支持体側に位置するインク受容層
のポリビニルアルコール類含有比率より高いことを特徴
とするインクジェット記録媒体。
【0013】3.支持体上にインク受容層を有するイン
クジェット記録媒体において、該インク受容層が、少な
くとも1種のポリビニルアルコール類とゼラチンとを含
有し、かつケン化度が92%以下で、重量平均分子量が
2000以上であるポリビニルアルコール類を、総ポリ
ビニルアルコール類含有量の10質量%以上含有するこ
とを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0014】4.支持体上にインク受容層を有するイン
クジェット記録媒体において、該インク受容層の少なく
とも1層が、少なくとも1種のポリビニルアルコール
類、ゼラチン及びセルロース類を含有することを特徴と
するインクジェット記録媒体。
【0015】5.カチオン性ポリマーを含有することを
特徴とする前記2〜4項のいずれか1項に記載のインク
ジェット記録媒体。
【0016】6.カチオン性ポリマーを、2種以上含有
することを特徴とする前記1又は5項に記載のインクジ
ェット記録媒体。
【0017】7.前記インク受容層の2層以上がカチオ
ン性ポリマーを含有し、該カチオン性ポリマーの含有量
が最も多いインク受容層が、少なくとも1種のポリビニ
ルアルコール類を含有することを特徴とする前記1、
5、6項のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒
体。
【0018】以下、本発明の詳細について説明する。請
求項1に係る発明においては、支持体上にインク受容層
を有するインクジェット記録媒体において、該インク受
容層が、少なくとも1種のポリビニルアルコール類、ゼ
ラチン及びカチオン性ポリマーを含有し、かつ最表面の
膜面pHが4.0以下であることが特徴であり、膜面p
Hとして好ましくは3.0〜4.0であり、より好まし
くは3.7〜4.0である。
【0019】最表層の膜面pHが、4.0を越えるとイ
ンク受容層の透明性が低下し、3.0未満であると、イ
ンク吸収性が低下するため好ましくない。
【0020】本発明において、所望の膜面pHとする方
法に関しては、特に制限はなく、膜面pHを下げるとき
は、クエン酸、シュウ酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、炭
酸などの酸で、又膜面pHを上げるときは、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ剤を使用する
ことができる。また、別の有効な手段としては、酸とし
て作用するpHバッファを添加しておくことで、比較的
高いpHを有するインクを吸収してもプリント後の膜面
pHの上昇を抑えることができる。
【0021】pHバッファ剤としては、弱酸が好まし
く、例えば、ホウ酸、炭酸、あるいは各種の有機酸が挙
げられる。しかしながら、炭酸は、低pH領域で炭酸ガ
スを放出し易く、塗布液を調製する際や塗布時に種々の
故障を起こしやすい為に不都合である。好ましい弱酸と
しては、ホウ酸や有機酸であるが、有機酸としては、例
えば、非揮発性のフタル酸、テレフタル酸、サリチル
酸、安息香酸、セバチン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハ
ク酸、蓚酸、ポリアクリル酸、ベンジル酸等各種の有機
酸を挙げることができる。
【0022】なお、本発明でいうインク受容層表面の膜
面pHとは、J.TAPPI 紙パルプ試験方法 No
49−86に規定される方法で測定されたものであり、
インク受容層表面に、pHが6.2〜7.3の純水約5
0μlを滴下し、平面電極を押し当てて測定することが
できる。
【0023】次いで、インク受容層の各構成要素につい
て説明する。本発明のインクジェット記録媒体では、イ
ンク受容層が水溶性ポリマーとして、少なくともゼラチ
ン及びポリビニルアルコールを含有してることが特徴で
ある。
【0024】ゼラチンとしては動物のコラーゲンを原料
としたゼラチンであれば何れも使用できるが豚皮、牛
革、牛骨を原料としたコラーゲンから得られるゼラチン
が好ましい。更にゼラチンの種類としては特に制限はな
いが、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、誘導体ゼラ
チン(例えば、特公昭38−4854号、同39−55
14号、同40−12237号、同42−26345
号、米国特許2,525,753号、同2,594,2
93号、同2,614,928号、同2,763,63
9号、同3,118,766号、同3,132,945
号、同3,186,846号、同3,312,553
号、英国特許861,414号、同103,189号等
に記載の誘導体ゼラチン)を単独またはこれらを組み合
わせて用いることが出来る。
【0025】本発明でいう誘導体ゼラチンとは、ゼラチ
ンの有するアミノ基、イミノ基又はカルボキシル基を置
換したゼラチンを意味するが、本発明では特にアミノ基
又はイミノ基を置換したゼラチンが好ましい。更に好ま
しくはアミノ基を置換したゼラチンであり、その例とし
てフェニルカルバモイルゼラチンやフタル化ゼラチン等
が挙げられる。
【0026】本発明において、アミノ基を置換して得ら
れる誘導体ゼラチンとしては、例えば米国特許第2,6
91,582号、同2,614,928号、同2,52
5,753号等に記載されている。
【0027】本発明において、アミノ基を置換して誘導
体ゼラチンを得るための有用な置換基としては、 a:アルキルアシル、アリールアシル、アセチル及び置
換、無置換のベンゾイル等のアシル基、 b:アルキルスルホニル、アリールスルホニル等のスル
ホニル基、 c:アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル等の
カルバモイル基、 d:アルキルチオカルバモイル、アリールチオカルバモ
イル等のチオカルバモイル基、 e:炭素数1〜18個の直鎖、分岐のアルキル基、 f:置換、無置換のフェニル、ナフチル及びピリジル、
フリル等の芳香族複素還等のアリール基が挙げられる。
【0028】本発明における誘導体ゼラチンは、これら
の中でもアシル基(−COR1)又はカルバモイル基
(−CONR12)によりアミノ基が置換されたものが
好ましい。
【0029】前記アシル基又はカルバモイル基のR1
置換、無置換の脂肪族基(例えば炭素数1〜18個のア
ルキル基、アリル基等)、アリール基又はアラルキル基
(例えばフェネチル基等)であり、R2は水素原子、脂
肪族基、アリール基又はアラルキル基である。
【0030】本発明において特に好ましいものは、R1
がアリール基、R2が水素原子の場合である。以下、本
発明において用いられる誘導体ゼラチンのアミノ基の置
換基の例を示すが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0031】以下に、誘導体ゼラチンのアミノ基置換基
の一例を示す。
【0032】
【化1】
【0033】本発明における誘導体ゼラチンは、迅速に
インクを受容層に吸収させるために、アミノ基及びイミ
ノ基から選らばれる少なくとも一方の総量の60%以上
が該アミノ基又はイミノ基と反応し得る置換基により予
め置換されたものを用いるのが好ましいが、特に好まし
くはアミノ基の総量の80%以上が置換された誘導体ゼ
ラチンである。
【0034】又、本発明に係るゼラチンのゼリー強度
(PAGI法、ブルーム式ゼリー強度計による)は15
0g以上、好ましくは200〜300gである。
【0035】次いで、ポリビニルアルコールについて説
明する。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコ
ールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常
のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性し
たポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオ
ン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコ
ールも含まれる。
【0036】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは、平均重合度が1000以上のものが
