JP2003336142A - 織 物 - Google Patents
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Abstract
供する。 【解決手段】 経糸がセルロース系繊維で構成された紡
績糸、緯糸が仮撚加工糸である織物であって、この仮撚
加工糸が、二種以上のポリエステル成分からなり、その
少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートで
ある潜在捲縮発現性ポリエステル繊維であることを特徴
とする交織織物。
Description
系短繊維で構成された紡績糸使いの織物に関するもので
あり、より詳細には、特にいわゆる膝抜けや肘抜けが起
こりにくい織物に関する。
綿等のセルロース系短繊維紡績糸を経糸及び緯糸に用い
た織物は、その独特の外観や膨らみ感等の風合いからパ
ンツ、チノパン、スカート等のボトムやシャツとして多
用されているが、いわゆる膝抜けや肘抜けと称される着
用時の欠点が発生するため、芯糸にポリウレタン系等の
弾性繊維を用いた鞘芯構造紡績糸いわゆるコアスパンヤ
ーン(CSY)を緯糸に用いたストレッチ性の織物が提
供されているが、着用を繰り返すに伴いその性能が大き
く低下するという欠点を有する。又、ジーンズでは、そ
の独特な風合い表現のため一般に製品洗いといわれる仕
上げ工程を受けるが、その際にコア切れといわれる欠点
が発生して着用初期においてもその性能が低下すること
もある。本出願人は、先に特開2001−303378
号公報において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維
の仮撚糸を芯糸に用いた鞘芯構造の複合糸を用いた織物
が、ストレッチ性に優れることを提案したが、ジーンズ
やコーデュロイに代表されるセルロース系短繊維紡績糸
を経糸に用いた織物に適用すること、さらにはこの織物
の欠点についても何ら言及していない。
抜けが起こりにくい織物を提供することを目的とするも
のである。
を解決するために鋭意検討した結果、緯糸に特定の仮撚
加工糸を用いることにより、上記課題が解決されること
を見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
経糸がセルロース系短繊維で構成された紡績糸であり、
緯糸が仮撚加工糸である織物であって、この仮撚加工糸
が、二種以上のポリエステル成分からなり、その少なく
とも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜
在捲縮発現性ポリエステル繊維であることを特徴とする
織物である。本発明における潜在捲縮発現性ポリエステ
ル繊維とは、少なくとも二種のポリエステル成分で構成
(具体的にはサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に接合
されたものが多い)されているものであり、熱処理によ
って捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成
分の複合比(一般的に質量%で70/30〜30/70
の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形
状のものがある)は特に限定されない。又、総繊度は2
0〜300dtex、単糸繊度は0.5〜20dtex
が好ましく用いられるがこれに限定されるものではな
い。
維であって、その少なくとも一成分がポリトリメチレン
テレフタレートであることに特徴がある。具体的には、
特開2001−40537号公報に開示されているよう
なポリトリメチレンテレフタレートを少なくとも一成分
とするものが挙げられる。即ち、二種のポリエステルポ
リマーをサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に接合され
た複合繊維であり、サイドバイサイド型の場合、二種の
ポリエステルポリマーの溶融粘度比が、1.00〜2.
