JP2003313429A - 活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物

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JP2003313429A
JP2003313429A JP2002124956A JP2002124956A JP2003313429A JP 2003313429 A JP2003313429 A JP 2003313429A JP 2002124956 A JP2002124956 A JP 2002124956A JP 2002124956 A JP2002124956 A JP 2002124956A JP 2003313429 A JP2003313429 A JP 2003313429A
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energy ray
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aqueous emulsion
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JP2002124956A
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Hideki Kurita
秀樹 栗田
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた防湿性と高い硬度および耐溶剤性を備
えた被膜を形成しうる活性エネルギー線硬化型水性エマ
ルション組成物およびその応用技術を提供することを目
的とする。 【解決手段】 活性エネルギー線硬化性疎水化合物およ
び平均粒子径1〜100μmの水膨潤性無機層状珪酸塩
を含有する活性エネルギー線硬化型水性エマルション組
成物。該組成物において、水膨潤性無機層状珪酸塩が、
ケイ素原子数を1とするフッ素原子数の割合が0.25
以上の水膨潤性合成フッ素雲母である活性エネルギー線
硬化型水性エマルション組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線又は紫外線
等の活性エネルギー線の照射により硬化可能な水性エマ
ルションに関するものであり、本発明のエマルション
は、塗料、コーティング剤及び印刷インキ等の被覆材、
不織布用等の接合剤、接着剤、充填剤、成形材料並びに
レジスト等として有用で、さらにこれらの中でも被覆材
として有用で、特に木材、無機材料、紙等の吸湿・吸水
性基材用の被覆用組成物として有用である。
【0002】
【従来の技術】木質材料、紙、水硬性無機物、石膏ボー
ドなどの多孔質材料や吸湿性材料は湿気により変形や劣
化を起こすため、種々の防湿性対策が講じられており、
水系防湿コート剤を塗工する方法も知られている。例え
ば、疎水性樹脂と膨潤性フッ素雲母系鉱物からなる防湿
用コーティング剤組成物が知られている(特開2002
−13094号公報)。しかし、該防湿用コーティング
剤組成物を塗布して得られる被膜は、硬度がやや低く、
耐溶剤性が充分でないために使用が制限される場合もあ
る。特開2000−234044号公報には、活性エネ
ルギー線硬化性化合物を含有する水性エマルションが開
示されているが、防湿性についての記載はなく、充填剤
についての具体的な記載もない。また、特開平8−24
5927号公報には、スメクタイト粘土鉱物により増粘
された紫外線硬化型粘着剤組成物が開示されているが、
該組成物から得られる被膜についての防湿性についての
記載はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた防湿
性と高い硬度および耐溶剤性を備えた被膜を形成しうる
活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物および
その応用技術を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明の活性エネルギー線硬化型
水性エマルション組成物は、活性エネルギー線硬化性疎
水化合物および平均粒子径1〜100μmの水膨潤性無
機層状珪酸塩を含有するものである。請求項2に記載の
発明の活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物
は、請求項1に記載の発明において、水膨潤性無機層状
珪酸塩が、ケイ素原子数を1とした場合のフッ素原子数
の割合が0.25以上の水膨潤性合成フッ素雲母である
ものである。請求項3に記載の発明の活性エネルギー線
硬化型水性エマルション組成物は、請求項1または2に
記載の発明において、活性エネルギー線硬化性疎水化合
物100質量部を基準として、水膨潤性無機層状珪酸塩
2〜50質量部を含有するものである。請求項4に記載
の発明の活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成
物は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
活性エネルギー線硬化性疎水化合物が、平均粒子径1μ
m以下の粒子として分散されているものである。請求項
5に記載の発明の活性エネルギー線硬化型水性エマルシ
ョン組成物は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明に
おいて、重量平均分子量1000〜500000の水溶
性高分子をも含有するものである。請求項6に記載の発
明の活性エネルギー線硬化型木質材料用塗料組成物は、
請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化
型水性エマルション組成物を含有するものである。請求
項7に記載の発明の物品は、請求項1〜5のいずれかに
記載の活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物
を、基材の全体または一部に塗布して形成された被膜を
有するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書において、アクリルおよ
びメタクリルを(メタ)アクリルと、アクリロイルおよ
びメタクリロイルを(メタ)アクリロイルと、アクリレ
ートおよびメタクリレートを(メタ)アクリレートとい