好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜50
00のものが好ましく用いら、またケン化度は70〜1
00%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特
に好ましいが、請求項3に係る発明においては、ケン化
度が92%以下で、重量平均分子量が2000以上のポ
リビニルアルコールを、総ポリビニルアルコール含有量
の10質量%以上含有することが好ましく、ケン化度が
80〜92%で、重量平均分子量が2000〜5000
のポリビニルアルコールを、総ポリビニルアルコール含
有量の10〜50質量%含有することが特に好ましい。
【0037】上記特性を有するポリビニルアルコールを
用いることにより、高いインク吸収性を実現すると共
に、記録媒体に印字した後、記録媒体を積層しても、裏
面へのインク転写を防止することができ好ましい。
【0038】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号公報に記載され
ているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウ
ム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールが挙げられ、これらはカチオン
性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの
共重合体をケン化することにより得ることができる。
【0039】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルア
ミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、N,N,N−トリメチル−(3−メタクリルアミド
プロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジ
メチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド
等が挙げられる。
【0040】カチオン変性ポリビニルアルコールにおけ
るカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対
して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%
である。
【0041】アニオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開平1−206088号公報に記載され
ているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコー
ル、特開昭61−237681号公報および同63−3
07979号公報に記載されているようなビニルアルコ
ールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び
特開平7−285265号公報に記載されているような
水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられ
る。
【0042】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0043】ポリビニルアルコールは、重合度、重量平
均分子量、ケン化度や変性の種類などが違う2種類以上
を併用することもできる。
【0044】請求項2に係る発明では、支持体上に2層
以上のインク受容層を有するインクジェット記録媒体に
おいて、該インク受容層の少なくとも1層が、少なくと
も1種のポリビニルアルコール類とゼラチンとを含有
し、支持体から最も遠いインク受容層Aのポリビニルア
ルコール類含有比率が、該インク受容層Aより支持体側
に位置するインク受容層のポリビニルアルコール類含有
比率より高いことが特徴である。
【0045】インクに含有している有機溶媒等の吸収能
が高いポリビニルアルコールを、表層側により多く添加
することにより、インクの種類、特に有機溶媒量の多い
インクを用いて印字を行っても、高いインク吸収性を実
現することができる。
【0046】本発明においては、支持体から最も遠いイ
ンク受容層Aのポリビニルアルコール類含有比率が、該
インク受容層Aより支持体側に位置するインク受容層の
ポリビニルアルコール類含有比率より高いことが特徴で
あるが、より好ましい態様を以下に示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0047】1.複数のインク受容層を有し、最表層の
インク受容層のポリビニルアルコール含有量が最も高
く、順次より下層部のインク受容層のポリビニルアルコ
ール含有量が低下している構成 2.複数のインク受容層を有し、1層がポリビニルアル
コールを含有し、該層より下層部のインク受容層が、ポ
リビニルアルコールを全く含有していない構成 3.複数のインク受容層を有し、最表層のみがポリビニ
ルアルコールを含有し、その他のインク受容層が、ポリ
ビニルアルコールを全く含有していない構成。
【0048】本発明においては、2層以上のインク受容
層を有し、インク色素吸着量の最も多いインク受容層
が、ポリビニルアルコール類を含有することが好まし
い。インクジェット画像の変褪色性を改良する方法とし
ては、酸素等の酸化性ガスから色材を保護する必要があ
るが、膨潤型の記録媒体では、できる限り外気から離れ
たインク受容層内部に色材を染着させることが重要な要
件であったが、この手段だけでは、銀塩写真材料に匹敵
する変褪色耐性を実現することは困難であり、本発明者
らが鋭意検討を進めた結果、染着した色材の近傍にポリ
ビニルアルコール、特に、ケン化度が92%以下で、重
量平均分子量が2000以上であるポリビニルアルコー
ル類を存在させることにより、これらのポリビニルアル
コール類の酸素等の褪色を促進する有害ガスの遮断効果
により、良好な変褪色耐性を実現したものである。
【0049】本発明に係る構成において、特に好ましい
構成は、必要に応じて用いられるカチオン性ポリマー含
有層が、最表層以外で、該層にポリビニルアルコールを
用いる構成であり、本構成により上記効果を最も効率的
に発揮することができる。
【0050】本発明において、水溶性ポリマーとして、
上記説明したゼラチン及びポリビニルアルコールと後述
するセルロース類の他に、公知の水溶性ポリマーを併用
することができ、例えば、ポリビニルピロリドン類、ポ
リアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ
ジメチルアミノアクリレート、アクリル酸ビニルアルコ
ール共重合体塩等のアクリル基を含むポリマー(特開昭
60−168651号、同62−9988号参照)、澱
粉、酸化澱粉、カルボキシル澱粉、ジアルデヒド澱粉、
カチオン化澱粉、デキストリン、アラビアゴム、カゼイ
ン、プルラン、デキストラン、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリ
コール類、ポリビニルエーテル、ポリグリセリン、マレ
イン酸アルキルビニルエーテル共重合体、マレイン酸N
−ビニルピロール共重合体、スチレン無水マレイン酸共
重合体、ポリエチレンイミン等の合成ポリマー(特開昭
61−32787号、同61−237680号、同61
−277483号参照)等を挙げることができる。
【0051】本発明のインクジェット記録媒体におい
て、これらの水溶性ポリマーのインク受容層中に占める
割合は、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2
〜15質量%である。
【0052】次いで、カチオン性ポリマーについて説明
する。本発明でいうカチオン性ポリマーとは、水溶液中
でポリマー主体がカチオン性を示すものを言い、典型的
なものとしては、特開昭61−61887号、同61−
63477号、特開平5−104848号、同5−12
4329号公報等に記載されている、1級、2級、3級
アミノ基、4級アンモニウム塩を含有するポリマーが挙
げられる。このような水溶性のカチオン性ポリマーであ
ればいかなるものでも用いることができ、その種類は特
に限定されないが、本発明において好ましく用いられる
カチオン性ポリマーとしては以下のようなものが例示さ
