JP4300024B2 - オーバーコート材およびオーバーコート層を有するカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのカード面へのオーバーコート層を形成するオーバーコート材に関し、さらに詳しくは、水性エマルジョン系塗料からなるオーバーコート材に関する。また、オーバーコート材から形成されたオーバーコート層を有するカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのカード類は、その利便性により、身分証明や出納処理など幅広い分野で利用されている。そして、これらのカード類は一般的に、センターコア材と呼ばれる不透明塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる熱可塑性樹脂に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート材を積層してなる定型サイズのカード基材から構成されており、通常、その外表面には所望の印刷などを被覆保護するためのオーバーコート層が設けられている。
【0003】
例えば、図1に例示した磁気カード1の断面構造は、センターコア材とオーバーシート材を積層(図示せず)してなるカード基材2面に磁気記録層3が定着され、さらに、このカード基材2面には接着剤成分からなるアンカー層4を介してアルミ粉含有の銀色インクからなる隠蔽層5が設けられている。そして、この隠蔽層5面には所望の印刷層6が施されると共に、その外表面には当該印刷層6を被覆保護するためのオーバーコート層7が積層されてなる。
【0004】
このように、オーバーコート層はカード面に施された印刷層などを被覆保護するために不可欠であると共に、最近では、このオーバーコート層に熱転写剤により、印刷や顔写真やサインパネルなどを接着して施したり、ホットスタンプによりホログラムを接着したりする傾向がある。したがって、オーバーコート層には熱転写剤やホットスタンプの受容性のあるものが適当とされ、このような機能を有するオーバーコート層を形成するオーバーコート材として、従来ではウレタン樹脂や酢酸ビニル塩化ビニル共重合体などの樹脂成分をトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料が主に用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−300834号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂成分を有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料を用いた場合には、カード面への塗料の塗布工程において、有機溶剤の高い揮発性によって塗料の重量が急速に変化するため、塗布量を調整するのが難しく塗布適性に不都合が生じる。また、揮発した有機溶剤が人体に悪影響を及ぼしたり、あるいは引火し易いために、塗布工程や、特に乾燥工程において吸引設備や防曝設備などが必要とされる。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、耐摩耗性、熱転写適性、エンボス加工適性、筆記性、表面の艶・光沢などに優れたオーバーコート層を好適に形成でき、とりわけ塗布工程におけるカード面への塗布適性に優れると共に、揮発した有機溶剤により人体が悪影響を受けたり、あるいは引火を防ぐための吸引設備や防曝設備などを必要としないオーバーコート材を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのようなオーバーコート材を用いて形成されたオーバーコート層を有するカードを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明者らは、カード面へのオーバーコート層の形成において、オーバーコート材として、従来の樹脂成分を有機溶剤に溶解してなる溶剤系塗料ではなく、水性エマルジョン系塗料、特に、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマルジョン系塗料とすることにより、上記課題を好適に達成できることを見いだし、本発明を想到した。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1のオーバーコート材は、カード面を被覆保護するためのオーバーコート層を形成するオーバーコート材であって、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とし、紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートを含まない、水性エマルジョン系塗料からなることを特徴とする。
【0010】
樹脂成分を有機溶剤に溶かした溶剤系塗料ではなく、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマルジョン系塗料としたことにより、塗料の揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に防曝設備などを必要としない。さらに、脂肪族ウレタンアクリレートがウレタン構造を主体とするため、形成されたオーバーコート層が従来のように熱転写剤の受容性を有すると共にアクリルを側鎖として有するため、紫外線照射によるアクリルの光重合結合によりオーバーコート層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上される。
【0011】
また、好ましい本発明のオーバーコート材は、前記紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマルジョン系塗料が、さらに酢酸ビニル塩化ビニル共重合体および高級アルコールのリン酸エステルを含有してなることを特徴とする。
【0012】
