JP2003321643A - 熱硬化性粉体塗料組成物 - Google Patents
熱硬化性粉体塗料組成物Info
- Publication number
- JP2003321643A JP2003321643A JP2002126773A JP2002126773A JP2003321643A JP 2003321643 A JP2003321643 A JP 2003321643A JP 2002126773 A JP2002126773 A JP 2002126773A JP 2002126773 A JP2002126773 A JP 2002126773A JP 2003321643 A JP2003321643 A JP 2003321643A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder coating
- acid
- coating composition
- thermosetting powder
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Epoxy Resins (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
量%以上であり、C14留分を主体とするノルマルパラ
フィン混合物から発酵法によって製造された直鎖状脂肪
族二塩基酸を原料とし、このテトラデカン二酸の含有率
の高い直鎖状脂肪族二塩基酸を縮合反応させることによ
り製造された、残留窒素濃度150ppm以下、平均縮
合度2以上、灰分濃度1000ppm以下であるテトラ
デカン二酸線状ポリ酸無水物、及び、(B)エポキシ当
量が200〜2000g/eqであり、数平均分子量M
nが300〜8000の範囲にあり、グリシジル基を含
有する常温で固形のエポキシ樹脂、を必須成分として含
有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。 【効果】該粉体塗料は貯蔵中の粉体塗料粒子の固着・凝
集が少なく、また得られる塗膜は、平滑性、光沢、硬
度、擦傷性、耐酸性、耐溶剤性に優れ、とりわけ、ドデ
カン二酸線状ポリ酸無水物を硬化剤とする粉体塗料に比
して、明確な優位性を確保できる。さらに、該粉体塗料
では、含まれる硬化剤(A)自体の加水分解性が低く、
塗料原料としての安定性も確保できる。
Description
組成物に関し、さらに詳細には、貯蔵中の塗料粒子が固
着しにくく、加水分解による化学的な変質が少なく、さ
らには、熱硬化により得られる塗膜が、外観特性(平滑
性、光沢、他)、物理特性(硬度、耐擦傷性、他)、化
学特性(耐酸性、耐溶剤性、他)に優れる、熱硬化性粉
体塗料組成物に関する。
使用する粉体塗料は、一般的には、ビスフェノールグリ
シジルエーテル型粉体塗料と、グリシジルエステル型ア
クリル粉体塗料とに2分される。これらの粉体塗料は、
使用されるバインダー樹脂の種類、即ち、バインダー樹
脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂あるいはグリシ
ジルエステルモノマー共重合アクリル樹脂の何れを用い
るか、またその価格、あるいは化学的特性などに応じ
て、使用される粉体塗料の用途・市場が独立して存在す
る。また、現在までのところ、粉体塗料は、熱硬化性タ
イプの粉体塗料が主流であるが、UVカチオン光開始剤
の開発が進み、将来的には、UV硬化型粉体塗料として
の新たな用途展開が期待される。
ある、これらビスフェノールグリシジルエーテル型粉体
塗料とグリシジルエステル型アクリル粉体塗料とに共通
して用いられる硬化剤として、古くから、固形カルボン
酸無水物があり、典型的には、無水フタル酸、無水トリ
メリット酸、脂肪族二塩基酸の縮合ポリ酸無水物、等の
比較的低分子量の結晶性化合物が使用されてきた。
ては、相当する原料カルボン酸と比較して、第一に、低
融点化できるため、100〜200℃での焼付け・硬化
に適する融点を確保し易いこと、第二に、酸無水物基の
グリシジル基に対する反応性が低く、硬化塗膜の平滑性
を確保し易いこと、さらに、第三として、特に、カルボ
キシル基と酸無水物基を併有する酸無水物硬化剤の場
合、カルボキシル基とグリシジル基との硬化反応で副生
する二級水酸基が酸無水物基と二段反応することによ
り、硬化塗膜の架橋密度が上昇し、より強靭になるこ
と、などが挙げられる。
体塗料に上記硬化剤を配合・応用した例としては、EP
696622に記載されているように、脂肪族二塩基酸
と、それを縮合して得られる線状ポリ酸無水物とを併用
することにより、硬化塗膜の機械的、化学的物性を改良
する試みが挙げられる。また、DE4227580で
は、酸無水物基と水酸基との2段反応性を応用し、酸無
水物硬化剤とポリオールとを併用する硬化形式により、
塗膜性能の改良が試みられている。
シジル基を有するバインダー樹脂を使用する熱硬化性粉
体塗料に対して、商業的に、最も多用されている固形カ
ルボン酸無水物硬化剤の一つとして、脂肪族二塩基酸の
線状ポリ酸無水物があり、その構造式は、HO−[OC
−(CH2)m−COO]n−Hで示される。市販されてい
る脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物の例としては、
‘Additol VXL1381‘(ソルーシア社
製)があり、これは、該式中、m=10、n=2以上と
なっている。この線状ポリ酸無水物の融点は、85〜9
5℃であり、粉体塗料用の好ましい硬化剤として用いる
には、若干融点が低く、さらに、該線状ポリ酸無水物
は、加水分解により、縮合度nが経時的に減少するとい
う問題点を有している。但し、相当する原料二塩基酸
「HOOC−(CH2)10−COOH」、即ちドデカン
二酸(融点129℃)と比較して、熱溶融しやすく、上
述の通り、得られる硬化塗膜の平滑性、機械特性、化学
特性は、格段に優れている。
点を解決すべくさらに鋭意研究を重ねた結果、上記脂肪
族二塩基酸の線状ポリ酸無水物「HO−[OC−(C
H2)m−COO]n−H」のメチレン単位数mおよび繰り
返し単位数nが特定の範囲にあるポリ酸無水物硬化剤
は、ドデカン二酸の線状ポリ酸無水物に比して、1)同
一縮合度(n)比較で、約5℃融点が高く、該硬化剤を
用いると、得られる粉体塗料では、貯蔵中の粉体塗料粒
子の固着・凝集が効果的に抑制できること、また2)得
