JP2003274953A - 植物細胞への遺伝子導入方法及び遺伝子導入用の植物細胞処理装置 - Google Patents
植物細胞への遺伝子導入方法及び遺伝子導入用の植物細胞処理装置Info
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Abstract
して該植物細胞に遺伝子を導入できる実用性に秀れた植
物細胞への遺伝子導入技術を提供するものである。 【解決手段】 アグロバクテリウム法により植物細胞1
に遺伝子を導入する方法であって、鋭利な微細凹凸を有
する微細凹凸面2に植物細胞1を当接させて該植物細胞
1の表面に傷7を付け、この植物細胞1にアグロバクテ
リウム法で遺伝子を導入するものである。
Description
遺伝子を導入して遺伝子操作する技術に関するものであ
る。
胞に外来の遺伝子を導入することによって、交雑育種で
は付加できない有用な形質を植物に付与することは、今
後の農作物の改良と農業の発展に極めて意義がある。
属粒子に外来の遺伝子を付着しておき、この金属粒子を
空気銃で植物細胞に打ち込むパーティクルガン法(例え
ば、特表平5−508316号)等の物理的な方法や、
土壌細菌であるアグロバクテリウムの感染作用を利用し
たアグロバクテリウム法(例えば、特開昭60−700
80号や特開平6−209779号)等の生物的な方法
が提案されている。
の導入の際、所望の遺伝子以外の遺伝子の断片が植物細
胞に導入されてしまうおそれがあり、植物を目的通りと
することができない場合が多い。従って、植物細胞に遺
伝子を導入する際には、生物的な方法であるアグロバク
テリウム法が採用される場合が多い。
る。
によって目的の遺伝子を導入しておく。
傷を付けておく。この傷は植物細胞壁を損傷させる程度
としておく。
を一緒に培養する。この際、前記植物細胞の傷にアグロ
バクテリウムが接近して感染し、該植物細胞の細胞膜を
通して内部の染色体に目的の遺伝子が組み込まれる。
伝子を導入することができる。
下記の問題点がある。
は感染し易いという性質を有しているが、単子葉植物
(例えば、ユリ科植物)の細胞には感染しにくい。従っ
て、単子葉植物にアグロバクテリウム法で遺伝子を導入
しようとする場合、成功率が低いという問題点がある。
感染させる為には植物にメス等で傷を付けなければなら
ないが、細胞が非常に弱い場合、例えば、ユリ科植物の
場合、この傷が原因で植物細胞が死んでしまうことがあ
る。
法による遺伝子の導入も、当然難しい。
植物細胞にアグロバクテリウムが良好に感染して該植物
細胞に遺伝子を導入できる実用性に秀れた植物細胞への
遺伝子導入技術を提供するものである。
明の要旨を説明する。
遺伝子を導入する方法であって、鋭利な微細凹凸を有す
る微細凹凸面2に植物細胞1を当接させて該植物細胞1
の表面に傷7を付け、この植物細胞1にアグロバクテリ
ウム法で遺伝子を導入することを特徴とする植物細胞へ
の遺伝子導入方法に係るものである。
胞1に遺伝子を導入する方法であって、植物細胞1から
カルスを誘導し、鋭利な微細凹凸を有する微細凹凸面2
に該カルスを擦り付けることで前記植物細胞1の表面に
傷7を付け、この植物細胞1にアグロバクテリウム法で
遺伝子を導入することを特徴とする植物細胞への遺伝子
導入方法に係るものである。
胞1に遺伝子を導入する方法であって、内壁に鋭利な微
細凹凸を有する微細凹凸面2が設けられた容器3を用意
し、この容器3に植物細胞1と培養液とを収納して震盪
することにより前記微細凹凸面2に植物細胞1を擦り付
けて該植物細胞1の表面に傷7を付けることを特徴とす
る植物細胞への遺伝子導入方法に係るものである。
導入方法において、微細凹凸面2は、容器3の内壁に紙
ヤスリ4を付設することで形成されていることを特徴と
する植物細胞への遺伝子導入方法に係るものである。
植物細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞1の表
面に付ける傷7は、植物細胞1が細胞***可能な程度の
浅い擦り傷7であることを特徴とする植物細胞への遺伝
子導入方法に係るものである。
植物細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞1が単
子葉植物の細胞であることを特徴とする植物細胞への遺
伝子導入方法に係るものである。
植物細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞1がユ
リ科植物の細胞であることを特徴とする植物細胞への遺
伝子導入方法に係るものである。
細胞1にアグロバクテリウム法により遺伝子を導入する