さらに、水性エマルジョン系塗料に酢酸ビニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバーコート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転写剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の艶・光沢なども向上する。また、高級アルコールのリン酸エステルを含有させることで、その滑剤としての作用により、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、鏡面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって表面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層をさらに好適に形成できる。
【0013】
さらに好ましい本発明のオーバーコート材は、微細粒子を含有してなることを特徴とするものである。
【0014】
さらにまた、本発明のオーバーコート材に微細粒子を配合すると、オーバーコート層の筆記性やラベルを付帯させる場合の接着性を改良するのでサインパネルを形成するのに適している。
【0015】
本発明は、また、上記の特徴を有するオーバーコート材から形成されたオーバーコート層を有するカードに関するものである。
本発明のカードは公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができ、耐熱性、耐摩耗性、エンボス特性、耐ブロッキング性などに優れるとともに、オーバーコート層が従来のように熱転写剤の受容性を有すると共に硬度が高く、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのカードとして広く使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のオーバーコート材である水性エマルジョンの主成分は紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートである。本発明において脂肪族という用語は脂環式化合物を含む意味で使用する。ウレタン結合を形成する脂肪族および脂環式ジイソシアネート成分として代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)などであるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
本発明における脂肪族ウレタンアクリレートは、オリゴマーないしモノマー状態の脂肪族ウレタンアクリレートが水中に分散されてなるものである。好適に利用できる市販品の具体例としては、ダイセルUCB社製のUcecoat DW7900やBASF社製のLaromer LR8949などがある。
【0019】
脂肪族ウレタンアクリレートの紫外線による硬化を行わせるために、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、通常使用されているものがいずれも好ましく使用できる。代表的なものは分子内結合開放型および分子間水素引抜き型ある。分子内結合開放型は分子開裂によりラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾイル・アルキル・エーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。分子間水素引抜き型は分子間の水素引抜きでラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオキサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤をあらかじめ水性エマルジョン塗料に配合しておくことも可能であるが、取扱いに注意しないと、ポットライフが短くなる、作業時の環境によって硬化程度が左右されやすい、その結果品質のばらつきが生じる、等の欠点があるので、カードへ塗布する時期にできるだけ近づけて配合するのが好ましい。
【0020】
光重合開始剤と併用するものとして光重合開始助剤または増感剤があり、アミン類、スルホン類、ホスフィン類が使用できる。
【0021】
また、本発明のオーバーコート材に酢酸ビニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバーコート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転写剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の艶・光沢なども向上する。また、高級アルコールのリン酸エステルを含有させることで、その滑剤としての作用により、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、鏡面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって表面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層をさらに好適に形成できる。
酢酸ビニル塩化ビニル共重合体(固形分)の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくはオーバーコート材(固形分)全体に対して2〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%配合することが望ましい。2質量%未満ではオーバーコート層の熱転写剤やホットスタンプなどに対する受容性を改善できない恐れがあり、30質量%を超えるとオーバーコート層を有するカードの耐熱性、耐摩耗性、エンボス適性、ブロッキング性などが悪化する恐れがあるので好ましくない。
【0022】
高級アルコールのリン酸エステル(固形分)の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくはオーバーコート材(固形分)全体に対して0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜9質量%配合することが望ましい。0.1質量%未満では効果がでない恐れがあり、10質量%を超えるとオーバーコート層がベト付く恐れがあるので好ましくない。
【0023】
さらに、本発明のオーバーコート材に微細粒子を添加することにより、オーバーコート層の筆記性が改善されるので、オーバーコート層の上にサインパネルを形成する場合などに好適であり、無機質および有機質のいずれも使用できる。具体的には、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、スルホ・アルミン酸カルシウム、球状アルミナ、二酸化チタン、各種デンプン、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、これらの微細粒子は、その平均粒子径が1〜20μm、好ましくは2〜5μmの範囲にあるものが好適である。なお、微細粒子のオーバーコート材への添加量は、オーバーコート材(固形分)100質量部に対して、5〜200質量部含有させるのが好ましい。
【0024】
その他、カード面への塗布適性や形成されたオーバーコート層の物理的・化学的適性などを考慮し、滑剤、増粘剤、レベリング剤、界面活性剤、填料などを適宜添加することが好ましい。
【0025】
オーバーコート材全体における固形分の割合は20〜50質量%、好ましくは30〜40質量%、さらに好ましくは35質量%程度に調製される。ここで質量%とは乾燥質量%を表すものであり、以下の実施例においても同様である。
【0026】
本発明のオーバーコート材を用いてカード面上にオーバーコート層を形成する基本的工程は、水性エマルジョン系塗料を塗布する塗布工程a、水性エマルジョン系塗料から水分を除去する乾燥工程b、塗料層を紫外線照射により硬化させる硬化工程cおよび塗料硬化層を加熱・加圧する成型工程dからなる。
【0027】
【実施例】
以下本発明の内容を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
[実施例1]
・紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレート(Ucecoat DW7900/ダイセルUCB社製、固形分35質量%の水性エマルジョン)90質量%
・光重合開始剤(IRG 500/チバスペシャリティー社製) 5質量%
・ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤(SNシックナー612/サンノプコ社製)3質量%
・レベリング剤(モテ゛ィコール/サンノプコ社製)2質量%
各成分を配合、混合して本発明のオーバーコート材を調製した。使用に当たっては本発明のオーバーコート材全体における固形分の割合を水を添加して30質量%に調製した。
【0028】
[実施例2]
・紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレート(Laromer LR8949/BASF社製、固形分40質量%の水性エマルジョン)42質量%
・光重合開始剤(IRG 500/チバスペシャリティー社製)3質量%
・酢酸ビニル塩化ビニル共重合体(ヒ゛ニフ゛ラン602/日信化学工業社製、固形分55質量%の水性サスペンジョン)42質量%
・高級アルコールのリン酸エステル(サンスタットNo.6/三洋化成工業社製)9質量%
・ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤(SNシックナー612/サンノプコ社製)3質量%
・レベリング剤(モテ゛ィコール/サンノプコ社製)1質量%
各成分を配合、混合して本発明のオーバーコート材を調製した。使用に当たっては本発明のオーバーコート材全体における固形分の割合を水を添加して40質量%に調製した。
【0029】
上記の実施例1、実施例2からなるオーバーコート材を用い、以下のようにしてオーバーコート層を形成した。
(オーバーコート材を塗布する塗布工程a)
先ず、マイクログラビアコーターをもって、2〜3g/m2 程度の塗布量にて、オーバーコート層7の厚みが3mμ程度に形成されるように磁気カード表面上にオーバーコート材を塗布した。
(オーバーコート材から水分を除去する乾燥工程b)
そして、オーバーコート材を塗布された磁気カード1に対して、ランプの管面温度260℃程度の遠赤外線を15秒間照射し、当該塗料から水分を蒸発させて未硬化状態のオーバーコート層7を形成した。
(オーバーコート層を紫外線照射により硬化させる硬化工程c)
さらに、上記乾燥工程bにより得たオーバーコート層7に対して、紫外線照射装置により350mJ/cm2 の紫外線を照射して、当該オーバーコート層7を硬化させた。
(硬化したオーバーコート層を加熱・加圧する成型工程d)
さらに、カード1面への多段プレス(ラミプレス)にて140℃下での加圧により、硬化されたオーバーコート層7を成型し、カード1面に最終的なオーバーコート層7を形成した。なお、上記の塗布工程aおよび乾燥工程bには何らの吸引設備と防曝設備も必要としない。
【0030】
以下、上記実施例1、2で得たオーバーコート層7の各種性能に関し、従来のものと比較するため、酢酸ビニル塩化ビニル共重合体をトルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶かしてなる従来の溶剤系塗料を用いてオーバーコート層7を形成した比較例1、脂肪族ウレタンアクリレートに替えて芳香族ウレタンアクリレートを使用した比較例2および従来公知のウレタンアクリレートを使用した比較例3を挙げる。
【0031】
[比較例1]
酢酸ビニル塩化ビニル共重合体を有機溶剤に溶かしてなる溶剤系塗料にメチルエチルケトンとトルエンからなる希釈剤を少量添加して調製し、実施例1と同様、これをカード1のカード面、すなわち印刷層6面の全面に対し、オーバーコート層7の厚さが3μm程度になるような塗布量にて塗布した後、カード1を室温(20℃)で2時間程度放置し、風乾させた。なお、この塗布工程および乾燥工程には吸引設備と防曝設備を必要とする。
【0032】
[比較例2]
実施例1の脂肪族ウレタンアクリレートをTDI系芳香族ウレタンアクリレートに替えた水性エマルジョンを用いた他は実施例1と同様にしてオーバーコート層7を形成した。
【0033】
[比較例3]
実施例1の脂肪族ウレタンアクリレートを含む水性エマルジョン系塗料に代えて従来公知の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを含む溶剤系塗料を用いた他は実施例1と同様にしてオーバーコート層7を形成した。なお、塗布工程および乾燥工程には吸引設備と防曝設備を必要とする。