られる塗膜は、塗膜の擦傷性の点で圧倒的に優れるこ
と、また3)該粉体塗料を基材表面に塗布した場合、該
硬化剤は、その加水分解速度がドデカン二酸の線状ポリ
酸無水物に比して相対的に遅いこと、4)エポキシ樹脂
と硬化剤との配合比を、該エポキシ樹脂中のグリシジル
基などと、該硬化剤中の酸基などとの配合当量比が実質
上ほぼ同一となるように配合すると、粉体塗料の焼付け
・溶融過程で到達する最低溶融粘度値が低くなり、塗膜
平滑性の改良が可能であることなどを見出すと共に、さ
らに特定の添加剤を添加すれば、該硬化剤を用いた場合
の「塗膜の光沢低下」も克服・改良できることなどを見
出して、本発明を完成するに至った。
術に伴う問題点を解決しようとするものであって、貯蔵
中の粉体塗料粒子の固着・凝集が効果的に抑制され、ま
た得られる塗膜は、塗膜の擦傷性の点で著しく優れ、ま
た該粉体塗料を基材表面に塗布した場合、平滑性に優れ
た塗膜が得られるような熱硬化性粉体塗料組成物を提供
することを目的としている。
ことにより、塗膜の光沢低下をも克服・改良された熱硬
化性粉体塗料組成物を提供することを目的としている。
は、(A)テトラデカン二酸の含有率が90重量%以上
であり、C14留分を主体とするノルマルパラフィン混
合物から発酵法によって製造された直鎖状脂肪族二塩基
酸を原料とし、このテトラデカン二酸の含有率の高い直
鎖状脂肪族二塩基酸を縮合反応させることにより製造さ
れた、残留窒素濃度150ppm以下、平均縮合度2以
上、灰分濃度1000ppm以下であるテトラデカン二
酸線状ポリ酸無水物、及び、(B)エポキシ当量が20
0〜2000g/eqであり、数平均分子量Mnが30
0〜8000の範囲にあり、グリシジル基を含有する常
温で固形のエポキシ樹脂、を必須成分として含有してい
る。
するエポキシ樹脂(B)が、(イ)グリシジルメタクリ
レート及び/又はβ−メチル−グリシジルメタクリレー
ト:20〜70重量%と、(ロ)スチレン:10〜40
重量%と、(ハ)その他のエチレン性不飽和単量体:残
部量(全成分の合計((イ)+(ロ)+(ハ))を10
0重量%とする。)とを共重合して得られ、エポキシ当
量が200〜750g/eq.であり、数平均分子量M
nが1000〜8000の範囲にあるアクリルコポリマ
ーであることが好ましい。
ン性不飽和単量体」(ハ)が、イソボロニルメタクリレ
ート、イソボロニルアクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレートからなる群から
選択された、少なくとも1種類以上の不飽和単量体を含
むことが好ましい。本発明においては、上記成分(A)
と(B)の総重量((A)+(B))に対し、カルボキ
シル基を有する、融点45℃以上のロジン(C)が0.
01〜3%の濃度で、添加・配合されていることが好ま
しい。
リシジル基の一部が、カルボキシル基を有する、融点4
5℃以上のロジン(C)により、予め変性されており、
成分(B)に対するロジン(C)の添加率が0.01〜
4%であることが好ましい。上記本発明に係る熱硬化性
粉体塗料組成物には、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水
物「HO−[OC−(CH2)m−COO]n−H」のメチ
レン単位数mおよび繰り返し単位数nが特定の範囲にあ
るポリ酸無水物硬化剤が含まれており、該硬化剤は、ド
デカン二酸の線状ポリ酸無水物に比して、1)同一縮合
度(n)比較で、約5℃融点が高く、得られる粉体塗料
では、貯蔵中の粉体塗料粒子の固着・凝集が効果的に抑
制でき、また2)得られる塗膜は、塗膜の擦傷性の点で
圧倒的に優れ、また3)該粉体塗料を基材表面に塗布し
た場合、該硬化剤は、その加水分解速度がドデカン二酸
の線状ポリ酸無水物に比して相対的に遅く、塗膜の平滑
化などに寄与し、また、4)熱硬化性粉体塗料組成物中
のエポキシ樹脂と硬化剤との配合比を、該エポキシ樹脂
中のグリシジル基などと、該硬化剤中の酸基などとの配
合当量比が実質上ほぼ同一(例:グリシジル基等1当量
に対して、酸基等を0.8〜1.3当量)となるように
配合すると、粉体塗料の焼付け・溶融過程で到達する最
低溶融粘度値が低くなり、塗膜平滑性の改良が可能とな
り、さらに特定の添加剤を添加すれば、該硬化剤を用い
た場合の「塗膜の光沢低下」も克服・改良できるという
効果が得られる。
塗料組成物について具体的に説明する。本発明に係る熱
硬化性粉体塗料組成物には、(A)テトラデカン二酸の
含有率が90重量%以上であり、C14留分を主体とす
るノルマルパラフィン混合物から発酵法によって製造さ
れた直鎖状脂肪族二塩基酸を原料とし、このテトラデカ
ン二酸の含有率の高い直鎖状脂肪族二塩基酸を縮合反応
させることにより製造された、残留窒素濃度150pp
m以下、平均縮合度2以上、灰分濃度1000ppm以
下であるテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物、および
(B)エポキシ当量が200〜2000g/eqであ
り、数平均分子量Mnが300〜8000の範囲にあ
る、常温で固形のグリシジル基を含有するエポキシ樹
脂、が必須成分として含有されている。
れるテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)、エポキ
シ樹脂(B)、これらの配合比、熱硬化性粉体塗料組成
物の調製法、該組成物の塗装、硬化方法等について順次
説明する。[テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)] 本発明で
は、テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)として、
上記のように、C14留分を主体とするノルマルパラフ
ィン混合物から発酵法により製造されたテトラデカン二
酸を90重量%以上の量で含む原料直鎖状脂肪族二塩基
酸混合物を縮合反応させて得られた、残留窒素濃度15
0ppm以下、平均縮合度2以上、灰分濃度1000p
pm以下であるテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物が用
いられるが、このテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物
(A)についてはじめに詳説する。
(CH2)m−COO]n−H」(m、n:繰り返し単位
