JP2003321625A - オーバーコート材およびオーバーコート層を有するカード - Google Patents

オーバーコート材およびオーバーコート層を有するカード

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JP2003321625A JP2002359583A JP2002359583A JP2003321625A JP 2003321625 A JP2003321625 A JP 2003321625A JP 2002359583 A JP2002359583 A JP 2002359583A JP 2002359583 A JP2002359583 A JP 2002359583A JP 2003321625 A JP2003321625 A JP 2003321625A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、熱転写適性、エンボス加工適性、
表面の艶・光沢などに優れたオーバーコート層を好適に
形成でき、とりわけ塗布工程におけるカード面への塗布
適性に優れると共に、揮発した有機溶剤により人体が悪
影響を受けたり、引火を防ぐための吸引設備や防曝設備
などを必要としないオーバーコート材およびオーバーコ
ート層を有するカードの提供。 【解決手段】 カード面へオーバーコート層を形成する
オーバーコート材を水性エマルジョン系塗料、特に、紫
外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする
水性エマルジョン系塗料とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、磁気カー
ド、ICカード、リライトカードなどのカード面へのオ
ーバーコート層を形成するオーバーコート材に関し、さ
らに詳しくは、水性エマルジョン系塗料からなるオーバ
ーコート材に関する。また、オーバーコート材から形成
されたオーバーコート層を有するカードに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、磁気カード、ICカード、リライ
トカードなどのカード類は、その利便性により、身分証
明や出納処理など幅広い分野で利用されている。そし
て、これらのカード類は一般的に、センターコア材と呼
ばれる不透明塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレ
ート樹脂などからなる熱可塑性樹脂に透明塩化ビニル樹
脂などからなるオーバーシート材を積層してなる定型サ
イズのカード基材から構成されており、通常、その外表
面には所望の印刷などを被覆保護するためのオーバーコ
ート層が設けられている。
【0003】例えば、図1に例示した磁気カード1の断
面構造は、センターコア材とオーバーシート材を積層
(図示せず)してなるカード基材2面に磁気記録層3が
定着され、さらに、このカード基材2面には接着剤成分
からなるアンカー層4を介してアルミ粉含有の銀色イン
クからなる隠蔽層5が設けられている。そして、この隠
蔽層5面には所望の印刷層6が施されると共に、その外
表面には当該印刷層6を被覆保護するためのオーバーコ
ート層7が積層されてなる。
【0004】このように、オーバーコート層はカード面
に施された印刷層などを被覆保護するために不可欠であ
ると共に、最近では、このオーバーコート層に熱転写剤
により、印刷や顔写真やサインパネルなどを接着して施
したり、ホットスタンプによりホログラムを接着したり
する傾向がある。したがって、オーバーコート層には熱
転写剤やホットスタンプの受容性のあるものが適当とさ
れ、このような機能を有するオーバーコート層を形成す
るオーバーコート材として、従来ではウレタン樹脂や酢
酸ビニル塩化ビニル共重合体などの樹脂成分をトルエ
ン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトンなどの有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料が主に
用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−300834号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂成
分を有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料を用いた場合に
は、カード面への塗料の塗布工程において、有機溶剤の
高い揮発性によって塗料の重量が急速に変化するため、
塗布量を調整するのが難しく塗布適性に不都合が生じ
る。また、揮発した有機溶剤が人体に悪影響を及ぼした
り、あるいは引火し易いために、塗布工程や、特に乾燥
工程において吸引設備や防曝設備などが必要とされる。
【0007】そこで、本発明の第1の目的は、耐摩耗
性、熱転写適性、エンボス加工適性、筆記性、表面の艶
・光沢などに優れたオーバーコート層を好適に形成で
き、とりわけ塗布工程におけるカード面への塗布適性に
優れると共に、揮発した有機溶剤により人体が悪影響を
受けたり、あるいは引火を防ぐための吸引設備や防曝設
備などを必要としないオーバーコート材を提供すること
であり、本発明の第2の目的は、そのようなオーバーコ
ート材を用いて形成されたオーバーコート層を有するカ
ードを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明者らは、カード面へのオーバーコート層の形
成において、オーバーコート材として、従来の樹脂成分
を有機溶剤に溶解してなる溶剤系塗料ではなく、水性エ
マルジョン系塗料、特に、紫外線硬化型脂肪族ウレタン
アクリレートを主成分とする水性エマルジョン系塗料と
することにより、上記課題を好適に達成できることを見