う。本発明の活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、活性エネルギー線硬化性疎水化合物および平
均粒子径1〜100μmの水膨潤性無機層状珪酸塩を含
有するものである。
【0006】活性エネルギー線硬化性疎水化合物は、紫
外線、電子線、X線などの活性エネルギー線の照射によ
り硬化することができる疎水性の化合物であり、組成物
を硬化させて得られる被膜に高い硬度や耐溶剤性を付与
するほか、防湿性を優れたものにする効果も奏する。疎
水性とは23℃での水100gへの溶解度が10g以下
であることを意味する。水への溶解度が10gを超える
ものは、得られる被膜が防湿性の劣るものとなるために
好ましくない。該化合物は高分子化合物であってもよ
い。
【0007】活性エネルギー線硬化性疎水化合物の例と
しては、アクリル系のモノマー及びオリゴマー等が挙げ
られる。特に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
る疎水性化合物が組成物の硬化性及び得られる硬化被膜
の防湿性、硬度、耐溶剤性を優れたものとすることがで
きるので望ましい。
【0008】2個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
るアクリル系モノマーの例としては、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート及びプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート等の低分子量ポリアルキレングリコールジ(メタ)
アクリレート又はそのアルキレンオキシド変成体;トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールのジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレ
ート及びジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサアク
リレート等のポリアルレキングリコールポリ(メタ)ア
クリレート;ポリアルレキングリコールポリ(メタ)ア
クリレートのアルキレンオキサイド変成体;並びにイソ
シアヌール酸アルキレンオキシド変成体のジ及びトリ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0009】2個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
るアクリル系オリゴマーの例としては、ウレタン(メ
タ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテルポ
リオール等が挙げられる。
【0010】ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
としては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物
に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレ
ートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリ
オールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレング
リコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子
量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエ
ーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及
びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステ
ルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は
/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク
酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸
等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙
げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソ
ホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル
基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0011】ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴ
マーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アク
リル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリ
オールとしては、エチレングリコール、ポリエチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及
びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並
びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオール
と、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等
の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0012】エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に
(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応さ
せたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキ
シ(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレー
ト及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
【0013】ポリエーテルポリオールとしては、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はそのア
ルキレンオキシド変成体等が挙げられる。
【0014】(メタ)アクリロイル基を1個のみ有する
化合物は、主に組成物の硬化性と硬化物の密着性及び硬
度を調整する目的で使用されてもよい。このような化合
物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキ
シエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキ
レンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、又はその
ハロゲン核置換体;エチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート及びトリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート等のグリコールモノ(メタ)アクリレ
ート;並びにN−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプ
ロラクタム等のN−ビニル化合物等が挙げられる。(メ
タ)アクリロイル基を1個のみ有する化合物は、使用割
合が多すぎると得られる被膜の硬度や防湿性を低下させ
るため、活性エネルギー線硬化性疎水化合物のうちの5
0質量%以下にとどめることが好ましく、30質量%以
下とすることがより好ましい。
【0015】水膨潤性無機層状珪酸塩は組成物を硬化さ
せて得られる被膜を防湿性の優れたものにするために重
要な成分であるとともに、硬度を高いものにすることに
も寄与する。水膨潤性とは層間に水を配位して膨潤する
ことを意味し、部分的に層間分離するものを含む。水膨
潤性は、日本ベントナイト工業会標準試験方法 JBA
S−104−77に準じた方法、すなわち100mlの
イオン交換水中に試料2gを加え、よく振とうして静置
し24時間後の沈降容積を測定する方法により得られる
測定値(以下、膨潤度ともいう。)が5(5ml/2g
とも表記する。)以上であることを意味する。膨潤度が
10以上であるものが好ましく、15以上であるものは
より好ましく、20以上であるものはさらに好ましい。
膨潤度が5未満であると組成物を硬化させて得られる被
膜が、防湿性の不充分なものとなる。
【0016】水膨潤性無機層状珪酸塩は平均粒子径1〜
100μmのものである必要があり、3〜30μmのもの
が好ましく、5〜20μmのものがより好ましい。平均
粒子径が1μm未満であると防湿性や硬度が不充分なも
のとなる。100μmを超えると組成物を塗布するため
に塗工液を調製する工程などにおいて、水膨潤性無機層
状珪酸塩が破損しやすいほか、組成物を塗布する作業性
が悪い、良好な被膜が得られにくいなどの問題がある。
【0017】水膨潤性無機層状珪酸塩の平均粒子径の測
定方法には、回析/散乱法による方法、動的光散乱法に
よる方法、電気抵抗変化による方法、液中顕微鏡撮影後
画像処理による方法などが可能であるが、本発明でいう
平均粒子径は回析/散乱法により測定されたものであ
る。回析/散乱法による粒度分布・平均粒子径測定は膨
潤してへき開した無機層状珪酸塩を純水中に分散した分
散液に対し、光を透過させた時に得られる回析/散乱パ
ターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾
の無い粒度分布を計算することによりなされる。上記測
定を行うことができる市販の装置としては、レーザー回
析・光散乱法による粒度測定装置(LS230コールタ
ー社製)、レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD
3000、島津製作所製)、レーザー回析・散乱式粒度
分布測定装置(LA910、LA700、LA500、
堀場製作所製、及びマイクロトラックSPA、日機装
製)などが挙げられる。
【0018】水膨潤性無機層状珪酸塩としてはスメクタ
イト属に属する粘土鉱物、モンモリロナイト、合成雲
母、ヘクトライト、合成ヘクトライト、サポナイト、合
成サポナイト、バイデライト、合成テニオライトなどが
挙げられる。水膨潤性無機層状珪酸塩は天然に産出され
るものであっても、人工的に合成あるいは変性されたも
のでもよい。本発明において、好ましい水膨潤性無機層
状珪酸塩としては水膨潤性合成フッ素雲母が挙げられ
る。水膨潤性合成フッ素雲母の例としては、下記式
(1)に示す化学式で表されるものが挙げられる。
【0019】WjkSim10n (1)
【0020】式(1)において、WはNa(ナトリウ
ム)又はLi(リチウム)であり、YはMg(マグネシ
ウム)又はMgの一部をLiで置換したものであって、
jは0.33〜1.5、kは2.0〜3.5、mは3.0〜5.0、nは
1. 25〜3. 0である。なおいうまでもないが、S
i、OおよびFはそれぞれケイ素、酸素およびフッ素で
ある。上記式(1)に示す化学式で表される水膨潤性合
成フッ素雲母の具体例としては、Naテトラシリリック
マイカ[NaMg2.5 (Si4 O10)F2 ]、Na又は
Liテニオライト[(Na又はLi)Mg2 Li(Si
4 O10)F2]、モンモリロナイト系のNa又はLiヘ
クトライト[(Na又はLi)1/3 Mg2/5 Li1/8
(Si4 O10)F2 ]等を挙げることができ、これらは
単独でも、2種以上を混合しても用いることができる。
水膨潤性無機層状珪酸塩が、ケイ素原子数を1とした場
合のフッ素原子数の割合(以下、F/Siともいう。)
が0.25以上の水膨潤性合成フッ素雲母である場合は
より好ましいものである。F/Siが0.30以上のも
のはさらに好ましく、0.30〜0.50であるものは
特に好ましい。水膨潤性合成フッ素雲母におけるF/S
iが小さすぎると、得られる硬化皮膜の防湿性が不十分
となる場合がある。なお、F/Siは、蛍光X線分析法
によって求めることができる。
【0021】水膨潤性合成フッ素雲母は、以下に説明す
るような方法によって合成することができる。例えば、
タルクを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオ
ンをインターカレーションして膨潤性フッ素雲母鉱物を
得る方法があり、この方法では、タルクにケイフッ化物