数。)の製造は、化学合成プロセスに依存しており、典
型的には、メチレン単位数mが、2、4、8、10、1
8の偶数炭素数のものが商業化されてきた。これに対
し、近年、微生物の発酵作用を利用したバイオプロセス
により、メチレン炭素数mが奇数である脂肪族二塩基酸
の製造にも目処が得られてきた。例えば、m=11のブ
ラシル酸(別名:トリデカン二酸)については、既に熱
硬化性粉体塗料用の硬化剤として利用が検討されてお
り、特開2000−302724号公報(JP2000
−302724A)にその記載がある。さらに、メチレ
ン単位数m=10、12、14、16の偶数の場合で
も、パイロットスケールでの検討が進行中であり、m=
12のテトラデカン二酸も、商業化の候補の一つとなっ
ている。さらに、グリシジルエステル型アクリル粉体塗
料用の硬化剤として従来多用されている、m=10のド
デカン二酸も、製造プロセスとして他の製法との比較で
充分に競争力を有する場合には、将来、発酵法プロセス
製造への転換も有り得る。
は、特に、グリシジルエステル型アクリル粉体塗料用の
硬化剤として、メチレン単位数m=8〜18の範囲の脂
肪族2塩基酸、さらに、その縮合無水物およびこれらの
製造法(すなわち原料入手の容易性など)を種々検討し
た。その結果、本発明では、硬化剤(A)としては、上
記したようなテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)
(硬化剤(A)ともいう。)が好ましく用いられること
が分かった。
トラデカン二酸は、発酵法で製造されることを想定して
いるが、その理由は、化学合成プロセスでの製造が困難
と思われる点と、C14留分のノルマルパラフィンが、
分留操作により比較的容易に得られるという原料環境を
考慮したものである。既に、本発明者らによれば、パイ
ロットスケールレベルでの上記製法(発酵法)による原
料入手は容易であり、原料パラフィンの分留精度、発酵
操作による末端カルボキシル化反応の効率と、その後の
精製操作の精度により、純度の異なるテトラデカン二酸
が得られている。
剤(A)の原料として使用すべきテトラデカン二酸の純
度は90%以上が好ましく、95%以上がより好まし
い。この理由は、もし、発酵操作原料となるノルマルパ
ラフィンの分留精度が低く、C14留分前後のC13、
C15留分の多く含まれた原料を使用した場合には、こ
れら自身(すなわち、C13留分から発酵法でカルボキ
シル化されたブラシル酸(トリデカン二酸)と、C15
留分から得られたペンタデカン二酸)は融点が何れも1
17℃であり、C14留分のノルマルパラフィンから得
られた本願の一原料であるテトラデカン二酸129℃
(ドデカン二酸と同じ融点)を用いる場合に比して10
℃以上も融点の低い二塩基酸を与え、さらに、これら複
数種の留分の混合による融点降下作用も加わって、共縮
合にて最終的に得られる酸無水物硬化剤(A)の融点を
著しく低下させてしまい、塗料の凝集につながる為であ
る。
水酢酸法、ホスゲン法、等の既知の方法で行われる。無
水酢酸法は、Mr.A.Conis により、Jarn
al of Polymerl Science,29 3
43(1958) に詳細に記載されており、ホスゲン
法については、トリエタノールアミンを用いた方法につ
いて、マサチューセッツ工科大学での検討がある。
には、通常、その不純物として、原料テトラデカン二酸
中に既に存在する残存微生物由来のタンパク質、及び、
無機成分由来の灰分が存在することが多い。残存窒素
は、その濃度が150ppm以上の場合、該硬化剤
(A)を含む熱硬化性粉体塗料組成物を塗布し、塗膜の
焼付け硬化時の過熱(過剰な焼付け加熱)により、塗膜
が黄変を引き起こす場合があり、係る観点からは、残存
窒素濃度の上限を上記範囲に規定することが望ましい。
塗膜の濁り感をもたらし、さらには、塗膜上の異物とし
て目視判定される場合がある為、1000ppmを上限
値としている。これら灰分の除去操作については、特開
2000−302724号公報(JP2000−302
724A)に準拠した方法により、精製が可能である。
二酸ポリ酸無水物(A)の縮合度(n)については、特
に上限を規定しないが、実用的には、2〜6が好まし
い。これは、線状ポリ酸無水物の多くが、加水分解によ
る解縮合にて、原料二塩基酸に戻り、縮合度n=3近傍
で安定化する傾向にある為である。テトラデカン二酸ポ
リ酸無水物の場合、その分解速度は、ドデカン二酸ポリ
酸無水物よりも小さいが、貯蔵期間の差異による影響を
最低限に抑える目的で、2〜6の範囲が好ましい。
公報には、脂肪族二塩基酸線状ポリ酸無水物の記載があ
る。該公報では、メチレン単位数mの限定的制限をせ
ず、グリシジル基と酸無水物基(またはカルボキシル
基)との硬化反応速度が、グリシジル基と酸無水物基と
の反応速度に比して、グリシジル基とカルボキシル基と
の反応の方が早いという事実を背景に、片末端のカルボ
キシル基を炭化水素で無官能化し、一層の硬化速度低下
を達成する試みが記載されている。
キシル基を有したまま、メチレン単位数m、縮合度nに
ついて種々検討を行った結果、上記特定の硬化剤(A)
では、C14留分を主体とするノルマルパラフィン混合
物から発酵法により製造されたテトラデカン二酸を90
重量%以上を含む原料直鎖状脂肪族二塩基酸混合物を縮
合して得られた、平均縮合度2以上のテトラデカン二酸
線状ポリ酸無水物では、反応速度を大きく低下させるこ
となく、特異的に優れた特性の塗膜(硬化塗膜)が得ら
れることなどを見出したものであり、技術的アプローチ
などが本発明と特開2000―239566号公報とで
は、全く異なる。
(B)としては、グリシジル基を有する限り、ビスフェ
ノールグリシジルエーテル型樹脂(狭義のエポキシ樹
脂)、グリシジルエステル型アクリル共重合体樹脂のい
ずれも使用できる。前者のビスフェノールグリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂は、通常ビスフェノール化合物と
エピハロヒドリンとを付加反応させた後、脱塩酸反応に
より製造され、エポキシ当量が通常、200〜2000
g/eq.、好ましくは200〜750g/eq.であ
り、数平均分子量Mnが通常、300〜8000、好ま
しくは1000〜8000、特に好ましくは1000〜
4000の範囲にあり、好ましくは常温で固形のものが
望ましい。