いだし、本発明を想到した。
【0009】すなわち、本発明の請求項1のオーバーコ
ート材は、カード面を被覆保護するためのオーバーコー
ト層を形成するオーバーコート材であって、紫外線硬化
型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマ
ルジョン系塗料からなることを特徴とする。
【0010】樹脂成分を有機溶剤に溶かした溶剤系塗料
ではなく、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを
主成分とする水性エマルジョン系塗料としたことによ
り、塗料の揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード
面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人
体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に
防曝設備などを必要としない。さらに、脂肪族ウレタン
アクリレートがウレタン構造を主体とするため、形成さ
れたオーバーコート層が従来のように熱転写剤の受容性
を有すると共にアクリルを側鎖として有するため、紫外
線照射によるアクリルの光重合結合によりオーバーコー
ト層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上される。
【0011】また、好ましい本発明のオーバーコート材
は、前記紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主
成分とする水性エマルジョン系塗料が、さらに酢酸ビニ
ル塩化ビニル共重合体および高級アルコールのリン酸エ
ステルを含有してなることを特徴とする。
【0012】さらに、水性エマルジョン系塗料に酢酸ビ
ニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバー
コート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転
写剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の
艶・光沢なども向上する。また、高級アルコールのリン
酸エステルを含有させることで、その滑剤としての作用
により、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、
鏡面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって
表面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層を
さらに好適に形成できる。
【0013】さらに好ましい本発明のオーバーコート材
は、微細粒子を含有してなることを特徴とするものであ
る。
【0014】さらにまた、本発明のオーバーコート材に
微細粒子を配合すると、オーバーコート層の筆記性やラ
ベルを付帯させる場合の接着性を改良するのでサインパ
ネルを形成するのに適している。
【0015】本発明は、また、上記の特徴を有するオー
バーコート材から形成されたオーバーコート層を有する
カードに関するものである。本発明のカードは公知のカ
ード製造工程により容易に問題なく製造することがで
き、耐熱性、耐摩耗性、エンボス特性、耐ブロッキング
性などに優れるとともに、オーバーコート層が従来のよ
うに熱転写剤の受容性を有すると共に硬度が高く、磁気
カード、ICカード、リライトカードなどのカードとし
て広く使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のオーバーコート材である
水性エマルジョンの主成分は紫外線硬化型脂肪族ウレタ
ンアクリレートである。本発明において脂肪族という用
語は脂環式化合物を含む意味で使用する。ウレタン結合
を形成する脂肪族および脂環式ジイソシアネート成分と
して代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネー
ト)(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート(TMHMDI)などであるがこれらに限定
されるものではない。
【0017】本発明における脂肪族ウレタンアクリレー
トは、オリゴマーないしモノマー状態の脂肪族ウレタン
アクリレートが水中に分散されてなるものである。好適
に利用できる市販品の具体例としては、ダイセルUCB
社製のUcecoat DW7900やBASF社製の
Laromer LR8949などがある。
【0018】一方、芳香族系ジイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびキシ
リレンジイソシアネート(XDI)などが挙げられる。
脂肪族ウレタンアクリレートは芳香族ウレタンアクリレ
ートと比較すると、前者の方が後者より、オーバーコー
ト材のコーティング適性やオーバーコート層の硬化状態
の点で好ましいことが見出されている。また、前者の方
が後者よりも透明性に優れている。しかし本発明におけ
る脂肪族ウレタンアクリレートに本発明の主旨を逸脱し
ない範囲において芳香族系ジイソシアネートを混合して
使用することができる。
【0019】脂肪族ウレタンアクリレートの紫外線によ
る硬化を行わせるために、光重合開始剤を用いる。光重
合開始剤としては、通常使用されているものがいずれも
好ましく使用できる。代表的なものは分子内結合開放型
および分子間水素引抜き型ある。分子内結合開放型は分
子開裂によりラジカルを発生するタイプであって、例と
して、ベンゾイル・アルキル・エーテル、ベンジルジメ
チルケタール、ジエトキシアセトフェノン、アシロキシ
ムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセト
フェノンなどが挙げられる。分子間水素引抜き型は分子
間の水素引抜きでラジカルを発生するタイプであって、
例として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾ
スベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオ
キサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤をあらかじ
め水性エマルジョン塗料に配合しておくことも可能であ
るが、取扱いに注意しないと、ポットライフが短くな
る、作業時の環境によって硬化程度が左右されやすい、
その結果品質のばらつきが生じる、等の欠点があるの
で、カードへ塗布する時期にできるだけ近づけて配合す
るのが好ましい。
【0020】光重合開始剤と併用するものとして光重合
開始助剤または増感剤があり、アミン類、スルホン類、
ホスフィン類が使用できる。
【0021】また、本発明のオーバーコート材に酢酸ビ
ニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバー
コート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転
写剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の
艶・光沢なども向上する。また、高級アルコールのリン
酸エステルを含有させることで、その滑剤としての作用
により、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、
鏡面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって
表面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層を
さらに好適に形成できる。酢酸ビニル塩化ビニル共重合
体(固形分)の配合量は、特に限定されるものではない
が、好ましくはオーバーコート材(固形分)全体に対し
て2〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%
配合することが望ましい。2質量%未満ではオーバーコ
ート層の熱転写剤やホットスタンプなどに対する受容性
を改善できない恐れがあり、30質量%を超えるとオー
バーコート層を有するカードの耐熱性、耐摩耗性、エン
ボス適性、ブロッキング性などが悪化する恐れがあるの
で好ましくない。
【0022】高級アルコールのリン酸エステル(固形
分)の配合量は、特に限定されるものではないが、好ま
しくはオーバーコート材(固形分)全体に対して0.1
〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜9質量%配合
することが望ましい。0.1質量%未満では効果がでな
い恐れがあり、10質量%を超えるとオーバーコート層
がベト付く恐れがあるので好ましくない。
【0023】さらに、本発明のオーバーコート材に微細
粒子を添加することにより、オーバーコート層の筆記性
が改善されるので、オーバーコート層の上にサインパネ
ルを形成する場合などに好適であり、無機質および有機
質のいずれも使用できる。具体的には、例えば、シリ
カ、炭酸カルシウム、スルホ・アルミン酸カルシウム、
球状アルミナ、二酸化チタン、各種デンプン、合成ゼオ
ライト、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、
微球状ポリエチレン、ガラス粉末、シラスバルーン、活
性白土などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で用
いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。な
お、これらの微細粒子は、その平均粒子径が1〜20μ
m、好ましくは2〜5μmの範囲にあるものが好適であ
る。なお、微細粒子のオーバーコート材への添加量は、
オーバーコート材(固形分)100質量部に対して、5
〜200質量部含有させるのが好ましい。
【0024】その他、カード面への塗布適性や形成され
たオーバーコート層の物理的・化学的適性などを考慮
し、滑剤、増粘剤、レベリング剤、界面活性剤、填料な
どを適宜添加することが好ましい。
【0025】オーバーコート材全体における固形分の割
合は20〜50質量%、好ましくは30〜40質量%、
さらに好ましくは35質量%程度に調製される。ここで
質量%とは乾燥質量%を表すものであり、以下の実施例
においても同様である。
【0026】本発明のオーバーコート材を用いてカード
面上にオーバーコート層を形成する基本的工程は、水性
エマルジョン系塗料を塗布する塗布工程a、水性エマル
ジョン系塗料から水分を除去する乾燥工程b、塗料層を
紫外線照射により硬化させる硬化工程cおよび塗料硬化
層を加熱・加圧する成型工程dからなる。
【0027】
【実施例】以下本発明の内容を実施例および比較例によ
ってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例になん
ら限定されるものではない。 [実施例1] ・紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレート(Ucec
oat DW7900/ダイセルUCB社製、固形分3
5質量%の水性エマルジョン)90質量% ・光重合開始剤(IRG 500/チバスペシャリティ
ー社製) 5質量% ・ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤(SNシックナー61