れる。
【0053】a)ポリアリルアミン類 b)ジシアンジアミド系縮合物 c)ポリエチレンイミン類 d)カチオン変性PVA e)カチオン変性PVP f)エピクロルヒドリン誘導体 g)アミノ基置換ナイロン h)下記一般式〔1〕で表されるモノマー単位から誘導
される構成単位を含有するポリマー i)下記一般式〔2〕で表されるモノマー単位から誘導
される構成単位を含有するポリマー j)下記一般式〔3〕で表されるモノマー単位から誘導
される構成単位を含有するポリマー
【0054】
【化2】
【0055】式中、R1は水素原子又は置換又は無置換
の低級アルキル基を表し、Qは酸素原子又は−NH−を
表す。R2、R3及びR4は各々置換又は無置換の低級ア
ルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよい。
-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、アルキル
スルホン酸アニオン、酢酸アニオン又はアルキルカルボ
ン酸アニオンを表す。nは2又は3を表す。
【0056】R5、R6及びR7は各々置換又は無置換の
低級アルキル基を表し、同じであっても異なっていても
よい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、ア
ルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオン又はアルキル
カルボン酸アニオンを表す。nは2又は3を表す。
【0057】R8、R9及びR10は各々置換又は無置換の
低級アルキル基を表し、同じであっても異なっていても
よい。X-はハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、ア
ルキルスルホン酸アニオン、酢酸アニオン又はアルキル
カルボン酸アニオンを表す。nは2又は3を表す。
【0058】R1〜R10で表される低級アルキル基とし
て、好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0059】本発明でいうポリアリルアミン類とは、下
記一般式〔4〕で示されるポリアリルアミン、下記一般
式〔5−1〕若しくは〔5−2〕で示されるポリジアリ
ルアミン、下記一般式〔6−1〕若しくは〔6−2〕で
示されるポリジアリルアミン誘導体、又はこれらの重合
体である。
【0060】
【化3】
【0061】一般式〔4〕において、nは5〜1000
0の整数、X1 -は無機酸又は有機酸の残基を表す。
【0062】
【化4】
【0063】一般式〔5−1〕、〔5−2〕、〔6−
1〕及び〔6−2〕において、R1及びR2は各々、水素
原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を表
し、X2 -は無機酸残基又は有機酸残基を表し、Yは2価
の連結基を表す。また、n/m=9/1〜2/8、l=
5〜10000である。
【0064】一般式〔6−1〕又は〔6−2〕で示され
るポリジアリルアミンの誘導体の具体例としては、特開
昭60−83882号公報記載の一般式で示されるSO
2基を繰り返し単位に含むもの、特開平1−9776号
公報の2頁に記載されているアクリルアミドとの共重合
体、本発明の一般式〔6−1〕又は〔6−2〕で示され
るポリジアリルアミンとの共重合体が挙げられる。
【0065】本発明に用いられるジシアンジアミド系縮
合物の具体例としては、ジシアンジアミドホルマリン縮
合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアン
モニウム塩縮合物が挙げられ、これらは三洋化成社のサ
ンフィックス70、日本カーバイド社のニカフロックD
−1000、日華化学社のネオフィックスF、ネオフィ
ックスRP−70Yなどの商品名でそれぞれ市販されて
いる。
【0066】本発明で言うポリエチレンイミン類とは、
エチレンイミンを重合させて得られるポリマー又はその
誘導体であり、特にポリエチレンイミン第4級アンモニ
ウム化合物が好ましい。具体的には特開昭60−727
85号、同60−76386号公報に記載されているも
のが挙げられる。
【0067】本発明で言うカチオン変性ポリビニルピロ
リドンとは、ビニルピロリドンとカチオン性基を持つモ
ノマー単位との共重合体である。カチオン性基を持つモ
ノマー単位の具体例としては、四級化されたビニルイミ
ダゾール、四級化されたジアルキルアミノエチルメタア
クリレート、メタアクリルアミドプロピルトリアルキル
アンモニウム塩が挙げられる。
【0068】本発明に用いられるエピクロルヒドリン誘
導体の具体例としては、ポリアミド・エピクロルヒドリ
ン樹脂、又は特開昭61−252189号公報の2頁に
記載されているエピクロルヒドリンと3級アミンとの反
応物や特開昭62−259882号公報の4頁に記載さ
れている一般式(II)の化合物等が挙げられる。
【0069】これらは公知の方法により合成することが
できる。また、市販品としてナルポリ−607(ナルコ
ケミカル社製)やポリフィックス601(昭和高分子社
製)がある。
【0070】本発明に用いられるアミノ基置換ナイロン
の具体例は、特開昭59−33179号公報の2頁に記
載されており、市販品としてはAQナイロン(商品名:
東レ製)がある。
【0071】本発明に用いられるカチオン性ポリ水酸化
アルミニウムとしては、特開昭60−257286号公
報の第2項に記載されているものが使用できる。
【0072】一般式〔1〕で示されるモノマーのうち好
ましい化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N
−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメ
チルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイ
ド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド或いはエチ
ルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオン
を置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸
塩或いはアルキルカルボン酸塩を挙げることができる。
この中で特に好ましい化合物としては、例えば、トリメ
チル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキ
シ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−
(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライ
ド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルア
ンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロ
イルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエ
チル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニ
ウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルア
ミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2
−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロラ
イド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチル
アンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロ
イルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチ
ル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウ
ムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミ
ノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3
−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロラ
イド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピ
ルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エ
チル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウ
ムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−
(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライ
ド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイ
ルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチ
ル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム
ブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)
プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−
(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネ
ート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピ
ルアンモニウムアセテトなどを挙げることができる。
【0073】一般式〔2〕で示されるモノマーの好まし
い例としては、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモ
ニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルア
ンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジ
ルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベ
ンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N
−エチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライ
ド、N,N−ジエチル−N−メチル−p−ビニルベンジ
ルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベ
ンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニ
ルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−
ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル
−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリ
メチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、
トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテー
トなどを挙げることができる。
【0074】一般式〔3〕で示されるモノマーの好まし
い例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、ジアリ
ルジメチルアンモニウムブロマイド、ジアリルジメチル
アンモニウムスルホルート、ジアリルジメチルアンモニ
ウムアセテートなどを挙げることができる。
【0075】これらモノマー単位に更にアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドン
から選ばれるモノマーを20〜80質量部の範囲で共重
合することで、該4級アンモニウム塩基を有するポリマ
ー自体のインク吸収容量及びインク吸収速度を高め、更
にインクドット径を適度の大きさに調節したりベタ部の
印字むらを解消するなど極めて好ましい性質を付与する
ことができる。
【0076】請求項6に係る発明においては、上記カチ
オン性ポリマーを2種以上用いることが好ましく、ま
た、請求項7に係る発明においては、インク受容層の2
層以上がカチオン性ポリマーを含有し、カチオン性ポリ
マーの含有量が最も多いインク受容層が、少なくとも1
種の上述のポリビニルアルコール類を含有することが好
ましい。本発明のインクジェット記録媒体において、上
記構成とすることにより、本発明の目的効果をより一層
発揮することができ、好ましい。
【0077】請求項4に係る発明では、支持体上にイン
ク受容層を有するインクジェット記録媒体において、イ
ンク受容層の少なくとも1層が、上述したポリビニルア
ルコール類及びゼラチンと共に、セルロース類を含有す
ることが特徴である。通常、インクジェット用インクの
溶媒組成は、主に、水と水溶性の有機溶媒とで構成され
ている。これらの組成からなるインクを用いて上記構成
の記録媒体上に印字すると、特に、有機溶媒に対して
は、ポリビニルアルコールが高い吸収能を発揮し、水に
対してはセルロース類が高い吸収能を発揮することによ
り、総合的な効果として、極めて良好なインク吸収性を
実現することができる。加えて、印字の際の環境とし
て、低温低湿から常温常湿の幅広い環境条件で、安定し
たインク吸収性を得ることができる。
【0078】本発明で用いることのできるセルロース類
としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく、例え
ば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキ
シメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体が
挙げられ、その他にニトロセルロース、セルロースアセ
テートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫
酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができ
る。
【0079】次に、上記説明した因子を除く記録媒体の
他の各構成要素について説明する。本発明において、イ
ンク受容層には、耐水性を向上させる目的で適当な架橋
剤を作用することができる。架橋剤の具体的な例として
は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアル
デヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの
如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2
−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリア
ジン、米国特許3,288,775号記載の如き反応性
のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特
許3,635,718号記載の如き反応性のオレフィン
をもつ化合物、米国特許2,732,316号記載のN
−メチロール化合物、米国特許3,103,437号記
載の如きイソシアナート類、米国特許3,017,28
0号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化
合物類、米国特許3,100,704号記載の如きカル
ボジイミド系化合物類、米国特許3,091,537号
記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲ
ンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの
如きジオキサン誘導体等があり、これらを1種または2
種以上組み合わせて用いることができる。架橋剤の添加
量は構成する変性ポリビニルアルコール100gに対し
て0.01g〜10gが好ましく、より好ましくは0.