00が好ましく、偏芯鞘芯型の場合は、鞘ポリマーと芯
ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上鞘ポリマー
が速いことが好ましい。
テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1,3−プロ
パンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステ
ルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグ
リコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよく、又、他
ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加
剤を含有してもよいポリトリメチレンテレフタレート
と、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレン
グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル
であり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸
等を共重合してもよく、又、他ポリマー、艶消剤、難燃
剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよいポリ
エチレンテレフタレート、並びにポリトリメチレンテレ
フタレートと、テレフタル酸を主たるジカルボン酸と
し、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分と
するポリエステルであり、エチレングリコール等のグリ
コール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよく、又、他ポ
リマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤
を含有してもよいポリブチレンテレフタレートとが好ま
しく、特に捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレー
トが配置されることが好ましい。
エステル繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも
一方がポリトリメチレンテレフタレートであるものであ
り、上記特開2001−40537号公報以外にも、特
公昭43−19108号公報、特開平11−18992
3号公報、特開2000−239927号公報、特開2
000−256918号公報、特開2000−3283
82号公報、特開2001−81640号公報等には、
第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第
二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステルを並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバ
イサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したものが開示さ
れている。特にポリトリメチレンテレフタレートと共重
合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極
限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレー
トの組み合わせが好ましい。
縮発現性ポリエステル繊維としては、初期引張抵抗度が
10〜30cN/dtexであると好ましく、特に20
〜30cN/dtex、さらに20〜27cN/dte
xが好ましい。30cN/dtex超では、ソフト風合
いが得られにくく、10cN/dtex未満のものは製
造が困難である。又、顕在捲縮の伸縮伸長率は10〜1
00%であると好ましく、特に10〜80%、より好ま
しくは10〜60%である。10%未満では本発明の目
的達成が不十分となりやすく、100%超は製造が困難
である。更に、顕在捲縮の伸縮弾性率は80〜100%
であることが好ましく、特に85〜100%、より好ま
しくは85〜97%である。80%未満では本発明の目
的達成が不十分となりやすく、100%超は製造が困難
である。
0.1〜0.5cN/dtexであることが好ましく、
特に0.1〜0.4cN/dtex、さらに0.1〜
0.3cN/dtexであることが好ましい。0.1c
N/dtex未満では本発明の目的達成が不十分となり
やすく、0.5cN/dtex超は製造が困難である。
熱水処理後の伸縮伸長率は100〜250%であること
が好ましく、より好ましくは150〜250%、特に1
80〜250%である。100%未満では本発明の目的
達成が不十分となりやすく、250%超は製造が困難で
ある。熱水処理後の伸縮弾性率は90〜100%である
ことが好ましく、より好ましくは95〜100%であ
る。90%未満では本発明の目的達成が不十分となりや
すい。
リエステル繊維としては、固有粘度の異なる2種類のポ
リトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイ
ド型に複合された単糸から構成された複合繊維があげら
れる。2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有
粘度差は0.05〜0.4(dl/g)であることが好
ましく、特に0.1〜0.35(dl/g)、さらに
0.15〜0.35(dl/g)がよい。例えば高粘度
側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択し
た場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(d
l/g)から選択されるのが好ましい。尚、低粘度側の
固有粘度は0.8(dl/g)以上が好ましく、特に
0.85〜1.0(dl/g)、さらに0.9〜1.0
(dl/g)が好ましい。
平均固有粘度は、0.7〜1.2(dl/g)がよく、
0.8〜1.2(dl/g)がより好ましい。特に0.
85〜1.15(dl/g)が好ましく、さらに0.9
〜1.1(dl/g)が好ましい。なお、本発明でいう
固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸した
糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフ
タレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート
等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマ
ーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下
し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度
差を大きく維持することが困難であるためである。
とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返
し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフ
タレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル
%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは9
0モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他
の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50
モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20
モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で
含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含す
る。
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより製造される。こ
の製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエ
ステル、ナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレート
とを別個に製造した後、ブレンドしたりしてもよい。ブ
レンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有
率は、質量%で50%以上である。
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキ
シ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上
のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又
はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内
で使用出来る。さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸
等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外
線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていてもよい。
ル繊維の紡糸については、上記の各種特許文献に開示さ
れており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で
未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が
好ましいが、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピン
ドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸
法(スピンテイクアップ法)を採用しても良い。又、繊
維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるもので
もよく、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、
Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のも
ので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ
型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形
型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
ポリエステル繊維の仮撚加工糸を緯糸に用いることに特
徴がある。この仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率は好ましく
は70〜300%、特に100〜300%、更に120
〜300%がよい。70%未満では、本発明の目的達成
が不十分となりやすい。又、顕在捲縮弾性率は好ましく
は80〜100%、特に82〜100%、さらに85〜
100%がよく、80%未満では本発明の目的達成が不
十分となりやすい。また、この仮撚加工糸の捲縮伸長率
は100〜400%であることが好ましく、より好まし
くは120〜400%である。捲縮弾性率は80〜10
0%であることが好ましく、より好ましくは90〜10
0%である。捲縮伸長率や捲縮弾性率がこの値未満では
本発明の目的達成が不十分となりやすい。仮撚加工糸を
得るための仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクショ
ンタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、
いかなる方法によるものでもよいが、好ましくはピンタ
イプ、ニップベルトタイプである。又、仮撚加工糸は、
いわゆる2ヒーターの仮撚加工糸(セットタイプ)より
も、いわゆる1ヒーターの仮撚加工糸(ノンセットタイ
プ)を用いる方が本発明の目的達成上好ましい。
0℃の範囲とすることが好ましく、仮撚数(T1)は次
式で計算される仮撚数の係数K1の値が21000〜3
3000であることが好ましく、更に好ましくは250
00〜32000の範囲である。 T1(T/m)=K1/(原糸の繊度:dtex)1/2 仮撚加工糸は、無撚でもよいが、必要に応じて仮撚方向
と同方向もしくは異方向に追撚したり、仮撚加工糸を合
糸したり、双糸又は三子で合撚して用いてもよく、追撚
や合撚における撚数(T2)は、次式で計算される撚係
数(K2)が例えば20000以下の範囲内で選定すれ
ばよい。尚、仮撚加工糸の合計繊度とは、追撚又は合撚
する仮撚加工糸の合計の繊度をいう。 T2(T/m)=K2/(仮撚加工糸の合計繊度:dt
