JP2003311468A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Info

Publication number
JP2003311468A
JP2003311468A JP2002114371A JP2002114371A JP2003311468A JP 2003311468 A JP2003311468 A JP 2003311468A JP 2002114371 A JP2002114371 A JP 2002114371A JP 2002114371 A JP2002114371 A JP 2002114371A JP 2003311468 A JP2003311468 A JP 2003311468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
flux
steel
feeding
lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002114371A
Other languages
English (en)
Inventor
Daisuke Watanabe
大祐 渡邊
Masahito Sasaki
聖人 笹木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd filed Critical Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd
Priority to JP2002114371A priority Critical patent/JP2003311468A/ja
Publication of JP2003311468A publication Critical patent/JP2003311468A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ライナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過
酷な使用環境下であっても、潤滑切れを起こさず良好な
ワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
て、鋼製外皮にSiとMnをSi+0.2Mnで0.4
〜1.4質量%含み、鋼素地表面に粒界酸化による亀裂
を有するとともに送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当
たり0.1〜2.0gであることを特徴とする。またフ
ラックス充填率が3〜20質量%であることも特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ送給性に優
れた全自動および半自動溶接用のガスシールドアーク溶
接用フラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤは、ソリッドワイヤに比べるとスラグ生成剤お
よびアーク安定剤の添加によりアークが安定し、スパッ
タ発生量の少ない溶接が可能であり、かつビードは生成
スラグにより完全に覆われるので外観が美しい。したが
って、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
(以下、フラックス入りワイヤという。)は、造船、鉄
骨橋梁分野を初めとした各産業分野の鋼構造物の溶接に
広く使用されている。
【0003】フラックス入りワイヤはスプールに巻かれ
た、あるいはペールパックに装填された形態で溶接に供
せられる。このフラックス入りワイヤの使用に際して
は、送給機の送給ローラによりスプールあるいはペール
パックからワイヤを引き出すとともに後続するコンジッ
トケーブルに内包されたライナ内に押し込み、このライ
ナを経由して、コンジットケーブル先端に取り付けられ
た溶接トーチ内の給電チップまで送給する方式が採用さ
れている。フラックス入りワイヤはこの給電チップと被
溶接材間で電圧を印加されてアーク溶接が行われる。
【0004】ここで使用されるライナは鋼線をスパイラ
ル状にして形成したフレキシブルなガイド管であってそ
の長さは通常3〜6m程度であるが、広域の溶接を行な
う場合には10〜20mの長尺なものとなり、溶接個所
までの距離に合わせて選択使用される。この方式によれ
ば、例えば造船現場等の溶接個所が狭隘なあるいは高低
差がある場所であっても、コンジットケーブル(ライナ)
を沿わすことにより比較的容易に溶接が行なえる利点が
ある。
【0005】安定した溶接を行なうためには、フラック
ス入りワイヤを決められた一定の速度で溶接部に供給す
ること、つまりワイヤ送給性が良好であることが必要と
なる。ワイヤは送給ローラの送給力によってライナ内に