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
り、ポリスチレンを標準として評価することができる。
本発明では、入手の容易さの点などを考慮すると、エポ
キシ樹脂(B)としては、エポキシ当量が200〜75
0g/eqであり、数平均分子量Mnが300〜400
0の範囲にある、常温で固形のものが商業的にも広く入
手でき好ましい。
ル共重合体樹脂(アクリルコポリマー)は、例えばグリ
シジルメタクリレート及び/又はβ−メチル−グリシジ
ルメタクリレート(イ)20〜70重量%と、スチレン
(ロ)10〜40重量%と、これらと共重合可能な「そ
の他のエチレン性不飽和単量体」(ハ)残部量((イ)
+(ロ)+(ハ)=100重量%)とを、公知の重合技
術により、ラジカル共重合させて製造できる。
共重合体樹脂においても、エポキシ当量が上記範囲(2
00〜2000g/eq.、好ましくは200〜750
g/eq.)にあり、数平均分子量Mnが上記範囲(3
00〜8000、好ましくは1000〜8000、特に
好ましくは1000〜4000)にあり、好ましくは常
温で固形であることが望ましい。
光沢感を有し、この特長を生かす目的で意匠用、または
外装用塗料として使用される場合が多い。そこで、該熱
硬化性粉体塗料組成物中に含まれているアクリル樹脂と
テトラデカン二酸ポリ酸無水物(A)との相溶性が問題
となり、本願発明者等の検討過程では、当初、塗膜の2
0度光沢値が若干悪化することが判明した。
果、2つの方策を本発明者らは見出した。すなわち、第
1の方策としては、グリシジルメタクリレート及び/又
はβ−メチル−グリシジルメタクリレート(イ)20〜
70重量%及びスチレン(ロ)10〜40重量%と共に
共重合させるべき、「その他のエチレン性不飽和単量
体」(ハ)として、そのホモポリマー((ハ)のみを重
合してなるホモポリマー)が疎水性(低溶解性パラメー
ター)を示すような単量体を1種類以上選定して使用す
ることが挙げられる。
基を有するロジンを、塗料用添加剤、或いは、アクリル
樹脂の変性剤として使用する方法が挙げられる。第1の
方策で、「その他のエチレン性不飽和単量体」(ハ)と
して1種類以上選択すべき、疎水性ホモポリマーを与え
得る単量体としては、イソボロニルメタクリレート、イ
ソボロニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、及び、イソブチルメタクリレートが挙げられる。こ
れら単量体(ハ)は、1種または2種以上組み合わせて
用いてもよい。
量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレート、te
rt−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、
n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタク
リレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)
アクリレート、ジメチルアモノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等
の(メタ)アクリル酸エステル類;ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト等の水酸基含有ビニル類;アクリル酸、メタアクリル
酸、マレイン酸、イタコン酸、等のカルボキシル基含有
ビニル類及びこれらのモノエステル化物;α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香
族ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニ
ル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン、クロロプレン等のハロゲン含有ビニル類;そ
の他アクリロニトリル、メタクリルニトリル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリル
アミド、メチロールアクリルアミド、及びメチロールメ
タクリルアミド、エチレン、プロピレン、C4〜C20
のα−オレフィン、ビニルピロリドン等が挙げられる。
セグメントに有し、末端にビニル基を有するマクロモノ
マー類も使用できる。これら単量体は、単独或いは2種
以上併用して用いることができる。また、ここに記載さ
れたメチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチ
ルアクリレートおよび/またはメチルメタクリレートを
示す。
共重合体樹脂を、テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物
(A)と組み合わせて用いることにより、得られた塗膜
の光沢値が改良される理由については、定かではない
が、恐らくは、アクリル樹脂を疎水化することで、硬化
剤(A)との相溶性が改善され、粉体塗料製造工程での
分散性が改良されたためであろうと推測される。
シル基を有する、融点45℃以上のロジン(C)は、例
えば、粉体塗料の製造工程で、グリシジル基を有するエ
ポキシ樹脂(B)と反応できる共硬化剤(co−cur
ative)としても使用できるし、予め、このエポキ
シ樹脂の製造工程で反応により該エポキシ樹脂と結合
(変性)しておいても構わない。但し、ロジン(C)の
好ましい使用量は、得られる硬化塗膜の耐候性の悪化へ
の懸念を考慮する観点からは、上限を設けることが望ま
しい。すなわち、添加剤としてロジン(C)を使用する
場合、上記成分(A)と(B)の総重量((A)+
(B))に対し、ロジン(C)の添加・配合量は、0.
01〜3%(重量%)の範囲にあることが望ましい。
するエポキシ樹脂(B)用の変性剤として使用する場
合、エポキシ樹脂(B)の重量に対しロジン(C)を
0.01〜4重量%(%)の範囲で添加して、グリシジ
ル基の一部を予め変性しておくことが好ましい。 [テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物硬化剤(A)とエ
ポキシ樹脂(B)との配合比]成分(A)と成分(B)
との好ましい配合比率は、[(B)中のカルボキシル基
+酸無水物基] /[(A)中のグリシジル基及び/また
はβ−メチル−グリシジル基]が、通常、当量比で1.