ex)1/2
用いても良いが、仮撚加工糸の含有率が、質量%で10
%以上、好ましくは15%以上の範囲内で複合して用い
てもよく、特に複合形態としては仮撚加工糸を芯糸とし
た鞘芯構造の紡績糸が好ましく(その際の鞘成分は経糸
に用いるセルロース系短繊維素材と同じものが最適であ
る。)、又、この仮撚加工糸以外の例えばポリエステル
系繊維の仮撚加工糸と合糸,合撚することも好ましい。
希望に応じてこれらの繊維以外の公知の長繊維、短繊維
でもよく、繊維形態もマルチフィラメント原糸でも仮撚
加工糸、流体噴射加工糸に代表される嵩高加工糸でもよ
く、従来公知の各種形態の糸条を用いることができる。
ト繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレ
ンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリ
ル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイ
プの繊維や、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サ
イドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を公知の複合手段に
より例えば長短混紡(サイロフィル、ホロースピンドル
等)、カバリング(シングル、ダブル)、沸水収縮率3
〜10%程度の低収縮糸や沸水収縮率15〜30%程度
の高収縮糸との混繊や交撚等により複合してもよい。
系短繊維で構成された紡績糸としては、綿、麻等の天然
繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノ
ジックレーヨン、精製セルロース等のリング紡績糸、オ
ープンエンド紡績糸、サイロスパンやサイロフィル、ホ
ロースピンドル等の複合紡績糸があり、特に綿又は精製
セルロースが質量%で少なくとも40%以上、特に50
%以上、さらに100%で構成された紡績糸使いにおい
て最も顕著な効果を有する。
で構成された紡績糸において顕著な効果を有するが、セ
ルロース系短繊維の含有率が、質量%で好ましくは40
%以上、好ましくは50%以上がよく、混用する繊維と
しては、前述の仮撚加工糸に複合する繊維として例示し
たものが挙げられるが、ポリトリメチレンテレフタレー
トやポリエチレンテレフタレートの短繊維や長繊維との
混紡が好ましい。又、紡績糸は、先染め糸を用いてもよ
く、その際は、緯糸に用いる仮撚加工糸は先染め糸でも
よいが、染色しないままで最終製品としてもよい。紡績
糸の太さとしては、従来知られている太さのものが採用
できるが、好ましい太さは綿番手で5〜50番手、特に
5〜40番手、さらには5〜30番手使いにおいて効果
が顕著である。
維で構成された紡績糸、緯糸が上記の仮撚加工糸の交織
織物であり、両者の混率は、質量%で好ましくは30:
70〜70:30、より好ましくは35:65〜65:
35、最も好ましくは40:60〜60:40である。
尚、本発明の織物における仮撚加工糸の含有率は、質量
%で好ましくは5〜50%、特に10〜50%、さらに
15〜45%が好ましくい。又、本発明の目的を損なわ
ない範囲内で通常30質量%以下の範囲内で、セルロー
ス系短繊維で構成された紡績糸や上記の仮撚加工糸以外
の他の繊維を機上で、例えば経糸及び又は緯糸において
1〜3本交互で交織してもよく、その混用相手は前述の
仮撚加工糸に複合する繊維として例示したものが挙げら
れ、例えば、緯糸を上記の仮撚加工糸とポリトリメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維の仮撚
加工糸と一本〜二本交互で構成したものが挙げられる。
く、平組織、綾組織、朱子組織、経パイル織物さらには
これらの組織を組み合わせた組織であってもよいが、平
組織や綾組織、経パイル織物がより好ましい。織物の経
糸及び緯糸の密度としては、経糸の繊度が40〜920
dtexの場合、経糸密度は40〜220本/2.54
cm、緯糸の繊度が40〜920dtexの場合、緯糸
密度は40〜220本/2.54cmの範囲で、織物組
織、用途に応じて設定すればよい。次に、織物製織用の
織機は特に限定されるものではなく、エアージェットル
ーム、レピアルーム、グリッパールーム、有杼織機など
を用いて生産することができる。
先ず最初に生機を熱水浴中(界面活性剤や精練剤などが
含まれていてもよい)で精練・リラックスを行う。精練
・リラックス加工を行うための設備としては、U型ソフ
サー、オープンソーパー、ボイルドオフ機、ジッガー染
色機、ビーム染色機等の拡布タイプのものや液流染色機
が使用できる。熱水浴の温度は例えば75℃〜100℃
の範囲が好ましく、より好ましくは80℃〜100℃、
最も好ましくは90℃〜100℃、更に好ましくは95
℃〜100℃である。この後、ピンテンターを用いて乾
熱プレセットを行う。その際の温度は、加工反の風合い
及びセット効果の点から、140℃〜170℃が好まし
く、より好ましくは145℃〜170℃、最も好ましく
は150℃〜170℃である。
流染色機を用いて染色を行う。染色温度は90〜120
℃、好ましくは90〜100℃程度が好ましい。染料は
堅牢度等を考慮して適当な分散染料及び直接染料(又は
反応染料)を選択することが望ましい。尚、ファイナル
セットは、ピンテンターを用いて乾熱セットを行うが、
その際の温度は加工反の風合い及びセット効果(残留収
縮)の点から、好ましくは150℃〜170℃、より好
ましくは150℃〜165℃、最も好ましくは150℃
〜160℃で行う。更に、必要に応じて撥水加工や熱カ
レンダー加工などを付与してもよい。又、ジーンズ用途
では、いわゆる製品洗いの工程が採用される。
的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定され
るものではない。本発明の用いる評価法は以下通りであ
る。 (1)固有粘度 固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求
められる値である。 式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール
溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又は
ポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での
粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値
であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、