1〜5gである。
【0080】本発明に係るインク受容層を形成する方法
としては、サイズプレス法、ロールコーター法、ブレー
ドコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコ
ーター法、ロッドバーコーター法、カーテン法、スライ
ドホッパー法、エクストルージョン法等、通常用いられ
ている塗工方法が用いられる。
【0081】本発明において、更に、インク受容層には
界面活性剤、バインダ、硬膜剤の他、無機顔料、着色染
料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐
剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の
各種添加剤を添加することもできる。
【0082】本発明において、インク受容層には画質を
向上させる目的で、インク吸収性を損なわない範囲で界
面活性剤を添加することが好ましい。用いられる界面活
性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン
系の何れのタイプでもよく、また低分子のものでも高分
子のものでも、異なる種類のものを併用してもよい。さ
らに好ましくはフッ素系の界面活性剤である。
【0083】従来の界面活性剤の使用方法としては、ア
ニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用する
と塗布前の溶液状態での凝集が起こり、好ましくないと
考えられて来たが、フッ素系界面活性剤においては、溶
液状態での凝集もなく、またインクジェット用記録シー
トに用いた場合、優れたインク受容性を示し、インク滴
が時間とともに拡散する現象が少なく、より大きな液滴
を利用することができ、より濃度の高い、ムラの少ない
画像が得られることが分かった。
【0084】本発明においてアニオン性フッ素系界面活
性剤あるいはカチオン性フッ素系界面活性剤は、例えば
米国特許2,559,751号、同2,567,011
号、同2,732,398号、同2,764,602
号、同2,806,866号、同2,809,998
号、同2,915,376号、同2,915,528
号、同2,918,501号、同2,934,450
号、同2,937,098号、同2,957,031
号、同3,472,894号、同3,555,089
号、英国特許1,143,927号、同1,130,8
22号、特公昭45−37304号、特開昭47−96
13号、同49−134614号、同50−11770
5号、同50−117727号、同50−121243
号、同52−41182号、同51−12392号、英
国化学会誌(J.Chem.Soc.)1950年27
89頁、同1957年2574頁及び2640頁、米国
化学会誌(J.Amer.Chem.Soc.)79巻
2549頁(1957年)、油化学(J.Japan
Oil Chemists Soc.)12巻653
頁、有機化学会誌(J.Org.Chem.)30巻3
524頁(1965年)等に記載された方法によって合
成することができる。
【0085】これらのフッ素系界面活性剤のうち、ある
種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック
(Megafac)Fなる商品名で、ミネソタ・マイニ
ング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社
からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名
で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモ
ンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・ア
イ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾ
ニルス(Zonyls)なる商品名で、又、ファルベベ
ルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)V
PFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0086】これらカチオン性フッ素系界面活性剤とア
ニオン性フッ素系界面活性剤の合計使用量は1m2当た
り0.1〜1000mgがよく、好ましくは0.5〜3
00mg、更に好ましくは1.0〜150mgがよい。
併用する時に、それぞれを2種以上ずつ併用しても構わ
ない。その他にノニオン性フッ素系界面活性剤、ベタイ
ン型フッ素系界面活性剤、炭化水素系活性剤を併用して
もよい。
【0087】本発明において、アニオン性フッ素系界面
活性剤とカチオン性フッ素系界面活性剤の添加割合は、
モル比で1:10〜10:1が好ましく、更には3:7
〜7:3が好ましい。
【0088】本発明に係るインク受容層の膜付量として
は3〜100g/m2、より好ましくは5〜50g/m2
である。
【0089】また、インク受容層は支持体の少なくとも
片面に設けられているが、カールを防止する目的で支持
体の両面に設けてもよい。
【0090】本発明においては、インク受容層中にはく
っつきを防止するためにマット剤を使用することができ
る。
【0091】マット剤とは、写真技術分野に於いてよく
知られており、親水性有機コロイドバインダー中に分散
可能な無機又は有機材料の不連続固体粒子であると定義
できる。無機のマット剤の例としては酸化物(例えば二
酸化珪素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミ
ニウム等)、アルカリ土類金属塩(例えば硫酸塩や炭酸
塩であって、具体的には硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、画像を形
成しないハロゲン化銀粒子(塩化銀や臭化銀等で更にハ
ロゲン成分として沃素原子が僅かながら加わってもよ
い)やガラス等である。
【0092】また、有機のマット剤の例には澱粉、セル
ロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピ
オネート等)、セルロースエーテル(例えばエチルセル
ロース等)、合成樹脂等である。合成樹脂の例として
は、水不溶又は難溶性合成ポリマーであり、例えばアル
キル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル(例えば酢酸
ビニル)、アクリロニトリル、オレフィン(例えばエチ
レン等)、スチレン、ベンゾグアナミン・ホルムアルデ
ヒド縮合物などの単独若しくは組み合わせ、又はこれら
とアクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボ
ン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スル
ホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸
等の組み合わせをを単量体成分とするポリマーを用いる
ことができる。
【0093】その他エポキシ樹脂、ナイロン、ポリカー
ボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、
ポリ塩化ビニリデン等も用いることができる。
【0094】これらは、搬送性の観点から、重量平均粒
径が3〜20μmで、かつインク受容層中の総質量(付
き量ともいう)は10〜100mg/m2であることが
好ましい。塗工液安定性の点から、3μm以下の粒子
や、20μm以上の粒子を分級により予め排除しておく
ことが好ましい。
【0095】本発明において用いられる支持体として
は、透明な支持体でも不透明な支持体でも使用目的に応
じて用いることができる。
【0096】透明な支持体としては、従来公知のものが
いずれも使用でき、例えば、ポリエステル樹脂、セルロ
ースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリイミド樹脂、セロフ
ァン、セルロイドなどのフィルムがある。これらの中で
支持体の剛性、透明性の観点からポリエステル樹脂、特
にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0097】不透明支持体としては、上質紙、中質紙、
スーパーカレンダー処理紙、片艶原紙、トレーシングペ
ーパー等の非塗工紙、アート紙、コート紙、軽量コート
紙、微塗工紙、キャストコート紙、等の塗工紙、プラス
チックフィルム、顔料入り不透明フィルム、発泡フィル
ム等のフィルム、樹脂被覆紙、樹脂含浸紙、不織布、布
およびこれらの複合体を用いることができる。これ等の
中で、光沢性、平滑性の観点から樹脂被覆紙、各種フィ
ルムが好ましく、手触り感、高級感から樹脂被覆紙、ポ
リオレフィン樹脂被覆紙、ポリエステル系のフィルムが
より好ましい。
【0098】好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する
原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使
用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用い
られているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成す
るパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ
等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原
紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強
剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が
配合される。
【0099】さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光
増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面に塗布
されていてもよい。
【0100】また、原紙の厚みは、特に制限はないが、
紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加し
て圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましい。
【0101】樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィ
ン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
ペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレ
ン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上か
らなる共重合体およびこれらの混合物であり、各種の密
度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独
にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0102】また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔
料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂
肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシ
ウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イ
ルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブル
ー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーな
どのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファ
ストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や
染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を
適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0103】本発明では水性インクが好ましく用いら
れ、着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体
が用いられる。着色剤としては、直接染料、酸性染料、
塩基性染料、反応性染料或いは食品用色素等の水溶性染
料が挙げられる。
【0104】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性
の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t
ert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の
炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコ
ール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレ
ングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチ
ル)エーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエ
ーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、
2H−ピロリジノン等のピロリジノン類、1−メチル−
2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類等が
挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテル、ピロリドン類が好ましい。
【0105】本発明において、インクの溶媒はインクヘ
ッドノズルの目詰り防止の観点から水と有機溶媒の混合
溶媒を用いることが好ましいが、この時、水と有機溶媒
の混合比率は質量比で1/9〜9/1が好ましく、より
好ましくは4/6〜9/1である。
【0106】その他のインクへの添加剤としては、例え
ば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、
表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙
げられる。
【0107】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】実施例1 《記録媒体の作製》以下に示す手順に従って、記録媒体
1〜13を作製した。
【0109】〔記録媒体1の作製〕 (支持体1の作製)含水率が6%、坪量が200g/m
2の写真用原紙の裏面側に、押し出し塗布法により密度
が0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで塗
布した。次いで、表面側にアナターゼ型酸化チタンを
5.5%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレン
を40μmの厚さで押し出し塗布法で塗布して両面をポ
リエチレンで被覆した支持体1を作製した。表側にコロ
ナ放電を行いポリビニルアルコールからなる下引き層を
0.03g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後ラテ
ックス層を0.12g/m2に成るように塗布した。
【0110】 (インク受容層塗布液1の調製) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 50質量部 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)50質量部 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 0.5質量部 界面活性剤(メガファックスF−120) 0.3質量部 上記各添加剤を順次混合して、塗布液の固形分濃度が8
質量%となるよう純水で希釈して、インク受容層塗布液
1を調製した。
【0111】(塗布)前記作製した支持体1上に、上記
インク受容層塗布液1を、乾燥後の膜質量として8g/
2となるようにバーコート法で塗布し、約7℃に一度
冷却した後、20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、記
録媒体1を作製した。
【0112】上記作製した記録媒体1の膜面pHを、
J.TAPPI 紙パルプ試験方法No49−86に規
定される方法に従って、純水約50μlを記録媒体表面
に滴下し、平面電極を押し当てて測定した結果、4.5
であった。
【0113】〔記録媒体2の作製〕上記記録媒体1の作
製において、インク受容層塗布液1に代えて、下記イン
ク受容層塗布液2を用いた以外は同様にして、記録媒体
2を作製した。
【0114】 (インク受容層塗布液2の調製) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 50質量部 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)45質量部 カチオン性ポリマーPAA−HCl(ポリアクリルアミン塩酸塩 日東紡製) 5質量部 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 0.5質量部 界面活性剤(メガファックスF−120) 0.3質量部 上記各添加剤を順次混合して、塗布液の固形分濃度が8
質量%となるよう純水で希釈して、インク受容層塗布液
2を調製した。
【0115】記録媒体2の膜面pHは、4.5であっ
た。 〔記録媒体3〜5の作製〕上記記録媒体2の作製におい
て、インク受容層塗布液2で用いたカチオン性ポリマー
PAA−HClに代えて、下記各カチオン性ポリマーを
用いた以外は同様にして、記録媒体3〜5を作製した。
【0116】記録媒体3:PAS−H(ポリジメチルジ
アリルアンモニウムクロライド 日東紡製) 記録媒体4:ゴーセノールCM−318(カチオン変性
ポリビニルアルコール日本合成化学製) 記録媒体5:CP−1 上記作製した記録媒体3〜5の膜面pHは、いずれも
4.5であった。
【0117】
【化5】
【0118】〔記録媒体6〜9の作製〕上記記録媒体2
〜5の作製において、膜面pHが3.9となるように、
各インク受容層塗布液の適量のクエン酸を添加した以外
は同様にして、記録媒体6〜9を作製した。
【0119】〔記録媒体10〜13の作製〕上記記録媒
体2〜5の作製において、膜面pHが3.4となるよう
に、各インク受容層塗布液の適量のクエン酸を添加した
以外は同様にして、記録媒体10〜13を作製した。
【0120】なお、表1に記載のPVAは、ポリビニル
アルコールの略語である。 《記録媒体の評価》上記作製した各記録媒体について、
インクジェットプリンター(MJ−5000C;セイコ
ーエプソン社製)を用いて、イエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)、ブルー(B)、グリーン