0/0.8〜1.0/1.3の範囲となるような量比で
使用される。
性粉体塗料組成物には、通常の粉体塗料に添加される種
々の添加剤を配合、添加できる。また、該組成物の使用
目的などに応じて、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、等の合成樹脂、繊維素又は繊維素誘導体などを包含
する天然樹脂又は半合成樹脂組成物を配合して塗膜物
性、等を向上させることもできる。
は、硬化触媒、顔料、流動調整剤、粘度調整剤(チクソ
トロピー調整剤)、帯電調整剤、表面調整剤、ブロッキ
ング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ワキ防止剤、酸化
防止剤、等の添加剤を配合しても良い。また、本発明の
熱硬化性粉体塗料組成物を、クリアコートとして使用す
る場合に少量の顔料を配合し、透明性が損なわれない範
囲で着色しても良い。
ン二酸線状ポリ酸無水物(A)およびエポキシ樹脂
(B)を含む本発明に係る熱硬化性粉体塗料組成物を調
製する方法としては、実質的に均一なコンパウンドが調
製可能であれば、各成分の配合方法、コンパウンド化方
法等には特に制限はない。
機、加熱ニーダー機、押出し機(エクストルーダー)、
ミキサー(バンバリー型、トランスファー型等)、カレ
ンダー設備、等の従来より公知の混練機、等を適宜組み
合わせて用いることができる。また、これら混練機の運
転の際には、混練条件(温度、回転数、雰囲気、等)を
適宜、設定すればよい。
ンド(粒径が比較的不揃いで、粒径の比較的大きなもの
が含まれた粉体塗料組成物)は、必要によりさらに粉砕
して、(微)粉末状で、好ましくは粒径が比較的均一の
粉体塗料組成物とできる。このような粉砕物を得るに
は、従来より公知の方法を採用することができる。例え
ば、平均粒径が10〜90μm程度の粉砕物を得るに
は、ハンマーミル等を使用することができる。
にして得られた本発明の粉体塗料(熱硬化性粉体塗料組
成物)は、静電塗装法、流動浸漬法等の従来より公知の
塗装方法によって、基材に付着せしめ、加熱(焼付け)
して熱硬化させることにより、塗膜(硬化塗膜)を形成
させることができる。
ル、等の金属基材でもよく、また、これらの表面を下地
塗装(下地処理)したものであっても構わない。下地処
理としては、水性/溶剤系ベースコートを施したもので
あっても構わない。焼付けは、通常、約100〜200
℃、より好ましくは130〜180℃の温度で、10〜
60分間程度行われる。
性、光沢、硬度、擦傷性、耐酸性、耐溶剤性に優れてい
る。すなわち、本発明に係る熱硬化性粉体塗料組成物
は、グリシジル基を有するバインダー樹脂を使用する熱
硬化性粉体塗料の硬化剤としてテトラデカン二酸線状ポ
リ酸無水物を限定的に使用することで、従来、数多くの
先行技術に好んで用いられてきたドデカン二酸線状ポリ
酸無水物硬化剤を使用した場合に比べ、より優れた塗料
特性(すなわち、該粉体塗料は貯蔵中の粉体塗料粒子の
固着・凝集が少ない。)、および上記したような優れた
塗膜特性を達成することができる。
(粉体塗料)には、エポキシ樹脂がメインバインダーと
して含まれ、また上記特定の脂肪族二塩基酸の線状ポリ
酸無水物(A)が硬化剤として含まれており、該粉体塗
料は貯蔵中の粉体塗料粒子の固着・凝集が少なく、また
得られる塗膜は、平滑性、光沢、硬度、擦傷性、耐酸
性、耐溶剤性に優れ、とりわけ、ドデカン二酸線状ポリ
酸無水物を硬化剤とする粉体塗料に比して、明確な優位
性を確保できる。さらに、本発明の熱硬化性粉体塗料組
成物では、含まれる硬化剤(A)自体の加水分解性が低
く、塗料原料としての安定性も確保できる。
化性粉体塗料組成物(粉体塗料)には、エポキシ樹脂
(B)と共に、脂肪族二塩基酸の線状ポリ酸無水物「H
O−[OC−(CH2)m−COO]n−H」のメチレン単
位数mおよび繰り返し単位数nが特定の範囲にあるポリ
酸無水物硬化剤(A)が含まれており、該硬化剤(A)
は、ドデカン二酸の線状ポリ酸無水物に比して、1)同
一縮合度(n)比較で、約5℃融点が高く、得られる粉
体塗料では、貯蔵中の粉体塗料粒子の固着・凝集が効果
的に抑制でき、また2)得られる塗膜は、塗膜の擦傷性
の点で圧倒的に優れ、また3)該粉体塗料を基材表面に
塗布した場合、該硬化剤は、その加水分解速度がドデカ
ン二酸の線状ポリ酸無水物に比して相対的に遅く、塗膜
の平滑性などに寄与し、貯蔵保存時には塗料の貯蔵安定
性の向上も期待でき、また、4)熱硬化性粉体塗料組成
物中のエポキシ樹脂と硬化剤との配合比を、該エポキシ
樹脂中のグリシジル基などと、該硬化剤中の酸基などと
の配合当量比が実質上ほぼ同一(例:グリシジル基等1
当量に対して、酸基等を0.8〜1.3当量)となるよ
うに配合すると、粉体塗料の焼付け・溶融過程で到達す
る最低溶融粘度値が低くなり、塗膜平滑性の改良が可能
となり、さらに特定の添加剤を添加すれば、該硬化剤を
用いた場合の「塗膜の光沢低下」も克服・改良できると
いう効果が得られる。
試験例を挙げ、更に説明するが、その記載によって本発
明がなんら限定される性質のものではない。以下におい
て、「部」および「%」は特記していない限り重量基準
である。<テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)の製造例>
ィンを用い、発酵による両末端のカルボキシル化、分
離、精製工程を経て得られた、98重量%の純度を有す
るテトラデカン二酸(キャシーバイオ社製)750部、
及び無水酢酸400部を反応機に仕込み、還流温度にて
2時間脱水反応を行なった。次いで、160℃、2mm
Hgで減圧し、無水酢酸と、生成した酢酸とを留去し
た。さらに、精製操作として、得られた粗テトラデカン
二酸線状ポリ酸無水物300部と酢酸イソブチル150
0部を別の反応機に投入し、内容物を110℃で15分
間保持した後、直ちに活性炭5部を投入し、10分間攪
拌した。その後、熱時濾過を行ない、活性炭と不溶解分
を濾別し、濾液を5℃に冷却することにより、テトラデ
カン二酸線状ポリ酸無水物を晶析させた。これを濾過し
た後、45℃にて24時間減圧乾燥し、精製されたテト
ラデカン二酸線状ポリ酸無水物を得た。その縮合度は
3.6であり、残存窒素濃度は90ppmであり、灰分
濃度は200ppmであり、融点は100℃であった。
操作を一切行わなかった以外は、製造例A1と同様の操
作をおこなって、テトラデカン二酸線状ポリ酸無水物を
得た。得られたテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物の縮
合度は製造例A1と同じ3.6であり、残存窒素濃度は
220ppm、灰分濃度は1100ppm、融点は98
℃であった。
14留分濃度が低いノルマルパラフィンを使用して得ら
れた、発酵法により製造したテトラデカン二酸(純度8
5重量%)を入手し、これを製造例A1と同様に、線状
ポリ酸無水物とした。(カルボキシル基+酸無水物基)
としての酸当量は190g/eq.であり、縮合度は、
全てがテトラデカン二酸であったと仮定した場合に、
3.5と計算された。また、残存窒素濃度は110pp
m、灰分濃度は310ppm、融点は84℃であった。<エポキシ樹脂(B)の製造例>
脂(狭義のエポキシ樹脂)については、エピコート10
02(油化シェル社製)を使用し、製造例B1とした。
エポキシ当量は625(g/eq)。であり、数平均分