g/100mlで表されるポリマー濃度である。なお、
固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメ
ントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有
粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィ
ラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそ
れぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有
粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度と
する。
法、初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度
当たり0.0882cN/dtexの初荷重を掛けて引
張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵
抗度(cN/dtex)を算出し、10回の平均値を求
めた。 (3)伸縮伸長率、伸縮弾性率 JIS−L−1090:合成繊維フィラメントかさ高加
工糸試験方法、伸縮性試験方法、A法に準じて測定を行
い、伸縮伸長率(%)、伸縮弾性率(%)を算出し、1
0回の平均値を求めた。顕在捲縮の伸縮伸長率および伸
縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温
度20±2℃、湿度65±2%の環境下で24時間放置
後に測定を行った。熱水処理後の伸縮伸長率および伸縮
弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した
後、無荷重で24時間自然乾燥乾燥した試料を用いた。
名;KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取
り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填し、初荷重
0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条
件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応
力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取
る。 (5)仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率 島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ間隔
10cmにて仮撚加工糸を初荷重0.9×10-3cN/
dtexで取り付けたのち、引張速度10cm/min
で伸長し、0.0882cN/dtexの応力に達した
ときの伸び(%)を顕在捲縮伸長率とした。その後再び
同じ速度でつかみ間隔10cmまで収縮させたのち、再
度応力−歪み曲線を描き、初荷重の応力が発現するまで
の伸度を残留伸度(B)とする。顕在捲縮弾性率は以下
の式によって求めた。 顕在捲縮弾性率=〔(10−B)/10〕×100
(%)
率 巻き取りパッケージから解じょした仮撚加工糸を無荷重
下で98℃の熱水中に20分浸漬した後、無荷重下で2
4時間乾燥した試料を用いた以外は、顕在捲縮伸度及び
顕在捲縮弾性率の測定と同様の方法にて測定し、それぞ
れを捲縮伸長率、捲縮弾性率とした。 (7)肘抜け性 幅方向23cm、長さ方向28cmの大きさに試料をカ
ットし、幅方向の中心を基準として、右側に1cm×1
cmのマス目印を生地表に作る。この時、長さ方向の上
下とも2cm空け、また幅方向右端1cmは縫い代とす
る。マス目個数は幅方向10個、長さ方向24個の合計
240個作成する。マス目印を内側にして、両端を縫い
合わせて筒状生地を作製し、その後裏返す。
した治具を入れ、長さ方向両端をストレッチテープで固
定した後、これをデマッチャーにとりつけ、180°⇔
60°の屈曲を1万回実施する。尚、この治具は直径7
cm、長さ22.5cmの円柱状のもので、腕と同じよ
うなソフト感や弾力感を持つものである。治具は長さ方
向中央部で180°⇔60°の屈曲ができるようになっ
ている。尚、筒状生地は、屈曲時にマス目側が伸ばされ
る側になるようにセットされている。1万回の屈曲終了
後、縫い目を解き、マス目側で生地歪度合いを、テスト
終了直後、1時間後、8時間後と経時的に調べた。肘抜
け性は、下記式の生地歪度合いで表す。この値が大きい
ほど膝抜けし易いこととなる。生地歪度合い=歪んでい
るマス目個数/マス目個数(240個)×100%
>固有粘度の異なるサイドバイサイド型複合マルチフィ
ラメントを以下の製造例1〜4により製造した。 {製造例1}固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレ
ンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に
押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で
未延伸糸を得、次いでホットロール温度55℃、ホット
プレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍
率は延伸後の繊度が165dtexとなるように設定し
て延撚し、165dtex/35fのサイドバイサイド
型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチ
フィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.9
0、低粘度側が[η]=0.70であった。初期引張抵
抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後
の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における熱収縮応
力を表1に示す。 {製造例2}上記製造例1と同様の方法で165dte
x/23fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメン
トを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度
は高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=