【0034】
実施例1、2と比較例1、2、3で得られたオーバーコート層7について、JIS K7204に基づく「摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験」に従い、摩耗輪の種類、荷重、回転数を変数として、3種類の耐摩耗性に関する比較試験を行った。
磨耗試験Aは磨耗輪:SK-10、荷重:250g、回転数:2000回の条件で、
磨耗試験Bは磨耗輪:CF-10F、荷重:250g、回転数:200回の条件で、
磨耗試験Cは磨耗輪:金属輪、荷重:500g、回転数:1500回の条件で行った。得られた結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示す試験結果によれば、負荷の程度が増すほど、耐摩耗性に関し、実施例1、2が各比較例よりも優れていることが分かる。
【0037】
また、各実施例および各比較例で得たオーバーコート層7に対し、サーマルプリンタの熱転写リボン(金色、銀色、青色、黒色の4種)をもって所定の印字試験を試み、各熱転写剤の受容性を確認したが、各オーバーコート層7には大きな相違は見られず、何れのものも実用上何ら問題はなかった。特に、実施例2のものは、粘着テープによるピッキングテストの結果、実施例1および各比較例に比べ、青色と黒色の熱転写剤の受容性に優れることが判明した。
【0038】
さらに、実施例1,2および各比較例で得たオーバーコート層7に対し、エンボッサーにてエンボス加工を施したところ、各オーバーコート層7には大きな相違は見られず、何ら問題なくエンボスが形成された。なお、カード外表面の艶・光沢については、実施例2および各比較例のものは極めて良好であり、実施例1のものが実施例2および各比較例のものに比べ若干劣るものの実用上は何ら問題のないものであった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のオーバーコート材によれば、樹脂成分を有機溶剤に溶かした溶剤系塗料ではなく、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とし、紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートを含まない、水性エマルジョン系塗料としたことにより、塗料の揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に防曝設備などを必要とせず、さらに、脂肪族ウレタンアクリレートがウレタン構造を主体とするため、形成されたオーバーコート層が従来のように熱転写剤の受容性を有すると共にアクリルを側鎖として有するため、紫外線照射によるアクリルの光重合結合によりオーバーコート層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上されるなどの顕著な効果を奏する。
【0040】
本発明の請求項2記載のオーバーコート材によれば、さらに、水性エマルジョン系塗料に酢酸ビニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、オーバーコート層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転写剤の受容性がさらに向上されると共にカード外表面の艶・光沢なども向上さら、また、高級アルコールのリン酸エステルを含有させることで、その滑剤としての作用により、オーバーコート層を鏡面仕上げに加工する際、鏡面板とオーバーコート層との剥離を円滑にし、もって表面状態を良好に形成できるなど、オーバーコート層をさらに好適に形成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0041】
本発明の請求項3記載のオーバーコート材によれば、さらにまた、本発明のオーバーコート材に微細粒子を配合すると、オーバーコート層の筆記性やラベルを付帯させる場合の接着性を改良するのでサインパネルを形成するのに適しているというさらなる顕著な効果を奏する。
【0042】
本発明の請求項4カードは、カード面に請求項1〜3のいずれかに記載のオーバーコート材から形成されたオーバーコート層を有するので、塗工適性やラミプレス性などに優れ、公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができ、耐熱性、耐摩耗性、エンボス特性、耐ブロッキング性などに優れるとともに、熱転写剤の受容性を有し、オーバーコート層に印刷や顔写真やサインパネルやホログラムなどを強固に接着した磁気カード、ICカード、リライトカードなどのカードとして広く使用できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーバーコート層を有した磁気カードの断面説明図。
【符号の説明】
1 磁気カード
2 カード基材
3 磁気記録層
4 アンカー層
5 隠蔽層
6 印刷層
7 オーバーコート層
Claims (4)
- カード面を被覆保護するためのオーバーコート層を形成するオーバーコート材であって、紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とし、紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートを含まない、水性エマルジョン系塗料からなることを特徴とするオーバーコート材。
- 紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマルジョン系塗料が、さらに酢酸ビニル塩化ビニル共重合体および高級アルコールのリン酸エステルを含有してなることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート材。
- オーバーコート材が微細粒子を含有してなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のオーバーコート材。
- カード面に請求項1〜3のいずれかに記載のオーバーコート材から形成されたオーバーコート層を有することを特徴とするカード。
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