(G)、レッド(R)、ブラック(K)の各専用インク
を用いて、各色とも最大濃度でプリントし、下記に示す
項目の評価を行った。
【0121】〈定着性の評価〉ブルー(B)、グリーン
(G)、レッド(R)、ブラック(K)の最高濃度の均
一画像をプリントし、プリントして1分、3分、5分、
10分経過後に市販の上質紙を重ねて、上質紙へのイン
クの転写度合いを目視観察し、下記の基準に則り定着性
の判定を行った ◎:1分経過後にKの転写が僅かに認められるが、3分
後、5分後では全く転写せず実用上問題ない ○:3分経過後にB、G、R、Kの転写が僅かに認めら
れるが、5分後、10分後では全く転写せず実用上問題
ない △:5分経過後にB、G、R、Kのいずれかの転写が認
められるが、10分後は全く転写せず実用上許容限界レ
ベル ×:10分経過後でも、B、G、R、Kのいずれかの転
写が認められ実用できない。
【0122】〈光沢性の評価〉未プリント部表面及びブ
ラックインク印字画像部について、その表面の光沢性を
目視観察し、下記の基準に則り光沢性の評価を行った。
【0123】 ◎:プリント前及びプリント後ともに良好な光沢性を有
しており、全く問題のないレベル ○:プリント前及びプリント後ともに光沢性を有してお
り、問題のないレベル △:プリント前後で光沢性がやや異なるが、実用上問題
がないレベル ×:プリント前及びプリント後ともに、光沢性に劣り実
用上許容レベルにない 以上により得られた各評価結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】表1より明らかなように、本発明に係る構
成であるインク受容層としてポリビニルアルコール、ゼ
ラチン及びカチオン性ポリマーを含有し、かつ最表面の
膜面pHが4.0以下である記録媒体は、比較例に対し
て、定着性及び光沢性に優れていることが分かる。
【0126】実施例2 《記録媒体の作製》以下に示す手順に従って、記録媒体
21〜26を作製した。
【0127】〔記録媒体21の作製〕実施例1で作製し
た支持体1上に、下記の各層をカーテンコーターで同時
重層塗布を行って記録媒体21を作製した。
【0128】 (第1層:最下層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.2g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.8g/m2 (第2層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 5.0g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 3.0g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 2.0g/m2 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.4g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 0.4g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体22の作製〕実施例1で作製した支持体1上
に、下記の各層をカーテンコーターで同時重層塗布を行
って記録媒体22を作製した。
【0129】 (第1層:最下層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.2g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.8g/m2 (第2層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 5.0g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 2.0g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 1.0g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 2.0g/m2 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.4g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 0.4g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体23の作製〕実施例1で作製した支持体1上
に、下記の各層をカーテンコーターで同時重層塗布を行
って記録媒体23を作製した。
【0130】 (第1層:最下層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.2g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.8g/m2 (第2層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 5.0g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 2.75g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 2.00g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 2.0g/m2 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 0.4g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 0.4g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体24の作製〕実施例1で作製した支持体1上
に、下記の各層をカーテンコーターで同時重層塗布を行
って記録媒体24を作製した。
【0131】 (第1層:最下層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.2g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.8g/m2 (第2層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 5.0g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 3.0g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 2.0g/m2 ポリエチレングリコール20000(メルク社製) 1.0g/m2 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 1.2g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体25の作製〕上記記録媒体24の作製におい
て、第3層にカチオン性ポリマーとして、CP−1を
0.4g/m2添加した以外は同様にして、記録媒体2
5を作製した。
【0132】〔記録媒体26の作製〕上記記録媒体23
の作製において、第3層にカチオン性ポリマーとして、
CP−1を0.4g/m2添加した以外は同様にして、
記録媒体26を作製した。
【0133】《記録媒体の評価》上記作製した各記録媒
体について、インクジェットプリンター(MJ−500
0C;セイコーエプソン社製)に、下記の溶剤濃度の異
なる2種のシアンインクを装填し、インク吐出量を変化
させてシアン濃度のベタ画像を印字し、下記の方法に準
じてインク吸収性(インク溢れ)の評価を行った。
【0134】 〔シアンインクの調製〕 (シアンインク1) ライトグリーンSF イエロイッシュ 6質量部 ジエチレングリコール 47質量部 水 47質量部 (シアンインク2) ライトグリーンSF イエロイッシュ 6質量部 ジエチレングリコール 23.5質量部 水 23.5質量部 〔インク吸収性の評価〕 ◎:全インク吐出量域で、マダラ状の濃度ムラが全く認
められない ○:インク吐出量の多い領域で、僅かにマダラ状の濃度
ムラが認められるが全く問題はない △:インク吐出量の多い領域で、マダラ状の濃度ムラが
認められるが、実用上許容の範囲にある ×:全インク吐出量域で、マダラ状の濃度ムラが認めら
れ、実用上問題となる品質である 以上により得られた結果を表2に示す。
【0135】
【表2】
【0136】表2より明らかなように、本発明に係る構
成である第3層(最表層)のインク受容層のポリビニル
アルコール類含有比率が、第2層のポリビニルアルコー
ル類含有比率より高い記録媒体は、比較例に対し、溶媒
比率の高いインクを用いてもインク吸収性が良好で、マ
ダラ状の濃度ムラの発生が少ないことが分かる。
【0137】実施例3 《記録媒体31〜38の作製》実施例2で作製した記録
媒体24、25において、第3層で用いるポリビニルア
ルコール(PVA235)に代えて、表3に記載のケン
化度及び重量平均分子量の異なるポリビニルアルコール
の組み合わせとした以外は同様にして、記録媒体31〜
38を作製した。
【0138】《記録媒体の評価》上記作製した各記録媒
体について、インクジェットプリンター(MJ−500
0C;セイコーエプソン社製)に、実施例2に記載の溶
剤濃度の異なる2種のシアンインクを装填し、実施例2
に記載の方法と同様にしてインク吸収性の評価をすると
共に、下記の方法に準じて転写性の評価を行い、得られ
た結果を表3に示す。
【0139】(インク転写耐性の評価)上記インクジェ
ットプリンターでシアンインク1を用い、最高吐出条件
で印字した後、23℃、相対湿度65%で30分間保存
してから80g/m2の上質紙を200枚重ねて1昼夜
保存し、下記の基準に則りインク転写耐性を評価した。