0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸
長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性
率、100℃における熱収縮応力を表1に示す。
異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用
い、上記製造例1と同様の方法で165dtex/35
fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得
た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘
度側が[η]=0.86、低粘度側が[η]=0.69
であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸
縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、10
0℃における熱収縮応力を表1に示す。 {製造例4}固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテ
レフタレートを用いて165dtex/35fのサイド
バイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた
複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]
=0.66、低粘度側が[η]=0.50であった。初
期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱
水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における
熱収縮応力を表1に示す。
ィラメントを用いて、石川製作所製;IVF−338に
て第1ヒーター温度170℃(比較例1のみ220
℃)、撚方向はZ撚とS撚、仮撚数3200T/mで仮
撚加工を行った。実施例1〜3の仮撚加工糸は、顕在捲
縮伸長率180〜200%、顕在捲縮弾性率85〜90
%、捲縮伸長率200〜250%、捲縮弾性率85〜9
3%であったが、比較例1の仮撚加工糸は、顕在捲縮伸
長率10%、顕在捲縮弾性率88%、捲縮伸長率130
%、捲縮弾性率64%の仮撚加工糸を得た。尚、製造例
1が実施例1、製造例2が実施例2、製造例3が実施例
3、製造例4が比較例1である。
に用い、ここで得られた仮撚加工糸を3本合糸して合撚
し(Z撚仮撚加工糸はS方向に300T/m合撚し、S
撚仮撚加工糸はZ方向に300T/m合撚して2種の合
撚糸を作製した。)、この合撚糸を一本交互で緯糸に用
いてエアージェットルームにて製織を行い、経糸密度7
0本/2.54cm、緯糸密度42本/2.54cmの
3/1綾組織の生機を得た。本生機を95℃で液流リラ
クサーにて精練リラックス後、テンターを用い170℃
で中間セットした後、液流染色機にて100℃の直接染
料による染色を行い、170℃でファイナルセットを行
った。次いで、製品に縫製して、常法に従い製品洗い
(60℃での湯洗い)を行い、経糸密度100本/2.
54cm、緯糸密度49本/2.54cmの織物を得
た。実施例1〜3の織物及び比較例1の織物の肘抜け性
を評価した結果は、実施例1〜3は、表2に示すように
肘抜けしにくく、又、肘抜けの回復性も優れたものであ
つたが、比較例1は、表2に示すように、実施例1〜3
対比肘抜けし易く、又、肘抜けの回復性も劣ったもので
あった。
レンテレフタレート繊維84dtex/24fを用い、
実施例1と同様の仮撚条件で仮撚を行い、顕在捲縮伸長
率65%、顕在捲縮弾性率55%、捲縮伸長率180
%、捲縮弾性率80%の仮撚加工糸を得た。この仮撚加
工糸を6本合糸して合撚したこと並びにファイナルセッ
ト温度を160℃とする以外は実施例1同様に製織、仕
上げ、製品洗いを行って経糸密度80本/2.54c
m、緯糸密度50本/2.54cmの織物を得た。得ら
れた織物の肘抜け性の評価結果は、表2に示すように、
実施例1〜3対比肘抜けし易く、又、肘抜けの回復性も
劣ったものであった。
ずに原糸のままで用いた以外は、実施例1同様に製織、
仕上げ、製品洗いを行って経糸密度84本/2.54c
m、緯糸密度49本/2.54cmの織物を得た。得ら
れた織物の肘抜け性の評価結果は、表2に示すように、
実施例1〜3対比肘抜けし易く、又、肘抜けの回復性も
劣ったものであった。
にくい交織織物を提供することができ、この織物は、ジ
ーンズやコーデュロイに代表される織物に好適であり、
チノパン、パンツ、スカート等のボトムやシャツとして
の用途に好適である。
Claims (5)
- 【請求項1】 経糸がセルロース系短繊維で構成された
紡績糸であり、緯糸が仮撚加工糸である織物であって、
この仮撚加工糸が、二種以上のポリエステル成分からな
り、その少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタ
レートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維であるこ
とを特徴とする織物。 - 【請求項2】 緯糸が、仮撚加工糸を芯糸とした鞘芯構
造の紡績糸であることを特徴とする請求項1に記載の織
物。 - 【請求項3】 紡績糸が、先染め糸であることを特徴と
する請求項1又は2に記載の織物。 - 【請求項4】 仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率が70%以
上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の織物。 - 【請求項5】 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が下記
(a)〜(c)を満足することを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載の織物。 (a)初期引張抵抗度が10〜30cN/dtex (b)顕在捲縮の伸縮伸長率が10〜100%、伸縮弾
性率が80〜100% (c)100℃での熱収縮応力が0.1〜0.5cN/
dtex
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2002
- 2002-05-14 JP JP2002138372A patent/JP3963774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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