2/サンノプコ社製)3質量% ・レベリング剤(モテ゛ィコール/サンノプコ社製)2
質量% 各成分を配合、混合して本発明のオーバーコート材を調
製した。使用に当たっては本発明のオーバーコート材全
体における固形分の割合を水を添加して30質量%に調
製した。
【0028】[実施例2] ・紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレート(Laro
mer LR8949/BASF社製、固形分40質量
%の水性エマルジョン)42質量% ・光重合開始剤(IRG 500/チバスペシャリティ
ー社製)3質量% ・酢酸ビニル塩化ビニル共重合体(ヒ゛ニフ゛ラン602
/日信化学工業社製、固形分55質量%の水性サスペン
ジョン)42質量% ・高級アルコールのリン酸エステル(サンスタットNo.6
/三洋化成工業社製)9質量% ・ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤(SNシックナー61
2/サンノプコ社製)3質量% ・レベリング剤(モテ゛ィコール/サンノプコ社製)1
質量% 各成分を配合、混合して本発明のオーバーコート材を調
製した。使用に当たっては本発明のオーバーコート材全
体における固形分の割合を水を添加して40質量%に調
製した。
【0029】上記の実施例1、実施例2からなるオーバ
ーコート材を用い、以下のようにしてオーバーコート層
を形成した。 (オーバーコート材を塗布する塗布工程a)先ず、マイ
クログラビアコーターをもって、2〜3g/m2 程度の
塗布量にて、オーバーコート層7の厚みが3mμ程度に
形成されるように磁気カード表面上にオーバーコート材
を塗布した。 (オーバーコート材から水分を除去する乾燥工程b)そ
して、オーバーコート材を塗布された磁気カード1に対
して、ランプの管面温度260℃程度の遠赤外線を15
秒間照射し、当該塗料から水分を蒸発させて未硬化状態
のオーバーコート層7を形成した。 (オーバーコート層を紫外線照射により硬化させる硬化
工程c)さらに、上記乾燥工程bにより得たオーバーコ
ート層7に対して、紫外線照射装置により350mJ/
cm2 の紫外線を照射して、当該オーバーコート層7を
硬化させた。 (硬化したオーバーコート層を加熱・加圧する成型工程
d)さらに、カード1面への多段プレス(ラミプレス)
にて140℃下での加圧により、硬化されたオーバーコ
ート層7を成型し、カード1面に最終的なオーバーコー
ト層7を形成した。なお、上記の塗布工程aおよび乾燥
工程bには何らの吸引設備と防曝設備も必要としない。
【0030】以下、上記実施例1、2で得たオーバーコ
ート層7の各種性能に関し、従来のものと比較するた
め、酢酸ビニル塩化ビニル共重合体をトルエン、メチル
エチルケトンなどの有機溶剤に溶かしてなる従来の溶剤
系塗料を用いてオーバーコート層7を形成した比較例
1、脂肪族ウレタンアクリレートに替えて芳香族ウレタ
ンアクリレートを使用した比較例2および従来公知のウ
レタンアクリレートを使用した比較例3を挙げる。
【0031】[比較例1]酢酸ビニル塩化ビニル共重合
体を有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料にメチルエチル
ケトンとトルエンからなる希釈剤を少量添加して調製
し、実施例1と同様、これをカード1のカード面、すな
わち印刷層6面の全面に対し、オーバーコート層7の厚
さが3μm程度になるような塗布量にて塗布した後、カ
ード1を室温(20℃)で2時間程度放置し、風乾させ
た。なお、この塗布工程および乾燥工程には吸引設備と
防曝設備を必要とする。
【0032】[比較例2]実施例1の脂肪族ウレタンア
クリレートをTDI系芳香族ウレタンアクリレートに替
えた水性エマルジョンを用いた他は実施例1と同様にし
てオーバーコート層7を形成した。
【0033】[比較例3]実施例1の脂肪族ウレタンア
クリレートを含む水性エマルジョン系塗料に代えて従来
公知の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含む溶剤系
塗料を用いた他は実施例1と同様にしてオーバーコート
層7を形成した。なお、塗布工程および乾燥工程には吸
引設備と防曝設備を必要とする。
【0034】実施例1、2と比較例1、2、3で得られ
たオーバーコート層7について、JIS K7204に
基づく「摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験」に従
い、摩耗輪の種類、荷重、回転数を変数として、3種類
の耐摩耗性に関する比較試験を行った。磨耗試験Aは磨
耗輪:SK-10、荷重:250g、回転数:2000回の
条件で、磨耗試験Bは磨耗輪:CF-10F、荷重:250
g、回転数:200回の条件で、磨耗試験Cは磨耗輪:
金属輪、荷重:500g、回転数:1500回の条件で
行った。得られた結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示す試験結果によれば、負荷の程度
が増すほど、耐摩耗性に関し、実施例1、2が各比較例
よりも優れていることが分かる。
【0037】また、各実施例および各比較例で得たオー
バーコート層7に対し、サーマルプリンタの熱転写リボ
ン(金色、銀色、青色、黒色の4種)をもって所定の印
字試験を試み、各熱転写剤の受容性を確認したが、各オ
ーバーコート層7には大きな相違は見られず、何れのも
のも実用上何ら問題はなかった。特に、実施例2のもの
は、粘着テープによるピッキングテストの結果、実施例
1および各比較例に比べ、青色と黒色の熱転写剤の受容
性に優れることが判明した。
【0038】さらに、実施例1,2および各比較例で得
たオーバーコート層7に対し、エンボッサーにてエンボ
ス加工を施したところ、各オーバーコート層7には大き
な相違は見られず、何ら問題なくエンボスが形成され