子量Mnは1320であった。
樹脂について、攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒
素導入管を備えた4つ口フラスコに、キシレン66.7
部を仕込み、窒素をパージしながら還流温度まで加熱昇
温した。このフラスコ内に、表1に示すように、グリシ
ジルメタアクリレート40部、スチレン15部、及び、
第3の必須単量体として1種以上選択すべき単量体とし
てイソブチルメタクリレート35部、イソボロニルメタ
クリレート10部、さらには、重合開始剤としてt−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート9部とを溶
解混合した原料液を、5時間にわたりフィードし、さら
にその後100℃で5時間保持し、これらモノマーの共
重合を行った。得られた樹脂溶液から溶剤を除去するこ
とにより、グリシジルエステル型アクリル共重合体樹脂
を得た。得られた樹脂は、数平均分子量Mnは1630
であり、過塩素酸滴定法により分析されるエポキシ当量
は、385(g/eq.)であった。
樹脂について、攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒
素導入管を備えた4つ口フラスコに、キシレン66.7
部を仕込み、窒素をパージしながら還流温度まで加熱昇
温した。このフラスコ内に、表1に示すように、β−メ
チルグリシジルメタアクリレート44部、スチレン21
部、及び、第3の必須単量体(その他の不飽和単量体)
として1種以上選択すべき単量体として、シクロヘキシ
ルメタクリレート25部、イソボロニルアクリレート1
0部、さらには、重合開始剤としてt−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート9部とを溶解混合した原
料液を、5時間にわたりフィードし、さらにその後10
0℃で5時間保持し、これらモノマーの共重合反応を行
った。
により、グリシジルエステル型アクリル共重合体樹脂を
得た。得られた樹脂は、数平均分子量Mnは1590で
あり、過塩素酸滴定法により分析されるエポキシ当量
は、381(g/eq.)であった。
樹脂について、攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒
素導入管を備えた4つ口フラスコに、キシレン66.7
部を仕込み、窒素をパージしながら還流温度まで加熱昇
温した。このフラスコ内に、グリシジルメタアクリレー
ト42部、スチレン18部、メチルメタクリレート40
部、さらに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート9部とを溶解混合した原料液
を、5時間にわたりフィードし、さらにその後100℃
で5時間保持し、これらモノマーの共重合を行った。そ
の後、得られた樹脂溶液中に、カルボキシル基を有する
ロジンKR−85(荒川化学社製; 酸価169KOH
mg/g,融点85℃)を3部投入し、15分間、10
0℃にて攪拌後、溶剤を除去することにより、ロジン変
性されたグリシジルエステル型アクリル共重合体樹脂を
得た。
70であり、過塩素酸滴定法により分析されるエポキシ
当量は、383(g/eq.)であった。
ず、そのまま、溶剤除去によりグリシジルエステル型ア
クリル共重合体樹脂を得た。該樹脂の数平均分子量Mn
は1610であり、エポキシ当量は363(g/e
q.)であった。
5の内容を、一括して表1に示す。<熱硬化性粉体塗料組成物の製造例>
線状ポリ酸無水物(A)24部、製造例B1で示したエ
ピコート1002(油化シェル社製)76部、顔料とし
て酸化チタンR820(石原産業製)40部、さらに、
添加剤として、紫外線吸収剤‘チヌビン CGL154
5’(チバスペシャリティーケミカル社製)2部、ヒン
ダードアミン系光安定剤‘チヌビン CGL 052(チ
バスペシャリティーケミカル社製)1部、ベンゾイン
0.5部、及び、流動調整剤0.3部、テトラブチルホ
スフォニウムブロマイド0.2部の全てを、ヘンシェル
ミキサ−(三井鉱山社製)に一括投入し、室温下、3分
間ドライ混合し、さらに、1軸押出し機(コペリオン社
製)により、90℃で溶融混練した。その後、固化、粉
砕、分級操作を実施し、最後に、粉体としての十分な流
動性を確保し、凝集を防止する目的で、シリカ微粒子添
加剤‘エアロジル RX300’(日本エアロジル社
製)0.2部をドライ混合して熱硬化性粉体塗料組成物
を調製した。
得られた塗料組成物の粒度は、島津製作所製SALAD
2000により、体積平均粒子径として26ミクロンで
あり、粒度分布を有する不定形状の粒子であった。尚、
流動調整剤は、重量平均分子量Mwが12000のイソ
ブチルメタアクリレートの固形ホモポリマーを、製造例
B1に準拠して製造し、平均粒度0.5mmとなるよう
粉砕したものを使用した。
線状ポリ無水物は、「カルボキシル基+酸無水物基」の
合計当量が192(g/eq. )であり、表2中に示
した「A/E」、即ち、[硬化剤(A)中のカルボキシ
ル基+酸無水物基]/[エポキシ樹脂(B)中のグリシジ
ル基]の当量比は、1.05となっている。該熱硬化性
粉体塗料組成物を用いて種々の性能評価を行った。
されたテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物(A)と、製
造例B2〜B4で製造したグリシジルエステル型アクリ
ル共重合体樹脂を主成分として粉体塗料を製造した。顔
料(酸化チタン)を使用せずにクリア塗料とした点、及
び、一軸押出し機(コペリオン社製)による溶融混練温
度を70℃とした以外は、実施例1と同じであり、酸基
/グリシジル基のモル比も実施例1と同じ1.05とし
た。
性能評価を行った。結果を表3に示す。
用したテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物の代りに、ド
デカン二酸線状ポリ酸無水物(‘Additol VX
L1381;ソルーシア社製、縮合度n=3.6、融点
91℃)を硬化剤として使用した以外は、全て、実施例
1または実施例2と同様とした。
したテトラデカン二酸線状ポリ酸無水物の代りに、それ
ぞれ比較例用製造例A2〜A3で製造したテトラデカン
二酸線状ポリ酸無水物を使用した以外は、全て、実施例
2と同様とした。
型アクリル共重合体樹脂に対し、ロジン変性を実施しな
かった樹脂、即ち、製造例B5で製造されたアクリル共
重合体樹脂を使用した以外は、全て、実施例4と同様と
した。なお、全ての塗料配合、体積平均粒子径、形状な
どは、表2に一括して示した。
物は、いずれも下塗塗装された鋼板上に、コロナ帯電で
静電塗装し、焼付けにより硬化塗膜とした。尚、実施例
1及び比較例1では、目標膜厚を70ミクロンとし、焼
付けは、180℃、25分間とした。一方、その他の全
ての実施例、比較例は、目標膜厚を50ミクロンとし、
焼付けは、150℃、30分間とした。
された0.8mm厚のリン酸亜鉛処理鋼板上に、ポリエ
ステル−メラミン硬化型の溶剤系黒色塗料を20ミクロ
ン膜厚となるよう塗装し、170℃、30分間で焼付け
することにより調製した。得られた熱硬化性粉体塗料組
成物(粉体塗料)、及び、焼付け硬化塗膜の性能を、表
3にまとめて示す。
以下の通りである。 <粉体塗料の評価> [粉体塗料の凝集性]製造された粉体塗料6.0gを内径