押し込まれ、一方ライナ内面からは接触摩擦による送給
抵抗を受ける。このとき、ライナが直線状態に近い比較
的優しい使用環境下の場合には、送給抵抗はそれ程大き
くならずワイヤ送給性に問題は生じない。しかし一方、
湾曲個所が多い、湾曲半径(曲率半径)が小さい、ある
いはライナが長尺化した場合等の過酷な使用環境下の場
合には、送給抵抗が増加し送給力とのバランスが崩れ、
ワイヤ送給性が悪化する。
【0006】フラックス入りワイヤの表面状態は、この
ワイヤ送給性の良否に大きく影響している。すなわち送
給抵抗が増加したとき、ワイヤ表面の潤滑剤が少ないと
送給速度が不安定になり、ワイヤ送給性が悪化する。ま
た、ワイヤがライナ内で座屈する、送給ローラでワイヤ
表面が削られてこの削り屑がライナ内に進入して蓄積す
る等の状態を呈することにより、益々送給抵抗が増加す
るようになる。逆に、ワイヤ表面の潤滑剤が多いと、送
給ローラ部でのワイヤのスリップ量が多くなり、ワイヤ
は所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化す
る。その結果、溶接アークの不安定化、ビード形状の不
揃い、融合不良、アンダーカットの発生等のトラブルが
発生する。
【0007】コンジットケーブルが直線状態で使われる
溶接現場は殆どなく、複雑に入り組んだ場所でコンジッ
トケーブルを湾曲させながらワークの溶接が行われるの
が普通であるから、このような状況下においてもワイヤ
送給性が良好なフラックス入りワイヤが強く要求される
ようになった。
【0008】従来、ワイヤ送給性を確保するために、ワ
イヤ表面にさまざまな潤滑処理が行われている。例えば
特公昭50−3256号公報には、緻密平滑な表面に潤
滑油を塗布したワイヤが開示されている。ところがワイ
ヤ表面が緻密平滑であると所定量の潤滑油をむらなく安
定して塗布することが困難であり、送給性良好なワイヤ
を得ようとした場合、潤滑油を多く塗布せざるを得な
い。しかし表面の潤滑油が多いワイヤは前述のように送
給抵抗の増加により送給ローラ部でワイヤがスリップし
易くなるから、コンジットライナの湾曲等に対応し難い
こと、さらには溶接作業性の劣化や拡散性水素量増加に
起因する溶接金属の材質劣化を伴うという欠点がある。
【0009】一方、固体潤滑剤を使用する例として、特
開昭50−146541号公報には二硫化モリブデン粉
末、グラファイト粉末の単体あるいは混合体とフラック
ス成分の1種以上との混合物を主成分とする伸線剤によ
って伸線するワイヤの製造方法が開示されている。ま
た、特開昭58−135795号公報には、ワイヤ表面
にグラファイトあるいは二硫化モリブデンのいずれか1
種または両者、および10〜60重量%のガラス粉末の
混合物のみを塗布してなり、該潤滑剤の量がワイヤ重量
の5×10-2〜5×10-2%であるワイヤが開示されて
いる。
【0010】しかしながら上記の技術では潤滑剤付着量
のコントロールが困難で、過剰に潤滑剤が付着した箇所
が発生したり、伸線後に潤滑剤が不均一に付着するとい
う問題がある。潤滑剤が過剰に付着しているとライナ内
で詰まりが生じ、ワイヤ送給が困難になることがある。
また、不均一に潤滑剤が付着していると安定した送給が
行われ難くなる。
【0011】そこで、ワイヤ表面の粗度を大きくしてそ
の凹部に潤滑油を保持させることにより、潤滑油をワイ
ヤ長手方向にむらなく、かつ安定して塗布する技術が提
案された。例えば、特公平1−15356号公報には、
ワイヤ表面を多孔度(5〜50%)の多孔質めっきで被
覆し、このめっき層に潤滑油を含ませる技術が開示され
ている。また特公昭58−56677号公報には潤滑油
圧力を高めて強制潤滑しつつ孔ダイスにより伸線加工す
ることにより、ワイヤ表面の粗度を大きくする製造技術
が開示されている。
【0012】しかし、特公平1−15356号公報のも
のは、めっきのコントロールが難しく、またワイヤ表面
が平坦な状態でめっき層を多孔質としたものであるか
ら、深さ方向の粗度が得られ難い。また特公昭58−5
6677号公報のものは、ワイヤ表面の平坦率は小さく
できるもののやはり深さ方向の粗度は得られ難い、した
がって、ワイヤ送給ローラでの送給力とライナ内での摩
擦抵抗の両方のバランスによって定まる良好なワイヤ送
給性を維持することができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ワイ
ヤ表面に送給潤滑剤溜りとして有効な亀裂を有し、送給
潤滑剤を安定して付着することにより、ライナの湾曲等
により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても
潤滑切れを起さず良好なワイヤ送給性を発揮することの
できるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼製外
皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮にSiとM
nをSi+0.2Mnで0.4〜1.4質量%含み、鋼
素地表面に粒界酸化による亀裂を有するとともに送給潤
滑剤付着量がワイヤ10kg当たり0.1〜2.0gで
あることを特徴とするものである。また、ここにおいて
フラックス充填率が3〜20質量%であることも特徴と
する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
フラックス入りワイヤが良好な送給性能を具備するため
には、ワイヤ送給性にとって有効な送給潤滑剤(潤滑
油、固体潤滑剤)がワイヤ長手方向に均一かつ安定して
付着していることが必要である。そのためには、ワイヤ
表面に潤滑油溜りが形成されていることが必要となる。
【0016】この目的から、本発明では鋼製外皮の鋼素
地表面に粒界酸化による亀裂を有し、送給潤滑剤を均一
かつ強固に保持する。本発明の鋼製外皮の鋼素地表面に
粒界酸化による亀裂を有するフラックス入りワイヤの製
造方法は、まず鋼製外皮にフラックスを充填した後のワ
イヤ素線(2〜4mm直径)をバッチ炉または連続焼鈍
炉を用いて600〜900℃で3〜480分焼鈍して鋼
製外皮表層部の粒界を酸化する。その後酸洗によってワ
イヤ表面のスケールを除去した後、伸線工程で鋼素地表
面に酸化により硬くなった粒界から亀裂を生じさせ、ワ
イヤ表面に送給潤滑剤を塗布して得られる。なお上記の
ように、炉内で粒界を酸化させるには、焼鈍雰囲気は弱
い酸化性にするのが好ましい。このため、たとえばN2
中に数%以内の酸素を含有する雰囲気を使用する。また
炭酸カリ溶液等をワイヤに塗布してN2 中で焼鈍し、発
生したCO2 によりワイヤ表面を弱い酸化性にすること
もできる。
【0017】上記、焼鈍工程で鋼製外皮表層部の粒界を
酸化させるためには粒界酸化を促進する成分であるSi
およびMnを鋼製外皮に適量含有する必要がある。鋼製
外皮中のSiとMn量はSi+0.2Mnで0.4〜
1.4質量%とする。Si+0.2Mnが0.4質量%
未満であると、焼鈍工程で鋼製外皮表層部の粒界を酸化
させることができず、鋼製外皮の鋼素地表面に粒界酸化
による亀裂が生じない。したがって、ワイヤ表面に潤滑
溜りとしての亀裂が形成されないので送給潤滑剤がワイ
ヤ長手方向に均一かつ安定して付着できず、ワイヤ送給
時にライナ内で摩擦抵抗が大きくなり、また、送給ロー
ラ部でワイヤがスリップするようになる。逆に、鋼製外
皮中のSi+0.2Mnが1.4質量%を超えると、鋼
製外皮の鋼素地表面に粒界酸化による亀裂は生じるが、
伸線工程の縮径で鋼製外皮が硬くなり、断線が生じて生
産性が悪くなる。また、溶接金属成分のSiおよびMn
の調整が難しくなり、溶接金属の強度が高くなるととも
に靱性が低下する。
【0018】なお、鋼製外皮はSiおよびMnの他に伸
線性および溶接金属の性能を低下させない範囲でC、N
i、Cr、Mo、Ti、Al等を含むことができる。
【0019】本発明ではフラックス入りワイヤ表面に送
給潤滑剤を付着する。本発明でいう送給潤滑剤とは潤滑
油と固体潤滑剤をいう。これらの送給潤滑剤は鋼素地表
面の粒界酸化による亀裂によって均一かつ強固に保持さ
れる。送給潤滑剤はワイヤ表面に付着してライナ内壁と
ワイヤとの摩擦係数を低減し、送給抵抗の増加を抑制す
る作用があり、フラックス入りワイヤの良好なワイヤ送
給性を確保する。
【0020】送給潤滑剤の付着量はワイヤ10kg当り
0.1〜2.0g(以下、g/10kgWという。)必
要である。送給潤滑剤の付着量が0.1g/10kgW
未満では送給抵抗の増加抑制効果が認められず、ワイヤ
送給性改善は望めない。逆に2.0g/10kgWを超
えるとワイヤ表面に過剰付着することになり、送給ロー
ラ部でワイヤが大きくスリップしワイヤの安定送給が困
難になる。またライナ内を汚し潤滑剤詰まりによる送給
不良が発生するようになる。また潤滑油の場合、溶接時
に熱分解し多量の水素を発生するので、拡散性水素量増
加に起因する溶接金属の材質劣化を招き易い。
【0021】なお、潤滑油は動植物油、鉱物油あるいは
合成油のいずれでも良い。動植物油としてはパーム油、
菜種油、ひまし油、豚油、牛油、魚油等を、鉱物油とし
てはマシン油、タービン油、スピンドル油等を用いるこ
とができる。合成油としては炭化水素系、エステル系、
ポリグリコール系、ポリフェノール系、シリコーン系、
フロロカーボン系等を用いることができる。潤滑油中に
はさらに潤滑性能を向上させるため、各種の脂肪酸をは
じめとする油性剤や燐系、塩素系、イオウ系の極圧添加
剤を加えても良く、また、潤滑油の酸化を防ぐための添
加剤(酸化防止剤)を加えても良い。ここで望ましい潤
滑油の付着量は、0.05〜2.0g/10kgWとす
るのが良い。送給潤滑剤はもちろん伸線加工時において
はダイスとワイヤ間の摩擦係数低減機能を有する。
【0022】固体潤滑剤とはMoS2 、WS2 の1種ま
たは2種を含む固体潤滑剤であり、その他の成分として
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEとい
う)、グラファイト、乾式潤滑剤等が挙げられる。固体
潤滑剤の付着量は、上記効果を発揮するためにワイヤ1
0kg当り0.05〜1.0g/10kgWとするのが
良い。なお送給潤滑剤の付着量は化学分析(トルエン・
エーテル抽出法)により測定できる。
【0023】本発明のフラックス入りワイヤは、鋼製外
皮に充填するフラックスとしてスラグ生成剤、脱酸剤、
合金剤、鉄粉およびアーク安定剤を適量混合したフラッ
クスを用いる。また鋼製外皮に充填するフラックスの充
填率は3〜20質量%とする。フラックス充填率が3質
量%未満であると、製造時のフラックス充填が困難で生
産性が悪くなる。一方、フラックス充填率が20質量%
を超えると、伸線工程で外皮肉厚が薄くなり、鋼製外皮
の鋼素地表面の粒界酸化による亀裂が起点となって断線
が生じて生産性が悪くなる。
【0024】なお本発明のフラックス入りワイヤは、鋼
製外皮にシーム有りおよびシーム無し何れでも良い。し
かし鋼製外皮の鋼素地表面の粒界を酸化させるためにフ
ラックスを充填したワイヤ素線を焼鈍し、焼鈍によりワ
イヤ素線表面に生じたスケールを除去する必要がある。
このとき製造コスト面からワイヤ素線表面に生じたスケ
ールの除去は酸洗処理によりなされるので、鋼製外皮に
開口部がないシームレスフラックス入りワイヤであるこ
とが好ましい。
【0025】また本発明のフラックス入りワイヤは、ワ
イヤ表面のめっき処理は有り無しどちらの場合でも製造
可能で、いずれの場合でも鋼素地表面に送給潤滑剤溜ま
りとしての粒界酸化による亀裂を有するので、溶接時の
ワイヤ送給性は良好である。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。表1に示す成分の鋼製外皮にスラグ生成剤、脱酸
剤、鉄粉およびアーク安定剤を含むフラックスを充填
し、3mm直径の素線まで圧延後、炭酸カリを塗布して
窒素雰囲気で650〜750℃、60〜240分バッチ
炉で焼鈍し、酸洗、伸線してワイヤ径1.2mmのJI
S Z3313に規定されるYFW−C50DRに該当
する各種フラックス入りワイヤを試作した。また表1に
示す送給潤滑剤を伸線時および伸線後ワイヤ表面に塗布
した。
【0027】
【表1】
【0028】ワイヤ送給性の評価試験は、図1に示す装
置を用いて行った。図1において給機1にセットされた
スプール巻きフラックス入りワイヤ2は、送給ローラ3
により引き出され、コンジットケーブル4に内包したラ
イナを経てその先端の溶接トーチ5まで送給される。そ
して通電チップと鋼板6の間でビードオンプレート溶接
を行なった。コンジットケーブル4は6m長で、ワイヤ
に送給抵抗を与えるために75mm直径のループを2つ
形成した湾曲部7を設けた。
【0029】送給機1には送給ローラの周速度Vr(=
設定ワイヤ速度)の検出器(図示せず)、ワイヤの実速
度(Vw)検出器8を備えている。送給性評価指標のス
リップ率SlはSl=(Vr−Vw)/Vr×100%
で表される。また、送給ローラ部分に設けられたロード
セル9により送給時にワイヤがライナから受ける反力を
送給抵抗Rとして検出した。送給抵抗Rが6kgf以下
でスリップ率Slが10%以下の場合に送給性良好と判
定する。ワイヤ送給性試験は、表2に示す溶接条件で2
0分間溶接し、送給抵抗Rとスリップ率Slを測定して
平均値を求めた。それらの結果を表3に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】表中、ワイヤ記号W1〜W6が本発明で、
ワイヤ記号W7〜W12は比較例である。本発明である
ワイヤ記号W1〜W6は、鋼製外皮のSi+0.2Mn
量が適量であるので、鋼素地表面に粒界酸化による亀裂
を有し、送給潤滑剤付着量およびフラックス充填率が適
量範囲になっている。このため、製造時における断線な
どの問題はなく生産性良好で、ワイヤ送給性試験におい
ても送給抵抗Rおよびスリップ率Slともに低く良好な
ワイヤ送給性を示し、極めて満足な結果であった。
【0033】比較例中ワイヤ記号W7は、鋼製外皮のS
i+0.2Mn量が低いので、焼鈍工程で鋼製外皮表層
部の粒界を酸化させることができず、鋼製外皮の鋼素地
表面に粒界酸化による亀裂が生じなかった。したがっ
て、ワイヤ表面に潤滑溜りとしての亀裂が形成されてな
いので送給潤滑剤が不均一に付着して、ワイヤ送給性試
験で送給抵抗Rおよびスリップ率Slが大きくなって、
アークが不安定となった。
【0034】ワイヤ記号W8は、鋼製外皮のSi+0.
2Mnが高いので、鋼製外皮の鋼素地表面に粒界酸化に
よる亀裂は生じたが、伸線工程の縮径で鋼製外皮が硬く
なり、断線が多発した。したがって、ワイヤ送給性試験
は中止した。
【0035】ワイヤ記号W9は、送給潤滑剤の付着量が
少ないので、送給抵抗Rが高くなり、アークが不安定と
なった。ワイヤ記号W10は、送給潤滑剤の付着量が多
いので、スリップ率Slが大きくなって、アークが不安
定となった。
【0036】ワイヤ記号W11は、フラックス充填率が
低いので、製造時にワイヤ長手方向のフラックス充填率
が不均一で、さらに送給潤滑剤の付着量が少ないので、
ワイヤ送給性試験で送給抵抗Rが高くなり、アークが不
安定となった。
【0037】ワイヤ記号W12は、フラックス充填率が
高いので、伸線工程で外皮肉厚が薄くなり、鋼製外皮の
鋼素地表面の粒界酸化による亀裂が起点となって断線が
生じた。また、送給潤滑剤の付着量が多いので、ワイヤ
送給性試験でスリップ率Slが大きくなって、アークが
不安定となった。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、ライ
ナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下
であっても、潤滑切れを起こさず良好なワイヤ送給性を
発揮することのできるガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いたワイヤ送給性試験装置
を示す図
【符号の説明】
1 送給機 2 ワイヤ 3 送給ローラ 4 コンジットケーブル 5 トーチ 6 鋼板 7 コンジットケーブルの湾曲部 8 ワイヤ速度検出器 9 ロードセル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、鋼製外皮にSiとMnをSi+0.2Mnで0.4
    〜1.4質量%含み、鋼素地表面に粒界酸化による亀裂
    を有するとともに送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当
    たり0.1〜2.0gであることを特徴とするガスシー
    ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 フラックス充填率が3〜20質量%であ
    ることを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク
    溶接用フラックス入りワイヤ。
JP2002114371A 2002-04-17 2002-04-17 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Withdrawn JP2003311468A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002114371A JP2003311468A (ja) 2002-04-17 2002-04-17 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002114371A JP2003311468A (ja) 2002-04-17 2002-04-17 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003311468A true JP2003311468A (ja) 2003-11-05

Family

ID=29533551

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002114371A Withdrawn JP2003311468A (ja) 2002-04-17 2002-04-17 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003311468A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2514754C2 (ru) * 2012-08-22 2014-05-10 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Омский государственный технический университет" Порошковая проволока
RU2676383C1 (ru) * 2017-09-26 2018-12-28 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Омский государственный технический университет" Порошковая проволока

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2514754C2 (ru) * 2012-08-22 2014-05-10 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Омский государственный технический университет" Порошковая проволока
RU2676383C1 (ru) * 2017-09-26 2018-12-28 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Омский государственный технический университет" Порошковая проволока

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3474393B2 (ja) 溶接用ワイヤの製造方法
JP3813360B2 (ja) 溶接用ワイヤおよびその製造方法
JP4440059B2 (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用銅めっきワイヤ
KR101181214B1 (ko) 동도금된 가스 실드 아크 용접용 플럭스 코어드 와이어 및 이의 제조방법
JP2000107881A (ja) 溶接用ワイヤ
JP3876182B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JP4034308B2 (ja) Ar−CO2混合ガスシールドアーク溶接用銅めっきソリッドワイヤ
JP2003311468A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2004314099A (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JP2006102799A (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ
JP3876186B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JP4429864B2 (ja) Ar−CO2混合ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ
JPS58128294A (ja) 溶接用細径鋼ワイヤ
JP2006224172A (ja) 薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ
JP2008018469A (ja) ガスシールドアーク溶接用メッキなしソリッドワイヤの組立体
JP4429863B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入り銅めっきワイヤ
JP4054277B2 (ja) 送給性に優れたアーク溶接用ソリッドワイヤ及びその製造方法
JP4018097B2 (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ
JP5172746B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH07100687A (ja) アーク溶接用ワイヤ
JP5290007B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JPH09150292A (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JPH10193175A (ja) 溶接ワイヤの伸線用油性潤滑剤及びアーク溶接用鋼ワイヤ
JP5160301B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JP2005205493A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050705