た。なお、カード外表面の艶・光沢については、実施例
2および各比較例のものは極めて良好であり、実施例1
のものが実施例2および各比較例のものに比べ若干劣る
ものの実用上は何ら問題のないものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のオーバーコート
材によれば、樹脂成分を有機溶剤に溶かした溶剤系塗料
ではなく、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを
主成分とする水性エマルジョン系塗料としたことによ
り、塗料の揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード
面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人
体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に
防曝設備などを必要とせず、さらに、脂肪族ウレタンア
クリレートがウレタン構造を主体とするため、形成され
たオーバーコート層が従来のように熱転写剤の受容性を
有すると共にアクリルを側鎖として有するため、紫外線
照射によるアクリルの光重合結合によりオーバーコート
層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上されるなど
の顕著な効果を奏する。
【0040】本発明の請求項2記載のオーバーコート材
によれば、さらに、水性エマルジョン系塗料に酢酸ビニ
ル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバーコ
ート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転写
剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の艶
・光沢なども向上さら、また、高級アルコールのリン酸
エステルを含有させることで、その滑剤としての作用に
より、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、鏡
面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって表
面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層をさ
らに好適に形成できるというさらなる顕著な効果を奏す
る。
【0041】本発明の請求項3記載のオーバーコート材
によれば、さらにまた、本発明のオーバーコート材に微
細粒子を配合すると、オーバーコート層の筆記性やラベ
ルを付帯させる場合の接着性を改良するのでサインパネ
ルを形成するのに適しているというさらなる顕著な効果
を奏する。
【0042】本発明の請求項4カードは、カード面に請
求項1〜3のいずれかに記載のオーバーコート材から形
成されたオーバーコート層を有するので、塗工適性やラ
ミプレス性などに優れ、公知のカード製造工程により容
易に問題なく製造することができ、耐熱性、耐摩耗性、
エンボス特性、耐ブロッキング性などに優れるととも
に、熱転写剤の受容性を有し、オーバーコート層に印刷
や顔写真やサインパネルやホログラムなどを強固に接着
した磁気カード、ICカード、リライトカードなどのカ
ードとして広く使用できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーバーコート層を有した磁気カードの断面説
明図。
【符号の説明】
1 磁気カード 2 カード基材 3 磁気記録層 4 アンカー層 5 隠蔽層 6 印刷層 7 オーバーコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 127/06 C09D 127/06 131/04 131/04 175/14 175/14 // G11B 5/72 G11B 5/72 5/80 5/80 Fターム(参考) 2C005 HA07 HA13 HB01 JA01 KA06 KA25 KA40 LA12 LA26 4J038 BA122 CD061 CD062 CF041 CF042 FA281 FA282 HA216 HA286 HA446 HA466 HA486 HA556 JC14 JC24 KA08 KA20 MA08 MA10 NA01 NA11 NA12 NA24 NA27 PA17 PB11 5D006 AA01 AA03 AA04 DA01 FA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カード面を被覆保護するためのオーバー
    コート層を形成するオーバーコート材であって、紫外線
    硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性
    エマルジョン系塗料からなることを特徴とするオーバー
    コート材。
  2. 【請求項2】 紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレー
    トを主成分とする水性エマルジョン系塗料が、さらに酢
    酸ビニル塩化ビニル共重合体および高級アルコールのリ
    ン酸エステルを含有してなることを特徴とする請求項1
    記載のオーバーコート材。
  3. 【請求項3】 オーバーコート材が微細粒子を含有して
    なることを特徴とする請求項1または2記載のオーバー
    コート材。
  4. 【請求項4】 カード面に請求項1〜3のいずれかに記
    載のオーバーコート材から形成されたオーバーコート層
    を有することを特徴とするカード。
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