【0140】 ◎:全く転写なし ○:わずかに染料の転写の跡が残るが、画像そのものは
殆ど変化ない △:転写痕跡が大きく、画像も表面が失透状態になる ×:紙とインク受容層との接着が大きく、紙が綺麗に剥
がせない 以上により得られた各評価結果を、表3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】表3より明らかなように、第3層に用いた
ポリビニルアルコールとして、ケン化度が92%以下
で、重量平均分子量が2000以上であるポリビニルア
ルコールを、総ポリビニルアルコール類含有量の10質
量%以上含有する記録媒体は、インク吸収性及びインク
転写体性に優れていることが分かる。
【0143】実施例4 《記録媒体の作製》以下に示す手順に従って、記録媒体
41〜45を作製した。
【0144】〔記録媒体41の作製〕実施例1で作製し
た支持体1上に、下記の各層をカーテンコーターで同時
重層塗布を行って記録媒体41を作製した。
【0145】 (第1層:最下層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.2g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 0.8g/m2 (第2層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 5.0g/m2 ポリビニルピロリドンK−90(BASF社製) 3.0g/m2 ポリウレタンF−8438D(第一工業薬品社製) 2.0g/m2 ポリエチレングリコール20000(メルク社製) 1.0g/m2 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.7g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体42の作製〕上記記録媒体41の作製におい
て、第3層の構成を下記のように変更した以外は同様に
して、記録媒体42を作製した。
【0146】 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.0g/m2 カルボキシメチルセルロース 0.7g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体43の作製〕上記記録媒体41の作製におい
て、第3層の構成を下記のように変更した以外は同様に
して、記録媒体43を作製した。
【0147】 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 1.0g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 0.7g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体44の作製〕上記記録媒体41の作製におい
て、第3層の構成を下記のように変更した以外は同様に
して、記録媒体44を作製した。
【0148】 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 0.7g/m2 カルボキシメチルセルロース 0.5g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 〔記録媒体45の作製〕上記記録媒体41の作製におい
て、第3層の構成を下記のように変更した以外は同様に
して、記録媒体45を作製した。
【0149】 (第3層:最表層) 石灰処理ゼラチン(コニカゼラチン社製KV−3000) 0.5g/m2 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 0.7g/m2 カルボキシメチルセルロース 0.5g/m2 CP−1 0.1g/m2 有機微粒子マット剤(総研化学社製:MR−13G) 60mg/m2 界面活性剤(メガファックスF−120) 26mg/m2 《記録媒体の評価》上記作製した各記録媒体について、
インクジェットプリンター(MJ−5000C;セイコ
ーエプソン社製)に、実施例2に記載のシアンインク1
を装填し、16℃、30%RH及び30℃、70%RH
の環境下で、インク吐出量を変化させてシアン濃度のベ
タ画像を印字し、実施例2に記載の方法に準じてインク
吸収性(インク溢れ)の評価を行い、得られた結果を表
4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】表4より明らかなように、ゼラチン、ポリ
ビニルアルコール類及びセルロース類を同一層内に含有
する記録媒体は、印字の際の環境が異なっても、常に安
定したインク吸収性を有していることを確認することが
できた。
【0152】実施例5 《記録媒体の作製》実施例2に記載の記録媒体21の作
製において、第3層の石灰処理ゼラチン量を3.0g/
2に変更し、かつ第2層、第3層に、ポリビニルアル
コール(クラレ工業株式会社製:PVA235)、カチ
オン性ポリマー(PAS−H)、カチオン性ポリマー
(CP−1)を、表5に記載の組み合わせで添加した以
外は同様にして、記録媒体51〜59を作製した。な
お、ポリビニルアルコールを添加する層では、その添加
量に応じて、ポリビニルピロリドンの添加量を減量し
た。
【0153】《記録媒体の評価》上記作製した各記録媒
体について、インクジェットプリンター(MJ−500
0C;セイコーエプソン社製)に、実施例2に記載のシ
アンインク1を装填し、シアン濃度のとして約1.0と
なる濃度でベタ画像を印字し、下記の方法に準じて変褪
色耐性の評価を行い、得られた結果を表5に示す。
【0154】(変褪色耐性の評価)上記方法で印字した
各ベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気
流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放
置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色
光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、下記の
基準に則り変褪色耐性の評価を行った。
【0155】濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置
前の濃度)×100(%) ◎:濃度残存率が、95%以上である ○:濃度残存率が、85%以上、95%未満である △:濃度残存率が、75%以上、85%未満である ×:濃度残存率が、75%未満である
【0156】
【表5】
【0157】表5より明らかなように、インク受容層の
2層がカチオン性ポリマーを含有し、カチオン性ポリマ
ーの含有量が最も多いインク受容層が、ポリビニルアル
コール類を含有する本発明の記録媒体は、酸化性ガスに
対する変褪色耐性に優れていることが分かる。
【0158】
【発明の効果】本発明により、インク定着性、インク吸
収性、光沢性及び変褪色耐性に優れた膨潤型のインクジ
ェット記録媒体を提供することができた。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にインク受容層を有するインク
    ジェット記録媒体において、該インク受容層が、少なく
    とも1種のポリビニルアルコール類、ゼラチン及びカチ
    オン性ポリマーを含有し、かつ最表面の膜面pHが4.
    0以下であることを特徴とするインクジェット記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 支持体上に2層以上のインク受容層を有
    するインクジェット記録媒体において、該インク受容層
    の少なくとも1層が、少なくとも1種のポリビニルアル
    コール類とゼラチンとを含有し、支持体から最も遠いイ
    ンク受容層Aのポリビニルアルコール類含有比率が、該
    インク受容層Aより支持体側に位置するインク受容層の
    ポリビニルアルコール類含有比率より高いことを特徴と
    するインクジェット記録媒体。
  3. 【請求項3】 支持体上にインク受容層を有するインク
    ジェット記録媒体において、該インク受容層が、少なく
    とも1種のポリビニルアルコール類とゼラチンとを含有
    し、かつケン化度が92%以下で、重量平均分子量が2
    000以上であるポリビニルアルコール類を、総ポリビ
    ニルアルコール類含有量の10質量%以上含有すること
    を特徴とするインクジェット記録媒体。
  4. 【請求項4】 支持体上にインク受容層を有するインク
    ジェット記録媒体において、該インク受容層の少なくと
    も1層が、少なくとも1種のポリビニルアルコール類、
    ゼラチン及びセルロース類を含有することを特徴とする
    インクジェット記録媒体。
  5. 【請求項5】 カチオン性ポリマーを含有することを特
    徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録媒体。
  6. 【請求項6】 カチオン性ポリマーを、2種以上含有す
    ることを特徴とする請求項1又は5に記載のインクジェ
    ット記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記インク受容層の2層以上がカチオン
    性ポリマーを含有し、該カチオン性ポリマーの含有量が
    最も多いインク受容層が、少なくとも1種のポリビニル
    アルコール類を含有することを特徴とする請求項1、
    5、6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒
    体。
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