及び/又はフッ化物を混合し、磁性ルツボ内で温度70
0〜1200℃で短時間熱処理することによって膨潤性
フッ素雲母系鉱物が得られる。また、酸化ケイ素と酸化
マグネシウムと各種フッ化物とを混合し、その混合物を
電気炉、あるいはガス炉中で温度1400〜1500℃
の範囲で完全に溶融し、その冷却過程で、反応容器内に
フッ素雲母系鉱物を結晶成長させる、いわゆる溶融法が
ある。溶融法は、F/Siが0.25以上の水膨潤性合
成フッ素雲母を製造しやすいために好ましい方法であ
り、例えば、特開平5−270815号公報に詳述され
ている。
【0022】本発明で使用する水膨潤性無機層状珪酸
塩、例えば水膨潤性合成フッ素雲母は、水に浸漬して膨
潤させる前の平板状粒子(モデルとして粒子の厚さが数
μm、粒子径が数十μm、アスペクト比(粒子径/厚
さ)が10前後。下記の極薄いフィルム状粒子が凝集し
た集合物)が、水中で膨潤することにより、全体または
一部が極薄いフィルム状粒子(モデルとして粒子の厚さ
が0.001〜0.005μm、粒子径が1〜数十μ
m、アスペクト比(粒子径/厚さ)が200〜3000
0程度。)に解離するものである。このことが防湿性を
優れたものにするうえで重要な意味をもつものと考えら
れる。一般に単に雲母といわれているものは、このよう
な性質を有していない。
【0023】本発明の活性エネルギー線硬化型水性エマ
ルション組成物は、活性エネルギー線硬化性疎水化合物
および平均粒子径1〜100μmの水膨潤性無機層状珪
酸塩を含有するものである。活性エネルギー線硬化性疎
水化合物100質量部を基準とする水膨潤性無機層状珪
酸塩の割合は2〜50質量部が好ましく、5〜50質量
部がより好ましい。水膨潤性無機層状珪酸塩の割合が少
なすぎると硬化皮膜の防湿性が低く、また硬度も十分で
ない場合があり、多すぎると活性エネルギー硬化性及び
硬化膜の硬度が低下してしまうとともに防湿性も向上し
ない場合がある。活性エネルギー線硬化型水性エマルシ
ョン組成物100質量部を基準とする活性エネルギー線
硬化性疎水化合物および水膨潤性無機層状珪酸塩の合計
量は、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%
がより好ましい。この割合が少なすぎると膜厚の調整が
困難になったり、基材に塗工後の乾燥に時間を要した
り、乾燥が不十分になったりすることがあり、多すぎる
とエマルジョンが不安定になることがある。
【0024】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、上記成分をホモミキサー、ホモジナイザーま
たは超音波等によって混合することにより得られる。調
製方法の具体例としては、予め水中に膨潤・分散させ
た水膨潤性無機層状珪酸塩の水分散液と、活性エネルギ
ー線硬化性疎水化合物の水分散体を混合する。活性エ
ネルギー線硬化性疎水化合物を水に分散させた後、これ
に水膨潤性無機層状珪酸塩を添加し、珪酸塩の水膨潤と
分散を同時に行う。予め水中に膨潤・分散させた水膨
潤性無機層状珪酸塩の水分散液に、活性エネルギー線硬
化性疎水化合物と界面活性剤を添加し分散させる。水
膨潤性無機層状珪酸塩と活性エネルギー硬化性疎水化合
物を予め混合した後、さらに水を混合させて、珪酸塩の
水膨潤と分散を同時に行う、等の方法が可能である。操
作が簡便である点、水膨潤性無機層状珪酸塩の膨潤性を
充分に行わせて、より高い防湿性が得られる点でまた
はの方法がより好ましい。
【0025】膨潤性フッ素雲母と活性エネルギー硬化性
化合物の水分散体の混合に当たっては、防湿性に優れる
皮膜が得られ易い点でエマルションのpHを7以上に調
整することが好ましく、より好ましくはpHが8〜12
の水性樹脂分散体である。かかるpHの調整のために
は、例えば、アンモニア等が好ましく使用できる。pH
の調整方法としては活性エネルギー硬化性化合物の水分
散体の段階で調整しても、すべてのものを配合したあと
で調整しても構わない。活性エネルギー線硬化型水性エ
マルション組成物において、活性エネルギー線硬化性疎
水化合物が平均粒子径1μm以下の粒子として分散され
ている場合は、得られる被膜が特に防湿性の優れたもの
となるために好ましい。0.5μm以下がより好まし
く、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm以下
が最も好ましい。
【0026】活性エネルギー線硬化性疎水性化合物を水
中に安定に分散させるために、界面活性剤を使用するこ
とが好ましい。界面活性剤としてはアニオン性界面活性
剤、ノニオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、ビニル
基等の反応性基を有するいわゆる反応性乳化剤を使用す
ることもできる。アニオン性界面活性剤としては、アル
キルまたはアルキルアリル硫酸塩、アルキルまたはアル
キルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
またはアルキルアリルエーテル硫酸塩、スルホン化パラ
フィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアン
モニウム塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ナトリウム
ラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエ
タノールアミンアビエテート等が挙げられる。ノニオン
性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレン共重合体、エチレンオ
キサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成
物等が挙げられる。
【0027】高分子界面活性剤としては、ポリビニルア
ルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ
(メタ)アクリル酸カリウム、ポリメタアクリル酸アン
モニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ま
たはこれらの重合体の構成単位である重合性単量体の2
種以上の共重合体や、特開平2000−234044等
に挙げられている疎水性単量体と親水性単量体との共重
合体などが例示される。特に木材用塗料等では、光開始
剤を添加しなくとも、重合性単量体を乳化する機能と光
により架橋する機能を同時に有する特開平2000−2
34044等に例示される環状イミド構造をその骨格に
有するものが、低分子光開始剤の弊害である着色や臭気
が少ない点から好ましい。
【0028】反応性界面活性剤としては、疎水性と共重
合可能なビニル基を有しておれば良く、例えば、スチレ
ンスルホン酸塩、イソプレンスルホン酸塩、アリルアル
キルスルホン酸塩、アリルアルキルスルホコハク酸塩、
ポリオキシエチレンアルキル(またはポリオキシエチレ
ンアルキルアリール)アリルグリセリンエーテル硫酸エ
ステル塩等の他、商品名でラテムルS−180A(花王
株式会社製)、エレミノールJS−2(三洋化成株式会
社製)、アクアロンHS−10、RS−20(第一工業
製薬株式会社製)、アデカリアソープSE−10N、N
E−20(旭電化工業株式会社製)、ANTOX MS
−60(日本乳化剤株式会社製)を挙げることができ
る。これらの内、防湿性を高くできる点から高分子界面
活性剤や反応性界面活性剤が好ましく、アンモニアまた
は有機アミンで中和されている高分子界面活性剤がより
好ましい。
【0029】活性エネルギー線硬化性疎水化合物を水中
に分散する場合の界面活性剤の使用量は、組成物や被膜
に要求される性質に応じて決められる。一般に重合安定
性を向上させる目的やエマルションの機械的、化学的安
定性を良好にする目的には界面活性剤の使用量が多いこ
とが望ましく、乾燥被膜の耐水性を向上させるためには
逆に使用量が少ない方が望ましい。通常は活性エネルギ
ー線硬化性疎水化合物の合計量100質量部を基準とし
てアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または
反応性乳化剤の場合には0.1〜15質量部程度、高分
子界面活性剤の場合には0.1〜100質量部程度の範
囲で目的に応じて使用量が決められる。
【0030】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、得られる被膜を紫外線により硬化させる場合
には光重合開始剤が添加されたものであることが好まし
い。電子線により硬化させる場合には光重合開始剤は不
要である。光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベ
ンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのア
ルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−
2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセト
フェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1
−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ
−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチル
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ター
シャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキ
ノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノ
ン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,
4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;ア
セトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケ
タール等のケタール;ベンゾフェノン等のベンゾフェノ
ン類;並びにキサントン類等が挙げられる。これらの光
重合開始剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミ
ン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用すること
もできる。光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型水
性エマルション組成物100質量部を基準として0.1
〜10質量部添加されることが好ましい。本発明のエマ
ルション組成物に光重合開始剤を添加する場合の添加方
法としては、光重合開始剤を活性エネルギー線硬化性疎
水化合物に添加する方法、活性エネルギー線硬化性疎水
化合物の水性分散体に添加する方法、エマルション組成
物に直接添加する方法などがある。固体で特に水に対す
る溶解度の小さい光重合開始剤の場合、あらかじめ活性
エネルギー線硬化性疎水化合物に添加溶解する方法が、
光重合開始剤が均一に分散されやすいために好ましい。
【0031】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、特定の重量平均分子量を有する水溶性高分子
が特定量添加されたものである場合には、得られる被膜
がより防湿性の優れたものとなるために好ましい。該水
溶性高分子の重量平均分子量は1000〜500 00
0が好ましく、1000〜50 000がより好まし
く、1000〜20000がさらに好ましい。重量平均
分子量が大きすぎるとエマルション組成物の粘度が高く
なったり得られる被膜の防湿性が低下する場合があるた
め好ましくない。重量平均分子量が小さすぎると防湿性
が向上しにくい。水溶性高分子の好ましい配合割合は、
水膨潤性無機層状珪酸塩100質量部を基準として、
0. 01〜50質量部が好ましく、0.1〜10質量部
がより好ましく、0.2〜5質量部がさらに好ましい。
水溶性高分子の配合割合が少なすぎると防湿性向上効果
が発現されにくく、多すぎると防湿性を低下させるため
好ましくない。
【0032】水溶性高分子とは、純水への溶解度が常温
で1質量%以上である重合体を意味し、水酸基、アミノ
基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸
基、オキサゾリン基、アミド基、カルボキシレート基、
スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、
ホスホニウム基などが重合体主鎖に付加されたものや、