20mm、高さ80mmの円筒形容器に入れて蓋をし、
30℃、14日間貯蔵後に取出し、凝集の程度を指触に
て、◎〜×で評価した。
単に崩れる。×:指で崩れない。 [塗膜の濁り]焼付けされたフィルム上の濁りの程度を、
下記の基準により判定した。 ◎:濁りが全くない。○:軽度の濁り感がある。 ×:
かなり曇っている。
により、20度光沢値を測定。 [鉛筆硬度] 鉛筆引っ掻き試験(日本工業規格 JIS
K5400 6.14に準拠)により評価。 [耐擦傷性] 一定粒度の研磨剤を含有する、濃度30%
のスラリーを用い、摩擦堅牢度試験装置(大栄科学社
製)により、20往復のラビング処理を行った後、ラビ
ング前後の20度光沢値の保持率を百分率で計算した。
に1cc滴下し、室温にて1日放置した。その後、硫酸
滴を拭き取り、外観を観察して、下記評価基準(◎〜
×)で判定した。 ◎:痕跡なし。○:軽微な痕跡あり。×:明確な痕跡あ
り。 [耐溶剤性] キシレンを含浸させたガーゼで塗膜表面を
往復50回擦った後、塗膜を観察して、下記評価基準
(◎〜×)で判定した。
明確な痕跡あり。 [過熱黄変性] 粉体塗料を、上下の両金属製熱板表面
にそれぞれテフロン(R)シートを配し、さらに、両熱
板間に金属製の厚さ2mmのスペーサーを置いた加熱プ
レス機に挟み、テフロン(R)シートの表面温度を20
0℃に保持したまま20分間、熱圧硬化した。熱圧終了
後、フィルムを、テフロン(R)シートから剥離する事
で、厚さ2.0±0.1mmで、肉眼で気泡の残存のな
い、熱硬化フィルムを得た。これらフィルムの黄変度
を、下記評価基準により判定した。
Claims (5)
- 【請求項1】(A)テトラデカン二酸の含有率が90重
量%以上であり、C14留分を主体とするノルマルパラ
フィン混合物から発酵法によって製造された直鎖状脂肪
族二塩基酸を原料とし、このテトラデカン二酸の含有率
の高い直鎖状脂肪族二塩基酸を縮合反応させることによ
り製造された、残留窒素濃度150ppm以下、平均縮
合度2以上、灰分濃度1000ppm以下であるテトラ
デカン二酸線状ポリ酸無水物、及び、(B)エポキシ当
量が200〜2000g/eqであり、数平均分子量M
nが300〜8000の範囲にあり、グリシジル基を含
有する常温で固形のエポキシ樹脂、を必須成分として含
有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。 - 【請求項2】上記グリシジル基を有するエポキシ樹脂
(B)が、(イ)グリシジルメタクリレート及び/又は
β−メチル−グリシジルメタクリレート:20〜70重
量%と、(ロ)スチレン:10〜40重量%と、(ハ)
その他のエチレン性不飽和単量体:残部量(全成分の合
計を100重量%とする。)とを共重合して得られ、エ
ポキシ当量が200〜750g/eq.であり、数平均
分子量Mnが1000〜8000の範囲にあるアクリル
コポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の熱
硬化性粉体塗料組成物。 - 【請求項3】上記その他のエチレン性不飽和単量体
(ハ)が、イソボロニルメタクリレート、イソボロニル
アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソブ
チルメタクリレートからなる群から選択された、少なく
とも1種類以上の不飽和単量体を含むことを特徴とする
請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。 - 【請求項4】上記成分(A)と(B)の総重量((A)
+(B))に対し、カルボキシル基を有する、融点45
℃以上のロジン(C)が0.01〜3%の濃度で、添加
・配合されていることを特徴とする請求項1〜3の何れ
かに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。 - 【請求項5】上記成分(B)中のグリシジル基の一部
が、カルボキシル基を有する、融点45℃以上のロジン
(C)により、予め変性されており、成分(B)に対す
るロジン(C)の添加率が0.01〜4%であることを
特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱硬化性粉体
塗料組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002126773A JP4628639B2 (ja) | 2002-04-26 | 2002-04-26 | 熱硬化性粉体塗料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002126773A JP4628639B2 (ja) | 2002-04-26 | 2002-04-26 | 熱硬化性粉体塗料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003321643A true JP2003321643A (ja) | 2003-11-14 |
JP4628639B2 JP4628639B2 (ja) | 2011-02-09 |
Family
ID=29541091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002126773A Expired - Fee Related JP4628639B2 (ja) | 2002-04-26 | 2002-04-26 | 熱硬化性粉体塗料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4628639B2 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009209341A (ja) * | 2008-03-04 | 2009-09-17 | Rohm & Haas Co | エポキシ官能性アクリルコーティング粉体および向上された糸状腐食耐性を有する前記粉体からの粉体塗膜 |
JP2009543905A (ja) * | 2006-07-20 | 2009-12-10 | キャセイ アールアンドディー センタ− | 粉体塗料硬化剤及び用いられる長炭素鎖ポリ酸無水物調製方法 |
US7737238B2 (en) | 2008-03-04 | 2010-06-15 | Anderson Development Co. | Resin suitable for powder coating compositions |
WO2013146081A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 出光興産株式会社 | 樹脂組成物及びその硬化物ならびにそれを用いた光半導体用反射材 |
JP2017513961A (ja) * | 2014-02-27 | 2017-06-01 | アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ | アクリル樹脂及び粉体塗装組成物ならびにそれらを含む粉体塗装基材 |
CN115612064A (zh) * | 2022-11-14 | 2023-01-17 | 国网辽宁省电力有限公司阜新供电公司 | 一种用于辐射降温涂料固化用的粘结剂及辐射降温涂料 |