際に使用する遺伝子導入用の植物細胞処理装置であっ
て、開口部5を有する容器3の内壁には鋭利な微細凹凸
を有する微細凹凸面2が設けられていることを特徴とす
る遺伝子導入用の植物細胞処理装置に係るものである。
細胞処理装置において、容器3の内壁には紙ヤスリ4が
付設され、この紙ヤスリ4のヤスリ面が微細凹凸面2に
設定されていることを特徴とする遺伝子導入用の植物細
胞処理装置に係るものである。
の遺伝子導入用の植物細胞処理装置において、容器3の
開口部5を閉塞する蓋体6が設けられていることを特徴
とする遺伝子導入用の植物細胞処理装置に係るものであ
る。
物細胞処理装置において、容器3は筒状であり、蓋体6
は容器3の開口部5に螺着脱自在に設けられていること
を特徴とする遺伝子導入用の植物細胞処理装置に係るも
のである。
果、得られた効果を請求項としてまとめたものである。
れた微細凹凸面2に当接すると、該植物細胞の表面に多
数の傷7が形成される。
ルギーを消費し、細胞全体としての感染抵抗力が低下す
る。
は、アグロバクテリウムに感染し易く、よって、アグロ
バクテリウム法により該植物細胞に遺伝子を良好に導入
することができる。
擦り傷と呼べるものであり、該植物細胞の致命傷とはな
りにくく、よって、植物細胞が死ぬこと(細胞***不能
な状態になること)は可及的に防止されることになる。
にアグロバクテリウムが良好に感染して該植物細胞に遺
伝子を導入できる実用性に秀れた植物細胞への遺伝子導
入技術となる。
たものであり、以下に説明する。
植物細胞1に遺伝子を導入する方法であって、鋭利な微
細凹凸を有する微細凹凸面2に植物細胞1を当接して該
植物細胞1の表面に傷7を付け、この植物細胞1にアグ
ロバクテリウム法で遺伝子を導入するものである。
胞1が細胞***可能な程度の浅い擦り傷7とする。具体
的には、植物細胞1の表面に存在する細胞壁10には傷7
が付き、この細胞壁10の内側に存在する細胞膜11には傷
7が付かない程度に設定する。
には、該植物細胞1からカルス(植物細胞1の塊)を誘
導し、このカルスを前記微細凹凸面2に擦り付けること
で前記植物細胞1の表面に傷7を付ける方法を採用する
と良い。
には、以下に説明する植物細胞処理装置を使用すると良
い。
る容器3の内壁には鋭利な微細凹凸を有する微細凹凸面
2が設けられているものである。
を閉塞する蓋体6が螺着脱自在に設けられている。
4が付設されることで形成されている。
ると良い。また、この紙ヤスリ4は、#150乃至80
0程度のものを採用すると良い。また、傷7を付けよう
とする植物細胞1の細胞壁10の厚さに対応して使用する
紙ヤスリ4を適宜選択すると良い。
器3に植物細胞1と培養液とを収納し、蓋体6を取り付
けた後、震盪することにより前記微細凹凸面2に植物細
胞1を擦り付ける方法を採用すると良い。この方法によ
れば、培養液の存在により、植物細胞1が微細凹凸面2
に強く擦り付けられることがなく、植物細胞1の表面に
該植物細胞1が細胞***可能な程度の浅い擦り傷7が多
数良好に付けられることになる。
拌装置を用いると良い。また、震盪時間は、植物細胞や
カルスによって適宜設定する。
植物細胞1とアグロバクテリウムとを一緒に培養して該
植物細胞1にアグロバクテリウムを感染させ、該植物細
胞1の染色体に遺伝子を導入する。
擦り付けることにより、植物細胞1の表面には多数の傷
7が付けられており、よって、植物細胞1の感染抵抗力
が低下し、アグロバクテリウムが良好に感染して植物細
胞1に遺伝子を導入する。
胞1にアグロバクテリウムが良好に感染して該植物細胞
1に遺伝子を導入できる実用性に秀れた植物細胞への遺
伝子導入技術となる。
ついて説明する。
切断して円筒状とし、遠沈管(容量50ml、容器3)
の内壁に配設した。
イントロンを含んだβ−glucuronidase遺
伝子(以下、GUSという。)及びハイグロマイシン耐
性遺伝子を植物に導入される部位に含むpIG121−
Hmを用いた(図4参照)。このベクターを保持するア
グロバクテリウムEHA101株を用いて遺伝子操作を
行った。
切り出し、2ppmPicloram及び0.3% G
ellan Gumを含むMS培地に置き、カルスを誘
導した。
g)を、2ppm Picloram及び20ppm
acetosyringoneを含むMS液体培地(2
0ml)と共に前記1.で作製した植物細胞処理装置に
入れ、ボルテックスミキサーを用いて10秒間激しく撹
拌震盪した。
バクテリウムと混合し、2ppm Picloram及
び0.3% Gellan Gumを含むMS培地に置
き、7日間培養した。
Cell,2(1990)379−392)により、カ
ルスの染色を行った。その結果、カルス表面積の約40
乃至50%が青色に変色した。この変色した部分の植物
細胞1に遺伝子が導入されているから、この実験例1に
よれば、カルスの約40乃至50%にアグロバクテリウ
ム法によって遺伝子を組み込めることが確認された。
ウムに感染しにくいといわれる単子葉植物のユリの植物
細胞1に、アグロバクテリウム法によって良好に遺伝子
を組み込めることが確認された。
よるユリへの遺伝子導入) GUS染色によるカルスの変色面積は約1乃至2%であ
った。即ち、アグロバクテリウムが殆ど感染せず、効率
が非常に悪いことが確認された。
切断して円筒状とし、遠沈管(容量50ml、容器3)
の内壁に配設した。
イントロンを含んだGUS及びハイグロマイシン耐性遺
伝子を植物に導入される部位に含むpIG121−Hm
を用いた。このベクターを保持するアグロバクテリウム
EHA101株を用いて遺伝子操作を行った。
s)の葉片を0.1ppm NAA,1ppm BA及
び0.4% Gellan Gumを含む1/2MS培
地(KNO3とNH4NO3の濃度を通常より1/2に希
釈)上で無菌的に培養し、得られた不定芽を0.4%
Gellan Gumを含むMS培地上で無菌的に栽培
した。
m NAA及び1ppm BAを含む1/2MS液体培
地(20ml)と共に前記1.で作製した植物細胞処理
装置に入れ、ボルテックスミキサーを用いて5秒間激し
く撹拌震盪した。
テリウムと混合し、0.1ppm NAA,1ppm
BA及び0.4% Gellan Gumを含む1/2
MS培地に置き、4日間培養した。
片の染色を行った。その結果、葉片表面積の約50乃至
60%が青色に変色した。この変色した部分の植物細胞
1に遺伝子が導入されているから、この実験例2によれ
ば、葉片の約50乃至60%にアグロバクテリウム法に
よって遺伝子を組み込めることが確認された。
りながらアグロバクテリウムに感染しにくいといわれる
ベゴニアの植物細胞1に、アグロバクテリウム法によっ
て良好に遺伝子を組み込めることが確認された。
よるベゴニアへの遺伝子導入) GUS染色による葉片の変色面積は約1乃至2%であっ
た。即ち、アグロバクテリウムが殆ど感染せず、効率が
悪いことが確認された。
することにより、これまでアグロバクテリウムの感染効
率が悪い為に、アグロバクテリウム法による遺伝子導入
効率が低かった植物においても、遺伝子導入効率が向上
し、形質転換体を作出できることが確認された。
も多くの植物に交雑育種では得られない新規な有用形質
を付与することが可能となる。
ある。
ある。
Claims (11)
- 【請求項1】 アグロバクテリウム法により植物細胞に
遺伝子を導入する方法であって、鋭利な微細凹凸を有す
る微細凹凸面に植物細胞を当接させて該植物細胞の表面
に傷を付け、この植物細胞にアグロバクテリウム法で遺
伝子を導入することを特徴とする植物細胞への遺伝子導
入方法。 - 【請求項2】 アグロバクテリウム法により植物細胞に
遺伝子を導入する方法であって、植物細胞からカルスを
誘導し、鋭利な微細凹凸を有する微細凹凸面に該カルス
を擦り付けることで前記植物細胞の表面に傷を付け、こ
の植物細胞にアグロバクテリウム法で遺伝子を導入する
ことを特徴とする植物細胞への遺伝子導入方法。 - 【請求項3】 アグロバクテリウム法により植物細胞に
遺伝子を導入する方法であって、内壁に鋭利な微細凹凸
を有する微細凹凸面が設けられた容器を用意し、この容
器に植物細胞と培養液とを収納して震盪することにより
前記微細凹凸面に植物細胞を擦り付けて該植物細胞の表
面に傷を付けることを特徴とする植物細胞への遺伝子導
入方法。 - 【請求項4】 請求項3記載の植物細胞への遺伝子導入
方法において、微細凹凸面は、容器の内壁に紙ヤスリを
付設することで形成されていることを特徴とする植物細
胞への遺伝子導入方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項に記載の植物
細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞の表面に付
ける傷は、植物細胞が細胞***可能な程度の浅い擦り傷
であることを特徴とする植物細胞への遺伝子導入方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5いずれか1項に記載の植物
細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞が単子葉植
物の細胞であることを特徴とする植物細胞への遺伝子導
入方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項に記載の植物
細胞への遺伝子導入方法において、植物細胞がユリ科植
物の細胞であることを特徴とする植物細胞への遺伝子導
入方法。 - 【請求項8】 植物細胞に傷を付け、この植物細胞にア
グロバクテリウム法により遺伝子を導入する際に使用す
る遺伝子導入用の植物細胞処理装置であって、開口部を
有する容器の内壁には鋭利な微細凹凸を有する微細凹凸
面が設けられていることを特徴とする遺伝子導入用の植
物細胞処理装置。 - 【請求項9】 請求項8記載の遺伝子導入用の植物細胞
処理装置において、容器の内壁には紙ヤスリが付設さ
れ、この紙ヤスリのヤスリ面が微細凹凸面に設定されて
いることを特徴とする遺伝子導入用の植物細胞処理装
置。 - 【請求項10】 請求項8,9のいずれか1項に記載の
遺伝子導入用の植物細胞処理装置において、容器の開口
部を閉塞する蓋体が設けられていることを特徴とする遺
伝子導入用の植物細胞処理装置。 - 【請求項11】 請求項10記載の遺伝子導入用の植物
細胞処理装置において、容器は筒状であり、蓋体は容器
の開口部に螺着脱自在に設けられていることを特徴とす
る遺伝子導入用の植物細胞処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002088554A JP3887658B2 (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | 遺伝子導入用の植物細胞処理装置 |
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JP2002088554A JP3887658B2 (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | 遺伝子導入用の植物細胞処理装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003274953A true JP2003274953A (ja) | 2003-09-30 |
JP3887658B2 JP3887658B2 (ja) | 2007-02-28 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002088554A Expired - Fee Related JP3887658B2 (ja) | 2002-03-27 | 2002-03-27 | 遺伝子導入用の植物細胞処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3887658B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006137597A1 (ja) | 2005-06-24 | 2006-12-28 | Teijin Pharma Limited | 新規生理物質nesfatinとその関連物質、およびそれらの用途 |
WO2007069643A1 (ja) * | 2005-12-13 | 2007-06-21 | Japan Tobacco Inc. | 粉体を用いて形質転換効率を向上させる方法 |
JP5260963B2 (ja) * | 2005-12-13 | 2013-08-14 | 日本たばこ産業株式会社 | 粉体を用いて形質転換効率を向上させる方法 |
-
2002
- 2002-03-27 JP JP2002088554A patent/JP3887658B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2007069643A1 (ja) * | 2005-12-13 | 2007-06-21 | Japan Tobacco Inc. | 粉体を用いて形質転換効率を向上させる方法 |
CN101331227B (zh) * | 2005-12-13 | 2012-03-28 | 日本烟草产业株式会社 | 使用粉体来提高转化效率的方法 |
US8324456B2 (en) | 2005-12-13 | 2012-12-04 | Japan Tobacco Inc. | Method for improving transformation efficiency using powder |
JP5260963B2 (ja) * | 2005-12-13 | 2013-08-14 | 日本たばこ産業株式会社 | 粉体を用いて形質転換効率を向上させる方法 |
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