エーテル結合(−O−)、エステル結合(−CO・O
−)、ウレタン結合(−NH・CO・O−)、アミド結
合(−NH・CO−)、尿素結合(−NH・CO・NH
−)、ビュレット結合、アルファネート結合などで主鎖
自体が水溶性の重合体からなるものなどが挙げられる。
【0033】前記水溶性高分子の例としては、化工澱粉
及びその誘導体、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニルの
鹸化物及びその誘導体、スルホン酸基を含有する重合体
もしくはその塩、(メタ)アクリル酸の重合体及び共重
合体並びにこれらの塩、アクリルアミドの重合体及び共
重合体、ポリエチレングリコール、オキサゾリン基をペ
ンダント又は開環重合した重合体、親水性ポリウレタ
ン、ポリビニルピロリドンの化合物群を代表として挙げ
ることができ、それらの化合物群より選ばれる1種又は
2種以上の水溶性の高分子が用いられる。これら化合物
群の具体的な例としては、例えば、ポリビニルアルコー
ル(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポ
リエチレングリコール、セルロース誘導体、オキサゾリ
ン系ポリマー、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエス
テル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリアク
リルアミドなどが挙げられる。これらの中では、ポリビ
ニルアルコール、セルロース誘導体、ポリビニルピロリ
ドン、ポリオキサゾリン、オキサゾリン含有重合体、ポ
リエチレングリコールが特に好ましい。上記水溶性高分
子をエマルション組成物に添加する方法としては、水溶
性高分子を最終調整液に添加してもよく、水溶液または
そのままの形で添加してもよい。具体的方法としては
予め水膨潤性無機層状珪酸塩の水分散液と混合する。
活性エネルギー線硬化性疎水化合物の水分散体と水溶性
高分子を混合した後に、無機層状珪酸塩と混合する。
水溶性高分子単独あるいは界面活性剤と併用して活性エ
ネルギー線硬化性疎水化合物を水分散した後に層状珪酸
塩化合物と混合して調整する。等の方法が可能である。
操作が簡便であり、防湿性向上効果が大きい点でまた
はの方法が好ましい。
【0034】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、必要に応じて硫酸バリウム、酸化珪素、タル
ク、クレー及び炭酸カルシウム等の水膨潤性無機層状珪
酸塩以外の充填剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシ
アニン・グリーン、酸化チタン及びカーボンブラック等
の着色用顔料、密着性付与剤及びレベリング剤等の各種
添加剤が添加されたものであってもよい。これらが添加
される場合の配合割合は、活性エネルギー線硬化性疎水
化合物100質量部を基準として(活性エネルギー線硬
化型水性エマルション組成物が高分子乳化剤または水溶
性高分子の添加されたものである場合は活性エネルギー
線硬化性疎水化合物と高分子乳化剤および水溶性高分子
の合計量100質量部を基準として)100質量部以下
であることが好ましい。100質量部を超えると膜の緻
密性が低下し防湿性が低下するので好ましくない。
【0035】また、活性エネルギー線硬化型水性エマル
ション組成物は、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノ
メチルエーテル、フェノチアジン、N−ニトロソフェニ
ルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の重合禁止剤が
添加されたものであってもよい。重合禁止剤が添加され
る場合の配合割合は、活性エネルギー線硬化型水性エマ
ルション組成物100質量%を基準として0.001〜
2質量%であることが好ましい。
【0036】本発明の活性エネルギー線硬化型水性エマ
ルション組成物は、塗料、コーティング剤及び印刷イン
キ等の被覆材、不織布用等のバインダー、接着剤、充填
剤、成形材料並びにレジスト等の種々の用途に使用で
き、被覆材として好ましく使用でき、OPV及び木材用
塗料により好ましく使用できる。
【0037】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物の使用方法としては、常法に従えば良く、例えば
基材に対して組成物を塗装し、加熱乾燥した後、活性エ
ネルギー線を照射する方法等が挙げられる。塗装する方
法としては、ロールコーター、フローコーター、スプレ
ー、ディッピング及び刷毛塗り等の従来公知の方法を使
用すればよい。本発明の組成物は、低粘度とすることが
でき、特にフローコーター、スプレー及びディッピング
用の塗料組成物として好適である。基材に塗布した塗膜
は、加熱により十分乾燥させることが、硬化塗膜の強
度、防湿性及び透明性に優れるため好ましい。活性エネ
ルギー線の照射方法も常法に従えば良い。活性エネルギ
ー線硬化型水性エマルション組成物の塗工量は、固形分
換算で5〜100g/m2が好ましい。塗工量が少なす
ぎると塗布される基材表面を充分にカバーしきれなくな
り、ピンホールが発生するため防湿性が極端に低下する
場合がある。塗工量が多すぎると、得られる防湿性は塗
工量の増大とともに僅かしか向上しないため無駄となる
場合がある。
【0038】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物を塗布して得られる被膜を硬化させるために使用
する活性エネルギー線としては、紫外線、X線及び電子
線等が挙げられ、比較的安価な装置を使用できることか
ら紫外線を使用する方法が好ましい。紫外線により硬化
させる場合の光源としては、様々なものを使用すること
ができ、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キ
セノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯
等が挙げられる。
【0039】活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物は、塗料組成物として好適に使用できる。この場
合必要に応じて、組成物にアクリル樹脂、ケトン樹脂及
び石油樹脂等の合成樹脂、無機又は有機の体質顔料、艶
消し剤、サンディング助剤等の充填剤類、レベリング
剤、顔料分散剤、光沢付与剤、スリップ剤、並びにチク
ソトロピック剤等の各種添加剤が添加されてもよい。
【0040】上記塗料組成物は、自然の木材及び合成木
材等の木材、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレ
ート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチ
ック)、紙、布、不織布等の繊維類、鉄、アルミ等の金
属類、ガラス、コンクリート、軽量コンクリート、軽量
気泡コンクリート、モルタル、硅酸カルシュウム板、ス
レート、石膏ボード、化粧板、壁紙等の建材類用の塗料
として好適に使用できる。上記塗料組成物は、防湿性に
優れるほか密着性に優れ、木材などの吸湿性の基材に被
覆されて寸法安定性を付与することができるなどの効果
があるため特に木質材料用塗料として好適に用いられ
る。
【0041】本発明の活性エネルギー線硬化型水性エマ
ルション組成物から得られる被膜が優れた防湿性を発現
する理由は、特定の粒子径を有する水膨潤性無機層状珪
酸塩が水中で膨潤することにより、水透過性を有しない
多数の極薄いフィルム状粒子に解離(へき開)し、該フ
ィルム状粒子が基材表面と平行に緻密に配列することに
より、水分が被膜を通過するのを妨げられるためと推測
される。さらに本発明は、水膨潤性無機層状珪酸塩を支
持するバインダー成分すなわち被膜状態でマトリックス
となる成分として、単なる高分子材料でなく、活性エネ
ルギー線硬化性疎水化合物を使用することにより、特に
優れた防湿性が発現されることを見出したのである。ま
た、比較的柔軟性を有する硬化樹脂層中に、結晶性を有
する硬い無機珪酸塩の該薄片がナノオーダーで分散され
ることにより、従来技術では実現できなかった高い硬度
が発現できたものと推測される。
【0042】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明をよ
り具体的に説明する。「部」及び「%」はそれぞれ質量
部および質量%を意味する。又、使用した単量体及び光
重合開始剤の略号の意味は、以下に示す通りである。
【0043】○高分子乳化剤製造用単量体及び連鎖移動
剤 ・MMA:メチルメタクリレート ・BA:ブチルアクリレート ・MAA:メタクリル酸 ・MPA:メルカプトプロピオン酸 ・イミドアクリレート:下記式(2)に示す構造式で表
される化合物
【0044】
【化1】
【0045】○活性エネルギー線硬化性疎水化合物及び
光開始剤 ・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト〔東亞合成株式会社製アロニックスM400〕 ・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
〔東亞合成株式会社製アロニックスM305〕 ・TMP(EO)TA:トリメチロールプロパンエチレ
ンオキサイド3モル変成トリアクリレート〔東亞合成株
式会社製アロニックスM350〕 ・BDK:ベンジルジメチルケタール〔東亞合成株式会
社製アロニックスMC−101〕
【0046】○水膨潤性層状珪酸塩及び比較用充填剤 a.DMA350:ナトリウムテトラシリシックマイカ
(トピー工業製) 膨潤度30ml/2g、平均粒子径15μm、F/Si
モル比=0.40 b.DMクリーンA:ナトリウムテトラシリシックマイ
カ(トピー工業製) 膨潤度30ml/2g、平均粒子径10μm、F/Si
モル比=0.40 c.NTS5:ナトリウムテトラシリシックマイカ 膨潤度30ml/2g、平均粒子径4μm、F/Siモ
ル比=0.33 d.ME−100:ナトリウムテトラシリシックマイカ
(コープケミカル製) 膨潤度30ml/2g、平均粒子径6μm、F/Siモ
ル比=0.22 e.マイカA21:白雲母 (株式会社山口雲母工業所
製) 膨潤度5ml/2g以下(非膨潤性)、平均粒子径21
μm F/Siモル比=0.0 f.クニピアF:モンモリロナイト(クニミネ工業製) 膨潤度60ml/2g、平均粒子径0.2μm、F/S
iモル比=0.0 g.スメクタイトSWF:合成スメクタイト(コープケ
ミカル製) 膨潤度100ml/2g、平均粒子径0.1μm、F/
Siモル比=0.17
【0047】○F/Siモル比測定 蛍光X線分析にて求めた。リガク3270型蛍光X線分
析装置を使用し、分析条件は、ロジウムターゲットX線
加速電圧50KV、管電流30mAとした。
【0048】○製造例1〜2(高分子界面活性剤の製
造) 乳化剤攪拌機、温度計、冷却器、窒素導入管及び2個の
滴下ロートを備えた反応器内に、水57部及びラウリル
硫酸ナトリウム0.7部を仕込んで85℃に昇温し、こ
れに13%過硫酸アンモニウム水溶液2.4部及び11
%炭酸ナトリウム水溶液3.3部を加えた。表1に示す
組成の単量体混合物100部に、ラウリル硫酸ナトリウ
ム0.7部及び水40部を加えて乳化させた。得られた
水性乳濁液を、滴下ロートより3時間かけて連続的に反
応器内に滴下し、85℃て乳化重合を行った。滴下終了
からさらに1時間85℃で攪拌し、この後系を冷却して
重合を終了させた。得られた共重合体の水性分散体に2
5%アンモニア水を添加してPHを9.6に調整した。
得られた水性分散体A−1およびA−2の各種物性を表
1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】○製造例3〜10(活性エネルギー線硬化
性疎水化合物の水分散体の製造) 表2に示す割合で、界面活性剤と水の混合物に活性エネ
ルギー線硬化性疎水化合物を逐次混合し、ホモジナイザ
ーにより水分散体A−3〜A−10を得た。得られた水
分散体の平均粒子径を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】○実施例1 水膨潤性層状珪酸塩として合成フッ素雲母DMA350
をイオン交換水に固形分5%となるように分散させ、さ
らに80℃に加温後、ホモジナイザーで1時間攪拌し、
該合成フッ素雲母の分散液を得た。これに10%PVA
102(クラレ製ポリビニルアルコール、重合度20
0)水溶液、活性エネルギー線硬化性疎水化合物の水分
散体A−3を順次添加し、固形分比で水膨潤性層状珪酸
塩/A−3/PVA102=10/100/0.5とな
るように混合し、これを活性エネルギー線硬化型水性エ
マルション組成物とした。
【0053】○実施例2〜11 水膨潤性層状珪酸塩の種類と部数、活性エネルギー線硬
化性疎水化合物の水分散体の種類と部数、水溶性高分子
の種類と部数を表3に示した様に変えた以外は実施例1
と同様にして活性エネルギー線硬化型水性エマルション
組成物を調製した。
【0054】
【表3】
【0055】○評価(耐溶剤性) 活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物を、バ
ーコーター#10を用いてボンデライト鋼板PB−14
4〔日本テストパネル株式会社製〕上に塗布し、80℃
の乾燥機中で5分間加熱して塗膜から水分を除去した。
その後、以下の条件で、紫外線ランプの下に上記塗布物
を4回繰り返し通過させた。 紫外線照射条件 ランプ:120W/cm集光型高圧水銀ランプ ランプ高さ:10cm コンベアスピード:5m/min 得られた硬化膜について、アセトンを染み込ませた綿棒
を使用して、荷重500g、毎秒1往復の条件で得られ
た硬化膜の表面をこすり、硬化膜表面に白化又は剥がれ
等の異常が生じるまでの回数により、下記の3段階で評
価した。 ○:20往復後、硬化膜に異常なし △:10往復以上20往復未満で硬化膜に異常発生 ×:10往復未満で硬化膜に異常発生
【0056】○評価(鉛筆硬度) 耐溶剤性評価に使用したものと同じ硬化膜について、J
ISの「手かき法K5400」に従い評価した。 ○評価(防湿性、単位:g/m2・24h) ボンデライト鋼板に代え、基材としてコート紙を使用
し、メイヤーバーで固形分として塗工量15g/m2
なるようにすること以外は、上記実施例1〜9と同様の
条件で硬化させた。得られた被膜を有するコート紙をJ
IS Z0208(カップ法)B法で防湿塗工面を外側
にして測定した。平版透湿度の値の基準としては100
g/m2・24h以下であれば実用性がある。上記の評
価結果はいずれも表3に示した。
【0057】○比較例1〜7 表3に示す種類及び量の原料を使用する以外は実施例1
と同様にしてエマルション組成物を製造した。得られた
エマルション組成物を実施例と同様にして評価を行っ
た。それらの結果を表3に示す。ただし比較例1と3で
は、組成物が活性エネルギー線硬化性を有していないの
で紫外線照射は行わず、エマルジョンの乾燥後の塗膜に
ついて評価を行った。
【0058】○実施例12〜13及び比較例8(木質材
料への塗装試験) 実施例1、3及び比較例2のエマルション組成物に10
0部に対し、フッ素系レベリング剤1部を添加して木質
材料用塗料組成物を製造した。得られた木質材料用塗料
組成物を下記に従い評価を行った。それらの結果を表4
に示す。
【0059】○評価(寸法安定性試験) 厚さ2.5mm、幅120mm、長さ1800mmのラ
ワン合板の両面に、木質材料用塗料組成物を固形分当た
り30g/m2になるようにスプレー塗装にて塗布し、
室温で2時間放置した後、70℃の熱風乾燥器内で20
分間乾燥した。得られた処理合板を恒温高湿室に入れ、 (I)15℃、70%RH(相対湿度)で4日間置いた
後、長さ方向の寸法を測定した。次にこれを40℃、9
8%RHの条件下におき4日後の長さ方向の寸法を測定
し、環境変化による寸法変化量を算出した。 (II)同様に40℃、98%RHから40℃、30%
RHの条件下に置いた時の寸法変化を測定した。 (III)同様に40℃、30%RHから再度40℃、
98%RHの条件下に置いた時の寸法変化を測定した。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】優れた防湿性と高い硬度および耐溶剤性
を備えた被膜を形成しうる活性エネルギー線硬化型水性
エマルション組成物が得られた。該組成物は特に吸湿性
の基材の表面に塗布されて優れた防湿効果を発揮でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/02 C09D 5/02 7/12 7/12 201/00 201/00 C09J 4/02 C09J 4/02 201/00 201/00 Fターム(参考) 4J002 AA00W AB01X BE02X BE03X BG01X BG04W BG13X BJ00X CD19W CF27W CH02X CH11W DJ056 FD206 HA07 4J038 CG141 CH121 CH141 CJ251 CJ271 CJ281 DB371 DD211 DG211 HA456 HA546 KA08 MA08 MA10 NA04 NA11 PA17 4J040 FA13 HA316 HA356 JA03 LA06 LA07 PA32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性エネルギー線硬化性疎水化合物およ
    び平均粒子径1〜100μmの水膨潤性無機層状珪酸塩
    を含有する活性エネルギー線硬化型水性エマルション組
    成物。
  2. 【請求項2】 水膨潤性無機層状珪酸塩が、ケイ素原子
    数を1とした場合のフッ素原子数の割合が0.25以上
    の水膨潤性合成フッ素雲母である請求項1に記載の活性
    エネルギー線硬化型水性エマルション組成物。
  3. 【請求項3】 活性エネルギー線硬化性疎水化合物10
    0質量部を基準として、水膨潤性無機層状珪酸塩2〜5
    0質量部を含有する請求項1または2に記載の活性エネ
    ルギー線硬化型水性エマルション組成物。
  4. 【請求項4】 活性エネルギー線硬化性疎水化合物が、
    平均粒子径1μm以下の粒子として分散されている請求
    項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型水
    性エマルション組成物。
  5. 【請求項5】 重量平均分子量1000〜500000
    の水溶性高分子を含有する請求項1〜4のいずれかに記
    載の活性エネルギー線硬化型水性エマルション組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エ
    ネルギー線硬化型水性エマルション組成物を含有する活
    性エネルギー線硬化型木質材料用塗料組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エ
    ネルギー線硬化型水性エマルション組成物を、基材の全
    体または一部に塗布して形成された被膜を有する物品。
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