WO2023162563A1 (ja) * | 2022-02-22 | 2023-08-31 | Dic株式会社 | 粉体塗料用樹脂組成物、粉体塗料、該粉体塗料の塗膜を有する物品 |
-
2002
- 2002-04-26 JP JP2002126773A patent/JP4628639B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009543905A (ja) * | 2006-07-20 | 2009-12-10 | キャセイ アールアンドディー センタ− | 粉体塗料硬化剤及び用いられる長炭素鎖ポリ酸無水物調製方法 |
JP2009209341A (ja) * | 2008-03-04 | 2009-09-17 | Rohm & Haas Co | エポキシ官能性アクリルコーティング粉体および向上された糸状腐食耐性を有する前記粉体からの粉体塗膜 |
US7737238B2 (en) | 2008-03-04 | 2010-06-15 | Anderson Development Co. | Resin suitable for powder coating compositions |
US8716367B2 (en) | 2008-03-04 | 2014-05-06 | Akzo Nobel Coatings International B.V. | Epoxy functional acrylic coating powders and powder coatings therefrom having improved filiform corrosion resistance |
WO2013146081A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 出光興産株式会社 | 樹脂組成物及びその硬化物ならびにそれを用いた光半導体用反射材 |
JPWO2013146081A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2015-12-10 | 大阪有機化学工業株式会社 | 樹脂組成物及びその硬化物ならびにそれを用いた光半導体用反射材 |
JP2017513961A (ja) * | 2014-02-27 | 2017-06-01 | アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ | アクリル樹脂及び粉体塗装組成物ならびにそれらを含む粉体塗装基材 |
WO2023162563A1 (ja) * | 2022-02-22 | 2023-08-31 | Dic株式会社 | 粉体塗料用樹脂組成物、粉体塗料、該粉体塗料の塗膜を有する物品 |
CN115612064A (zh) * | 2022-11-14 | 2023-01-17 | 国网辽宁省电力有限公司阜新供电公司 | 一种用于辐射降温涂料固化用的粘结剂及辐射降温涂料 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4628639B2 (ja) | 2011-02-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2039409C (en) | Resin composition for powder coatings | |
CN1257237C (zh) | 可辐射固化的粉末涂料组合物 | |
JPH03111456A (ja) | 酸官能基を有する低Tgおよび高Tgポリマーの混合物を含有する熱硬化性粉末塗料組成物 | |
CA2400592A1 (en) | Powdered thermosetting composition for coatings | |
KR100752898B1 (ko) | 아크릴계 열경화성 분체 도료 조성물 | |
JP4909073B2 (ja) | カプロラクトン派生の側鎖を含有するグルシジル(メタ)アクリレート粉末コーティング組成物 | |
JP2003321643A (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
EP1362899B1 (en) | Thermosetting powder coating composition, method for forming coating film of the composition, and coating film | |
JP4119166B2 (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JPH0269507A (ja) | 常温硬化型塗料用分散体組成物 | |
JP4094049B2 (ja) | アクリル系熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JP4248923B2 (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JP2003505531A (ja) | 硬化性組成物 | |
JPS6134745B2 (ja) | ||
JPH0978010A (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JP2003321641A (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JP4585503B2 (ja) | 熱硬化性粉体塗料組成物 | |
JP3052072B2 (ja) | 粉体塗料用樹脂組成物 | |
JP2007153974A (ja) | 硬化性粉体塗料 | |
JPS6023139B2 (ja) | 熱硬化性アクリル樹脂組成物 | |
JP2002322225A (ja) | 変性ポリエステル樹脂及び該樹脂を用いた樹脂組成物 | |
KR20200065675A (ko) | 분체도료 조성물 | |
JPH10287715A (ja) | 水性樹脂、その製造法およびそれを含む水性樹脂組成物 | |
JPH11140379A (ja) | 熱硬化型粉体塗料及び自動車用上塗りクリヤー粉体塗膜形成方法 | |
JPS6187768A (ja) | 粉体塗料組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040930 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070215 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070821 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071120 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20090717 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101110 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4628639 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |